説明

亜鉛系金属材料用表面処理液および亜鉛系金属材料の表面処理方法

【課題】亜鉛系金属材料に対し、塗装を施さない場合の耐食性、すなわち、裸耐食性を付与させることができる、クロム化合物を含有しない表面処理液の提供。
【解決手段】次の成分(A)および成分(B): (A) Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素、 (B) アリルアミノ化合物、イミノ化合物、アミノ多糖、アミノ変性フェノールおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、前記成分(A)の金属元素の合計濃度が500〜2000 mg/Lであり、前記成分(B)の化合物の合計濃度が300〜3000 mg/Lである、亜鉛系金属材料用表面処理液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛系金属材料の表面に皮膜を形成させるための亜鉛系金属材料用表面処理液およびそれを用いた亜鉛形金属材料の表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料を大気中に放置すると、一般に、その表面に大気中の水分が吸着し、また、SO2、NOx、Cl等の腐食因子も、大気中を飛来して、その表面に吸着する。金属材料は、そのような環境下においては、水分および腐食因子の共存により腐食していくことになる。このような水分および腐食因子による金属材料の腐食を抑制するために、種々の表面処理技術の開発がなされている。
【0003】
金属の防食方法には、一般的に、塗装による手法と、亜鉛めっき材料のクロメート処理のように塗装せずに使用する手法と大きく分けて2種類がある。これら2種類の防食方法では、必ず表面処理が施される。
例えば、鉄鋼材料に塗装が施される場合には、鉄鋼材料の表面に清浄化処理を施した後に、リン酸亜鉛処理を施す方法や、前記方法において、リン酸亜鉛処理後に更にクロメート処理またはリン酸クロメート処理を施す方法が知られている。
また、鉄鋼材料であっても、各種亜鉛めっきが施されている場合には塗装を施さずに使用することがある。このような場合には、鉄鋼材料の表面に清浄化処理を施した後に、リン酸亜鉛処理を行わずに、クロメート処理またはリン酸クロメート処理を施す方法が知られている。
このように塗装を施さずに、金属材料を裸で使用することを目的とした場合においては、金属材料に施す一般的な表面処理の工程は、脱脂処理、亜鉛めっき、酸洗、化成処理および乾燥の順に行われ、上述したクロメート処理等は、上記工程中の「化成処理」として行われる。
このようなクロメート処理およびリン酸クロメート処理に用いられる薬剤は安価であり、得られる皮膜は優れた耐食性を有するが、処理液中に含まれる6価クロムは有害であり、昨今の環境規制もあることから、クロメート処理およびリン酸クロメート処理は敬遠される方向にある。
【0004】
そこで、最近の傾向としては、例えば、電気亜鉛めっき鋼材を初めとする亜鉛系金属材料に対して、有害な6価クロムを使用せず、かつ、耐食性を付与することができる表面処理法の一つとして、無害な3価クロム化合物を使用する3価クロメート処理が提案されている。
3価クロメート処理としては、主に、電解3価クロメート処理、塗布型3価クロメート処理および反応型3価クロメート処理が挙げられる(例えば、特許文献1〜3参照。)。これらの3価クロメート処理の中には6価クロメート処理を超える性能を有するものもあり、3価クロメート処理は有害性の高い6価クロメート処理の代替技術として有力視されている。
しかしながら、3価クロメート処理に用いられる3価クロム自体は無害であるが、クロム化合物であることに変わりはなく、酸化反応により3価クロムが6価クロムへ変換される可能性もある。昨今、世界的に環境問題に対する意識が高まる中、少しでも環境に悪影響を及ぼす恐れのある物質の使用を回避する動きが強まっており、将来的には3価クロムの使用も禁止される可能性がある。
【0005】
ところで、亜鉛系金属材料以外の非鉄材料、例えば、アルミニウム含有材料に対するクロムを使用しない化成処理技術(ノンクロ技術)の検討は防錆性という観点から比較的早くから行われており、例えば、飲食物に利用されるアルミニウム含有材料は1990年頃から検討され、実用化に至っている。
アルミニウム含有材料に対するクロムを含有しない化成処理液の代表的なものとして、特許文献4に記載されている処理液が挙げられる。この処理液は、ジルコニウムまたはチタンあるいはこれらの混合物、リン酸塩およびフッ化物を含有し、かつpHが約1.0〜4.0の酸性の水系表面処理液である。この処理液を用いて処理を行うと、アルミニウム含有金属材料表面上に、ジルコニウムまたはチタンのリン化合物を主成分とする析出皮膜が形成される。
しかしながら、この処理により得られたジルコニウムまたはチタンのリン化合物を主成分とする析出皮膜は極めて薄く、厚膜化すると表面にクラックが入ることが知られており、実際に飲料缶のプリント等を行う場合には少ない皮膜重量となるように制御されている。
【0006】
さらに、クロムを使用せず、かつ、金属材料表面に優れた耐食性を付与する表面処理方法が特許文献5〜9に記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平05−009746号公報
【特許文献2】特開2000−282255号公報
【特許文献3】特開2003−166074号公報
【特許文献4】特開昭56−136978号公報
【特許文献5】特開2004−190121号公報
【特許文献6】特開2004−218072号公報
【特許文献7】特開2004−218074号公報
【特許文献8】特開2004−218075号公報
【特許文献9】特開2005−264230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献5〜9に記載されている表面処理方法は、いずれも塗装の下地処理として用いることを前提としており、金属材料を未塗装で使用することは想定されていない。
そこで、本発明は、亜鉛系金属材料に対し、塗装を施さない場合の耐食性、すなわち、裸耐食性を付与させることができる、クロム化合物を含有しない表面処理液およびそれを用いた表面処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討した結果、亜鉛系金属材料に、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有し、更に、アリルアミノ化合物、イミノ化合物、アミノ多糖、アミノ変性フェノールおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する表面処理液を用いて処理を施すことにより、極めて優れた裸耐食性を付与することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の( i )〜( ix )を提供する。
( i ) 次の成分 (A) および 成分(B) :
(A) Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素
(B) アリルアミノ化合物、イミノ化合物、アミノ多糖、アミノ変性フェノールおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
を含有し、
前記成分 (A) の金属元素の合計濃度が500〜2000 mg/Lであり、
前記成分 (B)の化合物の合計濃度が300〜3000 mg/Lである、亜鉛系金属材料用表面処理液。
( ii ) 更に、次の成分 (C) および成分 (D) :
(C) フッ素
(D) Mg、Al、Zn、CuおよびCoからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素
を含有し、
前記成分 (D) の金属元素の合計濃度が500〜1000 mg/Lである、上記 ( i ) に記載の亜鉛系金属表面処理用表面処理液。
( iii ) 更に、次の成分 (E) :
(E) HNO3、HNO2、H2O2およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
を含有する、上記( i )または( ii )に記載の亜鉛系金属材料用表面処理液。
( iv ) pH 2〜5である上記( i )〜( iii )のいずれかに記載の亜鉛系金属材料用表面処理液。
( v ) 亜鉛系金属材料を、上記( i )〜( iv )のいずれかに記載の亜鉛系金属材料用表面処理液に接触させる表面処理工程を具備する、亜鉛系金属材料の表面処理方法。
( vi ) 更に、前記表面処理工程の後に、前記亜鉛系金属材料を、リン酸、過酸化水素、アミノ変性フェノール、アミノ変性フェノール誘導体および有機リン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する後処理液に接触させる後処理工程を具備する、上記( v )に記載の亜鉛系金属材料の表面処理方法。
( vii ) 上記( vi )に記載の亜鉛系金属材料の表面処理方法であって、前記後処理工程により前記亜鉛系金属材料の表面に形成される複合皮膜が、下記式( 1 )〜( 3 )を満たす、亜鉛系金属材料の表面処理方法。
Wa ≧ 50 mg/m2 ( 1 )
Wb ≧ 20 mg/m2 ( 2 )
Wp ≧ 5 mg/m2 ( 3 )
式中、Waは、前記成分 ( A ) の金属元素の付着量であり、Wbは、前記成分 ( B ) の化合物の炭素換算付着量であり、Wpは、前記後処理液に含まれるリンの付着量および有機化合物の炭素換算付着量の合計値である。
( viii ) 前記後処理液がpH 3〜6である、上記 (vi )または( vii )に記載の亜鉛系金属材料の表面処理方法。
( ix ) 更に、前記表面処理工程の前に、前記亜鉛系金属材料に脱脂処理を施す脱脂処理工程を具備する、上記( v )〜( viii )のいずれかに記載の亜鉛系金属材料の表面処理方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の亜鉛系金属材料用表面処理液は、クロム化合物を含有せずに、亜鉛系金属材料に対し、優れた裸耐食性を付与させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の亜鉛系金属材料用表面処理液(以下、単に「本発明の処理液」という。) および本発明の亜鉛系金属材料の表面処理方法(以下、単に「本発明の処理方法」という。) について詳細に説明する。
【0013】
本発明の処理液は、次の成分 (A) および成分 (B) :
(A) Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素
(B) アリルアミノ化合物、イミノ化合物、アミノ多糖、アミノ変性フェノールおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
を含有し、
前記成分 (A)の金属元素の合計濃度が500〜2000 mg/Lであり、
前記成分 (B)の化合物の合計濃度が300〜3000 mg/Lである、亜鉛系金属材料用表面処理液である。
【0014】
本発明の処理液による表面処理の対象は、亜鉛系金属材料である。
亜鉛系金属材料は、特に限定されないが、例えば、亜鉛ダイキャスト、亜鉛含有めっきが挙げられる。亜鉛含有めっきは、亜鉛または亜鉛と他の金属(例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、マンガン、クロム、マグネシウム、コバルト、鉛、アンチモン等の少なくとも1種との合金および不可避不純物)によりめっきされたものである。めっき方法は特に限定されず、例えば、溶融めっき、電気めっき、蒸着めっきが挙げられる。
亜鉛系金属材料は、形状(例えば、板状、棒状)、構造、接合方法、接合種等を特に限定されない。
【0015】
本発明の処理液は、成分 (A) および成分 (B) を含有する。
成分 (A) は、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む化合物である。
成分 (A) の供給源としては、例えば、TiCl4、Ti(SO4)2、TiOSO4、Ti(NO3)4、TiO(NO3)2、Ti(OH)4、TiO2OC2O4、H2TiF6、H2TiF6の塩(例えばK2TiF6)、TiO、TiO2、Ti2O3、TiF4、ZrCl4、ZrOCl2、Zr(OH)2Cl2、Zr(OH)3Cl、Zr(SO4)2、ZrOSO4、Zr(NO3)4、ZrO(NO3)2、Zr(OH)4、H2ZrF6、H2ZrF6の塩、H2(Zr(CO3)2(OH)2)、H2(Zr(CO3)2(OH)2)の塩、H2Zr(OH)2(SO4)2、H2Zr(OH)2(SO4)2の塩、ZrO2、ZrOBr2、ZrF4、HfCl4、Hf(SO4)2、H2HfF6、H2HfF6の塩、HfO2、HfF4が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0016】
本発明の処理液においては、上述した成分 (A) の金属元素の合計濃度が500〜2000 mg/Lであり、好ましくは600〜1500 mg/Lである。上記範囲であると裸耐食性が優れたものになる。
【0017】
成分 (B) は、アリルアミノ化合物、イミノ化合物、アミノ多糖、アミノ変性フェノールおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
アリルアミノ化合物は、2-プロペニル骨格( -CH2-CH=CH2 )にアミノ基が結合した構造を有する有機化合物である。
アリルアミノ化合物およびその誘導体としては、例えば、アリルアミン、アリルアミン塩(アリルアミンと酸との塩)、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩(ジアリルアミンと酸との塩)、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン;これらの重合物が挙げられる。
アリルアミノ化合物は、分子量を特に限定されないが、重量平均分子量が1000〜5000であるのが好ましい。上記範囲であると、アリルアミノ化合物の被覆作用により、裸耐食性に優れた皮膜が形成される。
【0018】
イミノ化合物は、炭化水素が置換した第二級炭素原子に、窒素原子が二重結合により結合した構造( >C=N-R )を有する化合物である。
イミノ化合物およびその誘導体としては、例えば、2-プロパンイミン、1,2-エタンジイミン、N-メチルエタンイミン、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、プロピレンイミン、ポリプロピレンイミンが挙げられる。
イミノ化合物は、分子量を特に限定されないが、重量平均分子量が5000〜100000であることが望ましい。上記範囲であると、イミノ化合物の被覆作用により、裸耐食性に優れた皮膜が形成される。
【0019】
アミノ多糖は、アミノ基を有する単糖が鎖状に連結した構造を有する有機化合物であり、天然物であってもよい。
アミノ多糖およびその誘導体としては、具体的には、例えば、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ストレプトマイシンが挙げられる。
アミノ多糖およびその誘導体は、分子量を特に限定されない。
【0020】
アミノ変性フェノールは、ヒドロキシフェニル基(−C6H4OH)を有する有機骨格にアミノ基が導入された構造を有する有機化合物である。
アミノ変性フェノールとしては、具体的には、例えば、p-ビニルフェノールのアミノ化物、ビスフェノールのアミノ化物、フェノールスルホン酸のアミノ化物;これらの重合物が挙げられる。
アミノ変性フェノールおよびその誘導体は、分子量を特に限定されない。
【0021】
本発明の処理液においては、上述した成分 (B) の化合物の合計濃度が300 mg/L以上であり、好ましくは500 mg/L以上であり、より好ましくは600 mg/L以上であり、更に好ましくは1000 mg/L以上である。上記範囲であると、優れた裸耐食性を有する皮膜が得られる。
また、本発明の処理液においては、上述した成分 (B) の化合物の合計濃度が3000 mg/L以下であり、好ましくは2000 mg/L以下であり、より好ましくは1800 mg/L以下である。
【0022】
本発明の処理液は、更に、次の成分 (C) および成分 (D) :
( C ) フッ素
( D ) Mg、Al、Zn、CuおよびCoからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素
を含有するのが好ましい態様の一つである。
【0023】
成分 (C) は、フッ素である。
成分(C) の供給源としては、例えば、HF、H2HfF6、HfF4、H2TiF6、TiF4、H2ZrF6、ZrF4、HBF4、HBF4の塩、NaHF2、KHF2、NH4HF2、NaF、KF、NH4Fが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明の処理液においては、上述した成分 (C) の含有量が、フッ素イオンメーター(例えば、東亜電波工業社製のIM55G)で測定される遊離フッ素イオン濃度で、5〜50 ppmであるのが好ましく、10〜30 ppmであるのがより好ましい。上記範囲であると、優れた裸耐食性を有する皮膜を均一に析出させることができる。
【0025】
成分 (D) は、Mg、Al、Zn、CuおよびCoからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素である。
成分 (D) の供給源としては、例えば、Mg、Al、Zn、CuおよびCoの酸化物、水酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0026】
本発明の処理液においては、上述した成分 (D) の金属元素の合計濃度が500〜10000 mg/Lであるのが好ましく、1000〜5000 mg/Lであるのがより好ましい。上記範囲であると、優れた裸耐食性を有する皮膜をより迅速に効率よく析出させることができる。
【0027】
本発明の処理液は、更に、次の成分 (E) :
( E ) HNO3、HNO2、H2O2およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
を含有するのが好ましい態様の一つである。
HNO3、HNO2およびH2O2の塩としては、例えば、NH4NO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、NaNO2、NH4NO2等が挙げられる。
これらは意図的に処理液に添加したものであってもよく、また、硝酸の還元反応によって処理液中に発生した亜硝酸(HNO2)のように、不可避的な理由によって生じたものであってもよい。これらは、亜鉛系金属材料に対する酸化剤として作用し、皮膜形成反応を促進する。
【0028】
本発明の処理液においては、上述した成分(E)の化合物の合計濃度が1000〜50000 mg/Lであるのが好ましく、5000〜25000 mg/Lであるのがより好ましい。上記範囲であると、皮膜形成反応の促進がより効果的となる。
また、HNO3に代表されるように、エッチングして溶解してきた亜鉛系金属材料の成分を処理浴中に保持するための酸としても働く場合は、必要に応じて含有量を増加させることができる。
【0029】
本発明の処理液は、更に、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有することができる。
ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤および両性界面活性剤としては、例えば、それぞれ従来公知のものを用いることができる。
本発明の処理液がこれらの界面活性剤を含有する場合は、亜鉛系金属材料をあらかじめ脱脂処理し、清浄化しておかなくても、良好な皮膜を形成させることができる。すなわち、界面活性剤を含有する本発明の処理液は、脱脂化成兼用表面処理剤として用いることができる。
【0030】
本発明の処理液は、pH 2〜5であるのが好ましい。上記範囲であると、処理液中の成分が液中に安定的に存在することができ、皮膜析出反応が起こりやすい。
処理液のpHを調整する必要がある場合、用いられる薬剤は、特に限定されない。アルカリ側に調整するには、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アンモニウム塩等のアルカリ;これらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)を用いることができ、酸性側に調整する際には、例えば、硝酸、フッ化水素酸、塩酸、硫酸、酢酸等の酸;これらの塩(例えば、フッ化水素ナトリウム、フッ化水素アンモニウム)を用いることができる。
【0031】
本発明の処理方法は、亜鉛系金属材料を、上述した本発明の処理液に接触させる表面処理工程を具備する。
亜鉛系金属材料を本発明の処理液に接触させることにより、その表面に成分(A)の金属元素の酸化物および/または水酸化物を含有する皮膜が析出し、裸耐食性に優れた表面処理皮膜層が形成される。
前記金属元素の水酸化物を純粋な水酸化物として得ることは、化学的に困難であり、一般には、前記金属元素の酸化物に水和水が付いた形態も水酸化物の概念に含まれる。
前記金属元素の水酸化物は、熱を加えることによって、最終的には酸化物となる。したがって、本発明における表面処理皮膜層の構造は、表面処理を施した後に常温または低温で乾燥させた場合は、酸化物と水酸化物とが混在した状態となり、表面処理後に更に高温で乾燥させた場合は、酸化物のみの状態または酸化物が多い状態になっていると考えられる。
【0032】
本発明の処理方法は、表面処理工程の前に、亜鉛系金属材料に脱脂処理を施す脱脂処理工程を具備するのが好ましい態様の一つである。脱脂処理の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。ただし、亜鉛系金属材料が、脱脂工程およびめっき工程を経て得られ、そのまま表面処理工程に連続的に供されるような場合は、脱脂処理工程を行う意味はない。
なお、上述したように、本発明の処理液が上記界面活性剤を含有する場合は、亜鉛系金属材料をあらかじめ脱脂処理工程を行って清浄化しておかなくても、良好な皮膜を形成させることができる。すなわち、この場合には、表面処理工程において、亜鉛系金属材料の脱脂処理と化成処理とが同時に行われる。
【0033】
本発明の処理方法においては、場合によっては、表面処理工程の前に、亜鉛系金属材料に酸洗処理を施す酸洗工程を具備するのが好ましい態様の一つとなる。
酸洗処理の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。酸洗に用いられる酸の種類は、特に限定されないが、例えば、硝酸、フッ化水素酸、硫酸、フッ化水素アンモニウム、その他の酸性水溶液が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。
酸洗処理を施すことにより、亜鉛系金属材料の耐食性および光沢感、形成される皮膜の均一性等が向上するという効果が得られる。
【0034】
亜鉛系金属材料を本発明の処理液に接触させる方法は、特に限定されず、例えば、スプレー処理、浸せき処理、流しかけ処理が挙げられる。これらは、2種以上を併用することができる(例えば、浸せき処理およびスプレー処理の併用)。
また、浸せき処理における処理液槽内のかくはんの有無、スプレー処理におけるスプレー圧、スプレーノズルの種類等は、特に限定されず、亜鉛系金属材料の被処理物の大きさの程度によらず、冶具から脱落することなく正常に目的の処理が完了することができればよい。
【0035】
本発明の処理方法においては、本発明の処理液に接触させた状態で、亜鉛系金属材料を陰極として電解処理することもできる。
この場合、陰極である亜鉛系金属材料界面で水素の還元反応が起こりpHが上昇する。pHの上昇に伴い、陰極界面での成分(A)の金属元素の安定性が低下し、酸化物または水を含む水酸化物として、表面処理皮膜が析出する。
【0036】
本発明の処理方法においては、本発明の処理液の使用条件は、特に限定されない。
処理温度は、30〜60℃であるのが好ましく、40〜50℃であるのがより好ましい。処理温度が60℃以下であると、無駄なエネルギーの使用を抑制することができるため、経済的な観点から好ましい。
処理時間は、適宜設定することができる。
【0037】
また、本発明の処理方法においては、表面処理工程の後に、水洗処理を施す水洗工程を具備するのが好ましい。
表面処理工程に用いられる処理液は酸性であり、被処理物に処理液を接触させ続けると、亜鉛系金属材料の溶解が進行し、所望の耐食性が得られない場合があるが、水洗工程を行うことにより、このような問題を防止することができる。
水洗処理の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
【0038】
本発明の処理方法は、さらに、前記表面処理工程の後(好ましくは上記水洗工程の後)に、前記亜鉛系金属材料を、リン酸、アミノ変性フェノール、アミノ変性フェノール誘導体および有機リン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する後処理液に接触させる後処理工程を具備するのが好ましい。この後処理工程を行うと、皮膜上に後処理液の成分のシーリング膜が形成され、裸耐食性がより優れたものになる。
アミノ変性フェノールおよびアミノ変性フェノール誘導体は、上述した本発明の処理液に用いることができるものと同様である。
有機リン化合物としては、具体的には、例えば、フィチン酸、リン酸エステル(例えば、1-ヒドロキシエチル-1-ホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸)、アミノポリホスホン酸(例えば、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP))が挙げられる。
後処理液においては、上述した化合物の合計が5〜50 mg/Lであるのが好ましく、10〜30 mg/Lであるのがより好ましい。上記範囲であると、裸耐食性が更に優れたものとなる。
【0039】
後処理液は、pH 3〜6であるのが好ましい。上記範囲であると、後処理液の成分が液中に安定的に存在でき、被処理物表面に対する良好なカバーリング性が得られる。
後処理液のpHを調整する必要がある場合、用いられる薬剤は、特に限定されない。例えば、上述した本発明の処理液のpH調整に用いられるものを用いることができる。
【0040】
本発明の処理方法において後処理工程を行う場合、後処理液の使用条件は、特に限定されない。
処理温度は、30〜60℃であるのが好ましく、40〜50℃であるのがより好ましい。処理温度が60℃以下であると、無駄なエネルギーの使用を抑制することができるため、経済的な観点から好ましい。
処理時間は、適宜設定することができる。
【0041】
また、本発明の処理方法においては、後処理工程の後に、水洗処理を施す水洗工程を具備するのが好ましい。特に、被処理物が複雑な形状であり、液溜まりができやすい場合には、後処理液の成分のカバーリング性を均一にするために、水洗工程を具備するのが好ましい。
水洗処理の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
【0042】
本発明において、最終的に亜鉛系金属材料を出荷する前までに水分が除去できているのが好ましい。そのためには、乾燥を行うのが好ましい。
乾燥の方法は、特に限定されず、例えば、熱風循環型電気オーブンで乾燥させる方法、処理工程の最終工程で湯洗により被処理物自体を加温し、大気放置またはエアブローにより余熱乾燥を行う方法が挙げられる。
【0043】
後処理工程により前記亜鉛系金属材料の表面に形成される複合皮膜は、下記式(1)〜(3)を満たすのが、裸耐食性が更に優れたものになる点で、好ましい。
【0044】
Wa ≧ 50 mg/m2 (1)
Wb ≧ 20 mg/m2 (2)
Wp ≧ 5 mg/m2 (3)
【0045】
式中、Waは、前記成分(A)の金属元素の付着量であり、Wbは、前記成分(B)の化合物の炭素換算付着量であり、Wpは、前記後処理液に含有されるリン元素の付着量と前記後処理液に含有される有機化合物と炭素換算付着量の合計値である。ここで前記後処理液にリン元素が含まれない場合は、ここでいう「リン元素の付着量」はゼロとなる。前記後処理液に前記有機化合物が含まれない場合についても同様である。
【0046】
本発明の処理方法により得られる、皮膜を形成された亜鉛系金属材料は、裸耐食性に優れる。したがって、本発明の処理方法により得られる、皮膜を形成された亜鉛系金属材料は、塗装を施さない用途に好適に用いられ、この用途においては室内用および屋外用のいずれにも用いられる。
【実施例】
【0047】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限られるものではない。
【0048】
(被処理板)
実施例と比較例に用いた被処理板の内訳を以下に示す。
・EG板(Electronic Galvanized Steel (電気亜鉛めっき鋼板)、めっき厚6μm )
・亜鉛合金ダイキャスト板(Zinc Alloys Die Casting, JISH 5301)
【0049】
(処理工程)
実施例および比較例の処理工程は次のとおりである。
実施例1〜3および比較例2の場合:酸洗→水洗→表面処理工程→純水洗→熱風乾燥
実施例4〜19および比較例3〜7の場合:酸洗→水洗→表面処理工程→水洗→後処理工程→純水洗→熱風乾燥
実施例20の場合:アルカリ脱脂→水洗→表面処理工程→水洗→後処理工程→純水洗→熱風乾燥
比較例1の場合:酸洗→水洗→クロメート処理による表面処理工程→純水洗→熱風乾燥
【0050】
上記において、酸洗は、被処理板を濃度1 g/Lのフッ化水素アンモニウム水溶液に室温で30秒間浸せきさせて行った。
アルカリ脱脂は、ファインクリーナーE2001(登録商標:日本パーカライジング(株)製)を水道水で2質量%に希釈し、40℃で120秒間、被処理板にスプレーして行った。
表面処理工程は、被処理板を後述する表面処理液に第1表に示される時間浸せきさせて行った。ただし、クロメート処理による表面処理工程は、被処理板を後述する表面処理液にクロム付着量が30 mg/m2となるように浸せきさせて行った。
後処理工程は、被処理板を後述する後処理液に第1表に示される時間浸せきさせて行った。
水洗は室温で30秒間、市水を被処理板にスプレーして行った。
純水洗は、室温で30秒間、イオン交換水を被処理板にスプレーして行った。
熱風乾燥は、被処理物を90℃の熱風乾燥炉中に5分間保持して行った。
【0051】
(表面処理液および後処理液)
・実施例1
硝酸ハフニウム(IV)水溶液と、塩化マグネシウムと、硝酸亜鉛と、硝酸コバルトとを用いて、ハフニウム濃度が500 mg/Lであり、マグネシウム、亜鉛およびコバルトの合計濃度が1600 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量3000のポリアリルアミンを、固形分濃度が600 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、H2O2を50 mg/L添加し、更にアンモニア水およびフッ化水素酸を用いてpH 3.8、遊離フッ素濃度25 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
【0052】
・実施例2
ヘキサフルオロチタン(IV)酸水溶液と、硝酸マグネシウムと、硝酸アルミニウムと、硝酸亜鉛とを用いて、チタン濃度が1000 mg/Lであり、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛の合計濃度が4000 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量1500のポリアリルアミンを固形分濃度が1000 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、更にアンモニア水を用いてpH 3.5に調整し、遊離フッ素濃度が18 mg/Lであるものを表面処理液とした。
【0053】
・実施例3
ヘキサフルオロジルコニウム(IV)水溶液と、硝酸ハフニウム(IV)水溶液と、硫酸マグネシウムと、硝酸アルミニウムと、塩化亜鉛と、硝酸銅と、硝酸コバルトとを用いて、ジルコニウム濃度が1000 mg/Lであり、ハフニウム濃度が500 mg/Lであり、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、銅およびコバルトの合計濃度が5150 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量5000のポリジアリルアミンのリンゴ酸塩を固形分濃度が1500 mg/Lとなるように添加した後、50℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液およびフッ化水素酸を用いてpH 3.8、遊離フッ素濃度を5 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
【0054】
・実施例4
ヘキサフルオロチタン(IV)酸水溶液と、硝酸マグネシウムとを用いて、チタン濃度が800 mg/Lであり、マグネシウム濃度が2000 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量1000のポリアリルアミンを固形分濃度が500 mg/Lとなるように、重量平均分子量10000のポリエチレンイミンを固形分濃度が500 mg/Lとなるように、アミノ化ビスフェノールを固形分濃度が200 mg/Lとなるようにそれぞれ添加した後、50℃に加温し、NaNO2を濃度が純分として100 mg/Lとなるように添加し、更に水酸化カリウム水溶液を用いてpH 3.8に調整し、遊離フッ素濃度が22 mg/Lであるものを表面処理液とした。別途、10 mg/Lのフィチン酸水溶液を調製した後、50℃に加温し、更にアンモニア水を用いてpH 4.0に調整したものを後処理液とした。
【0055】
・実施例5
ヘキサフルオロチタン(IV)酸水溶液と、硝酸亜鉛と、塩化コバルトとを用いて、チタン濃度が1200 mg/Lであり、亜鉛およびコバルトの合計濃度が1650 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量50000のポリエチレンイミンを固形分濃度が600 mg/Lとなるように添加した後、50℃に加温し、更にアンモニア水でpH 3.8に調整し、遊離フッ素濃度が28 mg/Lであるものを表面処理液とした。
別途、濃度10 mg/Lの1-ヒドロキシエチル1-ホスホン酸水溶液を調製した後、50℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH 3.0に調整したものを後処理液とした。
【0056】
・実施例6
硫酸チタニル(IV)水溶液と、硝酸アルミニウムと、硫酸亜鉛と、硫酸銅とを用いて、チタン濃度が2000 mg/Lであり、アルミニウム、亜鉛および銅の合計濃度が2400 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に、重量平均分子量20000のポリエチレンイミンを固形分濃度が1000 mg/Lとなるように、キトサンを固形分濃度が500 mg/Lとなるようにそれぞれ添加した後、50℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液およびフッ化水素アンモニウム水溶液を用いてpH 3.8、遊離フッ素濃度が10 mg/Lであるものを表面処理液とした。
別途、濃度10 mg/Lの1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸水溶液を調製した後、50℃に加温し、更にアンモニア水を用いてpH 5.0に調整したものを後処理液とした。
【0057】
・実施例7
ヘキサフルオロジルコニウム(IV)酸水溶液と、ヘキサフルオロハフニウム(IV)酸水溶液と、硝酸マグネシウムと、硝酸亜鉛とを用いて、ジルコニウムの濃度が1000 mg/Lであり、ハフニウムの濃度が500 mg/Lであり、マグネシウムおよび亜鉛の合計濃度が1650 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量3000のポリジアリルアミンの固形分濃度が500 mg/Lとなるように、キトサンの固形分濃度が1000 mg/Lとなるようにそれぞれ添加した後、40℃に加温し、NH4NO2を濃度が純分として150 mg/Lとなるように添加し、更にアンモニア水を用いてpH 3.8に調整し、遊離フッ素濃度が35 mg/Lであるものを表面処理液とした。
別途、濃度5 mg/Lのアミノ化ビスフェノール水溶液を調製した後、40℃に加温し、更にフッ化水素酸および水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH 5.0に調整したものを後処理液とした。
【0058】
・実施例8
ヘキサフルオロジルコニウム(IV)酸水溶液と、硫酸マグネシウムと、硫酸コバルトとを用いて、ジルコニウムの濃度が500 mg/Lであり、マグネシウムおよびコバルトの合計濃度が3800 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量5000のポリジアリルアミンを固形分濃度が1000 mg/Lとなるように、アミノ化ビスフェノールを固形分濃度が300 mg/Lとなるようにそれぞれ添加した後、40℃に加温し、更にアンモニア水を用いてpH3.8に調整し、遊離フッ素濃度が15mg/Lであるものを表面処理液とした。
別途、濃度5 mg/Lのリン酸水溶液を調整した後、40℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH5.0に調整したものを後処理液とした。
【0059】
・実施例9
ヘキサフルオロジルコニウム(IV)酸水溶液と、ヘキサフルオロチタン(IV)酸水溶液と、硝酸ハフニウム(IV)水溶液と、酢酸銅と硝酸コバルトとを用いて、ジルコニウム濃度が1000 mg/Lであり、チタン濃度が500 mg/Lであり、ハフニウム濃度が500 mg/Lであり、銅およびコバルトの合計濃度が1300 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液にキトサンを固形分濃度が1500 mg/Lとなるように、アミノ化ポリ(p-ビニルフェノール)を固形分濃度が1000 mg/Lとなるようにそれぞれ添加した後、40℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液およびフッ化水素アンモニウム水溶液を用いてpH 3.8、遊離フッ素濃度50 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
別途、濃度5 mg/Lのアミノ化ビスフェノール水溶液を調製した後、45℃に加温し、更にリン酸水溶液およびアンモニア水を用いてpH5.0に調整したものを後処理液とした。
【0060】
・実施例10
硝酸ジルコニウム(IV)水溶液と、硫酸アルミニウムと、硝酸亜鉛と、塩化コバルトとを用いて、ジルコニウム濃度が500 mg/Lであり、アルミニウム、亜鉛およびコバルトの合計濃度が1800 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液にアミノ化ビスフェノールを固形分濃度が1500 mg/Lとなるように添加した後、35℃に加温し、更にアンモニア水およびフッ化アンモニウム水溶液を用いてpH 3.8、遊離フッ素濃度45 mg/Lに調整し、表面処理液とした。
別途、濃度30 mg/Lのフィチン酸水溶液を調整した後、40℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH5.0に調整したものを後処理液とした。
【0061】
・実施例11
ヘキサフルオロジルコニウム(IV)酸水溶液と、硝酸マグネシウムと、硫酸亜鉛と、塩化銅とを用いて、ジルコニウム濃度が1500 mg/Lであり、マグネシウム、亜鉛および銅の合計濃度が3800 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に1-プロパンイミンを固形分濃度が300 mg/Lとなるように添加した後、35℃に加温し、NH4NO3を濃度が純分として100 mg/Lとなるように添加し、更にアンモニア水を用いてpH 3.5に調整し、遊離フッ素濃度が25 mg/Lであるものを表面処理液とした。
別途、濃度50 mg/Lの1-ヒドロキシエチル-1-ホスホン酸水溶液を調製した後、45℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH 4.0に調整したものを後処理液とした。
【0062】
・実施例12
塩化チタン(IV)水溶液と、硝酸マグネシウムと、硫酸亜鉛とを用いて、チタン濃度が500 mg/Lであり、マグネシウムおよび亜鉛の合計濃度が3100 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量3000のポリアリルアミンを固形分濃度が300 mg/Lとなるように添加した後、40℃に加温し、更に水酸化カリウム水溶液を用いてpH 3.5に調整し、遊離フッ素濃度が23 mg/Lであるものを表面処理液とした。
別途、濃度5 mg/Lのアミノ化ポリ(p-ビニルフェノール)水溶液を調製した後、40℃に加温し、更に硫酸および水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH 5.0に調整したものを後処理液とした。
【0063】
・実施例13
硝酸ジルコニウム(IV)水溶液と、硝酸アルミニウムと、硝酸銅とを用いて、ジルコニウム濃度が2000 mg/Lであり、アルミニウムおよび銅の合計濃度が500 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液にアミノ化ポリ(p-ビニルフェノール)のを固形分濃度が300 mg/Lとなるように添加した後、40℃に加温し、更に水酸化カリウム水溶液およびフッ化水素アンモニウム水溶液を用いてpH 3.5、遊離フッ素濃度40 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
別途、濃度30 mg/Lのフィチン酸水溶液を調製した後、50℃に加温し、更に水酸化カリウム水溶液を用いてpH 5.0に調整したものを後処理液とした。
【0064】
・実施例14
ヘキサフルオロジルコニウム(IV)酸水溶液と、塩化マグネシウムと、硝酸亜鉛と、硫酸コバルトとを用いて、ジルコニウム濃度が1500 mg/Lであり、マグネシウム、亜鉛およびコバルトの合計濃度が5650 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液にキチンを固形分濃度が300 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、更に水酸化カリウム水溶液を用いてpH 3.5に調整し、遊離フッ素濃度が32 mg/Lであるものを表面処理液とした。
別途、濃度50 mg/Lの1-ヒドロキシエチリデン-1, 1-ジホスホン酸水溶液を調製した後、55℃に加温し、更に硝酸およびアンモニア水を用いてpH 5.0に調整したものを後処理液とした。
【0065】
・実施例15
ヘキサフルオロジルコニウム(IV)酸カリウム水溶液と、硝酸マグネシウムと、硝酸アルミニウムと、硫酸亜鉛とを用いて、ジルコニウム濃度が1500 mg/Lであり、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛の合計濃度が7150 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液にエチレンイミンを固形分濃度が1500 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、更に水酸化カリウム水溶液を用いてpH 4.2に調整し、遊離フッ素濃度が20 mg/Lであるものを表面処理液とした。
別途、濃度5 mg/Lのアミノ化ビスフェノール水溶液を調製した後、50℃に加温し、更に塩酸およびアンモニア水を用いてpH 3.5に調整したものを後処理液とした。
【0066】
・実施例16
硝酸チタン(IV)水溶液と、硝酸亜鉛とを用いて、チタンの濃度が600 mg/Lであり、亜鉛濃度が1500 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量3000のポリアリルアミンを固形分濃度が500 mg/Lとなるように、2-プロパンイミンを固形分濃度が500 mg/Lとなるように、キチンを固形分濃度が500 mg/Lとなるように、アミノ化ビスフェノールを固形分濃度が500 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、H2O2を濃度が純分として200 mg/Lとなるように添加し、更に水酸化カリウム水溶液およびフッ化水素酸を用いて、pH 5.0、遊離フッ素濃度12 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
別途、濃度10 mg/Lのリン酸水溶液を調製した後、60℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH 5.0に調整したものを後処理液とした。
【0067】
・実施例17
硝酸ハフニウム(IV)水溶液と、硝酸マグネシウムと、硝酸銅とを用いて、ハフニウム濃度が500 mg/Lであり、マグネシウムおよび銅の合計濃度が2100 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液にアリルアミンを固形分濃度が1500 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、更にアンモニア水およびフッ化水素アンモニウム水溶液を用いてpH 3.5、遊離フッ素濃度27 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
別途、濃度5 mg/Lのリン酸水溶液を調製した後、60℃に加温し、更に水酸化カリウム水溶液を用いてpH 4.0に調整したものを後処理液とした。
【0068】
・実施例18
硝酸チタニル(IV)酸水溶液と、塩化マグネシウムと、硝酸亜鉛とを用いて、チタン濃度が2000 mg/Lであり、マグネシウムおよび亜鉛の合計濃度が1750 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量70000のポリプロピレンイミンを固形分濃度が1500 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液およびフッ化水素酸を用いてpH 3.5、遊離フッ素濃度30 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
別途、濃度10 mg/Lのアミノ化p-ビニルフェノールホスホン酸水溶液を調製した後、55℃に加温し、更に硝酸およびアンモニア水を用いてpH 3.0に調整したものを後処理液とした。
【0069】
・実施例19
ヘキサフルオロハフニウム(IV)酸水溶液と、硝酸マグネシウムと、硝酸アルミニウムとを用いて、ハフニウム濃度が600 mg/Lであり、マグネシウムおよびアルミニウムの合計濃度が1500 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量5000のポリジアリルアミンを固形分濃度が500 mg/Lとなるように、重量平均分子量35000のポリエチレンイミンを固形分濃度が500 mg/Lとなるように、ヒアルロン酸を固形分濃度が500 mg/Lとなるようにそれぞれ添加した後、45℃に加温し、更にアンモニア水を用いてpH 3.5に調整し、遊離フッ素濃度が17 mg/Lであるものを表面処理液とした。
別途、濃度5 mg/Lのアミノ化ビスフェノール水溶液を調製した後、60℃に加温し、更にリン酸およびアンモニア水を用いてpH 3.0に調整したものを後処理液とした。
【0070】
・実施例20
塩化ハフニウム(IV)酸水溶液と、硝酸マグネシウムと、硫酸アルミニウムと、塩化亜鉛と、酢酸銅と、硝酸コバルトとを用いて、ハフニウム濃度が2000 mg/Lであり、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、銅およびコバルトの合計濃度が2500 mg/Lである水溶液を調整した。前記水溶液にアミノ化ビスフェノールを固形分濃度が1500 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、更にアンモニア水およびフッ化水素アンモニウム水溶液を用いてpH2.0に、遊離フッ素濃度13 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
別途、濃度5 mg/Lのリン酸水溶液を調製した後、60℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH 6.0に調整したものを後処理液とした。
【0071】
・比較例1
市販のクロミッククロメート処理薬剤であるアルクロム713(登録商標:日本パーカライジング(株)製)を濃度3.6質量%となるように水道水で希釈し、更に、全酸度および遊離酸度をカタログ値の中心に調整して、表面処理液を得た。
【0072】
・比較例2
ヘキサフルオロジルコニウム(IV)酸水溶液と、硝酸マグネシウムと、硝酸アルミニウムと、硝酸亜鉛と、硝酸コバルトとを用いて、ジルコニウム濃度が100 mg/Lであり、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、およびコバルトの合計濃度が3000 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量5000のポリアリルアミンを固形分濃度が1500 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、更にアンモニア水およびフッ化水素酸を用いてpH3.8、遊離フッ素濃度9 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
【0073】
・比較例3
硝酸ジルコニル(IV)水溶液と、塩化チタン(IV)水溶液と、塩化マグネシウムと、硝酸アルミニウムと、硝酸銅とを用いて、ジルコニウム濃度が100 mg/Lであり、チタンの濃度が100 mg/Lであり、マグネシウム、アルミニウムおよび銅の合計濃度が3500 mg/Lである水溶液を調整した。前記水溶液にアリルアミンを固形分濃度が500 mg/Lとなるように、エチレンイミンを固形分濃度が500 mg/Lとなるように、アミノ化ビスフェノールを固形分濃度が300 mg/Lとなるようにそれぞれ添加した後、45℃に加温し、更にアンモニア水およびフッ化水素酸を用いてpH3.8、遊離フッ素濃度15 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
別途、濃度5 mg/Lの1-ヒドロキシエチル-1-ホスホン酸水溶液を調製した後、45℃に加温し、更にアンモニア水を用いてpH 4.0に調整したものを後処理液とした。
【0074】
・比較例4
塩化チタン(IV)水溶液と、ヘキサフルオロハフニウム(IV)酸水溶液と、硫酸亜鉛と、塩化コバルトとを用いて、チタンの濃度が100 mg/Lであり、ハフニウム濃度が100 mg/Lであり、亜鉛およびコバルトの合計濃度が3000 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液にコンドロイチン硫酸を固形分濃度が1200 mg/Lとなるように、アミノ化ポリ(p-ビニルフェノール)を固形分濃度が300 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液およびフッ化水素アンモニウム水溶液を用いてpH 3.8、遊離フッ素濃度20 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
別途、濃度10 mg/Lのアミノ化ビスフェノールおよび濃度5 mg/Lのリン酸を含有する水溶液を調製した後、50℃に加温し、更に水酸化カリウム水溶液を用いてpH 5.0に調整したものを後処理液とした。
【0075】
・比較例5
塩化ジルコニウム(IV)水溶液と、塩化マグネシウムと、硝酸銅と、硫酸コバルトとを用いて、ジルコニウム濃度が1000 mg/Lであり、マグネシウム、銅およびコバルトの合計濃度が3000 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量5000のポリアリルアミンを固形分濃度が50 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、更に水酸化カリウム水溶液およびフッ化水素ナトリウム水溶液を用いてpH3.8、遊離フッ素濃度25 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
別途、濃度5 mg/Lのアミノ化ビスフェノール、濃度5 mg/Lのリン酸および濃度5 mg/Lのフィチン酸を含有する水溶液を調製した後、60℃に加温し、更にアンモニア水を用いてpH 6.0に調整したものを後処理液とした。
【0076】
・比較例6
硝酸ジルコニル(IV)水溶液と、塩化チタン(IV)水溶液と、硝酸アルミニウムと、硫酸亜鉛とを用いて、ジルコニウム濃度が500 mg/Lであり、チタン濃度が500 mg/Lであり、アルミニウムおよび亜鉛の合計濃度が3000 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液にジアリルアミンを固形分濃度が100 mg/Lとなるように、重量平均分子量10000のポリエチレンイミンを固形分濃度が50 mg/Lとなるように添加した後、45℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液およびフッ化水素酸を用いてpH3.8、遊離フッ素濃度35 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
別途、濃度10 mg/Lのアミノ化ポリ(p-ビニルフェノール)水溶液を調製した後、40℃に加温し、更に硝酸および水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH 4.5に調整したものを後処理液とした。
【0077】
・比較例7
ヘキサフルオロハフニウム(IV)酸水溶液と、硫酸マグネシウムとを用いて、ハフニウム濃度が1000 mg/Lであり、マグネシウム濃度が3000 mg/Lである水溶液を調製した。前記水溶液に重量平均分子量1000のポリジアリルアミンを固形分濃度が50 mg/Lとなるように、ヒアルロン酸を固形分濃度が50 mg/Lとなるようにそれぞれ添加した後、45℃に加温し、更に水酸化ナトリウム水溶液およびフッ化アンモニウム水溶液を用いてpH3.8、遊離フッ素濃度50 mg/Lに調整したものを表面処理液とした。
別途、濃度10 mg/Lのリン酸水溶液を調製した後、55℃に加温し、更に硝酸およびアンモニア水を用いてpH 3.0に調整したものを後処理液とした。
【0078】
(皮膜付着量の測定)
実施例1〜20および比較例2〜7で形成された皮膜の付着量を測定した。
具体的には、成分(A)の金属元素の付着量であるWaは、蛍光X線分析装置(XRF - 1800、島津製作所社製)を用いて測定した。
成分(B)の化合物の炭素換算付着量であるWbは、炭素量分析装置(LECO : 米国LECO社製)を用いて測定した。なお、実施例4〜7、9〜15、18および19ならびに比較例3〜6については、後処理工程を行う前において、上記測定を行った。
後処理液に含有されるアミノ変性フェノール、フィチン酸またはリン酸エステルのリンの付着量および炭素換算付着量の合計値であるWpは、実施例4〜7、9〜15、18および19ならびに比較例3〜5において、蛍光X線分析装置(XRF - 1800、島津製作所社製)で測定したリンの付着量の値に、炭素量分析装置(LECO : 米国LECO社製)を用いて測定した値から後処理実施前の値(Wb)を減じた値を加算することにより算出した。結果を第1表に示す。
【0079】
(皮膜の評価)
実施例1〜20および比較例1〜5で形成された皮膜の評価をSST(塩水噴霧試験)により行った。具体的には、温度35℃に維持された試験室内において、5質量%の塩化ナトリウム水溶液を噴霧した。噴霧量は、試験室内に設置したサンプリング容器に、1時間当たりに溜まる液量を採取することにより確認し、水平採取面積80 cm2に対して1.5±0.5 mL/hrとなるように調整した。
SSTにより白錆が生成した部分の面積が、被処理面積に対して、5 %未満であるものをA、5 %以上10 %未満であるものをB、10 %以上であるものをCと評価した。
結果を第1表に示す。
【0080】
第1表から明らかなように、本発明の処理液(実施例1〜20)を用いて得られた皮膜を形成された亜鉛系金属材料は、クロム化合物を含有せずに、クロメート処理を施した場合(比較例1)と同程度の裸耐食性を示した。
これに対し、成分(A)の濃度が少なすぎる場合(比較例2〜4)は、裸耐食性に劣っていた。また、成分(B)が少なすぎる場合(比較例5〜7)も同様に、裸耐食性に劣っていた。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)および成分(B):
(A)Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素
(B)アリルアミノ化合物、イミノ化合物、アミノ多糖、アミノ変性フェノールおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
を含有し、
前記成分 (A) の金属元素の合計濃度が500〜2000 mg / Lであり、
前記成分 (B) の化合物の合計濃度が300〜3000 mg / Lである、亜鉛系金属材料用表面処理液。
【請求項2】
更に、次の成分 (C) および成分 (D):
(C)フッ素
(D)Mg、Al、Zn、CuおよびCoからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素
を含有し、
前記成分(D)の金属元素の合計濃度が500〜10000 mg/Lである、請求項1に記載の亜鉛系金属材料用表面処理液。
【請求項3】
更に、次の成分(E):
(E)HNO3、HNO2、H2O2およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
を含有する、請求項1または2に記載の亜鉛系金属材料用表面処理液。
【請求項4】
pH 2〜5である請求項1〜3のいずれかに記載の亜鉛系金属材料用表面処理液。
【請求項5】
亜鉛系金属材料を、請求項1〜4のいずれかに記載の亜鉛系金属材料用表面処理液に接触させる表面処理工程を具備する、亜鉛系金属材料の表面処理方法。
【請求項6】
更に、前記表面処理工程の後に、前記亜鉛系金属材料を、リン酸、アミノ変性フェノール、アミノ変性フェノール誘導体および有機リン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する後処理液に接触させる後処理工程を具備する、請求項5に記載の亜鉛系金属材料の表面処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の亜鉛系金属材料の表面処理方法であって、
前記後処理工程により前記亜鉛系金属材料の表面に形成される複合皮膜が、下記式(1)〜(3)を満たす、亜鉛系金属材料の表面処理方法。
Wa ≧ 50 mg/m2 (1)
Wb ≧ 20 mg/m2 (2)
Wp ≧ 5 mg/m2 (3)
式中、Waは、前記成分 (A) の金属元素の付着量であり、Wbは前記成分 (B) の化合物の炭素換算付着量であり、Wpは前記後処理液に含有されるリンの付着量と有機化合物の炭素換算付着量の合計値である。
【請求項8】
前記後処理液がpH 3〜6である、請求項6または7に記載の亜鉛系金属材料の表面処理方法。
【請求項9】
更に、前記表面処理工程の前に、前記亜鉛系金属材料に脱脂処理を施す脱脂処理工程を具備する、請求項5〜8のいずれかに記載の亜鉛系金属材料の表面処理方法。

【公開番号】特開2008−261035(P2008−261035A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105955(P2007−105955)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000229597)日本パーカライジング株式会社 (198)
【Fターム(参考)】