説明

交換可能なシャフトシステム

【課題】ゴルフクラブ用の相互交換可能なシャフトシステムを提供する。
【解決手段】交換可能なシャフトシステムを組み込んだゴルフクラブはシャフト、および、クラブヘッドを含む。シャフトはクラブヘッドに取り外し可能に結合される。ホーゼルおよびシャフト係合機構がシャフトおよびクラブヘッドの間の飛び飛びの方位を実現する。シャフト整合機構230および締め付け部材226は一体化されてシャウトの構造を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は一般的にはゴルフクラブに関し、より詳細には、シャフトおよびクラブヘッドの間の相互交換性を実現する改善された連結部を伴うゴルフクラブに関する。
【0002】
この出願は2008年12月17日に出願され係属中の米国特許出願第12/336,748号の部分継続出願であり、これは2008年1月31日に出願され係属中の米国特許出願第12/023,402号の部分継続出願であり、それらの内容は参照してここに組み入れる。
【背景技術】
【0003】
ゴルファは、ゲームをうまく行なうために、用具を個々のスイングに適合化させる。ヘッドおよびシャフトを相互交換可能にする簡便な手法がないので、カスタムフィットの製品を提供する店舗や業者は、個別の特徴の大量のクラブを保持するか、または、複雑な解体・組み立てプロセスで個別のクラブを変更しなければならない。例えば、ゴルファが、異なる曲げ特性のゴルフクラブシャフトを試したがったり、異なる重量、重心、または慣性モーメントのクラブヘッドを使用したがった場合、いままでは、そのような変更は実用的でなかった。ゴルフ用具製造業者は、ゴルファに入手可能なクラブの種類を増加させてきた。例えば、具体的なドライバ型のゴルフクラブはいくつかの異なるロフト角およびライ角のものとして提供されて個別のゴルファのニーズにあわせることができるようになっている。さらに、ゴルファは、金属、またはグラファイトのシャフトを選択しその長さを適合化させて自分のスイングにあわせることができる。最近、シャフトおよびクラブヘッドの部品、例えば調整可能なウェイトを交換可能にしてカスタマイズプロセスを容易にするゴルフクラブが出現している。
【0004】
一例は、Wheelerのゴルフクラブアッセンブリに関する米国特許第3,524,646号(特許文献1)である。Wheeler特許は、グリップおよびパターヘッドを具備し、その双方がシャフトから取り外し可能なパターを開示している。シャフトの上端および下端に設けられた締めつけ部材が内側にネジ溝を有し、これが、グリップの下端およびパターヘッドの柄部の上端の双方に設けられた外側のネジ溝と係合してこれら部品とシャフトとを固定する。シャフトの下端はさらにフランジを有し、これが、パターヘッドがシャフトに結合されたときに、パターヘッドの柄部の上端に接触する。この設計では、シャフトの頂部に不格好な出っ張りが生じ、またシャフトの底部に他の不格好な出っ張りが生じる。
【0005】
他の例は、Wu等の、ゴルフ競技用具に関する米国特許第4,852,782号(特許文献2)である。Wuの特許は、長さ調整可能なシャフトおよび組み付け、解体が容易なように設計された複数のクラブヘッドを含むゴルフ競技用具を開示している。連結用ロッドがシャフトの端部に挿入し、ピンが連結用ロッドをシャフト内に保持する。連結用ロッドの固定部分はクラブヘッドのネックにそのネックのスロットを介して伸びるように構成されている。固定用ロッドがスロットを介して伸びた後に、連結用ロッドがクラブヘッドを対して回転させられて部品が一体に固定される。ネックは傾斜端部表面を伴い、連結用ロッドおよびクラブヘッドの間の相対的な回転の間に、この表面がピンの端部を隣接停止面に案内する。
【0006】
他の例は、Morellの取り外し可能なヘッドを具備するゴルフクラブに関する米国特許第4,943,059号(特許文献3)である。Morellの特許は、開放可能なゴルフクラブヘッドおよび伸長可能なシャフトを具備するパターゴルフクラブを開示している。クラブヘッドのホーゼルはネジ溝付きの軸穴を内包するプラグを具備する。ネジ溝付きのロッドがシャフトのコネクタ部分に保持され、クラブヘッドのプラグの軸溝にネジ入れられてシャフトをヘッドに動作可能に結合させる。
【0007】
他の例は、Walkerの即座に取り外しできるヘッドを具備するゴルフクラブに関する米国特許第5,433,442号(特許文献4)である。Walker特許は、クラブヘッドが結合ロッドおよびクイックリリースピンによりシャフトに結合されるゴルフクラブを開示している。結合ロッドの上端は外部ネジ溝を有し、これがシャフトの下側部分に形成された内側ネジ溝と係合する。連結ロッドの下端は、クラブヘッドのホーゼル内に挿入され、ホーゼルにおける径方向に対面する開口と整合してクイックリリースピンを収容する径方向に対面する開口を有する。
【0008】
他の例は、Barron等の試し用ゴルフクラブシャフトおよびヘッドの取り外し可能な締め付け構造に関する米国特許第5,722,901号(特許文献5)である。Baronの特許はゴルフクラブおよびシャフト用のバヨネットスタイルの取り外し可能な締め付け構造を開示する。クラブヘッドのホーゼルはその穴の中に径方向に伸びる締め付けピンを具備する。シャフトのヘッド部分は2つの対面する「U」または「J」形状の溝を具備する。シャフトのヘッド端部はホーゼルピンに軸および回転運動により締めつけられる。ホーゼル中のバネが締め付け可能な相互結合を維持するが、手作業で発生させられた軸方向内側へのホーゼルの移動を可能にして瞬間的な組み付けおよび解体を可能にする。
【0009】
他の例は、Wood等のホーゼル結合アッセンブリおよびその使用方法に関する米国特許第5,951,411号(特許文献6)である。Woodの特許はクラブヘッド、交換可能なシャフト、および抗回転装置付きのホーゼルを含む。ホーゼルは、ホーゼル穴の内部で止め金具により弧例される角度面を具備する整合部材を含む。シャフト端に固着されたスリーブが他の整合配列部品を構成し、ホーゼル穴内部に配された整合部品と係合するようになっている。シャフト側に配された補足機構がホーゼルと係合してクラブヘッドに対してシャフトを取り外し可能に固定する。
【0010】
さらに他の例は、Roarkの相互交換可能なゴルフクラブヘッドおよび調整可能なハンドルシステムに関する米国特許第6,547,673号(特許文献7)である。Roark特許は、クラブヘッドをシャフトから取り外すクイックリリースを具備するゴルフクラブを開示している。クイックリリースは、下側コネクタおよび上側コネクタを含むツーピースのコネクタであり、下側コネクタはクラブヘッドのホーゼルに固着され、上側コネクタはシャフトの下側部分に固着される。上側コネクタは、ともに上側コネクタの下端から径方向外側に突出するピンおよびボールキャッチを有する。下側コネクタの上端は、その内部に形成され上側コネクタピンを収容する対応するスロット、およびボールキャッチを収容する個別の穴を有する。シャフトがクラブヘッドに結合されるときに、下側コネクタの穴がボールキャッチに引っ掛かりシャフトをクラブヘッドに固着する。
【0011】
他の例は、Cackett等の相互交換可能なヘッドシャフト結合部材を具備するゴルフクラブに関する米国特許第7,083,529号(特許文献8)である。Cackettの公報は、伝統的なホーゼルに代えて、スリーブ/チューブ構造を採用して相互かんかん可能なシャフトをクラブヘッドに結合させて材料重量を減少させ手早く組みつけることができるゴルフクラブを開示している。クラブヘッドにソールプレートを通じて挿入される機構的なファスナ(ネジ)を用いてシャフトをクラブヘッドに固着する。
【0012】
他の例は、Baronのモジュール式ゴルフクラブシステムおよび方法に関する米国特許出願公開第2001/0007835A1号(特許文献9)である。Baronの公報はクラブヘッド、ホーゼル、およびシャフトを含むモジュラー式のゴルフクラブを開示する。ホーゼルはシャフトに結合され、相補的な相互作用面、接着結合または機構フィットにより回転阻止される。クラブヘッドおよびシャフトはコレットタイプの接続構成により取り外し可能に一体化される。
【0013】
他の発行された特許文献、例えば、米国特許第7,300,359号(特許文献10)、ならびに、米国特許出願公開第2006/0281575号、同第2006/0287125号、および同第2006/0293115号(特許文献11〜13)は、その間に抗回転装置を配した相互交換可能なシャフトおよびクラブヘッドを開示している。
【0014】
ゴルフ業界においては、しっかりと取り付け、かつ製造も容易な改善された連結部を伴うゴルフクラブに対する要望が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第3,524,646号
【特許文献2】米国特許第4,852,782号
【特許文献3】米国特許第4,943,059号
【特許文献4】米国特許第5,433,442号
【特許文献5】米国特許第5,722,901号
【特許文献6】米国特許第5,951,411号
【特許文献7】米国特許第6,547,673号
【特許文献8】米国特許第7,083,529号
【特許文献9】米国特許出願公開第2001/0007835号
【特許文献10】米国特許第7,300,359号
【特許文献11】米国特許出願公開第2006/0281575号
【特許文献12】米国特許出願公開第2006/0287125号
【特許文献13】米国特許出願公開第2006/0293115号
【発明の概要】
【0016】
この発明は、ゴルフクラブ用の相互交換可能なシャフトシステムに向けられている。この発明のシステムは、付加部品や製造上の困難性を最小限にして、シャフトおよびクラブヘッドの間の相互交換を実現する。この発明のいくつかの実施例が以下に説明される。
【0017】
1実施例において、ゴルフクラブは、ゴルフクラブヘッド、長尺なシャフト、およびファスナを含む。クラブヘッドは、ホーゼルおよび少なくとも1つのホーゼル整合機構を含む。ホーゼルは穴も形成し、ホーゼル整合機構はホーゼルの基端に隣接して配置される。長尺のシャフトは、締め付け部材と、この締め付け部材と別体の少なくとも1つのシャフト整合機構とを含む。この少なくとも1つのシャフト整合機構はホーゼル整合機構の形状と相補的になるような形状とされる。締め付け部材および少なくとも1つのシャフト整合機構はシャフト構造に一体化される。ファスナは締め付け部材と係合し、シャフトを取り外し可能にクラブヘッドに結合する。
【0018】
他の実施例において、ゴルフクラブは、ゴルフクラブヘッド、長尺なシャフト、およびファスナを含む。ゴルフクラブヘッドは、ホーゼルと、ホーゼルの側壁を通り抜けて伸びホーゼルの基端の回りに周方向に離間する複数のノッチとを含む。ホーゼルは穴を形成する。長尺のシャフトは、締め付け部材と、長尺のシャフトの末端部分の外側表面を超えて側方向外側に伸びる複数の舌部とを含む。複数の舌部は締め付け部材とは別体であり、シャフトの末端から離間しており、締め付け部材および複数の舌部がシャフト構造体に一体化される。シャフトの末端部分は穴に収容され、舌部がホーゼルのノッチと係合する。ファスナは、シャフトを取り外し可能にクラブヘッドに結合する。
【0019】
さらに他の実施例において、ゴルフクラブシャフトは、シャフト本体、複数の舌部、および締め付け部材を含む。シャフト本体は長尺の筒状の本体であり、これは基端および末端を形成する。基端は第1の外側寸法を伴い、末端は第2の外側寸法を伴い、これは第1の外側寸法より小さい。複数の舌部はシャフト本体に一体化され、これら舌部はシャフトの末端から離間している。締め付け部材はシャフト本体に一体化され、ネジ付きのファスナと係合するように構成されている。
【0020】
添付図面は明細書の一部を構成し、明細書との関連において理解されなければならず、この図面において、種々の図における類似の参照番号は類似の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の交換可能なシャフトシステムの実施例を含む事例的なゴルフクラブの一部を示す側面図である。
【図2】図1のゴルフクラブの分解図である。
【図3】ゴルフクラブの図1の3−3線に沿う断面図である。
【図4】交換可能なシャフトシステムのシャフトスリーブの斜視図である。
【図5】図1のゴルフクラブのホーゼルの基部の斜視図である。
【図6】交換可能なシャフトシステムを具備するゴルフクラブの基部の他の実施例の斜視図である。
【図7】交換可能なシャフトシステムのシャフトスリーブの他の実施例の斜視図である。
【図8】交換可能なシャフトシステムのシャフトスリーブの他の実施例の斜視図である。
【図9】交換可能なシャフトシステムのシャフトスリーブの他の実施例の部分断面図である。
【図10】この発明の交換可能なシャフトシステムの他の実施例を含むゴルフクラブの分解図である。
【図11】交換可能なシャフトシステムのシャフトスリーブおよびシャフトの間の結合の模式図である。
【図12】この発明の交換可能なシャフトシステムの他の実施例を含むゴルフクラブの部分側面図である。
【図13】図12のゴルフクラブの部分分解図である。
【図14】図12の14−14線に沿う、ゴルフクラブの断面図である。
【図15】この発明の交換可能なシャフトシステムを含むゴルフクラブに組み込みことが可能な印部を示す側面図である。
【図16】この発明の交換可能なシャフトシステムを含むゴルフクラブに組み込みことが可能な印部を示す側面図である。
【図17】この発明の交換可能なシャフトシステムを含むゴルフクラブに組み込みことが可能な印部を示す側面図である。
【図18】この発明の交換可能なシャフトシステムを含むゴルフクラブに組み込みことが可能な印部を示す側面図である。
【図19】この発明の交換可能なシャフトシステムを含むゴルフクラブに組み込みことが可能な印部を示す側面図である。
【図20】この発明の交換可能なシャフトシステムの実施例を含む事例的なゴルフクラブの一部を示す斜視図である。
【図21】交換可能なシャフトシステムのシャフトスリーブの他の実施例の斜視図である。
【図22】この発明の交換可能なシャフトシステムを含む図20のゴルフクラブの断面図である。
【図23】シャフトスリーブの実施例の一部の断面図である。
【図24】シャフトスリーブの他の実施例の一部の断面図である。
【図25】一体化された締め付け機構および整合機構を含むゴルフクラブシャフトの側面図である。
【図26】図25のシャフトの断面図である。
【図27】一体化された締め付け機構および整合機構を含むゴルフクラブシャフトの他の実施例を示す。
【図28】図27のシャフトの断面図である。
【図29】図27のシャフトの先端の斜視図である。
【図30】一体化された締め付け機構および整合機構を含むゴルフクラブシャフトのさらに他の実施例の一部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明は、ゴルフクラブのシャフトをクラブヘッドに結合するための交換可能なシャフトシステムに向けられている。そのようなシステムは、種々のシャフトタイプをクラブヘッドにカスタマイズしてフィッティングしたり、シャフトおよびクラブヘッドの間の調節を可能にするのに採用できる。この発明のいくつかの実施例が以下説明される。
【0023】
この発明の交換可能なシャフトシステム10を組み込んだゴルフクラブは、一般に、シャフト12、シャフトスリーブ14、クラブヘッド16、およびファスナ18を含む。交換可能なシャフトシステム10は、クラブフィッターによって、フィッティング・セッションの間に、シャフト12およびクラブヘッド16の組み合わせを繰り返し変更するのに使用して良い。このシステムによれば、簡単に使用できる部品を組み立てることにより、フィッティングアカウントに最大限のフィッティングオプションを与えることができる。1実施例において、シャフト12およびクラブヘッド16の所望の組み合わせが選択された後は、交換可能なシャフトシステム10は半永久的に固定されて平均的な利用者がシャフトシステム10を解体できないようにしてよい。代替的には、交換可能なシャフトシステム10は、利用者が連結部を操作してシャフト12またはクラブヘッド16を置き換え、あるいは、シャフト12およびクラブヘッド16の間を調整できるようにしてよい。
【0024】
図示のとおり、この発明の交換可能なシャフトシステムはドライバ型のゴルフクラブに組み込まれる。ただし、この発明の交換可能なシャフトシステムは任意のタイプのゴルフクラブに組み込まれて良いことに留意されたい。例えば、交換可能なシャフトシステムはパター、ウェッジ、アイアン、ハイブリッド、および/またはフェアーウェイウッド型のゴルフクラブに組み込んでよい。
【0025】
クラブヘッド16は、一般的には、フェース24、クラウン25、ソール26、スカート27を含み、これらが組みあわされて全体として空洞のクラブヘッド16を形成する。クラブヘッド16は、ホーゼル20も含み、これはゴルフクラブの製造段階でシャフト12およびクラブヘッド16の間のしっかりした結合を実現する構造である。
【0026】
シャフト12は当業界でしられている任意のシャフトでよい。例えば、シャフト12は金属および/または非金属の材料で構築されて良く、シャフトは空洞でも、ソリッドでもまたはソリッド部分と空洞部分の組み合わせでもよい。
【0027】
図1〜5を参照すると、交換可能なシャフトシステム10はシャフト12をクラブヘッド16に連結して異なるシャフト12が選択的に異なるクラブヘッド16に結合させることができるようになす。交換可能なシャフトシステム10は、一般的には、シャフト12に結合され、少なくとも部分的にクラブヘッド16のホーゼル20内に収容されるシャフトスリーブ14と、取り外し可能にスリーブ14をクラブヘッド16に結合させるファスナ18とを含む。
【0028】
組み立てられた交換可能なシャフトシステム10において、シャフト12の末端側の端部34はスリーブ14のシャフト穴36中に収納され、そこにしっかりと取り付けられる。シャフト12は任意の締め付け手法でスリーブ14にしっかりと取り付けられて良い。例えば、溶接、超音波溶接、ロウ付け、ハンダ付け、ボンディング等の連結手法を採用してよい。エポキシのような接着剤または他の類似菜材料を採用してシャフト12およびスリーブ14をしっかりと締めつけて良い。好ましくは端部34は接着剤、例えばエポキシを用いてシャフト穴36内に結合される。代替的には、シャフトスリーブの機構、例えばネジ溝付きの締め付け機構および整合機構が一体となって一体化した機構としてのシャフトを構成し、これは例えば一体成型により実現され、これは図25〜30を参照して以下に詳述される。
【0029】
スリーブ14は、スリーブ14側およびホーゼル20側にそれぞれに含まれる整合機構を、交換可能なシャフトシステムを組み立てるときに、確実に係合させるように選択された方向でホーゼル20中に挿入される。整合機構の方向はシャフト12およびクラブヘッド16の間の所望の相対位置を実現する。さらに、整合機構の係合によって、スリーブ14およびホーゼル20の間の、ホーゼル20の長さ方向の軸の周りの相対的な回転を阻止する抗回転機構が実現される。
【0030】
ホーゼル20は、一般的に、クラウン、およびクラブヘッド16の少なくとも一部を介して伸びる筒状部材である。ホーゼル20は、スリーブ14の末端部分がスライド可能に収容されるように選択された径のスリーブ穴30を形成する。好ましくは、スリーブ穴30の径は、スリーブ14およびホーゼル20の間で相対的に横移動を阻止するような最小隙間しか、スリーブ14の末端部分およびホーゼル20の間にないように、選定される。スリーブ穴30は末端フランジ31で終端しており、これはホーゼル20の末端部に位置付けられる。ただし、フランジはホーゼルの基端部および末端部の間の任意の中間位置に配されて良いことに留意されたい。
【0031】
この実施例では、ホーゼル20の基端部28は、クラブヘッド16から外側に、クラウン25から離間した位置に、配されており、ホーゼル20の側壁の少なくとも一部を介して伸びる少なくとも1つのホーゼル整合機構を含む。ホーゼル整合機構は、組み立てられたクラブヘッドにおいてクラブヘッド16およびシャフト12の間に少なくとも1つの離散的な整合方向を実現する。この実施例では、ホーゼル20は一対のノッチ32の携帯で整合機構を含み、ノッチ32の各々はホーゼル20の側壁を介して基端部28の近くで伸びる。すなわち、ノッチ32の各々は、スリーブ穴30からホーゼル20の基端部28へと伸びる。
【0032】
ホーゼル整合機構はホーゼルの側壁を介して完全に伸びる必要はなく、側壁の一部のみを介して伸びるものでも良く、これは図6に図示される実施例に示されるとおりである点に留意されたい。具体的には、ホーゼル21の基端部分22はノッチ33を含んでよく、これがホーゼル21の側壁の一部のみを介して伸びる。例えば、この実施例のノッチ33は先に説明した実施例と類似の全体として台形の断面を含むが、ノッチ33はスリーブ穴29から径方向にホーゼル21の基端部分22の側壁の一部を介して伸び、ホーゼル21の外側表面と交差しない。そのような実施例は、整合機構をユーザに隠すことが必要な場合に、好ましいであろう。
【0033】
ノッチ32は、全体として筒状のホーゼル20の基端部28の周りに離間した位置で基端部28において相互に径方向に対面する。この構成により、組みあわされたシャフト12およびスリーブ14が、相互に約180°回転した離散的な2つの位置でクラブヘッド16と結合させることができる。ただし、ホーゼル整合機構はホーゼル20の基端部28に隣接した任意の所望の位置に配置して、スリーブ14およびホーゼル20の間の任意の所望の方向を実現して良い。この発明は一対のホーゼル整合機構を含むけれども、任意の個数のホーゼル整合機構を設けてシャフト12およびクラブヘッド16の間に任意の所望の離散的な方向を実現してよい。さらに、シャフトおよびクラブヘッドの間に単一の離散的な方向が望まれるときには、単一のホーゼル整合機構を設けて良い。
【0034】
スリーブ14は末端本体38、基部フェルーレ40、および少なくとも1つのスリーブ整合機構を含む。この実施例は、一対のスリーブ整合機構(例えば舌部42)を含む。本体38は全体として筒状であり、フェルーレ40の末端部に結合された基端部を含む。シャフトスリーブ14の長さ、およびシャフト12の直径を選択して、シャフト12への取り付けるために適切な表面面積を実現する。シャフトスリーブ14およびシャフト12は約0.5〜2.0inの結合表面面積を構成する。実施例において、シャフトスリーブ14およびシャフトは約1.2inの結合表面面積を構成するように選定される。具体的には、この実施例において、シャフトスリーブ14は約1.1インチの結合長を伴い、0.335インチの径のシャフトに対して適切な結合表面面積を実現する。この実施例において、本体38およびフェルーレ40はそれらが一体の部品を形成するように結合されるけれども、本体38およびフェルーレ40は個別の部品であってよいことに留意されたい。
【0035】
舌部42は、本体38およびフェルーレ40の継ぎ目に隣接して本体38の外側表面を超えて外側に横方向に伸びる。舌部42の形状はノッチ32の形状と相補的になるように選択して、これにより、舌部42がノッチ32と係合しているときには、スリーブ14およびホーゼル20の間で、ホーゼル20の長手軸周りの相対的な回転がいずれの方向にも行われないようになっている。例えば、舌部42は全体として台形の断面形状を伴い、かつ、この台形形状はノッチ32の台形形状と相補的で係合するように選定される。舌部42は、最も狭い部分がスリーブ14の基端部に向かうようなテーパーが付されるように構成され、同様にノッチ32も、最も狭い部分がクラブヘッド16のソール26に向かうようなテーパーが付される。さらに、舌部42の外側表面は、ホーゼル20の基端部28の外側径と実質的に同一の径で曲がっており、このため、舌部42の外側表面が、組み立てられたゴルフクラブにおいて、ホーゼル20の基端部28の外側表面と面一となる。ただし、舌部およびホーゼルの基端部の外側表面は望まれる場合には面一でなくてもよいことに留意されたい。
【0036】
ノッチ32および舌部42が相補的な形状であるので、交換可能なシャフトシステム10が組み立てられているときにスリーブ14およびホーゼル20を確実に取る付けることができる。具体的には、スリーブ14がホーゼル20のスリーブ穴30に挿入される際に、舌部42のテーパー付けされた側縁がノッチ32のテーパー付けされた側壁に強制的に当たり、スリーブ14をホーゼル20に対して一貫性を保持して繰り返し可能に位置決めする堅固な取り付けを実現する。テーパー面は、スリーブ14およびホーゼル20の間で、製造誤差や磨滅に由来して生じる回転方向の遊びなくすこともできる。代替的には、ホーゼルおよびスリーブの整合機構は曲がった縁および側壁を伴って良く、これらが組立時に係合して同様に堅固な取り付けを実現する。
【0037】
この実施例において、本体38の外側直径はフェルーレ40の末端の外側直径より小さく、肩部46が本体38およびフェルーレ40の間のつなぎ目に形成されるようになっている。組立時に、スリーブの本体38の部分が、肩部46がホーゼル20の頂部の縁の近くに配されるまで、挿入される。ホーゼルおよびスリーブの整合機構(具体的には、舌部42およびノッチ32)のサイズ、テーパー、および/または曲率は、ゴルフクラブが組み立てられたときに肩部46およびホーゼル20の間にわずかな隙間しか生じないように、好ましくは選定される。さらに、この発明に関しては、舌部42およびノッチ32のサイズおよびテーパーは、舌部42の末端表面およびノッチ32の末端表面の間にわずかな隙間しかないように選定される。そのような隙間であれば、スリーブ14およびホーゼル20の間の相対的内位置を、それぞれの整合機構の寸法を調整することにより簡単に制御できる。好ましくは、組み立てられたゴルフクラブにおいて、肩部46およびホーゼル20の間の隙間の量は視覚上把握できないか、あるいは、少なくとも簡単には気づかれないものである。例えば、隙間の量は0.005〜0.0030インチの範囲であってよい。
【0038】
スリーブ14およびホーゼル20は、例えば、チタン、スチール、アルミニウム、ナイロン、ファイバ強化ポリマー、またはポリカーボネートのような任意の金属、または非金属材料から構築して良い。さらに、スリーブ14およびホーゼル20は、同一または異なる材料で構築して良く、また以下に詳細に説明するように、スリーブ14およびホーゼル20の各々を代替的には多材料構成であってよい。さらに、スリーブ14および/またはホーゼル20は金属および非金属の材料の組み合わせである材料、例えば金属材料を注入またはメッキしたポリマーから構築して良い。1実施例において、ホーゼル20はチタンから構築され、スリーブ14はアルミニウムから構築される。好ましくは、ホーゼル20はクラブヘッド16の一体の部分として形成される。
【0039】
スリーブ14および/またはホーゼル20のコーティングまたは表面処理を行って所望の美的な外観を実現して良い。例えば、アルミニウムのような第1の金属材料から構築されたスリーブ14、およびチタンのような第2の金属材料から構築されたホーゼル20を採用した実施例において、スリーブ14は陽極処理されて電界腐食しないようにされる。さらなる例として、非金属スリーブ14はニッケルでコーティングされて金属性の外観を呈し、また補強されて良い。コーティングは、任意の所望の特徴を実現するように選択されて良く、例えば、強度を改善するためには、コーティングは、金属コーティング、例えばニッケル合金で、ナノ結晶グレイン構造を伴うものであってよい。
【0040】
スリーブ14は、ファスナ18によってしっかりとクラブヘッド16に取り付けられスリーブ14がスリーブ穴30から係合解除されないようになっている。ファスナ18は、スリーブ14およびクラブヘッド16が、相対的に、ホーゼル20の長手軸方向に平行な方向に移動しないように主に採用されている。ファスナ18はスリーブ14およびホーゼル20の間の相対移動を制限する任意のタイプのファスナであってよい。例えば、この実施例で示すように、ファスナ18は、スリーブ14内のネジ溝付きのホールに係合する機械ネジのような、長尺の機構ファスナであってよい。ファスナ18およびスリーブ14は、交換可能なシャフトシステム10に加わる軸方向の力に耐えるのに十分なネジ長を実現する寸法を有する。1つの事例的な実施例では、ファスナ18およびスリーブ14は、1/4インチのネジ係合を実現する寸法を伴う。さらに、ネジ長を増加させるために必要な場合にはネジ溝付きインサートを設けて良い。例えば、Heli−coilネジ溝付きインサート(ドイツ、ニューワークのEmgart社の登録商標)のようなネジ溝付きインサートをスリーブ14中に実装して良い。
【0041】
図3に示すように、ホーゼル20はクラブヘッド16を通して部分的にしか伸びない。別のファスナ穴50が設けられ、これが、ソール26の近くからクラブヘッド16へと伸び、ほぼホーゼル20と同軸に整合される。ファスナ穴50の基端部は基端フランジ54に終端する。フランジ54は全体として筒状であり、ファスナ18の頭部の保持面を形成する。ファスナ18の軸はフランジ54を介して伸びファスナ穴50およびホーゼル20の間のギャップを横切り、さらに、フランジ31を介して伸び、スリーブ14のフランジ44と係合する。
【0042】
組立時に、ファスナ18を締めつける際に、スリーブ14がホーゼル20へと引かれる。同時に、スリーブ14の舌部42がホーゼル20のノッチ32へと引かれて、舌部42のテーパー付けされた側縁がノッチ32のテーパー付けされた側壁に強制的に当たる。舌部42およびノッチ32の間のつなぎ目はテーパー付けされているので、ファスナ18がスリーブ14において締めつけられる際に、スリーブ14およびホーゼル20の間の取り付けが徐々にきつくなり、スリーブ14がホーゼル20内の予め定められた位置に繰り返し可能に移動することが確実になる。
【0043】
クラブヘッド16においてホーゼル20およびスリーブ穴30の深さを選定してシャフト12およびスリーブ14の所望の長さ部分が収容されるようになす。この実施例において、ホーゼル20はクラブヘッド16中には部分的にしか伸びない。ただし、図22に示すように、ホーゼル20がクラブヘッド全体と介して伸びてソールと交差してもよいことに留意されたい。そのような実施例では、ファスナの頭部を保持する面をなすフランジをホーゼル内の任意の中間的な位置に配置して良く、個別のファスナ穴は設けなくて良い。
【0044】
先に説明したように、ホーゼル整合機構がホーゼル20の基端部28の近くに配されてホーゼル20の側壁の少なくとも一部を介して伸びる。ホーゼル整合機構をホーゼル20の基端部28の近くに配すると、その領域は簡単にアクセス可能であるので、ホーゼル整合機構およびクラブヘッド16の整合が簡素になる。具体的には、単純な機械加工プロセスおよび慣用的な道具を用いて、正確な精度の整合機構をホーゼル20に組み込んでよい。例えば、ホーゼル20の側壁を完全に通じて伸びる全体として台形のホーゼル整合機構、例えば、ノッチ32は、鋳造されたクラブヘッド16の基端部28を径方向に横切って通るテーパーエンドミルを用いて機械加工してよい。この位置ゆえに、厳しく制御された寸法のホーゼル整合機構を任意の形状に単純な道具およびプロセスで容易に構築できる。
【0045】
整合機構はスリーブ14およびホーゼル20の周囲の周りの任意の異陳位置づけて良い。好ましくは、一対の整合機構が本体38およびホーゼル20の周囲の周りに約180°離間して配置され(すなわち、整合機構は径方向に対面する)、整合機構の1つがクラブヘッド16のフェース24に隣接して配置される。このような向きであるため、ユーザがクラブをアドレス位置に配置し、シャフト12の長手軸に全体として平行な視線に沿ってクラブを見たときに、整合機構は視野から隠れる。この向きによれば、さらに、フェース24と全体として直交する視線に沿ってクラブヘッド16を見ることにより調整時にユーザによって整合機構を簡単に目視することができる。
【0046】
付加的な機構として、ロック機構を設けてファスナがスリーブから係合解除されないようにしてよい。任意のロック機構を採用して良い。例えば、ファスナ18の頭部および隣接する保持面の間にロックワッシャを設けて良い。さらに代替的には、ロックネジ溝デザイン、例えばSpiralockロック内部ネジ溝フォーム(ミシガン州、マジソンハイツのDetroit Tool Industries社の登録商標)をフランジ44のネジ溝付き穴48に組み込んで良い。さらに代替的には、ネジ溝付きロック材料、例えばLoctiteネジ溝付きロック接着剤(ペンシルベニア州、ガルフミルズのHenkel社の登録商標)をファスナ18またはネジ溝付き穴48に塗布して良い。さらに、ファスナ18はロック機構、例えばパスロックを設けられても良い。さらに、組立の後に、結合材料、例えば、エポキシをクラブヘッド16とのつなぎ目においてファスナ18の頭部に塗布して良い。
【0047】
さらに他の機構として、リテーナ56を採用して、ファスナ18がスリーブ14と係合していないときにファスナ18がその内部に保持されるようにしてよい。シャフト12を交換する際に、ファスナ18がクラブヘッド16内に保持されて置き間違えることがないようにすることが望ましい。リテーナ56は、ファスナ18の軸に結合され、フランジがリテーナ56およびファスナ18の頭部の間に配されるように、配置される。リテーナ56は、対応するフランジの貫通孔を介して通り抜けない寸法とされる。リテーナ56は、ホーゼル20のフランジ31の近くでファスナ18の軸に摩擦で結合するクリップであって良く、これは、フランジ31がリテーナ56およびファスナ18の頭部の間に配されるように、配置される。
【0048】
図7および8を参照すると、複数ピースのシャフトスリーブの実施例が説明され、これらは先に説明した交換可能なシャフトシステムのシャフトスリーブ14と置き換えられる。多数ピースの実施例は、単一ピースの、機械加工または成型されたシャフトスリーブと較べた場合に、代替的な機械加工プロセスを使用することを可能にする構造を実現する。さらに、これによって、単一のシャフトスリーブに複数の材料を含ませるというオプションが可能になり、重量および/または製造において有益である。1実施例において、シャフトスリーブ63は本体65、一対の整合機構(例えば舌部67)、およびフェルーレ69を含む複数ピース構造を含む。この実施例では、舌部67がフェルーレ69と一体であるけれども、本体65は別部品である。
【0049】
本体65は全体として筒状であり、シャフトに組付けられたときにフェルーレ69の末端に隣接して位置決めされる基端部を含む。本体65の基端部はノッチ71を含み、ノッチ71が舌部67の寸法および形状と相補的な寸法および形状を伴う。具体的には、ノッチ71は、好ましくは、フェルーレ69の末端表面と本体65の基端表面との間に、または、舌部67の側面およびノッチ71の側面の間に、ギャップがないような、寸法および形状を伴う。さらに、舌部67の厚さを選定して、シャフトスリーブ63が組み立てられたときに、舌部67の部分が径方向外側に本体65の外側表面を超えて伸びるようになす。この結果、本体65から径方向外側に伸びる、舌部67の部分を、上述してゴルフクラブヘッドのホーゼルの基端部に設けられた係合機構と係合させるのに利用できる。
【0050】
図8を参照するとシャフトスリーブの他の代替実施例が説明される。シャフトスリーブ64は本体66、一対の整合機構(例えば舌部68)、およびフェルーレ70を含む。舌部68は本体66と一体であり、フェルーレ70は舌部68および本体66と別体である。本体66は全体として通常であり、これをシャフトに組み付けたときにフェルーレ70の末端部の近くに配される基端部を含む。舌部68は本体66の基端部の近くで本体66から横方向に外側に伸びる。
【0051】
本体66およびフェルーレ70は任意の材料から構築されて良く、それらは同一または異なる材料で構築されてよい。例えば、本体66が、金属材料、例えばアルミニウムから機械加工処理されてよく、またフェルーレ70が非金属材料、例えばナイロンから機械加工または成型加工されてよい。異なる材料を用いることにより、全体が金属のスリーブに対して重量を削減でき、それでいて、適切な構造上の特性や結合面積を確保できる。さらに、異なる材料を選定して所望の美的な属性を実現できる。
【0052】
シャフトスリーブのいずれの実施例においても、その本体は、さらに重量削減特性を必要であれば含んで良い。例えば、図8に示すように、影付き部分72はスロット、凹み、貫通孔、または、本体66を構築する材料の体積を減少させる任意の他の特性を含んでよい。シャフトをシャフトスリーブに適切に結合させるのに十分な表面面積が確保される範囲で、本体の材料の体積はシャフトスリーブ本体の任意の所望の部分に渡って削減されて良い。
【0053】
シャフトスリーブのさらなる実施例が図9に示される。先に説明した実施例と同様に、シャフトスリーブ74は、本体76、フェルーレ78、および本体76から横方向外側に伸びる舌部80を含む。シャフトスリーブ74は、例えば、ナイロン、ファイバー強化ポリマー、またはポリカーボネートのような非金属材料から成型されたシャフトスリーブの単一ピース構造として示される。このような構造のために、シャフトスリーブ74はスリーブ74の末端フランジ84中に成型されたネジ溝付きインサート82も含む。ネジ溝付きインサート82は、インサートを固定して成型できるようになす機構、例えば、ギザギザ、および/または1つまたは複数のリブまたはフランジを含んでよい。
【0054】
シャフトスリーブのさらに他の実施例が図10に示され、これは交換可能なシャフトシステムを含むゴルフクラブの他の実施例の一部の分解図である。先に説明した実施例と同様に、ゴルフクラブは、シャフトスリーブ94を含む交換可能なシャフトシステムによって、クラブヘッドのホーゼル92に結合されたシャフト90を含む。
【0055】
この実施例において、スリーブ94は多数ピース構造を採用する。スリーブ94は、フェルーレ98と一体の本体96と、本体96およびフェルーレ98に結合された別体のピン100によって形成されたスリーブ整合機構とを含む。ピン100は本体96およびフェルーレ98のつなぎ目を横切って径方向に伸び、本体96およびフェルーレ98にしっかりと結合されている。ピン100の長さを選定して、ピン100の端部が本体96の外側表面を超えて横方向外側に伸びるようになしている。好ましくは、ピン100の端部の各々は、クラブヘッドのホーゼル92の側壁の厚さに対応する距離だけ本体96から横方向外側に伸び、ピン100の端部が全体としてホーゼル92の外側表面と面一になるようになっている。ピン100は全体として筒状をなすように示されているけれども、それは任意の所望の断面形状を伴って良く、ホーゼル92が任意の相補的な形状を伴うホーゼル整合機構を含んでよいことに留意されたい。例えば、ピン100は、三角形、台形、四角(正方形、square)、矩形、ダイアモンド形のような、任意の多角形断面形状を具備するキーであってよい。
【0056】
この発明の交換可能なシャフトシステムは、フェース角、ライ、およびロフトを含む、組み立てられたゴルフクラブの角度属性を調整できるように構成されて良い。上述のとおり、ホーゼルおよびスリーブ側の整合機構によってスリーブのホーゼルに対する飛び飛びの方向を実現できる。シャフトがスリーブと同軸にならないようにシャフトをスリーブに実装して良い。この非整合によって、スリーブのホーゼルに対する飛び飛びの方向が、シャフトのクラブヘッドに対する異なる方向に対応する。例えば、シャフトの長手軸をシャフトに対して回転させるようにシャフトをスリーブに実装すると、シャフトスリーブのホーゼルに対する角度を変更することにより、組み立てられたゴルフクラブの角度属性を調整可能になる。
【0057】
図11に示すように、1つの角度属性、または選択された角度属性の組み合わせが少なくとも第1の構成および第2の構成の間で調整可能になるように、シャフト102がスリーブ104に実装される。具体的には、スリーブ104のシャフト穴106の長手軸Aが、スリーブ104の本体108およびフェルーレ110の長手軸Bに対して回転している。この結果、シャフト102がシャフト穴106に挿入されるときに、シャフト102の長手軸はシャフト穴106の長手軸Aと同軸である。スリーブ104を約180°だけ回転させると、シャフト102のスリーブ104に対する方向が、長手軸Bに対して正から負に変化する。
【0058】
スリーブをホーゼル内で2つの位置の間で回動させるとクラブフェース角が変化するように、軸Aおよび軸Bの間の角度オフセットの方向をホーゼルおよびスリーブ整合機構に対して位置決めする。具体的には、クラブフェースがオープンである第1の構成に対応する第1の位置でスリーブをホーゼルに結合させてよい。そののち、スリーブを第2の位置で結合させ、具体的には、スリーブを第1の位置から180°回転させてよく、これはクラブフェースがクローズドである第2の構成に対応する。シャフト102およびスリーブ104は3つ以上の構成が実現されるように結合されて良いことに留意されたい。例えば、3つ以上の相対的な構成を設け、これにより角度属性の複数の組み合わせにおいて調整が可能なように、スリーブおよび関連するゴルフクラブヘッドを構築して良い。
【0059】
さらに、ホーゼル整合機構の深さを異ならせ、この結果、この発明の交換可能なシャフトシステムを含むゴルフクラブの全体の長さを、異なる深さの複数のホーゼル整合機構を設けることによって、調整してよい。例えば、1実施例において、ホーゼルの基端部からの深さが異なる一対のホーゼル整合機構がゴルフクラブヘッドに設けられる。ホーゼル整合機構のいずれとも係合するような寸法および形状を伴う単一のスリーブ整合機構を含むシャフトスリーブが設けられる。第1の構成では、スリーブ整合機構は深いホーゼル整合機構と係合し、この結果スリーブがホーゼル中へ第1の深さまで引き込まれ、第1のゴルフクラブ全体長が実現される。第2の構成では、スリーブ整合機構は浅いホーゼル整合機構と係合し、この結果スリーブがホーゼル中へ、第1の深さより短い第2の深さまで引き込まれ、第2のゴルフクラブ全体長が実現され、この長さは第1の長さより短い。
【0060】
図12〜14を参照すると、この発明の交換可能なシャフトシステムの他の実施例が説明される。交換可能なシャフトシステム120は、シャフト124に結合されたシャフトスリーブ122と、クラブヘッド130のホーゼル128内にスリーブ122を保持するファスナ126とを全体として含む点で、先に説明した実施例と類似である。ただし、この実施例においては、ファスナ126はフェルーレ132と一体である。
【0061】
スリーブ122は本体134および整合機構(例えば舌部136)を含む。スリーブ122は別体のフェルーレ132を含む。組み立てられたゴルフクラブにおいて、スリーブ122の本体134はホーゼル128のスリーブ穴138中に少なくとも一部が収容されている。本体134は、舌部136がホーゼル128の相補的な整合機構(例えばノッチ140)と係合するように方向づけられる。
【0062】
ファスナ126はフェルーレ132中へと一体化されてその一部を形成する。具体的には、ファスナ126は、ホーゼル128の一部と機構的に係合するように構成された、フェルーレ132の末端部分である。例えば、ファスナ126は、ネジ溝付き内部表面144を含む、フェルーレ132の一部であり、ホーゼル128のネジ溝付きの外側表面142とネジ係合するように構成されている。
【0063】
フェルーレ132はベアリング面142も含む。ベアリング面142は、交換可能なシャフトシステム120を組み立てるときにスリーブ122の基端部表面と強制的に当たる。組み立てる際に、シャフト124がフェルーレ132を通じて挿入されてフェルーレ132がシャフト124をスライドし、またこれに対して回転するようにされる。つぎに、スリーブ122がシャフト124の末端部に結合される。スリーブ122の寸法は、フェルーレ132がスリーブ122を超えてシャフト124の末端部へと滑っていかないように選定される。つぎに、スリーブ122をスリーブ穴138に挿入し、その際に、舌部136が、スリーブ122を所望の回転方向となした上で、ノッチ140に係合するようになす。最後に、ベアリング面142がスリーブ122に当たるまで、フェルーレ132をシャフトに沿ってスライドさせ、その後ファスナ126をホーゼル128にネジ付ける。
【0064】
組み立てられたゴルフクラブにおいてクラブヘッドに関してシャフトの構成を明瞭に示す印を設けて良い。例えば、先に説明したように、クラブが第1または第2の構成で組み立てられるようにシャフトがシャフトスリーブに結合されてよい。印がシャフトスリーブおよび/またはホーゼルに配置されて組み立てられた構成を示して良い。印が組立て中のみ、または組立て中およびその後に所望のように目視できるように印を配置して良い。
【0065】
図15〜19において、任意の形態の印部を設けて良い。印部は、刻印、浮き彫り、またはペイントされてよく、ゴルフクラブの利用可能な構成を区別する1つまたはそれ以上の文字、番号、シンボル、ドット、および/または他のマーキングであってよい。印は、組み立てられたゴルフクラブのクラブヘッド、シャフトスリーブ、またはシャフトの任意の部分に含まれて良い。好ましくは、印はスリーブ側および/またはホーゼル側の整合機構の上または近傍に設けられる。
【0066】
図1、15、および16に示すように、ゴルフクラブの構成に対応する文字を含んでよい。1実施例では、印部150はスリーブ整合機構に配置された「O」であり、クラブヘッドのフェース角がオープンである構成に対応する。さらに、印部152は文字「C」の形態であり、他のスリーブ整合機構に設けられ、フェース角がクローズドである構成に対応する。
【0067】
図1に示すように、ホーゼルおよびシャフトスリーブの整合機構(例えばノッチ32および舌部42)および/または印は、使用中にそれら特徴があまり見えないように配置される。具体的には、組み立てられたゴルフクラブにおいて、舌部42が、クラブヘッド16のフェース24とほぼ直交する軸に沿って、ホーゼル20の周囲の周りに相互に対面させられるように、舌部42を配置する。この結果、舌部42はクラブヘッド16のフェース24とほぼ直交する視線に沿って目視可能である。しかしながら、ユーザがクラブをアドレス位置に保持するときには、舌部42は視界から遮られる。すなわち、整合機構はシャフトの長手軸とほぼ平行な軸に沿っては目視できず、ゴルフクラブがアドレス位置にあるときには、ゴルフクラブは、交換可能なシャフトシステムを持たないゴルフクラブの外観を伴う。
【0068】
印の他の例は図17および18に示される。図17において、印部154および156は文字およびシンボルの双方(例えば「L+」、および「L−」)を含む。文字、シンボルおよび/または番号の組み合わせは組み立てられたゴルフクラブの構成を明瞭に示すために採用されて良い。この実施例では、印部154および156は、クラブヘッドのライまたはロフト角が増加または減少していることをそれぞれ示すのに特に適している。さらに、印部は、スリーブ14上に含まれるいずれの印部がゴルフクラブの組み立てられた構成に対応するのかをユーザに対して示すために設けられて良い。さらなる例として、印部158は、図19に示すように、「0」および「1」、または「1」および「2」のような番号を含んで、部品の構成を示して良い。
【0069】
この発明の交換可能なシャフトシステムは従来のクラブフィッティング方法に較べて有益である。従来のフィッティング・セッションでは、ユーザは単一のゴルフクラブについて複数の調整不可能なサンプルを用いてテストスイングをしなければならない。例えば、従来のフィッティングカートまたはバッグは一般に複数の構成の複数のサンプルの6番アイアンを含む。ユーザはどのサンプルが最も適切な構成を含むかを決定するためにこれらのサンプルクラブの多くを試す必要がある。しかしながら、サンプルクラブの各々は調整可能ではないので、サンプルクラブの個々の部品の間に相違があるので付加的な変動要因をフィッティングプロセスに含ませることになり、フィッティングカートまたはバッグは多くの個別の完成したサンプルクラブを含む必要がある。
【0070】
この発明の交換可能なシャフトシステムをゴルフクラブの取り付け方法は、ユーザに対して、フィッティングプロセスに要求される部品の数を最小化することによって、そのような付加的な変動要素を削減し、必要な完成サンプルの数も減少させる。交換可能なシャフトシステムによって、単一のクラブヘッドをフィッティングプロセス全体を通じて採用することができ、この再、異なるシャフトを使用しつつ、または単一のシャフトのクラブヘッドに対する方向を変更させる。このシステムによって、必要であれば、異なるクラブヘッドを単一のシャフトの下で採用できる。
【0071】
この方法は、この発明の交換可能なシャフトシステムを第1の構成で含むゴルフクラブを準備することを含む。つぎに、ユーザは、ゴルフクラブをスイングする。この際、ゴルフクラブは第1の構成のままである。ユーザのスイングが分析されてゴルフクラブの交換可能なシャフトシステムが分解され、こののち第2の構成で再組立される。つぎにユーザは第2の構成のままでゴルフクラブをスイングし、ユーザのスイングが分析される。これらのステップは任意の個数のゴルフクラブ構成に関してそれぞれ繰り返される。最後に、ユーザのスイングの分析に基づいてユーザに適したクラブ構成が決定される。
【0072】
交換可能なシャフトシステムを第2の構成に再組立てする際に、多くの異なる操作を実行して良い。例えば、第1の構成でゴルフクラブに含まれた組み合わせ済みのシャフトおよびスリーブをクラブヘッドに対して方向づけし直してゴルフクラブの角度属性の1つまたはその組み合わせを変更してよい。代替的には、シャフトおよびスリーブの組み合わせを交換し、また異なるシャフトおよびスリーブをクラブヘッドに取り付けてよい。角度属性および/またはゴルフクラブの他の物理属性、例えば、シャフトの柔らかさ、シャフトの長さ、グリップのスタイルおよびフィーリング等を変更するためにシャフトおよびスリーブの組み合わせを交換することが望まれても良い。
【0073】
この発明の交換可能なシャフトシステムを含むゴルフクラブの他の実施例が図20〜22に示される。交換可能なシャフトシステム160は、シャフト164に結合されたシャフトスリーブ162と、スリーブ162をクラブヘッド170のホーゼル168の内部に保持するファスナ166とを、全体として含む。ただし、この実施例では、ホーゼル168はクラブヘッド170の全体を通じて伸び、クラブヘッド170のクラウン171およびソール173の双方を横断するようになっている。
【0074】
スリーブ162は本体174および整合機構(例えば舌部)を含む、本体174は、シャフト部分175およびファスナ部分179を含む。シャフト部分175は全体として筒状であり、シャフト穴178を形成する。ファスナ部分179は全体として円筒状であり、その外側径は、シャフト部分175の外側寸法以下である。ファスナ部分179はファスナ166と係合するネジ付き穴を含む。
【0075】
組み立てられたゴルフクラブにおいて、スリーブ162の本体174は少なくとも部分的にホーゼル168のスリーブ穴180内に収容される。本体174は、スリーブ162の整合機構がホーゼル168の相補的な整合機構(例えばノッチ)と係合するように方向づけられる。さらに、フェルーレ172が含まれても良く、これが、シャフトスリーブ162の基端に当接してシャフトスリーブ162およびシャフト164の間のテーパー付けされた遷移部を実現する。
【0076】
ファスナ166は長尺な機構ファスナであり、例えば、スリーブ162内のネジ付き穴に係合する機械ネジである。ファスナ166およびスリーブ162は、交換可能なシャフトシステム160に加わる軸方向の力に耐えるのに充分なネジ係合長を実現する寸法に構成される。
【0077】
フランジ176はホーゼル168の内部にホーゼル168の長さ方向に沿って中くらいの位置に含まれる。フランジ176は全体として環状であり、ファスナ166のネジ付きの脚部がそれを通るような寸法の貫通孔を含むようになっており、かつ、この貫通孔の寸法によりファスナ166の頭部がそれを通り抜けないようになっている。フランジ176はファスナ166がスリーブ162と係合するときにファスナ166の頭部に対してベアリング面を実現して、ファスナ166がスリーブ162のネジ付き穴に締めつけられるときに引っ張られるようになっている。
【0078】
交換可能なシャフトシステム160はリテーナ177も含み、ファスナ166がスリーブ162と係合していないとき、例えばシャフトの交換および方向づけのときに、クラブヘッド170のホーゼル168内にファスナ166を保持するようにしている。リテーナ177は、ホーゼル168のソール173に最も近い側部がわでホーゼル168内部にスライド可能に収容される筒状の部材であり、ファスナ166の頭部がリテーナ177およびフランジ176の間に配置されるようになっている。リテーナ177の内側径は、ファスナ166の頭部の外側径よび小さく、ファスナ166を回転させるのに用いるツールの外側径より大きくなるように選定される。代替的には、リテーナは好ましくは取り外し可能な固体プラグであってよく、ファスナにアクセスするためにリテーナを取り外すことができるようになっている。
【0079】
この発明の交換可能なシャフトシステムを一体化したゴルフクラブのスイングウエイトを所望のウエイトを具備するスリーブを用いて変換して良い。ゴルフクラブを組み立てる際に、クラブヘッドをしばしば重み付けして製造精度を補償し、または所望のスイングウエイトを形成する。この実施例においては、種々のウエイトを具備するシャフトスリーブ構造を実現し、かかるシャフトスリーブ構造が他の部品の重量と合致して所望のスイングウエイトを実現するようになす。
【0080】
図23を参照すると、シャフトスリーブ182はシャフト部分186およびファスナ部分188を具備する本体を含む。シャフト部分186は全体として筒状であり、ゴルフクラブシャフトの端部を収容する寸法のシャフト穴187を形成する。ファスナ部分188は全体として円筒状であり、その外側径は、好ましくは、シャフト部分186の外側寸法以下である。ファスナ部分188は、組む立てられた状態の交換可能なシャフトシステム中においてファスナと係合するポスト194へと伸びるネジ付き穴190を含む。この実施例において、ファスナ部分188はポスト194に結合されたウエイト192を含む。ウエイト192は全体としてポスト194に取り外し可能に結合され、種々の質量のウエイト192を選択してファスナ部分188に取り付けることができるようになっている。例えば、ウエイト192は、ウエイト192およびポスト194の間のネジ付きインタフェースにより取り付けてよく、または、ウエイト192は、ポスト194にスライド可能に係合され、ウエイト192を半径方向に通って伸びる機械ファスナ196、例えば固定ネジまたはピンによって杭打ち固定されて良い。さらに他の代替例では、ウエイト192は例えば接着剤の塗布により半永久的に固定されても良く、または溶接、プレスフィット、シュリンクフィットによって永久的に固定されてもよい。
【0081】
図24を参照すると、シャフトスリーブ202の他の実施例が説明される。シャフトスリーブ202はシャフト部分206およびファスナ部分208を具備する本体を含む。先に説明した実施例と同様に、シャフト部分206はゴルフクラブシャフトの端部を収容するように構成され、ファスナ部分208は組立済みの交換可能シャフトシステムにおいてファスナと係合するように構成される。ファスナ部分208は、ファスナ部分208の一部を形成するウエイト210を含む。具体的には、ウエイトはシャフトスリーブ202のファスナ部分208と一体に成型されてシャフトスリーブ202と永久的に結合されるようになっている。
【0082】
上述の実施例のウエイトの材料およびサイズはシャフトスリーブの所望の最終的な重量を実現するように選択される。シャフトスリーブは種々のウエイトを具備して、組立の間に、シャフトスリーブがクラブヘッドの重量と適合して所望のスイング重量を実現するように構築されて良い。ウエイトは、シャフトスリーブの残りの部分と異なる密度の材料から全体として構築される。例えば、アルミニウムのシャフトスリーブに質量を付加するには、チタン、スチール、および/またはタングステンから構築されたウエイトを採用できる。付加的には、粉末充填ポリマー、例えばタングステン充填熱可塑性材料を採用してよい。アルミニウムシャフトスリーブの質量は、アルミニウムより密度が仲裁材料、例えばポリカーボネートまたはファイバ強化プラスチックから構築されたウエイトを採用して、減少させることができる。
【0083】
先の実施例において、締め付けおよび整合機構の双方に含まれるシャフトスリーブはシャフトの末端部分に結合された。他の実施例において、ゴルフクラブシャフト222は、図25および26に示すように、シャフトの構造に一体化された締め付けおよび整合機構を含む。具体的には、シャフト222はシャフト本体224、締め付け部材226、およびフェルーレ228を含む。この実施例は少なくとも1つの角度属性を調整するように構築され、オプションの整合補助部230を含む。
【0084】
シャフト本体224は長尺の空洞の本体であり、これは全体として円錐の外側表面を有する。円錐上の外側表面は基端から末端へとテーパーが付され末端の外側径が基端の外側径より大きくなっている。シャフト本体224の長さは、これが実装される具体的なゴルフクラブに適用して選択される。例えば、ドライバとして構成されたゴルフクラブ用に採用されるときに、シャフト本体224は最も長さが長くなる。シャフト本体224は軸方向の穴232を含み、これもシャフト本体224の基端から末端へとテーパーが付されている。穴232の末端部分は、締め付け部材226と共成型できるように、または、これを収容して結合できるように構成され、あるいは、締め付け部材226はメカニカルファスナを用いてシャフト本体224に結合されて良い。例えば、穴232の末端部分は、円筒形の外側表面を有する締め付け部材を収容するように、あるいは、これと結合されるように、一定の径を有してよい。
【0085】
締め付け部材226は、シャフト本体224の末端部分に連結されるインサートである。締め付け部材226は軸方向の穴234を形成する筒状部材である。この実施例において、穴234にはネジ溝が形成され、組み立てられたゴルフクラブにおいてネジ溝付きのファスナを収容するようになっている。締め付け部材226はシャフト本体224の末端部分の内部に種要されここに結合されている。具体的には、シャフト本体224の末端部分は軸方向の穴232の部分を含み、この部分は一定の径を有し、穴232の残りの部分およびシャフト本体224に対して角度付けられている。ただし、軸方向の調整がない実施例において、または、締め付け部材であって、当該締め付け部材の外側円筒表面の長手軸に対して角度付けられたネジ溝付きの穴を含むものを、採用する実施例においては、シャフト穴の一定径の部分は、シャフト本体の同芯の軸と整合して良いことに留意されたい。締め付け部材226は、外部の機械機構、例えば、フィン、ネジ、ギザギザ等を含んで、捩じり力が加わったときにシャフト本体224に対する回転抗力を増大するようにしてもよい。
【0086】
フェルーレ228は、フェルーレ228と一体の舌部236の形態の複数の整合機構を実現する。先の実施例と同様に、フェルーレ228の整合機構をゴルフクラブヘッドのホーゼルの相補的な幾何形状部分と整合させることにより、シャフトを所望の方位に整合させることができ、シャフトおよびゴルフクラブヘッドの間のホーゼルの長手軸の回りの回転を阻止することができる。フェルーレ228は、同時成型または接着により、シャフト本体224に連結される。接着されたフェルーレを採用する実施例において、フェルーレ228の長さは充分な接着面積を実現するように選択される。好ましくは、接着されるフェルーレの長さは、約0.5in〜約2.0inの接着面積、より好ましくは、約0.8inおよび約1.6inの間、さらにより好ましくは、約1.0inおよび約1.4inの間の値を実現するように選択される。
【0087】
舌部236は、シャフト本体224の外側表面を超えて横方向外側に伸びるような形状とされ、外側寸法は、係合ホーゼルと平滑に遷移するように全体として選択される。舌部236は全体として断面形状は台形であり、対応するゴルフクラブヘッドのホーゼル中の台形のノッチと全体として適合する。舌部236はホーゼルの相補的な係合表面と当接するインタフェース部分を含む。図示のとおり、インタフェース部分はインタフェース部材238を含み、このインタフェース部材238は舌部236と結合されて舌部およびホーゼルの間の任意の所望の物理特性、例えば、摩耗抵抗、所望の摩擦係数、および/または、圧縮性を例えば圧縮ガスケットを採用して実現する。代替的には、インタフェース部分は所望の物理特性を実現するように処理されて良く、例えば、熱処理、舌部236の表面のコーティングよって処理されてよい。インタフェース部分238は任意の所望の材料から構築されて良いけれども、好ましくはフェルーレ228の残りの部分と異なる材料から構築され、より好ましくは金属材料から構築される。
【0088】
1またはそれ以上の角度属性を調整する実施例において、整合補助部230が設けられてシャフト222の製造業者において補助されて良い。例えば、図示の実施例では、締め付け部材226の穴234が締め付け部材226の外側表面と同軸であるけれども、穴232の末端部分は穴の残りの部分に対して角度付けられている。整合補助部230は、フェルーレ228がシャフト本体224上で締め付け部材の方位に対して適切に方位付けられて所望の調整を実現できるように、シャフト本体224上に配置される。締め付け部材の穴が締め付け部材の外側表面に対して角度付けられ、シャフト本体の穴の末端部分がシャフト本体の穴の残りの部分と同軸であるような実施例においては、締め付け部材が組付けられるときに、整合部材が見えるように、当該整合補助部を締め付け部材の末端部分の表面に配置することが好ましい。整合補助部は任意の可視のマークであって良く、例えば刻印され、またはペイントされた線または点であってよい。
【0089】
他の実施例において、図27〜29に示されるように、シャフト242はシャフト本体244を含み、これはフェルーレでななくて外側径におけるステップ状の変位を含む。シャフト242はシャフト本体244、締め付け部材246、およびインタフェース部材248を含む。
【0090】
シャフト本体244は、段差のある外側表面を含む、長尺で空洞の本体である。具体的には、シャフト本体244は、第1の外側寸法の末端部分と、第1の外側寸法より大きな第2の外側寸法の隣接部分とを含む。2つの部分は段差すなわち肩部256で合致し、この肩部256は好ましくはシャフト本体244と一体に成型される。長手方向の穴252はシャフト本体244を通じて伸び、締め付け部材246を収容する。
【0091】
締め付け部材246は、シャフト本体244の末端部分と結合されるインサートである。締め付け部材246は円筒状であり、長手方向の穴254を形成する。穴254はネジ溝が付されて、組み立てられたゴルフクラブにおいてネジ溝付きのファスナを収容する。図示の実施例において、締め付け部材246はシャフト本体244と同軸になるように方位付けられている。締め付け部材246は、外部の機械機構、例えば、フィン、ネジ、ギザギザ等を含んで、捩じり力が加わったときにシャフト本体244に対する回転抗力を増大するようにしてもよい。好ましくは、締め付け部材246は、締め付け部材246の回りを包んで締め付け部材をシャフト本体にしっかりと固定するコイルである連続的なファイバ258を用いて、シャフト本体244と一体成型され、これは図29に示される。
【0092】
この実施例は、シャフト本体およびこれと係合するゴルフクラブホーゼルの間の遷移を構成するフェルーレを欠いている。そのかわり、第2の外側寸法が、係合ホーゼルの外側寸法とほぼ同じになるように選択されスムーズな遷移が実現される。さらに、インタフェース部材248が、シャフト本体244の肩部256とホーゼルの間に介挿され、また、このインタフェース部材248の外側寸法が、シャフト本体244とホーゼルとの間のスムーズな遷移を実現するように選択されている。
【0093】
インタフェース部材248は、一体の舌部250の形態の複数の整合機構を形成する。インタフェース部材248は、同時成型または接着により、シャフト本体244に連結される。インタフェース部材248は、組み立てられたゴルフクラブヘッドにおいて肩部256およびホーゼルの間に介挿されるので、インタフェース部材248とシャフト本体244との間の結合は、それらの間の相対的な回転を阻止するためにのみ必要となる。さらに、インタフェース部材248は内部に機械機構、例えば、フィン、ネジ、ギザギザ等を含んで、捩じり力が加わったときにシャフト本体244に対する回転抗力を増大するようにしてもよい。インタフェース部材は任意の所望の金属性または非金属性の材料から構築されて良いけれども、好ましくは金属性の材料、例えば、アルミニウム、チタン、スチール、およびその合金から構築される。
【0094】
図30を参照すると、一体化された締め付け機構および整合機構を含むゴルフクラブの他の実施例が説明される。シャフト262は、シャフト本体264と、締め付け部材266と、複数の舌部270を含むインタフェース部材268とを含む。この実施例は締め付け部材266の代替的な構成を採用するけれども、その他は図27〜29を参照して先に説明した実施例と同様である。
【0095】
締め付け部材266は、シャフト本体264の末端部分に結合されたインサートである。締め付け部材266は、シャフト本体264から伸びる長尺の部材である。締め付け部材266の少なくとも末端部分はネジ溝付けされ、これにより、ネジ溝付きのファスナ、例えばナット272と係合する。締め付け部材266の基端部分はシャフト本体264の内部に収容されこれと結合され、これは外部の機械機構、例えば、フィン、ネジ、ギザギザ等を含んで、捩じり力が加わったときにシャフト本体264に対する回転抗力を増大したり、張力が加わったときに締め付け部材266がシャフト本体264から引き出されないようにするようにしてもよい。好ましくは、締め付き部材266は、締め付け部材266の回りを包んで締め付け部材をシャフト本体にしっかりと固定するコイルである連続的なファイバを用いて、シャフト本体264と一体成型される。
【0096】
ナット272はネジ溝付きの穴276を形成する本体274を含むネジ溝付きの穴276は締め付け部材266と係合するように構成される。本体274は、好ましくは、金属性の材料、例えば、アルミニウム、チタン、スチール、タングステン、およびこれらの合金から構築される。ナット272はウエイト部材として使用されても良い。例えば、異なる材料から製造され、および/または、異なる体積を持つ複数のナットを設けて良く、複数の中から、組み立てられたゴルフクラブの所望の最終的なスイングウエイトを実現する1つが選択されてよい。
【0097】
この発明の実施例はドライバータイプのクラブとともに例示されている。しかしながら、任意のタイプのゴルフクラブがこの発明の交換可能なシャフトシステムを採用できることに留意されたい。例えば、アイアンタイプのゴルフクラブが交換可能なシャフトシステムを含んで良く、さらに、交換可能なシャフトシステムはクラブのライ角を調整するように構成されて良い。さらに、交換可能なシャフトシステムは、ゴルフ以外の用具、例えば、釣り竿、銃器の照準器、配管等とともに用いて良い。
【0098】
ここに開示されたこの発明の事例的な実施例はこの発明の目的を達成するけれども、多くの変更および他の実施例を当業者が工夫することができることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲はすべてのそのような変更例および実施例をカバーするように意図されており、これらはこの発明の精神および範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
10 シャフトシステム
12 シャフト
14 シャフトスリーブ
16 クラブヘッド
18 ファスナ
20 ホーゼル
222 ゴルフクラブシャフト
224 シャフト本体
226 締め付け部材
228 フェルーレ
230 整合補助部
232 穴
234 穴
236 舌部
238 インタフェース部材
242 シャフト
244 シャフト本体
246 締め付け部材
248 インタフェース部材
250 舌部
253 穴
254 穴
256 肩部
258 ファイバ
262 シャフト
264 シャフト本体
266 締め付け部材
268 インタフェース部材
270 舌部
272 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホーゼルと少なくとも1つのホーゼル整合機構とを含み、上記ホーゼルが穴を形成し、上記ホーゼル整合機構が上記ホーゼルの基端に隣接して配置される、ゴルフクラブヘッドと、
締め付け部材と、上記締め付け部材と別体の少なくとも1つのシャフト整合機構とを含み、上記少なくとも1つのシャフト整合機構は上記ホーゼル整合機構の形状と補完するような形状を有し、上記締め付け部材と上記少なくとも1つのシャフト整合機構とが一体化してシャフト構造を形成する、長尺のシャフトと、
上記締め付け部材と係合して上記シャフトを上記クラブヘッドに取り外し可能に結合するファスナとを有することを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項2】
上記シャフト構造に一体化されるフェルーレをさらに有する請求項1記載のゴルフクラブ。
【請求項3】
上記少なくとも1つのシャフト整合機構は上記フェルーレに一体化される請求項2記載のゴルフクラブ。
【請求項4】
上記シャフトは、段差のある外側表面を有するように、少なくとも1つの肩部を有する請求項1記載のゴルフクラブ。
【請求項5】
上記少なくとも1つのシャフト整合機構は上記肩部に隣接して配される請求項4記載のゴルフクラブ。
【請求項6】
上記少なくとも1つの整合機構に結合されるインタフェース部材をさらに有し、上記インタフェース部材は上記少なくとも1つの整合機構の摩耗耐性を増大させる請求項1記載のゴルフクラブ。
【請求項7】
上記締め付け部材は上記長尺のシャフトから伸びるネジ溝付きの柱部である請求項1記載のゴルフクラブ。
【請求項8】
上記ファスナは、異なる重量の複数のネジ溝付きナットから選択されたネジ溝付きのナットである請求項7記載のゴルフクラブ。
【請求項9】
上記締め付け部材は上記長尺のシャフトの末端部分に配される円筒形のネジ溝付きインサートである請求項1記載のゴルフクラブ。
【請求項10】
上記円筒形のインサートは第1の長手方向の軸を伴うネジ溝付きの穴を形成し、上記長尺のシャフトは上記第1の長手方向の軸に対して角度付けられた第2の長手方向の軸を有する請求項9記載のゴルフクラブ。
【請求項11】
ホーゼルと、上記ホーゼルの基端の回りに周方向に離間させられ上記ホーゼルの側壁を通じて伸びる複数のノッチとを含み、上記ホーゼルが穴を形成する、ゴルフクラブヘッドと、
長尺のシャフトであって、締め付け部材と、上記長尺のシャフトの末端部分の外側表面を超えて横方向外側に伸びる複数の舌部とを含み、上記複数の舌部は上記締め付け部材と別体であり、上記シャフトの末端から離間され、上記締め付け部材および上記複数の舌部は一体化されてシャフト構造を形成し、上記末端部分が上記穴内に収容され、上記舌部は上記ノッチと係合する、上記長尺のシャフトと、
上記シャフトを上記クラブヘッドに取り外し可能に結合するファスナとを有することを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項12】
上記シャフト構造に一体化されるフェルーレをさらに有する請求項11記載のゴルフクラブ。
【請求項13】
上記複数の舌部は上記フェルーレに一体化される請求項12記載のゴルフクラブ。
【請求項14】
上記シャフトは、段差のある外側表面を有するように、少なくとも1つの肩部を有する請求項11記載のゴルフクラブ。
【請求項15】
上記複数の舌部の少なくとも1つは上記肩部に隣接して配される請求項14記載のゴルフクラブ。
【請求項16】
基端および末端を形成する、長尺の円筒形のシャフト本体であって、上記基端が第1の外側寸法を有し、上記末端が上記第1の外側寸法より小さな第2の外側寸法を有する、上記シャフト本体と、
上記シャフト本体に一体化され、上記シャフト本体の末端部分の外側表面を超えて横方向外側に伸びる複数の舌部であって、当該舌部は上記シャフトの末端から離間される、上記複数の舌部と、
上記シャフト本体と一体化され、ネジ溝付きのファスナと係合するように構成された締め付け部材とを有することを特徴とするゴルフクラブシャフト。
【請求項17】
上記シャフト本体構造に一体化されるフェルーレをさらに有する請求項16記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項18】
上記シャフトは、段差のある外側表面を有するように、少なくとも1つの肩部を有する請求項16記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項19】
上記複数の舌部の少なくとも1つは上記少なくとも1つの肩部に隣接して配される請求項18記載のゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−218170(P2011−218170A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−85063(P2011−85063)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【Fターム(参考)】