説明

交換可能なブレスレットないしストラップを有する携帯用物品

【課題】ブレスレットないしストラップの固定及び交換が容易であり、簡単で安価に製造できる携帯用物品を提供する。
【解決手段】携帯用物品1はケース2の中間部材4を含み、前記中間部材4から2対のホーンが延在し、前記ホーンの各対がガイド要素50により連結されて、前記中間部材4と共に空間を画成している。固定手段18は、前記ブレスレットないしストラップ14の各端部30に挿入されるロック部材20と、前記中間部材4上に配置された少なくとも1つの溝22とを含む。前記固定手段18は、前記ブレスレットないしストラップ14の各端部が、前記中間部材4と、前記ガイド要素50により連結された前記ホーンの各対により画成された空間に挿入されることを可能にし、それにより、前記ブレスレットないしストラップ14を前記ケース2に固定するために前記ロック部材20が前記溝22と弾性的に協働するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース及びブレスレットないしストラップを含む携帯用物品に関する。前記ケースは中間部材を含み、この中間部材から2対のホーンが延在している。ホーンの各対が、前記中間部材と共に空間を画成するガイド要素により連結されている。
【背景技術】
【0002】
ブレスレットないしストラップによりユーザの手首に固定される腕時計が従来技術にて知られている。革、ゴム又は金属からつくられ得るブレスレットないしストラップが、腕時計のホーンの対(組)に、前記ホーンに固定された金属ピンを介して連結される。
【0003】
これらのブレスレットないしストラップの欠点は、これらのブレスレットないしストラップをユーザ自身が取り替えることができないことである。実際、ユーザがブレスレットないしストラップを、摩耗又は美観的理由により取り替えたい場合、ユーザは、通常、交換作業を行うために専門店に行かなければならない。この作業には時間がかかり、また、幾らかの費用がかかる。
【0004】
交換可能なブレスレットないしストラップが設けられた携帯用物品が、図7に示すように、従来技術からも知られる。これらのシステムの1つであるシステム100は、枢動(ピボット式)ばね構造を用いる。これを達成するために、傾斜カバー101がホーンの間に配置されている。このカバー101は、ホーン間に配置されたピン102を収容している。ロック部材103が前記ピン102の周囲に枢動可能に取り付けられている。このロック部材103は、ピン102に沿って延在する本体104を含む。第1のストリップ105が、本体104から、傾斜カバー101の方向とほぼ同一の方向に延在している。この第1のストリップ105は、その端部にフック106を含む。本体104は第2のストリップ107も含み、第2のストリップ107は、第1のストリップ105に対して垂直の方向に、カバー101から離れるように延在している。また、本体104は突出部108も含み、突出部108は、ばね109がカバー101と突出部108との間に配置されることができるように、第1のストリップ105の方向に対して反対の方向に延在している。従って、第2のストリップ107を押すことにより本体104が枢動され、これにより第1のストリップ105が枢動して、図7に示されているようにばね109を収縮させる。
【0005】
非動作時には、この第1のストリップ105は、傾斜カバー101の方向とほぼ同一の方向に延在する。ブレスレットないしストラップ110の幅は、ホーン間の幅と等しい。ブレスレットないしストラップの各端部111が、傾斜カバー101と係合するようにつくられたスロット112を含む。ブレスレットないしストラップが傾斜カバー101と係合されたとき、ロック部材103部は、連結を容易にする動作位置に配置され、ばね109は収縮される。ブレスレットないしストラップが傾斜カバー101に連結されたならば、ロック部材103は、第1のストリップ105のフック106がブレスレットないしストラップのロック部材材113と協働するように非動作位置に配置され、それにより、ブレスレットないしストラップは解けなくなる。
【0006】
この物品の欠点の1つは、この物品が複雑であることである。実際、この物品は、ケース及びブレスレットないしストラップが基本的な腕時計と比較して大幅に変えられるため、かなりの変更が必要であり、それゆえ、追加のコストが発生する。
【0007】
別の欠点は、固定システムの1つ、例えば、ストリップ又はばねの1つが損傷した場合、その交換が複雑であり、時間がかり、高価であることである。実際、ユーザがその損傷部品を交換できるように専門店に行くことが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の欠点を克服する携帯用物品に関する。これらの欠点の克服は、ブレスレットないしストラップを前記携帯用物品のケースに固定するための、簡単にかつ迅速に使用及び製造され、且つ、ブレスレットないしストラップが容易且つ安価に交換されることを可能にするシステムを含む携帯用物品を提供することにより達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は上記の携帯用物品に関連し、この携帯用物品は、固定手段を含むことを特徴とする。前記固定手段は、ブレスレットないしストラップの各端部に挿入されるロック部材と、中間部材上に配置された少なくとも1つの溝とを含む。前記固定手段は、前記ブレスレットないしストラップの各端部が、中間部材と前記ガイド要素により連結されたホーンの各対とにより画成された空間に差し込まれることを可能にするように、且つ、前記ブレスレットないしストラップの各端部をロックするために前記溝及び前記ガイド要素と弾性的に協働するように配置される。
【0010】
有利な実施形態が請求項2〜11の主題を形成している。
【0011】
これらの実施形態の第1の利点は、これらの実施形態が、前記ブレスレットないしストラップが迅速且つ簡単に交換されることを可能にすることである。実際、前記固定手段は、弾性要素がその内部に固定される、支持体を含むロック部材を含む。前記支持体は前記ストランド内に、前記ストランドの端部にて挿入される。前記弾性要素は主板を含み、前記主板から2つの平行な枝状部が延在し、前記枝状部は、前記主板と共に0度より大きい角度を形成するように折り曲げられている。枝状部の各々が、前記中間部材の前記溝と協働するフックを含む。前記枝状部に圧力を加えることにより、前記枝状部が、前記主板に向って、前記枝状部と前記主板との向かい合う面が接触するまで近づく効果が得られる。これは、前記ブレスレットないしストラップのストランドが前記ケースに容易に固定されることを可能にする。なぜなら、前記ブレスレットないしストラップのストランドを、前記中間部材と前記ガイド要素により連結された前記ホーンとにより画成された前記空間に挿入するのに必要なことは、前記弾性要素の前記枝状部に簡単に圧力を加えることだけであるからである。ロックを外すことは、前記枝状部に圧力を加えることにより行われる。このように、前記ブレスレットないしストラップを前記ケースに取り付けてロックするために、又はこのロックを外すためにこの弾性要素に必要なことは、ユーザによる簡単な操作だけである。
【0012】
別の利点は、前記固定システムが非常に実用的であることである。このシステムは、前記ブレスレットないしストラップの各端部に挿入される支持体を含む。前記ブレスレットないしストラップを前記ケースにロックするための弾性要素が前記支持体に挿入される。従って、前記支持体と弾性要素とが1つの部品のみを形成する場合、金型の個数がより少なくなるため、コストが低減される。これらの2つの部品が別々である場合、前記弾性要素を、前記弾性要素が損傷した場合に交換することが可能である。その場合、ユーザは前記弾性要素を交換するだけでよく、ブレスレットないしストラップ全体を交換する必要はない。
【0013】
さらに、2つの別個の部品を有することは、これらの部品が異なる材料からつくられることができることを意味する。従って、これは、前記弾性要素が、前記支持体の機械的特性とは異なる機械的特性を有する材料からつくられることができることを意味する。従って、硬質であるが軽量の材料からつくられた支持体と、摩耗しにくく、従ってより長持ちする弾性要素とを有することが可能である。
【0014】
前記携帯用物品の目的、利点及び特徴は、本発明の少なくとも1つの実施形態に関する以下の詳細な説明において、より明確になるであろう。これらの実施形態は、限定的でない例として提示されるに過ぎない。また、これらの実施形態を図面により例示する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に従う携帯用物品の第1の実施形態を概略的に示す。
【図2】本発明に従う携帯用物品の第1の実施形態の上面図を概略的に示す。
【図3】本発明に従う弾性要素を概略的に示す。
【図4】本発明に従う弾性要素を概略的に示す。
【図5】本発明に従う弾性要素の変型例を概略的に示す。
【図6】本発明に従う携帯用物品の第2の実施形態を概略的に示す。
【図7】従来技術に従う、ブレスレットを固定するためのシステムを有する携帯用物品又は時計を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の記載において、当該技術分野にて当業者に公知の携帯用物品の部品は簡単に説明するだけにする。
【0017】
<実施例1>
図1及び図2は、本発明に従う携帯用物品の第1の実施形態の図を示す。この携帯用物品1は、この実施形態において時計の形態である。携帯用物品1が、例えば、携帯用の心拍数モニタ又は歩数計の形態であり得ることも明らかであろう。
【0018】
この携帯用物品1はケース2を含む。ケース2は、裏蓋6により閉鎖された中間部材4及び文字板保護ガラス(クリスタル)8から形成されている。ケース2は、また、ベゼル(枠)10も含む。ベゼル10は中間部材4上に配置され、且つ、文字板保護ガラスを保持している。ベゼル10は回転ベゼルであってよく、又は回転ベゼルでなくてもよい。
【0019】
中間部材4はホーン(ラグとも称される)12を含み、ホーン12は、ブレスレットないしストラップ14を、ブレスレットないしストラップ14がユーザの手首に付けられることができるように前記携帯用物品1に固定する。これらのホーン12はガイド要素50により互いに連結され、ガイド要素50はこれらのホーン12を、中間部材と共に空間又は開口部を画成するように連結させている。このガイド要素50は、例えば、棒又は板の形態であり得る。ブレスレットないしストラップ14は、固定システムにより互いに連結された2つのブレスレットないしストラップのストランド16(例えば、展開バックル)の形態を有する。各ブレスレットないしストラップのストランド16が、固定手段18によりケース2に固定される。
【0020】
本発明は、前記ブレスレットないしストラップ14をケース2に簡単且つ迅速に固定するためのシステムを提示する。
【0021】
ブレスレットないしストラップ14は、ストランド16(例えば、ゴム又はシリコンなどの柔軟な材料からつくられる)から形成されている。固定手段18は、ブレスレットないしストラップのストランド16に固定されるロック部材20を含む。このロック20部は、ケース2の中間部材4に配設された溝22と協働する。
【0022】
ロック部材20は支持体24を含む。この支持体はベース26を含み、ベース26からヘッド28が延在している。ベース26の、ヘッド28との接合部における部分は、ヘッド28の部分とは異なり、好ましくは、ヘッド28の部分よりも大きい。支持体24が、ストランド16にその端部30にて挿入される。これを達成するために、ブレスレットないしストラップのストランド16の端部30は、支持体24が挿入される凹部32を有するように構成されている。この凹部32は、支持体24のベース26がブレスレットないしストラップのストランド16によりほぼ完全に又は完全に包囲されるようにつくられている。この目的のために、ベース26は、その外形をほぼ三角形にすることが可能であり、ヘッド28との接合部に位置する部分は、ベース26の端部に位置する部分よりも大きい。この構成は、ブレスレットないしストラップのストランド16における支持体24の保持を変えずに支持体24をより良好に位置決めすることを可能にする。さらに、これは、ブレスレットないしストラップのストランド16の輪郭をより細くすることを可能にする。
【0023】
また、凹部32は、ブレスレットないしストラップのストランド16がケース2に取り付けられるときに、中間部材4に面しているヘッド28の面34が前記ブレスレットないしストラップのストランド16により包囲されないよう、支持体24のヘッド28が部分的にのみ包囲されるように配置される。従って、この面34は、弾性要素38が収容されるハウジング36を含む。支持体24のヘッド28は、ホーン12と、前記ホーンに連結されたガイド要素50とにより画成された空間の形状と同一又はほぼ同一の形状を有し、従って、ヘッド28は前記空間内に容易に挿入されることができる。
【0024】
弾性要素38(図3及び図4に示す)は、主板40が支持体24のヘッド28のハウジング36内に収容されることができるようなほぼ平行6面体形の主板40を含む。少なくとも2つの枝状部42が、この主板40から、平行に、又はほぼ平行に延在している。これらの枝状部42の長さは主板40の長さと実質的に同一である。2つの枝状部32は、主板40の方向に、0度より大きい角度が枝状部42と主板40との間に形成されるように、すなわち、枝状部42と主板40との間に空間が維持されるように折り曲げられている。こうして、内側の輪郭44が、弾性要素38の枝状部42と主板40とが向き合う面により画成される。外側の輪郭46は、弾性要素38の枝状部42及び主板40の外面により画成される。この構成が、弾性要素38が弾性を有することを可能にしている。実際、この弾性は、力が枝状部42に対して主板40の方向に加えられた後、前記力が加えられなくなると即時に枝状部42がその元の位置に戻ることが知られる場合に観察される。弾性要素38は、さらに2つのフック48を含み、各フックが、枝状部42の1つの外側輪郭46の上に延在する。各フック48は、好ましくは、直角を有する台形とほぼ同一の形状を有する。
【0025】
もちろん、フック48が必ずしも枝状部42の端部に配置されることはなく、また、枝状部42の長さが主板40の長さよりも長くてよいことが明らかであろう。
【0026】
弾性要素38は、支持体24のハウジング36内に、フック48が支持体24の外部に向けられ、且つ支持体24のヘッド28の輪郭に対して突出するように挿入される。弾性要素38は、連結手段又は同様の結果をもたらすその他の手段の内部に押し込まれることにより挿入され得る。また、前記弾性要素38は、交換のためにハウジング36から容易に取り外し得るように構成される。
【0027】
ブレスレットないしストラップ14がケース2に固定されるとき、弾性要素38を含む支持体24のヘッド28が、ホーン12と前記ホーンに連結しているガイド要素50とにより画成された空間に挿入される。支持体24のヘッド28が、ホーン12により画成された空間の形状と実質的に同一の形状を有するため、ガイディング(誘導)が完全に行われる。フック48が支持体24のヘッド28の輪郭に対して突出しているため、挿入中、ケース2が枝状部42に圧力をかける。これにより、枝状部42が主板40に向って、枝状部42と主板40との対向面が接触するまで近づく。フック48はもはや支持体24のヘッド28の輪郭に対して突出していない。こうして、挿入を遅らせ、又は妨げる障害がなくなるため、挿入がより容易にされる。
【0028】
ヘッド28の挿入(従って支持体24の挿入も)を停止するために、ベース26が、ストップ(停止)部材として用いられる。実際、先に述べたように、ベース26は、ヘッド28との接合部に、ヘッド28の部分よりも大きい部分を有する。従って、この部分は、ホーン12及び/又はガイド要素50と接触することができる面をもたらすように配置される。実際、ホーン12及び/又はガイド要素50と、ブレスレットないしストラップ14のゴム・コーティングされたベース26のこの面との間に、接触部が、ホーン12、中間部材14及びガイド要素50により画成された空間への前記ストランド16の端部挿入位置を画定するように配置される。
【0029】
挿入の状態が、ベース26がストップ部材として働く状態であるとき、中間部材4上に配置された溝22は、枝状部42に加えられた力がもはや加えられず、且つ、枝状部42のフックが前記溝22内に収容されることができるような有用な位置にある。これにより、枝状部42はその初期位置に戻る。この有用な配置が、ヘッド28がホーン12の間に画成された空間と同一又はほぼ同一の形状であるという事実と組み合わされて、前記ブレスレットないしストラップ14がケース2上に固定及び保持されることを可能にする。
【0030】
中間部材4とガイド要素50により連結されたホーン12とにより画成された空間と同一又はほぼ同一の形状を有するヘッド28は、前記ヘッド28を前記空間内に完全にガイドすることだけでなく、前記空間内での水平方向及び横方向の良好な保持も可能にする。垂直方向の保持は、フック48及びベース26により達成され、フック48及びベース26は、それぞれ、上方から下向きの、及び、下方から上向きのどのような移動も防止する。
【0031】
ブレスレットないしストラップ14をケース2から取り外すために行われなければならない操作は非常に簡単である。この操作は弾性要素38に力を加えることにある。
【0032】
ブレスレットないしストラップのストランド16を取り外すために、ユーザは、枝状部42に力が加えられるように弾性要素38に力を加える。こうして押すことにより、枝状部42は、枝状部42と主板40との向い合う面が接触するまで主板40に向って近づく。このときフック48はもはや支持体24のヘッド28の輪郭に対して突出しておらず、従って、もはや溝22内に収容されていない。そして、ユーザは、ホーン12により画成された空間からストランド16を取り外すためには前記ストランド16を引っ張ることができる。
【0033】
枝状部42を押すことを容易にするために、前記枝状部の長さを主板40の長さよりも長くして、ユーザの指との接触面をより大きくすることもできる。同様に、中間部材4及び/又は裏蓋6に切欠きを設けることが可能である。この切欠きは、ユーザがより容易に枝状部42に達することを可能にし、従って、枝状部42を押すことを容易にする。
【0034】
この第1の実施形態の第1の変型例において、弾性要素38と支持体24とを異なる材料からつくることができる。実際、これらの2つの要素は異なる機能を有するため、これらの要素の構成材料を、それぞれの部品に従って適合させ得る。従って、支持体24が、変形せずに機械的応力に耐えるように硬質でなければならない場合、弾性要素は、その弾性限界が低すぎて弾性効果を失うようなものではない、容易に変形する材料から形成されなければならない。従って、例えば、支持体24を金属又は合金のいずれかからつくり、弾性要素38をプラスチックからつくることができる。或いは、支持体24をプラスチックから、弾性要素38を金属又は合金からつくることができる。同様に、支持体24及び弾性要素38の両方を金属又は合金から(しかし、各々に異なるタイプ、例えば、支持体24は硬質で軽量の、弾性要素38は柔軟な金属又は合金から)つくることができる。この可能性により、異なる材料を異なる費用で使用することができるため、コストも最適化される。
【0035】
ブレスレットないしストラップのストランド16が金属又は合金からつくられる第2の変形例において、支持体24も金属又は合金からつくられることができる。この場合、支持体24がブレスレットないしストラップのストランド16に直接組み込まれると想定することは完全に可能である。この構成は、単一の金型が用いられることによりコストを低減し、それだけでなく、支持体24を前記ストランド16の適切な位置に設置するステップが製造中に直接行われるため、製造方法を簡略化する。
【0036】
図5に示されている第3の変型例において、弾性要素38は枝状部42を1つだけ有することができる。この単一の枝状部42は、その幅が主板40の幅とほぼ等しく、少なくとも1つのフック48を含む。この変型例の利点は、枝状部42に圧力がより一層簡単に加えられることを可能にすることである。なぜなら、操作される枝状部42が1つだけであり、また、枝状部42が幅広であるため、取り扱い易いからである。さらに、これは、金型の製造を簡単することを可能にする。なぜなら、枝状部42の幅が、好ましくは主板40の幅と同一であるからである。
【0037】
<実施例2>
図6に示されている本発明の第2の実施形態に従えば、ロック部材20’を形成している弾性要素38と支持体とは、一体で同一の部品である。この構成は、製造方法を簡単にし、またコストも低減するという利点を有する。実際、この構成の利点は、ロック部材20’をつくるために1つの工程のみしか必要としないことである。一方、第1の実施形態に従うロック部材20をつくるためには3つの工程が必要であり、これらは、支持体24を製造する1つの工程、弾性要素38を製造する工程、及び、弾性要素38と支持体24とを組み立て、それによりロック部材20を形成する工程である。従って、この方法は、より単純でより迅速になっているだけでなく、より安価になっている。なぜなら、この場合も金型の個数がより少なく、また、組み立てラインがより単純であるからである。このロック部材20’が、任意の可能な方法(例えば、成型、機械加工、又はその他の方法)によりつくられることができることが明らかであろう。ロック部材20’は、ロック部材20’を形成する材料が硬質であるならば、金属若しくは合金又はプラスチックからつくられることができる。
【0038】
この第2の実施形態の第1の変型例において、ブレスレットないしストラップ14が金属又は合金からつくられることができる。従って、ロック部材20’が金属又は合金からつくられるならば、ロック部材20’は、前記ブレスレットないしストラップのストランド16と同時に、単一の部品を形成するようにつくられることができる。得られる利点は、単一の金型が用いられることによるコストの低減であり、それだけでなく、方法の簡略化もある。なぜならロック部材20’を前記ストランド16の適切な位置に設置する工程が、製造中に直接行われるからである。
【0039】
この第2の実施形態の第2の変型例において、支持体24と共に単一の部品を形成する弾性要素38は、1つの枝状部42のみを有することができる。この変型例の利点は、操作される枝状部42が1つのみであり、この枝状部42は、好ましくは幅広で、従って取り扱いが容易であるため、より一層簡単に枝状部42に圧力を加えることが可能になることである。さらに、これは、金型の製造を簡単にする。なぜなら、ロック部材20’の複雑性が低減されるからである。
【0040】
別の変型例において、中間部材と、ガイド要素50により連結されたホーン12とにより画成される空間は貫通空間でなくてもよく、前記空間は片側のみ開放されている。従って、この構成はロック部材20,20’が隠されることを可能にする。これは、また、ロック部材20,20’の形状に関する制限を少なくすると共に、携帯用物品の魅力が損なわれることを回避する。
【0041】
以上に詳細に説明した本発明の様々な実施形態に、当業者にとって明らかな、様々な変更及び/若しくは改良、並びに/又は組合せが、添付の特許請求の範囲により定義された本発明の範囲から逸脱せずに行われることができることが明らかであろう。実際、弾性要素38は、もちろん、2つより多くの枝状部42を含むことができる。また、枝状部は、複数の溝22と協働する複数のフック48を含むことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 携帯用物品; 2 ケース; 6 裏蓋; 8 文字板保護ガラス;
10 ベゼル; 12 ホーン; 14 ブレスレットないしストラップ;
16 ストランド; 18 固定手段; 20 ロック部材; 22 溝;
24 支持体; 26 ベース; 28 ヘッド; 30 ストラップの端部;
32 凹部;」 36 ハウジング; 38 弾性要素; 40 主板;
42 枝状部; 48 フック; 50 ガイド要素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(2)及びブレスレットないしストラップ(14)を含み、前記ケースが中間部材(4)を含み、前記中間部材(4)から2対のホーン(12)が延在し、前記ホーンの各対がガイド要素(50)により連結されて前記中間部材と共に空間を画成する携帯用物品において、前記携帯用物品が固定手段(18)を含み、前記固定手段(18)が、前記ブレスレットないしストラップの各端部(30)に挿入されるロック部材(20,20’)と、前記中間部材(4)上に配置された少なくとも1つの溝(22)とを含み、前記固定手段(18)が、前記中間部材と前記ガイド要素により連結された前記ホーン(12)の各対とにより画成された前記空間に前記ブレスレットないしストラップの各端部が差し込まれることを可能にするように、且つ、前記ブレスレットないしストラップの各端部をロックするために前記溝(22)及び前記ガイド要素(50)と弾性的に協働するように構成されていることを特徴とする携帯用物品。
【請求項2】
前記ロック部材(20,20’)が、前記ブレスレットないしストラップの各端部(30)に挿入される支持体(24)と、前記ブレスレットないしストラップを前記空間内に保持するように、前記携帯用物品の前記中間部材上に配置された前記溝(22)と協働する弾性要素(38)とを含むことを特徴とする請求項1に記載の携帯用物品。
【請求項3】
前記弾性要素(38)が主板(40)を含み、前記主板(40)から少なくとも1つの枝状部(42)が、0度より大きい角度を主板(40)と共に形成するように折り曲げられて延在し、且つ、前記枝状部が、前記中間部材の前記少なくとも1つの溝(22)と協働する少なくとも1つのフック(48)を含むことを特徴とする請求項2に記載の携帯用物品。
【請求項4】
前記弾性要素(38)が2つの枝状部(42)を含み、前記枝状部(42)が前記主板(40)から同一方向に且つ平行に延在し、且つ同一方向に折り曲げられ、且つ、前記2つの枝状部の各々が、前記中間部材の前記の溝(22)と協働する少なくとも1つのフック(48)を含むことを特徴とする請求項3に記載の携帯用物品。
【請求項5】
前記支持体(24)がベース(26)を含み、前記ベース(26)からヘッド(28)が延在し、前記ブレスレットないしストラップ(14)が前記ケース(2)に固定されるときに、前記ヘッド(28)が、前記中間部材とガイド要素(50)により連結された前記ホーン(12)の各対とにより画成された前記空間を占めるように前記支持体が前記ブレスレットないしストラップの一端(30)に挿入され、且つ、前記ヘッド(28)の、前記固定動作中に前記中間部材に対向する面(34)が、前記弾性要素(38)がその内部に固定されるハウジング(36)を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の携帯用物品。
【請求項6】
前記ベース(26)と前記ヘッド(28)との接合部では、前記ベース(26)の部分が、前記ヘッド(28)の部分よりも大きく、それによりストップ部材として機能することを特徴とする請求項5に記載の携帯用物品。
【請求項7】
前記弾性要素(38)が前記支持体(24)に、前記支持体(24)内に押し込まれることにより固定されることを特徴とする請求項5に記載の携帯用物品
【請求項8】
前記弾性要素(38)が前記支持体(24)に接着により固定されることを特徴とする請求項5に記載の携帯用物品。
【請求項9】
前記弾性要素(38)と前記支持体(24)とが同一の硬質材料からつくられることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の携帯用物品。
【請求項10】
前記弾性要素(38)と前記支持体(24)とが異なる硬質材料からつくられることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の携帯用物品。
【請求項11】
前記支持体(24)と前記弾性要素(38)とが単一の部品を形成することを特徴とする請求2に記載の携帯用物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−107142(P2011−107142A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256612(P2010−256612)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(504277148)