説明

交換可能な腕時計ストラップを腕時計に取り付けるための装置

本発明は、腕時計ストラップ(3)を腕時計(1)に取り付けるための装置に関し、装置は、連結金具(12,5)により腕時計(1)に接続され、リストバンド(腕時計ストラップ)(3)用の座を画成するゲート(4)を具備し、ピン(15)の周囲を回転できるように取り付けられたラッチ(8)と、閉鎖されたゲート(4)をラッチが保持する安定な閉鎖位置から、ゲート(4)が開放され且つ座(6)へアクセスを可能にする開放位置に向かって、ラッチを移動するためにラッチ(8)を作動可能にする制御部(14)を、具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計ストラップを腕時計に取り付けるための装置に関し、また対応する腕時計及びリストバンドにも関する。本発明は、リストバンドの使い易くて迅速な変換に特に適している。より一般には、本発明の装置は、ブレスレット、ネックレス又はいずれか他の手段によって取り付けし、信頼性ある、快適でかつ見て美しいことを必要とする、腕時計、宝石付きのアクセサリ、コンパス又は他のタイプから成るいずれか価値のある物に関する。以下の明細書において明瞭にするために、これは“リストバンド”と呼ばれる。
【背景技術】
【0002】
スイス特許公開公報第662 033号明細書は、腕時計の両側とリストバンドとの上に置かれた留め金を利用して、リストバンドを腕時計に連結するための第一の解決方法を記載している。二つの部品の各々は一方の端部にループを有し、このループは腕時計の留め金の中にはめ込まれる。この解決方法の利点は、使用するときの容易さとスピードである。第一の欠点は、その解決方法は腕時計にこれらの二つの取り付け留め金の追加を必要とし、その留め金は、腕時計の美的外観を大幅に変更し、あらゆるタイプの腕時計に組み込むことができるという訳ではないことである。この解決方法の第二の欠点は、リストバンドを時計に完全には取り付けできないことから生じる。この解決方法は、腕時計が、リストバンドから偶発的に外れないことを保証しない。
【0003】
仏国特許公開公報第2 732 786号明細書は、腕時計の端部に設けられた座に収納されるロッドにより貫通されるよう設計されたループをその端部に有するリストバンドを利用して、リストバンドを腕時計に取り付けるための別の解決方法を記載している。この解決方法と多くの従来技術の改良型実施形態も、リストバンドと腕時計との間にロッドを必要とする欠点を有し、リストバンドの取り付けと取り外しの際に、このロッドが紛失される危険を生じている。さらに、この特許に記載された解決方法では、ロッドを容易に座の中に滑り込ませ、かつ偶発的に放出される危険にさらす。この欠点を軽減するために、他の改良型実施形態は、ネジ込みにより腕時計に取り付けられる類似のネジ切りロッドを利用している。しかしながら、それらの実施形態は、それらが工具を必要とするなど複雑になっている欠点を有し、リストバンドの容易で使い易い変換をもはや可能にしない。
【0004】
最後に、国際公開公報第0057250号明細書は、中間構成部品を活用してケース、ベゼル及びリストバンドの組み合せを可能にする交換可能な構成部品付の腕時計を記載する第三の従来技術解決方法を記載している。この構成部品は、リストバンドを腕時計に取り付けるために一意的に使われる訳ではない。それは腕時計の外周を越える大きな寸法から成り、全ての腕時計又は全てのタイプのデザインに適切である訳ではない。さらに、組立体を閉鎖するための手段は複雑で信頼性がない。その理由は、その手段は溝の中に摺動されるために構成部品を必要とし、磨耗が発生した後で動かなくなる危険を与えるからである。
【0005】
従って、リストバンドを腕時計に取り付けるための、前述の欠点を有しない別の解決方法のためのニーズがある。
【発明の開示】
【0006】
その結果、本発明の第一の目的は、その操作の容易さによりリストバンドを交換可能にする、リストバンドを腕時計に取り付けるための、信頼性のある、使い易い装置にある。
【0007】
本発明の第二の目的は、コンパクトで、見て美しく、かつ全てのタイプの腕時計と互換性のある、リストバンドを腕時計に取り付けるための装置にある。
【0008】
本発明の第三の目的は、安価な、リストバンドを腕時計に取り付けるための装置にある。
【0009】
本発明の概念によれば、取り付け装置は、リストバンド用の座を具備するゲートを利用し、このゲートは、実行することが容易な別の制御部と、ゲートの閉鎖位置に対応する安定な“閉鎖”位置を占有できる仲介ラッチとにより容易に作動される。
【0010】
本発明は、請求項によって一層正確に規定される。
【0011】
本発明のこれらの目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照して、具体的で、非限定の実施形態から成る以下の記載において詳述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、腕時計1は、取り付け装置2によりリストバンド3へ接続される。取り付け装置2は、ピン5の周囲に連接されたゲート4の上に在り、リストバンド3の端部に固定された形で配置されるロッド7が置かれる座6を画成している。このゲート4は、丸みのある角を有し、その角の一つはゲート4のスロット10と協働し、ラッチの回転と開放を阻止するフック9の形の部分を有する、ほぼ三角形のラッチ8と接触している。ラッチ8は、ゲート4がピン5の周囲を回転して取り付けられる腕時計の部分12と接触し、ラッチの回転軸としての役目をする、別の丸みのある上部の角11を具備する。最終的に、ラッチは、ラッチの制御部14と接触する第三の、丸みのある後方の角13を具備する。この構造の詳細な動作は、後述される。
【0013】
図3aと3bに図示されるように、この取り付け装置は、腕時計1の端部に配置され、ゲート4は、腕時計の長方形の枠の大きい側に一致する長手方向に僅かに延びている。取り付け装置は、横方向に細長いボタンの形を有する制御部がある、腕時計の下部面上に置かれる。このタイプの配置は、腕時計の上部面の美的外観をさらに良くし、機構構成部品を下部面上で離れて置くことを可能にする。それはまた、この機構の意図しない作動を阻止することも可能にする。
【0014】
図4に一層詳細に図示されるように、腕時計1は、文字盤、ガラスとジョイント、及び基盤30上のベゼルから成る通常の積層配列を具備する。
【0015】
上部中央31は、リストバンドを取り付けるために本装置の回転ピン5上にゲート4を取り付けるために設計された支持延長部12を両側に具備し、基盤30はこの装置のその他の構成部品が重ね合わされる側部座面を具備する。
【0016】
この構成部品の重ね合わせは従って、以下の構成部品を以下の順序で具備する:
−垂直方向に延びている二つの長円形の開口17を具備し、これらの開口17を横断し基盤30の二つのネジ切りされた部品18に収納される二つのネジ19によって基盤30へ移動可能な連結を可能にしている、制御部14。制御部14はまた、ラッチ8の後方突出部分13が置かれる中央開口20も具備する;
−腕時計の基盤30の座面16に置かれ、前述の上部の丸みのある角11にほぼ相当する、ピン15の周囲を回転して取り付けられる、ラッチ8。
−ラッチのフック部分9の上方で、ラッチの前方にある二つの開口に収納される二つの小さな可撓性ロッド21。この部分9は、ゲート4の縁のスロット又は溝10と協働するが、ロッド21はゲートの上部表面と協働する。
【0017】
リストバンド3を腕時計1へ交換可能に取り付けるためのこの装置2の動作は、図5と6を参照して説明される。
【0018】
図5は、各側部取り付け装置の制御部14の取り付けネジ19の中心で腕時計を貫通する面内の、腕時計の長手方向、即ち、リストバンドと長方形の枠のより大きい側から成る方向の断面を示す。図6は、前述の面に平行な、腕時計の両側でラッチ8の中央を貫通する、別の面内の長手方向断面を示す。これらの二つの図面では、左側の取り付け装置2aは、開放位置にあるが、右側の取り付け装置2bは、閉鎖位置で図示される。
【0019】
ほぼ三角形のラッチ8は従って、ラッチが腕時計に対し回転するためにピン15に相当する上部の丸みのある角11、制御ボタン14と協働する後方下端部13、及びゲート4と協働する前方下端部9を具備する。
【0020】
閉鎖位置において、ラッチ8のピン15の上端部は、腕時計の支持部分12上に位置し、ラッチの端部13は、制御部14が端部に連結されるようにラッチの最も低い位置にあり、またラッチの端部9は、ラッチの最も高い位置にあり、ゲートの閉鎖位置においてゲートの縁のゲートの溝10に収納されるラッチのフックによりゲート4を保持している。制御部14は従って、その最も低い位置を占有し、ネジ19は、制御部の垂直方向の長円形の開口17の上部面上に位置している。この閉鎖位置は安定な位置である。実際、この位置においては、ゲート4の重さによりフック9の高さにあるラッチに働くモーメントは、フックが回転ピン15に極めて接近しているので、実質的にゼロである。また、特にラッチの上部の丸みのある部分11とラッチの重さの分布の観点からのラッチ8の形状は、ラッチの安定な閉鎖位置を画成し、ラッチの回転を達成するためにある程度の力を必要とする。
【0021】
開放位置に向かっての移動は、制御ボタン14を上向きに作動することにより達成され、その移動は、制御ボタンの長円形の開口17と基盤30の内部に設けられた空隙22との垂直方向の伸張によりボタンの変位を生ずる。この制御部14の上向きの移動は、制御部の長円形の開口17の下部面がネジ19と接触状態になるような地点まで可能である。この変位は、ラッチ8の端部13へ力を伝達し、その力は、ラッチのピン15の周囲にラッチを回転させ、フック9の下向きの回転を生じている。ラッチの形状は、制御部14の高い位置が、ラッチ8のフック9をゲート4の溝10から離れさせゲートを開放させることが可能なように提供される。同時に、ゲート4の上部表面上に位置するロッド21は、ゲートの下向きの回転とゲートの開放を生じ、ゲートを手で掴むことを可能にして、リストバンドのロッド7の取り外し及び/又は位置決め用の座6に到達する目的でゲートの開放移動を継続する。
【0022】
ゲート4は、手でゲートを作動し且つゲートを上向きに押圧することにより閉鎖される。この力は、ゲート4をロッド21上に位置させ、ラッチ8を閉鎖方向に回転させ、同時に制御部14下向きの移動を生じている。ラッチ8の上部の丸みのある部分11は、ゲート4を再閉鎖するために必要な力が比較的弱い形状である。しかしながら、完全にゲートを閉鎖するためには、ゲートの移動端部は、ゲートが実際に再閉鎖されることをユーザに示す、かすかに聞こえる音を伴う、ゲートの閉鎖平衡位置に向かうラッチの突然の回転を生ずるもっと強い力を必要とする。
【0023】
この装置は、腕時計1の延長部12上に取り付けられるゲートに基づく装置を用いる事例によって図示されてきた。しかしながら、同様な装置を、ピン5が腕時計の一方の端部に向かって収納されている、腕時計の容積の内部に完全に組み込むことができる。従って、この解決方法は、幾つかのタイプの腕時計、例えば丸い腕時計に対応でき、また様々な需要の多い美観のある配置に対応できる。
【0024】
制御部は、腕時計の通常の美的外観の関係で制御部を見えなくし目立たなくしている利点を提供しながら、同時に偶発的に制御部が作動されないようにしている、実質的には下部表面を越えては延びない、腕時計の下部面上に置かれてきた。それにもかかわらず、本発明のこの概念は、上部面上に置かれているこの装置を用いて使用されることがある。
【0025】
同様に、ゲートは、事例によって図示される以外の方向に開放されることがあり、またラッチは、同一の機能を実行するために別の形状を有することがある。
【0026】
最後に、記載される取り付け装置は、リストバンドの腕時計への取り付けに関する。記載される実施形態では、取り付け装置は、完全に腕時計上に配置され、リストバンドは、本発明に記載の取付けを実行するためにぴったりのロッドを有している。しかしながら、代替案として、実行される取り付け機能の全て又は一部は、リストバンドの端部に置かれ、腕時計上には置かれないのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に記載の腕時計とそのリストバンドの斜視図を示す。
【図2a】図2aは、前述の腕時計とリストバンドの断面図を示す。
【図2b】図2bは、リストバンドと腕時計との間の取り付け位置にある前述の断面の拡大図を示す。
【図3a】図3aは、本発明の一実施形態に記載の腕時計の上面の斜視図を示す。
【図3b】図3bは、本発明の一実施形態に記載の腕時計の底面の斜視図を示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に記載の腕時計の分解斜視図を示す。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に記載の腕時計の第一断面図を示す。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に記載の腕時計の第二断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計ストラップ(3)を腕時計(1)に取り付けるための装置であって、
連結金具(12,5)により前記腕時計(1)に接続され、リストバンド(前記腕時計ストラップ)(3)用の座を画成するゲート(4)を具備するものにおいて、
ピン(15)の周囲を回転できるように取り付けられたラッチ(8)と、閉鎖された前記ゲート(4)を前記ラッチが保持する安定な閉鎖位置から、前記ゲート(4)が開放され且つ前記座(6)へアクセスを可能にする開放位置に向かって、前記ラッチ(8)を移動するために、前記ラッチ(8)を作動可能にする制御部(14)、を前記装置が具備することを特徴とする、
腕時計ストラップ(3)を腕時計(1)に取り付けるための装置。
【請求項2】
前記ラッチ(8)は、前記制御部(14)と協働する後方端部(13)と、前記ゲート(4)と協働する前方端部(9,21)を具備して、前記制御部(14)が作動されるとき、前記ラッチ(8)が自身のピン(15)の周囲を回転することによって前記ゲートの開放をもたらすことを特徴とする、請求項1に記載の腕時計ストラップ(3)を腕時計(1)に取り付けるための装置。
【請求項3】
前記ラッチの前方端部は、前記ゲートの縁のスロット(10)と協働するフック部分(9)と、前記ゲート(4)の表面と協働する可撓性部分(21)を具備し、前記ラッチ(8)が前記開放位置に向かって回転するとき、前記フック部分(9)は前記ゲート(4)との協働を解除し、前記可撓性部分(21)は前記ゲート(4)の表面との協働を解除することを特徴とする、請求項2に記載の腕時計ストラップ(3)を腕時計(1)に取り付けるための装置。
【請求項4】
前記制御部(14)は、自身を前記腕時計(1)の基盤(30)に接続するための少なくとも一つの長円形開口(17)を具備し、該開口(17)を貫通するネジによって移動可能であって、また、前記腕時計の基盤(30)の座面(16)に置かれ、ピン(15)の周囲を移動可能に取り付けられた前記ラッチ(8)の後方部分(13)と協働する空洞(20)、を具備することを特徴とする、請求項1−3のいずれか1項に記載の腕時計ストラップ(3)を腕時計(1)に取り付けるための装置。
【請求項5】
前記ゲート(4)は、前記腕時計(1)の支持要素(12)上に取り付けられて、前記腕時計(1)の周縁に置かれたピン(5)の周囲を回転し、
前記ラッチ(8)のピン(15)は、前記腕時計の該支持要素(12)の下部面上に位置する前記ラッチ(8)の丸みのある上部部分(11)を形成することを特徴とする、請求項4に記載の腕時計ストラップ(3)を腕時計(1)に取り付けるための装置。
【請求項6】
前記制御部(14)の端部は、前記腕時計の下部面の窓において目に見え且つ作動でき、前記腕時計の基盤(30)の空隙(22)において垂直方向に移動可能であることを特徴とする、請求項5に記載の腕時計ストラップ(3)を腕時計(1)に取り付けるための装置。
【請求項7】
前記ラッチ(8)は、前記ゲート(4)が閉鎖されるとき、安定な、閉鎖位置を占有できることを特徴とする、請求項6に記載の腕時計ストラップ(3)を腕時計(1)に取り付けるための装置。
【請求項8】
前記腕時計は、長方形の形状を有し、
前記支持要素(12)は、前記腕時計の上部中央(31)に連結された、延長部分を形成することを特徴とする、請求項1−7のいずれか1項に記載の腕時計ストラップ(3)を腕時計(1)に取り付けるための装置。
【請求項9】
前記座(6)は、前記リストバンド(3)のロッド(7)を収納できることを特徴とする、請求項1−8のいずれか1項に記載の腕時計ストラップ(3)を腕時計(1)に取り付けるための装置。
【請求項10】
請求項1−9に記載の腕時計ストラップを取り付けるための装置を具備する腕時計。
【請求項11】
請求項1−9のいずれか1項に記載の取り付け装置と協働するために、一方の端部に取り付けられたロッド(7)を具備する腕時計ストラップ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−533445(P2008−533445A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555719(P2007−555719)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【国際出願番号】PCT/IB2006/000237
【国際公開番号】WO2006/087615
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(507274054)レイモンド ウェイル ソシエテ アノニム (1)
【Fターム(参考)】