説明

交通信号機の仮制御装置

【課題】従来、交通信号機の制御部が故障した場合、その制御部に対応した仮基板に交換するまで、信号機を使用できない場合があった。
【解決手段】本発明の交通信号機の仮制御装置は、道路交差点に複数設置された信号灯器のそれぞれの信号点灯順序及びその点灯時間を規定したデータを複数記憶した記憶部と、この記憶部に記憶された複数のデータから選択された1つのデータに基づき、上記各信号灯器の信号点灯命令を出力する出力部とよりなり、任意の道路交差点に複数設置された信号灯器のそれぞれの信号点灯順序及びその点灯時間を制御する交通信号機の制御部に代えて、一時的に使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交通信号機の仮制御装置、特に、交通信号機の故障した制御部の代わりに一時的に使用する交通信号機の仮制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交通信号機は、図5に示すように、1の交差点に複数設置された車両用や歩行者用などの信号灯器1と、道路脇等に設置された1つの信号制御機2とよりなり、この信号制御機2は、フラッシュメモリ等の記憶部を有する制御部3と、この制御部3からの命令により上記信号灯器1の赤、青、黄色の点灯・点滅等の信号点灯を実行せしめる灯器開閉部4とよりなる。
【0003】
また、上記記憶部3には、車両用の信号灯器においては赤、青、黄の信号点灯順序とその点灯時間、歩行者用の信号灯器においては赤、青、点滅の信号点灯順序とその点灯時間、矢印灯の信号灯器においては、青、無点灯の信号点灯順序とその点灯時間等のデータが記憶されている。
【0004】
上記交通信号機においては、上記信号制御機2の制御部3や灯器開閉部4が故障した場合には、仮制御機や仮基板を用意して上記制御部3または上記灯器開閉部4と交換し、上記制御部3や上記灯器開閉部4の修理を行う必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記信号制御機2の上記灯器開閉部4はメーカーや機種が違っていても、規格が共通なので仮基板と交換可能であるが、上記制御部3は、その記憶部3に記憶されたデータがメーカーや機種によって異なり、しかも、一部の信号制御機2においては、その制御部3に記憶されたデータを外部に取得することができないので、現場に上記故障した信号制御機2に対応した仮制御機が届くまで、信号機が使用できない事態が生ずる。そして、特に、休日、夜間はメーカーが対応できないので、長時間の間、信号機が使用できない場合がある。
【0006】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の交通信号機の仮制御装置は、道路交差点に複数設置された信号灯器のそれぞれの信号点灯順序及びその点灯時間を規定したデータを複数記憶した記憶部と、この記憶部に記憶された複数のデータから選択された1つのデータに基づき、上記各信号灯器の信号点灯命令を出力する出力部とよりなり、任意の道路交差点に複数設置された信号灯器のそれぞれの信号点灯順序及びその点灯時間を制御する交通信号機の制御部に代えて、一時的に使用することを特徴とする。
【0008】
また、上記データは、最大6つの車両灯と、最大6つの歩行者灯と、最大6つの矢印灯の各信号灯器の信号点灯順序をそれぞれ最大30ステップで規定されると共に、上記出力部に出力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の交通信号機の仮制御装置を用いれば、任意の信号制御機2の制御部3が故障した場合でも、現場に上記故障した信号制御機に対応した仮制御機が届くまで、或いは制御部3が修理されるまで、交通信号機を使用できるという大きな利益がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の交通信号機の説明図である。
【図2】本発明の交通信号機の仮制御装置の説明図である。
【図3】本発明の交通信号機の仮制御装置に使用するデータの現示階梯図である。
【図4】本発明の交通信号機の仮制御装置に使用するエクセル図の一例である。
【図5】交通信号機の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の交通信号機の仮制御装置5は、任意の道路交差点の信号制御機の制御部に代えて、一時的に上記信号制御機の灯器開閉部に接続される多目的制御装置であり、図1及び図2に示すように、1の道路交差点に複数設置された信号灯器1のそれぞれの信号点灯順序及びその点灯時間を規定したデータを複数記憶する記憶部6と、上記各信号灯器1の信号点灯を実行せしめる灯器開閉部4に接続される出力部7と、上記記憶部6に記憶された上記データに基づき上記出力部7に信号点灯命令を出力する演算処理部8と、外部モニタやパソコンなどの外部コンピュータ9等に接続可能な接続端子などの入出力部10と、上記仮制御装置5に設けたモニタ11と、上記仮制御装置5に設けた操作ボタン12とよりなる。
【0013】
なお、13は電源入力コネクター、14は灯器出力スイッチである。
【0014】
また、上記データは、最大6つの車両灯と、最大6つの歩行者灯と、最大6つの矢印灯の各信号灯器の信号点灯順序をそれぞれ最大30ステップで規定される。
【0015】
なお、上記データは、上記各信号灯器1の信号点灯順序が最大30ステップで規定できれば、現在用いられている制御部3(X1形、A形、U形、UC形、新U形、新UC形)の略全てにおいて代替可能となるが、最大31ステップ以上規定できるようにしてもよい。
【0016】
また、上記演算処理部8は、上記規定されたデータを処理して、最大6つの車両灯、最大6つの歩行者灯、最大6つの矢印灯の各信号点灯順序及びその点灯時間を上記出力部7に出力し、この出力に基づき上記灯器開閉部4により上記各信号灯器1が信号点灯する。
【0017】
また、上記記憶部6に記憶するデータは、道路交差点における車両灯と歩行者灯と矢印灯との数の様々な組み合わせと道路状況に基づき規定され、例えば、3つの車両灯(東行車両灯1V、東行車両灯2V、南北車両灯3V)と、3つの歩行者灯(北側歩行者灯1P、南側歩行者灯2P、南北歩行者灯3P)と、1つの矢印灯(南北右折矢印灯3A)の信号灯器1を有し、東西方向の右折車が多く直線車も通過できず、東行き西行きの分離制御を行う必要のある道路交差点においては、図3に示すように、上記各信号灯器1をそれぞれ17ステップの信号点灯順序で信号点灯するように規定される。
【0018】
また、上記データは、例えば、図4に示すように、外部コンピュータ9でエクセルなど市販のソフトを利用して予め作成し、上記交通信号機の仮制御装置5の入出力部10と上記外部コンピュータ9とを接続して、上記記憶部6に記憶させる。
【0019】
なお、車両灯と歩行者灯と矢印灯の数の全ての組み合わせのデータを上記記憶部6に記憶させる必要はなく、想定される道路交差点におけるデータを例えば64パターン記憶させておき、それ以外の組み合わせが必要な場合には、上記外部コンピュータ9を用いて、データを作成し、このデータを上記入出力部10を介して上記記憶部6に記憶させるようにしてもよい。
【0020】
本発明の交通信号機の仮制御装置は、上記のような構成であるから、ある道路交差点における交通信号機の信号制御機2の制御部3が故障した場合には、その道路交差点における車両灯、歩行者灯、矢印灯の数及び各信号灯器の配置、交通状況等をもとに、上記仮制御装置5の記憶部6に記憶された複数のデータから適切なものを一つ選択し、上記故障した制御部3に代えて、上記灯器開閉部4を接続せしめて、上記灯器出力スイッチ14をONにして、各信号灯器1を信号点灯せしめるようにする。
【0021】
そして、現場に上記故障した信号制御機に対応した仮制御機が届いたとき、或いは制御部3が修理された時に、上記仮制御装置5を上記灯器開閉部4から外し、上記灯器開閉部4に仮制御機又は修理された制御部3を接続するようにする。
【0022】
なお、現場の道路交差点において、上記記憶部6に適切なデータが記憶されていない場合には、外部コンピュータ9を利用して、データを作成し、上記入出力部10を介して上記仮制御装置5に記憶せしめてもよい。
【0023】
本発明の交通信号機の仮制御装置を用いれば、任意の信号制御機2の制御部3が故障した場合でも、上記仮制御装置5を一時的に上記灯器開閉部4に接続せしめれば、現場に上記故障した信号制御機に対応した仮制御機が届くまで、或いは制御部3が修理されるまで、交通信号機を使用できるという大きな利益がある。
【0024】
また、上記故障した信号制御機に対応した仮制御機の準備を余裕もって行うことができる。
【0025】
また、本発明は、特に、信号点灯順序が17ステップ以上のデータを有する制御部3を有する交通信号機において有用である。
【符号の説明】
【0026】
1 信号灯器
2 信号制御機
3 制御部
4 灯器開閉部
5 仮制御装置
6 記憶部
7 出力部
8 演算処理部
9 コンピュータ
10 入出力部
11 モニタ
12 操作ボタン
13 電源入力コネクター
14 灯器出力スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路交差点に複数設置された信号灯器のそれぞれの信号点灯順序及びその点灯時間を規定したデータを複数記憶した記憶部と、この記憶部に記憶された複数のデータから選択された1つのデータに基づき、上記各信号灯器の信号点灯命令を出力する出力部とよりなり、
任意の道路交差点に複数設置された信号灯器のそれぞれの信号点灯順序及びその点灯時間を制御する交通信号機の制御部に代えて、一時的に使用することを特徴とする交通信号機の仮制御装置。
【請求項2】
上記データは、最大6つの車両灯と、最大6つの歩行者灯と、最大6つの矢印灯の各信号灯器の信号点灯順序をそれぞれ最大30ステップで規定されると共に、上記出力部に出力されることを特徴とする請求項1記載の交通信号機の仮制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−133542(P2012−133542A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284577(P2010−284577)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(390031934)日本リーテック株式会社 (7)
【Fターム(参考)】