説明

人体の部分模型

【課題】人体と同様の構造を有し、人体に類似する柔軟性、弾力性と質感を有する人体の部分模型を提供する。また、メスやハサミで切開するときの感触が、人体を使用して行う実際の手術と同様の感触を有し、鼠径ヘルニアの解剖実習に最適な人体の部分模型を提供する。
【解決手段】本発明の人体の部分模型は、人体の下腹部における表面の皮膚層を表現する皮膚部を備え、模型の内部に向かって、外腹斜筋部と、内腹斜筋部と、腹横筋部と、腹横筋膜部と、腹膜外筋膜部と、腹膜部と、腹腔部とを備え、これらの各部をシリコーン樹脂で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼠径ヘルニアの解剖実習に使用する人体の部分模型であって、特に人体の下腹部の構造を表現する人体の部分模型に関する。
【背景技術】
【0002】
外科的手術が行えるようになるためには、医学上の理論を学習するとともに、解剖実習を行い、手術参観をし、実際の手術と同様の条件で練習をする必要がある。そこで、解剖実習等に使用するサンプル数を確保するため、人体の代わりとなる模型を使用することにより、解剖実習等の機会を確保している。人体の模型には、全身型の模型と、人体の一部のみを表現する部分模型とがあるが、どこででもシュミレーションでき、より細かい表現が可能である等の長所があるため、部分模型が多用されている。
【0003】
人体の模型は、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等のプラスティックを用い、キャスティング成形することにより製造されている。プラスティックを成形して製造される模型は、透明であり、内部を観察することができるという長所を有しているが、反面、プラスティック素材が固いため、メスやハサミで切開し、内部から内臓模型を摘出することができないという短所を有している。
【0004】
ポリウレタンからなる人体の模型が知られている(特許文献1参照)。この模型は、適度の弾力性を有し、屈曲性に優れているため、人体の軟部組織の物性に類似すると記載されている。しかし、ポリウレタンは接着性が悪いため、ポリウレタンにより別途成形した内臓模型の取り付けが難しく、成形後の加工適性が低いという欠点がある。また、解剖実習等に使用する人体の模型は、生体を使用して行う実際の手術と同様の感触を持つことが重要であるが、ポリウレタンからなる模型は、メスやハサミで切開し、内部に取り付けた内臓模型を摘出するときの感触が、生体を手術する場合の感触とかけ離れているという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−80758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、人体と同様の構造を有し、人体に類似する柔軟性、弾力性と質感を有する人体の部分模型を提供することにある。また、メスやハサミで切開するときの感触が、人体を使用して行う実際の手術と同様の感触を有し、鼠径ヘルニアの解剖実習等に最適な人体の部分模型を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の人体の部分模型は、鼠径ヘルニアの解剖実習に使用され、人体の下腹部の構造を表現する。この人体の部分模型は、ガーゼを内包する皮膚部と、皮膚部に積層し、積層した領域の周縁部分で皮膚部と結合し、ガーゼを内包する外腹斜筋部とを備える。さらに、外腹斜筋部と同様の広さを有し、外腹斜筋部に積層し、外腹斜筋部の周縁部分と結合し、ガーゼを内包する内腹斜筋部と、内腹斜筋部より狭く、内腹斜筋部の一部に積層し、内腹斜筋部の周縁部分と結合する腹横筋部とを備える。
【0008】
また、内腹斜筋部と同様の広さを有し、腹横筋部を挟んで内腹斜筋部に積層し、内腹斜筋部の周縁部分と結合する腹横筋膜部と、腹横筋膜部と同様の広さを有し、腹横筋膜部に積層し、腹横筋膜部の周縁部分と結合する腹膜外筋膜部とを備える。さらに、腹膜外筋膜部と同様の広さを有し、腹膜外筋膜部に積層し、腹膜外筋膜部の周縁部分と結合し、腸管部を有する腹膜部と、腹膜部と同様の広さを有し、腹膜部に積層する腹腔部とを備え、各部がシリコーン樹脂により形成される。
【0009】
外腹斜筋部と、内腹斜筋部と、腹横筋部とは、膜状体である態様が好ましく、腸管部は、腹膜外筋膜部と腹横筋膜部とを貫通する態様が好適である。また、皮膚部と、外腹斜筋部と、内腹斜筋部とは、切開部位を有する態様が好ましい。シリコーン樹脂は、ポリジメチルシロキサン65質量%〜80質量%と、テトラエトキシシランおよびケイ酸エチルの少なくとも1種を含む架橋剤1質量%〜30質量%と、ジ−n−ブチル錫ジラウレートを含む錫触媒3質量%〜15質量%と、粉末状シリカ1質量%〜10質量%と、から形成する態様が好ましい。
【0010】
皮膚部は、表皮部と、内皮部と、皮下脂肪部とを備える態様が好ましく、外腹斜筋部と、内腹斜筋部との間に鼠径靭帯部を備える模型が好適である。また、内腹斜筋部と、外腹斜筋部との間に神経部を有し、少なくとも1の神経部が、内腹斜筋部と、腹横筋膜部と、腹膜外筋膜部とを貫通する態様が好ましい。腹横筋膜部と、腹膜外筋膜部との間に、腹直筋部と、下腹壁血管部と、恥骨部と、恥骨靭帯部とを備える模型が好ましい。腹膜外筋膜部と腹横筋膜部とを貫通し、内腹斜筋部で部分模型の外方に突出する精索部を備え、精索部が精管部と精巣血管部とを有する態様が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の人体の部分模型は、人体と同様の構造を有し、人体に類似する柔軟性、弾力性と質感を有する。また、メスやハサミで切開するときの感触が、人体を使用して行う実際の手術と同様の感触を有する。このため、鼠径ヘルニアの解剖実習等に使用する人体の部分模型として最適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の人体の部分模型を構成する部材を示す説明図である。
【図2】本発明の人体の部分模型を構成する部材を示す説明図である。
【図3】内腹斜筋部3に、3本の神経部31,32,33を配置する態様の斜視図である。
【図4】腹膜部12の斜視図である。
【図5】完成した人体の部分模型を皮膚部側から見た斜視図である。
【図6】完成した人体の部分模型を腹腔部側から見た斜視図である。
【図7】切開後の人体の部分模型の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の人体の部分模型は、下腹部の構造を表現し、鼠径ヘルニアの解剖実習に使用される。鼠径は、解剖学上、足の付け根の部位を指し、足の付け根の部位で臓器または組織が脱出している状態を鼠径ヘルニアといい、本来、腹膜内にあるべき腸管が鼠径に脱出する症例が多いため、脱腸とも呼ばれる。また、女性に比べて男性は身体の構造上、鼠径の構造が弱く、筋膜が破れやすいため、鼠径ヘルニアの80%〜90%が男性に発症する。足の付け根に腸管が脱出しているため、医薬品により完治することはなく、手術による治療が必要となる。本発明の部分模型は、鼠径ヘルニアの解剖実習に使用され、実際の手術と同様の感触で実習をすることができる。また、部分模型であるため、どこででも実習することができ、人体の実際の構造と同様の細かい表現が施されているため、正確な医術の習得が可能となり、実習効果が高い。
【0014】
本発明の人体の部分模型は、人体の下腹部における表面の皮膚層を表現する皮膚部を備え、模型の内部に向かって、外腹斜筋部と、内腹斜筋部と、腹横筋部と、腹横筋膜部と、腹膜外筋膜部と、腹膜部と、腹腔部とを備え、これらの各部をシリコーン樹脂で形成する。シリコーン樹脂は、つぎに述べるシリコーン樹脂が好ましく、このシリコーン樹脂を、本明細書においては、シリコーン樹脂Aともいう。本発明の人体の部分模型では、主要構成部材をシリコーン樹脂Aで形成すると、人体を構成する臓器に類似する柔軟性、弾力性と質感を有し、メスやハサミで切開するときの感触が、人体を使用して行う実際の手術と同様の感触を有するため、リアリティがあり、鼠径ヘルニアの解剖実習に使用する人体の部分模型として最適である。
【0015】
シリコーン樹脂Aは、ポリジメチルシロキサンと、架橋剤と、錫触媒と、粉末状シリカとから形成する態様が好ましい。ポリジメチルシロキサン(CAS番号:63148-62-9)は、質量平均分子量が数千〜数十万のものを使用することができるが、形成したシリコーン樹脂の弾力性および質感等を確保する点で、質量平均分子量が1万〜40万のものを好ましく使用することができる。また、ポリジメチルシロキサンの配合量は、形成したシリコーン樹脂の弾力性および質感等を高める点で、シリコーン樹脂全組成物の65質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。一方、ポリジメチルシロキサンの配合量は、ポリジメチルシロキサン配合液の粘度を下げ、硬化反応を促進する点で、シリコーン樹脂全組成物の80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。
【0016】
架橋剤は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリスイソプロペノキシシラン等を使用することができるが、ポリジメチルシロキサンの硬化性、取扱い性および形成後の樹脂の表面特性等を高める点で、テトラエトキシシラン(CAS番号:78-10-4)が好適である。また、架橋剤として、ケイ酸エチル(CAS番号:11099-06-2)を使用した場合、もしくは上記の架橋剤と併用した場合、形成したシリコーン樹脂の表面特性が優れる。
【0017】
架橋剤の配合量は、ポリジメチルシロキサンの硬化反応を促進し、シリコーン樹脂の柔軟性、弾力性と質感を高める点で、シリコーン樹脂全組成物の1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が特に好ましい。一方、架橋剤の配合量は、ポリジメチルシロキサンの硬化反応を適正に抑制するとともに、シリコーン樹脂の柔軟性、弾力性と質感を適度に保持する点で、シリコーン樹脂全組成物の30質量%以下が好ましく、28質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
【0018】
ポリジメチルシロキサンは、溶媒で希釈すると、ポリジメチルシロキサン配合液の増粘化を抑えて架橋反応を促進する点で好ましい。溶媒は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素系の溶媒が好ましい。脂肪族炭化水素系の溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソパラフィン類、ノルマルパラフィン類等が好ましい。一方、芳香族炭化水素系の溶媒は、トルエン、キシレン等が好ましい。また、石油系溶媒、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等の短鎖線状シロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状ポリシロキサンも好ましく使用することができる。溶液の濃度は、操作性および取扱い性の点で、15質量%以上〜65質量%が好ましく、25質量%〜50質量%がより好ましい。上記の架橋剤は、加水分解を起こしやすいため、架橋剤を配合する前に、十分に水分を除去しておくことが好ましい。
【0019】
触媒は、ポリジメチルシロキサンと上記の架橋剤との組み合わせにおいては、硬化反応を適切に促進する点で、錫触媒が好ましく、錫触媒の中でも錫の有機酸塩がより好ましい。このような錫触媒には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジメチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジラウレート、イソブチル錫トリセロエート、ジメチル錫ジブチレート、ジメチル錫ジネオデカノエート、トリエチル錫タートレート、ビス(アセトキシジブチル錫)オキサイド、ビス(ラウロキシジブチル錫)オキサイド等があるが、形成するシリコーン樹脂が適度の弾力性と質感等を有する点で、ジ−n−ブチル錫ジラウレート(CAS番号:77-58-7)がより好ましい。
【0020】
錫触媒の配合量は、硬化反応を促進する点で、シリコーン樹脂全組成物の3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上が特に好ましい。一方、錫触媒の配合量は、ポリジメチルシロキサン配合液のポットライフを長くし、作業性を高める点で、シリコーン樹脂全組成物の15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。
【0021】
シリコーン樹脂の機械的強度を高める点で、粉末状シリカ(CAS番号:7631-86-9)を配合するのが好ましい。粉末状シリカには、湿式シリカ粉末、乾式シリカ(ヒュームドシリカ)粉末がある。湿式シリカは安価であるため、配合したシリコーン樹脂はコストメリットを有するが、湿式シリカは粒子表面に1質量%〜15質量%の吸着水を有するため、撥水性の高いシリコーン樹脂との親和性が低く、シリコーン樹脂の可塑性等の特性が経時的に変化する傾向がある。したがって、粉末状シリカとしては、かかるデメリットの少ない乾式法で製造するヒュームドシリカ粉末が好ましい。粉末状シリカの配合量は、補強効果を得る点で、シリコーン樹脂全組成物の1質量%〜10質量%が好ましく、3質量%〜7質量%がより好ましい。
【0022】
各配合成分を混合することにより硬化反応が起こり、シリコーン樹脂を形成するが、硬化させる前には、ポットライフを確保する点で、反応成分同士を別々の容器に保持しておく態様が好ましい。一方、各配合成分の混合後、硬化反応を進める上で必要があるときは、加熱することができる。また、シリコーン樹脂には、必要に応じて、着色剤、安定化剤、界面活性剤、反応抑制剤等を配合する。反応抑制剤は、含窒素化合物、リン系化合物、不飽和アルコールが好ましい。
【0023】
図1と図2は、本発明の人体の部分模型を構成する部材を示す説明図である。各部材のサイズは、人体における対応する部分と同様のサイズとする態様が、リアリティがある点で好ましい。図1(a)は、皮膚部1の斜視図である。皮膚部は、たとえば、型枠の内側にシリコーン樹脂Aを塗布し、硬化する前にガーゼを積層し、ガーゼの上にシリコーン樹脂Aを塗布し、硬化後、型枠から剥離することにより形成することができる。皮膚部は、1枚のガーゼを内包する単一の膜状体で表現することもできるが、人体の構造に類似したものとし、実習のリアリティが向上する点で、皮膚部が、表皮部と、内皮部と、皮下脂肪部とを備える態様が好ましい。かかる皮膚部に形成方法は、たとえば型枠の内側にシリコーン樹脂Aを塗布し、乾燥硬化する前にガーゼを積層し、ガーゼの上にシリコーン樹脂Aを塗布し、硬化させることにより、表皮部を形成する。その後、同様の操作を繰り返すことにより、表皮部に内皮部と皮下脂肪部を積層する。
【0024】
ガーゼは、天然セルロースである綿等の糸からなる薄い平織りの布である。メスまたはハサミで切開する皮膚部にガーゼを内包することにより、メスまたはハサミで切開するときの感触が、人体を使用して行う実際の手術のときと同様の感触を有するようになり、リアリティのある実習を実現することができる。また、機械的強度が大きくなるため、形態保持力が向上し、不用意なへこみが生じず、へこみが生じても容易に復元する。ガーゼは単一層として用いる態様が好ましい。
【0025】
ガーゼを形成する糸の太さは、皮膚部を構成する層の数によっても異なるが、実習時のリアリティを高める点で、20番手以上が好ましく、40番手以上がより好ましい。一方、糸の太さは、形態保持力が向上する点で、80番手以下が好ましく、70番手以下がより好ましい。ガーゼを形成するときの針の打ち込み数は、実習時のリアリティを高める点で、経糸と緯糸を合わせて130本/25.4mm以下が好ましく、110本/25.4mm以下がより好ましい。一方、針の打ち込み数は、形態保持性が向上する点で、40本/25.4mm以上が好ましく、50本/25.4mm以上がより好ましい。
【0026】
外腹斜筋部は、たとえば、型枠の内側にシリコーン樹脂Aを塗布し、または型枠にシリコーン樹脂を流し込み、乾燥硬化する前にガーゼを積層し、ガーゼの上にシリコーン樹脂Aを塗布または流し込み、硬化後、型枠から剥離することにより形成することができる。人体の構造に類似したものとし、実習のリアリティが向上する点で、外腹斜筋部と内腹斜筋部との間に鼠径靭帯部を備える態様が好ましい。図1(b)は、外腹斜筋部2に鼠径靭帯部21を配置する態様の斜視図である。鼠径靭帯部は、たとえばシリコーン樹脂Aを型枠に流し込み、硬化後、型枠から取り出すことにより得ることができる。図1(b)に示すように、形成した鼠径靭帯部21は、たとえば型枠に流し込んだときに上面であった面を接着面にして、外腹斜筋部2に接着する。かかる態様により、型枠の内面形状を反映する所定形状の鼠径靭帯部21を外腹斜筋部2に形成することができる。裏面とは、部分模型の内部方向を向く面であり、図1(b)の外腹斜筋部2の天面である。また、鼠径靭帯部の一方の側と他方の側を各々、型枠で作成し、その2つを貼り合わせても形成することができる。他の部材についても同様である。
【0027】
外腹斜筋部2は、図1(a)に示すように、皮膚部1の裏面における領域1aに積層し、積層した領域1aの周縁部分で皮膚部1と結合する。外腹斜筋部2の周縁部分と皮膚部1とを結合することにより、模型の皮膚部をメス等により切開したとき、皮膚部の裏面に位置する外腹斜筋部を観察し、指で触れることができるため、実習効果を高めることができる。
【0028】
皮膚部と外腹斜筋部との結合および外腹斜筋部と鼠径靭帯部との結合には、シリコーン系接着剤を好ましく使用することができる。シリコーン系接着剤は、オルガノポリシロキサンを主成分とし、縮合硬化型と付加硬化型がある。縮合硬化型は、末端に水酸基を持つオルガノポリシロキサンと架橋剤を混合した一液型である。湿気硬化するため、塗布後、空気中の水分と反応して表面から硬化し、ゴム弾性を有する硬化層を形成する。縮合反応時に発生する遊離ガス(アセトン、オキシム、酢酸、アルコール等)により分類される。これに対して、付加硬化型は、末端にビニル基を持つオルガノポリシロキサンと、架橋剤とに分けた二液型であり、触媒を使用して硬化する。付加重合型は、縮合硬化型より硬化速度が速く、遊離ガスが発生しない点で好ましい。
【0029】
内腹斜筋部は、人体の構造に類似したものとし、実習のリアリティが向上する点で、内腹斜筋部と外腹斜筋部との間に神経部を有する態様が好ましい。図3は、内腹斜筋部3に、3本の神経部31,32,33を配置する態様の斜視図である。図3に示す例では、3本の神経部のうち、2本の神経部31,32は内腹斜筋部3の裏面(;図3に示す配置では、内腹斜筋部3の上面)上に配置するが、1本の神経部33は、途中で裏面から内腹斜筋3を貫通し、内腹斜筋部3の表面(;図3に示す配置では、内腹斜筋部3の下面)へ伸びている。神経部は、線状体であり、ホース状の中空体を使用することができる。神経部は、シリコーン樹脂A等のシリコーン樹脂から形成するのが好ましい。ホース状の中空体は、マンドレルを使用し、押出成型により形成することができる。
【0030】
内腹斜筋部は、たとえば、型枠の内側にシリコーン樹脂Aを塗布し、または型枠にシリコーン樹脂を流し込み、乾燥硬化する前にガーゼを積層し、ガーゼの上にシリコーン樹脂Aを塗布または流し込み、硬化後、型枠から剥離することにより形成することができる。図1(c)は、図3に示す内腹斜筋部3を裏返して配置したときの斜視図である。図1(c)における内腹斜筋部3の天面が、裏面であり、部分模型の内部方向を向く面に相当する。図1(c)に示す内腹斜筋部3は、図1(b)に示す外腹斜筋部2と同様の広さを有し、外腹斜筋部2の裏面に積層し、外腹斜筋部2の周縁部分と結合する。外腹斜筋部2の周縁部分と内腹斜筋部3とを結合することにより、模型の外腹斜筋部2をメス等により切開したとき、外腹斜筋部2の裏面に位置する内腹斜筋部3を観察し、指で触れることができ、実習効果を高めることができる。内腹斜筋部3および外腹斜筋部2の結合と、内腹斜筋部3と神経部31,32,33の結合には、シリコーン系接着剤を好ましく使用することができる。外腹斜筋部2と内腹斜筋部3を結合することにより、外腹斜筋部2と内腹斜筋部3との間に鼠径靭帯部21が配置する。
【0031】
図1(d)は、腹横筋部4の斜視図である。腹横筋部は、たとえば、型枠の内側にシリコーン樹脂Aを塗布し、または型枠にシリコーン樹脂を流し込み、硬化後、型枠から剥離することにより形成することができる。図1(d)における腹横筋部4の天面が、裏面であり、部分模型の内部方向を向く面に相当する。図1(d)に示すように、腹横筋部4は、図1(c)に示す内腹斜筋部3より狭く、内腹斜筋3における領域3aに積層し、内腹斜筋部3の周縁部分3a1と結合する態様が好ましい。内腹斜筋部3の周縁部分3a1と腹横筋部4とを結合することにより、模型の内腹斜筋部3をメス等により切開したとき、内腹斜筋部3の裏面に位置する腹横筋部4を観察し、指で触れることができ、実習効果を高めることができる。内腹斜筋部3および腹横筋部4の結合には、シリコーン系接着剤を好ましく使用することができる。
【0032】
腹横筋膜部は、たとえば、型枠の内側にシリコーン樹脂Aを塗布し、または型枠にシリコーン樹脂Aを流し込み、硬化後、型枠から剥離することにより形成することができる。腹横筋膜部は、ガーゼを内包させることもできる。ガーゼを内包するときは、型枠にシリコーン樹脂Aを塗布または流し込み、乾燥硬化する前にガーゼを積層し、ガーゼの上にシリコーン樹脂Aを塗布または流し込むことにより形成することができる。
【0033】
腹横筋膜部は、人体の構造に類似したものとし、実習のリアリティが向上する点で、腹直筋部と下腹壁血管部と恥骨部と恥骨靭帯部とを有する態様が好ましい。図2(a)は、腹横筋膜部5に、腹直筋部6を接着後、下腹壁血管部7を接着し、つぎに恥骨部8を接着し、最後に恥骨靭帯部9を形成した例を示す。腹直筋部6と下腹壁血管部7と恥骨部8との腹横筋膜部5への接着は、シリコーン系接着剤を好ましく使用することができる。
【0034】
腹直筋部は、たとえばシリコーン樹脂Aを型枠に流し込み、硬化後、型枠から取り出すことにより形成することができる。形成した腹直筋部は、たとえば型枠に流し込んだときに上面であった面を接着面にして、腹横筋膜部に接着する。かかる態様により、型枠の内面形状を反映する所定形状の腹直筋部を腹横筋膜部に形成することができる。腹直筋部は、たとえば左右に分離する2つの型枠内にシリコーン樹脂Aを注入し、硬化後、型枠を外すことにより形成することもできる。
【0035】
図2(a)に示す例では、下腹壁血管部7は、下腹壁動脈と下腹壁静脈との2本により構成されている。下腹壁血管部7は、線状体であり、ホース状の中空体を使用することができる。下腹壁血管部は、シリコーン樹脂A等のシリコーン樹脂から形成するのが好ましい。ホース状の中空体は、マンドレルを使用し、押出成型により形成することができる。
【0036】
恥骨部は、たとえば、メタクリル酸メチル90質量%と、トリメチロールプロパントリメタクリレート9質量%と、パラトリルジエタノールアミン等の重合促進剤と、過酸化ベンゾイル等の重合開始剤からなる液状物に、炭酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、アルミナ等の無機物を混合し、型枠内で硬化することにより形成することができる。形成の手順は、腹直筋部と同様である。恥骨靭帯部は、たとえば、恥骨部を包み込むように、少し硬めのシリコーン系接着剤を塗り付けることにより形成することができる。
【0037】
図2(a)に示す腹横筋膜部5は、図1(c)に示す内腹斜筋部3と同様の広さを有する。腹横筋膜部5は、腹横筋部4を挟んで内腹斜筋部3に積層し、内腹斜筋部3の周縁部分と結合する。図1(c)に示すように、内腹斜筋部3は、周縁部分である領域3a1において既に腹横筋部4が結合している。このため、腹横筋膜部5は、領域3a1において腹横筋部4と直接結合し、その結果、腹横筋膜部5は内腹斜筋部3と結合することになる。また、図1(c)に示す内腹斜筋部3の周縁部分である領域3bにおいては、腹横筋膜部5は内腹斜筋部3と直接結合する。内腹斜筋部3の周縁部分と腹横筋膜部5とを結合することにより、模型の内腹斜筋部3をメス等により切開したと、内腹斜筋部3の裏面に位置する腹横筋部4と腹横筋膜部5を観察し、指で触れることができ、実習効果を高めることができる。腹横筋膜部5と腹横筋部4と内腹斜筋部3の結合には、シリコーン系接着剤を好ましく使用することができる。
【0038】
腹膜外筋膜部の斜視図を図2(b)に示す。腹膜外筋膜部は、たとえば、型枠の内側にシリコーン樹脂Aを塗布し、または型枠にシリコーン樹脂Aを流し込み、硬化後、型枠から剥離することにより形成することができる。腹膜外筋膜部は、ガーゼを内包させることもできる。ガーゼを内包するときは、型枠にシリコーン樹脂Aを塗布または流し込み、乾燥硬化する前にガーゼを積層し、ガーゼの上にシリコーン樹脂Aを塗布または流し込むことにより形成することができる。
【0039】
図2(b)に示す例では、腹膜外筋膜部10を精索部11が貫通している。精索部11が腹膜外筋膜部10を貫通し、さらに腹横筋膜部5を貫通し、図1(c)における内腹斜筋部3の部位3cで部分模型の外方に突出する態様とすることができる。かかる態様は、人体(男性)の構造に類似し、実習のリアリティが向上する点で好ましい。精索部11は、内腹斜筋部3と部位3cにおいて接着し、接着にはシリコーン系接着剤を好ましく使用することができる。
【0040】
精索部11は、図2(b)に示すように、人体の構造に類似し、実習のリアリティが向上する点で、精管部11aと精巣血管部11bとを有する態様が好ましい。精索部11と精管部11aと精巣血管部11bとは、線状体であり、ホース状の中空体とすることができ、シリコーン樹脂A等のシリコーン樹脂から形成するのが好ましい。ホース状の中空体は、マンドレルを使用し、押出成型により形成することができる。精索部11が、神経とリンパ管等を有する態様も、人体の構造に類似する点で好ましい。
【0041】
人体において、精管と精巣血管は精索に内包されているが、たとえば図2(b)に示すように、精索部11を部位11cにおいて剥離し、精管部11aと精巣血管部11bを露出する。露出した精管部11aと精巣血管部11bは、腹膜外筋膜部10に接着する。かかる態様は、人体の構造を視覚的に直ちに把握することができる点で、解剖模型として好ましい。精索部11を剥離しない態様においては、精索部11を腹膜外筋膜部10に接着する。接着にはシリコーン系接着剤を好ましく使用することができる。
【0042】
図2(b)に示すように、腹膜外筋膜部10は、図2(a)に示す腹横筋膜部5と同様の広さを有する。腹膜外筋膜部10は腹横筋膜部5に積層し、腹横筋膜部5の周縁部分と結合する。腹横筋膜部5の周縁部分と腹膜外筋膜部10とを結合することにより、模型の腹横筋膜部5をメス等により切開したと、腹横筋膜部5の裏面に位置する腹膜外筋膜部10と精索部11を観察し、指で触れることができ、実習効果を高めることができる。腹膜外筋膜部10と腹横筋膜部5との結合には、シリコーン系接着剤を好ましく使用することができる。
【0043】
図2(a)に示す腹横筋膜部5と、図2(b)に示す腹膜外筋膜部10を結合することにより、腹横筋膜部5と腹膜外筋膜部10との間に、腹直筋部6と下腹壁血管部7と恥骨部8と恥骨靭帯部9とが配置する態様が好ましい。かかる態様の解剖模型を使用すると、人体の構造に類似するため、実習のリアリティを向上させることができる。
【0044】
図3に示す例では、内腹斜筋部3には3本の神経部31,32,33が配置しているため、これを裏返して図1(c)の状態とした後、図1(c)に示す内腹斜筋部3を、図1(b)に示す外腹斜筋部2上に配置し、結合すると、内腹斜筋部3と外腹斜筋部2との間に神経部31,32,33が配置する。また、3本の神経部31,32,33のうち、1本の神経部33が途中で内腹斜筋部3を貫通し、さらに腹横筋膜部5と腹膜外筋膜部10とを貫通した後、図2(b)に示す腹膜外筋膜部10の部位11dにおいて、神経部33と腹膜外筋膜部10とを結合することができる。かかる態様は、人体の構造を視覚的に直ちに把握することができる点で、解剖模型として好ましい。神経部33と腹膜外筋膜部10との結合には、シリコーン系接着剤を好ましく使用することができる。
【0045】
図4は、腹膜部12の斜視図である。腹膜部12は、図4に示すように、腸管部13を有する。腸管部13は、鼠径ヘルニアにおける脱出した腸管を表現するものである点で、1つの開口部を有する円筒様の袋状体が好ましい。図4に示すように、かかる腸管部13の開口部13aを腹膜部12に結合する。腹膜部12は、たとえば、型枠の内側にシリコーン樹脂Aを塗布し、または型枠にシリコーン樹脂Aを流し込み、硬化後、型枠から剥離することにより形成することができる。腹膜部は、ガーゼを内包させることもできる。ガーゼを内包するときは、型枠にシリコーン樹脂Aを塗布または流し込み、乾燥硬化する前にガーゼを積層し、ガーゼの上にシリコーン樹脂Aを塗布または流し込むことにより形成することができる。また、腹膜部は、部分模型の腹腔部側から内部の構造を視認できる点で、透明とする態様が好ましい。腸管部13は、シリコーン樹脂A等のシリコーン樹脂を材料とし、マンドレルを使用して押出成型により形成することができる。
【0046】
図2(c)は、図4に示す腹膜部12を裏返した状態を示す斜視図である。図2(c)において、腸管部13は腹膜部12の裏面(;模型の皮膚部側)にある。図2(c)に示すように、腹膜部12は、図2(b)に示す腹膜外筋膜部10と同様の広さを有し、腹膜外筋膜部10に積層し、腹膜外筋膜部10の周縁部分と結合する。腹膜部12と腹膜外筋膜部10の周縁部分とを結合することにより、模型の腹膜外筋膜部10をメス等で切開すると、腹膜外筋膜部10の裏面に位置する腹膜部12と腸管部13を観察し、指で触れることができ、実習効果を高めることができる。腹膜外筋膜部10および腹膜部12の結合と、腹膜部12および腸管部13との結合には、シリコーン系接着剤を好ましく使用することができる。
【0047】
腸管部13が、腹膜部12と腹膜外筋膜部10との間に配置する態様は、腸管が腹膜を破り、腹膜外筋膜上に脱出している鼠径ヘルニアの解剖模型として好ましい。また、腸管部13が、腹膜外筋膜部10を貫通し、腸管部13の先端が腹横筋膜部5上に配置する態様は、腸管が腹膜と腹膜外筋膜を破り、腹横筋膜上に脱出している鼠径ヘルニアの解剖模型として有用である。一方、腸管部13が、腹膜外筋膜部10と腹横筋膜部5を貫通し、腸管部13の先端が内腹斜筋部3上に配置する態様は、腸管が腹膜と腹膜外筋膜と腹横筋膜を破り、内腹斜筋上に脱出している鼠径ヘルニアの解剖模型として利用価値が高い。
【0048】
腹膜部12の結合後、腹膜部12と同様の広さを有する腹腔部14を腹膜部12に積層する。図2(d)は、腹腔部14の形成後の状態を示す図である。腹腔部14は、シリコーン樹脂A等のシリコーン樹脂を腹膜部12の表面に塗布し、乾燥硬化することにより形成することができる。または、図1(a)に示すように、外腹斜筋部2等を積層する領域1aを越えて広めの領域1bを有する皮膚部1を形成し、各部の積層後、皮膚部1の領域1bにより積層体の側壁を包み込むように被覆し、その後、腹膜部12上にシリコーン樹脂A等を流し込み、硬化後、皮膚部1の領域1bのうち余分な部分を切除する方法により腹腔部14を形成することができる。腹腔部14は、部分模型の腹腔部側から内部の構造を視認できる点で、透明とする態様が好ましい。
【0049】
外腹斜筋部と内腹斜筋部と腹横筋部とは、膜状体である態様が好ましい。筋肉は筋束の重なりであり、かかる態様を表現することにより、リアリティのある模型となるが、筋肉を1枚の膜状体で表現することにより、模型の作成と取り付けを容易にすることができる。
【0050】
また、図1(a)に示す例では、皮膚部1は切開部位1cを有する。また、図1(b)に示す例では、外腹斜筋部2は切開部位22を有する。さらに、図1(c)に示す例では、内腹斜筋部3は切開部位34を有する。切開部位を有することにより、メス等により切開することなく、直ちに模型の内部構造を観察することができる。たとえば、腸管部13が、腹膜外筋膜部10と腹横筋膜部5を貫通し、腸管部13の先端が内腹斜筋部3上に配置する模型では、皮膚部1と外腹斜筋部2と内腹斜筋部3を切開することなく、脱出している腸管部13の状態を外部から観察することができる。
【0051】
図5は、完成した人体の部分模型を皮膚部側から見た斜視図である。図5に示す例では、皮膚部の中央少し上に、左上から右下方向に切開部位を有する。図6は、完成した人体の部分模型を腹腔部側から見た斜視図である。図6に示す例では、腹腔部を透明なシリコーン樹脂で形成しているため、内部にある精管部と精巣血管部等を外部から観察することができる。図7は、切開後の人体の部分模型の斜視図である。図7に示す例では、皮膚部と外腹斜筋部と内腹斜筋部を切開したときの状態を観察することができる。また、腹膜外筋膜部と腹横筋膜部を貫通し、脱出した腸管部と、その周辺の状態を観察することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
鼠径ヘルニアの解剖実習に最適な人体の部分模型を提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 皮膚部
2 外腹斜筋部
3 内腹斜筋部
4 腹横筋部
5 腹膜筋膜部
6 腹直筋部
7 下腹壁血管部
8 恥骨部
9 恥骨靭帯部
10 腹膜外筋膜部
11 精索部
11a 精管部
11b 精巣血管部
12 腹膜部
13 腸管部
14 腹腔部
21 鼠径靭帯部
31,32,33 神経部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼠径ヘルニアの解剖実習に使用され、人体の下腹部の構造を表現する人体の部分模型であって、
ガーゼを内包する皮膚部と、
該皮膚部に積層し、積層した領域の周縁部分で皮膚部と結合し、ガーゼを内包する外腹斜筋部と、
該外腹斜筋部と同様の広さを有し、外腹斜筋部に積層し、外腹斜筋部の周縁部分と結合し、ガーゼを内包する内腹斜筋部と、
該内腹斜筋部より狭く、内腹斜筋部の一部に積層し、内腹斜筋部の周縁部分と結合する腹横筋部と、
前記内腹斜筋部と同様の広さを有し、前記腹横筋部を挟んで内腹斜筋部に積層し、内腹斜筋部の周縁部分と結合する腹横筋膜部と、
該腹横筋膜部と同様の広さを有し、腹横筋膜部に積層し、腹横筋膜部の周縁部分と結合する腹膜外筋膜部と、
該腹膜外筋膜部と同様の広さを有し、腹膜外筋膜部に積層し、腹膜外筋膜部の周縁部分と結合し、腸管部を有する腹膜部と、
該腹膜部と同様の広さを有し、腹膜部に積層する腹腔部と、
を備え、前記各部がシリコーン樹脂により形成される人体の部分模型。
【請求項2】
前記外腹斜筋部と、前記内腹斜筋部と、前記腹横筋部とは、膜状体である請求項1に記載の人体の部分模型。
【請求項3】
前記腸管部は、前記腹膜外筋膜部と前記腹横筋膜部とを貫通する請求項1または2に記載の人体の部分模型。
【請求項4】
前記皮膚部と、前記外腹斜筋部と、前記内腹斜筋部とは、切開部位を有する請求項1〜3のいずれかに記載の人体の部分模型。
【請求項5】
前記シリコーン樹脂は、
ポリジメチルシロキサン65質量%〜80質量%と、
テトラエトキシシランおよびケイ酸エチルの少なくとも1種を含む架橋剤1質量%〜30質量%と、
ジ−n−ブチル錫ジラウレートを含む錫触媒3質量%〜15質量%と、
粉末状シリカ1質量%〜10質量%と、
から形成する請求項1〜4のいずれかに記載の人体の部分模型。
【請求項6】
前記皮膚部は、表皮部と、内皮部と、皮下脂肪部とを備える請求項1〜5のいずれかに記載の人体の部分模型。
【請求項7】
前記外腹斜筋部と、前記内腹斜筋部との間に鼠径靭帯部を備える請求項1〜6のいずれかに記載の人体の部分模型。
【請求項8】
前記内腹斜筋部と、前記外腹斜筋部との間に神経部を有し、少なくとも1の神経部が、前記内腹斜筋部と、前記腹横筋膜部と、前記腹膜外筋膜部とを貫通する請求項1〜7のいずれかに記載の人体の部分模型。
【請求項9】
前記腹横筋膜部と、前記腹膜外筋膜部との間に、腹直筋部と、下腹壁血管部と、恥骨部と、恥骨靭帯部とを備える請求項1〜8のいずれかに記載の人体の部分模型。
【請求項10】
前記腹膜外筋膜部と前記腹横筋膜部とを貫通し、前記内腹斜筋部で部分模型の外方に突出する精索部を備え、該精索部が精管部と精巣血管部とを有する請求項1〜9のいずれかに記載の人体の部分模型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−128109(P2012−128109A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278418(P2010−278418)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(510329361)株式会社ティー・エム・シー (1)
【出願人】(510329338)シニー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】