説明

人体または動物体における運動特性経過を特徴付けるためのパラメータを検出するための方法および装置

【課題】人体または動物体の皮膚上に曲げセンサを固定するための固定エレメント20、曲げセンサの曲げパラメータ、例えば曲げ角度、曲げ速度および曲げ加速度を検出するための曲げ感応検知器10、検出された曲げパラメータを記憶するためのデータメモリ30を備えた、人体または動物体における動きの経過特性を特徴付けるための機能パラメータを検出するための曲げセンサをEKG長時間検査に類似して信頼できるデータが得られるようにする。
【解決手段】固定エレメントは伸張可能でありかつ検知器の測定検出器を収容するための伸張可能な中空空間を有しており、該測定検出器は中空空間において固定エレメントの参照点に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体または動物体における運動特性経過を特徴付けるためのパラメータを検出するための方法並びにこの方法を実施するための曲げもしくは曲がりセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
背の痛みは多かれ少なかれ人間の背中の大きな痛みであり、その原因は非常に種々異なっているところにある。医師は、腰部−仙骨領域が該当するとき、背部痛(dorsalgia)または腰部痛(lumbalgia)について語る。背部痛の原因で一番多いのは脊椎の領域における関節の機能障害である。しかしすべての慢性(再発性または継続性)の背痛の約90%は依然として特定されていない。すなわちつまりは、医学的な研究の枠内において苦痛を十分に説明できる所見を示せていない。例えば特定されない背痛を処置するための運動機能は客観的に把握できていないのが現状である。普通は画像形成診断法による構造的所見が下されるが、特定されない背痛はこの診断法ではつかみきれていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故に本発明の課題は、特定されないまたは慢性の苦痛に検出された運動パターンを対応付けることができるように、人体または動物体における運動経過特性を特徴付けるための機能パラメータを検出することを可能にする装置を提供することである。曲げもしくは曲がり情報の検出は主として腰椎の領域において行われるべきである。というのはここに、あらゆる背痛の大部分の原因を見ることができるからである。
【0004】
ダイナミックな機能パラメータの測定は脊柱医学における開発されていないが非常に重要な分野である。本発明の曲げもしくは曲がりセンサは、日常の運動への洞察、機能、活発さ、および運動頻度を得る可能性を提供する。本発明の曲げセンサを用いた運動パラメータの検出は整形外科および脊柱医学に対して長時間EKGに対応するものと見なすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1記載の人体または動物体における運動経過特性を特徴付けるための機能パラメータを検出するための曲げセンサによって解決される。曲げセンサは人体または動物体の皮膚に曲げセンサを固定するための固定エレメント、殊に固定バンドエイドを有している。更に、曲げセンサの曲げもしくは曲がりパラメータを検出するための曲げもしくは曲がり感応検知器が設けられている。例えば曲げ角度、曲げ速度および/または曲げ加速度のような検出された曲げパラメータはデータメモリに保管される。固定エレメントは伸張可能でありかつ検知器の測定検出器を収容するための伸張可能な中空空間を有している。測定検出器は中空空間における固定エレメントの参照点に固定されている。
【0006】
センサもしくは測定検出器または測定フィーラは、所定の物理的または化学的特性を測定量として量的に検出することができる技術的な部品である。これらの量は引き続いて処理可能な量(大抵は電気信号)に変換される。
【0007】
本発明の曲げセンサは例えば、背中の屈曲を検出するようになっている。曲がりによって身体の変形は、体軸に対して垂直方向に作用する負荷として表される。人体(例えば腰椎の領域における背中)における運動経過特性のダイナミック特性を検出するために、固定エレメント、殊に固定バンドエイドを用いた1つまたは複数の測定検出器は相応のポジションにおいて皮膚上に固定されるようにしたい。背中が屈曲すると皮膚は伸びる。伸張は負荷がかかっている状態での身体の相対的なディメンジョン変化(延びもしくは縮み)である。身体の寸法が拡張されるとき、正方向の伸張が生じ、そうでない場合には負方向の伸張または圧縮歪みが生じる。背中の屈曲時の皮膚の伸張は屈曲運動(Flektionsbewegung)時の腰椎の領域における約50%の長さ変化である。だから固定手段は、上述した皮膚の長さ変化に基づいてそれが解離されることがないように、伸張可能なものでなければならない。測定検出器は伸張可能な固定エレメントを用いて人間の皮膚に(有利には背中の運動を検出するために脊椎の左および右に)固定される。この場合センサテープは参照点を介してのみ固定エレメントに接続されておりかつ固定エレメントによって形成される中空空間内で自由に滑動する。いわば中空空間はガイドチャネルを形成し、その中で測定検出器は身体に保持されて、その運動が後付けされるようになっているが、その場合に皮膚の長さ変化を後付けする必要はないようになっている。つまり測定検出器は、皮膚の長さ変化を後付けする必要なく、身体の屈曲を後付けするように身体に固定される。
【0008】
有利には固定エレメントは、皮膚に貼り付けるためのバイオコンパチブルな熱的に活性化可能な接着層を備えた弾性的な下層部を持っている。付加的に、弾性的な上層部が、該上層部と下層部との間に中空空間が形成されるように設けられている。従って中空空間は剛性体ではなくて、その形状および拡がりは集積されている測定検出器および弾性的な上層部および下層部の状態に依存している。しかし上層部および下層部は、測定検出器が皮膚の相応の長さ変化によって作用されることがなく身体、例えば背中の屈曲を後付けするように身体、例えば背中に保持されるための働きをするものである。
【0009】
本発明の曲げセンサの有利な実施形態では、導光体を有している測定検出器を含んでいる。導光体は、導光体の曲がりに依存して変化する伝達関数を有している。導光体は可視光線並びに紫外線または赤外線領域における光を伝達するためのガイド装置である。導光体の例は光導波体、ガラスファイバ、ポリマー光ファイバまたは合成樹脂から成る別の導光性部材並びにファイバオプチック構成要素である。それぞれの導光体は伝達関数を有している。導光体の伝達関数は入力結合された光の種々異なっている周波数に対するに入力信号と出力信号との比を表している。導光体が曲がると、伝達関数が変化する、すなわち曲げられた導光体は入力信号に比べて曲げられていない導光体より僅かな光しか結合しない。従って伝達関数の決定により、導光体の曲がり具合を求めることができる。
【0010】
光の出力結合はたとえばファイバ形状の導光体の端部で行うことができる。出力結合された光に基づいて、導光体が曲がったのかどうか、更にはどの程度の強さで曲がったのかを検出するのである。しかし導光体の曲がり方向を検出することは簡単にはできない。それ故に導光体は有利には、光の出力結合のための付加的な側方の開口を有している。開口は導光体の上面に存在している。開口として殊に、先が尖っているくぼみまたは切り込みを設けることができる。側方の開口は、曲がると一層開放されるまたは閉じられる散乱個所なので、ファイバ端部での光出力は高められるかまたは低減される(正方向および負方向の曲がり方向に対する線形な信号)。更に、側方の開口により、どこで測定された曲がりが発生しているのかが確定される、すなわち曲がりを場所分解して検出することができる。有利には、種々異なっている場所での曲がりを検出することができるように、種々異なっているセグメントに設けられている側方の開口を有する複数の平行に延在する導光体が使用される。
【0011】
本発明の有利な実施形態によれば、測定検出器は単数または複数のストレンゲージを有している。ストレンゲージ(Dehnungsmessstreifen=DMS)は伸張する変形を検出するための測定装置である。これらは少しでも変形するとそのインピーダンスを変化しかつ伸張センサとして使用される。
【0012】
ストレンゲージの電気的なインピーダンスはストレンゲージの伸張または収縮とともに変化する。インピーダンス、殊に電気抵抗の測定によって、ストレンゲージの長さ変化の程度を求めることができる。ストレンゲージが本発明によりそうなっているように、検査物体、例えば背中におけるガイドチャネルを形成する中空空間に収容されているとき、背中が屈曲するとストレンゲージが相応に曲がることになり、これによりストレンゲージはその長さを変化する。
【0013】
本発明の曲げセンサは有利には、検出装置を有している検知器を含んでいる。検出装置はストレンゲージの電気的なインピーダンスまたは導光体の伝達関数の変化を検出する。これにより曲げセンサは検査物体の曲がりに対する尺度を有している。
【0014】
本発明の曲げセンサの検知器は有利には、測定検出器が固定されている引っ張り耐性であって弾性的に曲がることができる基板を有している。基板は、場合により発生する引っ張りまたは圧縮応力がストレンゲージの長さ変化を引き起こさないようにするものである。何故ならそうしなければこういった長さ変化があった場合に不都合にも検査物体の曲がりに対する尺度として誤って解釈されることになるからである。曲げを許容するがストレンゲージの伸びまたは収縮を妨げる適当な基板はばね鋼である。ばね鋼は、その他の鋼に比べて比較的高い強度を有している鋼である。ばね鋼から成る工作物は工作材料によって決定される応力(弾性限界)まで曲がって、その後変形されたままではなく弾性的に復元することができる。それを可能にする工作材料特性は弾力性である。基板はばね帯鋼である必要はない。それはFR4であってもよい。FR4はプリント基板材料の耐火性(Fire Resistance)に対する称号であり、FR4はコンシューマーエレクトロニクスに対する慣用の標準である。
【0015】
本発明の有利な実施形態によれば、検知器は複数の測定検出器を有しており、該測定検出器は基板の反対の側に固定されている。検出されたデータの信頼性はバイオメカニカル用途にとって最高度の要求である。2つの測定検出器は、検査物体、例えば背中の屈曲を後付けする基板の実質的に同じ曲がりを検出する。その結果、屈曲は測定検出器の2つの同時に求められるべき測定値によって表される。従って実際の曲がりは比較的大きな精度および信頼性を以て求めることができる。
【0016】
有利な実施形態による曲げセンサは検知器を含んでおり、該検知器はそれぞれ異なっている測定ゾーンにおける曲げパラメータを検出するための複数の測定検出器を有している。測定検出器はカスケード接続またはオーバラップして接続されて配置されていてよい。これにより、身体の運動が原因で生じる曲がり情報を場所分解されて測定技術的に検出することが可能である。それぞれの曲げ感応測定ゾーンは、その測定区間においてそれぞれ適用される屈曲を少なくとも1つの空間平面における正方向または負方向の曲がり方向において検出する。異なっている測定ゾーンに配置されている測定検出器は有利には時間的にずらされてドライブ制御され、殊に1kHzまたはそれ以上のクロック周波数によってドライブ制御される(パルス作動=電流節約)。周波数は高ければ高いほどよい。これにより検出されるデータ量は著しく低減される。その理由は、それぞれの時点においてその都度唯一の測定検出器からのデータのみが読み出されるからである。同時に読み出し周波数は、運動のダイナミック特性を場所分解されて検出するために十分な大きさである。例えば、1kHzのドライブ制御周波数でかつ例えば10個の曲がりゾーンがある場合、ダイナミックな運動検出(曲がりの速度、加速度)を可能にするには100Hzの読み出し周波数が可能である。
【0017】
更に本発明の曲げセンサは、地球の重力の場または地磁場に対して相対的である測定検出器のポジションを検出するための空間位置センサを有していることができる。地球の重力の場は一定の方向を予め定める。屈曲の場所分解された測定は所定の平面における曲がりを重力の場の方向に対して相対的に検出することを可能にする。こうして例えば、負荷を持ち上げるために背中はどのように屈曲されるかを求めることができる。
【0018】
空間位置センサは曲がり情報を検出するための始点ベクトルも予め定めることができる。空間位置センサはそのために曲がり測定の開始の前に背中におけるセンサの位置を検出する。それ以降に検出された曲がりは始点ベクトルの配向に対する相対的な偏差を表している。
【0019】
検知器によって検出されたデータは有利には検出装置によってデジタル化された電子信号として出力されかつ電子的なデータメモリに記憶される。データメモリとして例えばSDメモリカードまたはマイクロSDカードのようなフラッシュメモリを使用することができる。フラッシュメモリは、それが比較的小さくかつ軽くかつ記憶されたデータを、データメモリをエネルギー供給部に接続する必要なしに保存するという利点を提供する。フラッシュメモリは固定エレメントと一緒に検査物体に共通に固定されるようにすることができる。確かにフラッシュメモリにはデータの読み込みまたは読み出しのために電流供給が必要である。これに対して択一的に、データメモリは別個のメモリユニットに設けられるようにしてもよい。その場合データ伝送は有線または無線で外部のデータメモリに対して行われる。この実施形態によれば、曲げセンサの電子部分を著しく小さく構成することが可能になる。
【0020】
本発明の曲げセンサは殊に、読み出し可能な識別符号メモリユニットを有していることができる。識別符号メモリユニットは固定エレメントを識別するための電子的な識別符号を含んでいる。これにより、固定エレメントを識別して、別の製品と不適切にも交換されることが妨げられるようにすることができる。この特徴は殊に品質保証に役立つ。何故ならば、測定のために設定されている、固定エレメントを備えた曲げセンサだけを使用することができることが保証されるからである。
【0021】
固定エレメントを識別するための識別符号メモリユニットとして例えば、電子的な識別符号を無線で読み出すためのRFIDトランスポンダが設けられるようにするとよい。ラジオ・フリークエンシィ・アイデンティフィケーション(Radio Frequency Idetification=RFID)という英語の概念は電磁波を用いて識別するためのシステムを表している。RFIDシステムは、識別すべき対象物にまたは対象物中に存在しておりかつそれを特徴付けるトランスポンダと、該トランスポンダの識別符号を読み出すための読み出し装置とから成っている。その場合本発明の検知器は識別符号を読み出すための読み出し装置と一緒にRFIDトランスポンダに設けられているようにすることができる。読み出しはアンテナを介して行われ、その際アンテナとして測定データトランスファのために既に存在しているデータ線路が使用され、その際これら線路は例えば13.2MHzで変調され、これによりアンテナとして利用可能にされ、このことで他の電気的な線路がアンテナに対して変更の余地が生じることになる。この措置により、検知器も固定エレメントも別の製品と交換できないことが保証される。これにより製造業者および使用数に対する一義的な対応付けが可能になる。こうして固定エレメントの多重使用も排除される。
【0022】
単数または複数の測定検出器は有利にはラミネート加工(Lamination)、押し出し成形、鋳込み、溶接(Einschweissen)または収縮もしくは焼きばめもしくは収縮ホースの加熱により環境の影響に対して封鎖されている容器に閉じ込められる。この特徴は、測定検出器が湿気または汚れのような潜在している有害な環境の影響に対して保護されることを保証するものである。殊に本発明の曲げセンサが数日または数週間にわたる長時間検査に対して使用されるとき、この種の保護は必要である。
【0023】
検出された曲げパラメータは有利には、多数のダイナミックパラメータを突き止めるために使用される。殊に時間および/または場所の関数としての曲げ角度、時間および/または場所の関数としての曲げ速度、時間および/または場所の関数としての曲げ加速度、曲げ角度の関数のフーリエヘ変換、曲げ速度および/または曲げ加速度を導出することができる。
【0024】
検出された曲げデータは有利にはダイナミックパラメータの頻度分布のグラフィック表示のためのヒストグラムに記入される。ヒストグラムは測定値の頻度分布のグラフィック表示である。その際大きさに従って整理されたデータから出発して、標本検査の全体の領域を階級に分配する。それぞれの階級に関して、階級固有の頻度に比例している面積を有する面が確立される。殊に曲げ角度、曲げ速度または曲げ加速度はこの種のヒストグラムにおいて表示されている。曲げセンサの空間位置の頻度分布は同様に、ヒストグラムとしてまたは座標系におけるグレー値として表示される。検出された曲げパラメータは平均曲げパラメータと比較されて、運動パラメータにおける異常(aberration)が識別される。この種の比較はヒストグラム表示により容易になる。
【0025】
有利には曲げパラメータと同時に、例えば苦痛パラメータ、姿勢パラメータ、活発さパラメータのような別のパラメータが検出されかつ曲げパラメータと別のパラメータとの間で統計学的な相関がとられる。しかし統計学的な相関は、種々様々なパラメータ間に因果関係があるどうかを説明できるものではない。しかし科学者または医師によるこの種の関係の識別は、相応の統計学的な相関を表示することができるとき容易になる。
【0026】
曲げセンサの曲げパラメータの検出は有利には、長時間解析を可能にするために、少なくとも24時間の時間空間にわたって行われる。結果的に適用は長時間EKGに類似して行われ、測定は24時間までの任意の時間空間において可能である。曲げパラメータの検出は、セラピーと一緒に実施されて、セラピー措置と検出された運動パラメータとの間の正または負の相関が確立されようにする。
【実施例】
【0027】
次に本発明を図示の実施例につき詳細に説明する。
【0028】
図1には、本発明の曲げセンサを人間の背中に取り付けた様子が示されている。ツーストリップ形の曲げ感応検知器10が図示されており、そのストリップは並んで人間の背中に取り付けられている。ストリップ形状の可撓性のテープは図1では脊柱に平行に背中に沿って延在している。これらは固定エレメント20を用いて背中に固定されている。検出された曲げパラメータを電子的なデータメモリ30に伝送するデータ線路40が設けられている。
【0029】
図2には、図1のストリップ形状の検知器10の部分が側面にて略示されている。検知器10はストリップ形状の基板50を有している。ストリップ形状の基板50の反対の側に、それぞれストレンゲージ60および70が配置されている。反対側に配置されているストレンゲージはそれぞれ、検知器の測定ゾーンを定めている。ストレンゲージ60および70は伸張変形を検出するための測定装置である。これらは僅かでも変形すればそのインピーダンスを変えかつ伸張センサとして使用される。図1に図示の人間が背中を曲げると、ストレンゲージ60および70はそれぞれ伸張される。この機械的な変形がストレンゲージ60および70の電気的な抵抗を変化する。
【0030】
図3には、ストレンゲージの機械的な変形と電気的な抵抗の変化との関係がデカルト座標系において示されている。横軸には曲げ角度Φが示されている。曲げ角度Φはストレンゲージの伸張の1次関数である。センサテープのそれぞれ個々の曲げ感応測定ゾーンは較正され、その際較正曲線はセンサテープの電子部に記憶される。座標系の縦軸は変形していないストレンゲージの抵抗に対する電気的な抵抗の変化ΔRを表している。参照符号85は較正曲線を表している。つまり、座標系の原点を通る単純な直線である。この曲線形状は例示されているにすぎない。しかし較正曲線85は曲げ角度Φが大きくなるに従って曲線形状から離れる。較正は、曲げ角度のできるだけ正確な検出を可能にするために必要である。センサエレメントとしてストレンゲージ(Dehnungsmessstreifen=DMS)の他に曲げ感応測定ゾーンの領域において表面構造化されている導光体も使用することができる。オーミック抵抗の他に、電気的な容量またはインダクタンスの変化も曲げ角度に対する尺度として使用することができる。一般に、検出すべき曲げ角度に対する複素交流抵抗Zもしくはインピーダンスを較正曲線として記録することができる。
【0031】
図4には、本発明の曲げセンサの別の実施例が図示されている。曲げセンサは、曲げ感応検知器10に接続されている検知器電子装置120に対するユニットを含んでいる。曲げ感応検知器はストリップ形状の基板50を含んでいる。ストリップ形状の基板50に沿って、多数のストリップ形状のストレンゲージ110が配置されている。ストレンゲージ110の長手軸線はそれぞれ、ストリップ形状の基板50の長手軸線に平行に配向されている。隣接のストレンゲージ110はそれぞれ並んで順次ストリップ形状の基板50に位置決めされているので、第1のストレンゲージ110の始点部分はそれぞれそれに続くストレンゲージの終点部分の隣りに存在している。参照符号130は2つの隣接するストレンゲージの始点および終点部分が並んで配置されているところでの、曲げ感応検知器を通る断面を表している。
【0032】
図5には、曲げ感応検知器10を図4の横断面130で切断して見た断面が示されている。図5に図示の基板50は有利にはばね鋼から作製されている。この材料は、ストレンゲージ110を収容するために十分な強度およびフレキシビリティを有している。図5には、ストレンゲージ110が接着剤層140を用いて基板50に固定されている。接着剤層140として例えばエポキシ樹脂を使用することができる。これは同時に、ストレンゲージの、基板からの効果的な電気的なアイソレーションに役立つ。基板50およびストレンゲージは保護カバー100によって閉じ込められている。保護カバーとして有利には、収縮ホースが使用される。
【0033】
図6には本発明の別の実施例が図示されている。図6の参照符号120は図示の曲げセンサの検知器電子ユニットを表している。つまりこれは有利にはデータ線路を介して図6には図示されていない外部のデータメモリに接続されている。これにより曲げセンサの大きさおよび重さを全体として低減することができる。検出された曲げパラメータを無線接続、例えばBluetooth(IEEE802.15.1)、WLAN(IEEE802.11)またはUMTSを介して転送することも勿論可能である。こうして検出された曲げパラメータの評価および記憶は外部の計算機に伝送することができる。殊に、曲げセンサの担体に背中の痛みを和らげるまたは予防するための情報を伝えるために、検出されたデータを実時間で評価することが可能である。
【0034】
図6に図示の曲げセンサは更に基板50を含んでおり、基板にはストレンゲージ110がカスケード接続されて配置されている。カスケード接続という概念によってここではストレンゲージの空間的な配置だけが表されている。ストレンゲージ110は直列に接続されているのではなく、並列に接続されている。従ってそれぞれのストレンゲージは個別にドライブされかつ読み出されることができる。それぞれのストレンゲージ110は、種々異なっている位置もしくは測定ゾーンにおける曲げパラメータを検出するように設けられているので、曲げパラメータの位置分解された表示を得ることができる。ストレンゲージ110はそれぞれ基板50の長手軸線に沿って順次配置されている。図6には曲げセンサの1平面しか図示されていない。曲げセンサの図示されていない裏面にもストレンゲージが図示の前面と同じ仕方で配置されている。
【0035】
図7に、図6の曲げセンサの横断面が断面130に沿って示されている。基板50の反対の側にそれぞれストレンゲージ110が配置されている。接着剤層140を用いてストレンゲージ110はそれぞれ基板50に固定されている。曲げ感応測定ゾーン当たりに、それぞれ2つの平行に(サンドイッチ構造)配置された、逆にまたは同方向に配向されている測定検出器を組み合わせたことで、測定精度、測定領域、障害耐性、ひいては曲げ信号の再現力が高められる。熱的、機械的および電磁的な影響並びに測定検出器の劣化が補償されるからである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の曲げセンサを人間の背中に貼り付けた様子を示す略図
【図2】本発明の曲げセンサの検知器に対する第1の実施例を示す略図
【図3】検知器の電気的な抵抗変化(ΔR)の、曲げ角度(Φ)に対する依存性が図示されているデカルト座標系を示す図
【図4】本発明の曲げセンサに対する第2の実施例の略図
【図5】第2の実施例の曲げセンサを断面130で切断して見た断面略図
【図6】本発明の曲げセンサに対する第3の実施例の略図
【図7】第3の実施例の曲げセンサを断面130で切断して見た断面略図
【符号の説明】
【0037】
10 曲げ感応検知器、 20 固定エレメント、 30 データメモリ、 40 データ線路、 50 基板、 60 上側のストレンゲージ、 70 下側のストレンゲージ、 80 測定ゾーン、 85 較正曲線、 90 給電部、 100 保護カバー、 110 ストレンゲージ、 120 検知器電子ユニット、 130 切断面、 140 ストレンゲージに対する接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体または動物体における動きの経過特性を特徴付けるための機能パラメータを検出するための曲げセンサであって、
人体または動物体の皮膚上に曲げセンサを固定するための固定エレメント(20)、例えば固定用バンドエイドと、
曲げセンサの曲げパラメータ、例えば曲げ角度、曲げ速度および曲げ加速度を検出するための曲げ感応検知器(10)と、
前記検出された曲げパラメータを記憶するためのデータメモリ(30)と
を備えた形式のものにおいて、
前記固定エレメントは伸張可能でありかつ前記検知器の測定検出器を収容するための伸張可能な中空空間を有しており、該測定検出器は前記中空空間において前記固定エレメントの参照点に固定されている
ことを特徴とする曲げセンサ。
【請求項2】
前記固定エレメント(20)は前記皮膚上に取り付けるためのバイオコンパチブルな熱的に活性化可能な接着層を備えたエラスチックな下部層とエラスチックな上部層とを有しており、前記中空空間は該下部層と該上部装置の間に形成されている
請求項1記載の曲げセンサ。
【請求項3】
前記測定検出器は導光体を有しておりかつ導光体は該導光体の曲がりに依存して変化する伝達関数を有している
請求項1または2記載の曲げセンサ。
【請求項4】
前記測定検出器はインピーダンスを有するストレンゲージを有しており、該インピーダンスは該ストレンゲージの伸張または圧縮により変化する
請求項3記載の曲げセンサ。
【請求項5】
前記検知器は検出装置を有しており、ここで該検出装置は前記ストレンゲージ(60,70)の電気的なインピーダンスの変化または前記導光体の伝達関数の変化を検出する
請求項1から4までのいずれか1項記載の曲げセンサ。
【請求項6】
前記検出装置は、前記ストレンゲージ(60,70)の電気的なインピーダンスの変化または前記導光体の伝達関数の変化を例えば100Hzの予め定めたサンプリング周波数によって検出するように構成されている
請求項5記載の曲げセンサ。
【請求項7】
前記検出装置から出力されたデジタル化された電子的な信号を記憶するための電子的なデータメモリを備えている
請求項5または6記載の曲げセンサ。
【請求項8】
前記検知器は引っ張り強くかつエラスチックに曲げ可能な基板を有しており、該基板上に前記測定検出器が固定されている
請求項1から7までのいずれか1項記載の曲げセンサ。
【請求項9】
前記基板はばね鋼から作製されている
請求項8記載の曲げセンサ。
【請求項10】
前記検知器は複数の測定検出器を有しており、該測定検出器は前記基板の反対側に固定されている
請求項8または9記載の曲げセンサ。
【請求項11】
前記検知器(10)はそれぞれ異なっている測定ゾーン(80)における曲げパラメータを検出するための複数の測定検出器を有している
請求項1から10までのいずれか1項記載の曲げセンサ。
【請求項12】
前記測定検出器はカスケード接続されていてまたはオーバラップされて配置されている
請求項11記載の曲げセンサ。
【請求項13】
前記検出器は、異なっている測定ゾーン(80)に配置されている測定検出器を時間的にずらしてドライブ制御する、例えば少なくとも1kHzのサンプリング周波数によってドライブ制御するように構成されている
請求項1から12までのいずれか1項記載の曲げセンサ。
【請求項14】
地球の重力の場または地磁気に対して相対的な前記測定検出器のポジションを検出するための空間位置センサを備えている
請求項1から13までのいずれか1項記載の曲げセンサ。
【請求項15】
前記固定エレメント(20)は機械的な安定化および電磁的なシールドのためのばね鋼から成る層を有している
請求項6から14までのいずれか1項記載の曲げセンサ。
【請求項16】
前記固定エレメント(20)は呼び出し可能な識別メモリユニットを有しており、該識別メモリユニットに前記固定エレメントを識別するための電子的な識別が記憶されている
請求項1から15までのいずれか1項記載の曲げセンサ。
【請求項17】
前記識別メモリユニットは前記電子的な識別を無線で識別し、読み出すためのRFIDトランスポンダを有している
請求項16記載の曲げセンサ。
【請求項18】
前記検知器は前記識別を読み出すための読み出し装置を有している
請求項16または17記載の曲げセンサ。
【請求項19】
前記RFIDトランスポンダはアンテナとして前記測定データ転送のために既に存在しているデータ線路を使用する
請求項1から18までのいずれか1項記載の曲げセンサ。
【請求項20】
曲げセンサを人体または動物体に固定し、
曲げセンサの曲げパラメータ、例えば曲げ角度、曲げ速度および曲げ加速度を検出し、
前記検出された曲げパラメータに基づいて身体運動を決定する
ステップを有している、人体または動物体における運動経過特性を特徴付けるための機能パラメータを検出するための方法において、
前記曲げセンサを固定するための伸張可能な固定エレメントを用意し、ここで該固定エレメントは検知器の測定検出器を収容するための伸張可能な中空空間を有しており、かつ
前記測定検出器を前記中空空間における前記固定エレメントの参照点に固定する
ステップを有していることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記曲げセンサのポジションを空間位置センサを用いて検出し、ここで地球の重力の場または地磁気に対して相対的なポジションが検出される
請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記曲げパラメータを検出するために曲げセンサの複数の曲げ感応測定ゾーン(80)を使用することによって、曲げパラメータを場所分解して検出する
請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
前記曲げパラメータを予め定めたサンプリング周波数、例えば100Hzのサンプリング周波数によって検出することによって、曲げパラメータを時間分解して検出する
請求項20から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記検出された曲げパラメータを、多数のダイナミックパラメータ、例えば時間および/または場所の関数としての曲げ角度、時間および/または場所の関数としての曲げ速度、時間および/または場所の関数としての曲げ加速度、曲げ角度、曲げ速度および/または曲げ加速度の関数のフーリエ変換を決定するために使用する
請求項20から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
ダイナミックパラメータ、例えば曲げ角度、曲げ速度または曲げ加速度の頻度分布をグラフ表示するためにヒストグラムを使用する
請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記曲げセンサの空間位置の頻度分布をヒストグラムとしてまたは座標系におけるグレー値として表示する
請求項24または25記載の方法。
【請求項27】
検出された曲げパラメータを平均曲げパラメータと比較して、運動パラメータにおける異常が分かるようにする
請求項20から26までのいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記曲げパラメータと同時に、別のパラメータ、例えば苦痛パラメータ、姿勢パラメータ、活発さパラメータを検出しかつ前記曲げパラメータと前記別のパラメータとの間に統計学的な相関を形成する
請求項20から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
長時間解析を可能にするために、前記曲げセンサの曲げパラメータの検出を少なくとも24時間にわたって行う
請求項20から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
セラピー措置と前記検出された曲げパラメータとの間の正または負の相関を確定するために、曲げパラメータの検出をセラピーと一緒に実施する
請求項20から29までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−42235(P2010−42235A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327788(P2008−327788)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(509068002)エピオニクス メディカル ゲゼルシャフト ミットベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Epionics Medical GmbH
【住所又は居所原語表記】Hermannswerder 15, D−14473 Potsdam, Germany
【Fターム(参考)】