説明

人体構造の異常状態の物理的な観測と解析方法及び、同方法を用いた測定装置

【課題】従来は単なる写真撮影で姿勢解析を実施していた。そのため身体の姿勢ひずみが重力基準で行われていなかった。また身体の運動解析では加速度センサーのデータを積分して、速度と変位を計算するため、積分誤差がどうしても発生してしまう。また専門知識の無い一般患者には分かりにくい状態であった。また健常者を基本に歩行動作を測定していたため、広い場所、又はランニングマシンが必要であった。
【解決手段】安静立位時の姿勢の絶対ひずみを知るために、細線化画像処理と、測量用下げ振りを使用する。健常者でなくても運動が可能な、簡単な足踏み動作を測定する。また誤差を無くすため、発生加速度を積分するのではなく、重力とのベクトルで重心バランスをメートルで表現できるため、一般患者に理解しやすい。測定値をスペクトル解析により、異常信号を検出する。動作をヒストグラムで表し、統計的に処理をすることが可能。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体の外部らから観測・測定したデータを予め所定条件に従った処理を行って、一般の患者に理解しやすい人体の姿勢や、運動状態の異常状態を認知する事を特徴とする、人体の物理的観測、及び測定装置。

【背景技術】
【0002】
従来は単に写真撮影のみを実施し、カメラの曲がりや画像のひずみが考慮されておらず、さらに目視のみで確認されていたため、個人差も大きく身体の絶対姿勢ひずみが把握されていなかった。
【0003】
従来は加速度センサーを使用した、身体の運動状態を観測、解析も、測定値を積分して、速度と変位を計算するため、誤差がどうしても発生してしまう。また専門知識の無い一般患者には分かりにくい状態であった。
健常者を基本に歩行動作を測定していたため、広い場所、又はランニングマシンが必要であった。

【特許文献1】特開2007−89703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定は迅速正確に、バラツキの小さく安価な方法で実施可能なこと。
【0005】
身体は重力を受け、抗重力筋により立位状態を保っている。姿勢測定は重力を基準とした測定であること。
【0006】
臨床のための診断は健常者だけでは無い。体の不自由な人、高齢者等も測定の対象にする事が重要である。また狭い治療院でも診断の実施が可能であること。
【0007】
測定データは専門知識の無い一般患者にも理解しやすくなければならない。従来の専門的な物理量を使用したデータではなく、日常生活で一般に使用されている単位で表現されること。
【0008】
従来は加速度データを積分して、変位を求めていた。そのため積分による誤差が発生してしまう。積分を使用しないで変位を求める方法であること。
【0009】
測定値は十分に解析され、統計的に科学的に処理されること。

本発明は以上の課題を解決するためになされたものである。

【課題を解決するための手段】
【0010】
外部からの測定データを予め定めた所定条件をプログラミングしたパソコンに入力、解析することにより、測定データを迅速に、かつ正確に処理することが可能になる。
【0011】
撮影された安静立位画像を画像処理工学と測量学を応用し処理すれば、身体の安静立位姿勢が重力基準で、個人差も少なく把握できるようになる。
【0012】
従来の歩行動作の測定に代わり、足踏み動作の重心バランスを測定する。患者の負担も少なくなるため、健常者でなくても測定が可能になり、狭い場所で実施できるようになる。
【0013】
足踏み時の加速度データを積分するのではなく、重力とのベクトルで表し、幾何学的に表してやれば、積分による誤差が発生しなくなり、重心バランスが日常親しんでいる単位、メートルで表現できる。
【0014】
足踏み時の重心バランスデータをリサージュ線図による表現、およびスペクトル解析、ヒストグラムの形で表現すれば、異常動作の確認や、データを統計的に処理できる。

【発明の効果】
【0015】
パソコンでデータ解析を実施することにより、測定は迅速にかつ正確に実施することが可能になった。
【0016】
姿勢測定時に、測量作業時に使用されている下げ振りを画像に使用することにより、身体の姿勢を重力基準で把握できるようになった。
【0017】
簡単な足踏み動作を実施することにより、狭い場所で、かつ高齢者や軽度の障害にある人にも安全に実施が可能になった。
【0018】
足踏み時の重心加速度データを重力とのベクトルで表し、重心位置を幾何学的に求めたため、積分による誤差が発生せず、一般患者にも分かりやすいメートルで表現できるようになった。
【0019】
加速度から重心バランスデータに変換された測定値をスペクトル解析や、統計的に分析され、より詳しく科学的に処理が可能になった。
重心バランスデータをリサージュ線図で表すため、一般患者にも運動時の重心バランスが理解しやすくなった。
スペクトル解析により、異常な動作信号が把握できるようになり、治療法が決定しやすくなった。
重心バランスの波形を振幅の度数による、ヒストグラムで表現し、統計的に判断することが可能になった。

【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下図面に示す、発明を実施するための最良の形態により、本発明の実施例を詳細に説明する。

【実施例】
【0021】
本測定機器は、まず図1−1に示すように、デジタルカメラで人体の状態を撮影する。
図1−2は人体の画像に画像処理を実施し、細線化表現したものである。
図1−3は下げ振りの画像を人体中心部に投影し、人体の姿勢曲がりを重力基準で表現したものである。
【0022】
図2は安静立位時の計測状態を示したものである。
3軸加速度センサー6をインターフェースケーブル9により、パソコン7と接続する。3軸加速度センサーを患者のほぼ重心部、つまり身長の約55%の位置に装着する。
患者5に安静立位状態を維持させ、その状態で3軸方向の加速度A(x)A(y)A(z)を計測する。
計測された3軸加速度は、加速度波形8としてパソコン7に表示され、時系列データとしてパソコン内部に記録される。
安静立位時の3軸加速度の平均をとり、これを基準値とする。
【0023】
図3は足踏み運動時の計測状態を示したものである。
患者5に足踏み運動を実施させる。安静立位時と同様3軸加速度波形10としてパソコン7に表示され、時系列データとしてパソコン内部に記録される。
【0024】
図4は足踏み状態の3軸加速度データを元に、床面重心位置、各ZMP(ゼロモーメントポイント)の算出方法である。
【0025】
図5は上記計算法で、各ZMPを時系列の波形として表現したものである。
【0026】
図6−1は時系列に表現されたZMPをリサージュ線図により平面に表したものである。
【0027】
図6−2は時系列に表現されたZMPを高速フーリエ変換し、周波数分析したものである。
【0028】
図6−3は時系列に表現されたZMP波形を、振幅量の発生度数表現した、ヒストグラムを作成し、ZMP状態を統計的に処理するものである。

【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】患者の安静立位時姿勢を細線化画像処理し、重力基準で表現したもの
【図2】患者の安静立位時の重心揺れ加速度の測定法
【図3】患者の足踏み状態の重心揺れ加速度の測定法
【図4】加速度より床面重心位置ZMP(ゼロモーメントポイント)計算方法
【図5】加速度データより、ZMPの演算方法
【図6】足踏み時のZMPをリサージュ図形、周波数スペクトル、振幅度数ヒストグラムで表現したもの。
【符号の説明】
【0030】
1 患者
2 測量用下げ振り
3 細線化
4 重力線
5 患者
6 加速度センサー
7 パソコン
8 安静立位時ZMP波形
9 インターフェースケーブル
10 足踏み時ZMP波形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の外部から観察・計測したデータを予め定めた所定条件に従った処理を行って表示・記録し、または身体の仮想標準状態を示すデータと比較して変差分を判定する事により、計測人体の異常を認知するようにした事を特徴とする人体構造の異常状態を同定する観測と解析方法。

【請求項2】
上記所定条件には、時間経過に対応した処理を含めた請求項1の人体構造の異常状態を同定する観測と解析方法。

【請求項3】
立ち姿勢で静止した人体をデジタルカメラでの記録をもとに、コンピュータ解析により身体の曲がりを計測。重力基準線と比較し、計測人体の重心バランス異常を認知するようにした、請求項1記載の人体の構造の異常を同定する観測と解析方法。

【請求項4】
立ち姿勢で静止した人体の所定箇所に変位、加速度等の検知手段を装着して、人体の自然揺れ状態を検知し、自然揺れ状態を時間経過に対応して記録・表示し、計測人体の異常を認知するようにした請求項1及び2記載の人体構造の異常状態を同定する観測と解析方法。

【請求項5】
立ち姿勢で、人体の所定箇所に変位、加速度等の検知手段を装着して、軽微な運動を行い、変位信号を時間経過に対応して記録・表示し、コンピュータ上に作成した人体の正常状態において上記運動に対応される仮想標準信号とを対比する事によって、計測人体の姿勢や重心バランスの異常状態を認知しようとした、請求項1及び2記載の人体構造の異常状態を同定する観測と解析方法。

【請求項6】
軽微な運動は足踏みであることを特徴とする、人体構造の異常状態を同定する観測と解析方法。

【請求項7】
所定の人体情報検知手段と、所定の処理機能実施するプログラムを記録した記憶機能と、前記人体情報検知手段で検知した信号を入力するインターフェース機能と、人体の特徴と前記入信号の性格に対応させて、基準信号を作成する機能と、入力信号と前記基準信号とを対比させ、入力信号の偏差を検知する手段を設けた演算プログラムを備えた記録機能と、前記記録したプログラム類によって、全記入人体情報検出手段によって得た検出情報を処理する演算機能と、前記演算機能の演算過程の信号等、当該装置機能が必要とする信号を一次記録する記憶機能と、少なくても前記検知した信号を表示、または印字するする機能に対応させたインターフェース機能を備えた事を特徴とする、前記請求項1ないし6のいずれか、または所定のいずれかを複合させて形成した、人体構造の異常状態を同定する観測と解析法を用いた計測装置。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−285269(P2009−285269A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142249(P2008−142249)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(308012750)
【Fターム(参考)】