説明

人体電位モニター装置および人体電位モニター方法

【課題】 人体に蓄積された電荷を放電させる共に、人体の表面電位の測定でき、人体の電荷を放電させるグランドラインが切断又は接触不良となった場合に警報を発することができる人体電位モニター装置および人体電位モニター方法を提供する。
【解決手段】 リストストラップ10上に配置され、人体に蓄積された電荷をグランドラインを通して放電させるグランドプレート11と、リストストラップ10上に配置されたモニタープレート12と、モニタープレート12に接続された静電界センサーにより人体電位を計測する人体電位測定回路部20と、人体電位測定回路部20の出力信号を所定の基準値と比較して、グランドプレート11のグランドラインへの導通ルートが失われたことを検出して警報を発生するアラーム発生回路31とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体電位モニター装置および人体電位モニター方法に関する。また、本発明は、人体に蓄積された電荷を放電させると共に、人体の表面電位の測定を可能にし、さらに、人体に蓄積された電荷を放電させるためのグランドラインが断線又は接触不良となった場合に警報を発することを可能にする人体電位モニター装置および人体電位モニター方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI、CCD、ハードディスクのヘッド、液晶、レーザダイオード、青色ダイオード、化合物高周波デバイスなど昨今の最先端電子デバイスでは、ESD(Electrostatic Discharge:静電気放電)耐性が低下したため生産ラインでESD障害が発生する場合がある。さらに、それらデバイスを搭載する電子機器の組立工程おいてもESD障害は発生し、製品の歩留まり低下のみならず市場品質問題が生じることもある。
【0003】
このため、ESD耐性の低い部品を製造する場合、又はESD耐性の低い部品を使用した機器を製造する場合には、生産ライン設備を十分に接地(アース)することが重要となる。また、かかる場合は、クーロンメータ、人体電位計、大気イオンモニター、金属表面電位計などにより、生産設備およびその周辺における静電容量および電荷計測を行い、ESD障害に対する対策を施しているものもある。
【0004】
また、作業者自身も接地されたストストラップを腕にはめて、人体に帯電した電荷に起因するESD障害の発生を防ぐようにしている。
【0005】
このESD障害に対する先行技術としては、電荷計測装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この電荷計測装置は、外部導体の内側に外部導体と接しないように絶縁体により分離された内部導体を設け、内部導体内に表面電位計を配している。そして、表面電位計により得られた電位をハイインピーダンスからロウインピーダンスにインピーダンス変換し該電位を制御部で計測している。また、内部導体は、接地線と接続され表面電位計を遮蔽する構成のものである。また、人体の表面電位を測定するために、外部導体は手首に接触する構造であることが推奨されている。
【0006】
また、現在市場で販売されている製品の中には、帯電防止用のリストストラップに、アース電位を基準として人体電位を計測する装置が搭載されたものがある。
【特許文献1】特開2001−116787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の発明では、外部導体を手首に接触する構造(リストスバンドなどを使用する構造)とし、人体の表面電位を測ることを目的とした発明であり、折角リストバンドをしているにも係わらず人体に蓄積された電荷を放電することを目的としていない。
【0008】
また、帯電防止用のリストストラップに、アース電位を基準として人体電位を計測する装置を搭載した従来の製品においては、そのグランドライン(アース線)が切断又は接触不良になった場合に、これを検出するための機能がない。したがって、グランドラインが切断し、人体に蓄積された電荷量が増大(人体電位が上昇)した場合にも、これに気づかず作業を継続する可能性がある。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、人体に蓄積された電荷を放電させると共に、人体の表面電位の常時計測を可能にし、さらに、人体に蓄積された電荷を放電させるためのグランドラインが断線した場合又は接触不良が生じた場合に警報を発することを可能にする人体電位モニター装置および人体電位モニター方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の人体電位モニター装置は、人体の帯電防止と人体電位を計測するための導電性のリストストラップを使用した人体電位モニター装置であって、前記リストストラップ上に配置され、人体の皮膚に接触して人体に蓄積された電荷をグランドラインを通して放電させる平面状の導電性のグランドプレートと、前記リストストラップ上に配置され、前記リストストラップおよびグランドプレートとは絶縁され、人体の皮膚に接触して人体電位を計測するための平面状の導電性のモニタープレートと、前記モニタープレートに接続された静電界センサーにより人体電位を計測する人体電位測定回路と、前記人体電位測定回路の出力信号を所定の基準値と比較して、前記グランドプレートのグランドラインへの導通ルートが失われたことを検出して警報を発生するアラーム発生回路とを有することを特徴とする。
本発明によれば、作業者の腕に簡単に装着して人体電荷の放電および人体電位の常時計測を可能にすると共に、グランドプレートがグランドライン(アース線)のルートから外れた場合、又はグランドプレートと人体との間に接触不良が生じた場合などに警報を出力することができる。
【0011】
また、本発明の人体電位モニター装置は、前記グランドプレートは中央部に貫通穴を有する円形状の肉厚平板で構成され、前記モニタープレートは円形状の肉厚平板で構成され、前記モニタープレートが、前記グランドプレートの貫通穴内に絶縁層を介して該グランドプレートと面平行に配置された構成であることを特徴とする。
本発明によれば、グランドプレートとモニタープレートを一体構造にして小型化することができる。また、グランドプレートとモニタープレートの位置が固定位置となるので、人体電位の計測精度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の人体電位モニター装置は、人体の帯電防止と人体電位を計測するための導電性のリストストラップを使用した人体電位モニター装置であって、第1の導電性のリストストラップ上に配置され、人体の皮膚に接触して人体に蓄積された電荷をグランドラインを通して放電させる平面状の導電性のグランドプレートと、第2の導電性のリストストラップ上に配置され、該リストストラップとは絶縁され、人体の皮膚に接触して人体電位を計測するための平面状の導電性のモニタープレートと、前記モニタープレートに接続された静電界センサーにより人体電位を計測する人体電位測定回路と、前記人体電位測定回路の出力信号を所定の基準値と比較して、前記グランドプレートのグランドへの導通ルートが失われたことを検出して警報を発生するアラーム発生回路とを有することを特徴とする。
本発明によれば、作業者の腕に簡単に装着して人体電荷の放電および人体電位の常時計測を可能にすると共に、グランドプレートがグランドライン(アース線)のルートから外れた場合、又はグランドプレートと人体との間に接触不良が生じた場合などに警報を出力することができる。さらに、第1のグランドプレートと第2のリストストラップの装着する場所に応じた人体電位を測定することができる。
【0013】
また、本発明の人体電位モニター装置は、前記人体電位測定回路が前記モニタープレートの上面側に固定配置されたことを特徴とする。
本発明によれば、人体電位測定回路内の静電界センサーおよび各回路がノイズの影響を受けることが少なくなり、測定精度および信頼性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の人体電位モニター装置は、前記人体電位測定回路が、静電界センサーの高インピーダンス出力信号を低インピーダンス出力信号に変換する増幅器を有することを特徴とする。
本発明によれば、人体電位測定信号が外部ノイズ(誘導ノイズや静電ノイズ)の影響を受けることを低減できる。
【0015】
また、本発明の人体電位モニター装置は、前記アラーム発生回路が、前記増幅器から出力される人体電位測定信号が所定の基準値以上であることを検出する基準値比較部と、前記増幅器から出力される人体電位測定信号がゼロレベルであることを検出するゼロ出力検出部と、前記基準値比較部および前記ゼロ出力検出回路の検出結果を基に警報を発生する警報出力部とを有することを特徴とする。
本発明によれば、人体電位モニター装置内のグランドラインの切断(又は接触不良)がいずれの場所で発生しても、ほとんどの場合に検出して警報を出力することができる。
【0016】
また、本発明の人体電位モニター方法は、人体の帯電防止と人体電位を計測するための導電性のリストストラップを使用した人体電位モニター装置における人体電位モニター方法であって、人体の皮膚に接触して人体に蓄積された電荷をグランドラインを通して放電させる平面状の導電性のグランドプレートを前記リストストラップ上に配置する手順と、人体の皮膚に接触して人体電位を計測するための平面状の導電性のモニタープレートを、リストストラップ上に、前記リストストラップおよびグランドプレートとは絶縁された状態で配置する手順と、前記モニタープレートに接続された静電界センサーにより人体電位を計測する手順と、前記人体電位の計測結果を所定の基準値と比較して、前記グランドプレートのグランドラインへの導通ルートが失われたことを検出して警報を発生する手順とを有することを特徴とする。
本発明によれば、作業者の腕に簡単に装着して人体電荷の放電および人体電位の常時計測を可能にすると共に、グランドプレートがグランドライン(アース線)のルートから外れた場合、又はグランドプレートと人体との間に接触不良が生じた場合などに警報を出力することができる。
【0017】
また、本発明の人体電位モニター方法は、人体の帯電防止と人体電位を計測するための導電性のリストストラップを使用した人体電位モニター装置における人体電位モニター方法であって、人体の皮膚に接触して人体に蓄積された電荷をグランドラインを通して放電させる平面状の導電性のグランドプレートを、第1の導電性のリストストラップ上に配置する手順と、人体の皮膚に接触して人体電位を計測するための平面状の導電性のモニタープレートを、第2の導電性のリストストラップ上に、該リストストラップとは絶縁された状態で配置する手順と、前記モニタープレートに接続された静電界センサーにより人体電位を計測する手順と、前記人体電位の計測結果を所定の基準値と比較して、前記グランドプレートのグランドへの導通ルートが失われたことを検出して警報を発生する手順とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、作業者の腕に簡単に装着して人体電荷の放電および人体電位の常時計測を可能にすると共に、グランドプレートがグランドライン(アース線)のルートから外れた場合、又はグランドプレートと人体との間に接触不良が生じた場合などに警報を出力することができる。さらに、第1のグランドプレートと第2のリストストラップの装着する場所に応じた人体電位を測定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の人体電位モニター装置および人体電位モニター方法においては、グランドプレートにより人体の電荷をグランドに放電させ、モニタープレートにより人体電位を計測すると共に、グランドプレートのグランドラインへの導通ルートが失われたことを検出して警報を発生するようにした。これにより本発明は、作業者の腕に簡単に装着して人体電荷の放電および人体電位の常時計測を可能にすると共に、グランドプレートがグランドライン(アース線)のルートから外れた場合、又はグランドプレートと人体との間に接触不良が生じた場合などに警報を出力することができる。
【0019】
また、本発明の人体電位モニター装置においては、グランドプレートの中央部の貫通穴の部分にモニタープレートを配置するようにした。これにより本発明は、グランドプレートとモニタープレートを一体構造にして小型化することができる。また、グランドプレートとモニタープレートの位置が固定位置となるので、人体電位の計測精度を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の人体電位モニター装置および人体電位モニター方法においては、第1のリストストラップ上にグランドプレートを設け、第2のリストストラップ上にモニタープレートを設けるようにした。これにより本発明は、作業者の腕に簡単に装着して人体電荷の放電および人体電位の常時計測を可能にすると共に、グランドプレートがグランドライン(アース線)のルートから外れた場合、又はグランドプレートと人体との間に接触不良が生じた場合などに警報を出力することができる。さらに、第1のグランドプレートと第2のリストストラップの装着する場所に応じた人体電位を測定することができる。
【0021】
また、本発明の人体電位モニター装置においては、人体電位測定回路をモニタープレートの上面側に固定配置するようにした。これにより本発明は、人体電位測定回路内の静電界センサーおよび各回路がノイズの影響を受けることが少なくなり、測定精度および信頼性を向上させることができる。
【0022】
また、本発明の人体電位モニター装置においては、静電界センサーの高インピーダンス出力信号を低インピーダンス出力信号に変換するようにした。これにより本発明は、人体電位測定信号が外部ノイズ(誘導ノイズや静電ノイズ)の影響を受けることを低減させることができる。
【0023】
また、本発明の人体電位モニター装置においては、人体電位の計測値が所定の基準値以上の場合および人体電位の計測値がゼロであることを検出して、警報を発生するようにした。これにより本発明は、人体電位モニター装置内のグランドラインの切断(又は接触不良)がいずれの場所で発生しても、ほとんどの場合に検出して警報を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は本発明による人体電位モニター装置の第1の構成例を示す図である。図1に示すように、本発明の人体電位モニター装置1は、グランドプレート11とモニタープレート12からなる金属プレート部と、該金属プレート部に固着されたリストストラップ10と、グランドプレート11およびモニタープレート12に接続された人体電位測定回路部20と、アラーム回路部30とを主要な構成要素としている。
【0025】
図2は本発明による人体電位モニター装置の概観例を示す図である。図2に示すようにリストストラップ10はグランドプレート11に固着され、グランドプレート11の上側に人体電位測定回路部20が固定配置される。
【0026】
リストストラップ10は人間の腕に装着される導電性のバンドであり、このリストストラップ10に、グランドプレート11と、絶縁プレート13と、モニタープレート12とから構成される円形の平面状の金属プレート部が装備される。また、グランドプレート(GNDプレート)11およびモニタープレート12は、それぞれ、人間の腕の皮膚の表面に密着するように円形かつ平面状に構成されている。
図3は、グランドプレート11とモニタープレート12の配置例を示す図である。図3に示すように、グランドプレート11に中央部に貫通穴が設けられ、この貫通穴部に、円形状のモニタープレート12が絶縁プレート13に囲まれて配置されている。
【0027】
また、図1に示すように、グランドプレート(GNDプレート)11および導電性のリストストラップ10は、グランドラインGNDを通じて接地(アース)されている。これにより、人体に蓄積された電荷はグランドラインGNDを通じて放電される。
【0028】
また、モニタープレート12は、絶縁プレート13によりグランドプレート11から電気的に絶縁されている。すなわち、モニタープレート12は、グランドラインGNDから分離(独立)した状態に置かれている。
【0029】
モニタープレート12には、すぐ上部に配置された静電界センサー21の一端が接続され、この静電界センサー21により人間の腕の電位(接地に対する電位)を計測する。静電界センサー21の出力信号は増幅器22に入力される。
【0030】
増幅器22では、静電界センサー21の出力信号を信号変換(高インピーダンス入力信号(1MΩ程度)から低インピーダンス出力信号に変換)して人体電位測定信号として出力する。これは、人体電位の計測結果を外部にケーブルなどで出力する場合に、計測信号(人体電位測定信号)が誘導ノイズや静電ノイズなどの外部ノイズの影響を受けにくくするために出力インピーダンスを低くするのである。
【0031】
図3は、グランドプレートとモニタープレートの配置例を示す図である。前述したように、静電界センサー21を含む人体電位測定回路部20は、各プレート(11、12、13)の上面部に固定配置されている。また、人体電位測定回路部20は、全体が外部のノイズを受けることがないように金属などで囲って電磁シールドが施されている。
【0032】
また、静電界センサー21は通常の振動板を有する静電界センサーである。そして、静電界センサー21は振動板を振動させてセンサー内の電界(電気力線)をサイン(SIN)波状に変化させて測定するタイプである。静電界センサー21からの出力は付属の回路(図示せず)により直流信号に変換されて出力される。
【0033】
また、アラーム回路部30は、グランドラインGNDの断線などを検出するための回路である。図1に示す例のアラーム回路部30は、人体電位測定回路部20とは別置きで構成され、人体電位測定回路部20とはコネクタで配線接続されている。そして、アラーム回路部30は、アラーム回路部30と人体電位測定回路部20とを接続するコネクタに緩みが生じた場合や、回路内のGNDラインに断線が生じた場合など、グランドプレート11およびリストストラップ10がグランドラインGNDから遊離した場合に警報を出力する回路である。
【0034】
これは、コネクタに緩みが生じた場合や、回路内のグランドラインGNDに断線が生じた場合は、グランドプレート11およびリストストラップ10がグランドラインGNDからはずれることになり、人体に蓄積された電荷の放電ルートがなくなり、人体電位が上昇し、ESD障害の発生する可能性が高まるためである。また、グランドプレート11と人体との密着性が失われた場合(グランドプレート11と人体との接触不良が生じた場合)も同様である。
【0035】
このように、アラーム回路部30は、人体に蓄積された電荷の放電ルートが失われた場合に警報を出力するものである。例えば、図1に示すグランドラインGNDのa点、b点、c点などで断線が生じた場合、又はグランドプレート11およびリストストラップ10と人体との間に接触不良が生じた場合に警報を発生する。
【0036】
図4は、アラーム回路部の構成例を示す図である。図4に示す回路は、図1に示す回路と同じ回路であり、アラーム回路部30を見易く表示するために書きかえたものである。また、図4に示すグランドラインGNDの切断点a点、b点、c点についても、図1に示す切断点と同じ箇所である。
【0037】
図4において、アラーム発生回路31は、基準値比較部32と、ゼロ出力検出部33と、警報出力部34から構成される。そして、a点およびb点で断線が生じた場合には、増幅器22へ電源が供給されなくなり、増幅器22は動作せず、増幅器22の出力は完全に“0”となり(通常は何らかの信号が出力される)、アラーム発生回路31中のゼロ出力検出部33ではこれを検出して、警報出力部34により警報を出力する。
【0038】
また、c点で断線した場合には、人体に蓄積された電荷が放電されず、人体の電位が異常に上昇し、増幅器22から出力される人体電位測定信号S1も上昇する。アラーム発生回路31中の基準値比較部32では、人体電位測定信号S1を所定の基準値と比較することにより異常を検出し、警報出力部34により警報を出力する。なお、グランドプレート11(およびリストストラップ10)と人体とが接触不良の場合も、c点の断線と同様である。
【0039】
このように、本発明の人体電位モニター装置では、作業者の腕に簡単に装着して人体電位を常時計測することができると共に、リグランドプレート11およびストストラップ10がグランドラインGNDのルートからはすれた場合に警報を出力することができる。
【0040】
なお、上記アラーム回路部30は人体電位測定回路部20とは別置の場合について説明したが、アラーム回路部30と人体電位測定回路部20を一体化して、リストストラップ10のグランドプレート11等の上側に固定配置することも勿論可能である。
【0041】
また、本発明の人体電位モニター装置においては、静電界センサー21により、モニタープレート12と人体電位測定回路部20内の信号入力回路とは絶縁されているので、人体に測定のための電圧をかけることなく(受動タイプとして)人体電位を測定できる。また、本発明の人体電位モニター装置においては、静電界センサー21とグランドプレート11とモニタープレート12と位置関係(距離)は固定となるので、測定精度として0.1Vに近い測定精度を実現することができる。
【0042】
なお、上記実施の形態においては、上記静電界センサー21からの出力信号が直流の場合について説明したが、交流信号の場合であっても、当業者であれば、本発明の人体電位モニター装置を容易に構成できることは言うまでもない。
【0043】
また、静電界センサー21については、その感度を上げるための、図5に示す構成にすることもできる。すなわち、静電界センサーの下電極板21aの中央に突起部を設け、この突起部に電気力線を集中させることにより静電界センサーの感度を上げることができる。
【0044】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の人体電位モニター装置の第2の実施の形態について説明する。
図6は、本発明による人体電位モニター装置の第2の構成例を示す図であり、2つのリストストラップ10a、10bを使用する例である。
【0045】
図6において、2つのリストストラップ10a、10bは導電性のバンドであり、作業者はこの2つのリストストラップを腕にはめて使用する。
【0046】
一方のリストストラップ10aには、円形平板状のグランドプレート11が取り付けられる。このグランドプレート11は、人体電位測定回路部20中のGNDラインとa点でコネクタなどにより接続されており、グランドプレート11を作業の腕に密着させて取り付けることにより、作業者の体に蓄積された電荷がグランドラインGNDを通して放電される。
【0047】
また、他方のリストストラップ10bには円形平板状のモニタープレート12が取り付けられる。このモニタープレート12は、リング状の絶縁プレート13により、リストストラップ10bとは電気的に絶縁されている。そして、静電界センサー21を含む人体電位測定回路部20が、モニタープレート12の上側に配置されている。なお、この人体電位測定回路部20の大きさは、円柱形状の容器(直径35mm×高さ15mm程度)に収納されている。
【0048】
モニタープレート12は、リストストラップ10bにより、作業の腕の皮膚表面に密着するように取り付けられ、このモニタープレート12に接続される静電界センサー21により作業者の人体電位を測定する。この例では、リストストラップ10aのグランドプレート11と、リストストラップ10bのモニタープレート12との間の人体電位が測定されることになる。
【0049】
なお、人体電位測定回路部20およびアラーム発生回路31の構成とその動作は、図1に示した第1の実施の形態の場合と同様であり、その説明は省略する。
【0050】
以上説明したように、本発明の人体電位モニター装置はリストストラップ型の構成であり、作業者の腕に簡単に装着して人体電位を計測することができると共に、グランドプレートおよびリストストラップがグランドラインGNDのルートから外れた場合に警報を出力することができる。また、本発明の人体電位モニター装置においては、静電界センサー21の部分で、人体電位モニター装置と人体が絶縁されるので、人体に直接電圧をかけることなく(受動タイプとして)人体電位を測定できる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の人体電位モニター装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、作業者の腕に簡単に装着して人体電荷の放電および人体電位を計測することができると共に、リストストラップがグランドラインから外れた場合に警報を出力することができる効果を奏するので、本発明は人体電位モニター装置、および人体電位モニター方法などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態の人体電位モニター装置の構成例を示す図である。
【図2】同上の人体電位モニター装置の概観例を示す図である。
【図3】同上装置のグランドプレートとモニタープレートの配置例の図である。
【図4】同上の人体電位モニター装置のアラーム回路部の構成例を示す図である。
【図5】同上の人体電位モニター装置の静電界センサーの構成例を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態の人体電位モニター装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1…人体電位モニター装置、10、10a、10b…リストストラップ、11…グランドプレート、12…モニタープレート、13…絶縁プレート、20…人体電位測定回路部、21…静電界センサー、22…増幅器、30…アラーム回路部、31…アラーム発生回路、32…基準値比較部、33…ゼロ出力検出部、34…警報出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の帯電防止と人体電位を計測するための導電性のリストストラップを使用した人体電位モニター装置であって、
前記リストストラップ上に配置され、人体の皮膚に接触して人体に蓄積された電荷をグランドラインを通して放電させる平面状の導電性のグランドプレートと、
前記リストストラップ上に配置され、前記リストストラップおよびグランドプレートとは絶縁され、人体の皮膚に接触して人体電位を計測するための平面状の導電性のモニタープレートと、
前記モニタープレートに接続された静電界センサーにより人体電位を計測する人体電位測定回路と、
前記人体電位測定回路の出力信号を所定の基準値と比較して、前記グランドプレートのグランドラインへの導通ルートが失われたことを検出して警報を発生するアラーム発生回路とを有することを特徴とする人体電位モニター装置。
【請求項2】
前記グランドプレートは、中央部に貫通穴を有する円形状の肉厚平板で構成され、
前記モニタープレートは、円形状の肉厚平板で構成され、
前記モニタープレートは、前記グランドプレートの貫通穴内に絶縁層を介して該グランドプレートと面平行に配置された構成であることを特徴とする請求項1に記載の人体電位モニター装置。
【請求項3】
人体の帯電防止と人体電位を計測するための導電性のリストストラップを使用した人体電位モニター装置であって、
第1の導電性のリストストラップ上に配置され、人体の皮膚に接触して人体に蓄積された電荷をグランドラインを通して放電させる平面状の導電性のグランドプレートと、
第2の導電性のリストストラップ上に配置され、該リストストラップとは絶縁され、人体の皮膚に接触して人体電位を計測するための平面状の導電性のモニタープレートと、
前記モニタープレートに接続された静電界センサーにより人体電位を計測する人体電位測定回路と、
前記人体電位測定回路の出力信号を所定の基準値と比較して、前記グランドプレートのグランドへの導通ルートが失われたことを検出して警報を発生するアラーム発生回路とを有することを特徴とする人体電位モニター装置。
【請求項4】
前記人体電位測定回路が前記モニタープレートの上面側に固定配置されたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の人体電位モニター装置。
【請求項5】
前記人体電位測定回路は、静電界センサーの高インピーダンス出力信号を低インピーダンス出力信号に変換する増幅器を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の人体電位モニター装置。
【請求項6】
前記アラーム発生回路は、
前記増幅器から出力される人体電位測定信号が所定の基準値以上であることを検出する基準値比較部と、
前記増幅器から出力される人体電位測定信号がゼロレベルであることを検出するゼロ出力検出部と、
前記基準値比較部および前記ゼロ出力検出回路の検出結果を基に警報を発生する警報出力部とを有することを特徴とする請求項5に記載の人体電位モニター装置。
【請求項7】
人体の帯電防止と人体電位を計測するための導電性のリストストラップを使用した人体電位モニター装置における人体電位モニター方法であって、
人体の皮膚に接触して人体に蓄積された電荷をグランドラインを通して放電させる平面状の導電性のグランドプレートを前記リストストラップ上に配置する手順と、
人体の皮膚に接触して人体電位を計測するための平面状の導電性のモニタープレートを、リストストラップ上に、前記リストストラップおよびグランドプレートとは絶縁された状態で配置する手順と、
前記モニタープレートに接続された静電界センサーにより人体電位を計測する手順と、
前記人体電位の計測結果を所定の基準値と比較して、前記グランドプレートのグランドラインへの導通ルートが失われたことを検出して警報を発生する手順とを有することを特徴とする人体電位モニター方法。
【請求項8】
人体の帯電防止と人体電位を計測するための導電性のリストストラップを使用した人体電位モニター装置における人体電位モニター方法であって、
人体の皮膚に接触して人体に蓄積された電荷をグランドラインを通して放電させる平面状の導電性のグランドプレートを、第1の導電性のリストストラップ上に配置する手順と、
人体の皮膚に接触して人体電位を計測するための平面状の導電性のモニタープレートを、第2の導電性のリストストラップ上に、該リストストラップとは絶縁された状態で配置する手順と、
前記モニタープレートに接続された静電界センサーにより人体電位を計測する手順と、
前記人体電位の計測結果を所定の基準値と比較して、前記グランドプレートのグランドへの導通ルートが失われたことを検出して警報を発生する手順とを有することを特徴とする人体電位モニター方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−112809(P2006−112809A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297577(P2004−297577)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(502277762)ファブソリューション株式会社 (9)