説明

人工脂質二重膜を用いた電流計測装置

【課題】高濃度の脂質を含む溶液を注入してもゲル化を起こさずに、長時間にわたって平面脂質二重膜を維持することができる平面脂質二重膜アレイマイクロ流体システムを開発する。
【解決手段】本発明は、平面脂質二重膜アレイ装置を提供する。本発明の平面脂質二重膜アレイ装置は、送液口から延びる主流路と、前記主流路が分岐して並列に配置される複数の排出流路からなる貯液槽接続部とを含む。本発明の平面脂質二重膜アレイ装置は、前記主流路内の液体と電気的に接続する主流路電極と、前記微小憩室内の液体と電気的に接続する微小憩室電極とを含む場合がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質二重膜を分析するためのマイクロ流体システムに関し、具体的には、新規な貯液槽接続部及び/又は電極を備えた微小憩室を含む平面脂質二重膜アレイ装置と、該装置を含むマイクロ流体システムと、前記平面脂質二重膜アレイ装置を用いる脂質二重膜の電気的特性の自動分析システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
生体膜の内外で物質の輸送や情報の伝達に関与する膜タンパク質の機能を1分子計測によって理解し、工学的に応用するためには、単離膜タンパク質が組み込まれた人工脂質二重膜モデル実験系を構築する必要がある。しかし、かかる実験を行うには熟練した技術を要し、再現性が悪く、スループットが低かった。本発明の発明者らは、MEMS技術を用いて平面脂質二重膜アレイを作成し、携帯性、分析時間の短縮化、必要な試薬の少量化、再現性の高さ等を提供した(特許文献1)。
【0003】
図1に本発明の発明者らによる従来技術の平面脂質二重膜アレイマイクロ流体システム1の1つの実施態様の模式図を示す。マイクロ流体システム1は、送液口2と、並列に配置された主流路3と、主流路3の両側壁に開口する複数の微小憩室4を含む平面脂質二重膜アレイ5と、主流路3の貯液槽接続部6と、貯液槽7とを含む。送液口2からの主流路3は並列に分岐する。平面脂質二重膜アレイ5において微小憩室4が一方の側壁に開口するとき、該開口に相対する他方の側壁は開口しない。主流路3に沿って微小憩室4は主流路の相対する側壁に交互に設けられる。主流路3の側壁と、該側壁に設けられた隣接する微小憩室4とで画定される部分が、柱として主流路3及び微小憩室4の頂面と底面との間を支える。このため、前記頂面と、底面との間隔を一定に保つことができる。貯液槽接続部6では主流路3がまず主流路の幅の6倍以上の幅の溝に連通し、該溝の幅が主流路の幅の30倍以上まで広がりながら貯液槽7に接続する。貯液槽接続部6の形状の貯液槽接続部を以下、「従来型貯液槽接続部」という。
【0004】
前記従来技術の平面脂質二重膜アレイ装置1の別の実施態様では、微小憩室は主流路の頂面及び底面に交互に設けられる。主流路の頂面又は底面と、該頂面又は底面に設けられた隣接する微小憩室とで画定される部分が、梁として主流路の両側壁の間を支えるため、両側壁の間隔を一定に保持することができる。
【0005】
前記従来技術の平面脂質二重膜アレイ装置に脂質二重膜を形成させる際には、予めマイクロ流体システム1を水性溶媒に浸漬して飽和させておき、その後マイクロシリンジ、ポンプその他の送液装置をチューブを介して送液口2に連結する。前記送液装置から、水性溶液からなる第1液と、脂質二重膜の成分である脂質を溶解した油性溶液からなる第2液と、水性溶液からなる第3液とを空気が入ることなく順次アレイ装置内に注入する。すると、まず第1液が注入されると、第1液が主流路及び微小憩室を満たす。引き続き第2液が注入されると、第2液は主流路中の第1液を押し流しながら微小憩室に侵入し、微小憩室に取り残された第1液との間に界面を形成するとともに、前記微小憩室の壁面を濡らす。その後第3液が注入されると、第3液は主流路中の第2液を押し流すので、前記微小憩室中の第2液は該微小憩室の開口部分に懸架されて該開口を封止する膜層を形成する。第2液の油性溶媒は前記微小憩室の壁面から吸収されるため、第2液の膜層は徐々に薄くなり、ついには脂質2分子がテール・ツー・テール(tail to tail)式に疎水性原子団どうしが向き合うように配向した脂質二重膜となる。α−ヘモリシンのような精製膜タンパク質とカルセインのような蛍光物質とを添加した第1液を用いると、α−ヘモリシンが第2液に溶解される。第2液の膜が脂質二重膜になると、α−ヘモリシンは自己集合してカルセインが通過できる膜貫通細孔を有する7量体を形成する。そこで、カルセインが前記微細憩室から主流路に流出し、該微細憩室内の蛍光の強度が低下することによって、脂質二重膜が形成されたことが検出できる。
【0006】
以上のとおり説明される前記従来技術の平面脂質二重膜アレイマイクロ流体システムでは、いったん脂質二重膜が形成された後も、前記微小憩室の壁面から第2液が吸収され続けるので、脂質二重膜はそのうち破裂する。この脂質二重膜の形成から破裂までの時間、すなわち、寿命を伸ばすためには、第2液中の脂質の濃度の上昇と、第3液の流速の低下とが有効である。しかし、第2液中の脂質濃度を高くしたり、第3液の流速を遅くすると、第2液がゲル化を起こして塞栓を形成するので、せいぜい数分間しか実験を継続できない。
【0007】
また、前記従来技術の平面脂質二重膜アレイマイクロ流体システムでは、脂質二重膜によって封止される微小憩室内の体積は、主流路の寸法と比べて小さい。そのため、送液によって主流路を通過する液体に加わる圧力が変動しても、微小憩室内の体積変動が小さく、脂質二重膜が破裂しにくいという長所がある。しかし従来技術の微小憩室は、蛍光のような光学的手法でしか微小憩室内の液体を測定することができないという短所がある。蛍光色素は時間分解能が必ずしも高くはないため、神経その他の高次生命現象に関与する膜タンパク質の機能を分析するには十分とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−128206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、高濃度の脂質を含む第2液を用いてもゲル化を起こさずに、長時間にわたって平面脂質二重膜を維持することができる平面脂質二重膜アレイマイクロ流体システムを開発する必要がある。また、脂質二重膜に組み込まれた膜タンパク質の機能について時間分解能の高い測定を行うためには、微小憩室に電極を設ける必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は平面脂質二重膜アレイ装置を提供する。本発明の平面脂質二重膜アレイ装置は、送液口から延びる主流路と、該主流路に設けられた微小憩室とを含む平面脂質二重膜アレイと、該平面脂質二重膜アレイから延びる前記主流路が連通する貯液槽接続部と、該貯液槽接続部と接続する貯液槽と、該貯液槽と連通する排出口とを含み、前記貯液槽接続部は、前記主流路が分岐して並列に配置される複数の排出流路からなる。
【0011】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置において、前記排出流路の幅及び深さは前記主流路の幅及び深さと同じ場合がある。
【0012】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置において、前記貯液槽接続部は、前記主流路2本がそれぞれ8回の2分岐を行って並列に配置される18本の排出流路からなる場合がある。
【0013】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置において、前記貯液槽接続部は、前記排出流路と交差し連通する副排出流路を含む場合がある。
【0014】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置は、前記主流路1本あたり5本の副排出流路を含む場合がある。
【0015】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置において、前記貯液槽接続部は、前記排出流路に排出促進用液を注入するための排出促進用液流路を含む場合がある。
【0016】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置は、前記主流路内の液体と電気的に接続する主流路電極と、前記微小憩室内の液体と電気的に接続する微小憩室電極とを含む場合がある。
【0017】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置において、前記微小憩室電極は、該微小憩室を画定する壁面に露出する導電性ゲルを含む場合がある。
【0018】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置において、前記導電性ゲルはアガロースゲルの場合がある。
【0019】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置において、前記微小憩室電極は、該微小憩室を画定する壁面に接する導電体プレートを含む場合がある。
【0020】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置において、前記導電体プレートは金プレートの場合がある。
【0021】
本発明は、本発明の平面脂質二重膜アレイ装置と、該装置の送液口に連結される送液装置と、前記平面脂質二重膜アレイ装置を観察する分析装置とを含む、マイクロ流体システムを提供する。
【0022】
本発明は、本発明の平面脂質二重膜アレイ装置と、該装置の送液口に連結される送液装置と、前記平面脂質二重膜アレイ装置の排出促進用液流路に連結される送液装置と、前記平面脂質二重膜アレイ装置を観察する分析装置とを含む、マイクロ流体システムを提供する。
【0023】
本発明のマイクロ流体システムは、前記主流路内の液体と電気的に接続する主流路電極と、前記微小憩室内の液体と電気的に接続する微小憩室電極とを含む平面脂質二重膜アレイ装置と、前記主流路電極及び微小憩室電極の間の電気的特性を計測する装置とを含む場合がある。
【0024】
本発明のマイクロ流体システムは、前記主流路内の液体と電気的に接続する主流路電極と、前記微小憩室内の液体と電気的に接続する微小憩室電極とを含む平面脂質二重膜アレイ装置と、該装置の送液口に連結される送液装置と、前記平面脂質二重膜アレイ装置の排出促進用液流路に連結される送液装置と、前記主流路電極及び微小憩室電極の間の電気的特性を計測する装置とを含む場合がある。
【0025】
本発明のマイクロ流体システムにおいて、前記送液装置は送液ポンプを含む場合がある。
【0026】
本発明のマイクロ流体システムにおいて、前記送液装置は流路切り替えスイッチを含む場合がある。
【0027】
本発明は、脂質二重膜の分析方法を提供する。本発明の脂質二重膜の分析方法は、(1)主流路内の液体と電気的に接続する主流路電極と、微小憩室内の液体と電気的に接続する微小憩室電極とを含む平面脂質二重膜アレイ装置に、水性溶液からなる第1液を送液するステップと、(2)前記主流路と前記微小憩室内との間の電流を計測して、第1液が前記微小憩室内に充填されたことを確認してから、脂質を添加した油性溶液からなる第2液を前記平面脂質二重膜アレイ装置に送液するステップと、(3)前記主流路と前記微小憩室内との間の電流を計測して、第2液が前記微小憩室と前記主流路とを電気的に絶縁したことを確認してから、水性溶液からなる第3液を前記平面脂質二重膜アレイ装置に送液するステップと、(4)前記主流路と前記微小憩室内との間の電流を計測して、第1液及び第3液に挟まれた第2液の膜層が脂質二重膜を形成したことを検出するステップと、(5)脂質二重膜を形成した微小憩室と、前記主流路との間の電気的特性の計測結果を記録するステップとを含む。
【0028】
本発明は脂質二重膜の電気的特性の自動分析システムを提供する。本発明の脂質二重膜の電気的特性の自動分析システムは、本発明のマイクロ流体システムと、データ保存システムと、制御システムとを含み、本発明の脂質二重膜の分析方法を実行する。
【0029】
本発明において、脂質二重膜とは、脂質分子2個がテール・ツー・テール(tail to tail)式に疎水性原子団どうしが向き合うように配向した膜をいう。本発明の脂質は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン等のリン脂質と、セレブロシド、ガングリオシド等の糖脂質とを含むがこれらに限定されない。
【0030】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置に含まれる、送液口、主流路、微小憩室、通電導管、貯液槽、排出口、排出促進用液主流路及び排出促進用液側流路は添付する図面に示された形状に限定されず、いかなる形状のものであってもかまわない。本発明の貯液槽接続部は、従来技術の平面脂質二重膜アレイに接続されてもかまわない。また、本発明の電極を備えた平面脂質二重膜アレイは、従来技術の貯液槽接続部に接続されてもかまわない。
【0031】
本発明の貯液槽接続部に含まれる、主流路の分岐と、排出流路の分岐とは、2分岐、すなわち、2本の排出流路への分岐であっても、3本又は4本以上の排出流路への分岐であってもかまわない。本発明の効果については系統的に実証されていないが、本発明の貯液槽接続部は、排出流路が分岐することによって、ゲルの成長が抑制されるたり、流速が低下して第2液の溶媒が平面脂質二重膜アレイ装置の基材に吸収されやすくなること等のために第2液に添加される脂質の濃度を高くしても流路が詰まらないという効果を奏する可能性がある。
【0032】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置は、例えば、光リソグラフィ、エッチング等の従来の微細加工技術を組合せて、犠牲層の除去により立体的な構造とすることができる(EE Text センサ・マイクロマシン工学、藤田博之編著、オーム社(2005))。代替策として、押印転写法(特願2007−10867号明細書及びOnoe, H.ら、Journal of Micromechanics and Microengineering, 17: 1818-1827 (2007))を利用する場合がある。また、従来の微細加工技術と前記押印転写法とを組み合わせて立体的な形状を有する構造体を作成することもできる。
【0033】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置は、従来の微細加工技術及び/又は前記押印転写法を、単独で、あるいは、組み合わせて作成された立体的な形状を有する鋳型を使って作成される成形品の場合がある。前記成形品は、プラスチック、セラミック及びハイドロゲルと、これらの複合材料とを含むが、これらに限定されない材料を用いて作成される場合がある。
【0034】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置は、平面脂質二重膜アレイでの平面脂質二重膜形成を観察するための光学顕微鏡と、主流路を通過する液体及び/又は排出促進用液を送液するためのポンプ、例えば、シリンジポンプと、液体を切り替えるためのバルブと、平面脂質二重膜アレイに設けられた電極と接続して平面脂質二重膜の電気的特性を分析し、記録するための電気回路の制御装置と、温度制御装置と、これらの動作を制御する中央演算装置とを含むが、これらに限られない付属設備を伴う場合がある。
【0035】
本発明の微小憩室電極と、通電導管とに充填する場合がある導電性ゲルは、アガロース、ポリアクリルアミド、メチルセルロースその他の生理学的な温度でゲル化しうる高分子と、ナトリウム塩、カリウム塩等の水溶液とを含む。
【0036】
本発明の微小憩室電極及び主流路電極と、通電導管とに用いる場合がある導電体プレートとは、金、銀、銅等の金属、導電性樹脂、導電性複合材料その他の導電体を本発明の平面脂質二重膜アレイ装置の基材に貼り付けたものをいう。導電体プレートの加工は、エッチング、蒸着その他の当業者に周知の加工技術が用いられる。導電体プレート電極に用いる導電体としては、金、銀、塩化銀が好ましい。
【0037】
本発明の微小憩室電極において、導電体プレートは、微小憩室の底面に戴置されていて、微小憩室の底面と微小憩室の壁面とに挟まれるか、微小憩室の頂面又は底面に埋め込まれていて微小憩室の壁をまたいで該壁の裏側の通電導管に露出しているかの場合がある。
【0038】
本発明の主流路電極は、本発明の平面脂質二重膜アレイ装置のなかでどこに設置されてもかまわないが、主流路が送液口から延びて最初に2分岐した直後に設置されることが好ましい。本発明の主流路電極は、導電体プレート電極であっても、導電体ゲルであってもかまわないが、本発明の主流路電極は、2分岐した主流路の両方の底面を横断して戴置される導電体プレートの場合がある。
【0039】
本発明の主流路電極及び微小憩室電極の間の電気的特性には、電流、電位差、抵抗、インピーダンス、誘電率、周波数加算変化、周波数減衰、周波数位相変化等があげられるが、これらに限定されない。本発明の平面脂質二重膜アレイ装置は電極を備えているので、従来の平面脂質二重膜アレイ装置よりも時間分解能の高い分析をすることができる。
【0040】
本発明の第1液及び第3液は、水性溶液からなり、本発明の平面脂質二重膜の形成に影響がないことを条件として、いかなる成分を含むものであってもよい。第1液には、平面脂質二重膜に組み込む膜タンパク質が含まれる場合がある。膜タンパク質がイオンチャンネルのように特定のイオンの輸送に関与する場合には、第1液及び第3液は当該イオンの変動を検出するのに適する塩組成物を有することが望ましい。
【0041】
本発明の第2液は、平面脂質二重膜の構成成分である、リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン等と、糖脂質、例えば、セレブロシド、ガングリオシド等と、コレステロールその他の化合物と、これらを溶解させることのできる有機溶媒、例えば、ヘキサデカン、スクアレン等を含むのが好ましい。本発明の構造体がポリジメチルシロキサンでできている場合には、ポリジメチルシロキサンに吸収され、膨潤変形させることができるヘキサデカンを溶媒として用いることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】従来技術の平面脂質二重膜アレイ装置1の1つの実施態様の模式図。
【図2】本発明の多岐型貯液槽接続部の1つの実施態様の模式図。
【図3】本発明の多岐型貯液槽接続部の別の実施態様の模式図。
【図4】本発明の多岐型貯液槽接続部の別の実施態様の模式図。
【図5】本発明の多岐型貯液槽接続部の別の実施態様の模式図。
【図6】(A)本発明の導電性ゲル電極及び(B)導電体プレート電極を備えた微小憩室の1つの実施態様の斜視図と、(C)導電体プレート電極を備えた微小憩室の1つの実施態様の顕微鏡写真。
【図7】異なる貯液槽接続部を備える平面脂質二重膜アレイ装置での脂質ゲル化時間と、第2液の脂質濃度との関係を示すグラフ。
【図8】微小憩室側にアガロース電極(A)及び金パターン電極(B)を用いる場合の主流路との間の電流の経時変化を記録したグラフ。
【図9】微小憩室側に金プレート電極を用いる別の本発明の平面脂質二重膜アレイ装置において脂質二重膜にαヘモリシンによるイオノフォアが形成される際の電流の経時変化を記録したグラフ。
【符号の説明】
【0043】
1 マイクロ流体システム
2 送液口
3 主流路
4 微小憩室
5 平面脂質二重膜アレイ
6 貯液槽接続部
7 貯液槽
8 排出口
9、90、91、92、93、94、95、96、97、98 排出流路
10 副排出流路
11 排出促進用液主流路
12 排出促進用液側流路
13 排出促進用液側流路
14 通電導管
15 アガロースゲル
16 金プレート電極
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
【実施例1】
【0045】
1.本発明の平面脂質二重膜アレイ装置の構成
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置は、送液口と、該送液口から延びる主流路と、該主流路の両側壁に開口する複数の微小憩室とを含む平面脂質二重膜アレイと、前記主流路の多岐型貯液槽接続部と、貯液槽とを含み、前記主流路と、前記微小憩室の少なくとも一部とは電極を備える。本発明の平面脂質二重膜アレイ装置の送液口は、従来の平面脂質二重膜アレイ装置の送液口と同じである。
【0046】
図2を参照して、本発明の平面脂質二重膜アレイ装置の多岐型貯液槽接続部の1つの実施態様では、平面脂質二重膜アレイ(図示されない)の下流で1本の主流路3が2本の排出流路9に分岐する。前記2本の排出流路のうち他の排出流路と隣接しない1本の排出流路91はさらに新たな排出流路92を分岐する。このようにして、最も外側の排出流路が次々に2分岐して、新たな排出流路93、94、95、96、97、98に分岐する。全ての排出流路9は並列に配置され、貯液槽7に連通する。前記排出流路と、該排出流路から分岐して隣接する排出流路との間の障壁は、いったん分岐した後貯液槽に接続されるまで連続している。すなわち、全ての排出流路は、貯液槽に達するまでに1回だけ新たな排出流路を分岐する。前記新たな排出流路は、分岐前の排出流路とのみ隣接するように配置される。すなわち、分岐により生じた新たな排出流路は、分岐前の排出流路の外側に配置される。このようにして本実施態様の多岐型貯液槽接続部は、主流路3から次々に排出流路9が2分岐して、扇のような形状を有する。排出流路9は主流路3と同じ幅及び深さの場合がある。
【0047】
排出促進用液を本実施態様の多岐型貯液槽接続部に供給するために排出促進用液主流路11が設けられる。排出促進用液主流路11は、排出促進用液の送液口(図示されない)から延びて、主流路3から排出流路9への分岐点に達する。排出促進用液主流路から分岐した排出促進用液側流路12、13は、貯液槽に近い排出流路の分岐点に達する。主流路と排出流路と排出促進用液主流路とは、同じ幅及び深さの場合がある。排出促進用液側流路は、排出促進用液主流路と同じ深さであるが、貯液槽により近い分岐点に達する排出促進用液側流路ほど幅が狭い場合がある。例えば、貯液槽により近い分岐点に達する排出促進用液側流路の幅は、排出促進用液主流路の幅の3分の2、2分の1又は3分の1の場合がある。
【0048】
図3を参照して、本発明の平面脂質二重膜アレイ装置の多岐型貯液槽接続部の別の実施態様では、平面脂質二重膜アレイの下流で主流路3から次々に排出流路9が2分岐を繰り返すが、前記排出流路と、該排出流路から分岐して隣接する排出流路との間の障壁は、いったん分岐した後貯液槽に接続されるまでに少なくとも1箇所で副排出流路が交差する場合がある。すなわち、排出流路と、該排出流路に隣接する排出流路とは、分岐してから前記貯液槽に連絡するまでに少なくとも1箇所で、副排出流路10を介して連通する。換言すると、貯液槽接続部において、副排出流路10は、2本の排出流路9間の障壁を貫通して、隣接する排出流路と交差し連通する。前記副排出流路は3本以上の隣接する排出流路と交差し連通する場合がある。主流路と排出流路と副排出流路とは、同じ幅及び深さの場合がある。
【0049】
排出促進用液を本実施態様の多岐型貯液槽接続部に供給するために排出促進用液主流路11が設けられる。排出促進用液主流路11は、排出促進用液の送液口(図示されない)から延びて、主流路3から排出流路9への分岐点に達する。排出促進用液主流路から分岐した排出促進用液側流路12は、貯液槽に近い排出流路の分岐点に達する。主流路と排出流路と排出促進用液主流路とは、同じ幅及び深さの場合がある。排出促進用液側流路は、排出促進用液主流路と同じ深さであるが、貯液槽により近い分岐点に達する排出促進用液側流路ほど幅が狭い場合がある。例えば、貯液槽により近い分岐点に達する排出促進用液側流路の幅は、排出促進用液主流路の幅の3分の2又は2分の1の場合がある。
【0050】
本発明の別の実施態様としては、図2及び3に示す実施態様から排出促進用液主流路及び排出促進用液側流路を取り除いた図4及び5の実施態様がある。
【0051】
図6を参照して、本発明の微小憩室の電極について説明する。本発明の平面脂質二重膜アレイの微小憩室の少なくとも一部は、微小憩室内部の液体と、本発明の平面脂質二重膜アレイ装置の外部との間を電気的に接続するための電極が設けられる。図6(A)ではアガロース電極について説明する。微小憩室4を画定する壁面の1つが通電導管14に連通しており、通電導管14は、導電性ゲル、導電体プレートその他の導電体によって前記平面脂質二重膜アレイ装置の外部電極(図示されない)と電気的に接続される。通電導管14のうち少なくとも一部がアガロースゲル15で充填され、アガロースゲル15の端面が微小憩室4を画定する壁面となる。
【0052】
図6(B)及び(C)では金パターン電極について説明する。微小憩室4の底面に金プレート電極16が露出し、金プレート電極15は微小憩室4の壁面の基材を貫いて延び、該壁面に隔てられた通電導管14内部に露出する。これにより、微小憩室4の内部と通電導管14とが電気的に接続される。
【0053】
本実施例の平面脂質二重膜アレイ装置は、ガラス面にマウントされたポリジメチルシロキサン(PDMS)でできており、送液口と、該送液口から延びる主流路と、該主流路に開口する複数の微小憩室と、前記主流路から分岐する排出流路と、通電導管とを含む微細構造が微細加工により設けられる。金パターン電極を設ける場合には、ガラス面に金をコーティングし、その上にPDMSの構造体をマウントして加工される場合がある。本実施例の主流路電極は、2分岐した主流路の両方の底面を横断して戴置される金プレートである。前記平面脂質二重膜アレイ装置には、送液ポンプ及び流路切り替えスイッチが連結され、前記主流路に流す液体の種類と、流速と、均一流か、脈流その他の不均一流かのような流し方とを自由に設定することができる。
【0054】
本発明の平面脂質二重膜アレイ装置の寸法は以下のとおりであった。主流路の底面はガラス面で、主流路は、幅60μm、深さ7μmで、微小憩室は、開口幅17μm、奥行き22μm、深さ7μmであった。図1に示す従来型の貯液槽接続部において、主流路が連通する溝の幅は400μmで、主流路と溝とが連通する溝の端面から1mm先で溝が貯液槽に連通して幅が広がる。貯液槽の幅は2mmで、貯液槽の底面に直径1.5mmの円形の排出口が設けられた。図2に示す第1の多岐型の貯液槽接続部(以下、「多岐型(1)」という。)において、主流路から分岐する排出流路は、幅60μm、深さ7μmで、1mmの間に8回分岐して、1本の主流路について9本の排出流路が分岐して並列して貯液槽に連通する。貯液槽は幅及び奥行きがそれぞれ3mmで、貯液槽の底面に直径1.5mmの円形の排出口が設けられた。図3に示す第2の多岐型の貯液槽接続部(以下、「多岐型(2)」という。)において、主流路から分岐する排出流路は、幅60μm、深さ7μmで、1mmの間に8回分岐して、1本の主流路について9本の排出流路が分岐し、貯液槽に連通する。前記排出流路の間を5本の副排出流路が前記排出流路と交差連通する。前記貯液槽は幅及び奥行きがそれぞれ3mmで、貯液槽の底面に直径1.5mmの円形の排出口が設けられた。以下の実験では、それぞれの平面脂質二重膜アレイ装置を予め12時間以上水に浸漬して基材のポリジメチルシロキサンを飽和させてから使用に供した。
【実施例2】
【0055】
脂質ゲル化に対する多岐型貯液槽接続部の効果
以下の実施例では、第1液として、Dulbeccoリン酸緩衝生理食塩水(以下、「DPBS」という。インビトロジェン株式会社)にカルセイン(C0875−5G、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)を50μM添加して用いた。第2液として、ヘキサデカンにホスファチジルコリン(DPhPc、850356C、Avanti Polar Lipids INC、フナコシ株式会社)を5−20mg/mL添加して用いた。第3液として、DPBSを用いた。以下の実施例で特記しない場合は、第1液の流速は1μL/分、第2液の流速は0.3−0.6μL/分、第3液の流速は最大0.15μL/分であった。
【0056】
多岐型(1)及び多岐型(2)の貯液槽接続部の両方とも、排出促進用液主流路及び排出促進用液側流路には排出促進用液を流さなかった。すると、排出促進用液主流路及び排出促進用液側流路には第2液が排出流路から少し侵入して、液流が停止した。
【0057】
図7は従来型、多岐型(1)又は多岐型(2)の貯液槽接続部を備える平面脂質二重膜アレイ装置での脂質ゲル化時間と、第2液の脂質濃度との関係を示すグラフである。従来型の貯液槽接続部を備える平面脂質二重膜アレイ装置では、第2液の脂質濃度が5mg/mLのとき5分でゲル化を起こし、10mg/mLになると3分でゲル化を起こした。*で表す20mg/mLの濃度では、3分未満でゲル化を起こした。これに対し、多岐型(1)及び(2)はいずれも脂質濃度が20mg/mLでも10分ではゲル化を起こさなかった。
【実施例3】
【0058】
平面脂質二重膜アレイの電流計測
図8は微小憩室側にアガロース電極(A)及び金パターン電極(B)を用いる場合の主流路との間の電流の経時変化を記録したグラフである。DPBSを第1液及び第3液とし、10mg/mLのホスファチジルコリンヘキサデカンを添加したヘキサデカンを第2液として用いた。第1液の流速1μL/分、第2液の流速は0.3−0.6μL/分、第3液の流速は静止ではないが非常に遅く計測できなかった。静止本発明の平面脂質二重膜アレイ装置に第2液を注入すると、主流路と微小憩室との間の電流が急激に低下してほぼ完全な絶縁状態になる。その後第3液を注入すると、主流路の第2液が第3液に押し流される。微小憩室の開口に取り残された第2液は、第1液と第3液とに挟まれた膜層を形成する。この間も主流路と微小憩室との間には電流がほどんど流れず、ほぼ完全な絶縁状態が継続する。しかし第2液中の溶媒であるヘキサデカンが基材であるポリジメチルシロキサンに吸収されると、第2液の膜層が薄くなり、これに伴って主流路と微小憩室との間の電流が増加しはじめ、脂質二重膜が形成されるとプラトーに達した。以上のとおり、アガロース電極でも、金プレート電極でも、顕微鏡で観察される人工膜の形状に対応する膜透過電流を計測することができた。
【0059】
図9は微小憩室側に金プレート電極を用いる別の本発明の平面脂質二重膜アレイ装置において脂質二重膜にαヘモリシンによるイオノフォアが形成される際の主流路と微小憩室との間の電流の経時変化を記録したグラフである。5μg/mLのαヘモリシン(H9395−.5mg、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)を添加したDPBSを第1液とし、10mg/mLのホスファチジルコリンヘキサデカンを添加したヘキサデカンを第2液とし、DPBSを第3液として用いた。それぞれの液の流速は図8の実験と同じであった。第3液を注入後、速やかに電流量が0.82pA増大した。ここで印加電圧が60mVであったので、抵抗値は73.2ギガオームであった。1個の微小憩室に形成された膜の表面積は119μmで、厚さが10nmとすると比抵抗が0.871ギガオーム・mと計算されるが、この値はパッチクランプ法で生体膜が電極をシールしたことの指標とされる数値範囲に属する。このように脂質二重膜でシールされた状態はギガオームシールと呼ばれる。
【0060】
図9では、ギガオームシール状態成立後、約8pAの急激な電流増加が2度観察された。これは、第1液から脂質二重膜に取り込まれたαヘモリシンが7量体を形成して膜を貫通する微細孔ができたことをしめす。したがって、本発明の平面脂質二重膜アレイ装置は、ギガオームシール状態の人工脂質二重膜の形成と、αヘモリシンが自己集合した7量体による膜貫通微細孔の形成とを電気的に確認することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送液口から延びる主流路と、該主流路に設けられた微小憩室とを含む平面脂質二重膜アレイと、該平面脂質二重膜アレイから延びる前記主流路が連通する貯液槽接続部と、該貯液槽接続部と接続する貯液槽と、該貯液槽と連通する排出口とを含み、前記貯液槽接続部は、前記主流路が分岐して並列に配置される複数の排出流路からなることを特徴とする、平面脂質二重膜アレイ装置。
【請求項2】
前記排出流路の幅及び深さは前記主流路の幅及び深さと同じであることを特徴とする、請求項1に記載の平面脂質二重膜アレイ装置。
【請求項3】
前記貯液槽接続部は、前記主流路2本がそれぞれ8回の2分岐を行って並列に配置される18本の排出流路からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の平面脂質二重膜アレイ装置。
【請求項4】
前記貯液槽接続部は、前記排出流路と交差し連通する副排出流路を含むことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の平面脂質二重膜アレイ装置。
【請求項5】
前記主流路1本あたり5本の副排出流路を含むことを特徴とする、請求項4に記載の平面脂質二重膜アレイ装置。
【請求項6】
前記貯液槽接続部は、前記排出流路に排出促進用液を注入するための排出促進用液流路を含むことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の平面脂質二重膜アレイ装置。
【請求項7】
前記主流路内の液体と電気的に接続する主流路電極と、前記微小憩室内の液体と電気的に接続する微小憩室電極とを含むことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の平面脂質二重膜アレイ装置。
【請求項8】
前記微小憩室電極は、該微小憩室を画定する壁面に露出する導電性ゲルを含むことを特徴とする、請求項7に記載の平面脂質二重膜アレイ装置。
【請求項9】
前記導電性ゲルはアガロースゲルであることを特徴とする、請求項8に記載の平面脂質二重膜アレイ装置。
【請求項10】
前記微小憩室電極は、該微小憩室を画定する壁面に接する導電体プレートを含むことを特徴とする、請求項8に記載の平面脂質二重膜アレイ装置。
【請求項11】
前記導電体プレートは金プレートであることを特徴とする、請求項10に記載の平面脂質二重膜アレイ装置。
【請求項12】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の平面脂質二重膜アレイ装置と、該装置の送液口に連結される送液装置と、前記平面脂質二重膜アレイ装置を観察する分析装置とを含むことを特徴とする、マイクロ流体システム。
【請求項13】
請求項6に記載の平面脂質二重膜アレイ装置と、該装置の送液口に連結される送液装置と、前記平面脂質二重膜アレイ装置の排出促進用液流路に連結される送液装置と、前記平面脂質二重膜アレイ装置を観察する分析装置とを含むことを特徴とする、マイクロ流体システム。
【請求項14】
請求項7ないし11のいずれか1つに記載の平面脂質二重膜アレイ装置と、該装置の送液口に連結される送液装置と、前記平面脂質二重膜アレイ装置を観察する分析装置と、前記主流路電極及び微小憩室電極の間の電気的特性を計測する装置とを含むことを特徴とする、マイクロ流体システム。
【請求項15】
前記平面脂質二重膜アレイ装置の排出促進用液流路に連結される送液装置を含むことを特徴とする、請求項14に記載のマイクロ流体システム。
【請求項16】
前記送液装置は送液ポンプを含むことを特徴とする、請求項12ないし15のいずれか1つに記載のマイクロ流体システム。
【請求項17】
前記送液装置は流路切り替えスイッチを含むことを特徴とする、請求項16に記載のマイクロ流体システム。
【請求項18】
脂質二重膜の分析方法であって、
(1)請求項7ないし11のいずれか1つに記載の平面脂質二重膜アレイ装置に水性溶液からなる第1液を送液するステップと、
(2)前記主流路と前記微小憩室内との間の電流を計測して、第1液が前記微小憩室内に充填されたことを確認してから、脂質を添加した油性溶液からなる第2液を前記平面脂質二重膜アレイ装置に送液するステップと、
(3)前記主流路と前記微小憩室内との間の電流を計測して、第2液が前記微小憩室と前記主流路とを電気的に絶縁したことを確認してから、水性溶液からなる第3液を前記平面脂質二重膜アレイ装置に送液するステップと、
(4)前記主流路と前記微小憩室内との間の電流を計測して、第1液及び第3液に挟まれた第2液の膜層が脂質二重膜を形成したことを検出するステップと、
(5)脂質二重膜を形成した微小憩室と、前記主流路との間の電気的特性の計測結果を記録するステップとを含むことを特徴とする、脂質二重膜の分析方法。
【請求項19】
請求項17に記載のマイクロ流体システムと、データ保存システムと、制御システムとを含み、請求項18に記載の脂質二重膜の分析方法を実行することを特徴とする、脂質二重膜の電気的特性の自動分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−2385(P2011−2385A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146988(P2009−146988)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(ロボット・新技術イノベーションプログラム)「異分野融合型次世代デバイス製造技術開発プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)