説明

人形玩具

【課題】 顔部品の係止状態を解除し開放状態にすると、両腕部と両脚部の双方が左右に広がるようにする機構を簡単な構成で実現した人形玩具の提供。
【解決手段】左腕部品7、右腕部品8の一端の軸支部7a、8aを移動部材5に、またその中間部7b、8bを胴体部11に取り付け、顔面部品2の両側部は、下方へ摺動する際に、左腕部品7、右腕部品8と当接して下方へ回動せしめ、それに伴う移動部材5の上方への移動により、その下部に設けられた左脚部品9、右脚部品10も上方へと移動し、顔面部品2が最下方に位置して係止部品14で係止されたとき、胴体部、左腕部、右腕部、左脚部、右脚部がその内部に収納されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形玩具に係り、特に四肢の出し入れを行う機構を簡単に実現可能にした人形玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
テントウ虫の形に模した開閉自在な蓋体を設けた腕時計が実用化されている。
【0003】
一方、本願出願人は、顔を模したカバー体を腕時計の文字盤を覆う位置と、文字盤が表れる位置との間で移動するように構成された人形を模した腕時計を提案している。具体的には、この腕時計によれば両脚部を模した係止部材によって上記のカバー体を係止状態に維持することで、腕時計の文字盤を覆う位置に保持する構成を備えている。そして、係止部材を指先で操作すると、カバー体の係止状態が解除されて、カバー体がコイルスプリングの圧縮力によって移動されることで、文字盤が現れる位置に移動されるとともに、カバー体の移動に伴う分力を利用して両腕部が左右に広がるように構成されている。(特許文献1)
【特許文献1】実公平5−48148号公報 しかしながら、上記の特許文献1になる構成によれば、特に、両脚部は係止部材として機能する事情から、顔を模したカバー体の下方から両脚部が常時露出している。また、両腕部も、カバー体から常時露出していた。このために、その意外性は予想の範囲内に留まるものであった。
【0004】
そこで、顔を模した顔部品(カバー体)が下方に移動して係止位置にあるときに両腕部と両脚部をほぼ完全に覆い、係止状態を解除して上方に移動すると、両腕部と両脚部の双方が左右に広がると、その意外性を大きく向上することができる。しかし、このように構成するためには、かなり複雑かつ煩雑な機構が必要となる。また、場合によっては、電動モータなどの動力源が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、顔を模した顔部品を下方に移動させると、両腕部と両脚部をほぼ完全に覆うことができ、かつ顔部品を上方に移動させると、両腕部と両脚部の双方が左右に広がる機構を単純化でき、より趣向性を向上することのできる人形玩具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、胴体部と、胴体部表面上を上下方向に移動可能な顔面部と、前記胴体部内を上下方向に移動可能であり、かつ前記顔面部と弾性部材を介して接続された移動部材と、前記移動部材の左上部、右上部の夫々に対してその一端が回動可能に取り付けられた左腕部、右腕部と、前記移動部材の左下部、右下部の夫々に対してその一端が回動可能に取り付けられた左脚部、右脚部とを備えた人形玩具であって、
前記左腕部、右腕部は、夫々の中間部が前記胴体部に対して回動可能に取り付けられており、前記顔面部が下方へ摺動される際に、前記顔面部の両側部は、前記左腕部、右腕部の他端側と当接して、前記左腕部、右腕部の夫々を前記中間部周りに下方へ回動させ、前記移動部材は、前記左腕部、右腕部の下方への回動に伴い、前記胴体部内を上方へ移動し、前記左脚部、右脚部は、前記移動部材の上方への移動に伴い、上方へと移動し、前記顔面部は、最下方に位置したときに、前記胴体部、前記左腕部、前記右腕部、前記左脚部、右脚部を収納することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、顔を模した顔部品を下方へと移動させることによって両腕部と両脚部をほぼ完全に収納することができ、かつ顔部品が上方に移動すると、両腕部と両脚部の双方が左右に広がるような機構を簡単な構成で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の一実施形態であって、特に男児用の腕時計として構成した事例について添付の各図面を参照して述べる。
【0009】
ここで、本発明の人形玩具は、この腕時計の他に、首に掛けるように構成されたペンダントやアクセサリー類または筆記具のキャップ等としても構成できることになる。また、腕時計機能を排除した、より廉価なタイプ、または腕時計機能を行うための時計モジュールに代えて電卓機能、照明機能、ブザー機能を行う電子モジュールを内蔵して構成しても良いことは言うまでもない。
【0010】
さらに、人形としては男児用のキャラクタの他に、女児用のキャラクタまたは各種動物類を模して構成しても良い。また、大きさ及び使用素材は、使用目的に応じて適宜設定されるが、強度及び使用条件から主に樹脂成形部品と金属部品が適宜用いられて完成されることになる。
【0011】
図1は、人形玩具1の一構成例を図示した立体分解図である。本図を参照して最初に概略説明を行う。
【0012】
この人形玩具1は、少なくとも胴体部と顔面部からなる。胴体部は、その基部となる主胴体部品3と、主胴体部品3に被せられる胴体蓋部品11と、胴体蓋部品11にかぶせられる胴体カバー部品16とからなる。胴体蓋部品11は、主胴体部品3に被せられてから、胴体カバー部品16に対して長皿ネジ18、18を用いて共締め固定される。
顔面部は、顔面部品2を有する。顔面部品2は、胴体部となる胴体カバー部品16の表面16a上を直線状に往復移動可能に設けられている。以後、本実施例においては、顔面部品2が胴体カバー部品16を覆う方向への移動を「下方向への移動」とし、顔面部品2から胴体カバー部品16が露出する方向への移動を「上方向への移動」と呼ぶこととし、「上下方向」とは、顔面部品2の往復移動方向に略平行な方向を指すものとする。
【0013】
また、胴体カバー部品16の表面16aの存する方向を「表方向」、反対を「裏方向」と呼ぶことにする。この顔面部品2は、後述する両腕部品、両脚部品を収納できるように大型の丸顔形状を有しており、内部は中空に形成されるとともに大きな開口部2cを有している。
【0014】
次に、人形玩具1は、胴体カバー部品16の下方に、顔面部品2を胴体カバー部品16の表面16aを覆う位置で係止するための係止部となる係止部品14を備えている。すなわち、この係止部品14は、主胴体部品3と胴体蓋部品11との間に内蔵される。
【0015】
また、人形玩具1は、顔面部品2に対して弾性部材である第1圧縮コイルバネ6を介して接続され、胴体部の内部(具体的には、主胴体部品3と胴体蓋部品11の間)で上下方向に移動可能に設けられた板状の移動部材5を備えている。
【0016】
さらに、この移動部材5の左上部、右上部の夫々に対してその一端が上方および下方へと回動可能に取り付けられた左腕部となる左腕部品7と、右腕部となる右腕部品8を備えている。また、この移動部材5の左下部、右下部の夫々に対してその一端が上方および下方へと回動可能に取り付けられた左脚部となる左脚部品9と、右脚部となる右脚部品10を備えている。なお、ここでいう「左」、「右」とは人形玩具1にとっての「左」「右」ではなく、人形玩具1を表方向から見た場合の「左」、「右」を言う。
【0017】
また、人形玩具1は、顔面部品2を上記の主胴体部品3に対して上下方向に移動可能となるように固定するために、顔面部品2に対して、主胴体部品3を挟んで裏側から取り付けられる、左顔面固定部品19と、右顔面固定部品20とを備えている。左顔面固定部品19は、その下部にピン19a、左側部に側壁(当接面)19bと取り付け孔19cを有している。また、右顔面固定部品20は、その下部にピン20a、右側部に側壁(当接面)20bと取り付け孔20cを有している。
【0018】
以上のように、ネジ、コイルバネを除いたわずか合計12個の部品を用いることで、顔面部品2を下方へと移動させることによって両腕部と両脚部をほぼ完全に覆うことができ、かつ顔面部品2を上方へと移動させると、両腕部と両脚部の双方が左右に広がる機構を簡単な構成で実現できた。
【0019】
次に、上記の説明に加えて詳細な構成説明を行う。
【0020】
先ず、主胴体部品3には、上記の移動部材5の底面となる摺接面5aを上下方向(図面では左斜め上と右斜め下方向)に案内するための、平滑な摺接面3aが左右壁部3b、3bの間に形成されている。また、左右壁部3b、3bは、移動部材5の左右壁面5b、5bを、所定クリアランスで摺動して案内する。なお、本実施例において、移動部材5は主胴体部品3に対して摺接しているが、必ずしも摺接している必要はなく、安定して上下方向に移動可能とされていれば良い。
【0021】
この主胴体部品3には、左右壁部3b、3bと平行となる左右貫通溝部3c、3cと、上記の摺接面3aの下方部位において左右傾斜面4a、4bを形成した台形部4が突出形成されている。さらに、この主胴体部品3の下部には、上記の係止部品14の取り付け基部となるとともに、取り付け孔3g、3gを穿設したフランジ部3fが設けられている。。また、主胴体部品3の上部には、不図示の時計ベルトを挿通するために摺接面3aの上縁部から延設されたベルト固定孔部3hが設けられている。また、主胴体部品3の下部裏面にも、摺接面3aの下縁部から延設されたベルト固定孔部3hが設けられている。また摺接面3aの左上部、右上部にはそれぞれスタッド部3k、3kが突設されている。主胴体部品3と、フランジ部3f、ベルト固定孔部3h、3h、スタッド部3k、3kとは図示のように一体成形されている。
【0022】
次に、左腕部品7、右腕部品8は、裏方向に突設された軸支部7a、8aが上記の移動部材5の左上部の孔部5eと右上部の孔部5dに対して回動可能に取り付けられる。また、左脚部品9、右脚部品10において裏方向に突設された軸支部9a、10aは、移動部材5の左下部の孔部5f、右下部の孔部5gに対して回動可能に取り付けられる。さらに、左腕部品7、右腕部品8の夫々の中間部に設けられた、表方向に突設する軸支部7b、8bについては、図示のように胴体蓋部品11に左右一対分が斜めに穿設された長孔部11g、11gの夫々に挿入され、回動可能に支持される。
【0023】
また、中空状に形成された顔面部品2の上部内側には、スタッド部2bが下方に突出するように設けられている。また、移動部材5の上部にも、上方に突出するように設けられたスタッド部5cが設けられている。スタッド部2bとスタッド部5cは、顔面部品2と移動部材5を第1圧縮コイルバネ6を介して接続するために、その外形寸法とは、第1圧縮コイルバネ6のバネ内径寸法と略等しく形成されている。第1圧縮コイルバネ6は、スタッド部2bとスタッド部2cによって、顔面部品2と移動部材5の間で後述する自然状態と圧縮状態の間で保持されるように組み付けられる。
【0024】
顔面部品2を胴体カバー部品16の表面16aの位置で係止するための係止部となる係止部品14は、胴体蓋部品11の下部に設けられ、表方向に膨出した中空状の容積部11aの内部にセットされる。この係止部品14には、表方向に突設された係止爪部14aと裏方向に突設されたスタッド部14bとが一体成形されている。係止部品14は、容積部11aに穿設された星形の開口部11c中に容積部11aの裏側から挿入される。また、スタッド部14bは圧縮コイルバネ15に挿通される。
【0025】
係止部品14は、その表側に存する星形の押圧面14cが開口部cから表方向に突出し、かつ係止爪部14aが容積部11aの上部に穿設された凹部11kから表方向に突出するようになっている。胴体蓋部品11が主胴体部品3に被せられると、係止部品14は、主胴体部品3のフランジ部3fの表面に置かれる。圧縮コイルバネ15はフランジ部3fと係止部品14の裏側の間に挟持され、係止部品14の押圧面14cが開口部cから突出するように係止部品14を付勢する。また、胴体蓋部品11の中空状の容積部11aの内部には、スタッド部11d、11dが設けられており、胴体蓋部品11は、容積部11a内に係止部品14が内蔵されるようにして主胴体部品3に被せられた後、主胴体部品3のフランジ部3fに穿設された取り付け孔3g、3gに挿通されたセルフタッピング皿ネジ13、13が胴体蓋部品11のスタッド部11d、11dの夫々に螺合することにより、主胴体部品3に固定される。
【0026】
係止爪部14aは、顔面部品2が胴体カバー部品16を覆う位置まで下方に移動したとき、顔面部品2の下部に設けられた開口部2cの、表側の壁部2dの内面に係合して、顔面部品2をその位置にて係止可能となっている。このとき、第1圧縮コイルバネ6は圧縮され、弾性力が蓄積される。また、圧縮コイルバネ15の弾性力に抗して係止部品14の押圧面14cを押圧操作すると、係止爪部14aも係止部品14とともに移動して壁部2dの内面との係合が外れ、、係止部品14による顔面部品2の係止を解除できる。すると、顔面部品2は第1圧縮コイルバネ6の弾性力により上方へと移動する。
【0027】
また、顔面部品2を第1圧縮コイルバネ6の弾性力に抗して下方に移動すると、係止爪部14aの表側先端部に設けられた傾斜面が、顔面部品2の壁部2dの角部に突き当たり、係止爪部14aを裏方向に移動する分力が発生して、係止爪部14aは裏方向に移動する。その後、圧縮コイルバネ15の弾性力により、表方向に再び移動し、凹部11kから突出して、顔面部品2を係止した係止状態に復帰する。
【0028】
胴体カバー部品16には、2本のスイッチボタン12により操作される時計モジュール30が内蔵されている。このために、胴体蓋部品11には、2本のスイッチボタン12を案内する案内溝11f、11fが、また、胴体カバー部品16には切欠き部16f、16fが図示のように形成されている。さらに、この胴体カバー部品16の表面16aには、顔面部品2が上方に移動されたときに、それ以上の移動を防止するために壁部2dの内面に突き当たる凸部16bが表方向に突出形成されている。また、この胴体カバー部品16には、時計モジュールの文字盤の表示をする開口部16kと、上記の共締めのための雌ネジ部16c、16cがさらに形成されている。
【0029】
顔面部品2には破線図示の雌ネジスタッド部2f、2fがさらに形成されており、上記の左顔面固定部品19は、左顔面固定部品19に設けられたピン19aを主胴体部品3に設けられた溝部3cに挿通した後に、取り付け孔19cに挿通したセルフタッピング皿ネジ13を、顔面部品2に設けられた一方の雌ネジスタッド部2fに螺合することによりして顔面部品2に固定される。
【0030】
同様に、右顔面固定部品20も顔面部品2に固定される。このように、左顔面固定部品19、右顔面固定部品20に設けられたピン19a、20aが、主胴体部品3の溝部3c、3cに上下方向に摺動可能となるように挿通されていることから、顔面部品2は胴体部に対して上下方向に移動可能となるように固定されることになる。次に、以上のようにして完成した人形玩具1の操作乃至動作説明を行う。
【0031】
図2は、顔面部品2が下方に移動しその内部に両腕部品、両脚部品を収納した収納位置に位置している状態を図示した模式図である。本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図中において破線で図示した顔面部品2は、係止部材14の係止爪部14aが顔面部品2の開口部2cの表側の壁部2dの内面に対して係合し、収納位置にて係止された状態となっている。このとき、第1圧縮コイルバネ6は圧縮されており、移動部材5を下方に付勢している。
【0032】
一方、移動部材5の左上部、右上部の夫々に対して、その一端が上方または下方へと回動可能に取り付けられた左腕部品7、右腕部品8は、図1に図示されたように上記の左顔面固定部品19の当接面(側壁)19bと、右顔面固定部品20の当接面(側壁)20bとがそれぞれにおける他端側に当接することで、中間部となる軸支部7b、8b周りに夫々下方(矢印方向)に回動させられる。このことにより、左腕部品7、右腕部品8は、顔面部品2の内部に収納される。また、左腕部品7、右腕部品8がそれぞれ中間部となる軸支部7b、8b周りに回動することにより、それぞれの一端に設けられた軸支部7a、8aは上方に移動する。軸支部7a、8aが上方へと移動することに伴い、移動部材5も第1圧縮コイルバネ6の弾性力に抗して上方に移動することになる。
【0033】
また、移動部材5の左下部、右下部の夫々に対して、その一端が上方または下方へと回動可能に取り付けられた左脚部となる左脚部品9および右脚部となる右脚部品10は、移動部材5が上方へと移動することにより、軸支部9a、10aも上方へと移動するため、左脚部品9、右脚部品10全体が上方へと移動する。このことにより、左脚部品9、右脚部品10は、顔面部品2の内部に収納されることになる。なお、本実施例では、左脚部品9と右脚部品10の間には、各脚部を閉じる方向に付勢する付勢部材のトーションバネ40が設けられており、移動部材5が上方へ移動するに伴い、閉脚状態に回動することを補助している。しかしながら、このトーションバネ40は必須ではない。
【0034】
次に、図3は、顔面部品2が上方に移動し、両腕部品、両脚部品が開いた状態とされた開放位置に位置している状態を図示した模式図である。本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図中において破線で図示した顔面部品2は、係止部材14の係止爪部14aが顔面部品2の開口部2cの表側の壁部2dの内面に対して係合することにより、収納位置にて係止されていた状態から、係止部材14の押圧操作によって係止爪部14aと壁部2dの係合が解除され、第1圧縮コイルバネ6の弾性力により、上方へ移動した状態になっている。このとき、第1圧縮コイルバネ6の弾性力によって、移動部材5は主胴体部品3の摺接面3a上の最下方の位置に移動する。
【0035】
移動部材5が、下方へ移動することにより、左腕部品7、右腕部品8それぞれの一端に設けられた軸支部7a、8aも下方へと移動する。すると、左腕部品7、右腕部品8は、中間部となる軸支部7b、8b周りに上方へと(矢印方向)回動させられる。
【0036】
一方、移動部材5の左下部、右下部の夫々に対して、その一端が上方または下方へと回動可能に取り付けられた左脚部となる左脚部品9および右脚部となる右脚部品10とは、移動部材5の下方への移動に伴い、左脚部品9、右脚部品10の一端に設けられた軸支部9a、10aも下方に移動することにより、左脚部品9、右脚部品10全体も下方へと移動する。すると、形状部4の傾斜面4a、4bが、左脚部品9、右脚部品10それぞれの内側面に摺接することによって、各脚部は開く方向、すなわち上方へと回動される。
【0037】
なお、図4(a)の、図1の人形玩具1の顔面部品2が収納位置にある正面図と、図4(b)の人形玩具1の顔面部品2が開放位置にある正面図に示したように、本願発明の人形玩具1に時計バンド25を設けた時計玩具として構成しても良い。この場合も、人形玩具1同様に、装着後に係止部品14を押圧操作すれば、顔面部品2によって左右腕部品7、8、左右脚部品9、10が収納された状態から、左右腕部品7、8、左右脚部品9、10が広がって開放された状態に変化させることができる。
【0038】
また、時計文字盤を胴体部に設けたならば、係止部品14を押圧操作し、顔面部品2を開放位置に移動させることにより、時計文字盤が露出するようになるので、時間の確認の都度、顔面部品2によって左右腕部品7、8、左右脚部品9、10が収納された状態から、左右腕部品7、8、左右脚部品9、10が広がって開放された状態に変化させることになり、興趣性の高い時計玩具となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態になる人形玩具1を示す立体分解図である。
【図2】顔面部品2が収納位置に位置している状態を図示した模式図である。
【図3】顔面部品2が解放位置に位置している状態を図示した模式図である。
【図4】(a)は、図1の人形玩具1の顔面部品2が収納位置にある正面図、(b)は、図1の人形玩具1の顔面部品2が開放位置にある正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 人形玩具
2 顔面部品
3 主胴体部品
4 台形部
5 移動部品
6 第1圧縮コイルバネ
7 左腕部品
8 右腕部品
9 左脚部品
10 右脚部品
11 胴体蓋部品
14 係止部品
15 圧縮コイルバネ
25 時計バンド
30 時計モジュール
40 トーションバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体部と、胴体部表面上を上下方向に移動可能な顔面部と、
前記胴体部内を上下方向に移動可能であり、かつ前記顔面部と弾性部材を介して接続された移動部材と、
前記移動部材の左上部、右上部の夫々に対してその一端が回動可能に取り付けられた左腕部、右腕部と、
前記移動部材の左下部、右下部の夫々に対してその一端が回動可能に取り付けられた左脚部、右脚部と、を備えた人形玩具であって、
前記左腕部、右腕部は、夫々の中間部が前記胴体部に対して回動可能に取り付けられており、
前記顔面部が下方へ摺動される際に、前記顔面部の両側部は、前記左腕部、右腕部の他端側と当接して、前記左腕部、右腕部の夫々を前記中間部周りに下方へ回動させ、
前記移動部材は、前記左腕部、右腕部の下方への回動に伴い、前記胴体部内を上方へ移動し、
前記左脚部、右脚部は、前記移動部材の上方への移動に伴い、上方へと移動し、
前記顔面部は、最下方に位置したときに、前記胴体部、前記左腕部、右腕部、前記左脚部、右脚部をその内部に収納することを特徴とする人形玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−153693(P2009−153693A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334857(P2007−334857)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】