説明

人検知センサおよび人検知センサを備えた自動車

【課題】装着が簡単で車載するに適した人を検知できるセンサを提供する。
【解決手段】人を検知できる赤外線検知素子等から成る人検知センサ部1と、人検知センサ部1からの信号により人の存在を判定する信号処理回路部2と、検知した人の存在を光の点滅等で知らせる出力部3から人検知センサを構成し、人検知センサを車体前部の側面に設置し、出力部を車体前部上面に設置し、各部を動作させる電源をスモールランプから供給する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は人を検知するセンサに係り、特に、自動車事故防止に用いる車載用センサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の安全性への関心が高まってきており、事故を事前に防ぐために各種センサが搭載され始めている。例えば、自動車周囲近傍の障害物を検知する超音波センサ、あるいは、前走者との車間距離と相対速度を検知するレーザレーダ、電波レーダが搭載され、危険な状態では運転者に警報する。超音波センサとしては、特開平4−138226号公報に記載の車載用超音波検知器が、レーザレーダは、特開平5−119147号公報に記載の車両用レーザレーダが、また、電波レーダは、特開平2−259586号公報に記載の自動車用レーダが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記センサは、車庫入れ等駐車する場合の自動車周囲の障害物への接触防止、あるいは、走行中の前走者への追突防止を主眼としているが、歩行者の交通事故に関しても十分に留意する必要がある。上記センサでは、障害物および人を検知できるが、障害物と人との区別はできない。夜間に狭い道路で、あるいは、見通しの悪い交差点で人や自動車に乗った人を見分ける車載用センサの実用化が望まれている。また、車載用センサは、容易に装着できることが必要である。
【0004】本発明の目的は、装着が簡単で車載するに適した人を検知できるセンサを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は人を検知できる赤外線検知素子等から成る人検知センサ部と、人検知センサ部からの信号により人の存在を判定する信号処理回路部と、検知した人の存在を光の点滅等で知らせる出力部から人検知センサを構成し、人検知センサ部を車体前部の側面に設置し、出力部を車体前部上面に設置し、各部を動作させる電源をスモールランプから供給するようにした。このような構成とすることで、配線の少ない自動車に容易に装着できる人検知センサを実現できる。
【0006】人検知センサにおいて、複数の人検知センサ部とこれに対応した複数の出力部から構成することにより、異なる方向について人がいるかどうかを識別することが可能となる。
【0007】人検知センサにおいて、センサ部を人検知センサ部と超音波センサで構成することにより、障害物までの距離だけでなく、人を見分け、人までの距離を計測できるようになり、事故の中でも特に重大な人身事故の軽減を図るのに有効なセンサを提供できる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態について、図1ないし図6を用いて説明する。
【0009】図1は本発明の一実施の形態による人検知センサの説明図であり、(a)は人検知センサのブロック図、(b)は人検知センサを自動車に取り付けた場合の斜視図である。
【0010】図1(a)で、本実施の形態の人検知センサは、赤外線検知素子等から成る赤外線センサ部(人検知センサ部)1、赤外線センサ部からの信号により人の存在を判定する信号処理回路部2、検知した人の存在を光の点滅等で知らせる出力部3から構成される。人検知センサは(b)のセンサ装着外観図に示したように赤外線センサ部1を車体前部の側面に設置し、出力部3を車体前部上面に設置している。このように設置することで、見通しの悪い所から道路に出る場合にセンサを取り付けた車体の一部が道路に出た時点で運転者からは直接見ることのできない歩行者あるいは自転車に乗った人を検知でき、事故の予防を図ることが可能となる。また、出力部3を車体前部上面に設けることで運転者が前方から視界をずらさずに警報出力を得ることができるだけでなく、出力部3をセンサ部1、信号処理回路部2と近接して配置できるので各部を接続する配線が容易にでき、各部を動作させる電源をスモールランプ、イグニッションあるいはバッテリの少なくとも一つから供給すれば、電源の配線も容易にできる。
【0011】このような構成であれば、人検知センサを配線等の煩わしさもなく容易に取り付けることができ、さらに、構成も簡単であり低価格で提供できる。
【0012】また、センサ部1、出力部3を車体に両面テープで接着するように構成すれば、取付けがより容易になる。
【0013】次に、図2を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0014】図2は本発明の第2の実施の形態による人検知センサの説明図であり、(a)は人検知センサのブロック図、(b)は人検知センサを自動車に取り付けた場合の斜視図である。
【0015】図2で、図1の実施の形態と異なるのは、赤外線センサ部11が新たに設けられ、赤外線センサ部が二つある点である。
【0016】それぞれの赤外線センサ部1,11は焦電型赤外センサ12,13とフレネルレンズ14,15から構成され、用途により、赤外線センサの検知距離、指向性が異なっている。見通しが悪い場所から道路にでる場合には比較的近くにいる人を検知する必要があり、また、夜間に歩道と車道の区別のない道路を走行する場合には比較的遠くの人を検知する必要がある。このように、使用場所、目的に対応したセンサが必要であり、赤外線センサ部1、赤外線センサ部11に特性の異なったフレネルレンズを用いること等で実現できる。複数の赤外線センサ部を用いた場合には、それぞれの赤外線センサ部に対応した複数の出力手段を有することが好ましく、図2の実施例では、出力部に二つのLED16,17を使用し、それぞれ異なる色を用いてどのセンサの出力であるかを区別できるようにしている。
【0017】赤外線センサを自動的に装着するには、用途により装着位置を設定する必要があり、図2(b)に示したように見通しの悪い場所から道路にでる場合には車両の側面に一方の赤外線センサ部を設け、また、歩道と車道の区別のない道路を走行し、比較的遠くの人を検知する場合には車両の前面に他方の赤外線センサ部を設けている。
【0018】このような構成のセンサであれば、異なる方向について人がいるかどうかを識別することが可能となる。
【0019】次に、図3を用いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0020】図3は本発明の第3の実施の形態による人検知センサの斜視図であり、図1の実施例に示した赤外線センサ部1、信号処理回路部2、および、出力部3を一つの筐体に一体化している。図3(a)は、赤外線センサ部構成するフレネルレンズ側から見た斜視図を示し、図3(b)は、フレネルレンズと対面の出力部を構成するLED側から見た外観図を示している。図3で、21が筐体、22がフレネルレンズ、23がLEDである。
【0021】このように一体構成とすることにより、人検知センサを車体に接着するだけで簡単に使用することができるようになる。
【0022】次に、図4を用いて、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0023】図4は、本発明の第4の実施の形態による人検知センサのブロック図である。
【0024】図2で、図1の実施の形態と異なるのは、太陽電池31が付加されている点である。
【0025】太陽電池を用いることにより、昼間は太陽電池を電源とし、夜間はスモールランプを電源とすることにより、人検知センサへの電源供給が効率良く行えるようになる。
【0026】次に、図5を用いて、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0027】図5は、本発明の第5の実施の形態による人検知センサのブロック図である。
【0028】図4で、図1の実施の形態と異なるのは、超音波センサ41が新たに設けられている点である。
【0029】超音波センサ41により、人および障害物を検知し、その距離を計測できるので、赤外線センサ部と超音波センサを兼ね備えた本実施のセンサによれば、障害物までの距離だけでなく、人を見分け、人までの距離を計測できるようになり、事故の中でも特に重大な人身事故の軽減を図るのに有効となる。
【0030】次に、図6を用いて、本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0031】図6は本発明の第6の実施の形態による人検知センサのブロック図である。
【0032】図6において、図1の実施の形態と異なるのは、電波レーダ51が新たに設けられている点である。
【0033】電波レーダ51により、人および障害物を検知し、その距離を計測できるので、赤外線センサ部と電波レーダを兼ね備えた本実施のセンサにおいても、図5R>5に示した第5の実施例と同様に、障害物までの距離だけでなく、人を見分け、人までの距離を計測できる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、人検知センサ部、信号処理回路部と出力部から成る車体前部に設置する人検知センサの電源を自動車のスモールランプから供給する構成であるので、配線の煩わしさのない、取付けの容易な人を検知できるセンサを備えた自動車を提供できる。
【0035】また、人検知センサ部と距離検出部を有する人検知センサによれば人の存在だけでなく、その距離をも計測できるので、より危険予知確度の高い人検知センサを備えた自動車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の説明図。
【図2】本発明の第2の実施例の説明図。
【図3】本発明の第3の実施例による人検知センサの斜視図。
【図4】本発明の第4の実施例による人検知センサのブロック図。
【図5】本発明の第5の実施例による人検知センサのブロック図。
【図6】本発明の第6の実施例による人検知センサのブロック図。
【符号の説明】
1,11…赤外線センサ部、
2…信号処理部、
3…出力部、
12,13…焦電赤外センサ、
14,15,22…フレネルレンズ、
16,17…LED、
41…超音波センサ、
51…電波レーダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】赤外線検知素子から成る人検知センサ部と、前記人検知センサ部からの信号により人の存在を判定する信号処理回路部と、検知した人の存在を光の点滅で知らせる出力部とから構成され、前記各部を動作させる電源をスモールランプ、イグニッションあるいはバッテリの少なくとも一つから供給される人検知センサを備えたことを特徴とする自動車。
【請求項2】赤外線検知素子から成る人検知センサ部と、前記人検知センサ部からの信号により人の存在を判定する信号処理回路部と、検知した人の存在を光の点滅で知らせる出力部と、太陽電池とから構成され、前記各部を動作させる電源を前記太陽電池、スモールランプ、イグニッションあるいはバッテリの少なくとも一つから供給する人検知センサを備えたことを特徴とする自動車。
【請求項3】複数の人検知センサ部と、人検知センサ部からの信号により人の存在を判定する信号処理回路部と、検知した人の存在を光の点滅等で知らせる出力部とから構成され、前記各部を動作させる電源をスモールランプ、イグニッションあるいはバッテリの少なくとも一つから供給される人検知センサを備えた自動車において、前記複数の人検知センサ部はそれぞれ焦電型赤外線センサ、フレネルレンズから成り、それぞれのフレネルレンズの構成が異なることを特徴とする人検知センサを備えた自動車。
【請求項4】請求項3に記載の出力部がそれぞれの人検知センサ部に対応した複数の発行素子から構成されることを特徴とする人検知センサを備えた自動車。
【請求項5】少なくとも人検知センサ部および出力部が両面接着テープで車体外部に接続される請求項1または請求項3に記載の人検知センサを備えた自動車。
【請求項6】前記人検知センサ部、前記信号処理回路部、前記出力部が、一つの筐体内に収容されている請求項1または請求項3に記載の人検知センサを備えた自動車。
【請求項7】赤外線検知素子から成る人検知センサ部と、人あるいは障害物までの距離を検出する距離検出部と、前記人検知センサ部からの信号および距離検出部からの信号を処理する信号処理回路部と、前記信号処理回路の結果をもとに表示を行う出力部とから構成されることを特徴とする人検知センサ。
【請求項8】少なくとも前記人検知センサ部、前記距離検出部が一つの筐体に収容されている請求項7に記載の人検知センサ。
【請求項9】赤外線検知素子等から成る人検知センサ部と、人あるいは障害物までの距離を検出する距離検出部と、前記人検知センサ部からの信号および距離検出部からの信号を処理する信号処理回路部と、検知した人の存在を光の点滅等で知らせる出力部とから構成され、前記各部を動作させる電源をスモールランプ、イグニッションあるいはバッテリの少なくとも一つから供給される人検知センサを備えたことを特徴とする自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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