説明

介護ベッド用リモートコントローラー

【課題】介護ベッド用リモートコントローラーの使い勝手を向上させること。
【解決手段】本発明では、背部や脚部の受台(5)を起倒させたり昇降させるために用いる介護ベッド用リモートコントローラー(1)において、コントローラー本体(21)の後面に脚体(22,23)を上下に間隔をあけて形成した。また、前記脚体(22,23)の上下間隔を介護ベッド(2)に形成した側柵(6)の横桟(13〜16)の上下間隔と同一の間隔とし、側柵(6)の上下の横桟(13〜16)にそれぞれ上下の脚体(22,23)を係止可能とした。さらに、前記コントローラー本体(21)にフック(24)を設け、フック(24)と脚体(22,23)との間の上下間隔を介護ベッド(2)に形成した側柵(6)の横桟(13〜16)の上下間隔と同一の間隔とし、側柵(6)の上下の横桟(13〜16)にそれぞれ上下の脚体(22,23)及びフック(24)を係止可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背部や脚部の受台を起倒させたり昇降させるために用いる介護ベッド用リモートコントローラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、介護ベッドとして使用されるリクライニング式ベッドは、使用者の背部や脚部を受ける受台を起倒させたり昇降させることができるように構成している(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この介護ベッドにあっては、介護者又は被介護者などが介護ベッドの各受台を起倒させたり或いは昇降させたりすることができるように、リモートコントローラーが設けられている。
【0004】
従来の介護ベッド用リモートコントローラーは、家電製品などに見られるリモートコントローラーと同様に、縦長直方体形状に形成され、前面に円形又は四角形の操作ボタンを配置した構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−16635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の介護ベッド用リモートコントローラーにあっては、必ずしも健常者によって操作されるとは限られず、疾病や障害を有する被介護者によって操作されることも多いものである。
【0007】
そのため、従来のように通常の家電製品などに見られる縦長直方体形状に形成されて前面に操作ボタンを配置した構成のリモートコントローラーでは、被介護者にとっては使い勝手が良好なものとはいえなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、背部や脚部の受台を起倒させたり昇降させるために用いる介護ベッド用リモートコントローラーにおいて、コントローラー本体の後面に脚体を上下に間隔をあけて形成することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記脚体の上下間隔を介護ベッドに形成した側柵の横桟の上下間隔と同一の間隔とし、側柵の上下の横桟にそれぞれ上下の脚体を係止可能とすることにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記コントローラー本体にフックを設け、フックと脚体との間の上下間隔を介護ベッドに形成した側柵の横桟の上下間隔と同一の間隔とし、側柵の上下の横桟にそれぞれ上下の脚体及びフックを係止可能とすることにした。
【0011】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1〜請求項3のいずれかに係る本発明において、前記コントローラー本体の前面であって前記上下の脚体の間に操作ボタンを配置することにした。
【0012】
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項1〜請求項4のいずれかに係る本発明において、前記コントローラー本体の前面に凹部を形成し、その凹部に操作ボタンを配置することにした。
【0013】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項1〜請求項5のいずれかに係る本発明において、前記コントローラー本体に設けた操作ボタンの形状をその操作によって生じる受台の稼働方向を示す形状とすることにした。
【発明の効果】
【0014】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0015】
すなわち、本発明では、背部や脚部の受台を起倒させたり昇降させるために用いる介護ベッド用リモートコントローラーにおいて、コントローラー本体の後面に脚体を上下に間隔をあけて形成しているために、片手に脚体を引掛けたり或いは片手の指の間で脚体を挟んだりすることでコントローラー本体を支持することができるので、介護ベッド用リモートコントローラーの使い勝手を向上させることができる。
【0016】
特に、脚体の上下間隔を介護ベッドに形成した側柵の横桟の上下間隔と同一の間隔とし、側柵の上下の横桟にそれぞれ上下の脚体を係止可能とした場合には、介護ベッドの側柵に介護ベッド用リモートコントローラーを引掛けておくことができ、介護ベッド用リモートコントローラーが布団の内部に紛れ込んでしまうのを防止することができるとともに、操作者の体格や姿勢や好みに応じて側柵に沿って介護ベッド用リモートコントローラーの位置を変更させることができる。
【0017】
また、コントローラー本体にフックを設け、フックと脚体との間の上下間隔を介護ベッドに形成した側柵の横桟の上下間隔と同一の間隔とし、側柵の上下の横桟にそれぞれ上下の脚体及びフックを係止可能とした場合には、介護ベッドの側柵に上下の脚体とフックの3箇所で引掛けられるため、側柵から介護ベッド用リモートコントローラーが不意に落下してしまうのを防止することができるとともに、フックだけを用いて介護ベッドのヘッドボードやフットボードなどに引掛けておくこともできる。
【0018】
また、コントローラー本体の前面であって上下の脚体の間に操作ボタンを配置した場合には、脚体を用いて載置させた状態で介護ベッド用リモートコントローラーを操作しても介護ベッド用リモートコントローラーが転倒してしまうことがない。
【0019】
また、コントローラー本体の前面に凹部を形成し、その凹部に操作ボタンを配置した場合には、介護ベッド用リモートコントローラーが表裏反転した状態となっても誤って操作ボタンが押圧操作されてしまうのを防止することができる。
【0020】
さらに、コントローラー本体に設けた操作ボタンの形状をその操作によって生じる受台の稼働方向を示す形状とした場合には、操作ボタンを目視しにくい状況であっても指先の感触で正しい操作ボタンを選択することができ、不本意な操作ボタンが操作されてしまうをの防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】リモートコントローラーを設けた介護ベッドを示す平面模式図。
【図2】同側面模式図。
【図3】介護ベッド用リモートコントローラーの正面図。
【図4】同背面図。
【図5】同右側面図。
【図6】同側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る介護ベッド用リモートコントローラーの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1及び図2に示すように、本発明に係るリモートコントローラー1は、介護ベッド2に設けられ、介護ベッド2の可動部を操作するために用いられる。
【0024】
介護ベッド2は、基台3の上部に横臥台4を取付け、横臥台4の上部に受台5を取付けるとともに、横臥台4の側部に側柵6を取付け、さらに、横臥台4の端部にヘッドボード7とフットボード8を取付けている。
【0025】
ここで、受台5は、使用者の背中部分を受ける背部受台9と、使用者の尻部分を受ける尻部受台10と、使用者の大腿部分を受ける大腿部受台11と、使用者の下腿部分を受ける下腿部受台12とで構成しており、横臥台4に背部受台9と大腿部受台11とを起倒自在に取付けるとともに、大腿部受台11に下腿部受台12を起倒自在に取付けている。また、側柵6は、4本の円形パイプ状の横桟13〜16を上下に等間隔に並べて配置している。
【0026】
そして、介護ベッド2は、基台3と横臥台4との間に昇降機構17を介設し、横臥台4と背部受台9との間に背部起倒機構18を介設し、横臥台4と大腿部受台11との間に脚部起倒機構19を介設しており、これらの昇降機構17・背部起倒機構18・脚部起倒機構19に制御機構20を接続し、制御機構20にリモートコントローラー1を接続している。これにより、介護ベッド2は、リモートコントローラー1を操作することによって、制御機構20で昇降機構17を昇降制御して受台5を昇降させたり、或いは、制御機構20で背部起倒機構18や脚部起倒機構19を起倒制御して背部受台9や大腿部・下腿部受台11,12を起倒させることができるようにしている。
【0027】
リモートコントローラー1は、図3〜図6に示すように、上下に伸延させた概略箱型状のコントローラー本体21の後面に脚体22,23を上下に間隔をあけて取付けるとともに、上側の脚体22にフック24を取付けている。
【0028】
コントローラー本体21は、全体的に丸味を帯びた箱型形状に形成され、前面に凹部25を形成し、凹部25の内部に操作ボタン26〜33を左右に2個ずつ並べて4列に配置し、操作ボタン26〜33の操作面が凹部25に収容されるようにしている。
【0029】
ここで、1列目の左側の操作ボタン26は昇降機構17によって受台5を上昇させるもので、1列目の右側の操作ボタン27は昇降機構17によって受台5を下降させるもので、2列目の左側の操作ボタン28は背部起倒機構18によって背部受台9を上方に向けて起立させるもので、2列目の右側の操作ボタン29は背部起倒機構18によって背部受台9を下方に向けて倒伏させるもので、3列目の左側の操作ボタン30は脚部起倒機構19によって大腿部受台11を上方に向けて起立させるもので、3列目の右側の操作ボタン31は脚部起倒機構19によって大腿部受台11を下方に向けて倒伏させるもので、4列目の左側の操作ボタン32は背部・脚部起倒機構18,19によって背部・大腿部受台9,11を連動させて上方に向けて起立させるもので、4列目の右側の操作ボタン33は背部・脚部起倒機構18,19によって背部・大腿部受台9,11を連動させて下方に向けて倒伏させるものである。
【0030】
そして、受台5や背部受台9や大腿部受台11を上方に向けて稼働させる左側の操作ボタン26,28,30,32は、正面視楕円形状のボタン本体26a,28a,30a,32aに上方へ向けた矢印形状の隆起部26b,28b,30b,32bを上方及び前方に向けて隆起させた形状とする一方、受台5や背部受台9や大腿部受台11を下方に向けて稼働させる右側の操作ボタン27,29,31,33は、正面視楕円形状のボタン本体27a,29a,31a,33aに下方へ向けた矢印形状の隆起部27b,29b,31b,33bを下方及び前方に向けて隆起させた形状として、各操作ボタン26〜33の形状をその操作ボタン26〜33の押圧操作によって生じる受台5(全体又は背部や脚部)の稼働方向を示す形状としている。
【0031】
また、操作ボタン26〜33は、受台5や背部受台9や大腿部受台11を上方に向けて稼働させる左側の操作ボタン26,28,30,32と受台5や背部受台9や大腿部受台11を下方に向けて稼働させる右側の操作ボタン27,29,31,33とで色彩を変えるとともに、操作時に必要な押圧力を異ならせ、下方への稼働を行わせる右側の操作ボタン27,29,31,33の方が上への稼働を行わせる左側の操作ボタン26,28,30,32よりも大きな押圧力が必要になっている。これにより、左右の操作ボタン26〜33の押し間違いを防ぐようにしている。
【0032】
脚体22,23は、上下面に側面視で凹状にくびれさせた形状の係止部34を形成して側柵6の横桟13〜16に係止可能とするとともに、上下の間隔を横桟13〜16の上下の間隔と同一の間隔としており、上下の脚体22,23の間隔の間に操作ボタン26〜33を配置している。
【0033】
また、脚体22,23は、底面35,36を傾斜状に形成しており、コントローラー本体21を傾斜状に載置できるようにしている。
【0034】
フック24は、可撓性を有する板状体で形成するとともに、上端部に円弧状の係止部37を形成してヘッドボード7やフットボード8や側柵6の横桟13〜16に係止可能とし、この係止部37と上側の脚体22の係止部34との上下の間隔も横桟13〜16の上下の間隔と同一の間隔としている。
【0035】
これにより、リモートコントローラー1は、側柵6の横桟13〜16にそれぞれ上下の脚体22,23及びフック24を係止させた状態で側柵6に引掛けておくことができるようになっている。
【0036】
以上に説明したように、リモートコントローラー1は、コントローラー本体21の後面に脚体22,23を上下に間隔をあけて形成した構成となっている。
【0037】
そのため、上記構成のリモートコントローラー1では、片手に脚体22,23を引掛けたり或いは片手の指の間で脚体22,23を挟んだりすることでコントローラー本体21を支持することができ、リモートコントローラー1の使い勝手を向上させることができる。
【0038】
また、上記リモートコントローラー1は、脚体22,23の上下間隔を介護ベッド2に形成した側柵6の横桟13〜16の上下間隔と同一の間隔とし、側柵6の上下の横桟13〜16にそれぞれ上下の脚体22,23を係止可能な構成としている。
【0039】
そのため、上記構成のリモートコントローラー1では、介護ベッド2の側柵6にリモートコントローラー1を引掛けておくことができ、リモートコントローラー1が布団の内部に紛れ込んでしまうのを防止することができるとともに、操作者の体格や姿勢や好みに応じて側柵6に沿ってリモートコントローラー1の位置を変更させることができる。
【0040】
また、上記リモートコントローラー1は、コントローラー本体21に脚体22を介してフック24を設け、フック24と脚体22,23との間の上下間隔を介護ベッド2に形成した側柵6の横桟13〜16の上下間隔と同一の間隔とし、側柵6の上下の横桟13〜16にそれぞれ上下の脚体22,23及びフック24を係止可能な構成としている。
【0041】
そのため、上記構成のリモートコントローラー1では、介護ベッド2の側柵6に上下の脚体22,23とフック24の3箇所で引掛けられるため、側柵6からリモートコントローラー1が不意に落下してしまうのを防止することができるとともに、フック24だけを用いて介護ベッド2のヘッドボード7やフットボード8などに引掛けておくこともできる。
【0042】
また、上記リモートコントローラー1は、コントローラー本体21の前面であって上下の脚体22,23の間に操作ボタン26〜33を配置した構成としている。
【0043】
そのため、上記構成のリモートコントローラー1では、脚体22,23を用いて載置させた状態でリモートコントローラー1を操作してもリモートコントローラー1が転倒してしまうことがなく、リモートコントローラー1の使い勝手を向上させることができる。
【0044】
また、上記リモートコントローラー1では、コントローラー本体21の前面に凹部25を形成し、その凹部25に操作ボタン26〜33を配置した構成としている。
【0045】
そのため、上記構成のリモートコントローラー1では、リモートコントローラー1が表裏反転した状態となっても誤って操作ボタン26〜33が押圧操作されてしまうのを防止することができる。
【0046】
また、上記リモートコントローラー1は、コントローラー本体21に設けた操作ボタン26〜33の形状をその操作によって生じる受台5の稼働方向を示す形状としている。
【0047】
そのため、上記構成のリモートコントローラー1では、操作ボタン26〜33を目視しにくい状況であっても指先の感触で正しい操作ボタン26〜33を容易に選択することができ、不本意な操作ボタン26〜33が操作されてしまうのを防止することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 リモートコントローラー 2 介護ベッド
3 基台 4 横臥台
5 受台 6 側柵
7 ヘッドボード 8 フットボード
9 背部受台 10 尻部受台
11 大腿部受台 12 下腿部受台
13〜16 横桟 17 昇降機構
18 背部起倒機構 19 脚部起倒機構
20 制御機構 21 コントローラー本体
22,23 脚体 24 フック
25 凹部 26〜33 操作ボタン
26a〜33a ボタン本体 26b〜33b 隆起部
34 係止部 35,36 底面
37 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背部や脚部の受台を起倒させたり昇降させるために用いる介護ベッド用リモートコントローラーにおいて、
コントローラー本体の後面に脚体を上下に間隔をあけて形成したことを特徴とする介護ベッド用リモートコントローラー。
【請求項2】
前記脚体の上下間隔を介護ベッドに形成した側柵の横桟の上下間隔と同一の間隔とし、側柵の上下の横桟にそれぞれ上下の脚体を係止可能としたことを特徴とする請求項1に記載の介護ベッド用リモートコントローラー。
【請求項3】
前記コントローラー本体にフックを設け、フックと脚体との間の上下間隔を介護ベッドに形成した側柵の横桟の上下間隔と同一の間隔とし、側柵の上下の横桟にそれぞれ上下の脚体及びフックを係止可能としたことを特徴とする請求項2に記載の介護ベッド用リモートコントローラー。
【請求項4】
前記コントローラー本体の前面であって前記上下の脚体の間に操作ボタンを配置したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の介護ベッド用リモートコントローラー。
【請求項5】
前記コントローラー本体の前面に凹部を形成し、その凹部に操作ボタンを配置したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の介護ベッド用リモートコントローラー。
【請求項6】
前記コントローラー本体に設けた操作ボタンの形状をその操作によって生じる受台の稼働方向を示す形状としたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の介護ベッド用リモートコントローラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−200470(P2012−200470A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69250(P2011−69250)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(599139442)株式会社プラッツ (9)
【Fターム(参考)】