説明

介護用おむつ

【課題】寝たきり病人、老人等の要介護者の排便時の介助を極めて簡易に、しかも要介護者の不快感を解消することができる介護用おむつを提供する。
【解決手段】要介護者Mの排便を受容する排泄物受容体5において、排泄物受容口51側に大便を受容すると共に小便を流通する防水性の部材でなる大便受容部52を設けると共に、大便受容部52から流通する小便を受容する吸水性のある小便受容部53を大便受容部52に連通して設け、要介護者Mの腰部付近に巻き付ける巻付帯2の中央から垂下して設けた延出布3に、巻付帯2から所定距離を存して開口部31を設けると共に、その開口部31に排泄物受容体5を着脱可能に設けた介護用おむつ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝たきり病人、老人等の要介護者の排便時の介助を極めて簡易にし、しかも要介護者の不快感を解消した介護用おむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
元来、自分でトイレに行けない寝たきり病人、老人等の要介護者は、使い捨て可能な紙おむつ、または洗濯により再使用可能な布製のおむつ等を使用している。
このような介護用おむつは、平坦なものであったため、要介護者の大・小便の混合した排泄物がおむつ全体に拡散し、要介護者の臀部にも広範囲に付着して、この便の拭取り作業等の処理が非常に面倒であったり、また不快な臭いが広がったりして大変であった。
かかる不便を解消できるものとして、図7及び図8に示すようなものが知られている。このものは、排泄物受容体である排便パットとして、略円筒型の芯材bと、芯材bの上部周縁から外周面にわたって下方に延出させて巻付けてある吸湿体cと、芯材bおよび吸湿体cの外周面全域を被覆し、さらに吸湿体cの下方へ延出させて装着した布地dとから構成しており、この便パットの芯材bの上部開口aを、要介護者eの肛門が入込むように股間に挟着させ、次いで紙製または布製の小型おむつ体fや大型おむつgでこの排便パットを覆って固定するようにしている。
【0003】
大便は排便パットの前記芯材bで受容され、大便とは別に、小便は前記吸湿体cを介して前記小型おむつ体f及び前記大型おむつgで吸収されるようになっているので、従来のおむつとは異なり、大便を含む排泄物がおむつ全体に拡散することがなくなる。
よって、介護者にとっては排泄物の拭取り作業や交換処理等が容易になり、要介護者においては排泄物の付着による不快感がある程度解消されるし、また不快な臭いの広がりも緩和されることになる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−305072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の介護用おむつにおいて、大便は排泄物受容体なる前記排便パットの前記芯材bで受容されるものの、小便は前記小型おむつ体fや前記大型おむつgのような従来使用のおむつで吸収受容されることになる。
このような従来のおむつは、臀部と広範囲に密着しているので、要介護者の体温による小便や汗等の蒸発で蒸れが生じ、かぶれ等の炎症を起し易くなり、要介護者に不快感をもたらすものとなっていた。
また、おむつの交換時には、要介護者を動かして交換しなければならず、この際には多大な労力を必要とするため、介護者には大きな負担となっていた。
また、排泄物受容体なる排便パットは、要介護者が動いておむつの内部でずれてしまったり、また、これを交換する際、いつも要介護者の適した位置に取り付けられるとは限らず、毎回微少ながらずれてしまったりするおそれがあるため、このようなずれによる受容便の漏出という問題があったし、さらに、ずれた排便パットを元の適位置に戻す際にわざわざおむつを取り外さなければならないといった煩わしさがあった。
【0006】
本発明は、係る点に鑑みて成されたもので、寝たきり病人、老人等の要介護者の排便時の介助を極めて簡易に、しかも要介護者の不快感を解消することができる介護用おむつを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[請求項1に係る発明]
上記課題を解決するための請求項1に係る発明の解決手段は、
『要介護者の腰部付近に巻き付ける巻付帯から延出して設けた延出布に、巻付帯から所定距離を存して開口部を設けると共に、
その開口部に要介護者の排泄物を受容する排泄物受容体を着脱可能に設ける物に於いて、
排泄物受容体を、
排泄物受容口側に大便を受容すると共に小便を流通する大便受容部を設けると共に、
大便受容部から流通する小便を受容する吸水性のある小便受容部を大便受容部に連続して設けた』ことである。
【0008】
上記解決手段は次のように作用する。
すなわち、前記大便受容部は主として大便を受容し、小便はそこを流通して前記小便受容部に達して受容される。このように、小便と大便とは別々に受容される。
また、前記大便受容部に前記小便受容部が連続して設けられているため、大便受容部を前記延出布から取り外すだけで、小便受容部も取り外されることになり、逆に、小便受容部と共に大便受容部を取り付けることが可能となる。
【0009】
さらに、本発明は、前記排泄物受容体を前記巻付帯の中央から延出した前記延出布に着脱可能に設けているため、巻付帯を要介護者から取り外さずしてダイレクトに排泄物受容体を取り替えることができる。
また、前記延出布の前記開口部は、前記巻付帯から所定距離の位置に設けられているため、開口部に設けた前記排泄物受容体が要介護者の適位置にくるよう、前記巻付帯により位置決めが可能となり、また排泄物受容体がずれないように保持される。さらに、排泄物受容体を取り替える場合、再度この適位置を調整する必要はなく、排泄物受容体を即座且つ適正に取り付けられる。
【0010】
[請求項2に係る発明]
請求項1に係る発明において、
『前記大便受容部と分離及び接続が可能となるよう、小便受容部に分離接続部又は結着手段を設けた』ものでは、大便受容部及び小便受容部のどちらかの受容が満ちて取り替える場合、未受容の方は取り替えずしてそのまま使用し、受容満の方のみを取り替えることができる。
【0011】
[請求項3に係る発明]
請求項1に係る発明において、
『前記大便受容部に、小便受容部を分離接続可能とする結着手段を設けた』ものでも、請求項2の発明と同様に、未受容の方は取り替えずしてそのまま使用し、受容満の方のみを取り替えることができる。
【0012】
[請求項4に係る発明]
請求項2に係る発明において、
『前記小便受容部の前記分離接続部を防水性の部材でなるものとし、
前記大便受容部を小便受容部から分離して取り外すと共に小便受容部の分離接続部を延出布の開口部に取り付けた場合、該分離接続部は、大便を受容すると共に小便を流通するようにした』ものでは、大便受容部が受容満になって取り替える際、新たな大便受容部を要さずして、小便受容部をそのまま代用できる。
【0013】
[請求項5に係る発明]
請求項2又は4に係る発明において、
『前記小便受容部の前記分離接続部に小便を受容する吸水部を着脱可能に設けた』ものでは、小便受容部が受容満になった場合、分離接続部は取り替えを要することなく、前記大便受容部に接続したままの状態で、吸水部のみを取り替えることができる。
【0014】
[請求項6に係る発明]
『請求項1から5に記載の介護用おむつにおける前記大便受容部、
または/及び請求項2、4、5に記載の介護用おむつにおける前記小便受容部の前記分離接続部が、
型で形成した固状のパルプ形成部材である』ものでは、要介護者が動いても形状が崩れにくいので、大便受容部の前記排泄物受容口や小便受容部の分離接続部付近において、受容便が外部に漏出するのを防止できる。また、これらを燃えるごみとして廃棄できる。
【0015】
[請求項7に係る発明]
請求項1〜6に係る発明において、
『前記巻付帯から延出して、前記延出布及び前記排泄物受容体を被覆する被覆布を設ける』ものでは、
延出布及び排泄物受容体の夫々構成部分が被覆されて外から見えなくなり、外観的に纏まった感じになる。また、この被覆布でこれらの構成部分をホールドする場合、要介護者が動いてもそれらの構成部分の配置がくずれないようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は次の特有の効果を有する。
請求項1に係る発明では、
前記大便受容部及び前記小便受容部において、小便と大便とは別々に受容されるため、廃棄処理が容易となる。
従来は、要介護者の臀部と広範囲に密着するおむつ全体で小便を吸収受容していたため、蒸れによる炎症を起こし易かったが、本発明は従来のようなおむつを使用する代わりに、前記巻付帯及び前記延出布のみを使用して要介護者の臀部付近の肌を開放すると共に、小便を限定的に小便受容部で受容して小便等の蒸発による蒸れを格段に防止できるようになる。加えて、従来のおむつよりも嵩張らないので、洗濯や廃棄等が容易である。
また、前記排泄物受容体は、既述のように前記巻付帯を要介護者から取り外さずしてダイレクトに取り替えることができるので、従来のように、要介護者の下半身を動かしたり、持ち上げたりしながらおむつを取り外さないと排泄物受容体を交換できないなどといった煩わしさが解消され、迅速に要介護者の排便処理を行うことが可能となる。
また、前記大便受容部を前記延出布から取り外すだけで、前記小便受容部も同時に取り外され、また、小便受容部と大便受容部を同時に取り付けることが可能となるので、排泄物受容体を迅速に且つ容易に取り替えることが可能となる。
さらに、前記排泄物受容体は、前記巻付帯により位置決めが可能となり、且つそれがずれないように保持できるので、受容便の漏出を可及的に防止して清潔を保つことができる。さらに、排泄物受容体を取り替える場合、再度この適位置を調整する必要はなく、排泄物受容体を即座且つ適正に取り付けられる。
【0017】
請求項2、3に係る発明では、既述のように、前記大便受容部及び前記小便受容部のどちらかの受容が満ちて取り替える場合、未受容の方は取り替えずしてそのまま使用し、受容満の方のみを取り替えることができるので、無駄な消費を抑えられて経済的である。
請求項4に係る発明では、既述のように、前記大便受容部が受容満になって取り替える際、新たな大便受容部を要さずして、小便受容部の前記分離接続部をそのまま代用できるので、無駄な消費を抑えられて経済的である。
【0018】
請求項5に係る発明では、既述のように、小便受容部が受容満になった場合、分離接続部は取り替えを要せず、前記大便受容部に接続したままの状態で、吸水部のみを取り替えることができるので、無駄な消費を抑えられて経済的であり、また、大便受容部と小便受容部との間からの漏便を招くことはないため、清潔が保たれる。
【0019】
請求項6に係る発明では、既述のように、前記大便受容部や前記小便受容部の前記分離接続部を、型で形成した固状のパルプ形成部材とするものは、要介護者が動いても形状が崩れにくく、受容便が外部に漏出するのを防止できるので、清潔が保たれ、また、燃えるごみとして廃棄が可能で廃棄処理がし易くなる。
【0020】
請求項7に係る発明では、既述のように、前記被覆布によって前記延出布及び前記排泄物受容体を被覆し、外からは見えなくして外観的に纏まった感じになるため、視覚的に良好となり、且つ清潔感がもたらされる。また、この被覆布でこれらの構成部分をホールドして要介護者が動いてもそれらの構成部分の配置がくずれないよう保つことができるので、漏便を極力防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の介護用おむつを、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。
すなわち、図1〜図3に示すように、本発明の介護用おむつ(1)は、要介護者(M)の腰部付近に巻き付ける巻付帯(2)と、この巻付帯(2) の中央から延出して設けた延出布(3)と、また、この延出布(3)に着脱可能に設け、且つ要介護者(M)の排泄物を受容する排泄物受容体(5)とから主に構成したものである。
【0022】
前記巻付帯(2)は、図示しないが、要介護者(M)の腰部付近を巻いて、両端で結ぶようにしてもよいし、またはその両端との接続を面ファスナーやフック部材、または粘着テープのような粘着部材等によるものとしてもよい。さらに、この巻付帯(2)に弾性ゴムによる伸縮性をもたせてもよい。
【0023】
このように、本発明の介護用おむつ(1)は、従来のようなおむつで排泄物受容体を固定取付するのではなく、前記巻付帯(2)及び前記排泄物受容体(5)を取り付ける前記延出布(3)を採用しているので、要介護者(M)の臀部付近の肌を従来より格段に開放できる。また、排泄物受容体(5)で排便を限定的に受容して、排便による蒸れを格段に防止できるようになる。加えて、従来のおむつよりも巻付帯(2)及び延出布(3)は嵩張らないので、洗濯や廃棄する等の際に容易となる。
また、前記排泄物受容体(5)は、前記延出布(3)に着脱可能に設けているので、前記巻付帯(2)を要介護者(M)から取り外さずしてダイレクトに取り替えることができるので、従来のように、要介護者の下半身を動かしたり、持ち上げたりしながらおむつを取り外さないと排泄物受容体を交換できないなどといった煩わしさが解消され、迅速に要介護者(M)の排便処理を行うことが可能となる。
さらに、前記延出布(3)と同様に前記巻付帯(2)の中央から延出して、該延出布(3)及び前記排泄物受容体(5)を被覆する被覆布(4)を設けている。該被覆布(4)を設けることで、視覚的に良好となり、且つ清潔感がもたらされる。
前記被覆布(4)は、前記延出布(3)及び前記排泄物受容体(5)を包み込んで、その先端を巻付帯(2)に巻きつけるか、図示しない例えば、面ファスナーやフック部材、または粘着テープのような結着部材でホールドする態様で使用してもよい。こうすることで、排泄物受容体(5)等の位置が要介護者(M)の取り付け位置からずれないように保持でき、漏便を極力防止することができる。
また、図示しないが、前記巻付帯(2)と前記延出布(3)、また巻付帯(2)と前記被覆布(4)とを、夫々着脱可能に連結させてもよい。例えば、面ファスナーやフック部材、または粘着テープのような結着部材等を介在させて、それらを着脱できるようにすることができる。
【0024】
尚、前記巻付帯(2)、前記延出布(3)、前記被覆布(4)の材質については、その使用する繊維の種類や織り方などは特に限定せず、快適に着するものであればよい。
前記排泄物受容体(5)は、図2及び図5に示すように、該排泄物受容体(5)の排泄物受容口(51)側に大便を受容すると共に小便を流通する防水性の部材でなる大便受容部(52)を設けると共に、この大便受容部(52)から流通する小便を受容する吸水性のある小便受容部(53)の筒状の分離接続部(531)を大便受容部(52)に着脱自在に外嵌して設けたものとしている。このように、小便と大便とは別々に受容されるため、廃棄処理が容易となる。尚、分離接続部に代えて、粘着テープ等の結着手段を設けてもよい。
また、前記大便受容部(52)と小便受容部(53)を分離すると、排泄物受容体(5)が前記延出布(3)から容易に取り外ことが出来る。即ち、大便受容部(52)と小便受容部(53)が延出布(3)から取り外せる。従って、前記排泄物受容体(5)を迅速に且つ容易に取り替えることが可能となる。
また、前記排泄物受容口(51)からの漏便防止のため、その周縁をガードするべく漏便防止パッド(511)を設けている。該漏便防止パッド(511)は、その中央に切込部(512)を形成しており、図2に示すようにこの切込部(512)に前記大便受容部(52)を挿入して排泄物受容口(51)の周縁に漏便防止パッド(511)がくるようにする。
【0025】
前記大便受容部(52)は、図2及び図5に示すように、筒状で形成された本体において、補強用の隔壁(521)を設けている。
前記大便受容部(52)の材質については、使い捨てが容易で、且つ適度な強度のある、型で形成した固状で防水性のあるパルプ形成部材を使用することができる。これにより、要介護者が動いても大便受容部(52)の形状が崩れにくく、受容便が外部に漏出するのを防止できるので、清潔が保たれ、また、燃えるごみとして廃棄が可能で廃棄処理がし易くなる。
また、図2に示す如く、前記延出布(3)において、前記巻付帯(2)から所定距離を存して開口部(31)を設け、該開口部(31)に前記排泄物受容体(5)を着脱可能に設けるようにしている。すなわち、延出布(3)に排泄物受容体(5)を装着する場合、開口部(31)に下端先細状の大便受容部(52)の下端部を挿入した状態にしてこの下端部に上端先太状の分離接続部(531)の上端部を嵌合係止させ、逆に、延出布(3)から排泄物受容体(5)を脱する場合は、分離接続部(531)と大便受容部(52)を分離する。
【0026】
このように、前記排泄物受容体(5)は前記延出布(3)の前記開口部(31)に係止するので、要介護者(M)の腰部における前記巻付帯(2)の位置の調整によって排泄物受容体(5)が適位置にくるように位置決めが可能となり、且つそれがずれないように保持できるので、受容便の漏出を可及的に防止して清潔を保つことができる。さらに、排泄物受容体(5)を取り替える場合、再度この適位置を調整する必要はなく、排泄物受容体(5)を即座且つ適正に取り付けられる。
さらに、図2及び図5に示すように、前記大便受容部(52)と前記小便受容部(53)とを相互に分離及び接続となるよう、小便受容部(53)に筒状の分離接続部 (531)を設けることで、前記排泄物受容体(5)を前記延出布(3)からずれないようしっかり固定できる。すなわち、大便受容部(52)と小便受容部(53)とを接続する際、その両部間に前記延出布(3)の前記開口部(31)の周縁(311)を位置させつつ、大便受容部(52)に対して小便受容部(53)の分離接続部 (531)が着脱可能に嵌合するようにしている。
【0027】
このようにして、前記排泄物受容体(5)を前記延出布(3)からずれないようしっかり固定すると共に、適正な位置に保てるので、受容便の漏出を極力防止して清潔を保つことができる。
また、前記大便受容部(52)と前記小便受容部(53)とが着脱可能となっているので、大便受容部(52)及び前記小便受容部(53)のどちらかの受容が満ちて取り替える場合、未受容の方は取り替えずしてそのまま使用し、受容満の方のみを取り替えることができるため、無駄な消費を抑えられて経済的である。
【0028】
尚、前記巻付帯(2)から前記開口部(31)までの前記所定距離については、図5に示すように、巻付帯(2)を要介護者(M)の腰部付近に巻き付けた時に、前記延出布(3)に取り付けられた前記排泄物受容体(5)の前記排泄物受容口(51)が、適正な位置になるようにして定められる。
また、前記小便受容部(53)の前記分離接続部(531)の材質については、前記大便受容部(52)と同様、型で形成した固状のパルプ形成部材を使用することができる。
前記小便受容部(53)において、前記分離接続部(531)に小便を受容する吸水部(532)を着脱可能に設けてもよい。例えば図4に示すように、分離接続部(531)の外周面に、吸水部(532)として市販の吸水性の高い小型で矩形状の紙おむつの上一辺を離脱可能に巻着できる。さらに、紙おむつの下一辺を上方に向かって畳むようにしながら上一辺付近で接着して小便受容部(53)を形成できる。このようにすれば、吸水部(532)における受容が満となって取り替える際、前記大便受容部(52)から分離接続部(531)を取り外す必要がなくなるので、これらの間から生じる漏便を防止でき、清潔が保たれる。
加えて、図示しないが、前記大便受容部(52)に、前記吸水部(532)を、例えば両面テープなどの結着手段により、直接着脱可能に巻着する形態であってもよい。この場合、前記小便受容部(53)の前記分離接続部(531)は不要となり、その分コストを抑えることができる。
【0029】
図6に示すのは、前記大便受容部(52)を前記小便受容部(53)から分離して取り外すと共に小便受容部(53)の分離接続部(531)を延出布(3)の開口部(31)に取り付けた場合、該分離接続部(531)は、大便を受容すると共に小便を流通するようにした例(請求項4)である。この場合、小便受容部(53)の前記分離接続部(531)を防水性の部材でなるものとしている。
すなわち、前記大便受容部(52)に排便が受容満となった際、新たな大便受容部と交換するのではなく、その代わりに前記小便受容部(53)の前記分離接続部 (531)を代用して、無駄な消費を抑えるようにすることができる。
【0030】
上記のように説明した前記延出布(3)、前記被覆布(4)、前記大便受容部(52)、前記小便受容部(53)、及び前記漏便防止パッド(511)について、相互に位置ずれを起こさないように、図示しないがこれらの相互間に面ファスナーやフック部材、または粘着テープのような結着部材等を使用してもよい。
【0031】
前記大便受容部(52)を下端先細状としたが、大便受容部(52)の先細筒部を同径とすると共にその上端である排排泄物受容口(51)に外周へ広がるフランジを形成し、そのフランジが開口部(31)に係止するようにして位置決めされるようにしても良い。このフランジは先の例の下端先細状大便受容部(52)の場合にも付けることも出来る。
大便受容部(52)と小便受容部(53)を分離不能に一体に形成してもよい。この場合、大便受容部(52)を、漏便防止パッド(511)の切込部(512)に強制的に挿入できる寸法に設定する。
小便受容部(53)に必ずしも筒状の分離接続部(531)を設ける必要はなく、小便受容部(53)を面ファスナな粘着テープなどの結着手段で大便受容部(52)に固定してもよい。
又、本発明にかかる介護用おむつは、犬等のペット用にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】

【図1】本発明の実施の形態に係る介護用おむつの斜視図
【図2】本発明の実施の形態に係る介護用おむつの組立図
【図3】本発明の実施の形態に係る介護用おむつの使用状態図
【図4】本発明の実施の形態に係る介護用おむつの小便受容部に関する説明図
【図5】本発明の実施の形態に係る介護用おむつの使用状態図
【図6】本発明の実施の形態に係る介護用おむつの大便受容部の代わりに小便受容部の分離接続部を代用した場合の使用状態図
【図7】従来例の説明図
【図8】従来例の説明図
【符号の説明】
【0033】
(1) ・・・介護用おむつ
(2) ・・・巻付帯
(3) ・・・延出布
(31) ・・・開口部
(311) ・・・周縁
(4) ・・・被覆布
(5) ・・・排泄物受容体
(51) ・・・排泄物受容口
(511) ・・・漏便防止パッド
(512) ・・・切込部
(52) ・・・大便受容部
(521) ・・・隔壁
(53) ・・・小便受容部
(531) ・・・分離接続部
(532・・・)吸水部
(M) ・・・要介護者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
要介護者の腰部付近に巻き付ける巻付帯から延出して設けた延出布に、巻付帯から所定距離を存して開口部を設けると共に、
その開口部に要介護者の排泄物を受容する排泄物受容体を着脱可能に設ける物に於いて、
排泄物受容体を、
排泄物受容口側に大便を受容すると共に小便を流通する大便受容部を設けると共に、
大便受容部から流通する小便を受容する吸水性のある小便受容部を大便受容部に連続して設けたことを特徴とする、介護用おむつ。
【請求項2】
前記大便受容部と分離及び接続が可能となるよう、小便受容部に分離接続部又は結着手段を設けたことを特徴とする、請求項1記載の介護用おむつ。
【請求項3】
前記大便受容部に、小便受容部を分離接続可能とする結着手段を設けたことを特徴とする、請求項1の介護用おむつ。
【請求項4】
前記小便受容部の前記分離接続部を防水性の部材でなるものとし、
前記大便受容部を小便受容部から分離して取り外すと共に小便受容部の分離接続部を延出布の開口部に取り付けた場合、該分離接続部は、大便を受容すると共に小便を流通するようにしたことを特徴とする、請求項2に記載の介護用おむつ。
【請求項5】
前記小便受容部の前記分離接続部に小便を受容する吸水部を着脱可能に設けたことを特徴とする、請求項2又は4に記載の介護用おむつ。
【請求項6】
請求項1から5に記載の介護用おむつにおける前記大便受容部、
または/及び請求項2、4、5に記載の介護用おむつにおける前記小便受容部の前記分離接続部が、
型で形成した固状のパルプ形成部材であることを特徴とする、介護用おむつ。
【請求項7】
前記巻付帯から延出して、前記延出布及び前記排泄物受容体を被覆する被覆布を設けることを特徴とする、請求項1から6の何れかに記載の介護用おむつ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−119749(P2010−119749A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297725(P2008−297725)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(596170848)株式会社名古屋モウルド (5)
【Fターム(参考)】