説明

仕分け荷物合流システム

【課題】仕分けされた荷物を運ぶ複数の仕分けシュートコンベヤを一つの合流シュートコンベヤに合流するためのシステムを提供する。
【解決手段】二つの仕分けシュートコンベヤと、合流シュートコンベヤとを具備するシステムにおいて、一方の仕分けシュートコンベヤが合流制御なしに合流シュートコンベヤの上流端に垂れ流し合流され、他方の仕分けコンベヤが合流制御なしに合流シュートコンベヤの側面のいずれかの位置に垂れ流し合流されているか、または全ての仕分けシュートコンベヤが合流制御なしに合流シュートコンベヤの側面のいずれかの位置に垂れ流し合流されていること、及び合流シュートコンベヤの有効幅が仕分けシュートコンベヤの有効幅の1.5倍以上2.0倍未満の長さであること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕分け機によって仕分けされた荷物を運ぶ二つの仕分けシュートコンベヤを合流シュートコンベヤに合流するための設置コストに有利で、しかも同じ出荷方面に荷物が集中しても連続して仕分けでき、作業効率を低下させない、仕分け荷物合流システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トラックターミナル等の集配所に集められた荷物は、仕分け機等によって出荷方面別に仕分けされて仕分けシュートコンベヤに引き取られた後に出荷方面行きのトラックの背後まで搬送されている。この場合、仕分け処理能力が多く必要なときはそれに応じて複数の仕分け機を設置し、同じ出荷方面に仕分けされた荷物を最終的に一つのシュートコンベヤに合流することが必要である。
【0003】
かかる条件を満たした従来の仕分け荷物合流システムの一例を図1に示す。図中、1,2は同じ出荷方面に仕分けされた荷物を搬送するシュートコンベヤを表し、矢印は搬送方向を示す。このシステムでは、シュートコンベヤ1,2は互いに有効幅が等しいので、同時に荷物を合流させると荷詰まりを起こしやすい。従って、これを防ぐために、一方のシュートコンベヤ1上の荷物は優先的に流し、他方のシュートコンベヤ2上の荷物は合流部の荷物の有無を検知するセンサによってシュートコンベヤ1の合流部3に荷物がある場合はシュートコンベヤ2を停止し、合流部3の荷物の通過を確認してからシュートコンベヤ2を始動させて荷物をシュートコンベヤ1上に合流させている。具体的にはシュートコンベヤ1の合流部の上流位置に光電センサを設置し、先の荷物が通過(遮光)後、設定時間以内に次の荷物が通過(遮光)しないという条件でコンベヤ上に荷物がないと判断し、シュートコンベヤ2上の荷物をシュートコンベヤ1上へ投入する。この方法を記載した文献としては特許文献1及び特許文献2が挙げられる。
【0004】
この方法は自動的に合流制御がなされるので、人手が掛からず荷物を一列に整列して直接トラックに搬送できる点で優れるが、自動合流のための制御が必要となり、設置コストが高い。また、シュートコンベヤ1上の荷物が集中する場合を想定してシュートコンベヤ2上の荷物を一時待機させるが、それ以上の荷物が仕分けされると、満杯になり、ダイバータロックして荷物を仕分け機の下流端に流すことになり、その仕分け能力を低下させることになる。そのために荷物を多く待機させるにはシュートコンベヤを分割する必要があり、やはり設置コストが高くなる。また、仕分け機の下流端に流された荷物は自動か手動で再度仕分けされなければならないので、作業効率が低下する。
【0005】
一方、図1に記載の方法と同じように二つの仕分け機を設置するが、二つのシュートコンベヤ同士は合流せずに平行に出荷方面行きトラックの背後まで進む方法がある。この仕分け荷物合流システムの一例を図2に示す。このシステムでは合流制御が不要であり、しかも待機される荷物がないため荷物をシュートコンベヤの上流端に廻す必要がない点で優れるが、二つのコンベヤが平行になった後のコンベヤの機幅が2倍になり、下流端においても2倍のスペースが必要となり、床の使用スペースが減少する。従って、仕分け処理能力が要求されて多くのシュートコンベヤが必要なレイアウトでは採用が極めて困難である。また、二つのコンベヤがそのまま平行に位置されるので、人手による荷物の整列が必要である。
【特許文献1】特開平11−314735号公報
【特許文献1】実開平7−40634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は仕分け機によって仕分けされた荷物を運ぶ複数の仕分けシュートコンベヤを荷物の損傷を受けずにスムーズに一つの合流シュートコンベヤに合流するための安価な設置コストの仕分け荷物合流システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、かかる目的を達成するために合流制御なしに二つのシュートコンベヤを合流する方法について鋭意検討した結果、仕分けシュートコンベヤと合流シュートコンベヤの有効幅の関係と合流方法を適切に設定すると簡易なシステムで荷物のスムーズな合流を可能とすることを見い出し、本発明の完成に至った。
【0008】
即ち、本発明は、第一の側面によれば、仕分け機によって仕分けされた荷物を運ぶ二つの仕分けシュートコンベヤと、これらの仕分けシュートコンベヤが合流する合流シュートコンベヤとを具備する仕分け荷物合流システムにおいて、一方の仕分けシュートコンベヤが合流制御なしに合流シュートコンベヤの上流端に垂れ流し合流され、他方の仕分けコンベヤが合流制御なしに合流シュートコンベヤの側面のいずれかの位置に垂れ流し合流されていること、及び合流シュートコンベヤの有効幅が仕分けシュートコンベヤの有効幅の1.5倍以上2.0倍未満の長さであることを特徴とする仕分け荷物合流システムである。
【0009】
また、本発明は、第二の側面によれば、仕分け機によって仕分けされた荷物を運ぶ二つの仕分けシュートコンベヤと、これらの仕分けシュートコンベヤが合流する合流シュートコンベヤとを具備する仕分け荷物合流システムにおいて、全ての仕分けシュートコンベヤが合流制御なしに合流シュートコンベヤの側面のいずれかの位置に垂れ流し合流されていること、及び合流シュートコンベヤの有効幅が仕分けコンベヤシュートの有効幅の1.5倍以上2.0倍未満の長さであることを特徴とする仕分け荷物合流システムである。
【0010】
本発明の上記仕分け荷物合流システムの好ましい態様では、二つの仕分けシュートコンベヤがともに合流シュートコンベヤの一方の側面に距離を置いて合流されるか又は二つの仕分けシュートコンベヤがそれぞれ合流シュートコンベヤの両側面に対面せずに距離を置いて合流されている。
【0011】
また、本発明の上部仕分け荷物合流システムの好ましい態様では、合流シュートコンベヤに合流される二つの仕分けシュートコンベヤの一方又は両方が合流シュートコンベヤに合流する前に他の仕分けシュートコンベヤと合流制御して合流されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の仕分け荷物合流システムの実施態様を図面を用いて説明するが、本発明のシステムはこれらに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの実施形態を適宜組み合せたり変更したりすることができる。
【0013】
本発明の仕分け荷物合流システムは、仕分け機によって仕分けされた荷物を運ぶ例えば同一出荷方面行きの仕分けシュートコンベヤを合流制御なしに合流シュートコンベヤに垂れ流し合流させていること、及びそのために合流シュートコンベヤの有効幅の長さを仕分けシュートコンベヤのそれより特定の倍率で大きくしていることを特徴とする。以下、本発明の仕分け荷物合流システムの実施形態の典型例を図面とともに以下に説明する。
【0014】
第一実施態様(図3)
図3は本発明の第一実施態様の仕分け荷物合流システムの概略的平面図を示す。図中、1,2は同じ出荷方面に仕分けされた荷物を搬送する仕分けシュートコンベヤを表し、10はそれらのコンベヤが合流する合流シュートコンベヤを表し、矢印は荷物の搬送方向を示す。この実施形態では、仕分けシュートコンベヤが二つ存在し、一方の仕分けシュートコンベヤ1が合流制御なしに合流シュートコンベヤ10の上流端に垂れ流し合流され、他方の仕分けシュートコンベヤ2が合流制御なしに合流シュートコンベヤ10の左側面の位置に垂れ流し合流されている。また、合流シュートコンベヤ10の有効幅は仕分けシュートコンベヤ1,2の有効幅の1.5倍以上2.0倍未満の長さに設定されている。
【0015】
この実施形態では、仕分けシュートコンベヤから合流シュートコンベヤへの荷物の合流制御を全く設けず、合流シュートコンベヤに垂れ流し合流しているので、システムの設備費用が安く、コストを低減することができる。また、荷物を仕分け機の下流端に流したりシュートコンベヤに滞留させる必要がないため、そのための設備が不要となり、コストを低減することができる。さらに、合流シュートコンベヤの有効幅は仕分けシュートコンベヤの有効幅の1.5倍以上の長さに設定されているので、荷物を同時に合流させても荷詰まりやそれによる荷物の損傷を回避することができる。また、合流シュートコンベヤの有効幅は仕分けシュートコンベヤの有効幅の2.0倍未満に抑制されているので、システムの設置はそれほど大きくスペースをとらなくても可能である。
【0016】
第二実施態様(図4)
図4は本発明の第二実施態様の仕分け荷物合流システムの概略的平面図を示す。図中、1,2は同じ出荷方面に仕分けされた荷物を搬送する仕分けシュートコンベヤを表し、10はそれらのコンベヤが合流する合流シュートコンベヤを表し、矢印は荷物の搬送方向を示す。この実施形態では、仕分けシュートコンベヤが二つ存在し、一方の仕分けシュートコンベヤ1が合流制御なしに合流シュートコンベヤ10の左側面の位置に垂れ流し合流され、他方の仕分けシュートコンベヤ2が合流制御なしに一方の仕分けシュートコンベヤ1の合流位置より下流の合流シュートコンベヤ10の右側面の位置に垂れ流し合流されている。また、合流シュートコンベヤ10の有効幅は仕分けシュートコンベヤ1,2の有効幅の1.5倍以上2.0倍未満の長さに設定されている。
【0017】
この実施形態では、第一実施形態と同様に仕分けシュートコンベヤから合流シュートコンベヤへの荷物の合流制御を全く設けず、合流シュートコンベヤに垂れ流し合流し、合流シュートコンベヤの有効幅を仕分けシュートコンベヤの有効幅の1.5倍以上2.0倍未満の長さに設定しているので、第一実施形態と同様の設備の設置コスト低減及び荷詰まりやそれによる荷物の損傷の回避などの効果が得られる。なお、この実施形態では、シュートコンベヤ1,2がそれぞれ合流シュートコンベヤ10の左側面、右側面の位置に合流されているが、合流位置をそれぞれ互いに対面せずに距離を置いて設けることが荷物の衝突が軽減されるので好ましい。
【0018】
第三実施態様(図5)
図5は本発明の第三実施態様の仕分け荷物合流システムの概略的平面図を示す。図中、1,2,3,4は同じ出荷方面に仕分けされた荷物を搬送する仕分けシュートコンベヤを表し、10はそれらのコンベヤが合流する合流シュートコンベヤを表し、矢印は荷物の搬送方向を示す。この実施形態は第二実施形態(図4)の変形例であり、合流シュートコンベヤ10の左側面、右側面図のそれぞれに合流される仕分けシュートコンベヤ1,2がそれぞれ合流シュートコンベヤに合流する前に仕分けシュートコンベヤ3,4と合流されている点が新たな特徴である。この実施形態では、仕分けシュートコンベヤ1,2はいずれも合流シュートコンベヤ10に垂れ流し合流され、仕分けシュートコンベヤ3,4は仕分けシュートコンベヤ1,2と合流制御して合流されている。合流制御は背景技術の項で述べたような従来公知の方法及び装置が採用されることができる。合流シュートコンベヤ10の有効幅は仕分けシュートコンベヤ1,2,3,4の有効幅の1.5倍以上2.0倍未満の長さに設定されている。
【0019】
この実施形態では、仕分けシュートコンベヤ同士の合流に合流制御を用いているが、これは仕分けシュートコンベヤが二つより多いライン数を持つとき、例えば四ラインの場合に用いる方法であり、この場合、仕分けシュートコンベヤ3,4上の荷物が満杯になり、それ以上の荷物が仕分けされると、仕分け機がダイバータロックして、荷物を仕分け機の下流端に流すことになる。一次合流された荷物は仕分けシュートコンベヤ1,2から合流シュートコンベヤへの合流には合流制御を設けず垂れ流し合流しているので、この部分はシステムの設備費用が安く、コストを低減することができる。また、合流シュートコンベヤへ直接合流する仕分けシュートコンベヤ1,2は荷物を仕分け機の下流端に流したりシュートコンベヤに滞留させる必要がないため、そのための設備が不要となりコストを低減することができる。さらに合流シュートコンベヤの有効幅は仕分けシュートコンベヤの有効幅の1.5倍以上2.0倍未満の長さに設定されているので、上述の実施形態と同様の荷詰まりやそれによる荷物の損傷の回避などの効果が得られる。
【0020】
本発明の仕分け荷物合流システムでは、合流シュートコンベヤの有効幅は仕分けシュートコンベヤの有効幅の1.5倍以上2.0倍未満に設定されるが、荷物の大きさや量、使用床面積等を考慮してその範囲内で適宜増減させればよい。より好ましくは下限としては、1.6倍以上、上限としては1.9倍以下、さらに1.8倍以下に設定することができる。例えば仕分けシュートコンベヤの有効幅が800mmであるときに合流シュートコンベヤの有効幅を1200mm、1400mm、1500mmなどに設定することができる。
【0021】
本発明の仕分け荷物合流システムで使用されるシュートコンベヤは傾斜したシュート部分を有する限り、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤ、鉄板シュート、プラスチックシュート又はフリーローラなどの従来公知の搬送機構の一種又は二種以上の組み合わせであることができる。また、本発明における合流制御とは複数のシュートコンベヤが合流する場合に合流部においていずれかのコンベヤ上の荷物の搬送を優先させたり遅延させたり停止させたりするような制御機構を言い、垂れ流し合流とはかかる合流制御が全くなく、シュートコンベヤによる推進力のみに依存して荷物を自然に合流させることを言う。
【0022】
以上説明した本発明の実施形態においては、仕分け機によって仕分けされた荷物を運ぶ複数の仕分けシュートコンベヤの合流シュートコンベヤへの合流システムの典型例を示したが、本発明の目的を達成する限り、これらの実施形態の組み合わせ、一部修正又は変更、公知技術の追加等も本発明の範ちゅうに属するものである。また、図面に表されていない仕分けシュートコンベヤの上流部及び合流シュートコンベヤの下流部には本発明の目的を妨げない限りいずれの公知の設備を設けてもよい。
【0023】
以上詳述したように、本発明によれば、仕分け機によって仕分けされた荷物を運ぶ複数の仕分けシュートコンベヤを荷物の損傷を受けずにスムーズに一つの合流シュートコンベヤに合流するための安価な設置コストの仕分け荷物合流システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の仕分け荷物合流システムの概略的平面図を示す。
【図2】従来の仕分け荷物合流システムの概略的平面図を示す。
【図3】本発明の第一実施形態の仕分け荷物合流システムの概略的平面図を示す。
【図4】本発明の第二実施形態の仕分け荷物合流システムの概略的平面図を示す。
【図5】本発明の第三実施形態の仕分け荷物合流システムの概略的平面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕分け機によって仕分けされた荷物を運ぶ二つの仕分けシュートコンベヤと、これらの仕分けシュートコンベヤが合流する合流シュートコンベヤとを具備する仕分け荷物合流システムにおいて、一方の仕分けシュートコンベヤが合流制御なしに合流シュートコンベヤの上流端に垂れ流し合流され、他方の仕分けコンベヤが合流制御なしに合流シュートコンベヤの側面のいずれかの位置に垂れ流し合流されていること、及び合流シュートコンベヤの有効幅が仕分けシュートコンベヤの有効幅の1.5倍以上2.0倍未満の長さであることを特徴とする仕分け荷物合流システム。
【請求項2】
仕分け機によって仕分けされた荷物を運ぶ二つの仕分けシュートコンベヤと、これらの仕分けシュートコンベヤが合流する合流シュートコンベヤとを具備する仕分け荷物合流システムにおいて、全ての仕分けシュートコンベヤが合流制御なしに合流シュートコンベヤの側面のいずれかの位置に垂れ流し合流されていること、及び合流シュートコンベヤの有効幅が仕分けコンベヤシュートの有効幅の1.5倍以上2.0倍未満の長さであることを特徴とする仕分け荷物合流システム。
【請求項3】
二つの仕分けシュートコンベヤがともに合流シュートコンベヤの一方の側面に距離を置いて合流されていることを特徴とする請求項2に記載の仕分け荷物合流システム。
【請求項4】
二つの仕分けシュートコンベヤがそれぞれ合流シュートコンベヤの両側面に対面せずに距離を置いて合流されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の仕分け荷物合流システム。
【請求項5】
合流シュートコンベヤに合流される二つの仕分けシュートコンベヤの一方又は両方が合流シュートコンベヤに合流する前に他の仕分けシュートコンベヤと合流制御して合流されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の仕分け荷物合流システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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