説明

付帯物の取付構造

【課題】付帯物から鋼板コンクリート(SC)構造体が受ける荷重が大きくても、自由な位置に付帯物を取り付けられるようにする。
【解決手段】SC構造体10の表面鋼板11に一方の面32が接合され、他方の面31に付帯物である配管サポート20が接合されている取付板30を備えている。取付板30の他方の面である付帯物接合面31は、配管サポート20の取付面21の全体が付帯物接合面31内に収まる大きさで、取付板30の一方の面である鋼板接合面32は、付帯物接合面31の大きさ以上で、且つ鋼板接合面32に沿ったいずれかの方向における寸法がSC構造体10の複数の棒材12の相互間隔の2倍以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートが複数の表面鋼板に囲まれ、複数の棒材がコンクリート内に配置され且つ表面鋼板に固定されている鋼板コンクリート(以下、SCとする)構造体に、配管サポート等の付帯物を取り付ける付帯物の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造としては、張力部材に鉄筋を用いた鉄筋コンクリート(RC)構造が一般的であるが、近年、張力部材に鋼板を用いた鋼板コンクリート(以下、SCとする)構造が注目されている。
【0003】
このSC構造は、例えば、以下の特許文献1に記載されているように、複数の表面鋼板で形成された鋼板枠と、複数の表面鋼板相互を連結するタイバーと、各表面鋼板の内面に固定されているスタッドと、鋼板枠内に打設されたコンクリートと、を有している。
【0004】
このSC構造は、RC構造と比較して以下のように、多くの利点がある。
【0005】
(1)建設工期の短縮
SC構造の表面鋼板は、コンクリート打設のための型枠と兼用できるため、RC構造に比べて鉄筋工事及び型枠工事が不要になる。このため、現場作業が大幅に少なくなり、建設工期が短くなる。
【0006】
(2)環境負荷の低減
SC構造は、型枠としても機能する表面鋼板が最終的な構造物中に残り、RC構造のように型枠を廃棄する必要がないため、廃棄物が減少し、環境負荷を抑えることができる。
【0007】
(3)付帯物の取付施工性の向上
RC構造では、配管サポート等の付帯物を取り付ける際には、付帯物の取付位置を予め定めておき、そこにボルト等を配置してから、コンクリートを打設し、このコンクリートの硬化後に、RC構造の壁面から突出しているボルトの部分に付帯物を連結している。これに対して、SC構造では、表面鋼板に付帯物を直接溶接等で接合できるため、付帯物の取付位置を予め定めておく必要がなく、しかも、コンクリート硬化時期と関係なく付帯物を取り付けることができる。このため、SC構造では、付帯物の取付時期や、取付位置の自由度が高く、付帯物の取付施工性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−248246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、SC構造は、付帯物の取付自由度が高いという利点があるものの、付帯物からSC構造体が受ける荷重によっては、その取付位置が制限されるという問題点がある。
【0010】
例えば、表面鋼板の表面に沿った方向において、4本のスタッドの中央の位置に付帯物を取り付けた場合には、4本のスタッドで付帯物からの引張り荷重等を受けることができるが、2本のスタッドの中央の位置に付帯物を取り付けた場合には、2本のスタッドで付帯物からの引張り荷重等を受けることになり、1本のスタッドの真上に付帯物を取り付けた場合には、1本のスタッドで付帯物からの引張り荷重等を受けることになる。このため、付帯物からSC構造体が受ける荷重が大きくなると、その取付位置が制限される。言い換えると、付帯物を表面鋼板上の自由な位置に取り付ける場合には、SC構造体が受ける付帯物の荷重を、最小の1本のスタッドで許容し得る荷重以内に抑える必要がある。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来の問題点に着目し、付帯物からSC構造体が受ける荷重が大きくても、自由な位置に付帯物を取り付けることができる付帯物の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記問題点を解決するための発明に係る付帯物の取付構造は、
コンクリートが複数の表面鋼板に囲まれ、複数の棒材が該コンクリート内に配置され且つ該表面鋼板に固定されている鋼板コンクリート構造体に、付帯物を取り付ける付帯物の取付構造において、一方の面が前記表面鋼板に取り付けられ、他方の面に前記付帯物が取り付けられた取付板を備え、前記取付板の前記他方の面は、前記付帯物の該取付板に取り付けられる取付面の全体が該他方の面内に収まる大きさで、前記一方の面は、該他方の面の大きさ以上で、且つ該一方の面に沿ったいずれかの方向における寸法が前記複数の棒材の相互間隔の2倍以上である、ことを特徴とする。
【0013】
当該取付構造では、表面鋼板のいずれの位置に取付板を取り付けても、この取付板の領域内には、最小でも、2本の棒材が存在することになる。このため、当該取付構造では、表面鋼板上のいずれの位置に付帯物を配置する場合でも、この付帯物からの引張り荷重等を2本以上の棒材で受けることができる。言い換えると、棒材の一本当たりの受け持ち荷重を低減させることができる。よって、当該取付構造によれば、付帯物からSC構造体で受ける荷重が比較的大きくても、自由な位置に付帯物を取り付けることができる。
【0014】
ここで、前記付帯物の取付構造において、前記取付板には、複数の前記付帯物が取り付けられ、前記取付板の前記他方の面は、前記複数の付帯物を該取付板に取り付けた際に、該複数の付帯物毎の前記取付面のいずれもが、該他方の面内に収まる大きさであってもよい。
【0015】
当該取付構造では、複数の付帯物に対する取付板の数量を減らすことができるので、取付工数を減らすことができる。さらに、当該取付構造では、複数の付帯物毎に取付板を設ける場合よりも、1つの付帯物に対する取付板の一方の面の面積を大きくできるため、SC構造体が受ける付帯物の荷重をより大きくすることができる。
【0016】
また、前記付帯物の取付構造において、前記付帯物は、互いに離間している複数の前記取付面を有し、前記取付板の前記他方の面は、前記付帯物を該取付板に取り付けた際に、該付帯物の複数の前記取付面のいずれもが、該他方の面内に収まる大きさであってもよい。
【0017】
当該取付構造でも、上記取付構造と同様、付帯物の複数の取付面に対する取付板の数量を減らすことができるので、取付工数を減らすことができる。さらに、当該取付構造では、複数の取付面毎に取付板を設ける場合よりも、付帯物の1つの取付面に対する取付板の一方の面の面積を大きくできるため、SC構造体が受ける付帯物の荷重をより大きくすることができる。
【0018】
また、前記付帯物の取付構造において、前記取付板は、前記一方の面から前記他方の面に向かう方向に対して垂直な断面の面積が、該方向に向かうに連れて次第に小さくなっていてもよい。また、前記付帯物の取付構造において、前記取付板は、前記一方の面から前記他方の面に向かう方向に積層され、且つ互いに接合されている複数の板を有し、前記複数の板は、前記方向に対して垂直な断面の面積が、前記一方の面側の板より前記他方の面側の板の方が小さくてもよい。
【0019】
当該取付構造では、取付板の他方の面の面積を一方の面の面積よりも小さくすると、SC構造体が受ける付帯物の荷重を小さくせずに、取付板の軽量化を図ることができる。
【0020】
また、前記付帯物の取付構造において、前記取付板と前記表面鋼板とは、溶接により接合されている、ことを特徴とする。
【0021】
当該取付構造では、表面鋼板に予めボルト等を取り付けておかなくても、表面鋼板上の自由な位置に付帯物を取り付けることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、棒材の一本当たりの受け持ち荷重を低減させることができので、付帯物からSC構造体で受ける荷重が比較的大きくても、自由な位置に付帯物を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る第一実施形態におけるSC構造体及び取付構造を示し、同図(A)はSC構造体及び取付構造の断面図で、同図(B)はSC構造体及び取付構造の正面図である。
【図2】本発明に係る第二実施形態におけるSC構造体及び取付構造を示し、同図(A)はSC構造体及び取付構造の断面図で、同図(B)はSC構造体及び取付構造の正面図である。
【図3】本発明に係る第三実施形態におけるSC構造体及び取付構造を示し、同図(A)はSC構造体及び取付構造の断面図で、同図(B)はSC構造体及び取付構造の正面図である。
【図4】本発明に係る第三実施形態の変形例におけるSC構造体及び取付構造を示し、同図(A)はSC構造体及び取付構造の断面図で、同図(B)はSC構造体及び取付構造の正面図である。
【図5】本発明に係る各実施形態の第一変形例におけるSC構造体及び取付構造の正面図である。
【図6】本発明に係る各実施形態の第二変形例におけるSC構造体及び取付構造を示し、同図(A)はSC構造体及び取付構造の断面図で、同図(B)はSC構造体及び取付構造の正面図である。
【図7】上記第二変形例のさらなる変形例におけるSC構造体及び取付構造を示し、同図(A)はSC構造体及び取付構造の断面図で、同図(B)はSC構造体及び取付構造の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る付帯物の取付構造の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0025】
まず、付帯物の取付構造について説明する前に、付帯物、及びこの付帯物が取り付けられるSC構造体について説明する。
【0026】
ここでの付帯物は、図1に示すように、配管サポート20である。この配管サポート20は、1本のH型鋼で形成されている。このH型鋼のサイズは、例えば100(H)×100(B)である。なお、本発明において、付帯物は、配管サポートである必要はなく、例えば、ダクトや棚等、基本的には如何なるものでもよい。
【0027】
SC構造体10は、図1に示すように、鋼板枠を形成する複数の表面鋼板11と、鋼板枠内に配され、この鋼板枠に固定されている複数の棒材12と、鋼板枠内に打設されたコンクリート15と、を備えている。棒材12には、鋼板枠を形成する複数の表面鋼板11のうち、互いに向かい合う一対の表面鋼板11相互を連結するタイバー13と、表面鋼板11とコンクリート15との接続性等を高めるためのスタッド14とがある。タイバー13は、その一端が一対の表面鋼板11のうちの一方の表面鋼板11に接合され、その他端が他方の表面鋼板11に接合されている。また、スタッド14は、その一端のみが表面鋼板11に固定されている。
【0028】
ここで、以下の説明の都合上、一対の表面鋼板11のうち、一方の表面鋼板11から他方の表面鋼板11に向かう方向をZ方向とし、このZ方向に垂直な一方向をY方向、Z方向及びY方向に垂直な方向をX方向とし、一対の表面鋼板11は、XY平面に対して平行であるとする。
【0029】
このSC構造体10で、X方向で隣り合っている2つのスタッド14の相互間隔Ds、Y方向で隣り合っている2つのスタッド14の相互間隔Dsは、いずれも、例えば、200mmである。また、X方向で隣り合っている2つのタイバー13の相互間隔Dt、Y方向で隣り合っている2つのタイバー13の相互間隔Dtは、いずれも、例えば、600mmである。また、X方向で隣り合っているスタッド14とタイバー13との相互間隔Dst、Y方向で隣り合っているスタッド14とタイバー13との相互間隔Dstも、例えば、200mmである。すなわち、このSC構造体10で、X方向及びY方向における棒材12の相互間隔Dは、200mmである。
【0030】
「第一実施形態」
次に、本発明に係る付帯物の取付構造の第一実施形態について、図1を用いて説明する。
【0031】
SC構造体10の表面、つまり、表面鋼板11の外面11aに、付帯物である配管サポート20を取り付ける際には、取付板30を用いる。この取付板30は、例えば、SS(Steel Structure))材やSM(Steel Marine)材等の一枚の鋼板で形成されている。
【0032】
取付板30は、矩形板で、短手方向の長さ寸法がスタッド相互間隔と同じ200mmで、長手方向の長さ寸法がスタッド相互間隔の2倍の400mmである。この取付板30は、長手方向をY方向に向けて、その一方の面(以下、鋼板接合面32とする)がSC構造体10の表面鋼板11の外面11aに取り付けられる。また、この取付板30の他方の面(以下、付帯物接合面31とする)には、付帯物である配管サポート20が取り付けられる。
【0033】
配管サポート20の取付では、まず、取付板30と配管サポート20とを溶接で接合する。具体的には、取付板30の付帯物接合面31と、配管サポート20の取付板30側の面である取付面21とを接触させて、両面31,21の境界部分を溶接で接合する。この取付板30と配管サポート20との接続は、溶接による接合、ろう付けによる接合、ビス等の連結具等に連結等、いずれの形態であってもよい。なお、配管サポート20は、前述したように、100(H)×100(B)mmのH形鋼であり、取付板30は、400×200mmの1枚鋼板であるため、配管サポート20の取付面21が取付板30の付帯物接合面31からはみ出すことはない。
【0034】
次に、配管サポート20が接合されている取付板30をSC構造体10の表面鋼板11に溶接で接合する。この際、取付板30の長手方向がY方向を向き、この取付板30に接合されている配管サポート20がXY平面上の目的の配管サポート位置に位置し、この取付板30の鋼板接合面32と表面鋼板11の外面11aとが接触するよう、この取付板30を配置し、この取付板30の鋼板接合面32の外周縁と表面鋼板11とを溶接で接合する。なお、この取付板30と表面鋼板11との接続は、溶接による接合であっても、ろう付けによる接合であってもよい。
【0035】
ところで、取付板30は、400×200mmの鋼板で、その最大寸法(400mm)が、SC構造体10の棒材12の相互間隔(200mm)の2倍であるため、表面鋼板11の外面11a上であって、X方向及びY方向のいずれの位置にこの取付板30を取り付けても、この取付板30が取り付けられたX方向及びY方向の領域内には、最低でも2本の棒材12が存在する。
【0036】
例えば、取付板30の中央(X方向及びY方向の中央)に配管サポート20が取り付けられている場合、図1(B)中のケースaのように、配管サポート20が、X方向において、特定の棒材12上に位置し、Y方向において、特定の棒材12とY方向で隣接する他の棒材12との中央に位置する場合、この配管サポート20の取付板30が取り付けられたX方向及びY方向の領域内には、2本の棒材12が存在する。
【0037】
また、図1(B)中のケースbのように、配管サポート20が、X方向において、特定の棒材12とX方向で隣接する他の棒材12との中央に位置し、Y方向において、特定の棒材12上に位置する場合、この配管サポート20の取付板30が取り付けられたX方向及びY方向の領域内には、6本の棒材12が存在する。
【0038】
また、図1(B)中のケースcのように、配管サポート20が、X方向において、特定の棒材12とX方向で隣接する他の棒材12との中央に位置し、Y方向において、特定の棒材12とY方向で隣接する他の棒材12との中央に位置する場合、この配管サポート20の取付板30が取り付けられたX方向及びY方向の領域内には、4本の棒材12が存在する。
【0039】
すなわち、本実施形態では、表面鋼板11のいずれの位置に取付板30を取り付けても、この取付板30のX方向及びY方向の領域内には、最小でも、2本の棒材12が存在する。このため、本実施形態では、表面鋼板11上のいずれの位置に配管サポート20を配置する場合でも、この配管サポート20からの引張り荷重等を2本以上の棒材12で受けることができる。言い換えると、棒材12の一本当たりの受け持ち荷重を低減させることができる。
【0040】
よって、本実施形態では、配管サポート20からSC構造体10で受ける荷重が比較的大きくても、自由な位置に配管サポート20を取り付けることができる。
「第二実施形態」
次に、本発明に係る付帯物の取付構造の第二実施形態について、図2を用いて説明する。
【0041】
第一実施形態の取付構造は、一脚の配管サポート20の取付構造であるが、本実施形態の取付構造は、複数脚の配管サポート22の取付構造である。
【0042】
具体的に、本実施形態の配管サポート22は、配管Pを直接受ける梁材22aと、この梁材22aを受ける方づえ材22bとを有している。梁材22aは、Z方向に伸びている。方づえ材22bは、梁材22aの一端部に接合され、そこから、この梁材22aに対して斜めに、つまりYZ方向に伸びている。これら梁材22aと方づえ材22bとのそれぞれが配管サポート22の脚を構成している。よって、この配管サポート22の取付板30側の面である取付面は、梁材22aの他端側の面21aと、方づえ材22bの他端側の面21bになる。
【0043】
本実施形態の取付板30は、配管サポート22を取り付けた際に、この配管サポート22の2つの取付面21a,21bのいずれもが、取付板30の付帯物接合面31内に収まる大きさ、具体的は、400×200mmのサイズになっている。なお、本実施形態の取付板30は、一脚の配管サポート20が取り付けられる第一実施形態の取付板30のサイズ(400×200mm)と同じサイズであるが、配管サポート22を構成する梁材22a及び方づえ材22bの各取付面21a,21bの距離が比較的に大きい場合には、2つの取付面21a,21bのいずれもが、取付板30の付帯物接合面31内に収まる大きさにするため、取付板30はより大きなサイズにする必要がある。
【0044】
以上、本実施形態でも、第一実施形態と同様、取付板30は、400×200mmの鋼板で、その最大寸法(400mm)が、SC構造体10の棒材12の相互間隔(200mm)の2倍であるため、配管サポート22からSC構造体10で受ける荷重が比較的大きくても、自由な位置に配管サポート22を取り付けることができる。
「第三実施形態」
次に、本発明に係る付帯物の取付構造の第三実施形態について、図3を用いて説明する。
【0045】
本実施形態は、複数の付帯物の取付構造に関するものである。複数の付帯物は、いずれも、第二実施形態の配管サポート22である。
【0046】
本実施形態の取付板33には、2つの配管サポート22が取り付けられる。一方の配管サポート22の梁材22aの取付面21aと、他方の配管サポート22の取付面21aとのY方向の相互間隔dyは、450mm、X方向の相互間隔dxは、400mである。よって、本実施形態の取付板33は、2つの配管サポート22を取り付けた際に、2つの配管サポート22毎の2つの取付面21a,21bのいずれもが、この取付板33の付帯物接合面31内に収まる大きさ、具体的は、900×650mmのサイズになっている。
【0047】
以上、本実施形態では、2つの配管サポート22が取り付けられる取付板33の鋼板接合面32の面積(900×650mm)が、1つの配管サポート22が取り付けられる取付板30の鋼板接合面32の面積(400×200mm)の2倍以上で、1つの配管サポート22に対する鋼板接合面32の面積が大きくなるため、配管サポート22からSC構造体10が受ける荷重をより大きくすることができる。しかも、本実施形態では、2つの配管サポート22に対して一つの取付板33で、2つの配管サポート22をSC構造体10に取り付けることができるため、取付作業工数を少なくすることができる。
【0048】
ところで、本実施形態では、取付板33と表面鋼板11との接合では、以上の実施形態と同様、取付板33の鋼板接合面32の外周縁と表面鋼板11とを溶接で接合する。しかしながら、本実施形態のように、取付板33のサイズが比較的大きい場合には、図4に示すように、表面鋼板11と取付板33の鋼板接合面32の外周縁と共に、表面鋼板11と取付板33の鋼板接合面32中の内側の何箇所かを溶接34a,34bで接合することが好ましい。この場合、取付板33の内側の予め貫通孔34を開けておき、この貫通孔34を溶接の開先として、表面鋼板11と取付板33の貫通孔34の部分とを溶接34bすると共に、取付板33の鋼板接合面32の外周縁と表面鋼板11とを溶接34aでしてもよい。また、取付板33の鋼板接合面32の外周縁と表面鋼板11とを溶接34aした後、取付板33の内側に貫通孔34を開け、この貫通孔34を溶接の開先として、表面鋼板11と取付板33の貫通孔34の部分とを溶接34bしてもよい。
【0049】
次に、以上で説明した実施形態の各種変形例について説明する。
【0050】
「第一変形例」
以上の各実施形態の取付板30,33は、いずれも矩形鋼板であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、基本的に如何なる形状でもよく、例えば、図5に示すように、正方形鋼板35であっても、十字形鋼板36であっても、円形鋼板37であってもよい。
【0051】
「第二変形例」
以上の各実施形態では、取付板30,33の付帯物接合面31の面積と鋼板接合面32の面積とが同一であるが、本発明の取付板は、付帯物接合面が、配管サポートの取付面の全体がこの付帯物接合面内に収まる大きさで、鋼板接合面に沿ったいずれかの方向における鋼板接合面の寸法が棒材12の相互間隔の2倍以上であればよいので、付帯物接合面の面積は鋼板接合面の面積よりも小さくてもよい。
【0052】
例えば、図5に示すように、取付板38のX方向に垂直な断面の形状、及びY方向に垂直な断面の形状を等脚台形状にして、等脚台形の上底に相当する面を付帯物接合面31とし、等脚台形の下底に相当する面を鋼板接合面32としてもよい。
【0053】
また、図6に示すように、取付板40を、Z方向に積層され且つ互いに接合された複数の鋼板41,42で形成し、表面鋼板11側の鋼板42よりも付帯物側の鋼板41を小さくして、複数の鋼板41,42のうちで最も表面鋼板11側の鋼板42の表面鋼板11側の面を鋼板接合面32とし、最も付帯物側の鋼板41の付帯物側の面を付帯物接合面31としてもよい。
【0054】
また、複数の配管サポート20を取り付ける取付板として、図7に示すように、複数の鋼板46,47を積層して形成した取付板45を用いてもよい。この場合、複数の鋼板46,47のうちで最も付帯物側の鋼板46を複数の配管サポート20毎に設け、各鋼板46の付帯物側の面を付帯物接合面31とし、各鋼板46の付帯物接合面31に配管サポート20を固定する。そして、各鋼板46に固定されている配管サポート20がX方向及びY方向においてそれぞれの目的の位置に配置できる1つの鋼板47を、最も表面鋼板側の鋼板とし、この鋼板47の付帯物側に複数の鋼板46を接合すると共に、この鋼板47の表面鋼板側の面を鋼板接合面32として、表面鋼板11に接合する。
【0055】
以上のように、付帯物接合面31の面積を鋼板接合面32の面積よりも小さくすると、配管サポート20からSC構造体10が受ける荷重を小さくせずに、取付板38,40,45の軽量化を図ることができる。なお、このように、付帯物接合面31を鋼板接合面の面積よりも小さくする場合には、配管サポート20からこの取付板38,40,45が受ける荷重に対する強度を確保するため、付帯物接合面31と鋼板接合面32と間隔を所定以上確保することが好ましい。
【0056】
「その他の変形例」
以上の実施形態及び変形例では、いずれも、取付板として鋼板を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、SUS板等、各種板材を用いてもよい。
また、以上の実施形態及び変形例では、配管サポートと取付板とを接合してから、この取付板を表面鋼板11に接合しているが、取付板を表面鋼板11に接合してから、この取付板に配管サポートを接合してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10:SC構造体、11:表面鋼板、12:棒材、13:タイバー、14:スタッド、15:コンクリート、20,22:配管サポート、21,21a,21b:取付面、30,33,35,36,37,38.40,45:取付板、31:付帯物接合面、32:鋼板接合面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートが複数の表面鋼板に囲まれ、複数の棒材が該コンクリート内に配置され且つ該表面鋼板に固定されている鋼板コンクリート構造体に、付帯物を取り付ける付帯物の取付構造において、
一方の面が前記表面鋼板に取り付けられ、他方の面に前記付帯物が取り付けられた取付板を備え、
前記取付板の前記他方の面は、前記付帯物の該取付板に取り付けられる取付面の全体が該他方の面内に収まる大きさで、前記一方の面は、該他方の面の大きさ以上で、且つ該一方の面に沿ったいずれかの方向における寸法が前記複数の棒材の相互間隔の2倍以上である、
ことを特徴とする付帯物の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の付帯物の取付構造において、
前記取付板には、複数の前記付帯物が取り付けられ、
前記取付板の前記他方の面は、前記複数の付帯物を該取付板に取り付けた際に、該複数の付帯物毎の前記取付面のいずれもが、該他方の面内に収まる大きさである、
ことを特徴とする付帯物の取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の付帯物の取付構造において、
前記付帯物は、互いに離間している複数の前記取付面を有し、
前記取付板の前記他方の面は、前記付帯物を該取付板に取り付けた際に、該付帯物の複数の前記取付面のいずれもが、該他方の面内に収まる大きさである、
ことを特徴とする付帯物の取付構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の付帯物の取付構造において、
前記取付板は、前記一方の面から前記他方の面に向かう方向に対して垂直な断面の面積が、該方向に向かうに連れて次第に小さくなっている、
ことを特徴とする付帯物の取付構造。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の付帯物の取付構造において、
前記取付板は、前記一方の面から前記他方の面に向かう方向に積層され、且つ互いに接合されている複数の板を有し、
前記複数の板は、前記方向に対して垂直な断面の面積が、前記一方の面側の板より前記他方の面側の板の方が小さい、
ことを特徴とする付帯物の取付構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の付帯物の取付構造において、
前記取付板と前記表面鋼板とは、溶接により接合されている、
ことを特徴とする付帯物の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−67525(P2012−67525A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213808(P2010−213808)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)