代行業者サーバ、代行業者サーバの制御方法、及びプログラム
【課題】秘密情報が漏洩する事がない代行業者サーバ、代行業者サーバの制御方法の提供。
【解決手段】サービス提供業者への手続きを代行する手続き代行業者が有する代行業者サーバであって、サービス提供業者への手続きに必要な情報を入力するための画面データをユーザインタフェースに表示し、サービス提供業者への手続きの代行を依頼してきた顧客の秘密情報を顧客の秘密情報が記憶された秘密情報データベースから読み出し、サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち顧客の秘密情報については秘密情報データベースから読み出した顧客の秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて変換して生成される所定の文字列をユーザインタフェースに表示し、サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち顧客の秘密情報以外の情報についてはユーザインタフェースから入力を受け、サービス提供業者が有する提供業者サーバに手続きに必要な情報を送信する。
【解決手段】サービス提供業者への手続きを代行する手続き代行業者が有する代行業者サーバであって、サービス提供業者への手続きに必要な情報を入力するための画面データをユーザインタフェースに表示し、サービス提供業者への手続きの代行を依頼してきた顧客の秘密情報を顧客の秘密情報が記憶された秘密情報データベースから読み出し、サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち顧客の秘密情報については秘密情報データベースから読み出した顧客の秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて変換して生成される所定の文字列をユーザインタフェースに表示し、サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち顧客の秘密情報以外の情報についてはユーザインタフェースから入力を受け、サービス提供業者が有する提供業者サーバに手続きに必要な情報を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代行業者サーバ、代行業者サーバの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の経済環境の変化に伴い、企業における業務の一部を外部の代行業者に委託するいわゆるアウトソーシングがさかんに行われるようになった。また労働環境の変化に伴い、いわゆる派遣労働者に業務の遂行を行わせる雇用形態も一般的になった。
このような場合、上記代行業者や派遣労働者は、業務遂行にあたり、業務委託元の企業やその従業員に関する様々な情報を知ることになる。
これらの情報の中には、一般には公開されて欲しくない、あるいは公開されてはいけない企業の秘密情報や従業員のプライバシーに関わる個人情報などが含まれていることがある。そのため通常、業務委託元の企業は、業務上知得した情報に関する守秘義務を代行業者や派遣労働者に課すことにより、秘密情報の漏洩防止を図っている。
【0003】
またさらに秘密情報の漏洩防止を支援するための様々な技術も開発されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−122640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、代行業者や派遣労働者などに業務を委託する場合には、例えば委託者の人脈や趣向等の個人に関する情報や、委託者の所属する組織上の情報等の営業情報等を開示する必要があり、取次ぎ取り扱い等で即応性を欠くものであった。
また秘書を雇っているような場合には、業務遂行に必要な個人情報や秘密情報を知っている者が秘書の他にはいないため、秘書の不在時には業務の遂行が困難となる。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、秘密情報が漏洩することなく業務を代行業者等に代行させることが可能な代行業者サーバ、代行業者サーバの制御方法、及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、情報処理サービスを提供するサービス提供業者への手続きを代行する手続き代行業者が有する代行業者サーバであって、前記サービス提供業者への手続きに必要な情報を入力するための画面データをユーザインタフェースに表示する情報入力促進部と、前記サービス提供業者への手続きの代行を依頼してきた顧客の秘密情報を、前記顧客の秘密情報が記憶された秘密情報データベースから読み出す秘密情報読み出し部と、前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報については、前記秘密情報データベースから読み出した前記顧客の秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて変換して生成される所定の文字列をユーザインタフェースに表示する秘密情報隠蔽表示部と、前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報以外の情報については、ユーザインタフェースから入力を受ける手続き情報入力部と、前記サービス提供業者が有する提供業者サーバに、前記手続きに必要な情報を送信する手続き情報送信部とを備えることを特徴とする代行業者サーバに関する。
【0007】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための最良の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
秘密情報が漏洩することなく業務を代行業者等に代行させることが可能な代行業者サーバ、代行業者サーバの制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
===全体構成例===
本実施の形態に係るコンピュータシステムの全体構成を図1に示す。本実施の形態に係るコンピュータシステムは、顧客端末100と、代行業者サーバ200と、提供業者サーバ300とがネットワーク400で通信可能に接続されてなる。
【0010】
顧客端末100は、情報処理サービスの提供を行うサービス提供業者から情報処理サービスの提供を受ける顧客が有するコンピュータである。顧客としては、例えば企業や自治体等とすることができるほか、一般個人とすることもできる。
【0011】
提供業者サーバ300は、上記サービス提供業者が有するコンピュータである。サービス提供業者により提供される情報処理サービスとしては、例えば航空機や列車の座席予約サービスや、演劇の観戦チケット予約サービス、宿泊施設の予約サービス等とすることができる。
【0012】
代行業者サーバ200は、顧客がサービス提供業者からの情報処理サービスの提供を受ける際の手続きを代行する手続き代行業者が有するコンピュータである。手続き代行業者は、顧客からの依頼を受けて、顧客の業務の一部を遂行する企業とすることができるほか、顧客の業務の一部を遂行する派遣労働者等とすることができる。顧客が手続き代行業者に委託する業務の例を図12に示す。図12示すように、例えば手続き代行業者は、顧客からの依頼を受けて、個人情報管理やスケジュール管理、各種予約業務、資料作成業務、情報収集業務、事務用品や備品の補充業務、電話等の取次ぎ業務等を行う。
【0013】
また顧客が手続き代行業者に業務を委託する形態を図13に示す。図13に示すように、業務委託の形態は、顧客の事業所に手続き代行業者を駐在させ、業務を委託するようにすることもできるし、地理的に離れた場所にいる手続き代行業者に業務を委託するようにすることもできる。顧客が有する顧客端末100と代行業者が有する代行業者サーバとはネットワーク400を介して通信可能に接続され、顧客端末100と代行業者サーバ200との間では適宜情報をやりとりしながら業務が遂行されてゆくことになる。その様子を図19に示す。つまり代行業者サーバ200は、ネットワーク400で通信可能に接続された顧客端末100からの業務委託を受けて、ネットワーク400を介して通信可能に接続された提供業者サーバ300との間で、情報処理サービスの提供を受けるための様々な手続きを行う。
【0014】
なお詳しくは後述するが、図19に記載されている個人情報や業務属性情報は、手続き代行業者がサービス提供業者に情報処理サービスの提供のための手続きを行う際に必要となる顧客の個人情報や企業情報等の秘密情報を記憶しておくためのデータベース(秘密情報データベース)である。本実施の形態に係る代行業者サーバ200は、手続き代行業者が上記手続きを行う際に、これらの秘密情報を秘密情報データベースから読み出すようにする。これにより、手続き代行業者に顧客の秘密情報を入力させる必要を無くすことができると共に、顧客の秘密情報を手続き代行業者に見られることも防止することができる。
【0015】
===機器構成===
次に、顧客端末100、代行業者サーバ200、提供業者サーバ300のそれぞれの構成について説明する。
【0016】
顧客端末100、代行業者サーバ200、提供業者サーバ300はいずれもコンピュータであり、ハードウェア構成は基本的に同様である。そのため、これらのハードウェア構成を一つのブロック図にまとめて図2に示す。またこれらの各機能をそれぞれ実現するための制御プログラム等やテーブル等について、図3ないし図5に示す。
【0017】
<代行業者サーバの構成>
代行業者サーバ200は、CPU210、メモリ220、ポート230、記録媒体読取装置240、入力装置250、出力装置260、記憶装置280を備える。
【0018】
CPU210は代行業者サーバ200の全体の制御を司るもので、記憶装置280に記憶される本実施の形態に係る各種の動作を行うためのコードから構成される代行業者サーバ制御プログラム(特許請求の範囲に記載のプログラムに相当する)810をメモリ220に読み出して実行することにより、代行業者サーバ200としての各種機能を実現する。例えばCPU210により代行業者サーバ制御プログラム810が実行され、メモリ220やポート230、入力装置250、出力装置260、記憶装置280等のハードウェア機器と協働することにより、情報入力促進部、秘密情報読み出し部、秘密情報隠蔽表示部、手続き情報入力部、手続き情報送信部、応答受信部、応答送信部、手続き情報振替送信部が実現される。メモリ220は例えば半導体記憶装置により構成することができる。
【0019】
記録媒体読取装置240は、記録媒体500に記録されているプログラムやデータを読み取るための装置である。読み取られたプログラムやデータはメモリ220や記憶装置280に格納される。従って、例えば記録媒体500に記録された代行業者サーバ制御プログラム810を、記録媒体読取装置240を用いて上記記録媒体500から読み取って、メモリ220や記憶装置280に記憶するようにすることができる。
【0020】
記録媒体500としてはフレキシブルディスクや磁気テープ、コンパクトディスク等を用いることができる。記録媒体読取装置240は代行業者サーバ200に内蔵されている形態とすることもできるし、外付されている形態とすることもできる。
【0021】
記憶装置280は、例えばハードディスク装置や半導体記憶装置等とすることができる。記憶装置280には、代行業者サーバ制御プログラム810や優先順位管理テーブル700が記憶される。
【0022】
優先順位管理テーブル700は、業務遂行の際の顧客の意向を記録したテーブルである。優先順位管理テーブル700を図6に示す。優先順位管理テーブル700に記載される各データは、手続き代行業者が顧客から業務の委託を受ける際に、顧客から示される様にすることができる。顧客には、日頃ひいきにしている取引先との間の取引を他の取引先に優先させて行いたいとの事情や、経済的結びつきの強い取引先を他の取引先に優先したいとの事情等、様々な事情があることが多い。そのような顧客の意向を優先順位管理テーブル700に記憶しておくことにより、手続き代行業者は顧客の意向に沿った業務の遂行を行うことが可能となる。なお優先順位管理テーブル700には、顧客の希望する優先順位に従って、サービス提供業者が運営する例えばウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)が記載されるようにすることができる。
【0023】
入力装置250は代行業者サーバ200へのデータ入力等のために用いられる装置でありユーザインタフェースとして機能する。入力装置250としては例えばキーボードやマウス等を用いることができる。
【0024】
出力装置260は情報を外部に出力するための装置でありユーザインタフェースとして機能する。出力装置260としては例えばディスプレイやプリンタ等を用いることができる。
【0025】
ポート230は通信を行うための装置である。例えばネットワーク400を介して行われる、顧客端末100や提供業者サーバ300の他のコンピュータとの通信は、ポート230を介して行われるようにすることができる。また例えば、代行業者サーバ制御プログラム810をポート230を通じて他のコンピュータからネットワーク400を介して受信して、メモリ220や記憶装置280に記憶するようにすることもできる。
【0026】
<顧客端末>
次に、顧客端末100の構成について説明する。顧客端末100は、CPU110、メモリ120、ポート130、記録媒体読取装置140、入力装置150、出力装置160、記憶装置180を備える。これらの各装置の機能は、上述した代行業者サーバ200が備える各装置と同様である。
【0027】
図3に示すように、顧客端末100が備える記憶装置180には、顧客端末制御プログラム800、秘密情報データベース600が記憶される。CPU110が顧客端末制御プログラム800を実行することにより、顧客端末100としての各種機能が実現される。
【0028】
秘密情報データベース600は、顧客の秘密情報を記憶したものである。秘密情報データベース600の一例を図7に示す。顧客は手続き代行業者に業務を委託する際に、例えばあらかじめ、手続き代行業者が業務を代行する際に必要となる顧客の秘密情報を、秘密情報データベース600に記録しておく。このようにしておくことにより、手続き代行業者は顧客から委託された業務を行う際に、いちいち顧客に秘密情報を問い合わせなくてもよくなる。また、顧客の秘密情報が秘密情報データベース600にあらかじめ記憶されているため、手続き代行時に顧客の誤った秘密情報を入力してしまうようなミスも防止することができる。
【0029】
なお本実施の形態においては、秘密情報データベース600は顧客端末100の記憶装置180に構築されているが、例えばネットワーク400に接続された第三者機関のコンピュータに構築されているようにすることも可能である。この場合第三者機関としては、顧客の信用を得た機関とすることができる。例えば認証局や公的な機関とすることができる。このようにすることにより、顧客の秘密情報のより確実な漏洩防止を図ることが可能となる。あるいは、顧客が手続き代行業者を信用する場合には、代行業者サーバ200の記憶装置280に構築するようにすることも可能である。このようにすることにより、手続き代行業者は、一旦顧客から業務の委託を受けた後は、顧客との間での煩雑な情報の授受を行わずに、業務の遂行を行うことが可能となる。
【0030】
また秘密情報データベース600には、例えば所定のアルゴリズムにより暗号化がなされた上で秘密情報を記憶するようにすることもできる。このようにすることにより、顧客情報のより確実な漏洩防止を図ることが可能となる。
【0031】
<提供業者サーバ>
次に、提供業者サーバ300の構成について説明する。提供業者サーバ300は、CPU310、メモリ320、ポート330、記録媒体読取装置340、入力装置350、出力装置360、記憶装置380を備える。これらの各装置の機能は、上述した代行業者サーバ200が備える各装置と同様である。
【0032】
図5に示すように、提供業者サーバ300が備える記憶装置380には、提供御者サーバ制御プログラム820が記憶される。CPU310が提供業者サーバ制御プログラム820を実行することにより、提供業者サーバ300としての各種機能が実現される。例えば、通信可能に接続された他のコンピュータからの要求に応じて、上述したような様々な情報処理サービスの提供を行う。
【0033】
<ネットワーク>
ネットワーク400は、顧客端末100、代行業者サーバ200、提供業者サーバ300通信可能に接続する通信網である。ネットワーク400は、例えば企業内におけるLAN(Local Area Network)とすることができる。また例えばインターネットのようなWAN(Wide Area Network)とすることもできる。
【0034】
===処理の流れ===
次に手続き代行業者が本実施の形態に係る代行業者サーバ200を用いて、顧客から依頼された業務を代行して行う場合の処理の流れを図11、及び図14乃至図18を参照しながら説明する。ここでは、航空機の座席予約業務を代行して行う場合を例に説明する。
【0035】
まず顧客端末100は、航空機の座席予約を手続き代行業者に代行させる旨の入力を受ける(S1000)。その際、例えば航空機の搭乗日や出発地、到着地等の手続きに必要な情報も入力も受ける。そして顧客端末100は、それらの情報と共に、航空機の座席予約の手続き代行要求を代行業者サーバ200に送信する(S1010)。そうすると代行業者サーバ200は、航空会社により運営されている提供業者サーバ300に、航空機の座席予約サービスの提供を受けたい旨の要求を送信する(S1020)。どの航空会社の座席予約サービスを受けるかは、上述した優先順位管理テーブル700に記載されたデータに基づいて決めることができる。図6に示す例に従えばまずA航空の座席予約サービスの提供を受けることになる。
【0036】
なお、上述したS1000及びS1010の処理は、顧客端末100において顧客端末制御プログラム800が実行されることにより、顧客端末100が、顧客からの業務代行依頼の受け付け機能、及び代行業者サーバ200への業務代行依頼の送信機能を備えるようにして実現することも可能であるし、例えば顧客が顧客端末100を用いて作成した業務代行依頼の文書を、電子メールを用いて手続き代行業者の代行業者サーバ200に送信することにより実現することも可能である。さらには、顧客が電話や郵便等により業務の代行依頼を手続き代行業者に連絡することによっても実現することが可能である。
【0037】
代行業者サーバ200に対して、提供業者サーバ300から情報処理サービスの提供を受けるための手続きに必要な情報を入力するための画面データが送られてくると(S1030)、代行業者サーバ200は、上記画面データをディスプレイに表示する(S1040)。手続き用画面データがディスプレイに表示されている様子を図8に示す。
【0038】
手続き代行業者が図8に示す画面データの各項目を入力して、「OK」欄にマウスのカーソルを重ねてクリックすることにより、入力した各項目のデータが提供業者サーバ300に送信される。このようにして提供業者サーバ300による情報処理サービスの提供を受けるための手続きが行われる。
【0039】
なおここで、提供業者サーバ300に送信しなければならないデータの中には、氏名や性別、クレジットカードの番号等のプライバシーに関係する秘密情報が含まれる。本実施の形態に係る代行業者サーバ200は、顧客端末100に対して、顧客の秘密情報の読み出し要求を送信する(S1050)。そして顧客端末100から顧客の秘密情報を受信すると(S1060)、代行業者サーバ200は、秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて所定の文字列に変換する(S1070)。そして上記変換された文字列をディスプレイに表示する(S1080)。図8に示す例では、すべての文字列を”*”に変換するアルゴリズムに従って、顧客の秘密情報がすべて”*”に変換されたものがディスプレイに表示されている。このようにすることにより、代行業者サーバ200を操作する手続き代行業者に、顧客の秘密情報が知られることが防止できる。また手続き代行業者にとっては、秘密情報の入力の手間が省ける上、入力ミスも防止できる。
【0040】
情報処理サービスの提供を受けるための手続きに必要な情報のうちどの情報が顧客の秘密情報に該当するのかは、例えば提供業者サーバ300から送信された画面データに含まれる”住所”や”年齢”等のキーワードと、秘密情報データベース600に記憶されるデータの種類を示す”住所”や”氏名”等のキーワードとを比較することにより判定することができる。図16には、個人情報のうち、”ID”や”その他サービスの検索”といった情報が顧客の秘密情報であると判定され、マスクが掛けられる場合の例が示される。つまりこれらの情報は、代行業者サーバ200の画面においては例えば”*”に置き換えられて表示される。
【0041】
手続き代行業者は、S1010において顧客から送信された手続きの代行要求において指示された内容に従って、顧客の秘密情報以外の情報についての入力を行う(S1090)。そしてマウスのカーソルを「OK」欄に重ねてクリックすると、入力された各データが代行業者サーバ200から提供業者サーバ300に送信される(S1100)。そして提供業者サーバ300において情報処理サービスの提供のための処理が実行されて(S1110)、その結果(応答)が代行業者サーバ200に送信されてくる(S1120)。ここでは航空機の座席予約の取得結果が送信されてくる。代行業者サーバ200のディスプレイに航空機の座席予約の取得結果が表示(S1130)されている様子を図9に示す。そして手続き代行業者がマウスのカーソルを「顧客へ結果を送信する」欄に重ねてクリックすると、航空機の座席予約の取得結果(応答)が顧客端末100に送信される(S1140)。そうすると顧客端末100はディスプレイに航空機の座席予約の取得結果を表示する(S1150)。その様子を図10に示す。
【0042】
なお、代行業者サーバ200は、手続き代行業者が「顧客へ結果を送信する」欄にマウスのカーソルを重ねてクリックしなくとも、提供業者サーバ300から送信された航空機の座席予約の取得結果を顧客端末100に送信するようにすることもできる。
【0043】
上記の説明では、顧客の第1希望の航空会社であるA航空の飛行機の座席予約が成功した場合の例を示したが、A航空の提供業者サーバ300から送信された応答が、情報処理サービスの提供が受けられないことを示すものであった場合等、A航空の飛行機の座席予約が失敗する場合もある。この場合には代行業者サーバ200は、優先順位管理テーブル700の記載に従って、第2希望の航空会社(他のサービス提供業者)であるB航空が運営している提供業者サーバ(他の提供業者サーバ)300に対してS1020以降の処理を実施し、座席予約の手続きを行うようにすることもできる。その場合の処理の流れを図17に示す。このようにすることにより、顧客から依頼された業務を顧客の意向に従って行うことができると共に、顧客から依頼された業務の達成率を向上させることが可能となる。
【0044】
以上、航空機の座席予約を手続き代行業者に代行させる場合の例を説明したが、上記の一連の処理において、顧客の秘密情報が手続き代行業者に知られることはないのである。
【0045】
なお本実施の形態は、メールの返信や慶弔、贈答管理などの外部の情報取得時に起動される処理も含む定期的な処理や業務情報に指定された処理、利用者スケジュールにより起動される処理を、顧客から委託された処理方法で実施する場合にも適用可能である。さらには、利用者を指定されたグループに登録し、利用グループ属性情報やグループ業務属性情報によりグループとしての共通業務処理を実施するグループ加入者用クローズドサービスにも適用することが可能である。グループ加入者用クローズドサービスの例としては、定期定例会の予約や開催、出欠確認、議事録の配布や承認処理、その他グループ加入者のスケジュールから、打ち合わせ日程の調整、候補日の選定、さらにはメーリングリストの自動生成やメール代行処理などを挙げることができる。
【0046】
また、業務及び個人の趣向等により、コミュニティグループを設定しておき、そこに加入条件を設定し、利用者からの申し込みにより審査、登録しそのコミュニティグループで代行機能を共有するコミュニティ用オープンサービスに適用することもできる。
【0047】
また、業務IDへの登録処理プロセスは、事前にその処理を代行機能上で実行し、代行機能により業務処理をIDで付加し、データベースに登録されるようにすることもできる。この場合処理フローは代行機能が管理し、指定された処理以外のものは代行機能上では実行されない様にすることもできる。
【0048】
このように本実施の形態においては、顧客の秘密情報が漏洩することなく業務を代行業者等に代行させることが可能となる。上記詳細に説明した各発明は、秘密情報の漏洩が大きな社会問題となり秘密情報の管理の重要性が増す中、業務のアウトソーシングや派遣労働者の雇い入れが活発化している状況においては、極めて重要な技術を提供するものである。
【0049】
以上発明を実施するための最良の形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態に係るコンピュータシステムの全体構成を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る顧客端末、代行業者サーバ、提供業者サーバ構成を示す図である。
【図3】本実施の形態に係る顧客端末の記憶装置を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る代行業者の記憶装置を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る提供業者の記憶装置を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る優先順位管理テーブルを示す図である。
【図7】本実施の形態に係る秘密情報データベースを示す図である。
【図8】本実施の形態に係る代行業者サーバに表示される画面を示す図である。
【図9】本実施の形態に係る代行業者サーバに表示される画面を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る顧客端末に表示される画面を示す図である。
【図11】本実施の形態に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】本実施の形態において代行される業務を示す図である。
【図13】本実施の形態に係る業務の委託形態を示す図である。
【図14】本実施の形態に係る業務の代行を説明するための図である。
【図15】本実施の形態に係る業務の代行を説明するための図である。
【図16】本実施の形態に係る秘密情報がマスクされる様子を示す図である。
【図17】本実施の形態に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】本実施の形態に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】本実施の形態に係るコンピュータシステムの全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
100 顧客端末
200 代行業者サーバ
300 提供業者サーバ
400 ネットワーク
500 記録媒体
600 個人情報データベース
700 優先順位テーブル
800 顧客端末制御プログラム
810 代行業者サーバ制御プログラム
820 提供業者サーバ制御プログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、代行業者サーバ、代行業者サーバの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の経済環境の変化に伴い、企業における業務の一部を外部の代行業者に委託するいわゆるアウトソーシングがさかんに行われるようになった。また労働環境の変化に伴い、いわゆる派遣労働者に業務の遂行を行わせる雇用形態も一般的になった。
このような場合、上記代行業者や派遣労働者は、業務遂行にあたり、業務委託元の企業やその従業員に関する様々な情報を知ることになる。
これらの情報の中には、一般には公開されて欲しくない、あるいは公開されてはいけない企業の秘密情報や従業員のプライバシーに関わる個人情報などが含まれていることがある。そのため通常、業務委託元の企業は、業務上知得した情報に関する守秘義務を代行業者や派遣労働者に課すことにより、秘密情報の漏洩防止を図っている。
【0003】
またさらに秘密情報の漏洩防止を支援するための様々な技術も開発されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−122640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、代行業者や派遣労働者などに業務を委託する場合には、例えば委託者の人脈や趣向等の個人に関する情報や、委託者の所属する組織上の情報等の営業情報等を開示する必要があり、取次ぎ取り扱い等で即応性を欠くものであった。
また秘書を雇っているような場合には、業務遂行に必要な個人情報や秘密情報を知っている者が秘書の他にはいないため、秘書の不在時には業務の遂行が困難となる。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、秘密情報が漏洩することなく業務を代行業者等に代行させることが可能な代行業者サーバ、代行業者サーバの制御方法、及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、情報処理サービスを提供するサービス提供業者への手続きを代行する手続き代行業者が有する代行業者サーバであって、前記サービス提供業者への手続きに必要な情報を入力するための画面データをユーザインタフェースに表示する情報入力促進部と、前記サービス提供業者への手続きの代行を依頼してきた顧客の秘密情報を、前記顧客の秘密情報が記憶された秘密情報データベースから読み出す秘密情報読み出し部と、前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報については、前記秘密情報データベースから読み出した前記顧客の秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて変換して生成される所定の文字列をユーザインタフェースに表示する秘密情報隠蔽表示部と、前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報以外の情報については、ユーザインタフェースから入力を受ける手続き情報入力部と、前記サービス提供業者が有する提供業者サーバに、前記手続きに必要な情報を送信する手続き情報送信部とを備えることを特徴とする代行業者サーバに関する。
【0007】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための最良の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
秘密情報が漏洩することなく業務を代行業者等に代行させることが可能な代行業者サーバ、代行業者サーバの制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
===全体構成例===
本実施の形態に係るコンピュータシステムの全体構成を図1に示す。本実施の形態に係るコンピュータシステムは、顧客端末100と、代行業者サーバ200と、提供業者サーバ300とがネットワーク400で通信可能に接続されてなる。
【0010】
顧客端末100は、情報処理サービスの提供を行うサービス提供業者から情報処理サービスの提供を受ける顧客が有するコンピュータである。顧客としては、例えば企業や自治体等とすることができるほか、一般個人とすることもできる。
【0011】
提供業者サーバ300は、上記サービス提供業者が有するコンピュータである。サービス提供業者により提供される情報処理サービスとしては、例えば航空機や列車の座席予約サービスや、演劇の観戦チケット予約サービス、宿泊施設の予約サービス等とすることができる。
【0012】
代行業者サーバ200は、顧客がサービス提供業者からの情報処理サービスの提供を受ける際の手続きを代行する手続き代行業者が有するコンピュータである。手続き代行業者は、顧客からの依頼を受けて、顧客の業務の一部を遂行する企業とすることができるほか、顧客の業務の一部を遂行する派遣労働者等とすることができる。顧客が手続き代行業者に委託する業務の例を図12に示す。図12示すように、例えば手続き代行業者は、顧客からの依頼を受けて、個人情報管理やスケジュール管理、各種予約業務、資料作成業務、情報収集業務、事務用品や備品の補充業務、電話等の取次ぎ業務等を行う。
【0013】
また顧客が手続き代行業者に業務を委託する形態を図13に示す。図13に示すように、業務委託の形態は、顧客の事業所に手続き代行業者を駐在させ、業務を委託するようにすることもできるし、地理的に離れた場所にいる手続き代行業者に業務を委託するようにすることもできる。顧客が有する顧客端末100と代行業者が有する代行業者サーバとはネットワーク400を介して通信可能に接続され、顧客端末100と代行業者サーバ200との間では適宜情報をやりとりしながら業務が遂行されてゆくことになる。その様子を図19に示す。つまり代行業者サーバ200は、ネットワーク400で通信可能に接続された顧客端末100からの業務委託を受けて、ネットワーク400を介して通信可能に接続された提供業者サーバ300との間で、情報処理サービスの提供を受けるための様々な手続きを行う。
【0014】
なお詳しくは後述するが、図19に記載されている個人情報や業務属性情報は、手続き代行業者がサービス提供業者に情報処理サービスの提供のための手続きを行う際に必要となる顧客の個人情報や企業情報等の秘密情報を記憶しておくためのデータベース(秘密情報データベース)である。本実施の形態に係る代行業者サーバ200は、手続き代行業者が上記手続きを行う際に、これらの秘密情報を秘密情報データベースから読み出すようにする。これにより、手続き代行業者に顧客の秘密情報を入力させる必要を無くすことができると共に、顧客の秘密情報を手続き代行業者に見られることも防止することができる。
【0015】
===機器構成===
次に、顧客端末100、代行業者サーバ200、提供業者サーバ300のそれぞれの構成について説明する。
【0016】
顧客端末100、代行業者サーバ200、提供業者サーバ300はいずれもコンピュータであり、ハードウェア構成は基本的に同様である。そのため、これらのハードウェア構成を一つのブロック図にまとめて図2に示す。またこれらの各機能をそれぞれ実現するための制御プログラム等やテーブル等について、図3ないし図5に示す。
【0017】
<代行業者サーバの構成>
代行業者サーバ200は、CPU210、メモリ220、ポート230、記録媒体読取装置240、入力装置250、出力装置260、記憶装置280を備える。
【0018】
CPU210は代行業者サーバ200の全体の制御を司るもので、記憶装置280に記憶される本実施の形態に係る各種の動作を行うためのコードから構成される代行業者サーバ制御プログラム(特許請求の範囲に記載のプログラムに相当する)810をメモリ220に読み出して実行することにより、代行業者サーバ200としての各種機能を実現する。例えばCPU210により代行業者サーバ制御プログラム810が実行され、メモリ220やポート230、入力装置250、出力装置260、記憶装置280等のハードウェア機器と協働することにより、情報入力促進部、秘密情報読み出し部、秘密情報隠蔽表示部、手続き情報入力部、手続き情報送信部、応答受信部、応答送信部、手続き情報振替送信部が実現される。メモリ220は例えば半導体記憶装置により構成することができる。
【0019】
記録媒体読取装置240は、記録媒体500に記録されているプログラムやデータを読み取るための装置である。読み取られたプログラムやデータはメモリ220や記憶装置280に格納される。従って、例えば記録媒体500に記録された代行業者サーバ制御プログラム810を、記録媒体読取装置240を用いて上記記録媒体500から読み取って、メモリ220や記憶装置280に記憶するようにすることができる。
【0020】
記録媒体500としてはフレキシブルディスクや磁気テープ、コンパクトディスク等を用いることができる。記録媒体読取装置240は代行業者サーバ200に内蔵されている形態とすることもできるし、外付されている形態とすることもできる。
【0021】
記憶装置280は、例えばハードディスク装置や半導体記憶装置等とすることができる。記憶装置280には、代行業者サーバ制御プログラム810や優先順位管理テーブル700が記憶される。
【0022】
優先順位管理テーブル700は、業務遂行の際の顧客の意向を記録したテーブルである。優先順位管理テーブル700を図6に示す。優先順位管理テーブル700に記載される各データは、手続き代行業者が顧客から業務の委託を受ける際に、顧客から示される様にすることができる。顧客には、日頃ひいきにしている取引先との間の取引を他の取引先に優先させて行いたいとの事情や、経済的結びつきの強い取引先を他の取引先に優先したいとの事情等、様々な事情があることが多い。そのような顧客の意向を優先順位管理テーブル700に記憶しておくことにより、手続き代行業者は顧客の意向に沿った業務の遂行を行うことが可能となる。なお優先順位管理テーブル700には、顧客の希望する優先順位に従って、サービス提供業者が運営する例えばウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)が記載されるようにすることができる。
【0023】
入力装置250は代行業者サーバ200へのデータ入力等のために用いられる装置でありユーザインタフェースとして機能する。入力装置250としては例えばキーボードやマウス等を用いることができる。
【0024】
出力装置260は情報を外部に出力するための装置でありユーザインタフェースとして機能する。出力装置260としては例えばディスプレイやプリンタ等を用いることができる。
【0025】
ポート230は通信を行うための装置である。例えばネットワーク400を介して行われる、顧客端末100や提供業者サーバ300の他のコンピュータとの通信は、ポート230を介して行われるようにすることができる。また例えば、代行業者サーバ制御プログラム810をポート230を通じて他のコンピュータからネットワーク400を介して受信して、メモリ220や記憶装置280に記憶するようにすることもできる。
【0026】
<顧客端末>
次に、顧客端末100の構成について説明する。顧客端末100は、CPU110、メモリ120、ポート130、記録媒体読取装置140、入力装置150、出力装置160、記憶装置180を備える。これらの各装置の機能は、上述した代行業者サーバ200が備える各装置と同様である。
【0027】
図3に示すように、顧客端末100が備える記憶装置180には、顧客端末制御プログラム800、秘密情報データベース600が記憶される。CPU110が顧客端末制御プログラム800を実行することにより、顧客端末100としての各種機能が実現される。
【0028】
秘密情報データベース600は、顧客の秘密情報を記憶したものである。秘密情報データベース600の一例を図7に示す。顧客は手続き代行業者に業務を委託する際に、例えばあらかじめ、手続き代行業者が業務を代行する際に必要となる顧客の秘密情報を、秘密情報データベース600に記録しておく。このようにしておくことにより、手続き代行業者は顧客から委託された業務を行う際に、いちいち顧客に秘密情報を問い合わせなくてもよくなる。また、顧客の秘密情報が秘密情報データベース600にあらかじめ記憶されているため、手続き代行時に顧客の誤った秘密情報を入力してしまうようなミスも防止することができる。
【0029】
なお本実施の形態においては、秘密情報データベース600は顧客端末100の記憶装置180に構築されているが、例えばネットワーク400に接続された第三者機関のコンピュータに構築されているようにすることも可能である。この場合第三者機関としては、顧客の信用を得た機関とすることができる。例えば認証局や公的な機関とすることができる。このようにすることにより、顧客の秘密情報のより確実な漏洩防止を図ることが可能となる。あるいは、顧客が手続き代行業者を信用する場合には、代行業者サーバ200の記憶装置280に構築するようにすることも可能である。このようにすることにより、手続き代行業者は、一旦顧客から業務の委託を受けた後は、顧客との間での煩雑な情報の授受を行わずに、業務の遂行を行うことが可能となる。
【0030】
また秘密情報データベース600には、例えば所定のアルゴリズムにより暗号化がなされた上で秘密情報を記憶するようにすることもできる。このようにすることにより、顧客情報のより確実な漏洩防止を図ることが可能となる。
【0031】
<提供業者サーバ>
次に、提供業者サーバ300の構成について説明する。提供業者サーバ300は、CPU310、メモリ320、ポート330、記録媒体読取装置340、入力装置350、出力装置360、記憶装置380を備える。これらの各装置の機能は、上述した代行業者サーバ200が備える各装置と同様である。
【0032】
図5に示すように、提供業者サーバ300が備える記憶装置380には、提供御者サーバ制御プログラム820が記憶される。CPU310が提供業者サーバ制御プログラム820を実行することにより、提供業者サーバ300としての各種機能が実現される。例えば、通信可能に接続された他のコンピュータからの要求に応じて、上述したような様々な情報処理サービスの提供を行う。
【0033】
<ネットワーク>
ネットワーク400は、顧客端末100、代行業者サーバ200、提供業者サーバ300通信可能に接続する通信網である。ネットワーク400は、例えば企業内におけるLAN(Local Area Network)とすることができる。また例えばインターネットのようなWAN(Wide Area Network)とすることもできる。
【0034】
===処理の流れ===
次に手続き代行業者が本実施の形態に係る代行業者サーバ200を用いて、顧客から依頼された業務を代行して行う場合の処理の流れを図11、及び図14乃至図18を参照しながら説明する。ここでは、航空機の座席予約業務を代行して行う場合を例に説明する。
【0035】
まず顧客端末100は、航空機の座席予約を手続き代行業者に代行させる旨の入力を受ける(S1000)。その際、例えば航空機の搭乗日や出発地、到着地等の手続きに必要な情報も入力も受ける。そして顧客端末100は、それらの情報と共に、航空機の座席予約の手続き代行要求を代行業者サーバ200に送信する(S1010)。そうすると代行業者サーバ200は、航空会社により運営されている提供業者サーバ300に、航空機の座席予約サービスの提供を受けたい旨の要求を送信する(S1020)。どの航空会社の座席予約サービスを受けるかは、上述した優先順位管理テーブル700に記載されたデータに基づいて決めることができる。図6に示す例に従えばまずA航空の座席予約サービスの提供を受けることになる。
【0036】
なお、上述したS1000及びS1010の処理は、顧客端末100において顧客端末制御プログラム800が実行されることにより、顧客端末100が、顧客からの業務代行依頼の受け付け機能、及び代行業者サーバ200への業務代行依頼の送信機能を備えるようにして実現することも可能であるし、例えば顧客が顧客端末100を用いて作成した業務代行依頼の文書を、電子メールを用いて手続き代行業者の代行業者サーバ200に送信することにより実現することも可能である。さらには、顧客が電話や郵便等により業務の代行依頼を手続き代行業者に連絡することによっても実現することが可能である。
【0037】
代行業者サーバ200に対して、提供業者サーバ300から情報処理サービスの提供を受けるための手続きに必要な情報を入力するための画面データが送られてくると(S1030)、代行業者サーバ200は、上記画面データをディスプレイに表示する(S1040)。手続き用画面データがディスプレイに表示されている様子を図8に示す。
【0038】
手続き代行業者が図8に示す画面データの各項目を入力して、「OK」欄にマウスのカーソルを重ねてクリックすることにより、入力した各項目のデータが提供業者サーバ300に送信される。このようにして提供業者サーバ300による情報処理サービスの提供を受けるための手続きが行われる。
【0039】
なおここで、提供業者サーバ300に送信しなければならないデータの中には、氏名や性別、クレジットカードの番号等のプライバシーに関係する秘密情報が含まれる。本実施の形態に係る代行業者サーバ200は、顧客端末100に対して、顧客の秘密情報の読み出し要求を送信する(S1050)。そして顧客端末100から顧客の秘密情報を受信すると(S1060)、代行業者サーバ200は、秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて所定の文字列に変換する(S1070)。そして上記変換された文字列をディスプレイに表示する(S1080)。図8に示す例では、すべての文字列を”*”に変換するアルゴリズムに従って、顧客の秘密情報がすべて”*”に変換されたものがディスプレイに表示されている。このようにすることにより、代行業者サーバ200を操作する手続き代行業者に、顧客の秘密情報が知られることが防止できる。また手続き代行業者にとっては、秘密情報の入力の手間が省ける上、入力ミスも防止できる。
【0040】
情報処理サービスの提供を受けるための手続きに必要な情報のうちどの情報が顧客の秘密情報に該当するのかは、例えば提供業者サーバ300から送信された画面データに含まれる”住所”や”年齢”等のキーワードと、秘密情報データベース600に記憶されるデータの種類を示す”住所”や”氏名”等のキーワードとを比較することにより判定することができる。図16には、個人情報のうち、”ID”や”その他サービスの検索”といった情報が顧客の秘密情報であると判定され、マスクが掛けられる場合の例が示される。つまりこれらの情報は、代行業者サーバ200の画面においては例えば”*”に置き換えられて表示される。
【0041】
手続き代行業者は、S1010において顧客から送信された手続きの代行要求において指示された内容に従って、顧客の秘密情報以外の情報についての入力を行う(S1090)。そしてマウスのカーソルを「OK」欄に重ねてクリックすると、入力された各データが代行業者サーバ200から提供業者サーバ300に送信される(S1100)。そして提供業者サーバ300において情報処理サービスの提供のための処理が実行されて(S1110)、その結果(応答)が代行業者サーバ200に送信されてくる(S1120)。ここでは航空機の座席予約の取得結果が送信されてくる。代行業者サーバ200のディスプレイに航空機の座席予約の取得結果が表示(S1130)されている様子を図9に示す。そして手続き代行業者がマウスのカーソルを「顧客へ結果を送信する」欄に重ねてクリックすると、航空機の座席予約の取得結果(応答)が顧客端末100に送信される(S1140)。そうすると顧客端末100はディスプレイに航空機の座席予約の取得結果を表示する(S1150)。その様子を図10に示す。
【0042】
なお、代行業者サーバ200は、手続き代行業者が「顧客へ結果を送信する」欄にマウスのカーソルを重ねてクリックしなくとも、提供業者サーバ300から送信された航空機の座席予約の取得結果を顧客端末100に送信するようにすることもできる。
【0043】
上記の説明では、顧客の第1希望の航空会社であるA航空の飛行機の座席予約が成功した場合の例を示したが、A航空の提供業者サーバ300から送信された応答が、情報処理サービスの提供が受けられないことを示すものであった場合等、A航空の飛行機の座席予約が失敗する場合もある。この場合には代行業者サーバ200は、優先順位管理テーブル700の記載に従って、第2希望の航空会社(他のサービス提供業者)であるB航空が運営している提供業者サーバ(他の提供業者サーバ)300に対してS1020以降の処理を実施し、座席予約の手続きを行うようにすることもできる。その場合の処理の流れを図17に示す。このようにすることにより、顧客から依頼された業務を顧客の意向に従って行うことができると共に、顧客から依頼された業務の達成率を向上させることが可能となる。
【0044】
以上、航空機の座席予約を手続き代行業者に代行させる場合の例を説明したが、上記の一連の処理において、顧客の秘密情報が手続き代行業者に知られることはないのである。
【0045】
なお本実施の形態は、メールの返信や慶弔、贈答管理などの外部の情報取得時に起動される処理も含む定期的な処理や業務情報に指定された処理、利用者スケジュールにより起動される処理を、顧客から委託された処理方法で実施する場合にも適用可能である。さらには、利用者を指定されたグループに登録し、利用グループ属性情報やグループ業務属性情報によりグループとしての共通業務処理を実施するグループ加入者用クローズドサービスにも適用することが可能である。グループ加入者用クローズドサービスの例としては、定期定例会の予約や開催、出欠確認、議事録の配布や承認処理、その他グループ加入者のスケジュールから、打ち合わせ日程の調整、候補日の選定、さらにはメーリングリストの自動生成やメール代行処理などを挙げることができる。
【0046】
また、業務及び個人の趣向等により、コミュニティグループを設定しておき、そこに加入条件を設定し、利用者からの申し込みにより審査、登録しそのコミュニティグループで代行機能を共有するコミュニティ用オープンサービスに適用することもできる。
【0047】
また、業務IDへの登録処理プロセスは、事前にその処理を代行機能上で実行し、代行機能により業務処理をIDで付加し、データベースに登録されるようにすることもできる。この場合処理フローは代行機能が管理し、指定された処理以外のものは代行機能上では実行されない様にすることもできる。
【0048】
このように本実施の形態においては、顧客の秘密情報が漏洩することなく業務を代行業者等に代行させることが可能となる。上記詳細に説明した各発明は、秘密情報の漏洩が大きな社会問題となり秘密情報の管理の重要性が増す中、業務のアウトソーシングや派遣労働者の雇い入れが活発化している状況においては、極めて重要な技術を提供するものである。
【0049】
以上発明を実施するための最良の形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態に係るコンピュータシステムの全体構成を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る顧客端末、代行業者サーバ、提供業者サーバ構成を示す図である。
【図3】本実施の形態に係る顧客端末の記憶装置を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る代行業者の記憶装置を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る提供業者の記憶装置を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る優先順位管理テーブルを示す図である。
【図7】本実施の形態に係る秘密情報データベースを示す図である。
【図8】本実施の形態に係る代行業者サーバに表示される画面を示す図である。
【図9】本実施の形態に係る代行業者サーバに表示される画面を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る顧客端末に表示される画面を示す図である。
【図11】本実施の形態に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】本実施の形態において代行される業務を示す図である。
【図13】本実施の形態に係る業務の委託形態を示す図である。
【図14】本実施の形態に係る業務の代行を説明するための図である。
【図15】本実施の形態に係る業務の代行を説明するための図である。
【図16】本実施の形態に係る秘密情報がマスクされる様子を示す図である。
【図17】本実施の形態に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】本実施の形態に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】本実施の形態に係るコンピュータシステムの全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
100 顧客端末
200 代行業者サーバ
300 提供業者サーバ
400 ネットワーク
500 記録媒体
600 個人情報データベース
700 優先順位テーブル
800 顧客端末制御プログラム
810 代行業者サーバ制御プログラム
820 提供業者サーバ制御プログラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理サービスを提供するサービス提供業者への手続きを代行する手続き代行業者が有する代行業者サーバであって、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報を入力するための画面データをユーザインタフェースに表示する情報入力促進部と、
前記サービス提供業者への手続きの代行を依頼してきた顧客の秘密情報を、前記顧客の秘密情報が記憶された秘密情報データベースから読み出す秘密情報読み出し部と、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報については、前記秘密情報データベースから読み出した前記顧客の秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて変換して生成される所定の文字列をユーザインタフェースに表示する秘密情報隠蔽表示部と、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報以外の情報については、ユーザインタフェースから入力を受ける手続き情報入力部と、
前記サービス提供業者が有する提供業者サーバに、前記手続きに必要な情報を送信する手続き情報送信部と、
を備えることを特徴とする代行業者サーバ。
【請求項2】
前記提供業者サーバから、前記手続きに対する応答を受信する応答受信部と、
前記応答を前記顧客が有する顧客端末に送信する応答送信部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の代行業者サーバ。
【請求項3】
前記提供業者サーバから、前記手続きに対する応答を受信する応答受信部と、
前記応答が、前記提供業者サーバを有するサービス提供業者による情報処理サービスの提供が受けられないことを示すものである場合には、他のサービス提供業者が有する他の提供業者サーバに前記手続きに必要な情報を送信する手続き情報振替送信部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の代行業者サーバ。
【請求項4】
情報処理サービスを提供するサービス提供業者への手続きを代行する手続き代行業者が有する代行業者サーバに、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報を入力するための画面データをユーザインタフェースに表示する手順と、
前記サービス提供業者への手続きの代行を依頼してきた顧客の秘密情報を、前記顧客の秘密情報が記憶された秘密情報データベースから読み出す手順と、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報については、前記秘密情報データベースから読み出した前記顧客の秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて変換して生成される所定の文字列をユーザインタフェースに表示する手順と、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報以外の情報については、ユーザインタフェースから入力を受ける手順と、
前記サービス提供業者が有する提供業者サーバに、前記手続きに必要な情報を送信する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項5】
情報処理サービスを提供するサービス提供業者への手続きを代行する手続き代行業者が有する代行業者サーバの制御方法であって、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報を入力するための画面データをユーザインタフェースに表示し、
前記サービス提供業者への手続きの代行を依頼してきた顧客の秘密情報を、前記顧客の秘密情報が記憶された秘密情報データベースから読み出し、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報については、前記秘密情報データベースから読み出した前記顧客の秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて変換して生成される所定の文字列をユーザインタフェースに表示し、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報以外の情報については、ユーザインタフェースから入力を受け、
前記サービス提供業者が有する提供業者サーバに、前記手続きに必要な情報を送信する、
ことを特徴とする代行業者サーバの制御方法。
【請求項1】
情報処理サービスを提供するサービス提供業者への手続きを代行する手続き代行業者が有する代行業者サーバであって、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報を入力するための画面データをユーザインタフェースに表示する情報入力促進部と、
前記サービス提供業者への手続きの代行を依頼してきた顧客の秘密情報を、前記顧客の秘密情報が記憶された秘密情報データベースから読み出す秘密情報読み出し部と、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報については、前記秘密情報データベースから読み出した前記顧客の秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて変換して生成される所定の文字列をユーザインタフェースに表示する秘密情報隠蔽表示部と、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報以外の情報については、ユーザインタフェースから入力を受ける手続き情報入力部と、
前記サービス提供業者が有する提供業者サーバに、前記手続きに必要な情報を送信する手続き情報送信部と、
を備えることを特徴とする代行業者サーバ。
【請求項2】
前記提供業者サーバから、前記手続きに対する応答を受信する応答受信部と、
前記応答を前記顧客が有する顧客端末に送信する応答送信部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の代行業者サーバ。
【請求項3】
前記提供業者サーバから、前記手続きに対する応答を受信する応答受信部と、
前記応答が、前記提供業者サーバを有するサービス提供業者による情報処理サービスの提供が受けられないことを示すものである場合には、他のサービス提供業者が有する他の提供業者サーバに前記手続きに必要な情報を送信する手続き情報振替送信部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の代行業者サーバ。
【請求項4】
情報処理サービスを提供するサービス提供業者への手続きを代行する手続き代行業者が有する代行業者サーバに、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報を入力するための画面データをユーザインタフェースに表示する手順と、
前記サービス提供業者への手続きの代行を依頼してきた顧客の秘密情報を、前記顧客の秘密情報が記憶された秘密情報データベースから読み出す手順と、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報については、前記秘密情報データベースから読み出した前記顧客の秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて変換して生成される所定の文字列をユーザインタフェースに表示する手順と、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報以外の情報については、ユーザインタフェースから入力を受ける手順と、
前記サービス提供業者が有する提供業者サーバに、前記手続きに必要な情報を送信する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項5】
情報処理サービスを提供するサービス提供業者への手続きを代行する手続き代行業者が有する代行業者サーバの制御方法であって、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報を入力するための画面データをユーザインタフェースに表示し、
前記サービス提供業者への手続きの代行を依頼してきた顧客の秘密情報を、前記顧客の秘密情報が記憶された秘密情報データベースから読み出し、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報については、前記秘密情報データベースから読み出した前記顧客の秘密情報を所定のアルゴリズムに基づいて変換して生成される所定の文字列をユーザインタフェースに表示し、
前記サービス提供業者への手続きに必要な情報のうち、前記顧客の秘密情報以外の情報については、ユーザインタフェースから入力を受け、
前記サービス提供業者が有する提供業者サーバに、前記手続きに必要な情報を送信する、
ことを特徴とする代行業者サーバの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−163483(P2006−163483A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349696(P2004−349696)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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