説明

代謝症候群、心血管疾患及び/又はインスリン耐性に関連する障害の診断、予後、モニターリング及び治療追跡のためのインビトロ方法

本発明は、対象における代謝系及び/又は心血管系及び/又はインスリン耐性の障害の診断、予後、及び/又はモニターリング/治療追跡のためのインビトロ方法に関し、ここで対象のサンプルにおける1又は複数の心血管マーカーの相対的レベルの決定、及び前記対象における代謝系及び/又は心血管系及び/又はインスリン耐性の障害の診断、予後、及び/又はモニターリング/治療追跡のために前記1又は複数の心血管ペプチドの前記決定された相対的レベルの使用を含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、1又は複数の心血管マーカーの相対的レベルを決定することを含んで成る、代謝症候群、心血管疾患及び/又はインスリン耐性に関連する障害の診断、予後、モニターリング及び治療追跡のためのインビトロ方法、及びその使用である。
【背景技術】
【0002】
抗血圧は頻繁に、肥満、高インスリン症及びインスリン耐性を付随する。このタイプの高血圧は、ナトリウム保持、高められた血管内体積及び高められた心拍体積及び出力により特徴づけられる(Messerli FH, et al. 1981 Obesity and essential hypertension. Hemodynamics, intravascular volume, sodium excretion, and plasma renin activity. Arch Intern Med 141:81-5; Stelfox HT, et al. 2006 Hemodynamic monitoring in obese patients: the impact of body mass index on cardiac output and stroke volume. Crit Care Med 34:1243-6)。
【0003】
動脈ナトリウム利尿性ペプチド(ANP)及び脳タイプナトリウム利尿性ペプチド(BMP)は、それぞれANP及びBNP、及びN−末端プロANP(NT−プロANP)並びにN−末端プロBNP(NT−プロBNP)に分解されるプロホルモンとして、心不全又は急性心筋虚血症に関して高められた壁ストレスに対する応答として心筋細胞において合成される(Ruskoaho H, 2003 Cardiac hormones as diagnostic tools in heart failure. Endocr Rev 24:341-56; Potter LR, et al. 2006 Natriuretic peptides, their receptors, and cyclic guanosine monophosphate-dependent signaling functions. Endocr Rev 27:47-72)。
【0004】
高レベルのナトリウム利尿性ペプチドは、新規の有望な心血管(CV)危険性マーカーであり、そして高血圧(BP)、左心室肥大及びタンパク尿症に関連して来た(Olsen MH, et al. 2005 N-terminal pro brain natriuretic peptide is inversely related to metabolic cardiovascular risk factors and the metabolic syndrome. Hypertension 46:660-6)。
【0005】
いくつかの大規模研究は実際、死亡率及びナトリウム利尿性ペプチドレベルの独立した関連性を観察した(Wang TJ, et al. 2004 Plasma natriuretic peptide levels and the risk of cardiovascular events and death. N Engl J Med 350:655-63; Bibbins-Domingo K, et al. 2007 N-terminal fragment of the prohormone brain-type natriuretic peptide (NT-proBNP),cardiovascular events, and mortality in patients with stable coronary heart disease. Jama 297:169-76; Kistorp C, et al. 2005 N-terminal pro-brain natriuretic peptide, C-reactive protein, and urinary albumin levels as predictors of mortality and cardiovascular events in older adults. Jama 293:1609-16; von Haehling, et al. 2007 Comparison of midregional pro- atrial natriuretic peptide with N-terminal pro-B-type natriuretic peptide in predicting survival inpatients with chronic heart failure. JAm Coll Cardiol 50:1973-80)。
【0006】
最近の研究は、ナトリウム利尿性ペプチドが肥満において抑制されることを記載している(Wang TJ, et al. 2004 Impact of obesity on plasma natriuretic peptide levels. Circulation 109:594- 600; Das SR, et al. 2005 Impact of body mass and body composition on circulating levels of natriuretic peptides: results from the Dallas Heart Study. Circulation 112:2163-8)。肥満は塩保持及び高められた心臓出力に関連するので、高められたナトリウム利尿性ペプチドレベルを生成することが予測される。その肥満は直観に反するように見える相反効果を有するように見え、そして非血流力学因子に起因した。
【0007】
従って、Wang及び同僚研究者は、この反対の関係が、肥満対象におけるナトリウム利尿性ペプチドの高められたクリアランスに起因する脂肪組織によるナトリウム利尿性ペプチドクリアランス受容体(NPR-C)の高められた発現によることを推定した(Wang TJ, et al. 2004 Impact of obesity on plasma natriuretic peptide levels. Circulation 109:594-600)。しかしながら、Das及び同僚研究者は、Dallas心臓研究においてDEXAによる痩せた及び太った質量を決定し、そして太った質量よりもむしろ痩せた質量と低BNPレベルとの関係を観察した(Das SR, et al. 2005 Impact of body mass and body composition on circulating levels of natriuretic peptides: results from the Dallas Heart Study. Circulation 112:2163-8)。
【0008】
いくつかの研究は、ナトリウム利尿性ペプチドと、代謝症候群の追加の成分との関係を観察した(Olsen MH, et al. 2008 Cardiovascular risk prediction by N- terminal pro brain natriuretic peptide and high sensitivity C-reactive protein is affected by age and sex. J Hypertens 26:26-34; Wang TJ, et al. 2007 Association of plasma natriuretic peptide levels with metabolic risk factors in ambulatory individuals. Circulation 115:1345- 53)。
【0009】
高められた腰周り、高められたトリグリセリド、低められたHDL及び高められた空腹時グルコース(Wang TJ, et al. 2007 Association of plasma natriuretic peptide levels with metabolic risk factors in ambulatory individuals. Circulation 115:1345-53)は、Framingham心臓研究においては、低い血漿ANPレベルと関係し、そして幾分、低BNPレベルとは少々関係した。
【0010】
Danish研究においては、BNPとBMI、インスリン、グルコース、トリグリセリド及び高血圧との関係が観察された(Olsen MH, et al. 2005 N-terminal probrain natriuretic peptide is inversely related to metabolic cardiovascular risk factors and the metabolic syndrome. Hypertension 46:660-6)。それらの研究は代謝症候群のいくつかの形質へのナトリウム利尿性ペプチドの密接した関連性を示したが、それらの関係の背後にある機構は理解しにくいままであった。
【0011】
食後インスリンレベルを低める栄養的アプローチは、血圧を低めることに非常に効果的である(Appel LJ, et al. 2005 Effects of protein, monounsaturated fat, and carbohydrate intake on blood pressure and serum lipids: results of the OmniHeart randomized trial. Jama 294:2455-64)、そして食後状態は、代謝症候群の初期段階において、及び特にアテローム硬化症の進行において重要な役割を演じると思われる(Hanefeld M, et al. 1999 Postprandial plasma glucose is an independent risk factor for increased carotid intima-media thickness in non-diabetic individuals. Atherosclerosis 144:229-35; Hanefeld M, et al. 2007 The challenge of the Metabolic Syndrome. Horm Metab Res 39:625-6)。
【0012】
本発明の目的は、代謝症候群に関連する障害、及び/又は対象における心血管系及び/又はインスリン耐性に関連する疾病の診断、予後及び/又はモニターリング及び/又は治療追跡であり、ここで1又は複数の心血管マーカーの相対的変化が前記対象において決定される。
【0013】
インスリンが心血管マーカー、特にMR−プロANP53-90の抑制を誘発し、そしてインスリン感受性と、ナトリウム利尿性ペプチドが、特にMR−プロANP53-90の相対的変化との間に有意な正の相互関係が存在したことが見出された。この関係は、代謝症候群におけるインスリン耐性から高血圧への直接的連鎖を提供する。この関係の発見はさらに、代謝症候群に関連する障害、及び/又は対象における心血管系及び/又はインスリン耐性に関連する疾病の診断、予後及び/又はモニターリング及び/又は治療追跡のための方法を導く。
【発明の概要】
【0014】
従って、本発明の目的は、対象における代謝系及び/又は心血管系及び/又はインスリン耐性の障害の診断、予後、及び/又はモニターリング/治療追跡のためのインビトロ方法であり、ここで
a)前記対象からのサンプルを供給し、
b)前記サンプルにおける1又は複数の心血管マーカーの相対的レベルを決定し、
c)前記対象における代謝系及び/又は心血管系及び/又はインスリン耐性の障害の診断、予後、及び/又はモニターリング/治療追跡のために前記1又は複数の心血管ペプチドの相対的レベルを用いることを含んで成る。
【0015】
本発明の好ましい態様においては、1又は複数の心血管マーカーの食後相対的レベルが決定される。
本発明によれば、“相対的レベル”とは、基礎値に基づく相対的濃度であるものとして定義され、これは次の通りに数学的に表され得る:
X=100×[食後]/[基礎]
式中、Xは1又は複数の心血管マーカーのレベルの変化(%)であり、そして[食後]及び[基礎]はそれぞれ、食後及び基礎レベルである。
【0016】
それはまた、基礎値に対する濃度の変化率(%)として特定され得、それは次の通りに数学的表され得る:
X=100−[食後]/[基礎]×100、又は
X=[食後]/[基礎]×100−100
【0017】
本発明の好ましい態様においては、1又は複数の心血管マーカーの食後相対的レベルが決定される。
本発明において、用語“食後”とは、ダイエット及び/又は栄養物養生法においてもまた存在する、食品(栄養物)及び/又は飲料物及び/又は薬物が対象により摂取されるか、又は対象に適用された後の時間を言及する。
【0018】
食後レベルはまた、グルコース耐性又はグルコース誘発試験において決定され得る。例えば、経口グルコース耐性試験(oGTT)は、5分以内に飲まれるべきである75gのグルコース(通常、グルコース溶液として与えられる)の経口投与により実施され得る(一晩の断食の後)。血液サンプルは、基線(グルコース適用の前)で、及び一定間隔、例えば15, 30, 60, 90, 120又は180分で採血される。
【0019】
グルコース耐性はまた、静脈グルコース耐性試験(ivGTT)により決定され得る。一晩の断食の後、体重により調節されたグルコース用量(例えば、03g/kg〜最大25g/kg)が、前腕にカテーテルにより投与される。血液サンプルは、基線(グルコースの適用の前)で、及び異なった間隔、例えば1, 2, 3, 5, 7, 10, 15, 20, 30, 45, 60, 90, 120 又は 240分で採取される。
【0020】
さらに、食後レベルはまた、インスリン耐性を調べ、そして定量化するために、高インスリン血症性オイグリセミッククランプ試験においても決定され得る。この試験は、血糖低下を引起さないで、高められたインスリンレベルを補足するために必要なグルコースの量を測定する。末梢静脈を通して、インスリンは10〜120mU/m2/分で注入される。インスリン注入を補足するために、20%グルコースが、5〜5.5mモル/lの血糖レベルを維持するために注入される。
【0021】
グルコース注入の速度は、5〜10分ごとに血統レベルを調べることにより決定される。最後の30分の試験の間、グルコース注入の速度が、インスリン感受性を決定する。高レベル(7.5mg/分又はそれ以上)が必要とされる場合、患者はインスリン感受性である。非常に低いレベル(4.0mg/分又はそれ以下)は、身体がインスリン作用に対して耐性であることを示唆する。4.0〜7.5mg/分のレベルは、決定的ではなく、そして“欠陥性グルコース耐性”、すなわちインスリン耐性の初期徴候を示す。
【0022】
本発明においては、心血管マーカーは、ナトリウム利尿性ペプチド(例えば、動脈ナトリウム利尿性ペプチド、脳ナトリウム利尿性ペプチド)、アドレノメジュリン、エンドセリン、バソプレシンの群から選択された代謝症候群(例えば、心筋梗塞、冠動脈疾患、心不全、II型糖尿病、肥満、高血圧)に関連する障害の診断及び/又は予後及び/又はモニターリングを提供するペプチド及び/又はタンパク質を意味する。
【0023】
心血管マーカーの基礎レベルは、一定の因子、例えば対象の年齢、肥満指数、一定の条件のための遺伝的傾向/家族歴、性別及び患者の民族的背景、並びに前記対象の全体的健康の状態に依存する。しかしながら、本発明は、これに比較して、心血管マーカーの基礎レベルから心血管マーカーの食後レベルへの相対的変化が、それらの因子とは実質的に無関係であり、そして対象に投与される、食品及び/又は飲料物、及び/又は食餌及び/又は栄養物及び/又は薬物に強く依存する発見に基づかれる。
【0024】
前記心血管マーカーは好ましくは、ANP、BNP、ET-I、ADM、 AVP及びそれらのフラグメント、及びプロホルモン及びそれらのフラグメントを含んで成る群から選択される。
【0025】
本発明の方法の特に好ましい態様におては、1又は複数の心血管マーカーの相対的レベルは、1nモル/l又はそれ以下、好ましくは100pモル/l又はそれ以下、より好ましくは10pモル/l又はそれ以下、さらにより好ましくは1pモル/l又はそれ以下、最も好ましくは0.5pモル/l又はそれ以下の低検出限界を有するアッセイより決定される。さらに、アッセイは好ましくは、通常の範囲において30%以下、より好ましくは20%以下のアッセイ間精度を有する。さらに、アッセイは測定範囲において、10%以下、より好ましくは5%以下のアッセイ内精度を有する。
【0026】
これにより、“アッセイ内精度”とは、単一バッチの特定のアッセイ内の測定値間の逸脱を特定し、そして“アッセイ間精度”とは、異なった場所で、異なった日、異なったオペレーターにより実施され得る、複数バッチの特定アッセイ内の測定値間の逸脱を特定する。従って、前述の用語は、関連するアッセイにより得られる結果の再現性の基準に関連する。“測定範囲”とは、アッセイの検出の上及び下限を特定する。
【0027】
アッセイは、上昇及び下降として変化及び多様性を検出するために十分、少なくとも敏感である。健康な対象においては、所定のバイオマーカーの通常範囲は、ガウス分布に対応する。
【0028】
本発明の態様はさらに、
a.前記対象における1又は複数の心血管マーカーの基礎レベルを決定し、
b.前記1又は複数の心血管マーカーの食後レベルを決定し、
c.段階a及びbにおいて得られる値から1又は複数の心血管マーカーの相対的レベルを計算することを含んで成る、本発明のインビトロ方法である。
【0029】
それにより、前記食品及び/又は飲料物、及び/又は食事及び/又は栄養物養生法、及び/又は薬物療法の摂取、吸入又は他の適用形は、前記1又は複数の心血管マーカーのレベルの相対的低下の点から、前記患者における前記マーカーのレベルに対するその影響に相互関係する。
【0030】
本発明においては、用語“基礎レベル”とは、対象が因子、例えば食品、飲料物、食事、栄養養生法又は薬物療法の影響を伴わないで有する、一定の化合物、分子又は代謝物、例えば心血管ペプチドの個々のレベルを言及する。前記基礎レベルは、約12時間の断食の後、個々の対象についてそれぞれ決定される。それにより、断食とは、対象が水及び/又は必須な薬物療法を除いて、一定の時間、食品、飲料物又は薬物を摂取しないか、又は他方では、消費しないことを意味する。
【0031】
“アッセイ”又は“診断アッセイ”とは、本明細書において言及される場合、診断の分野において適用されるいずれかのタイプのものであり得る。そのようなアッセイは、一定の親和性を伴って、1又は複数の捕獲プローブに、検出されるべき分析物の結合に基づかれ得る。捕獲分子と、標的分子又は興味ある分子との間の相互作用に関して、親和定数は好ましくは、108M-1以上である。
【0032】
プロホルモン及び他のペプチドに関して、本明細書において言及される場合、用語“フラグメント”とは、大きなタンパク質又はペプチドの部分配列を含んで成る、より大きなタンパク質又はペプチドに由来する小さなタンパク質又はペプチドを言及する。前記フラグメントは、1又は複数のそのペプチド結合の鹸化により、大きなタンパク質又はペプチドから誘導できる。
【0033】
心血管マーカープロANP、プロBNP、プロET-1、プロADM及び プロ- AVPの“フラグメント”は好ましくは、少なくとも6個の長さのアミノ酸、最も好ましくは少なくとも12個の長さのアミノ酸のフラグメントに関する。そのようなフラグメントは好ましくは、本明細書に記載されるように、免疫学的アッセイにより検出できる。
【0034】
本発明においては、“捕獲分子”は、サンプルからの標的分子又は興味ある分子、すなわち分析物(すなわち、本発明においては、心血管ペプチド)を結合するために使用され得る分子である。従って、捕獲分子は、空間的に及び表面特徴、例えば表面荷電、疎水性、親水性、ルイスドナー及び/又は受容体の存在又は不在に関して、標的分子又は興味ある分子を特異的に結合するために、適切に形状化されるべきである。それにより、結合は例えば、イオン、ファン・デル・ワールス、シグマ−パイ、疎水性又は水素結合相互作用、又は捕獲分子と標的分子又は興味ある分子との間の複数の前述の相互作用の組合せにより介在され得る。
【0035】
本発明においては、捕獲分子は例えば、核酸分子、炭水化物分子、PNA分子、タンパク質、抗体、ペプチド又は糖タンパク質を含んで成る群から選択され得る。好ましくは、捕獲分子は、抗体、例えば標的分子又は興味ある分子への十分な親和性を有するそのフラグメント、及び組換え抗体又は組換え抗体フラグメント、並びに前記抗体の化学的及び/又は生化学的に修飾された誘導体、又は少なとも12個の長さのアミノ酸を有する変異体鎖に由来するそのフラグメントである。
【0036】
好ましい検出方法は、種々の形でのイムノアッセイ、例えばラジオイムノアッセイ、化学発光−及び蛍光−イムノアッセイ、酵素結合されたイムノアッセイ(ELISA)、ルミネックスに基づくビーズアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、及び急速試験形、例えば免疫クロマトグラフィーストリップ試験を包含する。
【0037】
アッセイは、相同又は異種アッセイ、競争及び非競争サンドイッチアッセイであり得る。特に好ましい態様においては、アッセイは、非競争性イムノアッセイである、サンドイッチアッセイの形で存在し、ここで検出され、そして/又は定量化されるべき分子が第1抗体及び第2抗体に結合される。第1抗体は、固相、例えばビーズ、ウェル又は他の容器の表面、チップ又はストリップに結合され、そして第2抗体は、例えば色素、放射性同位体、又は反応性又は触媒的活性成分によりラベルされる抗体である。次に、分析物に結合される、ラベルされた抗体の量が、適切な方法により測定される。“サンドイッチアッセイ”により包含される一般的組成物及び方法は、十分に確立され、そして当業者に知られている。引用により本明細書に組込まれる、The Immunoassay Handbook, Ed. David Wild, Elsevier LTD, Oxford; 3rd ed. (May 2005), ISBN-13: 978-0080445267; Hultschig C et al., Curr Opin Chem Biol. 2006 Feb;10(l):4-10. PMID: 16376134を参照のこと。
【0038】
特に好ましい態様においては、アッセイは2種の捕獲分子、好ましくは液体反応混合物において分散体として両者とも存在する抗体を含んで成り、ここで第1のマーキング成分が第1の捕獲分子に結合され、ここで前記第1のマーキング成分は、蛍光−又は化学発光−消光又は増幅に基づかれるマーキングシステムの一部であり、そして前記マーキングシステムの第2マーキング成分は、第2の捕獲成分に結合され、その結果、分析物への両捕獲分子の結合に基づいて、サンプルを含んで成る溶液における形成されるサンドイッチ複合体の検出を可能にする測定できるシグナルが生成される。
【0039】
さらにより好ましくは、前記マーキングシステムは、蛍光色素又は化学発光色素、特にシニアタイプの色素と組合して、希土類クリプタート又は希土類キレートを含んで成る。
【0040】
本発明においては、蛍光に基づくアッセイは、FAM (5-又は6- カルボキシフルオレセイン)、 VIC、 NED、 フルオレセイン、 フルオレセインイソチオシアネート (FITC)、 IRD- 700/800、 シアニン色素、 例えば CY3、 CY5、 CY3.5、 CY5.5、 Cy7、 キサンテン、 6-カルボキシ- 2'、4'、7'、4、7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、 TET、 6-カルボキシ-4'、5'-ジクロロ-2'、7'-ジメトキシフルオレセイン (JOE)、 N、N、N'、N'-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、 6- カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、 5-カルボキシローダミン-6G (R6G5)、 6-カルボキシローダミン-6G(RG6)、 ローダミン、ローダミングリーン、 ローダミンレッド、 ローダミン110、 BODIPY 色素、 例えばBODIPY TMR、 オレンジグリーン、 クマリン 、例えばウンベリフェロン、 ベンズイミド、 例えばHoechst 33258; フェナントリジン、 例えばテキサスレッド、ヤキマイエロウ、 Alexa Fluor、 PET、 臭化エチジウム、 アクリジニウム色素、 カルバゾール色素、 フェノキサジン色素、 ポルフィリン色素、 ポリメチン色素、及び同様のものを含んで成る群から選択され得る色素の使用を包含する。
【0041】
本発明においては、化学発光に基づくアッセイは、第551−562ページの引用を包含する、引用により本明細書に組込まれる、Kirk- Othmer, Encyclopedia of chemical technology, 4th ed., executive editor, J. I. Kroschwitz; editor, M. Howe-Grant, John Wiley & Sons, 1993, vol.15, p. 518-562に化学発光材料について記載される物理学的原理に基づいて、色素の使用を包含する。好ましい化学発光色素は、アクリジニウムエステルである。
【0042】
もう1つの好ましい態様においては、前記患者における前記心血管マーカーの基礎レベル及び前記心血管マーカーの食後レベルはイムノアッセイにより決定される。
【0043】
上記に概略されるように、診断アッセイは、診断の分野において適用されるいずれかのタイプのもの、例えば酵素反応、発光、蛍光又は放射性化学物質(但し、それらだけには限定されない)に基づくアッセイ方法であり得る。好ましい検出方法は、ストリップ試験、ラジオイムノアッセイ、化学発光−及び蛍光−イムノアッセイ、イムノブロットアッセイ、酵素−結合されたイムノアッセイ(ELISA)、ルミネックスに基づくビーズアレイ、及びタンパク質マイクロアレイを含んで成る。アッセイタイプはさらに、マイクロタイタープレート、チップ、ビーズに基づかれ、ここでバイオマーカータンパク質がその表面に結合されるか、又は溶液において存在する。
【0044】
アッセイは、均質又は不均質アッセイ、サンドイッチアッセイ、競争及び非競争アッセイであり得る(The Immunoassay Handbook, Ed. David Wild, Elsevier LTD, Oxford; 3rd ed. (May 2005), ISBN-13: 978-0080445267; Hultschig C et al, Curr Opin Chem Biol. 2006 Feb;10(l):4-10. PMID: 16376134)。
本発明の最も好ましい態様においては、イムノアッセイは、(Morgenthaler NG et al; 2004 ClinChem 50:234-6)に記載のようにして使用される。
【0045】
本発明のインビトロ方法の特に好ましい態様においては、心血管マーカーの1つは、プロANPである。さらにより好ましくは、マーカーの1つは中央領域プロANPである。中央領域プロANP53-90が最も好ましい。MR−プロANP53-90は、プロ−動脈ナトリウム利尿性ペプチド(プロANP)のアミノ酸53-90を含んで成る、中央領域プロ−動脈ナトリウム利尿性ペプチドを特定する。
【0046】
本発明のにおけるAVPは、アルギニンバソプレシン(=バソプレシン)又はそのフラグメント、又はその前駆体又はフラグメントに関する。AVPの前駆体の好ましいフラグメントは、C−末端プロAVP(CT−プロAVP又はコペプチン)である。CT−プロAVP107-145(又はCT−プレ−プロAVP126-164)は、本発明における特に好ましい心血管マーカーである。
【0047】
本発明におけるADMは、アドレノメジュリン又はそのフラグメント、又はその前駆体又はフラグメントに関する。ADMの前駆体の好ましいフラグメントは、中央領域プロADM(MR−プロADM)である。MR-プロADM24-71 (又はMR-プレプロADM45-92)は、本発明における特に好ましい心血管マーカーである。
【0048】
本発明におけるET−1は、エンドセリン1又はそのフラグメント、又はその前駆体又はフラグメントに関する。ET-1の前駆体の好ましいフラグメントは、C−末端−プロET1(CT−プロET1)である。CT-プロET-1151-195 (又は CT-プレプロET-l168-212)は、本発明における特に好ましい心血管マーカーである。
【0049】
本発明におけるBNPは、脳ナトリウム利尿性ペプチド又はそのフラグメント、又はその前駆体又はフラグメントに関する。BNPの前駆体の好ましいフラグメントは、N−末端プロBNP(NT−プロBNP)である。NT−プロBNPは、本発明における特に好ましい心血管マーカーである。
【0050】
本発明の好ましい態様においては、1又は複数の心血管マーカーは、プロANP又はそのフラグメント(好ましくはMR−プロANP、より好ましくはMR−プロANP53-90)、プロ−BNP又はそのフラグメント(好ましくはNT−プロBNP)、プロ−ET−1又はそのフラグメント(好ましくはCT−プロET1、より好ましくはCT−プロET−1151-195)、プロ−AVP又はそのフラグメント(好ましくはコペプチン、より好ましくはCT−プロAVP107-145)、プロ−ADM又はそのフラグメント(好ましくはMR−プロADM、より好ましくはMR−プロADM24-71)である。
【0051】
本発明によれば、好ましくはマーカーの少なくとも1つは、ナトリウム利尿性ペプチド、エンドセリン−1、バソプレシン、アドレノメジュリン、及びそれらのプロペプチド、及びその少なくとも3個、より好ましくは5個以上、より好ましくは6個以上、さらにより好ましくは7個以上、さらにより好ましくは10個以上、さらにより好ましくは12個以上、さらにより好ましくは15個以上、最も好ましくは20個又はそれ以上のアミノ酸のフラグメントを含んで成る群から選択されたペプチドである。
【0052】
本発明の非常に好ましい態様においては、心血管マーカーの少なくとも1つは、動脈ナトリウム利尿性ペプチド(ANP)又はプロペプチド、及びその少なくとも3個、好ましくは5個以上、より好ましくは6個以上、最も好ましくは7個以上のアミノ酸のフラグメントである。
【0053】
特に好ましい態様においては、心血管マーカーの少なくとも1つは、MR−プロANP53-90又はその少なくとも3個、好ましくは5個以上、より好ましくは6個以上、最も好ましくは7個以上のアミノ酸のフラグメントである。
【0054】
本発明はまた、本発明のインビトロ方法の特定の態様に関し、ここでさらに、前記代謝系及び/又は心血管系の障害についての前記患者の傾向を分類するための予測値を有する1又は複数の追加のマーカー又は臨床パラメーターのレベルが決定され、ここで前記臨床パラメーターは、前記傾向に影響を及ぼすいずれかのパラメーター、例えば、年齢、性別、これまでの病歴、特に高血圧、肥満、特に中心性肥満、肥満指数、遺伝的傾向/家族歴、民族的背景、前記傾向に影響を及ぼす患者の習慣、例えば喫煙、アルコール消費、食事、運動又は薬物治療であり得る。
【0055】
本発明にインビトロ方法のもう1つの好ましい態様においては、前記1又は複数の心血管マーカーの食後レベルは、前記食品及び/又は飲料物、及び/又は食事及び/又は栄養物養生の投与後、4時間、好ましくは2時間、より好ましくは15〜60分で決定される。
【0056】
本発明のインビトロ方法のもう1つの好ましい態様においては、1又は複数の心血管ペプチドの相対的レベルに対する前記食品及び/又は飲料物、及び/又は食事及び/又は栄養物養生の食後影響は、延長された期間にわたって、好ましくは1週間、より好ましくは1ヶ月、さらにより好ましくは2ヶ月、さらにより好ましくは半年、さらにより好ましくは疾病の全期間、モニターされる。
【0057】
本発明はまた、予定された値と、個人についての心血管マーカーの相対的レベルとを比較することを包含する。予定された値は、種々の形を取ることができる。それは単一のカットオフ値、例えば集団のメジアン又は平均、又は75, 90, 95又は99%であり得る。それは比較グループに基づいて確立され得、例えばここで、1つの確立されたグループにおける危険性がもう1つの確定されたグループにおける危険性の二倍である。それは、一定の範囲であり得、ここで試験される集団は、グループ、例えば低危険性グループ、中位の危険性グループ、及び高い危険性グループ、又は四分位(すなわち最低の四分位は最低の危険性を有する個人であり、そして最高の四分位は最高の危険性を有する個人である)に平等に(又は不平等に)分割される。
【0058】
予定された値は、その特定集団の習慣、民族性、遺伝性、等に依存して選択される特定集団間で変化することができる。例えば、明らかに健康な非喫煙者集団(検出できる疾病なし、特に真性糖尿病なし)は、禁煙集団、又は心血管系及び/又は代謝系の疾病を有するメンバーの集団よりも異なった“正常”範囲のマーカーを有する。従って、選択される予定値は、個人が陥るカテゴリーを考慮することができる。適切な範囲及びカテゴリーは、当業者による通常の実験により選択され得る。
【0059】
閾値レベルは、Kaplan-Meier分析から得られ、ここで疾病の発生が集団における心血管マーカーの四分位と相互関係する。この分析によれば、75%以上の心血管マーカーレベルを有する対象は、本発明の疾病を得ることにおいて有意に高められた危険性を有する。この結果はさらに、従来の危険因子についての十分な調節を伴ってのCox回帰分析により支持される:すべての他の対象に対する最高の四分位は、本発明の疾病を得ることについての高められた危険性に非常に関連する。
【0060】
他の好ましいカットオフ値は、正常集団の90、95又は99%である。75%よりも高い%を用いることにより、同定される誤った陽性対象の数を低めるが、しかし中位であるが、但しまだ、高められた危険性である対象の同定に失敗する。従って、“誤った陽性”の同定をまた犠牲にして、危険下での対象のほとんどを同定することがより適切であると思われるかどうか、又は中位の危険下でいくらかの対象の欠落を犠牲にして、高い危険性下での対象を主に同定することがより適切であると思われるかどうかに依存して、カットオフ値を、だれでも採用することができる。
【0061】
個人の心血管マーカーレベル値及び他の予後実験及び臨床パラメーターを用いることにより個人の危険性を計算する他の数学的可能性は例えば、NRI(ネット再分類指数)又はIDI(統合された識別指数)である。それらの指数は、Pencina (Pencina MJ, et al.: Evaluating the added predictive ability of a new marker: from area under the ROC curve to reclassification and beyond. Stat Med. 2008;27: 157-172)に従って計算され得る。
【0062】
本発明の特定の態様においては、前記対象における5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらにより好ましくは20%以上の前記1又は複数の心血管マーカーのレベルの食後の相対性低下が、代謝系及び/又は心血管系及び/又はインスリン耐性の障害の診断及び負の予後と、及び代謝系及び/又は心血管系及び/又はインスリン耐性の障害を有する対象について高められた危険性と相互関係する。
【0063】
本発明の対象はさらに、対象のマーカーの基礎レベルに対する対象の1又は複数の心血管マーカーのレベルの変化を決定するために、1nモル/l又はそれ以下、好ましくは100pモル/l又はそれ以下、より好ましくは10pモル/l又はそれ以下、さらにより好ましくは1pモル/l又はそれ以下、最も好ましくは0.5pモル/l又はそれ以下の感受性を有する、低下を検出できるアッセイの使用である。
【0064】
前記1又は複数の心血管マーカーにおける低下を測定する本発明に使用されるアッセイの能力は、前記低下が前記1又は複数の心血管マーカーの非常に低いレベルに導く場合、決定的であることを注目することは重要である。従って、本明細書において使用されるアッセイは、基礎レベルが健康集団において前記レベルの97.5%以内にある対象における、前記1又は複数の心血管マーカーのレベルの低下を測定できるためには、超感受性である。
【0065】
本発明の目的はさらに、前記対象のマーカーの基礎レベルに対する対象の1又は複数の心血管マーカーのレベルの食後変化を決定するためへの上記記載のアッセイの使用である。
好ましくは、アッセイはイムノアッセイである。
【0066】
本発明の目的はさらに、上記に概略されるようなアッセイの使用であり、ここで1又は複数の心血管マーカーのレベルの前記変化が、前記代謝症候群に関連する障害を含んで成る対象を診断し、予測し、そして/又はモニターするために使用される。
本発明のもう1つの態様においては、前記対象は、代謝症候群に関連する医学的条件を有するヒトである。
【0067】
特定の態様においては、1又は複数の心血管マーカーのレベルの前記変化が、糖尿病、特にII型糖尿病の診断/予後及び/又はモニターリングのために使用される。
【0068】
用語“代謝症候群”とは、本明細書において使用される場合、引用により本明細書に組込まれる、米心臓病協会(AHA)及び国立心臓、肺及び血液協会(NHLBI)(Grundy et al. 2005. Circulation 112: 2735-3752)により定義されるように、心血管疾患及びII型糖尿病についてのいくつかの危険因子の集合を言及する。代謝症候群の重要な成分は、中でも、グルコース過敏症及び脂質異常症、高血圧及び中心性肥満である。
【0069】
代謝症候群は、次の5種の基準のうち3種が満たされる場合、診断される:高められた腰周り(男性において102cm以上及び女性において88cm以上)、高められたトリグリセリド(それぞれ、150mg/dl/1.7nモル/l以上、又は高められたトリグリセリドについての薬物処理)、低められたHDL-コレステロール(それぞれ、男性において40mg/dl/1.03nモル/l以下;それぞれ、女性において50mg/dl/1.3mモル以下;又は低められたHDL-コレステロールについて薬物処理)、高められた血圧(130mmHg以上の収縮期血圧又は85mmHg以上の拡張期血圧、又は高血圧の病歴を有する患者における抗高血圧剤処理)、及び高められた空腹時グルコース(100mg/dl以上又は高めれたグルコースについての薬物処理)。
【0070】
いくらかの修正を伴っての最近の定義は、国際糖尿病連合(http://www.idf.org/webdata/docs/IDF_Meta_def_final.pdf)により与えられている。
【0071】
本発明のもう1つの好ましい態様においては、代謝症候群に関連する病状は、心筋梗塞(MI)、冠状動脈症候群、鬱血性心不全(CHF)、冠状動脈病(アテローム性動脈硬化)、脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、周辺部動脈疾患、心筋障害、糖尿病II型、腎不全症及び/又は上記疾患の1又は複数の徴候、例えば、肥満、高血圧、頭痛、胸痛及び呼吸促迫を有する患者を含んで成る群から選択される。
【0072】
インスリン耐性(IR)は、所定濃度のインスリンが予測されるよりも低い生物学的効果を生成する状態である。インスリン耐性はまた、血糖コントロールを達成し、そしてケトン症を妨げるために、1日当たり200又はそれ以上の単位のインスリンの必要条件として任意には定義されて来た。インスリン耐性のために、インスリン及びグルコースの高血症レベルが、代謝症候群及びII型糖尿病、例えばその合併症をしばしば導く。IRの症状は、疲労、脳フォギニス(fogginess)、集中不能、低血糖、腸鼓脹、眠気、体重増加、脂肪貯蔵、減量の困難性、高められた血液トリグリセリドレベル、高められた血圧及び鬱病であり得る。
【0073】
心血管疾患は、心臓、脳及び他の生存器官を供給する心筋又は血管系の機能不全により特徴づけられる。用語“心血管疾患”とは、アテローム性動脈硬化、 冠状動脈病、心臓弁膜症、心臓搏動不整、心臓麻痺、高血圧症、体位性低血圧、ショック、心内膜炎、大動脈及びその分枝の疾患、末梢血管系の障害、先天性心臓疾患、脳卒中を包含する広範囲の障害を包含する。
【0074】
本発明の目的はまた、対象のマーカーの基礎レベルに対する、対象の1又は複数の心血管マーカーのレベルの変化を決定するためへの、前記1又は複数の心血管マーカーのレベルの下降を検出でき、そして前記1又は複数の心血管マーカーのレベルの上昇を検出できるいずれかのアッセイの使用である。
【0075】
アッセイの好ましい態様においては、前記変化ha、上昇又は下降であり、そして前記アッセイが1nモル/l又はそれ以下の感受性を有する。
【0076】
本発明のもう1つの態様は、前記対象のマーカーの基礎レベルに対する対象の1又は複数の心血管マーカーのレベルの食後変化を決定するためへの前記アッセイの使用である。
【0077】
前記アッセイは、対象における代謝系及び/又は心血管系及び/又はインスリン耐性の障害の診断、予後、及び/又はモニターリング/治療追跡のためni使用される。
本発明の目的はさらに、患者の代謝系及び/又は心血管系の障害の診断、予後、及び/又はモニターリング/治療追跡のためへの心血管ペプチドの使用である。
【0078】
用語“対象”とは、本明細書において使用される場合、生存性ヒト又は非ヒト生物である。好ましくは、本明細書においては、対象はヒト対象である。
【0079】
用語“サンプル”とは、本明細書において使用される場合、興味ある対象、例えば患者の診断、予後又は評価のために得られる体液のサンプルを言及する。好ましい試験サンプルは、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、癌、及び胸膜滲出物を包含する。さらに、当業者は、いくつかの試験サンプルが、分別又は精製方法、例えば完全な血液の血清又は血漿成分への分離に続いて、より容易に分析されることを実現するであろう。
【0080】
従って、本発明の好ましい態様においては、サンプルは、血液サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、脳脊髄液サンプル、唾液サンプル及び尿サンプル又は前述のサンプルのいずれかの抽出物を含んで成る群から選択される。好ましくは、サンプルは、血液サンプル、最も好ましくは血清サンプル又は血漿サンプルである。
【0081】
本発明により、又は本発明のアッセイの使用により得られるようなマーカーの相対的レベルは当業者に良く知られている多くの態様で分析され得る。例えば、得られる個々のアッセイ結果は、“正常”値、又は特定の疾病又は結果を示す値に比較され得る。特定の診断/予後は、診断又は予後“閾値”として言及され得るそのような値への個々のアッセイの比較に依存することができる。
【0082】
診断及び/又は予後試験の感受性及び特異性は、試験の分析“品質”に依存し、それらはまた、異常結果を構成する定義にも依存する。実際、受信者動作特性曲線(ROC曲線)は典型的には、“正常”(すなわち、明らかに健康)及び“疾病”集団(すなわち、糖尿病、インスリン耐性及び/又は代謝症候群)における変数の値に対するその相対的頻度の値をプロットすることにより計算される。いずれかの特定のマーカーに関しては、疾病を有する対象及び疾病を有さない対象についてのマーカーレベルの分布はたぶんオーバーラップするであろう。
【0083】
そのような条件下で、試験は100%精度で、疾病と正常とを絶対的に区別せず、そしてオーバーラップの面積は、その試験が疾病と正常とを区別できない場合を示す。閾値が選択され、それ以上で(又はこれ以下で、マーカーが疾病によりいかに変化するか依存して)、試験は、異常であると見なされ、そしてそれ以下で、試験は正常であると見なされる。ROC曲線下の面積は、感知された測定が状態の正しい同定を可能にするであろう確率の測定である。ROC曲線は、試験結果が正常な数を必ずしも与えない場合でさえ、使用され得る。結果を評価できる限り、ROC曲線を創造できる。例えば、“疾病”サンプルに対する試験の結果は、程度(例えば、1=低い、2=正常、及び3=高い)に従って評価され得る。
【0084】
この評価は、“正常”集団における結果、及び創造されるROC曲線に相互関係する。それらの方法は、当業界において良く知られている。例えば、Hanley et al, Radiology 143: 29-36 (1982)を参照のこと。好ましくは、閾値は、約0.5以上、より好ましくは約0.7以上、さらにより好ましくは約0.8以上、さらにより好ましくは約0.85以上、及び最も好ましくは約0.9以上のROC曲線面積を提供するよう選択される。用語“約”は本明細書において、所定の測定値の+/−5%を言及する。
【0085】
ROC曲線の水平軸は、誤った陽性の割合と共に上昇する感受性を表す。従って、選択される特定のカットオフに関しては、(1−特異性)の値が決定され、そして対応する感受性が得られる。ROC曲線下の面積は、測定されるマーカーレベルが疾病又は状態の正しい同定を可能にするであろう確立の測定である。従って、ROC曲線下の面積は、試験の有効性を決定するために使用され得る。
【0086】
ある態様においては、パネルにおける1又は複数のマーカーについての特定の閾値は、対象から得られるマーカーレベルのプロフィールが特定の診断/予後を示すかどうかを決定することに依存しない。むしろ、本発明は、単位完全体としてマーカーパネル“プロフィール”の評価を利用することができる。そのようなマーカーパネルにおける変化の特定“フィンガープリント”パターンは結果的に、特定の診断又は予後インジケーターとして作用することができる。本明細書において論じられる場合、変化のパターンは、単一のサンプルから、又は1又は複数のパネルメンバー(又はパネル応答値)における一時的変化から得られる。本明細書におけるパネルは、マーカー組を言及する。
【0087】
本明細書に記載されるように、パネル応答値は好ましくは、種々のカットオフでのパネルについての1−(特異性)に対する特定パネルのマーカーの感受性についてROC曲線をプロットすることにより決定される。それらの方法においては、対象からのマーカー測定のプロフィールが、診断又は予後の全体的確立(数値の評点として又は%危険性として表される)を提供するために一緒に考慮される。そのような態様においては、一定のサブセットのマーカーの上昇が、1人の患者における特定の診断/予後を示すために十分であり得るが、ところが異なったサブセットのマーカーの上昇はもう1人の患者における同じか又は異なった診断/予後を示すために十分であり得る。
【0088】
計量因子がまた、パネルにおける1又は複数のマーカーに適用され得、例えばマーカーが特定の診断/予後の同定に特別に高い利用性がある場合、それは計算され、その結果、所定のレベルで、それは単独で陽性結果をシグナル化するのに十分である。同様に、計量因子は、特定のマーカーの所定レベルが陽性結果をシグナル化するためのに十分ではないが、しかしもう1つのマーカーがまた分析に寄与する場合、結果を単にシグナル化することを提供できる。
【0089】
一定の態様においては、マーカー及び/又はマーカーパネルは、少なくとも約70%の特異性、より好ましくは少なくとも約80%の特異性、さらにより好ましくは少なくとも約85%の特異性、さらにより好ましくは少なくとも約90%の特異性、及び最も好ましくは少なくとも約95%の特異性を組合して、少なくとも約70%の感受性、より好ましくは少なくとも約80%の感受性、さらにより好ましくは少なくとも約85%の感受性、さらにより好ましくは少なくとも約90%の感受性、及び最も好ましくは少なくとも約95%の感受性を示すように選択される。特に好ましい態様においては、感受性及び特異性の両者は、少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約85%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、及び最も好ましくは少なくとも約95%である。用語“約”とは、本明細書においては、所定の測定値の+/−5%を言及する。
【0090】
他の態様においては、正の見込み比率、負の見込み比率、不平等比率又は危険比率が、危険性を予測するか又は疾病を診断する試験の能力の測定として使用される。正の見込み比率の場合、1の値は、陽性結果が“疾病”及び“対照”グループの両者において、対象間で同等であることを示唆し;1以上の値は、陽性結果が疾病グループにおいて、より可能性があることを示唆;そして1以下の値は、陽性結果が対象グループにおいて、より可能性あることを示唆する。負の見込み比率の場合、1の値は、陰性結果が“疾病”及び“対照”グループの両者において、対象間でたぶん同等であることを示唆し;1以上の値は、陰性結果が、試験グループにおいて、より可能性あることを示唆し;そして1以下の値は、陰性結果が、対照グループにおいて、より可能性あることを示唆する。
【0091】
一定の好ましい態様においては、マーカー及び/又はマーカーパネルは好ましくは、少なくとも約1.5又はそれ以上、又は約0.67又はそれ以下、より好ましくは少なくとも約2又はそれ以上、又は約0.5又はそれ以下、さらにより好ましくは少なくとも約5又はそれ以上、又は約0.2又はそれ以下、さらにより好ましくは少なくとも約10又はそれ以上、又は約0.1又はそれ以下、及び最も好ましくは少なくとも約20又はそれ以上又は約0.05又はそれ以下の正又は負の見込みを比率を示すよう選択される。用語“約”とは、本明細書においては、所定の測定値の+/−5%を言及する。
【0092】
不平等比率の場合、1の値は、陽性結果が、“疾病”及び“対象グループの両者において、対象間でたぶん同等であることを示唆し;それ以上の値は、陽性結果が対照グループにおいて、より可能性があることを示唆する。一定の好ましい態様においては、マーカー及び/又はマーカーパネルは好ましくは、少なくとも約2又はそれ以上、又は約0.5又はそれ以下、より好ましくは少なくとも約3又はそれ以上、又は約0.33又はそれ以下、さらにより好ましくは少なくとも約4又はそれ以上、又は約0.2又はそれ以下、さらにより好ましくは少なくとも約5又はそれ以上、又は約0.2又はそれ以下、及び最も好ましくは少なくとも約10又はそれ以上又は約0.1又はそれ以下の正又は負の不平等比率を示すよう選択される。用語“約”とは、本明細書においては、所定の測定値の+/−5%を言及する。
【0093】
危険性比率の場合、1の値は、エンドポイント(例えば、死亡)の相対的危険性が、“疾病”及び“対照”グループの両者において、等しいことを示唆し;1以上の値は、危険性が疾病グループにおいて高いことを示唆し;そして1以下の値は、危険性が対照グループにおいて高いことを示唆する。一定の好ましい態様においては、マーカー及び/又はマーカーパネルは好ましくは、少なくとも約1.1又はそれ以上、又は約0.91又はそれ以下、より好ましくは少なくとも約1.25又はそれ以上、又は約0.8又はそれ以下、さらにより好ましくは少なくとも約1.5又はそれ以上、又は約0.67又はそれ以下、さらにより好ましくは少なくとも約2又はそれ以上、又は約0.5又はそれ以下、及び最も好ましくは少なくとも約2.5又はそれ以上又は約0.4又はそれ以下の正又は負の危険性比率を示すよう選択される。用語“約”とは、本明細書においては、所定の測定値の+/−5%を言及する。
【0094】
当業者は、診断と、又は未来の臨床結果の予後危険性と、診断又は予後インジケーターとの関連が統計学的分析であることを理解するであろう。例えば、X以上のマーカーレベルは、患者が、統計学的有意性のレベルにより決定される場合、X以下か又はXに等しいレベルを有する患者よりも、たぶん悪い結果を有することをシグナル化することができる。統計学的有意性はしばしば、複数の集団を比較し、そして信頼区間及び/又はp値を決定することにより決定される。例えばDowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York, 1983を参照のこと。本発明の好ましい信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9% 及び 99.99%であり、そして好ましい、値は0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、及び0.0001である。
【0095】
配列:
アドレノメジュリン(プレ−プロ−アドレノメジュリン)の前駆体ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号:1に与えられる。プロ−アドレノメジュリンは、プロ−プロ−アドレノメジュリンの配列のアミノ酸残基22〜185に関する。プロ−アドレノメジュリン(プロ−ADM)のアミノ酸配列は、配列番号:2に与えられる。プロ−ADM N−末端20ペプチド(PAMP)は、プレ−プロADMのアミノ酸残基22−41に関する。PAMのアミノ酸配列は、配列番号:3に与えられる。MR−プロ−アドレノメジュリン(NR−プロ−ADM)は、プレ−プロ−ADMのアミノ酸残基45−92に関する、MR−プロ−ADMのアミノ酸配列は、配列番号:4に与えられる。成熟アドレノメジュリン(ADM)のアミノ酸配列は、配列番号:5に与えられる。
【0096】
ANPのアミノ酸配列は、配列番号:8に与えられる。153アミノ酸プレ−プロANPの配列は、配列番号:6に与えられる。N−末端シグナルペプチド(25個のアミノ酸)及び2個のC−末端アミノ酸(127/128)の切断に基づいて、プロANP(配列番号:7)が放される。ANPは、前駆体プロホルモンプロ−ANPのC−末端からの残基99−126を含んで成る。このプロホルモンは、ANP(1−28)又はα−ANPとも知られている、成熟28アミノ酸ペプチド、及びアミノ末端フラグメントANP(1−98)(NT−プロANP、配列番号:9)に分割される。中央領域プロANP(MR−プロANP)は、NT−プロANP、又はプロANPの少なくともアミノ酸残基53−90(配列番号:10)を含んで成る、そのいずれかのフラグメントとして定義される。
【0097】
バソプレシン(プレ−プロ−バソプレシン)の164個のアミノ酸の前駆体ペプチドの配列は、配列番号11で与えられる。プロ−バソプレシンは、プレ−プロ−バソプレシンの配列のアミノ酸残基29−164に関する。プロ−バソプレシンのアミノ酸配列は、配列番号:12で与えられる。プロ−バソプレシンは、成熟バソプレシン、ニューロフィシンII及びC−末端プロバソプレシン(CT−プロAVP又はコペプチン)に分割される。バソプレシンは、プレ−プロ−バソプレシンのアミノ酸残基20−28に関する。バソプレシンのアミノ酸配列は、配列番号:13で示される。コペプチンは、プレ−プロ−バソプレシンのアミノ酸残基126−164に関する。コペプチンのアミノ酸残基32−124を含んで成り、そしてその配列は配列番号:15で示される。
【0098】
エンドセリン−1(プレ−プロ−エンドセリン−1)の221個のアミノ酸前駆体ペプチドの配列は、配列番号:16で与えられる。プロ−ET−1は、プレ−プロ−ET−1の配列のアミノ酸前記18−212に関する。プロ−ET−1のアミノ酸配列は、配列番号:17で与えられる。プロ−ET−1は、成熟ET−1、big−ET−1及びC−末端プロET-1(CT−プロET−1)に分割される。ET−1はプレ−プロ−ET−1のアミノ酸残基53−73に関する。ET−1のアミノ酸配列は、配列番号:18で示される。CT−プロET−1は、プレ−プロ−ET−1のアミノ酸残基168−212に関する。CT−プロET−1のアミノ酸配列は、配列番号:19で提供される。Big−ET−1は、プレ−プロ−ET−1のアミノ酸残基53−90を含んで成り、そして配列番号:20で示される。
【0099】
脳ナトリウム利尿性ペプチド(プレ−プロ−BNP)の134個のアミノ酸前駆体ペプチドの配列は配列番号:21で与えられる。プロ−BNPは、プレ−プロ−BNPのアミノ酸残基27−134に関する。プロ−BNPの配列は、配列番号22で示される。プロ−BNPは、N−末端プロ−BNP(NT−プロ−BNP)及び成熟BNPに分割される。NT−プロ−BNPは、アミノ酸残基27−102を含んで成り、そしてその配列は配列番号:23で示される。配列番号:24は、プレ−プロ−BNPペプチドのアミノ酸残基103−134を含んで成るBNPの配列を示す。
【0100】
配列番号:1(プレ−プロ−ADMのアミノ酸配列):
1 MKLVSVALMY LGSLAFLGAD TARLDVASEF RKKWNKWALS RGKRELRMSS
51 SYPTGLADVK AGPAQTLIRP QDMKGASRSP EDSSPDAARI RVKRYRQSMN
101 NFQGLRSFGC RFGTCTVQKL AHQIYQFTDK DKDNVAPRSK ISPQGYGRRR
151 RRSLPEAGPG RTLVSSKPQA HGAPAPPSGS APHFL
【0101】
配列番号: 2 (プロ-ADMのアミノ酸配列) :
1 ARLDVASEFR KKWNKWALSR GKRELRMSSS YPTGLADVKA GPAQTLIRPQ
51 DMKGASRSPE DSSPDAARIR VKRYRQSMNN FQGLRSFGCR FGTCTVQKLA
101 HQIYQFTDKD KDNVAPRSKI SPQGYGRRRR RSLPEAGPGR TLVSSKPQAH
151 GAPAPPSGSA PHFL
【0102】
配列番号: 3 (プロ-ADM N20のアミノ酸配列) :
1 ARLDVASEFR KKWNKWALSR
【0103】
配列番号: 4 (MR-プロ-ADMのアミノ酸配列):
1 ELRMSSSYPT GLADVKAGPA QTLIRPQDMK GASRSPEDSS
【0104】
配列番号: 5 (ADMのアミノ酸配列) :
1 YRQSMNNFQG LRSFGCRFGT CTVQKLAHQI YQFTDKDKDN VAPRSKISPQ
51 GY
【0105】
配列番号: 6 (プレ-プロ-ANPのアミノ酸配列) :
1 MSSFSTTTVS FLLLLAFQLL GQTRANPMYN AVSNADLMDF KNLLDHLEEK
51 MPLEDEWPP QVLSEPNEEA GAALSPLPEV PPWTGEVSPA QRDGGALGRG
101 PWDSSDRSAL LKSKLRALLT APRSLRRSSC FGGRMDRIGA QSGLGCNSFR
151 YRR
【0106】
配列番号: 7 (プロ-ANPのアミノ酸配列) :
1 NPMYNAVSNA DLMDFKNLLD HLEEKMPLED EWPPQVLSE PNEEAGAALS
51 PLPEVPPWTG EVSPAQRDGG ALGRGPWDSS DRSALLKSKL RALLTAPRSL
101 RRSSCFGGRM DRIGAQSGLG CNSFRY
【0107】
配列番号: 8 (ANPのアミノ酸配列) :
1 SLRRSSCFGG RMDRIGAQSG LGCNSFRY
【0108】
配列番号: 9 (NT-プロANPのアミノ酸配列) :
1 NPMYNAVSNA DLMDFKNLLD HLEEKMPLED EWPPQVLSE PNEEAGAALS
51 PLPEVPPWTG EVSPAQRDGG ALGRGPWDSS DRSALLKSKL RALLTAPR
【0109】
配列番号: 10 (プロANPのアミノ酸53-90のアミノ酸配列) :
1 PEVPPWTGEV SPAQRDGGAL GRGPWDSSDR SALLKSKL
【0110】
配列番号: 11 (プレ-プロ-AVPのアミノ酸配列) :
1 MPDTMLPACF LGLLAFSSAC YFQNCPRGGK RAMSDLELRQ CLPCGPGGKG
51 RCFGPSICCA DELGCFVGTA EALRCQEENY LPSPCQSGQK ACGSGGRCAA
101 FGVCCNDESC VTEPECREGF HRRARASDRS NATQLDGPAG ALLLRLVQLA
151 GAPEPFEPAQ PDAY
【0111】
配列番号: 12 (プロ-AVPのアミノ酸配列) :
1 CYFQNCPRGG KRAMSDLELR QCLPCGPGGK GRCFGPSICC ADELGCFVGT
51 AEALRCQEEN YLPSPCQSGQ KACGSGGRCA AFGVCCNDES CVTEPECREG
101 FHRRARASDR SNATQLDGPA GALLLRLVQL AGAPEPFEPA QPDAY
【0112】
配列番号: 13 (AVPのアミノ酸配列) :
1 CYFQNCPRG
【0113】
配列番号: 14 (CT-プレ-プロAVP又はコペプチンのアミノ酸配列) :
1 ASDRSNATQL DGPAGALLLR LVQLAGAPEP FEPAQPDAY
【0114】
配列番号: 15 (ニュウロフィシンIIのアミノ酸配列) :
1 AMSDLELRQC LPCGPGGKGR CFGPSICCAD ELGCFVGTAE ALRCQEENYL
51 PSPCQSGQKA CGSGGRCAAF GVCCNDESCV TEPECREGFH RRA
【0115】
配列番号: 16 (プレ-プロ-ET-1のアミノ酸配列) :
1 MDYLLMIFSL LFVACQGAPE TAVLGAELSA VGENGGEKPT PSPPWRLRRS
51 KRCSCSSLMD KECVYFCHLD IIWVNTPEHV VPYGLGSPRS KRALENLLPT
101 KATDRENRCQ CASQKDKKCW NFCQAGKELR AEDIMEKDWN NHKKGKDCSK
151 LGKKCIYQQL VRGRKIRRSS EEHLRQTRSE TMRNSVKSSF HDPKLKGKPS
201 RERYVTHNRA HW
【0116】
配列番号: 17 (プロ-ET-Iのアミノ酸配列) :
1 APETAVLGAE LSAVGENGGE KPTPSPPWRL RRSKRCSCSS LMDKECVYFC
51 HLDIIWVNTP EHWPYGLGS PRSKRALENL LPTKATDREN RCQCASQKDK
101 KCWNFCQAGK ELRAEDIMEK DWNNHKKGKD CSKLGKKCIY QQLVRGRKIR
151 RSSEEHLRQT RSETMRNSVK SSFHDPKLKG KPSRERYVTH NRAHW
【0117】
配列番号: 18 (ET-Iのアミノ酸配列) :
1 CSCSSLMDKE CVYFCHLDII W
【0118】
配列番号: 19 (CT-プロ-ET-1のアミノ酸配列) :
1 RSSEEHLRQT RSETMRNSVK SSFHDPKLKG KPSRERYVTH NRAHW
【0119】
配列番号: 20 (Big-ET-1のアミノ酸配列) :
1 CSCSSLMDKE CVYFCHLDII WVNTPEHWP YGLGSPRS
【0120】
配列番号: 21 (プレ-プロ-BNPのアミノ酸配列) :
1 MDPQTAPSRA LLLLLFLHLA FLGGRSHPLG SPGSASDLET SGLQEQRNHL
51 QGKLSELQVE QTSLEPLQES PRPTGVWKSR EVATEGIRGH RKMVLYTLRA
101 PRSPKMVQGS GCFGRKMDRI SSSSGLGCKV LRRH
【0121】
配列番号: 22 (プロ-BNPのアミノ酸配列) :
1 HPLGSPGSAS DLETSGLQEQ RNHLQGKLSE LQVEQTSLEP LQESPRPTGV
51 WKSREVATEG IRGHRKMVLY TLRAPRSPKM VQGSGCFGRK MDRISSSSGL
101 GCKVLRRH
【0122】
配列番号: 23 (NT-プロ-BNPのアミノ酸配列) :
1 HPLGSPGSAS DLETSGLQEQ RNHLQGKLSE LQVEQTSLEP LQESPRPTGV
51 WKSREVATEG IRGHRKMVLY TLRAPR
【0123】
配列番号:24 (BNPのアミノ酸配列) :
1 SPKMVQGSGC FGRKMDRISS SSGLGCKVLR RH
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は、プレ−プロ−ADMの配列を示す。
【図2】図2は、プロ−ADMの配列を示す。
【図3】図3は、プロ- ADM N20の配列を示す。
【図4】図4は、MR-プロ-ADMの配列を示す。
【図5】図5は、ADMの配列を示す。
【0125】
【図6】図6は、プレ-プロ-ANPの配列を示す。
【図7】図7は、プロ- ANPの配列を示す。
【図8】図8は、ANPの配列を示す。
【図9】図9は、NT-プロ ANPの配列を示す。
【図10】図10は、プロANPのアミノ酸53−90の配列を示す。
【0126】
【図11】図11は、プレ-プロ-AVPの配列を示す。
【図12】図12は、プロ- AVPの配列を示す。
【図13】図13は、AVPの配列を示す。
【図14】図14は、CT-プレ-プロ AVP又はコペプチンの配列を示す。
【図15】図15は、ニューロフィシンIIの配列を示す。
【0127】
【図16】図16は、プレ-プロ-ET-1の配列を示す。
【図17】図17は、プロ-ET-1の配列を示す。
【図18】図18は、ET-1の配列を示す。
【図19】図19は、CT-プロ-ET-1の配列を示す。
【図20】図20は、Big-ET-1の配列を示す。
【0128】
【図21】図21は、プレ-プロ-BNPの配列を示す。
【図22】図22は、プロ-BNPの配列を示す。
【図23】図23は、NT-プロ-BNPの配列を示す。
【図24】図24は、BNPの配列を示す。
【0129】
【図25】図25は、非肥満の正常血圧対象(黒のダイアモンド)、中心性肥満を有する正常血圧対象(空白のダイアモンド)及び高血圧対象(黒の三角)における経口グルコース耐性試験の間の血漿MR−プロANP53-90(A)及び血清インスリン(B)を示し;*:p<0.05 非肥満−対−肥満の正常血圧対象;:p<0.001 肥満の正常血圧−対−高血圧対象;:p<0.01 高血圧−対−非肥満の正常血圧の対象。(C)高インスリン血症性、オイグリセミッククランプにおける血漿MR−プロANP53-90の抑制。(D)それぞれ、25%以下及び75%以上のクランプの定常状態におけるグルコース注入速度(GIR)値として決定される、低及び高インスリン感受性を有する対象におけるデルタMR−プロANP53-90(0-120分)。データは、ボックス−及び−ホイスカ−プロットに示される。ボックスは25%から75%まで拡張し、そしてメジアンでの線は50%を示す。ホイスカ−は、最低値から最高値まで拡張する範囲を表す。
【0130】
【図26】図26は、n=10の対象における、oGTTの後のNT-プロBNP及び MR-プロANP53-90の相対的濃度の比較を示す。
【図27】図27は、(代謝症候群)−120分での相対的MR−プロANP変化率とインスリン感受性の相互関係[インスリン−感受性−指数(ISI又はSI)]を示す:健康な個人について、t=0 ISI>4,5[空腹時];-t=30, 60, 90及び120分 ISI≧6;インスリン耐性を有する個人について、t=30, 60, 90及び120分;-ISI<6
【実施例】
【0131】
研究企画及び方法
研究プロトコール1(OGTT及びクランプ)
研究プロトコールは、Potsdam University and Charite University of Medicine, Berlin, Germanyの論理委員会により許可された。研究の前、書面でのインフォームド・コンセントがすべての参加者から得られた。
【0132】
研究企画
対象は、代謝症候群及びII型糖尿病の病因学の進行中のケースコントロール関係研究(Metabolic Syndrome Berlin-Potsdam Study, MESY-BEPO)の一部である。ドイツのポツダム及びベルリンにおいて、一般集団からのボランティアが募集された。基線試験は、身体測定、血液サンプリング、75gの経口グルコース耐性試験(oGTT)、及び生活習慣及び病歴についての個人のインタビューを包含した。この集団のサブグループ(n=31)は、oGTTの後、別々の日に行われた、高インスリン血症性、オイグリセミッククランプを受けた。
【0133】
対象
108人の非高血圧対象(55人は非肥満であり、そして53人は中心性肥満を有する)、及び実質的な高血圧を有する54人の患者が研究された。高血圧は、140mmHg以上の収縮期血圧、90mmHg以上の拡張期血圧として、又は抗高血圧治療の使用として定義された。すべての薬物処理された高血圧対象は、研究の前、少なくとも6ヶ月、安定した薬物治療を有した。それぞれの正常上限の2倍以上、肝臓酵素における上昇、又は高められた血清クレアチニン濃度(1.3mg/dl以上)、又は一般化された炎症、心不全又は末期悪性疾患を包含する重度の状態を有する対象は、研究から除外された。
【0134】
すべての対象は、彼らの正常な物理的活性を維持するよう、及びoGTT及びクランプ試験の前、3日間、200gの炭水化物を含む通常の食事を消費するよう企画された。抗糖尿病療法又は新しく診断されたII型糖尿病を有する対象は、実験から除かれた。グルコース代謝における障害の定義は、一晩の断食及び2時間の75gのoGTTの後に得られたグルコース値についての1997年アメリカ糖尿病協会基準に基づかれた(2000 Report of the Expert Committee on the Diagnosis and Classification of Diabetes Mellitus. Diabetes Care 23 Suppl 1.S4-19)。
【0135】
実験方法
すべての試験は、12時間(一晩)の断食の後、朝に実施された。BPは、座位での患者と共に、Omron(商標) HEM705CP マノメーター (Omron, Germany)を用いて、訓練された研究ナースにより測定された。3測定値が2分間隔で取られ、そしてその平均が、臨床的収縮期及び拡張期血圧を定義するために使用された。oGTTに関しては、静脈血液サンプルを、経口グルコース負荷に対して、0, 30, 60, 90, 120及び180分で採血した。
【0136】
オイグリセミック高インスリン血症クランプ
高インスリン血症オイグリセミッククランプを、1分当たりm2の体表面当たり100mUのヒトインスリン(アクトラピッド;Novo Nordisk, Bagsvaerd, Denmark)及び20%グルコースの種々の注入(Serag Wiessner, Naila, Germany) (DeFronzo RA, et al. 1979 Glucose clamp technique: a method for quantifying insulin secretion and resistance. Am J Physiol 237.E214-23)を用いて、120分間、実施した。クランプの定常状態において、毛細管血液グルコースを、少なくとも60分間、5.5mモル/lで調節した。仮定された定常状態の間、10%以上の単一毛細管グルコース濃度の逸脱を、非定常状態として定義した。クランプを通して、毛細管血液グルコース濃度を5分ごとにモニターし、そしてグルコースの種々の注入の調節により、血漿グルコースを調節するために使用した。
【0137】
分析方法
すべての静脈血液サンプルをすぐに、遠心分離し、そして分析まで、−70℃で凍結した。毛細管血液グルコース濃度を、Dr. Mueller G-L (Dr. Mueller Glucose analyzer, Freital, Germany)に基づいて、グルコースオキシダーゼ方法を用いて決定した。血清トリグリセリド、合計コレステロール及びHDL−コレステロールを、標準酵素アッセイにより決定し、そしてLDL−コレステロールをそれらのデータから計算した(臨床化学について公認された実験室)。HbA1cを、Hi- Auto AlC HA-8140 システム (Menarini Diagnostics, Germany)を用いて決定した。
【0138】
血清インスリンを、市販の酵素−結合されたイムノソルベントアッセイ(Insulin ELISA, Mercodia AB, Uppsala, Sweden)を用いて測定した。恒常性モデルアセスメントインスリン耐性(HOMA−IR)を、空腹時インスリン(IU/l)×空腹時グルコース(mモル/l)/22.5として計算した(Matthews DR, et al. 1985 Homeostasis model assessment: insulin resistance and beta- cell function from fasting plasma glucose and insulin concentrations in man. Diabetologia 28:412-9)。
【0139】
ヒト血漿MR−プロANP53-90を、上記のようにして決定した(Morgenthaler NG, et al. 2004 Immunoluminometric assay for the midregion of pro-atrial natriuretic peptide in human plasma. Clin Chem 50:234-6)。
NT−プロBNPを、電気化学ルミネセンスイムノアッセイ(ELICIA, Roche Diagnostics, Basel, Switzerland)により決定した。
【0140】
統計学的分析
我々は、研究集団を次の3グループに分けた:実質的な高血圧を有する患者(n=54)、中心性肥満を有する非高血圧対象(n=53)及び中心性肥満を有しない非高血圧対象(n=55)。中心性肥満をATP III −定義された代謝症候群基準に従って診断した(National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III). Third report of the national Cholesterol Education Program(NCEP) expert panel on detection, evaluation, and treatment of high blood cholesterol in adults (Adult Treatment Panel III). Final report. Circulation 2002; 106:3143-3421)。
【0141】
一般的特徴は、平均±SDとして与えられる。すべての他のデータは、平均±SEMとして提供される。すべてのデータは、分析の前、対数転換された。0〜180分のデルタMR-プロANP53-90を、oGTTにおいて計算した。グループ比較を、ANOVA、続いてPost Hoc多重グループ比較としてのSidak試験により実施した。反復された測定のANOVA分析を、3種のグループ間でoGTTの間、MR−プロANP53-90の時間経過の比較のために使用した。相関分析を、ピアソンの相関により行った。
【0142】
クランプ実験においては、インスリン感受性を、定常状態における循環インスリン濃度(pモル/l)により割算された、クランプ試験(少なくとも30分)の定常状態におけるグルコース注入速度(mg/kg体重/分)として定義した。対合されたサンプルについてのノンパラメトリックウィルコクソン符号順位検定を用いて、基線からのデータ及び定常状態におけるデータを比較した。0.05以下のp値は、すべての分析において有意として見なされた。すべての統計学的分析を、Windows(登録商標) 14のためのSPSS(SPSS Inc., Chicago, Illinois)を用いて実施した。
【0143】
結果
研究集団の特徴が表1に要約される。肥満性正常血圧対象は、非肥満性正常血圧対象に比較して、よりインスリン耐性であった:彼らは、より高い空腹時インスリン及び血液グルコース濃度、低いHDL−コレステロール濃度及びトリグリセリドレベル、及び高いSPB及びDBPを有した。高齢、HbA1cレベル及びSBPを除いて、高血圧を有する肥満対象は、BMI、腰周り及びインスリン耐性において、肥満の正常血圧対象に比較できた。
【0144】
MR−プロANP53-90の最低空腹時濃度を、非肥満性正常血圧対象及び高血圧を有する肥満対象に比較して、肥満性正常血圧対象において観察した(53.9 ± 28.0 pモル/1 対 64.1 ± 25.6 pモル/1 及び 77.5 ± 30.8 pモル /1)。年齢及びBMIについての調節の後、その差異は有意のままであった。空腹時MR−プロANP53-90レベルは、正常血圧対象において、年齢(r = 0.429, p < 0.0001)、HDL−コレステロール(r = 0.270, p = 0.006)と有意に且つ陽性的に相互関係し、そしてBMI(r = -0.313, p = 0.001)、DBP(r = -0.251, p = 0.009)、空腹時インスリン(r = -0.276, p = 0.004)及びHOMA−IR指数(r = -0.268, p = 0.005)と陰性的に相互関係した。対照的に、高血圧を有する肥満対象においては、MR−プロANP53−90との陽性相互関係が年齢(r = 0.546, p<0.0001)に制限された。
【0145】
すべての研究対象においては、MR−プロANP53−90レベルは、経口グルコース挑戦の後、30分で急速に低下し、そして全試験の間、抑制されたまま存続した(p<0.0001;基礎レベル−対−oGTTの30, 60, 90, 120及び180分でのレベル)。MR−プロANP53-90の後挑戦濃度は、非肥満の正常血圧対象及び肥満の高血圧対象に比較して、肥満の正常血圧対象において90〜180分、有意に低かった(図25−A)。しかしながら、180分でのMR−プロANP53−90の相対的抑制は類似した(非肥満の正常血圧対象における20.0±13.4%−対−肥満の正常血圧対象における21.4±19.5%−対−高血圧における21.2±13.4%、NS)。
【0146】
インスリンの空腹時及び後グルコース挑戦レベルは、肥満の正常血圧対象において有意に低く(図25B)、そして60〜180分で正常血圧対象におけるMR−プロANP53-90の空腹時及び後挑戦レベルと負に相互関係し(r = -0.198 - -0.358; p < 0.0001 - 0.05)、ところがそれらの相互関係は高血圧対象において一層弱かった。正常血圧及び高血圧対象においてoGTTの間、MR−プロANP53-90レベルと、空腹時及び後挑戦血液グルコースレベルとの相互関係は存在しなかった(データは示されていない)。
【0147】
BNPは健康な対象において生理学的にマイナーな役割を演じるように見えるが、それは通常、ANPに類似する態様で調節される。従って、我々は、NT−プロBNPレベルがまた、経口グルコース挑戦に対応して低下するかどうかを試験した。NT−プロBNPレベルは、10人の対象において評価され、そしてこのサブグループにおいてMR−プロANP53−90に比較された。実際、NT−プロBNPの相対的濃度は、グルコース挑戦の後、低下したが、しかしその応答は、MR−プロANP53−90に比較して、より一過性でより小さかった(図26)。
【0148】
31人の肥満個人(17人の正常血圧対象及び14人の高血圧対象)は、オイグリセミック高インスリン血症クランプを受けた。正常血圧対象は、年齢、BMI、腰周り及びインスリン感受性に関して、高血圧対象と一致した(それぞれ、平均± SE; 30.6 ± 3.5 kg/m2 対 32.0 ± 3.4 kg/m2, p = 0.341; 101.0 ± 7.3 cm 対 103.6 ± 8.8 cm, p = 0.526; 6.1 ± 1.6 mg/kg 体重x 分-1 対 5.5 ± 2.0 mg/kg 体重x 分-1, p = 0.388)。空腹時血液グルコース、インスリン及びMR−プロANP53-90レベルは、正常血圧対象と高血圧対象との間で異ならなかった(それぞれ、平均± SE; 5.2 ± 0.5 mモル/1 対 5.4 ± 0.6 mモル/1; p = 0.147; 66.0 ± 40.2 pモル/1 対 76.2 ± 39.0 pモル/1; p = 0.470; 59.5 ± 18.3 pモル/1 対 61.0 ± 31.5 pモル/1; p = 0.874)。
【0149】
オイグリセミッククランプにおいては、循環インスリンレベルは、正常血圧対象において、クランプの120分で(p=0.489)、1223(範囲708−2106)pモル/lに、及び高血圧対象において、1247(範囲430−1476)pモル/lに上昇した。両グループにおいて、MR−プロANP53-90レベルは、クランプの120分で、基礎値に比較して、有意に低下したが、しかしそれらは、両グループ間で異ならなかった(正常血圧対象におけるΔ MR-プロANP53-90 0-120分 11.1 (-1.3 - 25.1) pモル/1 対 高血圧対象における8.5 (-35.2 - 34.6) pモル/1; p = 0.297)(図25−C)。低及び高インスリン感受性(それぞれ、25%以下及び75%以上のグルコース注入速度値として決定される)を有する対象において、MR−プロANP53−90の抑制において差異は観察されなかった(図25−D)。
【0150】
健康な個人(n=264)における平均MR−プロADM濃度は、0.33nモル/l(標準偏差0.07nモル/l)、範囲0.1−0.64nモル/lであり、99%が0.52モル/lであり、97.5%が0.49nモル/lであり、2.5%が0.17nモル/lであり、1%が0.14nモル/lであった。アッセイの検出下限は0.08nモル/lであった(Morgenthaler et al. 2005. Clin Chem 51(10): 1823-1829)。
【0151】
健康な個人(n=325)におけるメジアンMR−プロANP濃度は、45pモル/l、範囲9.6−313pモル/lであり、99%が197.5pモル/lであり、97.5%が163.9pモル/lであり、2.5%が18.4pモル/lであり、1%が13.6pモル/lであった。アッセイの検出下限は6.0pモル/lであった(Morgenthaler et al. 2004. Clin Chem 50(l):234-236)。
【0152】
健康な個人(n=359)におけるメジアンCT-プロAVP濃度は、4.2pモル/l、範囲1−13.8pモル/lであり、99%が13.5pモル/lであり、97.5%が11.25pモル/lであり、2.5%が1.7pモル/lであった。アッセイの検出下限は1.7pモル/lであった(Morgenthaler et al. 2006. Clin Chem 52(1):112-119)。359人のうち9人の個人は、検出下限以下のCT−プロAVP−値を有し、そして1.0pモル/lとして定義された。
【0153】
健康な個人(n=326)における平均CT−プロETl濃度は、44.3pモル/l(標準偏差10.6pモル/l)、範囲10.5−77.4pモル/lであり、99%が72.8pモル/lであり、97.5%が66.6pモル/lであり、2.5%が24.8pモル/lであり、1%が17.4pモル/lであった。アッセイの検出下限は0.4pモル/lであった(Papassotiriou et al. 2006. Clin Chem 52(6): 1144-1151)。
【0154】
健康な個人(n=2264)における平均NT−プロBNP濃度は5.94pモル/l(標準偏差7.36pモル/l)でありメジアンは32.5pモル/lであり、97.5%が19.94pモル/lであり、そして95%が17.58pモル/lであった。アッセイの検出下限は0.59pモル/lであった。
【0155】
【表1】

【0156】
研究プロトコールは、Charite University of Medicine, Berlin, Germanyの論理委員会により承認された。研究の前、書面のインフォームド・コンセントがすべての参加者から得られた。
【0157】
分析方法(bitte ueberpruefen und ueberarbeiten/ ergaenzen)
すべての静脈血液サンプルをすぐに、遠心分離し、そして分析まで、−70℃で凍結した。毛細管血液グルコース濃度を、Dr. Mueller G-L (Dr. Mueller Glucose analyzer, Freital, Germany)に基づいて、グルコースオキシダーゼ方法を用いて決定した。HbA1cを、Hi- Auto AlC HA-8140 システム (Menarini Diagnostics, Germany)を用いて決定した。血清インスリンを、市販の酵素−結合されたイムノソルベントアッセイ(Insulin ELISA, Mercodia AB, Uppsala, Sweden)を用いて測定した。恒常性モデルアセスメントインスリン耐性(HOMA−IR)を、空腹時インスリン(IU/l)×空腹時グルコース(mモル/l)/22.5として計算した(Matthews DR, et al. 1985 Homeostasis model assessment: insulin resistance and beta- cell function from fasting plasma glucose and insulin concentrations in man. Diabetologia 28:412-9)。
【0158】
ヒト血漿MR−プロANP53-90を、上記のようにして決定した(Morgenthaler NG, et al. 2004 Immunoluminometric assay for the midregion of pro-atrial natriuretic peptide in human plasma. Clin Chem 50:234-6)。
NT−プロBNPを、電気化学ルミネセンスイムノアッセイ(ELICIA, Roche Diagnostics, Basel, Switzerland)により決定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における代謝系及び/又は心血管系及び/又はインスリン耐性の障害の診断、予後、及び/又はモニターリング/治療追跡のためのインビトロ方法であって、
a)前記対象からのサンプルを供給し、
b)前記サンプルにおける1又は複数の心血管マーカーの相対的レベルを決定し、
c)前記対象における代謝系及び/又は心血管系及び/又はインスリン耐性の障害の診断、予後、及び/又はモニターリング/治療追跡のために前記1又は複数の心血管ペプチドの相対的レベルを用いることを含んで成る方法。
【請求項2】
1又は複数の心血管マーカーの食後相対的レベルが決定される、請求項1記載のインビトロ方法。
【請求項3】
前記心血管マーカーが、ANP、BNP、ET-I、ADM、 AVP及びそれらのフラグメント、及びプロホルモン及びそれらのフラグメントを含んで成る群から選択される、請求項1又は2記載のインビトロ方法。
【請求項4】
1又は複数の心血管マーカーの前記相対的レベルが、1nモル/l又はそれ以下、好ましくは100pモル/l又はそれ以下、より好ましくは10pモル/l又はそれ以下、さらにより好ましくは1pモル/l又はそれ以下、最も好ましくは0.5pモル/l又はそれ以下の感受性を有するアッセイにより決定される、請求項1〜3のいずれか1項記載のインビトロ方法。
【請求項5】
前記相対的レベルの決定が、
a.前記対象における1又は複数の心血管マーカーの基礎レベルを決定する段階、
b.前記1又は複数の心血管マーカーの食後レベルを決定する段階、
c.段階a及びbにおいて得られる値から1又は複数の心血管マーカーの相対的レベルを計算する段階を含んで成る、請求項1〜4のいずれか1項記載のインビトロ方法。
【請求項6】
前記対象における、前記心血管マーカーのレベルが、イムノアッセイにより決定される、請求項1〜5のいずれか1項記載のインビトロ方法。
【請求項7】
前記1又は複数の心血管マーカーが、プロANP又はそのフラグメント、プロ−ET−1又はそのフラグメント、プロ−BNP又はそのフラグメント、プロ−AVP又はそのフラグメント、プロ−ADM又はそのフラグメントを含んで成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項記載のインビトロ方法。
【請求項8】
前記対象のマーカーの基礎レベルに対する、対象の1又は複数の心血管マーカーのレベルの変化を決定するためへの、前記1又は複数の心血管マーカーのレベルの下降を検出でき、そして前記1又は複数の心血管マーカーのレベルの上昇を検出できるいずれかのアッセイの使用。
【請求項9】
前記変化が、上昇又は下降であり、そして前記アッセイが1nモル/l又はそれ以下の感受性を有する、請求項8記載のいずれかのアッセイの使用。
【請求項10】
前記対象のマーカーの基礎レベルに対する対象の1又は複数の心血管マーカーのレベルの食後変化を決定するためへの請求項8又は9記載のアッセイの使用。
【請求項11】
前記アッセイがイムノアッセイである、請求項7〜10のいずれか1項記載のアッセイの使用。
【請求項12】
対象における代謝系及び/又は心血管系及び/又はインスリン耐性の障害の診断、予後、及び/又はモニターリング/治療追跡のためへの請求項7〜11のいずれか1項記載のアッセイの使用。
【請求項13】
さらに、前記代謝系及び/又は心血管系の障害についての前記患者の傾向を分類するための予測値を有する1又は複数の追加のマーカー又は臨床パラメーターのレベルが決定され、ここで前記臨床パラメーターは、前記傾向に影響を及ぼすいずれかのパラメーター、例えば、年齢、性別、これまでの病歴、特に高血圧、肥満、特に中心性肥満、肥満指数、遺伝的傾向/家族歴、民族的背景、前記傾向に影響を及ぼす患者の習慣、例えば喫煙、アルコール消費、食事、運動又は薬物治療であり得る、請求項1〜7のいずれか1項記載のインビトロ方法。
【請求項14】
患者の代謝系及び/又は心血管系の障害の診断、予後、及び/又はモニターリング/治療追跡のためへの心血管ペプチドの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2012−507019(P2012−507019A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533625(P2011−533625)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007922
【国際公開番号】WO2010/049178
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(508093584)ベー.エル.アー.ハー.エム.エス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (27)
【Fターム(参考)】