仮名漢字予測変換装置
【課題】 予測変換機能における変換候補を柔軟に編集し、効率的な仮名漢字変換作業を可能にすること。
【解決手段】 入力仮名文字列に対する変換候補を過去の変換工程で確定した変換候補文字列が格納されている学習データ格納部から検索し、表示する予測変換機能を有する仮名漢字予測変換装置において、
前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を削除する削除機能、変換工程で表示された変換候補文字列を前記学習データ格納部に追加する追加機能、前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を修正する修正機能、変換候補として表示する文字列の表示優先度を設定する優先度設定機能および各変換候補文字列の表示順を設定する表示順設定部の少なくとも1つの機能を設けたことを特徴とする。
【解決手段】 入力仮名文字列に対する変換候補を過去の変換工程で確定した変換候補文字列が格納されている学習データ格納部から検索し、表示する予測変換機能を有する仮名漢字予測変換装置において、
前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を削除する削除機能、変換工程で表示された変換候補文字列を前記学習データ格納部に追加する追加機能、前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を修正する修正機能、変換候補として表示する文字列の表示優先度を設定する優先度設定機能および各変換候補文字列の表示順を設定する表示順設定部の少なくとも1つの機能を設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などに使用して好適な仮名漢字予測変換装置に関し、詳しくは変換候補の編集機能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機での日本語文字列入力においては、仮名漢字変換機能としてより少ない打鍵により多くの文字列の入力、仮名漢字変換を実現するために、予測変換機能が広く知られている。
下記特許文献1に記載のものは、仮名漢字変換での打鍵数を減らし予測・決定するものである。この特許文献1では、様々な予測方法として、入力仮名文字のバッファへの格納、および変換結果を別のバッファへ格納し、以降の仮名漢字変換時にそのバッファ内容を参照し、入力文字列の直後に続く文字列を予測し、決定する方式を示したものである。
また、下記特許文献2に記載のものは、予測変換機能における、利用者の希望する順に変換候補を表示するものである。仮名漢字変換時に変換候補から画数などの様々な情報を元に表示順を決定し、利用者の決定した変換候補を学習するものである。
【0003】
【特許文献1】特開平07−334499号公報
【特許文献2】特開平08−255159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2における変換候補の予測方法においては、様々な方法で変換候補としてバッファやメモリに格納しそれを利用することにより、より利用者の希望する変換候補に近いものを優先的に表示することは可能となるものの、間違った変換候補情報や、優先順位に対しての補正を行うことができず、効率的な仮名漢字変換に支障が出る場合がある問題がある。
【0005】
本発明の目的は、予測変換機能における変換候補を柔軟に編集し、効率的な仮名漢字変換作業を行うことができる仮名漢字予測変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、入力仮名文字列に対する変換候補を過去の変換工程で確定した変換候補文字列が格納されている学習データ格納部から検索し、表示する予測変換機能を有する仮名漢字予測変換装置において、
前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を削除する削除部、変換工程で表示された変換候補文字列を前記学習データ格納部に追加する追加部、前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を修正する修正部、変換候補として表示する文字列の表示優先度を設定する優先度設定部および各変換候補文字列の表示順を設定する表示順設定部の少なくとも1つの機能を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、仮名漢字変換機能を使用する際に従来の予測変換機能での変換候補の中からより効率的に希望する変換文字列へ到達することが可能となり、打鍵数をさらに削減し、かつ入力時間をさらに短縮し、効率的に仮名漢字変換を行うことが可能になり、携帯電話機などの文字キーの数が少ない情報機器において極めて有効な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施する場合の一形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の仮名漢字予測変換装置の実施の形態を示す機能ブロック図である。
本実施形態の仮名漢字予測変換装置は、図1に示すように、入力装置(11)、入出力制御部(12)、表示装置(13)、予測変換処理部(14)、表示順決定部(15)、学習データ検索部(16)、学習データ削除部(17)、学習データ格納部(18)、仮名漢字変換処理部(19)、辞書部(20)から構成されている。
入力装置(11)は、仮名文字など入力を行う携帯電話機の数字キーなどによるキー入力装置である。
入出力制御部(12)は、入出力信号の制御を行う。表示装置(13)は、携帯電話機では一般的にLCD(液晶デバイス)からなり、仮名漢字予測変換候補や変換結果などを出力する。
予測変換処理部(14)は、入力仮名文字列から入力された文字列で開始する仮名漢字変換候補の生成や、同音語で開始する変換候補を予測し、表示順序の決定処理などを行う。
表示順決定部(15)は、同音語で開始する変換候補の表示出力順位を決定する。
学習データ検索部(16)は、変換候補学習データの検索を行う。学習データ削除部(17)は、変換候補学習データの削除を行う。学習データ格納部(18)は、学習された変換情報を変換候補として格納するためのものである。
仮名漢字変換処理部(19)は、予測変換候補に利用者所望の変換文字列が無い場合に、仮名漢字変換機能を提供する。
辞書部(20)は、仮名漢字変換機能にて利用する、読みや表記などからなる単語辞書を保持し、変換候補の検索を行うものである。
予測変換処理部(14)、表示順決定部(15)、学習データ検索部(16)、学習データ削除部(17)、仮名漢字変換処理部(19)は具体的にはプログラムによって実現される。
辞書部(20)、学習データ格納部(18)は具体的にはメモリによって構成される。
【0009】
図2は、図1における仮名漢字変換装置の動作を説明するためのフローチャートである。
以下、各ステップに従い順に説明する。
まず、利用者によって入力装置11から入力された仮名文字を順次読み込み(ステップA1)、学習データ検索部16により得られる検索結果(ステップA2,A3)を元に、変換候補を順次表示する。このとき、変換候補が複数存在した場合には、学習データ格納部(18)に格納された各変換候補の選択頻度や変換履歴情報などの変換実績の情報を元にして、表示順決定部(15)により、選択頻度の高い変換候補から順に表示順を決定し(ステップA4)、表示装置13上に変換候補を表示する(ステップA5)。
この時、利用者が表示された変換候補の一つを選択し(ステップA6)、利用者が入力装置11から削除指示の信号を入力した場合(ステップA7)、学習データ削除部17により選択した変換候補を学習データ格納部(18)から削除する(ステップA8)。
利用者が削除指示を行わず(ステップA7)、入力装置(11)から確定指示の信号を入力した場合(ステップA9)は、一般的な予測変換処理機能で行われるように、学習データ(18)の変換候補学習データに対して変換履歴の情報として更新を行う(ステップA10)。
利用者が確定指示を行わず(ステップA9)、入力装置(11)から変換指示の信号を入力した場合には(ステップA11)、一般的な仮名漢字変換処理部(19)により文書作成処理が行われる。この変換指示も行わず、文字入力を続ける場合、入力文字列は1文字追加され、入力文字列の読み込みを行い(ステップA1)、予測仮名漢字変換処理が継続される。
【0010】
このようにして、変換候補学習データに存在する変換候補のうち、利用者が変換候補として表示する必要のないデータを指示した場合には、その変換候補の学習データを削除することができ、これにより、以後の予測変換処理時の効率を向上出来る。
例えば、過去に仮名漢字変換を実施した結果として、「へん」で開始される変換候補文字列が図7のように学習データ格納部(18)に格納された状態である場合、この学習データ格納部(18)に格納された表示順に従って変換候補が表示される。ここに表した表示順は、学習データ検索部(16)により抽出された変換候補に対し、選択頻度や変換履歴情報から表示順決定部(15)により決定された表示順である。
ここで、利用者が以前誤って変換を確定した文字列である、「へん完」という候補を利用者が削除したい場合、この候補を選択し、学習データ削除部(17)により削除指示信号を入力することにより、学習データ格納部(18)に格納された「へん」で開始される変換候補文字列は図8のように更新される。
この操作により、表示される変換候補が図8の文字列となり、この結果、以後利用者は必要のない変換候補文字列を参照せずに効率的な予測変換機能を利用した作業が実施可能となる。
【0011】
図3は、本発明の第2の実施の形態を示す機能ブロック図であり、図1の構成に対し、学習データ追加機能(21)と学習データ修正部(22)を付加したものである。なお、図1と同一部分は同一符号で表している。
図3において、学習データ追加機能(21)は、変換候補学習データに対し新規でデータを追加する機能である。学習データ修正部(22)は、変換候補学習データに既に存在するデータの内容を修正する。
【0012】
図4は、図3における仮名漢字変換装置の動作を説明するためのフローチャートである。
本動作を行う場面としては、日本語入力の目的ではなく、一般的な予測変換処理機能の持つ、変換候補学習データを編集する目的での作業を指す。しかし、学習データ格納部(18)に格納された変換候補を特定する手段としては、通常の文字入力時の予測変換機能での変換候補表示と同等の機能を利用する。
以下、各ステップに従い順に説明を記す。
図2のフローチャートの説明で述べたのと同様、利用者によって入力装置(11)から入力された仮名文字を順次読み込み(ステップB1)、学習データ検索部(16)により得られる検索結果(ステップB2,B3)を元に、変換候補を順次表示する。このとき変換候補が複数存在した場合には、学習データ格納部(18)に格納された各変換候補の選択頻度や変換履歴情報などの変換実績の情報を元にして、表示順決定部(15)により、選択頻度の高い変換候補から順に表示順を決定し(ステップB4)、表示装置(13)上に変換候補を表示する(ステップB5)。
この時、利用者が入力装置31から表示された変換候補の一つを選択し(ステップB6)、削除指示の信号を入力した場合(ステップB7)、学習データ削除部(17)により選択した変換候補を学習データ格納部(18)から削除する(ステップB8)。
利用者が削除指示を行わず(ステップB7)、入力装置(11)から修正指示の信号を入力した場合(ステップB9)は、一般的な仮名漢字変換処理を行い(ステップB11)、確定した文字列をステップB6で選択した編集候補を学習データ格納部(18)に対し置き換える。
修正指示を行わない場合(ステップB9)に、入力装置(11)から追加指示の信号を入力した(ステップB10)時、一般的な仮名漢字変換処理を行い、確定した文字列を学習データ格納部(18)に対し追加する。
利用者が追加指示も行わず文字入力を続ける場合(ステップB10)、入力文字列は1文字追加され、入力文字列の読み込みを行い(ステップB1)、予測仮名漢字変換処理が継続される。
【0013】
このようにして、学習データ格納部(18)に存在する変換候補データに対し、利用者が所望する変換候補の追加、削除、編集が可能となる。
例として過去に仮名漢字変換を実施した結果として、「へん」で開始される変換候補文字列が図9のように学習データ格納部(18)に格納された状態である場合、この学習データ格納部(18)に格納された表示順に従って変換候補が表示される。ここに表した表示順は、学習データ検索部(16)により抽出された変換候補に対し、選択頻度や変換履歴情報から表示順決定部(15)により決定された表示順である。
ここで、利用者が以前誤って変換を確定した文字列である、「へん完」という候補を利用者が修正したい場合、この候補を選択し、学習データ修正部(22)により修正指示信号を入力し、さらに仮名漢字変換処理部(19)の機能を利用し、「へん完」を「変換」と置き換えることが可能である。
これにより、学習データ格納部(18)に格納された「へん」で開始される変換候補文字列は図10のように更新される。この操作により、表示される予測変換候補を利用者の所望する変換候補とすることが可能となる。また、変換候補文字列が図10の状態であり、利用者が「変更」という変換候補文字列を追加したい場合、学習データ追加機能(21)により追加指示信号を入力し、さらに仮名漢字変換処理部(19)の機能を利用し、変換候補文字列として新たに追加する機能を提供することが可能である。これによって学習データ格納部(18)には、図11のような変換候補文字列が格納された状態となる。
追加機能については、ある変換候補を選択し、その一つ上の表示順に追加するといった機能も可能であるし、必ず1番目の表示順として追加することも可能である。
【0014】
図5は、本発明の第3の実施の形態を示す機能ブロック図である。
本実施形態の仮名漢字予測変換装置は、図3の学習データ削除部(17)、学習データ修正部(22)に代えて、表示優先度設定部(23)、表示順設定部(24)を設けたものである。
表示優先度設定部(23)は、予測変換候補表示時に利用者が変換候補の優先度を設定する手順を提供する。表示順設定部(24)は、変換候補の学習データ格納部(18)に対する表示順決定部(15)により参照される優先度情報の設定を行う。
【0015】
図6は、図5における仮名漢字変換装置の動作を説明するためのフローチャートである。
本動作を行う場面としては、日本語入力の目的ではなく、一般的な予測変換処理機能の持つ、変換候補学習データを編集する目的での作業を指す。しかし、学習データ格納部(18)に格納された変換候補を特定する手段としては、通常の文字入力時の予測変換機能での変換候補表示と同等の機能を利用する。
以下、各ステップに従い順に説明する。
図2のフローチャートの説明で述べたのと同様、利用者によって入力装置(11)から入力された仮名文字を順次読み込み(ステップC1)、学習データ検索部(16)により得られる検索結果(ステップC3)を元に、変換候補を順次表示する。このとき変換候補が複数存在した場合には、学習データ格納部(18)に格納された各変換候補の選択頻度や変換履歴情報などの変換実績の情報を元にして、表示順決定部(15)により、選択頻度の高い変換候補から順に表示順を決定し(ステップC4)、表示装置(13)上に変換候補を表示する(ステップC5)。
この時、利用者が入力装置(11)から追加指示の信号を入力することで(ステップC6)、一般的な仮名漢字変換処理を行い(ステップC7)、確定した文字列を学習データ格納部(18)に対し追加する。
また、ステップC6での追加指示の信号を送信しない場合、表示装置(13)に表示された編集候補の中から一つを選択する(ステップC9)。
ステップC8で変換候補を追加した場合、およびステップC10で編集候補選択をした段階で、表示優先度設定部(23)の表示優先度選択画面での優先度選択が可能となる。利用者が表示優先度設定指示の信号を入力装置(11)から送信した場合、表示順設定部(24)により変換候補学習データを更新する(ステップC11)。
ここで設定した学習データ格納部(18)内の表示順設定データを参照し、次回以降、予測変換処理部(14)において表示順決定部(15)により、利用者の所望する変換候補文字列が、予測変換処理部(14)において表示順を制御することが可能となる。
【0016】
表示順データの修正機能では、図12のように学習データ格納部(18)に格納された状態である場合、この学習データ格納部(18)に格納された表示順に従って変換候補が表示される。ここに表した表示順は、学習データ検索部(16)により抽出された変換候補に対し、選択頻度や変換履歴情報から表示順決定部(15)により決定された表示順である。ここで、利用者がこれらの変換候補のうち、「表示順5」となっている「編集」を選択し、この候補の表示順を指定したい場合、この候補を選択し、表示優先度設定部(24)により表示順を指定することが可能となる。
例えば表示順を「1」としたい場合、入力装置(11)より「表示順1」を指定する信号を入力すると、学習データ格納部(18)に格納された変換候補は図13のようになる。このとき、表示優先度設定部(23)により指定した表示順は、学習データ格納部(18)にて明示的に指定された表示順として扱われ、図14のように、例えば優先フラグのような項目にて管理される。
表示順決定部(15)により表示順を決定する際には、この優先フラグを参照し、選択頻度や変換履歴情報から決定される表示順より優先して表示順を割り当てられるよう設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の構成における変換処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図4】図3の構成における変換処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図6】図5の構成における変換処理手順を示すフローチャートである。
【図7】変換候補削除機能における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その1)である。
【図8】変換候補削除機能における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その2)である。
【図9】変換候補編集機能における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その1)である。
【図10】変換候補編集機能における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その2)である。
【図11】変換候補編集機能における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その3)である。
【図12】表示優先度設定部における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その1)である。
【図13】表示優先度設定部における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その2)である。
【図14】表示優先度設定部における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その3)である。
【符号の説明】
【0018】
11…入力装置、12…入出力制御部、13…表示装置、14…予測変換処理部、15…表示順決定部、16…学習データ検索部、17…学習データ削除部、18…学習データ格納部、19…仮名漢字変換処理部、20…辞書部、21…学習データ追加機能、22…学習データ修正部、23…表示優先度設定部、24…表示順設定部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などに使用して好適な仮名漢字予測変換装置に関し、詳しくは変換候補の編集機能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機での日本語文字列入力においては、仮名漢字変換機能としてより少ない打鍵により多くの文字列の入力、仮名漢字変換を実現するために、予測変換機能が広く知られている。
下記特許文献1に記載のものは、仮名漢字変換での打鍵数を減らし予測・決定するものである。この特許文献1では、様々な予測方法として、入力仮名文字のバッファへの格納、および変換結果を別のバッファへ格納し、以降の仮名漢字変換時にそのバッファ内容を参照し、入力文字列の直後に続く文字列を予測し、決定する方式を示したものである。
また、下記特許文献2に記載のものは、予測変換機能における、利用者の希望する順に変換候補を表示するものである。仮名漢字変換時に変換候補から画数などの様々な情報を元に表示順を決定し、利用者の決定した変換候補を学習するものである。
【0003】
【特許文献1】特開平07−334499号公報
【特許文献2】特開平08−255159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2における変換候補の予測方法においては、様々な方法で変換候補としてバッファやメモリに格納しそれを利用することにより、より利用者の希望する変換候補に近いものを優先的に表示することは可能となるものの、間違った変換候補情報や、優先順位に対しての補正を行うことができず、効率的な仮名漢字変換に支障が出る場合がある問題がある。
【0005】
本発明の目的は、予測変換機能における変換候補を柔軟に編集し、効率的な仮名漢字変換作業を行うことができる仮名漢字予測変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、入力仮名文字列に対する変換候補を過去の変換工程で確定した変換候補文字列が格納されている学習データ格納部から検索し、表示する予測変換機能を有する仮名漢字予測変換装置において、
前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を削除する削除部、変換工程で表示された変換候補文字列を前記学習データ格納部に追加する追加部、前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を修正する修正部、変換候補として表示する文字列の表示優先度を設定する優先度設定部および各変換候補文字列の表示順を設定する表示順設定部の少なくとも1つの機能を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、仮名漢字変換機能を使用する際に従来の予測変換機能での変換候補の中からより効率的に希望する変換文字列へ到達することが可能となり、打鍵数をさらに削減し、かつ入力時間をさらに短縮し、効率的に仮名漢字変換を行うことが可能になり、携帯電話機などの文字キーの数が少ない情報機器において極めて有効な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施する場合の一形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の仮名漢字予測変換装置の実施の形態を示す機能ブロック図である。
本実施形態の仮名漢字予測変換装置は、図1に示すように、入力装置(11)、入出力制御部(12)、表示装置(13)、予測変換処理部(14)、表示順決定部(15)、学習データ検索部(16)、学習データ削除部(17)、学習データ格納部(18)、仮名漢字変換処理部(19)、辞書部(20)から構成されている。
入力装置(11)は、仮名文字など入力を行う携帯電話機の数字キーなどによるキー入力装置である。
入出力制御部(12)は、入出力信号の制御を行う。表示装置(13)は、携帯電話機では一般的にLCD(液晶デバイス)からなり、仮名漢字予測変換候補や変換結果などを出力する。
予測変換処理部(14)は、入力仮名文字列から入力された文字列で開始する仮名漢字変換候補の生成や、同音語で開始する変換候補を予測し、表示順序の決定処理などを行う。
表示順決定部(15)は、同音語で開始する変換候補の表示出力順位を決定する。
学習データ検索部(16)は、変換候補学習データの検索を行う。学習データ削除部(17)は、変換候補学習データの削除を行う。学習データ格納部(18)は、学習された変換情報を変換候補として格納するためのものである。
仮名漢字変換処理部(19)は、予測変換候補に利用者所望の変換文字列が無い場合に、仮名漢字変換機能を提供する。
辞書部(20)は、仮名漢字変換機能にて利用する、読みや表記などからなる単語辞書を保持し、変換候補の検索を行うものである。
予測変換処理部(14)、表示順決定部(15)、学習データ検索部(16)、学習データ削除部(17)、仮名漢字変換処理部(19)は具体的にはプログラムによって実現される。
辞書部(20)、学習データ格納部(18)は具体的にはメモリによって構成される。
【0009】
図2は、図1における仮名漢字変換装置の動作を説明するためのフローチャートである。
以下、各ステップに従い順に説明する。
まず、利用者によって入力装置11から入力された仮名文字を順次読み込み(ステップA1)、学習データ検索部16により得られる検索結果(ステップA2,A3)を元に、変換候補を順次表示する。このとき、変換候補が複数存在した場合には、学習データ格納部(18)に格納された各変換候補の選択頻度や変換履歴情報などの変換実績の情報を元にして、表示順決定部(15)により、選択頻度の高い変換候補から順に表示順を決定し(ステップA4)、表示装置13上に変換候補を表示する(ステップA5)。
この時、利用者が表示された変換候補の一つを選択し(ステップA6)、利用者が入力装置11から削除指示の信号を入力した場合(ステップA7)、学習データ削除部17により選択した変換候補を学習データ格納部(18)から削除する(ステップA8)。
利用者が削除指示を行わず(ステップA7)、入力装置(11)から確定指示の信号を入力した場合(ステップA9)は、一般的な予測変換処理機能で行われるように、学習データ(18)の変換候補学習データに対して変換履歴の情報として更新を行う(ステップA10)。
利用者が確定指示を行わず(ステップA9)、入力装置(11)から変換指示の信号を入力した場合には(ステップA11)、一般的な仮名漢字変換処理部(19)により文書作成処理が行われる。この変換指示も行わず、文字入力を続ける場合、入力文字列は1文字追加され、入力文字列の読み込みを行い(ステップA1)、予測仮名漢字変換処理が継続される。
【0010】
このようにして、変換候補学習データに存在する変換候補のうち、利用者が変換候補として表示する必要のないデータを指示した場合には、その変換候補の学習データを削除することができ、これにより、以後の予測変換処理時の効率を向上出来る。
例えば、過去に仮名漢字変換を実施した結果として、「へん」で開始される変換候補文字列が図7のように学習データ格納部(18)に格納された状態である場合、この学習データ格納部(18)に格納された表示順に従って変換候補が表示される。ここに表した表示順は、学習データ検索部(16)により抽出された変換候補に対し、選択頻度や変換履歴情報から表示順決定部(15)により決定された表示順である。
ここで、利用者が以前誤って変換を確定した文字列である、「へん完」という候補を利用者が削除したい場合、この候補を選択し、学習データ削除部(17)により削除指示信号を入力することにより、学習データ格納部(18)に格納された「へん」で開始される変換候補文字列は図8のように更新される。
この操作により、表示される変換候補が図8の文字列となり、この結果、以後利用者は必要のない変換候補文字列を参照せずに効率的な予測変換機能を利用した作業が実施可能となる。
【0011】
図3は、本発明の第2の実施の形態を示す機能ブロック図であり、図1の構成に対し、学習データ追加機能(21)と学習データ修正部(22)を付加したものである。なお、図1と同一部分は同一符号で表している。
図3において、学習データ追加機能(21)は、変換候補学習データに対し新規でデータを追加する機能である。学習データ修正部(22)は、変換候補学習データに既に存在するデータの内容を修正する。
【0012】
図4は、図3における仮名漢字変換装置の動作を説明するためのフローチャートである。
本動作を行う場面としては、日本語入力の目的ではなく、一般的な予測変換処理機能の持つ、変換候補学習データを編集する目的での作業を指す。しかし、学習データ格納部(18)に格納された変換候補を特定する手段としては、通常の文字入力時の予測変換機能での変換候補表示と同等の機能を利用する。
以下、各ステップに従い順に説明を記す。
図2のフローチャートの説明で述べたのと同様、利用者によって入力装置(11)から入力された仮名文字を順次読み込み(ステップB1)、学習データ検索部(16)により得られる検索結果(ステップB2,B3)を元に、変換候補を順次表示する。このとき変換候補が複数存在した場合には、学習データ格納部(18)に格納された各変換候補の選択頻度や変換履歴情報などの変換実績の情報を元にして、表示順決定部(15)により、選択頻度の高い変換候補から順に表示順を決定し(ステップB4)、表示装置(13)上に変換候補を表示する(ステップB5)。
この時、利用者が入力装置31から表示された変換候補の一つを選択し(ステップB6)、削除指示の信号を入力した場合(ステップB7)、学習データ削除部(17)により選択した変換候補を学習データ格納部(18)から削除する(ステップB8)。
利用者が削除指示を行わず(ステップB7)、入力装置(11)から修正指示の信号を入力した場合(ステップB9)は、一般的な仮名漢字変換処理を行い(ステップB11)、確定した文字列をステップB6で選択した編集候補を学習データ格納部(18)に対し置き換える。
修正指示を行わない場合(ステップB9)に、入力装置(11)から追加指示の信号を入力した(ステップB10)時、一般的な仮名漢字変換処理を行い、確定した文字列を学習データ格納部(18)に対し追加する。
利用者が追加指示も行わず文字入力を続ける場合(ステップB10)、入力文字列は1文字追加され、入力文字列の読み込みを行い(ステップB1)、予測仮名漢字変換処理が継続される。
【0013】
このようにして、学習データ格納部(18)に存在する変換候補データに対し、利用者が所望する変換候補の追加、削除、編集が可能となる。
例として過去に仮名漢字変換を実施した結果として、「へん」で開始される変換候補文字列が図9のように学習データ格納部(18)に格納された状態である場合、この学習データ格納部(18)に格納された表示順に従って変換候補が表示される。ここに表した表示順は、学習データ検索部(16)により抽出された変換候補に対し、選択頻度や変換履歴情報から表示順決定部(15)により決定された表示順である。
ここで、利用者が以前誤って変換を確定した文字列である、「へん完」という候補を利用者が修正したい場合、この候補を選択し、学習データ修正部(22)により修正指示信号を入力し、さらに仮名漢字変換処理部(19)の機能を利用し、「へん完」を「変換」と置き換えることが可能である。
これにより、学習データ格納部(18)に格納された「へん」で開始される変換候補文字列は図10のように更新される。この操作により、表示される予測変換候補を利用者の所望する変換候補とすることが可能となる。また、変換候補文字列が図10の状態であり、利用者が「変更」という変換候補文字列を追加したい場合、学習データ追加機能(21)により追加指示信号を入力し、さらに仮名漢字変換処理部(19)の機能を利用し、変換候補文字列として新たに追加する機能を提供することが可能である。これによって学習データ格納部(18)には、図11のような変換候補文字列が格納された状態となる。
追加機能については、ある変換候補を選択し、その一つ上の表示順に追加するといった機能も可能であるし、必ず1番目の表示順として追加することも可能である。
【0014】
図5は、本発明の第3の実施の形態を示す機能ブロック図である。
本実施形態の仮名漢字予測変換装置は、図3の学習データ削除部(17)、学習データ修正部(22)に代えて、表示優先度設定部(23)、表示順設定部(24)を設けたものである。
表示優先度設定部(23)は、予測変換候補表示時に利用者が変換候補の優先度を設定する手順を提供する。表示順設定部(24)は、変換候補の学習データ格納部(18)に対する表示順決定部(15)により参照される優先度情報の設定を行う。
【0015】
図6は、図5における仮名漢字変換装置の動作を説明するためのフローチャートである。
本動作を行う場面としては、日本語入力の目的ではなく、一般的な予測変換処理機能の持つ、変換候補学習データを編集する目的での作業を指す。しかし、学習データ格納部(18)に格納された変換候補を特定する手段としては、通常の文字入力時の予測変換機能での変換候補表示と同等の機能を利用する。
以下、各ステップに従い順に説明する。
図2のフローチャートの説明で述べたのと同様、利用者によって入力装置(11)から入力された仮名文字を順次読み込み(ステップC1)、学習データ検索部(16)により得られる検索結果(ステップC3)を元に、変換候補を順次表示する。このとき変換候補が複数存在した場合には、学習データ格納部(18)に格納された各変換候補の選択頻度や変換履歴情報などの変換実績の情報を元にして、表示順決定部(15)により、選択頻度の高い変換候補から順に表示順を決定し(ステップC4)、表示装置(13)上に変換候補を表示する(ステップC5)。
この時、利用者が入力装置(11)から追加指示の信号を入力することで(ステップC6)、一般的な仮名漢字変換処理を行い(ステップC7)、確定した文字列を学習データ格納部(18)に対し追加する。
また、ステップC6での追加指示の信号を送信しない場合、表示装置(13)に表示された編集候補の中から一つを選択する(ステップC9)。
ステップC8で変換候補を追加した場合、およびステップC10で編集候補選択をした段階で、表示優先度設定部(23)の表示優先度選択画面での優先度選択が可能となる。利用者が表示優先度設定指示の信号を入力装置(11)から送信した場合、表示順設定部(24)により変換候補学習データを更新する(ステップC11)。
ここで設定した学習データ格納部(18)内の表示順設定データを参照し、次回以降、予測変換処理部(14)において表示順決定部(15)により、利用者の所望する変換候補文字列が、予測変換処理部(14)において表示順を制御することが可能となる。
【0016】
表示順データの修正機能では、図12のように学習データ格納部(18)に格納された状態である場合、この学習データ格納部(18)に格納された表示順に従って変換候補が表示される。ここに表した表示順は、学習データ検索部(16)により抽出された変換候補に対し、選択頻度や変換履歴情報から表示順決定部(15)により決定された表示順である。ここで、利用者がこれらの変換候補のうち、「表示順5」となっている「編集」を選択し、この候補の表示順を指定したい場合、この候補を選択し、表示優先度設定部(24)により表示順を指定することが可能となる。
例えば表示順を「1」としたい場合、入力装置(11)より「表示順1」を指定する信号を入力すると、学習データ格納部(18)に格納された変換候補は図13のようになる。このとき、表示優先度設定部(23)により指定した表示順は、学習データ格納部(18)にて明示的に指定された表示順として扱われ、図14のように、例えば優先フラグのような項目にて管理される。
表示順決定部(15)により表示順を決定する際には、この優先フラグを参照し、選択頻度や変換履歴情報から決定される表示順より優先して表示順を割り当てられるよう設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の構成における変換処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図4】図3の構成における変換処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図6】図5の構成における変換処理手順を示すフローチャートである。
【図7】変換候補削除機能における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その1)である。
【図8】変換候補削除機能における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その2)である。
【図9】変換候補編集機能における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その1)である。
【図10】変換候補編集機能における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その2)である。
【図11】変換候補編集機能における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その3)である。
【図12】表示優先度設定部における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その1)である。
【図13】表示優先度設定部における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その2)である。
【図14】表示優先度設定部における学習データ格納部の内容の一例を示す説明図(その3)である。
【符号の説明】
【0018】
11…入力装置、12…入出力制御部、13…表示装置、14…予測変換処理部、15…表示順決定部、16…学習データ検索部、17…学習データ削除部、18…学習データ格納部、19…仮名漢字変換処理部、20…辞書部、21…学習データ追加機能、22…学習データ修正部、23…表示優先度設定部、24…表示順設定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力仮名文字列に対する変換候補を過去の変換工程で確定した変換候補文字列が格納されている学習データ格納部から検索し、表示する予測変換機能を有する仮名漢字予測変換装置において、
前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を削除する削除部、変換工程で表示された変換候補文字列を前記学習データ格納部に追加する追加部、前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を修正する修正部、変換候補として表示する文字列の表示優先度を設定する優先度設定部および各変換候補文字列の表示順を設定する表示順設定部の少なくとも1つの機能を設けたことを特徴とする仮名漢字予測変換装置。
【請求項1】
入力仮名文字列に対する変換候補を過去の変換工程で確定した変換候補文字列が格納されている学習データ格納部から検索し、表示する予測変換機能を有する仮名漢字予測変換装置において、
前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を削除する削除部、変換工程で表示された変換候補文字列を前記学習データ格納部に追加する追加部、前記学習データ格納部に格納された変換候補文字列を修正する修正部、変換候補として表示する文字列の表示優先度を設定する優先度設定部および各変換候補文字列の表示順を設定する表示順設定部の少なくとも1つの機能を設けたことを特徴とする仮名漢字予測変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−65532(P2006−65532A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246243(P2004−246243)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】
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