説明

仮止め手段を有する紙おむつ

【目的】着用者が立ったままの状態でも容易に装着でき、しかも取外しが容易な紙おむつを提供する。
【構成】紙おむつの背側両側端部のフラップ部Fに基部31が固定された止着テープ3を有するとともに、この止着テープ3の接着剤形成面33側に対して剥離不能に固定された基端側縁部52を残して、剥離可能に貼着された仮止めテープ5を備える。仮止めテープ5は、前記固定部分52と剥離可能部分との略境界にミシン目52aが形成されているとともに、その内面側に接着剤層51が形成されている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、仮止めテープを有する紙おむつに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来公知の紙おむつは、通常着用者を寝かせた状態で装着させることを当然の条件とした構造となっていた。すなわち、着用者を寝かせた状態でおむつを尻部に当てた後、止着テープの先端部を剥離し、これを紙おむつの腹側表面に対して固定して装着していた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、おむつ装着の都度、着用者を寝かせるのは、面倒であり、着用者が立ったままの状態でおむつを装着できれば、簡便である。また、外出途中などにおむつを代えたいとしても、おむつ替えのために寝かせる場所がない場合もあり、着用者が立ったままでおむつを簡単にはかせられると便利である。
紙おむつを立ったままで装着させようとするときは、片手で紙おむつの背側部分を着用者の背中に押し付けた状態で、もう一方の手で紙おむつの腹部を腹に当てながら、止着テープの先端部を剥離し、これを紙おむつの腹側表面に対して固定することができれば問題はないが、きっちりと身体に対し前記紙おむつの背側と腹側を身体に当てがうとすると、この時点で両手が塞がり、止着テープの止着作業ができないため、実際には紙おむつの「当てがい」を不十分としながらも片手で紙おむつを当てがい、空いた片手で止着テープの止着作業を行っていた。おむつの装着に際しては、左右のバランス、すなわち紙おむつの中心を着用者の中心に対して一致させることが、着用時の違和感を無くすため、また漏れ防止のために重要であるが、立ったままでおむつを装着すると左右のバランスがとれないことが多かった。
【0004】
一方、近年、紙おむつの腹側表面に、大きい面積のポリエチレンシートなどからなる補強シートを予め固定しておき、この補強シートに対して止着テープを固定する構造のものが主流となっている。この場合、止着テープの固定位置が不適当であれば、一旦補強シートから止着テープを剥がして、再度補強シート上の別の位置に止着できる点で有利であり、左右のバランスが悪い場合には、2度、3度と止着テープの止着直しを行い、所定の中心位置に紙おむつを装着することが行われるが、その作業が極めて煩わしい作業となる。
【0005】
また、前記補強シート表面に止着位置の表示、たとえば数字の印刷やマークの印刷を行うことが開発されてはいるけれども、立ったままでの紙おむつの装着の場合には、紙おむつの「当てがい」が不十分のため、左右の脇腹側の一方側がずり落ちた状態での止着であったり、また寝ている状態での止着と皺寄りが異なる等の理由で、一方の止着テープをいつもの位置に止めたとしても、他方側の止着テープが対称の止着位置に来なかったりする場合が多々あり、紙おむつを身体の中心位置に左右バランスよく装着することは、実際には想像する以上に困難な作業である。
【0006】
他方、近年立ったままで紙おむつを装着し易いように、止着テープの他に仮止めテープを有するおむつが開発されつつある。しかし、使用後の取外しの際に、仮止めテープと止着テープとの両方を剥すのは手間がかかるため、装着の簡便さとともに、取外しの簡便さを同時に考慮することが望まれる。
【0007】
したがって、本考案の課題は、着用者が立ったままでも容易に装着することができ、きつく装着する場合にも簡易であること、左右のバランスを取るに簡易であること、さらに使用後の取外しに容易な紙おむつを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、紙おむつの背側両側端部のフラップ部に基部が固定され、側方に突出して取付けられた止着テープであって、その突出部分の内面側に粘着剤層が形成された仮止め手段を有する紙おむつにおいて、 前記止着テープの粘着剤層形成面に剥離可能に貼着された仮止めテープを備えるとともに、この仮止めテープは、その基端側縁部が前記紙おむつの背側両側部のフラップ部または前記止着テープの粘着剤層形成面の基端側付け根部分に実質的に剥離不能に固定され、先端側剥離可能部分との略境界部分にミシン目が形成され、かつその内面側に接着剤層が形成されたことで解決できる。
【0009】
【作用】
着用者が立ったままで、きっちりと装着できるように、本考案では、止着テープの貼着面に仮止めテープを設けた二重テープ方式としている。
装着に当たっては、先ず、紙おむつの背側の止着テープを仮止めテープとともに、腹側のフラップ部不透液性シート上の任意の場所に一旦仮止めを行う。この段階で、一旦仮止めを行うため、その後きつく固定する際に、紙おむつがずれ落ちることを心配しないで固定することができる。
その後、仮止め部から止着テープのみを剥し、補強シート上の所定の場所にきっちりと止着する。この際、一方側はずり落ちることもなく、前記仮止めテープによって保持されているため、着付者は両側の止着テープの片側ずつ、両手を使いながらきっちりときつく、左右バランスよく固定することができる。
かくして、着用者が立ったままでも、容易に、左右のバランスよく、緩むことなくしっかりと紙おむつが装着される。
【0010】
また、使用後の取外しに際しては、止着テープを補強シート上から剥した後、仮止めテープ貼着部において、図7および図8に示されるように、仮止めテープのミシン目位置で引き裂くことにより、紙おむつの取外しを簡便に行うことができる。
【0011】
【実施例】
次に、本考案を実施例に基づき詳細に説明する。
図1は本考案に係る紙おむつの全体斜視図であり、図2は紙おむつの装着準備状態における長手方向端部の横断面図、図3は本考案に係る止着テープ部の構造詳細断面図、図4は止着テープ部の展開図、図5は仮止め状態の断面図、図6は最終結合状態の断面図である。
【0012】
1は不織布などからなる透液性シート、2はポリエチレンシートなどからなる不透液性シートで、この両シート1、2の間に吸収体6が被包されている。また、Fは吸収体が存在しない両シートの重合部分により形成されるフラップ部であり、その長手方向の背側の両端部には、フラップ部F、Fをそれぞれ包むようにして止着テープ3、3が設けられている。さらに、上記止着テープ3が設けられている背側フラップFの透液性シート1側(内面側)には、ポリエチレン等のシート片に形成されたリリーステープ41がホットメルト接着剤等により剥離不能に固定されている。
【0013】
前記止着テープ3は、その基部31がホットメルト接着剤などにより不透液性シート2に実質的に剥離不能に固定され、止着部32が側方に突出するようにして取付けられている。止着部32の内面には粘着剤層33が形成され、この粘着剤層形成面に仮止めテープ5が一部を残し剥離可能に貼着されている。前記仮止めテープ5は、その基端側縁部においては外折り部52を有し、この外折り部52が止着テープ3の止着部32の付け根部分に実質的に剥離不能に固定され、その内面側には粘着剤層51が形成され、未使用状態では前記リリーステープ41に対して剥離可能に貼着されている。また、前記外折り部52と剥離可能部分との境界部分には、ミシン目52aが形成されている。
【0014】
さらに、前記止着テープ3の先端部は折り返されて摘み部34が形成されており、また仮止めテープ5の先端部は、前記止着テープ3よりも若干外側まで延出し、該延出部で折り返されて摘み部53が形成されている。ここで、仮止めテープ5の一部を止着テープ3の外方に延出させるのは、先ず仮止めテープ5とともに止着テープ3をリリーステープ41から剥し、仮止めする際の剥離を容易とし、さらにこの仮止め状態から止着テープ3のみを剥し本止着する際の剥離を容易にするためである。
【0015】
他方、腹側の不透液性シート2上には、止着テープ3よりかなり大きい破断強度を有する補強テープ7がホットメルト接着剤等により剥離不能に固定されている。この補強テープ7には、従来例のように、止着テープ3の位置決めマークやデザインが印刷されている。
【0016】
上記した本考案の紙おむつを装着するには、次のようにする。
まず、着用者を立たせた状態でおむつの背側部分と腹側部分を着用者の股間に装入した後、図4に示されるように、仮止めテープ5の摘み部53を摘んで、この仮止めテープ5を止着テープ3とともにリリーステープ41から一体として剥がし、これを腹側に持ち込んで、図5に示すように、腹側の不透液性シート2上のフラップ部Fに接着させる。この両サイドの仮止めは、着用者にきつく固定するものではなく、ずれ落ちを防止できる程度に緩みをもって仮止めすることで足りるので、着用者がたとえ立っていたとしても容易に行うことができる。
【0017】
次いで、図5の仮止め状態から、図5の鎖線で示されるように、止着テープ3の摘み部34を掴み、止着テープ3を仮止めテープ5から剥して、図6の装着状態図に示されるように、これを腹側の補強テープ7側までフラップ部Fを折り畳みながら持ち込み、その補強テープ7上の、紙おむつがきつく固定される位置に止着テープ3を接着させる。これにより、図6に示すように、紙おむつの周囲長さの短縮が図られるとともに、最終的に着用者の腰周りにきつく装着される。この操作過程において、既に仮止めがなされているので、紙おむつのずれ落ちがない。したがって、着用者が立った状態でも、円滑に装着できる。
【0018】
取外しに際しては、図6の状態から、止着テープ3の摘み部34を掴み、補強シート7から剥した後、仮止めテープ5部において図7および図8に示されるように、仮止めテープ5のミシン目52a位置で切り裂いて切断し、紙おむつを取り外す。
【0019】
本考案において仮止めテープ5の一部を、止着テープ3の基端側付け根部分に剥離不能に固定したが、たとえば図9および図10に示されるように、背側のフラップ部Fに固定することもできる。図9の態様は、止着テープ3と不透液性シート2との間に、仮止めテープ5Aを不透液性シート2にホットメルト接着剤10Aなどにより固定した場合であり、55aは仮止めテープ5Aの付け根部分に形成されたミシン目である。
また図10の態様は、リリーステープ41の外折り部分に対して仮止めテープ5Bをホットメルト接着剤10Cにより固定した場合であり、56aは本考案に従って形成されたミシン目である。
【0020】
【考案の効果】
以上の通り、本考案によれば、着用者が立ったままでも容易に装着させることができ、きつく装着する場合にも、左右のバランスを取るにも簡易であるなどの利点がもたらされるとともに、取外しに際しても簡便に手際よく行うことができるなどの利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る紙おむつの全体を示す斜視図である。
【図2】本考案にかかる紙おむつの装着前の状態の要部断面図である。
【図3】止着テープ部の構造詳細断面図である。
【図4】止着テープ部の展開図である。
【図5】仮止め状態の断面図である。
【図6】装着完了状態を示す要部断面図である。
【図7】おむつ取外し時の仮止めテープ切断前の状態図である。
【図8】おむつ取外し時の仮止めテープ切断後の状態図である。
【図9】本考案の他のテープの実施態様を示す要部断面図である。
【図10】本考案のさらに別のテープの実施態様を示す断面図である。
【符号の説明】
1…透液性シート、2…不透液性シート、3…止着テープ、5…仮止めテープ、52a…ミシン目、6…吸収体、7…補強テープ、F…フラップ部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】紙おむつの背側両側端部のフラップ部に基部が固定され、側方に突出して取付けられた止着テープであって、その突出部分の内面側に粘着剤層が形成された仮止め手段を有する紙おむつにおいて、前記止着テープの粘着剤層形成面に剥離可能に貼着された仮止めテープを備えるとともに、この仮止めテープは、その基端側縁部が前記紙おむつの背側両側部のフラップ部または前記止着テープの粘着剤層形成面の基端側に実質的に剥離不能に固定され、先端側剥離可能部分との略境界にミシン目が形成され、かつその内面側に接着剤層が形成されたことを特徴とする仮止め手段を有する紙おむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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