説明

仮設住宅用内窓

【課題】 本発明は、仮設住宅において作業負担が軽く簡単な施工で断熱性を確保できる仮設住宅用内窓を提供することにある。
【解決手段】
枠体1と上下左右のアングル材3a〜3dと枠体1に建て込む障子6a,6bとを備え、枠体1は、四周枠組みした樹脂製枠1aの外周に上下左右の額縁2a〜2dを取り付けたものであり、額縁2a〜2dは断熱性を有する部材からなり、下アングル材3bは仮設住宅の既設サッシ9の下枠8に取り付けてあり、枠体1は、下アングル材3bに載置して固定してあり、上額縁2a及び左右額縁2c,2dを上及び左右アングル材3a,3c,3dで躯体5に固定してあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設住宅の既設サッシに取り付ける仮設住宅用内窓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既存サッシの室内側に内窓を取り付けて二重サッシとすることで、断熱性を向上させるものがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
緊急災害時に自宅を失った被災者が借りの宿として移り住む仮設住宅では、一般住宅と比較して簡易な構造であり、従来の内窓を取り付けることができなかった。即ち、従来の内窓は、既設サッシの室内側の窓台(額縁)に取り付けるものであり、仮設住宅のようにサッシの室内側に窓台等の取り付けスペースがない場合には取り付けることができなかった。このことから仮設住宅用のサッシは断熱性能に劣るために、窓からの寒気や熱気が十分に遮断されず、被災者は厳しい生活環境を強いられる問題点があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、仮設住宅において作業負担が軽く簡単な施工で断熱性を確保できる仮設住宅用内窓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、 枠体と上下左右のアングル材と枠体に建て込む障子とを備え、枠体は、四周枠組みした樹脂製枠の外周に上下左右の額縁を取り付けたものであり、額縁は断熱性を有する部材からなり、下アングル材は仮設住宅の既設サッシの下枠に取り付けてあり、枠体は、下アングル材に載置して固定してあり、上額縁及び左右額縁を上及び左右アングル材で躯体に固定してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、樹脂製枠の外周の四周に上下左右の額縁を取り付けて枠体を形成し、その枠体を仮設住宅の既設サッシの下枠に取り付けた下アングル材に載置して固定し、さらに、上額縁及び左右額縁を上及び左右のアングル材で躯体に固定する構造であることから、作業負担が軽く容易な施工で仮設住宅の既設サッシに内窓を取り付けることができる。したがって、比較的簡易な構造の仮設住宅であっても、被災者が快適に住むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図2中A−A線断面図である。
【図2】(a)は、本実施による内窓の正面図であり、(b)は、(a)中B−B線断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本実施による内窓の施工手順を示す簡略化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、図面に基づいて本実施による仮設住宅用内窓の実施の形態を説明する。
本実施による仮設住宅用内窓は、図1と図2(a)(b)のように、仮設住宅の既設サッシ9の内窓として取り付けるものであり、枠体1と、上アングル材3aと、下アングル材3bと、左右のアングル材3c,3dと、外障子6aと内障子6bからなっている。枠体1は、図2(a)のように、樹脂製枠1aを上下左右に四周枠組みし、その外周に上下左右の額縁2a〜2dを取り付けたものである。上額縁2a、下額縁2b、左右額縁2c,2dは、断面略矩形をなす木製の部材であり、既設サッシ9の下枠8と下アングル材3b及び仮設住宅の鉄骨(躯体)5と上及び左右のアングル材3a,3c,3dと樹脂製枠1aや外障子6a、内障子6bの間に位置することで室外と室内を断熱するものである。また、左右額縁2c,2dには外周部室外側に額縁2c,2dの長手方向に連続する溝10が設けてあり、この溝10には、左右のアングル材3c,3dの他方片4bが取り付けられるが、左右のアングル材3c,3dを取り付けたときに他方片4bが溝10に入ることで、他方片4bが左右額縁2c,2dの外周側から突出しない(図2(b)参照)。また、額縁2a〜2dは、樹脂製枠1aの外周側に、樹脂製枠1aの内周側からネジ7止めして固定してあり、額縁2a〜2dで樹脂製枠1aの外周を囲むように配置してある(図2(a)参照)。下アングル材3bは、略垂直な取付片23aと略水平な載置片23bとからなる断面略L字型をなすものであり、取付片23aは、既設サッシ9の下枠8室内側にネジ7で固定してあり、載置片23bは、取付片23aの上端から室内側に略水平に延びている(図1参照)。上及び左右のアングル材3a,3c,3dは、下アングル材3bと同様に断面略L字型をなしており、L字の一方片4aが仮設住宅の鉄骨(躯体)5にネジ7で固定するものであり、他方片4bは、一方片4aの一側端から室内側に延びており、上額縁2a及び左右額縁2c,2dにネジ7で固定するものである(図1及び図2(b)参照)。外障子6aと内障子6bは、樹脂製框を四周框組みし、その框組した内周にガラスパネル24を取り付けるもので、枠体1の各樹脂製枠の内周に建て込まれており、内窓を引違い窓として形成している。
【0008】
上記のように構成する仮設住宅用内窓の施工手順は、第一手順として図3(a)のように、四周枠組みした樹脂製枠1aの外周側に、上額縁2a、下額縁2b、左右額縁2c,2dをそれぞれ樹脂製枠1aの内周側からネジ7で固定して枠体1を形成する。第二手順として図3(b)のように、仮設住宅の既存サッシ9の下枠8の室内側に、下アングル材3bをネジ7で固定し、下アングル材3bの載置片23bに枠体1を載置し、取付位置調整した後で載置片23bの下方からネジ7でネジ止めして固定する。第三手順として図3(c)のように、下アングル材3bの載置片23bに載置して固定してある枠体1の上額縁2a、左右額縁2c,2dの外周側に、上及び左右のアングル材3a,3c,3dの他方片4bをそれぞれネジ7でネジ止めして固定するとともに、仮設住宅の鉄骨(躯体)5に上及び左右のアングル材3a,3c,3dの一方片4aをネジ7でネジ止めして固定することにより、本実施による内窓の取り付けが完了する。
【0009】
上記の施工手順を経て形成された本実施による仮設住宅用内窓は、仮設住宅の既設サッシ9の下枠8に取り付けた下アングル材3bに枠体1を載置し、その枠体1の下額縁2bを下アングル材3bにネジ7で固定することにより、枠体1の荷重を下アングル材3bで受けた状態とするので、作業者が枠体1を所定の取付位置まで持ち上げながら既設サッシ9や鉄骨(躯体)5にネジ7でネジ止めするような作業が不要となり、作業時に負担が軽減された状態で枠体1を所定の取付位置に位置決めできる。さらに、上記のように枠体1を下アングル材3bに位置決めした状態とし、上及び左右のアングル材3a,3c,3dにより、上額縁2a及び左右額縁2c,2dを仮設住宅の鉄骨(躯体)5に固定するので、従来の内窓を取り付けることができなかった仮設住宅に内窓を簡単に取付できる。また、上下左右のアングル材3a〜3dと樹脂製枠1aが断熱性を有する木製の額縁2a〜2dにネジ7で固定してあることにより、室外の寒気や熱気が断熱され、室内環境が快適になる。
【0010】
上記各実施形態では、枠体1の外周の四周に上額縁2aと下額縁2b、左右額縁2c,2dを取り付けたものを下アングル材3bに載置し、その下額縁2bを下アングル材3bにネジ7で固定する手順について記載したが、その他の手順でも施工が行える。上下左右の樹脂製枠1aに上下左右の額縁2a〜2dをそれぞれ取り付けたものを四周枠組みして枠体1を形成し、その枠体1を下アングル材3bに載置して固定し、上及び左右のアングル材3a,3c,3dで仮設住宅の鉄骨(躯体)5に固定する手順とするもの。さらに、上及び左右のアングル材3a,3c,3dを取り付けた枠体1を下アングル材3bに載置して固定し、上及び左右のアングル材3a,3c,3dの他方片4bを仮設住宅の鉄骨(躯体)5に固定する手順であってもよい。また、枠体1は、予め工場で枠組みして出荷されるが、取付現場で枠組みするものであってもよい。さらに、上額縁2aと下額縁2b、左右額縁2c,2dが木製のものについて記載したが、その他樹脂等の断熱性を有する部材で形成してもよい。
【符号の説明】
【0011】
1 枠体
1a 樹脂製枠
2a 上額縁(額縁)
2b 下額縁(額縁)
2c 左右額縁(額縁)
2d 左右額縁(額縁)
3a 上アングル材(アングル材)
3b 下アングル材(アングル材)
3c 左右のアングル材(アングル材)
3d 左右のアングル材(アングル材)
5 鉄骨(躯体)
6a 外障子(障子)
6b 内障子(障子)
8 下枠
9 既設サッシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と上下左右のアングル材と枠体に建て込む障子とを備え、枠体は、四周枠組みした樹脂製枠の外周に上下左右の額縁を取り付けたものであり、額縁は断熱性を有する部材からなり、下アングル材は仮設住宅の既設サッシの下枠に取り付けてあり、枠体は、下アングル材に載置して固定してあり、上額縁及び左右額縁を上及び左右アングル材で躯体に固定してあることを特徴とする仮設住宅用内窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−91959(P2013−91959A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234019(P2011−234019)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)