会員システム
【課題】一度に多数の会員が所定の施設に来るのを促すことができる会員システムを提供する。
【解決手段】会員の会員コードとその会員が選定した他の会員の会員コードのリストとが記憶される携帯端末と、パチンコホール内の複数の箇所に携帯端末と交信可能に設置され携帯端末との交信により会員コードを取得する玉貸機1と、各玉貸機1と通信可能であり各玉貸機1が取得した会員コードの送信を受けてパチンコホールに来た会員を認識する管理装置4とを備えている。管理装置4と携帯端末とのいずれかは、前記リストを管理装置4による会員の認識結果と照合してリスト中の会員のうちパチンコホールに来た会員の数を判定し、その会員の数に応じた内容の特典が管理装置4によって会員へ付与される。
【解決手段】会員の会員コードとその会員が選定した他の会員の会員コードのリストとが記憶される携帯端末と、パチンコホール内の複数の箇所に携帯端末と交信可能に設置され携帯端末との交信により会員コードを取得する玉貸機1と、各玉貸機1と通信可能であり各玉貸機1が取得した会員コードの送信を受けてパチンコホールに来た会員を認識する管理装置4とを備えている。管理装置4と携帯端末とのいずれかは、前記リストを管理装置4による会員の認識結果と照合してリスト中の会員のうちパチンコホールに来た会員の数を判定し、その会員の数に応じた内容の特典が管理装置4によって会員へ付与される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、決められた施設において識別情報によって本人認証される会員に対して特典を付与するための会員システムに関し、特に、パチンコホールのような遊技場に導入するのに好適な会員システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にパチンコホールには、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機が多数台設置され、それに加えて、遊技機毎に複数の機種が設置されている。遊技客は好みの遊技機から好みの機種を選び、さらに好みの機種の中から好みの台を選んで遊技を行う。
近年、遊技を行うための媒体(パチンコ玉や遊技用メダル)の貸出を行うのに、磁気カードなどの記憶媒体を介在させた遊技媒体貸出システムが導入された。この貸出システムは、遊技機に隣接して「台間機」や「カードユニット」などと呼ばれる遊技媒体の貸出機を配置して構成されている。遊技機と貸出機との間は相互に信号のやり取りが可能なように電気接続されている。貸出機は金額価値を有する磁気カードなどの記憶媒体を受け付けたとき貸出処理が可能となり、この状態下で遊技者が貸出要求操作を行うと、隣接する遊技機へ遊技媒体が貸し出される。例えば遊技機がパチンコ機であれば受け皿にパチンコ玉が放出される。
【0003】
ところで、最近のパチンコホールでは、特定人(会員)を対象として会員カードを発行するシステムが導入されており、会員に種々の特典を付与したり、会員の便宜をはかったりしている。
この会員システムは、顧客の固定化と新たな固定客の獲得とを狙ったものであり、例えば、会員が来店して遊技を行うと、その会員にポイントを付与し、その獲得ポイントに基づいて会員に対して各種のサービスを提供している(例えば、特許文献1参照)。また、会員カードに遊技媒体の獲得数(例えば、パチンコ玉の持玉数)を記憶させて利用可能とするなどの機能を持たせ、これにより会員に特別の便宜をはかっている。そのために、貸出機には、磁気カードなどの記憶媒体を受け付ける受付口の他に、会員カードを受け付ける会員カード受付口が別個に設けられている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−6398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の会員システムは、会員の特典をアピールして会員になることを促し、それにより会員数を増し、その結果、多数の会員が来店するのを期待する、というものである。しかし、会員の特典が会員の遊技実績や来店頻度に基づくものであったり、単に会員の便宜をはかるだけのものであったりするため、集客効果が十分ではなく、特に、一度に多数の会員が来店するのを促すというような効果は期待できない。
【0006】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、会員毎に会員自らが他の会員を選定し、その選定した会員のうちの何人が遊技場などの決められた施設に来たかによって、その数に応じた内容の特典を付与することにより、一度に多数の会員が所定の施設に来るのを促すことができる会員システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による会員システムは、決められた施設において識別情報によって本人認証される会員に対して特典を付与するためのものであって、会員毎に供与され、供与を受けた会員本人の識別情報を保持するとともに外部へ提供する機能を有する携帯可能な媒体と、前記施設内に設けられ、前記媒体を認識して会員本人の識別情報を取得する端末と、前記端末と通信可能であり、端末が取得した会員本人の識別情報の送信を受けて施設に来た会員を認識する管理装置とを備えている。前記管理装置と前記媒体とのいずれかは、媒体の供与を受けた会員が選定した他の会員の識別情報を会員本人の識別情報と対応付けて選定会員識別情報として集積記憶する記憶部を有している。前記管理装置と前記媒体とのいずれかは、前記選定会員識別情報を前記管理装置による会員の認識結果と照合することにより選定会員識別情報によって特定される会員のうち施設に来た会員の数を判定する判定手段を備え、前記判定手段で判定された会員の数に応じた内容の特典が管理装置によって会員へ付与されるようになっている。
【0008】
上記した会員システムにおいて、決められた施設内に会員が来ると、その会員に供与されている媒体が端末によって認識され、媒体に保持された会員本人の識別情報が端末で取得される。会員本人の識別情報は端末から管理装置へ送信される。管理装置は端末より送信を受けた会員本人の識別情報により施設に来た会員を認識する。
前記管理装置または媒体の判定手段は、管理装置または媒体の記憶部に集積記憶されている選定会員識別情報を管理装置による会員の認識結果と照合し、その時点で選定会員識別情報によって特定される会員のうちの何人が施設に来たかを判定する。そして、管理装置は、施設に来た会員の数に応じた内容の特典を会員へ付与する。
【0009】
ここで、施設に来た会員の数は、会員の数の判定時点において、例えば、開店時間(例えば午前10時〜午後10時)内に来た会員の数であるとしてもよく、サービスタイムとして設定された決められた時間帯(例えば、午後1時〜午後3時)に来た会員の数であるとしてもよい。さらには、会員の数の判定時から所定時間前(例えば1時間前)の間に来た会員の数であるとしてもよく、会員の数の判定時に現に施設内にいる会員の数であるとしてもよい。
また、施設に来た会員の数の判定時は、管理装置に会員本人の識別情報が最初に取得されたときの1回に限ってもよいが、その後、一定時間毎(例えば、10分毎)に施設に来た会員の数を判定するようにしてもよい。
さらにまた、施設に会員が来た事実は、その当日に限り残すようにするが、その会員が施設内にいなくなったと判定されたときにその事実を抹消するようにしてもよい。この場合は、施設内に会員がいるかどうかを定期的にチェックする必要がある。
【0010】
この発明の上記した構成において、「施設」とは、例えば、パチンコホールやゲームセンターのような遊技施設、映画館やテーマパークのような娯楽施設、デパートやスーパーマーケットのようなショッピング施設などが含まれる。
「媒体」には、磁気カードやICカードのようなカード状の記憶媒体の他、メモリースティック、PDM、携帯端末などを含まれるもので、形態は特に問わない。前記携帯端末は専用機のみならず、携帯電話を利用することもできる。専用機であれば、各施設においてこれを用意し、各会員に貸与または販売する。
「判定手段」は、専用のハードウェアによっても、またプログラムされたコンピュータによっても実現することができる。
会員に付与される「特典」とは、会員に有益な情報の提供、例えば、パチンコホールであれば、どのパチンコ台がよく出るかなどの情報の提供であってもよく、あるいは、各種のサービスの提供を受けるためのポイントの付与であってもよい。
【0011】
この発明の好ましい実施態様である会員システムは、会員毎に供与され、供与を受けた会員本人の識別情報を記憶するとともにその会員が選定した他の会員の識別情報を会員本人の識別情報と対応付けて選定会員識別情報として集積記憶する記憶部を有する携帯端末と、前記施設内の複数の箇所に携帯端末と交信可能に設置され、携帯端末との交信により会員本人の識別情報を取得する通信端末と、各通信端末と通信可能であり各通信端末が取得した会員本人の識別情報の送信を受けて施設に来た会員を認識する管理装置とを備えたものであり、前記管理装置と携帯端末とのいずれかは、前記選定会員識別情報を前記管理装置による会員の認識結果と照合することにより選定会員識別情報によって特定される会員のうち施設に来た会員の数を判定する判定手段を備え、前記判定手段で判定された会員の数に応じた内容の特典が管理装置によって会員へ付与されるようになっている。
【0012】
上記した会員システムでは、決められた施設内に会員が来ると、その会員に供与されている携帯端末と施設内に設置された通信端末との間で交信され、携帯端末の記憶部に記憶された会員本人の識別情報が通信端末で取得される。会員本人の識別情報は通信端末から管理装置へ送信され、管理装置は、各通信端末より送信を受けた会員本人の識別情報により施設に来た会員を認識する。
前記管理装置または携帯端末の判定手段は、携帯端末の記憶部に記憶された選定会員識別情報を管理装置による会員の認識結果と照合し、その時点で選定会員識別情報によって特定される会員のうちの何人が施設に来たかを判定する。そして、管理装置は、施設に来た会員の数に応じた内容の特典を会員へ付与する。
【0013】
この発明の好ましい実施態様においては、前記通信端末は、遊技場に設置された複数台の遊技機にそれぞれ隣接して設けられた遊技媒体の貸出機であり、各遊技機の前方空間に携帯端末と交信が可能な交信領域が生成されている。
この実施態様によると、遊技者が遊技機の前の椅子に腰を下ろすなどして遊技を行うことで、遊技者が所持する携帯端末と通信端末との間で交信が行われることになる。
【0014】
この発明の他の好ましい実施態様においては、前記携帯端末は、他の携帯端末との交信によりその携帯端末に記憶されている会員本人の識別情報を取得して前記選定会員識別情報として記憶部に集積記憶する機能を備えている。
この実施態様によると、携帯端末に他の携帯端末を近づけるなどして交信することにより選定会員識別情報を容易に記憶部へ集積して記憶させることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、会員毎に会員自らが他の会員を選定し、その選定した会員のうちの何人が遊技場などの決められた施設に来たかによって、その数に応じた内容の特典を付与するので、一度に多数の会員が所定の施設に来るのを促すことができ、顕著な集客効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、この発明の会員システムが導入されたパチンコホール内の概略構成を示す。なお、この発明の会員システムは、パチンコホールに限らず、他の施設にも導入することができる。
パチンコホール内は複数列の島A,Bより成り、各島A,Bにそれぞれ複数台のパチンコ機2が背中合わせの状態で整列配置されている。各パチンコ機2の前にはそれぞれ椅子9が固定された状態で設置されている。
【0017】
図示例のパチンコホールでは、金額価値が付与された記憶媒体を介在させてパチンコ玉の貸出処理を行っており、パチンコホール内に設置されたパチンコ機2毎に玉貸機1が隣接して配備されている。図中、3は前記記憶媒体が保有する金額価値(残価値)を精算するための精算機、4は発行された記憶媒体の管理や会員へ付与される特典に関わる処理などを行うための管理装置である。
【0018】
各玉貸機1は、玉貸機能と記憶媒体の発行機能とを併せ持つとともに、通信端末として機能するものであり、詳しい構成は後述するが、図2に示すような縦長かつ細幅の外観のものである。また、隣接する特定のパチンコ機2との間で相互に信号のやり取りを行うために、そのパチンコ機2と電気接続されている。各玉貸機1、精算機3、および管理装置4は、双方向性の通信回線10を介して相互に通信可能なように電気接続されている。なお、各玉貸機1は島A,B毎に配備された中継装置(図示せず)を介して通信回線10に接続されている。
【0019】
図3は、前記記憶媒体の一実施例であるICスティック5を示しており、内部にアンテナを含むICチップ50が収納されている。前記アンテナは、玉貸機1や精算機3の内部に配備されたアンテナとの間で微小な電力によって通信が可能である。
【0020】
このICスティック5のICチップ50には、玉貸機1への投入金額に応じた金額価値分の度数データの他、発行した玉貸機の台番号、ICスティック5の識別番号、発行日付や時刻、必要に応じて発行した店舗など、種々の情報が書き込まれる。ICスティック5に書き込まれた情報は発行元の玉貸機1に登録されて管理される。
【0021】
図4は、会員登録をした遊技者(会員)に供与される携帯端末6の外観を示している。図示の携帯端末6は、適所にアンテナを含むICチップ60が埋め込まれている。このICチップ60は、この携帯端末の所持者である会員に付与された本人認証のための会員コード(ID番号)を記憶するとともに、この会員が選定した他の会員の会員コードのリスト(以下、「会員選定リスト」という。)を記憶している。なお、図4において、61は登録用の押釦スイッチであり、他の携帯端末に近づけてこの押釦スイッチ61を押すと、会員コードが送信されて他の携帯端末の会員選定リストにその会員コードが登録される。また、62は設定変更用の押釦スイッチであり、登録データの変更や消去など、各種の設定に用いられる。63は液晶などの表示部であり、入出力データが表示される他、その会員に提供される情報の表示にも用いられる。
【0022】
会員は、パチンコホールにおいて会員としての特典を享受するために携帯端末6を所持する必要がある。会員は携帯端末6を所持してパチンコ機2の前の椅子9に腰を掛けて遊技を行うと、携帯端末6と通信装置7との間で交信が行われ、それによって携帯端末6の記憶部(ROM)に記憶されている会員コードが玉貸機1で取得される。これによりその会員コードによって個人認証される会員が遊技場に来ていることがパチンコホール側で把握される。
【0023】
図1に戻って、各パチンコ機2の正面部分の適所とパチンコ機2毎に設けられている椅子9とには通信装置7を構成するアンテナ71,72がそれぞれ設置されている。前記通信装置7は図示しない送受信回路などを含んでおり、後述する図7に示すように、玉貸機1の制御装置100に接続されている。各アンテナ71,72は指向性を有し、パチンコ機2と椅子9との間、すなわち、パチンコ機2の前方の空間に、前記携帯端末6に埋設されたアンテナとの交信が可能な交信領域Sが形成される。前記制御装置100はアンテナ71,72から同じ位相の電波を送信して交信領域Sを形成する。この交信領域S内に携帯端末6を所持した遊技者が入ると、アンテナ71,72と携帯端末6のアンテナとの間に回路が形成され、携帯端末6に組み込まれたICチップ60に記憶されている会員コードが玉貸機1の制御装置100に取り込まれる。また、制御装置100は、携帯端末6に対して前記ICチップ60に記憶されている会員選定リストの送信を要求し、そのリストをさらに取り込む。
【0024】
図5は、前記携帯端末6に組み込まれたICチップ60の回路構成を示す。
同図中、64はマイクロコンピュータによって構成される制御部であり、制御の主体であるCPU65、プログラムや固定データが記憶されるROM66、データの読み書きに供されるRAM67などを含んでいる。制御部64はROM66に記憶されたプログラムに従ってRAM67に対するデータの読み書きを行いながら入出力各部、すなわち、前記押釦スイッチ61,62を含む操作部68、スピーカー69、表示部63などに対する入出力動作を制御するとともに、通信ポート70を介して他の携帯端末6や玉貸機1の通信装置7との通信を制御する。
【0025】
ROM66には固定データとして、この携帯端末6の所有者である会員の会員コードが記憶される他、スピーカー69より出力される音声案内のための音声パターン、表示部63に表示される案内表示のための表示パターンなども記憶されている。
RAM67は、この携帯端末6の所有者である会員が選定した他の会員の会員コードのリスト(会員選定リスト)が記憶される会員選定リスト記憶部を有している。この記憶部に対する会員コードの追加登録や不要となった会員コードの消去は前記操作部68の操作により可能である。
【0026】
図2に示される玉貸機1は、パチンコ機2の側面に接した状態で配備されるもので、紙幣aの投入を受け付けてICスティック5を発行して放出した後、そのICスティック5の挿入を受け付けて隣接する特定のパチンコ機2へパチンコ玉の貸出処理を行う。
玉貸機1の前面には、複数の金種の紙幣aを縦向きにして受け付ける紙幣投入口12と、蓋13で塞がれた貨幣回収口14とが設けられている。蓋13の開放により内部にストックされた紙幣の回収が可能である。
前記貨幣回収口14の下方にはICスティック5を出し入れするための挿排口15が設けられ、その下方に、情報を表示するための表示器16が配置されている。
【0027】
玉貸機1の内部には、前記ICスティック5の挿排口15の位置に対応して、図6に示すような、間欠回転が可能なホルダー8が配置されている。このホルダー8の等角度位置(図示例では60度毎)には、ICスティック5を水平姿勢で保持するための収納部81が設けられており、前記挿排口15の位置にあるホルダー8の収納部81よりICスティック5が挿排口15へ送り出される。
前記挿排口15の位置にあるホルダー8の収納部81に対応させてリードライター85のアンテナ82が配置されている。その収納部81に収納されたICスティック5とリードライター18とはアンテナ82を介して情報の送受信が行われる。
【0028】
玉貸機1は、上記のホルダー8に形成された6個の収納部81のうち、少なくとも1個の収納部81に金額価値がゼロのICスティック5が収納され、かつ少なくとも1個の収納部81にICスティック5が収納されていない空状態で運用される。
【0029】
各玉貸機1においてICスティック5に書き込まれた情報(発行元の玉貸機の台番号、ICスティックの金額価値、識別番号、発行日付や時刻、発行した店舗など)は、そのICスティック5を発行した玉貸機1に登録されて管理される。
各玉貸機1や精算機3がICスティック5を受け付けると、ICスティック5の発行元の玉貸機1との間で交信し、受け付けたICスティック5の情報を照合する。もし、情報が適正であれば、そのICスティック5に対する貸出や精算などの処理が進められ、貸出や精算に応じて登録データが書き換えられる。
【0030】
図7は、上記した玉貸機1の電気的な構成の概略を示している。同図中、100は制御装置であり、制御の主体であるCPU101とROM102とRAM103とを含んでいる。制御装置100にはバス104を介してI/Oインターフェイス回路105が接続され、I/Oインターフェイス回路105には紙幣識別機17、リードライター18、表示器16、貸出スイッチ19、通信装置7、通信インターフェイス回路106,107などが接続されている。
貸出スイッチ19はパチンコ機2の側に設けてあり、遊技者がパチンコ玉の貸出を要求するときに押操作される。一方の通信インターフェイス回路106は隣接するパチンコ機2との間の各種の制御信号を中継する。他方の通信インターフェイス回路107は全ての玉貸機1、精算機3、および管理装置4との間の通信を行うためのものである。
【0031】
図1に示した管理装置4は、コンピュータにより構成されており、定期的(例えば10分毎)に各玉貸機1および精算機3のデータ記憶部(例えばRAM)をアクセスしてICスティック5の販売状況や利用状況に関わる情報を受信して記憶するとともに、パチンコホール内におけるICスティック5の売上、ICスティック5の利用個数、パチンコ玉の貸出に消費された金額などを集計する。
【0032】
また、管理装置4は、各玉貸機1より会員コードの送信を受け、会員コードを送ってきた玉貸機1と対をなすパチンコ機2で遊技中の会員を認識する。管理装置4は全ての会員の会員コードが登録されている会員登録リストを保有しており、前記の認識結果は会員登録リストの記憶部中にデータ入力されて記憶される。例えば、会員登録リストに記憶されている全ての会員コードに対応して会員の来店の有無を表すフラグをセットする領域を設けておき、会員の来店が認識されたとき、前記フラグを立てて来客を記憶するようにする。なお、フラグはパチンコホールが一日の営業を終えて閉店するときに一斉にリセットされる。
【0033】
さらに、管理装置4は、会員コードを送ってきた玉貸機1に対して前記会員選定リストの送信を要求し、携帯端末6から玉貸機1を経て送られてきた会員選定リストを前記会員登録リストと照合することにより、会員選定リスト中の会員のうち、当日に何人の会員が来店したかを判定する。そして、管理装置4は、判定時点における来店会員数に応じた内容の特典を会員へ付与する。
【0034】
この実施例では、会員に付与される特典として、会員が遊技を開始したパチンコ機2について、その台が遊技者にとって有利な台であるかどうか、すなわち、よく出る台であるかどうかの情報(以下、単に「台情報」という。)を、来店した会員の数が多いほど情報の確かさが上がるようにして、管理装置4が玉貸機1を通じて携帯端末6へ送信するようにしている。そのために、まず管理装置4は、判定時点での来店会員数に応じて特典付与モードを複数の段階(例えば4段階のモード)のいずれかに設定し、次に、その特典付与モードに応じた報知信頼度の台情報を報知信頼度とともに管理装置4が玉貸機1へ送信している。
【0035】
例えば、来店会員数が1〜2人のときは「モード1」として報知信頼度をA%に、3〜4人のときは「モード2」として報知信頼度をB%(B>A)に、5〜9人のときは「モード3」として報知信頼度をC%(C>B>A)に、それぞれ設定し(ただし、A,B,C<100%)、10人以上のときは「モード4」として報知信頼度を100%に設定する。
【0036】
ところで、パチンコ機2はその出玉率の調整が可能であり、その出玉の程度が複数の段階(例えば5段階)にランク分けされている。例えば、会員が遊技を開始したパチンコ機2について、その台のランクが最も高い「5」であると報知した場合に、モード1であれば、実際に設定されているランクが「1」〜「5」である可能性があるものとし、モード2であれば、実施に設定されているランクが「2」〜「5」である可能性があるものとし、モード3であれば、実際に設定されているランクが「3」〜「5」である可能性があるものとし、モード4であれば、実際に設定されているランクが「5」であるものとする。
【0037】
この実施例では、遊技機はパチンコ機であるが、スロットマシンの場合は、例えば6段階に内部抽選の当選率が設定可能であり、この設定値を台のランクの情報とし、上記したように、モード毎に報知の確からしさを変える構成とする。また、ランク情報の報知の方法としては、上記したような数字を報知する場合の他、モード毎に、(1)「このあたりのいい台があるよ」、(2)「この島の中にいい台があるよ」、(3)「2〜3台周辺にいい台があるよ」といった風に音声或いは表示にて報知する場合も含むものである。この場合、(1)から(3)の順番に遊技者にとっては有利な台を探索し易くなるもので、この場合の報知は、有利な台の探索の難易度を変化させる難易度変更手段としての役割を果たすものである。
【0038】
この実施例では、携帯端末6の表示部63に「この台の設定ランクは・・・です。」との表示とともに、設定されているモードが「1」から「4」のいずれであるかを、図8(1)〜(4)に示す4種類のキャラクターを用いて表示するようにしている。
このモード表示は、報知がどの程度の信頼度の大きさで行われているかの情報を示す報知信頼度表示手段としての役割を示すものである。
【0039】
図9は上記した管理装置4の電気的な構成を示している。同図中、40は制御装置であり、制御の主体であるCPU41とROM42とRAM43とを含んでいる。制御装置40にはバス48を介してI/Oインターフェイス回路47が接続され、I/Oインターフェイス回路47には、キーボードなどの操作部44、表示部45、および通信インターフェイス回路46が接続されている。通信インターフェイス回路46は全てのパチンコ機2、全ての玉貸機1、および精算機3と通信を行うためのものである。
【0040】
図10は、玉貸機1の制御装置100による玉貸処理についての制御の流れを示している。同図中、「ST」は「STEP」の略であり、一連の流れにおける各手順を示している。制御装置100のCPU101はROM102に格納されたプログラムに従ってRAM103に対するデータの読み書きを実行しつつ入出力各部の動作を一連に制御するものである。
【0041】
まず、CPU101は、同図のST1,2において、遊技者によるICスティック5の発行要求操作とパチンコ玉の貸出要求操作とに待機している。いま、遊技者が紙幣投入口12に紙幣aを投入すると、ST1の判定が「YES」であり、CPU101は所定の金額価値のICスティック5を発行する処理を実行する(ST3)。一方、遊技者が貸出スイッチ88を押操作すると、ST2の判定が「YES」であり、CPU101は金額価値を有するICスティック5が挿排口15に存在することを条件として玉貸処理を実行する(ST4,5)。もし、金額価値を有するICスティック5が挿排口15に存在していなければST4の判定が「NO」であり、玉貸処理は実行されない。
【0042】
図11は、携帯端末6の制御部64による会員の来店受付処理についての制御の流れを示している。前記制御部64のCPU65はROM66に格納されたプログラムに従ってRAM67に対するデータの読み書きを実行しつつ入出力各部の動作を一連に制御する。
【0043】
同図のST1では、CPU65は通信装置7の交信領域S内に携帯端末6が入ったかどうかを判定している。もし、遊技者(会員)が任意のパチンコ機2の前の椅子9に腰を下ろして遊技を開始すると、遊技者が所持する携帯端末6が交信領域S内に位置することになるので、ST1の判定が「YES」となり、CPU65はROM66より自己の会員コードを読み出して送信する(ST2)。
【0044】
つぎのST3では、CPU65は玉貸機1より会員選定リストの送信要求に待機している。もし、玉貸機1より送信要求があれば、ST3の判定が「YES」となり、CPU65はRAM67より会員選定リストを読み出して玉貸機1へ送信する(ST4)。
【0045】
つぎのST5では、CPU65は玉貸機1の通信装置7より会員が遊技を開始したパチンコ機2についての台情報が送られてくるのに待機している。そして、台情報を受信すると、ST5の判定が「YES」となり、CPU65は台情報とその台情報の報知信頼度とを表示部63に表示する(ST6)。
【0046】
図12は、玉貸機1の制御装置100による会員の来店受付処理についての制御の流れを示している。
同図のST1では、CPU101は通信装置7が携帯端末6より会員コードを受信したかどうかを判定している。もし、通信装置7によって会員コードが受信されると、ST1の判定が「YES」であり、CPU101は受信した会員コードを管理装置4へ送信した後(ST2)、つぎのST3において、管理装置4からの会員選定リストの送信要求に待機する。
【0047】
もし、管理装置4より会員選定リストの送信要求があれば、ST3の判定が「YES」であり、CPU101は、携帯端末6に対して会員選定リストの送信を要求した後(ST4)、つぎのST5において、携帯端末6より会員選定リストが送られてくるのに待機する。そして、携帯端末6より会員選定リストが送られてくると、ST5の判定が「YES」であり、CPU101は受信した会員選定リストを管理装置4へ送信する(ST6)。
【0048】
つぎのST7では、CPU101は管理装置4より会員が遊技を開始したパチンコ機2についての台情報が送られてくるのに待機する。もし、管理装置4より台情報を受信すると、ST7の判定が「YES」となり、CPU101は台情報を携帯端末6へ送信する(ST8)。
【0049】
図13は、管理装置4の制御装置40による会員の来店受付処理についての制御の流れを示している。前記制御装置40のCPU41はROM42に格納されたプログラムに従ってRAM43に対するデータの読み書きを実行しつつ入出力各部の動作を一連に制御する。
【0050】
同図のST1では、CPU41はいずれかの玉貸機1より会員コードを受信したかどうかを判定している。もし、会員コードを受信すると、ST1の判定が「YES」であり、CPU41は会員登録リストの記憶部であって受信した会員コードに対応する領域に来店を示すフラグをセットするなどして来店した会員の認識処理を実行した後(ST2)、つぎのST3において、会員コードを送信してきた玉貸機1へ会員選定リストの送信を要求する。
【0051】
もし、その玉貸機1より会員選定リストを受信すれば、ST4の判定が「YES」であり、CPU41は、会員選定リストと会員登録リストとを照合することにより会員選定リスト中のどの会員が来店したかを認識するとともに、来店した会員の数を算出した後(ST5)、その来店会員数に応じた報知信頼度の台情報を生成し(ST6)、その台情報を報知信頼度とともに玉貸機1へ送信する(ST7)。
【0052】
なお、上記した実施例では、携帯端末6が通信装置7の交信領域S内に入ったかどうかを自らが判断して自己の会員コードを送信するようにしているが(図11のST1,2)、これに限らず、図14に示すように、携帯端末6が交信領域Sに入ったとき、玉貸機1より会員コードの送信要求を受けたことを条件として会員コードを送信するようにしてもよい(図14のST1,2)。
この場合、玉貸機1のCPU101は、図15に示すように、携帯端末6が通信装置7の交信領域Sに入ったかどうかを常に監視しており(ST1−1)、その判定が「YES」になったとき、CPU101は、携帯端末6へ会員コードの送信を要求し(ST1−2)、携帯端末6からの会員コードの送信に待機する(ST1−3)。
【0053】
また、上記の実施例では、管理装置4において会員選定リストと会員登録リストとの照合を行って会員選定リスト中の会員のうち何人の会員が来店したかを算出しているが、図16〜図18に示す実施例のように、携帯端末6で照合処理と来店会員数の算出とを行うようにしてもよい。
【0054】
図16は、携帯端末6の制御部64による制御の流れを示すもので、同図のST1において、CPU65は通信装置7の交信領域S内に携帯端末6が入ったかどうかを判定している。もし、遊技者(会員)が任意のパチンコ機2の前に腰を下ろして遊技を開始すると、遊技者が所持する携帯端末6が交信領域S内に位置することになるので、ST1の判定が「YES」となり、CPU65はROM66より自己の会員コードを読み出して送信する(ST2)。
【0055】
つぎのST3では、CPU65は玉貸機1から来店会員リストが送られてくるのに待機する。この来店会員リストは、来店した会員の会員コードを集めたものであり、管理装置4において作成される。この来店会員リストを玉貸機1より受信すると、ST3の判定が「YES」となり、CPU65はRAM67に記憶している会員選定リストと前記来店会員リストとを照合することにより会員選定リスト中のどの会員が来店したかを認識するとともに、来店した会員の数を算出し(ST5)、その来店会員数を玉貸機1へ送信する(ST5)。
【0056】
つぎのST6では、CPU65は玉貸機1より会員が遊技を開始したパチンコ機2についての台情報が送られてくるのに待機している。そして、台情報を受信すると、ST6の判定が「YES」となり、CPU65は台情報とその台情報の報知信頼度とを表示部63に表示する(ST7)。
【0057】
図17は、玉貸機1の制御装置100による制御の流れを示すもので、同図のST1では、CPU101は通信装置7が携帯端末6より会員コードを受信したかどうかを判定している。もし、通信装置7によって会員コードが受信されると、ST2の判定が「YES」であり、CPU101は受信した会員コードを管理装置4へ送信した後(ST2)、つぎのST3において、管理装置4からの来店会員リストの受信に待機する。
【0058】
そして、管理装置4より来店会員リストを受信すれば、ST3の判定が「YES」であり、CPU101は、携帯端末6へ来店会員リストを送信した後(ST4)、つぎのST5において、携帯端末6より会員選定リストと来店会員リストとの照合結果、すなわち、来店会員数が送られてくるのに待機する。そして、携帯端末6より来店会員数が送られてくると、ST5の判定が「YES」となり、CPU101は受信した来店会員数を管理装置4へ送信する(ST6)。
【0059】
つぎのST7では、CPU101は管理装置4より会員が遊技を開始したパチンコ機2についての台情報が送られてくるのに待機する。もし、管理装置4より台情報を受信すると、ST7の判定が「YES」となり、CPU101は台情報を携帯端末6へ送信する(ST8)。
【0060】
図18は、管理装置4の制御装置40による制御の流れを示すもので、同図のST1において、CPU41はいずれかの玉貸機1より会員コードを受信したかどうかを判定している。もし、会員コードを受信すると、ST1の判定が「YES」であり、CPU41は受信した会員コードが会員登録リスト中に存在するかどうかを確認したうえで、来店した会員の会員コードを集めた来店会員リストを作成し(ST2)、その来店会員リストをを会員コードを送信してきた玉貸機1へ送信する(ST3)。
【0061】
つぎのST4において、CPU41は玉貸機1より会員選定リストと来店会員リストとの照合結果、すなわち、来店会員数が送られてくるのに待機しており、玉貸機1より来店会員数を受信すれば、ST4の判定が「YES」であり、CPU41は、来店会員数に応じた報知信頼度の台情報を生成し(ST5)、その台情報を報知信頼度とともに玉貸機1へ送信する(ST6)。
【0062】
なお、この発明の会員システムは、単一店舗内に限られるものではなく、例えば、チェーン店間において共通のシステムとして構成し、チェーン店を一括して管理する管理コンピュータを通じて特典を与える構成としてもよい。この場合、リスト内にある会員がチェーン店に来店していれば特典が与えられるため、複数の店舗について同時に利益の向上をはかることができる。さらに、この会員システムを異業種の店舗(例えば遊技場と映画館など)について共通の会員システムとし、それぞれの施設について特典を与える構成とすれば、複数の施設について提携して利益の向上をはかることができる。これらの施設が近接して存在する場合には、一層利用者にとって利用し易くなり、有利なシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の会員システムが導入されたパチンコホール内の概略構成を示す説明図である。
【図2】玉貸機の外観を示す斜視図である。
【図3】ICスティックの外観を示す斜視図である。
【図4】携帯端末の外観を示す斜視図である。
【図5】携帯端末の電気的な構成を示すブロック図である。
【図6】玉貸機のホルダーの構成を示す正面図である。
【図7】玉貸機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図8】設定されたモードを表すキャラクターを示す説明図である。
【図9】管理装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図10】玉貸機の制御装置による玉貸処理についての制御の流れを示すフローチャートである。
【図11】携帯端末の制御部による会員の来店受付処理についての制御の流れを示すフローチャートである。
【図12】玉貸機の制御装置による会員の来店受付処理についての制御の流れを示すフローチャートである。
【図13】管理装置の制御装置による会員の来店受付処理についての制御の流れを示すフローチャートである。
【図14】携帯端末の制御部による他の制御手順を示すフローチャートである。
【図15】玉貸機の制御装置による他の制御手順を示すフローチャートである。
【図16】他の実施例についての携帯端末の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。
【図17】他の実施例についての玉貸機の制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。
【図18】他の実施例についての管理装置の制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 玉貸機
2 パチンコ機
4 管理装置
5 ICスティック
6 携帯端末
7 通信装置
40,100 制御装置
41,65,101 CPU
42,66,102 ROM
43,67,103 RAM
64 制御部
【技術分野】
【0001】
この発明は、決められた施設において識別情報によって本人認証される会員に対して特典を付与するための会員システムに関し、特に、パチンコホールのような遊技場に導入するのに好適な会員システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にパチンコホールには、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機が多数台設置され、それに加えて、遊技機毎に複数の機種が設置されている。遊技客は好みの遊技機から好みの機種を選び、さらに好みの機種の中から好みの台を選んで遊技を行う。
近年、遊技を行うための媒体(パチンコ玉や遊技用メダル)の貸出を行うのに、磁気カードなどの記憶媒体を介在させた遊技媒体貸出システムが導入された。この貸出システムは、遊技機に隣接して「台間機」や「カードユニット」などと呼ばれる遊技媒体の貸出機を配置して構成されている。遊技機と貸出機との間は相互に信号のやり取りが可能なように電気接続されている。貸出機は金額価値を有する磁気カードなどの記憶媒体を受け付けたとき貸出処理が可能となり、この状態下で遊技者が貸出要求操作を行うと、隣接する遊技機へ遊技媒体が貸し出される。例えば遊技機がパチンコ機であれば受け皿にパチンコ玉が放出される。
【0003】
ところで、最近のパチンコホールでは、特定人(会員)を対象として会員カードを発行するシステムが導入されており、会員に種々の特典を付与したり、会員の便宜をはかったりしている。
この会員システムは、顧客の固定化と新たな固定客の獲得とを狙ったものであり、例えば、会員が来店して遊技を行うと、その会員にポイントを付与し、その獲得ポイントに基づいて会員に対して各種のサービスを提供している(例えば、特許文献1参照)。また、会員カードに遊技媒体の獲得数(例えば、パチンコ玉の持玉数)を記憶させて利用可能とするなどの機能を持たせ、これにより会員に特別の便宜をはかっている。そのために、貸出機には、磁気カードなどの記憶媒体を受け付ける受付口の他に、会員カードを受け付ける会員カード受付口が別個に設けられている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−6398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の会員システムは、会員の特典をアピールして会員になることを促し、それにより会員数を増し、その結果、多数の会員が来店するのを期待する、というものである。しかし、会員の特典が会員の遊技実績や来店頻度に基づくものであったり、単に会員の便宜をはかるだけのものであったりするため、集客効果が十分ではなく、特に、一度に多数の会員が来店するのを促すというような効果は期待できない。
【0006】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、会員毎に会員自らが他の会員を選定し、その選定した会員のうちの何人が遊技場などの決められた施設に来たかによって、その数に応じた内容の特典を付与することにより、一度に多数の会員が所定の施設に来るのを促すことができる会員システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による会員システムは、決められた施設において識別情報によって本人認証される会員に対して特典を付与するためのものであって、会員毎に供与され、供与を受けた会員本人の識別情報を保持するとともに外部へ提供する機能を有する携帯可能な媒体と、前記施設内に設けられ、前記媒体を認識して会員本人の識別情報を取得する端末と、前記端末と通信可能であり、端末が取得した会員本人の識別情報の送信を受けて施設に来た会員を認識する管理装置とを備えている。前記管理装置と前記媒体とのいずれかは、媒体の供与を受けた会員が選定した他の会員の識別情報を会員本人の識別情報と対応付けて選定会員識別情報として集積記憶する記憶部を有している。前記管理装置と前記媒体とのいずれかは、前記選定会員識別情報を前記管理装置による会員の認識結果と照合することにより選定会員識別情報によって特定される会員のうち施設に来た会員の数を判定する判定手段を備え、前記判定手段で判定された会員の数に応じた内容の特典が管理装置によって会員へ付与されるようになっている。
【0008】
上記した会員システムにおいて、決められた施設内に会員が来ると、その会員に供与されている媒体が端末によって認識され、媒体に保持された会員本人の識別情報が端末で取得される。会員本人の識別情報は端末から管理装置へ送信される。管理装置は端末より送信を受けた会員本人の識別情報により施設に来た会員を認識する。
前記管理装置または媒体の判定手段は、管理装置または媒体の記憶部に集積記憶されている選定会員識別情報を管理装置による会員の認識結果と照合し、その時点で選定会員識別情報によって特定される会員のうちの何人が施設に来たかを判定する。そして、管理装置は、施設に来た会員の数に応じた内容の特典を会員へ付与する。
【0009】
ここで、施設に来た会員の数は、会員の数の判定時点において、例えば、開店時間(例えば午前10時〜午後10時)内に来た会員の数であるとしてもよく、サービスタイムとして設定された決められた時間帯(例えば、午後1時〜午後3時)に来た会員の数であるとしてもよい。さらには、会員の数の判定時から所定時間前(例えば1時間前)の間に来た会員の数であるとしてもよく、会員の数の判定時に現に施設内にいる会員の数であるとしてもよい。
また、施設に来た会員の数の判定時は、管理装置に会員本人の識別情報が最初に取得されたときの1回に限ってもよいが、その後、一定時間毎(例えば、10分毎)に施設に来た会員の数を判定するようにしてもよい。
さらにまた、施設に会員が来た事実は、その当日に限り残すようにするが、その会員が施設内にいなくなったと判定されたときにその事実を抹消するようにしてもよい。この場合は、施設内に会員がいるかどうかを定期的にチェックする必要がある。
【0010】
この発明の上記した構成において、「施設」とは、例えば、パチンコホールやゲームセンターのような遊技施設、映画館やテーマパークのような娯楽施設、デパートやスーパーマーケットのようなショッピング施設などが含まれる。
「媒体」には、磁気カードやICカードのようなカード状の記憶媒体の他、メモリースティック、PDM、携帯端末などを含まれるもので、形態は特に問わない。前記携帯端末は専用機のみならず、携帯電話を利用することもできる。専用機であれば、各施設においてこれを用意し、各会員に貸与または販売する。
「判定手段」は、専用のハードウェアによっても、またプログラムされたコンピュータによっても実現することができる。
会員に付与される「特典」とは、会員に有益な情報の提供、例えば、パチンコホールであれば、どのパチンコ台がよく出るかなどの情報の提供であってもよく、あるいは、各種のサービスの提供を受けるためのポイントの付与であってもよい。
【0011】
この発明の好ましい実施態様である会員システムは、会員毎に供与され、供与を受けた会員本人の識別情報を記憶するとともにその会員が選定した他の会員の識別情報を会員本人の識別情報と対応付けて選定会員識別情報として集積記憶する記憶部を有する携帯端末と、前記施設内の複数の箇所に携帯端末と交信可能に設置され、携帯端末との交信により会員本人の識別情報を取得する通信端末と、各通信端末と通信可能であり各通信端末が取得した会員本人の識別情報の送信を受けて施設に来た会員を認識する管理装置とを備えたものであり、前記管理装置と携帯端末とのいずれかは、前記選定会員識別情報を前記管理装置による会員の認識結果と照合することにより選定会員識別情報によって特定される会員のうち施設に来た会員の数を判定する判定手段を備え、前記判定手段で判定された会員の数に応じた内容の特典が管理装置によって会員へ付与されるようになっている。
【0012】
上記した会員システムでは、決められた施設内に会員が来ると、その会員に供与されている携帯端末と施設内に設置された通信端末との間で交信され、携帯端末の記憶部に記憶された会員本人の識別情報が通信端末で取得される。会員本人の識別情報は通信端末から管理装置へ送信され、管理装置は、各通信端末より送信を受けた会員本人の識別情報により施設に来た会員を認識する。
前記管理装置または携帯端末の判定手段は、携帯端末の記憶部に記憶された選定会員識別情報を管理装置による会員の認識結果と照合し、その時点で選定会員識別情報によって特定される会員のうちの何人が施設に来たかを判定する。そして、管理装置は、施設に来た会員の数に応じた内容の特典を会員へ付与する。
【0013】
この発明の好ましい実施態様においては、前記通信端末は、遊技場に設置された複数台の遊技機にそれぞれ隣接して設けられた遊技媒体の貸出機であり、各遊技機の前方空間に携帯端末と交信が可能な交信領域が生成されている。
この実施態様によると、遊技者が遊技機の前の椅子に腰を下ろすなどして遊技を行うことで、遊技者が所持する携帯端末と通信端末との間で交信が行われることになる。
【0014】
この発明の他の好ましい実施態様においては、前記携帯端末は、他の携帯端末との交信によりその携帯端末に記憶されている会員本人の識別情報を取得して前記選定会員識別情報として記憶部に集積記憶する機能を備えている。
この実施態様によると、携帯端末に他の携帯端末を近づけるなどして交信することにより選定会員識別情報を容易に記憶部へ集積して記憶させることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、会員毎に会員自らが他の会員を選定し、その選定した会員のうちの何人が遊技場などの決められた施設に来たかによって、その数に応じた内容の特典を付与するので、一度に多数の会員が所定の施設に来るのを促すことができ、顕著な集客効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、この発明の会員システムが導入されたパチンコホール内の概略構成を示す。なお、この発明の会員システムは、パチンコホールに限らず、他の施設にも導入することができる。
パチンコホール内は複数列の島A,Bより成り、各島A,Bにそれぞれ複数台のパチンコ機2が背中合わせの状態で整列配置されている。各パチンコ機2の前にはそれぞれ椅子9が固定された状態で設置されている。
【0017】
図示例のパチンコホールでは、金額価値が付与された記憶媒体を介在させてパチンコ玉の貸出処理を行っており、パチンコホール内に設置されたパチンコ機2毎に玉貸機1が隣接して配備されている。図中、3は前記記憶媒体が保有する金額価値(残価値)を精算するための精算機、4は発行された記憶媒体の管理や会員へ付与される特典に関わる処理などを行うための管理装置である。
【0018】
各玉貸機1は、玉貸機能と記憶媒体の発行機能とを併せ持つとともに、通信端末として機能するものであり、詳しい構成は後述するが、図2に示すような縦長かつ細幅の外観のものである。また、隣接する特定のパチンコ機2との間で相互に信号のやり取りを行うために、そのパチンコ機2と電気接続されている。各玉貸機1、精算機3、および管理装置4は、双方向性の通信回線10を介して相互に通信可能なように電気接続されている。なお、各玉貸機1は島A,B毎に配備された中継装置(図示せず)を介して通信回線10に接続されている。
【0019】
図3は、前記記憶媒体の一実施例であるICスティック5を示しており、内部にアンテナを含むICチップ50が収納されている。前記アンテナは、玉貸機1や精算機3の内部に配備されたアンテナとの間で微小な電力によって通信が可能である。
【0020】
このICスティック5のICチップ50には、玉貸機1への投入金額に応じた金額価値分の度数データの他、発行した玉貸機の台番号、ICスティック5の識別番号、発行日付や時刻、必要に応じて発行した店舗など、種々の情報が書き込まれる。ICスティック5に書き込まれた情報は発行元の玉貸機1に登録されて管理される。
【0021】
図4は、会員登録をした遊技者(会員)に供与される携帯端末6の外観を示している。図示の携帯端末6は、適所にアンテナを含むICチップ60が埋め込まれている。このICチップ60は、この携帯端末の所持者である会員に付与された本人認証のための会員コード(ID番号)を記憶するとともに、この会員が選定した他の会員の会員コードのリスト(以下、「会員選定リスト」という。)を記憶している。なお、図4において、61は登録用の押釦スイッチであり、他の携帯端末に近づけてこの押釦スイッチ61を押すと、会員コードが送信されて他の携帯端末の会員選定リストにその会員コードが登録される。また、62は設定変更用の押釦スイッチであり、登録データの変更や消去など、各種の設定に用いられる。63は液晶などの表示部であり、入出力データが表示される他、その会員に提供される情報の表示にも用いられる。
【0022】
会員は、パチンコホールにおいて会員としての特典を享受するために携帯端末6を所持する必要がある。会員は携帯端末6を所持してパチンコ機2の前の椅子9に腰を掛けて遊技を行うと、携帯端末6と通信装置7との間で交信が行われ、それによって携帯端末6の記憶部(ROM)に記憶されている会員コードが玉貸機1で取得される。これによりその会員コードによって個人認証される会員が遊技場に来ていることがパチンコホール側で把握される。
【0023】
図1に戻って、各パチンコ機2の正面部分の適所とパチンコ機2毎に設けられている椅子9とには通信装置7を構成するアンテナ71,72がそれぞれ設置されている。前記通信装置7は図示しない送受信回路などを含んでおり、後述する図7に示すように、玉貸機1の制御装置100に接続されている。各アンテナ71,72は指向性を有し、パチンコ機2と椅子9との間、すなわち、パチンコ機2の前方の空間に、前記携帯端末6に埋設されたアンテナとの交信が可能な交信領域Sが形成される。前記制御装置100はアンテナ71,72から同じ位相の電波を送信して交信領域Sを形成する。この交信領域S内に携帯端末6を所持した遊技者が入ると、アンテナ71,72と携帯端末6のアンテナとの間に回路が形成され、携帯端末6に組み込まれたICチップ60に記憶されている会員コードが玉貸機1の制御装置100に取り込まれる。また、制御装置100は、携帯端末6に対して前記ICチップ60に記憶されている会員選定リストの送信を要求し、そのリストをさらに取り込む。
【0024】
図5は、前記携帯端末6に組み込まれたICチップ60の回路構成を示す。
同図中、64はマイクロコンピュータによって構成される制御部であり、制御の主体であるCPU65、プログラムや固定データが記憶されるROM66、データの読み書きに供されるRAM67などを含んでいる。制御部64はROM66に記憶されたプログラムに従ってRAM67に対するデータの読み書きを行いながら入出力各部、すなわち、前記押釦スイッチ61,62を含む操作部68、スピーカー69、表示部63などに対する入出力動作を制御するとともに、通信ポート70を介して他の携帯端末6や玉貸機1の通信装置7との通信を制御する。
【0025】
ROM66には固定データとして、この携帯端末6の所有者である会員の会員コードが記憶される他、スピーカー69より出力される音声案内のための音声パターン、表示部63に表示される案内表示のための表示パターンなども記憶されている。
RAM67は、この携帯端末6の所有者である会員が選定した他の会員の会員コードのリスト(会員選定リスト)が記憶される会員選定リスト記憶部を有している。この記憶部に対する会員コードの追加登録や不要となった会員コードの消去は前記操作部68の操作により可能である。
【0026】
図2に示される玉貸機1は、パチンコ機2の側面に接した状態で配備されるもので、紙幣aの投入を受け付けてICスティック5を発行して放出した後、そのICスティック5の挿入を受け付けて隣接する特定のパチンコ機2へパチンコ玉の貸出処理を行う。
玉貸機1の前面には、複数の金種の紙幣aを縦向きにして受け付ける紙幣投入口12と、蓋13で塞がれた貨幣回収口14とが設けられている。蓋13の開放により内部にストックされた紙幣の回収が可能である。
前記貨幣回収口14の下方にはICスティック5を出し入れするための挿排口15が設けられ、その下方に、情報を表示するための表示器16が配置されている。
【0027】
玉貸機1の内部には、前記ICスティック5の挿排口15の位置に対応して、図6に示すような、間欠回転が可能なホルダー8が配置されている。このホルダー8の等角度位置(図示例では60度毎)には、ICスティック5を水平姿勢で保持するための収納部81が設けられており、前記挿排口15の位置にあるホルダー8の収納部81よりICスティック5が挿排口15へ送り出される。
前記挿排口15の位置にあるホルダー8の収納部81に対応させてリードライター85のアンテナ82が配置されている。その収納部81に収納されたICスティック5とリードライター18とはアンテナ82を介して情報の送受信が行われる。
【0028】
玉貸機1は、上記のホルダー8に形成された6個の収納部81のうち、少なくとも1個の収納部81に金額価値がゼロのICスティック5が収納され、かつ少なくとも1個の収納部81にICスティック5が収納されていない空状態で運用される。
【0029】
各玉貸機1においてICスティック5に書き込まれた情報(発行元の玉貸機の台番号、ICスティックの金額価値、識別番号、発行日付や時刻、発行した店舗など)は、そのICスティック5を発行した玉貸機1に登録されて管理される。
各玉貸機1や精算機3がICスティック5を受け付けると、ICスティック5の発行元の玉貸機1との間で交信し、受け付けたICスティック5の情報を照合する。もし、情報が適正であれば、そのICスティック5に対する貸出や精算などの処理が進められ、貸出や精算に応じて登録データが書き換えられる。
【0030】
図7は、上記した玉貸機1の電気的な構成の概略を示している。同図中、100は制御装置であり、制御の主体であるCPU101とROM102とRAM103とを含んでいる。制御装置100にはバス104を介してI/Oインターフェイス回路105が接続され、I/Oインターフェイス回路105には紙幣識別機17、リードライター18、表示器16、貸出スイッチ19、通信装置7、通信インターフェイス回路106,107などが接続されている。
貸出スイッチ19はパチンコ機2の側に設けてあり、遊技者がパチンコ玉の貸出を要求するときに押操作される。一方の通信インターフェイス回路106は隣接するパチンコ機2との間の各種の制御信号を中継する。他方の通信インターフェイス回路107は全ての玉貸機1、精算機3、および管理装置4との間の通信を行うためのものである。
【0031】
図1に示した管理装置4は、コンピュータにより構成されており、定期的(例えば10分毎)に各玉貸機1および精算機3のデータ記憶部(例えばRAM)をアクセスしてICスティック5の販売状況や利用状況に関わる情報を受信して記憶するとともに、パチンコホール内におけるICスティック5の売上、ICスティック5の利用個数、パチンコ玉の貸出に消費された金額などを集計する。
【0032】
また、管理装置4は、各玉貸機1より会員コードの送信を受け、会員コードを送ってきた玉貸機1と対をなすパチンコ機2で遊技中の会員を認識する。管理装置4は全ての会員の会員コードが登録されている会員登録リストを保有しており、前記の認識結果は会員登録リストの記憶部中にデータ入力されて記憶される。例えば、会員登録リストに記憶されている全ての会員コードに対応して会員の来店の有無を表すフラグをセットする領域を設けておき、会員の来店が認識されたとき、前記フラグを立てて来客を記憶するようにする。なお、フラグはパチンコホールが一日の営業を終えて閉店するときに一斉にリセットされる。
【0033】
さらに、管理装置4は、会員コードを送ってきた玉貸機1に対して前記会員選定リストの送信を要求し、携帯端末6から玉貸機1を経て送られてきた会員選定リストを前記会員登録リストと照合することにより、会員選定リスト中の会員のうち、当日に何人の会員が来店したかを判定する。そして、管理装置4は、判定時点における来店会員数に応じた内容の特典を会員へ付与する。
【0034】
この実施例では、会員に付与される特典として、会員が遊技を開始したパチンコ機2について、その台が遊技者にとって有利な台であるかどうか、すなわち、よく出る台であるかどうかの情報(以下、単に「台情報」という。)を、来店した会員の数が多いほど情報の確かさが上がるようにして、管理装置4が玉貸機1を通じて携帯端末6へ送信するようにしている。そのために、まず管理装置4は、判定時点での来店会員数に応じて特典付与モードを複数の段階(例えば4段階のモード)のいずれかに設定し、次に、その特典付与モードに応じた報知信頼度の台情報を報知信頼度とともに管理装置4が玉貸機1へ送信している。
【0035】
例えば、来店会員数が1〜2人のときは「モード1」として報知信頼度をA%に、3〜4人のときは「モード2」として報知信頼度をB%(B>A)に、5〜9人のときは「モード3」として報知信頼度をC%(C>B>A)に、それぞれ設定し(ただし、A,B,C<100%)、10人以上のときは「モード4」として報知信頼度を100%に設定する。
【0036】
ところで、パチンコ機2はその出玉率の調整が可能であり、その出玉の程度が複数の段階(例えば5段階)にランク分けされている。例えば、会員が遊技を開始したパチンコ機2について、その台のランクが最も高い「5」であると報知した場合に、モード1であれば、実際に設定されているランクが「1」〜「5」である可能性があるものとし、モード2であれば、実施に設定されているランクが「2」〜「5」である可能性があるものとし、モード3であれば、実際に設定されているランクが「3」〜「5」である可能性があるものとし、モード4であれば、実際に設定されているランクが「5」であるものとする。
【0037】
この実施例では、遊技機はパチンコ機であるが、スロットマシンの場合は、例えば6段階に内部抽選の当選率が設定可能であり、この設定値を台のランクの情報とし、上記したように、モード毎に報知の確からしさを変える構成とする。また、ランク情報の報知の方法としては、上記したような数字を報知する場合の他、モード毎に、(1)「このあたりのいい台があるよ」、(2)「この島の中にいい台があるよ」、(3)「2〜3台周辺にいい台があるよ」といった風に音声或いは表示にて報知する場合も含むものである。この場合、(1)から(3)の順番に遊技者にとっては有利な台を探索し易くなるもので、この場合の報知は、有利な台の探索の難易度を変化させる難易度変更手段としての役割を果たすものである。
【0038】
この実施例では、携帯端末6の表示部63に「この台の設定ランクは・・・です。」との表示とともに、設定されているモードが「1」から「4」のいずれであるかを、図8(1)〜(4)に示す4種類のキャラクターを用いて表示するようにしている。
このモード表示は、報知がどの程度の信頼度の大きさで行われているかの情報を示す報知信頼度表示手段としての役割を示すものである。
【0039】
図9は上記した管理装置4の電気的な構成を示している。同図中、40は制御装置であり、制御の主体であるCPU41とROM42とRAM43とを含んでいる。制御装置40にはバス48を介してI/Oインターフェイス回路47が接続され、I/Oインターフェイス回路47には、キーボードなどの操作部44、表示部45、および通信インターフェイス回路46が接続されている。通信インターフェイス回路46は全てのパチンコ機2、全ての玉貸機1、および精算機3と通信を行うためのものである。
【0040】
図10は、玉貸機1の制御装置100による玉貸処理についての制御の流れを示している。同図中、「ST」は「STEP」の略であり、一連の流れにおける各手順を示している。制御装置100のCPU101はROM102に格納されたプログラムに従ってRAM103に対するデータの読み書きを実行しつつ入出力各部の動作を一連に制御するものである。
【0041】
まず、CPU101は、同図のST1,2において、遊技者によるICスティック5の発行要求操作とパチンコ玉の貸出要求操作とに待機している。いま、遊技者が紙幣投入口12に紙幣aを投入すると、ST1の判定が「YES」であり、CPU101は所定の金額価値のICスティック5を発行する処理を実行する(ST3)。一方、遊技者が貸出スイッチ88を押操作すると、ST2の判定が「YES」であり、CPU101は金額価値を有するICスティック5が挿排口15に存在することを条件として玉貸処理を実行する(ST4,5)。もし、金額価値を有するICスティック5が挿排口15に存在していなければST4の判定が「NO」であり、玉貸処理は実行されない。
【0042】
図11は、携帯端末6の制御部64による会員の来店受付処理についての制御の流れを示している。前記制御部64のCPU65はROM66に格納されたプログラムに従ってRAM67に対するデータの読み書きを実行しつつ入出力各部の動作を一連に制御する。
【0043】
同図のST1では、CPU65は通信装置7の交信領域S内に携帯端末6が入ったかどうかを判定している。もし、遊技者(会員)が任意のパチンコ機2の前の椅子9に腰を下ろして遊技を開始すると、遊技者が所持する携帯端末6が交信領域S内に位置することになるので、ST1の判定が「YES」となり、CPU65はROM66より自己の会員コードを読み出して送信する(ST2)。
【0044】
つぎのST3では、CPU65は玉貸機1より会員選定リストの送信要求に待機している。もし、玉貸機1より送信要求があれば、ST3の判定が「YES」となり、CPU65はRAM67より会員選定リストを読み出して玉貸機1へ送信する(ST4)。
【0045】
つぎのST5では、CPU65は玉貸機1の通信装置7より会員が遊技を開始したパチンコ機2についての台情報が送られてくるのに待機している。そして、台情報を受信すると、ST5の判定が「YES」となり、CPU65は台情報とその台情報の報知信頼度とを表示部63に表示する(ST6)。
【0046】
図12は、玉貸機1の制御装置100による会員の来店受付処理についての制御の流れを示している。
同図のST1では、CPU101は通信装置7が携帯端末6より会員コードを受信したかどうかを判定している。もし、通信装置7によって会員コードが受信されると、ST1の判定が「YES」であり、CPU101は受信した会員コードを管理装置4へ送信した後(ST2)、つぎのST3において、管理装置4からの会員選定リストの送信要求に待機する。
【0047】
もし、管理装置4より会員選定リストの送信要求があれば、ST3の判定が「YES」であり、CPU101は、携帯端末6に対して会員選定リストの送信を要求した後(ST4)、つぎのST5において、携帯端末6より会員選定リストが送られてくるのに待機する。そして、携帯端末6より会員選定リストが送られてくると、ST5の判定が「YES」であり、CPU101は受信した会員選定リストを管理装置4へ送信する(ST6)。
【0048】
つぎのST7では、CPU101は管理装置4より会員が遊技を開始したパチンコ機2についての台情報が送られてくるのに待機する。もし、管理装置4より台情報を受信すると、ST7の判定が「YES」となり、CPU101は台情報を携帯端末6へ送信する(ST8)。
【0049】
図13は、管理装置4の制御装置40による会員の来店受付処理についての制御の流れを示している。前記制御装置40のCPU41はROM42に格納されたプログラムに従ってRAM43に対するデータの読み書きを実行しつつ入出力各部の動作を一連に制御する。
【0050】
同図のST1では、CPU41はいずれかの玉貸機1より会員コードを受信したかどうかを判定している。もし、会員コードを受信すると、ST1の判定が「YES」であり、CPU41は会員登録リストの記憶部であって受信した会員コードに対応する領域に来店を示すフラグをセットするなどして来店した会員の認識処理を実行した後(ST2)、つぎのST3において、会員コードを送信してきた玉貸機1へ会員選定リストの送信を要求する。
【0051】
もし、その玉貸機1より会員選定リストを受信すれば、ST4の判定が「YES」であり、CPU41は、会員選定リストと会員登録リストとを照合することにより会員選定リスト中のどの会員が来店したかを認識するとともに、来店した会員の数を算出した後(ST5)、その来店会員数に応じた報知信頼度の台情報を生成し(ST6)、その台情報を報知信頼度とともに玉貸機1へ送信する(ST7)。
【0052】
なお、上記した実施例では、携帯端末6が通信装置7の交信領域S内に入ったかどうかを自らが判断して自己の会員コードを送信するようにしているが(図11のST1,2)、これに限らず、図14に示すように、携帯端末6が交信領域Sに入ったとき、玉貸機1より会員コードの送信要求を受けたことを条件として会員コードを送信するようにしてもよい(図14のST1,2)。
この場合、玉貸機1のCPU101は、図15に示すように、携帯端末6が通信装置7の交信領域Sに入ったかどうかを常に監視しており(ST1−1)、その判定が「YES」になったとき、CPU101は、携帯端末6へ会員コードの送信を要求し(ST1−2)、携帯端末6からの会員コードの送信に待機する(ST1−3)。
【0053】
また、上記の実施例では、管理装置4において会員選定リストと会員登録リストとの照合を行って会員選定リスト中の会員のうち何人の会員が来店したかを算出しているが、図16〜図18に示す実施例のように、携帯端末6で照合処理と来店会員数の算出とを行うようにしてもよい。
【0054】
図16は、携帯端末6の制御部64による制御の流れを示すもので、同図のST1において、CPU65は通信装置7の交信領域S内に携帯端末6が入ったかどうかを判定している。もし、遊技者(会員)が任意のパチンコ機2の前に腰を下ろして遊技を開始すると、遊技者が所持する携帯端末6が交信領域S内に位置することになるので、ST1の判定が「YES」となり、CPU65はROM66より自己の会員コードを読み出して送信する(ST2)。
【0055】
つぎのST3では、CPU65は玉貸機1から来店会員リストが送られてくるのに待機する。この来店会員リストは、来店した会員の会員コードを集めたものであり、管理装置4において作成される。この来店会員リストを玉貸機1より受信すると、ST3の判定が「YES」となり、CPU65はRAM67に記憶している会員選定リストと前記来店会員リストとを照合することにより会員選定リスト中のどの会員が来店したかを認識するとともに、来店した会員の数を算出し(ST5)、その来店会員数を玉貸機1へ送信する(ST5)。
【0056】
つぎのST6では、CPU65は玉貸機1より会員が遊技を開始したパチンコ機2についての台情報が送られてくるのに待機している。そして、台情報を受信すると、ST6の判定が「YES」となり、CPU65は台情報とその台情報の報知信頼度とを表示部63に表示する(ST7)。
【0057】
図17は、玉貸機1の制御装置100による制御の流れを示すもので、同図のST1では、CPU101は通信装置7が携帯端末6より会員コードを受信したかどうかを判定している。もし、通信装置7によって会員コードが受信されると、ST2の判定が「YES」であり、CPU101は受信した会員コードを管理装置4へ送信した後(ST2)、つぎのST3において、管理装置4からの来店会員リストの受信に待機する。
【0058】
そして、管理装置4より来店会員リストを受信すれば、ST3の判定が「YES」であり、CPU101は、携帯端末6へ来店会員リストを送信した後(ST4)、つぎのST5において、携帯端末6より会員選定リストと来店会員リストとの照合結果、すなわち、来店会員数が送られてくるのに待機する。そして、携帯端末6より来店会員数が送られてくると、ST5の判定が「YES」となり、CPU101は受信した来店会員数を管理装置4へ送信する(ST6)。
【0059】
つぎのST7では、CPU101は管理装置4より会員が遊技を開始したパチンコ機2についての台情報が送られてくるのに待機する。もし、管理装置4より台情報を受信すると、ST7の判定が「YES」となり、CPU101は台情報を携帯端末6へ送信する(ST8)。
【0060】
図18は、管理装置4の制御装置40による制御の流れを示すもので、同図のST1において、CPU41はいずれかの玉貸機1より会員コードを受信したかどうかを判定している。もし、会員コードを受信すると、ST1の判定が「YES」であり、CPU41は受信した会員コードが会員登録リスト中に存在するかどうかを確認したうえで、来店した会員の会員コードを集めた来店会員リストを作成し(ST2)、その来店会員リストをを会員コードを送信してきた玉貸機1へ送信する(ST3)。
【0061】
つぎのST4において、CPU41は玉貸機1より会員選定リストと来店会員リストとの照合結果、すなわち、来店会員数が送られてくるのに待機しており、玉貸機1より来店会員数を受信すれば、ST4の判定が「YES」であり、CPU41は、来店会員数に応じた報知信頼度の台情報を生成し(ST5)、その台情報を報知信頼度とともに玉貸機1へ送信する(ST6)。
【0062】
なお、この発明の会員システムは、単一店舗内に限られるものではなく、例えば、チェーン店間において共通のシステムとして構成し、チェーン店を一括して管理する管理コンピュータを通じて特典を与える構成としてもよい。この場合、リスト内にある会員がチェーン店に来店していれば特典が与えられるため、複数の店舗について同時に利益の向上をはかることができる。さらに、この会員システムを異業種の店舗(例えば遊技場と映画館など)について共通の会員システムとし、それぞれの施設について特典を与える構成とすれば、複数の施設について提携して利益の向上をはかることができる。これらの施設が近接して存在する場合には、一層利用者にとって利用し易くなり、有利なシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の会員システムが導入されたパチンコホール内の概略構成を示す説明図である。
【図2】玉貸機の外観を示す斜視図である。
【図3】ICスティックの外観を示す斜視図である。
【図4】携帯端末の外観を示す斜視図である。
【図5】携帯端末の電気的な構成を示すブロック図である。
【図6】玉貸機のホルダーの構成を示す正面図である。
【図7】玉貸機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図8】設定されたモードを表すキャラクターを示す説明図である。
【図9】管理装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図10】玉貸機の制御装置による玉貸処理についての制御の流れを示すフローチャートである。
【図11】携帯端末の制御部による会員の来店受付処理についての制御の流れを示すフローチャートである。
【図12】玉貸機の制御装置による会員の来店受付処理についての制御の流れを示すフローチャートである。
【図13】管理装置の制御装置による会員の来店受付処理についての制御の流れを示すフローチャートである。
【図14】携帯端末の制御部による他の制御手順を示すフローチャートである。
【図15】玉貸機の制御装置による他の制御手順を示すフローチャートである。
【図16】他の実施例についての携帯端末の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。
【図17】他の実施例についての玉貸機の制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。
【図18】他の実施例についての管理装置の制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 玉貸機
2 パチンコ機
4 管理装置
5 ICスティック
6 携帯端末
7 通信装置
40,100 制御装置
41,65,101 CPU
42,66,102 ROM
43,67,103 RAM
64 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決められた施設において識別情報によって本人認証される会員に対して特典を付与するための会員システムであって、
会員毎に供与され、供与を受けた会員本人の識別情報を保持するとともに外部へ提供する機能を有する携帯可能な媒体と、
前記施設内に設けられ、前記媒体を認識して会員本人の識別情報を取得する端末と、
前記端末と通信可能であり、端末が取得した会員本人の識別情報の送信を受けて施設に来た会員を認識する管理装置とを備え、
前記管理装置と前記媒体とのいずれかは、媒体の供与を受けた会員が選定した他の会員の識別情報を会員本人の識別情報と対応付けて選定会員識別情報として集積記憶する記憶部を有しており、
前記管理装置と前記媒体とのいずれかは、前記選定会員識別情報を前記管理装置による会員の認識結果と照合することにより選定会員識別情報によって特定される会員のうち施設に来た会員の数を判定する判定手段を備え、前記判定手段で判定された会員の数に応じた内容の特典が管理装置によって会員へ付与されるようにした会員システム。
【請求項2】
決められた施設において識別情報によって本人認証される会員に対して特典を付与するための会員システムであって、
会員毎に供与され、供与を受けた会員本人の識別情報を記憶するとともにその会員が選定した他の会員の識別情報を会員本人の識別情報と対応付けて選定会員識別情報として集積記憶する記憶部を有する携帯端末と、
前記施設内の複数の箇所に携帯端末と交信可能に設置され、携帯端末との交信により会員本人の識別情報を取得する通信端末と、
各通信端末と通信可能であり各通信端末が取得した会員本人の識別情報の送信を受けて施設に来た会員を認識する管理装置とを備えており、
前記管理装置と携帯端末とのいずれかは、前記選定会員識別情報を前記管理装置による会員の認識結果と照合することにより選定会員識別情報によって特定される会員のうち施設に来た会員の数を判定する判定手段を備え、前記判定手段で判定された会員の数に応じた内容の特典が管理装置によって会員へ付与されるようにした会員システム。
【請求項3】
前記通信端末は、遊技場に設置された複数台の遊技機にそれぞれ隣接して設けられた遊技媒体の貸出機であり、各遊技機の前方空間に携帯端末と交信が可能な交信領域が生成されている請求項2に記載された会員システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、他の携帯端末との交信によりその携帯端末に記憶されている会員本人の識別情報を取得して前記選定会員識別情報として記憶部に集積記憶する機能を備えている請求項2に記載された会員システム。
【請求項1】
決められた施設において識別情報によって本人認証される会員に対して特典を付与するための会員システムであって、
会員毎に供与され、供与を受けた会員本人の識別情報を保持するとともに外部へ提供する機能を有する携帯可能な媒体と、
前記施設内に設けられ、前記媒体を認識して会員本人の識別情報を取得する端末と、
前記端末と通信可能であり、端末が取得した会員本人の識別情報の送信を受けて施設に来た会員を認識する管理装置とを備え、
前記管理装置と前記媒体とのいずれかは、媒体の供与を受けた会員が選定した他の会員の識別情報を会員本人の識別情報と対応付けて選定会員識別情報として集積記憶する記憶部を有しており、
前記管理装置と前記媒体とのいずれかは、前記選定会員識別情報を前記管理装置による会員の認識結果と照合することにより選定会員識別情報によって特定される会員のうち施設に来た会員の数を判定する判定手段を備え、前記判定手段で判定された会員の数に応じた内容の特典が管理装置によって会員へ付与されるようにした会員システム。
【請求項2】
決められた施設において識別情報によって本人認証される会員に対して特典を付与するための会員システムであって、
会員毎に供与され、供与を受けた会員本人の識別情報を記憶するとともにその会員が選定した他の会員の識別情報を会員本人の識別情報と対応付けて選定会員識別情報として集積記憶する記憶部を有する携帯端末と、
前記施設内の複数の箇所に携帯端末と交信可能に設置され、携帯端末との交信により会員本人の識別情報を取得する通信端末と、
各通信端末と通信可能であり各通信端末が取得した会員本人の識別情報の送信を受けて施設に来た会員を認識する管理装置とを備えており、
前記管理装置と携帯端末とのいずれかは、前記選定会員識別情報を前記管理装置による会員の認識結果と照合することにより選定会員識別情報によって特定される会員のうち施設に来た会員の数を判定する判定手段を備え、前記判定手段で判定された会員の数に応じた内容の特典が管理装置によって会員へ付与されるようにした会員システム。
【請求項3】
前記通信端末は、遊技場に設置された複数台の遊技機にそれぞれ隣接して設けられた遊技媒体の貸出機であり、各遊技機の前方空間に携帯端末と交信が可能な交信領域が生成されている請求項2に記載された会員システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、他の携帯端末との交信によりその携帯端末に記憶されている会員本人の識別情報を取得して前記選定会員識別情報として記憶部に集積記憶する機能を備えている請求項2に記載された会員システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−61758(P2008−61758A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241639(P2006−241639)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000169477)アビリット株式会社 (294)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000169477)アビリット株式会社 (294)
【Fターム(参考)】
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