説明

会計処理装置および会計処理システム

【課題】商品の特性情報を確実に顧客に提示することのできる会計処理装置および会計処
理システムを提供する。
【解決手段】商品を特定する商品情報を取得する商品情報取得部と、取得した商品情報に
基づいて、商品の会計処理を行う会計処理部と、ハイパースペクトルカメラによって商品
を測定した測定結果である分光情報を取得する分光情報取得部と、取得した分光情報を分
析し、当該分析結果に応じて、商品の状態を表す特性情報を生成する特性情報生成部と、
会計処理部による商品の会計処理結果である会計情報と、特性情報生成部により生成され
た商品の特性情報と、に基づいて、レシートに印刷するための印刷情報を生成する印刷情
報生成部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の状態を表す特性情報を生成および提示する機能を備えた会計処理装置
および会計処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の状態を表す特性情報を生成および提示する技術として、時間経過に伴って
鮮度が低下する生鮮食品を主とした対象物に光照射し、その反射光を分析することで対象
物の鮮度を判定し、表示部にその判定結果を表示する鮮度センサーが知られている(特許
文献1参照)。この鮮度センサーは、対象物の表面の色の変化、水分の低下等によって変
化する反射光のスペクトルに基づいて、対象物の鮮度を判定している。この鮮度センサー
によれば、短時間且つ非破壊で対象物の鮮度を判定することができる。よって、商品に対
する全数検査や、リアルタイムでの鮮度判定が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−108124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、商品の販売促進や顧客サービスの観点から、上記のように生成した商品の特
性情報(鮮度の判定結果)を、商品の販売時に顧客に提示したいという要望がある。しか
し、上記の技術では、商品の特性情報を、鮮度センサーの表示部に、測定時において一時
的に表示するだけであり、特性情報を確実に顧客に提示することができない。すなわち、
顧客は、例えば特性情報を参考にして商品の保存方法や消費時期を工夫するなど、商品の
購入後に特性情報を利用することができない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、商品の特性情報を確実に顧客に提示することのできる会計
処理装置および会計処理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の会計処理装置は、商品を特定する商品情報を取得する商品情報取得部と、取得
した商品情報に基づいて、商品の会計処理を行う会計処理部と、ハイパースペクトルカメ
ラによって商品を測定した測定結果である分光情報を取得する分光情報取得部と、取得し
た分光情報を分析し、当該分析結果に応じて、商品の状態を表す特性情報を生成する特性
情報生成部と、会計処理部による商品の会計処理結果である会計情報と、特性情報生成部
により生成された商品の特性情報と、に基づいて、レシートに印刷するための印刷情報を
生成する印刷情報生成部と、を備えたことを特徴とする会計処理装置。
【0007】
この構成によれば、生成した特性情報をレシートに印刷することにより、顧客に対して
、一時的な提示ではなく、確実に特性情報を提示することができる。これにより、顧客は
商品購入後、特性情報を参考にして消費方法を工夫するなど、商品を消費する際に特性情
報を利用することができる。また、商品の状態を表す特性情報によって、商品の安全性や
品質の良さを顧客に提示することにより、商品および店舗の信頼性の向上を図ることがで
きる。なお、特性情報とは、商品の鮮度、糖度、商品に含まれる成分量、異物混入の有無
等のいずれかであることが好ましい。
【0008】
この場合、商品ごとに特性情報を記憶する特性情報記憶部をさらに備え、印刷情報生成
部は、特性情報記憶部を参照して商品情報取得部により取得した商品情報に対応する特性
情報を抽出し、当該特性情報に基づいて印刷情報を生成することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、商品の販売時に、商品情報を取得するだけで特性情報を含んだ印刷
情報を生成することができる。よって、商品の販売時に分光情報を取得する必要がなく、
オペレーターの操作工程を増やすことなく、特性情報が印刷されたレシートを発行するこ
とができる。
【0010】
または、商品情報取得部および分光情報取得部は、商品の商品情報と当該商品の分光情
報とを略同時に取得することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、商品の販売と同時に取得した分光情報に基づいて生成した特性情報
をレシートに印刷することができる。すなわち、分光情報の取得から実際に商品を販売す
るまでの時間経過によって商品の状態が変化することなく、信頼性の高い特性情報を顧客
に提示することができる。
【0012】
これらの場合、印刷情報生成部は、特性情報を、コード化画像として生成することが好
ましい。
【0013】
この構成によれば、レシートに印刷されたコード化画像をコード読取装置によって読み
取り、特性情報に含まれた商品の特性や品質を表す情報を可視化させる構成とすれば、レ
シートに特性情報を印刷するスペースを縮小することができると共に、豊富な情報を顧客
に提示することができる。
【0014】
これらの場合、商品の消費方法に関する特性関連情報を商品ごとに記憶する特性関連情
報記憶部をさらに備え、印刷情報生成部は、商品の特性情報に当該商品の特性関連情報を
付加して印刷情報を生成することが好ましい。
【0015】
さらに、特性関連情報記憶部は、1の商品に対して複数種類の特性関連情報を記憶し、
分光情報の分析結果に応じて、複数種類の特性関連情報の中から1の特性関連情報を抽出
する特性関連情報抽出部をさらに備えていることが好ましい。
【0016】
これらの構成によれば、購入後の消費行動に役立つ具体的な情報を顧客に提示すること
ができる。なお、上記の消費方法に関する情報とは、商品の保存方法、消費方法、消費時
期等を含むものである。また、特性関連情報を分光情報の分析結果に応じたものとすれば
、商品の現在の状態を考慮した最適な保存方法や推奨消費時期を顧客に提示することがで
きる。
【0017】
これらの場合、商品情報取得部、会計処理部、分光情報取得部および印刷情報生成部を
備えたPOS端末と、特性情報生成部を備え、1以上の前記POS端末と接続されたサー
バーと、によって構成されることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、複数のPOS端末と単一のサーバーとで構成されたPOSシステム
において、特性情報をレシート印刷することにより顧客に特性情報を確実に提示すること
ができる。
【0019】
本発明の会計処理システムは、上記の会計処理装置と、商品情報を入力するスキャナー
と、ハイパースペクトルカメラと、レシートを発行する印刷装置と、を備えたことを特徴
とする。
【0020】
この構成によれば、確実に商品の特性情報を提示する会計処理システムを提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態にかかる会計処理システムの構成を示した図である。
【図2】プラムの分光情報における波長−反射率のグラフ(a)並びに鮮度指数−経過日数のグラフ(b)である。
【図3】アドバイス情報記憶部の記憶内容を示した図である。
【図4】鮮度情報およびアドバイス情報が印刷されたレシートの一例を示した図である。
【図5】鮮度情報およびアドバイス情報がコード化画像として印刷されたレシートの一例を示した図(a)並びにコード化画像に含まれる鮮度情報およびアドバイス情報が可視化された表示例を示した図(b)である。
【図6】第1実施形態にかかる会計処理を示したフローチャートである。
【図7】第2実施形態にかかる会計処理システムの構成を示した図である。
【図8】鮮度情報記憶部の記憶内容を示した図である。
【図9】第2実施形態にかかる会計処理を示したフローチャートである。
【図10】第3実施形態にかかる会計処理システムの構成を示した図である。
【図11】第3実施形態にかかる会計処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照し、本発明の会計処理装置および会計処理システムについて説
明する。以下に示す各実施形態では、スーパーマーケット等の小売店において、会計した
生鮮食品の鮮度レベルを示す鮮度情報、および当該鮮度レベルに応じたアドバイス情報を
レシートに印刷する。なお、「生鮮食品」とは、青果物(果物・野菜)、鮮魚および精肉
を指す。また、「鮮度情報」とは、会計処理システムに備えられたハイパースペクトルカ
メラによる生鮮食品の測定結果から生成されるものであり、「アドバイス情報」とは、鮮
度レベルに応じた当該生鮮食品の食べ頃日時、保存方法およびお勧めの食べ方を示すもの
である。なお、「特性情報」とは「鮮度情報」を指し、「特性関連情報」とは「アドバイ
ス情報」を指す。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態にかかる会計処理システムSY1のブロック図である。同図に示
すように、会計処理システムSY1は、会計処理を行うPOS端末1と、商品に貼付また
は印刷された商品バーコードを読み取るハンディスキャナー2と、商品(生鮮食品)を測
定するハイパースペクトルカメラ3と、レシートを発行するレシートプリンター4と、会
計処理システムSY1を統括する店舗管理サーバー5と、から成る。POS端末1とハン
ディスキャナー2、ハイパースペクトルカメラ3、およびレシートプリンター4は、それ
ぞれシリアルインターフェース(例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフ
ェース)により接続されている(後述の周辺機器I/F部21)。また、POS端末1お
よび店舗管理サーバー5は、店舗内LAN6(有線LANまたは無線LAN)により接続
されている。
【0024】
なお、図1では、POS端末1が1台の場合を示しているが、店舗内に複数のレジカウ
ンターが設置されている場合、レジカウンターごとに、POS端末1、ハンディスキャナ
ー2、ハイパースペクトルカメラ3およびレシートプリンター4が設けられる。また、「
会計処理装置」は、上記の構成要素のうち、POS端末1および店舗管理サーバー5から
成る。
【0025】
また、本実施形態では、会計時に、オペレーターがハイパースペクトルカメラ3を用い
て商品の測定を行う。なお、当該会計時、ハンディスキャナー2により全商品の商品バー
コードを読み取るのに対し、ハイパースペクトルカメラ3による商品の測定は、全商品の
うちの生鮮食品に対してのみ行うものとする。そして、会計対象の商品が生鮮食品か否か
の判別は、オペレーターが目視で行うものとする。もちろん、商品バーコードに含まれた
商品名や商品区分に関する情報を用いて、POS端末1が判別し、これをオペレーター用
ディスプレイに表示することにより、オペレーターに対し会計対象の商品が生鮮食品か否
かを通知する構成としてもよい。
【0026】
ハイパースペクトルカメラ3は、主な構成として、商品(生鮮食品)に光照射する光源
と、商品からの反射光を分光する分光器(いずれも図示省略)と、分光した反射光の分光
情報を生成する分光情報生成部7を備えている。分光情報とは、各波長域の反射光の検出
値を数値化したものである。そして、分光情報生成部7は、生成した分光情報をPOS端
末1に出力する。なお、ハイパースペクトルカメラ3は、商品の表面を測定可能な形態で
あれば、ハンディタイプのものでも、レジカウンターに固定された設置タイプのものでも
よい。また、商品の測定方法は、上記の反射方式ではなく、透過光を用いて商品を測定す
る透過方式でもよい。また、分光情報は、商品の成分分析に有効な近赤外域を含む各波長
域の検出値を数値化したものであることが望ましい。
【0027】
店舗管理サーバー5は、主な構成として、POS端末1から取得した分光情報から鮮度
レベルの判定を行う鮮度判定部11(特性情報生成部)、商品ごとに鮮度レベルに応じた
アドバイス情報を記憶したアドバイス情報記憶部12(特性関連情報記憶部)、鮮度レベ
ルの判定結果に応じて商品の食べ頃日時を算出する食べ頃日時算出部13、およびアドバ
イス情報記憶部12から鮮度レベルの判定結果に応じたアドバイス情報を抽出するアドバ
イス情報抽出部14(特性関連情報抽出部)を備えている。
【0028】
鮮度判定部11は、不図示の記憶部に記憶された所定のプログラムに基づいて、POS
端末1から取得した分光情報から商品の鮮度レベルを判定する。具体的には、各波長域の
検出値である分光情報を解析して、時間経過によって変化する主要成分量(例えば、水分
量、糖度など)や表面の色などに影響される鮮度指数を算出し、この鮮度指数から商品の
鮮度レベルを判定する。
【0029】
分光情報(スペクトル)の解析方法は大きく、定性分析タイプおよび定量分析タイプ
の2つに分かれ、前者には主成分分析、クラスター分析などがあり、後者には重回帰分析
、主成分回帰分析などがある。既に公知であるこれらの解析方法を利用すれば、鮮度判定
は容易に行えるが、本実施形態では、簡易的な方法を採用する。以下は、リモートセンシ
ングで知られている正規化植生指数(NDVI)を参考に考案された判別方法で、処理能
力の低いCPUでも解析可能である。例えば、図2(a)は、果物のプラムに関する波長
−反射率のグラフである。575−625nmの波長区間をA区間、625−725nm
の波長区間をB区間とする。(B−A)/(B+A)の式を鮮度指数と定義して、鮮度指
数−経過日数をグラフにしたものが図2(b)である。この鮮度指数は、鮮度が劣化する
と数値が上昇する。本実施形態では、鮮度指数の0.15未満を「Lv1:新鮮」、0.
15〜0.25未満を「Lv2:準新鮮」、0.25以上を「Lv3:非新鮮」の3段階
に分けるものとする。なお、この鮮度レベルは、商品の特性(時間経過によって変化しや
すい成分)を考慮して、商品ごとに異なるものとする。このようにして判定された判定結
果(鮮度レベル)は、鮮度情報としてPOS端末1に出力される。
【0030】
アドバイス情報記憶部12は、アドバイス情報を含む各情報を商品ごとに記憶している
。図3は、アドバイス情報記憶部12の記憶内容を示す図である。図示のように、アドバ
イス情報記憶部12は、商品ごとに、「商品名」、「食べ頃時期・期限」、鮮度レベルに
応じた「推定経過期間」、「保存方法」、「お勧めの食べ方」を記憶している。
【0031】
「商品名」は、実際にはハンディスキャナー2が取得した商品バーコードに含まれた商
品を特定する商品コードとして記憶されている(図3では、商品名で記載している)。「
食べ頃時期・期限」は、出荷元、製造元または小売店により定められたものであり、出荷
日または製造日からの経過期間で記憶されている。例えば、図示のように「ラフランス」
の「食べ頃時期・期限」は、出荷日から20日経過した日となる。なお、「食べ頃時期・
期限」は、青果物(果物・野菜)については食べ頃の時期を示し、鮮魚および精肉につい
てはいわゆる消費期限と同等の意味を示す。「推定経過期間」は、鮮度レベル(鮮度指数
)から推定されるその商品の出荷日または製造日からの経過期間である。なお、「推定経
過期間」は、商品の鮮度指数から推定される経過期間であるため、実際の経過期間とは異
なる経過期間となる場合もある。「保存方法」は、鮮度レベルに応じた最適な商品の保存
方法である。例えば、図示のように「ラフランス」の場合、鮮度レベルが「Lv1」およ
び「Lv2」のものに対して「常温で保存して下さい」という保存方法が記憶されており
、「Lv3」のものに対して「冷蔵保存して下さい」という保存方法が記憶されている。
「お勧めの食べ方」は、鮮度レベルに応じた最適な食べ方である。例えば、図示のように
「マグロ赤身」の場合、鮮度レベルが「Lv1」および「Lv2」のものに対して「お刺
身でおいしく召し上がれます」という食べ方が記憶されており、「Lv3」のものに対し
て「フライやソテーがおすすめです」という食べ方が記憶されている。なお、アドバイス
情報は、上記に限られるものではなく、例えば、商品の「お勧めレシピ」などを含んでも
よい。
【0032】
図1に戻り、食べ頃日時算出部13は、鮮度判定部11の判定結果、アドバイス情報記
憶部12の「食べ頃時期・期限」および「推定経過期間」を参照して、商品の食べ頃日時
を算出する。具体的には、「食べ頃時期・期限」の経過期間から、鮮度レベルに応じた「
推定経過期間」を差し引いた期間を、現在日時に加算した日時を食べ頃日時として算出す
る。例えば、鮮度レベルが「Lv2」と判定されたラフランスは、「食べ頃時期・期限」
の経過期間が「20日後」であり、「推定経過期間」が「15日」である(図3参照)。
よって当該ラフランスの食べ頃日時は、現在日時に5日加算した日時となる(図4および
図5参照)。上記したように、食べ頃日時の算出基準となる「推定経過期間」は、実際の
経過期間とは異なる経過期間となる場合もあるが、これにより、出荷日時が同時であった
商品でも、各商品の鮮度の違いを考慮して適切な食べ頃日時を算出することができる。な
お、鮮魚および精肉については、算出された食べ頃日時は、消費期限と略同様の意味をも
つ日時となる。このため、レシート上にも、「食べ頃」ではなく「消費期限」と表記され
ることが好ましい。
【0033】
アドバイス情報抽出部14は、鮮度判定部11の判定結果に応じた「保存方法」および
「お勧めの食べ方」をアドバイス情報記憶部12から抽出する。そして、抽出した「保存
方法」および「お勧めの食べ方」と、算出した「食べ頃日時」と、をアドバイス情報とし
てPOS端末1に出力する。
【0034】
続いて、POS端末1の機能構成について説明する。図1に示すように、POS端末1
は、主な機能構成として、周辺機器I/F部21、会計処理部22、分光情報検出部23
および印刷情報生成部24を有している。周辺機器I/F部21は、上記のようにシリア
ルインターフェースで構成され、ハンディスキャナー2から商品バーコードに含まれた商
品情報(商品コード、商品名、価格などを含む)を取得し(商品情報取得部)、ハイパー
スペクトルカメラ3から分光情報を取得する(分光情報取得部)。また、周辺機器I/F
部21は、後述の印刷情報をレシートプリンター4に出力する。
【0035】
会計処理部22は、POSアプリケーション(図示省略)を主要部とするものであり、
取得した商品情報に基づいて、精算処理等の会計処理を実行する。また、会計処理部22
は、会計処理結果から会計情報を生成する。
【0036】
分光情報検出部23は、ハイパースペクトルカメラ3から分光情報を取得したことを検
出すると、取得した分光情報を店舗管理サーバー5に出力する。なお、分光情報検出部2
3は、分光情報と共に、当該分光情報の直前に取得した商品情報に含まれる商品コードを
POS端末1に出力する。
【0037】
印刷情報生成部24は、生成した会計情報、および店舗管理サーバー5から取得した鮮
度情報およびアドバイス情報に基づいて、レシートに印刷するための印刷情報を生成する
。なお、店舗管理サーバー5から鮮度情報およびアドバイス情報を取得しない場合には、
会計情報のみに基づいて印刷情報を生成する。なお、鮮度情報およびアドバイス情報をコ
ード化画像として生成してもよい(図5参照)。
【0038】
レシートプリンター4は、POS端末1から取得した印刷情報をレシート用紙に印刷し
、レシートを発行する。
【0039】
図4および図5は、鮮度情報およびアドバイス情報が印刷されたレシートの一例を示し
たものである。図4に示すレシートR1は、上部に店舗情報や会計情報が印刷された第1
印刷領域E1と、下部に会計処理された商品の鮮度情報およびアドバイス情報が印刷され
た第2印刷領域E2と、を有している。図示のように、第2印刷領域E2には、会計処理
された「ラフランス」および「アボカド」に対して、鮮度情報およびアドバイス情報が印
刷される。鮮度情報として「鮮度レベル」が、アドバイス情報として「食べ頃日時」、「
保存方法」および「お勧めの食べ方」が印刷されている。なお、「食べ頃日時」について
は、日にちに加えて時刻を表示してもよい。また、「鮮度レベル」や「食べ頃日時」など
、目立たせたい情報を第1印刷領域E1において、対象商品の印刷行に連ねて印刷させて
もよい。また、会計された商品が生鮮食品ではなかった場合、鮮度情報およびアドバイス
情報が生成されないため、第1印刷領域E1のみを有したレシートが印刷される。
【0040】
図5(a)は、鮮度情報およびアドバイス情報がコード化画像として印刷されたレシー
トの一例を示したものであり、同図(b)は、印刷されたコード化画像に含まれる鮮度情
報およびアドバイス情報が可視化された表示例を示したものである。同図(a)に示すレ
シートR2は、レシートR1と同様、第1印刷領域E1および第2印刷領域E2を有して
いるが、第2印刷領域E2には、印刷される鮮度情報およびアドバイス情報がコード化画
像C(例えば、QRコード)として印刷されている。例えば、顧客の携帯電話に搭載され
たコード読取機能でコード化画像Cを読み取ると、ディスプレイDに鮮度情報およびアド
バイス情報が表示される(同図(b))。これにより、レシートの印刷スペースを縮小さ
せることができる。
【0041】
次に、図6を参照し、本実施形態の会計処理について説明する。同図は、店舗管理サー
バー5およびPOS端末1の会計処理を示したフローチャートである。先ず、POS端末
1は、商品情報を取得すると(S01)、取得した商品情報に基づいて会計処理を行い、
会計情報を生成する(S02)。そして、分光情報を取得すると(S03:Yes)、店
舗管理サーバー5に分光情報と当該分光情報を取得する直前に取得した商品コード(商品
情報から抽出)を出力する(S04)。一方、店舗管理サーバー5は、商品コードおよび
分光情報を取得すると、これらの情報に基づいて当該商品の鮮度判定を行う(S05)。
そして、アドバイス情報記憶部12を参照し、商品コードおよび分光情報に基づいてアド
バイス情報を生成する(S06)。そして、鮮度判定の判定結果である鮮度情報とアドバ
イス情報とをPOS端末1に出力する(S07)。一方、POS端末1は、店舗管理サー
バー5から鮮度情報およびアドバイス情報を取得すると、取得した鮮度情報およびアドバ
イス情報と、生成した会計情報と、に基づいて印刷情報を生成する(S08)。そして、
生成した印刷情報をレシートプリンター4に出力する(S09)。一方、分光情報を取得
しなかった場合(S03:No)、POS端末1は、生成した会計情報のみに基づいて印
刷情報を生成し(S10)、生成した印刷情報をレシートプリンター4に出力する(S0
9)。なお、「略同時」とは、会計時に同一商品の商品情報および分光情報を両方取得す
ることを意味している。
【0042】
この第1実施形態によれば、会計時に会計対象である生鮮食品を測定して各情報を生成
するため、個別の生鮮食品に対し、信頼性の高い鮮度情報およびアドバイス情報を客に提
示することができる。特に、アドバイス情報に含まれた「食べ頃日時」を、リアルタイム
で生成した鮮度情報に基づいて算出することにより、より正確な食べ頃日時を提示するこ
とができる。これは、ラスランスやアボカドなど、購入後に追熟が必要な果物に対してと
ても有効な情報となる。
【0043】
以下、図7ないし図11を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。なお、
以下に説明する他の各実施形態については、上記の第1実施形態と同様の構成には同様の
符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0044】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態にかかる会計処理システムSY2の構成を示したブロッ
ク図である。本実施形態の特徴は、POS端末1が、各商品に対する鮮度情報およびアド
バイス情報を記憶した鮮度情報記憶部26(特性情報記憶部)を有し、会計時に会計商品
に対応した鮮度情報およびアドバイス情報を抽出してレシートに印刷する点である。すな
わち、本実施形態においては、会計時におけるハイパースペクトルカメラ3による測定は
必要としない。以下、各構成の特徴部分について説明する。
【0045】
会計処理システムSY2は、店舗管理サーバー5、POS端末1、ハンディスキャナー
2、およびレシートプリンター4を備えている。店舗管理サーバー5は、商品・分光情報
取得部15と、第1実施形態に記載した鮮度判定部11、食べ頃日時算出部13およびア
ドバイス情報抽出部14から成る鮮度情報生成部16と、アドバイス情報記憶部12と、
を備えている。商品・分光情報取得部15は、商品情報と、ハイパースペクトルカメラ3
による測定結果である分光情報と、を取得する。なお、商品情報および分光情報は、PO
S端末1に接続されたハンディスキャナー2およびハイパースペクトルカメラ(図示省略
)から取得してもよいし、外部装置から取得してもよい。鮮度情報生成部16は、取得し
た商品情報および分光情報に基づいて、各商品に対して、第1実施形態と同様の処理方法
で鮮度情報およびアドバイス情報を生成しPOS端末1に送信する。実際には、店舗管理
サーバー5は、店舗の開店前など会計処理が行われる前に全生鮮食品に対する鮮度情報お
よびアドバイス情報を生成し、POS端末1に送信しておく。なお、生成する鮮度情報お
よびアドバイス情報は、各種類の複数商品を測定した測定結果の代表値に基づいたもので
もよいし、個別の商品を測定した測定結果に基づいたものでもよい。本実施形態では、前
者を採用する。
【0046】
POS端末1は、周辺機器I/F部21、会計処理部22、商品判別部25、鮮度情報
記憶部26および印刷情報生成部24を備えている。商品判別部25は、ハンディスキャ
ナー2から取得した商品情報から当該商品が生鮮食品であるか否かを判別する。鮮度情報
記憶部26は、店舗管理サーバー5が生成した各商品に対する鮮度情報およびアドバイス
情報を記憶している。
【0047】
図8は、鮮度情報記憶部26の記憶内容を示した図である。図示のように、鮮度情報記
憶部26は、商品ごとに、「商品名」、「鮮度レベル」、「食べ頃日時」、「保存方法」
および「お勧めの食べ方」を記憶している。すなわち、店舗管理サーバー5による算出結
果である「鮮度レベル」および「食べ頃日時」が記憶され、店舗管理サーバー5による鮮
度レベルに応じた抽出結果である「保存方法」および「お勧めの食べ方」が記憶されてい
る。なお、鮮度情報記憶部26の記憶内容は、店舗管理サーバー5から鮮度情報およびア
ドバイス情報が送信される度に最新情報に更新される。
【0048】
続いて、図9を参照し、本実施形態の会計処理について説明する。同図は、POS端末
1の会計処理を示したフローチャートである。先ず、POS端末1は、商品情報を取得す
ると(S21)、取得した商品情報に基づいて会計処理を行い、会計情報を生成する(S
22)。そして、取得した商品情報から当該商品が生鮮食品か否かを判別する(S23)
。当該商品に生鮮食品がふくまれている場合(S23:Yes)、鮮度情報記憶部26を
参照して当該商品に対応した鮮度情報およびアドバイス情報を抽出する(S24)。そし
て、抽出した鮮度情報およびアドバイス情報と、生成した会計情報と、に基づいて印刷情
報を生成する(S25)。そして、生成した印刷情報をレシートプリンター4に出力する
(S26)。一方、当該商品に生鮮食品がふくまれていない場合(S23:No)、生成
した会計情報のみに基づいて印刷情報を生成し(S27)、生成した印刷情報をレシート
プリンター4に出力する(S26)。
【0049】
第2実施形態によれば、会計時にハイパースペクトルカメラ3によって商品を測定する
必要がないため、オペレーターの操作工程を増やすことがない。また、各商品に対する鮮
度情報およびアドバイス情報が会計時には既に生成されているため、レシート発行までの
処理時間を短縮することができる。よって、全体として会計時の所要時間を増やすことな
く、鮮度情報およびアドバイス情報を顧客に確実に提示することができる。
【0050】
[第3実施形態]
図10は、本発明の第3実施形態にかかる会計処理システムSY3の構成を示したブロ
ック図である。本実施形態の特徴は、POS端末1が、各商品に対する鮮度情報およびア
ドバイス情報を生成する鮮度情報生成部16を有し、会計時に会計商品に対して鮮度情報
およびアドバイス情報を生成する点である。以下、各構成の特徴部分について説明する。
【0051】
会計処理システムSY3は、POS端末1、ハンディスキャナー2、ハイパースペクト
ルカメラ3およびレシートプリンター4を備えている。POS端末1は、周辺機器I/F
部21、会計処理部22、分光情報検出部23、鮮度情報生成部16A、アドバイス情報
記憶部12、および印刷情報生成部24を備えている。鮮度情報生成部16Aは、第1実
施形態に記載したものと同様の構成である鮮度判定部11A、食べ頃日時算出部13Aお
よびアドバイス情報抽出部14Aから成り、第1実施形態と同様の処理方法で鮮度情報お
よびアドバイス情報を生成する。
【0052】
図11を参照し、本実施形態の会計処理について説明する。同図は、POS端末1の会
計処理を示したフローチャートである。先ず、POS端末1は、商品情報を取得すると(
S31)、取得した商品情報に基づいて会計処理を行い、会計情報を生成する(S32)
。そして、分光情報を取得すると(S33:Yes)、取得した分光情報と当該分光情報
を取得する直前に取得した商品コード(商品情報から抽出)に基づいて鮮度情報およびア
ドバイス情報を生成する(S34:第1実施形態におけるS05〜S06と同様の処理を
行う)。そして、生成した鮮度情報、アドバイス情報および会計情報に基づいて印刷情報
を生成する(S35)。そして、生成した印刷情報をレシートプリンター4に出力する(
S36)。一方、分光情報を取得しなかった場合(S33:No)、生成した会計情報の
みに基づいて印刷情報を生成し(S37)、生成した印刷情報をレシートプリンター4に
出力する(S36)。なお、分光情報を取得するか否かは、第1実施形態と同様、オペレ
ーターの生鮮食品であるか否かを判断する商品判別による。
【0053】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、信頼性の高い鮮度情報およびアドバイ
ス情報を客に提示することができる。また、会計時にPOS端末1において鮮度情報およ
びアドバイス情報を生成するため、店舗管理サーバー5と通信する必要がなく、処理時間
を短縮することができる。
【0054】
これまで説明してきた各実施形態によれば、会計した商品の鮮度レベルを示す鮮度情報
をレシートに印刷することによって、顧客に対して確実に鮮度情報を提示することができ
る。すなわち、一時的に情報を提示するディスプレイなどに比べ、会計時に必ず発行し、
且つ顧客に手渡すレシートに鮮度情報を印刷することで、顧客に購入した商品の鮮度を確
実に提示することができる。さらに、商品の鮮度レベルに応じたアドバイス情報をレシー
トに印刷することにより、より商品に関する有効な情報を顧客に提示することができる。
そして、これらの情報をレシートに印刷することにより、顧客は購入後に商品を消費する
際、これらの情報を利用することができる。
【0055】
なお、上記の各実施形態において、特性情報として商品の鮮度レベルを示した鮮度情報
をレシートに印刷したが、対象商品が果物の場合、当該商品の糖度を示した情報を加えて
レシートに印刷させてもよい。また、分光情報から、商品に含まれた具体的な成分量を分
析した分析結果を示す成分量情報や、商品に含まれる成分の種類を分析した分析結果を示
す成分種情報を、特性情報として生成し、レシートに印刷させてもよい。さらに、商品に
含まれる成分の種類を分析した成分種情報から商品の異物混入の有無を判定した結果を特
性情報としてもよい。これによれば、商品の品質の良さや安全性を顧客に提示することが
できる。
【0056】
また、上記の各実施形態において、対象商品を生鮮食品としたが、これに限られるもの
ではなく、生花、加工食品など、を対象としてもよい。例えば、対象商品が生花の場合は
当該生花の開花時期の開花予測を、また、対象商品が加工食品の場合は上記の成分量情報
および成分種情報を特性情報として本発明に適応することが可能である。また、店舗管理
サーバー5の構成をチェーン展開した小売店の本部サーバーに備え、各店舗に設置された
POS端末に情報提供してもよい。その他、上記した実施形態によらず、会計処理システ
ムSY1,SY2,SY3のシステム構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:POS端末 2:ハンディスキャナー 3:ハイパースペクトルカメラ 4:レシ
ートプリンター 5:店舗管理サーバー 11:鮮度判定部 12:アドバイス情報記憶
部 14:アドバイス情報抽出部 15:商品・分光情報取得部 21:周辺機器I/F
部 22:会計処理部 24:印刷情報生成部 26:鮮度情報記憶部 C:コード化画
像 R1,R2:レシート SY1,SY2,SY3:会計処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を特定する商品情報を取得する商品情報取得部と、
取得した前記商品情報に基づいて、前記商品の会計処理を行う会計処理部と、
ハイパースペクトルカメラによって前記商品を測定した測定結果である分光情報を取得
する分光情報取得部と、
取得した前記分光情報を分析し、当該分析結果に応じて、前記商品の状態を表す特性情
報を生成する特性情報生成部と、
前記会計処理部による前記商品の会計処理結果である会計情報と、前記特性情報生成部
により生成された前記商品の特性情報と、に基づいて、レシートに印刷するための印刷情
報を生成する印刷情報生成部と、を備えたことを特徴とする会計処理装置。
【請求項2】
商品ごとに前記特性情報を記憶する特性情報記憶部をさらに備え、
前記印刷情報生成部は、前記特性情報記憶部を参照して前記商品情報取得部により取得
した商品情報に対応する特性情報を抽出し、当該特性情報に基づいて前記印刷情報を生成
することを特徴とする請求項1に記載の会計処理装置。
【請求項3】
前記商品情報取得部および前記分光情報取得部は、前記商品の商品情報と当該商品の分
光情報とを略同時に取得することを特徴とする請求項1に記載の会計処理装置。
【請求項4】
前記印刷情報生成部は、前記特性情報を、コード化画像として生成することを特徴とす
る請求項1ないし3のいずれかに記載の会計処理装置。
【請求項5】
前記商品の消費方法に関する特性関連情報を商品ごとに記憶する特性関連情報記憶部を
さらに備え、
前記印刷情報生成部は、前記商品の前記特性情報に当該商品の前記特性関連情報を付加
して前記印刷情報を生成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の会計
処理装置。
【請求項6】
前記特性関連情報記憶部は、1の商品に対して複数種類の特性関連情報を記憶し、
前記分光情報の分析結果に応じて、前記複数種類の特性関連情報の中から1の特性関連
情報を抽出する特性関連情報抽出部をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の会
計処理装置。
【請求項7】
前記商品情報取得部、前記会計処理部、前記分光情報取得部および前記印刷情報生成部
を備えたPOS端末と、
前記特性情報生成部を備え、1以上の前記POS端末と接続されたサーバーと、によっ
て構成されることを特徴とする請求項1に記載の会計処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の会計処理装置と、
前記商品情報を入力するスキャナーと、
前記ハイパースペクトルカメラと、
前記レシートを発行する印刷装置と、を備えたことを特徴とする会計処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−94028(P2012−94028A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241850(P2010−241850)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】