説明

伝票作成装置およびその制御プログラム

【課題】丸角の枠状罫線を有する印刷データの生成を伝票作成装置に迅速に行わせて印刷に要する時間を短縮するとともに、印刷機能を有するアプリケーションの開発効率や保守作業の効率を向上させること。
【解決手段】角部を有した枠状の罫線の伝票に対する配置位置、大きさ、及び前記角部の形状をそれぞれ表した罫線情報を記憶した記憶手段と、前記枠状の罫線を配置した画像データを生成する画像データ生成手段とを伝票作成装置に設ける。伝票に記載するための情報の入力を受け付けると、前記画像データ生成手段によって、入力された情報を所定位置に配置するとともに、前記記憶手段に記憶された罫線情報によって表される配置位置に、同罫線情報によって表される大きさ及び前記角部の形状の罫線を配置した画像データを生成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、各種伝票の画像データを作成する伝票作成装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステム等の情報処理装置は、操作者が作成した画像データを装置本体に内蔵または接続されたプリンタに印刷させる機能を備えていることが一般的である。
【0003】
このような機能を備えた情報処理装置としては、例えば各種の店舗や営業所にて使用される伝票作成装置が知られている。伝票作成装置は、納品書,送り状,見積書等の伝票作成、売上入力、および在庫管理等の事務処理に特化された情報処理装置である。各事務処理を行うための機能は、当該装置にインストールされた専用のアプリケーションによって提供されることが一般的である。
【0004】
前記伝票作成装置などの情報処理装置に入力された文字列を印刷する際に、所定の文字列を矩形の罫線で囲うことがある(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
例えば伝票作成装置の場合には、矩形罫線を印刷データ上に配置するためのコマンドが定義されている。このコマンドは、各アプリケーションのソースコードの印刷データ生成に関する部分に記述される。各アプリケーションによって印刷データが生成される際には、実行中のアプリケーションのソースコード中に記述された前記コマンドが実行され、印刷データ上の当該コマンドで指定された位置,大きさの矩形罫線が配置される。
【0006】
前記矩形罫線を配置するためのコマンドは、通常、矩形罫線の対角をなす2角の印刷データに対する座標を引数として矩形罫線の配置位置および大きさを指定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
矩形罫線は、4角全てあるいは4角のうちのいずれかを丸角にして印刷されることがある。このような場合には、前記矩形罫線を配置するためのコマンドでは対処できない。したがって、矩形罫線の丸角部分を半円印刷用のコマンドで印刷データ上に配置し、直線部分を直線印刷用のコマンドで印刷データ上に配置して、丸角の矩形罫線を有する最終的な印刷データを生成するとの対応がとられている。
【0008】
上記のようにして矩形罫線を印刷データ上に配置する場合、4角のうちの1角のみが丸角である矩形罫線の場合でも5つのコマンド(直線×4,半円×1)を実行することになり、4角全てが丸角である矩形罫線の場合には8つのコマンド(直線×4,半円×4)を実行することになる。このように丸角の矩形罫線を印刷するためのコマンド数が増加すれば、印刷データを生成するための処理ステップが増大し、印刷データの生成が遅延してしまう。また、アプリケーションのソースコード中に記述されるコマンド数が増加してしまうので、アプリケーションの開発効率や保守作業の効率を低下させる一因となっていた。このような問題は、矩形罫線のみならず、少なくとも丸角の角部を有する枠状の罫線を印刷データ上に配置する場合に共通して生じるものである。
【0009】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、丸角の枠状罫線を有する印刷データの生成を伝票作成装置に迅速に行わせて印刷に要する時間を短縮するとともに、印刷機能を有するアプリケーションの開発効率や保守作業の効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態における伝票作成装置は、伝票に記載するための情報を入力する入力手段と、角部を有した枠状の罫線の前記伝票に対する配置位置、大きさ、および前記角部の形状をそれぞれ表した罫線情報を記憶した記憶手段と、前記入力手段によって入力された情報を所定位置に配置するとともに、前記記憶手段に記憶された前記罫線情報によって表される配置位置に、同罫線情報によって表される大きさおよび前記角部の形状の罫線を配置した伝票の画像データを生成する画像データ生成手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態における伝票作成装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における伝票作成装置の機能ブロック図。
【図3】同実施形態におけるアプリケーションのソースコードを示す模式図。
【図4】同実施形態における印刷データを説明するための模式図。
【図5】同実施形態における矩形生成コマンドを説明するための図。
【図6】同実施形態における同伝票作成装置の動作を示すフローチャート。
【図7】同実施形態におけるメニュー画面の一例を示す模式図。
【図8】同実施形態におけるAP画面の一例を示す模式図。
【図9】図6に示した動作にて作成される印刷データの一例を示す模式図。
【図10】図9に示した矩形罫線を生成するための矩形生成コマンド例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、本実施形態では、伝票の発行に特化した情報処理装置である伝票作成装置について例示する。
【0013】
[装置構成]
図1は、本実施形態における伝票作成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。伝票作成装置1は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)2を備え、このCPU2に対し、ROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4、時計回路5、通信I/F(Interface)6、入力部7、表示部8、プリンタ9、HDD(Hard Disk Drive)10が、アドレスバスやデータバス等のバスライン11を介して接続されている。
【0014】
ROM3は、BIOS(Basic Input/Output System)等の固定的データを記憶している。
RAM4は、伝票作成装置1の動作状況に応じて各種の作業用記憶領域を形成する。
時計回路5は、伝票作成装置1が動作時に使用するシステム日時(例えば、年,月,日,時,分,秒)を計時する。
通信I/F6は、伝票作成装置1をインターネット等のネットワークに通信接続するLAN(Local Area Network)回線12と接続されており、該LAN回線12を介して行われるサーバ装置等の外部機器とのデータ通信を制御する。
【0015】
入力部7は、本実施形態における入力手段として機能するものであり、アルファベットキー,テンキー,各種ファンクションキー等で構成されるキーボードや、ポインティングデバイスであるマウスにて構成されている。
【0016】
表示部8は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイであり、処理状況に応じた各種の画面を選択的に表示する。
【0017】
プリンタ9は、多数のピンをマトリクス状に配列してなる印字ヘッドをインクリボンに叩きつけ、圧力でカーボン紙等の複写用紙に印字する、いわゆるドットプリンタである。
【0018】
HDD10は、本実施形態における記憶手段として機能するものであり、OS(オペレーティングシステム)ファイル20、ミドルウェア群21、AP(アプリケーション)ファイル群22、およびデータベース群23を記憶している。
【0019】
APファイル群22は、例えば見積書、納品書,送り状などの伝票の作成用を含むn(整数:n>0)個のアプリケーションに対応するAPファイル(AP1ファイル〜APnファイル)で構成されている。また、データベース群23は、印刷データファイル70およびAPデータファイル71などで構成されている。各ファイル70,71の役割は、図2および図6の説明にて後述する。
【0020】
[機能構成]
伝票作成装置1の機能ブロック図を図2に示している。
CPU2がミドルウェア群21を構成する各ミドルウェアを実行することにより、制御部100、アプリケーション選択部101、印刷出力部102、矩形生成部103、およびアプリケーション実行部104が実現される。
【0021】
制御部100は、アプリケーション選択部101、印刷出力部102、矩形生成部103、およびアプリケーション実行部104を統括的に制御する。
【0022】
アプリケーション選択部101は、表示部8にアプリケーションの選択機能を有するメニュー画面を表示させ、該メニュー画面上で選択されたアプリケーションの識別子をアプリケーション実行部104に通知する。
【0023】
アプリケーション実行部104は、アプリケーション選択部103から通知された識別子に対応するアプリケーションのAPファイルに含まれる実行プログラムを実行してアプリケーションを起動し、AP画面を表示部8に表示させて該アプリケーションに関する各種の処理を実行する。アプリケーション実行部104が実行する処理には、ユーザが入力部7を操作してAP画面上に入力した文字列のAPデータファイル71への保存、APデータファイル71に保存されたデータで示される文字列を所定のフォーマット上に配置した印刷データ(画像データ)の生成、生成した印刷データの印刷データファイル70への保存が含まれている。
【0024】
矩形生成部103は、印刷データファイル70に保存された印刷データ上の所定位置に矩形罫線を追加する。
【0025】
印刷出力部102は、本実施形態における印刷手段として機能するものであり、印刷データファイル70に記憶された印刷データを読み出してプリンタ9に出力し、当該印刷データが印刷された伝票を発行させる。
【0026】
なお、アプリケーション実行部104および矩形生成部103は、本実施形態における画像データ生成手段を構成する。
【0027】
[印刷データ生成]
前記アプリケーション実行部104および矩形生成部103による印刷データの生成手順について説明する。
【0028】
APファイル群22を構成するAPファイルのうち見積書、納品書,送り状などの伝票の作成用アプリケーションのソースコード(APソースコード)には、作成対象である伝票のフォーマットデータFDが組み込まれている。フォーマットデータFDには、例えば図3に示したように、ユーザが任意に入力した文字列の印刷データへの配置位置を指定するセクションSC1と、同印刷データへの矩形罫線の配置位置、大きさ、および角形状を指定するセクションSC2とが含まれている。前記セクションSC2には、矩形生成部103に印刷データ上への矩形罫線の配置を指示するための矩形生成コマンドが、囲い対象とする文字列毎に記述されている(罫線情報)。
【0029】
前記矩形生成コマンドについて説明する。
図4に示したように、印刷データファイル70に保存される印刷データには、印刷領域の上端を第1ラインとし左端を第1カラムとして、nライン×mカラムの座標が定義されている。ここに、n,mは正整数であり、伝票の種別ごとにその値が異なる。各ライン・カラムで指定されるセルは、デフォルトサイズの1つの文字が印刷される大きさである。アプリケーション実行部104は、これらのセル上に、APデータファイル71に保存されたデータで示される文字列をセクションSC1に記述された情報に従って配置することになる。
【0030】
矩形生成コマンドは、このように定義された座標を用いて矩形生成部103に印刷データへの矩形罫線の追加を指示するものであり、例えば図5に示したように記述される。ここに示した矩形生成コマンドは、パラメータL1,C1,L2,C2,F,Rを引数として矩形罫線の配置位置および形状を指定している。
【0031】
パラメータL1,C1は、印刷データにおける矩形罫線の左上角の配置座標を示す。すなわち、図4に示したようにパラメータL1は矩形罫線の左上角のライン番号であり、パラメータC1は矩形罫線の左上角のカラム番号である。パラメータL2,C2は、印刷データにおける矩形罫線の右下角の配置座標を示す。すなわち、図4に示したようにパラメータL2は矩形罫線の右下角のライン番号であり、パラメータC2は矩形罫線の右下角のカラム番号である。このように矩形罫線の4つの角のうち対角をなす2つの角の座標を指定することにより、同矩形罫線の印刷データ上への配置位置および大きさが表される。なお、左上角および右下角に代えて、左下角および右上角のライン番号およびカラム番号を用いて矩形罫線の配置位置および大きさを表してもよい。
【0032】
パラメータFは、矩形罫線の各角が直角または丸角のいずれであるかを示す識別情報である。具体的にはパラメータFは、直角を示す「0」または丸角を示す「1」のいずれかが記述される4つのフラグFa,Fb,Fc,Fdで構成されている。これらは、図4に示したように、フラグFaが左上角に対応し、フラグFbが右上角に対応し、フラグFcが右下角に対応し、フラグFdが左下角に対応している。
【0033】
パラメータRは、フラグFa〜Fdの少なくとも1つが「1」である場合に、その丸角の半径をドット単位で指定するものである。本実施形態では、1つの矩形罫線中の全ての丸角が同一の半径であるとして説明する。
【0034】
矩形生成部103は、上記のようなパラメータL1,C1,L2,C2,F,Rで特定される形状の矩形罫線を、同パラメータにて特定される位置に追加して印刷データを完成させる。
【0035】
[動作]
次に、伝票作成装置1の動作について説明する。
図6は、OSが起動されてから終了されるまでの処理を示すフローチャートである。
【0036】
ユーザが伝票作成装置1の筐体に設けられた電源ボタンを押下げるなどして伝票作成装置1の起動を指示すると、CPU2によってOSファイル20が読み込まれ、OSが起動される。さらに、OSが起動されるとCPU2によってミドルウェア群21が読み込まれて図2に示した各部、すなわち制御部100、アプリケーション選択部101、印刷出力部102、矩形生成部103、およびアプリケーション実行部104が実現され、制御部100が各部101〜104を初期化する(ステップS1)。
【0037】
初期化が完了すると、アプリケーション選択部101が前記メニュー画面を表示部8に表示させ(ステップS2)、実行すべき機能のユーザによる選択を受け付ける(ステップS3)。
【0038】
アプリケーション選択部101によって表示部8に表示されるメニュー画面の一例を、図7に示している。図示したメニュー画面200は、選択ボックス201と、終了ボタン202と、日時表示203とを有している。このうち選択ボックス201および終了ボタン202は、入力部7を構成するマウスにてクリック操作が可能なGUI(Graphical User Interface)部品である。選択ボックス201には、見積書作成用のアプリケーション、納品書作成用のアプリケーション、および送り状作成用のアプリケーション等、AP1ファイル〜APnファイルに対応するアプリケーション名がリスト形式で表示される。操作者は、入力部7を操作して選択ボックス201に表示されたアプリケーション名の中から所望の1つを選択することができる。選択ボックス201においていずれかのアプリケーションが選択されると、選択されたアプリケーションの識別子がアプリケーション実行部104に通知され、この識別子に対応するアプリケーションが実行される。終了ボタン202は、OSのシャットダウンを指示するためのボタンである。日時表示203は、時計回路5によって計時されるシステム日時を用いて表示されるものであり、例えば「2010−03−09(月)12:00」のように年、月、日、曜日、時、分に相当する情報にて構成されている。
【0039】
このような構成のメニュー画面200を用いてユーザが何らかの機能を選択すると、アプリケーション選択部101は、当該選択入力の種別を判定する(ステップS4)。当該選択入力が選択ボックス201からのアプリケーションの選択である場合、アプリケーション選択部101は、アプリケーションの実行が選択されたと判定し(ステップS4の「アプリケーション実行」)、当該アプリケーションの識別子をアプリケーション実行部104に通知する。この通知を受けたことに応じて、アプリケーション実行部104が当該識別子にて示されるアプリケーションに対応するAPファイルをHDD10から読み出し、当該アプリケーションを起動する(ステップS5)。かくしてアプリケーションが起動された後、アプリケーション実行部104は、当該アプリケーションのAPファイルに含まれる情報に基づいて、当該アプリケーション用のAP画面を表示部8に表示させる。
【0040】
表示部8に表示されるAP画面の一例を、図8に示している。図示したAP画面300は、見積書作成用のアプリケーションを実行した際に表示されるものである。このAP画面300には、入力エリア301〜303と、締めボタン304と、終了ボタン305とが配置されている。各入力エリア301〜303は、入力部7を構成するキーボードを操作して文字列を入力可能なGUI部品であり、締めボタン304および終了ボタン305は、入力部7を構成するマウスにてクリック操作が可能なGUI部品である。
【0041】
入力エリア301は、例えば「2010年3月1日」のように伝票に記載すべき年月日を入力するためのエリアである。入力エリア302は、「○○○株式会社」のように見積書の送付先にあたる得意先名称を入力するためのエリアである。入力エリア303は、「商品A」「1」「10,000」「10,000」のように、見積書の作成対象である商品毎の商品名,数量,単価,金額等の明細情報を入力するためのエリアである。締めボタン304は、1枚の見積書に記載すべき文字列の入力確定を宣言するためのボタンである。終了ボタン305は、見積書作成用のアプリケーションの終了を宣言するためのボタンである。
【0042】
なお、見積書作成用以外のアプリケーションのAP画面に関しても、前記入力エリア301〜303のような作成対象の伝票に記載すべき文字列の入力エリアと、前記締めボタン304のような情報の入力確定を宣言するためのGUI部品と、前記終了ボタン305のようなアプリケーションの終了を宣言するためのGUI部品とが配置されている。
【0043】
ステップS5の処理にてAP画面を表示した後、アプリケーション実行部104は、当該AP画面に対する操作入力を受け付ける(ステップS6)。このとき、ユーザが入力部7を介して何らかの操作入力を行うと、アプリケーション実行部104は、当該操作入力の種別を判定する(ステップS7)。
【0044】
ステップS6の処理にて受け付けた操作入力が、AP画面の入力エリアへのデータ入力である場合(ステップS7の「データ入力」)、アプリケーション実行部104は、入力されたデータをキャレット等で選択されている入力エリアに表示し(ステップS8)、再びAP画面に対する操作入力を受け付ける(ステップS6)。
【0045】
ステップS6の処理にて受け付けた操作入力が、アプリケーションの終了を宣言するためのGUI部品の操作である場合(ステップS7の「終了」)、アプリケーション実行部104は、現在実行しているアプリケーションを終了する(ステップS9)。アプリケーションが終了されると、再びアプリケーション選択部101によってメニュー画面200が表示部8に表示される(ステップS2)。
【0046】
ステップS6の処理にて受け付けた操作入力が、データ入力の確定を宣言するためのGUI部品の操作である場合(ステップS7の「締め:入力確定」)、アプリケーション実行部104は、表示部8に表示中のAP画面の入力エリアに入力された文字列からなるデータをAPデータファイル71に保存する(ステップS10)。なお、ここでAPデータファイル71に保存されるデータには、当該ファイル71に保存された他のデータと重複しないユニークなファイル名が付される。
【0047】
しかる後、アプリケーション実行部104は、現在実行中のアプリケーションのソースコードに含まれるフォーマットデータFDのセクションSC1に記述された情報に従って、ステップS10の処理にてAPデータファイル71に保存したデータで示される文字列などを所定位置に配置した印刷データを生成し、印刷データファイル70に保存する(ステップS11)。なお、ここで印刷データファイル70に保存される印刷データには、当該ファイル70に保存された他の印刷データと重複しないユニークなファイル名が付される。
【0048】
さらに、アプリケーション実行部104は、現在実行中のアプリケーションのソースコードに含まれるセクションSC2に記述された矩形生成コマンドの各パラメータを、囲い対象である文字列が全て囲えるような値に設定する(ステップS12)。
【0049】
具体的には、先ず印刷データ中の囲い対象である文字列が配列された範囲の上端および下端のライン番号と、左端および右端のカラム番号とを特定する。そして、パラメータL1を前記上端のライン番号よりも定数X(正整数)だけ小さい値に設定し、パラメータC1を前記左端のカラム番号よりも定数Xだけ小さい値に設定し、パラメータL2を前記下端のライン番号よりも定数Xだけ大きい値に設定し、パラメータC2を前記右端のカラム番号よりも定数Xだけ大きい値に設定する。
【0050】
また、パラメータF,Rについては、例えば現在実行中のアプリケーションのオプションメニュー等を用いてユーザが任意に調整した値に設定する。なお、値を変動させる必要がないパラメータに関しては、アプリケーションの開発段階でセクションSC2の矩形生成コマンド中に直接具体的な数値を記述しておけばよい。
【0051】
ステップS12の処理にて設定された矩形生成コマンドのパラメータは、アプリケーション実行部104から矩形生成部103に通知される。この通知を受けた矩形生成部103は、ステップS11の処理にて印刷データファイル70に保存された印刷データ上に、通知された各パラメータL1,C1,L2,C2,F,Rで指定される位置・大きさ・角形状の矩形罫線を配置する(ステップS13)。
【0052】
なお、セクションSC2に複数の矩形生成コマンドが記述されている場合には、ステップS12の処理において各矩形生成コマンドのそれぞれについて各パラメータL1,C1,L2,C2,F,Rが設定されるとともに、矩形生成部103に通知される。そして、ステップS13の処理において矩形生成部103が各矩形生成コマンドに対応する複数の矩形罫線を印刷データ上に配置する。
【0053】
かくして矩形罫線が配置された印刷データが生成されると、印刷出力部102が当該印刷データを印刷データファイル70から読み出してプリンタ9に出力し、当該印字データに相当する画像を印刷した伝票を発行させる(ステップS14)。しかる後、アプリケーション実行部104が現在実行中のアプリケーションを終了し(ステップS9)、再びアプリケーション選択部101がメニュー画面200を表示部8に表示させる(ステップS2)。
【0054】
ユーザは、伝票作成装置1を用いた作業を終えたときなどに、メニュー画面200の終了ボタン202を操作する。終了ボタン202が操作されると(ステップS4の「終了」)、アプリケーション選択部101がメニュー画面200を消去し、制御部100が各部101〜104を終了させて、OSがシャットダウンされる(ステップS15)。
【0055】
なお、印刷データファイル70およびAPデータファイル71に保存されたデータは、OSあるいは所定のアプリケーションが提供する機能を用いて後に閲覧することができる。その際に、閲覧中のデータをプリンタ9に印刷させることも可能である。
【0056】
ステップS13の処理にて矩形罫線が配置された印刷データの一例を、図9に示している。図示した印刷データ400は、図8に示したAP画面300のように文字列が入力され、かつ図10に示した矩形生成コマンドが見積書作成用のAPファイルのセクションSC2に記述されている場合に印刷されるものである。
【0057】
この印刷データ400には、AP画面300の入力エリア301に入力された年月日、入力エリア302に入力された得意先名称、および入力エリア303に入力された明細情報に加えて、伝票の名称(「見積書」)、見積書の発行元名称(「△△△株式会社」)、および明細情報に基づいて算出される合計金額(「¥31,000」)などの文字列が、見積書作成用のAPファイルのセクションSC1に記述された情報に基づいて配置されている。これらの文字列のうち、前記得意先名称が矩形罫線401で囲われ、前記明細情報が矩形罫線402で囲われ、前記合計金額が矩形罫線403で囲われている。
【0058】
矩形罫線401は、図10に示した矩形生成コマンド「RECT(2,4,5,13,0000)」に基づいて配置されたものである。このコマンドのパラメータFは「0000」、すなわちフラグFa〜Fdが全て「0」であるため、矩形罫線401の各角は直角となっている。
【0059】
矩形罫線402は、図10に示した矩形生成コマンド「RECT(6,4,17,20,1101,4)」に基づいて配置されたものである。このコマンドのパラメータFは「1101」、すなわちフラグFa,Fb,Fdが「1」でありフラグFcが「0」であるため、左上、右上、左下の各角が丸角となり、右下の角が直角となっている。また、パラメータRは「4」であるため、各丸角が半径4ドットの円弧状になっている。
【0060】
矩形罫線403は、図10に示した矩形生成コマンド「RECT(17,10,19,20,0011,4)」に基づいて配置されたものである。このコマンドのパラメータFは「0011」、すなわちフラグFc,Fdが「1」でありフラグFa,Fbが「0」であるため、右下,左下の各角が丸角となり、左上,右上の角が直角となっている。また、パラメータRは「4」であるため、各丸角が半径4ドットの円弧状になっている。
【0061】
ステップS14の処理では、このような印刷データに基づいて伝票が印刷される。
【0062】
[作用]
以上説明したように、本実施形態における伝票作成装置1は、アプリケーションのソースコードに記述された矩形生成コマンドによって指定されたパラメータで表される印刷データ上の位置に、同パラメータで表される大きさおよび角形状の矩形罫線を配置する。したがって丸角を含む矩形罫線を印刷データ上に配置するにあたり、アプリケーションのソースコードには矩形生成コマンドのみを記載すればよいことになる。
【0063】
従来は丸角を含む矩形罫線を印刷データに加えるにあたり、4角のうちの1角のみが丸角である矩形罫線の場合でも5つ、4角全てが丸角である矩形罫線の場合には8つのコードをアプリケーションのソースコードに記述する必要があったことに鑑みれば、本実施形態のような構成とすることで、コード数を大幅に削減することができる。すなわち、コード数が削減されることによって、アプリケーションの開発効率および保守作業の効率を向上させることができる。
【0064】
また、パラメータFをフラグFa〜Fdによって構成し、矩形罫線の各角の形状を4角それぞれについて個別に指定できるようにした。したがって、直角と丸角が混在した矩形罫線をも1つの矩形生成コマンドを用いて指定することができる。
【0065】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、次のようなものがある。
(1)前記実施形態では、伝票作成装置1によって作成される伝票の印刷データに矩形罫線を追加する場合を例示した。しかしながら、前記実施形態に開示した構成をパーソナルコンピュータなどの伝票作成装置以外の装置に適用してもよい。
【0066】
(2)前記実施形態では、プリンタ9による印刷を前提とした印刷データに矩形罫線を追加する場合を例示した。しかしながら、PDF等の電子文書ファイルの作成元となる画像データなど、他種の出力形式を前提とした画像データに矩形罫線を追加する場合であっても前記実施形態に開示した構成を適用することができる。
【0067】
(3)前記実施形態では、AP画面を介して入力された文字列を配置した印刷データを作成した後、その印刷データ上に矩形罫線を配置するとした。しかしながら、矩形罫線を配置した印刷データを作成した後、その印刷データ上にAP画面を介して入力された文字列を配置するようにしてもよい。
【0068】
(4)前記実施形態では、パラメータRによって1つの矩形罫線に含まれる全ての丸角の半径を指定するとした。しかしながら、丸角毎に半径を指定するためのパラメータを設けてもよい。
【0069】
(5)前記実施形態では、矩形罫線を印刷データ上に配置する場合について説明した。しかしながら、矩形以外の枠状の多角形罫線や、コの字あるいはL字の罫線を印字データ上に配置する場合などにも前記実施形態にて開示した構成を変形して適用することができる。このように変形実施する場合には、前記矩形生成コマンドのパラメータL1,C1,L2,C2を作成対象の罫線等の配置位置と大きさを示す情報に置き換え、さらにパラメータFの桁数を作成対象の罫線等が有する角部の数に合わせ、矩形生成部103に代えてこれらのパラメータで示される罫線等を印刷データ上に配置する手段を設ければよい。
【0070】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、前記実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
L1,C1,L2,C2,F,R…パラメータ、Fa〜Fd…フラグ、1…伝票作成装置、100…制御部、101…アプリケーション選択部、102…印刷出力部、103…矩形生成部、104…アプリケーション実行部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開平4−53784号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝票に記載するための情報を入力する入力手段と、
角部を有した枠状の罫線の前記伝票に対する配置位置、大きさ、及び前記角部の形状をそれぞれ表した罫線情報を記憶した記憶手段と、
前記入力手段によって入力された情報を所定位置に配置するとともに、前記記憶手段に記憶された前記罫線情報によって表される配置位置に、同罫線情報によって表される大きさ及び前記角部の形状の罫線を配置した伝票の画像データを生成する画像データ生成手段と、
を備えていることを特徴とする伝票作成装置。
【請求項2】
前記罫線情報は、前記枠状の罫線の角部が直角又は丸角のいずれであるかを示す識別情報を含み、この識別情報によって前記角部の形状を表していることを特徴とする請求項1に記載の伝票作成装置。
【請求項3】
前記罫線情報は、前記枠状の罫線の角部が丸角である場合にその丸角の半径を示す情報を含んでおり、この情報と、前記識別情報とによって前記角部の形状を表していることを特徴とする請求項2に記載の伝票作成装置。
【請求項4】
前記枠状の罫線は、矩形罫線であり、
前記罫線情報は、前記矩形罫線の4つの角部のうち対角をなすいずれか2つの角部を配置する前記画像データ上の座標によって前記矩形罫線の配置位置及び大きさを表していることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載の伝票作成装置。
【請求項5】
前記画像データ生成手段によって生成された画像データを印刷する印刷手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1に記載の伝票作成装置。
【請求項6】
伝票に記載するための情報を入力する入力部と、角部を有した枠状の罫線の前記伝票に対する配置位置、大きさ、及び前記角部の形状をそれぞれ表した罫線情報を記憶した記憶部とを備えた伝票作成装置の制御プログラムであって、
前記伝票作成装置に、
前記記憶部に記憶された前記罫線情報を読み出す読出機能と、
前記入力部によって入力された情報を所定位置に配置するとともに、前記読出機能によって読み出された前記罫線情報にて表される配置位置に、同罫線情報によって表される大きさ及び前記角部の形状の罫線を配置した伝票の画像データを生成する画像データ生成機能と、
を実現させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−210116(P2011−210116A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78837(P2010−78837)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】