説明

伝送システム、伝送機器セット、及びIPカメラの敷設方法

【課題】単一の同軸ケーブルによって、アナログカメラの映像信号とIPカメラの映像信号との同時伝送を実現し得る、伝送システム、それに用いる伝送機器セット、及びIPカメラの敷設方法を提供する。
【解決手段】伝送システム10は、アナログカメラ20と、IPカメラ30と、同軸ケーブル11と、IPカメラ30の信号を同軸ケーブル11での伝送が可能な信号に変換する同軸ケーブルモデム31と、ハイパスフィルタ32及び33と、ローパスフィルタ21とを備える。アナログカメラ20は、同軸ケーブル11に接続される。IPカメラ30は、信号伝送経路16によって、同軸ケーブルモデム31及びハイパスフィルタ32を順に介して同軸ケーブル11に接続される。ローパスフィルタ21は同軸ケーブル11の出力端に接続される。ハイパスフィルタ33は信号伝送経路17によって同軸ケーブル11の出力端に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログカメラから出力される映像信号とIP(Internet Protocol)カメラから出力される映像信号とを同時に伝送するための、伝送システムに関し、更には、それに用いる伝送機器セット、及びIPカメラの敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、街中、公共施設、商業ビル、集合住宅等においては、治安維持などのため、多数の監視カメラが設置されている。また、道路においても、各種車両の監視のため、監視カメラが設置されている。このような監視カメラとしては、従来においては、映像をアナログ信号によって伝送するアナログカメラが多く利用されている。また、アナログ信号(映像信号)の伝送のため、同軸ケーブルが敷設されている。
【0003】
ところで、近年においては、ネットワーク技術の向上により、監視カメラとして、アナログカメラに代わって、いわゆるIPカメラの利用が増加している。IPカメラは、ネットワークカメラとも呼ばれ、HTTPサーバ機能とデータ通信機能とを備えている。そして、IPカメラによって撮影された映像は、デジタル信号として出力されるので、映像信号の扱いが、アナログカメラの場合に比べて容易となることから、古くなったアナログカメラを、IPカメラに置き換える需要が増加している。
【0004】
但し、通常、IPカメラの映像信号の伝送には、イーサーネットケーブル又は光ケーブルを用いる必要があり、IPカメラへの置き換えには、ケーブルの置き換え工事が必要となり、コストが高くなるという問題が発生してしまう。
【0005】
このため、IPカメラから出力される映像信号を、同軸ケーブルによって伝送できるようにする技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。この技術は、「同軸ケーブル通信技術(CLC:Coaxial Line Communication)」と呼ばれており、この技術から開発された同軸ケーブルモデムを用いれば、IPカメラから出力された映像信号を、同軸ケーブルによって伝送できる。よって、新たにケーブルを敷設することなく、アナログカメラをIPカメラに置き換えることが可能となる。
【0006】
その他、IPカメラから出力された映像信号を無線通信によって伝送することも考えられるが、無線通信を用いた場合は、周辺環境の影響を受けるため、映像を安定して伝送することが困難な場合がある。このため、既存設備へのIPカメラの設置においては、上述の同軸ケーブル通信技術が有効であると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「高速同軸モデムACLC」、[online]、平成22年6月、住友電気工業株式会社、平成23年9月1日検索、インターネット<URL:http://www.sei.co.jp/clc/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、アナログカメラの置換えではなく、既存のアナログカメラを用いながら、IPカメラを増設したい場合がある。しかしながら、1本の同軸ケーブルに、アナログカメラの映像信号と、同軸ケーブルモデムを介して出力されたIPカメラの映像信号とを、同時に伝送することは、困難であり、IPカメラを増設する場合は、新たなケーブルの敷設工事が必要となる。
【0009】
これは、アナログカメラの映像信号の周波数(3MHz〜4.2MHz)と、同軸ケーブルモデムから出力される信号の周波数(2MHz〜30MHz)とが、重なっており、両者の映像信号を同時に流すと、アナログカメラの映像信号が乱されてしまうからである。また、同軸ケーブルモデムの4.2MHz以上の周波数信号は、アナログカメラの映像信号自体には影響を与えないが、アナログカメラのモニタに影響を与えることがあるからである。
【0010】
なお、同軸ケーブルモデムから出力される信号の周波数を、アナログカメラの映像信号の周波数と重ならないようにシフトさせれば、上記の問題を解決できるようにも考えられる。しかし、同軸ケーブルモデムから出力される信号の周波数を高周波側にシフトした場合は、信号に大きな減衰が発生し、伝送距離が短くなるという問題が発生してしまう。また、同軸ケーブルモデムから出力される信号の周波数を低周波側にシフトした場合は、伝送速度が低下するという問題が発生してしまう。
【0011】
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、単一の同軸ケーブルによって、アナログカメラの映像信号とIPカメラの映像信号との同時伝送を実現し得る、伝送システム、それに用いる伝送機器セット、及びIPカメラの敷設方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における伝送システムは、映像信号としてアナログ信号を出力するアナログカメラと、映像信号としてデジタル信号を出力するIPカメラと、前記アナログカメラが出力した前記映像信号及び前記IPカメラが出力した前記映像信号の信号伝送経路として機能する同軸ケーブルと、前記IPカメラが出力した信号を、前記同軸ケーブルによる伝送が可能な信号に変換する、同軸ケーブルモデムと、前記アナログ信号の周波数よりも高い周波数の信号を通過させる、第1及び第2のハイパスフィルタと、前記同軸ケーブルモデムから出力される信号の周波数よりも低い周波数の信号を通過させる、ローパスフィルタと、を備え、前記アナログカメラは、前記同軸ケーブルの入力端に接続され、前記IPカメラは、前記アナログカメラとは別の信号伝送経路によって、前記同軸ケーブルの入力端に、前記同軸ケーブルモデム及び前記第1のハイパスフィルタを順に介して、接続され、前記ローパスフィルタは、前記同軸ケーブルの出力端に、接続され、前記第2のハイパスフィルタは、前記ローパスフィルタとは別の信号伝送経路によって、前記同軸ケーブルの出力端に、接続されている、ことを特徴とする。
【0013】
以上の特徴によれば、単一の同軸ケーブルによって、アナログカメラの映像信号とIPカメラの映像信号とを同時に伝送しても、両者が干渉することはない。従って、アナログカメラの映像信号とIPカメラの映像信号との同時伝送が、単一の同軸ケーブルによって実現される。
【0014】
上記本発明における伝送システムは、前記同軸ケーブルモデムから出力される信号の周波数よりも低い周波数の信号を通過させる、第2のローパスフィルタを、更に備え、前記アナログカメラが、前記第2のローパスフィルタを介して、前記同軸ケーブルの入力端に接続されている、態様であるのが好ましい。この態様とすれば、同軸ケーブルモデムが発するノイズが除去されるので、アナログカメラからの映像の品質の向上が図られる。
【0015】
また、上記本発明における伝送システムにおいては、前記ローパスフィルタが、前記アナログカメラの映像信号に基づいて映像を表示するモニタと前記同軸ケーブルの出力端との間に介在しており、前記第2のハイパスフィルタが、前記IPカメラの映像信号に基づいて映像を表示するモニタと前記同軸ケーブルの出力端との間に介在している、のが良い。
【0016】
また、上記本発明における伝送システムにおいては、前記アナログカメラが出力するアナログ信号の周波数が、3.0MHz〜4.2MHzであり、前記同軸ケーブルモデムが出力する信号の周波数が、2.0MHz〜30.0MHzである、のが良い。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における伝送機器セットは、上記本発明における伝送システムに用いられる、IPカメラと、同軸ケーブルモデムと、ハイパスフィルタと、ローパスフィルタと、を有することを特徴とする。
【0018】
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるIPカメラの敷設方法は、映像信号としてアナログ信号を出力するアナログカメラと、前記アナログ信号を伝送する同軸ケーブルとを備えた伝送システムに、映像信号としてデジタル信号を出力するIPカメラを敷設するための方法であって、(a)前記同軸ケーブルに、入力側に位置する第1の分岐器と、出力側に位置する第2の分岐器とを設ける、ステップと、(b)前記IPカメラを、前記IPカメラが出力した信号を前記同軸ケーブルによる伝送が可能な信号に変換する同軸ケーブルモデムと、前記アナログ信号の周波数よりも高い周波数の信号を通過させる第1のハイパスフィルタとを順に介して、前記第1の分岐器に接続する、ステップと、(c)前記第2の分岐器に、前記映像信号の周波数よりも高い周波数の信号を通過させる第2のハイパスフィルタが設置された信号伝送経路を接続する、ステップと、
(d)前記同軸ケーブル上の、前記第2の分岐器の出力側に、前記同軸ケーブルモデムから出力される信号の周波数よりも低い周波数の信号を通過させる、ローパスフィルタを設置する、ステップと、を有する、ことを特徴とする。
【0019】
上記本発明におけるIPカメラの敷設方法は、前記同軸ケーブル上の前記アナログカメラと前記第1の分岐器との間に、第2のローパスフィルタを設置する、ステップを、更に有している、態様であるのが好ましい。この態様とすれば、同軸ケーブルモデムが発するノイズが除去されるので、アナログカメラからの映像の品質の向上が図られる。
【0020】
上記本発明におけるIPカメラの敷設方法では、前記伝送システムにおいて、前記同軸ケーブルの出力端に、前記アナログカメラの映像信号に基づいて映像を表示するモニタが接続されている場合に、前記(c)のステップにおいて、前記信号伝送経路の出力端に、前記IPカメラの映像信号に基づいて映像を表示するモニタを接続する、のが良い。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、単一の同軸ケーブルによって、アナログカメラの映像信号とIPカメラの映像信号との同時伝送を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施の形態における伝送システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、各信号伝送経路で伝送されている信号を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態におけるIPカメラの敷設方法を示すフロー図であり、図3(a)〜図3(d)は、それぞれ一連の主なステップを示している。
【図4】図4は、本発明の実施の形態における伝送システムの他の例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における、伝送システム、伝送機器セット、及びIPカメラの敷設方法について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0024】
[伝送システム及び伝送機器セットの構成]
最初に、本実施の形態における伝送システム及び伝送機器セットの構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態における伝送システムの構成を示す図である。なお、本実施の形態において、伝送機器セットは、伝送システムを構成する機器の集合であることから、伝送機器セットについての説明は、以下の伝送システムの説明に代える。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態における伝送システム10は、同軸ケーブル11と、アナログカメラ20と、IPカメラ30と、同軸ケーブルモデム31と、ハイパスフィルタ32及び33と、ローパスフィルタ21とを備えている。このうち、同軸ケーブル11は、アナログカメラ20が出力した映像信号と、IPカメラ30が出力した映像信号との信号伝送経路として機能する。
【0026】
アナログカメラ20は、映像信号としてアナログ信号を出力するカメラであり、同軸ケーブル11の入力端となる分岐器12に接続されている。また、図1において、14は、アナログカメラ20から出力された映像信号を分岐器12へと伝送する信号伝送経路である。信号伝送経路14は、同軸ケーブルによって構成されている。
【0027】
IPカメラ30は、映像信号としてデジタル信号を出力するカメラである。また、IPカメラ30は、アナログカメラ20とは別の信号伝送経路16によって、同軸ケーブル11の入力端(分岐器12)に、同軸ケーブルモデム31及びハイパスフィルタ32を順に介して、接続されている。
【0028】
なお、16aは、信号伝送経路16のうちの同軸ケーブルモデムとハイパスフィルタ32とを結ぶ部分を示し、16bは、信号伝送経路16のうちのハイパスフィルタ32と分岐器12とを結ぶ部分を示している。
【0029】
同軸ケーブルモデム31は、IPカメラ30が出力した信号を、同軸ケーブル11による伝送が可能な信号に変換する機器である。具体的には、同軸ケーブルモデム31は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式によって、IPカメラ20から出力された映像信号を搬送波に乗せ、映像信号が乗った搬送波を出力する。
【0030】
また、本実施の形態では、同軸ケーブルモデム31が使用する周波数帯域は、2.0MHz〜30.0MHzであり、同軸ケーブルモデム31は、この範囲で、複数のサブキャリアを設定する。但し、後述するように、同軸ケーブルモデム31から出力される信号のうち、低い周波数のサブキャリアは、ハイパスフィルタ32によってカットされる。従って、同軸ケーブルモデム31は、カットされないサブキャリのみに映像信号を乗せる。
【0031】
ハイパスフィルタ32は、アナログカメラ20の映像信号の周波数よりも高い周波数の帯域の信号を通過させるフィルタである。また、ハイパスフィルタ33も、ハイパスフィルタ32と同様に、アナログカメラ20の映像信号の周波数よりも高い周波数の信号を通過させるフィルタである。
【0032】
ローパスフィルタ21は、同軸ケーブルモデム31から出力される信号の周波数よりも低い周波数の帯域の信号を通過させるフィルタであり、同軸ケーブル11の出力端となる分岐器13に、接続されている。
【0033】
本実施の形態では、ローパスフィルタ21は、分岐器13に接続された信号伝送経路15上に設けられている。よって、図2を用いて後述するように、ローパスフィルタ21により、アナログカメラからの映像信号のみを取り出すことができる。
【0034】
また、ハイパスフィルタ33は、ローパスフィルタ21とは別の信号伝送経路17によって、同軸ケーブル11の分岐器13に、接続されている。よって、図2を用いて後述するように、ハイパスフィルタ33によって、IPカメラからの映像信号が搬送波に乗せられた状態で取り出される。
【0035】
また、本実施の形態1では、図1に示すように、伝送システム10は、更に、カメラコントローラ22と、モニタ23と、同軸ケーブルモデム33と、モニタ35とを備えている。
【0036】
カメラコントローラ22は、信号伝送路15上に設けられており、アナログカメラ20への電力供給を行っている。図1において、15aは、信号伝送経路15のうちのローパスフィルタ21とカメラコントローラ22とを結ぶ部分を示している。モニタ23は、信号伝送路15に接続され、ローパスフィルタによって取り出されたアナログカメラの映像信号に基づいて、映像を表示する。
【0037】
また、同軸ケーブルモデム34は、信号伝送経路17上に設けられている。同軸ケーブルモデム34は、上述した同軸ケーブルモデム31と同様に構成されているが、同軸ケーブルモデム34には、ハイパスフィルタ33により、映像信号が乗った搬送波が入力される。よって、同軸ケーブルモデム34は、搬送波から映像信号を取り出し、取り出した映像信号を信号伝送経路17に出力する。17aは、信号伝送経路17のうちのハイパスフィルタ33と同軸ケーブルモデム34とを結ぶ部分を示している。
【0038】
モニタ35は、信号伝送経路17に接続されている。従って、モニタ35は、同軸ケーブルモデム33が出力した映像信号に基づいて、映像を表示する。
【0039】
ここで、図2を用いて、各信号伝送経路において伝送される信号について説明する。図2は、各信号伝送経路で伝送されている信号を示す図である。
【0040】
図2に示すように、アナログカメラ20から、アナログの映像信号51が出力される。そして、アナログ信号51は、信号伝送経路14を介して、同軸ケーブル11へと伝送される。また、このとき、アナログカメラ20が出力するアナログ信号の周波数は、3.0MHz〜4.2MHzである。
【0041】
また、IPカメラ30から、デジタルの映像信号が出力されると、映像信号は、同軸ケーブルモデム31によって変調され、搬送波52とされる。そして、信号伝送経路16aにおいて、搬送波52が伝送される。この搬送波52は、ハイパスフィルタ32に入力されると、その低周波成分がカットされ、搬送波53とされる。
【0042】
このとき、ハイパスフィルタ32によってカットされる低周波成分は、アナログカメラ20からの映像信号の周波数以下の周波数となる部分である。低周波部分がカットされた搬送波53は、信号伝送経路16bを介して、同軸ケーブル11へと伝送される。
【0043】
よって、同軸ケーブル11では、アナログ信号51と搬送波53との両方が伝送されるが、図2に示すように、両者が干渉することはない。その後、これらの信号は、分岐器13によって、図1に示した信号伝送経路15と信号伝送経路17とに送られる。
【0044】
このうち、信号伝送経路15では、ローパスフィルタ21によって、高周波部分がカットされる。結果、信号伝送経路15aでは、アナログ信号51のみとなり、アナログ信号51のみがモニタ23に入力される。
【0045】
一方、信号伝送経路17では、ハイパスフィルタ33によって、低周波部分がカットされる。結果、信号伝送経路17aでは、搬送波53のみとなり、同軸ケーブルモデム34によって、IPカメラ30の映像信号が取り出され、モニタ35に入力される。
【0046】
以上のように、本実施の形態によれば、単一の同軸ケーブル11によって、アナログカメラの映像信号とIPカメラの映像信号とを同時に伝送しても、両者が干渉することはない。従って、アナログカメラの映像信号とIPカメラの映像信号との同時伝送が、単一の同軸ケーブル11によって実現される。
【0047】
[IPカメラの敷設方法]
次に、本実施の形態におけるIPカメラの敷設方法について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態におけるIPカメラの敷設方法を示すフロー図であり、図3(a)〜図3(d)は、それぞれ一連の主なステップを示している。
【0048】
図3(a)に示すように、予め、アナログカメラ20と、そのアナログ信号を伝送する同軸ケーブル51と、カメラコントローラ22と、モニタ23とが、既存の伝送システム50(カメラシステム)として敷設されている。本実施の形態では、この伝送システム50に、新たに、IPカメラ30を敷設する。
【0049】
図3(b)に示すように、まず、同軸ケーブル51に、入力側に位置する分岐器12と、出力側に位置する分岐器13とを設ける。そして、図3(c)に示すように、IPカメラ30を、同軸ケーブルモデム31と、ハイパスフィルタ32とを順に介して、分岐器12に接続する。これにより、信号伝送経路16が同軸ケーブル51から分岐した状態となり、分岐の先にIPカメラ30が存在することになる。
【0050】
次に、図3(d)に示すように、同軸ケーブル51の分岐器13に、同軸ケーブル51から分岐するように、新たな信号伝送経路17を設ける。信号伝送経路17には、ハイパスフィルタ33及び同軸ケーブルモデム34を順に設置し、更に、信号伝送経路17の出力端には、モニタ35を接続する。
【0051】
また、図3(d)に示すように、同軸ケーブル51上の、分岐器13の出力側に、ローパスフィルタ21を設置する。以上により、IPカメラ20の敷設が完了し、図1に示した伝送システムが構築される。
【0052】
[変形例]
ここで、図4を用いて本発明の実施の形態における変形例について説明する。図4は、本発明の実施の形態における伝送システムの他の例の構成を示す図である。
【0053】
図4に示すように、伝送システム60は、ローパスフィルタ61を更に備えている点で、図1に示した伝送システム10と異なっている。ローパスフィルタ61は、ローパスフィルタ21と同様に、同軸ケーブルモデム31から出力される信号の周波数よりも低い周波数の信号を通過させるフィルタである。
【0054】
そして、ローパスフィルタ61は、信号伝送経路14に設けられており、アナログカメラ20は、ローパスフィルタ61を介して、同軸ケーブル11の入力端に接続される。このため、変形例1によれば、同軸ケーブルモデム31、34が発するノイズがアナログカメラに入ることを防ぎ、結果、モニタ23で出力される映像の品質が向上することになる。
【0055】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明によれば、単一の同軸ケーブルによって、アナログカメラの映像信号とIPカメラの映像信号との同時伝送を実現できる。本発明は、既存のアナログカメラによるシステムに、新たにIPカメラを敷設する場合に有用である。
【符号の説明】
【0057】
10 伝送システム
11 同軸ケーブル
12、13 分岐器
14 信号伝送経路
15、15a 信号伝送経路
16、16a、16b 信号伝送経路
17、17a 信号伝送経路
20 アナログカメラ
21 ローパスフィルタ
22 カメラコントローラ
23 モニタ
30 IPカメラ
31、34 同軸ケーブルモデム
32、33 ハイパスフィルタ
35 モニタ
50 伝送システム
51 映像信号(アナログ)
52 搬送波
53 搬送波(カット後)
60 伝送システム
61 ローパスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号としてアナログ信号を出力するアナログカメラと、
映像信号としてデジタル信号を出力するIPカメラと、
前記アナログカメラが出力した前記映像信号及び前記IPカメラが出力した前記映像信号の信号伝送経路として機能する同軸ケーブルと、
前記IPカメラが出力した信号を、前記同軸ケーブルによる伝送が可能な信号に変換する、同軸ケーブルモデムと、
前記アナログ信号の周波数よりも高い周波数の信号を通過させる、第1及び第2のハイパスフィルタと、
前記同軸ケーブルモデムから出力される信号の周波数よりも低い周波数の信号を通過させる、ローパスフィルタと、
を備え、
前記アナログカメラは、前記同軸ケーブルの入力端に接続され、
前記IPカメラは、前記アナログカメラとは別の信号伝送経路によって、前記同軸ケーブルの入力端に、前記同軸ケーブルモデム及び前記第1のハイパスフィルタを順に介して、接続され、
前記ローパスフィルタは、前記同軸ケーブルの出力端に、接続され、
前記第2のハイパスフィルタは、前記ローパスフィルタとは別の信号伝送経路によって、前記同軸ケーブルの出力端に、接続されている、
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
前記同軸ケーブルモデムから出力される信号の周波数よりも低い周波数の信号を通過させる、第2のローパスフィルタを、更に備え、
前記アナログカメラが、前記第2のローパスフィルタを介して、前記同軸ケーブルの入力端に接続されている、
請求項1に記載の伝送システム。
【請求項3】
前記ローパスフィルタが、前記アナログカメラの映像信号に基づいて映像を表示するモニタと前記同軸ケーブルの出力端との間に介在しており、
前記第2のハイパスフィルタが、前記IPカメラの映像信号に基づいて映像を表示するモニタと前記同軸ケーブルの出力端との間に介在している、
請求項1または2に記載の伝送システム。
【請求項4】
前記アナログカメラが出力するアナログ信号の周波数が、3.0MHz〜4.2MHzであり、
前記同軸ケーブルモデムが出力する信号の周波数が、2.0MHz〜30.0MHzである、
請求項1〜3のいずれかに記載の伝送システム。
【請求項5】
上記請求項1〜4のいずれかに記載の伝送システムに用いられる、IPカメラと、同軸ケーブルモデムと、ハイパスフィルタと、ローパスフィルタと、
を有することを特徴とする、伝送機器セット。
【請求項6】
映像信号としてアナログ信号を出力するアナログカメラと、前記アナログ信号を伝送する同軸ケーブルとを備えた伝送システムに、映像信号としてデジタル信号を出力するIPカメラを敷設するための方法であって、
(a)前記同軸ケーブルに、入力側に位置する第1の分岐器と、出力側に位置する第2の分岐器とを設ける、ステップと、
(b)前記IPカメラを、前記IPカメラが出力した信号を前記同軸ケーブルによる伝送が可能な信号に変換する同軸ケーブルモデムと、前記アナログ信号の周波数よりも高い周波数の信号を通過させる第1のハイパスフィルタとを順に介して、前記第1の分岐器に接続する、ステップと、
(c)前記第2の分岐器に、前記映像信号の周波数よりも高い周波数の信号を通過させる第2のハイパスフィルタが設置された信号伝送経路を接続する、ステップと、
(d)前記同軸ケーブル上の、前記第2の分岐器の出力側に、前記同軸ケーブルモデムから出力される信号の周波数よりも低い周波数の信号を通過させる、ローパスフィルタを設置する、ステップと、
を有する、ことを特徴とするIPカメラの敷設方法。
【請求項7】
前記同軸ケーブル上の前記アナログカメラと前記第1の分岐器との間に、第2のローパスフィルタを設置する、ステップを、更に有している、
請求項6に記載のIPカメラの敷設方法。
【請求項8】
前記伝送システムにおいて、前記同軸ケーブルの出力端に、前記アナログカメラの映像信号に基づいて映像を表示するモニタが接続されており、
前記(c)のステップにおいて、前記信号伝送経路の出力端に、前記IPカメラの映像信号に基づいて映像を表示するモニタを接続する、
請求項6または7に記載のIPカメラの敷設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−93680(P2013−93680A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233510(P2011−233510)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】