位相信号変換方法及び位相信号変換器
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はPSK(Phase Shift Keying)変調波信号の位相を検出し、その結果を量子化された位相信号に変換する位相信号変換方法及び位相信号変換器に関する。
【0002】
【従来の技術】位相変換器は、PSK変調波信号を遅延検波する復調器等に用いられる。本願出願人は、例えば特願平3−333759号などの出願により、各種の位相信号変換器を提案している。
【0003】図6には、第1従来例に係る3ビットの位相信号変換器の構成が示されている。
【0004】この図においては、入力端子10からPSK変調波信号を入力しその電圧レベルを制限するリミタ12が示されている。リミタ12に入力されるPSK変調波信号は、周波数f0 を有する搬送波をPSK変調して得られる信号である。リミタ12により電圧制限が施されたPSK変調波信号は、その後段に設けられたフリップフロップ(以下FFと言う)14−1〜14−8に供給される。
【0005】一方、この図には、周波数8×f0 で発振する発振器16が示されている。8×f0 で発振させるのは、この従来例が3ビットの変換器であり23 =8であることによる。発振器16の出力は、シフトレジスタ18のCLK入力にクロックとして供給される一方で、分周器20において8分周される。そのため、発振器16の発振周波数は8×f0 に設定されている。そして、分周器20の分周出力、すなわち周波数f0 を有する信号は、8段のシフトレジスタ18により、クロック(発振器16の出力)に同期して、シフトされる。シフトレジスタ18の各段からは、基準信号θ1 〜θ8 が出力される。
【0006】従って、この基準信号θ1 〜θ8 は、互いに、発振器16から出力される局部発振信号の1周期ずつずれた位相を有する信号となる。この基準信号θ1 〜θ8は、FF14−1〜14−8にそれぞれ供給される。FF14−1〜14−8は、対応する基準信号θ1 〜θ8 を、リミタ12から供給されるPSK変調波信号の立上がりタイミングで入力する。この動作により、8個のFF14−1〜14−8から出力として各1ビット合計8ビットの検出信号が得られる。この検出信号は、位相信号判定器22に供給され、その値に基づきPSK変調波信号の位相を示す3ビットの位相信号が生成出力される。
【0007】図7には、この従来例における位相信号変換器の動作の一例が示されている。
【0008】この図に示されるように、基準信号θ1 〜θ8 は、順に45°ずつ相違する位相に対応する信号である。すなわち、第1の基準信号θ1 はPSK変調波信号の位相で22.5°に、第2の基準信号θ2 は67.5°に、…第8の基準信号θ8 は337.5°に、それぞれ対応している。従って、例えば基準信号に対して170°の位相を有するPSK変調波信号がリミタ12から出力されている場合、当該PSK変調波信号の立上りタイミングTn における各基準信号θ1 〜θ8の値は、FF14の昇順に、HHHHLLLLとなる。位相信号判定器22は、各FF14−1〜14−8の出力(この例ではHHHHLLLL)に基づき、PSK変調波信号の位相を判定する。この場合、157.5°の位相を示す基準信号θ4 がHであり202.5°の位相を示す基準信号θ5 がL値であるところから、位相信号判定器は、PSK変調波信号の位相が157.5°から202.5°の範囲に属するとみなす。位相信号判定器は、この範囲を代表する値、例えば180°を選択し、この値を示す3ビットの信号を位相信号として出力端子24から後段に出力する。後段の回路においては、この位相信号に基づき、PSK変調波信号により伝送された符号を判定し、出力する。
【0009】図8には、第2従来例に係る位相信号変換器の構成が示されている。
【0010】この図においても、入力端子10から入力されるPSK変調波信号の電圧レベルを制限するリミタ12が設けられており、また局部発振信号を発振する発振器16及びこれを分周する分周器20が設けられている。この従来例においては、発振器16の発振周波数、すなわち局部発振周波数が、PSK変調波信号に係る搬送周波数f0 のm倍(m=2M 、M:自然数)であり、分周器20は局部発振信号をm分周する。このm分周の結果得られる基準信号A1 はFF26のリセット(R)入力に供給される。FF26のセット(S)入力には、リミタ12によって電圧レベルが制限されたPSK変調波信号が入力されている。従って、FF26のQ出力Bは、PSK変調波信号の立上りに応じて立ち上り、基準信号A1の立上りに応じて立ち下がる信号となる。この信号は、後段に設けられたカウンタ28のCEB入力に供給されている。
【0011】カウンタ28はMビットのカウンタであり、発振器16から出力される局部発振信号をCLK入力から入力している。カウンタ28は、FF26のQ出力BがL値を有している期間、CLK入力から入力した局部発振信号を計数する。また、カウンタ28は、分周器20から出力されるパルスA2 の立下がりによりリセットされる。このパルスA2 は、基準信号A1 の立上りに応じて立ち下がるパルスである。
【0012】従って、カウンタ28の計数値は、パルスA2 の立下がり(基準信号A1 の立上り)に応じてリセットされ、カウンタ28はその後FF26のQ出力BがH値となるまで計数を実行する。カウンタ28のMビットの計数値は、当該カウンタ28の後段に設けられたラッチ30においてパルスA2 の立ち下がりタイミングでラッチされる。ラッチ30によりラッチされたMビットの計数値は、PSK変調波信号の位相を示す位相信号として出力端子24から出力される。
【0013】図9には、この従来例の動作の一例が示されている。
【0014】この図に示されるように、発振器16から出力される局部発振信号は、分周器20によってm分周され、周波数f0 の基準信号A1 が生成される。この基準信号A1 は、PSK変調波信号に係る搬送周波数f0 と等しい周波数であるが、その位相は、PSK変調波信号と一般には一致しない。従って、この図に示されるように、FF26のQ出力Bは、PSK変調波信号の立上り応じて立ち上り、基準信号A1 立上りに応じて立ち下がる。従って、FF26のQ出力BがH値を有している期間又はL値を有している期間は、基準信号A1 を基準としたPSK変調波信号の位相を示している。カウンタ28は、FF26のQ出力BがL値を有している期間において局部発振信号を計数しているから、PSK変調波信号が立ち上りFF26のQ出力Bが立ち上った時点におけるカウンタ28の計数値は、FF26のQ出力BがL値を有している期間、すなわちPSK変調波信号の位相を示す計数値となる。このようにして、この従来例においてはPSK変調波信号の位相が、Mビットの位相信号に量子化されつつ検出されることとなる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらいずれの従来技術においても、位相信号のビット数Mを大きくするために局部発振信号の周波数を高くしなければならず、そのため回路の消費電力が大きくなるという問題が生じていた。
【0016】すなわち、いずれの従来技術においても、回路動作の最小単位が局部発振信号の1周期である。従って、Mビットの位相信号を得るためには、搬送周波数f0の2M 倍の周波数を有する局部発振信号が必要である。ビット数Mを多くすると量子化誤差が小さくなり、例えば遅延検波に用いた場合に後段の回路における復調特性が良好になる。しかし、ビット数Mの増大は、局部発振信号の周波数の高周波化、すなわちそのための発振器の発振周波数の高周波化につながり、これは消費電力の増大を招く。また、発振器の周波数が高くなると、当該発振器において生じる高調波成分が、例えばPSK変調波信号を無線により受信する無線周波数回路に回り込み、誤動作の発生や動作の不安定化等の問題が生じてしまう。
【0017】本発明は、このような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、あるビット数Mの位相信号を得るために必要な局部発振信号の周波数を従来の1/2の周波数に低下させることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明の位相信号変換方法は、周波数k×f0 (k=2M-1 、M:自然数)の局部発振信号をk分周することにより所定個数の基準信号を生成し、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の位相を、基準信号の位相を基準として検出し、局部発振信号の1周期を単位としてM−1ビットに量子化する一方で、PSK変調波信号の位相を局部発振信号の位相と比較し、その結果に基づき、上記M−1ビットの検出結果の下位に1ビットを付加することにより、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用い、PSK変調波信号の位相を示すMビットの位相信号を生成することを特徴とする。
【0019】また、本発明の第1の構成に係る位相信号変換器は、周波数k×f0 の局部発振信号をk分周し、分周結果を局部発振信号に同期してk段シフトすることにより、順に局部発振信号の1周期に相当する位相差を有するk種類の基準信号を発生させる手段と、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の立上がり又は立下がりタイミングで各基準信号をラッチし、その結果を示すkビットの検出信号を発生させる手段と、PSK変調波信号の立上がり又は立下がりタイミングで局部発振信号をラッチし、その結果を示す1ビットの補助検出信号を発生させる手段と、kビットの検出信号及び1ビットの補助検出信号に基づきPSK変調波信号の位相を判定し、その結果をMビットの位相信号として出力する手段と、を備え、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号を生成することを特徴とする。
【0020】そして、本発明の第2の構成に係る位相信号変換器は、周波数k×f0 の局部発振信号をk分周することにより基準信号を発生させる手段と、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の立上がり又は立下がりに応じて立ち上がり、基準信号の立上がり又は立下がりに応じて立ち下がる計数期間信号を発生させる手段と、計数期間信号が発生している期間又は発生していない期間において局部発振信号を計数し、その結果を示すM−1ビットの検出信号を発生させる手段と、PSK変調波信号の立上がり又は立下がりの直後に到来するのが局部発振信号の立上がりがそれとも立下がりかを示す1ビットの補助検出信号を発生させる手段と、M−1ビットの検出信号の下位に1ビットの補助検出信号を付加することにより、PSK変調波信号の位相を示すMビットの位相信号を発生させ出力する手段と、を備え、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号を生成することを特徴とする。
【0021】
【作用】本発明の位相信号変換方法においては、まず、周波数k×f0 の局部発振信号がk分周される。このk分周により得られる周波数f0 の所定個数の信号(基準信号)は、PSK変調波信号の位相の検出の基準として用いられる。すなわち、所定個数の基準信号は、PSK変調波信号に係る搬送波周波数f0 と同一の周波数を有しているが、その位相はPSK変調波信号の位相とは一般には一致しない。そこで、PSK変調波信号の位相を検出するにあたって、k分周により得られた基準信号が当該位相検出の基準として用いられる。この検出の結果は、局部発振信号の1周期を単位として量子化される。局部発振信号の周波数は、搬送周波数f0 のk=2M-1 倍であるから、位相検出結果を量子化する際、M−1ビットへの量子化が可能である。
【0022】本発明においては、このような位相検出が行われる一方で、PSK変調波信号の位相と局部発振信号の位相の比較が実行される。ここに、局部発振信号は、上述の量子化に係る単位時間を1周期として変化する信号であるから、この位相比較により、ちょうど、上述のM−1ビットのさらに下位の1ビットに関する情報が得られる。本発明においては、M−1ビットの位相検出結果の下位にこの位相比較の結果得られる1ビットが付加され、Mビットの位相信号が生成される。従って、本発明においては、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号が生成されるため、局部発振信号を生成するのに必要な発振器の発振周波数を従来の1/2倍としつつ、量子化ビット数Mを得ることが可能となる。これにより、量子化誤差の抑制、消費電力の抑制、高調波成分の回り込みの防止等が実現される。逆に、局部発振周波数が同一であるとすれば、従来より1ビット大きな量子化ビット数が得られる。
【0023】本発明に係る位相信号変換器は、このような位相信号変換方法を実施するのに適する構成を有する回路である。
【0024】まず、第1の構成に係る位相信号変換器においては、周波数k×f0 の局部発振信号がk分周され、分周の結果得られる周波数f0 の信号が、局部発振信号に同期してk段シフトされる。このk段シフトによって得られるk種類の信号(基準信号)は、従って、順に、局部発振信号の1周期に相当する位相差を有している。これらk種類の基準信号は、PSK変調波信号の立上り又は立下がりタイミングでラッチされる。このラッチの結果は、PSK変調波信号が立ち上り又は立ち下がった時点における各基準信号の値を示しており、その組合わせたるkビットの検出信号は、PSK変調波信号の位相を示している。また、各基準信号は局部発振信号の1周期に相当する位相差を有しているから、当該kビットの検出信号によって検出される位相は、局部発振信号の1周期に相当する時間を単位とした位相となる。
【0025】本構成においては、このような位相検出が行われる一方で、PSK変調波信号の立上り又は立下がりタイミングで局部発信信号がラッチされる。このラッチの結果は、局部発振信号の1周期内においてPSK変調波信号がいずれのタイミングで立ち上り又は立ち下がるかを示している。すなわち、上述の基準信号を用いた位相検出では得られないより細かな位相情報を示している。本構成においては、上述のkビットの検出信号に加え、局部発振信号のラッチの結果として得られる1ビットの補助検出信号に基づき、PSK変調波信号の位相が判定される。k=2M-1 であるから、この位相判定により、Mビットの位相信号が得られる。従って、本構成においては、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号を得ることができる。
【0026】次に、本発明の第2の構成に係る位相信号変換器においては、まず、周波数k×f0 を有する局部発振信号がk分周され、これにより周波数f0 の基準信号が生成される。さらに、本構成においては、PSK変調波信号の立上り又は立下がりに応じて立ち上り、基準信号の立上り又は立下がりに応じて立ち下がる計数期間信号が生成される。従って、この計数期間信号が発生している期間(立ち上がっている期間)又は発生していない期間(立ち下っている期間)は、基準信号の位相を基準として検出したPSK変調波信号の位相を示している。本構成においては、この期間において局部発振信号が形成され、その結果を示す検出信号が生成される。局部発振信号の周波数は搬送周波数f0 のk=2M-1 倍であるから、この検出信号はM−1ビットに量子化できる。
【0027】本構成においては、さらに、PSK変調波信号の立上り又は立下がりの直後に到来するのが局部発振信号の立上りかそれとも立下がりかが判定される。すなわち、PSK変調波信号の位相が、局部発振信号の位相を基準として検出される。この検出の結果得られる位相情報は、上述の計数によって得られる位相情報(検出信号)に比べ、より細かな位相情報である。この判定の結果は、1ビットの補助検出信号として、M−1ビットの検出信号が下位に付加される。このような処理により、PSK変調波信号の位相を示すMビットの位相信号が、周波数2M-1×f0 の局部発信号を用いて生成されることとなる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について図面に基づき説明する。なお、図6乃至図9に示される従来例と同様の構成には同一の符号を付し説明を省略する。
【0029】図1には、本発明の第1実施例に係る位相信号変換器の構成が示されている。この図に示される実施例は、前述のラッチ従来例の構成に改良を加えることにより、発振器16の発振周波数(局部発振信号の周波数)を4×f0 に抑制しつつ、位相信号判定器22の出力ビット数(位相信号に係る量子化ビット数)を3に維持した構成である。
【0030】この実施例においては、分周器20により、局部発振信号が4分周され、得られた周波数f0 の信号がシフトレジスタ18に供給される。このシフトレジスタ18は、従来例におけるシステレジスタ18とは異なり、4段のシフトレジスタである。シフトレジスタ18は、発振器16から出力される局部発振信号をクロックとして分周器20の出力を順次シフトし、これにより4個の基準信号θ1 〜θ4 を生成する。
【0031】また、FF14も、従来例のように8個ではなく、5個設けられている。そのうち4個、すなわちFF14−1〜14−4は、リミタ12により電圧レベルが制限されたPSK変調波信号をクロックとして、対応する基準信号θ1 〜θ8 を入力している。また、FF14−5は、リミタ12から出力されるPSK変調波信号をクロックとして、発振器16から出力される局部発振信号を入力している。位相信号判定器22は、これら5個のFF14−1〜14−5の出力に基づき3ビットの位相信号を生成し、出力端子24から後段の回路に供給する。
【0032】図2は、この実施例の動作が示されている。
【0033】まず、基準信号θ1 〜θ4 は、局部発振信号を4分周しこれを局部発信号をシフトクロックとしてシフトして得られる信号であるから、互いに、局部発振信号の1周期に相当する位相差を有している。まず、第1の基準信号θ1 は67.5°の位相を表しており、第2の基準信号は157.5°の位相を表している。第3の基準信号は247.5°の位相を現しており、第4の基準信号は337.5°の位相を表している。
【0034】仮に、このような4個の基準信号θ1 〜θ4 を用いてPSK変調波信号の位相を検出するとするならば、4=22 であるから、位相信号として2ビットの信号しか得られない。
【0035】本実施例においては、4個の基準信号θ1 〜θ4 のみならず、局部発振信号を用いて位相検出を行っているため、基準信号が4個しかないにもかかわらず、3ビットの位相信号を得ることが可能である。すなわち、発振器16の発振周波数を従来例に比べ1/2に低下させつつ、同一分解能(同一量子化ビット数)の位相信号を得ることが可能である。
【0036】この動作についてより詳細に説明すると次のようになる。
【0037】まず、図2に示されるように、受信信号θ2 の立上りタイミングと基準信号θ3 の立上りタイミングの間に属する2種類のタイミングTn-1 及びTn を考える。また、リミタ12から出力されるPSK変調波信号が、タイミングTn-1 及びTn において立ち上がるとする。FF14−1〜14−4は、基準信号θ1 〜θ4 を、PSK変調波信号の立上りタイミングで入力し出力するから、タイミングTn-1 及びTn のいずれにおいても、FF14−1〜14−4の出力はその昇順にHHLLとなる。
【0038】ここに、タイミングTn-1 が、局部発振信号がH値を有する期間に属しており、タイミングTn が、局部発振信号がL値を有する期間に属しているとする。前述のように、FF14−5は、リミタ12から出力されるPSK変調波信号の立上りタイミングにおいて局部発振信号をラッチしている。従って、FF14−5を併せて考えた場合、5個のFF14−1〜14−5の出力の組合わせは、タイミングTn-1 においてはFF14の昇順にHHLLHとなり、タイミングTn においてはHHLLLとなる。
【0039】従って、位相信号判定器22においては、タイミングTn-1 におけるPSK変調波信号の位相とタイミングTn におけるPSK変調波信号の位相とを識別判定することができる。すなわち、タイミングTn-1 及びTn のいずれにおいても、PSK変調波信号の位相は基準信号θ2 に対応する157.5°と基準信号θ3に対応する247.5°の間に存在しているが、タイミングTn-1 においてはこの区間の前半、すなわち157.5°から202.5°の間に存在するとみなすことができ、タイミングTn の場合にはこの期間の後半、すなわち202.5°から247.5°の間に存在するとみなすことができる。位相信号判定器22は、タイミングTn-1 の場合には、157.5°から202.5°の範囲を代表する値、例えば180°を示す3ビットの位相信号を、出力端子24から出力する。また、タイミングTn の場合には、202.5°から247.5°の範囲を代表する値、例えば225°を示す3ビットの位相信号を、出力端子24から出力する。
【0040】このように、本実施例によれば、従来例と同様3ビットの位相信号を出力し同程度の量子化誤差に抑制しながら、発振器16の発振周波数を1/2に抑制することができるため、回路の動作周波数を低くし消費電力を抑制すると共に、無線回路等への高調波成分の回り込みを防止することが可能となる。また、シフトレジスタ18の段数を低減しFF14の個数を低減しているため、装置構成もより簡素なものとなる。
【0041】図3には、本発明の第2実施例に係る位相信号変換器の構成が示されている。この図に示される位相信号変換器は、前述の第2従来例の構成を改良したものである。
【0042】この実施例においては、発振器16は、周波数k×f0 で発振する。kは、量子化ビット数(位相信号のビット数)をMとした場合に、2M-1 と表される値である。分周器20は、発振器16から出力される周波数値k×f0 の局部発振信号をk分周し、得られた基準信号A1 を従来例同様FF26のR入力に供給する。また、分周器20は、この基準信号A1 の立上りに同期して立ち下がるパルスA2 を生成し、従来例同様、これをカウンタ28にリセット信号として、ラッチ32ラッチ信号として、それぞれ供給する。
【0043】この実施例においては、従来例の回路に、さらにFF32、34及び36が付加されている。
【0044】まず、FF32は、リミタ12から出力されるPSK変調波信号を、局部発振信号の立ち下がりに同期して入力する。すなわち、FF32のD入力にはPSK変調波信号が入力され、CLKB入力には局部発振信号が入力される。また、FF34は、FF26のQ出力Bを、局部発振信号の立上りタイミングで入力する。すなわち、FF34のD入力にはFF26のQ出力Bが供給されており、CLK入力には局部発振信号が供給されている。そして、FF36は、FF32のQ出力Cを、FF34のQ出力Eのタイミングで入力する。すなわち、FF36のD入力にはFF32のQ出力Cが供給されており、CLK入力にはFF34のQ出力Eが供給されている。FF36のQB出力は、カウンタ28の出力と共にラッチ30に供給され、パルスA2 の立ち下がりタイミングでラッチされる。なお、カウンタ28は従来例と異なりM−1ビットのカウンタであり、FF36のQB出力をその下位に付加することによりMビットの信号が得られる。また、FF36のSET入力には、パルスA2 が反転入力されている。
【0045】図4及び図5には、この実施例の動作が示されている。特に、図5には、図4に示される動作のうちタイミングTn-1 及びTn 近傍の期間における動作が拡大して示されている。
【0046】まず、図4に示されるように、タイミングTn-1 及びTn において、リミタ12から出力されるPSK変調波信号が立ち上ったとする。FF26のS入力にこのPSK変調波信号が供給されているから、FF26のQ出力Bは、これに応じて立ち上がる。さらに、局部発振信号をk=2M-1 分周して得られる基準信号A1 は、タイミングTn-1 及びTn と一般に異なるタイミングで立ち上がる。基準信号A1 は、FF26のR入力に供給されているから、FF26のQ出力Bはこれに応じて立ち下がる。
【0047】カウンタ28は、FF26のQ出力BがL値の期間において局部発振信号を計数する。また、その値が、パルスA2 の立ち下がりタイミング、すなわち基準信号A1 の立上がりタイミングにおいてリセットされる。従って、図4に示されるように、パルスA2 が立ち下がるタイミングにおけるカウンタ28の出力が、基準信号A1 が立ち上がってからPSK変調波信号が立ち上がるまでの期間、すなわちPSK変調波信号の位相を基準信号A1 を基準として示す値となる。カウンタ28は搬送周波数f0 の2M-1 倍の周波数を有する局部発振信号に応じてこの計数を行っているから、カウンタ28の出力は、PSK変調波信号の位相を示す情報をM−1ビット量子化した信号となる。
【0048】一方、FF32のQ出力Cは、局部発振信号の立ち下がりタイミングにおけるPSK変調波信号の値を示している。また、FF34のQ出力Eは、局部発振信号の立上りタイミングにおけるFF26のQ出力Bを示している。従って、図5に示されるように、PSK変調波信号の立上りタイミングTn-1 のように局部発振信号が立ち上がり次にPSK変調波信号が立上がる場合には、FF32のQ出力CがH値となった後にFF34のQ出力EがH値となる。逆に、PSK変調波信号の立上りタイミングTn のように局部発振信号が立ち下がり次にPSK変調波信号が立ち上がる場合には、まずFF34のQ出力EがH値となった後にFF32のQ出力CがH値となる。従って、FF34のQ出力Eの立上りタイミングにおいてFF32のQ出力Cを入力するFF36のQB出力は、前者の場合にはL値のまま変化せず、後者の場合にはFF34のQ出力Eの立上りタイミングにおいてLからH値に変化する。
【0049】従って、FF36のQB出力は、PSK変調波信号の位相を局部発振信号の位相と比較した結果となり、さらにこの位相比較の結果は、カウンタ28の計数動作によって得られる位相情報よりもより細かな位相情報、すなわち局部発振信号の1周期内における位相情報となる。本実施例においては、カウンタ28によって得られるM−1ビットの信号とFF36のQB出力として得られる1ビットの情報により、Mビット位相信号が生成される。すなわち、FF36のQB出力が、Mビットの位相信号の最下位ビットとして使用される。
【0050】なお、以上の説明においては、PSK変調波信号の立上りトリガとする回路構成について説明したが、これは立下がりをトリガとする回路構成に置き換えてもかまわない。また、位相信号のビット数Mは、PSK変調波信号の周波数とデータ伝送速度の関係や、IC化プロセスの制約を受けるものの、任意に設定することができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、PSK変調波信号の位相と局部発振信号の位相の比較の結果に基づき、基準信号の位相を基準として検出したPSK変調波信号の位相を示すM−1ビットの値にさらに1ビットを付加するようにしたため、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いつつ、Mビットの位相信号を生成することができる。従って、量子化誤差を抑制しつつ、局部発振信号に係る発振器の発振周波数を抑制し消費電力を低減すると共に回り込み等の防止を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る位相信号変換器の構成を示すブロック図である。
【図2】この実施例における位相検出動作の内容を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の第2実施例に係る位相信号変換器の構成を示すブロック図である。
【図4】この実施例における位相検出動作を示すタイミングチャートである。
【図5】図4の一部拡大図である。
【図6】第1従来例に係る位相信号変換器の構成を示すブロック図である。
【図7】この従来例の位相検出動作を示すタイミングチャートである。
【図8】第2従来例に係る位相信号変換器の構成を示すブロック図である。
【図9】この従来例における位相検出動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
14−1〜14−5,26,32〜36 フリップフロップ(FF)
16 発振器
18 シフトレジスタ
20 分周器
22 位相信号判定器
28 カウンタ
30 ラッチ
f0 搬送周波数
k 分周比
θ1 〜θ4 ,A1 基準信号
A2 パルス
M 位相信号のビット数(量子化ビット数)
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はPSK(Phase Shift Keying)変調波信号の位相を検出し、その結果を量子化された位相信号に変換する位相信号変換方法及び位相信号変換器に関する。
【0002】
【従来の技術】位相変換器は、PSK変調波信号を遅延検波する復調器等に用いられる。本願出願人は、例えば特願平3−333759号などの出願により、各種の位相信号変換器を提案している。
【0003】図6には、第1従来例に係る3ビットの位相信号変換器の構成が示されている。
【0004】この図においては、入力端子10からPSK変調波信号を入力しその電圧レベルを制限するリミタ12が示されている。リミタ12に入力されるPSK変調波信号は、周波数f0 を有する搬送波をPSK変調して得られる信号である。リミタ12により電圧制限が施されたPSK変調波信号は、その後段に設けられたフリップフロップ(以下FFと言う)14−1〜14−8に供給される。
【0005】一方、この図には、周波数8×f0 で発振する発振器16が示されている。8×f0 で発振させるのは、この従来例が3ビットの変換器であり23 =8であることによる。発振器16の出力は、シフトレジスタ18のCLK入力にクロックとして供給される一方で、分周器20において8分周される。そのため、発振器16の発振周波数は8×f0 に設定されている。そして、分周器20の分周出力、すなわち周波数f0 を有する信号は、8段のシフトレジスタ18により、クロック(発振器16の出力)に同期して、シフトされる。シフトレジスタ18の各段からは、基準信号θ1 〜θ8 が出力される。
【0006】従って、この基準信号θ1 〜θ8 は、互いに、発振器16から出力される局部発振信号の1周期ずつずれた位相を有する信号となる。この基準信号θ1 〜θ8は、FF14−1〜14−8にそれぞれ供給される。FF14−1〜14−8は、対応する基準信号θ1 〜θ8 を、リミタ12から供給されるPSK変調波信号の立上がりタイミングで入力する。この動作により、8個のFF14−1〜14−8から出力として各1ビット合計8ビットの検出信号が得られる。この検出信号は、位相信号判定器22に供給され、その値に基づきPSK変調波信号の位相を示す3ビットの位相信号が生成出力される。
【0007】図7には、この従来例における位相信号変換器の動作の一例が示されている。
【0008】この図に示されるように、基準信号θ1 〜θ8 は、順に45°ずつ相違する位相に対応する信号である。すなわち、第1の基準信号θ1 はPSK変調波信号の位相で22.5°に、第2の基準信号θ2 は67.5°に、…第8の基準信号θ8 は337.5°に、それぞれ対応している。従って、例えば基準信号に対して170°の位相を有するPSK変調波信号がリミタ12から出力されている場合、当該PSK変調波信号の立上りタイミングTn における各基準信号θ1 〜θ8の値は、FF14の昇順に、HHHHLLLLとなる。位相信号判定器22は、各FF14−1〜14−8の出力(この例ではHHHHLLLL)に基づき、PSK変調波信号の位相を判定する。この場合、157.5°の位相を示す基準信号θ4 がHであり202.5°の位相を示す基準信号θ5 がL値であるところから、位相信号判定器は、PSK変調波信号の位相が157.5°から202.5°の範囲に属するとみなす。位相信号判定器は、この範囲を代表する値、例えば180°を選択し、この値を示す3ビットの信号を位相信号として出力端子24から後段に出力する。後段の回路においては、この位相信号に基づき、PSK変調波信号により伝送された符号を判定し、出力する。
【0009】図8には、第2従来例に係る位相信号変換器の構成が示されている。
【0010】この図においても、入力端子10から入力されるPSK変調波信号の電圧レベルを制限するリミタ12が設けられており、また局部発振信号を発振する発振器16及びこれを分周する分周器20が設けられている。この従来例においては、発振器16の発振周波数、すなわち局部発振周波数が、PSK変調波信号に係る搬送周波数f0 のm倍(m=2M 、M:自然数)であり、分周器20は局部発振信号をm分周する。このm分周の結果得られる基準信号A1 はFF26のリセット(R)入力に供給される。FF26のセット(S)入力には、リミタ12によって電圧レベルが制限されたPSK変調波信号が入力されている。従って、FF26のQ出力Bは、PSK変調波信号の立上りに応じて立ち上り、基準信号A1の立上りに応じて立ち下がる信号となる。この信号は、後段に設けられたカウンタ28のCEB入力に供給されている。
【0011】カウンタ28はMビットのカウンタであり、発振器16から出力される局部発振信号をCLK入力から入力している。カウンタ28は、FF26のQ出力BがL値を有している期間、CLK入力から入力した局部発振信号を計数する。また、カウンタ28は、分周器20から出力されるパルスA2 の立下がりによりリセットされる。このパルスA2 は、基準信号A1 の立上りに応じて立ち下がるパルスである。
【0012】従って、カウンタ28の計数値は、パルスA2 の立下がり(基準信号A1 の立上り)に応じてリセットされ、カウンタ28はその後FF26のQ出力BがH値となるまで計数を実行する。カウンタ28のMビットの計数値は、当該カウンタ28の後段に設けられたラッチ30においてパルスA2 の立ち下がりタイミングでラッチされる。ラッチ30によりラッチされたMビットの計数値は、PSK変調波信号の位相を示す位相信号として出力端子24から出力される。
【0013】図9には、この従来例の動作の一例が示されている。
【0014】この図に示されるように、発振器16から出力される局部発振信号は、分周器20によってm分周され、周波数f0 の基準信号A1 が生成される。この基準信号A1 は、PSK変調波信号に係る搬送周波数f0 と等しい周波数であるが、その位相は、PSK変調波信号と一般には一致しない。従って、この図に示されるように、FF26のQ出力Bは、PSK変調波信号の立上り応じて立ち上り、基準信号A1 立上りに応じて立ち下がる。従って、FF26のQ出力BがH値を有している期間又はL値を有している期間は、基準信号A1 を基準としたPSK変調波信号の位相を示している。カウンタ28は、FF26のQ出力BがL値を有している期間において局部発振信号を計数しているから、PSK変調波信号が立ち上りFF26のQ出力Bが立ち上った時点におけるカウンタ28の計数値は、FF26のQ出力BがL値を有している期間、すなわちPSK変調波信号の位相を示す計数値となる。このようにして、この従来例においてはPSK変調波信号の位相が、Mビットの位相信号に量子化されつつ検出されることとなる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらいずれの従来技術においても、位相信号のビット数Mを大きくするために局部発振信号の周波数を高くしなければならず、そのため回路の消費電力が大きくなるという問題が生じていた。
【0016】すなわち、いずれの従来技術においても、回路動作の最小単位が局部発振信号の1周期である。従って、Mビットの位相信号を得るためには、搬送周波数f0の2M 倍の周波数を有する局部発振信号が必要である。ビット数Mを多くすると量子化誤差が小さくなり、例えば遅延検波に用いた場合に後段の回路における復調特性が良好になる。しかし、ビット数Mの増大は、局部発振信号の周波数の高周波化、すなわちそのための発振器の発振周波数の高周波化につながり、これは消費電力の増大を招く。また、発振器の周波数が高くなると、当該発振器において生じる高調波成分が、例えばPSK変調波信号を無線により受信する無線周波数回路に回り込み、誤動作の発生や動作の不安定化等の問題が生じてしまう。
【0017】本発明は、このような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、あるビット数Mの位相信号を得るために必要な局部発振信号の周波数を従来の1/2の周波数に低下させることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明の位相信号変換方法は、周波数k×f0 (k=2M-1 、M:自然数)の局部発振信号をk分周することにより所定個数の基準信号を生成し、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の位相を、基準信号の位相を基準として検出し、局部発振信号の1周期を単位としてM−1ビットに量子化する一方で、PSK変調波信号の位相を局部発振信号の位相と比較し、その結果に基づき、上記M−1ビットの検出結果の下位に1ビットを付加することにより、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用い、PSK変調波信号の位相を示すMビットの位相信号を生成することを特徴とする。
【0019】また、本発明の第1の構成に係る位相信号変換器は、周波数k×f0 の局部発振信号をk分周し、分周結果を局部発振信号に同期してk段シフトすることにより、順に局部発振信号の1周期に相当する位相差を有するk種類の基準信号を発生させる手段と、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の立上がり又は立下がりタイミングで各基準信号をラッチし、その結果を示すkビットの検出信号を発生させる手段と、PSK変調波信号の立上がり又は立下がりタイミングで局部発振信号をラッチし、その結果を示す1ビットの補助検出信号を発生させる手段と、kビットの検出信号及び1ビットの補助検出信号に基づきPSK変調波信号の位相を判定し、その結果をMビットの位相信号として出力する手段と、を備え、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号を生成することを特徴とする。
【0020】そして、本発明の第2の構成に係る位相信号変換器は、周波数k×f0 の局部発振信号をk分周することにより基準信号を発生させる手段と、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の立上がり又は立下がりに応じて立ち上がり、基準信号の立上がり又は立下がりに応じて立ち下がる計数期間信号を発生させる手段と、計数期間信号が発生している期間又は発生していない期間において局部発振信号を計数し、その結果を示すM−1ビットの検出信号を発生させる手段と、PSK変調波信号の立上がり又は立下がりの直後に到来するのが局部発振信号の立上がりがそれとも立下がりかを示す1ビットの補助検出信号を発生させる手段と、M−1ビットの検出信号の下位に1ビットの補助検出信号を付加することにより、PSK変調波信号の位相を示すMビットの位相信号を発生させ出力する手段と、を備え、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号を生成することを特徴とする。
【0021】
【作用】本発明の位相信号変換方法においては、まず、周波数k×f0 の局部発振信号がk分周される。このk分周により得られる周波数f0 の所定個数の信号(基準信号)は、PSK変調波信号の位相の検出の基準として用いられる。すなわち、所定個数の基準信号は、PSK変調波信号に係る搬送波周波数f0 と同一の周波数を有しているが、その位相はPSK変調波信号の位相とは一般には一致しない。そこで、PSK変調波信号の位相を検出するにあたって、k分周により得られた基準信号が当該位相検出の基準として用いられる。この検出の結果は、局部発振信号の1周期を単位として量子化される。局部発振信号の周波数は、搬送周波数f0 のk=2M-1 倍であるから、位相検出結果を量子化する際、M−1ビットへの量子化が可能である。
【0022】本発明においては、このような位相検出が行われる一方で、PSK変調波信号の位相と局部発振信号の位相の比較が実行される。ここに、局部発振信号は、上述の量子化に係る単位時間を1周期として変化する信号であるから、この位相比較により、ちょうど、上述のM−1ビットのさらに下位の1ビットに関する情報が得られる。本発明においては、M−1ビットの位相検出結果の下位にこの位相比較の結果得られる1ビットが付加され、Mビットの位相信号が生成される。従って、本発明においては、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号が生成されるため、局部発振信号を生成するのに必要な発振器の発振周波数を従来の1/2倍としつつ、量子化ビット数Mを得ることが可能となる。これにより、量子化誤差の抑制、消費電力の抑制、高調波成分の回り込みの防止等が実現される。逆に、局部発振周波数が同一であるとすれば、従来より1ビット大きな量子化ビット数が得られる。
【0023】本発明に係る位相信号変換器は、このような位相信号変換方法を実施するのに適する構成を有する回路である。
【0024】まず、第1の構成に係る位相信号変換器においては、周波数k×f0 の局部発振信号がk分周され、分周の結果得られる周波数f0 の信号が、局部発振信号に同期してk段シフトされる。このk段シフトによって得られるk種類の信号(基準信号)は、従って、順に、局部発振信号の1周期に相当する位相差を有している。これらk種類の基準信号は、PSK変調波信号の立上り又は立下がりタイミングでラッチされる。このラッチの結果は、PSK変調波信号が立ち上り又は立ち下がった時点における各基準信号の値を示しており、その組合わせたるkビットの検出信号は、PSK変調波信号の位相を示している。また、各基準信号は局部発振信号の1周期に相当する位相差を有しているから、当該kビットの検出信号によって検出される位相は、局部発振信号の1周期に相当する時間を単位とした位相となる。
【0025】本構成においては、このような位相検出が行われる一方で、PSK変調波信号の立上り又は立下がりタイミングで局部発信信号がラッチされる。このラッチの結果は、局部発振信号の1周期内においてPSK変調波信号がいずれのタイミングで立ち上り又は立ち下がるかを示している。すなわち、上述の基準信号を用いた位相検出では得られないより細かな位相情報を示している。本構成においては、上述のkビットの検出信号に加え、局部発振信号のラッチの結果として得られる1ビットの補助検出信号に基づき、PSK変調波信号の位相が判定される。k=2M-1 であるから、この位相判定により、Mビットの位相信号が得られる。従って、本構成においては、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号を得ることができる。
【0026】次に、本発明の第2の構成に係る位相信号変換器においては、まず、周波数k×f0 を有する局部発振信号がk分周され、これにより周波数f0 の基準信号が生成される。さらに、本構成においては、PSK変調波信号の立上り又は立下がりに応じて立ち上り、基準信号の立上り又は立下がりに応じて立ち下がる計数期間信号が生成される。従って、この計数期間信号が発生している期間(立ち上がっている期間)又は発生していない期間(立ち下っている期間)は、基準信号の位相を基準として検出したPSK変調波信号の位相を示している。本構成においては、この期間において局部発振信号が形成され、その結果を示す検出信号が生成される。局部発振信号の周波数は搬送周波数f0 のk=2M-1 倍であるから、この検出信号はM−1ビットに量子化できる。
【0027】本構成においては、さらに、PSK変調波信号の立上り又は立下がりの直後に到来するのが局部発振信号の立上りかそれとも立下がりかが判定される。すなわち、PSK変調波信号の位相が、局部発振信号の位相を基準として検出される。この検出の結果得られる位相情報は、上述の計数によって得られる位相情報(検出信号)に比べ、より細かな位相情報である。この判定の結果は、1ビットの補助検出信号として、M−1ビットの検出信号が下位に付加される。このような処理により、PSK変調波信号の位相を示すMビットの位相信号が、周波数2M-1×f0 の局部発信号を用いて生成されることとなる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について図面に基づき説明する。なお、図6乃至図9に示される従来例と同様の構成には同一の符号を付し説明を省略する。
【0029】図1には、本発明の第1実施例に係る位相信号変換器の構成が示されている。この図に示される実施例は、前述のラッチ従来例の構成に改良を加えることにより、発振器16の発振周波数(局部発振信号の周波数)を4×f0 に抑制しつつ、位相信号判定器22の出力ビット数(位相信号に係る量子化ビット数)を3に維持した構成である。
【0030】この実施例においては、分周器20により、局部発振信号が4分周され、得られた周波数f0 の信号がシフトレジスタ18に供給される。このシフトレジスタ18は、従来例におけるシステレジスタ18とは異なり、4段のシフトレジスタである。シフトレジスタ18は、発振器16から出力される局部発振信号をクロックとして分周器20の出力を順次シフトし、これにより4個の基準信号θ1 〜θ4 を生成する。
【0031】また、FF14も、従来例のように8個ではなく、5個設けられている。そのうち4個、すなわちFF14−1〜14−4は、リミタ12により電圧レベルが制限されたPSK変調波信号をクロックとして、対応する基準信号θ1 〜θ8 を入力している。また、FF14−5は、リミタ12から出力されるPSK変調波信号をクロックとして、発振器16から出力される局部発振信号を入力している。位相信号判定器22は、これら5個のFF14−1〜14−5の出力に基づき3ビットの位相信号を生成し、出力端子24から後段の回路に供給する。
【0032】図2は、この実施例の動作が示されている。
【0033】まず、基準信号θ1 〜θ4 は、局部発振信号を4分周しこれを局部発信号をシフトクロックとしてシフトして得られる信号であるから、互いに、局部発振信号の1周期に相当する位相差を有している。まず、第1の基準信号θ1 は67.5°の位相を表しており、第2の基準信号は157.5°の位相を表している。第3の基準信号は247.5°の位相を現しており、第4の基準信号は337.5°の位相を表している。
【0034】仮に、このような4個の基準信号θ1 〜θ4 を用いてPSK変調波信号の位相を検出するとするならば、4=22 であるから、位相信号として2ビットの信号しか得られない。
【0035】本実施例においては、4個の基準信号θ1 〜θ4 のみならず、局部発振信号を用いて位相検出を行っているため、基準信号が4個しかないにもかかわらず、3ビットの位相信号を得ることが可能である。すなわち、発振器16の発振周波数を従来例に比べ1/2に低下させつつ、同一分解能(同一量子化ビット数)の位相信号を得ることが可能である。
【0036】この動作についてより詳細に説明すると次のようになる。
【0037】まず、図2に示されるように、受信信号θ2 の立上りタイミングと基準信号θ3 の立上りタイミングの間に属する2種類のタイミングTn-1 及びTn を考える。また、リミタ12から出力されるPSK変調波信号が、タイミングTn-1 及びTn において立ち上がるとする。FF14−1〜14−4は、基準信号θ1 〜θ4 を、PSK変調波信号の立上りタイミングで入力し出力するから、タイミングTn-1 及びTn のいずれにおいても、FF14−1〜14−4の出力はその昇順にHHLLとなる。
【0038】ここに、タイミングTn-1 が、局部発振信号がH値を有する期間に属しており、タイミングTn が、局部発振信号がL値を有する期間に属しているとする。前述のように、FF14−5は、リミタ12から出力されるPSK変調波信号の立上りタイミングにおいて局部発振信号をラッチしている。従って、FF14−5を併せて考えた場合、5個のFF14−1〜14−5の出力の組合わせは、タイミングTn-1 においてはFF14の昇順にHHLLHとなり、タイミングTn においてはHHLLLとなる。
【0039】従って、位相信号判定器22においては、タイミングTn-1 におけるPSK変調波信号の位相とタイミングTn におけるPSK変調波信号の位相とを識別判定することができる。すなわち、タイミングTn-1 及びTn のいずれにおいても、PSK変調波信号の位相は基準信号θ2 に対応する157.5°と基準信号θ3に対応する247.5°の間に存在しているが、タイミングTn-1 においてはこの区間の前半、すなわち157.5°から202.5°の間に存在するとみなすことができ、タイミングTn の場合にはこの期間の後半、すなわち202.5°から247.5°の間に存在するとみなすことができる。位相信号判定器22は、タイミングTn-1 の場合には、157.5°から202.5°の範囲を代表する値、例えば180°を示す3ビットの位相信号を、出力端子24から出力する。また、タイミングTn の場合には、202.5°から247.5°の範囲を代表する値、例えば225°を示す3ビットの位相信号を、出力端子24から出力する。
【0040】このように、本実施例によれば、従来例と同様3ビットの位相信号を出力し同程度の量子化誤差に抑制しながら、発振器16の発振周波数を1/2に抑制することができるため、回路の動作周波数を低くし消費電力を抑制すると共に、無線回路等への高調波成分の回り込みを防止することが可能となる。また、シフトレジスタ18の段数を低減しFF14の個数を低減しているため、装置構成もより簡素なものとなる。
【0041】図3には、本発明の第2実施例に係る位相信号変換器の構成が示されている。この図に示される位相信号変換器は、前述の第2従来例の構成を改良したものである。
【0042】この実施例においては、発振器16は、周波数k×f0 で発振する。kは、量子化ビット数(位相信号のビット数)をMとした場合に、2M-1 と表される値である。分周器20は、発振器16から出力される周波数値k×f0 の局部発振信号をk分周し、得られた基準信号A1 を従来例同様FF26のR入力に供給する。また、分周器20は、この基準信号A1 の立上りに同期して立ち下がるパルスA2 を生成し、従来例同様、これをカウンタ28にリセット信号として、ラッチ32ラッチ信号として、それぞれ供給する。
【0043】この実施例においては、従来例の回路に、さらにFF32、34及び36が付加されている。
【0044】まず、FF32は、リミタ12から出力されるPSK変調波信号を、局部発振信号の立ち下がりに同期して入力する。すなわち、FF32のD入力にはPSK変調波信号が入力され、CLKB入力には局部発振信号が入力される。また、FF34は、FF26のQ出力Bを、局部発振信号の立上りタイミングで入力する。すなわち、FF34のD入力にはFF26のQ出力Bが供給されており、CLK入力には局部発振信号が供給されている。そして、FF36は、FF32のQ出力Cを、FF34のQ出力Eのタイミングで入力する。すなわち、FF36のD入力にはFF32のQ出力Cが供給されており、CLK入力にはFF34のQ出力Eが供給されている。FF36のQB出力は、カウンタ28の出力と共にラッチ30に供給され、パルスA2 の立ち下がりタイミングでラッチされる。なお、カウンタ28は従来例と異なりM−1ビットのカウンタであり、FF36のQB出力をその下位に付加することによりMビットの信号が得られる。また、FF36のSET入力には、パルスA2 が反転入力されている。
【0045】図4及び図5には、この実施例の動作が示されている。特に、図5には、図4に示される動作のうちタイミングTn-1 及びTn 近傍の期間における動作が拡大して示されている。
【0046】まず、図4に示されるように、タイミングTn-1 及びTn において、リミタ12から出力されるPSK変調波信号が立ち上ったとする。FF26のS入力にこのPSK変調波信号が供給されているから、FF26のQ出力Bは、これに応じて立ち上がる。さらに、局部発振信号をk=2M-1 分周して得られる基準信号A1 は、タイミングTn-1 及びTn と一般に異なるタイミングで立ち上がる。基準信号A1 は、FF26のR入力に供給されているから、FF26のQ出力Bはこれに応じて立ち下がる。
【0047】カウンタ28は、FF26のQ出力BがL値の期間において局部発振信号を計数する。また、その値が、パルスA2 の立ち下がりタイミング、すなわち基準信号A1 の立上がりタイミングにおいてリセットされる。従って、図4に示されるように、パルスA2 が立ち下がるタイミングにおけるカウンタ28の出力が、基準信号A1 が立ち上がってからPSK変調波信号が立ち上がるまでの期間、すなわちPSK変調波信号の位相を基準信号A1 を基準として示す値となる。カウンタ28は搬送周波数f0 の2M-1 倍の周波数を有する局部発振信号に応じてこの計数を行っているから、カウンタ28の出力は、PSK変調波信号の位相を示す情報をM−1ビット量子化した信号となる。
【0048】一方、FF32のQ出力Cは、局部発振信号の立ち下がりタイミングにおけるPSK変調波信号の値を示している。また、FF34のQ出力Eは、局部発振信号の立上りタイミングにおけるFF26のQ出力Bを示している。従って、図5に示されるように、PSK変調波信号の立上りタイミングTn-1 のように局部発振信号が立ち上がり次にPSK変調波信号が立上がる場合には、FF32のQ出力CがH値となった後にFF34のQ出力EがH値となる。逆に、PSK変調波信号の立上りタイミングTn のように局部発振信号が立ち下がり次にPSK変調波信号が立ち上がる場合には、まずFF34のQ出力EがH値となった後にFF32のQ出力CがH値となる。従って、FF34のQ出力Eの立上りタイミングにおいてFF32のQ出力Cを入力するFF36のQB出力は、前者の場合にはL値のまま変化せず、後者の場合にはFF34のQ出力Eの立上りタイミングにおいてLからH値に変化する。
【0049】従って、FF36のQB出力は、PSK変調波信号の位相を局部発振信号の位相と比較した結果となり、さらにこの位相比較の結果は、カウンタ28の計数動作によって得られる位相情報よりもより細かな位相情報、すなわち局部発振信号の1周期内における位相情報となる。本実施例においては、カウンタ28によって得られるM−1ビットの信号とFF36のQB出力として得られる1ビットの情報により、Mビット位相信号が生成される。すなわち、FF36のQB出力が、Mビットの位相信号の最下位ビットとして使用される。
【0050】なお、以上の説明においては、PSK変調波信号の立上りトリガとする回路構成について説明したが、これは立下がりをトリガとする回路構成に置き換えてもかまわない。また、位相信号のビット数Mは、PSK変調波信号の周波数とデータ伝送速度の関係や、IC化プロセスの制約を受けるものの、任意に設定することができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、PSK変調波信号の位相と局部発振信号の位相の比較の結果に基づき、基準信号の位相を基準として検出したPSK変調波信号の位相を示すM−1ビットの値にさらに1ビットを付加するようにしたため、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いつつ、Mビットの位相信号を生成することができる。従って、量子化誤差を抑制しつつ、局部発振信号に係る発振器の発振周波数を抑制し消費電力を低減すると共に回り込み等の防止を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る位相信号変換器の構成を示すブロック図である。
【図2】この実施例における位相検出動作の内容を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の第2実施例に係る位相信号変換器の構成を示すブロック図である。
【図4】この実施例における位相検出動作を示すタイミングチャートである。
【図5】図4の一部拡大図である。
【図6】第1従来例に係る位相信号変換器の構成を示すブロック図である。
【図7】この従来例の位相検出動作を示すタイミングチャートである。
【図8】第2従来例に係る位相信号変換器の構成を示すブロック図である。
【図9】この従来例における位相検出動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
14−1〜14−5,26,32〜36 フリップフロップ(FF)
16 発振器
18 シフトレジスタ
20 分周器
22 位相信号判定器
28 カウンタ
30 ラッチ
f0 搬送周波数
k 分周比
θ1 〜θ4 ,A1 基準信号
A2 パルス
M 位相信号のビット数(量子化ビット数)
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周波数k×f0 (k=2M-1 、M:自然数)の局部発振信号をk分周することにより所定個数の基準信号を生成し、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の位相を、基準信号の位相を基準として検出し、局部発振信号の1周期を単位としてM−1ビットに量子化する一方で、PSK変調波信号の位相を局部発振信号の位相と比較し、その結果に基づき、上記M−1ビットの検出結果の下位に1ビットを付加することにより、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用い、PSK変調波信号の位相を示すMビットの位相信号を生成することを特徴とする位相信号変換方法。
【請求項2】 周波数k×f0 (k=2M-1 、M:自然数)の局部発振信号をk分周し、分周結果を局部発振信号に同期してk段シフトすることにより、順に局部発振信号の1周期に相当する位相差を有するk種類の基準信号を発生させる手段と、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の立上がり又は立下がりタイミングで各基準信号をラッチし、その結果を示すkビットの検出信号を発生させる手段と、PSK変調波信号の立上がり又は立下がりタイミングで局部発振信号をラッチし、その結果を示す1ビットの補助検出信号を発生させる手段と、kビットの検出信号及び1ビットの補助検出信号に基づきPSK変調波信号の位相を判定し、その結果をMビットの位相信号として出力する手段と、を備え、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号を生成することを特徴とする位相信号変換器。
【請求項3】 周波数k×f0 (k=2M-1 、M:自然数)の局部発振信号をk分周することにより基準信号を発生させる手段と、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の立上がり又は立下がりに応じて立ち上がり、基準信号の立上がり又は立下がりに応じて立ち下がる計数期間信号を発生させる手段と、計数期間信号が発生している期間又は発生していない期間において局部発振信号を計数し、その結果を示すM−1ビットの検出信号を発生させる手段と、PSK変調波信号の立上がり又は立下がりの直後に到来するのが局部発振信号の立上がりかそれとも立下がりかを示す1ビットの補助検出信号を発生させる手段と、M−1ビットの検出信号の下位に1ビットの補助検出信号を付加することにより、PSK変調波信号の位相を示すMビットの位相信号を発生させ出力する手段と、を備え、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号を生成することを特徴とする位相信号変換器。
【請求項1】 周波数k×f0 (k=2M-1 、M:自然数)の局部発振信号をk分周することにより所定個数の基準信号を生成し、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の位相を、基準信号の位相を基準として検出し、局部発振信号の1周期を単位としてM−1ビットに量子化する一方で、PSK変調波信号の位相を局部発振信号の位相と比較し、その結果に基づき、上記M−1ビットの検出結果の下位に1ビットを付加することにより、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用い、PSK変調波信号の位相を示すMビットの位相信号を生成することを特徴とする位相信号変換方法。
【請求項2】 周波数k×f0 (k=2M-1 、M:自然数)の局部発振信号をk分周し、分周結果を局部発振信号に同期してk段シフトすることにより、順に局部発振信号の1周期に相当する位相差を有するk種類の基準信号を発生させる手段と、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の立上がり又は立下がりタイミングで各基準信号をラッチし、その結果を示すkビットの検出信号を発生させる手段と、PSK変調波信号の立上がり又は立下がりタイミングで局部発振信号をラッチし、その結果を示す1ビットの補助検出信号を発生させる手段と、kビットの検出信号及び1ビットの補助検出信号に基づきPSK変調波信号の位相を判定し、その結果をMビットの位相信号として出力する手段と、を備え、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号を生成することを特徴とする位相信号変換器。
【請求項3】 周波数k×f0 (k=2M-1 、M:自然数)の局部発振信号をk分周することにより基準信号を発生させる手段と、周波数f0 の搬送波をPSK変調して得られるPSK変調波信号の立上がり又は立下がりに応じて立ち上がり、基準信号の立上がり又は立下がりに応じて立ち下がる計数期間信号を発生させる手段と、計数期間信号が発生している期間又は発生していない期間において局部発振信号を計数し、その結果を示すM−1ビットの検出信号を発生させる手段と、PSK変調波信号の立上がり又は立下がりの直後に到来するのが局部発振信号の立上がりかそれとも立下がりかを示す1ビットの補助検出信号を発生させる手段と、M−1ビットの検出信号の下位に1ビットの補助検出信号を付加することにより、PSK変調波信号の位相を示すMビットの位相信号を発生させ出力する手段と、を備え、周波数2M-1 ×f0 の局部発振信号を用いてMビットの位相信号を生成することを特徴とする位相信号変換器。
【図2】
【図1】
【図5】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図6】
【図1】
【図5】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図6】
【特許番号】第2958220号
【登録日】平成11年(1999)7月23日
【発行日】平成11年(1999)10月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−206340
【出願日】平成5年(1993)8月20日
【公開番号】特開平7−58792
【公開日】平成7年(1995)3月3日
【審査請求日】平成9年(1997)6月4日
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【参考文献】
【文献】特開 平5−167631(JP,A)
【文献】特開 平2−253748(JP,A)
【文献】特開 平4−315342(JP,A)
【登録日】平成11年(1999)7月23日
【発行日】平成11年(1999)10月6日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)8月20日
【公開番号】特開平7−58792
【公開日】平成7年(1995)3月3日
【審査請求日】平成9年(1997)6月4日
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【参考文献】
【文献】特開 平5−167631(JP,A)
【文献】特開 平2−253748(JP,A)
【文献】特開 平4−315342(JP,A)
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