説明

位相変調波の復調装置

【目的】 n相位相偏倚変調波の遅延検波をなす復調回路のエラーレートをクロック周波数を上げることなく低下させる。
【構成】 受信n相位相偏倚変調波からキャリア成分を抽出してこれを矩形波に変換する場合に50%より大又は小のデューティ比の矩形波に変換する波形変換回路を用いる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、デジタル信号を担うn相位相偏倚変調波の復調装置に関する。
【0002】
【背景技術】デジタルデータを伝送するための変調方式として、振幅偏倚変調(ASK)方式、位相偏倚変調(PSK)方式及び周波数偏倚変調(FSK)方式等が知られている。周波数変調されたアナログ映像信号や音声信号と多重伝送を考えた場合、上記変調方式のうち、位相偏倚変調は、伝送時の帯域制限が可能であって、他の信号への妨害を生じにくく、耐ノイズ性が良いなどの理由により広く利用されている。そして、このPSK変調方式の中で、4相位相偏倚変調(QPSK)方式が最も効率が良く、また、QPSK変調波は、位相振幅変化が急峻である故、記録再生変調波の復号装置における遅延検波回路のデジタル化が容易である。よって、例えば、特願平5−291071号に開示された情報記録再生装置において、デジタル信号の記録再生のためのQPSK変調方式が用いられている。
【0003】以下において、特願平5−291071号に開示されたQPSK変調方式について説明する。ここで、伝送さるべきベースバンドデータを次の如くとする。すなわち、0001 10 11 11 00 10 01とする。このベースバンドデータには、種々の情報を表すビット・エラー訂正用の冗長ビット及び同期用のシンクデータビットが含まれているのが通常であり、更には、何らかの識別データビットが含まれていることもあり得る。
【0004】かかるベースバンドデータを、そのまま変調しないで、復調の都合を考慮して、2ビットを単位として累積的にモジュロ4(modulo4)加算を施して、以下の如きデータを得る。すなわち、00 01 00 11 00 00 10 00である。このデータ系列を(I,Q)データ系列とし、奇数番目のビットをIビット、偶数番目のビットをQビットとすれば、原ベースバンドデータは、各々Iビット系列及びQビット系列に変換されたことになる。これらのIビット系列すなわちQデータを図1(a)に示されるQPSK変調器におけるI入力及びQ入力に各々供給する。
【0005】一方、キャリア入力端子にキャリア信号fc(=2.88MHz)が供給されている。Iデータ及びQデータは、各々ローパスフィルタ1,2によって低域濾波されて変調器3,4の変調信号入力端に供給される。変調器3の被変調信号入力端にはキャリア信号がそのまま供給され、変調器4の被変調信号入力端にはキャリア信号が遅延回路5にπ/2だけ位相遅れを施された後に供給される。変調器3,4は、例えば入力データが“0”のときはキャリア信号をそのまま通過せしめ、入力データが“1”のときはキャリア信号の位相を反転させる。そして、変調器3,4の出力は、加算器6によって加算されてQPSK変調波となる。
【0006】こうして得られるQPSK変調波の位相は、図1(b)に示す如く、(I,Q)が(0,0)のときは、原キャリア位相に対して−π/4だけ遅れ、(I,Q)が(1,0)のときは−3π/4だけ遅れ、(I,Q)が(1,1)ときは−5π/4だけ遅れ、(I,Q)が(0,1)のときは、−7π/4だけ遅れている。換言すれば、(I,Q)データに対して、キャリア位相π/4,3π/4,5π/4,7π/4が対応することになる。
【0007】図2(a),(b)は、ローパスフィルタ1及び2を各々経由した〓データ波形及びQデータ波形を示し、図2(c)は、QPSK出力の波形を示している。ここで、(I,Q)データ2ビットを1シンボルと称し、シンボル列の転送レートを288[kbps]としており、2.88MHzのキャリアの10波分が対応しているのである。こうして、得られるQPSK変調波を記録媒体に記録したり、RFチャンネル等の適当な伝送媒体によって伝送するのである。
【0008】なお、図1(a)に示した変調器は4つの位相のキャリア波形すなわちQPSK変調波形データをROMにデータテーブルとして予め記憶しておいて、原ベースバンドデータに基づいて得られる(I,Q)データに対応した位相のキャリア波形データをROMから読み出してこれをD/A変換する方法によって得られることは知られており、特願平5−291071号の図5及びこれに対応する明細書の説明においてかかる方法を実行する回路構成が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、QPSK変調波を復調する場合、QPSK変調波を遅延検波して復調をなす方式が採用される。かかる遅延検波方式においては、QPSK変調波の波形歪みあるいは、光ディスクの回転ムラ等により、遅延検波においてエラーが生ずる可能性があるが、いわゆるエラーレートを小さくしなければならない。
【0010】QPSK変調波の遅延検波におけるエラーレートを低くするためには、遅延検波におけるサンプリング周波数を高くすることが考えられるが、そうすると、遅延検波をなす回路の回路規模が大きくなったり、消費電力が増大したりする。
【0011】
【発明の目的】そこで、本発明は、回路規模を大きくすることなく消費電力も増大させることなく、QPSK変調波を低いエラーレートにて復調する復調装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による復調装置は、原ベースバンドデジタルデータに基づいてキャリア信号の位相を所定量変化せしめることにより情報を担うn(n 4)相位相偏倚変調波を伝送して、これを復調する伝送システムにおける復調装置であって、伝送されたn相位相偏倚変調波のキャリア信号成分を抽出して、これを矩形波に変換する波長変換手段と、前記矩形は前記キャリア信号周波数の略整数倍の周波数のクロックパルスによってラッチして、ラッチ出力を生成するラッチ手段と、前記ラッチ出力を遅延せしめて1タイムスロットに相当する時間分だけ遅れた前記ラッチ成分を生成する遅延手段と、前記ラッチ出力と前記遅延手段からの出力信号との位相差を検出する位相差検出手段と、検出した前記位相差に基づいて前記デジタルデータを抽出する手段とからなり、前記波形変換手段は、前記キャリア成分を50%より第又は小の偏倚デューティ比の矩形波に変換することを特徴とする変調装置である。
【0013】
【実施例】図3以下を参照しつつ、本発明の実施例であるQPSK変調波の復調装置について説明する。まず、光ディスク等の記録媒体から読み取られたり、RFチャンネルを介して伝送されたりしたQPSK変調波は、入力端を介して所定通過帯域を有するバンドパスフィルタ11に供給される。バンドパスフィルタ11の通過帯域は、QPSK変調波のキャリア周波数fc(例えば2.88MHz)を中心周波数としている。バンドパスフィルタ11を通過したQPSK変調波は、波形変換回路12に供給される。波形変換回路12は、QPSK変調波のキャリア信号を各矩形波に変換する。
【0014】今、1シンボルに対応する時間間隔を1タイムスロットと称することにすれば、波形変換回路12の矩形波出力は、1つのタイムスロット毎に例えば10個の矩形波を含むことになり、1つのタイムスロット毎の矩形波群の位相が属する第1〜第4象限が(I,Q)データの(0,0)(1,0)(1,1)(0,1)に各々対応することになるのである。
【0015】波形変換回路12の矩形波出力はラッチ回路13において例えば46.08MHzの復調回路独自の固定システムクロックfckによって“0”又は“1”にラッチされる。そして、ラッチ回路13のラッチ出力は、シフトレジスタ14の入力端に供給される。シフトレジスタ14は、システムクロックfckに応じて158段遅延出力及び162段遅延出力を生じ、これらの遅延出力は、排他的論理和ゲート15,16に供給される。排他的論理和ゲート15,16は、各々、供給される遅延出力とラッチ回路13のラッチ出力との排他的論理和を出力する。排他的論理和ゲート15,16の出力は、識別再生回路17,18に各々、供給される。
【0016】識別再生回路17,18は、例えば、システムクロックfckをクロック入力としてゲート15,16の出力が“1”である限りカウントアップするカウンタであり、しかも各々、カウント値が8以下のときは“0”を発し、9以上のとき“1”を発するカウンタによって構成することが出来る。従って、識別再生回路17,18の論理出力(d17,d18)は、モジュロ4加算前の原デジタルデータ系列の2ビットに相当するのである。こうして得られる2ビット毎のパラレスデータ(d17,d18)はパラレルシリアル変換回路19によってシリアルな再生デジタルデータに変換され、エラー訂正回路20において、エラー訂正処理を施される。
【0017】なお、タイミング検出回路21は、パラレルデータ(d17,d18)から、タイミング信号を抽出し、周波数誤差補正回路22は、得られたタイミング信号と、システムクロックとに応じて周波数が補正された9.216MHzのエラー訂正用パルス信号をエラー訂正回路20に供給する。また、分周回路23は、エラー訂正用パルス信号を分周して、576KHzのパルス信号を生成してこれをパラレルシリアル変換回路19に供給するのである。
【0018】図4は、図3の波形変換回路12の具体回路例である。図においてBPF11を経たQPSK変調波は、直流カットコンデンサCを経由して、等しい抵抗値の抵抗R1,R2からなるレベルシフト回路30に供給される。レベルシフト回路30を経た信号はコンパレータ31の一方の入力に供給される。また、コンパレータ31の他方の入力には抵抗R3,R4からなる基準設定回路32からの基準電位各Vrが供給されている。抵抗R3とR4の比R3/R4は矩形波出力のデューティ比が例えば8.5:7.5になるように[1+cos7.5π/16]:[1−cos7.5π/16]若しくは[1+cos8.5π/16][1−cos8.5π/16]と設定されている。
【0019】上記したデューティ比の調整は波形成形回路12の矩形波出力をラッチするクロック周波数fckの周期で1/fckで矩形波の周期を割った数の半分の奇数倍だけ50%のデューティ比から偏倚したデューティ比の矩形波出力が得られるようにしている。すなわち(fc/2fck)・(2n+1)だけデューティ比が偏倚するようにしている。ここでnは0以上の整数である。従って、波形変換回路12の矩形波出力のデューティ比は1/2+(fc/2fck)(2n+1)である。
【0020】従って、例えば、fc=2.88MHz,fck=46.08MHzのとき(1/32)×(2n+1)だけ波形成形回路12の矩形波出力のデューティ比が50%より大となるのである。そして、n=0のとき、デューティ比が17/32(=8.5/16)となる訳である。図5は、波形成形回路12の別な具体回路例を示している。すなわち、BPF11の出力がコンパレータ40の一方の入力端子に供給され他方の入力端子は接地されている。コンパレータ40は、QPSK変調波のキャリア成分fcの波形が正のとき“1”を出力するのであり、換言すればデューティ比50%の矩形波を出力する。コンパレータ40の出力は、論理和ゲート41の一方の入力となり、遅延回路42にも供給される。遅延回路42は、(fc/2fck)(2n+1)に対応する時間Δt(=1/2fck(2n+1))だけ入力パルスを遅延させる。よって、論理和ゲート32の出力は、(fc/2fck)(2n+1)だけデューティ比が50%より偏倚した波形である。
【0021】上記した如く、本発明によるQPSK変調波のキャリアを矩形波に波形変換する際に、デューティ比50%の矩形波にしないで、ラッチパルス(この実施例においては46.08MHzのシステムクロック)の間隔の半分の奇数倍だけ50%から偏倚した矩形波に変換しているのである。このことによって、シフトレジスタ14、排他的論理和ゲート15,16及び識別再生回路17、18によってなされる遅延検波におけるシンボルエラー率を低減させることが出来たのである。
【0022】上記した作用効果の生ずる理由について、以下に説明する。まず、図6(a)の実線波形40で示されるQPSK変調波が供給されると、そのキャリア成分のN番目のタイムスロット中の1つの正弦波形fc[N]が波形成形回路12によって図6(b)の実線41によって示される矩形波に変換される。この場合、波形成形回路12の閾値レベルは−Vthである故、図6(b)に示される矩形波のデューティ比は50%以上であり、例えば8.5/16×100%である。そして、ラッチ回路13は、この矩形波をシステムクロックにて図6(c)の矢印によって示されるタイミングにてラッチして図6の実線波形42によって示されるラッチ出力L[N]を生成するのである。このラッチ回路13の出力はシフトレジスタ14によって遅延せしめられて162段出力が図6(e)の実線波形43の如き遅延出力D[N]が得られる。
【0023】この遅延出力D1[N]は、1つのキャリア周期が16fckに等しいとすれば、1つのタイムスロットの長さ(T+2/fck)だけ波形L[N]から遅延しているのであるから、排他的論理和ゲート16は、このD1[N]と、(N+1)のタイムスロット中のキャリア成分fc[N+1]に対応する矩形波のラッチ出力L[N+1]との排他的論理和をとって出力するのである。
【0024】ところで、例えば、QPSK変調波が光ディスクから読み取られるとして、しかも、光ディスクの偏芯ジッタ等により、fc[N]に対してfc[N+1]がΔΦだけ位相シフトしたとすると、fc[N+1]の波形は図6(a)の点線波形44によって表わされる。そうすると、波形成形回路12の矩形波出力は、図6(b)の点線波形45によって示される如き波形を有することになる。この波形45を図6(c)のクロックパルスによってラッチ回路13がラッチすると点線波形46によって示される波形を有するラッチ出力L[N+1]が得られるのである。
【0025】よって、ラッチ出力L[N+1]と遅延出力D1[N]との排他的論理和出力が排他的論理和ゲート16から得られ、その波形は、図6(f)に示す如く、前方及び後方パルスP1,P2を含む実線波形47となる。ところで、ラッチ出力L[N+1]に対応する遅延出力D1[N+1]の波形は、図6(e)の点線波形48で表わされる。従って、遅延出力D1[N+1]に対応する論理和ゲート16の出力の後方パルスP2の立ち下りエッジは点線49によって表わされる。しかし乍ら、後方パルスP2の立ち上りエッジは、更に次のタイムスロット(N+2)に現れるラッチ出力L[N+2]の立ち下りエッジによって定まるのであり、結局、後方パルスP2の立ち上りエッジは、L[N+2]の立ち上りエッジが図6(d)の実線42で表わされるときは図6R>6(f)の点線50で表わされ、図6(d)の点線46で表わされるときは、図6(f)の実線47で表わされる。
【0026】識別再生回路17は、論理和ゲート15の出力中の“1”期間すなわちパルスP1,P2のパルス巾t1,t2の合計期間(t1+t2)をカウントするのであり、このカウント値は0〜16である。なんとなれば、t1=t2のときのみならずt1=t2±1/fckの場合もある故、(t1+t2)は、17通りのカウント値で表わされることになる。
【0027】換言すれば、本発明による復調装置においては、fc[N]の位相シフト量を17階調で識別出来ることになり、C/N換算で約26.4dB程度に相当する。図7は、もし、波形成形回路12がQPSK変調波fc[N]を0レベルによってスライスしてデューティ比50%の矩形波に変換する先行例における信号波形を示している。
【0028】すなわち、例えば、図7(a)の実線50によって示される如きタイムスロットNのキャリア波形fc[N]が点線51によって示される如きキャリア波形fc[N+1]に位相シフトしたとすると、波形成形回路によって変換される矩形波は図7(b)の実線波形52及び点線波形53によって示される如き波形を有する。
【0029】かかる矩形波52、53を図7(c)に示すタイミングにてシステムクロックfckによってラッチすると、そのラッチ出力は、図7(d)に示す如く、実線54によって示される如く同一の波形を有する。なんとなれば、矩形波52、53のデューティ比は50%であり、fcとfckすなわちfcとの周波数比は整数比(この場合は16)となっているからである。
【0030】従って、図7(e)の実線波形55によって表わされるシフトレジスタ14の162段出力においても、fcにおけるタイムスロット間の位相シフトΔΦの影響は現れない。よって、排他的論理和ゲート15からの出力中のタイムスロット間の位相差に対応するパルスP1,P2のパルス幅t1,t2は互いに等しい。よって、(t1+t2)の変化は0,2,4,6,8,....16の9通りしかない。すなわち、識別再生回路17による判定は9階調であり、C/N換算で約20.9dBに相当するので検出精度が十分ではないのである。
【0031】図8は、図5において示された波形成形回路12において、50%より大なるデューティ比の矩形波が得られた場合の信号波形を示す波形図である。すなわち、タイムスロットN及びN+1のキャリア波形fc[N]及びfc[N+1]が図8(a)の実線波形60及び点線波形61で示される場合、コンパレータ30の出力波形は、各々、図8(b)の実線波形62、点線波形63の如くなる。そうすると、論理和ゲート31の出力は、各々、図8(c)の実線波形64及び点線波形65で表わされるようなデューティ比8.5/16の波形を有する。
【0032】図8(c)の波形64,65を図8(d)のシステムクロックによってラッチすると、図8(e)の実線波形66、点線波形67の如くなり、fc[N]とfc[N+1]の位相差ΔΦがラッチ出力の1クロック分の変化として表れるのである。これによって、ラッチ出力の階調が17となるのであり、図4に示した波形成形回路12の具体例の場合と同様な作用効果が得られることが解る。
【0033】以上要約すれば、原ベースバンドデジタルデータのタイムスロット毎の2ビット・1シンボルをシンボル単位にて順次モジュロ4加算して得られる(I,Q)データによってキャリア信号fcをQPSK変調してQPSK変調波を得、これを伝送した後に遅延検波方式によって復調する際に、受信QPSK変調波のキャリア成分を50%より大又は小なるデューティ比の矩形波に変換し、得られる矩形波を該キャリア成分の周波数fcの整数倍にしてかつfcとは非同期のクロックパルスによってラッチして得られるラッチ出力について遅延検波を施すことを特徴としている。
【0034】尚、本願実施例では、QPSK変調波についての例を示しているが、これに限定されるものではなく、n相位相偏倚変調(nは2以上の整数)を遅延険波する場合には、本願発明は有効である。
【0035】また、上記実施例においては、1タイムスロット毎の遅延検波を行うこととしているが、フェージング等の外乱を考慮して、数タイムスロット毎に遅延検波をなすことも出来るのである。
【0036】
【発明の効果】本発明によるn相位相偏倚変調波の復号装置においては、受信変調波から抽出されたキャリア成分の有する位相情報を遅延検波方式によって検知するに当たり、抽出されたキャリア成分の正弦波を50%より大又は小のデューティ比の矩形波に変換してこれをキャリア成分の整数(m)倍の周波数のクロックパルスによってラッチして得られる矩形波について遅延検波を施すこととしている故、ラッチ出力の有する位相情報は(前記m+1)通りあることになり、エラーレートを低くすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 4相位相偏倚(QPSK)変調方式の原理を示す図である。
【図2】 QPSK変調の中で生成される(I,Q)データとQPSK変調波との関係を示している波形図である。
【図3】 本発明による復調回路を示すブロック図である。
【図4】 図3の復調装置中の波形変換回路2の具体回路例を示す回路図である。
【図5】 図3の復調装置中の波形変換回路12の具体回路例を示す回路図である。
【図6】 図4の波形変換回路を用いた図3の復調装置において表れる信号波形を示す波形図である。
【図7】 先行例の復調装置において表れる信号波形を示す波形図である。
【図8】 図5に示された波形変換回路を用いた図3の復調装置において表れる信号波形を示す波形図である。
【主要部分の符号の説明】
11 バンドパスフィルタ
12 波形変換回路
13 ラッチ回路
14 シフトレジスタ
15,16 排他的論理和ゲート
17,18 識別再生回路
19 パラレルシリアル変換回路
20 エラー訂正回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】原ベースバンドデジタルデータに基づいてキャリア信号の位相を所定量変化せしめることにより情報を担うn(n≧2)相位相偏倚変調波を伝送して、これを復調する伝送システムにおける復調装置であって、伝送されたn相位相偏倚変調波のキャリア信号成分を抽出して、これを矩形波に変換する波長変換手段と、前記矩形は前記キャリア信号周波数の略整数倍の周波数のクロックパルスによってラッチして、ラッチ出力を生成するラッチ手段と、前記ラッチ出力を遅延せしめて所定数の1タイムスロットに相当する時間分だけ遅れた前記ラッチ成分を生成する遅延手段と、前記ラッチ出力と前記遅延手段からの出力信号との位相差を検出する位相差検出手段と、検出した前記位相差に基づいて前記デジタルデータを抽出する手段とからなり、前記波形変換手段は、前記キャリア成分を50%より大又は小の偏倚デューティ比の矩形波に変換することを特徴とする復調装置。
【請求項2】前記波形変換手段は、前記n相位相偏倚変調波からそのキャリア成分を抽出するバンドパスフィルタと、該抽出されたキャリア成分に所定直流電位から前記偏倚量に対応する偏倚電位分だけ偏倚した閾値を超えたときに“1”を出力するコンパレータと、からなることを特徴とする請求項1記載の復調装置。
【請求項3】前記波形変換手段は、前記n相位相偏倚変調波からそのキャリア成分を抽出するバンドパスフィルタと、該抽出されたキャリア成分の正負に応じて“1”及び“0”を出力するコンパレータと、前記コンパレータの出力を前記偏倚位置に対応する時間だけ遅延せしめる遅延手段と、前記遅延手段の遅延出力と前記コンパレータの出力の論理和をとって、その結果を前記矩形波として出力する論理和手段と、からなることを特徴とする請求項1記載の復調装置。
【請求項4】前記偏倚デューティ比は、前記クロックパルスの半周期の奇数倍分の偏倚量だけ50%から偏倚していることを特徴とする請求項1記載の復調装置。
【請求項5】前記クロックパルスは、前記キャリアの偶数倍の周波数を有することを特徴とする請求項1記載の復調装置。
【請求項6】原ベースバンドデジタルデータのタイムスロット毎の2ビット・1シンボルをシンボル単位にて順次モジュロ4加算してキャリア信号をQPSK変調して得られるQPSK変調波を伝送してこれを復調する伝送システムにおける復調装置であって、伝送されたQPSK変調波のキャリア信号成分を抽出してこれを矩形波に変換する波形変換手段と、前記矩形波を前記キャリア信号周波数の整数倍の周波数のクロックパルスによってラッチしてラッチ出力を生成するラッチ手段と、前記ラッチ出力を遅延せしめて1つのタイムスロット分だけ遅れたラッチ成分とI軸及びQ軸位相ラッチ成分とを生成する遅延手段と、前記I軸ラッチ成分及びQ軸ラッチ成分の各々と前記ラッチ出力との排他的論理和をとって上位ビット位相差パルス信号及び下位ビット位相差パルス信号を生成する排他的論理和ゲートと、前記下位ビット位相差パルス信号の1周期内の合計パルス幅を前記クロックパルスによってカウントして得られるカウント値の前記キャリア信号の1周期の半分に相当するカウント値に対する大及び小に対応して下位ビットの論理値を“0”及び“1”とする第1識別再生手段と、前記上位ビット位相差パルス信号の1周期内の合計パルス幅を前記クロックパルスによってカウントして得られるカウント値の前記キャリア信号の1周期の半分に相当するカウント値に対する大及び小に対応して上位ビットの論理値を“0”及び“1”とする第2識別再生手段と、前記上位ビット及び下位ビットを直列に並べて原ベースバンドデータの1シンボルを復元する並列/直列変換手段とからなり、前記波形変換手段は、前記キャリア成分を50%より大又は小の偏倚デューティ比の矩形波に変換する、ことを特徴とする復調装置。

【図2】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図8】
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【公開番号】特開平8−214038
【公開日】平成8年(1996)8月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−19599
【出願日】平成7年(1995)2月7日
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)