説明

位置エネルギーウォータージェット船

【課題】船が航行する水面との落差を利用してタンクから水を後方へ流出させて推進する従来の方法において、推進タンクが満水になるまで流出を抑制し、タンクが満水になったら自動的に流出する機能を実現する。
【解決手段】タンク底部には、タンク中の水を船体後方へ流すためのパイプを取り付け、その出口部分を、船体が浮かんでいる水面より低い位置に船体の後方へ向けて設置する。さらに、このパイプの中間部分の高さはタンクが満水時の水位よりは低い位置となるように配置する。そして、タンク内の水面が、船体が浮かんでいる水面より高い位置になるようにタンクを船体に取り付ける。タンクが空の状態からタンクへ水を注ぐと、タンク水位がパイプ中間部分の高さを上回るまで、水は流出しない。タンクが満水になって水位がパイプ中間部分を越えたとき、タンク内の水はパイプを通って自動的に船外へ流出し始め、タンクが空になるまで流出が継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に浮かぶ玩具や遊具の船を推進させる方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
おもちゃや遊具の船の動力として、本発明の請求項1および2のみから構成され、タンクの水面と船が航行する水面との落差を利用して推進する方法がある。(例えば、実用新案文献1−3参照)
【実用新案文献1】
実開昭51−021993
【実用新案文献2】
実開昭61−191095
【実用新案文献3】
実開昭62−164099
これらの方法は、構造が単純かつ安全で廃棄物を出すことが無く、推進するためのエネルギーの補給も容易で安価に行えるなど優れた特徴を有する。さらに航行中でも船を止めることなく推進エネルギーを補充できるという、他の推進方法では見られない利点もある。しかし、参考文献に挙げた落差を利用した従来方法では、推進エネルギーを補給するためにタンクへ水を注ぐと、すぐに水が流れ出して船が進んでしまうため、特に小さな子供が上記の操作を行う場合、タンクが満杯になるまで水を注ぐことが困難だった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
落差を利用した従来の推進方法の利点を損なうことなく、タンクが空になった場合の給水時にはタンクが満水になるまで流出を抑制し、タンクが満水になったら自動的にタンクから流出させる機能を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
水に浮かぶための船体上部に、水をためるタンクを取付ける。タンク底部には、中の水を船体後方へ流すためのパイプを取り付ける。このパイプの出口部分を、船体が浮かんでいる水面より低い位置に、船体の後方へ向けて設置する。さらに、このパイプの中間部分が、パイプの入口部分および出口部分より高い位置を経由するが、その高さはタンクが満水時の水位よりは低い位置となるように配置する。タンクが空の状態からタンクへ水を注ぐと、タンク水位がパイプ中間部分の高さを上回るまで、水は流出しない。タンクが満水になって水位がパイプ中間部分を越えたとき、タンク内の水はパイプを通って自動的に船外へ流出し始める。これが船体後方へと流れることによって船体は反作用を受けて推進する。一旦パイプに水が通って流出が始まると、サイフォンの原理によって、タンクが空になるまで流出が継続する。
【0005】
タンク内の水が空になったら、別の容器等を用いてタンクへ水を汲むことによって再び推進するためのエネルギーを補充するが、このときタンクの水面がパイプ中間部分の高さより高くなるまでは水は流出しない。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、タンクが空になった状態においてタンクへ水を注ぐとき、タンク内の水位がパイプ中間部分の高さ以上になるまで、推進するための水の流出を止め、タンクがほぼ満水になったら自動的に流出を開始する効果が得られる。
【0007】
タンク内が空になる前にタンクに水を補充すれば、航行中でも船を止めることなく推進エネルギーを補充することも可能である。
【0008】
本発明は船体とタンクとパイプだけという極めて単純な構成であるため、製造コストは安価であり、故障しにくいためメンテナンスのコストもかからない。
【0009】
本発明の動力は、廃棄物を全く出さないため、環境を汚染する心配がなく、安全であるため小さな子供でも安心して遊ばせることができる。
【実施例】
【0010】
本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。図1および図2において、符号1は船体を構成する浮体である。その船体上部には符号2で示されるタンクが取り付けられている。符号2のタンク上部には推進するための水を補充するための口があけられている。タンク底部には、タンク内の水を船体後方へ流すための符号3で示されるパイプが取り付けられている。符号3のパイプの出口部分を、符号1の船体が浮かんでいる水面より低い位置に、船体の後方へ向けて設置する。さらに、符号3のパイプの中間部分が、パイプの入口部分および出口部分より高い位置を経由するが、その高さはタンクが満水時の水位よりは少し低い位置となるように配置される。符号2のタンクに水を注いで、タンク水位が符号3のパイプ中間部分の高さを上回ると、符号2のタンク内の水はパイプを通って船外へ流れ出し、その反作用を受けて符号1の船体が推進する。一旦符号3のパイプに水が通って流出が始まると、サイフォンの原理によって、符号2のタンクが空になるまで流出が継続する。
【0011】
符号2のタンク上部に開いている口へ水を注ぐことにより、推進するためのエネルギーを補充する。
【0012】
図3の実施例では、符号3のパイプ中間部分の高さが高い箇所を、符号2のタンクの外に設置した場合を示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例を示す全体図を三面図で示したものである。
【図2】図2は図1上面図のA−A’間の断面図を表す。
【図3】図3は符号3のパイプの配管方法のみを変えた実施例である。
【符号の説明】
符号1…船体、符号2…タンク、符号3…パイプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に浮かぶための船体と、水をためるタンクと、タンク中の水を船体後方へ流すためのパイプから構成されることを特徴とする船。
【請求項2】
請求項1の船において、船体が浮かんでいる水面とタンクにためた水の水面との落差を利用して、タンク内の水をパイプを通して船体後方へ流すことによって推進することを特徴とする船の推進方法。
【請求項3】
請求項2のパイプの中間部分が、パイプの入口部分および出口部分より高い位置を経由するが、その高さはタンクが満水時の水位の高さよりは低くなるように配置することを特徴とする配管方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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