説明

位置決め装置

【課題】従来の突き当てによるシート状ワークの位置決めは突き当て時にワークが跳ね返ったり、摺動抵抗によってワークが突き当て部材に到達しないことがあるなどワークの位置決めミスが発生する問題があった。このシート状ワークを精度よく安定して位置決めできる位置決め装置を提供することを目的とする。
【解決手段】シート状ワークを慣性力で平面上を摺動させ、摺動する方向に配設した突き当て部材に前記ワークの進行方向前端を当接させて前記ワークを位置決めする位置決め装置において、前記突き当て部材のワーク側に、ブラシ先端がワークに接触する高さに回転ブラシを配置し、前記回転ブラシとワークの摩擦力でワークを突き当て部材に押しつけてワークを位置決めをする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷した紙やフィルムなどのシート状ワークを1枚ずつ搬送して後工程処理する際に用いるワークの位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷した紙やフィルムなどのシート状ワークの折り加工や封入封緘する後工程では、フィーダーから1枚ずつフィードされ搬送されてくるワークを加工工程直前で位置決めし、搬送中に生じた位置ズレを矯正してから加工処理する方法が採られている。
図1は上記位置決め動作を説明する図で、印刷機やシートフィーダーなどの前工程からワーク1が1枚ずつニップロール3で位置決め装置部へ搬送されてくる。位置決め装置部まで搬送されてきたワーク1はそれまでの搬送速度、1000〜1500mm/秒、で位置決め装置のステンレススチールまたはアルミニウム製テーブル7上を慣性力で摺動し突き当て部材2に衝突して停止する。停止したワーク1は突き当て部材2によって良好な場合は±1mm程度の位置精度で位置決めされており、その位置を保存したまま送り爪4で次工程の方向へ送り出され下流側のニップロール3で位置決め精度を保持したまま搬送されて行く。
しかし、この方法では突き当て時にワークが跳ね返ったり、摺動抵抗によってワークが突き当て部材に到達しないことがあるなどワークの位置決めミスが発生する問題があるため跳ね返り防止手段10を設けて対策する方法が採られている。
【0003】
図2は跳ね返り防止手段10を説明する図で、突き当て部材2の近傍に設置され、薄板5やブラシ6が先端を突き当て部材2側へ傾け、下端がワーク1に適度な圧力で接触する様に設定されている。ワーク1は摺動しながら突き当て部材2に向かって進み、薄板5やブラシ6に接触しつつ突き当て部材2に衝突する。衝突時の反動で跳ね返るが薄板5やブラシ6の傾きに逆らう方向のため抵抗が大きく跳ね返る距離は大幅に抑制される。しかし、薄板5やブラシ6との接触圧力はワーク1とテーブル7の間の摩擦抵抗も増加させるため突き当て部材2に到達する前にワーク1を停止させてしまう問題があるほか、薄板5やブラシ6の圧力設定や先端部の摩擦力の調整、跳ね返り防止効果のワーク1の厚さとの関係など微妙な調整が必要で確実に安定動作を得ることができなかった。
【0004】
また、シート状ワークの位置決め方法として〔特許文献1〕には跳ね返りを起こさずに突き当て部材にワークを押し当てる方法が記載されているが、ワークの後端側を回転ブラシで突き当て方向に押し付けているため、本発明の対象では押しつけ力でワークが撓み位置決めができず適用できない。
【0005】
【特許文献1】特開2005−154018
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、シート状ワークを精度よく安定して位置決めできる位置決め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシート状ワークの位置決め装置の請求項1は、シート状ワークを慣性力で平面上を摺動させ、摺動する方向に配設した突き当て部材に前記ワークの進行方向前端を当接させて前記ワークを位置決めする位置決め装置において、前記突き当て部材のワーク側に、ブラシ先端がワークに接触する高さに回転ブラシを配置し、前記回転ブラシとワークの摩擦力でワークを突き当て部材に押しつけてワークを位置決めすることを特徴とする。
【0008】
本発明のシート状ワークの位置決め装置の請求項2は、シート状ワークを慣性力で平面上を摺動させ、摺動する方向に配設した突き当て部材に前記ワークの進行方向前端を当接させて前記ワークを位置決めする位置決め装置において、前記突き当て部材のワーク側に、ロール外周がワークに所定の圧力で接触する機構を有する回転ロールを配置し、前記回転ロールとワークの摩擦力でワークを突き当て部材に押しつけてワークを位置決めすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシート状ワークの位置決め装置によれば、回転するブラシやロールとワークの摩擦力でワークを突き当て部材に押しつけているからワークが突き当て部材に跳ね返されることはなく、しかも、ワークとテーブル間の摺動抵抗があってもブラシやロールとの摩擦力で駆動され突き当て部材に到達せず停止してしまうこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を説明する。
図3は本発明の位置決め装置の第1の形態を説明する図で、突き当て部材2の近傍にモーター(図示せず)で駆動される回転ブラシ9をワーク1に接触するように配置しワーク1が回転ブラシ9に接触する位置まで到達した後は回転ブラシ9とワーク1間の摩擦力でワーク1を突き当て部材2方向に送りワーク1の前端を突き当て部材2に押し当てる。ワーク1は突き当て部材2まで停止することなく送られ、押し付けられているため跳ね返りも起こらない。また、回転ブラシ9とワーク1間の摩擦力は小さく突き当て部材2に押し付けられてワーク1が折れたり皺が発生することもなく前端が突き当て部材2に当接した状態となるため高精度な位置決めができる。
【実施例】
【0011】
実施の一例を示すと、回転ブラシ9は外形50mm、ブラシ材質は200μm径のナイロンで長さ15mm。ブラシ先端がワーク1に接する高さから1mm押し込んだ位置に調整し、回転時の周速を1000mm/秒で回転させた。前工程から1000mm/秒の速度でワーク1を送り込んだところワーク1はテーブル7上を滑走して回転ブラシ9に達し回転ブラシ9の回転で引き込まれて突き当て部材2に押し付けられ停止し位置決めが行われた。
【0012】
図4は本発明の位置決め装置の第2の形態を説明する図で、第1の形態の例の回転ブラシに替えて回転ロール8を用いた例である。回転ロール8の外形は50mm、ロール表面は厚さ10mmのスポンジ。取り付け高さはロール表面がテーブル7に接する位置とし、バネ11を用いた加圧機構により線圧を20g/cmに設定した。回転時の周速を1000mm/秒で回転させて第1の形態の説明と条件と同じ方法で評価した結果同様な結果を得た。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来技術の位置決め装置の動作を説明する図
【図2】跳ね返り防止手段10を説明する図
【図3】本発明の位置決め装置の第1の形態を説明する図
【図4】本発明の位置決め装置の第2の形態を説明する図
【符号の説明】
【0014】
1 ワーク
2 突き当て部材
3 ニップロール
4 送り爪
5 薄板
6 ブラシ
7 テーブル
8 回転ロール
9 回転ブラシ
10 跳ね返り防止手段
11 バネ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状ワークを慣性力で平面上を摺動させ、摺動する方向に配設した突き当て部材に前記ワークの進行方向前端を当接させて前記ワークを位置決めする位置決め装置において、前記突き当て部材のワーク側に、ブラシ先端がワークに接触する高さに回転ブラシを配置し、前記回転ブラシとワークの摩擦力でワークを突き当て部材に押しつけてワークを位置決めすることを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
シート状ワークを慣性力で平面上を摺動させ、摺動する方向に配設した突き当て部材に前記ワークの進行方向前端を当接させて前記ワークを位置決めする位置決め装置において、前記突き当て部材のワーク側に、ロール外周がワークに所定の圧力で接触する機構を有する回転ロールを配置し、前記回転ロールとワークの摩擦力でワークを突き当て部材に押しつけてワークを位置決めすることを特徴とする位置決め装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−132397(P2010−132397A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309259(P2008−309259)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】