説明

低分子量ヒアルロン酸の生成

本発明は、(a)ヒアルロナンシンターゼコード配列に対して外来性のプロモーター配列に作用可能に連結されるヒアルロナンシンターゼコード配列を含んで成る核酸構造体を含んで成る組換えバチルス宿主細胞を、その増殖の助けとなる第1温度で培養し;(b)次に、段階(a)の組換えバチルス宿主細胞を、ヒアルロン酸の生成のために適切な条件下で、段階(a)の第1温度よりも高い第2温度で培養し、それにより、20,000−800,000ドルトンの範囲の所望する平均分子量を有するヒアルロン酸を生成し;そして(c)前記ヒアルロン酸を回収する段階を含んで成る、20,000−800,000ドルトンの範囲の所望する平均分子量を有するヒアルロン酸の生成方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、低平均分子量(MW)を有するヒアルロン酸(HA又はヒアルロナン)の温度調節された発酵によるグラム陽性宿主細胞における組換え生成方法に関する。HA生成宿主細胞はまず、その増殖のために助けになる温度で発酵され、続いて所望する低MWのHAの生成のために好ましい高い温度に移行される。低MWのHA生成のための好ましい温度及びpHは例えば、発酵される微生物の増殖のために好ましいと通常思われるpH及び温度の範囲外にある。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
身体中の最も豊富なヘテロ多糖は、グリコサミノグリカンである。グリコサミノグリカンは、反復する二糖単位からなる枝なしの炭水化物ポリマーである(ケラタン硫酸のみが炭水化物のコアー領域において枝分かれされている)。二糖単位は一般的に、第1のサッカリド単位として、2種の変性された糖、すなわちN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)又はN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)の1つを含んで成る。第2の単位は通常、ウロン酸、例えばグルクロン酸(GlcUA)又はイズロネートである。
【0003】
グリコサミノグリカンは負に荷電された分子であり、そして溶液において高い粘度を付与する拡張されたコンホメーションを有する。グリコサミノグリカンは、細胞の表面上に又は細胞外マトリックスに位置する。グリコサミノグリカンはまた、溶液において低い圧縮性を有し、そして結果として、生理学的潤滑液、例えば関節として理想的である。グリコサミノグリカンの剛性が、細胞に構造的に結合性を付与し、そして細胞間に通路を提供し、細胞移動可能にする。最高の生理学的に重要なグリコサミノグリカンは、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸及びケラタン硫酸である。ほとんどのグリコサミノグリカンは、特定のオリゴ糖構造を通してプロテオグリカンコアータンパク質に共有結合する。ヒアルロナンは、一定のプロテオグリカンと大きな凝集体を形成するが、しかし遊離炭水化物鎖がプロテオグリカンと非共有複合体を形成する場合、例外である。
【0004】
ヒアルロン酸は、β−1,4及びβ−1,3−グリコシド結合を交互に配置することにより一緒に連結される、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)及びグルクロン酸(GlcUA)の反復二糖単位から構成される硫酸化されていないグリコサミノグリカンとして本明細書において定義される。ヒアルロン酸はまた、ヒアルロナン、ヒアルロネート又はHAとしても知られている。用語ヒアルロナン及びヒアルロン酸は本明細書においては、交換可能的に使用される。
【0005】
身体中でのヒアルロナンの多くの役割は同定されている(Laurent T. C. and Fraser J. R. E. , 1992, FASEB J. 6: 2397-2404; 及び Toole B. P. , 1991, "Proteoglycans and hyaluronan in morphogenesis and differentiation."In : Cell Biology of the Extracellular Matrix, pp. 305-341, Hay E. D. , ed., Plenum, New Yorkを参照のこと)。ヒアルロナンは、硝子軟骨、滑膜関節液及び皮膚組織(真皮及び表皮の両者)に存在する。ヒアルロナンはまた、多くの生理学的機能、例えば付着、成長、細胞運動性、癌、脈管形成及び創傷治癒における役割を有すると思われる。ヒアルロナンのユニークな物理的及び生理学的性質のために、それは眼及び関節の手術に使用され、そして他の医学的方法においても評価される。ヒアルロナンの製品はまた、整形外科、リウマチ学及び皮膚学への使用のために開発されて来た。
【0006】
雄鶏のとさかは、ヒアルロナンのための有意な商業的源である。微生物は他の源である。アメリカ特許第4,801,539号は、1L当たり約3.6gのヒアルロン酸の報告される収率を伴って、ストレプトコーカス・ズーエピデシカスの株を包含するヒアルロン酸の調製のための発酵方法を開示する。ヨーロッパ特許第0694616号は、1L当たり約3.5gのヒアルロン酸の報告される収率を伴って、ストレプトコーカス・ズーエピデシカスの改良された株を用いての発酵方法を開示する。
【0007】
発酵によるヒアルロン酸の生成のために使用される微生物は、病原性細菌株であり、それらの中で、いくつかのストレプトコーカスsppが存在する。グループA及びグループCのストレプトコーカス又は結合組織及び関節に見出されるヒアルロナンと組成において同一である、ヒアルロナンから構成される非抗原性カプセルによりそれ自体を取り囲む。パステウレラ・マルトシダ、すなわちもう1つの病原性被包性細菌もまた、ヒアルロナンによりその細胞を取り囲む。
【0008】
ヒアルロナンシンターゼは、脊椎動物, 細菌病原体,及び藻類ウィルス (DeAngelis, P. L., 1999, Cell. Mol. Life Sci, 56: 670-682)から記載されている。WO99/23227号は、ストレプトコーカス・エクイシミリスからのグループIヒアルロン酸シンターゼを開示する。WO99/51265号及びWO00/27437号は、パステウレラ・マルトシダからのグループIIヒアルロン酸シンターゼを記載する。Ferrettiなどは、それぞれヒアルロン酸シンターゼ、UDPグルコースデヒドロゲナーゼ及びUDP−グルコースピロホスホリラーゼをコードする3種の遺伝子、hasA, hasB及びhasCから構成される、ストレプトコーカス・ピロゲネスのヒアルロナンシンターゼオペロンを開示する(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98, 4658-4663,2001)。WO99/51265号は、ストレプトコーカス・エクイシミリスヒアルロナンシンターゼのためのコード領域を有する核酸セグメントを記載する。
【0009】
特に低い平均分子量、例えば1MDa以下のヒアルロン酸の生成が、発酵ブイヨン又は動物源から高い分子の材料(>1MDa)をまず単離することにより通常達成される。次に、分子量の所望する低減が、典型的には、分別を通して、機械的/物理的手段により、又は化学的手段により達成される。
【0010】
分別は、サイズ選択性膜上で行われ、そして得られる画分は、30,000−730,000ドルトンの範囲の平均分子量を有し、より大きな分子がその膜により保持される。溶媒沈殿はまた、十分に確立されており、大きな分子がまず、沈殿されるが、しかしこの方法は膜分別の解決を欠いている。一般的に、分別方法は、より大きな分子の単離のために好ましい傾向があり、そして小さな分子の生成のためには全く適切ではない。
【0011】
機械的手段を用いる場合、分子は破壊を引き起こすのに十分な剪断応力にゆだねられる。例えば、1,700,000DaのHA材料は、高圧ホモジナイザー(WO9104279-A号)において、500,000Da以下に低められ得る。前記方法は、例えばManton-Gaulin型の機械により拡大され得、ここでそれらは種々の規模で利用でき、そしていくつかのm3/時の程度まで10L/時の速度で材料を処理することができる。
【0012】
物理的手段、例えば超音波への暴露がまた、作用するとして報告されているが、しかし実験室規模よりも大きないずれかの場所でのそのような方法を実施することは困難である(Orviskyなど. 1993. Size exclusion chromatographic characterization of sodium hyaluronate fractions prepared by high energetic sonication. Chromatographia vol. 37 (1-2): 20-22)。
【0013】
化学的手段、例えば極端な値のpHでの加水分解がまた、他の化学物質の存在下で記載されている。そのような方法は、pHメディエーター又は化学物質が最終生成物に存在しない場合、又は最良の調節がその工程を開始し、そして停止するために必要とされる場合、不適切であり;混合速度が大規模に制限する。
動物源からHAを単離する場合、出発MWに対する制御は存在せず、それはほとんど常に高い程度のものである(>5MDa)。野生型微生物からの発酵されたHAはほとんど通常、動物源からよりも低いMWを有するが、しかし1MDaよりもまた高い。
【0014】
野生型ストレプトコーカス発酵からのHAはしばしば、1.5MDa〜3.2MDaの範囲の平均分子量を有するものとして言及されて来た。40℃で最大の特異的増殖速度を有する設定において増殖されたストレプトコーカス・ズーエピデミカスは、発酵温度が40℃から32℃に低められる場合、ますます高い分子量のヒアルロン酸を生成することが報告されている。これは、低下する特異的増殖速度の結果であることが提案されている(Armstrong & Johns. 1997. Appl. Envir. Microbiol. vol. 63: 2759-2764)。他の著者は、S. ズーエピデミカスの特異的増殖速度と、そのHA生産性及びそれが生成するHAの分子量との間の相互関係を確認している(Chong B. F., など. 2005. Microbial hyaluronic acid production. Appl. Microbiol, and Biotech, vol. 66(4): 341-351)。しかしながら、微生物HA生成の目的に対する文献は、HAの分子量の最大化にすべて焦点を合わしているが、分子量の低減化ではない。
【0015】
バチルスは、宿主細胞によるヒアルロン酸の生成を可能にする外因性ヒアルロナンシンターゼ酵素の組換え発現を包含する、天然及び組換えタンパク質の生成のための宿主細胞システムとして十分に確立されている(WO2003054163号)。20,000−800,000ドルトンの範囲の所望する低い平均分子量を有するヒアルロン酸を、組換えバチルス宿主細胞において生成するための方法を提供することが本発明の目的である。
【発明の開示】
【0016】
発明の要約:
上記に言及されたように、低い平均分子量、例えば800,000Da以下の平均分子量を有するヒアルロン酸の生成は、まず、より高いMW材料(>1MDa)を単離し、そして次に、典型的には、分別を通して、機械/物理的手段により、又は化学的手段により、分子量を低めることにより、最も通常には達成される。
本発明は、多くの下流のプロセッシング有益性を提供する、800,000Da以下の所望する低い平均MWを有するHAを直接的に生成する組換え宿主細胞による発酵方法を提供する。
【0017】
所望する低いMWを有するHA材料が直接的に生成される場合、発酵及び回収のユニット操作を包含する生成工程の個々の段階は、低い粘度から利益を得る。さらに、高いMWの分子によるよりも、高い全体的なHA濃度で操作することが可能になる。これは、生産能力を開放し、より早い処理量を可能にし、そしてより容易に制御される、より効果的な工程をもたらす。品質的制御にも有益性がまた存在する。
【0018】
従って、第1の観点においては、本発明は、20,000−800,000ドルトンの範囲の所望する平均分子量を有するヒアルロン酸の生成方法に関し、ここで前記方法は、
(a)ヒアルロナンシンターゼコード配列に対して外来性のプロモーター配列に作用可能に連結されるヒアルロナンシンターゼコード配列を含んで成る核酸構造体を含んで成る組換えバチルス宿主細胞を、その増殖の助けとなる第1温度で培養し;
(b)次に、段階(a)の組換えバチルス宿主細胞を、ヒアルロン酸の生成のために適切な条件下で、段階(a)の第1温度よりも高い第2温度で培養し、それにより、20,000−800,000ドルトンの範囲の所望する平均分子量を有するヒアルロン酸を生成し;そして
(c)前記ヒアルロン酸を回収する段階を含んで成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の特定の記載:
本発明は、20,000−800,000ドルトンの範囲の所望する平均分子量を有するヒアルロン酸の生成方法に関し、ここで前記方法は、
(a)ヒアルロナンシンターゼコード配列に対して外来性のプロモーター配列に作用可能に連結されるヒアルロナンシンターゼコード配列を含んで成る核酸構造体を含んで成る組換えバチルス宿主細胞を、その増殖の助けとなる第1温度で培養し;
(b)次に、段階(a)の組換えバチルス宿主細胞を、ヒアルロン酸の生成のために適切な条件下で、段階(a)の第1温度よりも高い第2温度で培養し、それにより、20,000−800,000ドルトンの範囲の所望する平均分子量を有するヒアルロン酸を生成し;そして
(c)前記ヒアルロン酸を回収する段階を含んで成る。
【0020】
本発明の方法は、分子量を低めるための続く処理段階を伴って、病原性被包性細菌からのヒアルロナンの生成に対する改良性を提供する。被包性細菌においては、多量のヒアルロナンが被包において生成される。そのような源からのヒアルロナンの処理及び精製においては、例えば界面活性剤、又は洗剤、例えばSDSの使用により、被包からのヒアルロナンを除去することが最初に必要である。これは、界面活性剤は、多量部分のヒアルロナンを生成するために添加されるべきであり、そして続いて、前記界面活性剤は、最終精製の前、除去されるべきであるので、ヒアルロナンの商業的生成においては複雑な段階を創造する。
【0021】
本発明は、遊離ヒアルロナンとして、安全な非被包性宿主細胞において生成される、多量の低MWヒアルロナンの生成を可能にする。
【0022】
組換えバチルス細胞のヒアルロナンは、培養培地において直接的に発現されるので、単純な工程が、培養培地からヒアルロナンを単離するために使用され得る。最初に、バチルス細胞及び細胞残骸が培養培地から物理的に除去される。培養培地がまず、所望により、培地の粘度を低めるために希釈され得る。培養培地から細胞を除去するための多くの方法、例えば遠心分離又はマイクロフィルトレーションは、当業界に知られている。所望により、次に残存する上清液が、例えば限外濾過により濾過され、ヒアルロナンからの小分子の汚染物が濃縮され、そして除去される。細胞及び細胞残骸の除去に続いて、培地からのヒアルロナンの単純な沈殿が既知機構により実施される。塩、アルコール、又は塩及びアルコールの組合せが、濾液からのヒアルロナンを沈殿するために使用され得る。沈殿物に低められた後すぐに、ヒアルロナンは、物理的手段により、溶液から容易に単離され得る。他方では、ヒアルロナンは、当業界において知られている蒸発技法、例えば噴霧乾燥を用いることにより、乾燥されるか、又は濾液溶液から濃縮され得る。
【0023】
従って、本発明の方法は、培養物における細胞からのヒアルロナンの精製において界面活性剤の使用の必要性を伴わないことにおいて、発酵によりヒアルロナンを商業的に生成するための存在する技法に対して改良性を提供する。
【0024】
本発明の方法においては、バチルス宿主が、続くHA合成のための多量の活性バイオマスを構築するために、その増殖の助けとなる第1温度で培養される。バチルスは、他の制限因子が存在しない場合、広範囲の温度で増殖することができる。例えば、富化培養培地においては、高い特異的増殖速度を達成するために、より高い温度での十分な通気が確保されるべきである。
【0025】
従って、好ましい態様は、第1観点の方法に関し、ここで第1温度は、10℃−60℃、好ましくは20℃−50℃、及びより好ましくは30℃−45℃、最も好ましくは34℃−40℃の範囲である。
【0026】
所望する量のバイオマスが、確立されるとすぐに、バチルス宿主は、バイオマス構築の間、第1温度よりも高く設定される第2温度で、及びヒアルロン酸の生成のために適切な条件下で培養される。第2温度をいかに高く正確に設定するかは、生成されるHAの所望するMWに依存する。所望するMWが低いほど、より高い温度が設定されるべきである。
【0027】
従って、好ましい態様は、第1観点の方法に関し、ここで第2温度は、20℃−70℃、好ましくは30℃−60℃及びより好ましくは40℃−55℃の範囲である。天然においては、第1培養温度の好ましい範囲は、本発明の方法における第2培養温度の適切な好ましい範囲と組み合わされる。
【0028】
本発明の方法の好ましい態様においては、第2温度は、第1温度よりも少なくとも1℃高く、好ましくは第2温度が、第1温度よりも少なくとも2℃、より好ましくは少なくとも3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、 9℃、 1O℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃及び最も好ましくは少なくとも30℃高い。
【0029】
バイオマスが構築される、本発明の方法における第1温度での培養段階の持続期間は、多くの要因、例えば培養条件、発酵体積、選択される特定のバチルス株、等、及びもちろん、第1温度に依存する。低いMWのHAが生成される場合である、第2温度での培養段階の持続期間はまた、異なった要因に依存する。結果的に、両培養段階の持続期間として定義される合計の培養時間は、容易に決定されない。しかしながら、好ましい態様においては、第2温度での培養段階が、合計培養時間の少なくとも20%を必要とし、好ましくは第2温度での培養段階が、合計温度時間の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は最も好ましくは少なくとも90%を必要とする。
【0030】
好ましい態様は、第1観点の方法に関し、ここで第2温度は、20 - 50 kDa、50 - 100 kDa、100 - 150 kDa、150 - 200 kDa、200 - 250 kDa、250 - 300 kDa、300 - 350 kDa、350 - 400 kDa、400 - 450 kDa、450 - 500 kDa、500 - 550 kDa、550 - 600 kDa、600 - 650 kDa、650 - 700 kDa、700 - 750 kDa及び750 - 800 kDaから成る分子量範囲の群から選択された範囲の所望する平均分子量を有するヒアルロン酸のバチルス宿主細胞による生成を可能にするために、第1温度よりも十分に高い。
【0031】
もう1つの好ましい態様は、第1観点の方法に関し、ここで第2温度は、20 - 100 kDa、 100 - 200 kDa、200 - 300 kDa、300 - 400 kDa、400 - 500 kDa、500 - 600 kDa、600 - 700 kDa、700 - 80O kDaから成る分子量範囲の群から選択された範囲の所望する平均分子量を有するヒアルロン酸のバチルス宿主細胞による生成を可能にするために、第1温度よりも十分に高い。
【0032】
本発明のバチルス宿主細胞により生成されるヒアルロン酸のレベルは、改良されたカルバゾール方法(Bitter and Muir. 1962, Anal Biochem. 4: 330-334)に従って決定され得る。さらに、ヒアルロン酸の平均分子量は、当業界における標準の方法、例えばUeno など., 1988, Chem. Pharm. Bull. 36,4971-4975 ; Wyatt, 1993, Anal. Chim. Acta 272: 1-40; 及び Wyatt Technologies, 1999, "Light Scattering University DAWN Course Manual"and"DAWN EOS Manual"Wyatt Technology Corporation, Santa Barbara, Californiaにより記載されるそれらの方法を用いて決定され得る。
【0033】
本発明の方法により得られるヒアルロン酸は、ヒアルロン酸を変性するために、当業界において知られている種々の技法、例えばアメリカ特許第5,616,568号、第5,652,347号及び5,874,417号に記載されるように架橋にゆだねられ得る。さらに、ヒアルロン酸の分子量は、当業界において知られている技法を用いて変更され得る。
【0034】
宿主細胞
本発明の方法においては、バチルス宿主細胞は、ヒアルロン酸の組換え生成のために適切ないずれかのバチルス細胞であり得る。バチルス宿主細胞は、野生型バチルス細胞又はその変異体であり得る。本発明の実施において有用なバチルス細胞は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:バチルス・アガラドヘレンス(Bacillus agaradherens)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウジ(Bacillus clausii)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミラス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)細胞。変異体バチルス・サブチリス細胞は、WO98/22598号に記載されるように、組換え発現のために特に適合される。非被包性バチルス細胞は、本発明において特に有用である。
【0035】
好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・クラウジ、バチルス・レンタス、バチルス・リケニホルミス、バチルス・ステアロサーモフィラス又はバチルス・サブチリス細胞である。より好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・アミロリケファシエンス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・クラウジ細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・レンタス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・リケニホルミス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・サブチリス細胞である。最も好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・サブチリスA164Δ5(アメリカ特許第5,891,701号を参照のこと)、又はバチルス・サブチリス168Δ4である。
【0036】
本発明の核酸構造体によるバチルス宿主細胞の形質転換は、プロトプラスト形質転換(例えば、Chang and Cohen, 1979, Molecular General Genetics 168: 111-115を参照のこと)により、コンピテント細胞の使用(Young and Spizizen, 1961, Journal of Bacteriology 81 : 823- 829, 又は Dubnau and Davidoff-Abelson, 1971, Journal of Molecular Biology 56 : 209-221を参照のこと)により、エレクトロポレーション(Shigekawa and Dower, 1988, Biotechniques 6: 742-751を参照のこと)により、又は接合(Koehler and Thorne, 1987, Journal of Bacteriology 169: 5271-5278を参照のこと)により行われ得る。
【0037】
核酸構造体
“核酸構造体”は、本明細書においては、天然に存在する遺伝子から単離され、又は他方では、天然に存在しない態様で組み合わされ、そして並置される、核酸のセグメントを含むように修飾されている、一本鎖又は二本鎖核酸分子として定義される。用語、核酸構造体は、核酸構造体がコード配列の発現のために必要とされるすべての制御配列を含む場合、用語“発現カセット”と同じ意味である。用語“コード配列”とは、本明細書において定義される場合、mRNAに転写され、そして下記に言及される制御配列の制御下に配置される場合、興味ある酵素に翻訳される配列である。コード配列の境界は、一般的に、mRNAの5’末端で読み取り枠のすぐ上流に位置するリボソーム結合部位、及びmRNAの3’末端で読み取り枠のすぐ下流に位置する転写ターミネーター配列により決定される。コード配列は、DNA、cDNA,及び組換え核酸配列を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0038】
ポリペプチドをコードする核酸配列を単離し、又はクローン化するために使用される技法は、当業界において良く知られており、そしてゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、又はそれらの組み合わせを包含する。そのようなゲノムDNAからの本発明の核酸配列のクローニングは、例えば良く知られているポリメラーゼ鎖反応(PCR)、又は共有する構造特徴を有するクローン化されたDNAフラグメントを検出するために発現ライブラリーの抗体スクリーニングを用いることによってもたらされ得る。
【0039】
例えば、Innisなど., 1990, PCR Protocols: A Guide to Methods and Application; Academic Press, New York を参照のこと。他の核酸増幅方法、例えばリガーゼ鎖反応、連結された活性化転写及び核酸配列に基づく増幅が使用され得る。クローニング方法は、ポリペプチドをコードする核酸配列を含んで成る所望する核酸フラグメントの切除及び単離、ベクター分子中への前記フラグメントの挿入、及び核酸配列のクローンが複製されるであろうバシラス細胞中への組換えベクターの組み込みを包含することができる。核酸配列は、ゲノム、cDNA, RNA, 半合成、合成起原、又はそれらのいずれかの組み合わせのものであり得る。
【0040】
酵素をコードする単離された核酸配列は、酵素の発現を提供するために種々の手段で操作され得る。構造体又はベクター中へのその挿入の前、核酸配列の操作は、発現ベクター又はバシラス宿主細胞に依存して、所望されるか又は必要とされる。クローニング方法を用いて核酸配列を修飾するための技法は、当業界において良く知られている。核酸配列がまた、当業界において良く知られている方法を用いて宿主細胞においてインビボで操作され得ることは理解されるであろう。
【0041】
多くの酵素が、ヒアルロン酸の生合成に関与する。それらの酵素は、ヒアルロナンシンターゼ、UDP−グルコース6−デヒドロゲナーゼ、UDP−グルコースピロホスホリラーゼ、UDP−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼヘキソキナーゼ、ホスホグルコムターゼ、アミドトランスフェラーゼ、ムターゼ及びアセチルトランスフェラーゼを包含する。ヒアルロナンシンターゼは、ヒアルロン酸の生成における主要酵素である。
【0042】
“ヒアルロナンシンターゼ”とは、GlcUA及びGlcNAc糖前駆体の付加によりヒアルロナン鎖の延長を触媒するシンターゼとして、本明細書においては定義される。ストレプトコーカスヒアルロナンシンターゼ、脊椎動物ヒアルロナンシンターゼ及びウィルスヒアルロナンシンターゼのアミノ酸配列は、パステウレラヒアルロナンシンターゼとは異なり、そしてグループI及びグループIIヒアルロナンシンターゼとしての分類のために提案されており、ここで前記グループIヒアルロナンシンターゼはストレプトコーカスヒアルロナンシンターゼを包含する(DeAngelis, 1999)。バシラス宿主細胞におけるヒアルロナンの生成に関しては、真核生物起源のヒアルロナンシンターゼ、例えば哺乳類ヒアルロナンシンターゼはほとんど好ましいものではない。
【0043】
ヒアルロナンシンターゼコード配列は、バシラス宿主細胞において発現され得るいずれかの核酸配列であり得る。前記核酸配列はいずれの起源のものでもあり得る。好ましいヒアルロナンシンターゼ遺伝子は、グループI又はグループIIのいずれか、例えばストレプトコーカス・エクイシミリス、ストレプトコーカス・ピオゲネス、ストレプトコーカス・ウベリス又はストレプトコーカス・エクイ亜種ズーエピデミカスからのグループIヒアルロナンシンターゼ遺伝子、又はパスツレラ・ムルトシダのグループIIヒアルロナンシンターゼ遺伝子を包含する。
【0044】
本発明の方法はまた、ヒアルロナンの前駆体糖が宿主細胞、すなわち培養培地に供給されるか、又は内因性遺伝子により、非内因性遺伝子により、又はバシラス宿主細胞における内因性及び非内因性遺伝子の組み合わせによりコードされる構造体を包含する。
【0045】
本発明の方法においては、核酸構造体はさらに、ヒアルロナンの前駆体糖の生合成における酵素をコードする1又は複数の遺伝子を含んで成ることができる。他方では、バシラス宿主細胞は、さらに、前駆体糖の生合成における酵素をコードする1又は複数の遺伝子を含んで成る1又は複数の第2核酸構造体を含んで成ることができる。ヒアルロナン生成は、ヒアルロナンの前駆体糖の合成路における段階を指図する1つの遺伝子又は複数の遺伝子をコードする核酸配列を有する構造体の使用により改良される。“ヒアルロナンの前駆体糖の合成路における段階を指図する”とは、前記遺伝子の発現されたタンパク質がN−アセチル−グルコサミン又はD−グルクロン酸、又はN−アセチル−グルコサミン及びD−グルクロン酸のいずれかの前駆体である糖の形成において活性的であることを意味する。
【0046】
前駆体糖を供給するための好ましい方法においては、ヒアルロナンの前駆体糖の合成路における段階を指図する遺伝子をコードする核酸配列に作用可能に結合される異種プロモーター領域を有する組換え構造体を有する宿主細胞を培養することによって、ヒアルロナンシンターゼを有する宿主細胞におけるヒアルロナン生成を改良するための構造体が提供される好ましい方法においては、宿主細胞はまた、N−アセチル−グルコサミンの生合成に関与するシンターゼに対して、前記核酸配列と同じか又は異なったプロモーターを使用することができる、ヒアルロナンシンターゼに作用可能に結合されるプロモーターを使用することができる、ヒアルロナンシンターゼに作用可能に結合されるプロモーター領域を有する組換え操作体を含んで成る。さらなる好ましい態様においては、宿主細胞は、ヒアルロナンの前駆体糖の合成に関与する第2遺伝子をコードする異なった核酸配列に作用可能に結合されるプロモーター領域を有する組換え構造体を有することができる。
【0047】
従って、本発明はまた、ヒアルロナンの前駆体糖の合成路における段階を指図する遺伝子をコードする核酸配列を有する構造体の使用により、ヒアルロナン生成を改良するための構造体にも関する。核酸配列は、ヒアルロナンシンターゼをコードする核酸配列と同じか又は異なったプロモーターから前駆体糖に発現され得る。
【0048】
ヒアルロン酸の生成のための前駆体糖の生合成に関与する遺伝子は、UDP−グルコース6−デヒドロゲナーゼ遺伝子、UDP−グルコースピロホスホリラーゼ遺伝子、UDP−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼ遺伝子、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ遺伝子、ヘキソキナーゼ遺伝子、ホスホグルコムターゼ遺伝子、アミドトランスフェラーゼ遺伝子、ムターゼ遺伝子及びアセチルトランスフェラーゼ遺伝子を包含する。
【0049】
ヒアルロナンシンターゼを含む細胞においては、hasB, hasC及びhasD又はそれらの相同体、例えばバシラス・サブチリスtuaD, gtaB及びgcaDのいずれか1つ又は組合せが、ヒアルロナンシンターゼに利用できる前駆体糖のプールを高めるために発現され得る。バシラスゲノムは、Kunst, など., Nature 390,249-256,"The complete genome sequence of the Gram-positive bacterium Bacillus subtilis" (20 November 1997)記載される。いくつかの場合、例えば宿主細胞が生来のヒアルロナンシンターゼ活性を有さない場合、構造体はhasA遺伝子を含むことができる。
【0050】
生合成酵素をコードする核酸配列は、宿主細胞に対して生来のものであり得るが、ところが他の場合、異種配列が使用され得る。複数の遺伝子が発現される場合、それらは、生来のオペロンにおいてお互い関連する遺伝子、例えばhasA, hasB, hasC及びhasDを含んで成る、ストレプトコーカス・エクイシミリスのHASオペロンの遺伝子であり得る。他の場合、前駆体遺伝子配列のいくつかの組合せの使用が所望されるが、オペロン中の個々の要素は包含されない。宿主細胞に対して生来のいくつかの遺伝子、及び外因性である他の遺伝子の使用がまた、他の場合、好ましい。選択は、所定の宿主細胞における利用できる糖のプール、宿主細胞の他の機能を妨げないで、過剰生成に対する細胞の適合能力、及び細胞が外因性遺伝子とは異なってその生来の遺伝子からの発現を調節するかどうかに依存するであろう。
【0051】
1つの例として、細胞の代謝必要条件及び増殖条件、及び利用できる前駆体糖プールに依存して、UDP-N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼをコードする核酸配列、例えばhasD遺伝子、バシラスgcaD遺伝子及びそれらの相同体の発現によりN−アセチル−グルコサミンの生成を高めることが所望される。他方では、前駆体糖はD−グルクロン酸であり得る。1つのそのような態様においては、核酸配列は、UDP−グルコース6−デヒドロナーゼをコードする。そのような核酸配列は、バシラスtuaD遺伝子、ストレプトコーカスのhasB遺伝子、及びそれらの相同体を包含する。核酸配列はまた、UDP−グルコースピロホスホリラーゼ、例えばバシラスgtaB遺伝子、ストレプトコーカスのhasC遺伝子及びそれらの相同体をコードすることができる。
【0052】
本発明の方法においては、UDP−グルコース6−デヒドロゲナーゼ遺伝子は、hasB遺伝子又はtuaD遺伝子;又はそれらの相同体であり得る。
本発明の方法においては、UDP−グルコースピロホスホリラーゼ遺伝子は、hasC遺伝子又はgtaB遺伝子;又はその相同体である。
本発明の方法においては、UDP−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼ遺伝子が、hasD遺伝子又はgcaD遺伝子;又はその相同体である。
本発明の方法においては、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ遺伝子が、hasE遺伝子又はその相同体である。
【0053】
本発明の方法においては、ヒアルロナンシンターゼ遺伝子、及び前駆体糖をコードする1又は複数の遺伝子は、同じプロモーターの制御下にある。他方では、前駆体糖をコードする1又は複数の遺伝子は、同じプロモーターであるが、しかしヒアルロナンシンターゼ遺伝子を駆動する異なったプロモーターの制御下にある。さらなる態様においては、ヒアルロナンシンターゼ遺伝子、及び前駆体糖をコードする遺伝子の個々は、異なったプロモーターの制御下にある。好ましい態様においては、ヒアルロナンシンターゼ遺伝子、及び前駆体糖をコードする1又は複数の遺伝子は同じプロモーターの制御下にある。
【0054】
いくつかの場合、宿主細胞は、組換え構造体からのヒアルロナンシンターゼの発現に関係する、ヒアルロナンの前駆体糖の合成路における段階を指図する遺伝子をコードする核酸分子に作用可能に結合される異種プロモーター領域を有する組換え構造体を有するであろう。ヒアルロナンシンターゼは、前駆体の生合成に関与する酵素をコードする核酸配列と同じか又は異なったプロモーター領域から発現され得る。もう1つの好ましい態様においては、宿主細胞は、ヒアルロナン前駆体糖の合成に関与する第2遺伝子をコードする異なった核酸配列に作用可能に結合されるプロモーター領域を有する組換え構造体を有することができる。
【0055】
前駆体糖の生合成に関与する酵素コードする核酸配列は、ヒアルロナンシンターゼをコードする核酸配列と同じか又は異なったプロモーターから発現され得る。前者においては、個々のhasA, hasB, hasC及びhasD、又はそれらの相同体を有することにおいて、スタフィロコーカス・エクイシミリスのオペロンを模倣することができるか、又は他方では、ストレプトコーカス・エクイシミリスオペロンに存在する十分な補体を決して利用できない“人口オペロン”が構成される。
【0056】
“人工オペロン”はまた、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ遺伝子(hasE)、及びヘキソキナーゼ遺伝子、ホスホグルコムターゼ遺伝子、アミドトランスフェラーゼ遺伝子、ムターゼ遺伝子及びアセチルトランスフェラーゼ遺伝子から成る群から選択された1又は複数の遺伝子を含んで成ることができる。人工オペロンにおいては、要素の少なくとも1つは、他の1つの要素、例えばコード配列に対して異種であるプロモーター領域に対して異種である。
【0057】
好ましい態様においては、核酸構造体は、hasA, tueD及びgtaBを含んで成る。もう1つの好ましい態様においては、核酸構造体は、hasA, tauD, gtaB及びgcaDを含んで成る。もう1つの好ましい態様においては、核酸構造体は、hasA及びtuaDを含んで成る。もう1つの好ましい態様においては、核酸構造体はhasAを含んで成る。もう1つの好ましい態様においては、核酸構造体は、hasA, tuaD, gtaB, gcaD及びhasEを含んで成る。もう1つの好ましい態様においては、核酸構造体は、hasA, hasB, hasC及びhasDを含んで成る。もう1つの好ましい態様においては、核酸構造体は、hasA, hasB, hasC, hasD及びhasEを含んで成る。上記の好ましい態様に基づけば、示される遺伝子は、その相同体により置換され得る。
【0058】
本発明の方法においては、核酸構造体は、ヒアルロナンシンターゼコード配列に対して外来性のプロモーター配列に作用可能に結合されるヒアルロナンシンターゼコード配列を含んで成る。前記プロモーター配列は、例えば単一のプロモーター又はタンデムプロモーターであり得る。
【0059】
“プロモーター”とは、1つの遺伝子の転写を開始するためにRNAポリメラーゼの結合に関与する核酸配列として本明細書において定義される。“タンデムプロモーター”とは、複数のプロモーター配列として本明細書においては定義され、これらの個々は、コード配列に作用可能に結合され、そしてmRNAへのコード配列の転写を仲介する。“作用可能に結合される”とは、制御配列、例えばプロモーター配列が、制御配列がコード配列によりコードされるポリペプチドの生成を指図するよう、コード配列に関する位置で適切に置換される配置として本明細書において定義される。
【0060】
前述のように、“コード配列”とは、適切な制御配列の制御下に置かれる場合、mRNAに転写され、そしてポリペプチドに翻訳される核酸配列として本明細書において定義される。コード配列の境界は一般的に、mRNAの5’末端での読み取り枠のすぐ上流に位置するリボソーム結合部位、及びmRNAの3’末端での読み取り枠のすぐ下流に位置する転写ターミネーター配列により決定される。コード配列は、DNA、cDNA、半合成、合成及び組換え核酸配列を含むことができるが、但しそれらだけには限定されない。
【0061】
好ましい態様においては、プロモーター配列は、細菌源から得られる。より好ましくは態様においては、プロモーター配列は、グラム陽性細菌、例えばバシラス株、例えばバシラス・アガラドヘレンス(Bacillus agaradherens)、バシラス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス・ブレビス(Bacillus brevis)、バシラス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バシラス・クラウジ(Bacillus clausii)、バシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バシラス・ファーマス(Bacillus firmus)、バシラス・ラウタス(Bacillus lautus)、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス・プミラス(Bacillus pumilus)、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びバシラス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis);又はストレプトミセス株、例えばストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)又はストレプトミセス・ムリナス(Streptomyces murinus);又はグラム陰性細菌、例えばE. コリ又はシュードモナスから得られる。
【0062】
本発明の方法に置ける核酸配列の転写を指図するための適切なプロモーターの例は、E. コリlacオペロン、ストレプトミセス・コエリコロルアガラーゼ遺伝子(dagA)、バシラス・レンタス又はバシラス・クラウジアルカリプロテアーゼ遺伝子(aprH)、バシラス・リケニホルミスアルカリプロテアーゼ遺伝子(ズブチリシンCarlsberg遺伝子)、バシラス・サブチリスレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バシラス・サブチリスα−アミラーゼ遺伝子(amyE)、バシラス・リケニホルミスα−アミラーゼ遺伝子(amyL)、バシラス・ステアロサーモフィラスマルトゲンアミラーゼ遺伝子(amyM)、バシラス・アミロリケファシエンスα−アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バシラス・リケニホルミスペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バシラス・サブチリスxylA及びxylB遺伝子、バシラス・ツリンギエンシス亜種テネブリオニスCryIII A遺伝子(cryIII A)、又はそれらの一部、又は原核生物β−ラクタマーゼ遺伝子から得られたプロモーターである(Villa- Kamaroffなど., 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 3727- 3731)。
【0063】
他の例は、spo1細菌ファージプロモーター及びtacプロモーターである((DeBoer など., 1983, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 80: 21-25)。さらなるプロモーターは、"Useful proteins from recombinant bacteria"in Scientific American, 1980,242 : 74-94;及び Sambrook, Fritsch, and Maniatus, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d edition, Cold Spring Harbor, New Yorkに記載される。
【0064】
プロモーターはまた、“-35”領域のための配列TTGACA及び“-10”領域のためのTATAATを有する“コンセンサス”プロモーターであり得る。コンセンサスプロモーターは、バシラス宿主細胞において機能することができるいずれかのプロモーターから得られる。“コンセンサス”プロモーターの構成は、バシラス・サブチリスのための増殖性“シグマA−型”プロモーターの“-10”及び“-35”領域のための確立されたコンセンサス配列に対してより完全に適合するプロモーターを創造するために、特定の部位の突然変異誘発により達成され得る(Voskuil など., 1995, Molecular Microbiology 17: 271-279)。
【0065】
好ましい態様においては、“コンセンサス”プロモーターは、E. コリlacオペロン、ストレプトミセス・コエリコロルアガラーゼ遺伝子(dagA)、バシラス・レンタス又はバシラス・クラウジアルカリプロテアーゼ遺伝子(aprH)、バシラス・リケニホルミスアルカリプロテアーゼ遺伝子(ズブチリシンCarlsberg遺伝子)、バシラス・サブチリスレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バシラス・サブチリスα−アミラーゼ遺伝子(amyE)、バシラス・リケニホルミスα−アミラーゼ遺伝子(amyL)、バシラス・ステアロサーモフィラスマルトゲンアミラーゼ遺伝子(amyM)、バシラス・アミロリケファシエンスα−アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バシラス・リケニホルミスペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バシラス・サブチリスxylA及びxylB遺伝子、バシラス・ツリンギエンシス亜種テネブリオニスCryIII A遺伝子(cryIII A)、又はそれらの一部、又は原核生物β−ラクタマーゼ遺伝子spo1細菌ファージプロモーターから得られたプロモーターから得られる。より好ましい態様においては、“コンセンサス”プロモーターは、バシラス・アミロリケファシエンスα−アミラーゼ遺伝子(amyQ)から得られる。
【0066】
Widner, など., アメリカ特許第6,255,076号及び第5,955,310号は、短いコンセンサスamyQプロモーター(また、scBANとも呼ばれる)を包含する、バシラス細胞における発現への使用のためのタンデムプロモーター及び構造体、及び方法を記載する。バシラスにおける改良された生成のためへの、cryIII Aスタビライザー配列の使用及び前記配列を用いての構造体がまた記載される。
【0067】
タンデムプロモーター中の個々のプロモーター配列は、変異、切断された及びハイブリッドプロモーターを包含する、選択のバシラス細胞における転写活性を示すいずれかの核酸配列であり得、そしてバシラス細胞に対して相同の又は異種の細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られる。個々のプロモーター配列は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列に対して生来のものであるか又は外来のものであり得、そしてバシラス細胞に対して生来のものであるか又は外来のものであり得る。プロモーター配列は、同じプロモーター配列か又は異なったプロモーター配列であり得る。
【0068】
タンデムプロモーター中の複数のプロモーター配列は、核酸配列の転写を同時に促進することができる。他方では、タンデムプロモーター中の1又は複数のプロモーター配列は、バシラス細胞の増殖の異なった段階で核酸配列の転写促進することができる。
【0069】
好ましい態様においては、タンデムプロモーターは、バシラス・アミロリケファシエンスα−アミラーゼ遺伝子の少なくともamyQプロモーターを含む。もう1つの好ましい態様においては、タンデムプロモーターは、少なくとも、“-35”領域のための配列TTGACA及び“-10”領域のためのTATAATを有する“コンセンサス”プロモーターを含む。もう1つの好ましい態様においては、タンデムプロモーターは少なくとも、バシラス・リケニホルミスα−アミラーゼ遺伝子のamyLプロモーターを含む。もう1つの好ましい態様のいては、タンデムプロモーターは、少なくともcryIII Aプロモーター又はその一部を含む(Agaisse and Lereclus, 1994, Molecular Microbiology 13: 97-107)。
【0070】
より好ましい態様においては、タンデムプロモーターは、少なくともamyLプロモーター及びcryIII Aプロモーターを含む。もう1つのさらなる好ましい態様においては、タンデムプロモーターは少なくともamyQプロモーター及びcryIII Aプロモーターを含む。さらにもう1つの好ましい態様においては、Aタンデムプロモーターは、少なくとも、“-35”領域のための配列TTGACA及び“-10”領域のためのTATAATを有する“コンセンサス”プロモーター、及びcryIII Aプロモーターを含む。さらにもう1つの好ましい態様においては、少なくともamyLプロモーターの2つのコピーを含む。
【0071】
さらにもう1つの好ましい態様においては、タンデムプロモーターは、少なくともamyQプロモーターの2つのコピーを含む。さらにもう1つの好ましい態様においては、タンデムプロモーターは、“-35”領域のための配列TTGACA及び“-10”領域のためのTATAATを有する“コンセンサス”プロモーターの少なくとも2つのコピーを含む。さらにもう1つの好ましい態様においては、タンデムプロモーターは、cryIII Aプロモーターの少なくとも2つのコピーを含む。
【0072】
“mRNAプロセッシング/安定化配列”とは、1又は複数のプロモーター配列の下流に位置し、そして前記1又は複数のプロモーター配列の個々が、その個々のプロモーター配列から合成されるすべてのmRNAが転写体の5’末端でスタビライザー配列を有するmRNA転写体を生成するためにプロセッシングされ得るよう作用可能に結合されるコード配列の上流に位置する配列として、本明細書において定義される。mRNA転写体の5’末端でのそのようなスタビライザー配列の存在は、それらの半減期を高める(Agaisse and Lereclus, 1994, 上記, Hueなど, 1995, Journal of Bacteriology 177 : 3465-3471)。
【0073】
mRNAプロセッシング/安定化配列は、細菌16SリボソームRNAの3’末端に対して相補的である。好ましい態様においては、mRNAプロセッシング/安定化配列は、鋳型の5’末端で安定化配列を有する実質的に単一サイズの転写体を生成する。mRNAプロセッシング/安定化配列は好ましくは、細菌16SリボソームRNAの3’末端に対する相補的である配列である。アメリカ特許第6,255,076号及び第5,955,310号を参照のこと。
【0074】
より好ましい態様においては、mRNAプロセッシング/安定化配列は、WO94/25612号及びAgaisse and Lereclus, 1994前記に開示されるバシラス・スリンジエンシスcryIII A mRNAプロセッシング/安定化配列、又はmRNAプロセッシング/安定化機能を保持するその一部である。さらにもう1つの好ましい態様においては、mRNAプロセッシング/安定化配列は、Hueなど., 1995, 前記に開示されるバシラス・サブチリスSP82 mRNAプロセッシング/安定化配列、又はmRNAプロセッシング/安定化機能を保持するその一部である。
【0075】
cryIII Aプロモーター及びそのmRNAプロセッシング/安定化配列が本発明の方法に使用される場合、WO94/25612号及びAgaisse and Lereclus, 1994, 前記に開示される配列、又はプロモーター及びmRNAプロセッシング/安定化機能を保持するその一部を含むDNAフラグメントが使用され得る。さらに、cryIII Aプロモーターのみ、又はcryIII A mRNAプロセッシング/安定化配列のみを含むDNAフラグメントは、種々のタンデムプロモーター及びmRNAプロセッシング/安定化配列の組合せを構成するために、当業界において良く知られている方法を用いて調製され得る。この態様においては、cryIII Aプロモータ及びそのmRNAプロセッシング/安定化配列が好ましくは、タンデムプロモーターを構成する他のプロモーター配列の下流及び興味ある遺伝子コード配列の上流に配置される。
【0076】
ヒアルロン酸生成に関与する所望する酵素をコードする単離された核酸配列がさらに、核酸配列の発現を改良するために操作され得る。発現は、ポリペプチドの生成に関与するいずれかの段階、たとえば転写、後−転写修飾、翻訳、後−翻訳修飾及び分泌を包含することが理解されているが、但しそれだけには限定されない。クローニング方法を用いての核酸配列を修飾するための技法は、当業界において良く知られている。
【0077】
酵素をコードする核酸配列を含んで成る核酸構造体は、制御配列と適合できる条件下でバシラス細胞におけるコード配列の発現を指図できる1又は複数の制御配列に作用可能に結合され得る。
【0078】
用語“制御配列”とは、核酸配列のコード配列の発現のために必要であるか、又はそのために好都合であるすべての成分を包含するよう定義される。個々の制御配列は、酵素をコードする核酸配列に対して生来であっても又は外来性であっても良い。上記プロモーター配列の他に、そのような制御配列は、リーダー、シグナル配列、及び転写ターミネーターを包含するが、但しそれらだけには限定されない。最少で、制御配列は、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを包含する。制御配列は、異種ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域と制御配列との連結を促進する特定の制限部位を導入するためにリンカーを提供され得る。
【0079】
制御配列はまた、適切な転写ターミネーター配列、すなわち転写を終結するようバシラス細胞により認識される配列でもあり得る。ターミネーター配列は、酵素又はオペロンの最後の酵素をコードする核酸配列の3’側末端に作用可能に連結される。選択のバシラス細胞において機能的であるいずれかのターミネーターが、本発明において使用され得る。
【0080】
制御配列はまた、適切なリーダー配列、すなわち、バシラス細胞による翻訳のために重要であるmRNAの非翻訳領域でもあり得る。リーダー配列は、酵素をコードする核酸配列の5’側末端に作用可能に連結される。選択のバシラス細胞において機能的であるいずれかのリーダー配列が、本発明に使用され得る。
【0081】
制御配列はまた、発現されたポリペプチドを細胞の分泌路中に方向づけるポリペプチドのアミノ末端に連結されるアミノ酸配列をコードするシグナルペプチドコード領域でもあり得る。そのシグナルペプチドコード領域は、ポリペプチドに対して生来のものであり得るか、又は外来性源から得られ得る。核酸配列のコード配列の5’側末端は、本来、分泌されたポロペプチドをコードするコード領域のセグメントと翻訳読み取り枠を整合して、天然において連結されるシグナルペプチドコード領域を含むことができる。他方では、コード配列の5’側末端は、分泌されたポリペプチドをコードするコード配列のその部分に対して外来性であるシグナルペプチドコード領域を含むことができる。
【0082】
通常、そのコード配列がシグナルペプチドコード領域を含まない外来性シグナルペプチドコード領域が必要とされる。他方では、外来性シグナルペプチドコード領域は、コード配列と通常関連しない天然のシグナルペプチドコード領域に対して、ポリペプチドの増強された分泌を得るために、天然のシグナルペプチドコード領域を単純に置換することができる。シグナルペプチドコード領域は、アミラーゼ、又はバシラス種からのプロテアーゼ遺伝子から得られる。しかしながら、選択のバシラス細胞の分泌路中に発現されたポリペプチドを方向づけるいずれかのシグナルペプチドコード領域が、本発明に使用され得る。
【0083】
バシラス細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域は、バシラスNCIB11837からのマルトゲン性アミラーゼ遺伝子、バシラス・ステアロサーモフィラスα−アミラーゼ遺伝子、バシラス・リケニホルミススブチリシン遺伝子、バシラス・リケニホルミスβ−ラクタマーゼ遺伝子、バシラス・アステロサーモフィラス中性プロテアーゼ遺伝子(nprT, nprS, nprM)、及びバシラス・スブチリスprsA遺伝子から得られるシグナルペプチド領域である。追加のシグナルペプチドは、Simonen and Palva, 1993, Microbiological Reviews 57: 109-137 により記載される。
【0084】
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端で位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域であり得る。得られるポリペプチドは、プロ酵素又はプロポリペプチド(又は多くの場合、チモーゲン)として知られている。プロポリペプチドは一般的に不活性であり、そしてプロポリペプチドからプロペプチドの触媒又は自己触媒分解により成熟した活性ポリペプチドに転換され得る。プロペプチドコード領域は、バシラス・サブチリスアルカリプロテアーゼ(aprE)、及びバシラス・サブチリス中性プロテアーゼ(nprT)。
【0085】
シグナルペプチド及びプロペプチド領域の両者がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、そのプロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の次に位置し、そしてシグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の次に位置する。
【0086】
宿主細胞の増殖に関して、ポリペプチドの発現の調節を可能にする調節配列を付加することがまた所望される。調節システムの例は、調節化合物の存在を包含する、化学的又は物理的刺激に応答して、遺伝子の発現の開始又は停止を引き起こすそれらのシステムである。原核生物系における調節システムは、lac, tac及びtrpオペレーターシステムお包含する。
【0087】
発現ベクター
本発明の方法においては、核酸配列、プロモーター、及び翻訳停止シグナルを含んで成る組換え発現ベクターが、ヒアルロン酸生成に関連する酵素の組換え生成のために使用され得る。上記の種々の核酸及び制御配列は、1又は複数の便利な制限部位でポリペプチド又は酵素をコードする核酸配列の挿入又は置換を可能にするためにそれらの部位を含むことができる組換え発現ベクターを生成するために一緒に連結され得る。他方では、核酸配列は、前記配列又は前記配列を含んで成る核酸構造体を、発現のための適切なベクター中に挿入することによって発現され得る。発現ベクターを創造する場合、そのコード配列はベクターに位置し、その結果、コード配列は発現及びたぶん分泌のための適切な制御配列により作用可能に連結される。
【0088】
組換え発現ベクターは、組換えDNA方法に便利にゆだねられ得、そして核酸配列の発現をもたらすことができるいずれかのベクター(たとえば、プラスミド又はウィルス)であり得る。ベクターの選択は典型的には、ベクターが導入される予定であるバチルス細胞とベクターとの適合性に依存するであろう。ベクターは、線状又は閉環された環状プラスミドであり得る。ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち染色体存在物として存在するベクター(その複製は染色体複製には無関係である)、たとえばプラスミド、染色体外要素、ミニクロモソーム又は人工染色体であり得る。
【0089】
ベクターは自己複製を確かめるためのいずれかの手段を含むことができる。他方では、ベクターは、バチルス細胞中に導入される場合、ゲノム中に組み込まれ、そしてそれが組み込まれている染色体と一緒に複製されるベクターであり得る。さらに、バチルス細胞のゲノム中に導入される全DNA又はトランスポゾンを一緒に含む、単一のベクター又はプラスミド、又は複数のベクター又はプラスミドが使用され得る。
【0090】
本発明のベクターは好ましくは、バチルス細胞ゲノム中へのベクターの安定した組み込み、又は細胞のゲノムに無関係に細胞におけるベクターの自律的複製を可能にする要素を含む。
【0091】
宿主細胞のゲノム中への組み込みのためには、ベクターは、相同又は非相同組換えによるゲノム中へのベクターの安定した組み込みのためのベクター中のポリペプチド、又はいずれか他の要素をコードする核酸配列に依存する。他方では、ベクターは、バチルス細胞のゲノム中への相同組換えによる組み込みを方向づけるための追加の核酸配列を含むことができる。その追加の核酸配列は、染色体における正確な位置でのバチルス細胞ゲノム中へのベクターの組み込みを可能にする。
【0092】
正確な位置での組み込みの可能性を高めるために、組み込み要素は好ましくは、相同組換えの可能性を高めるために対応する標的配列と高い相同性を示す十分な数の核酸、たとえば100〜1,500個の塩基対、好ましくは400〜1,500個の塩基対、及び最も好ましくは800〜1,500個の塩基対を含むべきである。組み込み要素は、バチルス細胞のゲノムにおける標的配合と相同であるいずれかの配列であり得る。さらに、組み込み要素は、非コード又はコード核酸配列であり得る。他方では、ベクターは非相同組換えにより宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得る。
【0093】
自律複製のためには、ベクターはさらに、問題のバチルス細胞においてのベクターの自律的な複製を可能にする複製の起点を含んで成る。複製の細菌起点の例は、バチルスにおける複製を可能にするpUB110, pE194, pTA1060及びpAMβ1の複製の起点である。複製の起点は、宿主細胞においてその機能を感温性にする突然変異を有する起点である(例えば、Ehrlich, 1978, Procedings of the National Academy of Sciences USA 75: 1433を参照のこと)。
【0094】
ベクターは好ましくは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする1又は複数の選択マーカーを含む。選択マーカーは、1つの遺伝子であり、その生成物は、殺生物剤耐性、重金属に対する耐性、栄養要求性に対する原栄養要求性、及び同様のものを提供する。細菌選択マーカーの例は、バチルス・サブチリス又はバチルス・リケニホルミスからのdal遺伝子、又は抗生物質、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性を付与するマーカーである。さらに、選択は、WO91/09129号に記載されるように、選択マーカーが別のベクター上に存在する、同時形質転換により達成され得る。
【0095】
核酸配列の1以上のコピーが、遺伝子生成物の生成を高めるために宿主細胞中に挿入され得る。核酸配列のコピー数の上昇は、宿主細胞ゲノム中に配列の少なくとも1つの追加のコピーを組み込むことによって、又は核酸配列と共に増幅可能な選択マーカー遺伝子を含むことによって得られ、ここで細胞は選択マーカー遺伝子の増幅されたコピーを含み、そしてそれにより、核酸配列の追加のコピーが、適切な選択剤の存在下で前記細胞を培養することによって選択され得る。ゲノムDNA配列の増幅を達成するための便利な方法は、WO94/14968号に記載されている。
【0096】
本発明の組換え発現ベクターを構成するために上記要素を連結するために使用される方法は、当業者に良く知られている(例えば、Sambrookなど., 1989, 前記を参照のこと)。
【0097】
生成
本発明の生成方法においては、バチルス宿主細胞は、当業界において知られている方法を用いて、ヒアルロン酸の生成のために適切な栄養培地において培養される。例えば、細胞は、ポリペプチドの発現及び/又は単離を可能にする、適切な培地において、及びヒアルロン酸合成に関与する酵素の発現及びヒアルロン酸の単離を可能にする条件下で行われる実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、又は団体状態発酵を包含する)により培養され得る。培養は、炭素及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において、当業界において知られている方法を用いて行われる。適切な培地は、市販されているか、又は公開されている組成(例えば、American Type Culture Collection のカタログにおける)に従って調製され得る。分泌されたヒアルロン酸は、培地に直接的に回収され得る。
【0098】
得られるヒアルロン酸は、当業界において知られている方法により単離され得る。例えば、ヒアルロン酸は、便利な方法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から単離され得る。次に単離されたヒアルロン酸は、当業界において知られている種々の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、分離用等電点電気泳動)、示差溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、又は抽出(例えば、Protein Purification, J. -C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照のこと)(但し、それらだけには限定されない)により、さらに精製され得る。
【0099】
本発明の方法においては、バチルス宿主細胞は、約4g以上、好ましくは約6g以上、より好ましくは約8g以上、さらにより好ましくは約10g以上、及び最も好ましくは約12g以上のヒアルロン酸を1L当たりを生成する。
【0100】
欠失/破壊
遺伝子欠失又は置換技法は、選択マーカー遺伝子又は他の所望しない遺伝子の完全な除去のために使用され得る。そのような方法においては、選択マーカー遺伝子の欠失は、選択マーカー遺伝子を端に有する5’及び3’領域を隣接して含む構成されたプラスミドを用いて、相同組換えにより達成され得る。隣接する5’及び3’領域は、細胞におけるプラスミドの確立を可能にするために許容できる温度で第2選択マーカーと共に、感温性プラスミド、例えばpE194に基づいてバチルス細胞中に導入され得る。次に、細胞が非許容性温度に移行され、相同フランギングの領域の1つで染色体中に組込まれるプラスミドを有する細胞が選択される。
【0101】
プラスミドの組み込みについての選択は、第2の選択マーカーについての選択によりもたらされる。組み込みの後、第2の相同フランキング領域での組込み現象が、選択を伴わないで数世代の間、許容できる温度に細胞を移行することによって刺激される。細胞がプレートされ、単一コロニーが得られ、そしてコロニーが、両選択マーカーの損失について試験される(例えば、Perego, 1993, In A. L. Sonneshein, J. A. Hoch, and R. Losick, editors, Bacillus subtilis and Other Gram-Positive Bacteria, Chapter 42, American Society of Microbiology, Washington, D. C. , 1993を参照のこと)。
【0102】
選択マーカー遺伝子がまた、欠陥遺伝子の5’及び3’領域を含んで成るが、しかし選択マーカー遺伝子を欠いている核酸フラグメントを、成熟細胞中に導入し、続いて、逆選択培地上での選択による相同組換えにより除去され得る。相同組換えにより、選択マーカー遺伝子を含む欠陥遺伝子が、選択マーカー遺伝子を欠いている核酸フラグメントにより置換される。当業界において知られている他の方法もまた使用され得る。
【0103】
アメリカ特許第5,891,701号は、spoIIAC, aprE, nprE及びamyEを包含するいくつかの遺伝子を欠失するための技法を開示する。
他の所望しない生物学的化合物かまた、上記方法、例えばcypX (受託番号BC12580)及び/又はyvmC(受託番号BG14121)により合成される赤色素により除去され得る。
好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、異種又は外因性選択マーカーによりマークされていない。もう1つの好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、cypX及びyvmCにより合成されるいずれかの赤色素を生成しない。
【実施例】
【0104】
例1
組換えバチルス株を、WO2003054163号に詳細に開示されるようにして構成し、株構成に関連する内容物が引例により本明細書に組込まれる。次に、この株を次の通りにして培養した:まず、一定温度での寒天上での種子段階、次に、一定温度での撹拌タンクにおける種子段階、及び最終的に、バチルス株の増殖のために好ましい初期温度、例えば37℃での撹拌タンクにおける供給バッチ主要発酵。後に、開始の後、発酵温度を、17−52℃の範囲の種々の他の設定温度に、別々の実験において上下に変更した。次に、温度を、供給バッチ相の開始に続いて、7時間にわたって一定に維持した。
【0105】
バチルス株を、1L当たり、6.5 gのKH2PO4、 4.5 gのNa2HPO4、3.0 g の (NH4)2SO4、 2.0 g のクエン酸ナトリウム-2H2O、3.0 g のMgSO4・7H2O、6.0 mlのMikrosoy-2、0.15 mgのビオチン (0.15 mg/mlエタノール溶液1 ml)、15.0 g のスクロース、1.0 mlのSB 2066、2.0 ml のP2000、0.5 gのCaCl2・ 2H2Oから構成される培地を含む標準の小さな発酵器において発酵した。培地は、オートクレーブの前、pH6.3〜6.4(末調節)であった。オートクレーブの後、CaCl2・2H2Oを添加した。
【0106】
使用される種子培地は、B−3、すなわち寒天のないAgar−3、又は“S/S-1”培地であった。Agar-3培地は、1L当たり、4.0gの栄養ブイヨン、7.5gの加水分解されたタンパク質、3.0gの酵母抽出物、1.0gのグルコース及び2%寒天から構成された。pHは調節されず;オートクレーブの前のpHは約6.8であり;オートクレーブの後、pHは約7.7であった。
【0107】
スクロース/大豆種子フラスコ培地(S/S−1)は、1L当たり、65gのスクロース、35gの大豆粉、2gのクエン酸ナトリウム・2H2O, 4gのKH2PO4、5gのNa2HPO4及び6mlの微量元素から構成された。培地を、NaOHにより約7のpHに調節し;培地をフラスコに分散した後、0.2%の植物油を添加し、発泡を制御した。微量元素は、1L当たり、100 gのクエン酸-H2O、20 g のFeSO4・7H2O、5 gのMnSO4・H2O、2 gのCuSO4-5H2O及び 2 g のZnCl2から構成された。
【0108】
pHを、接種の前、アンモニアにより6.8−7.0に調節し、そしてその後、アンモニア及びH3PO4によりpH7.0+0.2で制御した。温度を37℃で維持した。撹拌は、1.5Lの初期体験で3Lのタンクにおいて、6cmの直径の2つの6−羽Rushtonの羽根車を用いて最大1300 RPMであった。通気は、最大1.5VVMを有した。
【0109】
供給に関しては、単純なスクロース溶液を使用した。供給は、溶解される酸素(D.O.)が低められる場合(すなわち、スクロース消耗の前)、接種の約4時間の後、開始した。温度を、37−52℃の範囲の予備選択された高い温度に変更した。次に、供給速度は、7時間にわたって、0〜約6gのスクロース/L0−時で直線的に傾斜された。0〜約2gのスクロース/L0−時で直線的に傾斜される、より遅い供給速度がまた、同じ発酵において使用された。
【0110】
細胞を、1部の培養物を3部の水に希釈し、十分に混合し、そして約30,000xg で遠心分離し、洗浄され、そして乾燥され得る透明な上清液及び細胞ペレットを生成することにより除去した。
ヒアルロン酸濃度のアッセイを、ヒアルロナン結合タンパク質(タンパク質及びキットは、Seikagaku America, Falmouth, MAから市販されている)に基づいて、ELISA方法を用いて実施した。ヒアルロン酸の濃度を、改良されたカルバゾール方法(Bitter and Muir, 1962, Anal Biochem. 4: 330-334)を用いて決定した。
【0111】
分子量を、GPC MALLSアッセイを用いて決定した。データは、次の方法を用いて、GPC MALLSアッセイから集められた。GPC−MALLS(多−角度レーザー光散乱によりカップリングされるゲル透過又はサイズ排除)クロマトグラフィーが、高分子量(MW)ポリマーを特徴づけるために広く使用される。ポリマーの分離は、溶離剤と樹脂との間での異なるMWの示差分配に基づいて、GPCにより達成される。個々のポリマーの平均分子量は、異なったMWの分子示差散乱程度/角度に基づいてMALLSにより決定される。
【0112】
ヒアルロン酸のために適切なGPC−MALLS及びプロトコールの原理は、Ueno など., 1988, Chem. Pharm. Bull. 36,4971-4975 ; Wyatt, 1993, Anal. Chim. Acta 272: 1-40; 及び Wyatt Technologies, 1999, "Light Scattering University DAWN Course Manual"and"DAWN EOS Manual"Wyatt Technology Corporation, Santa Barbara, Californiaにより記載される。Agilent 1100 isocratic HPLC, GPCのためのTosoh Biosep G6000 PWxlカラム、及びMALLSのためのWyatt Down EOSが使用された。Agilent G1362A屈折率検出器は、溶出液濃度決定のためのMALLSから下流に連結された。既知分子量を有する市販のヒアルロン酸製品が標準として作用した。
【0113】
結果は、GPC-MALLSにより決定されるように、7時間、一定に維持された、最終発酵温度の関数としての発酵の最後での平均分子量についての傾向として図1に示される。図は驚くべきことには、所望するMWが発酵温度の注意した選択及び操作を通して選択され得ることを示す。17℃での低い最終温度での最大MW、及び52℃の高い最終発酵温度での最小MWが存在する。真の最大値の識別点は、分子量についての非ゼロ起点を選択することにより保護された。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】図1は、GPC-MALLSにより決定されるように、最終発酵温度の関数としての発酵の最後での平均分子量についての傾向を示す。この図は、所望するMWが発酵温度の操作を通して選択され得ることを示す。17℃での低い最終温度での最大MW、及び52℃の高い最終発酵温度での最小MWが存在する。真の最大値の識別点は、分子量についての非ゼロ起点を選択することにより保護された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20,000−800,000ドルトンの範囲の所望する平均分子量を有するヒアルロン酸の生成方法であって、
(a)ヒアルロナンシンターゼコード配列に対して外来性のプロモーター配列に作用可能に連結されるヒアルロナンシンターゼコード配列を含んで成る核酸構造体を含んで成る組換えバチルス宿主細胞を、その増殖の助けとなる第1温度で培養し;
(b)次に、段階(a)の組換えバチルス宿主細胞を、ヒアルロン酸の生成のために適切な条件下で、段階(a)の第1温度よりも高い第2温度で培養し、それにより、20,000−800,000ドルトンの範囲の所望する平均分子量を有するヒアルロン酸を生成し;そして
(c)前記ヒアルロン酸を回収する段階を含んで成る方法。
【請求項2】
前記ヒアルロナンシンターゼコード配列が、グループIヒアルロナンシンターゼをコードする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記グループIヒアルロナンシンターゼコード配列が、ストレプトコーカス(Streptococcus)株から得られる請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ストレプトコーカス株が、ストレプトコーカス・エクイシミリス(Streptococcus equisimilis)、ストレプトコーカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコーカス・ウベリス(Streptococcus uberis)又はストレプトコーカス・エクイ亜種ズーエピデミカス(Streptococcus equi subsp. zooepidemicus)である請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ヒアルロナンシンターゼコード配列が、グループIIヒアルロナンシンターゼをコードする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記グループIIヒアルロナンシンターゼコード配列が、パステウレラ(Pasteurella)株から得られる請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記パステウレラ株が、パステウレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)である請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ヒアルロン酸の前駆体糖が、バチルス宿主細胞に供給されるか又はその細胞により生成される請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記前駆体糖が、D−グルクロン酸又はN−アセチル−グルコサミンである請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記前駆体糖が、内因性遺伝子により、非内因性遺伝子により、又は内因性及び非内因性遺伝子の組み合わせにより、バチルス宿主細胞においてコードされる請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記核酸構造体がさらに、ヒアルロン酸の前駆体糖の生合成における酵素をコードする1又は複数の遺伝子を含んで成るか、又は前記バチルス宿主細胞がさらに、ヒアルロン酸の前駆体糖の生合成における酵素をコードする1又は複数の遺伝子を含んで成る1又は複数の第2核酸構造体を含んで成る請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記1又は複数の遺伝子が、UDP−グルコース6−デヒドロゲナーゼ遺伝子、UDP−グルコースピロホスホリラーゼ遺伝子、UDP-N-アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼ遺伝子、グルコース6−リン酸イソメラーゼ遺伝子、ヘキソキナーゼ遺伝子、ホスホグルコムターゼ遺伝子、アミドトランスフェラーゼ遺伝子、ムターゼ遺伝子及びアセチルトランスフェラーゼ遺伝子から成る群から選択される請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記UDP−グルコース6−デヒドロゲラーゼ遺伝子が、hasB遺伝子又はtuaD遺伝子;又はその相同体である請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記UDP−グルコースピロホスホリラーゼ遺伝子が、hasC遺伝子又はgtaB遺伝子;又はその相同体である請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記UDP−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼ遺伝子が、hasD遺伝子又はgcaD遺伝子;又はその相同体である請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記グルコース−6−リン酸イソメラーゼ遺伝子が、hasE遺伝子又はその相同体である請求項12記載の方法。
【請求項17】
前駆体糖をコードする前記1又は複数の遺伝子が、ヒアルロナンシンターゼコード配列として同じか又は異なったプロモーターの制御下にある請求項11〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記同じか又は異なったプロモーター配列が、“-35”領域のための配列TTGACA及び“-10”領域のためのTATAATを有する“コンセンサス”プロモーターを含んで成る請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記同じか又は異なったプロモーター配列が、タンデムプロモーター中の個々のプロモーターがヒアルロナンシンターゼコード配列に作用可能に連結されているタンデムプロモーターである請求項17又は18記載の方法。
【請求項20】
前記核酸構造体がさらに、プロモーター配列の下流に及びヒアルロナンシンターゼコード配列の上流に位置するmRNAプロセッシング/安定化配列を含んで成る請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記核酸構造体がさらに、前記前駆体糖の生合成における酸素をコードする1又は複数の遺伝子の1つの異なったプロモーター又は複数の異なったプロモーターの下流に、及び前記1又は複数の遺伝子の上流に位置するmRNAプロセッシング/安定化配列を含んで成る請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記核酸構造体がさらに、選択マーカー遺伝子を含んで成る請求項1〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記バチルス宿主細胞が、バチルス・アガラドヘレンス(Bacillus agaradherens)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウジ(Bacillus clausii)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミラス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)から成る群から選択され;好ましくは前記バチルス宿主細胞がバチルス・サブチリス又はバチルス・リケニホルミスである請求項1〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記核酸構造体が、“-35”領域のための配列TTGACA及び“-10”領域のためのTATAATを有するamyQの短い“コンセンサス”プロモーターに作用可能に連結される、ヒアルロナンシンターゼ遺伝子、UDP−グルコース6−デヒドロゲナーゼ遺伝子、及びUDP−グルコースピロホスホリラーゼ遺伝子を含んで成る請求項1〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記バチルス宿主細胞が、破壊されるか又は欠失されたcypX及び/又はyvmC遺伝子を含む請求項1〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記第1温度が、30℃-40℃の範囲であり、そして前記第2温度が40℃-52℃の範囲である請求項1〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記第2温度が、第1温度よりも少なくとも1℃高く、好ましくは第2温度が、第1温度よりも少なくとも2℃、より好ましくは少なくとも3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、 9℃、 1O℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、及び最も好ましくは少なくとも22℃高い請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記第2温度での培養段階が、合計培養時間の少なくとも20%を必要とし、好ましくは第2温度での培養段階が、合計培養時間の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は最も好ましくは少なくとも90%を必要とする請求項1〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記第2温度が、20 - 50 kDa、50 - 100 kDa、100 - 150 kDa、150 - 200 kDa、200 - 250 kDa、250 - 300 kDa、300 - 350 kDa、350 - 400 kDa、400 - 450 kDa、450 - 500 kDa、500 - 550 kDa、550 - 600 kDa、600 - 650 kDa、650 - 700 kDa、700 - 750 kDa及び750 - 800 kDaから成る分子量範囲の群から選択された範囲の所望する平均分子量を有するヒアルロン酸のバチルス宿主細胞による生成を可能にするために、第1温度よりも十分に高い請求項1〜28のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−526529(P2009−526529A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554595(P2008−554595)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/DK2007/000074
【国際公開番号】WO2007/093179
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(504235872)ノボザイムス バイオポリマー アクティーゼルスカブ (12)
【Fターム(参考)】