説明

低揮発性有機化合物放出のヘアスプレーパッケージ

【発明の詳細な説明】
技術分野 本発明は少放出量の放出手段によって揮発性有機化合物を少量放出する改良型ヘアスプレー組成物吐出パッケージに関し、上記放出手段を使用して、互いに作用する少なくとも二つのポリマーを含有するヘアスプレー組成物を放出して、特定の体積平均粒子径の霧化エアゾールスプレーを作るものである。尚、パッケージは、自己与圧式のエアゾールスプレーパッケージでも、ポンプスプレー式のエアゾールパッケージでもよい。
背景技術 近年、環境汚染への揮発性有機化合物の影響に大いに関心が集まっている。米国では、エアゾールスプレー組成物にクロロフルオロカーボンを使用することが10年以上も前から禁止されている。エアゾールスプレー噴射剤として使用されている揮発性炭化水素のような炭化水素、例えばn−プロパン又はイソブタンの放出は、エタノールのようなエアゾールスプレー組成物に広く使用されている有機溶剤と同様に、大気汚染源として監視され、かつその監視が強化されて来ている。そこで、使用者が上手に整髪できると共に揮発性有機化合物の放出量を減少したヘアスプレーパッケージのようなエアゾールスプレー組成物が必要となっている。
環境への影響を低減したエアゾール組成物パッケージの生産手段が提案されており、これは、噴射剤を全く使用しないポンプスプレーパッケージを用いると共に、揮発性炭化水素噴射剤の代りに二酸化炭素又は窒素のような圧縮ガスを使用する。このようなパッケージ用の特別な弁やポンプも開発されている。この圧縮パッケージで加圧されるパッケージの弁は、組成物の残量のすべてがパッケージから放出される前にガスを使い切ってしまわないように缶の全使用期間にわたって、調圧しなければならないので、構造が複雑になりがちである。ポンプスプレー容器は、噴射剤が存在しないためポンプスプレーユニット自体でヘアスプレー組成物を充分に霧化しなければならないので、そのスプレーされる組成物に適した構成にするのが非常にむずかしい。ヘアスプレー組成物は、有効に働くにはその体積平均粒子径が特定の値でなければならない。
ヘアスプレー組成物の体積平均粒子径が小さすぎると、使用者は、整髪に多量のヘアスプレーを使用しがちであり、このため多量の微細粒子が大気中に流出し、汚染の問題が生ずると共に、無駄も生ずる。霧化ヘアスプレー組成物の体積平均粒子径が大きすぎると、組成物は髪を濡らしべとべとにしがちである。このような場合には、整髪が損なわれるということさえ起こり得る。また、組成物の無駄にもなりがちである。いずれの場合にも、ヘアスプレー組成物パッケージは使用期間が短くなりがちである。
霧化ヘアスプレー組成物の体積平均粒子径を制御する手段は、いくつか知られている。自己与圧式エアゾール組成物の場合には、典型的なエアゾール弁のオリフィスの大きさを変えることによってスプレーを微細に又は粗くすることができる。また、蒸気タップオリフィスを付加することにより、霧化ヘアスプレー組成物は微細化し、放出量が低減する。エアゾールスプレー弁に取付けられたアクチュエータ釦のオリフィス径を変えれば、ヘアスプレー組成物の最終粒子の体積平均粒子径を変えることとができる。例えばシェパード(Shepherd)等の米国特許第3,137,416号は、二つの難混合性の液体相から成るエアゾール吐出機用の組成物を教示している。
この特許は、蒸気タップオリフィス及びエアゾールスプレー弁の大きさを変えることによって、スプレーパターンを粗いウェットスプレーから微細霧化のドライスプレーに変えることを教示している。例33及び例34は、スプレー量を、従来の無水製品の平均スプレー量70グラム/分(1.17グラム/秒)に対して、24グラム/分(0.4グラム/秒)に低減したヘアスプレーパッケージを教示すると共に、低スプレー量の場合には製品が長持ちするという利点があることを指摘している。このスプレーは、微細に霧化されたドライスプレーであり、髪保持特性及び乾燥時間が良好であったと記載されている。例34は、噴射剤としての25%イソブタンと49.4%エタノールと22.2%の水の他に何種かの髪固定ポリマーと可塑剤とを使用している。この水の使用によって、ヘアスプレー組成物は、ヘアスプレー製品の可燃性を低減すると言われている二相組成物になる。
ペンギリィ(Pengilly)の米国特許第4,192,862号に示されたヘアスプレーは、ヘアスプレー樹脂とドラッグ(drag)低減剤とを含有し、このドラッグ低減剤は典型的には極少量(ヘアスプレー組成物の約0.3%未満)の高分子量ポリマーであって、ヘアスプレー組成物の保持力を向上させる。開示されたいくつかの例によると、ドラッグ低減剤として使用されている高分子量ポリマーは、加圧式エアゾールスプレー組成物パッケージから放出された霧化ヘアスプレー組成物の平均粒子径(mean average particle size)に影響を与える。ペンギリィ(Pengilly)によると、ドラッグ低減剤は肺に吸込まれるヘアスプレーの量、即ちペンギリィが吸い込まれ易いものと称しているものを減少することができる。
上述の両特許とも、ヘアスプレー組成物パッケージの揮発性有機含有物の放出を低減するものではない。
発明の要約開示 本発明の目的は、従来のヘアスプレーパッケージと同一のスプレー特性及び保持力を有するが、塗布一回当りのヘアスプレー組成物の使用量が少なくかつ大気中への揮発性有機化合物の放出量も少ない改良型ヘアスプレーパッケージを提供することである。本発明のヘアスプレーパッケージは、同一の整髪特性を得るのに必要な組成物の量が少量でよいので、噴出エアの品質(air quality)を改善できる利点を有すると共に、パッケージ当りの組成物量が少ないので、生産コストを低減できるという利点も有する。本発明の別の利点は、ヘアスプレーパッケージの大きさを従来のヘアスプレーパッケージの1/2〜1/3にすることができると共に、使用期間(寿命)が従来の大型のパッケージと同一である点である。これは、パッケージが小さいので、充填を急速に行うことができると共に、リサイクル又は廃棄しなければならない原材料をより少なくできるという経済上の利点をも有する。
本発明の上述の、及びその他の目的・利点は、遅延放出量弁及びアクチュエータ釦を使用するエアゾールヘアスプレーパッケージによって達成され、これらの放出量弁及びアクチュエータ釦は、自噴式エアゾールスプレー組成物の場合には、ヘアスプレー組成物を0.20〜0.38グラム/秒の割合で放出し、更に好ましくは、0.24〜0.34グラム/秒の割合で放出し、またポンプスプレーエアゾールパッケージの場合には放出量は0.06〜0.12グラム/ストロークであり、更に好ましくは0.07〜0.11グラム/ストロークである。こうして、髪にスプレーされる単位時間当りの組成物の量が減少する。放出量の減少がヘアスプレー組成物の体積平均粒子径に及ぼす悪影響を補償する為に、重量比が99:1〜1:99である少なくとも二つの異なった髪固定ポリマーを組合せて使用する。これらの髪固定ポリマーの少なくとも一つは、重量平均分子量が少なくとも100,000であり、その重量平均分子量が他の髪固定ポリマーに対して少なくとも1.5倍である。ヘアスプレー組成物は、全体で約1〜約10重量%の複数の髪固定ポリマーを含有し、これらの髪固定ポリマーの量及び比は、選定された吐出手段を使用した時に放出スプレー中の50%の粒子の体積平均粒子径が自噴式ヘアスプレーパッケージの場合に60±12ミクロンの範囲内となり、またポンプスプレーパッケージの場合には73±13ミクロンの範囲内となるように定められる。溶剤は、C2−C4アルコール類と水とそれらの混合物とすることができ、ただし水の含有量は自噴式ヘアスプレーパッケージの場合は約10%に過ぎず、ポンプスプレーパッケージの場合には約25%にすぎない。自噴式エアゾールヘアスプレーパッケージは、イソブタン及びプロパンのような揮発性炭化水素等の噴射剤又は、窒素又は二酸化炭素のような圧縮ガスを含む。好ましくは、本発明に使用するヘアスプレー組成物は均質で一相の組成物である。
使用者は、溶剤の使用量、及びもし存在すれば有機噴射剤の使用量が少なくなるので、溶剤の臭気が少なく感じられ、髪に付いたヘアスプレー組成物が非常に早く乾燥する。複数のポリマーを組合せてヘアスプレー粒子径を制御することによって、ヘアスプレー粒子は髪への塗布に対して最適化され、かつ無駄なオーバースプレーができるだけ少なくされる。こうして、消費者は、最適スプレーパターンの小形ヘアスプレーパッケージをより安価に購入でき、この小形ヘアスプレーパッケージは便利な小寸法であるが、その製品寿命は体積が2〜3倍の従来のヘアスプレーパッケージに匹敵する。前述したように、本発明の容器は従来のヘアスプレーパッケージよりも軽量化することができ、これにより、パッケージ内のヘアスプレー組成物が使い尽された時の廃棄又はリサイクルされる材料も少量となる。
本発明の別の利点は、ヘアスプレー粒子径を制御するように二以上の髪固定ポリマーを組合せることによって、全髪固定ポリマー固形分含有量を単一の髪固定ポリマーを使用する場合よりも、少なくできる点である。これにより、ヘアスプレー組成物に必要な髪固定ポリマーの量を少なくできるというコスト上の利点が生ずる。また、これは調合上の利点もある。というのは、髪固定ポリマーの比を変えることによってポリマーの分子量の変化を補償することができるので、髪固定ポリマーの重量平均分子量は、髪に関するヘアスプレー組成物の性能にとってあまり重要でないからである。
図面の簡単な説明 本発明の上述した及びその他の目的や特長や利点は、本発明を簡単に図示した図面と以下の説明を考察すれば当業者にとって明らかになるであろう。図面において、 図1は、本発明の自噴式ヘアスプレーパッケージの断面図である。
図2は、本発明のポンプスプレー式ヘアスプレーパッケージを示した断面図である。
発明を実施するための最良の形態 本発明は、エアゾール弁でシールされた加圧エアゾール容器を具備し、この加圧エアゾール容器が上記弁に連通した出口オリフィスを備えたアクチュエータ釦と、上記容器内に封入されたアルコール性のヘアスプレー組成物とを有するような改良型自噴式エアゾールヘアスプレーパッケージにおいて、(A)上記弁は0.20〜0.38グラム/秒の割合で上記ヘアスプレー組成物を上記出口オリフィスを介して放出可能な低放出量弁であること、及び上記ヘアスプレー組成物は、全組成物の約1重量%〜約10重量%の少なくとも二つの相溶性の髪固定ポリマーを含み、上記二つの髪固定ポリマーは重量比が少なくとも99:1〜1:99であり、その少なくとも一方のポリマーは重量平均分子量が少なくとも一つの他のポリマーに対し少なくとも1.5倍異なり、上記ポリマーの少なくとも一方は重量平均分子量が少なくとも100,000であり、上記ポリマーの上記重量比は、スプレー組成物粘度であって、上記パッケージの上記エアゾール弁とアクチュエータ釦との組合せにより、60±12ミクロンの範囲内の体積平均粒子径を有する放出霧化エアゾールスプレーを上記パッケージが結果的に生ずるようなものを結果的に生じ、上記組成物の残部は、噴射剤と、C2−C4アルコール類と水とそれらの混合物とから成るグループから選択された溶剤と、を含み、上記ヘアスプレー組成物の全重量に基づく水の含有量はたった約10%にすぎないことを特徴とするパッケージに関する。
本発明はまた、エアゾールポンプスプレーユニットを備えた容器を具備し、上記容器が自身の内部に封入されたアルコール性のヘアスプレー組成物に連通した出口オリフィスを持つアクチュエータ釦を有するような改良型ポンプエアゾールヘアスプレーパッケージにおいて、(A)上記ポンプスプレーユニットは、ポンプストローク当り0.06〜0.12グラムの割合で上記ヘアスプレー組成物を上記出口オリフィスを介して放出可能な低放出量ユニットであること、及び(B)上記ヘアスプレー組成物は、上記組成物の約1重量%〜約10重量%の少なくとも二つの相溶性の髪固定ポリマーを含み、上記二つの髪固定ポリマーは重量比が少なくとも99:1〜1:99であり、上記髪固定ポリマーの少なくとも一方は重量平均分子量が少なくとも一つの他のポリマーに対して少なくとも1.5倍だけ異なっており、上記ポリマーの少なくとも一方は重量平均分子量が少なくとも100,000であり、上記ポリマーの上記重量比は、スプレー組成物粘度であって、上記パッケージの上記ポンプスプレーユニットとアクチュエータ釦との組合せにより、73±13ミクロンの範囲内の体積平均粒子径を有する放出霧化エアゾールスプレーを上記パッケージが結果的に生ずるようなものを結果的に生じ、上記組成物の残部はC2−C4アルコール類と水とそれらの混合物とから成るグループから選択された溶剤を含み、上記ヘアスプレー組成物の全量に基づく水の含有量はたった約25%にすぎないことを特徴とするパッケージに関する。図1は本発明に使用することができる自噴式エアゾルヘアスプレーパッケージを示している。このパッケージはそれ自体の構造に関しては従来のものであり、コネチカット州(CT)、グリーンウィッチ(Greenwich)のアメリカン・ナショナル・カン・カンパニー(American National Can Company)やコネチカット州(CT)、スタムフォード(Stamford)のコンチネンタル・カン・カンパニー、ユー・エス・エー・インク(Continental Can Company,U.S.A.,Inc.)や、ニューヨーク州(NY)、ヨンカーズ(Yonkers)のザ・プリシジョン・バルブ・カンパニー(The Precision Valve Company)や、ニューヨーク州(NY)、マンチェスター(Manchester)のサミット・パッケージング・システム・インク(Summit Packaging Systems,Inc.)やニュージャージー州(NJ)、ワットツング(Watchung)のカーマー・インク(Calmer,Inc.)から販売されている構成部品を使用している。図1は本発明に使用することができるエアゾールパッケージの一実施例を示している。図1において、自噴式ヘアスプレーパッケージ1は、ガラスやプラスチックや金属製などの下部容器2から構成され、この容器2はヘアスプレー組成物3を収容し、このヘアスプレー組成物3の上には上部空間4が存在する。容器2は取付カップ5によってシールされ、この取付カップ5は典型的には金属材料によって作られており、取付カップ4の縁が容器2にシール接触している箇所の間にガスケット材料(不図示)を設けてもよい。取付カップ5は、ヘアスプレー組成物吐出用の弁部材6を有し、この弁部材6は中空のステム7を具備し、このステム7は弁8を有し、この弁8はバネ10によってステム・ガスケット9に対して通常着座されている(図示では弁は閉弁状態、即ち非吐出状態である)。この弁の周囲には下端片12を備えた弁本体11が設けられ、この下端片12は下端片オリフィス13を有する。下端片12には浸漬管14が取付けられ、この浸漬管14はヘアスプレー組成物3中に延在している。ヘアスプレー組成物は浸漬管開口14Aから浸漬管14内に流入する。弁本体11は蒸気タップ(tap)・オリフィス15を更に有し、このオリフィス15は上部空間4から蒸気を流入する。中空ステム7にはアクチュエータ釦16が取付けられ、このアクチュエータ釦16は中空ステム7に連通した通路16Aを有し、この通路16Aはアクチュエータ釦オリフィス17を有する。釦16の押下によって弁部材6が作動されると、弁8が座から離れ、噴射剤の圧力によって液体ヘアスプレー組成物3が浸漬管14内を押し上げられ、下端片オリフィス13を介して弁本体11の室19内に流入する。これと同時に、蒸気が上部空間4から蒸気タップ・オリフィス15を介して上記室に流入し、蒸気及び液体の水性相が室19内で混合される。この混合物はステムオリフィス18を介して中空ステム7に流入し、更に通路16Aを通って、エアゾールスプレーとして室19からアクチュエータ釦オリフィス17を介して外へ放出される。追加的混合が室19内で起こる。
ヘアスプレーパッケージに存する一以上のオリフィスの直径を変更すれば、パッケージ1からのヘアスプレー組成物3の放出量を増減することができることは公知である。一般に適当なエアゾール弁は、以下に記す寸法のオリフィスを選択することによって得ることができる。即ち、ステムオリフィスは0.010インチ(0.25mm)〜0.016インチ(0.41mm)、下端片オリフィスは0.013インチ(0.33mm)〜0.016インチ(0.41mm)、蒸気タップ・オリフィスは0.0055インチ(0.14mm)〜0.012インチ(0.30mm)である。本発明にあっては、約0.20〜0.38グラム/秒の比較的少ない放出量が望ましく、更に好ましくは、約0.24〜0.34グラム/秒である。上述のシェパード(Shepherd)等の′416特許は、複数のオリフィス直径をうまく組合せ選択することに関する設計上の考察を行っている。
例えば、有効な範囲は0.010〜0.020インチ(0.25〜0.51mm)であるが、0.013インチ(0.33mm)のアクチュエータ釦オリフィスを有するアクチュエータ釦を使用することによって、良好な結果が得られた。アクチュエータ釦オリフィスが0.013インチ(0.33mm)の機械的なアクチュエータ釦と共に本発明で使用することができる弁及び浸漬管のいくつかの例は以下の通りである。


好適の浸漬管内径は上述の「例B」に記載したものである。
ヘアスプレー組成物の放出量はヘアスプレー組成物自体の粘性にも依存している。後述のように、髪固定樹脂中の不揮発性固形物の含有量は、本発明に使用するのに望ましい低放出量を達成するように選択された弁とアクチュエータ釦と浸漬管とに適合していなければならない。この放出量は、周知のように容器内の圧力にも依存するであろうし、噴射剤の種類の選択や複数の噴射剤の割合や噴射剤の量や初期加圧レベル及び手順によって調整することができる。
図2はアンダーソン(Anderson)の米国特許第4,051,983号に記載された種類のポンプ・スプレー・エアゾール容器を示したものである。別のポンプ・スプレーパッケージを使用することもできるが、ただし、アクチュエータ釦のストローク当り約0.06〜0.12グラム、より好ましいと思われる範囲としてはヘアスプレー組成物のストローク当り約0.07〜0.11グラムを放出するように構成されている必要がある。
図2において、ポンプ・スプレー式ヘアスプレーパッケージ20は雄ネジ22を備えた容器21から構成され、この雄ネジ22は、容器21の開口21Aの上面がガスケット24Aにシールされるまで、ポンプ・スプレー・ユニット24の雌ネジ23に螺合される。容器21は適宜のプラスチックやガラスや金属材料から構成することができる。容器21にはヘアスプレー組成物25が充填される。保護用フード26がポンプ・スプレー・ユニット24の上面にスナップ式に嵌め込まれ、これによって、アクチュエータ釦27の不用意な押圧による組成物25の吐出を防止する。このアクチュエータ釦27はオリフィス29を備えたオリフィスカップ28を有し、ヘアスプレー組成物はこのオリフィス29を介して吐出される。ポンプ・スプレー・ユニット24はピストン30とポペット31とを有し、このポペット31には球形弁32が支持されている。この球形弁32はステンレス・ボールを使用してもよい。ポペット31に設けられたシール弁33は、アキュミュレータ34内の下部ピストン室34Aの一部を構成し、この下部ピストン室34Aにはステンレス製のバネ35が配置されている。浸漬管36はアキュミュレータ34内にシール状態で係合され、この浸漬管36の下端は、容器21の底まで延在し、アクチュエータ釦27の押下時にヘアスプレー組成物25を浸漬管開口37を介して浸漬管36内に吸引する。オリフィス29の直径は典型的には0.12インチ(0.3mm)であるが、有効な範囲は0.005インチ(0.13mm)〜0.030インチ(0.76mm)とすることができる。
本発明に使用するのに現時点で好適な髪固定ポリマーは、比較的高分子量のアクリル樹脂であるが、これまでヘアスプレー組成物に使用されていた他の髪固定ポリマーも使用することができる。ただし、この場合には、少なくとも一つのポリマーは、重量平均分子量が少なくとも一つの他のポリマーと少なくとも1.5倍異なっていることが必要であり、また、少なくとも一つの髪固定ポリマーは重量平均分子量が少なくとも100,000であることが必要である。体積平均粒子径に影響を及ぼす為には、一つのポリマーの、他のポリマーに対する重量比を少なくとも99:1〜1:99に、更に好ましくは97:3〜3:97にすべきである。重量平均分子量は、ゲル浸透(パーミエーション)クロマトグラフィ法を用いてポリスチレン標準参照ポリマーを参照して決定される。このような分子量の決定法は当業者には周知のことであるので、これ以上詳述しない。
使用される髪固定ポリマーの分子量を制限する要因は、エタノールやn−プロパネールやイソプロパノールやn−ブタノールやイソブタノールや第三(tert)−ブタノールのようなC2−C4モノアルコール類と水とそれらの混合物とから成る溶剤と溶解した状態での粘度に基づくものである。実際的な理由で、自噴式エアゾールヘアスプレー組成物中の水の量は、噴射剤を含む全組成物のたった約10重量%に制限され、この制限によって、もし揮発性有機炭化水素の噴射剤を使用した場合にはその炭化水素噴射剤の存在に起因する及び/又は水に対する髪固定ポリマーの不適合性に起因するエマルジョンの生成を防止する。ヘアスプレー組成物中の水は、その量がかなり多い場合、髪を濡らしがちであり、かつ髪型を損なうので、望ましくない。ポンプ・スプレー組成物の場合には、水は、できるだけ少ないことが好ましいことが多いけれども、組成物の約25%までとすることができる。髪固定ポリマーと水との適合性を良くする為に、ヘアスプレー樹脂はアミン類やアンモニアのような塩基で中和することができるが、しかしながら、少量の水は、時として、ポリマーや塩類を溶解状態に保つことによって、エアゾール弁の詰りを低減することができる。
エタノール及びイソプロパノールは溶剤として好ましいが、なかでもエタノールが最も好適である。ヘアスプレー組成物はまた、ヘアスプレーが不快な臭気を発生しないように少量の他の溶剤を含むこともできる。こうして、他の種類の溶剤、例えばメトキシエタノール及び2−エトキシエタノール等を少量、上述の溶剤中に含ませることができる。
自噴式エアゾールヘアスプレー組成物の場合には、この組成物を加圧する為に噴射剤を容器内に入れることができる。適当な噴射剤の例としては、ジメチル エーテル、窒素および二酸化炭素はもちろんのこと、n−プロパンやn−ブタンやイソブタンのような液化低級炭化水素類も使用することができる。すべての噴射剤は、エアゾールヘアスプレーパッケージ内で加圧に必要な充分な量だけ使用される。揮発性有機噴射剤の量を増加することによって、エアゾールスプレーの粒子径が小さくなることは一般に知られている。こうして、高噴射剤レベルでは、髪固定ポリマー類のブレンド(配合)は、霧化されたヘアスプレー組成物の粒子径が所望の範囲内となるように、選択されるべきである。一般的には、噴射剤の使用量はヘアスプレー組成物の約10〜80重量%、更に好ましくは全組成物の15〜40重量%である。
本明細書及び添付の請求の範囲で使用した用語「髪固定ポリマー」は、ヘアスプレー組成物に使用された溶剤に溶解可能でありかつフィルムを形成でき、ヘアスプレー組成物の揮発性成分の蒸発後に使用者の髪型を保持することとができるフィルム生成ポリマーを意味するものである。髪固定ポリマーは周知のものであり、このような樹脂ポリマーは、市販品であって、ポリマーを事実上、陰イオン、陽イオン、両性又は非イオン性にするラジカルを含有する。本発明において有用である為には、使用する少なくとも一つのポリマーは、その重量平均分子量が少なくとも100,000であり、存在する少なくとも一つの他の髪固定ポリマーは、その重量平均分子量が残りの全ポリマーのうちの少なくとも一つの重量平均分子量に対し、少なくとも1.5倍、好ましくは約2〜10倍異なっている。
このような重量平均分子量の差異は、ある分子量の髪固定ポリマーを使用して、他の髪固定ポリマーへのそれの影響に起因して全ヘアスプレー組成物のエアゾールスプレー特性を変更する為に、利用される。自噴式エアゾールヘアスプレーパッケージの場合は、霧化スプレーの所望の体積平均粒子径が60±12ミクロンの範囲内になるように調整され、他方、ポンプスプレーパッケージでは73±13ミクロンに保たれることが望ましい。
複数の髪固定ポリマーを組合せることによって(即ち、これは経済性や調合物(formulation)の簡単化の為には通常望ましくはないが、三以上のものを使用することができる)、ヘアスプレー組成物に使用する全不揮発性髪固定ポリマーの含有量は、たった一つの髪固定ポリマーを低放出量の吐出手段と共に使用した場合よりも低レベルにすることができる。所望の体積平均粒子径を得る為には、重量平均分子量が100,000以上の多量のポリマーを、残りの少なくとも一つのポリマーよりも少なくとも1.5倍だけ重量平均分子量が大きい又は小さい少量の第2の髪固定ポリマーに混合することができ、又は、これとは逆に100,000未満の重量平均分子量のポリマーでスタートしてもよい。
100,000より大きい分子量の髪固定ポリマーは、ヘアスプレー粒子径に対する影響に加えて、髪型保持特性を向上する。ある調合物にあっては、髪固定ポリマーのすべては、100,000より大きい重量平均分子量を有することができる。
高分子量ポリマーは増粘剤として作用することがあるので、それの量は、霧化エアゾールスプレーの発生を許容するような充分低い値にしなければならない。髪固定ポリマーの総量は、噴射剤を含めた全ヘアスプレー組成物の1%〜10%の間であり、とくにポリマーの分子量に応じて約2%〜6%に保つことが好ましく、これによって、コストをできるだけ低減でき、ヘアスプレー組成物が上述の粒子径を有する霧化スプレー組成物としてヘアスプレーパッケージから放出されるような粘度を有する。この数値は、ヘアスプレー組成物を調合し、かつエアゾールスプレーパッケージからスプレーすることによって容易に求めることができる。
本発明に使用する組成物は典型的には約2%〜6%の髪固定ポリマー(この数値は組成物がかなりのパーセントの高分子量ポリマーを含有する場合には髪固定ポリマーの量をより少なくできかつそうしなければならないことが多いため、髪固定ポリマーの分子量に依存する。)を使用するので、本発明は、約1〜3重量%の髪固定ポリマーを典型的に使用する従来の自噴式エアゾール組成物に類似している。現在市販の自噴式エアゾールヘアスプレーパッケージの放出量は約0.6〜0.8グラム/秒であるのに対して、本発明では約0.2〜0.38グラム/秒である。典型的な大きさの市販の自噴式ヘアスプレー組成物用の容器容積は、7〜9液量オンス(207〜266ミリリットル)であるのに対して、本発明のパッケージでは約2〜4液量オンス(59〜118ミリリットル)である。本発明では、単位時間当り又はポンプストローク当り髪に射出される不揮発性固形物の含有量は、従来のヘアスプレーパッケージと実質的に同一となるように調整されるので、本発明のパッケージは小形であってもその使用期間は従来の大きいヘアスプレーパッケージと少なくとも同程度になる。
複数の髪固定ポリマーは、髪を所望の髪型に保持するのに適した公知のものを使用でき、これらのポリマーは上述の分子量の範囲及び比率内であり、かつ互いに「相溶性」でかつ溶剤系内で可溶性である。現在、本発明に使用する髪固定ポリマーとして好適なものは、後述のように重量平均分子量が異なったメタクリル酸とアクリル酸ブチルとメタクリル酸エチルとからなる陰イオン アクリルターポリマーのブレンドである。本明細書及び請求の範囲で使用されている用語「相溶性」とは、各髪固定ポリマーが好ましくは同一のイオン電荷を有するか又はイオン電荷が中性であり、選択した溶剤系に可溶性であり、かつ一方のポリマーが他のポリマーに混合された時に沈殿物を作らないことを意味する。一般的な概説を述べると、ブレンド用の髪固定ポリマーとしては、ヘアスプレー組成物中に存在する他の髪固定ポリマーと同じイオン電荷を有するものを選択するか、又は非イオン性髪固定ポリマーを使用することが好ましい。こうして、陰イオンポリマーを使用したヘアスプレー組成物は他の陰イオン又は非イオン髪固定ポリマーを使用し、他方陽イオンポリマーは他の陽イオン又は非イオンポリマーを使用することになろう。両性ポリマーはポリマーのイオン電荷に応じて、他の両性又は非イオン性ポリマーと共に使用できるし、更に陽イオン又は陰イオンのいずれかのポリマーと使用できるであろう。非イオンポリマーは、他の点では相溶性である場合には上述した他のクラスのポリマーのいずれかと一緒に使用できるであろう。
陰イオン髪固定ポリマーの例は、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ネオデカン酸ビニル(vinyl neodecanoate)のようなアルファ有枝の飽和脂肪族モノカルボキシル酸のビニル エステルとクロトン酸と酢酸ビニルとのターポリマー;及びメチル ビニル エーテルと無水マレイン酸とのコーポリマー(モル比約1:1)であって、エタノール又はブタノールのような1〜4個の炭素原子を含有する飽和アルコールで50%エステル化されたようなコポリマー;及びアクリルコポリマーやターポリマー等である。尚、これらのアクリルコポリマーやターポリマー等は、陰イオンラジカル含有部分としてのアクリル酸又はメタクリル酸と以下に述べるエステル類とを含有する。このエステル類は、メタクリル酸メチルやアクリル酸エチルやメタクリル酸エチルやアクリル酸n−ブチルやアクリル酸t−ブチルやアクリル酸n−ブチルやメタクリル酸t−ブチルやメタクリル酸n−ブチルやアクリル酸n−ヘキシルやアクリル酸n−オクチルやメタクリル酸ラウリルやアクリル酸ベヘニル(behenyl acrylate)のような1〜22個の炭素原子を有する一以上の飽和アルコール類と、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(hydroxypropyl methacrylate)やアクリル酸ヒドロキシエチル(hydroxyethyl acrylate)のような1〜6個の炭素原子を有するグリコール類と、メタクリルアミドやt−ブチル アクリルアミドやn−オクチル アクリルアミドのようなアルキル団(alkyl group)に1〜8個の炭素原子を有するスチレンやビニル カプロラクタムや酢酸ビニルやアクリルアミドやアルキル アクリルアミド類及びメタクリルアミド類と、他の相溶性の不飽和モノマー類とアクリル酸又はメタクリル酸とから成るエステルを含有する。現時点で好適な一例は、メタクリル酸とアクリル酸n−ブチルとメタクリル酸エチルとのエマルジョン重合されたターポリマー(例えば、重量パーセントの比が31:42:27)である。また別の例は、第三ブチル アクリルアミドとアクリル酸とアクリル酸エチルとのターポリマーであり、これはバスフ社(BASF Corporation)によりバスフ ウルトラホールド8(BASF ULTRAHOLD)の登録商標で市販されている(シー・ティー・エフ・エー(CTFA)コスメティック(Cosmetic)、トイレットリーズ(Toiletries)アンド フレイグランス(Fragrance)協会(Association)での名称は、アクリレイト/アクリルアミド コポリマー)。このような陰イオンポリマーは、公知であり、例えばボーアック(Bohac)等の米国特許第3,405,084号やクーボット(Kubot)等の米国特許第3,577,517号やシュパード(Shepherd)等の米国特許第3,577,518号やミッシェリ(Micchelli)の米国特許第3,927,199号やミッシェリ(Micchelli)等の米国特許第4,192,861号やペンジリィ(Pengilly)等の米国特許第4,192,862号やチーズマン(Cheesman)等の米国特許第3,928,558号やグロリィア(Grollier)等の米国特許第4,240,450号に示されている。
t−ブチル アミノエチル メタクリレイトのようなモノマー類から誘導された陰イオン基(anionic groups)と、アクリル酸又はメタクリル酸のようなモノマー類から誘導されたカルボキシル基とを含有できる両性ポリマーも、また本発明に使用することができる。髪固定の両性ポリマーの特別な一例としては、ナショナル スターチ アンド ケミカル コーポレーション(National Starch and Chemical Corporation)がアムフォマー(AMPHOMER)(商標登録)の商標で販売しているポリマーが存在し、これはシィー・ティー・エフ・エー(CTFA)ではオクチルアクリルアミド/アクリレイト/ブチルアミノエチル メタクリレイト コポリマー(Octylacrylamide/Acrylates/Butylaminoethyl Methacrylate Copoiymer)と称され、米国特許第4,192,861号にN−タート(tert)−オクチル アクリルアミドとアクリル酸とt−ブチル アミノエチル メタクリレイトとのポリマーとして記載されている。その他の両性ポリマー類の例はノーワォック(Nowak)等の米国特許第3,726,288号やリンク(Link)等の米国特許第3,981,987号やヤクエット(Jacquet)等の米国特許第4,237,253号やハヤマ(Hayama)等の米国特許第4,358,567号に記載されている。
非イオン髪固定ポリマーの例は、N−ビニルピロリドンのホモポリマー類と、酢酸ビニルのような相溶性の非イオンモノマーとN−ビニルピロリドンとから成るコポリマー類と、アクリル酸エチルとメタクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとから成るターポリマー類である。種々の重量平均分子量のN−ビニルピロリドンを含有する非イオンポリマーは、ガフ社(GAF Corporation)が市販しており、例えばガフ(GAF)がピー・ブィ・ピー(PVP)K−90の商標で販売する約630,000の平均分子量を有するN−ビニルピロリドンのホモポリマーや、ピー・ブィ・ピー(PVP)K−120の商標で販売される約1,000,000の平均分子量を有するN−ビニルピロリドンのホモポリマーである。このようなポリマーのその他の多くの例は、バラン(Valan)の米国特許第3,914,403号やオクムラ(Okumura)等の米国特許第4,378,345号に教示されている。
陽イオン髪固定ポリマーの例としては、低級アルキルアミノアルキル アクリレイトのようなアミノ基(amino−functional)アクリレイト モノマー類、又はジメチルアミノエチル メタクリレイトのようなメタクリレイトモノマー類と、アクリル酸エチル及びアクリル酸n−ブチルのようなアルキル アクリレイト類、及びメタクリル酸メチル及びメタクリル酸エチルのようなN−ビニルピロリドン、ビニル カプロラクタム又はアルキル メタクリレイト類のような適合可能なモノマー類とのコポリマー類である。N−ビニルピロリドンを含有する陽イオン髪固定ポリマーは、ガフ コーポレーション(GAF Corporation)から、コポリマー845及びコポリマー937(平均分子量が約1,000,000であるN−ビニルピロリドンとt−ブチルアミノエチル メタクリレイトとのコポリマー)の商標名で、及びガフォート(GAFOUAT)755及び755N(平均分子量が約1,000,000であるNビニルピロリドン及びジメチルアミノエチル メタクリレイトのコポリマーと硫酸ジメチルとの反応によって生成される第4アンモニウム ポリマー)の登録商標名で市販されている。
良く知られているように、陰イオングループを含有しかつ水に不溶解な上述のポリマーは、通常中和された、水溶性又は水分散性の形で使用される。本発明のヘアスプレー組成物に包含され得る適当な中和剤としては、トリエチルアミン及びラウリルアミンのような約2〜22の炭素原子を含有するアルキル モノアミン類と、トリエタノールアミン、2−アミノ−メチル−1、3−プロパンジオール及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールのようなアミノ アルコール類とが存在する。これら以外の有効な中和剤の組合せがスラメック(Sramek)の米国特許第4,874,604号に記載されている。同様に、アミン類をベースとした陽イオン髪固定ポリマーは、より水溶性にしたい場合には、その酸性塩の形で使用することができる。
ヘアスプレー組成物は、上述の成分に加えて、ヘアスプレー組成物に広く使用されている少量の他成分、例えばスラメック(Sramek)の米国特許第4,871,529号などに記載されたような香料、可塑剤、光沢剤、減粘着剤(detackifying agents)、易梳剤(combing aids)、帯電防止剤、コンディショナー、シリコーン添加剤を含有してもよい。この種の添加剤は当業者には公知であり本発明の一部を構成するものではない。
産業上の利用性 本発明のヘアスプレーパッケージは、種々の髪固定ポリマーの溶液又は分散液を溶剤に混合して調合される。この混合の順序は、任意に選定し得るものである。その後に、種々の添加剤が添加されるが、この添加の順序も一般には任意である。このような組成物の調合例を以下の「例」に記す。ヘアスプレー組成物は、充分に混合された後に、ポンプスプレー容器内に直接に充填され、ポンプスプレーユニットでシールされる。尚、ヘアスプレー組成物は単相かつ均質であることが好ましく、これにより使用者はそのヘアスプレーパッケージの全使用期間中にわたってヘアスプレーを髪に塗布可能となる。
揮発性炭化水素噴射剤を使用した自己与圧式エアゾールヘアスプレーパッケージを所望する場合には、このような噴射剤をヘアスプレー組成物に添加する前に、その組成物の全成分を混合し均質化することが好ましい。パッケージは、噴射剤がエアゾール弁を介して添加される場合には、噴射剤の添加前に、または内部へのヘアスプレー組成物の封入後に、エアゾール弁でシールすることができる。あるいはまた、アメリカン ナショナル カン コーポレーション(American National Can Corporation)からセプロ(SEPRO)との登録商標名で販売されているような二室形の缶を使用することにより、炭化水素噴射剤がヘアスプレー組成物から分離されるような自己与圧式エアゾールヘアスプレーパッケージを使用することができる。同様に、加圧ガス噴射剤はこの缶のシール後に添加することができる。別の方法は、マジッド(Magid)の米国特許第4,513,884号に記載されたように、膨脹バッグ自己与圧手段を使用するものである。
パッケージの放出手段(即ち、エアゾール弁又はポンプスプレーユニット)は使用するヘアスプレー組成物に応じて選定されるので、そこから発生されるエアゾールスプレーは、オーバースプレーによる無駄をできるだけ少なくした状態で髪に塗布されるように、最適化される。スプレー時間は、従来の高放出量ヘアスプレーパッケージと同一になるように選定されるので、使用者は、従来の大形エアゾールスプレーパッケージの使用で培ったスプレー習慣を変える必要はない。本発明のパッケージは、従来のパッケージに比べて、同じ使用回数で大きさを1/2〜1/3にすることができる。粒子径を最適化することによって、髪に到達する髪固定ポリマーの量は増大する。非常に一様なフィルム状髪固定ポリマーが髪全体に広がりかつ個々の髪束の交部がより一様に被覆され一緒に固定されるので、髪は見栄えが非常によく感じられる。最後に、ヘアスプレー組成物の使用量は、ヘアスタイリング回数を同一とした場合、従来の大きさの缶に比べて、たった1/3〜1/2であるので、大気中に放出される溶剤の量、及びもし存在する場合には炭化水素噴射剤の量は1/2〜1/3である。また、容器が小型になるので、メーカーのコストが低減しかつ処分及び/又はリサイクルすべき材料も少なくなる。
以下の「例」は、本発明の範囲及び精神から逸脱しない本発明の種々の態様を示すものである。尚、「例」中に使用された全割合及びパーセントは、特にそうでない旨の記載がない限り、重量によるものである。
以下の「例」においては、英国のモールバーン インストルメンツ(Malvern Instruments)の、300mmレンズ使用の「モールバーン レーザー粒子分析器モデルNo.2600C」(データ分析用にプログラムしたパソコンを接続した)を使用した。パッケージのアクチュエータ釦のスプレーオリフィスを上記機器の測定光束の中心から8インチ(20.3cm)離間して保持し、この状態で押圧した時にヘアスプレーパッケージからスプレーされた霧化ヘアスプレー組成物の体積平均粒子径を測定した。この体積平均粒子径は、体積で0.5と報告され、これは、平均で、測定粒子の体積の50%が報告された粒子径よりも大きく、粒子体積の50%が同一か又は小さいことも意味している。同様に、いくつかの例では体積粒子径が体積で0.9と報告され、これは、平均で、粒子の体積の90%が報告された粒子径未満であったことを意味している。尚、この測定は75゜F(23.9℃)で行われた。
本発明のポンプスプレーパッケージを使用したいくつかの「例」では、使用したポンプスプレーユニットは、カーマー社(Calmar,Inc.)の変形カーマー マーク(Calmar MARK)IIポンプスプレーユニットであり、これは、アンダーソン(Anderson)の米国特許第'983号に記載されており、0.012インチ(0.30mm)のスプレーオリフィスを有し、ポンプストロークが小さく、従来のマーク(MARK)IIスプレーユニットのストローク当り約0.14〜0.16グラムの典型的な放出量に対して、ストローク当り約0.09グラムの放出量である。本発明で使用したユニットのピストン寸法は、公表されている業務用の0.14立方cmではなく、0.1立方cmであった。
「例」に使用した材料は以下の通りである。
「アクリル ポリマーA」は、連鎖移動剤を使用せずに表面活性剤を使用した水性エマルジョン重合方法によって作った、31%メタクリル酸と42%アクリル酸n−ブチルと27%メタクリル酸エチルとのターポリマーであり、このポリマー(数個のバッチが使用された)は、(ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィー法による)重量平均分子量(以下「Mw」と称する)が約700,000であり、沈降平均分子量(これはシュミット(Schmidt)等の米国特許第4,529,787号に定義されており、以下では「Mz」と称する)が約1,800,000であった。ポリマーは、40%の不揮発性固形物含有の水性エマルジョンの形で使用した。使用したエマルジョン重合表面活性剤は、硫酸ナトリウム トリデシル エーテル(sodium tridecyl ether sulfate)、硫酸マンモニウム トリデシル エーテル、又は硫酸アンモニウム ラウリル エーテルであり、特に後者のアンモニウム塩は、エアゾール弁の詰りを惹起する性向が少ないエマルジョンを作るので、一層好適である。
「アクリルポリマーB」は、「アクリルポリマーA」と同一の組成物かつ不揮発性固形物含有の水性エマルジョンポリマーであるが、連鎖移動剤として、0.25%のメルカプトプロピオン酸ブチル(「BuMPA」)か又は0.34%のメルカプトプロピオン酸イソ−オクチル(「IOMPA」)のいずれかを使用して生成され、Mwが約140,000で、Mzが約330,000であった。
「アクリルポリマーC」は、「アクリルポリマーA」と同一の組成物かつ不揮発性固形物含有の水性エマルジョンポリマーであるが、連鎖移動剤として、0.68%のIOMPAを使用して生成され、Mwが約70,000で、Mzが140,000であった。
AMP−95はインターナショナル ミネラルズ ケミカル社(International Minerals&Chemicals Corp.)の2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(95%)及び5%水であった。
DOW CORNING(登録商標)345は、ダウ コーニング社(Dow Corning Corporation)のデカメチル シクロペンタシロキサン及びオクタメチル シクロテトラシロキサン、75%(CTFA名:シクロメシコーン(Cyclomethicone)であった。
LEXAMINE(登録商標)L−13は、イノレックス ケミカル社(Inolex Chemical Company)のラウルアミドプロピル(lauramidopropyl)ジメチルアミンであった。
SCHERCEMOL105はシャーケミカルズ社(Scher Chemicals,Inc.)のネオペンタ酸イソデジル(isodecyl neopentanoate)であった。
UNION CARBIDE SILWET(登録商標)L−7602はジメチルシロキシ ユニットと(CH3SiO(CxH2x)(OCH2CH2)zOHユニット(CTFA名:ジメチコーン コポリオール(Dimethicone Copolyol)とのトリメチルシロキシ−エンドブロックド(trimethylsiloxy−endbolocked)ポリマーであり、上記の式中のxは3であると思われる。このポリマーは16%のシリコン含有量であり、粘度が70〜130センチストーク(0.7×10−5〜1.3×10−4メータ/秒)で、平均分子量が3,000で、密度が1.027で、曇点が10℃未満の水中で0.1%であると報告されていた。
「例1」及び「例2」
これらの例は、容器一本当りの平均使用回数が24回程度である本発明の3.5オンス(104ミリリットル)の自噴式エアゾールヘアスプレーパッケージの調合及びテストを記している。
第1のヘアスプレ組成物(「例1」)は、以下のもの、即ち、全体100に対する割合が夫々、25.0の「アクリルポリマーB」と、1.334のAMP−95と、2.0のLEXAMINE L−13と、71.666の200プルーフ変形エタノールと、を一緒に攪拌しながら添加することによって、0.25%BuMPA使用の「アクリルポリマーB」(Mw=136,000及びMz=322,000を最初に中和して、作られた(以下では「ポリマー溶液1」と称する)。第2のポリマー溶液は、上述のように、以下の成分、即ち全体100に対する割合が夫々、50.0の「アクリルポリマーC」(0.68%IOMPA)と、2.668のAMP−95と、4.0のLEXAMINE L−13と、43.332の200プルーフ変形エタノールと、を一緒に攪拌しながら添加することによって作られた(以下「ポリマー溶液2」と称する)。「添加物濃縮液1」は、以下の成分、即ち、全体に対する割合が夫々、0.5のUNION CARBIDE SILWET L−7602と、0.5のDOW CORNING 345と、1.5の芳香剤と、5.0のベンジル アルコールと、2.0のSCHERCEMOL 105と、90.5の200プルーフ変形エタノールと、を一緒に攪拌しながら混合することによって別個に作られた。
「例1」は以下の調合物、即ち、全体に対する割合が夫々、10の「添加物濃縮液1」と、15の「ポリマー溶液1」と、7.5の「ポリマー溶液2」と、47.5の200プルーフ変形エタノールと、20ののイソブタンと、から成る調合物を含んでいた。この第4番目までの成分(80グラム)の均質混合物が、202×314のブリキ製のエアゾール容器に流入され、20インチ(50.8cm)Hgの真空により37立方センチメータ(20グラム)のイソブタンが上記容器の内部に入れられ、その後に、「例C」として上述したタイプのエアゾール弁及び浸漬管でシールを行った。その後に、普通のアクチュエータ釦をパッケージの弁に取付けた。このアクチュエータ釦は0.013インチ(0.33mm)の釦オリフィスを有する二部品構成の釦(ピットウェイ社(Pittway Corporation)のシークイスト弁(Seaquist Valve)部門のシークイストNo.402−05480−13ミスティ/ミスティ(Misty/Misty)を使用した。
第2のヘアスプレー組成物は、「ポリマー溶液1」の場合と同一のフォーミュラーを使用するが、「アクリルポリマーB」の代りに「アクリルポリマーA」(Mw=800,000)を使用して、「ポリマー溶液3」を最初に作ることによって、調合された。「例2」は次の調合物、即ち全体に対する割合が夫々、10の「添加物濃縮液1」と、12の「ポリマー溶液2」と、6の「ポリマー溶液3」と、52の200プルーフ変形エタノールと、20のイソブタンと、から成る調合物を含んでいた。この組成物は「例1」の場合に述べたものと同種のヘアスプレーパッケージに充填された。
その後に、各ヘアスプレーパッケージがテストされ、次のテスト結果を得た。充填後の最初のテストでは、「例1」は、体積平均粒子径が50.6ミクロンで、放出量が0.270グラム/秒で、アクチュエータ釦から8インチ(20.3cm)離れた位置でのスプレーパターンの直径は(3+1/8)インチ(7.94cm)であった。「例2」は最初、体積平均粒子径が70ミクロンで、放出量が0.298グラム/秒で、アクチュエータ釦から8インチ(20.3cm)離れた位置でのスプレーパターンの直径は2.5インチ(6.35cm)であった。二か月保管した後に、「例1」及び「例2」のパッケージは、テストでの放出量を0.43グラム/秒まで高めたので、両方の弁は共にわずかに詰りが発生した。
「例3」及び「例4」
「例3」用のヘアスプレー組成物は、以下の調合物、即ち全体100に対して、25.0の割合の「アクリルポリマーB」(0.34%IOMPA)と、1.0の割合のAMP−95と、2.0の割合のLEXAMINE L−13と、72の割合の200プルーフ変形エタノールと、を含む「ポリマー溶液4」を使用した。
「ポリマー溶液5」も、全体に対して、割合25の「アクリルポリマーA」と、割合1.0のAM−95と、割合2.0のLEXAMINE L−13と、割合72の200プルーフ変形エタノールと、を使用して作られた。「例3」に使用したヘアスプレー組成物用の調合物は、全体100に対して、28.0の割合の「ポリマー溶液4」と、2.0の割合の「ポリマー溶液5」と、0.1の割合のUNIIN CARBIDE SILWET L−7602と、0.1の割合のDOW CORNING 345と、0.6の割合のベンジル アルコールと、0.2の割合のSCHERCEMOL 105と、0.1の割合の芳香剤と、41.9の割合の200プルーフ変形エタノールと、2.0の割合の脱イオン水と、25.0の割合のイソブタンと、であった。このイソブタンを除いた全成分(75グラム)の均質混合物が202×314のブリキ製エアゾール容器に入れられ、その後にこのエアゾール容器を「例C」で前述した種類のエアゾール弁(及び浸漬管)でシールした。20インチ(50.8cm)Hgの真空状態で、25グラムのイソブタンを上記弁を介して容器内に充填した。その後に、「例1」及び「例2」に使用したものと同一の普通のアクチュエータ釦をパッケージに取付けた。
「例4」に使用したヘアスプレー組成物用の調合物は、全体に対して、17.0の割合の「ポリマー溶液4」と、3.0の割合の「ポリマー溶液5」と、0.1の割合のUNION CARBIDE SILWET L−7602と、0.1の割合のDOW CORNING 345と、0.4の割合のベンジル アルコールと、0.2の割合のSCHERCEMOL 105と、0.1の割合の芳香剤と、2.0の割合の脱イオン水と、52.1の割合の200プルーフ変形エタノールと、25.0の割合のイソブタンと、であった。このヘアスプレー組成物は「例3」の場合と同じヘアスプレーパッケージ内に充填される。
「例3」のヘアスプレーパッケージをテストしたところ、体積平均粒子径が63.3ミクロンであり、0.9での体積粒子径が125.4ミクロンであり、放出量が0.27グラム/秒であった。このヘアスプレーパッケージの使用説明書によると、髪から6〜8インチ(15.2〜20.3cm)離れた所から組成物を髪にスプレーすることによって髪を所望の形に整えられる。このヘアスプレーはヘア・スタイリング中に用いるスタイリングスプレーとしても使用することができる。
「例5」
この「例」は本発明のポンプスプレー式エアゾールパッケージの生産を示すものである。「例5」を作る為に、全体に対して、25.0の割合の「アクリルポリマーC」(0.68%IOMPA)と、1.0の割合のAMP−95と、2.0の割合のLEXAMINE L−13と、72.0の割合の200プルーフ変形エタノールと、から「ポリマー溶液6」を作った。「ポリマー溶液7」も、「ポリマー溶液6」と同一の調合物を使用して作った。ただし、「ポリマー溶液7」では「アクリルポリマーC」の代りに「アクリルポリマーB」(0.34%IOMPA)を使用した。「例5」のヘアスプレー組成物用調合物は、全体に対して、5.0の割合の「ポリマー溶液6」と、25.0の割合の「ポリマー溶液7」と、0.15の割合のUNION CARBIDE SILWET L−7602と、0.15の割合のDOW CORNING 345と、0.6の割合のベンジル アルコールと、0.2の割合のSCHERCEMOL 105と、0.15の割合の芳香剤と、10.0の割合の脱イオン水と、58.75の割合の200プルーフ変形エタノールと、であった。
この調合物は、3.5オンス(104ミリリットル)の上部ネジ付の容器内に入れられ、この容器に変形MARK IIのポンプスプレーユニットを螺合して、「例5」のヘアスプレーパッケージを作った。このポンプスプレーパッケージの使用説明書によると、パッケージを髪から6〜8インチ(15.2〜20.3cm)の所に保ち、アクチュエータ釦を素早く充分に押込むことによって、髪を所望の形に保持することができる。万一、ポンプユニットが詰ってしまった場合には、詰りがなくなるまで、これを温水ですすぐ。このヘアスプレーも、ヘアスタイリング中に用いるスタイリングスプレーとして使用することができる。
「例5」による体積平均粒子径は、64.0ミクロンであり、0.9での体積粒子径は102.6ミクロンであった。
「例6」乃至「例8」
これらの「例」は、「例5」に述べた種類のポンプスプレー式エアゾール容器に収容されて、本発明のポンプスプレー式ヘアスプレーパッケージを作るヘアスプレー組成物の別の例である。
以下の組成物、即ち、全体に対して、28.5の割合の「ポリマー溶液6」と、1.5の割合の「ポリマー溶液5」と、0.15の割合のUNION CARBIDE SILWET L−7602と、0.15の割合のDOW CORNING 345と、0.6の割合のベンジル アルコールと、0.2の割合のSCHERCEMOL 105と、0.15の割合の芳香剤と、10.0の割合の脱イオン水と、58.75の割合の200プルーフ変形エタノールとから成る組成物を「例5」で述べたものと同種のヘアスプレーパッケージに入れて、「例6」のヘアスプレーパッケージを作った。このヘアスプレーパッケージからのスプレーによって生じた体積平均粒子径は75.5ミクロンであり、このヘアスプレーパッケージの0.9での体積粒子径は130ミクロンであった。
以下のヘアスプレー組成物、即ち全体に対して、27.0の割合の「ポリマー溶液6」と、3.0の割合の「ポリマー溶液5」と、0.15の割合のUNION CARBIDE SILWET L−7602と、0.15の割合のDOW CORNING 345と、割合0.6のベンジル アルコールと、割合0.2のSCHERCEMOL 105と、割合0.15の芳香剤と、割合10.0の脱イオン水と、割合58.75の200プルーフ変形エタノールとから成るヘアスプレー組成物を作り、「例5」で述べた種類のポンプスプレー式エアゾールパッケージに入れて、本発明のヘアスプレーパッケージを作った。「例7」のポンプスプレー式エアゾールパッケージは、スプレーの体積平均粒子径が82.4ミクロンであり、0.9での体積粒子径が141ミクロンであることが判明した。
以下のヘアスプレー組成物、即ち全体に対して、割合1.0の「ポリマー溶液5」と、割合19.0の「ポリマー溶液7」と、割合0.1のUNION CARBIDE SILWET L−7602と、割合0.1のDOW CORNING 345と、割合0.4のベンジル アルコールと、割合0.1のSCHERCEMOL 105と、割合0.1の芳香剤と、割合10.0の脱イオン水と、割合69.2の200プルーフ変形エタノールとから成る組成物を、「例5」で述べた種類のポンプスプレー式エアゾールヘアスプレー容器パッケージに入れ、「例8」のヘアスプレーパッケージを作った。
「例9」及び「例10」
これらの「例」は、本発明のエアゾールヘアスプレーパッケージ(「例9」)と、これに対するヘアスプレー組成物中に唯一のポリマーを含有するヘアスプレーパッケージ(比較「例10」)との小規模的な美容院におけるテスト(small−scale salon test)結果を示したものである。「添加物濃縮液2」は次の調合物、即ち、全体に対して、割合1.0のUNION CARBIDE SILWET L−7602と、割合1.0のDOW CORNING 345と、割合0.75の芳香剤と、割合6.0のベンジル アルコールと、割合2.0のSCHERCEMOL 105と、割合89.25の200プルーフ変形エタノールとから成る調合物を含むものであった。
「例9」を作る為に、まず以下の調合物、即ち全体に対して、割合25.0の「アクリルポリマーB」(0.34%IOMPA)と、割合1.0のAMP−95と、割合2.0のLEXAMINE L−13と、割合72.0の200プルーフ変形エタノールとから成る調合物を有する「ポリマー溶液8」を作った。以下のヘアスプレー組成物、即ち全体に対して、割合28.0の「ポリマー溶液8」と、割合10.0の「添加物濃縮液2」と、割合2.0の「ポリマー溶液3」と、割合33.0の200プルーフ変形エタノールと、割合2.0の脱イオン水と、割合25のイソブタンとから成る組成物を、「例1」及び「例2」の場合に述べたのと同種の弁及びアクチュエータ釦を備えた同種のエアゾール容器に充填して、「例9」のヘアスプレーパッケージを作った。
「例1」及び「例2」で述べたものと同じパッケージに、以下のヘアスプレー調合物、即ち全体に対して、割合10の「添加物濃縮液1」と、割合30の「ポリマー溶液1」と、割合40の200プルーフ変形エタノールと、割合20のイソブタンとから成る調合物を入れて、「例10」のヘアスプレーパッケージを作った。
「例9」のヘアスプレーパッケージは、(一部使用後の)ヘアスプレー組成物の放出量が0.31グラム/秒であり、体積平均粒子径が59.0ミクロンであり、0.9での体積粒子径が108.4ミクロンであることが判明した。
「例10」のヘアスプレーパッケージは、放出量が0.279グラム/秒であり、体積平均粒子径が53.5ミクロンであった。
テストに使用した他のヘアスプレーパッケージは、ランダムに選択し、放出量及び体積平均粒子径を求めて、以下の結果を得た。即ち、二種のヘアスプレーパッケージの「例9」は夫々、放出量が0.26及び0.27グラム/秒であり、体積平均粒子径が59.0及び61.7ミクロンであり、0.9での体積粒子径が108.4及び116.5ミクロンであった。「例10」のランダム選択のヘアスプレーパッケージは夫々、放出量が0.23及び0.30グラム/秒で、体積平均粒子径が58.4及び59.6ミクロンで、0.9での体積粒子径が115.5及び103.5であった。
プロのヘアスタイリストが、志願した19人の被験者の髪について、ラベルを隠した容器内の「例9」及び「例10」のヘアスプレーパッケージを試験した。このサンプル数は少ないけれども、上述のヘアスタイリストは僅かではあるが、「例9」の方をより実用的であるとして、良好とした。19人の志願被験者に、家でその製品を使用して6〜8時間後に評価してもらい、どちらのヘアスプレーパッケージを好むかを質問した。髪の「本体(Body)」の点に関しては、10人の被験者が「例9」の方を好み、1人の被験者が「例10」の方を好み、8人の被験者が両「例」を同等と判定した。スプレー後の髪の「ソフトな感触」の観点では、5人の被験者が「例9」の方を好み(何人かは髪が被覆されたようだと述べた)、7人の被験者が「例10」の方を好み、7人の被験者が両「例」を同等と判定した。「保持」の観点では、8人が「例9」を好み、1人が「例10」を好み、10人が両方を同等と判定した。「全体」としては、9人の被験者が「例9」の方を好み、3人の被験者が「例10」の方を好み、7人の被験者が両「例」を同等と判定した。テスト中に「例10」の一つの缶が完全に詰ってしまった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】エアゾール弁でシールされた加圧エアゾール容器と、この容器内に封入されたアルコール性のヘアスプレー組成物とから成る改良型自噴式エアゾールヘアスプレーパッケージであって、上記弁は、この弁に連通している出口オリフィスを備えたアクチュエータ釦を備えている、ものにおいて、上記弁は、0.20〜0.38グラム/秒の割合で上記ヘアスプレー組成物を上記出口オリフィスを介して放出可能な低放出率弁であり、且つ、上記ヘアスプレー組成物は、上記組成物の1重量%〜10重量%の少なくとも2つの相溶性の髪固定ポリマーの組合せであって重量比が少なくとも99:1〜1:99であるものを含み、上記ポリマーのうちの少なくとも1つのポリマーは、少なくとも1つの他のポリマーに対して重量平均分子量が約2〜10倍異なっており、且つ、上記ポリマーのうちの少なくとも1つのポリマーは、重量平均分子量が少なくとも100,000であり、上記ポリマーの上記重量比は、スプレー組成物粘度であって、上記エアゾール弁と上記アクチュエータ釦との組合せにより、60±12ミクロンの範囲内の体積平均粒子径を有する放出霧化エアゾールスプレーを上記ヘアスプレーパッケージが結果的に生ずるようなものを結果的に生じ、上記組成物の残部は、C2−C4アルコール類と水とそれらの混合物とから成るグループから選択された溶剤と、噴射剤との両方を含み、上記ヘアスプレー組成物の全重量を基準とした水の含有量は10重量%以下であり、上記ヘアスプレーパッケージが、(a)少なくとも2倍の放出率、(b)同じ範囲内の体積平均粒子径、及び(c)重量で1/2の髪固定ポリマー含有量を有する、より大きなサイズの在来のヘアスプレーパッケージと比較して、ほぼ同じ使用回数を有しているが、1/3〜1/2の量のヘアスプレー組成物しか有していない、ことを特徴とするヘアスプレーパッケージ。
【請求項2】分子量の異なった髪固定ポリマーの上記重量比が、97:3〜3:97の間にあり、且つ、上記髪固定ポリマーの上記分子量間の差ファクター(difference factor)が、2〜10の範囲内にある請求項1に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項3】上記髪固定ポリマーのうちの少なくとも1つが、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの混合物から成るグループから選択された重合陰イオンカルボキシル基ユニットを有する陰イオン添加ポリマー(anionic additionpolymer)である請求項2に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項4】上記陰イオンポリマーが、1〜22個の炭素原子を有する飽和アルコールとアクリル酸及びメタクリル酸から成るグループから選択された酸とのエステルから成るグループから選択された重合ユニットを有する請求項3に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項5】各髪固定ポリマーが、メタクリル酸とアクリル酸n−ブチルとメタクリル酸エチルとから成るターポリマーである請求項4に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項6】上記アクチュエータ釦の上記出口オリフィスが、0.010インチ(0.25mm)〜0.020インチ(0.51mm)であり、且つ、上記エアゾール弁が、0.010インチ(0.25mm)〜0.016インチ(0.41mm)のステムオリフィスと、0.013インチ(0.33mm)〜0.016インチ(0.41mm)の下端片オリフィスと、0.0055インチ(0.14mm)〜0.012インチ(0.30mm)の蒸気タップオリフィスとを有する請求項1に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項7】ヘアスプレーが、上記出口オリフィスから0.24〜0.34グラム/秒の割合で放出される請求項6に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項8】エアゾールポンプスプレーユニットを備えた容器と、この容器内に封入されたアルコール性のヘアスプレー組成物とから成る改良型ポンプエアゾールヘアスプレーパッケージであって、上記ポンプスプレーユニットは、上記ヘアスプレー組成物に連通している出口オリフィスを備えたアクチュエータ釦を備えている、ものにおいて、上記ポンプスプレーユニットは、0.06〜0.12グラム/ストロークの割合で上記ヘアスプレー組成物を上記出口オリフィスを介して放出可能な低放出率ユニットであり、且つ、上記ヘアスプレー組成物は、上記組成物の1重量%〜10重量%の少なくとも2つの相溶性の髪固定ポリマーの組合せであって重量比が少なくとも99:1〜1:99であるものを含み、上記ポリマーのうちの少なくとも1つのポリマーは、少なくとも1つの他のポリマーに対して重量平均分子量が約2〜10倍異なっており、且つ、上記ポリマーのうちの少なくとも1つのポリマーは、重量平均分子量が少なくとも100,000であり、上記ポリマーの上記重量比は、スプレー組成物粘度であって、上記ポンプスプレーユニットと上記アクチュエータ釦との組合せにより、73±13ミクロンの範囲内の体積平均粒子径を有する放出霧化エアゾールスプレーを上記ヘアスプレーパッケージが結果的に生ずるようなものを結果的に生じ、上記組成物の残部はC2−C4アルコール類と水とそれらの混合物とから成るグループから選択された溶剤を含み、上記ヘアスプレー組成物の全量を基準とした水の含有量は25%以下であり、上記ヘアスプレーパッケージが、(a)0.14〜0.16グラム/ストロークの放出率、(b)同じ範囲内の体積平均粒子径、及び(c)重量で1/2の髪固定ポリマー含有量を有する、より大きなサイズの在来のヘアスプレーパッケージと比較して、ほぼ同じ使用回数を有しているが、1/3〜1/2の量のヘアスプレー組成物しか有していない、ことを特徴とするヘアスプレーパッケージ。
【請求項9】分子量の異なった髪固定ポリマーの上記重量比が、97:3〜3:97の間にあり、且つ、上記髪固定ポリマーの上記分子量間の差ファクター(difference factor)が、2〜10の範囲内にある請求項8に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項10】上記髪固定ポリマーのうちの少なくとも1つが、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの混合物から成るグループから選択された重合陰イオンカルボキシル基ユニットを有する陰イオン添加ポリマー(anionic additionpolymer)である請求項9に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項11】上記陰イオンポリマーが、1〜22個の炭素原子を有する飽和アルコールとアクリル酸及びメタクリル酸から成るグループから選択された酸とのエステルから成るグループから選択された重合ユニットを有する請求項10に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項12】各髪固定ポリマーが、メタクリル酸とアクリル酸n−ブチルとメタクリル酸エチルとから成るターポリマーである請求項11に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項13】ヘアスプレーが、0.07〜0.11グラム/ストロークの割合で上記出口オリフィスから放出される請求項8に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項14】上記溶剤が、エタノールであり、且つ、上記ヘアスプレー組成物が、10%以下の水を含有する請求項8に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項15】各髪固定ポリマーが、少なくとも100,000の重量平均分子量を有する請求項1に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項16】分子量の異なった上記髪固定ポリマーの上記重量比が、97:3〜3:97の間にあり、上記髪固定ポリマーのうちの、どの2つをとっても、それらの上記分子量間の差ファクター(difference factor)が、2〜10の範囲内にあり、且つ、上記髪固定ポリマーが、全組成物の2%〜6%を構成している請求項15に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項17】各髪固定ポリマーが、少なくとも100,000の重量平均分子量を有する請求項8に記載のヘアスプレーパッケージ。
【請求項18】分子量の異なった上記髪固定ポリマーの上記重量比が、97:3〜3:97の間にあり、上記髪固定ポリマーのうちの、どの2つをとっても、それらの上記分子量間の差ファクター(difference factor)が、2〜10の範囲内にあり、且つ、上記髪固定ポリマーが、全組成物の2%〜6%を構成している請求項17に記載のヘアスプレーパッケージ。

【第1図】
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【第2図】
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【特許番号】特許第3249817号(P3249817)
【登録日】平成13年11月9日(2001.11.9)
【発行日】平成14年1月21日(2002.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−503391
【出願日】平成3年1月11日(1991.1.11)
【公表番号】特表平5−503486
【公表日】平成5年6月10日(1993.6.10)
【国際出願番号】PCT/US91/00239
【国際公開番号】WO91/10420
【国際公開日】平成3年7月25日(1991.7.25)
【審査請求日】平成9年9月16日(1997.9.16)
【出願人】(999999999)エス.シー.ジョンソン アンド サン,インコーポレーテッド
【参考文献】
【文献】特開 昭53−107711(JP,A)
【文献】特開 昭54−157841(JP,A)
【文献】特開 昭54−95739(JP,A)
【文献】特表 昭58−500845(JP,A)
【文献】米国特許4871529(US,A)
【文献】米国特許4192862(US,A)