説明

低比重ウレタン系プラスチックレンズ用組成物、それから得られるレンズ、レンズ用樹脂、及びそれらの製造方法

【構成】 イソ(チオ)シアナート化合物と活性水素化合物とを、式(1)


〔式(1)において、A1=イソ(チオ)シアナート化合物の分子量/イソ(チオ)シアナート化合物の官能基数A2=活性水素化合物の分子量/活性水素化合物の官能基数D1=イソ(チオ)シアナート化合物の比重D2=活性水素化合物の比重k =活性水素基/イソ(チオ)シアナト基(モル比)
を表す。〕を満たすよう選択して得られる低比重ウレタン系プラスチックレンズ用組成物。
【効果】 優れた光学物性、及び1.22以下の低比重を有している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、眼鏡用レンズ等の各種光学用レンズなどに要求される良好な光学物性と優れた耐衝撃性をもった低比重ウレタン樹脂系プラスチックレンズ、及び該レンズの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、染色が可能なため近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。現在、これらの目的に広く用いられる樹脂としては、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)(以下、D.A.C と称す)をラジカル重合させたものがある。この樹脂は、耐衝撃性に優れていること、軽量であること、染色性に優れていること、切削性および研磨性等の加工性が良好であること等、種々の特徴を有している。
【0003】しかしながら、この樹脂は、屈折率が無機レンズ(nd=1.52)に比べ、nd=1.50と小さく、ガラスレンズと同等の光学特性を得るためには、レンズの中心厚、コバ厚、および曲率を大きくする必要があり、全体的に肉厚になることが避けられない。このため、D.A.C.と同等の優れた物性を持ち、無機レンズ(nd=1.52)よりも屈折率が高いプラスチックレンズが望まれていた。
【0004】この要求を満足するレンズとして、ポリウレタン系プラスチックレンズが知られている。本発明者らは、このポリウレタン系レンズとして、例えば、特開昭63−46213号公報において、キシリレンジイソシアナート化合物とポリチオール化合物との重合物からなるポリウレタン系レンズを提案しており、眼鏡用レンズなどの光学用レンズとして広く普及している。
【0005】ところが、近年それら物性に加え、低比重化が求められるようになってきた。このさらなる要求に答えるべく、本発明者らは、特開平2−270859号公報中で、イソホロンジイソアナート(以下、IPDiと略す。)と1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン(以下、GSTと略す。)からなるウレタン系プラスチックレンズを提案した。
【0006】このIPDiとGSTからなるプラスチックレンズの比重は、1.23で、従来のウレタン系プラスチックレンズよりは、かなり比重は小さかったが、さらなる低比重の要求には、充分答えられるものではなかった。その為、更に低比重のウレタン系プラスチックレンズの開発が強く望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れた光学物性を持つウレタン系プラスチックレンズの比重を改良し、低比重のウレタン系プラスチックレンズを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、驚くべき事に下記式(1)を満足する組成物を重合して得られたウレタン系プラスチックレンズが優れた光学物性を有し、なおかつ比重が1.22以下の低比重となる事を見出し、本発明に到達した。
【0009】即ち、本発明は、イソ(チオ)アナート化合物と活性水素化合物とを、式(1)
【0010】
【数2】


【0011】〔式(1)において、A1=イソ(チオ)シアナート化合物の分子量/イソ(チオ)シアナート化合物の官能基数A2=活性水素化合物の分子量/活性水素化合物の官能基数D1=イソ(チオ)シアナート 化合物の比重D2=活性水素化合物の比重k =活性水素基/イソ(チオ)シアナト基(モル比)
を表す。〕
【0012】を満たすよう選択した組成物、該組成物を混合、加熱硬化することを特徴とする、低比重ウレタン樹脂系プラスチックレンズの製造方法、及びその製造方法によって得られたプラスチックレンズである(但し、イソ(チオ)シアナート化合物及び活性水素化合物が2種以上の混合物の場合、A1,D1,A2,D2は、それらの加重平均である。)。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明のレンズ用組成物は、イソシアナート化合物、イソチオシアナート化合物、及びイソシアナト基を有するイソチオシアナート化合物から選ばれたイソ(チオ)シアナート化合物の1種又は2種以上と、ヒドロキシ化合物、メルカプト化合物、及びヒドロキシ基を有するメルカプト化合物から選ばれた活性水素化合物の1種又は2種以上を含むものである。
【0014】本発明において用いられるイソ(チオ)シアナート化合物としては、モノイソシアナート化合物、モノイソチオシアナート化合物、ポリイソシアナート化合物、ポリイソチオシアナート化合物イソシアナト基を有するイソシアナート化合物が挙げられる。モノイソシアナート化合物としては、例えば、フェニルイソシアナート、ブチルイソシアナート、シクロヘキシルイソシアナート等が挙げられ、モノイソチオシアナート化合物としては、例えばフェニルイソチオシアナート、ブチルイソチオシアナート、シクロヘキシルイソチオシアナート等が挙げられる。更にこれら化合物の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体もまた使用できる。これらはそれぞれ単独で用いることも、2種以上混合して用いることも出来る。
【0015】ポリイソシアナート化合物としては、例えば、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、オクタメチレンジイソシアナート、ノナメチレンジイソシアナート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアナート、デカメチレンジイソシアナート、ブテンジイソシアナート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,6,11−ウンデカトリイソシアナート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアナート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアナート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチリレントリイソシアナート、2,6−ジ(イソシアナトメチル)フラン等の脂肪族ポリイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、シクロヘキサンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアナート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ビス(4−イソシアナト−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、ダイマ酸ジイソシアナート、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ〔2,1,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン等の脂環族ポリイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、エチルフェニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナート、ジエチルフェニレンジイソシアナート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアナート、トリメチルベンゼントリイソシアナート、ベンゼントリイソシアナート、ナフタリンジイソシアナート、メチルナフタレンジイソシアナート、ビフェニルジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ビベンジル−4,4’−ジイソシアナート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポリメリックMDI、ナフタリントリイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアナート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアナート、4−メチル−ジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアナート、フェニルイソシアナトメチルイソシアナート、フェニルイソシアナトエチルイソシアナート、テトラヒドロナフチレンジイソシアナート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアナート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルエーテルジイソシアナート、エチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアナート、1,3−プロピレングリコールジフェニルエーテルジイソシアナート、ベンゾフェノンジイソシアナート、ジエチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアナート、ジベンゾフランジイソシアナート、カルバゾールジイソシアナート、エチルカルバゾールジイソシアナート、ジクロロカルバゾールジイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、チオジエチルジイソシアナート、チオジプロピルジイソシアナート、チオジヘキシルジイソシアナート、ジメチルスルフォンジイソシアナート、ジチオジメチルジイソシアナート、ジチオジエチルジイソシアナート、ジチオジプロピルジイソシアナート、ジシクロヘキシルスルフィド−4,4’−ジイソシアナート等の含硫脂肪族イソシアナート、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアナート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナトジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナトメチルベンゼン)スルフィド、4,4’−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,3’−ジイソシアナートなどの芳香族スルフィド系イソシアナート、ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアナート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアナートなどの芳香族ジスルフィド系イソシアナート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、ベンジディンスルホン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアナート、4−メチルジフェニルメタンスルホン−2,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナートジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−メトキシベンゼンエチレンジスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナートなどの芳香族スルホン系イソシアナート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステルなどのスルホン酸エステル系イソシアナート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド−3’−メチル−4’−イソシアナート、ジベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−メトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアナート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアナートなどの芳香族スルホン酸アミド、チオフェン−2,5−ジイソシアナート、チオフェン−2,5−ジイソシアナトメチル、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアナート、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオラン、ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン等の含硫複素環化合物などが挙げられる。
【0016】またこれらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等もまた使用できる。
【0017】本発明において用いられるポリイソチオシアナート化合物は、一分子中に−NCS基を2つ以上含有する化合物であり、さらにイソチオシアナト基の他に硫黄原子を含有していてもよい。
【0018】具体的には、例えば、1,2−ジイソチオシアナトエタン、1,3−イソチオシアナトプロパン、1,4−ジイソチオシアナトブタン、1、6−ジイソチオシアナトヘキサン、p−フェニレンジイソプロピリデンジイソチオシアナート等の脂肪族イソチオシアナート、シクロヘキサンジイソチオシアナート等の脂環族イソチオシアナート、1,2−ジイソチオシアナトベンゼン、1,3−ジイソチオシアナトベンゼン、1,4−ジイソチオシアナトベンゼン、2,4−ジイソチオシアナトトルエン、2,5−ジイソチオシアナト−m−キシレン、4,4’−ジイソチオシアナト−1,1’−ビフェニル、1,1’−メチレンビス(4−イソチオシアナトベンゼン)、1,1’−メチレンビス(4−イソチオシアナト−2−メチルベンゼン)、1,1’−メチレンビス(4−イソチオシアナト−3−メチルベンゼン)、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(4−イソチオシアナトベンゼン)、4,4’−ジイソチオシアナトベンゾフェノン、4,4’−ジイソチオシアナト−3,3’−ジメチルベンゾフェノン、ベンズアニリド−3,4’−ジイソチオシアナート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソチオシアナート、ジフェニルアミン−4,4’−ジイソチオシアナート等の芳香族イソチオシアナート、2,4,6−トリイソチオシアナト−1,3,5−トリアジン等の複素環含有イソチオシアナート、さらにはヘキサンジオイルジイソチオシアナート、ノナンジオイルジイソチオシアナート、カルボニックジイソチオシアナート、1,3−ベンゼンジカルボニルジイソチオシアナート、1,4−ベンゼンジカルボニルジイソチオシアナート、(2,2’−ビピリジン)−4,4’−ジカルボニルジイソチオシアナート等のカルボニルイソチオシアナートが挙げられる。
【0019】本発明に於いて原料として用いるイソチオシアナト基の他に1つ以上の硫黄原子を有する2官能以上のポリイソチオシアナートとしては、例えば、チオビス(3−イソチオシアナトプロパン)、チオビス(2−イソチオシアナトエタン)、ジチオビス(2−イソチオシアナトエタン)等の含硫脂肪族イソチオシアナート、1−イソチオシアナト−4−{(2−イソチオシアナト)スルホニル}ベンゼン、チオビス(4−イソチオシアナトベンゼン)、スルホニルビス(4−イソチオシアナトベンゼン)、スルフィニルビス(4−イソチオシアナトベンゼン)、ジチオビス(4−イソチオシアナトベンゼン)、4−イソチオシアナト−1−{(4−イソチオシアナトフェニル)スルホニル}−2−メトキシ−ベンゼン、4−メチル−3−イソチオシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソチオシアナトフェニルエステル、4−メチル−3−イソチオシアナトベンゼンスルホニルアニリド−3’−メチル−4’−イソチオシアナートなどの含硫芳香族イソチオシアナート、チオフェノン−2,5−ジイソチオシアナート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソチオシアナートなどの含硫複素環化合物が挙げられる。
【0020】さらに、これらのポリイソチオシアナートの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等もまた使用できる。本発明に於いて原料として用いるイソシアナト基を有するイソチオシアナート化合物としては、例えば、1−イソシアナト−3−イソチオシアナトプロパン、1−イソシアナト−5−イソチオシアナトペンタン、1−イソシアナト−6−イソチオシアナトヘキサン、イソシアナトカルボニルイソチオシアナート、1−イソシアナト−4−イソチオシアナトシクロヘキサンなどの脂肪族あるいは脂環族化合物、1−イソシアナト−4−イソチオシアナトベンゼン、4−メチル−3−イソシアナト−1−イソチオシアナトベンゼンなどの芳香族化合物、2−イソシアナト−4,6−ジイソチオシアナト−1,3,5−トリアジンなどの複素環式化合物、さらには4−イソシアナト−4’−イソチオシアナトジフェニルスルフィド、2−イソシアナト−2’−イソチオシアナトジエチルジスルフィド等のイソチオシアナト基以外にも硫黄原子を含有する化合物が挙げられる。
【0021】さらに、これら化合物の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等もまた使用できる。
【0022】これらイソ(チオ)シアナート化合物群の中でも、特に、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソアナート、及びそれらイソアナートのビュレット変性体、トリマー変性体を用いた場合は、好ましい結果を与える事が多い。これらイソ(チオ)シアナート化合物はそれぞれ単独で用いることも、または2種類以上を混合して用いてもよい。
【0023】本発明に用られる活性水素化合物としては、ヒドロキシ化合物、メルカプト化合物又はヒドロキシ基を有するメルカプト化合物が挙げられる。
【0024】ヒドロキシ化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ベンジルアルコール、フェノール、フェニルフェノール、エトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリペロール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ〔5,2,1,0,2,6〕デカン−ジメタノール、ビシクロ〔4,3,0〕−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカンジオール、ビシクロ〔4,3,0〕ノナンジメタノール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカン−ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカノール、スピロ〔3,4〕オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクチトール等の脂肪族ポリオール、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)等の芳香族ポリオール、ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化ポリオール、エポキシ樹脂等の高分子ポリオールの他にシュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、プロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、β−オキソシクロヘキサンプロピオン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、3−ブロモプロピオン酸、2−ブロモグリコール、ジカルボキシシクロヘキサン、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、ブロモフタル酸などの有機酸と前記ポリオールとの縮合反応生成物、前記ポリオールとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどアルキレンオキサイドとの付加反応生成物、アルキレンポリアミンとエチレンオキサイドや、プロピレンオキサイドなどアルキレンオキサイドとの付加反応生成物、さらには、ビス−〔4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−(4−ヒドロキシシクロヘキシロキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔2−メチル−4−(ヒドロキシエトキシ)−6−ブチルフェニル〕スルフィドおよびこれらの化合物に水酸基当たり平均3分子以下のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加された化合物、ジ−(2−ヒドロキシエチル)スルフィド、1,2−ビス−(2−ヒドロキシエチルメルカプト)エタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、1,4−ジチアン−2,5−ジオール、ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)スルフィド、テトラキス(4−ヒドロキシ−2−チアブチル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(商品名ビスフェノールS)、テトラブロモビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、3,6−ヂチアオクタン−1,8−ジオール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルチオエチル)−シクロヘキサンなどの硫黄原子を含有したポリオール等が挙げられる。
【0025】また、メルカプト化合物としては、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、チオフェノール、ベンジルチオ−ル、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール(トリチオグリセリン)、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジメルカプタン、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、ビシクロ〔2,2,1〕ペプタ−exo−cis−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)等の脂肪族ポリチオール、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン(o−キシリレンジチオール)、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン(m−キシリレンジチオール)、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン(p−キシリレンジチオール)、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、 1,4−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール、また、2,5−ジクロロベンゼン−1,3−ジチオール、1,3−ジ(p−クロロフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、3,4,5−トリブロム−1,2−ジメルカプトベンゼン、2,3,4,6−テトラクロル−1,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン等の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換芳香族ポリチオール、また、2−メチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−エチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−モルホリノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−フェノキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオベンゼンオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオブチルオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン等の複素環を含有したポリチオール、さらには1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド等、及びこれらの核アルキル化物等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピル)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、2−メルカプトエチルチオ−1,3−プロパンジチオール、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール、3,4−チオフェンジチオール、2,5−ビス(メルカプトメチル)テトラヒドロチオフェン、ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環化合物等が挙げられる。
【0026】また、ヒドロキシ基を有するメルカプト化合物としては、例えば、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(ジチオグリセリン)、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−メルカプトジフェニルスルホン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチル−トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等が挙げられる。
【0027】さらには、これら活性水素化合物の塩素置換体、臭素置換体のハロゲン置換体を使用してもよい。
【0028】これら活性水素化合物群の中でも、特に、グリセリン、チオグリセリン、ジチオグリセリン、トリチオグリセリン、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジメルカプタン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、キシリレンジチオール、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)を用いた場合は、好ましい結果を与える事が多い。これら活性水素化合物は、それぞれ単独で用いることも、または2種類以上を混合して用いてもよい。
【0029】前記の活性水素化合物とイソ(チオ)シアナート化合物との配合比率は、官能基モル比(SH+OH)/(NCO+NCS)で0.9〜1.1の範囲内が好ましい。0.9未満及び1.1を越えた場合、低比重の樹脂が得られなかったり、樹脂の耐熱性が損なわれたりする場合があり、好ましくない結果を与える事がある。
【0030】本発明のプラスチックレンズはウレタン系樹脂を素材とするものであり、イソ(チオ)シアナト基と活性水素基によるウレタン結合を主体とするが、目的によっては、それ以外にアロハネート結合、ウレア結合、チオウレア結合、ビュウレット結合等を含有しても、勿論差し支えない。
【0031】例えば、ウレタン結合にさらにイソシアナト基を反応させたり、ジチオウレタン結合にさらにイソチオシアナト基を反応させて架橋密度を増大させることは好ましい結果を与える場合が多い。この場合には反応速度を少なくとも100℃以上に高くし、イソシアナート成分又はイソチオシアナート成分を多く使用する。あるいはまた、アミン等を一部併用し、ウレア結合、ビウレット結合を利用することもできる。このようにイソ(チオ)シアナート化合物と反応する前記活性水素化合物以外のものを使用する場合には、特に着色の点に留意する必要がある。
【0032】その他に、樹脂の改質を目的として、オレフィン化合物及びエポキシ化合物等を配合しても一向に差し支えない。
【0033】オレフィン化合物としては、例えばメタクリル酸メチル、スチレン、ジビニルベンゼン、5−ビニルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ジシクロペンタジエン、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、アリルメタクリレート、グリセロールジアリルエーテル、ビスフェノールAビス(メタクリロキシエチル)、グリセリンジメタクリレート、ブタジエン、イソプレン、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアナート等が挙げられる。
【0034】エポキシ化合物としては、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−エポキシ−p−ビニルシクロヘキセン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン−カルボキシレート、トリグリシジルイソシアヌレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジシクロヘキシルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルイソホロンジアミン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルシクロヘキシルアミン、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート等が挙げられる。
【0035】更にこれら改質剤は、塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、プレポリマー型変性体等もまた使用できる。
【0036】また目的に応じて公知の成形法におけると同様に、内部離型剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶染料、充填剤などの種々の物質を添加してもよい。
【0037】所望の反応速度に調整するために、公知のウレタン反応触媒、ラジカル重合触媒、エポキシ硬化触媒、エポキシ硬化剤等を適宜に添加することもできる。
【0038】本発明のレンズは、通常、注型重合により得られる。具体的には、式(1)を満足する組み合わせのイソ(チオ)シアナート化合物と活性水素化合物とを混合し、この混合液を必要に応じ適当な方法で脱泡を行なった後、モールド中に注入し、通常、0〜50℃程度の低温から100〜180℃程度の高温に徐々に昇温しながら重合させる。この際、重合後の離型性を容易にするため、モールドに公知の離型処理を施しても差し支えない。
【0039】このようにして得られる本発明に係るウレタン系樹脂は、無色透明で、比重が1.22以下と低比重で、高屈折率、低分散である特徴を有しており、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子材料やグレージング材料、塗料、接着剤の材料として好適である。また、本発明に係るウレタン系樹脂を素材とするレンズは、必要に応じ反射防止、高硬度付与、耐磨耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるいはファッション性付与等の改良を行なうため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理、調光処理等の物理的あるいは化学処理を施すことができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。なお、得られたレンズの屈折率、アッベ数、比重、外観は以下の試験法により評価した。
●屈折率、アッベ数;プルフリッヒ屈折計を用い、20℃で測定した。
●比 重 ;アルキメデス法により測定した。
●外 観 ;目視により観察した。
【0041】実施例1イソホロンジイソシアナート(以下IPDiと略す)46.6部(0.210モル)、チオグリセリン(以下TGと略す)8.0部(0.074モル)、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド(以下MESと略す)12.0部(0.078モル)とジブチル錫ジクロライド0.4重量%(混合物全体に対して)を混合し脱泡して均一溶液とした後、離型処理を施したガラスモールドとガスケットからなるモールド型に注入した。次いで、30℃から130℃まで徐々にに昇温しながら24時間かけて加熱硬化させた。重合終了後、冷却して、レンズをモールドより取り出した。得られたプラスチックレンズは無色透明であり、屈折率nd=1.545、アッベ数νd=46、比重d=1.17であった。尚、式(1)のkの値は0.900であった。また、式(1)による組成物の計算値は1.105で、1.136以下であった。結果を表1にも示す。
【0042】実施例2〜28、比較例1〜7実施例1と同様にしてウレタン系プラスチックレンズの製造を行った。実施例の結果を表1に、比較例の結果を表2に示す。
【0043】
【表1】


【0044】
【表2】


【0045】
【表3】


【0046】
【表4】


【0047】
【表5】


【0048】IPDi;イソホロンジイソシアナートHMDi;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナートHDi ;ヘキサメチレンジイソシアナートTMDi;トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートTMXDi;α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナートXDi ;キシリレンジイソシアナートG ;グリセリンTG ;チオグリセリンDTG ;ジチオグリセリンTTG ;トリチオグリセリンMES ;ビス(2−メルカプトエチル)スルフィドTMP ;トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)
DOM :3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジメルカプタンEGTP;エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)
BDTP;ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)
PEMP;ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
GST ;1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−プロパンチオールEDT ;1,2−エタンジチオールXDT ;キシリレンジチオール
【0049】
【発明の効果】本発明の方法で得られたウレタン系プラスチックレンズは優れた光学物性、及び1.22以下の低比重を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 イソ(チオ)シアナート化合物と活性水素化合物とを、式(1)
【数1】


〔式(1)において、A1=イソ(チオ)シアナート化合物の分子量/イソ(チオ)シアナート化合物の官能基数A2=活性水素化合物の分子量/活性水素化合物の官能基数D1=イソ(チオ)シアナート化合物の比重D2=活性水素化合物の比重k =活性水素基/イソ(チオ)シアナト基(モル比)
を表す。〕を満たすよう選択して得られる低比重ウレタン系プラスチックレンズ用組成物。
【請求項2】 請求項1において、k=0.9〜1.1であることを特徴とする、低比重ウレタン系プラスチックレンズ用組成物。
【請求項3】 請求項1において、活性水素化合物がヒドロキシ化合物、メルカプト化合物、及びヒドロキシ基を有するメルカプト化合物から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする低比重ウレタン系プラスチックレンズ用組成物。
【請求項4】 イソ(チオ)シアナート化合物が、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、及びそれらイソシアナートのビュウレット変性体、トリマー変性体から選ばれた1種又は2種以上、又は活性水素化合物が、グリセリン、チオグリセリン、ジチオグリセリン、トリチオグリセリン、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジメルカプタン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、キシリレンジチオール、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)から選ばれた1種または2種以上の少なくとも何れか一方を含むことを特徴とする請求項1記載の低比重ウレタン系プラスチックレンズ用組成物。
【請求項5】 請求項1に記載の組成物を鋳型内で重合させることを特徴とする低比重ウレタン系プラスチックレンズの製造方法。
【請求項6】 請求項5に記載の方法よって得られた低比重ウレタン系プラスチックレンズ。