説明

住宅のユーティリティルーム廻りの構造

【課題】 ユーティリティルームで洗濯した洗濯物を屋外側へ容易に運ぶことができるとともに、厨房から屋外側への移動も容易に行える住宅のユーティリティルーム廻りの構造を提供すること。
【解決手段】 住宅1の隅部Aに勝手口23を設け、この勝手口23に隣接してユーティリティルーム15を配置するとともに、該ユーティリティルーム15に隣接して脱衣室14と厨房11とを設けた住宅のユーティリティルーム廻りの構造。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅のユーティリティルーム廻りの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、洗濯機は住宅の裏庭等の屋外側に配置することが多かったが、その場合、屋内の脱衣室等で脱衣した衣類を屋外に配置した洗濯機まで持ち運ぶのに手間が掛かるとともに、冬季等には寒さ等のため屋外での洗濯作業に苦痛が伴うものであった。
【0003】そこで、近年、屋内側に洗濯機を配置するためのユーティリティルームを設けるとともに、必要により、このユーティリティルーム内にアイロン掛けや洗濯物の収納等を行うためのスペースを設けた住宅が増加しつつある。このユーティリティルームは、通常、浴室の隣りの脱衣室に隣接させて配置するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、屋内側のユーティリティルーム内で洗濯を行った場合も、洗濯物を屋外で乾燥させる場合、洗濯物をユーティリティルームから屋外まで運ぶのに手間が掛かる問題があった。また、特に寒冷地等では、冬季等には寒さや積雪等のために屋外側で物干しを行うことが困難なものであった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記した不具合を解消するため、ユーティリティルームで洗濯した洗濯物を屋外側へ容易に運ぶことができるとともに、厨房から屋外側への移動も容易に行える住宅のユーティリティルーム廻りの構造を提供することを目的とするものである。
【0006】そのため、本発明の請求項1に係る住宅のユーティリティルーム廻りの構造は、住宅の隅部に勝手口を設け、この勝手口に隣接してユーティリティルームを配置するとともに、該ユーティリティルームに隣接して脱衣室と厨房とを設けたことを特徴とするものである。
【0007】上記の構成によれば、ユーティリティルーム内で洗濯を行った後、この洗濯物をユーティリティルームに隣接する勝手口から屋外へ持ち運んで物干しを行うことができる。また、厨房から屋外側への移動は、厨房に隣接したユーティリティルームから勝手口を介して行うことができる。
【0008】請求項2に係る住宅のユーティリティルーム廻りの構造は、請求項1の構成において、上記住宅の隅部にコーナ室を設け、このコーナ室に上記勝手口を設けたことを特徴とするものである。
【0009】請求項3に係る住宅のユーティリティルーム廻りの構造は、請求項2の構成において、上記コーナ室内に収納スペースを設け、この収納スペースを開閉する扉を配設したことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態に係る住宅を図面に基いて説明する。図1に2階建ての住宅1の1階部分の平面図を示すように、住宅1の玄関2の奥側にはホール3を設け、このホール3の左側には2つの和室4、5とタンス置場6等を設けている。
【0011】ホール3の右側には、図示しない2階部分へ通じる階段7を配設するとともに、玄関2の右側には居間8を設け、この居間8の奥側に家事作業室9を設けている。また、居間8の右側には和室10を配置し、和室10の奥側に厨房11を設けている。
【0012】さらに、階段7の奥側に便所12を設け、便所12の右側に順次、浴室13、洗面兼脱衣室14(脱衣室)、ユーティリティルーム15及びコーナ室16を設けている。なお、コーナ室16は住宅1の一つの隅部Aに位置している。
【0013】図2に示すように、ユーティリティルーム15内には洗濯機17を設置するとともに、蛇口18を有する洗濯流し19を設けている。また、洗濯機17の上方には洗剤等を収納するための棚21を配設するとともに、洗濯機17に隣接して洗濯済の衣類等を収納するための収納ボックス22を配置している。なお、収納ボックス22には回動式の蓋体22aを開閉自在に取り付けている。
【0014】コーナ室16には屋外側に通じる勝手口23を設け、この勝手口23には左右一対の引戸24を開閉自在に配設している。一方、図3に示すように、コーナ室16内の勝手口23と対向する厨房11寄りの位置には、押入れ形式の収納スペース25を設け、且つこの収納スペース25を開閉する左右一対の引戸26(扉)を配設している。また、収納スペース25の左側に隣接して幅の狭い収納スペース27を設け、収納スペース27を開閉するための回動式の扉28を取り付けている。
【0015】なお、図2から明らかなように、ここではユーティリティルーム15とコーナ室16との間には間仕切り壁を設けていないが、ユーティリティルーム15とコーナ室16との間に間仕切り壁を設けてこの間仕切り壁にドア等を配設したり、ユーティリティルーム15とコーナ室16との間を引戸等で仕切るようにしてもよい。
【0016】上記の構成において、洗面兼脱衣室14内で脱衣した衣服等はユーティリティルーム15へ運び、洗濯機17により洗濯する。洗濯済の衣類等は、通常は、コーナ室16の勝手口23から屋外へ運び、屋外で乾燥させることができる。このように、ユーティリティルーム15に隣接して勝手口23を設けているので、洗濯物を屋外へ運ぶ作業を容易に行える。
【0017】また、冬季や雨天等で屋外での物干しが行えない場合、ユーティリティルーム15に隣接するコーナ室16内で洗濯物を乾燥させることができる。このコーナ室16は住宅1の隅部Aに位置しているので、乾燥中の洗濯物が人目に付きにくい利点がある。
【0018】乾燥済の洗濯物は、例えば、家事作業室9内等でアイロン掛けをした後、ユーティリティルーム15内の収納ボックス22に収納したり、他の部屋のタンス等に収納することができる。また、厨房11から屋外側への移動を要する場合は、厨房11に隣接するユーティリティルーム15を介して勝手口23から容易に屋外との間で出入りすることができる。
【0019】さらに、コーナ室16内に収納スペース25、27を設けたので、屋内または屋外で使用する各種備品、道具類を収納スペース25、27に収納することができ、特に、屋外で使用する道具類等を収納スペース25、27に収納することにより、盗難等を防止しながら安全に保管できるとともに、勝手口23の位置するコーナ室16内に収納スペース25、27を設けたので、屋外側で使用する道具類等の出入れも容易に行える利点がある。
【0020】次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図4に2階建て住宅の1階部分の概略平面図を示すように、住宅31の玄関32の奥側にホール33を設け、このホール33の右側に隣接して2つの和室34、35等を配設している。
【0021】また、ホール33の左側に隣接して和室36を設けるとともに、和室36の左側に隣接して、手前側から順次、居間37、食堂38及び厨房39を設けている。厨房39の奥側に隣接した住宅31の一つの隅部Bには、ユーティリティルーム40を配設し、このユーティリティルーム40に屋外側と通じる勝手口41を設けるとともに、勝手口41には回動式のドア42を配設している。
【0022】さらに、ユーティリティルーム40の右側に隣接して順次、洗面兼脱衣室43、浴室44及び便所45を設けるとともに、ホール33内には図示しない2階部分に通じる階段46を配設している。
【0023】ユーティリティルーム40内の手前側位置には、洗濯機47と、洗濯済の衣類等を収納するための収納ボックス48とを配設している。また、図5に示すように、ユーティリティルーム40内の奥側位置には、勝手口41に隣接させてアイロン台50を配置している。
【0024】この実施の形態でも、ユーティリティルーム40内で洗濯した洗濯物を勝手口41から容易に屋外側へ運んで物干しを行うことができるとともに、勝手口41の位置するユーティリティルーム40と厨房39とが隣接しているので、厨房39から屋外側への移動も容易に行える。
【0025】また、乾燥済の洗濯物は、例えば、ユーティリティルーム40内のアイロン台50を用いてアイロン掛けを行い、ユーティリティルーム40内の収納ボックス48や他の部屋のタンス等に収納することができる。
【0026】なお、上記した各実施の形態における住宅1、31の間取りは単なる例示であって、住宅の一つの隅部に勝手口が位置しており、この勝手口に隣接してユーティリティルームが、さらに該ユーティリティルームに隣接して厨房及び脱衣室が位置していれば、任意の間取りとすることができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1に係る住宅のユーティリティルーム廻りの構造は、住宅の隅部に勝手口を設け、この勝手口の隣接してユーティリティルームを配置するとともに、該ユーティリティルームに隣接して脱衣室と厨房とを設けたものであるから、脱衣室で脱衣した衣類等を隣接するユーティリティルームへ運んで洗濯した後、洗濯物を勝手口から屋外側へ運んで屋外側で乾燥させることができる。
【0028】この場合、脱衣室とユーティリティルームは隣接しているので、脱衣した衣類等のユーティリティルームへの運搬が容易であるとともに、ユーティリティルームで洗濯した洗濯物も隣接する勝手口から容易に屋外へ持ち運ぶことができ、且つ乾燥済の洗濯物をユーティリティルーム内で保管する場合も、屋外側からユーティリティルームへの移動が容易である。さらに、厨房から屋外側へ移動する場合も、厨房に隣接するユーティリティルームを介して上記勝手口から容易に屋外側へ移動することができる。
【0029】請求項2に係る住宅のユーティリティルーム廻りの構造は、請求項1の構成において、上記住宅の隅部にコーナ室を設け、このコーナ室に上記勝手口を設けたものであるから、冬季や雨天時等に屋外側で物干しを行うことができない場合は、ユーティリティルームに隣接したコーナ室内で洗濯物を乾燥させることができる利点がある。この場合、コーナ室は住宅の隅部に位置しているので、乾燥中の洗濯物は人目に付きにくく、見栄えを損なうことがない。
【0030】請求項3に係る住宅のユーティリティルーム廻りの構造は、請求項2の構成において、上記コーナ室内に収納スペースを設け、この収納スペースを開閉する扉を配設したものであるから、この収納スペース内に屋内側または屋外側で使用する各種備品類、道具類等を収納することができ、特に、屋外側で使用する道具類等をコーナ室内の収納スペースに収納することにより、盗難等を防止して安全に保管することが可能となるとともに、勝手口が位置する上記コーナ室に収納スペースを設けたので、屋外側から上記収納スペースへの道具類等の出入れも容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る住宅の1階部分を示す概略平面図。
【図2】上記住宅のユーティリティルーム及びコーナ室の奥側を示す概略斜視図。
【図3】上記住宅のコーナ室の手前側を示す概略斜視図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る住宅の1階部分を示す概略平面図。
【図5】図4の住宅のユーティリティルーム内の奥側を示す概略斜視図。
【符号の説明】
1、31 住宅
11、39 厨房
14、43 洗面兼脱衣室(脱衣室)
15、40 ユーティリティルーム
16 コーナ室
23、41 勝手口
25、27 収納スペース
26 引戸(扉)
28 扉
A、B 隅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 住宅の隅部に勝手口を設け、この勝手口に隣接してユーティリティルームを配置するとともに、該ユーティリティルームに隣接して脱衣室と厨房とを設けたことを特徴とする住宅のユーティリティルーム廻りの構造。
【請求項2】 上記住宅の隅部にコーナ室を設け、このコーナ室に上記勝手口を設けたことを特徴とする請求項1記載の住宅のユーティリティルーム廻りの構造。
【請求項3】 上記コーナ室内に収納スペースを設け、この収納スペースを開閉する扉を配設したことを特徴とする請求項2記載の住宅のユーティリティルーム廻りの構造。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−96840(P2000−96840A)
【公開日】平成12年4月4日(2000.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−262652
【出願日】平成10年9月17日(1998.9.17)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】