説明

住宅模型

【課題】 住宅設計にあたって住宅内部の有効空間(居住空間、収納空間等)の状況を一目で確認、把握でき、レイアウト変更による比較検討等も簡単に行える住宅模型を得る。
【解決手段】 住宅模型10は、居住空間モジュール11〜13と、収納空間モジュール14,15と、吹き抜け空間モジュール16と、屋根モジュール17を備える。居住空間モジュール、収納空間モジュール、吹き抜け空間モジュールは、全体がほぼ四角形の箱体として形成され、上面および側面が透明板材で構成され、各モジュールの透明板材は色違いに構成される。居住空間モジュール、収納空間モジュールは、底面が不透明材で構成され、各モジュールの不透明材も色違いに構成される。収納空間モジュールと吹き抜け空間モジュールは、居住空間モジュールの高さより低くく、しかも互いに等しい高さに形成される。これらのモジュールは、適宜の組み合わせで積層、並設して組み立てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅設計を行う際に住宅内部の有効空間を確認、把握するために用いて好適な住宅模型に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅を新規に建てるための住宅設計の際に、建て主は、住宅内部の居住スペースや収納スペースがどのような配置になっているか、どの位のスペース割合となっているか、等を確認、把握できることが望まれる。
【0003】
従来一般には、設計図面、住宅模型、あるいは住宅レイアウト描画用ソフトなどによるコンピュータ処理画像等を見て確認、把握しているが、一長一短がある。すなわち、上述した設計図面やコンピュータ処理画像等では、平面的な間取りや外観形状は比較的簡単に把握できるも、住宅内部の有効空間の状況を一目で確認、把握することは難しい。また、住宅模型等にあっても、住宅の外観や間取り等の把握はできるが、住宅内部の空間の利用状態を一目で確認、把握することは難しい。
【0004】
従来からこの種の住宅模型としては種々の構造のものが知られているが、その中でも、住宅設計を行うに際しての間取り設計と立体的な形状の認識とを可能とするものとして、たとえば単位空間からなる住宅設計キューブを適宜の箇所で連結することにより得られる立体模型と、レイアウトが表示された複数のレイアウト板とを用いた構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−293059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来構造の住宅設計キューブでは、平面的な間取りや立体的な形状の認識はある程度行えるものの、組立てが面倒な割りには、住宅内部の状況、特に居住スペース、収納スペースといった有効空間の利用状況を把握出来にくい等といった不具合があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、住宅設計にあたって、住宅内部の有効空間(居住空間、収納空間等)の状況を一目で確認、把握でき、しかもレイアウト変更による比較検討等もきわめて簡単に行える住宅模型を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係る住宅模型は、居住空間を形成する居住空間モジュールと、収納空間を形成する収納空間モジュールと、吹き抜け空間を形成する吹き抜け空間モジュールと、屋根を形成する屋根モジュールとを備え、居住空間モジュール、収納空間モジュール、吹き抜け空間モジュールは、全体がほぼ四角形状を呈する箱体として形成され、上面および側面が透明板材によって構成されるとともに、それぞれのモジュールの透明板材は、異なる色をもつように構成され、居住空間モジュール、収納空間モジュールは、底面が不透明材で構成されるともに、これらのモジュールの不透明材もそれぞれ異なる色をもつように構成されており、収納空間モジュールと吹き抜け空間モジュールは、前記居住空間モジュールの高さより低い高さで互いに等しい高さをもち、収納空間モジュールは居住空間モジュールの上側または下側に、吹き抜け空間モジュールは居住空間モジュールの上側に位置するようなレイアウト構造をもって、各モジュールを積層または並設して組み合わせるとともに、最上部に前記屋根モジュールを載せることにより組み立てられるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明(請求項2記載の発明)に係る住宅模型は、請求項1記載の住宅模型において、小屋裏空間モジュールと小屋裏収納空間モジュールとを備え、これらの小屋裏空間モジュール、小屋裏収納空間モジュールは、全体がほぼ三角形の箱体として形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明に係る住宅模型によれば、色違いの透明板材等からなるほぼ四角形状の箱体として構成される居住空間モジュール、収納空間モジュール、吹き抜け空間モジュールと、屋根モジュールとを適宜のレイアウト構造をもって積層、並設して組み合わせることにより組み立てるように構成しているから、簡単な構成であるにもかかわらず、居住空間や収納空間などを適宜のレイアウト構造に組み合わせて組み立てることがきわめて簡単に行えるばかりでなく、住宅内部での居住スペースや収納スペース等といった有効空間の状況を、一目で確認、把握することができる。さらに、このような構成によれば、住宅のレイアウトを任意に変更して比較検討することがきわめて簡単に行えるものであり、住宅を設計する際に有効な住宅模型を提供し得るものである。
【0011】
さらに、本発明によれば、側面視ほぼ三角形の箱体として形成される小屋裏空間モジュールと小屋裏収納空間モジュールとを備えているから、上述した作用効果をより一層発揮させることができる住宅模型を得ることができ、誰でもが簡単にしかも確実に住宅内部の有効空間の状況を一目で確認、把握できるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1、図2(a)〜(i)および図3は本発明に係る住宅模型の一実施形態を示すものであり、この実施形態では、小屋裏にも収納空間をもつ二階建て住宅である場合を説明する。
【0013】
これらの図において、全体を符号10で示す住宅模型は、図2から明らかなように、居住空間を形成する居住空間モジュール11,12,13と、収納空間を形成する収納空間モジュール14,15と、吹き抜け空間を形成する吹き抜け空間モジュール16と、屋根を形成する屋根モジュール17と、小屋裏空間モジュール18と、小屋裏収納空間モジュール19とを備えている。
【0014】
前記居住空間モジュール11〜13、収納空間モジュール14,15、吹き抜け空間モジュール16は、アクリル樹脂材等によって全体がほぼ四角形状を呈する箱体として形成されている。そして、これらの各モジュール11〜16は、その上面11a,12a,13a,14a,15a,16aおよび側面11b,11c,11d,11e;12b,12c,12d,12e;13b,13c,13d,13e;14b,14c,14d,14e;15b,15c,15d,15e;16b,16c,16d,16eが透明板材によって構成されるとともに、それぞれのモジュール11〜16の透明板材は、異なる色をもつように構成されている。
【0015】
また、居住空間モジュール11〜13、収納空間モジュール14,15は、底面11f,12f,13f,14f,15fが不透明材で構成されるともに、これらのモジュールの不透明材もそれぞれ異なる色をもつように構成されている。
【0016】
また、収納空間モジュール14,15と吹き抜け空間モジュール16は、前記居住空間モジュール11〜13の高さより低い高さであって、互いに等しい高さをもつように形成されている。ここで、これらのモジュール14〜16の高さは、たとえば容積率の算定にあたって含まれないような高さとすればよい。
【0017】
さらに、居住空間モジュール11は、この戸建て住宅の1フロアの面積をもつ平面視正方形の箱体として形成され、住宅の1階または2階に用いられる。また、居住空間モジュール12,13は、居住空間モジュール11を左右に二等分した1フロアの半分の面積をもつ箱体として形成され、これらも1階または2階用として適宜用いられる。
【0018】
また、収納空間モジュール14は、たとえば1階または中2階に用いられるものであって、1フロアの半分の面積をもつ四角形状の箱体として形成されている。さらに、収納空間モジュール15は、さらにその半分(またはそれ以下)の面積をもつ四角形状のものであって、たとえば2階などの収納用として用いられる。
【0019】
また、吹き抜け空間モジュール16は、1階に設けた居住空間モジュール12,13(または11)に積層されることにより、1階部分を吹き抜けにするために用いられるものであって、1フロアのほぼ1/4程度の面積をもつ大きさによる四角形状で形成されている。なお、この吹き抜け空間モジュール16は、床面を形成する板材を設けない形状で形成されている。また、この吹き抜け空間モジュール16は、上述した収納空間モジュール15と組み合わせて用いられるものであって、これらを組み合わせた際に1フロアの半分の面積を占めるように構成されている。
【0020】
そして、このようなモジュール11〜16によれば、床面11f,12f,13f,14f,15fを除き、上面11a,12a,13a,14a,15a,16aおよび側面11b,11c,11d,11e;12b,12c,12d,12e;13b,13c,13d,13e;14b,14c,14d,14e;15b,15c,15d,15e;16b,16c,16d,16eが透明板材からなる箱体として構成されており、これにより外方から見た際に居住空間や収納空間等の位置や配置状況、それぞれの大きさなどを一目で確認、把握することができるのである。
【0021】
さらに、屋根モジュール17の小屋裏に当たる部分に配設される小屋裏空間モジュール18や小屋裏収納空間モジュール19は、アクリル樹脂材等によって全体が側面視ほぼ三角形の箱体として形成されている。これらの小屋裏空間モジュール18と小屋裏収納空間モジュール19とは、これらを組み合わせることにより、1フロアの面積とほぼ等しい大きさとなるように構成されている。なお、小屋裏空間モジュール18と小屋裏収納空間モジュール19との幅の比率は、適宜の組み合わせが考えられ、この実施形態では、小屋裏空間モジュール18と小屋裏収納空間モジュール19とを約2:1の比率で形成した場合を示す。
【0022】
ここで、前記小屋裏空間モジュール18は、ほぼ三角形状に組み合わせられる上面18a,18bとその側面18c,18dを有し、またここでは、床面部分は開口して形成されている。なお、これらの上面18a,18b、側面18c,18dは透明板材で形成されている。
そして、小屋裏空間モジュール18は、2階部分に設けられる居住空間モジュール11(または12,13)の上部に積層されることにより、2階部分の居住空間モジュール11による空間と連続する吹き抜け空間を形成するように構成されている。
【0023】
また、前記小屋裏収納空間モジュール19は、ほぼ三角形状に組み合わせられる上面19a,19bと、その両側に位置する側面19c,19dと、その底部に位置する床面19eとを有する。なお、上述した上面19a,19b、側面19c,19dは透明板材で形成され、また床面19eは、不透明材で形成されている。
そして、この小屋裏収納空間モジュール19は、小屋裏空間モジュール18と共に、2階部分に設けられる居住空間モジュール11(または12,13)の上部に積層されることにより、小屋裏収納空間を形成するように構成されている。
【0024】
前記屋根モジュール17は、ほぼ三角形状に形成された屋根上面17a,17bの内側に所定間隔を隔てて設けられた側面板17c,17d(17dは図示せず)を有する。これらの側面板17c,17dは、図3に示すように、小屋裏空間モジュール18や小屋裏収納空間モジュール19を内側に収納した状態で、屋根モジュール17を、住宅の2階部分を構成するモジュール(ここでは居住空間モジュール11)上に設置するためのものである。
勿論、この側面板17c,17dは、その内側に小屋裏空間モジュール18や小屋裏収納空間モジュール19を設けない場合にも、住宅の2階部分を構成するモジュール上に屋根を設置するための支えとして機能する。
【0025】
図3の組立例において、2階の居住空間モジュール11上であって、小屋裏空間モジュール18と小屋裏収納空間モジュール19を載せた以外の部分に形成される段部は、屋根モジュール17の支えである側面板17c,17dの下端を支持するためのものである。
【0026】
以上のような構成において、収納空間モジュール14,15を、居住空間モジュール11;12,13の上側または下側に、吹き抜け空間モジュール16を、居住空間モジュール11;12,13の上側に位置するような適宜のレイアウト構造をもって、各モジュール11〜16を積層または並設して組み合わせるとともに、最上部に屋根モジュール17を載せることにより組み立てられるように構成されている。
この状態を、図1の組立例に示している。
【0027】
また、屋根モジュール17の小屋裏に、小屋裏空間モジュール18や小屋裏収納空間モジュール19を積層し、屋根モジュール17を載せる場合を、図3の組立例に示している。
【0028】
以上の構成による住宅模型10によれば、簡単な構成であるにもかかわらず、居住空間や収納空間などを適宜のレイアウト構造に組み合わせて組み立てることがきわめて簡単に行えるものであり、しかもこの組立状態において、色違いで構成している住宅内部での居住スペースや収納スペース等といった有効空間の状況を、一目で確認、把握することができるのである。
【0029】
さらに、このような構成によれば、住宅のレイアウトを任意に変更して比較検討することがきわめて簡単に行えるものであり、最大限に有効活用できるように適宜指向錯誤を繰り返して組み立てて比較することが可能であり、住宅を設計する際に有益であるという優れた効果がある。
【0030】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、住宅模型10を構成する各モジュール11〜19等といった各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。
【0031】
たとえば小屋裏空間モジュール18を、小屋裏を利用した吹き抜け空間用とした場合を説明したが、このモジュールの底面部分を不透明材等の床面で形成することで、勾配天井をもつ天井裏居室空間用のモジュールなどとして形成してもよいことは勿論である。
【0032】
また、上述した図1や図3での各モジュール11〜19の組立て状態は、一例に過ぎず、居住空間モジュール11を1階部分に用い、収納空間モジュール14または15を中2階部分に用いる等といった適宜の変形例が考えられるものであり、種々の変形例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る住宅模型の一実施形態であって、一の組立例を示す概略斜視図である。
【図2】(a)〜(i)は図1等の住宅模型を構成する各モジュールを示す概略斜視図である。
【図3】本発明に係る住宅模型の別の組立て例を示す概略分解斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
10…住宅模型、11〜13…居住空間モジュール、14,15…収納空間モジュール、16…吹き抜け空間モジュール、17…屋根モジュール、18…小屋裏空間モジュール、19…小屋裏収納空間モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住空間を形成する居住空間モジュールと、収納空間を形成する収納空間モジュールと、吹き抜け空間を形成する吹き抜け空間モジュールと、屋根を形成する屋根モジュールとを備え、
前記居住空間モジュール、収納空間モジュール、吹き抜け空間モジュールは、全体がほぼ四角形状を呈する箱体として形成され、上面および側面が透明板材によって構成されるとともに、それぞれのモジュールの透明板材は、異なる色をもつように構成され、
前記居住空間モジュール、収納空間モジュールは、底面が不透明材で構成されるともに、これらのモジュールの不透明材もそれぞれ異なる色をもつように構成されており、
前記収納空間モジュールと吹き抜け空間モジュールは、前記居住空間モジュールの高さより低い高さで互いに等しい高さをもち、
前記収納空間モジュールは前記居住空間モジュールの上側または下側に、前記吹き抜け空間モジュールは前記居住空間モジュールの上側に位置するようなレイアウト構造をもって、各モジュールを積層または並設して組み合わせるとともに、最上部に前記屋根モジュールを載せることにより組み立てられるように構成されていることを特徴とする住宅模型。
【請求項2】
請求項1記載の住宅模型において、
小屋裏空間モジュールと小屋裏収納空間モジュールとを備え、
これらの小屋裏空間モジュール、小屋裏収納空間モジュールは、全体がほぼ三角形の箱体として形成されていることを特徴とする住宅模型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−2469(P2010−2469A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159071(P2008−159071)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】