説明

体内で用いられる流体移送要素付き流体管理器具

【課題】圧縮状態の吸収材の膨張作用に依存せず、プレート間毛管作用により流体を差し向けて流体貯留要素の局所飽和を最小限に抑えることができる、哺乳動物の体の中で使用される流体管理器具を提供する。
【解決手段】流体管理器具は、人の膣に適合する大きさに形成され、流体移送要素と流体連通状態にある流体貯留要素に実質的に連続する流体導管を提供するように構成された流体移送要素を有する。流体移送要素は前記流体貯留要素から遠ざかって延びるように形成された遠位部分を有する第1のプレートを有し、使用状態において、第1のプレートが第1の表面を提供し、第1のプレートの第2の表面または流体移送要素の他のプレートの表面とでプレート間毛管作用により流体を移動させる平行面を形成するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本発明は、本願と同日に出願された次の発明の名称の同時係属出願、即ち、「流体獲得プレートを備えた膣内器具(Intravaginal Device with Fluid Acquisition Plates)」(米国特許出願第60/572,054号、代理人事件番号PPC−5073)、「流体獲得プレートを備えた膣内器具および製造方法(Intravaginal Device with Fluid Acquisition Plates and Method of Making)」(米国特許出願第60/572,055号、代理人事件番号PPC−5072)、「流体移送プレートを備えた膣内器具の使用方法(Method of Using Intravaginal Device with Fluid Transport Plates)」(米国特許出願第10/848,347号、代理人事件番号PPC−5076 G−14a)、「可塑性パネルを備えたタンポン(Tampon with Flexible Panels)」(米国特許出願第10/848,257号、代理人事件番号PPC−5074 G−2b)、「流体移送プレートを備えた膣内器具の使用方法(Method of Using an Intravaginal Device with Fluid Transport Plates)」(米国特許出願第10/848,208号、代理人事件番号PPC−5075 G−14)、および「流体獲得プレートを備えた膣内器具(Intravaginal Device with Fluid Acquisition Plates )」(米国特許出願第10/847,952号、代理人事件番号PPC−5070 G−2)に関連している。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、体内の体液を捕捉して貯留する流体管理器具に関する。
【0003】
〔発明の背景〕
体内流体を膣内的に捕捉して貯留する器具が、市販されており、文献公知となっている。膣内タンポンは、かかる器具の最も一般的な例である。市販のタンポンは吸収性または非吸収性カバー層で包まれている場合のある吸収性繊維でできた全体的に圧縮状態の円筒形塊である。
【0004】
タンポンは、人体の膣内に挿入され、膣中の体内流体、最も一般的には経血を捕捉して貯留する目的で、或る期間膣内に保持される。膣中の体内流体がタンポンに接触すると、体内流体は、タンポンの吸収材料により吸収されて保持されるべきである。時間が経つと、タンポンおよびその保持体内流体を取り出して処分し、必要ならば別のタンポンを挿入する。
【0005】
市販のタンポンにしばしば見られる欠点は、時期尚早な失敗が生じる傾向があることであり、かかる失敗は、タンポンが定位置にある間、タンポンが体内流体で完全に飽和状態になる前に、体内流体が膣から漏れることとして定義できる。先行技術は典型的には、非膨張状態の圧縮されたタンポンが体内流体を即座には吸収することはできないと考えられる問題を記載している。したがって、時期尚早な漏れは、体内流体が圧縮状態のタンポンの一部に接触し、流体がすぐには吸収されない場合に生じると考えられる。体内流体は、タンポンをバイパスする場合がある。
【0006】
この時期尚早な漏れの問題を解決するため、余分な要素を基本タンポンに設けて流体の流れを吸収性コアに差し向けると共に流体の流れを制御することが試された。
【0007】
例えば、米国特許第4,212,301号(ジョンソン(Johnson))は、中央の剛性化された細長いコアとなる剛性の棒状要素を形成するよう好ましくは半径方向に圧縮された下方部分および実質的に非圧縮状態のままの上方部分を備えた一体構造の指利用型タンポンを開示している。挿入後、非圧縮状態の部分を操作して膣壁に接触させて側からの漏れを止める即時シールを形成するのがよい。非圧縮状態の部分は、挿入時に速やかに高吸収性能を発揮することができる。このタンポンは、バイパス漏れに対して或る程度の防護を計算に入れることができるが、非圧縮状態の部分は、圧縮状態の部分が膨張して吸収状態になる前に飽和状態になる場合がある。
【0008】
米国特許第6,358,235号明細書(オズボーン等(Osborn et al.))は、非常に圧縮した状態の吸収材料で作られた内部突起を備える場合のある「中空」袋状タンポンを開示している。内部突起は好ましくは、タンポンのヘッドの内面に取り付けられる。中空タンポン部分は、吸収性外面に設けられた少なくとも1つのひだを有するのがよく、この中空タンポン部分は、柔らかくかつコンフォーマブルである。タンポンは、繊維が一時的に「固まる」程度まではあらかじめ圧縮されず、流体の吸収時に再び膨張する。タンポンの吸収部分は、局所的に飽和する場合があり、それにより、バイパス漏れが生じる。
【0009】
米国特許第6,177,608号明細書(ウェインストローチ(Weinstrauch))は、膣腔内に存在すると考えられる自由空間を信頼性をもって閉じるようタンポン表面から外方に広がることができる不織バリヤストリップを備えたタンポンを開示している。不織バリヤストリップは、表面のところで円周方向にタンポン周りに延びまたはタンポン周りに螺旋形態で延び、その意図するところに従って、経血をタンポン表面に向かって導く。不織バリヤストリップを、接着、ヒートシール、ニードルパンチ法、エンボス加工等によってカバーに取り付け、この不織バリヤストリップは、ひだを形成する。不織バリヤストリップをタンポンブランクに取り付け、ブランクをエンボス加工し、長手方向に延びる溝を形成する。このタンポンは、流体をコアに差し向けることを意図しているが、タンポンは、吸収不織布のポケットを形成することによりこれを達成しようとしている。機能を発揮させるためには、これらポケットを使用中開いて流体が流入することができるようにしなければならないように思われる。しかしながら、膣圧に関する現在の理解に基づけば、説明した構造がかかる開かれた容積部をどのように形成できるかについては理解されていない。
【0010】
米国特許第6,206,867号明細書(オズボーン)は、望ましいタンポンが配備時に速やかに膣内部の大部分を覆うよう乾式膨張する少なくとも一部を有することを示唆している。この要望に取り組むため、この米国特許は、圧縮状態の中央吸収性コアを備えたタンポンを開示しており、このコアは、コアの側面の一部に沿って取り付けられた少なくとも1つの柔軟性パネルを有する。この柔軟性パネルは、「乾式膨張」機能をもたらすように思われ、このパネルは、取付け箇所から遠ざかってコアから外方へ延びている。柔軟性パネルは、タンポンが定位置にあるときに膣の内面に接触し、その意図するところに従って、流体を吸収性コアの方へ差し向ける。柔軟性パネルは典型的には、吸収性コアを形成するよう綿撒糸の圧縮に先立って、綿撒糸に取り付けられ、このパネルは、非圧縮状態のままである。
【0011】
米国特許第5,817,077号明細書(フォーリー等(Foley et al.))は、タンポンが外面に約40mmHg以下の初期毛管吸引力を有する場合、タンポンを用いながら膣上皮組織の自然な湿り気を保つ方法を開示している。これにより、タンポンは、実質的に膣上皮組織を乾燥させないで膣内分泌物を吸収することができる。多数のカバー層を用いると、カバー材料の厚さを増大させることができる。これは、当該技術分野における飛躍的な技術的進歩であるが、この発明は、バイパス漏れに取り組んでいない。
【0012】
加うるに、米国特許第5,545,155号明細書(セイ等(Hseih et al.))は、スペーサ要素により分離された1組のプレートを有する外部吸収物品を開示している。プレートは、流体が容易に表面を横切って流れるように湿潤性に影響を及ぼすよう処理されている場合がある。複数個の開口部が、上方プレートを貫通しており、これら開口部により、流体は、制限がほとんど無い状態で上方プレートと下方プレートとの間の空間内へ流れることができる。流体が上方プレートから下方プレートへZ方向に下方に流れると、この流体は次に、X方向およびY方向に横方向に流れることになる。したがって、この外部吸収物品は、噴出流体を収容することができるが、これは、特に膣内器具、例えばタンポンに関連した問題に取り組んでいるようには思われない。
【0013】
先行技術は、体内流体を外部と膣内の両方で捕捉する衛生用保護物品の例で満ちているが、これら例は、一般に内部衛生用保護器具を用いている間に生じるバイパス漏れと呼ばれる場合の多い時期尚早な失敗の問題を解決していない。この問題に対する多くの解決策では、非常に圧縮された状態の吸収性物品の膨張速度を増大することが行われている。
【0014】
驚くべきことに、本発明者は、時期尚早な失敗の問題を解決する新規な技術を見出した。本発明は、圧縮状態の吸収材の膨張作用に依存せず、それとは異なり、プレート間毛管作用を用いることにより流体を差し向ける。本発明者は、本発明において流体貯留要素の局所飽和を最小限に抑えている。本発明はまた、粘性の非常に高い経血を取り扱うのに効果的である。
【0015】
〔発明の概要〕
流体移送要素を流体貯留要素に結合することにより流体をより効果的な仕方で管理できることを発見した。なお、これら要素は全て、体内に保持される。これを達成する幾つかの方法が、本明細書に開示される。
【0016】
本発明の一特徴では、哺乳動物の体の中で使用される流体管理器具が、実質的に断続していない流体導管を提供するよう哺乳動物の体要素と接触面を取ることができる少なくとも1つの流体移送要素を有する。流体導管は、少なくとも1つの流体移送要素と流体貯留要素との間に流体経路をもたらす。少なくとも1つの流体移送要素の遠位部分は、流体貯留要素から遠ざかって延びることができる。
【0017】
本発明の別の特徴では、少なくとも1つの流体移送要素は、外方へ差し向けられた表面および内方へ差し向けられた表面を備える第1のプレートと第1のプレートに連結された第2のプレートとを有する。第2のプレートは、第1のプレートの内方へ差し向けられた表面と向かい合った関係に配置されると共に保持された第1の表面および反対側の表面を有する。第2のプレートは、プレート間毛管作用をもたらすのに十分、第1のプレートから離れることができる。この器具は、長手方向軸線を備え、少なくとも1つの流体移送要素と流体連通状態にある流体貯留要素を有する。この実施形態では、少なくとも1つの流体移送要素は、流体貯留要素内に実質的に収納されている
【0018】
さらに別の特徴では、本発明は、哺乳動物の体の中で使用される変形例としての流体管理器具を提供する。この変形例としての器具は、第1の表面および第2の表面を備えた回旋状に巻かれたプレートを有する。器具の一巻き中のプレートの第1の表面は、隣接する巻き中の第2の表面と向かい合った関係に配置されると共に保持されている。第1の表面は、プレート間毛管作用をもたらすのに十分、第2の表面から離れることができる。
【0019】
別の特徴では、本発明は、包装済み膣内器具を提供する。この包装済み膣内器具は、流体移送要素と流体連通状態にある流体貯留要素及び包装要素を有する。流体貯留要素は、長手方向軸線および外面を有する。流体移送要素は、流体貯留要素から半径方向外方へ延びることができ、流体貯留要素の長手方向軸線に実質的に平行な軸線回りに曲げ可能な少なくとも1枚の柔軟性プレートを有する。包装要素は、柔軟性プレートの主要な表面の少なくとも一部が流体貯留要素の外面の少なくとも一部と接触した状態で、膣内器具を実質的に包囲する。
【0020】
本発明の他の観点および特徴は、添付の図面と関連して本発明の特定の実施形態についての以下の説明を読むと当業者には明らかになろう。
【0021】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
本明細書および特許請求の範囲で用いられる「体内流体」という用語およびその派生語は、人体により生じ、分泌され、人体から流出すると共に(あるいは)人体から排出される液体を意味している。
【0022】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる「流体」という用語およびその派生語は、液体、特に体液に関している。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる「シート」という用語およびその派生語は、長さおよび幅と比較して薄い或る物の一部に関している。
【0024】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる「平行なプレート」という用語およびその派生語は、プレート間毛管作用により流体を移動させることができる少なくとも2枚の比較的平行なシートのシステムに関している。このシステムにおける個々の「プレート」は、これらの環境内で動くために柔軟性でありかつ(あるいは)弾性であるのがよい。しかしながら、これらプレートを少なくともこれらの構造の局所部分では(これらの相対長さおよび相対幅と比較して)比較的一定の離隔距離を置いて実質的に互いに向かい合った関係に保持するのがよい。かくして、2枚のシートは、ひだ付きであるのがよいが、ひだを「入れ子状に重ねた」場合、シートは一般に、任意所与の局所部分において全体として平行なままである。
【0025】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる「プレート間毛管作用」という用語は、2つの実質的に平行なプレート相互間の隙間内に作られる液体−空気メニスカスで前後の圧力差に起因する流体の移動を意味している。2枚のプレートを特定の距離離して保持する必要はない。ただし、これら2枚のプレートは、流体がプレート間毛管作用によりこれらプレート相互間で動くことができるよう分離可能であるべきである。平行なプレート相互間における流体の上昇をもたらす一般的な方程式は、次のように報告されている。
【0026】
【数1】

上式において、
hは、プレート相互間の流体の上昇距離、
σは、プレートと接触状態にある流体の表面張力、
θは、接触角、
ρは、密度、
dは、プレート相互間の距離、
gは、重力定数、である。
【0027】
したがって、接触角θが90度未満である限り、幾分かの毛管引力が存在するであろう。
【0028】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる「多孔質媒体」という用語およびその派生語は、細孔の高度に枝状に分けられたネットワークおよび流体が流通できる細孔スロート(のど部)を備えた連結状態の三次元中実マトリックスに関する。
【0029】
本明細書で用いる「分離可能なプレート」という用語は、第1のプレートと第2のプレートの分離の状態であって、流体がこれらプレート相互間を動くことができるようにする分離状態を意味している。これは、隣接した第1のプレートと第2のプレートの向かい合った表面がこれらの向かい合った表面の実質的に全ての部分またはこれらを横切って互いに触れている状況を含む。これは、隣接の第1のプレートと第2のプレートの向かい合った表面が流体との接触時に、流体がこれらプレート相互間を動くことができるようにするほど離れるようにこれら向かい合った表面が互いに分離可能に接合されている状況を更に含む。これは、隣接の第1のプレートと第2のプレートの向かい合った表面相互間を流体が依然として自由に動くことができる限り、かかる向かい合った表面が互いに接合されている状況を更に含む。
【0030】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる「流体連通状態にある」という用語は、要素であって、流体が要素相互間を動くことができるよう配置されると共に構成された要素に関している。流体の移動は、繊維間毛管作用による移動、繊維内毛管作用による移動、浸透圧、プレート間毛管作用、機械的チャネリング等によるものであるのがよい。
【0031】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる「結合され」という用語は、一体構造の2つの部分であって、いずれも同種の材料の部分であり(例えば、折り畳み状態のシートの2つの部分)または互いに接合された材料(例えば、互いに接合された2枚の別々のシート)である2つの部分相互間の関係に関している。
【0032】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる「流体管理器具」という用語およびその派生語は、局所適用または経皮適用のパッチ、鼻パッドまたは鼻タンポン、おむつ、失禁用品、女性用衛生用品(生理用ナプキンおよび膣内器具、例えばタンポンを含む)、身体拭き取り用品、シーツおよび外科用ガウンを含むが、これらには限定されない。
【0033】
図1aおよび図1bを参照すると、本発明の一実施形態は、好ましくは図1bに示すように成形された断面を備えた柔軟な棒の形態をした複数個の流体移送要素12(図1aには4つ示されている)を有する流体管理器具10を提供する。これら柔軟なロッドは、流体貯留要素14に実質的に連続した流路をもたらす。この器具は、取出し機構体、例えばひも16を更に有するのがよい。挿入されると、流体移送要素12は、アーム20相互間の切欠き18内に実質的に連続した流路を形成することができる。
【0034】
複数本の毛管12′を備えた変形実施形態が、図2に示されている。これら管12′もまた、流体貯留要素14′に実質的に連続した流路を提供する。
【0035】
図3aおよび図3bに示す更に別の変形実施形態は、流体貯留要素14″と流体連通状態にある少なくとも1つの流体移送要素12″を有する流体管理器具10を提供する(図3aおよび図3bは、流体貯留要素14″の両側に設けられた2つの流体移送要素12″を示している)。この器具は、収集した流体を流体貯留要素14″周りに移動させる流体移送層22を更に有するのがよい。流体移送要素12″は、流体貯留要素14″から遠ざかって延びることができる遠位部分26を備えた少なくとも1枚のプレート24を有している。挿入されると、少なくとも1枚のプレート24は、図4に示すように2組の平行なプレートを形成するよう膣壁“W”と相互作用することができる2つの表面を備えるのがよい。
【0036】
上述したように、本発明の流体管理器具10は、移送または分配層22を有するのがよい。移送層または分配層は、もし設けられている場合、これをカバー28で包囲してもよいが、一般に、流体貯留要素14″の外層として位置決めされ、移送層は通常、流体貯留要素に直接接触する。もし設けられている場合、移送層は、流体を吸収し、次にこれを貯留のために隣接の吸収層に分配して放出する任意公知の材料で作られたものであってよい。移送層は、層内での流体の運動を可能にする比較的開いた構造を有する。かかる移送層に適した材料としては、繊維状ウェブ、弾性フォーム等が挙げられる。
【0037】
移送層は、流体移送要素から体液を受け取り、これを流体貯留要素が流体を受け取る機会を有するまで保持する手段となる。移送層は好ましくは、カバー層よりも密度が高く、この移送層は、カバー層よりも有している細孔の割合が大きい。これら属性により、移送層は、体液を収容し、これをカバー層の外側から遠ざけて保持し、それにより流体がカバー層およびその外面を再び湿潤させるのを阻止する。しかしながら、移送層は好ましくは、流体が移送層を通って下に位置する流体貯留要素に流入するのを阻止するほど密ではない。
【0038】
移送層は、種々の材料を含むのがよく、かかる材料としては、例えば、繊維状ウェブ、弾性フォーム等が挙げられる。移送層は、当該技術分野で既知の材料のなかでもとりわけ、例えば木材パルプから得たセルロース系繊維、繊維または他の形態をした熱可塑性材料(例えば、とりわけ、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン)、レーヨン、有機結合剤(例えば、ビニル、アクリル系誘導体および(または)熱可塑性繊維に塗布できまたは違ったやり方で移送層中に組み込むことができる他のモノマーのコポリマー)を含む単一成分または二成分繊維を含むのがよい。移送層は例えば、約40g/m2〜約120g/m2(約40gsm〜約120gsm)の基本重量、約0.5mm〜約4mmの厚さ、約0.03g/cc〜約0.15g/ccの密度を有するのがよい。
【0039】
移送層を構成する塊状材料は、たとえこれら材料それ自体が吸収性でなくても吸収性であるのがよい。かくして、疎水性で非吸収性の繊維で作られた移送層は、多量の流体を繊維間空隙内に受け入れることができる一方で、繊維それ自体は、それほどの量の流体を吸収しない。これと同様に、非吸収性材料で作られた連続気泡フォーム構造体もまた、流体をフォームの気泡内に吸収することができる。しかしながら、気泡の壁は、流体を全く吸収しない。移送層内の累積空間、即ち、繊維状移送層中の繊維間空隙またはフォーム移送層中の連続気泡は、流体を保持する容器と非常によく似た機能を発揮する。
【0040】
代表的には、移送層の繊維状ウェブは、空隙をもたらすと共に構造体を通る流体の自由運動を可能にする弾性で非吸収性の材料で作られている。大抵の場合吸収性の繊維のウェブで作られた移送層は、流体が構造体に流入するときに流体を吸収するが、移送層は、非吸収性材料を収容したウェブと同じほど効率的には構造体の残部を通って流体を分配することはない。非吸収性材料を含む移送層の繊維状ウェブは、空隙をもたらすと共に構造体を通る流体の自由運動を一層可能にすることが予想される。かかる材料の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、二成分材料、ナイロンおよびこれらの混合物または組合せが挙げられる。移送層の別の材料としては、有孔フィルムが挙げられ、これは、流体を移送し、カバーと組み合わさった状態で流体貯留要素のマスキングを可能にする任意他の不織材料、例えばフォームまたはネットであってもよい。
【0041】
膣内器具50が流体貯留要素54と流体連通状態にある少なくとも1つの流体移送要素52を有する別の変形実施形態が、図5a〜図5cに示されている(図5a〜図5cは、流体貯留要素54の両側に設けられた2つの流体移送要素52を示している)。この器具は、取出し機構体、例えばひも56を更に有するのがよい。流体移送要素は、少なくとも第1のプレート58および第2のプレート60を有している。第1のプレートと第2のプレートは、1組の平行なプレートとなるよう互いに組み合っており、流体移送要素52は、流体貯留要素54から半径方向に遠ざかって延びるものとして示されている。また、追加のプレートを各流体移送要素52に設けてもよい。
【0042】
プレートは、体内流体または体液62の導入によりプレートを隣のプレートから分離することができるよう構成されると共に配置されている(図5c)。少なくとも1つの開口部64により、体内流体22の導入が可能である。1つまたは2つ以上のスペーサ要素66を挿入して隣り合うプレート相互間に空間を作り、これを保持するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。
【0043】
図5bは、流体の導入に先立つ1対の平行なプレートを示している。この図では、隣り合うプレート58,60の向かい合った表面は、接触状態にある。他方、図5cは、体内流体62により分離された平行なプレートの組を示しており、第1のプレート58の内方へ差し向けられた第2の表面70と第2のプレート60の第1の表面72との間にプレート間毛管状隙間68が形成されている。このプレート間毛管状隙間68は、流体移送要素52が膣からの体内流体62を取り込み、広げ、そして体内流体を流体貯留要素54に向かって移動させることができるプレート間毛管作用をもたらすのに十分である。第1のプレート58は、外方へ差し向けられた第1の表面74を更に有し、第2のプレート60は、反対側の第2の表面76を更に有している。
【0044】
これら実施形態の各々において、流体移送要素52の遠位部分78は、流体貯留要素54から遠ざかって延び、それにより、流体源から流体貯留要素までの実質的に断続していない流体導管を形成することができる。
【0045】
プレート58,60は、ほぼ任意の疎水性または親水性材料、好ましくはシート状材料で作られたものであるのがよい。各プレートの厚さは、重要ではない。しかしながら、この厚さは、好ましくは、約0.127〜約1.270mm(約0.005〜約0.050インチ)の範囲から選択されるのがよい。プレートの構成材料および厚さは、これらが流体にさらされても、十分に剛性であると共に(あるいは)濡れて潰れるようになりにくいものであるように設計されるべきである。
【0046】
具体的には、流体移送要素を形成するのに有用な材料は、流体移送要素を流体管理器具に組み込む手段を提供する性質、例えば熱接着性を有するのがよい。有用な材料の代表的で非限定的なリストとしては、ポリオレフィン(例えばポリプロピレンおよびポリエチレン)、ポリオレフィンコポリマー(例えばエチレンビニルアセテート(“EVA”)、エチレンプロピレン、エチレンアクリレートおよびエチレンアクリル酸ならびにこれらの塩)、ハロゲン化ポリマー、ポリエステルおよびポリエステルコポリマー、ポリアミドおよびポリアミドコポリマー、ポリウレタンおよびポリウレタンコポリマー、ポリスチレンおよびポリスチレンコポリマー等が挙げられる。また、流体移送要素は、微小エンボス加工されまたは孔が設けられたものであるのがよい。孔を有するフィルムの例としては、例えば、トンプソン(Thompson)の米国特許第3,929,135号明細書およびチューリ等(Turi et al.)の米国特許第5,567,376号明細書に開示されているような三次元有孔フィルムや、例えばケリー(Kelly)の米国特許第4,381,326号明細書に記載されている二次元網状フィルムが挙げられる。図6a〜図6cは、トンプソンの有孔フィルムの3つの組合せを示している。
【0047】
流体移送要素の露出面をできるだけ滑らかに保つと有用な場合がある。また、この露出面が低い摩擦係数を備えるようにすると有利な場合がある。これら特性は、少なくとも2つの利点、即ち(1)膣内器具を挿入するのに必要な力が減少すること、および(2)もし上述のように構成しなければ挿入中、着用中および取出し中、柔らかくて弱い膣組織を擦ることにより生じる損傷が軽減されることをもたらすことができる。プレート58,60は、同種の材料で作られるのがよいが、変形例として、プレート58は、プレート60とは異なる材料で作られてもよい。
【0048】
平行なプレートは、第1のプレート58の内方へ差し向けられた第2の表面および第2のプレート60の第1の表面72に平行な方向における流体流れベクトルに対する抵抗であって、プレートに垂直な方向における流体の流れベクトルに対する抵抗よりも低い抵抗をもたらす物理的構造であれば、どのような物理的構造を有してもよい。好ましくは、プレートは、任意の比較的滑らかな材料で作られる。適当な材料としては、フォイル(箔)、蝋紙、フィルム、有孔フィルム等が挙げられるが、これらには限定されない。例えば、繊維状または多孔質シートをフィルム状またはフォイル状表面をもたらすよう実質的に連続した被膜で被覆するのがよい。各プレートは、その対応の平行なプレートと同種の材料で作られる必要はない。例えば、第1のプレート58は、流体を流入させることができるよう有孔フィルムであってよく、第2のプレート60は、流体を貯留要素に向かって移動させるよう中実のフィルムであってよい。当然のことながら、平行なプレートは、流体を2つの層相互間で移送することができなければならない。
【0049】
流体移送要素52は、取扱い、挿入および取出しの際に破断を阻止すると共に使用中膣圧に耐えるのに十分強固であるべきである。
【0050】
流体移送要素52のプレートのうちの少なくとも一方の表面は、膣内器具50が集めようとする体内流体によって十分に湿潤可能であることが好ましい(これは、主として、プレート表面の表面エネルギーと体内流体の相関関係に起因している)。かくして、体内流体は、プレートを容易に濡らし、プレート相互間の毛管現象により、これら体内流体は、源から流体移送要素と流体連通状態にある流体貯留要素に引き寄せられる。
【0051】
表面処理を利用すると、プレート58,60の表面エネルギーを変えることができる。好ましい実施形態では、平行なプレートの外面または内面の湿潤性を高めるために界面活性剤が塗布される。これにより、2枚のプレート相互間またはプレートと膣壁との間で体内流体がプレートに引き寄せられて広げられる速度が増大するであろう。内面か外面かのいずれかに界面活性剤を一様に塗布するのがよく、あるいは、界面活性剤を互いに異なる領域に様々な塗布量で塗布してもよい。
【0052】
プレート表面の湿潤性を決定する有用な尺度は、1.0%の食塩水とのその接触角である。好ましくは、1.0%食塩水との接触角は、約90度以下である。
【0053】
これを達成するため、プレートの材料は、低エネルギー表面を有するものとして当該技術分野において知られている材料から選択されるのがよい。また、高エネルギー表面を有する材料を、体内流体によるこれらの湿潤性を高めるために、表面添加剤、例えば非イオン性界面活性剤(例えば、エトキシレート(ethoxylates))、ジオールまたはこれらの混合物で被覆することが可能であると共に有用である。かかる添加剤は、当該技術分野において周知であり、例としては、ヤン等(Yang et al.)の米国特許出願公開第2002−0123731−A1号明細書および米国特許第6,570,055号明細書に記載された添加剤が挙げられる。湿潤性を高める他の手段は、例示として、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンのコロナ放電処理、あるいは、例えばポリエステルの苛性エッチング(caustic etching)を使用することができる。
【0054】
互いに向かい合った第1のプレートと第2のプレートの表面は、滑らかなテキスチャ加工状態から高度なテキスチャ加工状態まで種々の表面テキスチャまたは表面模様を有するのがよい。テキスチャ加工要素は、スペーサ66として設けられるのがよい。
【0055】
スペーサ66またはテキスチャを設けるという要望が、材料が圧縮力と流体を同時に受けたときに濡れて潰れるのに耐えることができるということに基づいている場合がある。
【0056】
スペーサ要素66は、プレートのうちの1枚または2枚以上に被着される別個の要素であってもよく、あるいは、プレートの主要な表面のうちの一方から遠ざかって延びるプレートの一体部分であってもよい。かかる別個のスペーサ要素の代表的なリストとしては、発泡材料(例えばポリスチレンフォーム)、粒子(例えばビーズおよび結晶)、不連続材料(例えばネット、糸、蝋、接着剤、プレート相互間に離隔距離を生じさせる任意のばらばらの要素等)が挙げられるがこれらには限定されない。
【0057】
一体形スペーサ要素66は、プレート材料の厚くなった部分またはプレート材料の変形部であるのがよい。かかる一体形スペーサ要素の代表的なリストとしては、こぶ状突起、エンボス、波形部(段部)、変形部等が挙げられるが、これらには限定されない。この定義には、第1の材料の表面に第2の材料を永続的に結合する表面処理が含まれる。変形部の一例は、図6a〜図6cに示す「三次元」ポリマー有孔形成フィルム材料の側壁80として提供されている。図6aは、互いに向かい合った関係にある第1のプレート58の内方へ向いた表面70および第2のプレート60の第1の表面72の側壁80を示している。図6bは、側壁80が入れ子状に重ね合わされた有孔フィルムプレートの第2の構造を示している。図6cは、側壁80が第1のプレート58の内方へ向いた第2の表面70上に位置し、側壁80が、第2のプレート60の反対側の表面76上に位置する有孔フィルムプレートの第3の形態を示している。
【0058】
図7に示す別の例では、スペーサ要素は、第1のプレート58の内向きの表面70から延び、第2のプレート60の第1の表面72で支持されるこぶ状突起82である。
【0059】
互いに対するプレートのスライドおよびプレート相互間の空間の変化に対して安定性を維持するために、スペーサ要素66とその隣のプレートとの間または2枚の隣り合うプレートのスペーサ要素66相互間に幾分かの局所接触領域を確保することが容認でき、好ましい場合さえある。プレートを当業者に知られている手段により固定することができる。かかる固定手段の代表的なリストとしては、熱結合(thermobonding)、接着、圧着、エンボス加工、超音波結合または超音波溶接等が挙げられるが、これらには限定されない。接着剤をスペーサ要素と第1および第2のプレートとの間に塗布するのがよい。好ましくは、接着剤は、湿潤性である。
【0060】
少なくとも1つの開口部64は、プレートの縁部のところに位置するのがよく、例えば、隣り合うプレートの縁部を離しまたはプレートそれ自体が少なくとも1つの開口部を備えるのがよい。開口部は、一様である必要はない。例えば、1つの開口部64をプレートの縁部のところに設け、複数個のこれよりも小さな開口部または孔84を1枚以上のプレート全体にわたって分布して設けてもよい。好ましくは、各プレートを貫通して複数個の開口部が分布して設けられる。分布してプレートを貫通して設けられる開口部の一例は、有孔フィルムである。分布状態は、一様であってもよく、あるいは、開放面積の大きな領域および開放面積の小さな領域を設けるよう構成してもよい。
【0061】
複数個の開口部または孔84が、第1のプレート58および第2のプレート60のうち少なくとも一方を貫通するのがよい。これら孔84は、プレートを完全に貫通すると共にプレートの両方に存在するのがよい。孔84により、第1のプレート58の外向きの表面74または第2のプレート60の反対側の表面76に接触する流体が、可能な限り制限が少ない状態でプレート相互間のプレート間毛管状隙間68に流入することができる。有孔フィルムの例では、開口部によって占められるプレートの総表面積は、約5%から好ましくは約50%であることが好ましい。より好ましくは、この総表面積は、約25%〜約45%であろう。この広い開放領域をプレートに形成することにより、そのプレート上に付着した流体は、プレート間毛管状隙間68内に容易に流れることができよう。
【0062】
個々の開口部64,84は、経血を含む粘性の高い物質を容易に通過させるほど大きいことが好ましい。開口部の幾何学的形状は重要ではないが、開口部64,84は、非吸収性物質の容易な通過を可能にするほど十分寸法決めされるべきである。孔84が円形ではない場合、非吸収性物質の流れに対する制限度が最も高い開口部の最も幅の狭い部分前後について測定を行うべきである。
【0063】
プレート58,60の端部のところに開口部64を有する無孔フィルムの例では、開口部64の寸法は、流体がプレートを分離させることができたかどうかの結果である。
【0064】
孔84は、粘性流体を通過させるに足るほど大きいが、着用者の快適さを損なうほど粗すぎる表面を生じさせるほど大きすぎないことが好ましい。好ましい孔84は、円形であり、直径が10ミル〜40ミルである。最も好ましくは、その直径は、18ミル〜27ミルである。
【0065】
画像分析法を用いて有孔および無孔またはランド領域の相対的割合を測定することにより開放領域を求めることができる。本質的には、画像分析法は、光学顕微鏡から得た光学画像を処理に適した電気信号に変換する。電子ビームが、画像をライン毎に走査する。各ラインを走査すると、出力信号は、照明に従って変化する。白色領域は、比較的高い電圧を発生させ、黒色領域は、比較的低い電圧を発生させる。有孔形成フィルムの画像を生じさせ、その画像内では、穴は、白色であり、これに対し、熱可塑性材料の中実領域は、種々のグレーレベルの状態にある。中実領域が密であればあるほど、生じるグレー領域がそれだけ一層黒くなる。測定される画像の各ラインは、標本点または画素に分割される。次に述べる機器を用いると、上述した分析を実施することができ、この機器は、透過光ベース、平1.0x対物レンズおよび2.50x接眼レンズを備えたオリンパス・エスゼットエイチ・マイクロスコープ(Olympus SZH Microscope)と関連して用いられ、エルイーアイシーエー/ケンブリッジ・インストラメンツ・リミテッド(LEICA Cambridge Instruments Ltd.)により市販されているQuantimet Q520型イメージ・アナライザ(Image Analyzer)(バージョン5.02Bのソフトウェアおよびグレイストアオプションを備えている)である。画像をDAGE MTI CCD72ビデオカメラで生じさせることができる。
【0066】
分析されるべき各物質の代表的な小片を顕微鏡載物台上に置き、10xの顕微鏡ズーム設定値でビデオスクリーン上にくっきりと投影させる。開放領域を代表的な領域のフィールド測定から求める。Quantimetプログラム出力は、各サンプルに関する平均値および標準偏差を報告する。
【0067】
図8a〜図18を参照すると、第1のプレート58と第2のプレート60は、互いに別個の要素であってよく(即ち、互いに隣接しているが、必ずしも接合されていない)またはこれらプレートは、同一のシート状材料の延長部であってもよく、例えば、材料のシートに設けられた折り目によって形成されてもよい(図8a〜図8eに示されているように)。かかる折り畳み実施形態では、材料は、第1のプレートと第2のプレートが互いに向かい合った状態でひだを形成するよう折り畳まれる。
【0068】
ひだ付きの好ましい実施形態が、図8a〜図8eに示されており、かかる実施形態では、ひだ86は、カバー材料88に設けられた折り目である。ひだ86は、製品の長手方向軸線(X−X)に実質的に平行な無限の数の曲げ軸線(b1-i−b1-i)回りに曲げ可能なプレートを形成する。長手方向軸線は、挿入端部90およびと取り出し端部92を通って延びている。これら曲げ軸線により、プレートは、部分的にか、あるいは、ぐるりと一回りかのいずれかで製品を包むことができる。かかる曲げ軸線の1つ(b1−b1)が図8aに示されている。
【0069】
流体移送要素52は、流体貯留要素54と流体連通状態にあり、流体を膣から貯留要素54に差し向ける。一般に、流体は、各流体移送要素52からその流体移送要素と関連した流体貯留要素の特定の領域に差し向けられることになる。かくして、器具が流体移送要素52を1つしか備えていない場合、流体は、1つの接触面94で流体貯留要素に接触することになる。
【0070】
したがって、流体を流体貯留要素54の追加の場所に差し向ける追加の流体移送要素52が、流体貯留要素54の効果的な利用の仕方を向上させることになる。例えば、図5a〜図5cに示すように、2つの流体移送要素52を流体貯留要素54の互いに反対側に差し向けるのがよい。追加の流体移送要素52は各々、流体を流体貯留要素54の追加の接触面箇所94に差し向けることができる。例えば、4つの等間隔を置いて設けられた流体移送要素52は、流体を図8a〜図8eに示すように流体貯留要素54の表面の各1/4に差し向けることができる。5つまたは6つ以上の要素は、更に多くの直接的な接近手段を提供する。これにより、流体は、流体貯留要素54に一様に接触することができ、しかもこれは、流体貯留要素54の局所飽和を阻止しまたは軽減するのに役立つ。
【0071】
上述の説明は、流体移送要素52と流体貯留要素54との間の直接的な流体連通に関するものであるが、直接的な流体接触は、必要条件ではない。中間要素、例えば、多孔質媒体(例えば、フォームまたは繊維状構造体)、中空管等を介して流体連通が行われてもよい。
【0072】
流体移送要素52と流体貯留要素54の接触面94の領域を拡大することもまた、流体連通度を最大にするのに役立ち得る。例えば、流体移送要素52の長さを長くすることにより接触面を細長くすることによって、より多くの流体が、流体貯留要素54に流入することができる。
【0073】
流体移送要素52は、流体貯留要素54の表面から任意の向きに延びていてよい。流体移送要素が流体貯留要素の表面上に位置することは必要ではない。
【0074】
第1のプレート58および第2のプレート60により形成されるプレート間毛管状隙間68は、接触面94のところで終端してもよく、あるいは、流体貯留要素54内に延びると共に(あるいは)流体貯留要素54を貫通していてもよい。流体貯留要素54内に延びる流体移送要素52の例が、図7に示されている。平行なプレートは、これらの頂部に追加の層を有するのがよい。ただし、これら追加の層が流体をプレートに流入させることができることを条件とする。第1のプレートおよび第2のプレートは、これらプレートを器具の長手方向軸線に平行なまたはそれどころかこれを通って延びる平面内で伸長させることができるように配置されているのがよい(例えば、図9、図10a、図10bおよび図11)。変形例として、これらプレートはまた、これらプレートを器具の長手方向軸線に垂直な平面内でまたはこれらの末端部(図示せず)相互間において任意の向きで伸長させることができるよう配置されていてもよい。
【0075】
第1のプレート58および第2のプレート60は、流体移送要素52の境界部のところで終端してもよく、あるいは、流体貯留要素54内に延びていてもよい。図11は、貯留要素内に延びる2組の平行なプレートを示している。平行なプレートは、これらの頂部に追加の層を有するのがよい。ただし、これら追加の層が流体をプレートに流入させることができることを条件とする。
【0076】
流体移送要素52は、図5a〜図5cに示すように流体貯留要素54の表面から延びるよう形成されたものであるのがよい。変形実施形態では、取出しひも56に代えて、リボン状の平行なプレート(図示せず)の対または別の組合せを用いてもよい。
【0077】
流体移送要素52は、任意の有利な形状で作ることができ、かかる形状としては、半円形、三角形、正方形、砂時計形等が挙げられる。加うるに、流体移送要素の2枚のプレートは、これらが少なくとも部分的に向かい合った関係にある限り、完全に同一の広がりを有する必要はない。
【0078】
流体移送要素を形成する平行なプレートは、任意の柔軟性のものであってよい。ただし、その材料は、器具の使用中、流体を流体貯留要素に移送できることを条件とする。また、流体移送要素は、器具を挿入したり着用したり取り出す際にユーザに快適さをもたらすのに十分柔軟性があることが好ましい。
【0079】
追加の要素を介して貯留要素に対し直接または間接的な仕方を含む種々の仕方で、平行なプレートを貯留要素に密接して保持するのがよい。種々の方法を利用して、流体移送要素52を取り付けることができ、かかる取付け方としては、熱、接着剤、超音波、縫合および流体貯留要素54への機械的な係合が挙げられる。ヒートシール取付け部96の例が、図8aに示されている。
【0080】
流体移送要素52を膣内器具50の側部、挿入側端部90および(または)取出し側端部92のところに取り付けるのがよい。加うるに、流体移送要素52を、貯留要素の平行なプレートで構成される袋形の覆いのように貯留要素ではなくそれ自体に取り付けてもよい。また、平行なプレートを取出しひも56に取り付けてもよい。追加の取付け手段は、共通譲受人の同時係属米国特許出願明細書(発明の名称:流体獲得プレートを備えた膣内器具(Intravaginal Device with Fluid Acquisition Plates))(願番は未付与、代理人事件番号はPPC−5073)、および共通譲受人の同時係属米国特許出願(発明の名称:流体獲得プレートを備えた膣内器具およびその製造方法(Intravaginal Device with Fluid Acquisition Plates and Method of Making))(願番は未付与、代理人事件番号はPPC−5072)に開示されており、これら米国特許出願は、本願と同日に出願されており、これら米国特許出願を参照により、これらの記載内容を本明細書に組み込む。
【0081】
多数の流体移送要素を互いの頂部上に層状化してもよくまたは互いに隣接して配置してもよい。図12は、貯留要素54の側部からその軸方向に垂直な平面内で延びる複数個の流体移送要素52を示している。これら流体移送要素52は、種々の長さのものであってよく、表面の一部または表面全体上に位置するのがよい。
【0082】
図13に示す別の変形実施形態は、各々が第1の表面および第2の表面を有する一連の回旋状に巻かれたプレートを形成するようそれ自体丸く巻かれた1枚の連続したプレート58′を有する。器具の一巻き中のプレートの第1の表面は、隣接する巻きの第2の表面と向かい合った関係に配置されると共に保持されている。第1の表面もまた、プレート間毛管作用をもたらすのに十分、第2の表面から離れることができる。この実施形態では、この一巻きの内側層はまた、流体を貯留するよう働き、これら層は、流体貯留要素としての役目を果たすことができる。
【0083】
使用中、流体移送要素12,52は、膣内で多くの形態を取ることができる。例えば、流体移送要素12″は、図4に示すように、流体貯留要素14″から遠ざかって膣内へ延びることができる。変形例として、流体移送要素52は、外方へ差し向けられた第1の表面74(図14)を介してのみ膣壁“W”に接触した状態で流体貯留要素54に巻き付けられたままであってもよい。別の変形実施形態では、流体移送要素52は、流体貯留要素54内に実質的に収納されるのがよく、かくして、膣壁とは全く接触しないのがよい。かくして、流体移送要素52は、流体貯留要素内に完全に収納されてもよく、あるいは、流体移送要素は、図9aに示すように流体貯留要素の外面まで延びてもよく、この場合、流体移送要素52は、流体貯留要素54内にのみ設けられる。加うるに、図11を参照して上述したように、流体移送要素は、流体貯留要素54の外面を越えて延びてもよい。
【0084】
流体貯留要素は、任意の有利な形状のものであってよく、かかる形状としては、円筒形、カップ状、砂時計形、球形等が挙げられる。この流体貯留要素は、吸収性または流体収集器具であってもよい。この流体貯留要素は、別々の区分の状態であってもよく、流体移送要素52が、これら区分を跨りまたは連結する。図15aおよび図15bは、2つの流体移送要素52″により互いに連結された複数個の貯留要素を示している。図16は、流体移送要素52″により橋渡しされた同一の一体貯留要素54″の2つの側部を示している。
【0085】
流体貯留要素54は、当該技術分野において知られた任意の構成物、例えば、圧縮繊維状ウェブ、巻き製品、フォーム等で作られたものであってよい。貯留要素は、当該技術分野において知られている任意の材料、例えば、綿、レーヨン、ポリエステル、超吸収性物質等で作られたものであってよい。
【0086】
好ましい一実施形態では、流体貯留要素54は、吸収タンポン50である。吸収タンポンは通常、中心軸線およびタンポンの外周面を画定する丸み(radius)を備えた圧縮吸収材料の実質的に円筒形の塊である。かかるタンポンは、例えば、ハース(Haas)の米国特許第1,926,900号明細書、ドスタル(Dostal)の米国特許第3,811,445号明細書、ウォルフ(Wolff)の米国特許第3,422,496号明細書、フリーズ等(Friese et al.)の米国特許第6,310,296号明細書、ルートウィラー等(Leutwyler et al.)の米国特許第5,911,712号明細書、トゥルーマン(Truman)の米国特許第3,983,875号明細書、アジヤポン等(Agyapong et al.)の米国特許第6,554,814号明細書に開示されている。また、タンポンは通常、カバーまたは或る他の表面処理および取出しひもまたは他の取出し機構を更に有する。
【0087】
吸収本体の形成に有用な吸収材料としては、繊維、フォーム、超吸収剤、ヒドロゲル等が挙げられる。本発明にとって好ましい吸収物質としては、フォームおよび繊維が挙げられる。吸収フォームとしては、親水性フォーム、水性流体により容易に湿潤されるフォームおよびフォームを形成するセル壁がそれら自体流体を吸収するフォームが挙げられる。
【0088】
繊維は、天然繊維(例えば、綿、木材パルプ、ジュート等)を含むセルロース系繊維および合成繊維(例えば、再生セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等)から選択されるのがよい。
【0089】
流体貯留要素はまた、収集カップの形態をしていてもよい。かかる器具の例は、ゾラー(Zoller)の米国特許第3,845,766号明細書およびコンテント等(Contente et al.)の米国特許第5,295,984号明細書に開示されている。収集器具は、開放側がユーザの子宮頸部に向いた状態で通常は開いた凹状の形態を取るよう設計されている。膣腔内への挿入を容易にするために収集器具を折り畳みまたは違ったやり方で操作するのがよい。
【0090】
取出し機構体、例えば取出しひも16,56は好ましくは、使用後に取り出せるように流体管理器具10,50に接合されている。取出し機構体は好ましくは、少なくとも流体貯留要素14,54に接合され、この取出し機構体は、少なくともその取出し側端部92を越えて延びている。当該技術分野において現在知られている取出しひものうちの任意のものを適当な取出し機構体として用いることができ、かかる取出し機構体としては、編組(または撚り)コード、ヤーン等が挙げられるが、これらには限定されない。加うるに、取出し機構体は、他の形態、例えば、リボン、ループ、タブ等(現在用いられている機構体とこれら他の形態の組合せを含む)を取ることができる。例えば、数本のリボンを撚りまたは編組して平行なプレート構造体を形成してもよい。
【0091】
タンポンは一般に、2つのクラス、即ち、アプリケータ利用型タンポンと指利用型タンポンに分類され、或る程度の寸法安定性が、タンポンの各タイプにとって有用である。アプリケータ利用型タンポンは、使用前にタンポンを収容して保護する比較的硬質の器具を用いる。タンポンを体腔内に挿入するため、タンポンを収容したアプリケータを体腔内に部分的に挿入し、タンポンをアプリケータから体腔内に放出するのがよい。これとは対照的に、指利用型タンポンは、これらタンポンを体腔内に案内するのに役立つアプリケータを備えておらず、アプリケータを用いないで挿入を可能にするのに十分な長柱強度を必要とする。
【0092】
アプリケータ利用型タンポンは、硬質アプリケータ器具によって保護され、アプリケータ利用型タンポンは、指利用型タンポンほど高い度合いの長柱強度を有する必要はないが、アプリケータ利用型タンポンは、使用するのに十分な寸法安定性(特に半径方向)を必要とする。この寸法安定性は、例えば、タンポンが時期尚早に膨れてその包装材料を割ることはなくまたはタンポンアプリケータ内でくさび止め状態にならないようにすることを保証する。
【0093】
さらに、流体管理器具を包装および挿入のために潰すのがよい。例えば、流体移送要素52の主要な表面、例えば、外方へ差し向けられた第1の表面74の少なくとも一部が、流体貯留要素54の外面の少なくとも一部と接触状態にあるのがよい。これは、流体移送要素を流体貯留要素54に巻き付けることにより達成できる(図8bに示すように)。変形例として、流体移送要素52を流体貯留要素54に対して折り畳みまたはひだ付けしてもよい(例えば、図17に示すようにアコーディオンのような仕方で)。次に、このようにコンパクトにした状態の器具を包装するのがよい(例えば、アプリケータ内にまたは包装材料内に単独に)。図18は、アプリケータ98(想像線で示されている)内の巻き状態のタンポンを示している。
【0094】
上述の説明および実施形態は、本明細書において開示した本発明の完全でかつ非限定的な理解を助けるために与えられている。本発明の多くの変形例および実施形態を本発明の精神および範囲から逸脱することなく想到できるので、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0095】
〔実施の態様〕
本発明の具体的な実施態様は、次の通りである。
(1)哺乳動物の体の中で使用される流体管理器具において、
少なくとも1つの流体移送要素であって、前記少なくとも1つの流体移送要素と流体連通状態にある流体貯留要素に実質的に連続する流体導管を提供するよう体要素と接触面を取ることができる、前記少なくとも1つの流体移送要素、
を具備し、
前記少なくとも1つの流体移送要素の遠位部分は、前記流体貯留要素から遠ざかって延びることができる、
流体管理器具。
(2)実施態様(1)記載の流体管理器具において、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、少なくとも、外方へ差し向けられた表面および内方へ差し向けられた表面を備える第1のプレートを有する、流体管理器具。
(3)実施態様(2)記載の流体管理器具において、
前記流体移送要素は、前記第1のプレートに結合されていて、プレート間毛管作用をもたらすのに十分に前記第1のプレートから離れることができる、第2のプレートを更に有し、
前記第2のプレートは、前記第1のプレートの前記内方へ差し向けられた表面と向かい合った関係に配置されると共に保持された第1の表面、および反対側の表面を有する、
流体管理器具。
(4)実施態様(3)記載の流体管理器具において、
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートは、単一のシート状要素から形成されている、流体管理器具。
(5)実施態様(2)記載の流体管理器具において、
複数個の流体移送要素が、単一のシート状要素から形成されている、流体管理器具。
(6)実施態様(1)記載の流体管理器具において、
前記流体移送要素は、流体を前記流体貯留要素との接触面に差し向けるよう配置されると共に構成されている、流体管理器具。
(7)実施態様(3)記載の流体管理器具において、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、流体を前記流体貯留要素との接触面に差し向けるよう配置されると共に構成されている、流体管理器具。
(8)実施態様(7)記載の流体管理器具において、
追加の流体移送要素、
を更に具備し、
各流体移送要素は、流体を前記流体貯留要素に関連した接触面に差し向ける、
流体管理器具。
(9)実施態様(1)記載の流体管理器具において、
追加の流体移送要素、
を更に有する、流体管理器具。
【0096】
(10)実施態様(9)記載の流体管理器具において、
各流体移送要素は、少なくとも1枚のプレートを含む、流体管理器具。
(11)実施態様(1)記載の流体管理器具において、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、棒を含む、流体管理器具。
(12)実施態様(1)記載の流体管理器具において、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、管を含む、流体管理器具。
(13)実施態様(1)記載の流体管理器具において、
前記流体移送要素は、前記流体貯留要素の外面を形成する、流体管理器具。
(14)実施態様(1)記載の流体管理器具において、
前記流体移送要素は、前記流体貯留要素内へ延びている、流体管理器具。
(15)実施態様(1)記載の流体管理器具において、
前記流体貯留要素は、吸収構造体を含む、流体管理器具。
(16)実施態様(15)記載の流体管理器具において、
前記貯留要素は、移送要素を更に含む、流体管理器具。
(17)実施態様(16)記載の流体管理器具において、
前記移送要素は、前記流体貯留要素の外層を含む、流体管理器具。
(18)実施態様(1)記載の流体管理器具において、
哺乳動物の体内に完全に嵌まり込む寸法のものである、流体管理器具。
【0097】
(19)哺乳動物の体の中で使用される流体管理器具において、
a.少なくとも1つの流体移送要素であって、
i.外方へ差し向けられた表面、および内方へ差し向けられた表面、を備える第1のプレート、ならびに、
ii.前記第1のプレートに結合された第2のプレートであって、
1)前記第1のプレートの前記内方へ差し向けられた表面と向かい合った関係に配置されると共に保持された第1の表面、および反対側の表面を有し、
2)プレート間毛管作用をもたらすのに十分に前記第1のプレートから離れることができる、
前記第2のプレート、
を含む、前記少なくとも1つの流体移送要素と、
b.長手方向軸線を備えた流体貯留要素であって、前記流体貯留要素は、前記少なくとも1つの流体移送要素と流体連通状態である、前記流体貯留要素と、
を含み、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、前記流体貯留要素内に実質的に収納されている、
流体管理器具。
(20)実施態様(19)記載の流体管理器具において、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、前記流体貯留要素内に完全に収納されている、流体管理器具。
(21)実施態様(19)記載の流体管理器具において、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、前記流体貯留要素の外面まで延びている、流体管理器具。
(22)実施態様(19)記載の流体管理器具において、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、前記流体貯留要素の外面を越えて延びている、流体管理器具。
【0098】
(23)哺乳動物の体の中で使用される流体管理器具において、
第1の表面および第2の表面を備えた回旋状に巻かれたプレート、
を具備し、
前記器具の一巻き中の前記プレートの前記第1の表面は、前記第2の表面と向かい合った関係に配置されると共に保持されていて、プレート間毛管作用をもたらすのに十分に前記第2の表面から離れることができる、
流体管理器具。
(24)実施態様(23)記載の流体管理器具において、
前記流体管理器具に接触する体内流体が、前記器具内で捕捉されて貯留される、流体管理器具。
【0099】
(25)包装済み膣内器具において、
a.長手方向軸線および外面を備えた流体貯留要素と、
b.前記流体貯留要素と流体連通状態にある流体移送要素であって、
i.前記流体貯留要素から半径方向外方へ延びることができ、
ii.前記流体貯留要素の前記長手方向軸線に実質的に平行な軸線回りに曲げ可能な、少なくとも1枚の柔軟性プレートを有する、
流体移送要素と、
c.前記柔軟性プレートの主要な表面の少なくとも一部が前記流体貯留要素の前記外面の少なくとも一部と接触した状態で、前記膣内器具を実質的に包囲する包装要素と
を有する、包装済み膣内器具。
【0100】
(26)膣内器具において、
d.少なくとも1つの流体移送要素、
を具備し、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、
e.外方へ差し向けられた表面および内方へ差し向けられた表面を備えた第1のプレートと、
f.前記第1のプレートに結合された第2のプレートであって、
i.前記第1のプレートの前記内方へ差し向けられた表面と向かい合った関係に配置されると共に保持された第1の表面、および反対側の表面を有し、
ii.プレート間毛管作用をもたらすのに十分に前記第1のプレートから離れることができる、
第2のプレートと、
g.長手方向軸線を備えた流体貯留要素であって、前記流体貯留要素は、前記少なくとも1つの流体移送要素と流体連通状態にある、前記流体貯留要素と、
を含み、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、前記流体貯留要素の前記長手方向軸線に実質的に平行な軸線回りに曲げ可能である、
膣内器具。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1a】流体貯留要素から延びる棒状流体移送要素を有する流体管理器具の側面図である。
【図1b】図1aの流体移送要素の1b−1b線矢視横断面図である。
【図2】流体貯留要素から延びる毛管状流体移送要素を有する流体管理器具の変形実施形態の側面図である。
【図3a】カバーの延長部として形成された1対の流体移送要素を有する流体管理器具の変形実施形態の側面図である。
【図3b】図3aの3b−3b線矢視横断面図である。
【図4】図3aのタンポンがヒトの膣内に配置され、1つの流体移送要素が流体貯留要素から遠ざかって延びている状態を示すヒトの膣の横断面図である。
【図5a】カバーの延長部として形成された1対の流体移送要素を有する流体管理器具の側面図である。
【図5b】図5aの器具の5b−5b線矢視横断面図である。
【図5c】流体移送要素のプレート相互間への流体の導入後における図5bに示す器具の横断面図である。
【図6a】1つの向きを有するポリマー有孔形成フィルムで形成された本発明の流体移送要素の変形実施形態の拡大断面図である。
【図6b】別の向きを有するポリマー有孔形成フィルムで形成された本発明の流体移送要素の変形実施形態の拡大断面図である。
【図6c】別の向きを有するポリマー有孔形成フィルムで形成された本発明の流体移送要素の変形実施形態の拡大断面図である。
【図7】1組のフィルムプレートを分離するこぶ状突起を備えた本発明の流体移送要素の変形実施形態の拡大断面図である。
【図8a】本発明の膣内器具の一特徴および向きを示す図であって、横方向平行なプレートを備えた変形実施形態の側面図である。
【図8b】本発明の膣内器具の別の特徴および向きを示す図であって、図8aの横断面図である。
【図8c】本発明の膣内器具の別の特徴および向きを示す図であって、平行なプレートがカバープレートにより形成された変形実施形態の横断面図である。
【図8d】本発明の膣内器具の別の特徴および向きを示す図であって、平行なプレートが部分的に貯留要素内に延びている変形実施形態の横断面図である。
【図8e】本発明の膣内器具の別の特徴および向きを示す図であって、多数の平行なプレートが延びている変形実施形態の側面図である。
【図9】流体貯留要素内に実質的に収納された層状流体移送要素を有する変形実施形態の横断面図である。
【図10a】流体移送要素が流体貯留要素内に実質的に収納されると共にその外面まで延びている変形実施形態の側面図である。
【図10b】図10aの10b−10b線矢視軸方向断面図である。
【図11】貯留要素内に部分的に延びている1対の流体移送要素を有する変形実施形態の横断面図である。
【図12】多数の流体移送要素が流体貯留要素からその長手方向軸線に実質的に垂直な平面内で延びている変形実施形態の側面図である。
【図13】一連の回旋状に巻かれたプレートを形成するようそれ自体丸められた連続プレートを有する別の変形実施形態を示す図である。
【図14】図8bのタンポンがヒトの膣内に配置され、流体移送要素が流体貯留要素に巻き付けられたままの状態を示すヒトの膣の横断図である。
【図15a】流体移送要素が複数個の流体貯留要素を連結している本発明の変形実施形態の側面図である。
【図15b】図15aの15b−15b線矢視横断面図である。
【図16】本発明の器具の変形実施形態の軸方向断面図である。
【図17】アコーディオンのように折り畳まれた流体移送要素を有する器具の断面図である。
【図18】アプリケータ内に包装された巻き状態のタンポンを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の体の中で使用される流体管理器具において、
当該流体管理器具は人の膣に適合する大きさに形成され、
少なくとも1つの流体移送要素であって、前記少なくとも1つの流体移送要素と流体連通状態にある流体貯留要素に実質的に連続する流体導管を提供するように構成された、前記少なくとも1つの流体移送要素、
を具備し、
前記流体移送要素は、前記流体貯留要素から遠ざかって延びるように形成された遠位部分を有する第1のプレートを少なくとも有し、使用状態において、前記第1のプレートが第1の表面を提供して前記第1のプレートの第2の表面または前記流体移送要素の他のプレートの表面とでプレート間毛管作用により流体を移動させる平行面を形成するように構成されている、
流体管理器具。
【請求項2】
請求項1に記載の流体管理器具において、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、前記第1のプレートに結合されていて、プレート間毛管作用をもたらすのに十分に前記第1のプレートから離れることができる、第2のプレートを更に有し、
前記第2のプレートは、前記第1のプレートの第2の表面と向かい合った関係に配置されると共に保持された表面を有する、
流体管理器具。
【請求項3】
請求項2に記載の流体管理器具において、
単一のシート状要素から、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートの両方が形成されている、流体管理器具。
【請求項4】
請求項1に記載の流体管理器具において、
複数個の流体移送要素が、単一のシート状要素から形成されている、流体管理器具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の流体管理器具において、
前記少なくとも1つの流体移送要素は、流体を前記流体貯留要素との接触面へ移動させる途切れのないプレート間毛管状隙間を形成するように配置されると共に構成されている、流体管理器具。
【請求項6】
請求項5に記載の流体管理器具において、
追加の流体移送要素、
を更に具備し、
各流体移送要素は、流体を前記流体貯留要素の対応した接触面へ移動させる途切れのないプレート間毛管状隙間を形成するように配置されると共に構成されている、
流体管理器具。
【請求項7】
請求項1に記載の流体管理器具において、
追加の流体移送要素、
を更に有する、流体管理器具。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の流体管理器具において、
前記少なくとも一つの流体移送要素は、前記流体貯留要素内へ延びている、流体管理器具。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の流体管理器具において、
前記流体貯留要素は、吸収構造体を含む、流体管理器具。
【請求項10】
請求項9に記載の流体管理器具において、
前記貯留要素は、移送要素を更に含む、流体管理器具。
【請求項11】
請求項10に記載の流体管理器具において、
前記移送要素は、前記流体貯留要素の外層を含む、流体管理器具。
【請求項12】
請求項1に記載の流体管理器具において、
前記平行面は一連の回旋状に巻かれたプレートにより提供され、前記プレートの一巻き中の前記第1の表面は隣接する一巻きの前記第2の表面と向かい合った関係に配置されると共に保持されている、流体管理器具。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図1c】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図8c】
image rotate

【図8d】
image rotate

【図8e】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15a】
image rotate

【図15b】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−24641(P2012−24641A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247321(P2011−247321)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【分割の表示】特願2007−513466(P2007−513466)の分割
【原出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(598039367)ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド (79)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Companies,Inc.
【住所又は居所原語表記】Grandview Road,Skillman,New Jersey 08558,United States of America
【Fターム(参考)】