説明

体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置

【課題】正及び負の相対圧のいずれをも印加することができる圧力印加装置をもつ体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置を提供すること。
【解決手段】空気供給手段及び身体区域を包囲するハウジングを備え、該ハウジングが、比較的硬いチューブ状シェル、身体区域に近接して該シェルの内部に配置される通気性のある内層及び該シェルを身体区域に気密止めする手段を備え、該シェルが該空気供給手段と該シェル内部の間を連結している内部空気配給システムを備え、該シェルが、空気流通チャンバを画定する、外壁及び該外壁に隣接するスペーサー手段を備え、該シェルが内壁をさらに備え、それにより該内壁と外壁の間に負の圧力の印加が可能な空気流通チャンバを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は正及び負の相対圧を四肢に印加することにより機能する体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置に関し、さらに詳しくは、心臓動作と逆脈動式に(大気圧に対して)正及び負の相対圧を四肢に印加するための、個々に合せた装着を提供するために現場で組み立てられるようになっており、所要ポンプ容量を減少させた、比較的硬い、気密止めされるハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
間欠的圧力を外部から身体に印加することによって、血管系に侵襲することなく血液循環を補助する方法が知られている。研究により、心拡張期に大気圧に対して正の相対圧のパルスを下肢に印加すると拡張期血圧を40%ないし50%高め得ること及び、一方で、心収縮期に負の相対圧(真空)を印加すると収縮期血圧を約30%低め得ることが示されている。以降、“相対”圧は、大気圧に対する圧力(ゲージ圧)を意味する。
【0003】
上記の外部から印加された正及び負の相対圧は、末梢静脈床にある単方向弁のため、心臓への静脈還流量を増加させる。心筋虚血にともなう心原性ショックにおいては、増加した冠状灌流により心機能を改善することができ、よって本処置への血行力学的応答に間接的に影響を与え得る。さらに、増加した冠状灌流は、心組織に栄養を補給する副側血管枝の成長を促進し、狭心症の症状を軽減すると考えられる。
【0004】
この方法の治療効果は詳細にわたって文書化されている。しかし、実際問題として、四肢に外部から正及び負の相対圧を印加するために用いられる装置は極めて非能率的であり、したがって上記の処置が広く受け入れられるには至っていない。
【0005】
この目的のために用いられた初期の装置には、既製のヒンジ付円錐形金属ハウジングすなわちシェルハウジングが備えられている。ハウジング内には、中空円筒形ゴム製の膨張可能なバルーン状チューブが配され、チューブ内に肢区域が入れられた。バルーン状ゴムチューブは水で満たされ、水を加圧してチューブを膨張させ、よってチューブがハウジング内部を満たし、肢区域の表面領域に圧力を印加した。
【0006】
負の相対圧を印加するためには、まずゴムチューブからポンプで水を抜いてゴムチューブと肢の間に空隙を形成する。非通気性の、ゴムのような材料で被覆された織布がハウジングの外側を囲んで配置され、肢とゴムチューブの間の空気を閉じ込めるために肢の周りに気密止めされる。気密止めされた織布内に閉じ込められた空気をポンプで抜くことにより、まず織布がハウジングの周りでつぶれ、次いで肢とゴムチューブの間の間隙内に負圧が形成され始める。
【0007】
このシステムには使用上数多くの困難がある。流動抵抗が高いため、ゴムチューブを加圧すること及び心臓の拍動に一致するに十分に速くゴムチューブから水をポンプで抜くことはほとんど不可能であった。この結果、正の相対圧を印加するプロセスでさえ、極めて困難であった。既製ハウジングをどの患者にも隙間無く装着することはできず、したがってゴムチューブと肢の間に膨張するゴムチューブで満たされるべき比較的大きな間隙が残るから、正の相対圧を印加するプロセスはさらに一層困難となった。ハウジングのまわりのゴム引き織布に囲まれた空間及び肢とゴムチューブの間の空間からポンプで抜かれなければならない空気の量は比較的大きく、したがって大きな空気排出ポンプ作用が必要であった。さらに、ゴム引き織布は柔軟であるため、ゴム引き織布は変形して肢とゴムチューブの間の空間に入り込みやすく、したがって所望のレベルの負圧(真空)を肢の周りで達成することが困難であった。
【0008】
現在の圧力印加装置には、バルーン状素子が内部に配置されている、既製の比較的非伸長性の織布が利用される。バルーン状素子は外囲ハウジングすなわちカフとともに肢に巻き付けられ、市場ではベルクロ(登録商標)として知られる、フック/ループ型付着テープを備えるストラップにより固定される。そのような圧力印加装置は現在、米国ニューヨーク州ウエストベリー(Westbury)のバソメディカル社(Vasomedical, Inc)から入手できる。
【0009】
作動中、バルーンは空気で加圧され、よって囲まれている肢の表面に圧力を印加する。バルーンの加圧にともなうカフの膨張及び変形により、所要の肢表面圧力を達成するにはかなり大量の空気が必要である。このことは、カフ材料が比較的非伸長性で、カフが肢区域に具合よく装着されている場合であっても当てはまる。この結果、肢に必要な圧力を印加するためにバルーンを交互に膨張/収縮させるためには、バルーンに及び、ほとんどの場合は、バルーンから大量の空気を迅速に出入りさせなければならないから、装置を駆動するには大容量ポンプが必要である。圧力印加にバルーンを用いるような、上記の圧力印加装置の構造及びその変形例の全ては、肢に負の相対圧を印加するために用いることができない。現在の圧力印加装置の別の欠点は、大量の空気が必要であることから、システムは可搬型にならず、よって特定の処置室の外での利用できず、緊急状況において使用できない。
【0010】
近年、膨張可能なバルーン型の内部を取り囲む硬質または半硬質の外部シェルによる設計概念を発展させるための努力がなされている。このタイプの圧力印加装置は、1996年9月10日にツァン(Zhang)等に発行された特許文献1及び1999年12月7日にツァン等に発行された特許文献2に説明されており、これらの特許はいずれも米国ニューヨーク州ウエストベリーのバソメディカル社が所有している。これらの圧力印加装置は、肢に巻き付けられ、「ベルクロ」ストラップのような何らかの手段で所定の位置に保持されると、説明されている。しかし、そのような既製の圧力印加装置の構造は、肢に隙間無く装着させることができず、したがって所要の肢表面圧力レベルを与えるためには大量の空気がやはり必要である。このことは、そのような既製の圧力印加装置は肢区域に精確にフィットするようにつくることができず、よってバルーン状チューブと肢の間にかなりのデッドスペースが残るから、事実である。
【0011】
上述の特許は、圧力印加装置の動作に必要な空気量を低減するために、スペーサーでデッドスペースを埋めることを提案している。これらのスペーサーは様々な形状及び厚さに裁断されなければならず、したがって非常に面倒で、非実用的である。
【0012】
外部シェル及び圧力印加装置は、肢区域にフィットするように個別に作成することもできる。様々な患者の四肢の輪郭にほぼ適合するように、大きさ及び形状が様々な多数の圧力印加装置を作成することもできる。個別に作成される圧力印加装置は明らかに非実用的である。大きさの異なる多様な患者に適した種々の大きさ及び形状の多数の圧力印加装置を作ったり病院在庫するというのは非実用的である。
【0013】
さらに、そのような圧力印加装置は肢区域のまわりでバルーン状チューブを加圧することにより動作するから、肢区域に負の相対圧を印加するために用いることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5554103号明細書
【特許文献1】米国特許第5997540号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、内部空気配給システムをもつ独特の構成の圧力印加装置ハウジングの使用により上記の欠点を克服する。本圧力印加装置は個々に合せて装着され、したがって作動に必要な空気量が従来技術の圧力印加装置よりかなり少ない。ハウジングの作動に必要な空気量が少ないから、容量がかなり小さく、かなり軽く、より安価な空気ポンプですむ。本圧力印加装置ハウジングは、患者に固定されると硬くなる変形可能なコンポーネントから現場で組み立てられ、したがってそれぞれの患者に合せることができるから、大量の既製ハウジングコンポーネントを在庫しておく必要性がなくなり、同時に各患者のフィット精度が大きく高められる。
【0016】
シェルと肢表面の間の隙間を非常に小さくすることができ、よって加圧されなければならない総空間を最小限に抑えることができるから、必要な空気量が低減される。シェルと肢表面の間の隙間をそのように小さくしたときの主な障害は、シェルに出入りする空気に対する抵抗である。しかし、空気流は、シェルの内部空気配給システムにより、また多数の通気口をシェルに設けることにより、容易に向上させることができる。
【0017】
さらに、必要な空気量を最小限に抑えることにより、比較的密閉された系に正及び負の相対圧を発生させるため、実質的に同じ空気をポンプで迅速にハウジングに出入りさせることができる。これにより、空気圧を制御するための効率的手段が得られ、空気温度を精密に制御することも可能になる。空気温度の調節は、より暖かい空気は血管拡張を促進する結果、血流量が増え、よって装置の運用効果が高まるから、重要である。
【0018】
さらに、内部空気配給システムをもつ比較的硬いシェルの使用により、従来技術の膨張可能なバルーン状内部を無くすことができる。これにより、本発明の圧力印加装置で正の相対圧だけでなく負の相対圧も肢に印加することができる。例えば、バソメディカル社の圧力印加装置は、負の相対圧を印加することができない。
【0019】
本発明の第一義的な目的は、肢に正及び負の相対圧のいずれをも印加することができる圧力印加装置をもつ体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置を提供することにある。
【0020】
本発明の別の目的は、作動に必要な空気量が比較的小さく、したがって必要なポンプ容量が低減される、圧力印加装置をもつ体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置を提供することにある。
【0021】
本発明の別の目的は、膨張可能なバルーン状チューブの使用を必要としない、体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置を提供することにある。
【0022】
本発明の別の目的は、現場で組み立てることができ、よってそれぞれの患者の肢に精確に合せて装着することができる正/負相対圧印加装置を備える体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置を提供することにある。
【0023】
本発明の別の目的は、既存システムよりかなり軽量であり、したがって、処置のために患者が特別な設備をもつ施設に行かなければならないのではなく、患者のもとに移動させることができるような可搬型とされる、体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置を提供することにある。
【0024】
本発明の別の目的は、血管拡張を促進するために空気温度を容易に制御できる態様で用いられることが好ましい、体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置を提供することにある。
【0025】
本発明の別の目的は、肢区域に容易に固定することができ、同時に肢区域の周りに圧力印加装置を容易に気密止めできる、比較的硬いシェルをもつ圧力印加装置を備える体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置を提供することにある。
【0026】
本発明の別の目的は、比較的硬いシェルが固定され、気密止めされる、肢区域を覆う通気性のある内層とともに使用されることが好ましい、体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置を提供することにある。
【0027】
本発明の別の目的は、心臓の動作に同期して、チューブ状チャンバに空気を出入りさせるために機能するポンプシステムに接続されるように適合されたチューブ状チャンバを定める径方向及び/または長さ方向の素子により肢表面から隔てられる内部空気配給システムを気密止めされた外部シェル内に有する、硬質または半硬質のシェルをもつ体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置を提供することにある。
【0028】
本発明の圧力印加装置は、気密止めされたハウジング内部の加圧及び真空生成による、肢への正の相対圧及び負の相対圧(真空)の印加を提供する。ハウジング内部を定めるシェルは、肢の周りに固定されると、正圧を確保するに十分に硬く、非膨張性であり、かなりの真空の形成を可能にするに十分に非凋性である。
【0029】
本発明の一実施形態において、シェル内壁は、径方向及び/または長さ方向の素子によりシェル外壁から隔てられ、よってチューブ状チャンバが画定される。チャンバは、心臓の動作に同期して空気をチャンバに出入りさせるポンプに連結されるように適合される。
【0030】
シェルは、初めは、肢の形状及び寸法に精密に一致させるために形を変えることができるように、変形可能であることが好ましい。適所におかれると、シェル内部は密封される。シェルは、固定されると比較的硬くなる。
【0031】
シェル内部内には、肢に隣接して、内層が配置されることが好ましい。この層は、曲げには柔軟であるが、比較的耐圧性である、すなわち圧力下で容易には圧縮されない、織布、フェルトまたはスポンジ様材料のような、高通気性材料でつくられることが好ましい。
【0032】
シェルコンポーネントは、初めは、通気性内層から分離されていることが好ましい。シェル壁間のチューブ状空間は、ポンプとシェル内部の通気性内層の間の空気の自由な流通を可能にする、内部空気配給システムを定める。通気性内層は空気流に対する抵抗を最小にするように構成される。
【0033】
正−負相対圧サイクル及びその時間プロファイルは、心電計またはその他の心臓機能モニタ装置からの入力を受け取るマイクロプロセッサベースコンピュータシステムにより制御されることが好ましい。正の相対圧は、空気圧縮機、圧縮空気槽及び/または空気ポンプにより与えることができる。負の相対圧は真空ポンプにより与えることができる。しかし、以下で説明するように、正及び負の相対圧のいずれをも与える、ばね押しポンプ機構が好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明の一態様にしたがえば、心臓の動作に同期してある身体区域に正及び負の相対圧を与えるための、体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置が説明される。本装置はハウジングを備える。ハウジングは、ある身体区域を包囲する比較的硬いチューブ状シェル及び、身体区域に近接して、シェル内部内に配置される、通気性のある柔軟な内層を備える。シェル内部を密閉する手段が提供される。シェルは、空気供給源とシェル内部を有効に接続する内部空気配給システムを有する。
【0035】
シェルは隔てられた内壁及び外壁で形成されることが好ましい。シェル壁間にスペーサー手段が配置され、シェル壁間に空気チャンバを定める。シェル内壁は、チャンバとシェル内部の間の空気の自由な流通を容易にする、複数の開口を有する。
【0036】
1つまたはそれより多くのポートがシェル外壁に設けられる。これらのポートはチャンバと空気供給源を有効に接続する。
【0037】
スペーサー手段はシェルの内部空気チャンバを複数の区画に分ける。チャンバ区画を接続するため、スペーサー手段を貫通する通気路が設けられる。スペーサー手段は径方向または長さ方向にのびるスペーサー壁を有することができる。構成に応じて、ハニカム等のような、別の形状も使用可能である。
【0038】
シェル内壁及びスペーサー手段は結合されて集成体を形成することが好ましい。シェル外壁はその集成体に被せて配置される。集成体に被せて外壁を固定してシェルを硬くする手段が提供される。
【0039】
シェル内壁は、プラスチックまたは硬質ゴムのシートのような、比較的硬い材料、あるいは複数の連結されたプラスチック等の部分品または金属部分品からなることが好ましい。
【0040】
内層は、織布、フェルトまたはスポンジ様材料からなることが好ましい。この層は、圧力印加装置の組立中にシェル内壁の圧力に耐える程度に硬いが、負の相対圧の印加中に拡張する肢に相当の抵抗を与えることにはならない程度に柔軟である。内層材料は、組立中に肢の形状に容易に合せられるように、かなりの曲げに十分に柔軟でもある。
【0041】
シェル外壁は、非通気性であり、様々なタイプの目止織布またはプラスチックのような、柔軟ではあるが非伸長性のシート材料からなることが好ましい。
【0042】
シェル内壁及びスペーサー手段は一体化されていることが好ましい。あるいは、シェル内壁及びシェル外壁をともにスペーサー手段と一体化することができる。
【0043】
内層に被せてシェルを気密止めする手段はシールテープを備えることが好ましい。シェル外壁を固定する手段は、比較的非伸長性のストラップまたはバンドを備えることが好ましい。
【0044】
シェル外壁は、複数のフック/ループ型付着テープの部分品により、あるいは単純には摩擦強化粗化面により、スペーサー上部に対して所定の位置に保つことができる。そのような場合、スペーサー壁の上面は、固定作用を強化するために広げてもよい。
【0045】
本発明の別の好ましい実施形態において、シェルは外壁だけからなる。内壁は使用されない。通気性のある柔軟な内層が身体区域に被せて配される。スペーサー手段がシェル外壁から通気性内層を隔てて、内部空気チャンバを形成する。スペーサー手段はシェルの空気チャンバを複数の区画に分ける。チャンバ区画を接続するために通気路がスペーサー手段を貫通して設けられる。スペーサー手段は、径方向または長さ方向にのびるスペーサー壁を有することができる。ハニカム等のような、その他の形状も用いることができる。
【0046】
本発明の先述した実施形態のように、シェル内部を密閉する手段が備えられる。シェルの内部空気配給システムが空気供給源とシェル内部を有効に接続する。シェル内部チャンバと空気供給源を有効に接続するために1つまたはそれより多くのポートがシェル外壁に設けられる。
【0047】
スペーサー手段及びシェル外壁は一体化することができる。あるいは、スペーサー手段及び外壁は個別コンポーネントとすることができ、この場合、スペーサー手段は裁断されて、通気性のある柔軟な内層の周りに集成される。次いで、集成体に被せて外壁が配置される。集成体に被せてシェル外壁を固定してシェルを硬くする手段が備えられる。
【0048】
先述した実施形態で説明した内層は、この好ましい実施形態に利用してもよいし、利用しなくてもよい。内層が用いられない場合には、スペーサー手段が身体区域に近接して配置される。
【0049】
本明細書を通して、例示の目的のため、空気駆動されるとして本発明を説明する。低粘性、無毒性、不燃性、入手容易性等を含む多くの理由のため、空気が好ましい流体であるが、その他のガスまたは液体を用い得ることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は装置ハウジングの代表的区画の等角分解組立図である。(実施例1)
【図2】図2は患者の肢に取り付けられていると見えるであろうような、図1のハウジングの断面図である。
【図3】図3は図2の線3−3に沿って切った等角断面図である。
【図4】図4は“一体ヒンジ”により連結されている、内壁の隣接する複数の部分品の一部を示す断面図である。
【図5】図5は図4と同様であるが、ヒンジにより連結されている隣接する複数の部分品の一部を示す図である。
【図6】図6は本発明のシェルの代表的区画の等角図である。(実施例2)
【図7】図7は本発明のシェルの代表的区画の断面図である。(実施例3)
【図8】図8は図7の線8−8に沿って切った断面図である。
【図9】図9は本発明のシェルの代表的区画を示す断面図である。(実施例4)
【図10】図10は本発明の側面図である。(実施例5)
【図11】図11は本発明のシェルの代表的区画を示す断面図である。(実施例6)
【図12】図12は本発明の断面図である。(実施例7)
【図13】図13は図11に示される実施形態の正面図である。
【図14】図14は本発明の等角図である。(実施例8)
【発明を実施するための形態】
【0051】
上記及び以降に現れるであろうようなその他の目的に対し、本発明は、明細書で以下に詳細に説明され、特許請求の範囲に列挙され、同様の参照数字が同様の部品を指す添付図面に図示される、体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置に関する。
【0052】
本発明の第1の好ましい実施形態は、図1,2及び3に示されるように、チューブ状ハウジングからなり、図示されているのは、事前に切断された代表的区画である。ハウジングは、現場で組み立てられ、腕または脚などの肢あるいは、大腿及び臀部を含む下半身全体に合せてフィットさせるようになっている。ハウジングは、織布、フェルトまたはスポンジ様材料のシートからなる、柔軟な通気性のある内層10を備える。内層10は肢12の周りに配置され、鋏またはナイフを用いて適当な大きさに裁断される。
【0053】
内層10の周りには、初めは肢の輪郭にぴったり合わせられる程度に変形可能な中空シェル14が緊密に装着される。シェル14が以下で説明されるように肢の周りの所定の場所に気密止めされて固定された後は、シェル14は比較的硬くなる。
【0054】
シェル14は内壁16及び外壁18からなる。壁16及び18は、シェル壁間の空気流通チャンバ22により画定される内部空気配給システムを形成するように、複数の直立スペーサー素子20により隔てられる。
【0055】
内壁16はチャンバ22とシェル内部の間の空気の自由な流通を可能にする複数の開口24を有する。開口24は、スペーサー素子の配置により決定されるパターンに配列される。壁16は、特に横方向及び縦方向が、比較的硬い。壁16は、図1,2及び3に示されるような、単体の、初めは変形可能な硬質ゴムまたはプラスチックのシート16、あるいは、図4に示されるような、“一体ヒンジ”17で接続された硬質ゴムまたはプラスチックの部分品16a,16b、あるいは、図5に示されるような、機械的ヒンジ23で接続された金属部分品16c,16dで形成することができる。ゴムまたはプラスチックであれば、壁16の各部分品を平坦な形状で提供し、次いで、必要に応じて、内層10の周りにぴったりフィットするように変形させることができる。
【0056】
スペーサー素子は、シェル14全体にわたる空気の自由な流通を確保するために、内壁と外壁の間隔を維持する。これらの素子は、図1〜6に示されるような、間隔をおいて径方向に伸びる矩形素子20、図7,8及び14に示されるような、ハニカム素子21、あるいは、図9及び11に示されるような、ベローズ様形状のような、様々な形状をとることができる。スペーサー素子は壁16と同じ材料からなることが好ましい。どのような形状のスペーサー素子が利用されるとしても、スペーサー素子で画定されるチャンバ22の区画間を空気が自由に流通するであろうように、それぞれのスペーサー素子を貫通する複数の通気路26が設けられる。
【0057】
スペーサー素子は、図1〜6に示されるように、シェル内壁16と一体形成されることが好ましい。しかし、図7,8及び14のハニカム素子21あるいは図9及び11のベローズ様スペーサー25のように、素子が単体として独立でき、相互接続されるような状況においては、スペーサーを壁16とは別にロールまたはシートで供給することができる。この場合、スペーサーは適当に裁断され、図14に示されるように、壁16が存在しなければ、内層10に被せて取り付けられ、あるいは壁16が内層10の周りに配置された後に、壁16に被せて取り付けられる。シェル壁に対して更に滑りにくい装着を提供するため、図11に示されるように、フック/ループ型付着テープ片27を、壁16及び18上のフック/ループ型付着テープ片に合せて、スペーサー25の角隅に用いることができる。
【0058】
ハウジングは、全構造体を肢の周りに緊密に支持するために固定され、ハウジング内部を隔離し、気密封止を提供するために気密止めされる、比較的(曲げに)柔軟であるが非伸長性の外壁18の装着により完成する。壁18は、本プロセス中にハウジングに加えられるであろう圧力変化に最小限の変形で耐え、ハウジングの緊密な装着を維持するに十分な厚さをもつ(剛性強化)、プラスチック、強化プラスチック、織布等またはエラストマーシートなどの、柔軟な材料でつくられる。
【0059】
壁18は、ロールまたはシートで供給してもよく、必要に応じて裁断する。壁18は、次いで、内壁及びスペーサー集成体に被せて緊密に配置される。壁18の端は重ね合わされて、気密接合を形成するために、フック/ループ型付着テープを用いるか、または接着シールテープ19等の部分品により、相互に封じられる。ハウジングの縁端は、空気の漏出を防止するため、接着シールテープあるいはクランプまたはベルトのようなその他の通常の手段により、同様に、肢に気密止めされる。
【0060】
ハウジングの長さに沿う様々な場所でハウジングを取り巻くためベルトまたはストラップ28も用いられ、ハウジングの固定装着を維持するために締め付けられる。これにより、シェルは、迅速な圧力変化に耐えるに十分に硬くなる。ベルトまたはストラップ28は曲げには柔軟であるが比較的伸長性がなく、バックル又はその他の締結手段29を有することができる。外壁を固定するため、あるいは内壁に耐滑り性をもたせるために、フック/ループ型付着テープを用いることができる。
【0061】
図6はシェル14'の好ましい実施形態を示し、この場合は、シェル14'が単一構造体となるように、壁16,18及びスペーサー素子20の全てが一体化されている。この場合、シェル14'は、初めは変形可能であり、ロールまたはシートの形態で提供してもよい。シェル14'は次いで適当に裁断され、内層10の周りに巻き付けられ、気密止めされて固定される。
【0062】
ロールまたはシートでシェルを提供する代わりに、それぞれが数インチ(5〜20cm程度)幅の、肢の軸に対して横並びの関係で、互いに隣接して、肢を取り巻く内層の周りに個別に装着される、部分品でシェルを提供することが可能である。これらの部分品は、必要に応じて、シールテープで止め合わされ、ベルトまたはストラップ28で固定される。この横並び部分品の実施形態が、肢の軸に対して横方向に広がる複数の連続するシェル部分品14a,14b,14c及び14dで形成されたシェルを示す、図10に示されている。この態様の横並びシェル部分品の使用により、肢形状への一致性をさらに高めることができ、ハウジング長に関する融通性をさらに高めることができる。
【0063】
図12及び13は、シェルが肢12の軸に平行にのびるように適合された細長部分品42a,42b,42c,...に分割されている、本発明の別の好ましい実施形態を示す。これらの部分品はヒンジ、好ましくは“一体ヒンジ”で互いに接続される。他の実施形態と同様に、部分品42a,42b,42c,...は、織布、スポンジ様材料または同様の材料とすることができる多孔質材料の内層10を取り囲む。それぞれの部分品42の内壁16には多数の通気口24が設けられる。それぞれの部分品42は、内部空気チャンバ22が形成されるように、スペーサー素子20を備える。部分品42a,42b,42c,...は、それぞれの間の空気の自由な流通を可能にするため、柔軟なチューブ44で互いに接続される。空気源への接続のために複数のコネクタ34が備えられる。
【0064】
ハウジングを肢の周りに固定し、比較的硬くするため、部分品42a,42b,42c,...にベルトまたはストラップ28が巻き付けられる。これらの固定手段は,フック/ループ型付着テープまたはその他の非伸長性織布でつくることができる。
【0065】
図14は、内層10及び内壁16がない、シェル14”の好ましい実施形態を示す。スペーサー手段21はハニカム形状として示されている。
【0066】
外壁18の1つまたはそれより多くのポート32を通して、空気がシェル内部チャンバ22に出入りする。それぞれのポート32には、ポートと空気源の間へのホースまたはコンジットの接続を可能にするために、通常の構造のコネクタ34が備えられる。
【0067】
上で示したように、用いられる流体は空気が好ましいが、その他のガスとすることができ、または、水のような液体とすることさえできよう。しかし、流体はハウジングを迅速に出入りしなければならないから、低粘度の流体が好ましい。
【0068】
用途によっては、正の相対圧の印加に空気槽からの圧縮空気を用いることができ、単に内部空気チャンバから空気を放出させて圧力を下げることができる。しかし、負の相対圧が必要な場合は、真空形成装置が必要である。空気槽及び真空形成装置は適当なバルブによりハウジングに接続することができる。
【0069】
図2は、ハウジングに空気を供給し、ハウジングから空気を抜くために用いられ得るポンプ36を、簡略な形態で示す。ポンプ36は、シェルの内部空気流通チャンバに空気を押し込んでハウジングの圧力を高めるために収縮し、チャンバから空気を引き抜いてシェル内部に相対真空を形成するために拡張する気密ベローズ37を備える。
【0070】
ベローズの拡張及び収縮はシャフト40を軸にして回転する偏心カム38により制御される。シャフト40は、心電計またはその他の心機能モニタ装置(図示せず)で検知された信号にしたがってポンプを動かすために、一般に用いられる減速及び速度制御クラッチシステム(同じく図示せず)を介して電気モーター(同じく図示せず)で駆動される。ポンプ36は、負の相対圧(真空)がサイクル毎に与えられるように、ベローズ37の拡張状態方向にばねの力がかけられる。空気をハウジングポートに送るため、ポンプとポートの間に適当なバルブ(図示せず)が設けられる。
【0071】
図2においては、簡単のため、電気モーターで駆動される偏心カムによるとして、ベローズの拡張及び収縮を行う機構が示されている。しかし、電力により直線運動を生じさせるいかなる機構、例えば親ねじ機構または、適当な伝動装置及びコントローラをもつ、電気リニアモーターも用いることができる。さらに、正の相対圧及び相対真空形成の期間はシステム動作の全サイクルの一部でしかないから、ポンプを駆動する電気モーターは、ポンプのばね及び電動フライホイールにポテンシャルエネルギーの形態で機械的エネルギーを蓄えるために用いることができる。これにより、ポンプを動作させるに必要な電気モーターが相当に小さくなるであろう。
【0072】
図2に示されるポンプ36は、ベローズ37の拡張及び収縮にともないポンプとハウジングの間を同じ空気が行き来する閉じた系をハウジングとともに形成するから、本発明のハウジングとともに使用するに特に適している。これにより、小容量ポンプの使用及び強力なハウジング内空気温度制御が可能になる。小容量ポンプにより、装置を、緊急状況にある患者のもとにさらに容易に運ぶことができるような、可搬型とすることが可能になる。もちろん、ポンプ容量は、ポンプが一緒に用いられるハウジングの大きさにより決定される。
【0073】
図6に示されるように、ハウジングに送り込まれる空気の温度を高められたレベルに維持するために、加熱素子45及び温度センサ46が用いられることが好ましい。熱は血管拡張を促進し、よって血流量を増加させることにより、装置の効力を高める。
【0074】
別の可能な空気源として、内部スプリングを必要としない“複動”ポンプを含めることができよう。そのようなポンプには、圧力レベル及びプロファイルをさらに正確に制御できるという利点がある。同様にピストンポンプ及び回転ポンプも用いることができる。
【0075】
1つより多くの空気源を用いることもできる。同期して動作する、複数のポンプにより、さらに一様な圧力印加を与えることができる。1台のポンプより高いサイクル数毎秒でのシステム動作を可能にするように複数のポンプを組み合せることができる。交互に用いられれば、1台のポンプまたは一組のポンプが、他のポンプが圧縮空気をハウジングに押し込んでいる間に空気を圧縮し、1台のポンプまたは一組のポンプが圧縮空気をハウジングに押し込んでいる間に他のポンプが空気を圧縮することができる。
【0076】
どのようなタイプの空気供給装置が利用されるとしても、シェル内部及び接続コンジットの容積を最小限に保ち、ハウジングを可能な限り肢の輪郭に近づけて装着することが重要である。これにより、加圧/減圧すべき空間の容積が減少し、所要の送排気量が少なくなり、したがって空気供給ポンプの容量が減少する。
【0077】
以上、本発明が、心臓動作に同期して正及び負の相対圧を交互に与えるための、個々に合せて組み立てられ、肢の周りに装着するように適合された密封ハウジングを備える体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置に関するものであることが明らかであろう。
【0078】
ハウジングは、比較的硬いが初めは変形可能なシェルで囲まれた、通気性のある織布様内層を備える。シェルは、肢にぴったり合わせることができる初めは変形可能な内壁と、ハウジング内部への空気の出入りを容易にするための空気流通チャンバを画定するように、スペーサー素子により内壁から隔てられている外壁との間に画定される、内部空気流配給システムを備える。シェルは、接着シールテープ等により肢の周りで気密止めされ、ベルト、ストラップ等により肢に緊密に固定される。
【0079】
説明の目的のため、本発明の限られた数の好ましい実施形態だけを開示したが、それらの実施形態に多くの変形及び改変がなされ得ることは明白であるにちがいない。本発明は、特許請求の範囲で定められる本発明の範囲内に入るそれらの変形及び改変の全てを包含するとされる。
【符号の説明】
【0080】
10 内層
12 肢
14 中空シェル
16 内壁
18 外壁
19 接着シールテープ
20 スペーサー素子
22 空気流通チャンバ
24 開口
26 通気路
28 ベルト
29 バックル
32 ポート
34 コネクタ
36 空気ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓動作に同期して圧力をある身体区域に印加するための体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置において、前記装置が空気供給手段及び前記身体区域を包囲するようになっているハウジングを備え、前記ハウジングが、比較的硬いチューブ状シェル、前記身体区域に近接して前記シェルの内部に配置される通気性のある内層及び前記シェルを前記身体区域に気密止めする手段を備え、前記シェルが前記空気供給手段と前記シェル内部の間を連結している内部空気配給システムを備え、
前記シェルが、空気流通チャンバを画定する、外壁及び前記外壁に隣接するスペーサー手段を備え、
前記シェルが内壁をさらに備え、前記スペーサー手段が、前記シェルの内壁と外壁の間に配置され、それにより前記内壁と外壁の間に負の圧力の印加が可能な前記空気流通チャンバが形成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記シェル内壁が前記チャンバと前記シェルの前記内部の間の空気流通を容易にする複数の開口を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チャンバに通じるポートが前記シェル外壁にさらに設けられ、前記空気供給手段が前記ポートに連結されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記スペーサー手段が前記チャンバを複数の区画に分割することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記スペーサー手段を貫通する通気路をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記シェル内壁及び前記スペーサー手段が結合されて集成体を形成していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記シェル外壁が前記集成体に被せて配置されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記シェル外壁を前記集成体に被せて固定する手段をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記シェル内壁及び前記スペーサー手段が一体であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記シェル内壁がゴムからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記シェル内壁がプラスチックからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記内層が織布からなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記内層がフェルトからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記内層がスポンジ様材料からなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記シェル内壁が複数の部分品からなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記複数の部分品が前記身体区域に対して縦方向に延びていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記シェル内壁が第1及び第2の部分品を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の部分品がヒンジにより連結されていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記外壁が前記身体区域に対して横方向に延びている複数の部分品からなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記外壁が前記身体区域に対して縦方向に広がる複数の部分品からなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記シェル外壁が、曲げには比較的柔軟な、比較的非伸長性のプラスチック材料からなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記内壁、前記外壁及び前記スペーサー手段が一体であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記シェルを気密止めする前記手段が接着シールテープを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記シェルを前記内層に被せて固定する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記空気供給手段がポンプを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記ポンプ及び前記ハウジングが閉じた系をなすことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ポンプがベローズを備えることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記ポンプが前記ベローズと協動する回転カムを備え、前記カムの回転にともなって前記ベローズを拡張及び収縮させることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記カムを回転させるための手段をさらに備えることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記ベローズをその拡張状態方向にばね加圧する手段をさらに備えることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記空気供給手段が真空を作り出すことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記空気供給手段がコンプレッサー及び真空ポンプを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項33】
ハウジングにおいて、前記ハウジングが、ある身体区域に近接して配置されるようになっている比較的硬いチューブ状シェル及び前記身体区域に前記シェルの両縁端を気密止めする手段を備え、前記シェルが、内壁と外壁を備え、及び前記シェルの内壁および外壁間に配置されたスペーサー手段を備え、それにより前記内壁と外壁の間に圧力の印加が可能な空気流通チャンバが形成され、前記シェル内壁が、前記身体区域に向かって方向付けられた複数の開口を備え、前記シェル外壁にあるポートが前記チャンバと前記ポートに連結される空気供給源とに通じていることを特徴とするハウジング。
【請求項34】
前記身体区域と前記シェルの間に配置された通気性のある層をさらに備えることを特徴とする請求項33に記載のハウジング。
【請求項35】
前記シェル内壁が比較的硬質の材料からなることを特徴とする請求項33に記載のハウジング。
【請求項36】
前記シェル外壁が柔軟な材料からなることを特徴とする請求項33に記載のハウジング。
【請求項37】
心臓動作に同期して圧力をある身体区域に印加するための体外式カウンターパルセーションによる心臓補助装置において、前記装置が空気供給手段及び前記身体区域を包囲するようになっているハウジングを備え、前記ハウジングが前記身体区域に近接して配置される比較的硬いチューブ状シェル及び前記シェルを前記身体区域に気密止めする手段を備え、前記シェルが前記空気供給手段と前記シェルの内部とを連結する内部空気配給システムを備え、
前記シェルが、空気流通チャンバを画定する、外壁及び前記外壁に隣接するスペーサー手段を備え、
前記シェルが内壁をさらに備え、前記スペーサー手段が前記シェルの内壁と外壁の間に配置され、それにより前記内壁と外壁の間に負の圧力の印加が可能な前記空気流通チャンバが形成されていることを特徴とする装置。
【請求項38】
前記シェル内壁が、前記チャンバと前記シェルの前記内部の間の空気流通を容易にする複数の開口を備えることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記チャンバに通じるポートを前記シェル外壁にさらに備え、前記空気供給手段が前記ポートに連結されることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記スペーサー手段が前記チャンバを複数の区画に分割することを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項41】
前記スペーサー手段を貫通する通気路をさらに備えることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項42】
集成装置において:ある身体区域に近接して配置されるようになっている比較的硬いチューブ状シェル及び前記シェルの両縁端を前記身体区域に気密止めする手段を備えるハウジングであって、前記シェルは互いに隔てられた内壁、外壁及びスペーサー手段を備えるとともに前記スペーサー手段が該シェルの内壁と外壁の間に配置され、それにより前記内壁と外壁の間に空気流通チャンバを形成するよう構成されたハウジング;前記内壁に設けられた複数の開口;ポンプ;及び前記ポンプの動作に応じて空気が前記チャンバに出入りする閉じた系を形成するように前記ポンプを前記空気配給チャンバに連結する手段を含むことを特徴とする集成装置。
【請求項43】
前記ポンプが、前記チャンバに調節可能に連結されるベローズ、前記ベローズを伸縮させるための手段及び前記ベローズをその拡張状態方向にばね加圧するための手段を備えることを特徴とする請求項42に記載の集成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−153995(P2009−153995A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95599(P2009−95599)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【分割の表示】特願2002−588834(P2002−588834)の分割
【原出願日】平成14年2月11日(2002.2.11)
【出願人】(503412001)ピーピーティーティー エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】PPTT LLC
【Fターム(参考)】