体外流体処理時における体液の流れを制御する装置
【課題】患者に対する流体の流量を監視する負担を最小にしつつ、静脈の収縮及び組織の収縮の虞れを軽減する。
【解決手段】 第1の圧送チャンバ102及び第2の圧送チャンバ104はそれそれ可撓性を有するメンブラン33を備え、これらメンブランは、その気体側142に作用する負の気体圧力で血液を第1又は第2の圧送チャンバ内に引き込み、且つ正の気体圧力で血液を第1又は第2の圧送チャンバから交互に排出する。制御装置138は、これらメンブランの気体側に作用する正及び負の気体圧力で、第1の圧送チャンバ及び第2の圧送チャンバに交互に、同一位相に調整された関係で、圧力を作用させる。
【解決手段】 第1の圧送チャンバ102及び第2の圧送チャンバ104はそれそれ可撓性を有するメンブラン33を備え、これらメンブランは、その気体側142に作用する負の気体圧力で血液を第1又は第2の圧送チャンバ内に引き込み、且つ正の気体圧力で血液を第1又は第2の圧送チャンバから交互に排出する。制御装置138は、これらメンブランの気体側に作用する正及び負の気体圧力で、第1の圧送チャンバ及び第2の圧送チャンバに交互に、同一位相に調整された関係で、圧力を作用させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血液又はその他の流体を体外処理するとき、血流又はその他の体液の流れを制御する装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、処理装置の血流回路又は体液の流れ回路に交互に加えられた正圧及び負圧によって血液又はその他の流体を圧送することにより、体外処理するときの血流又はその他の体液の流れを制御する装置に関する。本発明は、流体流動管に正圧及び負圧を交互に加えることにより、血液又はその他の流体を患者から吸引する装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析、吸着性懸濁物を有する血液透析、プッシュプル式血漿瀉血、血漿ろ過、血液ろ過、肝臓透析機、血液照射及び光線療法、高体温療法、高熱療法、血液の気体の管理等のような現在の体外血液処理装置は、全て、患者から血液を可能な限り迅速に吸引し、その血液を処理装置を通じて循環させ、次に、処理済の血液を患者に戻すという共通の特徴を有している。処理のため、患者の体外で行なわれる、患者に供給される血液のほぼ全体量に達するこの循環は、全体として、血流の流量を増し且つ処理する間中、血流を調節するため一般にポンプの助けを受けて、血液が単一又は二重管腔カテーテルシステムを通ることで開始し且つ終了する。従来のシステムは、最も典型的には、特定の流量に調節されたローラポンプを使用しており、この流量は、担当看護婦又は外科医又は家庭用透析装置のユーザが慎重に監視し且つ制御している。
【0003】
例えば、腹膜透析法のようなその他の実施手順は、処分し又は体外処理装置の作用によって処理すべく多量の流体を患者から吸引することも含む。かかるその他の実施方法も同様に、傷付けることなく流体を患者から効率的に吸引し、また、場合によっては、流体を処理装置を通して循環させ且つその処理済みの流体を患者に戻すことに依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
体外血液処理法にてしばしば生ずる重大な問題点は、静脈の収縮である。この収縮の虞れがあるため、訓練を受けた人間が血液ポンプを慎重に監視することが必要となる。血液ポンプが作動するときの流量以下まで患者からの血流が遅くなったならば、患者へのアクセス管に真空圧が生じる。この真空圧が過大であるならば、カテーテル周囲の静脈は収縮し、血流を停止させる可能性がある。収縮した静脈にポンプの作用が続くならば、静脈は傷付き、過度の打撲傷が生じ、カテーテルの位置を新たな静脈に変更することが必要となる。過剰な真空圧は、透析装置又はその他の処理装置内に血栓を生じ、また、塞栓症を引き起こす可能性もある。この理由のため、血液の処理は、通常、最適な血流の流量以下にて開始され、その流量を患者の静脈が許容するようにゆっくりと増大させる。監視の必要性は、担当看護婦及び外科医への負担を増し、また、患者への危険性も増大させることになる。監視に必要とされる技術程度及び注意力は、患者自身が操作可能な家庭内処理システムを使用することを制限することにもなる。
【0005】
身体からその他の流体を吸引するときの同様の危険性は、カテーテルを取り巻く組織が収縮し、カテーテル内への体液の流れを妨害し且つ打撲傷及びその他の組織の損傷を生じさせる可能性があることである。
【0006】
血液又はその他の体液を吸引し且つ体外処理する改良された装置及び方法、特に、任意の所定の患者に対する血液又はその他の流体の流量を最大にし、これにより流量を監視する負担を最小にしつつ、静脈の収縮及び組織の収縮の虞れを軽減する制御装置が依然とし
て必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、体液を体外処理するシステム、装置及び方法に関する。本発明の色々な特徴は、新規、非自明であり且つ色々な有利な点を提供する。本明細書に記載された本発明の実際の性質は、特許請求の範囲を参照することによってのみ判断し得るが、本明細書に開示された好ましい実施の形態の特徴である特定の形態及び特徴について以下に簡単に説明する。
【0008】
本発明の1つの特徴において、可撓性を有するメンブランを備えた第1の圧送チャンバであって、メンブランは、メンブランの気体側に作用する負の気体圧力で血液を前記第1の圧送チャンバ内に引き込み、且つ前記メンブランの気体側に作用する正の気体圧力で血液を前記第1の圧送チャンバから交互に排出する第1の圧送チャンバと、可撓性を有するメンブランを備えた第2の圧送チャンバであって、メンブランは、メンブランの気体側に作用する負の気体圧力で血液を第2の圧送チャンバ内に引き込み、且つメンブランの気体側に作用する正の気体圧力で血液を前記第2の圧送チャンバから交互に排出する、第2の圧送チャンバと、メンブランの気体側に作用する正及び負の気体圧力で、第1の圧送チャンバ及び第2の圧送チャンバに交互に、同一位相に調整された関係で、圧力を作用させる、制御装置とを備える、体外体液処理装置が提供される。
【0009】
実施の形態において、血液処理装置は、例えば、非限定的に、血液透析装置、吸着性懸濁物を有する血流透析装置、プッシュプル式血漿瀉血装置、血漿ろ過装置、血液ろ過装置、肝臓透析装置、血液照射又は光線療法装置、血液の気体の管理装置又は高温/低温療法装置である。
【0010】
1つの形態において、その内部が血液流れ回路と流体的に連通した可撓性の流体不透過性メンブラン(又は、同一の機能を果たすバッグ)を備える圧送チャンバを提供する。該メンブランは、真空圧力源及び正圧力源に結合された外側チャンバ内に配置され、真空圧力が外側チャンバにて吸引されたとき、メンブランは膨張し、これにより真空圧力を血液流れ回路に連通させ、また、正圧力が外側チャンバに加えられたとき、メンブランは圧縮され、これにより正圧力を血液流れ回路に連通させるようにする。このように、1つ又は2つ以上の弁を制御し且つ所定の真空圧力又は所定の正圧力を外側チャンバ内で作用させることにより、血液は制御された仕方にて圧送チャンバに入り又は圧送チャンバからそれぞれ出て、回路を通る流れを実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の原理の理解を促進する目的のため、次に、図面に示した実施の形態に関して説明し、その説明のために特定の用語を使用する。しかし、これにより本発明の範囲を何ら限定することを意図するものではなく、図示した装置の変更例及び更なる改変例、及び本明細書に示した本発明の原理の更なる適用例は本発明が関係する技術分野の当業者に通常、案出されるものと考えられる。
【0012】
全体として、本発明は、流体流れ回路を通じて流体を流動させ、体外流体処理システムにて使用するのに特に有益である圧送組立体を備える。該圧送組立体は、流体流れ回路に結合され且つ該流体流れ回路と流体的に連通し、また、所定の真空圧力下にて体液をチャンバ内に吸引し且つ所定の正圧力下にて体液をチャンバから押し出すことを交互に行い得る形態とされた圧送チャンバを有している。
【0013】
図1は、本発明の1つの実施の形態の選ばれた要素間の関係を示す概略図である。体外体液流れ回路10は、少なくとも、患者のアクセス部11と、体液流入管12と、圧送チ
ャンバ30と、体液処理装置20と、体液流出管14と、患者へのアクセス部11への戻り部とにより画成される。患者へのアクセス部11は単一管腔カテーテル装置として図示されている。しかし、患者へのアクセス部は、非限定的に、処理される体液、施される特定の処理及び外科医の好みに適するように挿入された単一管腔又は二重管腔カテーテル装置を含む、当該技術分野にて既知の任意の型式の流体アクセス部とすることが可能であることが理解される。
【0014】
圧送チャンバ30は、チャンバ32を画成する外側ハウジング31と、内側チャンバ34を画成する可撓性メンブラン33とを備えている。外側ハウジング31は、実質的に硬い、すなわち変形不能であり、また、該外側ハウジングは、チャンバ32内への少なくとも1つの気体入口36を有している。外側ハウジング31は入口36を除いて封止され、チャンバ32内にて減圧、すなわち負圧(真空圧)及び正圧力の何れかを維持する。入口36は、典型的に、空気又は所望であるならば不活性気体又は流体のような気体がチャンバ32内に且つチャンバ32外に流れ、所望に応じて負圧又は正圧力を提供することを許容する。チャンバ32内の正圧又は負圧の何れかの圧力は可撓性メンブラン33に力を加える。可撓性メンブランは膨張可能であり、また、アクセス部11及び流入管12を通じて患者から体液をサイホン作用で吸引し又は引抜くことができる。
【0015】
ハウジング31、従ってチャンバ32の内部容積は所望の容積とすることができる。好ましい実施の形態において、チャンバ32の内部容積は、少なくとも5ml、より好ましくは、少なくとも10mlであり、更に好ましくは少なくとも20mlである。ハウジングは、少なくとも±300mm/Hg、より好ましくは、少なくとも±500mm/Hgの正圧及び負圧を含む広範囲の圧力に抵抗可能な構造とされている。
【0016】
メンブラン33は、内部チャンバ34を画成する可撓性の仕切り部である。好ましくは、メンブラン33は、平坦なメンブラン又はバルーン構造として提供されるものとする。本発明は、例えば、ダイヤフラム又はハウジング31を1つ又は2つ以上の部分に仕切る管状構造体のようなその他の形態を有する可撓性メンブランをその範囲に含むものであることが理解されよう。メンブラン33は、回路10との流体的連通状態を提供する少なくとも1つの流体ポート、すなわち入口35を有している。その他の実施の形態において、メンブラン33は、体液が内側チャンバ34内に流入し且つ内側チャンバ34から流出するための異なる入口ポート及び出口ポートを提供し得るよう2つ又はより多くのポート、すなわち入口を含むことができる。メンブラン33は、完全に膨張したとき、任意の所望の内部容積を画成し得るように提供することができる。ハウジング31の内部容積に相応し又は近似する内側チャンバを画成するメンブランが提供されることが好ましい。
【0017】
メンブラン33は、加えられた正圧力又は負圧下にて容易に変形する可撓性の材料として提供される。好ましくは、メンブラン33は、膨張及び(又は)収縮に対する抵抗性が殆どないものとする。このことは、チャンバ32に加えられた圧力以外、チャンバ34、流れ回路10(及び患者の静脈)内の任意の流体に伝導される追加的な圧力が最小限であるようにすることにより確実な利点を提供する。メンブラン31は、膨張可能な材料、すなわち弾性材料とすることができるが、必ずしもそうする必要はない。その他の実施の形態において、メンブランはその外表面積を実質的に増大又は減少させずに、加えられた外部圧力に依存して拡張し又は収縮する実質的に膨張不能な材料である。
【0018】
回路10は、内側チャンバ34、選択的に回路10内への体液の流入量を制御する少なくとも1つ、より好ましくは2つ以上の弁40、42を有している。図示した実施の形態において、第一の弁40は圧送チャンバ30の上流に配置され、第二の弁42は回路10内でチャンバ30の下流に配置される。更に、これらの弁は、圧送チャンバへの1つ又はより多くの入口と一体に形成することができる。例えば、流体入口35及び気体入口36
の一方又は双方がチャンバ32内及びチャンバ32外への体液又は気体の流れを制御する一体型の弁を備えることができる。本発明にて使用される弁は、医療技術分野にて一般に使用される型式の弁から選ぶことができる。これらの弁は、2つ以上の管又は回路から選ばれた1つを通じて流体の流れを向けることのできる流れ方向制御弁とすることができる。これと代替的に、これらの弁は、流体が弁を通って一方向にのみ流れるのを許容する逆止弁としてもよい。更に、その他の実施の形態において、これらの弁は1つ又はより多くの管又は回路を通る流体の流量を変化させることのできる可変流量弁とすることができる。更に、その他の実施の形態において、本発明にて異なる型式の弁の組み合わせを含むことができる。
【0019】
好ましくは、血流回路を通じて正味の下流への流れを実現し得るように流体流れ回路中の1つ又は2つ以上の弁を圧送チャンバと調和させる。図1には、圧送サイクルの真空段階が図示されている。該圧送サイクルにおいて、第一の弁40は開放して流入管12から内側チャンバ34内に流体的に連通させる。1つの好ましい実施の形態において、第一の弁40の開放をチャンバ32の排気と連動させる。入口36を真空源に接続し且つ(又は)既に真空源に接続された第三の弁44を開放することにより、チャンバ32の排気を行うことができる。選択的に、第二の弁42を閉じてチャンバ32の下流に流体が逆流するのを防止する。1つのより好ましい実施の形態において、第二の弁42は第一の弁40の開放、チャンバ32の排気及び第三の弁44の開放の1つ又は2つ以上と連動させる。
【0020】
チャンバ32は、第一の予め選んだ圧力まで排気する。好ましくは、第一の予め選んだ圧力は、例えば、患者の安全性を確保すること、静脈の収縮、1つ又は2つ以上の管、チャンバ又は処理装置の詰まりの可能性を軽減すること、血流を最適化すること、1回のサイクルを完了するのに必要な時間を最小にすること、体液に対する処理時間及び(又は)体液の処理圧力を最適にすることのような1つ又はより多くの条件を検討して選ばれる。1つのより好ましい実施の形態において、第一の予め選んだ圧力は約−400mm/Hg以上(より正圧)、好ましくは、約−300mm/Hg以上、更に好ましくは、約−300乃至約−200mm/Hgの範囲となるように選ばれる。
【0021】
チャンバ32内の第一の低圧の予め選んだ圧力はメンブラン33に力を加える。メンブラン33は、収縮状態、すなわち閉じた状態から拡張状態、すなわち膨張状態に変形する。一方、このことは、体液を回路10から好ましくは、流入管12、アクセス部11を通じて且つ患者の静脈(図示せず)から吸引することになる。
【0022】
1つ又は2つ以上の条件が生じる迄、体液は矢印43で示すように内側チャンバ34内への流れを続ける。メンブラン33は、内側チャンバ34がチャンバ32にほぼ等しくなり又はチャンバ32を充填する迄、膨張することができ、弁40、36の1つ又は2つ以上が閉じる、すなわち気体はチャンバ32内に逆流する。これら条件の1つ又は2つ以上が手動にて又は自動的に制御し、或いは流れ回路と組み合わせた1つ又は2つ以上の装置の状態を表示する信号を発生させる検出器に結合された、マイクロプロセッサのようなコントローラにより制御することができる。一度び、内側チャンバ34内への体液の流れが停止したならば、体液は内側チャンバ34内で所望に応じて保持し又はより好ましくは、内側チャンバ34から押し出し且つ流れ回路に沿って強制的に送ることができる。ポンプチャンバ及び1つ又は2つ以上の作用可能に結合された弁のサイクルの制御に関しては、以下により詳細に説明する。
【0023】
図2は、回路10に対する圧送サイクルの正圧力段階の1つの実施の形態を示す概略図である。入口36は、圧力源に接続されている。例えば、第三の弁44は、真空源又は圧力源の何れかを入口36に向けることのできる流れ方向制御弁とすることができる。気体又はその他の加圧媒体がチャンバ32内に流れ且つ圧力を第一の予め選んだ圧力から第二
の予め選んだ圧力まで上昇させる。第二の予め選んだ圧力は、第一の予め選んだ圧力よりも高圧である。その結果、正圧力が膨張したメンブラン34に力を加え、膨張したメンブランを収縮させ、すなわち圧縮して且つ保持された体液を流れ導管10内に押し出す。好ましくは、正圧力サイクルにて、第一の弁40は、閉じ、又は体液が流入管12に又は流入管12から内側チャンバ34内に流れるのを阻止する。弁42が開放すると、流体回路10の下流部分46の間にて流体的に連通するのを許容する。内側チャンバ34から押し出された体液は、開放した弁42を通って回路部分46内に流れる。
【0024】
このように、内側メンブラン34内の体液のサイクル量は、全体として矢印45で示すように、処理装置20を通って下流に押し出され且つ流入管12を通って患者へのアクセス部11に逆流するのが防止される。選択的な制御弁48は開放して、体液を患者へのアクセス部11を通って患者の体内に再注入するのを許容する。
【0025】
血液を処理するためには、カテーテルを患者の静脈又は動脈内に直接、挿入し、又は行うべき処理法により要求されるように、フィステル又はその他の移植したアクセス部内に挿入することができる。
【0026】
体液処理装置20は、体液が患者から処理装置を通って循環され且つ患者の体内に戻るとき、体液を処理する当該技術分野にて既知の任意の体外体液処理装置とすることができる。適宜な処理装置は、非限定的に、腹膜透析装置、血液透装置、吸着性懸濁物を有する血液透析装置、プッシュプル式血漿瀉血装置、血漿ろ過装置、血液ろ過装置、肝臓透析機、血液照射又は光線療法装置、血液の気体の管理装置、又は高温療法又は低温療法装置を含む。かかる装置は、当該技術にて既知であり、例えば、米国特許第4,661,246号(体液の透析装置)、米国特許第5,277,820号、米国特許第5,536,412号、米国特許第5,919,369号(血液ろ過装置及び血漿ろ過装置)、米国特許第5,354,277号、米国特許第5,476,444号、米国特許出願第09/126,372号、米国特許出願第09/235,449号(高熱療法装置)、米国特許出願第09/284,904号、国際特許/US97/19489号、公開日;1998年4月30日の国際出願公開WO98/17333号(腹膜の透析装置)に記載されたものを含み、これらの特許の各々は、その内容を参考として引用し本明細書に含めてある。
【0027】
図3及び図4は、体液を流動させる別個の入口及び出口を有する圧送チャンバを備える流れ回路50の概略図である。流れ回路は、回路10と同様に形成され、同一の構成要素を示すため同一の参照番号が使用される。図3には、圧送チャンバが圧送サイクルの真空又は吸引部分にある間の流れ回路50が示してある。図4には、圧送チャンバが圧送サイクルの加圧又は押し出し部分にある間の流れ回路50が示してある。
【0028】
圧送チャンバは、体液流入管に沿って整列して接続されている。圧送チャンバは、上述したチャンバと同様に、外側チャンバ52と、内側メンブラン54とを有するが、流入及び流出の双方のための単一のポートの場合と比較して、内側メンブラン54及び外側チャンバ52に別個の流入ポート55及び流出ポート56をそれぞれ有している。このことは、矢印57で示すように、流体を患者からアクセス部11を通じて吸引し、その後、吸引された流体を回路50を通じて矢印58で示した方向に押し出すことになる。
【0029】
図5及び図6は、回路64内での流体の流れを向ける少なくとも1つの流れ方向制御弁62を有する流体圧送システム60の概略図である。図示したシステムにおいて、流体は、患者のアクセス部63から開始し、流入管68を通って矢印61で示した反時計回り方向に回路64内を流れ、圧送チャンバ66による助けを受けて、流出管69を通って処理装置70に流れ、最終的に、患者のアクセス部63に戻る。システム60は、回路64内の体液の流量を検出するため少なくとも1つの流体流れセンサ65も有している。
【0030】
圧送サイクルの真空圧力段階を示す図5を特に参照すると、流れ方向制御弁62が圧送チャンバ66と流れ回路64との間に配置されている。弁62は、第一の位置にて図示されており、流体の流れを流入管68から圧送チャンバ66内に向ける。好ましくは、流れ方向制御弁62は、弁72に作用可能に結合されて、外側チャンバ74へ入り且つ外側チャンバ74から出る気体の流れを制御するものとする。より好ましい形態において、弁62は、制御装置(図示せず)を介して気体弁72と作用可能に結合されており、これにより、真空源に対して開放し、気体を外側チャンバ74から吸引するとき、流れ方向制御弁62は、同時に、第一の位置に切換わり、流体の流れを体液チャンバ76内に向ける。
【0031】
圧送サイクルの正圧力部分を示す図6を特に参照すると、流れ方向制御弁62は、流体の流れを体液チャンバ76から且つ流出管69を通って処理装置70まで向ける。1つの好ましい形態において、気体弁72が圧力チャンバ74に対して開放するとき、流れ制御弁62は、流体の流れを体液チャンバ76内に向ける第一の位置から体液チャンバ76内に受け入れられた流体を流出管69に向ける第二の位置に切換える。
【0032】
上述したように、この実施の形態において、流れ方向制御弁62は、気体弁72によって切換えられる真空源及び正圧力源に作用可能に結合される。真空圧力が正圧力に切換えられ、体液を体液チャンバ76から押し出すとき、流れ方向制御弁62は、第一の位置から第二の位置に切換わり、流体流の流れを下流に処理装置70に向け且つ最終的にアクセス部63を通じて患者に排出する。
【0033】
体液処理装置70がろ過又は透析処理を含むとき特に有用である1つの代替的な実施の形態において、真空圧力の一部分は、制御弁40を少なくとも部分的に開放させたままにし(図1に示した実施の形態の場合)、又は切換弁62の方向を制御し、真空圧力が圧送チャンバ内にて加えられるサイクル段階の少なくとも一部分の間、入口管68が処理装置70と流体的に連通するようにすること(図4に示した実施の形態の場合)により、処理装置70内の体液の一部分を吸引して体液チャンバ76に向け且つ(又は)上流にその内部まで戻すことができる。このことは、処理される体液を好ましく再混合させ、流体の相分離又は沈殿を防止する、逆洗いと称される状態を提供する。更に、ろ過又は透析処理を行なうとき、ろ過/透析メンブランは、メンブランの体液側の流体を含む成分によって且つ(又は)メンブランの透析液側の吸収性粒子(懸濁状態で存在するならば)によって詰まり勝ちとなる。真空圧力を下流に伝達して、流体を逆洗いするならば、流体は、メンブランを渡ってメンブランの透析液又は吸着剤側から吸引され、これにより、沈着し、詰まる流体成分はメンブランから洗い流される。流体をメンブランを渡って逆に吸引することは、透析又はろ過の間に失われた流体を補償し、患者に対する流体の補充の必要性を軽減する。
【0034】
図7は、本発明により提供される透析処理システム100の概略図である。処理システム100は、体液側すなわち回路101と、透析液すなわち吸着剤側103とを有している。その双方の回路は、中空繊維透析機のような流体処理装置112内に流れる。体液回路101は、流体を矢印105で示した反時計回り方向に流体回路106を通じて流す2つの圧送チャンバ102、104を有している。流体回路106は、単一管腔の患者へのアクセス部108と、流入管110と、体液処理装置112と、流体流出管113とを有し且つ同様に、患者へのアクセス部108にて終わっている。複数の弁及び流体流れセンサが流体回路106に沿って配置されている。第一の圧送チャンバ102は、第一の弁114と、第二の弁116との間に配置されている。同様に、第二の圧送チャンバ104は、第三の弁118と第四の弁120との間に配置されている。更に、第一の圧送チャンバ及び関係した弁114、116の組合せ体が流体処理装置112の上流に配置される一方、第二の圧送チャンバ104及び関係した弁116、120の組合せ体が流体処理装置1
12の下流に配置されている。
【0035】
坑凝血溶液源122及びプライミング/リンス溶液源124のような、その他の流体源を接続する追加的な流体管が流入管110に接続されている。追加の管は、ローラポンプ226のような別個のポンプを含むか、又は、1つ又は2つ以上の弁の制御の下重力供給法を使用することができ、且つ選択的に検出装置を用いて、流入管110内に注入される流体量を監視することができる。
【0036】
流れセンサは、センサ130、132、134、136として示すように、任意の又は全ての流動管に沿って選択的に配置することができる。流れセンサは、必要であれば、滅菌状態に維持可能であり、また、検出器が処理される体液と適合可能であるならば、当該技術にて既知の任意の型式の検出器から選ぶことができる。かかる検出器は、光検出器、超音波検出器及び遷音速波検出器を含むことができる。体液が血液であるとき、採用するのに特に適した1つの好ましい超音波検出器は、トランスソニック(Transonics)インコーポレーテッドが販売するトランジットタイム超音波流量計である。
【0037】
これらのセンサは、管内の流体の流量を示す信号を提供する。典型的に、流量は、分当たりのmlの表現で測定される。信号は、視覚的読み取り装置、ゲージ、ダイヤル、照明付きディスプレイ、又は液晶ディスプレイのような出力装置にて視覚的に検出し又は電子記憶装置等に保持することができる。更に、弁、ポンプ圧力、及び可聴警報装置のような流れ回路中のその他の要素を制御するため1つ又は2つ以上のコントローラに信号を提供することができる。
【0038】
本発明の1つの好ましい実施の形態において、超音波流れセンサ130又は同等の1つ又は2つ以上のセンサが、流れ回路110内の及び圧送チャンバ102に出入りする、流量又は流量の変化を検出する。ポンプサイクルの真空段階の間、圧送チャンバ102の体液チャンバ137内に流れる体液の流量がセンサ130によって検出される。体液チャンバ137から所望のサイクル容積の容量に達したとき、一定の真空圧力下にて流れる流量がより大きい抵抗のため遅くなると、センサ130は制御装置138により受け取られる信号を発生させる。制御装置138は、予め選んだ状態すなわち入力信号に従って弁140を制御し、気体をチャンバ142内に導入し(且つ加圧し)、流体を体液チャンバ137から強制的に押し出すことにより、サイクルの切換えを行う。更に、制御装置138は、1つ又は2つ以上の信号又は電流を発生させ、弁114、116を制御する、すなわち弁114を閉じ且つ弁116を開放して体液が下流に処理装置112内に流れるようにする。
【0039】
コントローラ138は、処理システム100内でセンサ装置から1つ又は2つ以上の入力信号を受け取る。1つの好ましい実施の形態において、次に、コントローラ(又は比較器を採用し)は、その信号と、記憶装置に記憶させた検索テーブル内に最適に保持された1つ又は2つ以上の予め選んだ状態とを比較し、これに応答して、1つ又は2つ以上の弁を制御すべく1つ又は2つ以上の出力信号を発生させる。1つの実施の形態において、圧送チャンバ102の流れサイクルにおける真空過程の間、コントローラ138は、流体の流量の変化を示す第一の信号をセンサ130から受け取る。これに応答して、コントローラは、第一の信号と予め選んだ流量の変化に相応する検索テーブル内の第一の値とを比較する。第一の信号が第一の値よりも大きいならば、次に、コントローラは、弁114、116、140に対する1つ又は2つ以上の出力信号を発生させ、これらの弁を制御し且つ加圧部分のような次の流れサイクル順序を開始し、その結果、流体を体液チャンバ137から矢印105で示した方向に向けて流れ回路101内に押し出す。
【0040】
これらの予め選んだ状態は、任意の所望の流体の流れ又は流体の流れの変化を示すよう
に選ぶことができる。好ましくは、1つの実施の形態において、予め選んだ流量の変化は、例えば、個々の圧送サイクルの加圧過程又は真空過程の間のような、圧送サイクルの選んだ過程の間にて検出された最大流体流量を考慮することにより、分当たりmlの表現で測定したとき、流体の流量の少なくとも約10%の減少、より好ましくは、少なくとも約20%の減少、更により好ましくは、少なくとも約25%の減少となるように選ばれる。
【0041】
その他の実施の形態において、予め選んだ流量は、所望の流量以下又はそれに等しいように選ばれる。選んだ実施の形態において、所望の流量は、分当たり約10ml以下、より好ましくは、分当たり約5ml以下又はこれに等しく、更により好ましくは、分当たり約3ml以下又はこれに等しいように選ばれる。
【0042】
図示した実施の形態において、真空圧及び正圧力の双方を供給する真空/圧力源151は共に、ポンプ148により提供され且つ弁150、152、140並びに真空圧調節装置154及び正圧力調節装置156により制御される。その他の選択的な特徴は、非限定的に、圧力変換器と、生物学的危険物質フィルタのような管フィルタと、温度センサ、ヒータ、管内圧力センサ、警報装置等とを非限定的に含む。
【0043】
真空圧力源151に関して上述したように提供される第二の真空/圧力源160、第二の圧送チャンバ104及び関係した弁118、120、162は、同様に制御することができる。これと代替的に、真空源160は、第一の圧送チャンバ102用として使用されるものと同一の供給源及び(又は)装置とすることができ、又は真空源は、別個の供給源及び(又は)装置とすることができる。制御装置138は、弁118、120、162の1つ又は2つ以上に対し出力信号を提供し、所望の順序に従ってこれらの弁を閉じ又は開放することができる。
【0044】
これと代替的に、第二のポンプチャンバ104及び関係した弁118、120、162は、圧送チャンバ102に対する圧送サイクルの間、180゜の位相外れとなるように制御してもよい。この特徴において、第二のポンプチャンバ及び関係した弁は、次のように制御される、すなわち、体液が体液チャンバ163内に吸引されると同時に、圧送チャンバ102の上流にて体液が体液チャンバ136から押し出されるように制御される。
【0045】
更に、第二のポンプチャンバ104及び関係した弁118、120、162は、ポンプチャンバ102とほぼ同一のサイクル時間周期にて又は所望に応じて任意のその他の任意のサイクル時間周期にて、体液を体液チャンバ163から押し出し得るよう制御することができる。
【0046】
選ばれた用途において、第二の圧送チャンバは、流体処理装置112内の流体の流量を制御するという特別な利点をもたらす。1つの利点は、ほぼ連続的な流量にて流れ回路又は処理システムに供給されることである。処理装置が血漿ろ過及び(又は)血液ろ過処理にて使用されるような流体透過性メンブランを含むその他の実施例において、第二の圧送チャンバ104を第一の圧送チャンバ102と共に利用し、メンブランを通る流体の流量を制御することができる。透過性メンブランの体液側から処理装置内のメンブランの透析液又は吸着材側103への流体の流れは、次に掲げる4つの方法の何れか1つにより増大させることができる、すなわち1)弁114、118が閉じられ、弁116が開放している間、第一の圧送チャンバ102から正圧力を作用させる方法、2)弁120、116が閉じられ、弁118が開放している間、第二の圧送チャンバ104から正圧力を作用させる方法、3)弁114、120が閉じられ、弁116、118が開放している間、圧送チャンバ102、104の双方から正圧力を作用させる方法、4)流体をメンブランを通じて吸引し得るようにメンブランの吸着材/透析液側103に真空圧力を加える方法である。
【0047】
流れ制御弁114、116、118、120と、第一及び第二の圧送チャンバ102、104とを適正に調和させることにより、処理装置112内の透過性メンブランを渡る正味流体の動きを正確に制御することができる。更に、処理装置112内で透過性メンブランを渡って流体を交互に前後に駆動し、これにより任意の透析液との交換を増し且つ有毒物質を除去する等のため、吸着材と接触する体液部分を増すことにより、ろ過効率すなわち透析効率を大幅に向上させることができる。
【0048】
体液の流れ回路に沿った圧送チャンバの配置位置は、行われる処理に依存する。透析又はろ過を伴う殆どの処理方法の場合、処理装置から上流にて圧送チャンバを体液流入管に結合することが好ましい。処理装置がメンブランを渡って流体の一部分を移送しないその他の適用例の場合、圧送チャンバは、その他の設計条件にて望まれるように、体液流入管又は流出管の何れかに結合することができる。かかる療法の例は、非限定的に、血液の照射療法、処理される体液内を循環する化学療法剤を光励起させることを含む光線療法を含む。
【0049】
処理装置が、例えば、非限定的に、血液ろ過又は血漿ろ過のようなろ過処理装置である用途に特に適した本発明の別の実施の形態において、第一の圧送チャンバは、上述したように、体液流入管と結合され且つ体液流入管と流体的に連通し、第二の圧送チャンバが体液流出管に接続され且つ該流出管と流体的に連通している。1つ又は2つ以上の流量制御弁が、体液流出管に結合され且つ該体液流出管と流体的に連通し、第二の圧送チャンバを調和させ、患者へのアクセス部を通って処理装置から患者に戻る体液の流量を制御する。第二の圧送チャンバの1つの代替例として、例えば、非限定的に、ローラポンプを含む代替的な型式のポンプを使用することができる。
【0050】
システムは、真空及び正圧力のサイクル当たり広範囲に変化する量の体液を圧送し得る設計とすることができるが、好ましい量は、例えば、非限定的に、処理装置の流体容積の約20乃至50%といったような、体液処理装置の流体容積のかなりの比率に等しい値である。同様に、単一管腔の患者へのアクセス部を使用するシステムの場合、体液のサイクル量は、カテーテルの容積に比して比較的多量であることが望ましく、患者への再注入のためカテーテルに戻され、新たな体液の真空吸引サイクルの開始時にカテーテル内に残る処理済みの体液部分が過剰に循環されるのを回避する。非限定的な一例として、血液処理手順において、1つの好ましいサイクル量は、カテーテル容積の少なくとも約10乃至15倍とする必要がある。1つの好ましい実施の形態において、サイクル量は、体液の約30乃至60ml、より好ましくは、約40乃至50mlの範囲にある。
【0051】
サイクル量と同様に、真空圧と正圧力とを交互に繰り返す1つのサイクルに対するサイクル時間は、本発明の色々な用途に適するように大幅に変更することができる。サイクル時間は、患者へのアクセス部及び流動管の断面積、使用される真空圧及び正圧、装置及び患者の身体により加えられる流れに対する抵抗力に基づいて決定される。血液処理手順の典型的なサイクル時間は、真空圧力及び正圧の1回のサイクルに対し約3秒乃至30秒の範囲にある。好ましくは、所定のシステムに対する最大の適宜なサイクル時間は、サイクルの真空(充填)過程の間、沈殿、凝血、処理装置の内部表面へのタンパク質の付着等のような、処理装置内で流体容積が滞留することによる悪影響を回避し得るよう、十分に短時間であるように選ばれる。
【0052】
図8及び図9には、本発明に従って提供される二重チャンバポンプ200の1つの実施の形態が図示されている。ポンプ200は、第二の圧送チャンバ204に隣接する第一の圧送チャンバ202を有している。第一の圧送チャンバ202は、第一の流体ポート206と、対向する第二の流体ポート208と、気体ポート210とを有している。第二の圧
送チャンバ204は、ポンプチャンバ202と面対称である。その結果、第二の圧送チャンバは、1対の流体ポート212、214と、気体ポート218とを有する。
【0053】
図9を特に参照すると、二重チャンバポンプ200の分解図には1対のクラムシェル形半体222、224により画成された内部キャビティ220が図示されている。1つの実施の形態において、可撓性メンブラン226は、半体222、224の間に配置され且つ内側チャンバ228及び外側チャンバ230を画成する。代替的な実施の形態において、可撓性メンブランが内部キャビティ220内に入れ子式に嵌まった膨張可能なバッグとして提供され又はそのバッグの形態とされている。
【0054】
1つの実施の形態において、可撓性メンブラン226は、容易に交換でき且つ使捨て可能なメンブラン又はダイヤフラムとして提供することができる。メンブラン226は、伸び又は変形に対する抵抗力を備え又は抵抗力の無いエラストマー性材料で出来たものとすることができる。1つの実施の形態において、エラストマー性材料は、圧送サイクルの真空部分の間、変形に抗する弾性記憶性を示さない。その他の実施の形態において、メンブランは弾性記憶性を示す。メンブラン226は、生体適合性、滅菌処理可能で且つ体液に対し不透過性である多岐に亙る重合系材料で形成することができる。本発明にて有用な重合系材料の例は、非限定的に、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン等を含む。
【0055】
使用前又は使用後、図9に図示するように、圧送チャンバの一方又は双方を作動させ、また、可撓性メンブラン226を交換することができる。2つの半体222、224は、当該技術分野にて既知の方法及び装置により互いに解放可能に固着することができ、例えば、半体222、224は、着脱可能な係止リング、スナップリング、外部クランプ、ボルト、相互係止タブ等により固着することができる。使用前、半体222、224を再度組み合わせ、メンブラン226をその間で挾持する前又はその後に、本明細書に説明した1つ又は2つ以上の流体流れ回路にて使用し得るよう二重圧送チャンバ200を滅菌処理する。
【0056】
圧送チャンバは、所望であるとき、約−150乃至約−400mm/Hg、より好ましくは、約−200乃至約−300mm/Hgの範囲にて安定的な予め設定した真空圧力を吸引し得る形態とされることが好ましい。処理される体液が血液である殆どの適用例の場合、各人の静脈が許容し得る真空圧力は当然に大幅に変動するが、−250mm/Hg以上の真空圧にて血液が吸引されるとき、流量を最大にし且つ静脈の収縮れの虞れを最小にするため、約−250mm/Hgの真空圧力とすることが最も好ましい。一部の人には、静脈が収縮する虞れは大きいが、より大きい真空圧力とすることが許容し得る。より低圧の真空圧力を使用することもできるが、これら圧力は体液の流量を比較的小量にし、これにより比較的長い処理時間を必要とし、このことは多くの診療施設にて望ましくなく又は実際的でないことであろう。
【0057】
同様に、圧送チャンバは、所望であるとき、約+150乃至約+400mm/Hgの範囲、より好ましくは、約+200乃至約+300mm/Hgの範囲の圧力にて圧送チャンバ内で体液を押し出すよう一定の予め設定した正圧力を加え得る形態とされることが好ましい。組織の収縮又はその他の損傷が重要な関心事ではない場合、殆どの体液内の真空圧力は、処理装置を通じて該体液に加わるより高い圧力を許容することができるから、正圧力の程度は重要ではない。更に、処理後の再注入圧力は、再度、患者の体内に入る前に、処理装置の下流にて調節することができる。例えば、特に、処理される流体が血液であるとき、非限定的に、約+250mm/Hgにて加えられた真空圧力と同一程度の正圧力にて圧送チャンバを作動させることが便宜であることがしばしばである。処理装置内の透過
性メンブランを渡る流体の移送量のようなその他の条件からその他の正圧力の設定値とすることが好ましい場合もある。
【0058】
図10は、本発明に従って提供される身体処理システム250の別の実施の形態の概略図である。図11は、システム250内の二重チャンバポンプ252を示す拡大図である。システム250は、二重チャンバポンプが第一及び第二の圧送チャンバ102、104に置換する点を除いて、図7に図示したシステム200と同様の形態とされている。2つのシステム間の同様の構成要素は、同一の参照番号で表示してある。
【0059】
システム250は、二重圧送チャンバ252を有する。二重圧送チャンバ252は、図8、図9に図示した二重圧送チャンバとすることができるが、該チャンバに限定されるものではない。圧送チャンバ252は、第一の体液ポンプ254と、第二の体液ポンプ256とを有しており、第一のポンプ254は、第一の弁258と、入口ポート260と、出口ポート262と、第二の弁264とを有している。同様に、第二のポンプ256は、第三の弁266と、入口ポート268と、出口ポート270と、第四の弁272とを有している。使用時、二重圧送チャンバ252は並列モード、二重容積モード又は直列に作動可能である。
【0060】
並列作動モードにおいて、2つの圧送チャンバ254、256は、互いに約180゜の同期外れにて体液の吸引及び押し出しを交互に行う。すなわち、圧送チャンバ254が圧送サイクルの真空(充填)過程にて作動する間、圧送チャンバ256は圧送サイクルの加圧(押し出し)過程にて作動する。このモードにおいて、弁258、272が開放し、弁266、264が閉じられている間、弁274は、気体チャンバ276を排気し且つ気体チャンバ278を加圧するよう切換える。
【0061】
二重容積モードにおいて、双方の圧送チャンバ254、256は、圧送サイクルの同一の過程にて作動する。すなわち、圧送チャンバ254が圧送サイクルの真空過程にて作動し且つ体液を内側チャンバ内に吸引する間、圧送チャンバは同様にほぼ同一の圧送サイクルにて作動し且つ体液を内側チャンバ内に吸引する。このモードにおいて、弁276、266が開放し、弁264、272が閉じられている間、弁274は気体チャンバ276、278の双方を排気するよう切換える。体液チャンバ280、282が所望の量の流体にて充填された後、弁276、266が閉じられ且つ弁264、272が開放している間、弁274はチャンバ276、278を加圧するよう切換える。その結果、圧送サイクルの各々にて流れ回路を通じて個々のチャンバの各々の容積の約2倍に等しい塊状投与分が強制的に供給される。
【0062】
更に別の実施の形態において、二重圧送チャンバは直列にて作動可能である。この作動モードは、第一及び第二の圧送チャンバが流れ回路の異なる部分に配置された図7に示したモードと同様である。この作動モードにおいて、体液は第一のチャンバ254を通じて最初に圧送され且つ流れ回路101内に強制的に供給され、その後、体液の少なくとも一部分が圧送チャンバ256を通じて圧送される。これら2つの圧送チャンバは、約180゜の位相外れにて作動することができるが、必ずしもそうする必要はない。
【0063】
これらの作動モードは、圧送サイクルのタイミングを考慮して、同期状態又は180゜の位相外れの何れかとして説明したが、ポンプは、互いに独立的に作動し又はその圧送サイクルが互いに調和されるが、0゜乃至約180゜の位相外れにて作動するようにすることも可能であることを理解すべきである。
【0064】
本発明の別の面において、体液流れ回路、体液処理装置を通って患者から流れ且つ患者に戻る体液の流れを制御する方法が提供される。本発明の1つの形態において、この方法
は、体液を所定の真空圧下にて体液流れ回路内に吸引し且つ吸引された体液を所定の正圧下にて回路を通って押し出すことを交互に行うことを備えている。例えば、その流量を実現するためポンプにより加えられる圧力に関係なく、単位時間当たり所定の量の流体を圧送し得る設計とされた、特定のローラポンプの流量によって決定されるような、特定の体積流量ではなくて、一定の真空圧にて身体から体液のサイクル量を圧送することにより、患者のアクセス部の周りの静脈を収縮させるような過度の真空圧力は発生されない。このことは、熟達した担当者が複雑な監視を行なうことなく、患者の個々の流量制限値に割り当てられた最適な流量にて装置を作動させることを可能にする。
【0065】
本発明のこの特徴の1つの実施の形態において、真空圧及び正圧が交互に圧送チャンバに加えられ、チャンバには、付与された真空圧下にて患者から吸引された、処理すべき血液又はその他の体液が充填され、また、チャンバは、上記の加えられた正圧下にて体液を排出する。1つ又は2つ以上の流量制御弁が上述したように交互の圧力と調和され、血流回路を通じて正味下流への血流を生じさせる。
【0066】
本発明の別の方法において、流量制御弁が上述したように調和されて、処理装置内の体液のある割合分が処理装置から逆流して処理装置の表面を洗浄し且つ体液の混合状態を維持することを許容する。例えば、非限定的に、処理装置が透析機又はろ過装置のようなものである場合、処理装置内の透過性メンブラン(存在するならば)を渡って流体を前後に交互に駆動するためにかかる逆洗いを使用することもできる。
【0067】
特定の実施の形態に関して特定の特徴、構成要素、システム及び作動方法について本明細書にて説明したが、特徴、構成要素のシステム作動モードの各々は、説明したその他の実施の形態及び(又は)方法の何れかと共に使用することが可能であることも理解すべきである。
【0068】
本発明の装置及び方法は、患者から直接吸引され且つ直接戻される患者の体液の処理にて使用するのに最もよく適しているが、本発明は、非限定的に、血液成分、及び血液成分の血液バンクの貯蔵分を含む体液又はその一部を患者から離れた位置で処理するよう特に容易に適用させることもできる。
【0069】
本発明及びその好ましい実施の形態を図示し且つ図面及び上記の説明にて詳細に説明したが、これは単に一例であり、特徴を限定するものではないと見なすべきであり、好ましい実施の形態のみを示し且つ説明したものであり、本発明の精神に属する全ての変更及び改変例は特許請求の範囲に記載したように保護されることを望むものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明によるポンプサイクルの流体流入部分の間にて示した体液圧送組立体の1つの実施の形態の概略図である。
【図2】本発明によるポンプサイクルの流体流出部分の間にて示した図1の体液圧送組立体の概略図である。
【図3】本発明による圧送サイクルの流入部分の間にて示した流体入口と、流体出口と、2つの流量制御弁とを有する体液圧送組立体の1つの実施の形態の概略図である。
【図4】本発明による圧送サイクルの流出部分の間にて示した図3の体液圧送組立体の概略図である。
【図5】本発明による圧送サイクルの流入部分の間にて示した血液処理システムと組み合わせた流体の流れ方向制御弁を有する血液圧送組立体の1つの実施の形態の概略図である。
【図6】圧送サイクルの流出部分の間にて示した図5の血液圧送組立体の概略図である。
【図7】本発明による2つの圧送チャンバを含む体液処理システムの1つの実施の形態の概略図である。
【図8】本発明に従って提供された二重チャンバポンプの1つの実施の形態の斜視図である。
【図9】図8に図示した二重チャンバポンプの部分断面図とした分解側面図である。
【図10】体液処理システム内の図8に示した二重チャンバポンプの使用状態を示す概略図である。
【図11】図10の体液処理システム内の二重チャンバポンプの拡大図である。
【符号の説明】
【0071】
100: 体外体液処理装置
102: 第1の圧送チャンバ
104: 第2の圧送チャンバ
106: 流体回路
110: 流入管
112: 流体処理装置
113: 流出管
130,132,134,136: 流れセンサ
137: 体液チャンバ
138: 制御装置
142: 気体チャンバ
【技術分野】
【0001】
本発明は血液又はその他の流体を体外処理するとき、血流又はその他の体液の流れを制御する装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、処理装置の血流回路又は体液の流れ回路に交互に加えられた正圧及び負圧によって血液又はその他の流体を圧送することにより、体外処理するときの血流又はその他の体液の流れを制御する装置に関する。本発明は、流体流動管に正圧及び負圧を交互に加えることにより、血液又はその他の流体を患者から吸引する装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析、吸着性懸濁物を有する血液透析、プッシュプル式血漿瀉血、血漿ろ過、血液ろ過、肝臓透析機、血液照射及び光線療法、高体温療法、高熱療法、血液の気体の管理等のような現在の体外血液処理装置は、全て、患者から血液を可能な限り迅速に吸引し、その血液を処理装置を通じて循環させ、次に、処理済の血液を患者に戻すという共通の特徴を有している。処理のため、患者の体外で行なわれる、患者に供給される血液のほぼ全体量に達するこの循環は、全体として、血流の流量を増し且つ処理する間中、血流を調節するため一般にポンプの助けを受けて、血液が単一又は二重管腔カテーテルシステムを通ることで開始し且つ終了する。従来のシステムは、最も典型的には、特定の流量に調節されたローラポンプを使用しており、この流量は、担当看護婦又は外科医又は家庭用透析装置のユーザが慎重に監視し且つ制御している。
【0003】
例えば、腹膜透析法のようなその他の実施手順は、処分し又は体外処理装置の作用によって処理すべく多量の流体を患者から吸引することも含む。かかるその他の実施方法も同様に、傷付けることなく流体を患者から効率的に吸引し、また、場合によっては、流体を処理装置を通して循環させ且つその処理済みの流体を患者に戻すことに依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
体外血液処理法にてしばしば生ずる重大な問題点は、静脈の収縮である。この収縮の虞れがあるため、訓練を受けた人間が血液ポンプを慎重に監視することが必要となる。血液ポンプが作動するときの流量以下まで患者からの血流が遅くなったならば、患者へのアクセス管に真空圧が生じる。この真空圧が過大であるならば、カテーテル周囲の静脈は収縮し、血流を停止させる可能性がある。収縮した静脈にポンプの作用が続くならば、静脈は傷付き、過度の打撲傷が生じ、カテーテルの位置を新たな静脈に変更することが必要となる。過剰な真空圧は、透析装置又はその他の処理装置内に血栓を生じ、また、塞栓症を引き起こす可能性もある。この理由のため、血液の処理は、通常、最適な血流の流量以下にて開始され、その流量を患者の静脈が許容するようにゆっくりと増大させる。監視の必要性は、担当看護婦及び外科医への負担を増し、また、患者への危険性も増大させることになる。監視に必要とされる技術程度及び注意力は、患者自身が操作可能な家庭内処理システムを使用することを制限することにもなる。
【0005】
身体からその他の流体を吸引するときの同様の危険性は、カテーテルを取り巻く組織が収縮し、カテーテル内への体液の流れを妨害し且つ打撲傷及びその他の組織の損傷を生じさせる可能性があることである。
【0006】
血液又はその他の体液を吸引し且つ体外処理する改良された装置及び方法、特に、任意の所定の患者に対する血液又はその他の流体の流量を最大にし、これにより流量を監視する負担を最小にしつつ、静脈の収縮及び組織の収縮の虞れを軽減する制御装置が依然とし
て必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、体液を体外処理するシステム、装置及び方法に関する。本発明の色々な特徴は、新規、非自明であり且つ色々な有利な点を提供する。本明細書に記載された本発明の実際の性質は、特許請求の範囲を参照することによってのみ判断し得るが、本明細書に開示された好ましい実施の形態の特徴である特定の形態及び特徴について以下に簡単に説明する。
【0008】
本発明の1つの特徴において、可撓性を有するメンブランを備えた第1の圧送チャンバであって、メンブランは、メンブランの気体側に作用する負の気体圧力で血液を前記第1の圧送チャンバ内に引き込み、且つ前記メンブランの気体側に作用する正の気体圧力で血液を前記第1の圧送チャンバから交互に排出する第1の圧送チャンバと、可撓性を有するメンブランを備えた第2の圧送チャンバであって、メンブランは、メンブランの気体側に作用する負の気体圧力で血液を第2の圧送チャンバ内に引き込み、且つメンブランの気体側に作用する正の気体圧力で血液を前記第2の圧送チャンバから交互に排出する、第2の圧送チャンバと、メンブランの気体側に作用する正及び負の気体圧力で、第1の圧送チャンバ及び第2の圧送チャンバに交互に、同一位相に調整された関係で、圧力を作用させる、制御装置とを備える、体外体液処理装置が提供される。
【0009】
実施の形態において、血液処理装置は、例えば、非限定的に、血液透析装置、吸着性懸濁物を有する血流透析装置、プッシュプル式血漿瀉血装置、血漿ろ過装置、血液ろ過装置、肝臓透析装置、血液照射又は光線療法装置、血液の気体の管理装置又は高温/低温療法装置である。
【0010】
1つの形態において、その内部が血液流れ回路と流体的に連通した可撓性の流体不透過性メンブラン(又は、同一の機能を果たすバッグ)を備える圧送チャンバを提供する。該メンブランは、真空圧力源及び正圧力源に結合された外側チャンバ内に配置され、真空圧力が外側チャンバにて吸引されたとき、メンブランは膨張し、これにより真空圧力を血液流れ回路に連通させ、また、正圧力が外側チャンバに加えられたとき、メンブランは圧縮され、これにより正圧力を血液流れ回路に連通させるようにする。このように、1つ又は2つ以上の弁を制御し且つ所定の真空圧力又は所定の正圧力を外側チャンバ内で作用させることにより、血液は制御された仕方にて圧送チャンバに入り又は圧送チャンバからそれぞれ出て、回路を通る流れを実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の原理の理解を促進する目的のため、次に、図面に示した実施の形態に関して説明し、その説明のために特定の用語を使用する。しかし、これにより本発明の範囲を何ら限定することを意図するものではなく、図示した装置の変更例及び更なる改変例、及び本明細書に示した本発明の原理の更なる適用例は本発明が関係する技術分野の当業者に通常、案出されるものと考えられる。
【0012】
全体として、本発明は、流体流れ回路を通じて流体を流動させ、体外流体処理システムにて使用するのに特に有益である圧送組立体を備える。該圧送組立体は、流体流れ回路に結合され且つ該流体流れ回路と流体的に連通し、また、所定の真空圧力下にて体液をチャンバ内に吸引し且つ所定の正圧力下にて体液をチャンバから押し出すことを交互に行い得る形態とされた圧送チャンバを有している。
【0013】
図1は、本発明の1つの実施の形態の選ばれた要素間の関係を示す概略図である。体外体液流れ回路10は、少なくとも、患者のアクセス部11と、体液流入管12と、圧送チ
ャンバ30と、体液処理装置20と、体液流出管14と、患者へのアクセス部11への戻り部とにより画成される。患者へのアクセス部11は単一管腔カテーテル装置として図示されている。しかし、患者へのアクセス部は、非限定的に、処理される体液、施される特定の処理及び外科医の好みに適するように挿入された単一管腔又は二重管腔カテーテル装置を含む、当該技術分野にて既知の任意の型式の流体アクセス部とすることが可能であることが理解される。
【0014】
圧送チャンバ30は、チャンバ32を画成する外側ハウジング31と、内側チャンバ34を画成する可撓性メンブラン33とを備えている。外側ハウジング31は、実質的に硬い、すなわち変形不能であり、また、該外側ハウジングは、チャンバ32内への少なくとも1つの気体入口36を有している。外側ハウジング31は入口36を除いて封止され、チャンバ32内にて減圧、すなわち負圧(真空圧)及び正圧力の何れかを維持する。入口36は、典型的に、空気又は所望であるならば不活性気体又は流体のような気体がチャンバ32内に且つチャンバ32外に流れ、所望に応じて負圧又は正圧力を提供することを許容する。チャンバ32内の正圧又は負圧の何れかの圧力は可撓性メンブラン33に力を加える。可撓性メンブランは膨張可能であり、また、アクセス部11及び流入管12を通じて患者から体液をサイホン作用で吸引し又は引抜くことができる。
【0015】
ハウジング31、従ってチャンバ32の内部容積は所望の容積とすることができる。好ましい実施の形態において、チャンバ32の内部容積は、少なくとも5ml、より好ましくは、少なくとも10mlであり、更に好ましくは少なくとも20mlである。ハウジングは、少なくとも±300mm/Hg、より好ましくは、少なくとも±500mm/Hgの正圧及び負圧を含む広範囲の圧力に抵抗可能な構造とされている。
【0016】
メンブラン33は、内部チャンバ34を画成する可撓性の仕切り部である。好ましくは、メンブラン33は、平坦なメンブラン又はバルーン構造として提供されるものとする。本発明は、例えば、ダイヤフラム又はハウジング31を1つ又は2つ以上の部分に仕切る管状構造体のようなその他の形態を有する可撓性メンブランをその範囲に含むものであることが理解されよう。メンブラン33は、回路10との流体的連通状態を提供する少なくとも1つの流体ポート、すなわち入口35を有している。その他の実施の形態において、メンブラン33は、体液が内側チャンバ34内に流入し且つ内側チャンバ34から流出するための異なる入口ポート及び出口ポートを提供し得るよう2つ又はより多くのポート、すなわち入口を含むことができる。メンブラン33は、完全に膨張したとき、任意の所望の内部容積を画成し得るように提供することができる。ハウジング31の内部容積に相応し又は近似する内側チャンバを画成するメンブランが提供されることが好ましい。
【0017】
メンブラン33は、加えられた正圧力又は負圧下にて容易に変形する可撓性の材料として提供される。好ましくは、メンブラン33は、膨張及び(又は)収縮に対する抵抗性が殆どないものとする。このことは、チャンバ32に加えられた圧力以外、チャンバ34、流れ回路10(及び患者の静脈)内の任意の流体に伝導される追加的な圧力が最小限であるようにすることにより確実な利点を提供する。メンブラン31は、膨張可能な材料、すなわち弾性材料とすることができるが、必ずしもそうする必要はない。その他の実施の形態において、メンブランはその外表面積を実質的に増大又は減少させずに、加えられた外部圧力に依存して拡張し又は収縮する実質的に膨張不能な材料である。
【0018】
回路10は、内側チャンバ34、選択的に回路10内への体液の流入量を制御する少なくとも1つ、より好ましくは2つ以上の弁40、42を有している。図示した実施の形態において、第一の弁40は圧送チャンバ30の上流に配置され、第二の弁42は回路10内でチャンバ30の下流に配置される。更に、これらの弁は、圧送チャンバへの1つ又はより多くの入口と一体に形成することができる。例えば、流体入口35及び気体入口36
の一方又は双方がチャンバ32内及びチャンバ32外への体液又は気体の流れを制御する一体型の弁を備えることができる。本発明にて使用される弁は、医療技術分野にて一般に使用される型式の弁から選ぶことができる。これらの弁は、2つ以上の管又は回路から選ばれた1つを通じて流体の流れを向けることのできる流れ方向制御弁とすることができる。これと代替的に、これらの弁は、流体が弁を通って一方向にのみ流れるのを許容する逆止弁としてもよい。更に、その他の実施の形態において、これらの弁は1つ又はより多くの管又は回路を通る流体の流量を変化させることのできる可変流量弁とすることができる。更に、その他の実施の形態において、本発明にて異なる型式の弁の組み合わせを含むことができる。
【0019】
好ましくは、血流回路を通じて正味の下流への流れを実現し得るように流体流れ回路中の1つ又は2つ以上の弁を圧送チャンバと調和させる。図1には、圧送サイクルの真空段階が図示されている。該圧送サイクルにおいて、第一の弁40は開放して流入管12から内側チャンバ34内に流体的に連通させる。1つの好ましい実施の形態において、第一の弁40の開放をチャンバ32の排気と連動させる。入口36を真空源に接続し且つ(又は)既に真空源に接続された第三の弁44を開放することにより、チャンバ32の排気を行うことができる。選択的に、第二の弁42を閉じてチャンバ32の下流に流体が逆流するのを防止する。1つのより好ましい実施の形態において、第二の弁42は第一の弁40の開放、チャンバ32の排気及び第三の弁44の開放の1つ又は2つ以上と連動させる。
【0020】
チャンバ32は、第一の予め選んだ圧力まで排気する。好ましくは、第一の予め選んだ圧力は、例えば、患者の安全性を確保すること、静脈の収縮、1つ又は2つ以上の管、チャンバ又は処理装置の詰まりの可能性を軽減すること、血流を最適化すること、1回のサイクルを完了するのに必要な時間を最小にすること、体液に対する処理時間及び(又は)体液の処理圧力を最適にすることのような1つ又はより多くの条件を検討して選ばれる。1つのより好ましい実施の形態において、第一の予め選んだ圧力は約−400mm/Hg以上(より正圧)、好ましくは、約−300mm/Hg以上、更に好ましくは、約−300乃至約−200mm/Hgの範囲となるように選ばれる。
【0021】
チャンバ32内の第一の低圧の予め選んだ圧力はメンブラン33に力を加える。メンブラン33は、収縮状態、すなわち閉じた状態から拡張状態、すなわち膨張状態に変形する。一方、このことは、体液を回路10から好ましくは、流入管12、アクセス部11を通じて且つ患者の静脈(図示せず)から吸引することになる。
【0022】
1つ又は2つ以上の条件が生じる迄、体液は矢印43で示すように内側チャンバ34内への流れを続ける。メンブラン33は、内側チャンバ34がチャンバ32にほぼ等しくなり又はチャンバ32を充填する迄、膨張することができ、弁40、36の1つ又は2つ以上が閉じる、すなわち気体はチャンバ32内に逆流する。これら条件の1つ又は2つ以上が手動にて又は自動的に制御し、或いは流れ回路と組み合わせた1つ又は2つ以上の装置の状態を表示する信号を発生させる検出器に結合された、マイクロプロセッサのようなコントローラにより制御することができる。一度び、内側チャンバ34内への体液の流れが停止したならば、体液は内側チャンバ34内で所望に応じて保持し又はより好ましくは、内側チャンバ34から押し出し且つ流れ回路に沿って強制的に送ることができる。ポンプチャンバ及び1つ又は2つ以上の作用可能に結合された弁のサイクルの制御に関しては、以下により詳細に説明する。
【0023】
図2は、回路10に対する圧送サイクルの正圧力段階の1つの実施の形態を示す概略図である。入口36は、圧力源に接続されている。例えば、第三の弁44は、真空源又は圧力源の何れかを入口36に向けることのできる流れ方向制御弁とすることができる。気体又はその他の加圧媒体がチャンバ32内に流れ且つ圧力を第一の予め選んだ圧力から第二
の予め選んだ圧力まで上昇させる。第二の予め選んだ圧力は、第一の予め選んだ圧力よりも高圧である。その結果、正圧力が膨張したメンブラン34に力を加え、膨張したメンブランを収縮させ、すなわち圧縮して且つ保持された体液を流れ導管10内に押し出す。好ましくは、正圧力サイクルにて、第一の弁40は、閉じ、又は体液が流入管12に又は流入管12から内側チャンバ34内に流れるのを阻止する。弁42が開放すると、流体回路10の下流部分46の間にて流体的に連通するのを許容する。内側チャンバ34から押し出された体液は、開放した弁42を通って回路部分46内に流れる。
【0024】
このように、内側メンブラン34内の体液のサイクル量は、全体として矢印45で示すように、処理装置20を通って下流に押し出され且つ流入管12を通って患者へのアクセス部11に逆流するのが防止される。選択的な制御弁48は開放して、体液を患者へのアクセス部11を通って患者の体内に再注入するのを許容する。
【0025】
血液を処理するためには、カテーテルを患者の静脈又は動脈内に直接、挿入し、又は行うべき処理法により要求されるように、フィステル又はその他の移植したアクセス部内に挿入することができる。
【0026】
体液処理装置20は、体液が患者から処理装置を通って循環され且つ患者の体内に戻るとき、体液を処理する当該技術分野にて既知の任意の体外体液処理装置とすることができる。適宜な処理装置は、非限定的に、腹膜透析装置、血液透装置、吸着性懸濁物を有する血液透析装置、プッシュプル式血漿瀉血装置、血漿ろ過装置、血液ろ過装置、肝臓透析機、血液照射又は光線療法装置、血液の気体の管理装置、又は高温療法又は低温療法装置を含む。かかる装置は、当該技術にて既知であり、例えば、米国特許第4,661,246号(体液の透析装置)、米国特許第5,277,820号、米国特許第5,536,412号、米国特許第5,919,369号(血液ろ過装置及び血漿ろ過装置)、米国特許第5,354,277号、米国特許第5,476,444号、米国特許出願第09/126,372号、米国特許出願第09/235,449号(高熱療法装置)、米国特許出願第09/284,904号、国際特許/US97/19489号、公開日;1998年4月30日の国際出願公開WO98/17333号(腹膜の透析装置)に記載されたものを含み、これらの特許の各々は、その内容を参考として引用し本明細書に含めてある。
【0027】
図3及び図4は、体液を流動させる別個の入口及び出口を有する圧送チャンバを備える流れ回路50の概略図である。流れ回路は、回路10と同様に形成され、同一の構成要素を示すため同一の参照番号が使用される。図3には、圧送チャンバが圧送サイクルの真空又は吸引部分にある間の流れ回路50が示してある。図4には、圧送チャンバが圧送サイクルの加圧又は押し出し部分にある間の流れ回路50が示してある。
【0028】
圧送チャンバは、体液流入管に沿って整列して接続されている。圧送チャンバは、上述したチャンバと同様に、外側チャンバ52と、内側メンブラン54とを有するが、流入及び流出の双方のための単一のポートの場合と比較して、内側メンブラン54及び外側チャンバ52に別個の流入ポート55及び流出ポート56をそれぞれ有している。このことは、矢印57で示すように、流体を患者からアクセス部11を通じて吸引し、その後、吸引された流体を回路50を通じて矢印58で示した方向に押し出すことになる。
【0029】
図5及び図6は、回路64内での流体の流れを向ける少なくとも1つの流れ方向制御弁62を有する流体圧送システム60の概略図である。図示したシステムにおいて、流体は、患者のアクセス部63から開始し、流入管68を通って矢印61で示した反時計回り方向に回路64内を流れ、圧送チャンバ66による助けを受けて、流出管69を通って処理装置70に流れ、最終的に、患者のアクセス部63に戻る。システム60は、回路64内の体液の流量を検出するため少なくとも1つの流体流れセンサ65も有している。
【0030】
圧送サイクルの真空圧力段階を示す図5を特に参照すると、流れ方向制御弁62が圧送チャンバ66と流れ回路64との間に配置されている。弁62は、第一の位置にて図示されており、流体の流れを流入管68から圧送チャンバ66内に向ける。好ましくは、流れ方向制御弁62は、弁72に作用可能に結合されて、外側チャンバ74へ入り且つ外側チャンバ74から出る気体の流れを制御するものとする。より好ましい形態において、弁62は、制御装置(図示せず)を介して気体弁72と作用可能に結合されており、これにより、真空源に対して開放し、気体を外側チャンバ74から吸引するとき、流れ方向制御弁62は、同時に、第一の位置に切換わり、流体の流れを体液チャンバ76内に向ける。
【0031】
圧送サイクルの正圧力部分を示す図6を特に参照すると、流れ方向制御弁62は、流体の流れを体液チャンバ76から且つ流出管69を通って処理装置70まで向ける。1つの好ましい形態において、気体弁72が圧力チャンバ74に対して開放するとき、流れ制御弁62は、流体の流れを体液チャンバ76内に向ける第一の位置から体液チャンバ76内に受け入れられた流体を流出管69に向ける第二の位置に切換える。
【0032】
上述したように、この実施の形態において、流れ方向制御弁62は、気体弁72によって切換えられる真空源及び正圧力源に作用可能に結合される。真空圧力が正圧力に切換えられ、体液を体液チャンバ76から押し出すとき、流れ方向制御弁62は、第一の位置から第二の位置に切換わり、流体流の流れを下流に処理装置70に向け且つ最終的にアクセス部63を通じて患者に排出する。
【0033】
体液処理装置70がろ過又は透析処理を含むとき特に有用である1つの代替的な実施の形態において、真空圧力の一部分は、制御弁40を少なくとも部分的に開放させたままにし(図1に示した実施の形態の場合)、又は切換弁62の方向を制御し、真空圧力が圧送チャンバ内にて加えられるサイクル段階の少なくとも一部分の間、入口管68が処理装置70と流体的に連通するようにすること(図4に示した実施の形態の場合)により、処理装置70内の体液の一部分を吸引して体液チャンバ76に向け且つ(又は)上流にその内部まで戻すことができる。このことは、処理される体液を好ましく再混合させ、流体の相分離又は沈殿を防止する、逆洗いと称される状態を提供する。更に、ろ過又は透析処理を行なうとき、ろ過/透析メンブランは、メンブランの体液側の流体を含む成分によって且つ(又は)メンブランの透析液側の吸収性粒子(懸濁状態で存在するならば)によって詰まり勝ちとなる。真空圧力を下流に伝達して、流体を逆洗いするならば、流体は、メンブランを渡ってメンブランの透析液又は吸着剤側から吸引され、これにより、沈着し、詰まる流体成分はメンブランから洗い流される。流体をメンブランを渡って逆に吸引することは、透析又はろ過の間に失われた流体を補償し、患者に対する流体の補充の必要性を軽減する。
【0034】
図7は、本発明により提供される透析処理システム100の概略図である。処理システム100は、体液側すなわち回路101と、透析液すなわち吸着剤側103とを有している。その双方の回路は、中空繊維透析機のような流体処理装置112内に流れる。体液回路101は、流体を矢印105で示した反時計回り方向に流体回路106を通じて流す2つの圧送チャンバ102、104を有している。流体回路106は、単一管腔の患者へのアクセス部108と、流入管110と、体液処理装置112と、流体流出管113とを有し且つ同様に、患者へのアクセス部108にて終わっている。複数の弁及び流体流れセンサが流体回路106に沿って配置されている。第一の圧送チャンバ102は、第一の弁114と、第二の弁116との間に配置されている。同様に、第二の圧送チャンバ104は、第三の弁118と第四の弁120との間に配置されている。更に、第一の圧送チャンバ及び関係した弁114、116の組合せ体が流体処理装置112の上流に配置される一方、第二の圧送チャンバ104及び関係した弁116、120の組合せ体が流体処理装置1
12の下流に配置されている。
【0035】
坑凝血溶液源122及びプライミング/リンス溶液源124のような、その他の流体源を接続する追加的な流体管が流入管110に接続されている。追加の管は、ローラポンプ226のような別個のポンプを含むか、又は、1つ又は2つ以上の弁の制御の下重力供給法を使用することができ、且つ選択的に検出装置を用いて、流入管110内に注入される流体量を監視することができる。
【0036】
流れセンサは、センサ130、132、134、136として示すように、任意の又は全ての流動管に沿って選択的に配置することができる。流れセンサは、必要であれば、滅菌状態に維持可能であり、また、検出器が処理される体液と適合可能であるならば、当該技術にて既知の任意の型式の検出器から選ぶことができる。かかる検出器は、光検出器、超音波検出器及び遷音速波検出器を含むことができる。体液が血液であるとき、採用するのに特に適した1つの好ましい超音波検出器は、トランスソニック(Transonics)インコーポレーテッドが販売するトランジットタイム超音波流量計である。
【0037】
これらのセンサは、管内の流体の流量を示す信号を提供する。典型的に、流量は、分当たりのmlの表現で測定される。信号は、視覚的読み取り装置、ゲージ、ダイヤル、照明付きディスプレイ、又は液晶ディスプレイのような出力装置にて視覚的に検出し又は電子記憶装置等に保持することができる。更に、弁、ポンプ圧力、及び可聴警報装置のような流れ回路中のその他の要素を制御するため1つ又は2つ以上のコントローラに信号を提供することができる。
【0038】
本発明の1つの好ましい実施の形態において、超音波流れセンサ130又は同等の1つ又は2つ以上のセンサが、流れ回路110内の及び圧送チャンバ102に出入りする、流量又は流量の変化を検出する。ポンプサイクルの真空段階の間、圧送チャンバ102の体液チャンバ137内に流れる体液の流量がセンサ130によって検出される。体液チャンバ137から所望のサイクル容積の容量に達したとき、一定の真空圧力下にて流れる流量がより大きい抵抗のため遅くなると、センサ130は制御装置138により受け取られる信号を発生させる。制御装置138は、予め選んだ状態すなわち入力信号に従って弁140を制御し、気体をチャンバ142内に導入し(且つ加圧し)、流体を体液チャンバ137から強制的に押し出すことにより、サイクルの切換えを行う。更に、制御装置138は、1つ又は2つ以上の信号又は電流を発生させ、弁114、116を制御する、すなわち弁114を閉じ且つ弁116を開放して体液が下流に処理装置112内に流れるようにする。
【0039】
コントローラ138は、処理システム100内でセンサ装置から1つ又は2つ以上の入力信号を受け取る。1つの好ましい実施の形態において、次に、コントローラ(又は比較器を採用し)は、その信号と、記憶装置に記憶させた検索テーブル内に最適に保持された1つ又は2つ以上の予め選んだ状態とを比較し、これに応答して、1つ又は2つ以上の弁を制御すべく1つ又は2つ以上の出力信号を発生させる。1つの実施の形態において、圧送チャンバ102の流れサイクルにおける真空過程の間、コントローラ138は、流体の流量の変化を示す第一の信号をセンサ130から受け取る。これに応答して、コントローラは、第一の信号と予め選んだ流量の変化に相応する検索テーブル内の第一の値とを比較する。第一の信号が第一の値よりも大きいならば、次に、コントローラは、弁114、116、140に対する1つ又は2つ以上の出力信号を発生させ、これらの弁を制御し且つ加圧部分のような次の流れサイクル順序を開始し、その結果、流体を体液チャンバ137から矢印105で示した方向に向けて流れ回路101内に押し出す。
【0040】
これらの予め選んだ状態は、任意の所望の流体の流れ又は流体の流れの変化を示すよう
に選ぶことができる。好ましくは、1つの実施の形態において、予め選んだ流量の変化は、例えば、個々の圧送サイクルの加圧過程又は真空過程の間のような、圧送サイクルの選んだ過程の間にて検出された最大流体流量を考慮することにより、分当たりmlの表現で測定したとき、流体の流量の少なくとも約10%の減少、より好ましくは、少なくとも約20%の減少、更により好ましくは、少なくとも約25%の減少となるように選ばれる。
【0041】
その他の実施の形態において、予め選んだ流量は、所望の流量以下又はそれに等しいように選ばれる。選んだ実施の形態において、所望の流量は、分当たり約10ml以下、より好ましくは、分当たり約5ml以下又はこれに等しく、更により好ましくは、分当たり約3ml以下又はこれに等しいように選ばれる。
【0042】
図示した実施の形態において、真空圧及び正圧力の双方を供給する真空/圧力源151は共に、ポンプ148により提供され且つ弁150、152、140並びに真空圧調節装置154及び正圧力調節装置156により制御される。その他の選択的な特徴は、非限定的に、圧力変換器と、生物学的危険物質フィルタのような管フィルタと、温度センサ、ヒータ、管内圧力センサ、警報装置等とを非限定的に含む。
【0043】
真空圧力源151に関して上述したように提供される第二の真空/圧力源160、第二の圧送チャンバ104及び関係した弁118、120、162は、同様に制御することができる。これと代替的に、真空源160は、第一の圧送チャンバ102用として使用されるものと同一の供給源及び(又は)装置とすることができ、又は真空源は、別個の供給源及び(又は)装置とすることができる。制御装置138は、弁118、120、162の1つ又は2つ以上に対し出力信号を提供し、所望の順序に従ってこれらの弁を閉じ又は開放することができる。
【0044】
これと代替的に、第二のポンプチャンバ104及び関係した弁118、120、162は、圧送チャンバ102に対する圧送サイクルの間、180゜の位相外れとなるように制御してもよい。この特徴において、第二のポンプチャンバ及び関係した弁は、次のように制御される、すなわち、体液が体液チャンバ163内に吸引されると同時に、圧送チャンバ102の上流にて体液が体液チャンバ136から押し出されるように制御される。
【0045】
更に、第二のポンプチャンバ104及び関係した弁118、120、162は、ポンプチャンバ102とほぼ同一のサイクル時間周期にて又は所望に応じて任意のその他の任意のサイクル時間周期にて、体液を体液チャンバ163から押し出し得るよう制御することができる。
【0046】
選ばれた用途において、第二の圧送チャンバは、流体処理装置112内の流体の流量を制御するという特別な利点をもたらす。1つの利点は、ほぼ連続的な流量にて流れ回路又は処理システムに供給されることである。処理装置が血漿ろ過及び(又は)血液ろ過処理にて使用されるような流体透過性メンブランを含むその他の実施例において、第二の圧送チャンバ104を第一の圧送チャンバ102と共に利用し、メンブランを通る流体の流量を制御することができる。透過性メンブランの体液側から処理装置内のメンブランの透析液又は吸着材側103への流体の流れは、次に掲げる4つの方法の何れか1つにより増大させることができる、すなわち1)弁114、118が閉じられ、弁116が開放している間、第一の圧送チャンバ102から正圧力を作用させる方法、2)弁120、116が閉じられ、弁118が開放している間、第二の圧送チャンバ104から正圧力を作用させる方法、3)弁114、120が閉じられ、弁116、118が開放している間、圧送チャンバ102、104の双方から正圧力を作用させる方法、4)流体をメンブランを通じて吸引し得るようにメンブランの吸着材/透析液側103に真空圧力を加える方法である。
【0047】
流れ制御弁114、116、118、120と、第一及び第二の圧送チャンバ102、104とを適正に調和させることにより、処理装置112内の透過性メンブランを渡る正味流体の動きを正確に制御することができる。更に、処理装置112内で透過性メンブランを渡って流体を交互に前後に駆動し、これにより任意の透析液との交換を増し且つ有毒物質を除去する等のため、吸着材と接触する体液部分を増すことにより、ろ過効率すなわち透析効率を大幅に向上させることができる。
【0048】
体液の流れ回路に沿った圧送チャンバの配置位置は、行われる処理に依存する。透析又はろ過を伴う殆どの処理方法の場合、処理装置から上流にて圧送チャンバを体液流入管に結合することが好ましい。処理装置がメンブランを渡って流体の一部分を移送しないその他の適用例の場合、圧送チャンバは、その他の設計条件にて望まれるように、体液流入管又は流出管の何れかに結合することができる。かかる療法の例は、非限定的に、血液の照射療法、処理される体液内を循環する化学療法剤を光励起させることを含む光線療法を含む。
【0049】
処理装置が、例えば、非限定的に、血液ろ過又は血漿ろ過のようなろ過処理装置である用途に特に適した本発明の別の実施の形態において、第一の圧送チャンバは、上述したように、体液流入管と結合され且つ体液流入管と流体的に連通し、第二の圧送チャンバが体液流出管に接続され且つ該流出管と流体的に連通している。1つ又は2つ以上の流量制御弁が、体液流出管に結合され且つ該体液流出管と流体的に連通し、第二の圧送チャンバを調和させ、患者へのアクセス部を通って処理装置から患者に戻る体液の流量を制御する。第二の圧送チャンバの1つの代替例として、例えば、非限定的に、ローラポンプを含む代替的な型式のポンプを使用することができる。
【0050】
システムは、真空及び正圧力のサイクル当たり広範囲に変化する量の体液を圧送し得る設計とすることができるが、好ましい量は、例えば、非限定的に、処理装置の流体容積の約20乃至50%といったような、体液処理装置の流体容積のかなりの比率に等しい値である。同様に、単一管腔の患者へのアクセス部を使用するシステムの場合、体液のサイクル量は、カテーテルの容積に比して比較的多量であることが望ましく、患者への再注入のためカテーテルに戻され、新たな体液の真空吸引サイクルの開始時にカテーテル内に残る処理済みの体液部分が過剰に循環されるのを回避する。非限定的な一例として、血液処理手順において、1つの好ましいサイクル量は、カテーテル容積の少なくとも約10乃至15倍とする必要がある。1つの好ましい実施の形態において、サイクル量は、体液の約30乃至60ml、より好ましくは、約40乃至50mlの範囲にある。
【0051】
サイクル量と同様に、真空圧と正圧力とを交互に繰り返す1つのサイクルに対するサイクル時間は、本発明の色々な用途に適するように大幅に変更することができる。サイクル時間は、患者へのアクセス部及び流動管の断面積、使用される真空圧及び正圧、装置及び患者の身体により加えられる流れに対する抵抗力に基づいて決定される。血液処理手順の典型的なサイクル時間は、真空圧力及び正圧の1回のサイクルに対し約3秒乃至30秒の範囲にある。好ましくは、所定のシステムに対する最大の適宜なサイクル時間は、サイクルの真空(充填)過程の間、沈殿、凝血、処理装置の内部表面へのタンパク質の付着等のような、処理装置内で流体容積が滞留することによる悪影響を回避し得るよう、十分に短時間であるように選ばれる。
【0052】
図8及び図9には、本発明に従って提供される二重チャンバポンプ200の1つの実施の形態が図示されている。ポンプ200は、第二の圧送チャンバ204に隣接する第一の圧送チャンバ202を有している。第一の圧送チャンバ202は、第一の流体ポート206と、対向する第二の流体ポート208と、気体ポート210とを有している。第二の圧
送チャンバ204は、ポンプチャンバ202と面対称である。その結果、第二の圧送チャンバは、1対の流体ポート212、214と、気体ポート218とを有する。
【0053】
図9を特に参照すると、二重チャンバポンプ200の分解図には1対のクラムシェル形半体222、224により画成された内部キャビティ220が図示されている。1つの実施の形態において、可撓性メンブラン226は、半体222、224の間に配置され且つ内側チャンバ228及び外側チャンバ230を画成する。代替的な実施の形態において、可撓性メンブランが内部キャビティ220内に入れ子式に嵌まった膨張可能なバッグとして提供され又はそのバッグの形態とされている。
【0054】
1つの実施の形態において、可撓性メンブラン226は、容易に交換でき且つ使捨て可能なメンブラン又はダイヤフラムとして提供することができる。メンブラン226は、伸び又は変形に対する抵抗力を備え又は抵抗力の無いエラストマー性材料で出来たものとすることができる。1つの実施の形態において、エラストマー性材料は、圧送サイクルの真空部分の間、変形に抗する弾性記憶性を示さない。その他の実施の形態において、メンブランは弾性記憶性を示す。メンブラン226は、生体適合性、滅菌処理可能で且つ体液に対し不透過性である多岐に亙る重合系材料で形成することができる。本発明にて有用な重合系材料の例は、非限定的に、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン等を含む。
【0055】
使用前又は使用後、図9に図示するように、圧送チャンバの一方又は双方を作動させ、また、可撓性メンブラン226を交換することができる。2つの半体222、224は、当該技術分野にて既知の方法及び装置により互いに解放可能に固着することができ、例えば、半体222、224は、着脱可能な係止リング、スナップリング、外部クランプ、ボルト、相互係止タブ等により固着することができる。使用前、半体222、224を再度組み合わせ、メンブラン226をその間で挾持する前又はその後に、本明細書に説明した1つ又は2つ以上の流体流れ回路にて使用し得るよう二重圧送チャンバ200を滅菌処理する。
【0056】
圧送チャンバは、所望であるとき、約−150乃至約−400mm/Hg、より好ましくは、約−200乃至約−300mm/Hgの範囲にて安定的な予め設定した真空圧力を吸引し得る形態とされることが好ましい。処理される体液が血液である殆どの適用例の場合、各人の静脈が許容し得る真空圧力は当然に大幅に変動するが、−250mm/Hg以上の真空圧にて血液が吸引されるとき、流量を最大にし且つ静脈の収縮れの虞れを最小にするため、約−250mm/Hgの真空圧力とすることが最も好ましい。一部の人には、静脈が収縮する虞れは大きいが、より大きい真空圧力とすることが許容し得る。より低圧の真空圧力を使用することもできるが、これら圧力は体液の流量を比較的小量にし、これにより比較的長い処理時間を必要とし、このことは多くの診療施設にて望ましくなく又は実際的でないことであろう。
【0057】
同様に、圧送チャンバは、所望であるとき、約+150乃至約+400mm/Hgの範囲、より好ましくは、約+200乃至約+300mm/Hgの範囲の圧力にて圧送チャンバ内で体液を押し出すよう一定の予め設定した正圧力を加え得る形態とされることが好ましい。組織の収縮又はその他の損傷が重要な関心事ではない場合、殆どの体液内の真空圧力は、処理装置を通じて該体液に加わるより高い圧力を許容することができるから、正圧力の程度は重要ではない。更に、処理後の再注入圧力は、再度、患者の体内に入る前に、処理装置の下流にて調節することができる。例えば、特に、処理される流体が血液であるとき、非限定的に、約+250mm/Hgにて加えられた真空圧力と同一程度の正圧力にて圧送チャンバを作動させることが便宜であることがしばしばである。処理装置内の透過
性メンブランを渡る流体の移送量のようなその他の条件からその他の正圧力の設定値とすることが好ましい場合もある。
【0058】
図10は、本発明に従って提供される身体処理システム250の別の実施の形態の概略図である。図11は、システム250内の二重チャンバポンプ252を示す拡大図である。システム250は、二重チャンバポンプが第一及び第二の圧送チャンバ102、104に置換する点を除いて、図7に図示したシステム200と同様の形態とされている。2つのシステム間の同様の構成要素は、同一の参照番号で表示してある。
【0059】
システム250は、二重圧送チャンバ252を有する。二重圧送チャンバ252は、図8、図9に図示した二重圧送チャンバとすることができるが、該チャンバに限定されるものではない。圧送チャンバ252は、第一の体液ポンプ254と、第二の体液ポンプ256とを有しており、第一のポンプ254は、第一の弁258と、入口ポート260と、出口ポート262と、第二の弁264とを有している。同様に、第二のポンプ256は、第三の弁266と、入口ポート268と、出口ポート270と、第四の弁272とを有している。使用時、二重圧送チャンバ252は並列モード、二重容積モード又は直列に作動可能である。
【0060】
並列作動モードにおいて、2つの圧送チャンバ254、256は、互いに約180゜の同期外れにて体液の吸引及び押し出しを交互に行う。すなわち、圧送チャンバ254が圧送サイクルの真空(充填)過程にて作動する間、圧送チャンバ256は圧送サイクルの加圧(押し出し)過程にて作動する。このモードにおいて、弁258、272が開放し、弁266、264が閉じられている間、弁274は、気体チャンバ276を排気し且つ気体チャンバ278を加圧するよう切換える。
【0061】
二重容積モードにおいて、双方の圧送チャンバ254、256は、圧送サイクルの同一の過程にて作動する。すなわち、圧送チャンバ254が圧送サイクルの真空過程にて作動し且つ体液を内側チャンバ内に吸引する間、圧送チャンバは同様にほぼ同一の圧送サイクルにて作動し且つ体液を内側チャンバ内に吸引する。このモードにおいて、弁276、266が開放し、弁264、272が閉じられている間、弁274は気体チャンバ276、278の双方を排気するよう切換える。体液チャンバ280、282が所望の量の流体にて充填された後、弁276、266が閉じられ且つ弁264、272が開放している間、弁274はチャンバ276、278を加圧するよう切換える。その結果、圧送サイクルの各々にて流れ回路を通じて個々のチャンバの各々の容積の約2倍に等しい塊状投与分が強制的に供給される。
【0062】
更に別の実施の形態において、二重圧送チャンバは直列にて作動可能である。この作動モードは、第一及び第二の圧送チャンバが流れ回路の異なる部分に配置された図7に示したモードと同様である。この作動モードにおいて、体液は第一のチャンバ254を通じて最初に圧送され且つ流れ回路101内に強制的に供給され、その後、体液の少なくとも一部分が圧送チャンバ256を通じて圧送される。これら2つの圧送チャンバは、約180゜の位相外れにて作動することができるが、必ずしもそうする必要はない。
【0063】
これらの作動モードは、圧送サイクルのタイミングを考慮して、同期状態又は180゜の位相外れの何れかとして説明したが、ポンプは、互いに独立的に作動し又はその圧送サイクルが互いに調和されるが、0゜乃至約180゜の位相外れにて作動するようにすることも可能であることを理解すべきである。
【0064】
本発明の別の面において、体液流れ回路、体液処理装置を通って患者から流れ且つ患者に戻る体液の流れを制御する方法が提供される。本発明の1つの形態において、この方法
は、体液を所定の真空圧下にて体液流れ回路内に吸引し且つ吸引された体液を所定の正圧下にて回路を通って押し出すことを交互に行うことを備えている。例えば、その流量を実現するためポンプにより加えられる圧力に関係なく、単位時間当たり所定の量の流体を圧送し得る設計とされた、特定のローラポンプの流量によって決定されるような、特定の体積流量ではなくて、一定の真空圧にて身体から体液のサイクル量を圧送することにより、患者のアクセス部の周りの静脈を収縮させるような過度の真空圧力は発生されない。このことは、熟達した担当者が複雑な監視を行なうことなく、患者の個々の流量制限値に割り当てられた最適な流量にて装置を作動させることを可能にする。
【0065】
本発明のこの特徴の1つの実施の形態において、真空圧及び正圧が交互に圧送チャンバに加えられ、チャンバには、付与された真空圧下にて患者から吸引された、処理すべき血液又はその他の体液が充填され、また、チャンバは、上記の加えられた正圧下にて体液を排出する。1つ又は2つ以上の流量制御弁が上述したように交互の圧力と調和され、血流回路を通じて正味下流への血流を生じさせる。
【0066】
本発明の別の方法において、流量制御弁が上述したように調和されて、処理装置内の体液のある割合分が処理装置から逆流して処理装置の表面を洗浄し且つ体液の混合状態を維持することを許容する。例えば、非限定的に、処理装置が透析機又はろ過装置のようなものである場合、処理装置内の透過性メンブラン(存在するならば)を渡って流体を前後に交互に駆動するためにかかる逆洗いを使用することもできる。
【0067】
特定の実施の形態に関して特定の特徴、構成要素、システム及び作動方法について本明細書にて説明したが、特徴、構成要素のシステム作動モードの各々は、説明したその他の実施の形態及び(又は)方法の何れかと共に使用することが可能であることも理解すべきである。
【0068】
本発明の装置及び方法は、患者から直接吸引され且つ直接戻される患者の体液の処理にて使用するのに最もよく適しているが、本発明は、非限定的に、血液成分、及び血液成分の血液バンクの貯蔵分を含む体液又はその一部を患者から離れた位置で処理するよう特に容易に適用させることもできる。
【0069】
本発明及びその好ましい実施の形態を図示し且つ図面及び上記の説明にて詳細に説明したが、これは単に一例であり、特徴を限定するものではないと見なすべきであり、好ましい実施の形態のみを示し且つ説明したものであり、本発明の精神に属する全ての変更及び改変例は特許請求の範囲に記載したように保護されることを望むものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明によるポンプサイクルの流体流入部分の間にて示した体液圧送組立体の1つの実施の形態の概略図である。
【図2】本発明によるポンプサイクルの流体流出部分の間にて示した図1の体液圧送組立体の概略図である。
【図3】本発明による圧送サイクルの流入部分の間にて示した流体入口と、流体出口と、2つの流量制御弁とを有する体液圧送組立体の1つの実施の形態の概略図である。
【図4】本発明による圧送サイクルの流出部分の間にて示した図3の体液圧送組立体の概略図である。
【図5】本発明による圧送サイクルの流入部分の間にて示した血液処理システムと組み合わせた流体の流れ方向制御弁を有する血液圧送組立体の1つの実施の形態の概略図である。
【図6】圧送サイクルの流出部分の間にて示した図5の血液圧送組立体の概略図である。
【図7】本発明による2つの圧送チャンバを含む体液処理システムの1つの実施の形態の概略図である。
【図8】本発明に従って提供された二重チャンバポンプの1つの実施の形態の斜視図である。
【図9】図8に図示した二重チャンバポンプの部分断面図とした分解側面図である。
【図10】体液処理システム内の図8に示した二重チャンバポンプの使用状態を示す概略図である。
【図11】図10の体液処理システム内の二重チャンバポンプの拡大図である。
【符号の説明】
【0071】
100: 体外体液処理装置
102: 第1の圧送チャンバ
104: 第2の圧送チャンバ
106: 流体回路
110: 流入管
112: 流体処理装置
113: 流出管
130,132,134,136: 流れセンサ
137: 体液チャンバ
138: 制御装置
142: 気体チャンバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外体液処理装置において、
可撓性を有するメンブランを備えた第1の圧送チャンバであって、前記メンブランは、前記メンブランの気体側に作用する負の気体圧力で血液を前記第1の圧送チャンバ内に引き込み、且つ前記メンブランの気体側に作用する正の気体圧力で血液を前記第1の圧送チャンバから交互に排出する、前記第1の圧送チャンバと、
可撓性を有するメンブランを備えた第2の圧送チャンバであって、前記メンブランは、前記メンブランの気体側に作用する負の気体圧力で血液を前記第2の圧送チャンバ内に引き込み、且つ前記メンブランの気体側に作用する正の気体圧力で血液を前記第2の圧送チャンバから交互に排出する、前記第2の圧送チャンバと、
前記メンブランの気体側に作用する正及び負の気体圧力で、前記第1の圧送チャンバ及び前記第2の圧送チャンバに交互に、同一位相に調整された関係で、圧力を作用させる、制御装置と、
を備えた体外体液処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の体外体液処理装置において、前記第1及び第2の圧送チャンバが平行に配置されている、体外体液処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の体外体液処理装置において、前記第1及び第2の圧送チャンバが直列に連通されている、体外体液処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の体外体液処理装置において、透析器及び血液流れ回路を更に備え、前記血液流れ回路は、前記圧送チャンバに作用する負の気体圧力の作用により患者から前記圧送チャンバに血液を運び、且つ、前記圧送チャンバに作用する正の気体圧力の作用により前記圧送チャンバから前記透析器を通り、患者に血液を戻す、体外体液処理装置。
【請求項1】
体外体液処理装置において、
可撓性を有するメンブランを備えた第1の圧送チャンバであって、前記メンブランは、前記メンブランの気体側に作用する負の気体圧力で血液を前記第1の圧送チャンバ内に引き込み、且つ前記メンブランの気体側に作用する正の気体圧力で血液を前記第1の圧送チャンバから交互に排出する、前記第1の圧送チャンバと、
可撓性を有するメンブランを備えた第2の圧送チャンバであって、前記メンブランは、前記メンブランの気体側に作用する負の気体圧力で血液を前記第2の圧送チャンバ内に引き込み、且つ前記メンブランの気体側に作用する正の気体圧力で血液を前記第2の圧送チャンバから交互に排出する、前記第2の圧送チャンバと、
前記メンブランの気体側に作用する正及び負の気体圧力で、前記第1の圧送チャンバ及び前記第2の圧送チャンバに交互に、同一位相に調整された関係で、圧力を作用させる、制御装置と、
を備えた体外体液処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の体外体液処理装置において、前記第1及び第2の圧送チャンバが平行に配置されている、体外体液処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の体外体液処理装置において、前記第1及び第2の圧送チャンバが直列に連通されている、体外体液処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の体外体液処理装置において、透析器及び血液流れ回路を更に備え、前記血液流れ回路は、前記圧送チャンバに作用する負の気体圧力の作用により患者から前記圧送チャンバに血液を運び、且つ、前記圧送チャンバに作用する正の気体圧力の作用により前記圧送チャンバから前記透析器を通り、患者に血液を戻す、体外体液処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−260473(P2007−260473A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191835(P2007−191835)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【分割の表示】特願2002−533717(P2002−533717)の分割
【原出願日】平成13年10月12日(2001.10.12)
【出願人】(503138237)リナル・ソリューションズ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【分割の表示】特願2002−533717(P2002−533717)の分割
【原出願日】平成13年10月12日(2001.10.12)
【出願人】(503138237)リナル・ソリューションズ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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