体液用穿刺、取得および検査カートリッジデザイン
リムから放射状に内側に向かって延伸する複数のランセットを備えるリムを有するランセットホイールは、複数のスポークを有する円形のフレーム内にドロップインさせられ、この複数のスポークは、モジュラーランセットホイールのフレームへのドロップインアセンブリを容易にするために、複数のチャンバを形成する。複数の検査セクションを有するテストリングは、一体型カートリッジを形成するために1つの検査セクションが各ランセットに隣接して配置されるように、フレーム上に組み立てられる。各ランセットは、毛管作用によって切開部から体液試料を採取する大きさに形成される毛管溝を画定するランセットチップを含んでいる。ランセットチップは皮膚に切開部を形成するためにチャンバを出て、毛管溝が体液試料を採取し、ランセットチップはチャンバ内に引っ込められ、試料を分析する目的で試料を毛管溝から検査セクションへ移送するために、ランセットの一部が検査セクションに接触する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、一体型使い捨てカートリッジに関し、より詳細には、これに限られることはないが、コスト効率のよい方法で製造されるカートリッジに関する。さらに、この一体型のディスポーザブル製品は、液体試料をランセットから検査セクションへと移動させる独自の技術を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
体液の採取および検査は、多くの目的に有用であって、糖尿病などの医療診断および治療における使用、およびその他多様な用途での重要性が高まり続けている。医療分野においては、一般のオペレータが、実験室環境外において、日常的に、迅速に、そして再現可能に検査を行い、短時間で結果が得られ、その得られた検査情報の読み出しができるようにすることが望ましい。検査は様々な体液に対して行うことができ、特定の用途には、とりわけ血液および/または間質液の検査に関する。在宅検査の実施は、特に高齢者や糖尿病患者など、手先の器用さが制限される患者には困難である場合がある。例えば、糖尿病患者は、時々手などの四肢にしびれやうずくような痛みを感じることがあり、これは自己検査を困難なものにする場合がある。というのも、こういった患者はテストストリップを正確に位置合わせして血液試料を採取することができないからである。さらに、糖尿病患者の創傷はより治りにくい傾向があるので、結果として、侵襲性の低い切開部を作ることが望まれている。
【0003】
近年、ランセットが一体化したテストストリップやテストエレメントが開発されており、単一の使い捨て品ユニットを形成するように、テストストリップはランセットや他の穿刺手段と一体化されている。これら一体型のユニットは、いくぶん液体試料の採取および検査を単純化してきたが、市販のユニットが導入されるまでには、まだ解決される必要のある多くの問題がある。多数の使い捨て品ユニットに対するいくつかの問題には、ユニットを単純かつ安価に製造すること、ならびに個々のランセットおよびテストストリップをいずれも傷つけずに市販のユニット内に配置することが含まれる。通常、複数のランセットおよび複数のテストストリップはそれぞれ、市販のユニット内のシールされた区画内に個々に配置される。この工程は時間および費用がかかり、また製造が困難である。さらに、ランセットおよび/またはテストストリップのいくつかが、市販のユニット内に配置される間に損傷する可能性もある。
【0004】
市販のユニット内に配置される多数の使い捨て品ユニットにおける別の問題は、ランセットの初期状態での無菌状態と、その無菌状態を皮膚または組織を穿刺するまで維持することの両方である。理解されるように、ランセットを検査セクションから離れて滅菌することは、市販のユニットの製造工程を簡易化する。例えば、ランセットの分離した滅菌により、検査セクションでの化学的性質が阻害されることがない。ランセットおよび検査セクションが一緒に組み立てられた後は、正確な検査を保証するために、ランセットの無菌状態を皮膚または組織を穿刺するまで維持することが重要である。
【0005】
市販のユニット内に配置される多数の使い捨て品ユニットのさらに別の問題は、ランセットおよびテストストリップの配置である。ランセットおよびテストストリップを適切に配置することは、ランセットからテストストリップへの体液試料の正確な移送を確実なものにする。さらに、ランセットおよびテストストリップの適切な配置は、試料をランセットからテストストリップまで正確に移送させることによって、体液試料の浪費を減少させる。
【0006】
多数の使い捨て品ユニットのユーザの別の問題は、検査に用いられる体液試料のサイズが小さい方が好ましいということであり、好適には1マイクロリットル未満の体積である。通常、少量の体液試料では、要求されるランセットによる穿刺深さが浅く、これは穿刺中のユーザの痛みの程度を和らげる。さらに、テストストリップに移送されるランセットからの体液の浪費量が、最小限または非常に少ないことが望ましい。ランセットからテストストリップに体液を移送する間の体液の不必要な浪費は、不正確な検査結果をもたらしたり、正確な検査結果を得るのにより多くの体液試料が必要になったりする。浅い穿刺深さを有するランセットを用いることによって穿刺中のユーザの痛みの程度を減少させることのできる多数の使い捨て品ユニットに対するニーズがある。さらに、体液のあらゆる浪費を取り除くために、少量の体液試料を効率的にランセットからテストストリップへと移送することのできる多数の使い捨てユニットに対するニーズもある。
【0007】
一体型使い捨てカートリッジ内のランセットの正確な穿刺プロフィールは、適切な量の体液試料が皮膚または組織の穿刺中に採取されることを確実にする。またランセットの正確な穿刺プロフィールは、皮膚または組織の穿刺中に適切な数の毛細血管が切断されることも確実にする。例えば、切断される毛細血管の数が少なすぎると、体液試料は正確な検査結果を得るほど充分な多さではなく、切断される毛細血管の数が多すぎると、過度に多い体液試料が採取され、ユーザは、適当な体液試料を手に入れるのに必要な痛みよりも激しい痛みを経験するおそれがある。これらの問題を解決する試みとして、様々な構成のランセットおよびランセットの刺入の仕方が用いられてきた。そのような構成の1つは、直線的に刺入する略直線状のランセットである。直線的に刺入する直線状のランセットの1つの問題は、ランセットの深い穿刺深さであり、これは結果として、多くの毛細血管が切断され、ユーザの痛みの程度は激しくなる。他の構成は回転式に刺入する湾曲したランセットであるが、これも過度に大きな創傷および液体試料をもたらし、ユーザに不必要な痛みをもたらす。
【0008】
ゆえに、この分野において改善の必要がある。
【発明の概要】
【0009】
一態様は、構成部品をフレーム内にドロップ(drop)させ、または配置することによって組み立てられる一体型カートリッジに関する。この一体型カートリッジは、テストリングがフレーム内に配置された際に、テストリングが複数の検査セクションに区分され得るような、連続する化学ストリップを有するテストリングを含んでいる。この一体型カートリッジは、ランセットリムから内側に向かって放射状に延伸する複数のランセットを備えたランセットリムを有するランセットホイールも含んでいる。各ランセットは、レッグ部と、検査セクションと接触し、この検査セクションに体液試料を付着させるためのコンタクト部と、レッグ部の略直交方向に延伸するランセットチップ部とを有する。一体型カートリッジは、フレーム上へのランセットホイールおよびテストリングのドロップインアセンブリ(drop-in assembly)を容易にし、各ランセットがフレーム内の1つの検査セクションに隣接して配置されるようにテストリングを複数の検査セクションに区分けするために、複数のチャンバを有するエッグクレート形状を有するフレームを含んでいる。
【0010】
別の態様は、一体型使い捨てカートリッジを組み立てる方法に関する。この方法は、ランセットホイールをフレーム上にドロップさせることにより一体型使い捨てカートリッジを組み立てることを含んでいる。このランセットホイールは、放射状に内側に向かって延伸する複数のランセットを備えたリムを有し、フレームは複数のチャンバを画定する複数のスポークを有する。各ランセットは、チャンバの1つに配置される。
【0011】
別の態様は、ランセットで体液試料を自動的に採取し、体液をテストストリップに移送する方法に関する。一体型使い捨てカートリッジは、フレームと、リムから内側に向かって放射状に延伸する複数のランセットを有するランセットホイールと、複数の検査セクションを有するテストリングとを含み、ここで複数のランセットは、複数の検査セクションと接触する。次に、複数の検査セクションから離れる方にランセットを回転させることにより、ランセットの1つにより組織に切開部が形成される。体液試料はランセット上の毛管溝で採取され、ランセットを複数の検査セクションの方へ回転させることにより、ランセットは組織中の切開部から引き抜かれる。ランセット上の毛管溝にある体液試料は、検査セクションをランセットに接触させて体液試料を放出することにより、検査セクションの1つへと移送される。
【0012】
さらに別の態様は、マイクロサンプラーホイールに関する。このマイクロサンプラーホイールは、基部と、複数のランセットと、複数のリブとを含んでいる。複数のリブおよび複数のランセットは、基部から外側に向かって放射状に延伸し、複数のリブおよび複数のランセットは互い違いに配置されている。各ランセットは、皮膚に切開部を形成するよう構成された、湾曲したランセットチップを含んでいる。また各ランセットは、ランセットの回転曲率がランセットチップの曲率と類似するように、基部の周りを回転するように構成される。複数のリブのそれぞれは、ランセットチップの穿刺深さを画定するための基準面として配置される。
【0013】
さらなる形状、目的、特徴、態様、利点、長所および実施形態を、詳細な説明および付随する図面により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一体型使い捨てカートリッジの分解斜視図である。
【図2】図1のカートリッジの上面斜視図である。
【図3】図1のカートリッジに組み込まれるランセットホイールの底面斜視図である。
【図4】図3のランセットホイールの上面図である。
【図5】図3のランセットホイールの側面図である。
【図6】図1のカートリッジの拡大断面図である。
【図7】図1のカートリッジで用いられるフレームの斜視図である。
【図8】ランセットの駆動機構に取り付けられる図1のカートリッジの底面斜視図である。
【図9】図8の機構の断面図である。
【図10】穿刺キャップを組み込む図8の機構の上面斜視図である。
【図11】一体型使い捨てカートリッジを上面から見た際の、一体型使い捨てカートリッジの分解斜視図である。
【図12】図11の一体型使い捨てカートリッジを底面から見た際の一体型使い捨てカートリッジの分解斜視図である。
【図13】図11のカートリッジに組み込まれるランセットホイールおよびテストリングの上面斜視図である。
【図14】図11のカートリッジに組み込まれるランセットホイールおよびテストリングの上面斜視図である。
【図15】図11のカートリッジに組み込まれるランセットホイール、カバーバリヤおよび駆動部の上面斜視図である。
【図16】図11のカートリッジに組み込まれるランセットホイール、カバーバリヤおよび駆動部の上面斜視図である。
【図17】図16のランセットホイール、カバーバリヤおよび駆動部の側面図である。
【図18】閉鎖位置におけるカバーバリヤの上面図である。
【図19】開放位置における図18のカバーバリヤの上面図である。
【図20】別の実施形態によるマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図21】図20のマイクロサンプラーホイールの断面図である。
【図22】テストエレメントを含む図20のマイクロサンプラーホイールの断面図である。
【図23】図22のランセットおよび毛管の部分的な正面図である。
【図24】別の実施形態による、ランセットチップの近くに配置されたテストエレメントを含むマイクロサンプラーホイールの断面図である。
【図25】図24のランセットおよび毛管の部分的な正面図である。
【図26】別の実施形態による、ランセットチップの近くに配置されたテストエレメントを含むマイクロサンプラーホイールの断面図である。
【図27】図26のランセットおよび毛管の部分的な正面図である。
【図28】別の実施形態によるマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図29】図28のマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図30】図28のマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図31】図28のマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図32】図28のマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図33】一体型使い捨てカートリッジを上面から見た際の、一体型使い捨てカートリッジの分解斜視図である。
【図34】図33のカートリッジに組み込まれる、テストリングおよびテストリングのフレームの底面斜視図である。
【図35】図33の一体型使い捨てカートリッジの上面斜視図である。
【図36】図33の一体型使い捨てカートリッジの底面斜視図である。
【図37】図33の一体型使い捨てカートリッジの断面図に組み込まれている駆動部の斜視図である。
【図38】図37の機構の側面図である。
【図39】駆動部が部分的に作動される位置にある、図37の機構の斜視図である。
【図40】駆動部が完全に作動される位置にある、図37の機構の斜視図である。
【図41】他の実施形態によるランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングの上面斜視図である。
【図42】図41の機構の斜視図であって、初期位置にあるランセットを示す。
【図43】図42の機構の斜視図であって、完全に作動される位置にあるランセットを示す。
【図44】図42の機構の斜視図であって、最終位置にあるランセットを示す。
【図45】別の実施形態によるランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングの斜視図であって、初期位置にあるランセットを示す。
【図46】図45の機構の斜視図であって、完全に作動される位置にあるランセットを示す。
【図47】図45の機構の斜視図であって、最終位置にあるランセットを示す。
【図48】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図49】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図50】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図51】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図52】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図53】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図54】一実施形態による携帯用の測定システムの斜視図である。
【図55】蓋が開いた状態の、図54の機構に取り付けられるランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングの上面図である。
【図56】上面カバーが取り除かれた状態の、図54の機構の上面斜視図である。
【図57】上面および底面カバーが取り除かれた状態の、図56の機構の底面斜視図である。
【図58】下側のプリント基板が取り除かれた状態の、図57の機構の底面斜視図である。
【図59】上側のプリント基板が取り除かれた状態の、図58の機構の部分的な上面斜視図である。
【図60】図59の機構の部分的な上面斜視図である。
【図61】リリースアームが取り除かれた状態の、図60の機構の部分的な上面斜視図である。
【図62】図61の機構の部分的な上面図である。
【図63】図62の機構の部分的な分解底面図である。
【図64】上側のプリント基板、下側のプリント基板およびバッテリの底面斜視図である。
【図65】ディスプレイ、上側のプリント基板、下側のプリント基板およびバッテリの上面斜視図である。
【図66】フレームおよびランセットフレームが取り除かれた状態の、図61の機構の上面斜視図である。
【図67】図59の機構の部分的な上面斜視図である。
【図68】図59の機構の部分的な上面斜視図である。
【図69】図59の機構の部分的な上面斜視図である。
【図70】クランクシャフト、クランク、跳ね上げ式リンク、ダンプナー、スプリングモータ、第4ギヤおよびプライミングギヤの斜視図である。
【図71】一実施形態による携帯用の測定システムの斜視図である。
【図72】開始位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれている、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図73】浅い穿刺深さ設定の開始位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図74】浅い穿刺深さ設定の完全に延伸した位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図75】浅い穿刺深さ設定の最終位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図76】深い穿刺深さ設定の開始位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図77】深い穿刺深さ設定の完全に延伸した位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図78】深い穿刺深さ設定の最終位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図79】図76の機構の部分的な上面斜視図である。
【図80】底面カバーを備える図73の機構の部分的な上面斜視図である。
【図81】底面カバーを備える図76の機構の部分的な上面斜視図である。
【図82】トリガーシステムの斜視図である。
【図83】図82の機構の斜視図である。
【図84】図82の機構の斜視図である。
【図85】図82の機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の原理の理解を促す目的で、図面に示される実施形態を参照し、この実施形態を説明するために特定の用語が用いられる。しかしながら、それにより発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。記載される実施形態のあらゆる置換および更なる変更、およびここに記載される本発明の原理のさらなる応用は、本発明が関係する分野の当業者には通常想起し得ると予期される。本発明の一実施形態が極めて詳細に示されているが、本発明に関連のないいくつかの特徴が明瞭さのために示されない場合もあるということは関連技術の当業者に明らかである。
【0016】
上、下、または上面や底面などの、詳細な説明における図面に関する方向についての言及は、記載の利便性を意図したものであって、これ自体は本発明を限定せず、また、部品のいずれかを特定の位置または空間方向に限定しない。
【0017】
第1の実施形態は、独自の一体型使い捨てカートリッジまたはディスク、およびこのカートリッジまたはディスクを安価に製造する技術に関し、これはそのデザインによるものである。この独自のカートリッジは、独自の「ドロップイン(drop-in)」または「モジュール(modular)」デザインを利用しており、このデザインは、ランセットホイール上の複数のランセットをディスク状フレームの試料チャンバに配列させることができる。この独自のドロップインデザインにより、複数のランセットの個別の整列および配置が必要なくなる。試料チャンバがテストリング上に複数のテストエレメントを形成するように、テストリングもフレーム上に配置される。理解されるように、ランセットホイール、フレームおよびテストリングは別々に製造され、一体型使い捨てカートリッジを形成するために組み立てられる。ある形態では、ランセットホイール、フレームおよびテストリングは、カートリッジの組み立て後に滅菌される。また別の形態では、ランセットホイール、フレームおよびテストリングは個別に滅菌される。カートリッジの外側に配置される1つまたはそれ以上のシール箔またはシールシートは、皮膚または組織を穿刺する前の、ランセットの無菌状態およびテストエレメントの湿度を維持する。カートリッジは、皮膚または他の組織を穿刺した後の使用済みのランセットと意図せず他人が接触することを防止する。カートリッジは、皮膚または組織を穿刺する前における各テストエレメント上の化学物質の湿度を維持するために、個別の分離したチャンバを含んでいる。独自のランセット形状およびテストエレメントのフレーム上への配置は、穿刺およびサンプリングサイクルが生じた後直ちに、ランセットの毛管からテストエレメントへの体液試料の自動的な移送を可能にする。体液試料の自動的な移送は、体液試料の穿刺、サンプリングおよび検査の「1工程(one step)」操作を可能にする。さらにこのランセットは、例えば0.1マイクロリットル未満の少ない体積の体液を採取し、多くの液体を損失することなくこの少量の体液を分析用の検査セクションへと移送するように構成される。理解されるように、一工程の操作ならびにカートリッジおよび関連する計測器のサイズの小ささは、ユーザに対し、簡単に持ち運びできる利便性を与える。
【0018】
第2の実施形態も独自の一体型使い捨てカートリッジまたはディスク、およびこのカートリッジまたはディスクを安価に製造する技術に関する。この実施形態におけるカートリッジは、独自のランセットホイールのデザインを利用し、このデザインは複数のリブと互い違いに配置されている複数のマイクロニードルまたはランセットを含んでいる。このカートリッジは、複数のランセットに隣接して配置される複数のテストエレメントを有するテストエレメントディスクを含んでいる。ランセットホイールおよびテストエレメントディスクは、別々に製造され、カートリッジを形成するために組み立てられる。ランセットホイールおよびテストエレメントディスクは一緒に、個々の穿刺および検査を複数定める。ランセットは、独自の備え付けのバネ形状を有し、ランセットチップは、穿刺中にわずかな円形の経路を形成する。この独自のランセット形状は、ランセットが、皮膚または組織の穿刺後に、切開前の元の位置へと跳ね返るか、または戻るようにしている。さらに、複数のランセットのそれぞれは湾曲したランセットチップを含んでおり、その湾曲は、ランセットの穿刺サイクル中の曲げおよび引き抜き時のランセットチップによってたどられる円形の経路の曲率と対応している。湾曲した軌道経路と合致するランセットの湾曲形状は、ほとんどの穿刺システムで一般的である直線動作を再現する。穿刺および引き抜きの間、ランセットチップに円形の経路をたどらせる駆動機構は、ランセットアームの半径長さの自然な屈曲または曲がりをもたらし、使い捨てカートリッジのデザインおよび製造の簡素化を促進する。理解されるように、汚染されたランセットが切開前の位置または曲がっていない位置に戻ることにより、他人が、使用済みのランセットで誤って汚染されることを防ぐ。ランセットチップはそれぞれ、毛管作用により体液を採取するような大きさに形成されたマイクロキャピラリーを含んでいる。キャピラリーは、ランセットチップの前面または後面に配置され、ランセットチップからランセットに沿って様々な長さに延ばすことができる。ランセットチップがその切開前位置に戻ったときに、キャピラリー中の体液試料がキャピラリーからテストエレメントへと移送されるように、複数のテストエレメントはランセット上のキャピラリーに隣接して配置される。
【0019】
一実施形態によるカートリッジ20を図1および2に示す。このカートリッジ20は、皮膚を穿刺して切開部を形成し、この切開部から体液試料を採集し、この体液試料を分析し、そして次の穿刺のために位置決め(インデックス(index))されるように構成されている。カートリッジ20は、複数のランセットおよび複数のテストエレメントの滅菌環境を形成し、皮膚または組織の穿刺前の複数のテストエレメントのそれぞれに対して独立して、化学物質の湿度を低く維持する。カートリッジ20の個々の要素または組立部品は、別々に製造されてから最終形態に組み立てられる。例えば一実施形態では、カートリッジ20は、カートリッジ20を形成するために5つまたは6つの部品を組み立てることによって、25またはそれ以上の穿刺および検査モジュールを含む。さらに、体液試料をランセットからテストストリップへと移送するのに必要なユーザのインプットは必要なく、これはカートリッジ20が、皮膚に切開部が形成された後自動的にこのタスクを行うからである。計測器の汚染および/またはカートリッジ20に収容される個々のランセットとテストエレメントとの間のクロスコンタミネーションを防ぐために、カートリッジ20は、穿刺および検査後の使用済みのランセットおよびテストエレメントを保管する。図示されるように、カートリッジ20はディスク形状または円形をしているが、その形状が、カートリッジ20の回転による位置決めを可能にし、また計測器中に保管される際のカートリッジ20の大きさを最小化する。カートリッジ20は、他の実施形態では異なる全体の形状を有し得るということを理解されたい。例えば、二、三例を挙げると、カートリッジ20は長円形、正方形または長方形でもよい。
【0020】
カートリッジ20は、皮膚を穿刺し体液試料を採集する複数のランセット24を有するランセットホイール22と、一続きの検査セクションを有するテストリング26とを含んでおり、検査セクションは、テストリング26がフレーム30に組み込まれると体液試料を分析するために、複数の検査セクション28に分割されている。またカートリッジ20は、滅菌状態で個々のランセット24を保管する複数のチャンバまたは区画32を画定するフレーム30を含んでいる。以下により詳細に記載するが、カートリッジ20は、個々のランセット24をシールする、破ることができる無菌シート40を含み得る。複数のチャンバ32は、各検査セクション28を個々のランセット24に位置合わせする。フレーム30はエッグクレートデザインに似ており、このデザインは、複数の区画32内へのランセットホイール22のドロップインまたはモジュールデザインにより、ランセットホイール22のフレーム30への迅速な組み立てを可能にする。また、フレーム30は、駆動部36を受け入れる大きさに形成された複数の開口部34を画定する。チャンバ32のそれぞれは、フレーム30上の開口部34の1つと一直線になる。この駆動部36は、皮膚に切開部を形成するため、ランセット24と係合してランセット24を移動させることができるように、開口部34の1つを通って対応するチャンバ32の1つの中へと延伸する大きさに形成され、構成される。この駆動部36は、機能において半自動または全自動であって、以下に記載する位置決めおよび/または作動システムの一部であってもよい。駆動部36は、以下に記載するように、開口部34を覆って配置される第2滅菌シート40を貫通するよう、鋭いまたは先のとがった端部を含んでいる。カートリッジ20は、フレーム30の複数のチャンバ32の片側を被覆およびシールするように配置される第1滅菌シート38を含んでいる。またカートリッジ20は、フレーム30の複数の開口部34を被覆およびシールするように配置され、破ることができる第2無菌シート40も含んでいる。テストリング26は、フレーム30の複数のチャンバ32の残りの面を被覆およびシールするよう構成される。複数のチャンバ32および複数の開口部34を覆う第1滅菌シート38、第2滅菌シート40およびテストリング26の組み合わせは、複数のランセット24の無菌状態を維持し、また複数の検査セクション28がさらされる湿度を制御する。第1滅菌シート38および第2滅菌シート40の材料の例には、プラスティック、金属、紙および/または他の材料が含まれる。一実施形態では、第1滅菌シート38および第2滅菌シート40はそれぞれ、12マイクロメートル未満の厚さを有するアルミニウム被覆ポリエチレンテレフタレートで作製される。さらにこの実施形態では、テストリング26は125マイクロメートル未満の厚さを有するポリエチレン被覆ポリエチレンテレフタレートで作製される。理解されるように、第1滅菌シート38、第2滅菌シート40およびテストリング26は他の材料でも製造され得る。
【0021】
図3、4、5および6に示されるように、ランセットホイール22は、ランセットリム23から径方向内側に向かって延びる複数のランセット24を有するランセットリム23を含んでいる。すなわち、複数のランセット24は、ランセットリム23からランセットホイール22の中心に向かって延びている。
【0022】
ランセット24はそれぞれ、フレキシブルなレッグ部42、コンタクト部44およびランセットチップ46を有する。レッグ部42は略直線であるが、他の形態では湾曲または屈曲していてもよく、またはバネ状のリンクを設けるようにデザインされてもよい。レッグ部42は、ランセットリム23からコンタクト部44へと延びる。コンタクト部44は、図6に示されるように、レッグ部42とランセットチップ46との間に第1角度θを形成する。一実施形態では、この第1角度θは約90°の角度である。また別の実施形態では、この第1角度は0〜270°までの別の角度であってもよい。ランセット24は、コンタクト部44が1つの検査セクション28と接触するよう配置されるように構成される。レッグ部42は、以下により詳細に記載するように、フレーム30のウォール50の端縁と第2角度βを形成する。図6に示されるように、第2角度βは鋭角である。
【0023】
ランセットチップ46は、毛管作用により体液試料を引き上げ、体液試料を採取するような大きさに形成される毛管溝48を画定する。一実施形態においてこの毛管溝48は、溝48の毛管作用を強めるために親水性の材料でコーティングされる。毛管溝48は、ランセットチップ46の前面または背面のどちらかに設けることができる。毛管溝48は開放型でも閉鎖型でもよく、また体液試料を引き上げる開放型と閉鎖型が組み合わされた毛管であってもよい。通常、毛管溝48はランセットチップ46の内側の面上に配置され、開放型の毛管である。理解されるように、開放型の毛管は容易に形成され得ることから製造し易い。例えば、開放型の毛管は、ランセットチップ46の表面をエッチングし、開放型の毛管を作り出すために材料を取り除くことによって形成され得る。さらに開放型の毛管溝は、切開部の下の皮膚表面の真下から引き抜かれる体液を採取する。コンタクト部44が検査セクション28に接触すると、検査セクション28への流体接続によって、毛管溝に収容されている体液試料が放出されるように、毛管溝48はランセットチップ46からコンタクト部44内へと延びている。複数のランセット24中の毛管溝48は、スタンピング、エッチング、カービングまたは他の技術を含むこれらの組み合わせによって製造されてもよい。
【0024】
複数のランセット24を有するランセットホイール22は、例えば金属、プラスティック、または他の物質を含むこれらの組み合わせなどの、単一の材料により製造され得る。一実施形態においてランセットホイール22は、金属プレートをエッチング、スタンピング、またはレーザー切断し、複数のランセット24を露出させるためにこの金属プレートの一部を取り除くことによって形成される。毛管溝48は、毛管溝48を露出させるために複数のランセットチップ46をエッチング、レーザー切断または形成することによって、複数のランセット24の形成と同時に、またはランセット24の形成に続いて形成される。ランセット24はそれぞれ、第1角度θを形成するためにコンタクト部44の箇所で曲げられ、また第2角度βを形成するためにリム23の箇所で曲げられる。複数のランセット24はそれぞれ、ランセットホイール22のリム23から中心へと延びる。別の実施形態では、ランセットホイール22は複数のランセット24をリム23に取り付けることによって製造され得る。しかし他の実施形態では、ランセットホイール22は他の製造技術によって形成されることを理解されたい。
【0025】
上述し、図1に示したように、テストリング26は、切開部から血液、間質液、および他の流体などの体液または生物学的流体を検査するための複数の検査セクション28を含んでいる。図1および2の検査セクション28は光学的テストストリップに関して記載されるが、検査セクション28は、二、三例を挙げると、アンペロメトリー(電流検出、amperometry)、クーロメトリー(電量測定、coulometry)または反射率光度測定(reflectance photometry)などの、他の方法でも体液試料を分析できることが認識されるべきである。認識されるように、光学的テストストリップは電荷結合素子(CCD)および/またはカラーキャプチャー(color-capture)素子を介して分析でき、検査結果を表示するためにヒストグラムリーダーを用いることができる。
【0026】
図示される実施形態において、複数の検査セクション28は、フィルムに取り付けられるか塗布される化学物質のひと続きのストリップまたはリングの形状である。図1では、テストリング26は、個々の検査セクション28を区別するためにそこに印刷されるインデックスライン29を含むが、他の実施形態においてこのインデックスライン29は任意のものである。各検査セクション28はチャンバ32の1つに配置され、1つのランセット24のコンタクト部44に隣接して、および/または接触して配置される。穿刺および検査の前の、ランセット24のコンタクト部44と検査セクション28との間の抵抗または摩擦は、検査セクション28上の化学物質を損傷し、体液試料の分析に影響するおそれがある。この実施形態においては、複数の検査セクション28上の化学物質を保護するために、また穿刺および検査前における、ランセット24のコンタクト部44と複数の検査セクション28上の化学物質との抵抗または摩擦によって検査の誤りが生じることを防ぐために、複数の検査セクション28は薄い溶解性の層を含んでいる。この薄い溶解性の層は、穿刺および検査の間、化学物質と相互作用したり、体液試料の分析結果に影響したりしない。また別の実施形態では、各検査セクション28はコンタクト部44に接触せず、代わりに、コンタクト部44を検査セクション28から離して上昇させるために、ランセット24と検査セクション28との間に壊すことができるタブ49が配置される。この壊すことができるタブ49は、駆動部36がランセット24のレッグ部42と係合するまで所定の位置にとどまる。テストリング26は、フレーム30の片面およびそれに対応する側の複数のチャンバ32の面を被覆およびシールするように構成される。一実施形態においてテストリング26は、複数の検査セクション28にとって好都合な形式で、化学物質ロット(chemistry lot)の較正に関する情報を格納するバーコードまたは電波による個体識別(RFID)チップにコード化される化学物質ロットを含んでいる。
【0027】
図1、2および7に示されるように、フレーム30は複数のチャンバ32を画定するように構成される複数のスポークまたはウォール50を含み、各チャンバ32は、ランセット24の1つを収容するような大きさに形成される。複数のウォール50は複数のランセット24を分離し、複数のランセット24の無菌状態を維持する。さらに、ランセット24はチャンバ32内の切開部形成前の元の位置に戻るので、複数のウォール50は、使用済みランセットと使用前(滅菌)ランセットとの間での接触を防ぐことにより、滅菌ランセット24の汚染を防ぐ。フレーム30は円形状で、各チャンバ32は台形またはくさび状である。一形態では、フレーム30の直径は約38ミリメートル、高さは3〜5ミリメートルで、25個のランセット24および25個の検査セクション28を保管するために25個のチャンバを含む。また別の形態では、フレーム30およびチャンバ32は別の形状に成形されてもよい。例えば、フレーム30および/またはチャンバ32は、長方形、楕円形、および/または三角形の形状を有していてもよい。
【0028】
図2および7に示されるように、フレーム30は、フレーム30の中心近くに配置される複数のインターナルギヤ52も有する。インターナルギヤ52はそれぞれチャンバ32の1つの近くに配置される。ギヤ52をチャンバ32に隣接して配置することにより、スピンドルまたはその他の係合機構がギヤ52と噛み合い、フレーム30を回転させて次のチャンバ32および対応する開口部34を駆動部36と直線上に配置することができる。このギヤ52は、フレーム30上の別の位置に配置されてもよく、またギヤ52は、他の実施形態において他の回転機構と係合するように異なって構成されてもよい。複数のインターナルギヤ52のそれぞれは三角形であるが、他の実施形態ではこの複数のインターナルギヤ52が別の形状に成形されてもよい。例えば、複数のインターナルギヤ52は、円形、長方形、および/または楕円形の形状を有し得る。また別の例では、複数のインターナルギヤ52は、以下で述べるように、カートリッジ20を計測器66に挿入するための唯一の方向を提供するように、カートリッジ20の位置決めを行う。
【0029】
フレーム30はさらに、図2および7に示すように、外側にフレームリム53を、内側にハブ54を含んでいる。フレームリム53は、各開口部34がチャンバ32の1つと対応するように、複数の開口部34を画定する。各開口部34は円形だが、他の実施形態において開口部34は異なる形状に成形されてもよい。例えば各開口部34は、二、三例を挙げれば、長円形、楕円形、および/または長方形を有する。また別の例では、フレーム30のより容易な成形を可能にするために、各開口部34がフレーム30の底部に向かって開放している。さらに、各開口部34は、駆動部36を受け入れるような大きさに形成される。ハブ54は、フレーム30をスピンドルまたは他の回転可能な機構の上に取り付けるために、円形の形状を有する。このハブ54は、他の実施形態において異なる形状に成形され得る。
【0030】
一実施形態において、フレーム30は、ディスク形状のフレームに射出成形される、乾燥剤が充填されたプラスティックから構成される。また別の実施形態においては、フレーム30は例えば、金属、木材、セラミック、プラスティック、他の材料、および/またはそれらの合成物で作製され得る。また別の実施形態においてフレーム30は、チャンバ32のそれぞれに加えられる別々の乾燥剤のくさび(desiccant wedge)または乾燥剤の顆粒(desiccant granules)を含んでいる。さらに、フレーム30は、接着、溶着または他の取り付け機構によって複数のウォール50および複数のインターナルギヤ52をハブ54に取り付けるなど、他の技術からも構成できる。一形態においてフレーム30は、インライン電子ビーム(e−ビーム)による滅菌工程を用いて滅菌される。またフレーム30は、ガンマ線や紫外線による滅菌技術など、他の方法でも滅菌され得る。さらにフレーム30は、様々な組み立て段階のいずれの段階でも滅菌され得る。
【0031】
図8、9および10に示されるように、カートリッジ20は計測器66に装着される。この計測器66は、体液試料の分析結果を表示するように構成され得る。またこの計測器66は、作動機構60を含んでいる。一実施形態において作動機構60は、ランセット24の1つに係合する駆動部36に係合し、またこれを移動させる。また別の実施形態において作動機構60は、未使用のランセット24の開口部34に隣接して駆動部36を配置するために、フレーム30の位置決めを行う。理解されるように、一実施形態において作動機構60は、駆動部36に係合し、またこれを移動させ、さらにフレーム30の位置決めを行う。計測器66は完全には図示されていないが、計測器66はカートリッジ20、駆動部36および作動機構60を覆い囲むことが理解される。計測器66は、二、三例を挙げれば、長方形、三角形、円形および/または長円形など、様々な形状であってもよい。計測器66はプラスティック、金属および/または他の材料など、様々な材料で作製され得る。
【0032】
図10に示される実施形態では、計測器66は穿刺中に切開部に押し付けられる穿刺キャップ62を含んでいる。穿刺キャップ62は、切開位置開口部64を画定する。理解されるように、ユーザは、穿刺されるべき適切な体の部位を切開位置開口部64の上に置き、ランセットチップ46は、切開位置開口部64を通過してユーザに切開部を形成する。穿刺キャップ62はテーパーした円形形状を形成するが、他の実施形態では異なる形状に成形され得る。例えば、穿刺キャップ62はピラミッド形、U字形、卵形、円形またはその他の形状でもよい。切開位置開口部64も円形であるが、他の実施形態では異なる形状に成形され得る。穿刺キャップ64はプラスティック、金属、および/または他の材料など、様々な材料で作製され得る。一実施形態において穿刺キャップ62は、ランセットチップ46の穿刺深さを調整するように構成される。一例では、穿刺キャップ62は計測器66にねじ込まれる。このねじ込み係合は、穿刺キャップ62が、ランセットチップ46の穿刺深さを制御するために、計測器66に対して移動することを可能にする。
【0033】
別の実施形態において、穿刺キャップ62は、穿刺を開始するのにユーザにとって必要な力を検知するように構成される。また穿刺キャップ62は、この穿刺キャップ62を通して皮膚のたわみを公知の変動または深さに制御できる。さらに、穿刺の深さは、ランセット24を係合するための駆動部36の移動量によって制御でき、その駆動部36の動作範囲はユーザによって設定される。また、この駆動部36は、可撓性のレッグ部42を昇降させるために、線形半径方向動作、偏心形状を伴う回転動作または傾斜(tipping)動作を行ってもよい。
【0034】
カートリッジ20を使用するために、ユーザは、穿刺されるべき体の部位、最も一般的には指を切開位置開口部64の上に置く。駆動部36は、第2滅菌シート40を貫通し、対応する開口部34を通過し、チャンバ32に入るように作動される。駆動部36はチャンバ32の中へと移動し続け、稼動可能なランセット24のレッグ部42に係合する。駆動部36がレッグ部42に係合すると、駆動部36は、ランセットチップ46をフレーム30に直交する方向に移動させるためにレッグ部42に力を加える。ランセットチップ46が移動するにつれて、ランセットチップ46は第1滅菌シート38を貫通し、切開位置開口部64の上に置かれたユーザの皮膚に貫入し続ける。一実施形態では、ランセットチップ46が切開部を形成すると、切開部からの体液試料は毛管作用により毛管溝48に沿ってコンタクト部44に向かって移動し、毛管溝48は、ランセットチップ46がユーザの皮膚中にある間切開部から体液試料を採取する。駆動部36は最大の延伸位置に到達した後停止し、進行方向を逆にする。駆動部36が進行方向を逆にすると、レッグ部42に加えられる力は減少し、ランセットチップ46は切開部から引き抜かれる。また別の実施形態において、毛管溝48は次に記載するように、ランセットチップ46がチャンバ32中の元の位置に戻っていく間、体液試料を採取する。ランセットチップ46がチャンバ32中の元の位置に戻るまでに毛管溝48を充填するのに充分な時間をランセットチップ46に与えるために、駆動部36が進行方向を逆にしている間、その動作は減速されてもよい。各ランセット24の弾性を有する性質により、ランセットチップ46は自らチャンバ32中の元の位置へと跳ね返る。一実施形態では、ランセットチップ46によって形成される切開部が、正確な検査結果を得るのに充分な量の体液試料を提供するには深さが浅すぎる場合、上述するようにランセットチップ46は、作動機構60がフレーム30を回転する前に、皮膚に第2切開部を形成できる。その最終的なレスト位置において、稼動可能なランセット24のコンタクト部44は検査セクション28に接触し、体液試料は、ランセット24のコンタクト部44と検査セクション28上の化学物質との間の優先的な毛管現象によって、毛管溝48から検査セクション28上へと放出される。ランセット24は、コンタクト部44が検査セクション28に寄りかかっている状態で、最終的なレスト位置にとどまる。次の検査のために、作動機構60はインターナルギヤ52または他の位置決め機構を介してフレーム30を回転させる。作動機構60は、次の対応する開口部34および次の未使用の滅菌ランセット24を駆動部36と揃えるために、駆動部36を引き抜き、フレーム30を回転させる。
【0035】
一実施形態によるカートリッジ120は、図11、12、13、14、15、16、17、18および19に示される。カートリッジ120はカートリッジ20と類似しており、ゆえに簡潔さのために、カートリッジ20と類似しているカートリッジ120の特徴については記載しない。カートリッジ20と同様に、カートリッジ120はフレーム130の複数のチャンバ132の片面を被覆およびシールするために配置される第1滅菌シート138を含んでいる。しかしながら、カートリッジ120は、複数の開口部134および複数のチャンバ132のもう一方の面を被覆およびシールするために配置される第2滅菌シート140を含んでいる。別の形態では、テストリング126および第2滅菌シート140が、複数のチャンバ132の同一面を被覆およびシールするように構成される。一実施形態では、第2滅菌シート140は25マイクロメートルの厚みを有するアルミニウム箔で作製され、この第2滅菌シート140は各チャンバ132を別々にシールするためにフレーム130を覆ってヒートシールされる。
【0036】
ランセットホイール122はランセットホイール22に類似している。ランセットホイール22と同様に、ランセットホイール122は、ランセットリム123から内側に向かって放射状に延伸する複数のランセット124を有するランセットリム123を含んでいる。ランセットホイール22と同様に、各ランセット124は可撓性のレッグ部142、コンタクト部144およびランセットチップ146を含んでいる。しかしながら、各ランセット124のコンタクト部144は湾曲しており、ランセット124がレスト位置にある際にはカバーバリヤ156上でレストするような大きさに形成される。さらにコンタクト部144は、以下に記載されるように、ランセットが作動されるとカバーバリヤ156のウィンドウ157に入る。可撓性のレッグ部142のバネ力は、ランセット124が駆動部136によって作動されるまで検査セクション128にカバーバリヤ156を押し付けるために、カバーバリヤ156に力を加える。各ランセット124は、以下により詳細に記載するように、駆動部136を受け入れるような大きさに形成されるスロット147も画定する。ランセットチップ46と同様に、ランセットチップ146は毛管溝148を画定する。
【0037】
テストリング126はテストリング26と似ているが、複数の検査セクション128は、フィルムに取り付けられるか塗布される化学物質のひと続きのリングの形状である。一形態において化学物質の塗布は、250マイクロメートルの厚さを有するポリエチレンテレフタレートで作製されたフィルムに行われる。テストリング126は第2滅菌シート140に取り付けられる。図13および14に示されるように、複数のウィンドウ157を画定する複数のカバーバリヤ156は、複数のランセット124のコンタクト部144の下のテストリング126上に配置される。複数のカバーバリヤ156は、ランセット124の作動前のテストリング126とランセット124との接触を取り除くことによって、テストリング126上の化学物質を保護および被覆する。さらに、各カバーバリヤ156は、複数のインデックスライン129により画定される検査セクション128の1つを被覆するように構成される。ランセット124が駆動部136によって作動されると、駆動部136はランセット124のスロット147を通ってスライドし、またカバーバリヤ156と係合し、検査セクション128を横切ってカバーバリヤ156を押し込み、これによりウィンドウ157をフレームウィンドウ161(以下に記載)および検査セクション128の上に配置する。記載されている実施形態において駆動部136は、乾燥材で作製された対応するウェッジ159の下にカバーバリヤ156を押し込む。ランセット124は、上述したように、ランセット24と同様に皮膚に切開部を形成し体液試料を採取する。ランセット124が切開部を形成し体液試料を採取した後、コンタクト部144は、ウィンドウ157およびフレームウィンドウ161(以下に記載)を通して検査セクション128に接触し、体液試料を検査セクション128上に配置する。
【0038】
記載される実施形態において、カートリッジ120は乾燥力のある材料で作製されたウェッジ159を複数含んでいる。各ウェッジ159はランセットチップ146に隣接するフレーム130の各チャンバ132に配置される。
【0039】
フレーム130はフレーム30に類似している。フレーム130は、複数のチャンバ132を画定する複数のウォール150を含んでいる。またフレーム130は、複数の開口部134を画定する上側リム153を含んでいる。各開口部134は、対応するチャンバ132と接続される。理解されるように、各開口部134がチャンバ132の1つと接続されているのでフレーム130の製造が単純化される。記載される実施形態では、各開口部134は半円形状を有しているが、他の実施形態において開口部134は異なる形状に成形される。フレーム130はさらに、ランセット124のコンタクト部144と検査セクション128との間の接触を可能にするために、複数のフレームウィンドウ161を画定する下側リム155を含み、ここでコンタクト部144からの体液試料は、ウィンドウ157およびフレームウィンドウ161を通って検査セクション128に移送される。記載される実施形態において、下側リム155は略平面であって、また別の実施形態では、下側リム155は湾曲している。
【0040】
この実施形態では、フレーム130はポリプロピレンで作製され、射出成形技術によって構築されている。他の実施形態では、フレーム130は上述のように、他の材料および他の技術により作製される。
【0041】
またフレーム130はインターナルギヤ52と同様の、複数のインターナルギヤ152を含んでいる。フレーム130はさらに、フレーム130の内側または中心にハブ154を含み、このハブ154はハブ54と類似している。
【0042】
前に示したように、一体型使い捨てカートリッジまたはディスクの第2の実施形態は、マイクロサンプラーホイール200と、テストリングまたは複数の検査セクション210とを含んでいる。理解されるように、マイクロサンプラーホイール200上のランセットおよび複数の検査セクション210は、以下に記載されるように、交互になるように向いている。マイクロサンプラーホイール200の一実施形態は、図20および21に示される。マイクロサンプラーホイール200は、切開部を形成しその切開部から体液試料を採取するために、皮膚を穿刺する。体液試料はマイクロサンプラーホイール200から、体液試料が分析される複数の検査セクション210の1つに移送される。
【0043】
このマイクロサンプラーホイール200は、複数のマイクロニードルまたはランセット204と互い違いに配置されている複数のリブ202を含んでいる。またマイクロサンプラーホイール200は、複数のリブ202および複数のランセット204がそこから延伸している基部206と、皮膚に切開部を形成するために複数のランセット204のそれぞれを駆動するよう構成される第1シリンダ208とを含んでいる。
【0044】
各リブ202は、以下に記載するように、隣接するランセット204がランセットチップ226の穿刺深さを決定するためのガイドまたは基準面としての機能を果たす。複数のリブ202はそれぞれ台形形状であるが、他の実施形態においてこの複数のリブ202のそれぞれは、二、三例を挙げれば、多角形や長円形など異なる形状に成形されてもよい。さらに、複数のリブ202のそれぞれは略平面であって、これはマイクロサンプラーホイール200が全体としてコンパクトな形状を形成することを有利に可能にする。また、リブ202のそれぞれは、対応するランセットチップ226の穿刺深さが決定され得る基準面または表面としての機能を果たす。
【0045】
各ランセット204は、基部206から第1レッグ部材222に向かって延伸するレッグ部220を含んでいる。第1レッグ部材222は、各ランセット204のレッグ部220と第2レッグ部材224との間にわたって延びる。また第2レッグ部材224は、各ランセット204の第1レッグ部材222とランセットチップ226との間にわたって延びる。図21に示されるように、レッグ部220は基部206から延伸し、基部206と第1角度αを形成する。第1角度αは鋭角である。レッグ部220は略直線状である。また第1レッグ部材222はレッグ部220と第2角度δを形成し、この第2角度δは図示されるように鈍角である。第1レッグ部材222は略直線状である。第2レッグ部材224はランセットチップ226と第3角度γを形成し、この第3角度γは鈍角である。第2レッグ部材224は略直線状であるが、他の実施形態において第1レッグ部材222および/または第2レッグ部材224は湾曲する。
【0046】
図21に示されるように、ランセットチップ226は湾曲している。ランセットチップ226の曲率は、ランセット204の作動および引き抜き中にランセット204が通る環状通路の半径に対応する。さらに、ランセットチップ226の曲率は、ランセットチップ226がユーザの皮膚に切開部を形成し、その後ユーザの皮膚から引き抜かれる際の、ランセット204の動作の曲率に対応する。また他の実施形態においてランセットチップ226は直線状である。
【0047】
各ランセット204は、毛管作用により切開部または皮膚表面から体液を引き抜くような大きさに形成される毛管溝228も含んでいる。一実施形態においてこの毛管溝228は、体液を毛管溝228に沿って第2レッグ部材224に向かって引き抜くために、親水性の被覆物を含んでいる。毛管溝228は、図22および23に示すように、ランセットチップ226から第2レッグ部材224まで延伸する。いくつかの実施形態においてこの毛管溝228は、ランセットチップ226から第2レッグ部材224および第1レッグ部材222にも延伸する。図22および23に示されるように、毛管溝228はランセットチップ226の前面側に配置される。また他の実施形態において毛管溝228は、検査セクション210の配置に応じて、ランセットチップ226の前面側または後面側に配置されてもよい。ランセットチップ226の前面側は、基部206から最も離れたランセット204の面に相当する。ランセットチップ226の後面側は、基部206に最も近いランセットチップ226の面に相当する。
【0048】
図23に示されるように、毛管溝228は、毛管作用により体液試料を採取するために、開放したサンプリングチャネルを形成する。また別の実施形態において、毛管溝228は取り囲まれている。理解されるように、取り囲まれた毛管またはチャネルと比較して、開放した毛管溝228は、ランセット204がエッチング工程でより容易に製造され得るという点で利点を有する。ランセット204中に毛管溝228を形成する他の例には、開放した毛管溝228を形成するための、尖端、レーザービーム、またはランセット204から物質を取り除く他の形状または機構が含まれている。毛管溝228を形成するいずれの技術によっても、ランセットチップ226が皮膚中に配置された際の自動的な体液サンプリングをもたらす。また、開放した毛管は、取り囲まれた毛管に比べて、切開部を取り囲む皮膚表面にある体液試料をより容易に採取する。
【0049】
図20に示されるように、基部206は円形形状である。この基部206は、他の実施形態において長方形、長円形、正方形などの他の形状に成形されてもよい。以下に記載するように、リブ202、ランセット204および基部206は、一体化された材料から形成されてもよい。他の形態では、リブ202および/またはランセット204は別々に製造され、その後基部206に取り付けられてもよい。一実施形態においてホイール200は、分析結果を表示するように構成された計測器内に装着される。さらに、この実施形態において未使用のランセット204を露出するためにホイール200の周りを計測器のハウジングまたはその外側が回転するように、ホイール200を固定し、基部206が計測器のハウジングに取り付けられる。しかしながら別の実施形態では、基部206は、未使用のランセット204をハウジング内に露出するために、その中央の周りを回転する。
【0050】
図20および21に示されるように、第1シリンダ208はランセット204のレッグ部220に隣接して配置される。第1シリンダ208は、略円形の形状で、一実施形態においてはランセット204のレッグ部220に沿ってランセットチップ226に向かって転がり、または回転し、また別の実施液体においては、レッグ部220の表面に沿ってランセットチップ226に向かってスライドする。理解されるように、ランセット204を第1シリンダ208から離れる方向に移動させるために、第1シリンダ208がレッグ部220に力を加える。第1シリンダ208の力によるランセット204の動きは、すでに記載したようにユーザに切開部を形成するために、ランセットチップ226に環状通路を通らせる。第1シリンダ208の移動または可動域が終わると、第1シリンダ208は方向を逆にし、基部206に向かって移動する。また別の実施形態において、ランセット204の作動は、駆動部、バネまたは他の機械的機構または電気的機構などの他の形態によって生じる。これらランセット204の他の作動形態も、湾曲したランセットチップ226を環状の動きに従わせる。ランセットチップ226の穿刺プロフィールは、第1シリンダ208がレッグ部220に沿って移動する距離、第1シリンダ208の直径およびランセット204の幾何学的形状と相関させることによってトレースされ得る。
【0051】
ランセットチップ226によって切開部が形成された後、ランセットチップ226は、切開部形成前の元の位置に跳ね返り、ユーザの皮膚から取り除かれ、体液試料を検査セクション210に移送するために検査セクション210の1つと接触する。第1シリンダ208が方向を逆にして基部206に向かって移動する際、ランセットチップ226の曲率は、ランセットチップ226が切開部から引き抜かれるにつれて切開中に形成された環状通路と同じ通路を通ることを確実にする。切開部からランセットチップ226を引き抜くのに付加的なアクチュエータは必要なく、むしろランセット204の弾力的な性質が、第1シリンダ208が元の位置へと戻るにつれて、リブ202により基準となる元の位置へとランセットチップ226を跳ね返らせる。さらに、ランセット204がその切開部形成前の元の位置に跳ね返ると、以下に記載するように第2レッグ部材224またはランセットチップ226が検査セクション210に接触するので、毛管溝228に含まれる体液試料は検査セクション210へと移される。ランセット204が元の位置にあることにより、次のユーザが、誤って汚染されたランセットチップ226により穿刺されないことを確実にする。
【0052】
図21に示される実施形態において、第2シリンダ212は、第1シリンダ208の作動中に第1シリンダ208の停止機構として作用するために、第1シリンダ208に隣接して、または近くに配置される。記載される実施形態において第2シリンダ212は、レッグ部220に接触するよう配置される平坦な表面230を有する略円形の形状である。また別の実施形態では、第2シリンダ212は他の形状でもよい。例えば、二、三例を挙げれば、第2シリンダは長方形、三角形または長円形でもよい。この第2シリンダ212は、第1シリンダ208およびランセット204の動作を制限するために、第1シリンダ208用の停止部を形成する。また別の実施形態において第2シリンダ212は、ランセット204の作動中およびランセットチップ226の切開部からの引き抜き中に、レッグ部220に接触する。例えば作動中、第1シリンダ208がレッグ部220に力を加える際に、第2シリンダ212もまたレッグ部220に力を加える。この実施形態において、第2シリンダ212とレッグ部220とが係合することにより、確実に、ユーザの皮膚に形成される切開部の外にランセットチップ226がゆっくりと引き抜かれる。第2シリンダ212は、ランセットチップ226を切開部から取り除く間、およびランセットチップ226の元の位置への移動の間、ランセットチップ226の速度を制御する。第1シリンダ208および第2シリンダ212の組み合わせによって、ランセットチップ226が、特定の定められた穿刺および速度プロフィールに確実に従うことになる。第1シリンダ208および第2シリンダ212の組み合わせによって、一実施形態においては、ランセットチップ226が、切開部を迅速に形成し、ランセット先端226が切開部からゆっくりと引き抜かれることを確実にする。また別の実施形態において第1シリンダ208は、第2シリンダ212なしにランセットチップ226の速度を制御する。
【0053】
一実施形態においてマイクロサンプラーホイール200は、複数のリブ202および複数のマイクロニードルまたはランセット204を形成するために金属板をプレス加工し、余分な材料を取り除くことによって、一体化された材料から形成される。また他の実施形態においてマイクロサンプラーホイール200は、複数のリブ202および複数のマイクロニードルまたはランセット204を形成するために金属板をエッチングおよび湾曲させることによって形成される。また他の実施形態においてマイクロサンプラーホイール200は、複数のリブ202および複数のランセット204を基部206に取り付けることによって形成されてもよい。マイクロサンプラーホイール200は、ステンレス鋼、チタニウムまたはニッケルなどの金属、プラスティックおよび/または他の材料で作製されてもよい。
【0054】
複数の検査セクション210は上述した検査セクション28と類似しているため、簡潔さのために詳細については繰り返さない。複数の検査セクション210は、1つの検査セクション210が各毛管溝228の近くに配置されるように、複数のランセット204の近くに配置される。複数の検査セクション210は、図22に示すように第2レッグ部材224の近くに配置されても、図24に示すようにランセットチップ226の前面に配置されてもよく、また図26に示すようにランセットチップ226の後面に配置されてもよい。
【0055】
次にランセット204および検査セクション210の様々な構成を参照する。図22に示すように、検査セクション210は、体液試料を分析するために第2レッグ部材224の近くに配置される。この実施形態において毛管溝228は、図23に示すようにランセット204の前面側に配置される。切開部を形成するために、第1シリンダ208は、レッグ部220に沿って回転し、基部206の縁の周りにランセット204を回転させるためにレッグ部220に力を加える。図22に示す実施形態では、第1シリンダ208が基部206の縁の周りにレッグ部220を回転させることを補助するために、第2シリンダ212がレッグ部220に力を加える。理解されるように、第2シリンダ212は任意のものである。レッグ部220が基部206の縁の周りを回転している間、ランセットチップ226はユーザに切開部を形成するために環状通路に従う。毛管溝228は、ランセットチップ226が切開部を形成すると体液試料を採取する。毛管溝228中の体液試料は、まず皮膚中の切開部と略平行な方向にランセットチップ226を流れる。この実施形態において体液試料は、第2レッグ部材224における毛管228に流入し続ける。体液試料が第2レッグ部材224に流入するにつれて、フローの方向は第3角度γだけ変わる。一形態において第3角度γは約90度であり、これにより体液試料のフローは、ランセットチップ226から第2レッグ部材224へ約90度方向を変える。第1シリンダ208および第2シリンダ212は、レッグ部220から力が除かれ、ランセットチップ226が皮膚から引き抜かれるように、それぞれの動きの方向を逆にする。第1シリンダ208および第2シリンダ212が動きの方向を逆にすると、ランセット204は、第2レッグ部材224が検査セクション210に触れるように、ランセット204の切開部形成前の元の位置を通り過ぎて跳ねるか、または移動する。第2レッグ部材224が検査セクション210に接触している間、体液試料は毛管溝228から検査セクション210へと移送される。この実施形態において毛管溝228は、第2レッグ部材224が検査セクション210に接触している間、毛管溝228中の体液試料が検査セクション210に移送されるように、相当する距離だけ第2レッグ部材224中に延伸する。検査セクション210は体液試料を分析する。
【0056】
図24および25に示すように、毛管溝228はランセットチップ226の前面側に配置され、検査セクション210も同様に、ランセットチップ226の前面側の近くに配置される。第1シリンダ208、第2シリンダ212およびランセット204は、ここに違いを記載しない限りは、図22および23に関して記載された実施形態と同様である。ランセットチップ226は皮膚に切開部を形成するために作動され、毛管溝228はこの切開部から体液試料を採取する。この実施形態において体液試料は、皮膚中の切開部と略平行な方向で毛管溝228を流れる。ランセットチップ226が皮膚中の切開部から引き抜かれた後、ランセット204はその切開部形成前の元の位置に移動し、ランセットチップ226は検査セクション210に接触する。ランセットチップ226が検査セクション210に接触すると、毛管溝228からの体液試料が検査セクション210の上に付着される。
【0057】
図26および27に示す別の実施形態において、毛管溝228はランセットチップ226の後面側または背面側に配置される。図示されるように、ランセットチップ226は、ランセットチップ226の後面上の毛管溝228から、ランセットチップ226を通ってランセットチップ226の前面側へと延伸する第2毛管溝229を含んでいてもよい。この付加的な毛管溝229により、検査セクション210はランセットチップ226の後面側に隣接して配置することができるか、ランセットチップ226の前面側に隣接して配置することができる。第1シリンダ208、第2シリンダ212およびランセット204は、ここに違いを記載しない限りは、図22および23に関して記載された実施形態と同様である。ランセットチップ226は皮膚に切開部を形成し、毛管溝228はこの切開部から体液試料を採取する。この実施形態において体液試料は、皮膚中の切開部と略平行な方向で毛管溝228を流れる。一実施形態においては、ランセットチップ226が切開部形成前の元の位置に戻ると、ランセットチップ226の後面側はランセットチップ226の後面側に隣接して配置される検査セクション210に接触し、毛管溝228中の体液試料が検査セクション210上に付着される。理解されるように、毛管溝229が存在することにより、毛管溝228がランセットチップ226の前面側または後面側に配置されようと、また検査セクション210がランセットチップ226の後面側または前面側のどちらに隣接して配置されようと、体液試料は検査セクション210上に確実に付着される。
【0058】
第3の実施形態も一体型使い捨てカートリッジまたはディスクに関し、これは上述の第2の実施形態に類似している。第3の実施形態におけるカートリッジも、複数のリブと互い違いに配置されている複数のマイクロニードルまたはランセットを含む独自のランセットホイールデザインを利用している。この実施形態のランセットは、前に記載した実施形態のランセットと類似している。ランセットおよび複数のリブは、基部に互い違いに取り付けられ、切開部形成前の最初の位置で構成される。ランセットおよび複数のリブは、基部の回りを回転するように構成される。第1駆動機構は、第1駆動機構がランセットおよびランセットに隣接する1つまたはそれ以上のリブを押し付けるように、穿刺および引き抜き中にランセットチップを基部の周りで回転させる。第2駆動機構は、リブが基部の周りを回転し、これにより隣接する1つまたはそれ以上のリブを基準にランセットの穿刺深さが測定される基準面が形成されるように、ランセットに隣接する1つまたはそれ以上のリブを切開位置の近くの皮膚に接触させる。ランセットに対する1つまたはそれ以上のリブの位置は、ランセットの作動または動きから独立して、ランセットの穿刺深さをユーザが調節することを可能にする。例えば、ランセットの作動または動きは、第1駆動機構を1つまたはそれ以上のリブおよびランセットに押し付けることによって決定されるが、穿刺深さは、第2駆動機構を1つまたはそれ以上のリブに押し付けることによって決定される。ランセットの穿刺深さは、第2駆動機構によって決定されるように1つまたはそれ以上のリブの向きを変更するのにしたがって、容易に調整される。さらに、第2駆動機構の独特かつ洗練された形状は、リブの皮膚に対するポンプ作用を作り出すために1つまたはそれ以上のリブを第2駆動機構が押し付け、または解放するにつれて、1つまたはそれ以上のリブが皮膚に付加的な体液を圧出することを可能にする。
【0059】
別の実施形態によるマイクロサンプラーホイール300が、図28、29、30、31および32に示される。マイクロサンプラーホイール300はマイクロサンプラーホイール200と類似しており、ゆえに簡潔さのために、マイクロサンプラーホイール200と類似しているマイクロサンプラー300の特徴については記載しない。マイクロサンプラーホイール200と同様に、マイクロサンプラーホイール300は複数のランセット304と互い違いに配置されている複数のリブ302を含んでいる。またマイクロサンプラーホイール200と同様に、マイクロサンプラーホイール300は基部306を含み、ここから複数のリブ302および複数のランセット304が延伸する。複数のリブ302のそれぞれは、基部306に取り付けられる第1端部330と、ユーザの皮膚Sに接触するよう構成される第2端部332とを含んでいる。この実施形態において、特定のランセット304の作動前には、このランセットに隣接する一対のリブ302はランセット304のレッグ部320と略平行である。マイクロサンプラーホイール300はさらに、第1シリンダ308および第2シリンダ312を含んでいる。第1シリンダ308は、第1シリンダ208と同様に構成される。第2シリンダ312は、各ローラが個々のリブ302に接触するように配置される一対のシリンダまたはローラを含んでいる。第2シリンダ312のローラは、第2シリンダ312の個々のローラが、ランセット304との接触を避けて配置されるように、その間に1つのランセット304を跨ぐ。この実施形態において第2シリンダ312の個々のローラはそれぞれ、湾曲部314と略平面部316とを含んでいる。また別の実施形態では、第2シリンダ312は他の形状でもよい。図示されていないがいくつかの実施形態において、マイクロサンプラーホイール300は上述したような複数の検査セクションも含んでいる。
【0060】
図28に示すように、ランセット304の1つのランセットチップ326は、ユーザの皮膚Sに隣接して、または接触して配置される。図示される実施形態においては、圧出リング400が指先の上に配置されている。しかしながら他の実施形態において、圧出リング400は、マイクロサンプラーホイール300が切開部を形成し、体液試料を圧出し、体液試料を採取するのに必要とされない。さらに、マイクロサンプラーホイール300は指先に加えて、ユーザの他の体の部位での使用のために構成され、つまり、マイクロサンプラーホイール300は、別の部位の検査のために構成される。この初期の開始位置において、第2シリンダ312の略平面部316は、一対のリブ302に接触する。この実施形態において、一対のリブ302はその間に配置されるランセット304のレッグ部320と略平行である。また他の実施形態において、一対のリブ302はランセット304の上または下に配置される。
【0061】
図29に示すように第2シリンダ312は、第2シリンダ312の湾曲部314が、一対のリブ302のそれぞれの第2端部332と接触し、またこの第2端部332をユーザの皮膚Sに対して押し付けるように、回転される。湾曲部314をリブ302へ向けることで、第2シリンダ312の回転が容易になり、それにより穿刺、圧出およびサンプリング中のリブ302の向きを調整できる。一対のリブ302とユーザの皮膚Sとの間の初期の接点は皮膚の基準位置であって、ここからランセットチップ326の穿刺深さが測定され得る。いくつかの実施形態において第2シリンダ312は、ユーザの皮膚Sに対して一対のリブ302をさらに押し付け、切開部位に体液を圧出するために回転される。他の実施形態では、ユーザの皮膚Sに対する一対のリブ302のポンプ作用を引き起こし、切開部位に対する体液の圧出をさらに容易にするために、第2シリンダ312は前後に回転される。
【0062】
図30に示すように、ランセット304は皮膚に切開部を形成するために作動される。第1シリンダ308は、ランセット304を基部306の周りで回転させ、ランセットチップ326をユーザの皮膚Sに押し込むために、一対のリブ302およびランセット304のレッグ部320に対して押し付けられる。ランセットチップ326の穿刺深さは、ランセット304の幾何学的形状、ユーザの皮膚Sに対する一対のリブ302の向き、および第1シリンダ308が一対のリブ302に沿って移動する距離および/または第1シリンダ308が第2シリンダ312に接触するまでの距離によって決定される。この形態においては、第1シリンダ308が一対のリブ302およびレッグ部320に沿って転がるにつれて、ランセットチップ326は皮膚Sに切開部を形成するために基部306の周りを回転する。第1シリンダ308が第2シリンダ312に接触すると、ランセットチップ326の皮膚Sへの穿刺は停止される。また別の実施形態において第1シリンダ308は、ランセット304を基部306の周りで回転させ、ランセットチップ326をユーザの皮膚Sに押し込むために、ランセット304のレッグ部320のみに沿って転がる。またさらに別の実施形態では、第1シリンダ308は、レッグ部320に隣接する一対のリブ302に対して押し付け、またそのリブ302に沿って転がるように構成される。いずれの実施形態においても、ランセットチップ326は、ランセット304が基部306の周りを回転するにつれて、ユーザの皮膚Sに切開部を形成するために環状通路をたどる。
【0063】
図31に示すように、ランセット304は、上述したランセット204と同様に体液試料を採取する。しかしながら、一対のリブ302のそれぞれの第2端部332は、皮膚Sに対して押し付けられる。すでに述べたように、他の実施形態において第2シリンダ312は、ユーザの皮膚Sに対する一対のリブ302のポンプ作用を生じさせるために、前後に回転される。このポンプ作用は、切開部への体液の圧出およびランセット304での体液のサンプリングを容易にする。
【0064】
第1シリンダ308は、図32に示すように、第2シリンダ312からその初期の開始位置まで移動し始め、または後退し始める。第1シリンダ308が元の位置に戻るにつれて、ランセット304は基部306の周りを回転し、その切開部形成前の位置へと跳ね返る。第2シリンダ312は離間された2つのローラまたは部材から構成されているので、ランセット304は2つのローラまたは部材の間に形成される溝を通して跳ね返り、移動する。すでに言及し、上述したように、ランセット304は、ランセット204と同様に検査セクションに体液試料を移送するために検査セクションに接触する。第2シリンダ312は、湾曲部314が一対のリブ302から離れるように回転し、一対のリブ302は、その切開部形成前の初期位置に向かって基部306の周りを回転する。図示されていないが、第2シリンダ312は、略平面部316が一対のリブ302に接触するまで、その切開部形成前の初期位置へと回転し続ける。
【0065】
一実施形態によるカートリッジ420が図33、34、35、36、37、38、39および40に示される。これらの図から認識されるように、カートリッジ420は、図1、2、3、4、5、6および7に示すカートリッジ20と、多くの特徴を共有している。ゆえに簡潔さのために、カートリッジ420およびカートリッジ20で共通する特徴については記載しない。カートリッジ420はテストリングフレーム480を有しているが、カートリッジ20はテストリングフレームを有していない。カートリッジ20と同様、カートリッジ420はテストリング426を有するが、以下により詳細に記載するように、テストリング426はテストリングフレーム480に取り付けられる。またカートリッジ20と同様、カートリッジ420はランセットフレーム430に配置されるランセットホイール422を含んでいる。しかしながら、ランセットホイール422およびランセットフレーム430は、ランセットホイール22およびフレーム30とは、それぞれわずかに異なる。一実施形態においてカートリッジ20は、25個のランセット24、25個の検査セクション28および25個のチャンバ32を有する。それに比べて、一実施形態においてカートリッジ420は、50個のランセット424、50個の検査セクション428および50個のチャンバ432を有し、カートリッジ420はカートリッジ20よりも直径がおよそ20%大きい。
【0066】
カートリッジ420がランセット424から検査セクション428まで体液試料を移す方法は、カートリッジ20の場合とは異なる。以下で説明されるように、カートリッジ420は、ランセットチップ446を有するランセット424を含んでおり、そのランセットチップ446は、組織に切開部を形成し、切開部から毛管溝448に体液試料を採取し、ランセットチップ446が検査セクション428に接触すると検査セクション428に体液試料を移送する。言い換えれば、ランセットチップ446は体液試料を検査セクション428に移送する。理解されるように、体液試料は、検査を行うために充分な量の試料を得るために、ランセット424の毛管溝448全体を充填する必要はない。さらに、体液試料は毛管溝448全体を充填する必要はないので、高い検査の成功率が達成され、また検査するのに必要な体液試料の量が少なくなる。すでに述べたように、カートリッジ20は、切開部を形成するランセットチップ46を有するランセット24を有し、体液試料は毛管溝48に採取され、そしてコンタクト部44は、体液試料を検査セクション28に移送するためにランセットが元の位置に戻ると、検査セクション28に接触する。この構成においてランセット24のコンタクト部44または後部(tail)は体液試料を検査セクション28に移す。
【0067】
カートリッジ20と同様、カートリッジ420は図33に示すように第1滅菌シート438を含んでいる。カートリッジ420が組み立てられると、テストリングフレーム480の複数のテスター開口部482の片面を被覆およびシールするために、第1滅菌シート438が配置される。上述のように、カートリッジ420はテストリングフレーム480を含んでいる。テストリングフレーム480は複数のテスター開口部482を含んでいる。テスター開口部482のそれぞれは、ランセットチップ446を受け入れる大きさに形成される。またテストリングフレーム480は、複数のウィンドウ484および複数のフレームウォール485も含み、ここで各ウィンドウ484は一対のフレームウォール485の間に配置される。内部ウィンドウ484のそれぞれは、テストリングフレーム480およびランセットフレーム430が組み立てられると、ランセットフレーム430の一対のランセットウォール434の間に配置される。検査セクション428の隣へのウィンドウ484の配置は、カートリッジ420の中央に配置される光学装置または他の装置が、ウィンドウ484の1つを通して対応する検査セクション428を見ることを可能にする。一実施形態において係合機構は、ランセットフレーム430の次のチャンバ432および対応するテスター開口部482を駆動部436と一直線上に配置するために、フレームウォール485の1つと係合しカートリッジ420を回転することができる。複数の内部ウィンドウ484のそれぞれは長方形の形状を有するが、ウィンドウ484は他の実施形態において異なる形状に構成されてもよい。複数の内部ウィンドウ484および複数のフレームウォール485は、テストリング426を受け入れるように配置される。
【0068】
テストリング426は、図34に示すように、複数の検査セクション428を画定する複数のインデックスライン429を有する。テストリング426は、各インデックスライン429が各ランセットウォール434と一致するように、テストリングフレーム480の複数の内部ウィンドウ484および複数のフレームウォール485に取り付けられる。さらに、各検査セクション428は、対応するウィンドウ484が複数のランセット424の1つと一直線になるように、ランセットフレーム430のチャンバ432の1つに配置される。
【0069】
図33および37に示されるように、ランセットホイール422は複数のランセット424を有するランセットリム423を含み、ランセット424はランセットリム423から径方向内側に向かって延伸する。各ランセット424は、可撓性のレッグ部442、コンタクト部444およびランセットチップ446を含んでいる。各ランセット424のコンタクト部444は、湾曲しており、ランセット424がレスト位置にある際にはランセットフレーム430の複数の棚部(ledge)492のうちの1つの上に載るような大きさに形成される。また、このレスト位置では、ランセットチップ446は検査セクション428に接触しない。さらにランセットチップ446は、以下に記載するように、ランセット424が作動されるとテスター開口部482に入る。また各ランセット424は、以下により詳細に記載するように、駆動部436の先のとがった端部438を受け入れるような大きさに形成されるスロット447を画定する。ランセットチップ446は毛管溝448を画定する。さらに、ランセット424が作動されて最終位置に到達すると、体液試料が毛管溝448から検査セクション428へ移送されるように、ランセットチップ446は検査セクション428に対してもたれかかる。
【0070】
図33、35および36中のランセットフレーム430の構成は、図1および2に示されるフレーム30とは少し異なる。図33のランセットフレーム430は、複数のチャンバ432を画定する複数のウォール434を含んでいる。ランセットフレーム430は、テストリングフレーム480をランセットフレーム430上に配置するために、複数のフレームウォール485を受け入れるような大きさに形成されたリム436を含んでいる。ランセットフレーム430は複数の棚部492も含んでいる。各棚部492はランセット424のコンタクト部444を受け入れるような大きさに形成される。1つの棚部492は、複数のチャンバ432のそれぞれに配置される。図示される実施形態において、複数の棚部492のそれぞれは略平面である。複数の開口部494は、複数のウォール434と複数の棚部492との間に配置される。各開口部494は、駆動部436を受け入れるような大きさに形成される。図37、38、39および40に示されるように、駆動部436は、以下に記載するように、開口部494を覆って配置される第2滅菌シート440を貫通するように、鋭いまたは先のとがった端部438を有する。この先のとがった端部438は、以下に記載するように、ランセット424を作動するためにランセット424のスロット447に入る。
【0071】
図33に示すように、カートリッジ420は、ランセットフレーム430の複数のチャンバ432を被覆およびシールするために配置される第2滅菌シート440を含んでいる。第1滅菌シート438、テストリング426および第2滅菌シート440は、気密カートリッジ420を形成するために、複数のテスター開口部482、複数のチャンバ432および複数の内部ウィンドウ484を被覆およびシールするよう構成されている。同様に、カートリッジ20の第1滅菌シート38、テストリング26および滅菌シート40も気密カートリッジ20を形成するよう構成されている。
【0072】
カートリッジ420を使用するために、ユーザは、穿刺されるべき体の部位、最も一般的には指を、複数のテスター開口部482のうちその時点で稼動可能なものの1つの上に置く。駆動部436は、第2滅菌シート440を貫通し、対応する開口部494を通過し、そしてチャンバ432に入るように作動される。駆動部436はチャンバ432の中へと移動し続け、また駆動部436の先のとがった端部438は稼動可能なランセット424のスロット447と係合する。駆動部436がスロット447と係合すると、ランセットチップ446をフレーム430に直交する方向に移動させるために、駆動部436はレッグ部442に力を加える。ランセットチップ446が動くと、ランセットチップ446は、第1滅菌シート438を貫通し、続いて稼動可能な状態のテスター開口部482を覆って置かれているユーザの皮膚に貫入する。一実施形態においては、ランセットチップ446が切開部を形成すると、切開部からの体液試料は、毛管作用によって、毛管溝448に沿ってコンタクト部444に向かって移動し、また毛管溝448は、ランセットチップ446がユーザの皮膚中にある間に切開部から体液試料を採取する。一実施形態において、体液の適切な試料量は約90ナノリットルである。
【0073】
駆動部436は、最大延伸位置に到達した後停止し、進行方向を逆にする。駆動部436がその進行方向を逆にすると、レッグ部442に加えられている力が減少し、ランセットチップ446は切開部から引き抜かれる。各ランセット424の弾性を有する性質により、ランセットチップ446は自らチャンバ432内の元の位置へと跳ね返る。この最終的な位置において、稼動可能なランセット424のランセットチップ446は検査セクション428に接触し、体液試料は、ランセット424のランセットチップ446と検査セクション428上の化学物質との間の優先的な毛管現象によって、毛管溝448から検査セクション428上へと放出される。ランセット424は、コンタクト部444が棚部492に寄りかかっている状態で、最終的なレスト位置にとどまる。次の検査のために、作動機構は、次の対応するテスター開口部482および次の未使用または滅菌されたランセット424を駆動部436と揃えるために、駆動部436を引き抜き、テストリングフレーム480を回転させる。
【0074】
図41、42、43および44には、別の実施形態によるランセットフレーム530、ランセットホイール522およびテストリング526が示される。これらの図から認識されるように、ランセットフレーム530は、図33、35および36に示すランセットフレーム430と、多くの特徴を共有している。ゆえに簡潔さのために、ランセットフレーム430と同様のランセットフレーム530の特徴については記載しない。ランセットフレーム430と異なり、ランセットフレーム530は、作動前にランセットを屈曲位置で保持するように構成されている複数の棚部592を有する。ランセットの弾性および各棚部592の構成により、ランセットは対応する棚部592から開放された後、元の屈曲していない構成へと跳ね返り、切開部を形成するために持ち上げられる。言い換えれば、棚部592からランセットに課せられる張力が解放される。ランセットが切開部を形成して対応する棚部592に戻った後、ランセットチップは検査セクション528に接触し、体液試料を検査セクション528に移送する。ランセットチップから検査セクションへの体液試料の移送は、ランセットのコンタクト部から検査セクションへの体液試料の移送に比べて、体液試料が検査セクションに移送されるまでに移動する必要のある距離が短い。ランセットの他の部分に比べてランセットチップからの体液試料の移送は、穿刺および検査の成功率が高いという結果をもたらす。この実施形態および図33、34、35、36、37、38および39に示される実施形態の臨床試験のいくつかでは、検査セクションへのランセットチップの体液試料の移送の成功率は、93%よりも高かった。またいくつかの実施形態において、切開部の形成、体液試料の採取および体液試料の分析を含む全体の検査時間は、1秒未満であった。
【0075】
ランセットフレーム530は、複数のチャンバ532を画定する複数のウォール534を含んでいる。ランセットフレーム530は複数の棚部592も含んでいる。各棚部592は、ランセット524のコンタクト部544を受け入れるような大きさに形成される。1つの棚部592が、複数のチャンバ532のそれぞれに配置される。図示される実施形態において、複数の棚部592は略長方形である。各棚部592は、以下により詳細に説明されるように、ランセットチップ546を受け入れるように構成された切欠593も含んでいる。複数の開口部594が、複数のウォール534と複数の棚部592との間に配置される。各開口部594は駆動部を受け入れるような大きさに形成される。
【0076】
図41に示すように、ランセットホイール522はランセットフレーム530内に配置される。ランセットホイール522は、図33および37に示すランセットホイール422と多くの特徴を共有している。ゆえに簡潔さのために、ランセットホイール522およびランセットホイール422で共通する特徴については記載しない。
【0077】
図41にはテストリング526が示されている。テストリング526は、図33および37に示すテストリング426と多くの特徴を共有している。ゆえに簡潔さのために、テストリング526およびテストリング426で共通する特徴については記載しない。テストリング526は複数の検査セクション528を含んでいる。またテストリング526は、各検査セクション528がランセットフレーム530の一対のウォール534の間に配置されるように、ランセットフレーム530上に配置される。
【0078】
初期位置において、ランセットチップ546は、ランセットチップ546を切欠593から解放するために駆動部がランセット524に係合するまで、ランセット524が動かないようにコンタクト部544が棚部592に寄りかかるように、切欠593内に配置される。この初期位置において、各棚部592は、コンタクト部544を可撓性のレッグ部542に向かって曲げるために、ランセットリム523に向かって延伸する。ランセット524が初期位置から切開部形成位置に移動すると、コンタクト部544は切欠593と棚部592の両方を通り過ぎ、ランセットチップ546はランセットフレーム530に直交する方向に移動する。コンタクト部544は、棚部592を通り過ぎた後、各ランセット524の弾性を有する性質により元の構成へと跳ね返る。ランセットチップ546が移動するにつれて、ランセットチップ546は、対応するチャンバ532を覆って置かれているユーザの皮膚に貫入する。一実施形態においては、ランセットチップ546が切開部を形成すると、切開部からの体液試料は、毛管作用によって、毛管溝548に沿ってコンタクト部544に向かって移動し、また毛管溝548は、ランセットチップ546がユーザの皮膚中にある間に切開部から体液試料を採取する。駆動部または他の機構が最大延伸位置に到達した後、駆動部は停止し、進行方向を逆にする。駆動部がその進行方向を逆にすると、レッグ部542に加えられている力が減少し、ランセットチップ546は切開部から引き抜かれる。この最終的な位置において、稼動可能なランセット524のコンタクト部544は棚部592に寄りかかり、体液試料は毛管溝548から対応する検査セクション528に移送される。
【0079】
図45、46および47には、別の実施形態によるランセットフレーム630、ランセットホイール622およびテストリング626が示されている。これらの特徴から認識されるように、ランセットフレーム630は、図33、35および36に示されるランセットフレーム430と多くの特徴を共有している。ゆえに簡潔さのために、ランセットフレーム630およびランセットフレーム430で共通する特徴については記載しない。以下に記載されるように、ランセットフレーム630は、複数のランセット624が作動前に複数の検査セクション628に接触しないように複数のランセット624を制止するよう構成された複数のスラット(slat)692を含んでいる。有利には、この複数のスラット692は、ランセットチップ646が体液試料を採取した後にランセットチップ646を検査セクションに接触させ、この体液試料を検査セクションに移送することができるように構成される。上述のように、ランセットチップからの体液の移送は、ランセットの接触部位または別のあらゆる部分からの体液の移送に比べて、要求される血液の移動距離が短い。さらに有利には、この複数のスラット692は、検査後の汚染されたランセット624を制止する。
【0080】
図45、46および47に示すように、ランセットフレーム630は、複数のチャンバ632を画定する複数のウォール634を含んでいる。ランセットフレーム630は複数のスラット692も含んでいる。一対のスラット692が、複数のチャンバ632のそれぞれに配置される。各スラット692はウォール634の1つに取り付けられる。この一対のスラット692のそれぞれの間には、スラット開口部694がある。一対のスラット692は、ランセット624が初期位置にある時にランセット624のランセットチップ646をスラット開口部694で受け入れられるような大きさに形成され、ウォール634上に配置される。この一対のスラット692はまた、ランセット624が最終位置にある時にランセット624を制止するような大きさに形成され、配置される。ランセット624が作動された後最終位置でレストすると、一対のスラット692は、一対のスラット692とランセットフレーム630との間で一対のタブ645を制止する。図示される実施形態において、複数のスラット692のそれぞれは略長方形である。複数のスラット692のそれぞれは各ウォール634と角θを形成する。角θは鋭角である。
【0081】
図45に示すように、ランセットホイール622はランセットフレーム630内に配置される。ランセットホイール622は図33、37および38に示されるようなランセットホイール422と多くの特徴を共有しているので、簡潔さのために、ランセットホイール622およびランセットホイール422で共通する特徴については記載しない。ランセットホイール622は、ランセットリム623から径方向内側に向かって延伸する複数のランセット624を有するランセットリム623を含んでいる。各ランセット624は、可撓性のレッグ部642、コンタクト部644およびランセットチップ646を含んでいる。また各ランセット624のコンタクト部644は、ランセット624が初期位置にある時にランセットフレーム630の一対のスラット692に載るように形成される一対のタブ645を含んでいる。ランセット624が作動されて最終位置でレストすると、一対のスラット692は、一対のスラット692とランセットフレーム630との間で一対のタブ645を制止する。また各ランセット624は、駆動部の先のとがった端部を受け入れるような大きさに形成されたスロット647を画定する。一実施形態において、ランセットチップ646は毛管溝(図示せず)を画定する。
【0082】
テストリング626は図41、42および44に示されるテストリング526と多くの特徴を共有しているので、簡潔さのために、テストリング626およびテストリング526で共通する特徴については記載しない。テストリング626は複数の検査セクション628を含んでいる。テストリング626は、各検査セクション628がランセットフレーム630の一対のウォール634の間に配置されるように、ランセットフレーム630上に配置される。
【0083】
初期位置において、ランセットチップ646は、駆動部がランセット624を移動させて一対のタブ645を一対のスラット692から解放するためにランセット624と係合するまで、ランセット624の移動を制止するために、一対のタブ645が一対のスラット692に寄りかかるように、スラット開口部694内に配置される。また、初期位置において、ランセット624の弾性のために、一対のタブ645がスラット692を押し付けるにつれてコンタクト部644が湾曲する。駆動部がランセット624を初期位置から切開部形成位置に移動させるにつれて、コンタクト部644は一対のスラット692を通り過ぎ、コンタクト部644に対する圧縮力は解放される。各ランセット624の弾性力のある性質により、ランセットチップ646は圧縮されていない構成へと跳ねる。ランセットチップ646は、ランセット624が初期位置から切開部形成位置に移動する時に、ランセットフレーム630に直交する方向に移動する。ランセットチップ646が移動するにつれて、ランセットチップ646は対応するチャンバ632を覆って置かれているユーザの皮膚に貫入する。一実施形態においては、ランセットチップ646が切開部を形成すると、この切開部からの体液試料は、毛管作用によって、毛管溝に沿ってコンタクト部644に向かって移動し、また毛管溝は、ランセットチップ646がユーザの皮膚中にある間に切開部から体液試料を採取する。駆動部または他の機構が最大延伸位置に到達した後、駆動部は停止し、進行方向を逆にする。駆動部がその進行方向を逆にすると、レッグ部642に加えられている力が減少し、ランセットチップ646は切開部から引き抜かれる。ランセット624は圧縮されていない構成に戻っているので、ランセット624を最終位置で制止し、ランセットチップ646を検査セクション628に係合させるために、一対のタブ645は一対のスラット692の後ろへスライドする。最終位置において、ランセット624は検査セクション628に寄りかかり、体液試料は、毛管溝またはランセットチップ646から対応する検査セクション628へと移送される。
【0084】
図48Aおよび48Bは、ランセットが検査セクションに接触しないように作動前のランセットを制止する技術の1つを概略的に表した図である。図48Aに示されるように、ランセットは、フレームの位置が結果としてランセットへの圧縮力をもたらすようにフレームにおいて切欠に寄りかかる。ランセットは、作動された後、切欠から解放されて圧縮されていない状態へ戻る。ランセットは、その後切開部を形成し、ランセットチップに体液試料を採取する。図48Bに示されるように、圧縮されていない状態にあるランセットチップは、体液試料をランセットから検査セクションへ移送するために検査セクションに触れる。検査セクションの位置は、圧縮されていないランセットが検査セクションに係合し、検査セクションに体液試料を移送することを可能にする。有利には、ランセットは体液試料を検査セクションに移送する場合を除いて検査セクションに接触しないので、検査用の化学物質は損なわれていないままである。ランセットの弾性は、ランセットが切欠から解放された後圧縮されていない状態に戻ることを可能にするので、ランセットを圧縮されていない状態に戻すため、また体液試料を検査セクションに移送するための付加的な機構は必要ない。
【0085】
図49Aおよび49Bは、ランセットが検査セクションに接触しないように、作動前のランセットを制止する別の技術を概略的に表した図である。有利には、検査セクション上の検査用の化学物質は損なわれず、また触れられないままである。図49Aに示すように、ランセットは、棚部の位置が結果としてランセットへの圧縮力をもたらすように棚部に寄りかかる。ランセットは、作動された後、棚部から解放されて圧縮されていない状態へ戻る。ランセットは、その後切開部を形成し、ランセットチップに体液試料を採取する。図49Bに示されるように、圧縮されていない状態にあるランセットチップは、体液試料をランセットから検査セクションへ移送するために検査セクションに触れる。有利には、ランセットを圧縮されていない状態に戻し、また体液試料を検査セクションに移送するための他の機構は必要ない。検査セクションの位置は、圧縮されていないランセットが検査セクションに係合し、検査セクションに体液試料を移送することを可能にする。
【0086】
図50Aおよび50Bは、ランセットが検査セクションに接触せず、ゆえに検査セクション上の検査用の化学物質が損なわれず、また触れられないままであるように、作動前のランセットを制止するさらに別の技術を概略的に表した図である。図50Aに示される第1位置では、バンドの位置がランセットへの圧縮力をもたらし、ランセットが屈曲、または湾曲されるように、第1バンドがランセットを制止する。次に、皮膚に切開部を形成し、体液試料を採取するために、ランセットが作動され第1バンドを貫通する。作動中、ランセットは圧縮されていない形状へと戻る。図50Bに示すように、体液試料を採取した後、ランセットチップは、ランセットが第1位置へ戻ると、検査セクションを含む第2バンドと接触する。ランセットチップ中の体液試料は、ランセットチップから第2バンド上の検査セクションへと移送される。
【0087】
図51Aおよび51Bは、ランセットが検査セクションに接触せず、ゆえに検査セクション上の検査用の化学物質が損なわれず、また触れられないままであるように、作動前のランセットを制止するさらに別の技術を概略的に表した図である。図51Aに示されるように、ランセットチップは、カバーの位置がランセットに圧縮力をもたらすように、柔らかい材料で作製されたカバー中で静止する。ランセットは作動された後、この柔らかいカバーを通して駆動され、圧縮されていない状態へと戻る。ランセットがカバーを通して駆動された後、カバーは、ランセットが切開部を形成し体液試料を採取するにつれて、ランセットの一部を滑り落ちる。図51Bに示すように、ランセットは元の位置に戻り、ランセットチップは、体液試料をランセットから検査セクションへと移送するために検査セクションに触れる。有利には、弾性を有するランセットを圧縮されていない状態に戻し、また体液試料を検査セクションに移送するための他の機構は必要ない。検査セクションの位置は、圧縮されていないランセットが検査セクションに係合し、検査セクションに体液試料を移送することを可能にする。
【0088】
図52Aおよび52Bは、ランセットが検査セクションに接触せず、ゆえに検査セクション上の検査用の化学物質が損なわれず、また触れられないままであるように、作動前のランセットを制止する技術の1つを概略的に表した図である。図52Aに示されるように、ランセットは、トラックの位置がランセットを湾曲し、または圧縮するように、トラックに沿って乗りかかるタブを含んでいる。ランセットが作動された後、タブは、タブがトラックを取り除き、それによりランセット上の圧縮力を解放してランセットを圧縮されていない状態に戻すまで、トラックに沿って駆動される。タブがトラックを取り除いた後、ランセットチップは切開部を形成し体液試料を採取する。図52Bに示されるように、ランセットチップは、ランセットが元の位置に戻ると体液試料をランセットから検査セクションに移送するために、検査セクションに触れる。有利には、弾性を有するランセットを圧縮されていない状態に戻し、また体液試料を検査セクションに移送するための他の機構は必要ない。検査セクションの位置は、圧縮されていないランセットが検査セクションに係合し、検査セクションに体液試料を移送することを可能にする。
【0089】
図53Aおよび53Bは、ランセットが検査セクションに接触せず、ゆえに検査セクション上の検査用の化学物質が損なわれず、また触れられないままであるように、作動前のランセットを制止する別の技術を概略的に表した図である。図53Aに示されるように、ランセットは、ランセットフレームの下層に寄りかかる湾曲構成にある。一形態において、下層は滅菌シートである。ランセットフレームの下層は、駆動部が破壊するように構成される。切開部を形成し、体液試料を採取した後、ランセットは、ランセットフレームの下層から落下し、その後体液試料をランセットから検査セクションに移送するために、検査セクションに触れる。
【0090】
図54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69および70には、一実施形態による携帯用の計測システム1000が示される。携帯用の計測システム1000は携帯用の血糖検査に関して説明されるが、この計測システム1000は多種多様の生物流体および流体性質を検査するように適合され得ることを理解されたい。図54および55を参照すると、計測システム1000は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126を収容するハウジング1002を含んでいる。図解的には、明瞭さのためにランセットフレーム130のみが計測システム1000中に示されているが、計測システム1000は、ランセットホイール122およびテストリング126に関しても記載される。またこの携帯用の計測システム1000はランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126に関して記載されるが、計測システム1000は上述したカートリッジおよび/またはランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングに適合され得ることを理解されたい。
【0091】
図54および55に示されるように、ハウジング1002はフロントカバー1004、扉1006および基部1008を含んでいる。フロントカバー1004は、検査結果ならびに他の情報を表示するためのディスプレイ1012を有する。計測システム1000は、例えばスピーカなどの他の出力装置も有し得るということを理解されたい。ディスプレイ1012は、計測システム1000がユーザの手に握られる際に、ユーザがディスプレイ1012を容易に見られるように配置される。扉1006はユーザの指先を受け入れるような大きさに形成されたプレッシャーカップ1014を含んでいる。プレッシャーカップ1014は弾性タイプ塑性材料(elastic-type supported plastic material)で作製されており、これにより、以下により詳細に記載するように、ユーザの指の押圧による力を計測システム1000中のリリースアーム1020に移送してランセット124を発射させるためのプレッシャーカップ1014の動作が可能になる。プレッシャーカップ1014は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126を穿刺毎に先に進めるために、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126の上方に配置される。プレッシャーカップ1014は開口部1015を画定し、ランセット124はここから出て皮膚中に切開部を形成する。プレッシャーキャップ1014の後面は、以下により詳細に記載されるように、ランセット124を作動させるためにリリースアーム1020の一対のタブ1021と係合するよう配置される一対のトリガーコンタクトタブ1016を有する。一実施形態において、ドア1006は、計測システム1000の内側へのアクセスを可能にするために、基部1008にヒンジ取り付けされる。それにより、使用済みのランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126は、清潔で新しいランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングと取り替えられる。別の実施形態において、ドア1006は他の機構により基部1008に取り付けられる。
【0092】
携帯用の測定システム1000はリリースアーム1020を含んでいる。リリースアーム1020は、一対のトリガーコンタクトタブ1016に接触するよう構成される一対のタブ1021を有する。リリースアーム1020は、ラッチに係合するよう配置され、そしてそれによりスプリングモータ1050を解放するトリガー1062を含んでいる。携帯用の測定システム1000は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126を穿刺毎に先に進めるために、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126を回転させて互いに作用し合う第1ギヤ1022、第2ギヤ1024および第3ギヤ1026を含んでいる。ギヤ1026は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126が取り付けられているプラットフォーム1028に取り付けられる。第1ギヤ1022は、以下により詳細に記載するように、第2ギヤ1024によって駆動される。ギヤ1022、1024および1026の相互作用により、ギヤ1022の回転動作がギヤ1024および1026を回転させる。
【0093】
携帯用の測定システム1000は、図64および65に示されるように、バッテリ1034を電源とする下側プリント基板1030および上側プリント基板1032を有する。上側プリント基板1032はディスプレイ1012に接続される。また上側プリント基板1032はエッジコネクタ1036を含んでいる。下側プリント基板1030は、エッジコネクタソケットまたはスロット1038を含んでいる。エッジコネクタソケット1038は通常、エッジコネクタ1036などの雄電気コネクタと接続して使用するための雌電気コネクタである。組み立てられると、上側プリント基板1032を下側プリント基板1030に接続するために、エッジコネクタ1036はエッジコネクタソケット1038と結合する。
【0094】
携帯用の測定システム1000は、第4ギヤ1042を駆動するモータ1040を含んでいる。プライミングギヤ1044は、第4ギヤ1042および第5ギヤ1046と接続する。第4ギヤ1042、プライミングギヤ1044および第5ギヤ1046の配置は、モータ1040が、ギヤ1042、1044および1046の回転方向に応じて、少なくとも2つの機能を有することを可能にする。第4ギヤ1042がモータ1040により時計方向に回転する場合には、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126は、以下により詳細に記載されるように、次の穿刺、サンプリングおよび検査のために回転される。また第4ギヤ1042がモータ1040により反時計方向に回転する場合には、スプリングモータ1050は、以下により詳細に示すように、クランクシャフト1070を駆動するように準備され、そしてトリガー後には、穿刺、サンプリングおよび検査をもたらす。
【0095】
図60、61および62に示すように、携帯用の測定システム1000はフォーススプリング1060を含んでいる。携帯用の測定システム1000は、クランクアーム1072に接続されるクランクシャフト1070も含んでいる。図66に示すように、クランクシャフト1070はダンプナーストップタブ1200を有する。クランクアーム1072は、跳ね上げ式リンク1074に枢動可能に接続される。跳ね上げ式リンク1074は、ランセット124に係合する駆動部136に接続される。携帯用の測定システム1000は、第5ギヤ1046を通って延伸するワンウェイクラッチ1080およびウォームドライブ1090を含んでいる。また携帯用の測定システム1000は、第1ベアリングキャップ1092および第2ベアリングキャップ1094を有し、第2ベアリングキャップ1094はハードストップ1096を有する。
【0096】
図63に示すように、携帯用の測定システム1000はフレーム1100を含んでいる。フレーム1100は、モータ1040、クランクシャフト1070、跳ね上げ式リンク1074、ワンウェイクラッチ1080およびウォームドライブ1090を支持する。とりわけ、跳ね上げ式リンク1074はフレーム1100に枢動可能に取り付けられる。フレーム1100は下側のプリント基板1030の隣に配置される。
【0097】
図67、68および69は、携帯用の計測システム1000によるランセット124の作動を示す。図67に示すように、クランクシャフト1070、クランクアーム1072、跳ね上げ式リンク1074、駆動部136およびランセット124は初期位置にある。図67において、クランクアーム1072は0度の位置または切開部形成前の位置にある。ユーザは、開口部1015に対して指を置き、プレッシャーカップ1014を基部1008に向かって押圧する。このプレッシャーカップ1014は、以下のように、ランセット124を作動させるために、指からの力を伝達するプレッシャーカップ1014の動作を可能にするよう構成される。プレッシャーカップ1014は、一対のトリガーコンタクトタブ1016からの力を一対のタブ1021に伝達し、リリースアーム1020を基部1008に向かって移動させるために、リリースアーム1020を押し付ける。リリースアーム1020が移動するにつれて、トリガー1062は、クランクシャフト1070およびクランクアーム1072を駆動するために、ラッチに係合し、スプリングモータ1050を解放する。
【0098】
図68に示すように、クランクシャフト1070は、クランクアーム1072をその初期位置から反時計方向に約90度回転させる。クランクアーム1072はそれに応じて跳ね上げ式リンク1074を時計方向に回転または枢動させる。クランクアーム1072はこのとき90度の位置または切開部形成位置にある。跳ね上げ式リンク1074が回転するにつれて、開口部1015を通してランセットチップ146を回転させて皮膚中に切開部を形成し、体液試料を採取するために、駆動部136も時計方向に回転する。ランセットチップ146は数ミリ秒でユーザの指まで持ち上げられる。一実施形態では、ランセットチップ146はおよそ3〜5ミリ秒で指まで持ち上げられた。クランクシャフト1070の動作は、ランセット124が、次に記載するランセット124の引き抜きに比べて、組織中に迅速に切開部を形成するような「ファストイン(fast-in)」位置をもたらす。
【0099】
図69に示すように、クランクシャフト1070は、クランクアーム1072をその切開部形成位置から反時計方向に約180度回転させる。ダンプナーストップタブ1200は、ランセットチップ146が検査セクション124に接触する最終位置にランセット124をゆっくりと戻すために、フレーム1100と係合する。これは、切開部を形成するランセットに比べて、ランセット124が最終位置にゆっくりと戻る「スローアウト(slow-out)」位置をもたらす。一実施形態においては、ランセットチップ146が切開部を形成するために必要な時間は、ランセットチップ146がその最終位置に戻るために必要な時間よりも、10倍から100倍短い。この時クランクアーム1072はその初期位置から270度の位置にある。この位置で、体液試料は、ランセットチップ146から複数の検査セクション128のうち対応する1つへと移送される。跳ね上げ式リンク1074は、未使用のランセット124への回転およびその後の検査のために、駆動部136をランセットフレーム130の下に下げてランセットフレーム130をクリアする目的で、反時計方向に回転される。
【0100】
クランクシャフト1070は、次に続く穿刺、サンプリングおよび検査のために、クランクアーム1072を体液移送位置から初期位置まで反時計方向に約90度回転させ続ける。
【0101】
図71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84および85には、一実施形態による携帯用の測定システム2000が示される。この測定システム2000および図54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69および70に示される携帯用の測定システム1000で共通する特徴については、簡潔さのために記載しない。図71および73を参照すると、測定システム2000は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126を収容するハウジング2002を含んでいる。明瞭さのために、図解的にはランセットフレーム130のみが計測システム2000中に示されているが、計測システム2000は、ランセットホイール122およびテストリング126に関しても説明される。またこの携帯用の計測システム2000はランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126に関して記載されるが、計測システム2000は上述したカートリッジおよび/またはランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングに適合され得る。測定システム2000は、電子トリガーシステムおよび穿刺深さを調節するシステムを含むが、これに対して測定システム1000はこれらの特徴を有していない。
【0102】
図71に示されるように、ハウジング2002はフロントカバー2004、ドア2006および基部2008を含んでいる。フロントカバー2004は、検査結果ならびに他の情報を表示するためのディスプレイ2012を有する。しかしながら計測システム2000は、例えばスピーカなどの他の出力装置も有し得るということを理解されたい。ドア2006は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126の上に配置される開口部2015を含んでいる。作動に際して、ランセットチップ146は、皮膚中に切開部を形成するために開口部2015を出る。測定システム2000は、穿刺、サンプリングおよび検査をトリガーするプレッシャーカップを有していない。代わりに測定システム2000は、開口部2015を覆って置かれる指または他の体の部位の存在を感知または検知する電力センサ(図示せず)を含んでいる。指の力が開口部2015で検知されると、モータ2040が再び動き始め、以下により詳細に記載するように、穿刺、サンプリングおよび検査を完了させるためにランセット124を発射する。
【0103】
携帯用の測定システム2000は、穿刺のために、複数のランセット124のそれぞれの穿刺深さを調節するホイール2001を含んでいる。ホイール2001は、以下により詳細に記載するように、ランセット124のうち稼動可能なものの1つの穿刺深さを浅い深さ設定または深い深さ設定のいずれかに調節するために回転される。最初にホイール2001は、ランセット124の1つが図73に示すような浅い深さ設定に位置するように、シャフト2200の一端上に取り付けられる。シャフト2200の中央に沿って取り付けられるのは、図72に示すように第1スロット2204を画定する第1レバー2202である。シャフト2200の反対側の端部に取り付けられるのは、第1レバー2202と類似した第2レバー2212である。第2レバー2212は第2スロット2214を画定する。第1ピン2206の第1端部は、第1スロット2204に入るように構成され、ピン2206の第2端部は、第2スロット2214に入るように構成される。浅い深さ設定から深い深さ設定へのホイール2001の回転に応じて第1レバー2202および第2レバー2212が回転されるにしたがって、第1ピン2206は、第1スロット2204および第2スロット2214に沿って乗りかかるか、その中でスライドする。第1ピン2206の真ん中の部分は、中間アーム2230に画定される第1開口部2232を貫通して入るよう構成される。第1レバー2202および第2レバー2212は、深さ設定を「浅い」穿刺または「深い」穿刺のいずれかに設定する第1ピン2206の位置を制御するために、共に機能するか、またはペアとして機能する。
【0104】
図74に示すように、中間アーム2230は、第1開口部2232を画定する上半分部2236を含んでいる。また中間アーム2230は、以下に記載するように、跳ね上げ式リンク2074のスロット2080に入り、このスロット内でスライドする第2ピン2082を含む下半分部2238も含んでいる。
【0105】
跳ね上げ式リンク2074はシャフト2200上に取り付けられる。跳ね上げ式リンク2074は、各ランセット124に係合する駆動部136に取り付けられる。また跳ね上げ式リンク2074は、中間アーム2230の第2ピン2082を受け入れるように構成されるスロット2080を画定する。
【0106】
測定システム2000は、携帯用の測定システム1000とは異なる作動システムも有する。測定システム2000は、クランクシャフト1070と同様のクランクシャフト2070を含んでいる。クランクシャフト2070は、図75および78に示されるように、使用されたランセットの最終位置においてクランクアーム2072に接触するように構成されるストッパ2252を備えるディスク2250を含んでいる。クランクアーム2072はクランクアーム1072に類似しているが、クランクアーム2072の第1端部は、ディスク2250上に回転可能に取り付けられる。クランクアーム2072の第2端部は、中間アーム2230に枢動可能に取り付けられる。図80に示されるように、クランクシャフト2070はダンプナーストップタブ2200を有する。中間アーム2230の第2ピン2082は、跳ね上げ式リンク2074および対応する駆動部136を回転させるために、跳ね上げ式リンク2074のスロット2080でスライドする。クランクシャフト2070、クランクアーム2072、中間アーム2230および跳ね上げ式リンク2074の相互作用については、以下に詳細に記載する。
【0107】
図73に示すように、測定システム2000は、第4ギヤ2042および第5ギヤ2046と接続するプライミングギヤ2044を有する。第4ギヤ2042、プライミングギヤ2044および第5ギヤ2046は、測定システム1000の第4ギヤ1042、プライミングギヤ1044および第5ギヤ1046に類似している。
【0108】
図82、83、84および85に示すように、測定システム2000は電子トリガーシステムを含んでいる。キャッチ2282を有するトリガーカム2280がプライミングギヤ2044に取り付けられる。キャッチリリースピボットシャフト2047はキャッチ2282内部に乗りかかる。このキャッチリリースピボットシャフト2047は、ガイドまたはフォロアピン2284を有する。このフォロアピン2284は、ギヤ2044中のカムグルーブ2286に沿って移動する。
【0109】
携帯用の測定システム2000は、第4ギヤ2042を駆動するモータ2040を含んでいる。モータ1040と同様、モータ2040は、ギヤ2042、2044および2046の回転方向によって少なくとも2つの機能を有する。モータ2040が「オン」にされると、モータ2040は一回転の4分の3を巻回し、その後停止する。指の力が開口部2015上で検知されると、モータ2040は再び動き始め、ランセット124を発射する。
【0110】
測定システム2000はまた、次に記載するように、ランセット124の浅い穿刺深さ設定または深い穿刺深さ設定のいずれかに調整され得る。図73に示すように、第1スロット2204、第1開口部2232および第2スロット2214(図示せず)に配置されるピン2206は、浅い穿刺深さ設定の初期位置にある。図76に示すように、ランセット124のうち稼動可能なものの1つが深い穿刺深さ設定にあることが必要な場合、ホイール2001は回転される。この回転により、取り付けられているシャフト2200が回転し、第1レバー2202および第2レバー2212(図示せず)が枢動する。この枢動により、今度は、第1スロット2204、第1開口部2232および第2スロット2214(図示せず)にあるピン2206が、下方に移動するか、またはクランクアーム2072に向かって移動する。ホイール2001が深い穿刺深さ設定まで回転された後、ピン2206は、跳ね上げ式リンク2074および駆動部136をより長い距離だけ回転させるように配置される。それにより、ランセット124のうち稼動可能なものの1つがより長い距離を移動し、より深い切開部を形成する。
【0111】
図73、74および75は、携帯用の測定システム2000による、ランセット124のうち稼動可能なものの1つの作動を示している。ここでは、測定システム2000は浅い穿刺深さ設定にあり、また第1ピン2206は中間アーム2230の第1開口部2232の上部に配置されている。クランクシャフト2070、クランクアーム2072、中間アーム2072、中間アーム2230、跳ね上げ式リンク2074、駆動部136およびランセット124は、図73に示すように初期位置にある。図73において、クランクアーム2072は0度の位置または切開部形成前の位置にある。ユーザがモータ2040を「オン」にすると、モータ2040は一回転の4分の3を巻回し、その後停止する。ユーザは開口部2015に指を置く。電気センサは指の力を感知し、モータ2040は再び動き始める。スプリング2050は、モータ2040、第4ギヤ2042およびプライミングギヤ2044の相互作用により一周巻回される。キャッチリリースピボットシャフト2047はその後、クランクシャフト2070およびクランクアーム2072を駆動するために、スプリングモータ2050を解放するように作動される。
【0112】
図74に示すように、クランクシャフト2070は、クランクアーム2072をその初期位置から反時計方向に約90度回転させる。クランクアーム2072は、それに応じて中間アーム2230および跳ね上げ式リンク2074を時計方向に回転または枢動させる。中間アーム2230の第2ピン2082は、跳ね上げ式リンク2074のスロット2080の上部位置にあり、それにより、跳ね上げ式リンク2074および対応する駆動部136が駆動部136を開口部2015へ回転させる。クランクアーム2072はこのとき、90度の位置または切開部形成位置にある。跳ね上げ式リンク2074が回転するにつれて、駆動部136も時計方向に回転する。これは、開口部2015を通してランセットチップ146が回転し、皮膚中に切開部を形成し、体液試料を採取するためである。ランセットチップ146は数ミリ秒でユーザの指まで持ち上げられる。一実施形態では、ランセットチップ146はおよそ3〜5ミリ秒で指まで持ち上げられた。クランクシャフト2070の動作は、測定システム1000のクランクシャフト1070と同様に、「ファストイン(fast-in)」位置をもたらす。
【0113】
図75に示すように、クランクシャフト2070は、クランクアーム2072をその切開部形成位置から反時計方向に約180度回転させ続ける。ストッパ2252はクランクアーム2072に接触し、ダンプナーストップタブ2200は、ランセット124が検査セクション128に接触する最終位置にランセット124をゆっくりと戻すために、フレーム2100(図示せず)と係合する。これは測定システム1000と同様の「スローアウト」位置をもたらす。一実施形態においては、ランセットチップ146が切開部を形成するために必要な時間は、ランセットチップ146がその最終位置に戻るために必要な時間よりも、2倍短い。この時クランクアーム2072はその初期位置から270度の位置にある。この最終位置で、体液試料は、ランセットチップ146から複数の検査セクション128のうちの対応する1つへと移送される。図75に示すように、中間アーム2230の第2ピン2082は、跳ね上げ式リンク2074のスロット2080の底にあり、それにより、跳ね上げ式リンク2074および対応する駆動部136がランセットフレーム130の下に駆動部136を回転させる。これは、駆動部136が、未使用のランセット124へのランセットフレーム130の回転および次に続く検査のために、ランセットフレーム130をクリアすることを目的とする。
【0114】
クランクシャフト2070は、次に続く穿刺、サンプリングおよび検査のために、クランクアーム2072を体液移送位置から初期位置まで時計方向に約270度回転させるようにその方向を逆にする。
【0115】
図76、77および78は、携帯用測定システム2000によるランセット124の作動を示し、ここで測定システム2000は深い穿刺深さ設定にある。ホイール2001は回転されるが、これは、第1ピン2206を中間アーム2230の第1開口部2232の底に下げ、そしてランセット124の稼動可能なものの1つのより深い穿刺深さ設定を引き起こすように跳ね上げ式リンク2074および駆動部136を浅い深さ設定を超えて回転させるためである。クランクシャフト2070、クランクアーム2072、中間アーム2230、跳ね上げ式リンク2074、駆動部136およびランセット124は、図73、74および75に関して上述したように作動する。
【0116】
本発明は、図面および上記の記載において詳細に図示および説明されているが、これは例示として考えられるべきであり、文字に限定されるべきではなく、好ましい実施形態だけが示され、また説明され、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内で行われるあらゆる変更、均等物および改良が保護されることが求められるものである。本明細書で引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、それぞれが参照により組み入れられかつその全体が本明細書中に記載されるべく具体的かつ個別に示唆されるように、引用によってここに援用される。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、一体型使い捨てカートリッジに関し、より詳細には、これに限られることはないが、コスト効率のよい方法で製造されるカートリッジに関する。さらに、この一体型のディスポーザブル製品は、液体試料をランセットから検査セクションへと移動させる独自の技術を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
体液の採取および検査は、多くの目的に有用であって、糖尿病などの医療診断および治療における使用、およびその他多様な用途での重要性が高まり続けている。医療分野においては、一般のオペレータが、実験室環境外において、日常的に、迅速に、そして再現可能に検査を行い、短時間で結果が得られ、その得られた検査情報の読み出しができるようにすることが望ましい。検査は様々な体液に対して行うことができ、特定の用途には、とりわけ血液および/または間質液の検査に関する。在宅検査の実施は、特に高齢者や糖尿病患者など、手先の器用さが制限される患者には困難である場合がある。例えば、糖尿病患者は、時々手などの四肢にしびれやうずくような痛みを感じることがあり、これは自己検査を困難なものにする場合がある。というのも、こういった患者はテストストリップを正確に位置合わせして血液試料を採取することができないからである。さらに、糖尿病患者の創傷はより治りにくい傾向があるので、結果として、侵襲性の低い切開部を作ることが望まれている。
【0003】
近年、ランセットが一体化したテストストリップやテストエレメントが開発されており、単一の使い捨て品ユニットを形成するように、テストストリップはランセットや他の穿刺手段と一体化されている。これら一体型のユニットは、いくぶん液体試料の採取および検査を単純化してきたが、市販のユニットが導入されるまでには、まだ解決される必要のある多くの問題がある。多数の使い捨て品ユニットに対するいくつかの問題には、ユニットを単純かつ安価に製造すること、ならびに個々のランセットおよびテストストリップをいずれも傷つけずに市販のユニット内に配置することが含まれる。通常、複数のランセットおよび複数のテストストリップはそれぞれ、市販のユニット内のシールされた区画内に個々に配置される。この工程は時間および費用がかかり、また製造が困難である。さらに、ランセットおよび/またはテストストリップのいくつかが、市販のユニット内に配置される間に損傷する可能性もある。
【0004】
市販のユニット内に配置される多数の使い捨て品ユニットにおける別の問題は、ランセットの初期状態での無菌状態と、その無菌状態を皮膚または組織を穿刺するまで維持することの両方である。理解されるように、ランセットを検査セクションから離れて滅菌することは、市販のユニットの製造工程を簡易化する。例えば、ランセットの分離した滅菌により、検査セクションでの化学的性質が阻害されることがない。ランセットおよび検査セクションが一緒に組み立てられた後は、正確な検査を保証するために、ランセットの無菌状態を皮膚または組織を穿刺するまで維持することが重要である。
【0005】
市販のユニット内に配置される多数の使い捨て品ユニットのさらに別の問題は、ランセットおよびテストストリップの配置である。ランセットおよびテストストリップを適切に配置することは、ランセットからテストストリップへの体液試料の正確な移送を確実なものにする。さらに、ランセットおよびテストストリップの適切な配置は、試料をランセットからテストストリップまで正確に移送させることによって、体液試料の浪費を減少させる。
【0006】
多数の使い捨て品ユニットのユーザの別の問題は、検査に用いられる体液試料のサイズが小さい方が好ましいということであり、好適には1マイクロリットル未満の体積である。通常、少量の体液試料では、要求されるランセットによる穿刺深さが浅く、これは穿刺中のユーザの痛みの程度を和らげる。さらに、テストストリップに移送されるランセットからの体液の浪費量が、最小限または非常に少ないことが望ましい。ランセットからテストストリップに体液を移送する間の体液の不必要な浪費は、不正確な検査結果をもたらしたり、正確な検査結果を得るのにより多くの体液試料が必要になったりする。浅い穿刺深さを有するランセットを用いることによって穿刺中のユーザの痛みの程度を減少させることのできる多数の使い捨て品ユニットに対するニーズがある。さらに、体液のあらゆる浪費を取り除くために、少量の体液試料を効率的にランセットからテストストリップへと移送することのできる多数の使い捨てユニットに対するニーズもある。
【0007】
一体型使い捨てカートリッジ内のランセットの正確な穿刺プロフィールは、適切な量の体液試料が皮膚または組織の穿刺中に採取されることを確実にする。またランセットの正確な穿刺プロフィールは、皮膚または組織の穿刺中に適切な数の毛細血管が切断されることも確実にする。例えば、切断される毛細血管の数が少なすぎると、体液試料は正確な検査結果を得るほど充分な多さではなく、切断される毛細血管の数が多すぎると、過度に多い体液試料が採取され、ユーザは、適当な体液試料を手に入れるのに必要な痛みよりも激しい痛みを経験するおそれがある。これらの問題を解決する試みとして、様々な構成のランセットおよびランセットの刺入の仕方が用いられてきた。そのような構成の1つは、直線的に刺入する略直線状のランセットである。直線的に刺入する直線状のランセットの1つの問題は、ランセットの深い穿刺深さであり、これは結果として、多くの毛細血管が切断され、ユーザの痛みの程度は激しくなる。他の構成は回転式に刺入する湾曲したランセットであるが、これも過度に大きな創傷および液体試料をもたらし、ユーザに不必要な痛みをもたらす。
【0008】
ゆえに、この分野において改善の必要がある。
【発明の概要】
【0009】
一態様は、構成部品をフレーム内にドロップ(drop)させ、または配置することによって組み立てられる一体型カートリッジに関する。この一体型カートリッジは、テストリングがフレーム内に配置された際に、テストリングが複数の検査セクションに区分され得るような、連続する化学ストリップを有するテストリングを含んでいる。この一体型カートリッジは、ランセットリムから内側に向かって放射状に延伸する複数のランセットを備えたランセットリムを有するランセットホイールも含んでいる。各ランセットは、レッグ部と、検査セクションと接触し、この検査セクションに体液試料を付着させるためのコンタクト部と、レッグ部の略直交方向に延伸するランセットチップ部とを有する。一体型カートリッジは、フレーム上へのランセットホイールおよびテストリングのドロップインアセンブリ(drop-in assembly)を容易にし、各ランセットがフレーム内の1つの検査セクションに隣接して配置されるようにテストリングを複数の検査セクションに区分けするために、複数のチャンバを有するエッグクレート形状を有するフレームを含んでいる。
【0010】
別の態様は、一体型使い捨てカートリッジを組み立てる方法に関する。この方法は、ランセットホイールをフレーム上にドロップさせることにより一体型使い捨てカートリッジを組み立てることを含んでいる。このランセットホイールは、放射状に内側に向かって延伸する複数のランセットを備えたリムを有し、フレームは複数のチャンバを画定する複数のスポークを有する。各ランセットは、チャンバの1つに配置される。
【0011】
別の態様は、ランセットで体液試料を自動的に採取し、体液をテストストリップに移送する方法に関する。一体型使い捨てカートリッジは、フレームと、リムから内側に向かって放射状に延伸する複数のランセットを有するランセットホイールと、複数の検査セクションを有するテストリングとを含み、ここで複数のランセットは、複数の検査セクションと接触する。次に、複数の検査セクションから離れる方にランセットを回転させることにより、ランセットの1つにより組織に切開部が形成される。体液試料はランセット上の毛管溝で採取され、ランセットを複数の検査セクションの方へ回転させることにより、ランセットは組織中の切開部から引き抜かれる。ランセット上の毛管溝にある体液試料は、検査セクションをランセットに接触させて体液試料を放出することにより、検査セクションの1つへと移送される。
【0012】
さらに別の態様は、マイクロサンプラーホイールに関する。このマイクロサンプラーホイールは、基部と、複数のランセットと、複数のリブとを含んでいる。複数のリブおよび複数のランセットは、基部から外側に向かって放射状に延伸し、複数のリブおよび複数のランセットは互い違いに配置されている。各ランセットは、皮膚に切開部を形成するよう構成された、湾曲したランセットチップを含んでいる。また各ランセットは、ランセットの回転曲率がランセットチップの曲率と類似するように、基部の周りを回転するように構成される。複数のリブのそれぞれは、ランセットチップの穿刺深さを画定するための基準面として配置される。
【0013】
さらなる形状、目的、特徴、態様、利点、長所および実施形態を、詳細な説明および付随する図面により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一体型使い捨てカートリッジの分解斜視図である。
【図2】図1のカートリッジの上面斜視図である。
【図3】図1のカートリッジに組み込まれるランセットホイールの底面斜視図である。
【図4】図3のランセットホイールの上面図である。
【図5】図3のランセットホイールの側面図である。
【図6】図1のカートリッジの拡大断面図である。
【図7】図1のカートリッジで用いられるフレームの斜視図である。
【図8】ランセットの駆動機構に取り付けられる図1のカートリッジの底面斜視図である。
【図9】図8の機構の断面図である。
【図10】穿刺キャップを組み込む図8の機構の上面斜視図である。
【図11】一体型使い捨てカートリッジを上面から見た際の、一体型使い捨てカートリッジの分解斜視図である。
【図12】図11の一体型使い捨てカートリッジを底面から見た際の一体型使い捨てカートリッジの分解斜視図である。
【図13】図11のカートリッジに組み込まれるランセットホイールおよびテストリングの上面斜視図である。
【図14】図11のカートリッジに組み込まれるランセットホイールおよびテストリングの上面斜視図である。
【図15】図11のカートリッジに組み込まれるランセットホイール、カバーバリヤおよび駆動部の上面斜視図である。
【図16】図11のカートリッジに組み込まれるランセットホイール、カバーバリヤおよび駆動部の上面斜視図である。
【図17】図16のランセットホイール、カバーバリヤおよび駆動部の側面図である。
【図18】閉鎖位置におけるカバーバリヤの上面図である。
【図19】開放位置における図18のカバーバリヤの上面図である。
【図20】別の実施形態によるマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図21】図20のマイクロサンプラーホイールの断面図である。
【図22】テストエレメントを含む図20のマイクロサンプラーホイールの断面図である。
【図23】図22のランセットおよび毛管の部分的な正面図である。
【図24】別の実施形態による、ランセットチップの近くに配置されたテストエレメントを含むマイクロサンプラーホイールの断面図である。
【図25】図24のランセットおよび毛管の部分的な正面図である。
【図26】別の実施形態による、ランセットチップの近くに配置されたテストエレメントを含むマイクロサンプラーホイールの断面図である。
【図27】図26のランセットおよび毛管の部分的な正面図である。
【図28】別の実施形態によるマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図29】図28のマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図30】図28のマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図31】図28のマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図32】図28のマイクロサンプラーホイールの上面斜視図である。
【図33】一体型使い捨てカートリッジを上面から見た際の、一体型使い捨てカートリッジの分解斜視図である。
【図34】図33のカートリッジに組み込まれる、テストリングおよびテストリングのフレームの底面斜視図である。
【図35】図33の一体型使い捨てカートリッジの上面斜視図である。
【図36】図33の一体型使い捨てカートリッジの底面斜視図である。
【図37】図33の一体型使い捨てカートリッジの断面図に組み込まれている駆動部の斜視図である。
【図38】図37の機構の側面図である。
【図39】駆動部が部分的に作動される位置にある、図37の機構の斜視図である。
【図40】駆動部が完全に作動される位置にある、図37の機構の斜視図である。
【図41】他の実施形態によるランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングの上面斜視図である。
【図42】図41の機構の斜視図であって、初期位置にあるランセットを示す。
【図43】図42の機構の斜視図であって、完全に作動される位置にあるランセットを示す。
【図44】図42の機構の斜視図であって、最終位置にあるランセットを示す。
【図45】別の実施形態によるランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングの斜視図であって、初期位置にあるランセットを示す。
【図46】図45の機構の斜視図であって、完全に作動される位置にあるランセットを示す。
【図47】図45の機構の斜視図であって、最終位置にあるランセットを示す。
【図48】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図49】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図50】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図51】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図52】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図53】様々なランセットの作動技術および体液を検査セクションに移送する技術の概略的な説明図である。
【図54】一実施形態による携帯用の測定システムの斜視図である。
【図55】蓋が開いた状態の、図54の機構に取り付けられるランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングの上面図である。
【図56】上面カバーが取り除かれた状態の、図54の機構の上面斜視図である。
【図57】上面および底面カバーが取り除かれた状態の、図56の機構の底面斜視図である。
【図58】下側のプリント基板が取り除かれた状態の、図57の機構の底面斜視図である。
【図59】上側のプリント基板が取り除かれた状態の、図58の機構の部分的な上面斜視図である。
【図60】図59の機構の部分的な上面斜視図である。
【図61】リリースアームが取り除かれた状態の、図60の機構の部分的な上面斜視図である。
【図62】図61の機構の部分的な上面図である。
【図63】図62の機構の部分的な分解底面図である。
【図64】上側のプリント基板、下側のプリント基板およびバッテリの底面斜視図である。
【図65】ディスプレイ、上側のプリント基板、下側のプリント基板およびバッテリの上面斜視図である。
【図66】フレームおよびランセットフレームが取り除かれた状態の、図61の機構の上面斜視図である。
【図67】図59の機構の部分的な上面斜視図である。
【図68】図59の機構の部分的な上面斜視図である。
【図69】図59の機構の部分的な上面斜視図である。
【図70】クランクシャフト、クランク、跳ね上げ式リンク、ダンプナー、スプリングモータ、第4ギヤおよびプライミングギヤの斜視図である。
【図71】一実施形態による携帯用の測定システムの斜視図である。
【図72】開始位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれている、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図73】浅い穿刺深さ設定の開始位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図74】浅い穿刺深さ設定の完全に延伸した位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図75】浅い穿刺深さ設定の最終位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図76】深い穿刺深さ設定の開始位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図77】深い穿刺深さ設定の完全に延伸した位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図78】深い穿刺深さ設定の最終位置において上面カバーおよび底面カバーが取り除かれた状態の、図71の機構の部分的な上面斜視図である。
【図79】図76の機構の部分的な上面斜視図である。
【図80】底面カバーを備える図73の機構の部分的な上面斜視図である。
【図81】底面カバーを備える図76の機構の部分的な上面斜視図である。
【図82】トリガーシステムの斜視図である。
【図83】図82の機構の斜視図である。
【図84】図82の機構の斜視図である。
【図85】図82の機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の原理の理解を促す目的で、図面に示される実施形態を参照し、この実施形態を説明するために特定の用語が用いられる。しかしながら、それにより発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。記載される実施形態のあらゆる置換および更なる変更、およびここに記載される本発明の原理のさらなる応用は、本発明が関係する分野の当業者には通常想起し得ると予期される。本発明の一実施形態が極めて詳細に示されているが、本発明に関連のないいくつかの特徴が明瞭さのために示されない場合もあるということは関連技術の当業者に明らかである。
【0016】
上、下、または上面や底面などの、詳細な説明における図面に関する方向についての言及は、記載の利便性を意図したものであって、これ自体は本発明を限定せず、また、部品のいずれかを特定の位置または空間方向に限定しない。
【0017】
第1の実施形態は、独自の一体型使い捨てカートリッジまたはディスク、およびこのカートリッジまたはディスクを安価に製造する技術に関し、これはそのデザインによるものである。この独自のカートリッジは、独自の「ドロップイン(drop-in)」または「モジュール(modular)」デザインを利用しており、このデザインは、ランセットホイール上の複数のランセットをディスク状フレームの試料チャンバに配列させることができる。この独自のドロップインデザインにより、複数のランセットの個別の整列および配置が必要なくなる。試料チャンバがテストリング上に複数のテストエレメントを形成するように、テストリングもフレーム上に配置される。理解されるように、ランセットホイール、フレームおよびテストリングは別々に製造され、一体型使い捨てカートリッジを形成するために組み立てられる。ある形態では、ランセットホイール、フレームおよびテストリングは、カートリッジの組み立て後に滅菌される。また別の形態では、ランセットホイール、フレームおよびテストリングは個別に滅菌される。カートリッジの外側に配置される1つまたはそれ以上のシール箔またはシールシートは、皮膚または組織を穿刺する前の、ランセットの無菌状態およびテストエレメントの湿度を維持する。カートリッジは、皮膚または他の組織を穿刺した後の使用済みのランセットと意図せず他人が接触することを防止する。カートリッジは、皮膚または組織を穿刺する前における各テストエレメント上の化学物質の湿度を維持するために、個別の分離したチャンバを含んでいる。独自のランセット形状およびテストエレメントのフレーム上への配置は、穿刺およびサンプリングサイクルが生じた後直ちに、ランセットの毛管からテストエレメントへの体液試料の自動的な移送を可能にする。体液試料の自動的な移送は、体液試料の穿刺、サンプリングおよび検査の「1工程(one step)」操作を可能にする。さらにこのランセットは、例えば0.1マイクロリットル未満の少ない体積の体液を採取し、多くの液体を損失することなくこの少量の体液を分析用の検査セクションへと移送するように構成される。理解されるように、一工程の操作ならびにカートリッジおよび関連する計測器のサイズの小ささは、ユーザに対し、簡単に持ち運びできる利便性を与える。
【0018】
第2の実施形態も独自の一体型使い捨てカートリッジまたはディスク、およびこのカートリッジまたはディスクを安価に製造する技術に関する。この実施形態におけるカートリッジは、独自のランセットホイールのデザインを利用し、このデザインは複数のリブと互い違いに配置されている複数のマイクロニードルまたはランセットを含んでいる。このカートリッジは、複数のランセットに隣接して配置される複数のテストエレメントを有するテストエレメントディスクを含んでいる。ランセットホイールおよびテストエレメントディスクは、別々に製造され、カートリッジを形成するために組み立てられる。ランセットホイールおよびテストエレメントディスクは一緒に、個々の穿刺および検査を複数定める。ランセットは、独自の備え付けのバネ形状を有し、ランセットチップは、穿刺中にわずかな円形の経路を形成する。この独自のランセット形状は、ランセットが、皮膚または組織の穿刺後に、切開前の元の位置へと跳ね返るか、または戻るようにしている。さらに、複数のランセットのそれぞれは湾曲したランセットチップを含んでおり、その湾曲は、ランセットの穿刺サイクル中の曲げおよび引き抜き時のランセットチップによってたどられる円形の経路の曲率と対応している。湾曲した軌道経路と合致するランセットの湾曲形状は、ほとんどの穿刺システムで一般的である直線動作を再現する。穿刺および引き抜きの間、ランセットチップに円形の経路をたどらせる駆動機構は、ランセットアームの半径長さの自然な屈曲または曲がりをもたらし、使い捨てカートリッジのデザインおよび製造の簡素化を促進する。理解されるように、汚染されたランセットが切開前の位置または曲がっていない位置に戻ることにより、他人が、使用済みのランセットで誤って汚染されることを防ぐ。ランセットチップはそれぞれ、毛管作用により体液を採取するような大きさに形成されたマイクロキャピラリーを含んでいる。キャピラリーは、ランセットチップの前面または後面に配置され、ランセットチップからランセットに沿って様々な長さに延ばすことができる。ランセットチップがその切開前位置に戻ったときに、キャピラリー中の体液試料がキャピラリーからテストエレメントへと移送されるように、複数のテストエレメントはランセット上のキャピラリーに隣接して配置される。
【0019】
一実施形態によるカートリッジ20を図1および2に示す。このカートリッジ20は、皮膚を穿刺して切開部を形成し、この切開部から体液試料を採集し、この体液試料を分析し、そして次の穿刺のために位置決め(インデックス(index))されるように構成されている。カートリッジ20は、複数のランセットおよび複数のテストエレメントの滅菌環境を形成し、皮膚または組織の穿刺前の複数のテストエレメントのそれぞれに対して独立して、化学物質の湿度を低く維持する。カートリッジ20の個々の要素または組立部品は、別々に製造されてから最終形態に組み立てられる。例えば一実施形態では、カートリッジ20は、カートリッジ20を形成するために5つまたは6つの部品を組み立てることによって、25またはそれ以上の穿刺および検査モジュールを含む。さらに、体液試料をランセットからテストストリップへと移送するのに必要なユーザのインプットは必要なく、これはカートリッジ20が、皮膚に切開部が形成された後自動的にこのタスクを行うからである。計測器の汚染および/またはカートリッジ20に収容される個々のランセットとテストエレメントとの間のクロスコンタミネーションを防ぐために、カートリッジ20は、穿刺および検査後の使用済みのランセットおよびテストエレメントを保管する。図示されるように、カートリッジ20はディスク形状または円形をしているが、その形状が、カートリッジ20の回転による位置決めを可能にし、また計測器中に保管される際のカートリッジ20の大きさを最小化する。カートリッジ20は、他の実施形態では異なる全体の形状を有し得るということを理解されたい。例えば、二、三例を挙げると、カートリッジ20は長円形、正方形または長方形でもよい。
【0020】
カートリッジ20は、皮膚を穿刺し体液試料を採集する複数のランセット24を有するランセットホイール22と、一続きの検査セクションを有するテストリング26とを含んでおり、検査セクションは、テストリング26がフレーム30に組み込まれると体液試料を分析するために、複数の検査セクション28に分割されている。またカートリッジ20は、滅菌状態で個々のランセット24を保管する複数のチャンバまたは区画32を画定するフレーム30を含んでいる。以下により詳細に記載するが、カートリッジ20は、個々のランセット24をシールする、破ることができる無菌シート40を含み得る。複数のチャンバ32は、各検査セクション28を個々のランセット24に位置合わせする。フレーム30はエッグクレートデザインに似ており、このデザインは、複数の区画32内へのランセットホイール22のドロップインまたはモジュールデザインにより、ランセットホイール22のフレーム30への迅速な組み立てを可能にする。また、フレーム30は、駆動部36を受け入れる大きさに形成された複数の開口部34を画定する。チャンバ32のそれぞれは、フレーム30上の開口部34の1つと一直線になる。この駆動部36は、皮膚に切開部を形成するため、ランセット24と係合してランセット24を移動させることができるように、開口部34の1つを通って対応するチャンバ32の1つの中へと延伸する大きさに形成され、構成される。この駆動部36は、機能において半自動または全自動であって、以下に記載する位置決めおよび/または作動システムの一部であってもよい。駆動部36は、以下に記載するように、開口部34を覆って配置される第2滅菌シート40を貫通するよう、鋭いまたは先のとがった端部を含んでいる。カートリッジ20は、フレーム30の複数のチャンバ32の片側を被覆およびシールするように配置される第1滅菌シート38を含んでいる。またカートリッジ20は、フレーム30の複数の開口部34を被覆およびシールするように配置され、破ることができる第2無菌シート40も含んでいる。テストリング26は、フレーム30の複数のチャンバ32の残りの面を被覆およびシールするよう構成される。複数のチャンバ32および複数の開口部34を覆う第1滅菌シート38、第2滅菌シート40およびテストリング26の組み合わせは、複数のランセット24の無菌状態を維持し、また複数の検査セクション28がさらされる湿度を制御する。第1滅菌シート38および第2滅菌シート40の材料の例には、プラスティック、金属、紙および/または他の材料が含まれる。一実施形態では、第1滅菌シート38および第2滅菌シート40はそれぞれ、12マイクロメートル未満の厚さを有するアルミニウム被覆ポリエチレンテレフタレートで作製される。さらにこの実施形態では、テストリング26は125マイクロメートル未満の厚さを有するポリエチレン被覆ポリエチレンテレフタレートで作製される。理解されるように、第1滅菌シート38、第2滅菌シート40およびテストリング26は他の材料でも製造され得る。
【0021】
図3、4、5および6に示されるように、ランセットホイール22は、ランセットリム23から径方向内側に向かって延びる複数のランセット24を有するランセットリム23を含んでいる。すなわち、複数のランセット24は、ランセットリム23からランセットホイール22の中心に向かって延びている。
【0022】
ランセット24はそれぞれ、フレキシブルなレッグ部42、コンタクト部44およびランセットチップ46を有する。レッグ部42は略直線であるが、他の形態では湾曲または屈曲していてもよく、またはバネ状のリンクを設けるようにデザインされてもよい。レッグ部42は、ランセットリム23からコンタクト部44へと延びる。コンタクト部44は、図6に示されるように、レッグ部42とランセットチップ46との間に第1角度θを形成する。一実施形態では、この第1角度θは約90°の角度である。また別の実施形態では、この第1角度は0〜270°までの別の角度であってもよい。ランセット24は、コンタクト部44が1つの検査セクション28と接触するよう配置されるように構成される。レッグ部42は、以下により詳細に記載するように、フレーム30のウォール50の端縁と第2角度βを形成する。図6に示されるように、第2角度βは鋭角である。
【0023】
ランセットチップ46は、毛管作用により体液試料を引き上げ、体液試料を採取するような大きさに形成される毛管溝48を画定する。一実施形態においてこの毛管溝48は、溝48の毛管作用を強めるために親水性の材料でコーティングされる。毛管溝48は、ランセットチップ46の前面または背面のどちらかに設けることができる。毛管溝48は開放型でも閉鎖型でもよく、また体液試料を引き上げる開放型と閉鎖型が組み合わされた毛管であってもよい。通常、毛管溝48はランセットチップ46の内側の面上に配置され、開放型の毛管である。理解されるように、開放型の毛管は容易に形成され得ることから製造し易い。例えば、開放型の毛管は、ランセットチップ46の表面をエッチングし、開放型の毛管を作り出すために材料を取り除くことによって形成され得る。さらに開放型の毛管溝は、切開部の下の皮膚表面の真下から引き抜かれる体液を採取する。コンタクト部44が検査セクション28に接触すると、検査セクション28への流体接続によって、毛管溝に収容されている体液試料が放出されるように、毛管溝48はランセットチップ46からコンタクト部44内へと延びている。複数のランセット24中の毛管溝48は、スタンピング、エッチング、カービングまたは他の技術を含むこれらの組み合わせによって製造されてもよい。
【0024】
複数のランセット24を有するランセットホイール22は、例えば金属、プラスティック、または他の物質を含むこれらの組み合わせなどの、単一の材料により製造され得る。一実施形態においてランセットホイール22は、金属プレートをエッチング、スタンピング、またはレーザー切断し、複数のランセット24を露出させるためにこの金属プレートの一部を取り除くことによって形成される。毛管溝48は、毛管溝48を露出させるために複数のランセットチップ46をエッチング、レーザー切断または形成することによって、複数のランセット24の形成と同時に、またはランセット24の形成に続いて形成される。ランセット24はそれぞれ、第1角度θを形成するためにコンタクト部44の箇所で曲げられ、また第2角度βを形成するためにリム23の箇所で曲げられる。複数のランセット24はそれぞれ、ランセットホイール22のリム23から中心へと延びる。別の実施形態では、ランセットホイール22は複数のランセット24をリム23に取り付けることによって製造され得る。しかし他の実施形態では、ランセットホイール22は他の製造技術によって形成されることを理解されたい。
【0025】
上述し、図1に示したように、テストリング26は、切開部から血液、間質液、および他の流体などの体液または生物学的流体を検査するための複数の検査セクション28を含んでいる。図1および2の検査セクション28は光学的テストストリップに関して記載されるが、検査セクション28は、二、三例を挙げると、アンペロメトリー(電流検出、amperometry)、クーロメトリー(電量測定、coulometry)または反射率光度測定(reflectance photometry)などの、他の方法でも体液試料を分析できることが認識されるべきである。認識されるように、光学的テストストリップは電荷結合素子(CCD)および/またはカラーキャプチャー(color-capture)素子を介して分析でき、検査結果を表示するためにヒストグラムリーダーを用いることができる。
【0026】
図示される実施形態において、複数の検査セクション28は、フィルムに取り付けられるか塗布される化学物質のひと続きのストリップまたはリングの形状である。図1では、テストリング26は、個々の検査セクション28を区別するためにそこに印刷されるインデックスライン29を含むが、他の実施形態においてこのインデックスライン29は任意のものである。各検査セクション28はチャンバ32の1つに配置され、1つのランセット24のコンタクト部44に隣接して、および/または接触して配置される。穿刺および検査の前の、ランセット24のコンタクト部44と検査セクション28との間の抵抗または摩擦は、検査セクション28上の化学物質を損傷し、体液試料の分析に影響するおそれがある。この実施形態においては、複数の検査セクション28上の化学物質を保護するために、また穿刺および検査前における、ランセット24のコンタクト部44と複数の検査セクション28上の化学物質との抵抗または摩擦によって検査の誤りが生じることを防ぐために、複数の検査セクション28は薄い溶解性の層を含んでいる。この薄い溶解性の層は、穿刺および検査の間、化学物質と相互作用したり、体液試料の分析結果に影響したりしない。また別の実施形態では、各検査セクション28はコンタクト部44に接触せず、代わりに、コンタクト部44を検査セクション28から離して上昇させるために、ランセット24と検査セクション28との間に壊すことができるタブ49が配置される。この壊すことができるタブ49は、駆動部36がランセット24のレッグ部42と係合するまで所定の位置にとどまる。テストリング26は、フレーム30の片面およびそれに対応する側の複数のチャンバ32の面を被覆およびシールするように構成される。一実施形態においてテストリング26は、複数の検査セクション28にとって好都合な形式で、化学物質ロット(chemistry lot)の較正に関する情報を格納するバーコードまたは電波による個体識別(RFID)チップにコード化される化学物質ロットを含んでいる。
【0027】
図1、2および7に示されるように、フレーム30は複数のチャンバ32を画定するように構成される複数のスポークまたはウォール50を含み、各チャンバ32は、ランセット24の1つを収容するような大きさに形成される。複数のウォール50は複数のランセット24を分離し、複数のランセット24の無菌状態を維持する。さらに、ランセット24はチャンバ32内の切開部形成前の元の位置に戻るので、複数のウォール50は、使用済みランセットと使用前(滅菌)ランセットとの間での接触を防ぐことにより、滅菌ランセット24の汚染を防ぐ。フレーム30は円形状で、各チャンバ32は台形またはくさび状である。一形態では、フレーム30の直径は約38ミリメートル、高さは3〜5ミリメートルで、25個のランセット24および25個の検査セクション28を保管するために25個のチャンバを含む。また別の形態では、フレーム30およびチャンバ32は別の形状に成形されてもよい。例えば、フレーム30および/またはチャンバ32は、長方形、楕円形、および/または三角形の形状を有していてもよい。
【0028】
図2および7に示されるように、フレーム30は、フレーム30の中心近くに配置される複数のインターナルギヤ52も有する。インターナルギヤ52はそれぞれチャンバ32の1つの近くに配置される。ギヤ52をチャンバ32に隣接して配置することにより、スピンドルまたはその他の係合機構がギヤ52と噛み合い、フレーム30を回転させて次のチャンバ32および対応する開口部34を駆動部36と直線上に配置することができる。このギヤ52は、フレーム30上の別の位置に配置されてもよく、またギヤ52は、他の実施形態において他の回転機構と係合するように異なって構成されてもよい。複数のインターナルギヤ52のそれぞれは三角形であるが、他の実施形態ではこの複数のインターナルギヤ52が別の形状に成形されてもよい。例えば、複数のインターナルギヤ52は、円形、長方形、および/または楕円形の形状を有し得る。また別の例では、複数のインターナルギヤ52は、以下で述べるように、カートリッジ20を計測器66に挿入するための唯一の方向を提供するように、カートリッジ20の位置決めを行う。
【0029】
フレーム30はさらに、図2および7に示すように、外側にフレームリム53を、内側にハブ54を含んでいる。フレームリム53は、各開口部34がチャンバ32の1つと対応するように、複数の開口部34を画定する。各開口部34は円形だが、他の実施形態において開口部34は異なる形状に成形されてもよい。例えば各開口部34は、二、三例を挙げれば、長円形、楕円形、および/または長方形を有する。また別の例では、フレーム30のより容易な成形を可能にするために、各開口部34がフレーム30の底部に向かって開放している。さらに、各開口部34は、駆動部36を受け入れるような大きさに形成される。ハブ54は、フレーム30をスピンドルまたは他の回転可能な機構の上に取り付けるために、円形の形状を有する。このハブ54は、他の実施形態において異なる形状に成形され得る。
【0030】
一実施形態において、フレーム30は、ディスク形状のフレームに射出成形される、乾燥剤が充填されたプラスティックから構成される。また別の実施形態においては、フレーム30は例えば、金属、木材、セラミック、プラスティック、他の材料、および/またはそれらの合成物で作製され得る。また別の実施形態においてフレーム30は、チャンバ32のそれぞれに加えられる別々の乾燥剤のくさび(desiccant wedge)または乾燥剤の顆粒(desiccant granules)を含んでいる。さらに、フレーム30は、接着、溶着または他の取り付け機構によって複数のウォール50および複数のインターナルギヤ52をハブ54に取り付けるなど、他の技術からも構成できる。一形態においてフレーム30は、インライン電子ビーム(e−ビーム)による滅菌工程を用いて滅菌される。またフレーム30は、ガンマ線や紫外線による滅菌技術など、他の方法でも滅菌され得る。さらにフレーム30は、様々な組み立て段階のいずれの段階でも滅菌され得る。
【0031】
図8、9および10に示されるように、カートリッジ20は計測器66に装着される。この計測器66は、体液試料の分析結果を表示するように構成され得る。またこの計測器66は、作動機構60を含んでいる。一実施形態において作動機構60は、ランセット24の1つに係合する駆動部36に係合し、またこれを移動させる。また別の実施形態において作動機構60は、未使用のランセット24の開口部34に隣接して駆動部36を配置するために、フレーム30の位置決めを行う。理解されるように、一実施形態において作動機構60は、駆動部36に係合し、またこれを移動させ、さらにフレーム30の位置決めを行う。計測器66は完全には図示されていないが、計測器66はカートリッジ20、駆動部36および作動機構60を覆い囲むことが理解される。計測器66は、二、三例を挙げれば、長方形、三角形、円形および/または長円形など、様々な形状であってもよい。計測器66はプラスティック、金属および/または他の材料など、様々な材料で作製され得る。
【0032】
図10に示される実施形態では、計測器66は穿刺中に切開部に押し付けられる穿刺キャップ62を含んでいる。穿刺キャップ62は、切開位置開口部64を画定する。理解されるように、ユーザは、穿刺されるべき適切な体の部位を切開位置開口部64の上に置き、ランセットチップ46は、切開位置開口部64を通過してユーザに切開部を形成する。穿刺キャップ62はテーパーした円形形状を形成するが、他の実施形態では異なる形状に成形され得る。例えば、穿刺キャップ62はピラミッド形、U字形、卵形、円形またはその他の形状でもよい。切開位置開口部64も円形であるが、他の実施形態では異なる形状に成形され得る。穿刺キャップ64はプラスティック、金属、および/または他の材料など、様々な材料で作製され得る。一実施形態において穿刺キャップ62は、ランセットチップ46の穿刺深さを調整するように構成される。一例では、穿刺キャップ62は計測器66にねじ込まれる。このねじ込み係合は、穿刺キャップ62が、ランセットチップ46の穿刺深さを制御するために、計測器66に対して移動することを可能にする。
【0033】
別の実施形態において、穿刺キャップ62は、穿刺を開始するのにユーザにとって必要な力を検知するように構成される。また穿刺キャップ62は、この穿刺キャップ62を通して皮膚のたわみを公知の変動または深さに制御できる。さらに、穿刺の深さは、ランセット24を係合するための駆動部36の移動量によって制御でき、その駆動部36の動作範囲はユーザによって設定される。また、この駆動部36は、可撓性のレッグ部42を昇降させるために、線形半径方向動作、偏心形状を伴う回転動作または傾斜(tipping)動作を行ってもよい。
【0034】
カートリッジ20を使用するために、ユーザは、穿刺されるべき体の部位、最も一般的には指を切開位置開口部64の上に置く。駆動部36は、第2滅菌シート40を貫通し、対応する開口部34を通過し、チャンバ32に入るように作動される。駆動部36はチャンバ32の中へと移動し続け、稼動可能なランセット24のレッグ部42に係合する。駆動部36がレッグ部42に係合すると、駆動部36は、ランセットチップ46をフレーム30に直交する方向に移動させるためにレッグ部42に力を加える。ランセットチップ46が移動するにつれて、ランセットチップ46は第1滅菌シート38を貫通し、切開位置開口部64の上に置かれたユーザの皮膚に貫入し続ける。一実施形態では、ランセットチップ46が切開部を形成すると、切開部からの体液試料は毛管作用により毛管溝48に沿ってコンタクト部44に向かって移動し、毛管溝48は、ランセットチップ46がユーザの皮膚中にある間切開部から体液試料を採取する。駆動部36は最大の延伸位置に到達した後停止し、進行方向を逆にする。駆動部36が進行方向を逆にすると、レッグ部42に加えられる力は減少し、ランセットチップ46は切開部から引き抜かれる。また別の実施形態において、毛管溝48は次に記載するように、ランセットチップ46がチャンバ32中の元の位置に戻っていく間、体液試料を採取する。ランセットチップ46がチャンバ32中の元の位置に戻るまでに毛管溝48を充填するのに充分な時間をランセットチップ46に与えるために、駆動部36が進行方向を逆にしている間、その動作は減速されてもよい。各ランセット24の弾性を有する性質により、ランセットチップ46は自らチャンバ32中の元の位置へと跳ね返る。一実施形態では、ランセットチップ46によって形成される切開部が、正確な検査結果を得るのに充分な量の体液試料を提供するには深さが浅すぎる場合、上述するようにランセットチップ46は、作動機構60がフレーム30を回転する前に、皮膚に第2切開部を形成できる。その最終的なレスト位置において、稼動可能なランセット24のコンタクト部44は検査セクション28に接触し、体液試料は、ランセット24のコンタクト部44と検査セクション28上の化学物質との間の優先的な毛管現象によって、毛管溝48から検査セクション28上へと放出される。ランセット24は、コンタクト部44が検査セクション28に寄りかかっている状態で、最終的なレスト位置にとどまる。次の検査のために、作動機構60はインターナルギヤ52または他の位置決め機構を介してフレーム30を回転させる。作動機構60は、次の対応する開口部34および次の未使用の滅菌ランセット24を駆動部36と揃えるために、駆動部36を引き抜き、フレーム30を回転させる。
【0035】
一実施形態によるカートリッジ120は、図11、12、13、14、15、16、17、18および19に示される。カートリッジ120はカートリッジ20と類似しており、ゆえに簡潔さのために、カートリッジ20と類似しているカートリッジ120の特徴については記載しない。カートリッジ20と同様に、カートリッジ120はフレーム130の複数のチャンバ132の片面を被覆およびシールするために配置される第1滅菌シート138を含んでいる。しかしながら、カートリッジ120は、複数の開口部134および複数のチャンバ132のもう一方の面を被覆およびシールするために配置される第2滅菌シート140を含んでいる。別の形態では、テストリング126および第2滅菌シート140が、複数のチャンバ132の同一面を被覆およびシールするように構成される。一実施形態では、第2滅菌シート140は25マイクロメートルの厚みを有するアルミニウム箔で作製され、この第2滅菌シート140は各チャンバ132を別々にシールするためにフレーム130を覆ってヒートシールされる。
【0036】
ランセットホイール122はランセットホイール22に類似している。ランセットホイール22と同様に、ランセットホイール122は、ランセットリム123から内側に向かって放射状に延伸する複数のランセット124を有するランセットリム123を含んでいる。ランセットホイール22と同様に、各ランセット124は可撓性のレッグ部142、コンタクト部144およびランセットチップ146を含んでいる。しかしながら、各ランセット124のコンタクト部144は湾曲しており、ランセット124がレスト位置にある際にはカバーバリヤ156上でレストするような大きさに形成される。さらにコンタクト部144は、以下に記載されるように、ランセットが作動されるとカバーバリヤ156のウィンドウ157に入る。可撓性のレッグ部142のバネ力は、ランセット124が駆動部136によって作動されるまで検査セクション128にカバーバリヤ156を押し付けるために、カバーバリヤ156に力を加える。各ランセット124は、以下により詳細に記載するように、駆動部136を受け入れるような大きさに形成されるスロット147も画定する。ランセットチップ46と同様に、ランセットチップ146は毛管溝148を画定する。
【0037】
テストリング126はテストリング26と似ているが、複数の検査セクション128は、フィルムに取り付けられるか塗布される化学物質のひと続きのリングの形状である。一形態において化学物質の塗布は、250マイクロメートルの厚さを有するポリエチレンテレフタレートで作製されたフィルムに行われる。テストリング126は第2滅菌シート140に取り付けられる。図13および14に示されるように、複数のウィンドウ157を画定する複数のカバーバリヤ156は、複数のランセット124のコンタクト部144の下のテストリング126上に配置される。複数のカバーバリヤ156は、ランセット124の作動前のテストリング126とランセット124との接触を取り除くことによって、テストリング126上の化学物質を保護および被覆する。さらに、各カバーバリヤ156は、複数のインデックスライン129により画定される検査セクション128の1つを被覆するように構成される。ランセット124が駆動部136によって作動されると、駆動部136はランセット124のスロット147を通ってスライドし、またカバーバリヤ156と係合し、検査セクション128を横切ってカバーバリヤ156を押し込み、これによりウィンドウ157をフレームウィンドウ161(以下に記載)および検査セクション128の上に配置する。記載されている実施形態において駆動部136は、乾燥材で作製された対応するウェッジ159の下にカバーバリヤ156を押し込む。ランセット124は、上述したように、ランセット24と同様に皮膚に切開部を形成し体液試料を採取する。ランセット124が切開部を形成し体液試料を採取した後、コンタクト部144は、ウィンドウ157およびフレームウィンドウ161(以下に記載)を通して検査セクション128に接触し、体液試料を検査セクション128上に配置する。
【0038】
記載される実施形態において、カートリッジ120は乾燥力のある材料で作製されたウェッジ159を複数含んでいる。各ウェッジ159はランセットチップ146に隣接するフレーム130の各チャンバ132に配置される。
【0039】
フレーム130はフレーム30に類似している。フレーム130は、複数のチャンバ132を画定する複数のウォール150を含んでいる。またフレーム130は、複数の開口部134を画定する上側リム153を含んでいる。各開口部134は、対応するチャンバ132と接続される。理解されるように、各開口部134がチャンバ132の1つと接続されているのでフレーム130の製造が単純化される。記載される実施形態では、各開口部134は半円形状を有しているが、他の実施形態において開口部134は異なる形状に成形される。フレーム130はさらに、ランセット124のコンタクト部144と検査セクション128との間の接触を可能にするために、複数のフレームウィンドウ161を画定する下側リム155を含み、ここでコンタクト部144からの体液試料は、ウィンドウ157およびフレームウィンドウ161を通って検査セクション128に移送される。記載される実施形態において、下側リム155は略平面であって、また別の実施形態では、下側リム155は湾曲している。
【0040】
この実施形態では、フレーム130はポリプロピレンで作製され、射出成形技術によって構築されている。他の実施形態では、フレーム130は上述のように、他の材料および他の技術により作製される。
【0041】
またフレーム130はインターナルギヤ52と同様の、複数のインターナルギヤ152を含んでいる。フレーム130はさらに、フレーム130の内側または中心にハブ154を含み、このハブ154はハブ54と類似している。
【0042】
前に示したように、一体型使い捨てカートリッジまたはディスクの第2の実施形態は、マイクロサンプラーホイール200と、テストリングまたは複数の検査セクション210とを含んでいる。理解されるように、マイクロサンプラーホイール200上のランセットおよび複数の検査セクション210は、以下に記載されるように、交互になるように向いている。マイクロサンプラーホイール200の一実施形態は、図20および21に示される。マイクロサンプラーホイール200は、切開部を形成しその切開部から体液試料を採取するために、皮膚を穿刺する。体液試料はマイクロサンプラーホイール200から、体液試料が分析される複数の検査セクション210の1つに移送される。
【0043】
このマイクロサンプラーホイール200は、複数のマイクロニードルまたはランセット204と互い違いに配置されている複数のリブ202を含んでいる。またマイクロサンプラーホイール200は、複数のリブ202および複数のランセット204がそこから延伸している基部206と、皮膚に切開部を形成するために複数のランセット204のそれぞれを駆動するよう構成される第1シリンダ208とを含んでいる。
【0044】
各リブ202は、以下に記載するように、隣接するランセット204がランセットチップ226の穿刺深さを決定するためのガイドまたは基準面としての機能を果たす。複数のリブ202はそれぞれ台形形状であるが、他の実施形態においてこの複数のリブ202のそれぞれは、二、三例を挙げれば、多角形や長円形など異なる形状に成形されてもよい。さらに、複数のリブ202のそれぞれは略平面であって、これはマイクロサンプラーホイール200が全体としてコンパクトな形状を形成することを有利に可能にする。また、リブ202のそれぞれは、対応するランセットチップ226の穿刺深さが決定され得る基準面または表面としての機能を果たす。
【0045】
各ランセット204は、基部206から第1レッグ部材222に向かって延伸するレッグ部220を含んでいる。第1レッグ部材222は、各ランセット204のレッグ部220と第2レッグ部材224との間にわたって延びる。また第2レッグ部材224は、各ランセット204の第1レッグ部材222とランセットチップ226との間にわたって延びる。図21に示されるように、レッグ部220は基部206から延伸し、基部206と第1角度αを形成する。第1角度αは鋭角である。レッグ部220は略直線状である。また第1レッグ部材222はレッグ部220と第2角度δを形成し、この第2角度δは図示されるように鈍角である。第1レッグ部材222は略直線状である。第2レッグ部材224はランセットチップ226と第3角度γを形成し、この第3角度γは鈍角である。第2レッグ部材224は略直線状であるが、他の実施形態において第1レッグ部材222および/または第2レッグ部材224は湾曲する。
【0046】
図21に示されるように、ランセットチップ226は湾曲している。ランセットチップ226の曲率は、ランセット204の作動および引き抜き中にランセット204が通る環状通路の半径に対応する。さらに、ランセットチップ226の曲率は、ランセットチップ226がユーザの皮膚に切開部を形成し、その後ユーザの皮膚から引き抜かれる際の、ランセット204の動作の曲率に対応する。また他の実施形態においてランセットチップ226は直線状である。
【0047】
各ランセット204は、毛管作用により切開部または皮膚表面から体液を引き抜くような大きさに形成される毛管溝228も含んでいる。一実施形態においてこの毛管溝228は、体液を毛管溝228に沿って第2レッグ部材224に向かって引き抜くために、親水性の被覆物を含んでいる。毛管溝228は、図22および23に示すように、ランセットチップ226から第2レッグ部材224まで延伸する。いくつかの実施形態においてこの毛管溝228は、ランセットチップ226から第2レッグ部材224および第1レッグ部材222にも延伸する。図22および23に示されるように、毛管溝228はランセットチップ226の前面側に配置される。また他の実施形態において毛管溝228は、検査セクション210の配置に応じて、ランセットチップ226の前面側または後面側に配置されてもよい。ランセットチップ226の前面側は、基部206から最も離れたランセット204の面に相当する。ランセットチップ226の後面側は、基部206に最も近いランセットチップ226の面に相当する。
【0048】
図23に示されるように、毛管溝228は、毛管作用により体液試料を採取するために、開放したサンプリングチャネルを形成する。また別の実施形態において、毛管溝228は取り囲まれている。理解されるように、取り囲まれた毛管またはチャネルと比較して、開放した毛管溝228は、ランセット204がエッチング工程でより容易に製造され得るという点で利点を有する。ランセット204中に毛管溝228を形成する他の例には、開放した毛管溝228を形成するための、尖端、レーザービーム、またはランセット204から物質を取り除く他の形状または機構が含まれている。毛管溝228を形成するいずれの技術によっても、ランセットチップ226が皮膚中に配置された際の自動的な体液サンプリングをもたらす。また、開放した毛管は、取り囲まれた毛管に比べて、切開部を取り囲む皮膚表面にある体液試料をより容易に採取する。
【0049】
図20に示されるように、基部206は円形形状である。この基部206は、他の実施形態において長方形、長円形、正方形などの他の形状に成形されてもよい。以下に記載するように、リブ202、ランセット204および基部206は、一体化された材料から形成されてもよい。他の形態では、リブ202および/またはランセット204は別々に製造され、その後基部206に取り付けられてもよい。一実施形態においてホイール200は、分析結果を表示するように構成された計測器内に装着される。さらに、この実施形態において未使用のランセット204を露出するためにホイール200の周りを計測器のハウジングまたはその外側が回転するように、ホイール200を固定し、基部206が計測器のハウジングに取り付けられる。しかしながら別の実施形態では、基部206は、未使用のランセット204をハウジング内に露出するために、その中央の周りを回転する。
【0050】
図20および21に示されるように、第1シリンダ208はランセット204のレッグ部220に隣接して配置される。第1シリンダ208は、略円形の形状で、一実施形態においてはランセット204のレッグ部220に沿ってランセットチップ226に向かって転がり、または回転し、また別の実施液体においては、レッグ部220の表面に沿ってランセットチップ226に向かってスライドする。理解されるように、ランセット204を第1シリンダ208から離れる方向に移動させるために、第1シリンダ208がレッグ部220に力を加える。第1シリンダ208の力によるランセット204の動きは、すでに記載したようにユーザに切開部を形成するために、ランセットチップ226に環状通路を通らせる。第1シリンダ208の移動または可動域が終わると、第1シリンダ208は方向を逆にし、基部206に向かって移動する。また別の実施形態において、ランセット204の作動は、駆動部、バネまたは他の機械的機構または電気的機構などの他の形態によって生じる。これらランセット204の他の作動形態も、湾曲したランセットチップ226を環状の動きに従わせる。ランセットチップ226の穿刺プロフィールは、第1シリンダ208がレッグ部220に沿って移動する距離、第1シリンダ208の直径およびランセット204の幾何学的形状と相関させることによってトレースされ得る。
【0051】
ランセットチップ226によって切開部が形成された後、ランセットチップ226は、切開部形成前の元の位置に跳ね返り、ユーザの皮膚から取り除かれ、体液試料を検査セクション210に移送するために検査セクション210の1つと接触する。第1シリンダ208が方向を逆にして基部206に向かって移動する際、ランセットチップ226の曲率は、ランセットチップ226が切開部から引き抜かれるにつれて切開中に形成された環状通路と同じ通路を通ることを確実にする。切開部からランセットチップ226を引き抜くのに付加的なアクチュエータは必要なく、むしろランセット204の弾力的な性質が、第1シリンダ208が元の位置へと戻るにつれて、リブ202により基準となる元の位置へとランセットチップ226を跳ね返らせる。さらに、ランセット204がその切開部形成前の元の位置に跳ね返ると、以下に記載するように第2レッグ部材224またはランセットチップ226が検査セクション210に接触するので、毛管溝228に含まれる体液試料は検査セクション210へと移される。ランセット204が元の位置にあることにより、次のユーザが、誤って汚染されたランセットチップ226により穿刺されないことを確実にする。
【0052】
図21に示される実施形態において、第2シリンダ212は、第1シリンダ208の作動中に第1シリンダ208の停止機構として作用するために、第1シリンダ208に隣接して、または近くに配置される。記載される実施形態において第2シリンダ212は、レッグ部220に接触するよう配置される平坦な表面230を有する略円形の形状である。また別の実施形態では、第2シリンダ212は他の形状でもよい。例えば、二、三例を挙げれば、第2シリンダは長方形、三角形または長円形でもよい。この第2シリンダ212は、第1シリンダ208およびランセット204の動作を制限するために、第1シリンダ208用の停止部を形成する。また別の実施形態において第2シリンダ212は、ランセット204の作動中およびランセットチップ226の切開部からの引き抜き中に、レッグ部220に接触する。例えば作動中、第1シリンダ208がレッグ部220に力を加える際に、第2シリンダ212もまたレッグ部220に力を加える。この実施形態において、第2シリンダ212とレッグ部220とが係合することにより、確実に、ユーザの皮膚に形成される切開部の外にランセットチップ226がゆっくりと引き抜かれる。第2シリンダ212は、ランセットチップ226を切開部から取り除く間、およびランセットチップ226の元の位置への移動の間、ランセットチップ226の速度を制御する。第1シリンダ208および第2シリンダ212の組み合わせによって、ランセットチップ226が、特定の定められた穿刺および速度プロフィールに確実に従うことになる。第1シリンダ208および第2シリンダ212の組み合わせによって、一実施形態においては、ランセットチップ226が、切開部を迅速に形成し、ランセット先端226が切開部からゆっくりと引き抜かれることを確実にする。また別の実施形態において第1シリンダ208は、第2シリンダ212なしにランセットチップ226の速度を制御する。
【0053】
一実施形態においてマイクロサンプラーホイール200は、複数のリブ202および複数のマイクロニードルまたはランセット204を形成するために金属板をプレス加工し、余分な材料を取り除くことによって、一体化された材料から形成される。また他の実施形態においてマイクロサンプラーホイール200は、複数のリブ202および複数のマイクロニードルまたはランセット204を形成するために金属板をエッチングおよび湾曲させることによって形成される。また他の実施形態においてマイクロサンプラーホイール200は、複数のリブ202および複数のランセット204を基部206に取り付けることによって形成されてもよい。マイクロサンプラーホイール200は、ステンレス鋼、チタニウムまたはニッケルなどの金属、プラスティックおよび/または他の材料で作製されてもよい。
【0054】
複数の検査セクション210は上述した検査セクション28と類似しているため、簡潔さのために詳細については繰り返さない。複数の検査セクション210は、1つの検査セクション210が各毛管溝228の近くに配置されるように、複数のランセット204の近くに配置される。複数の検査セクション210は、図22に示すように第2レッグ部材224の近くに配置されても、図24に示すようにランセットチップ226の前面に配置されてもよく、また図26に示すようにランセットチップ226の後面に配置されてもよい。
【0055】
次にランセット204および検査セクション210の様々な構成を参照する。図22に示すように、検査セクション210は、体液試料を分析するために第2レッグ部材224の近くに配置される。この実施形態において毛管溝228は、図23に示すようにランセット204の前面側に配置される。切開部を形成するために、第1シリンダ208は、レッグ部220に沿って回転し、基部206の縁の周りにランセット204を回転させるためにレッグ部220に力を加える。図22に示す実施形態では、第1シリンダ208が基部206の縁の周りにレッグ部220を回転させることを補助するために、第2シリンダ212がレッグ部220に力を加える。理解されるように、第2シリンダ212は任意のものである。レッグ部220が基部206の縁の周りを回転している間、ランセットチップ226はユーザに切開部を形成するために環状通路に従う。毛管溝228は、ランセットチップ226が切開部を形成すると体液試料を採取する。毛管溝228中の体液試料は、まず皮膚中の切開部と略平行な方向にランセットチップ226を流れる。この実施形態において体液試料は、第2レッグ部材224における毛管228に流入し続ける。体液試料が第2レッグ部材224に流入するにつれて、フローの方向は第3角度γだけ変わる。一形態において第3角度γは約90度であり、これにより体液試料のフローは、ランセットチップ226から第2レッグ部材224へ約90度方向を変える。第1シリンダ208および第2シリンダ212は、レッグ部220から力が除かれ、ランセットチップ226が皮膚から引き抜かれるように、それぞれの動きの方向を逆にする。第1シリンダ208および第2シリンダ212が動きの方向を逆にすると、ランセット204は、第2レッグ部材224が検査セクション210に触れるように、ランセット204の切開部形成前の元の位置を通り過ぎて跳ねるか、または移動する。第2レッグ部材224が検査セクション210に接触している間、体液試料は毛管溝228から検査セクション210へと移送される。この実施形態において毛管溝228は、第2レッグ部材224が検査セクション210に接触している間、毛管溝228中の体液試料が検査セクション210に移送されるように、相当する距離だけ第2レッグ部材224中に延伸する。検査セクション210は体液試料を分析する。
【0056】
図24および25に示すように、毛管溝228はランセットチップ226の前面側に配置され、検査セクション210も同様に、ランセットチップ226の前面側の近くに配置される。第1シリンダ208、第2シリンダ212およびランセット204は、ここに違いを記載しない限りは、図22および23に関して記載された実施形態と同様である。ランセットチップ226は皮膚に切開部を形成するために作動され、毛管溝228はこの切開部から体液試料を採取する。この実施形態において体液試料は、皮膚中の切開部と略平行な方向で毛管溝228を流れる。ランセットチップ226が皮膚中の切開部から引き抜かれた後、ランセット204はその切開部形成前の元の位置に移動し、ランセットチップ226は検査セクション210に接触する。ランセットチップ226が検査セクション210に接触すると、毛管溝228からの体液試料が検査セクション210の上に付着される。
【0057】
図26および27に示す別の実施形態において、毛管溝228はランセットチップ226の後面側または背面側に配置される。図示されるように、ランセットチップ226は、ランセットチップ226の後面上の毛管溝228から、ランセットチップ226を通ってランセットチップ226の前面側へと延伸する第2毛管溝229を含んでいてもよい。この付加的な毛管溝229により、検査セクション210はランセットチップ226の後面側に隣接して配置することができるか、ランセットチップ226の前面側に隣接して配置することができる。第1シリンダ208、第2シリンダ212およびランセット204は、ここに違いを記載しない限りは、図22および23に関して記載された実施形態と同様である。ランセットチップ226は皮膚に切開部を形成し、毛管溝228はこの切開部から体液試料を採取する。この実施形態において体液試料は、皮膚中の切開部と略平行な方向で毛管溝228を流れる。一実施形態においては、ランセットチップ226が切開部形成前の元の位置に戻ると、ランセットチップ226の後面側はランセットチップ226の後面側に隣接して配置される検査セクション210に接触し、毛管溝228中の体液試料が検査セクション210上に付着される。理解されるように、毛管溝229が存在することにより、毛管溝228がランセットチップ226の前面側または後面側に配置されようと、また検査セクション210がランセットチップ226の後面側または前面側のどちらに隣接して配置されようと、体液試料は検査セクション210上に確実に付着される。
【0058】
第3の実施形態も一体型使い捨てカートリッジまたはディスクに関し、これは上述の第2の実施形態に類似している。第3の実施形態におけるカートリッジも、複数のリブと互い違いに配置されている複数のマイクロニードルまたはランセットを含む独自のランセットホイールデザインを利用している。この実施形態のランセットは、前に記載した実施形態のランセットと類似している。ランセットおよび複数のリブは、基部に互い違いに取り付けられ、切開部形成前の最初の位置で構成される。ランセットおよび複数のリブは、基部の回りを回転するように構成される。第1駆動機構は、第1駆動機構がランセットおよびランセットに隣接する1つまたはそれ以上のリブを押し付けるように、穿刺および引き抜き中にランセットチップを基部の周りで回転させる。第2駆動機構は、リブが基部の周りを回転し、これにより隣接する1つまたはそれ以上のリブを基準にランセットの穿刺深さが測定される基準面が形成されるように、ランセットに隣接する1つまたはそれ以上のリブを切開位置の近くの皮膚に接触させる。ランセットに対する1つまたはそれ以上のリブの位置は、ランセットの作動または動きから独立して、ランセットの穿刺深さをユーザが調節することを可能にする。例えば、ランセットの作動または動きは、第1駆動機構を1つまたはそれ以上のリブおよびランセットに押し付けることによって決定されるが、穿刺深さは、第2駆動機構を1つまたはそれ以上のリブに押し付けることによって決定される。ランセットの穿刺深さは、第2駆動機構によって決定されるように1つまたはそれ以上のリブの向きを変更するのにしたがって、容易に調整される。さらに、第2駆動機構の独特かつ洗練された形状は、リブの皮膚に対するポンプ作用を作り出すために1つまたはそれ以上のリブを第2駆動機構が押し付け、または解放するにつれて、1つまたはそれ以上のリブが皮膚に付加的な体液を圧出することを可能にする。
【0059】
別の実施形態によるマイクロサンプラーホイール300が、図28、29、30、31および32に示される。マイクロサンプラーホイール300はマイクロサンプラーホイール200と類似しており、ゆえに簡潔さのために、マイクロサンプラーホイール200と類似しているマイクロサンプラー300の特徴については記載しない。マイクロサンプラーホイール200と同様に、マイクロサンプラーホイール300は複数のランセット304と互い違いに配置されている複数のリブ302を含んでいる。またマイクロサンプラーホイール200と同様に、マイクロサンプラーホイール300は基部306を含み、ここから複数のリブ302および複数のランセット304が延伸する。複数のリブ302のそれぞれは、基部306に取り付けられる第1端部330と、ユーザの皮膚Sに接触するよう構成される第2端部332とを含んでいる。この実施形態において、特定のランセット304の作動前には、このランセットに隣接する一対のリブ302はランセット304のレッグ部320と略平行である。マイクロサンプラーホイール300はさらに、第1シリンダ308および第2シリンダ312を含んでいる。第1シリンダ308は、第1シリンダ208と同様に構成される。第2シリンダ312は、各ローラが個々のリブ302に接触するように配置される一対のシリンダまたはローラを含んでいる。第2シリンダ312のローラは、第2シリンダ312の個々のローラが、ランセット304との接触を避けて配置されるように、その間に1つのランセット304を跨ぐ。この実施形態において第2シリンダ312の個々のローラはそれぞれ、湾曲部314と略平面部316とを含んでいる。また別の実施形態では、第2シリンダ312は他の形状でもよい。図示されていないがいくつかの実施形態において、マイクロサンプラーホイール300は上述したような複数の検査セクションも含んでいる。
【0060】
図28に示すように、ランセット304の1つのランセットチップ326は、ユーザの皮膚Sに隣接して、または接触して配置される。図示される実施形態においては、圧出リング400が指先の上に配置されている。しかしながら他の実施形態において、圧出リング400は、マイクロサンプラーホイール300が切開部を形成し、体液試料を圧出し、体液試料を採取するのに必要とされない。さらに、マイクロサンプラーホイール300は指先に加えて、ユーザの他の体の部位での使用のために構成され、つまり、マイクロサンプラーホイール300は、別の部位の検査のために構成される。この初期の開始位置において、第2シリンダ312の略平面部316は、一対のリブ302に接触する。この実施形態において、一対のリブ302はその間に配置されるランセット304のレッグ部320と略平行である。また他の実施形態において、一対のリブ302はランセット304の上または下に配置される。
【0061】
図29に示すように第2シリンダ312は、第2シリンダ312の湾曲部314が、一対のリブ302のそれぞれの第2端部332と接触し、またこの第2端部332をユーザの皮膚Sに対して押し付けるように、回転される。湾曲部314をリブ302へ向けることで、第2シリンダ312の回転が容易になり、それにより穿刺、圧出およびサンプリング中のリブ302の向きを調整できる。一対のリブ302とユーザの皮膚Sとの間の初期の接点は皮膚の基準位置であって、ここからランセットチップ326の穿刺深さが測定され得る。いくつかの実施形態において第2シリンダ312は、ユーザの皮膚Sに対して一対のリブ302をさらに押し付け、切開部位に体液を圧出するために回転される。他の実施形態では、ユーザの皮膚Sに対する一対のリブ302のポンプ作用を引き起こし、切開部位に対する体液の圧出をさらに容易にするために、第2シリンダ312は前後に回転される。
【0062】
図30に示すように、ランセット304は皮膚に切開部を形成するために作動される。第1シリンダ308は、ランセット304を基部306の周りで回転させ、ランセットチップ326をユーザの皮膚Sに押し込むために、一対のリブ302およびランセット304のレッグ部320に対して押し付けられる。ランセットチップ326の穿刺深さは、ランセット304の幾何学的形状、ユーザの皮膚Sに対する一対のリブ302の向き、および第1シリンダ308が一対のリブ302に沿って移動する距離および/または第1シリンダ308が第2シリンダ312に接触するまでの距離によって決定される。この形態においては、第1シリンダ308が一対のリブ302およびレッグ部320に沿って転がるにつれて、ランセットチップ326は皮膚Sに切開部を形成するために基部306の周りを回転する。第1シリンダ308が第2シリンダ312に接触すると、ランセットチップ326の皮膚Sへの穿刺は停止される。また別の実施形態において第1シリンダ308は、ランセット304を基部306の周りで回転させ、ランセットチップ326をユーザの皮膚Sに押し込むために、ランセット304のレッグ部320のみに沿って転がる。またさらに別の実施形態では、第1シリンダ308は、レッグ部320に隣接する一対のリブ302に対して押し付け、またそのリブ302に沿って転がるように構成される。いずれの実施形態においても、ランセットチップ326は、ランセット304が基部306の周りを回転するにつれて、ユーザの皮膚Sに切開部を形成するために環状通路をたどる。
【0063】
図31に示すように、ランセット304は、上述したランセット204と同様に体液試料を採取する。しかしながら、一対のリブ302のそれぞれの第2端部332は、皮膚Sに対して押し付けられる。すでに述べたように、他の実施形態において第2シリンダ312は、ユーザの皮膚Sに対する一対のリブ302のポンプ作用を生じさせるために、前後に回転される。このポンプ作用は、切開部への体液の圧出およびランセット304での体液のサンプリングを容易にする。
【0064】
第1シリンダ308は、図32に示すように、第2シリンダ312からその初期の開始位置まで移動し始め、または後退し始める。第1シリンダ308が元の位置に戻るにつれて、ランセット304は基部306の周りを回転し、その切開部形成前の位置へと跳ね返る。第2シリンダ312は離間された2つのローラまたは部材から構成されているので、ランセット304は2つのローラまたは部材の間に形成される溝を通して跳ね返り、移動する。すでに言及し、上述したように、ランセット304は、ランセット204と同様に検査セクションに体液試料を移送するために検査セクションに接触する。第2シリンダ312は、湾曲部314が一対のリブ302から離れるように回転し、一対のリブ302は、その切開部形成前の初期位置に向かって基部306の周りを回転する。図示されていないが、第2シリンダ312は、略平面部316が一対のリブ302に接触するまで、その切開部形成前の初期位置へと回転し続ける。
【0065】
一実施形態によるカートリッジ420が図33、34、35、36、37、38、39および40に示される。これらの図から認識されるように、カートリッジ420は、図1、2、3、4、5、6および7に示すカートリッジ20と、多くの特徴を共有している。ゆえに簡潔さのために、カートリッジ420およびカートリッジ20で共通する特徴については記載しない。カートリッジ420はテストリングフレーム480を有しているが、カートリッジ20はテストリングフレームを有していない。カートリッジ20と同様、カートリッジ420はテストリング426を有するが、以下により詳細に記載するように、テストリング426はテストリングフレーム480に取り付けられる。またカートリッジ20と同様、カートリッジ420はランセットフレーム430に配置されるランセットホイール422を含んでいる。しかしながら、ランセットホイール422およびランセットフレーム430は、ランセットホイール22およびフレーム30とは、それぞれわずかに異なる。一実施形態においてカートリッジ20は、25個のランセット24、25個の検査セクション28および25個のチャンバ32を有する。それに比べて、一実施形態においてカートリッジ420は、50個のランセット424、50個の検査セクション428および50個のチャンバ432を有し、カートリッジ420はカートリッジ20よりも直径がおよそ20%大きい。
【0066】
カートリッジ420がランセット424から検査セクション428まで体液試料を移す方法は、カートリッジ20の場合とは異なる。以下で説明されるように、カートリッジ420は、ランセットチップ446を有するランセット424を含んでおり、そのランセットチップ446は、組織に切開部を形成し、切開部から毛管溝448に体液試料を採取し、ランセットチップ446が検査セクション428に接触すると検査セクション428に体液試料を移送する。言い換えれば、ランセットチップ446は体液試料を検査セクション428に移送する。理解されるように、体液試料は、検査を行うために充分な量の試料を得るために、ランセット424の毛管溝448全体を充填する必要はない。さらに、体液試料は毛管溝448全体を充填する必要はないので、高い検査の成功率が達成され、また検査するのに必要な体液試料の量が少なくなる。すでに述べたように、カートリッジ20は、切開部を形成するランセットチップ46を有するランセット24を有し、体液試料は毛管溝48に採取され、そしてコンタクト部44は、体液試料を検査セクション28に移送するためにランセットが元の位置に戻ると、検査セクション28に接触する。この構成においてランセット24のコンタクト部44または後部(tail)は体液試料を検査セクション28に移す。
【0067】
カートリッジ20と同様、カートリッジ420は図33に示すように第1滅菌シート438を含んでいる。カートリッジ420が組み立てられると、テストリングフレーム480の複数のテスター開口部482の片面を被覆およびシールするために、第1滅菌シート438が配置される。上述のように、カートリッジ420はテストリングフレーム480を含んでいる。テストリングフレーム480は複数のテスター開口部482を含んでいる。テスター開口部482のそれぞれは、ランセットチップ446を受け入れる大きさに形成される。またテストリングフレーム480は、複数のウィンドウ484および複数のフレームウォール485も含み、ここで各ウィンドウ484は一対のフレームウォール485の間に配置される。内部ウィンドウ484のそれぞれは、テストリングフレーム480およびランセットフレーム430が組み立てられると、ランセットフレーム430の一対のランセットウォール434の間に配置される。検査セクション428の隣へのウィンドウ484の配置は、カートリッジ420の中央に配置される光学装置または他の装置が、ウィンドウ484の1つを通して対応する検査セクション428を見ることを可能にする。一実施形態において係合機構は、ランセットフレーム430の次のチャンバ432および対応するテスター開口部482を駆動部436と一直線上に配置するために、フレームウォール485の1つと係合しカートリッジ420を回転することができる。複数の内部ウィンドウ484のそれぞれは長方形の形状を有するが、ウィンドウ484は他の実施形態において異なる形状に構成されてもよい。複数の内部ウィンドウ484および複数のフレームウォール485は、テストリング426を受け入れるように配置される。
【0068】
テストリング426は、図34に示すように、複数の検査セクション428を画定する複数のインデックスライン429を有する。テストリング426は、各インデックスライン429が各ランセットウォール434と一致するように、テストリングフレーム480の複数の内部ウィンドウ484および複数のフレームウォール485に取り付けられる。さらに、各検査セクション428は、対応するウィンドウ484が複数のランセット424の1つと一直線になるように、ランセットフレーム430のチャンバ432の1つに配置される。
【0069】
図33および37に示されるように、ランセットホイール422は複数のランセット424を有するランセットリム423を含み、ランセット424はランセットリム423から径方向内側に向かって延伸する。各ランセット424は、可撓性のレッグ部442、コンタクト部444およびランセットチップ446を含んでいる。各ランセット424のコンタクト部444は、湾曲しており、ランセット424がレスト位置にある際にはランセットフレーム430の複数の棚部(ledge)492のうちの1つの上に載るような大きさに形成される。また、このレスト位置では、ランセットチップ446は検査セクション428に接触しない。さらにランセットチップ446は、以下に記載するように、ランセット424が作動されるとテスター開口部482に入る。また各ランセット424は、以下により詳細に記載するように、駆動部436の先のとがった端部438を受け入れるような大きさに形成されるスロット447を画定する。ランセットチップ446は毛管溝448を画定する。さらに、ランセット424が作動されて最終位置に到達すると、体液試料が毛管溝448から検査セクション428へ移送されるように、ランセットチップ446は検査セクション428に対してもたれかかる。
【0070】
図33、35および36中のランセットフレーム430の構成は、図1および2に示されるフレーム30とは少し異なる。図33のランセットフレーム430は、複数のチャンバ432を画定する複数のウォール434を含んでいる。ランセットフレーム430は、テストリングフレーム480をランセットフレーム430上に配置するために、複数のフレームウォール485を受け入れるような大きさに形成されたリム436を含んでいる。ランセットフレーム430は複数の棚部492も含んでいる。各棚部492はランセット424のコンタクト部444を受け入れるような大きさに形成される。1つの棚部492は、複数のチャンバ432のそれぞれに配置される。図示される実施形態において、複数の棚部492のそれぞれは略平面である。複数の開口部494は、複数のウォール434と複数の棚部492との間に配置される。各開口部494は、駆動部436を受け入れるような大きさに形成される。図37、38、39および40に示されるように、駆動部436は、以下に記載するように、開口部494を覆って配置される第2滅菌シート440を貫通するように、鋭いまたは先のとがった端部438を有する。この先のとがった端部438は、以下に記載するように、ランセット424を作動するためにランセット424のスロット447に入る。
【0071】
図33に示すように、カートリッジ420は、ランセットフレーム430の複数のチャンバ432を被覆およびシールするために配置される第2滅菌シート440を含んでいる。第1滅菌シート438、テストリング426および第2滅菌シート440は、気密カートリッジ420を形成するために、複数のテスター開口部482、複数のチャンバ432および複数の内部ウィンドウ484を被覆およびシールするよう構成されている。同様に、カートリッジ20の第1滅菌シート38、テストリング26および滅菌シート40も気密カートリッジ20を形成するよう構成されている。
【0072】
カートリッジ420を使用するために、ユーザは、穿刺されるべき体の部位、最も一般的には指を、複数のテスター開口部482のうちその時点で稼動可能なものの1つの上に置く。駆動部436は、第2滅菌シート440を貫通し、対応する開口部494を通過し、そしてチャンバ432に入るように作動される。駆動部436はチャンバ432の中へと移動し続け、また駆動部436の先のとがった端部438は稼動可能なランセット424のスロット447と係合する。駆動部436がスロット447と係合すると、ランセットチップ446をフレーム430に直交する方向に移動させるために、駆動部436はレッグ部442に力を加える。ランセットチップ446が動くと、ランセットチップ446は、第1滅菌シート438を貫通し、続いて稼動可能な状態のテスター開口部482を覆って置かれているユーザの皮膚に貫入する。一実施形態においては、ランセットチップ446が切開部を形成すると、切開部からの体液試料は、毛管作用によって、毛管溝448に沿ってコンタクト部444に向かって移動し、また毛管溝448は、ランセットチップ446がユーザの皮膚中にある間に切開部から体液試料を採取する。一実施形態において、体液の適切な試料量は約90ナノリットルである。
【0073】
駆動部436は、最大延伸位置に到達した後停止し、進行方向を逆にする。駆動部436がその進行方向を逆にすると、レッグ部442に加えられている力が減少し、ランセットチップ446は切開部から引き抜かれる。各ランセット424の弾性を有する性質により、ランセットチップ446は自らチャンバ432内の元の位置へと跳ね返る。この最終的な位置において、稼動可能なランセット424のランセットチップ446は検査セクション428に接触し、体液試料は、ランセット424のランセットチップ446と検査セクション428上の化学物質との間の優先的な毛管現象によって、毛管溝448から検査セクション428上へと放出される。ランセット424は、コンタクト部444が棚部492に寄りかかっている状態で、最終的なレスト位置にとどまる。次の検査のために、作動機構は、次の対応するテスター開口部482および次の未使用または滅菌されたランセット424を駆動部436と揃えるために、駆動部436を引き抜き、テストリングフレーム480を回転させる。
【0074】
図41、42、43および44には、別の実施形態によるランセットフレーム530、ランセットホイール522およびテストリング526が示される。これらの図から認識されるように、ランセットフレーム530は、図33、35および36に示すランセットフレーム430と、多くの特徴を共有している。ゆえに簡潔さのために、ランセットフレーム430と同様のランセットフレーム530の特徴については記載しない。ランセットフレーム430と異なり、ランセットフレーム530は、作動前にランセットを屈曲位置で保持するように構成されている複数の棚部592を有する。ランセットの弾性および各棚部592の構成により、ランセットは対応する棚部592から開放された後、元の屈曲していない構成へと跳ね返り、切開部を形成するために持ち上げられる。言い換えれば、棚部592からランセットに課せられる張力が解放される。ランセットが切開部を形成して対応する棚部592に戻った後、ランセットチップは検査セクション528に接触し、体液試料を検査セクション528に移送する。ランセットチップから検査セクションへの体液試料の移送は、ランセットのコンタクト部から検査セクションへの体液試料の移送に比べて、体液試料が検査セクションに移送されるまでに移動する必要のある距離が短い。ランセットの他の部分に比べてランセットチップからの体液試料の移送は、穿刺および検査の成功率が高いという結果をもたらす。この実施形態および図33、34、35、36、37、38および39に示される実施形態の臨床試験のいくつかでは、検査セクションへのランセットチップの体液試料の移送の成功率は、93%よりも高かった。またいくつかの実施形態において、切開部の形成、体液試料の採取および体液試料の分析を含む全体の検査時間は、1秒未満であった。
【0075】
ランセットフレーム530は、複数のチャンバ532を画定する複数のウォール534を含んでいる。ランセットフレーム530は複数の棚部592も含んでいる。各棚部592は、ランセット524のコンタクト部544を受け入れるような大きさに形成される。1つの棚部592が、複数のチャンバ532のそれぞれに配置される。図示される実施形態において、複数の棚部592は略長方形である。各棚部592は、以下により詳細に説明されるように、ランセットチップ546を受け入れるように構成された切欠593も含んでいる。複数の開口部594が、複数のウォール534と複数の棚部592との間に配置される。各開口部594は駆動部を受け入れるような大きさに形成される。
【0076】
図41に示すように、ランセットホイール522はランセットフレーム530内に配置される。ランセットホイール522は、図33および37に示すランセットホイール422と多くの特徴を共有している。ゆえに簡潔さのために、ランセットホイール522およびランセットホイール422で共通する特徴については記載しない。
【0077】
図41にはテストリング526が示されている。テストリング526は、図33および37に示すテストリング426と多くの特徴を共有している。ゆえに簡潔さのために、テストリング526およびテストリング426で共通する特徴については記載しない。テストリング526は複数の検査セクション528を含んでいる。またテストリング526は、各検査セクション528がランセットフレーム530の一対のウォール534の間に配置されるように、ランセットフレーム530上に配置される。
【0078】
初期位置において、ランセットチップ546は、ランセットチップ546を切欠593から解放するために駆動部がランセット524に係合するまで、ランセット524が動かないようにコンタクト部544が棚部592に寄りかかるように、切欠593内に配置される。この初期位置において、各棚部592は、コンタクト部544を可撓性のレッグ部542に向かって曲げるために、ランセットリム523に向かって延伸する。ランセット524が初期位置から切開部形成位置に移動すると、コンタクト部544は切欠593と棚部592の両方を通り過ぎ、ランセットチップ546はランセットフレーム530に直交する方向に移動する。コンタクト部544は、棚部592を通り過ぎた後、各ランセット524の弾性を有する性質により元の構成へと跳ね返る。ランセットチップ546が移動するにつれて、ランセットチップ546は、対応するチャンバ532を覆って置かれているユーザの皮膚に貫入する。一実施形態においては、ランセットチップ546が切開部を形成すると、切開部からの体液試料は、毛管作用によって、毛管溝548に沿ってコンタクト部544に向かって移動し、また毛管溝548は、ランセットチップ546がユーザの皮膚中にある間に切開部から体液試料を採取する。駆動部または他の機構が最大延伸位置に到達した後、駆動部は停止し、進行方向を逆にする。駆動部がその進行方向を逆にすると、レッグ部542に加えられている力が減少し、ランセットチップ546は切開部から引き抜かれる。この最終的な位置において、稼動可能なランセット524のコンタクト部544は棚部592に寄りかかり、体液試料は毛管溝548から対応する検査セクション528に移送される。
【0079】
図45、46および47には、別の実施形態によるランセットフレーム630、ランセットホイール622およびテストリング626が示されている。これらの特徴から認識されるように、ランセットフレーム630は、図33、35および36に示されるランセットフレーム430と多くの特徴を共有している。ゆえに簡潔さのために、ランセットフレーム630およびランセットフレーム430で共通する特徴については記載しない。以下に記載されるように、ランセットフレーム630は、複数のランセット624が作動前に複数の検査セクション628に接触しないように複数のランセット624を制止するよう構成された複数のスラット(slat)692を含んでいる。有利には、この複数のスラット692は、ランセットチップ646が体液試料を採取した後にランセットチップ646を検査セクションに接触させ、この体液試料を検査セクションに移送することができるように構成される。上述のように、ランセットチップからの体液の移送は、ランセットの接触部位または別のあらゆる部分からの体液の移送に比べて、要求される血液の移動距離が短い。さらに有利には、この複数のスラット692は、検査後の汚染されたランセット624を制止する。
【0080】
図45、46および47に示すように、ランセットフレーム630は、複数のチャンバ632を画定する複数のウォール634を含んでいる。ランセットフレーム630は複数のスラット692も含んでいる。一対のスラット692が、複数のチャンバ632のそれぞれに配置される。各スラット692はウォール634の1つに取り付けられる。この一対のスラット692のそれぞれの間には、スラット開口部694がある。一対のスラット692は、ランセット624が初期位置にある時にランセット624のランセットチップ646をスラット開口部694で受け入れられるような大きさに形成され、ウォール634上に配置される。この一対のスラット692はまた、ランセット624が最終位置にある時にランセット624を制止するような大きさに形成され、配置される。ランセット624が作動された後最終位置でレストすると、一対のスラット692は、一対のスラット692とランセットフレーム630との間で一対のタブ645を制止する。図示される実施形態において、複数のスラット692のそれぞれは略長方形である。複数のスラット692のそれぞれは各ウォール634と角θを形成する。角θは鋭角である。
【0081】
図45に示すように、ランセットホイール622はランセットフレーム630内に配置される。ランセットホイール622は図33、37および38に示されるようなランセットホイール422と多くの特徴を共有しているので、簡潔さのために、ランセットホイール622およびランセットホイール422で共通する特徴については記載しない。ランセットホイール622は、ランセットリム623から径方向内側に向かって延伸する複数のランセット624を有するランセットリム623を含んでいる。各ランセット624は、可撓性のレッグ部642、コンタクト部644およびランセットチップ646を含んでいる。また各ランセット624のコンタクト部644は、ランセット624が初期位置にある時にランセットフレーム630の一対のスラット692に載るように形成される一対のタブ645を含んでいる。ランセット624が作動されて最終位置でレストすると、一対のスラット692は、一対のスラット692とランセットフレーム630との間で一対のタブ645を制止する。また各ランセット624は、駆動部の先のとがった端部を受け入れるような大きさに形成されたスロット647を画定する。一実施形態において、ランセットチップ646は毛管溝(図示せず)を画定する。
【0082】
テストリング626は図41、42および44に示されるテストリング526と多くの特徴を共有しているので、簡潔さのために、テストリング626およびテストリング526で共通する特徴については記載しない。テストリング626は複数の検査セクション628を含んでいる。テストリング626は、各検査セクション628がランセットフレーム630の一対のウォール634の間に配置されるように、ランセットフレーム630上に配置される。
【0083】
初期位置において、ランセットチップ646は、駆動部がランセット624を移動させて一対のタブ645を一対のスラット692から解放するためにランセット624と係合するまで、ランセット624の移動を制止するために、一対のタブ645が一対のスラット692に寄りかかるように、スラット開口部694内に配置される。また、初期位置において、ランセット624の弾性のために、一対のタブ645がスラット692を押し付けるにつれてコンタクト部644が湾曲する。駆動部がランセット624を初期位置から切開部形成位置に移動させるにつれて、コンタクト部644は一対のスラット692を通り過ぎ、コンタクト部644に対する圧縮力は解放される。各ランセット624の弾性力のある性質により、ランセットチップ646は圧縮されていない構成へと跳ねる。ランセットチップ646は、ランセット624が初期位置から切開部形成位置に移動する時に、ランセットフレーム630に直交する方向に移動する。ランセットチップ646が移動するにつれて、ランセットチップ646は対応するチャンバ632を覆って置かれているユーザの皮膚に貫入する。一実施形態においては、ランセットチップ646が切開部を形成すると、この切開部からの体液試料は、毛管作用によって、毛管溝に沿ってコンタクト部644に向かって移動し、また毛管溝は、ランセットチップ646がユーザの皮膚中にある間に切開部から体液試料を採取する。駆動部または他の機構が最大延伸位置に到達した後、駆動部は停止し、進行方向を逆にする。駆動部がその進行方向を逆にすると、レッグ部642に加えられている力が減少し、ランセットチップ646は切開部から引き抜かれる。ランセット624は圧縮されていない構成に戻っているので、ランセット624を最終位置で制止し、ランセットチップ646を検査セクション628に係合させるために、一対のタブ645は一対のスラット692の後ろへスライドする。最終位置において、ランセット624は検査セクション628に寄りかかり、体液試料は、毛管溝またはランセットチップ646から対応する検査セクション628へと移送される。
【0084】
図48Aおよび48Bは、ランセットが検査セクションに接触しないように作動前のランセットを制止する技術の1つを概略的に表した図である。図48Aに示されるように、ランセットは、フレームの位置が結果としてランセットへの圧縮力をもたらすようにフレームにおいて切欠に寄りかかる。ランセットは、作動された後、切欠から解放されて圧縮されていない状態へ戻る。ランセットは、その後切開部を形成し、ランセットチップに体液試料を採取する。図48Bに示されるように、圧縮されていない状態にあるランセットチップは、体液試料をランセットから検査セクションへ移送するために検査セクションに触れる。検査セクションの位置は、圧縮されていないランセットが検査セクションに係合し、検査セクションに体液試料を移送することを可能にする。有利には、ランセットは体液試料を検査セクションに移送する場合を除いて検査セクションに接触しないので、検査用の化学物質は損なわれていないままである。ランセットの弾性は、ランセットが切欠から解放された後圧縮されていない状態に戻ることを可能にするので、ランセットを圧縮されていない状態に戻すため、また体液試料を検査セクションに移送するための付加的な機構は必要ない。
【0085】
図49Aおよび49Bは、ランセットが検査セクションに接触しないように、作動前のランセットを制止する別の技術を概略的に表した図である。有利には、検査セクション上の検査用の化学物質は損なわれず、また触れられないままである。図49Aに示すように、ランセットは、棚部の位置が結果としてランセットへの圧縮力をもたらすように棚部に寄りかかる。ランセットは、作動された後、棚部から解放されて圧縮されていない状態へ戻る。ランセットは、その後切開部を形成し、ランセットチップに体液試料を採取する。図49Bに示されるように、圧縮されていない状態にあるランセットチップは、体液試料をランセットから検査セクションへ移送するために検査セクションに触れる。有利には、ランセットを圧縮されていない状態に戻し、また体液試料を検査セクションに移送するための他の機構は必要ない。検査セクションの位置は、圧縮されていないランセットが検査セクションに係合し、検査セクションに体液試料を移送することを可能にする。
【0086】
図50Aおよび50Bは、ランセットが検査セクションに接触せず、ゆえに検査セクション上の検査用の化学物質が損なわれず、また触れられないままであるように、作動前のランセットを制止するさらに別の技術を概略的に表した図である。図50Aに示される第1位置では、バンドの位置がランセットへの圧縮力をもたらし、ランセットが屈曲、または湾曲されるように、第1バンドがランセットを制止する。次に、皮膚に切開部を形成し、体液試料を採取するために、ランセットが作動され第1バンドを貫通する。作動中、ランセットは圧縮されていない形状へと戻る。図50Bに示すように、体液試料を採取した後、ランセットチップは、ランセットが第1位置へ戻ると、検査セクションを含む第2バンドと接触する。ランセットチップ中の体液試料は、ランセットチップから第2バンド上の検査セクションへと移送される。
【0087】
図51Aおよび51Bは、ランセットが検査セクションに接触せず、ゆえに検査セクション上の検査用の化学物質が損なわれず、また触れられないままであるように、作動前のランセットを制止するさらに別の技術を概略的に表した図である。図51Aに示されるように、ランセットチップは、カバーの位置がランセットに圧縮力をもたらすように、柔らかい材料で作製されたカバー中で静止する。ランセットは作動された後、この柔らかいカバーを通して駆動され、圧縮されていない状態へと戻る。ランセットがカバーを通して駆動された後、カバーは、ランセットが切開部を形成し体液試料を採取するにつれて、ランセットの一部を滑り落ちる。図51Bに示すように、ランセットは元の位置に戻り、ランセットチップは、体液試料をランセットから検査セクションへと移送するために検査セクションに触れる。有利には、弾性を有するランセットを圧縮されていない状態に戻し、また体液試料を検査セクションに移送するための他の機構は必要ない。検査セクションの位置は、圧縮されていないランセットが検査セクションに係合し、検査セクションに体液試料を移送することを可能にする。
【0088】
図52Aおよび52Bは、ランセットが検査セクションに接触せず、ゆえに検査セクション上の検査用の化学物質が損なわれず、また触れられないままであるように、作動前のランセットを制止する技術の1つを概略的に表した図である。図52Aに示されるように、ランセットは、トラックの位置がランセットを湾曲し、または圧縮するように、トラックに沿って乗りかかるタブを含んでいる。ランセットが作動された後、タブは、タブがトラックを取り除き、それによりランセット上の圧縮力を解放してランセットを圧縮されていない状態に戻すまで、トラックに沿って駆動される。タブがトラックを取り除いた後、ランセットチップは切開部を形成し体液試料を採取する。図52Bに示されるように、ランセットチップは、ランセットが元の位置に戻ると体液試料をランセットから検査セクションに移送するために、検査セクションに触れる。有利には、弾性を有するランセットを圧縮されていない状態に戻し、また体液試料を検査セクションに移送するための他の機構は必要ない。検査セクションの位置は、圧縮されていないランセットが検査セクションに係合し、検査セクションに体液試料を移送することを可能にする。
【0089】
図53Aおよび53Bは、ランセットが検査セクションに接触せず、ゆえに検査セクション上の検査用の化学物質が損なわれず、また触れられないままであるように、作動前のランセットを制止する別の技術を概略的に表した図である。図53Aに示されるように、ランセットは、ランセットフレームの下層に寄りかかる湾曲構成にある。一形態において、下層は滅菌シートである。ランセットフレームの下層は、駆動部が破壊するように構成される。切開部を形成し、体液試料を採取した後、ランセットは、ランセットフレームの下層から落下し、その後体液試料をランセットから検査セクションに移送するために、検査セクションに触れる。
【0090】
図54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69および70には、一実施形態による携帯用の計測システム1000が示される。携帯用の計測システム1000は携帯用の血糖検査に関して説明されるが、この計測システム1000は多種多様の生物流体および流体性質を検査するように適合され得ることを理解されたい。図54および55を参照すると、計測システム1000は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126を収容するハウジング1002を含んでいる。図解的には、明瞭さのためにランセットフレーム130のみが計測システム1000中に示されているが、計測システム1000は、ランセットホイール122およびテストリング126に関しても記載される。またこの携帯用の計測システム1000はランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126に関して記載されるが、計測システム1000は上述したカートリッジおよび/またはランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングに適合され得ることを理解されたい。
【0091】
図54および55に示されるように、ハウジング1002はフロントカバー1004、扉1006および基部1008を含んでいる。フロントカバー1004は、検査結果ならびに他の情報を表示するためのディスプレイ1012を有する。計測システム1000は、例えばスピーカなどの他の出力装置も有し得るということを理解されたい。ディスプレイ1012は、計測システム1000がユーザの手に握られる際に、ユーザがディスプレイ1012を容易に見られるように配置される。扉1006はユーザの指先を受け入れるような大きさに形成されたプレッシャーカップ1014を含んでいる。プレッシャーカップ1014は弾性タイプ塑性材料(elastic-type supported plastic material)で作製されており、これにより、以下により詳細に記載するように、ユーザの指の押圧による力を計測システム1000中のリリースアーム1020に移送してランセット124を発射させるためのプレッシャーカップ1014の動作が可能になる。プレッシャーカップ1014は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126を穿刺毎に先に進めるために、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126の上方に配置される。プレッシャーカップ1014は開口部1015を画定し、ランセット124はここから出て皮膚中に切開部を形成する。プレッシャーキャップ1014の後面は、以下により詳細に記載されるように、ランセット124を作動させるためにリリースアーム1020の一対のタブ1021と係合するよう配置される一対のトリガーコンタクトタブ1016を有する。一実施形態において、ドア1006は、計測システム1000の内側へのアクセスを可能にするために、基部1008にヒンジ取り付けされる。それにより、使用済みのランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126は、清潔で新しいランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングと取り替えられる。別の実施形態において、ドア1006は他の機構により基部1008に取り付けられる。
【0092】
携帯用の測定システム1000はリリースアーム1020を含んでいる。リリースアーム1020は、一対のトリガーコンタクトタブ1016に接触するよう構成される一対のタブ1021を有する。リリースアーム1020は、ラッチに係合するよう配置され、そしてそれによりスプリングモータ1050を解放するトリガー1062を含んでいる。携帯用の測定システム1000は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126を穿刺毎に先に進めるために、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126を回転させて互いに作用し合う第1ギヤ1022、第2ギヤ1024および第3ギヤ1026を含んでいる。ギヤ1026は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126が取り付けられているプラットフォーム1028に取り付けられる。第1ギヤ1022は、以下により詳細に記載するように、第2ギヤ1024によって駆動される。ギヤ1022、1024および1026の相互作用により、ギヤ1022の回転動作がギヤ1024および1026を回転させる。
【0093】
携帯用の測定システム1000は、図64および65に示されるように、バッテリ1034を電源とする下側プリント基板1030および上側プリント基板1032を有する。上側プリント基板1032はディスプレイ1012に接続される。また上側プリント基板1032はエッジコネクタ1036を含んでいる。下側プリント基板1030は、エッジコネクタソケットまたはスロット1038を含んでいる。エッジコネクタソケット1038は通常、エッジコネクタ1036などの雄電気コネクタと接続して使用するための雌電気コネクタである。組み立てられると、上側プリント基板1032を下側プリント基板1030に接続するために、エッジコネクタ1036はエッジコネクタソケット1038と結合する。
【0094】
携帯用の測定システム1000は、第4ギヤ1042を駆動するモータ1040を含んでいる。プライミングギヤ1044は、第4ギヤ1042および第5ギヤ1046と接続する。第4ギヤ1042、プライミングギヤ1044および第5ギヤ1046の配置は、モータ1040が、ギヤ1042、1044および1046の回転方向に応じて、少なくとも2つの機能を有することを可能にする。第4ギヤ1042がモータ1040により時計方向に回転する場合には、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126は、以下により詳細に記載されるように、次の穿刺、サンプリングおよび検査のために回転される。また第4ギヤ1042がモータ1040により反時計方向に回転する場合には、スプリングモータ1050は、以下により詳細に示すように、クランクシャフト1070を駆動するように準備され、そしてトリガー後には、穿刺、サンプリングおよび検査をもたらす。
【0095】
図60、61および62に示すように、携帯用の測定システム1000はフォーススプリング1060を含んでいる。携帯用の測定システム1000は、クランクアーム1072に接続されるクランクシャフト1070も含んでいる。図66に示すように、クランクシャフト1070はダンプナーストップタブ1200を有する。クランクアーム1072は、跳ね上げ式リンク1074に枢動可能に接続される。跳ね上げ式リンク1074は、ランセット124に係合する駆動部136に接続される。携帯用の測定システム1000は、第5ギヤ1046を通って延伸するワンウェイクラッチ1080およびウォームドライブ1090を含んでいる。また携帯用の測定システム1000は、第1ベアリングキャップ1092および第2ベアリングキャップ1094を有し、第2ベアリングキャップ1094はハードストップ1096を有する。
【0096】
図63に示すように、携帯用の測定システム1000はフレーム1100を含んでいる。フレーム1100は、モータ1040、クランクシャフト1070、跳ね上げ式リンク1074、ワンウェイクラッチ1080およびウォームドライブ1090を支持する。とりわけ、跳ね上げ式リンク1074はフレーム1100に枢動可能に取り付けられる。フレーム1100は下側のプリント基板1030の隣に配置される。
【0097】
図67、68および69は、携帯用の計測システム1000によるランセット124の作動を示す。図67に示すように、クランクシャフト1070、クランクアーム1072、跳ね上げ式リンク1074、駆動部136およびランセット124は初期位置にある。図67において、クランクアーム1072は0度の位置または切開部形成前の位置にある。ユーザは、開口部1015に対して指を置き、プレッシャーカップ1014を基部1008に向かって押圧する。このプレッシャーカップ1014は、以下のように、ランセット124を作動させるために、指からの力を伝達するプレッシャーカップ1014の動作を可能にするよう構成される。プレッシャーカップ1014は、一対のトリガーコンタクトタブ1016からの力を一対のタブ1021に伝達し、リリースアーム1020を基部1008に向かって移動させるために、リリースアーム1020を押し付ける。リリースアーム1020が移動するにつれて、トリガー1062は、クランクシャフト1070およびクランクアーム1072を駆動するために、ラッチに係合し、スプリングモータ1050を解放する。
【0098】
図68に示すように、クランクシャフト1070は、クランクアーム1072をその初期位置から反時計方向に約90度回転させる。クランクアーム1072はそれに応じて跳ね上げ式リンク1074を時計方向に回転または枢動させる。クランクアーム1072はこのとき90度の位置または切開部形成位置にある。跳ね上げ式リンク1074が回転するにつれて、開口部1015を通してランセットチップ146を回転させて皮膚中に切開部を形成し、体液試料を採取するために、駆動部136も時計方向に回転する。ランセットチップ146は数ミリ秒でユーザの指まで持ち上げられる。一実施形態では、ランセットチップ146はおよそ3〜5ミリ秒で指まで持ち上げられた。クランクシャフト1070の動作は、ランセット124が、次に記載するランセット124の引き抜きに比べて、組織中に迅速に切開部を形成するような「ファストイン(fast-in)」位置をもたらす。
【0099】
図69に示すように、クランクシャフト1070は、クランクアーム1072をその切開部形成位置から反時計方向に約180度回転させる。ダンプナーストップタブ1200は、ランセットチップ146が検査セクション124に接触する最終位置にランセット124をゆっくりと戻すために、フレーム1100と係合する。これは、切開部を形成するランセットに比べて、ランセット124が最終位置にゆっくりと戻る「スローアウト(slow-out)」位置をもたらす。一実施形態においては、ランセットチップ146が切開部を形成するために必要な時間は、ランセットチップ146がその最終位置に戻るために必要な時間よりも、10倍から100倍短い。この時クランクアーム1072はその初期位置から270度の位置にある。この位置で、体液試料は、ランセットチップ146から複数の検査セクション128のうち対応する1つへと移送される。跳ね上げ式リンク1074は、未使用のランセット124への回転およびその後の検査のために、駆動部136をランセットフレーム130の下に下げてランセットフレーム130をクリアする目的で、反時計方向に回転される。
【0100】
クランクシャフト1070は、次に続く穿刺、サンプリングおよび検査のために、クランクアーム1072を体液移送位置から初期位置まで反時計方向に約90度回転させ続ける。
【0101】
図71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84および85には、一実施形態による携帯用の測定システム2000が示される。この測定システム2000および図54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69および70に示される携帯用の測定システム1000で共通する特徴については、簡潔さのために記載しない。図71および73を参照すると、測定システム2000は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126を収容するハウジング2002を含んでいる。明瞭さのために、図解的にはランセットフレーム130のみが計測システム2000中に示されているが、計測システム2000は、ランセットホイール122およびテストリング126に関しても説明される。またこの携帯用の計測システム2000はランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126に関して記載されるが、計測システム2000は上述したカートリッジおよび/またはランセットフレーム、ランセットホイールおよびテストリングに適合され得る。測定システム2000は、電子トリガーシステムおよび穿刺深さを調節するシステムを含むが、これに対して測定システム1000はこれらの特徴を有していない。
【0102】
図71に示されるように、ハウジング2002はフロントカバー2004、ドア2006および基部2008を含んでいる。フロントカバー2004は、検査結果ならびに他の情報を表示するためのディスプレイ2012を有する。しかしながら計測システム2000は、例えばスピーカなどの他の出力装置も有し得るということを理解されたい。ドア2006は、ランセットフレーム130、ランセットホイール122およびテストリング126の上に配置される開口部2015を含んでいる。作動に際して、ランセットチップ146は、皮膚中に切開部を形成するために開口部2015を出る。測定システム2000は、穿刺、サンプリングおよび検査をトリガーするプレッシャーカップを有していない。代わりに測定システム2000は、開口部2015を覆って置かれる指または他の体の部位の存在を感知または検知する電力センサ(図示せず)を含んでいる。指の力が開口部2015で検知されると、モータ2040が再び動き始め、以下により詳細に記載するように、穿刺、サンプリングおよび検査を完了させるためにランセット124を発射する。
【0103】
携帯用の測定システム2000は、穿刺のために、複数のランセット124のそれぞれの穿刺深さを調節するホイール2001を含んでいる。ホイール2001は、以下により詳細に記載するように、ランセット124のうち稼動可能なものの1つの穿刺深さを浅い深さ設定または深い深さ設定のいずれかに調節するために回転される。最初にホイール2001は、ランセット124の1つが図73に示すような浅い深さ設定に位置するように、シャフト2200の一端上に取り付けられる。シャフト2200の中央に沿って取り付けられるのは、図72に示すように第1スロット2204を画定する第1レバー2202である。シャフト2200の反対側の端部に取り付けられるのは、第1レバー2202と類似した第2レバー2212である。第2レバー2212は第2スロット2214を画定する。第1ピン2206の第1端部は、第1スロット2204に入るように構成され、ピン2206の第2端部は、第2スロット2214に入るように構成される。浅い深さ設定から深い深さ設定へのホイール2001の回転に応じて第1レバー2202および第2レバー2212が回転されるにしたがって、第1ピン2206は、第1スロット2204および第2スロット2214に沿って乗りかかるか、その中でスライドする。第1ピン2206の真ん中の部分は、中間アーム2230に画定される第1開口部2232を貫通して入るよう構成される。第1レバー2202および第2レバー2212は、深さ設定を「浅い」穿刺または「深い」穿刺のいずれかに設定する第1ピン2206の位置を制御するために、共に機能するか、またはペアとして機能する。
【0104】
図74に示すように、中間アーム2230は、第1開口部2232を画定する上半分部2236を含んでいる。また中間アーム2230は、以下に記載するように、跳ね上げ式リンク2074のスロット2080に入り、このスロット内でスライドする第2ピン2082を含む下半分部2238も含んでいる。
【0105】
跳ね上げ式リンク2074はシャフト2200上に取り付けられる。跳ね上げ式リンク2074は、各ランセット124に係合する駆動部136に取り付けられる。また跳ね上げ式リンク2074は、中間アーム2230の第2ピン2082を受け入れるように構成されるスロット2080を画定する。
【0106】
測定システム2000は、携帯用の測定システム1000とは異なる作動システムも有する。測定システム2000は、クランクシャフト1070と同様のクランクシャフト2070を含んでいる。クランクシャフト2070は、図75および78に示されるように、使用されたランセットの最終位置においてクランクアーム2072に接触するように構成されるストッパ2252を備えるディスク2250を含んでいる。クランクアーム2072はクランクアーム1072に類似しているが、クランクアーム2072の第1端部は、ディスク2250上に回転可能に取り付けられる。クランクアーム2072の第2端部は、中間アーム2230に枢動可能に取り付けられる。図80に示されるように、クランクシャフト2070はダンプナーストップタブ2200を有する。中間アーム2230の第2ピン2082は、跳ね上げ式リンク2074および対応する駆動部136を回転させるために、跳ね上げ式リンク2074のスロット2080でスライドする。クランクシャフト2070、クランクアーム2072、中間アーム2230および跳ね上げ式リンク2074の相互作用については、以下に詳細に記載する。
【0107】
図73に示すように、測定システム2000は、第4ギヤ2042および第5ギヤ2046と接続するプライミングギヤ2044を有する。第4ギヤ2042、プライミングギヤ2044および第5ギヤ2046は、測定システム1000の第4ギヤ1042、プライミングギヤ1044および第5ギヤ1046に類似している。
【0108】
図82、83、84および85に示すように、測定システム2000は電子トリガーシステムを含んでいる。キャッチ2282を有するトリガーカム2280がプライミングギヤ2044に取り付けられる。キャッチリリースピボットシャフト2047はキャッチ2282内部に乗りかかる。このキャッチリリースピボットシャフト2047は、ガイドまたはフォロアピン2284を有する。このフォロアピン2284は、ギヤ2044中のカムグルーブ2286に沿って移動する。
【0109】
携帯用の測定システム2000は、第4ギヤ2042を駆動するモータ2040を含んでいる。モータ1040と同様、モータ2040は、ギヤ2042、2044および2046の回転方向によって少なくとも2つの機能を有する。モータ2040が「オン」にされると、モータ2040は一回転の4分の3を巻回し、その後停止する。指の力が開口部2015上で検知されると、モータ2040は再び動き始め、ランセット124を発射する。
【0110】
測定システム2000はまた、次に記載するように、ランセット124の浅い穿刺深さ設定または深い穿刺深さ設定のいずれかに調整され得る。図73に示すように、第1スロット2204、第1開口部2232および第2スロット2214(図示せず)に配置されるピン2206は、浅い穿刺深さ設定の初期位置にある。図76に示すように、ランセット124のうち稼動可能なものの1つが深い穿刺深さ設定にあることが必要な場合、ホイール2001は回転される。この回転により、取り付けられているシャフト2200が回転し、第1レバー2202および第2レバー2212(図示せず)が枢動する。この枢動により、今度は、第1スロット2204、第1開口部2232および第2スロット2214(図示せず)にあるピン2206が、下方に移動するか、またはクランクアーム2072に向かって移動する。ホイール2001が深い穿刺深さ設定まで回転された後、ピン2206は、跳ね上げ式リンク2074および駆動部136をより長い距離だけ回転させるように配置される。それにより、ランセット124のうち稼動可能なものの1つがより長い距離を移動し、より深い切開部を形成する。
【0111】
図73、74および75は、携帯用の測定システム2000による、ランセット124のうち稼動可能なものの1つの作動を示している。ここでは、測定システム2000は浅い穿刺深さ設定にあり、また第1ピン2206は中間アーム2230の第1開口部2232の上部に配置されている。クランクシャフト2070、クランクアーム2072、中間アーム2072、中間アーム2230、跳ね上げ式リンク2074、駆動部136およびランセット124は、図73に示すように初期位置にある。図73において、クランクアーム2072は0度の位置または切開部形成前の位置にある。ユーザがモータ2040を「オン」にすると、モータ2040は一回転の4分の3を巻回し、その後停止する。ユーザは開口部2015に指を置く。電気センサは指の力を感知し、モータ2040は再び動き始める。スプリング2050は、モータ2040、第4ギヤ2042およびプライミングギヤ2044の相互作用により一周巻回される。キャッチリリースピボットシャフト2047はその後、クランクシャフト2070およびクランクアーム2072を駆動するために、スプリングモータ2050を解放するように作動される。
【0112】
図74に示すように、クランクシャフト2070は、クランクアーム2072をその初期位置から反時計方向に約90度回転させる。クランクアーム2072は、それに応じて中間アーム2230および跳ね上げ式リンク2074を時計方向に回転または枢動させる。中間アーム2230の第2ピン2082は、跳ね上げ式リンク2074のスロット2080の上部位置にあり、それにより、跳ね上げ式リンク2074および対応する駆動部136が駆動部136を開口部2015へ回転させる。クランクアーム2072はこのとき、90度の位置または切開部形成位置にある。跳ね上げ式リンク2074が回転するにつれて、駆動部136も時計方向に回転する。これは、開口部2015を通してランセットチップ146が回転し、皮膚中に切開部を形成し、体液試料を採取するためである。ランセットチップ146は数ミリ秒でユーザの指まで持ち上げられる。一実施形態では、ランセットチップ146はおよそ3〜5ミリ秒で指まで持ち上げられた。クランクシャフト2070の動作は、測定システム1000のクランクシャフト1070と同様に、「ファストイン(fast-in)」位置をもたらす。
【0113】
図75に示すように、クランクシャフト2070は、クランクアーム2072をその切開部形成位置から反時計方向に約180度回転させ続ける。ストッパ2252はクランクアーム2072に接触し、ダンプナーストップタブ2200は、ランセット124が検査セクション128に接触する最終位置にランセット124をゆっくりと戻すために、フレーム2100(図示せず)と係合する。これは測定システム1000と同様の「スローアウト」位置をもたらす。一実施形態においては、ランセットチップ146が切開部を形成するために必要な時間は、ランセットチップ146がその最終位置に戻るために必要な時間よりも、2倍短い。この時クランクアーム2072はその初期位置から270度の位置にある。この最終位置で、体液試料は、ランセットチップ146から複数の検査セクション128のうちの対応する1つへと移送される。図75に示すように、中間アーム2230の第2ピン2082は、跳ね上げ式リンク2074のスロット2080の底にあり、それにより、跳ね上げ式リンク2074および対応する駆動部136がランセットフレーム130の下に駆動部136を回転させる。これは、駆動部136が、未使用のランセット124へのランセットフレーム130の回転および次に続く検査のために、ランセットフレーム130をクリアすることを目的とする。
【0114】
クランクシャフト2070は、次に続く穿刺、サンプリングおよび検査のために、クランクアーム2072を体液移送位置から初期位置まで時計方向に約270度回転させるようにその方向を逆にする。
【0115】
図76、77および78は、携帯用測定システム2000によるランセット124の作動を示し、ここで測定システム2000は深い穿刺深さ設定にある。ホイール2001は回転されるが、これは、第1ピン2206を中間アーム2230の第1開口部2232の底に下げ、そしてランセット124の稼動可能なものの1つのより深い穿刺深さ設定を引き起こすように跳ね上げ式リンク2074および駆動部136を浅い深さ設定を超えて回転させるためである。クランクシャフト2070、クランクアーム2072、中間アーム2230、跳ね上げ式リンク2074、駆動部136およびランセット124は、図73、74および75に関して上述したように作動する。
【0116】
本発明は、図面および上記の記載において詳細に図示および説明されているが、これは例示として考えられるべきであり、文字に限定されるべきではなく、好ましい実施形態だけが示され、また説明され、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内で行われるあらゆる変更、均等物および改良が保護されることが求められるものである。本明細書で引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、それぞれが参照により組み入れられかつその全体が本明細書中に記載されるべく具体的かつ個別に示唆されるように、引用によってここに援用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成部品のドロップインアセンブリを有する一体型カートリッジを含む装置であって、
前記一体型カートリッジが、
ランセットリムから放射状に内側に延伸した複数のランセットを備えるランセットリムを有するランセットホイールであって、前記ランセットのそれぞれがレッグ部と前記レッグ部に対して略直交方向に延びるランセットチップとを有する前記ランセットホイールと、
複数のチャンバを備えるエッグクレート形状を有するフレームであって、前記フレームへの前記ランセットホイールのドロップインアセンブリを容易にするための前記フレームとを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記装置が、
連続する化学ストリップを有する、複数の検査セクションに区分可能なテストリングをさらに含み、
前記複数のチャンバが、前記テストリングを前記複数の検査セクションに区分けするように構成され、前記ランセットのそれぞれが、1つの検査セクションに隣接して配置されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ランセットのそれぞれが、検査セクションに接触し、体液試料を検査セクション上に付着させるためのコンタクト部を有し、前記レッグ部が、前記ランセットチップが切開部を形成する第1位置と前記コンタクト部が前記検査セクションに接触する第2位置との間を移動するために弾性を有することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記フレームが、前記ランセットの前記コンタクト部を受け入れるような大きさに形成された複数のウィンドウを画定し、
前記複数のウィンドウを被覆するために前記ランセットリムおよび前記テストリングの間に配置される複数のカバーバリヤをさらに含んでなり、
前記複数のカバーバリヤのそれぞれが、前記ランセットの前記コンタクト部を受け入れるような大きさに形成されたスロットを画定し、前記複数のカバーバリヤが、前記カバーバリヤの下の前記検査セクションを露出し、前記ランセットの前記コンタクト部が前記検査セクションに接触することを可能にするために、前記カバーバリヤが前記ウィンドウを被覆する第1位置と前記スロットがウィンドウの上に並ぶ第2位置との間で動作可能であることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記複数のチャンバおよび前記複数のランセットチップを被覆するように構成される第1滅菌シートをさらに備え、
前記フレームが、駆動部を受け入れるような大きさに形成される複数の開口部を含み、
前記複数の開口部および前記複数のチャンバを被覆するように構成される第2滅菌シートをさらに備え、
前記テストリング、前記第1滅菌シートおよび前記第2滅菌シートが、未使用のランセットの無菌状態および未使用の検査セクションの湿度を維持することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項6】
前記ランセットチップが、皮膚中に切開部を形成するように構成され、前記ランセットチップが、毛管作用により前記体液試料を採取するよう構成される毛管溝を含んでいることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、
計測器であって、前記計測器内に保管される一体型のカートリッジを有する計測器と、
前記ランセットを回転させ、前記ランセットチップにより皮膚中に切開部を形成するために、前記ランセットの前記レッグ部と係合するように構成される駆動部とをさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
乾燥材で作製された複数のウェッジをさらに含み、前記ウェッジの1つが前記フレームの各チャンバ内に配置されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、
連続する化学ストリップを有する、複数の検査セクションに区分され得るテストリングをさらに備え、
前記複数のチャンバが、前記テストリングを前記複数の検査セクションに区分するよう構成され、また前記ランセットのそれぞれが、1つの検査セクションに隣接して配置され、
前記テストリングを受け入れ、複数のウィンドウを通した前記複数の検査セクションの観察を容易にするように構成される前記複数のウィンドウを画定するテストリングフレームをさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記テストリングフレームが、前記ランセットのランセットチップを受け入れるような大きさに形成される複数のテスター開口部を画定する装置であって、
前記複数のテスター開口部および前記複数のランセットチップを被覆するように構成される第1滅菌シートと、
前記フレームの前記複数のチャンバを被覆するように構成される第2滅菌シートとをさらに含んでなり、
前記テストリング、前記第1滅菌シートおよび前記第2滅菌シートが、未使用のランセットの無菌状態および未使用の検査セクションの湿度を維持することを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記ランセットのそれぞれが、検査セクションに接触し、体液試料を前記検査セクション上に付着させるためにランセットチップを有し、前記レッグ部が、前記ランセットチップが切開部を形成する第1位置と、前記ランセットチップが前記検査セクションに接触する第2位置との間で移動するように弾性を有することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項12】
前記フレームが複数のスラットを含み、前記複数のスラットの各対が、穿刺前および穿刺後の前記ランセットを制止するために、前記複数のチャンバのそれぞれに配置されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記ランセットチップのそれぞれが、検査セクションに接触し、体液試料を前記検査セクション上に付着させるように構成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項14】
一体型使い捨てカートリッジを組み立てる工程であって、前記組み立て工程が、ランセットホイールを円形フレーム内にドロップインさせることを含み、前記ランセットホイールは内側に向かって放射状に延伸する複数のランセットを備えたリムを有し、前記フレームは複数のチャンバを画定する複数のスポークを有する、一体型使い捨てカートリッジを組み立てる工程と、
前記ランセットのそれぞれを前記チャンバの1つに配置する工程とを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記組み立てる工程がさらに、
連続する化学ストリップを有するテストリングを前記フレーム上に取り付ける工程と、
前記複数のスポークによって、前記テストリングを複数の検査セクションに区分する工程とを含み、前記検査セクションのそれぞれが前記ランセットの1つの下に配置されることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記組み立てる工程がさらに、
前記ランセットおよび対応するカバーバリヤが作動されるまで、前記ランセットと前記検査セクションとの間の接触を防ぐために、前記複数のランセットと前記複数の検査セクションとの間に複数の移動可能なカバーバリヤを配置する工程を含み、
前記カバーバリヤのそれぞれが、前記ランセットによって接触されるように、前記検査セクションの一部を露出するためのウィンドウを画定することを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記ランセットのそれぞれがランセットチップおよび弾性を有するレッグ部を有し、
前記レッグ部が第1位置にある位置において、前記ランセットチップの1つで組織中に切開部を形成する工程と、
前記レッグ部が第2位置にある位置において、体液試料を前記ランセットチップから前記検査セクションに移送する工程とをさらに含んでいることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記複数のランセットを作動するように構成される計測器内に前記一体型使い捨てカートリッジを装着する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項19】
複数のウェッジを備えるリムを有している乾燥力のあるホイールを前記円形のフレーム内にドロップインさせる工程と、
前記ウェッジのそれぞれを前記チャンバの1つに配置する工程とをさらに含んでいることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項20】
フレーム、リムから内側に向かって放射状に延伸する複数のランセットを有するランセットホイールおよび複数の検査セクションを有するテストリングを含み、前記複数のランセットが前記複数の検査セクションに接触する一体型使い捨てカートリッジを提供する工程と、
前記複数の検査セクションから離れる方に前記ランセットを回転することにより、前記ランセットの1つで組織中に前記切開部を形成する工程と、
前記ランセット上の毛管溝で体液試料を採取する工程と、
前記複数の検査セクションに向かって前記ランセットを回転させることにより、組織中の前記切開部から前記ランセットを引き抜く工程と、
前記体液試料を放出するために、前記検査セクションを前記ランセットに接触させることによって、前記ランセット上の前記毛管溝から前記検査セクションの1つへと前記体液試料を移送する工程とを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記複数の検査セクションから離れる方に前記ランセットを回転することが、前記ランセットに接触するために、前記フレームに対して水平方向に、前記ランセットに向けて駆動部を移動させることを含み、
前記複数の検査セクションに向かって前記ランセットを回転させることが、前記フレームに対して水平方向に、前記ランセットから離れる方に前記駆動部を移動させることを含んでいることをさらに特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記毛管溝中の前記体液試料を前記検査セクションに移送した後、前記フレームを未使用のランセットに対して位置決めする工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項23】
適切な量の体液試料を得るために、前記ランセットで皮膚中に第2切開部を形成する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項24】
基部、複数のランセットおよび複数のリブを含むマイクロサンプラーホイールを含んでなる装置であって、
前記複数のリブおよび前記複数のランセットが、前記基部から放射状に外側に向かって延伸し、互い違いに配置されており、
前記ランセットのそれぞれが、皮膚中に切開部を形成するよう構成される湾曲したランセットチップを有し、
前記ランセットのそれぞれが、前記切開部を形成する間前記基部の周りを回転するように構成され、前記ランセットの前記回転の曲率が、前記ランセットチップの曲率と類似し、
前記複数のリブのそれぞれが、前記ランセットチップの穿刺深さが決定される基準面として配置されることを特徴とする装置。
【請求項25】
前記複数のランセットのそれぞれが、レッグ部、第1レッグ部材および第2レッグ部材を含んでなる装置であって、
前記レッグ部が、前記基部に取り付けられ、前記基部から前記第1レッグ部材へと延伸し、前記基部と鋭角である第1角度を形成し、
前記第1レッグ部材が、前記レッグ部と前記第2レッグ部との間に広がり、前記レッグ部と鈍角である第2角度を形成し、
前記第2レッグ部材が、前記第1レッグ部材と前記ランセットチップとの間に広がり、前記ランセットチップが毛管溝を画定し、
前記ランセットの1つと隣接してそれぞれが配置される複数の検査セクションをさらに含んでいることを特徴とする請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記毛管溝が前記ランセットチップの前面に配置され、前記第2レッグ部材の中へと延伸し、
前記検査セクションのそれぞれが、前記第2レッグ部材に隣接して配置されることを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記毛管溝が前記ランセットチップの後面に配置され、前記検査セクションのそれぞれが前記ランセットチップの後面に隣接して配置される請求項25記載の装置。
【請求項28】
前記毛管溝が前記ランセットチップの後面に配置され、
第2毛管溝が、前記ランセットチップ上に配置され、前記体液試料を前記ランセットチップの後面から前面へと移送するために、前記ランセットチップの後面から前記ランセットチップの前面へと延伸し、
前記検査セクションのそれぞれが、前記ランセットチップの前面に隣接して配置される請求項25記載の装置。
【請求項29】
構成部品のドロップインアセンブリを有する一体型カートリッジを含む装置であって、
前記一体型カートリッジが、
複数のランセットを備えるランセットリムを有するランセットホイールであって、前記ランセットが前記ランセットリムから放射状に内側に延伸し、前記ランセットのそれぞれが体液試料をテストエレメントへ移送する手段を有するランセットホイールと、
フレーム上への前記ランセットホイールのドロップインアセンブリを容易にするための手段を有するフレームとを含んでいることを特徴とする装置。
【請求項30】
前記体液試料を移送する手段が、前記テストエレメントに接触し、前記体液試料を前記テストエレメント上に付着させるためのコンタクト部を有する前記ランセットを含んでいることを特徴とする請求項29記載の装置。
【請求項31】
前記体液試料を移送する手段が、前記テストエレメントに接触し、前記体液試料を前記テストエレメント上に付着させるためのランセットチップを有する前記ランセットを含んでいることを特徴とする請求項29記載の装置。
【請求項32】
前記フレーム上への前記ランセットホイールのドロップインアセンブリを容易にするための手段が、複数のチャンバを備えるエッグクレート形状を有するフレームを含んでいることを特徴とする請求項29記載の装置。
【請求項33】
前記フレームが複数の棚部を含み、前記複数の棚部のそれぞれが前記ランセットチップを受け入れるように構成される切欠を画定することを特徴とする請求項29記載の装置。
【請求項34】
前記フレームが複数のスラットを含み、前記複数のスラットの各対が、前記複数のランセットの1つを制止するために前記複数のチャンバのそれぞれに配置される請求項32記載の装置。
【請求項35】
皮膚に接触し、基準面を形成するために、基部部材の周りで基準部材を回転させる第1機構を作動する工程であって、前記基準部材が前記基部部材に取り付けられ、ランセットチップの穿刺深さが前記基準面に対して測定される、第1機構を作動する工程と、
ランセットを前記基部部材の周りで回転させるために、前記基準部材およびランセットに沿って移動する第2機構を作動する工程であって、前記ランセットが前記基部部材に取り付けられ、ランセットチップを有する前記ランセットが皮膚に切開部を形成する、第2機構を作動する工程とを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項36】
前記第1機構を作動する工程が、前記基準部材に対して第1シリンダを押し付けることを含み、
前記第2機構を作動する工程が、前記基準部材および前記ランセットに沿って第2シリンダを移動させることを含んでいることをさらに特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記第1シリンダの押し付けが、前記基準部材を前記皮膚に対してポンプし、前記皮膚の前記切開部に体液を圧出するために、前記第1シリンダを回転させることを含んでいることを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項38】
構成部品のドロップインアセンブリを有する一体型カートリッジを含む装置であって、
前記一体型カートリッジが、
複数のランセットを有するランセットホイールであって、前記ランセットのそれぞれがレッグ部と、および前記レッグ部に略直交方向に延伸するランセットチップとを有するランセットホイールと、
フレーム上への前記ランセットホイールのドロップインアセンブリを容易にするために、複数のチャンバを有するフレームと、
連続する化学ストリップを有し、複数の検査セクションに区分され得るテストリングであって、前記複数のチャンバが、前記テストリングを前記複数の検査セクションに区分けするように構成され、前記ランセットのそれぞれが、1つの検査セクションの隣に配置されるテストリングとを含んでなり、
前記ランセットチップのそれぞれが、検査セクションに接触し、体液試料を前期検査セクション上に付着させるように構成され、前記レッグ部が、前記ランセットチップが切開部を形成する第1位置と前記ランセットチップが前記検査セクションに接触する第2位置との間で移動するために弾性を有することを特徴とする装置。
【請求項1】
構成部品のドロップインアセンブリを有する一体型カートリッジを含む装置であって、
前記一体型カートリッジが、
ランセットリムから放射状に内側に延伸した複数のランセットを備えるランセットリムを有するランセットホイールであって、前記ランセットのそれぞれがレッグ部と前記レッグ部に対して略直交方向に延びるランセットチップとを有する前記ランセットホイールと、
複数のチャンバを備えるエッグクレート形状を有するフレームであって、前記フレームへの前記ランセットホイールのドロップインアセンブリを容易にするための前記フレームとを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記装置が、
連続する化学ストリップを有する、複数の検査セクションに区分可能なテストリングをさらに含み、
前記複数のチャンバが、前記テストリングを前記複数の検査セクションに区分けするように構成され、前記ランセットのそれぞれが、1つの検査セクションに隣接して配置されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ランセットのそれぞれが、検査セクションに接触し、体液試料を検査セクション上に付着させるためのコンタクト部を有し、前記レッグ部が、前記ランセットチップが切開部を形成する第1位置と前記コンタクト部が前記検査セクションに接触する第2位置との間を移動するために弾性を有することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記フレームが、前記ランセットの前記コンタクト部を受け入れるような大きさに形成された複数のウィンドウを画定し、
前記複数のウィンドウを被覆するために前記ランセットリムおよび前記テストリングの間に配置される複数のカバーバリヤをさらに含んでなり、
前記複数のカバーバリヤのそれぞれが、前記ランセットの前記コンタクト部を受け入れるような大きさに形成されたスロットを画定し、前記複数のカバーバリヤが、前記カバーバリヤの下の前記検査セクションを露出し、前記ランセットの前記コンタクト部が前記検査セクションに接触することを可能にするために、前記カバーバリヤが前記ウィンドウを被覆する第1位置と前記スロットがウィンドウの上に並ぶ第2位置との間で動作可能であることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記複数のチャンバおよび前記複数のランセットチップを被覆するように構成される第1滅菌シートをさらに備え、
前記フレームが、駆動部を受け入れるような大きさに形成される複数の開口部を含み、
前記複数の開口部および前記複数のチャンバを被覆するように構成される第2滅菌シートをさらに備え、
前記テストリング、前記第1滅菌シートおよび前記第2滅菌シートが、未使用のランセットの無菌状態および未使用の検査セクションの湿度を維持することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項6】
前記ランセットチップが、皮膚中に切開部を形成するように構成され、前記ランセットチップが、毛管作用により前記体液試料を採取するよう構成される毛管溝を含んでいることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、
計測器であって、前記計測器内に保管される一体型のカートリッジを有する計測器と、
前記ランセットを回転させ、前記ランセットチップにより皮膚中に切開部を形成するために、前記ランセットの前記レッグ部と係合するように構成される駆動部とをさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
乾燥材で作製された複数のウェッジをさらに含み、前記ウェッジの1つが前記フレームの各チャンバ内に配置されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、
連続する化学ストリップを有する、複数の検査セクションに区分され得るテストリングをさらに備え、
前記複数のチャンバが、前記テストリングを前記複数の検査セクションに区分するよう構成され、また前記ランセットのそれぞれが、1つの検査セクションに隣接して配置され、
前記テストリングを受け入れ、複数のウィンドウを通した前記複数の検査セクションの観察を容易にするように構成される前記複数のウィンドウを画定するテストリングフレームをさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記テストリングフレームが、前記ランセットのランセットチップを受け入れるような大きさに形成される複数のテスター開口部を画定する装置であって、
前記複数のテスター開口部および前記複数のランセットチップを被覆するように構成される第1滅菌シートと、
前記フレームの前記複数のチャンバを被覆するように構成される第2滅菌シートとをさらに含んでなり、
前記テストリング、前記第1滅菌シートおよび前記第2滅菌シートが、未使用のランセットの無菌状態および未使用の検査セクションの湿度を維持することを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記ランセットのそれぞれが、検査セクションに接触し、体液試料を前記検査セクション上に付着させるためにランセットチップを有し、前記レッグ部が、前記ランセットチップが切開部を形成する第1位置と、前記ランセットチップが前記検査セクションに接触する第2位置との間で移動するように弾性を有することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項12】
前記フレームが複数のスラットを含み、前記複数のスラットの各対が、穿刺前および穿刺後の前記ランセットを制止するために、前記複数のチャンバのそれぞれに配置されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記ランセットチップのそれぞれが、検査セクションに接触し、体液試料を前記検査セクション上に付着させるように構成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項14】
一体型使い捨てカートリッジを組み立てる工程であって、前記組み立て工程が、ランセットホイールを円形フレーム内にドロップインさせることを含み、前記ランセットホイールは内側に向かって放射状に延伸する複数のランセットを備えたリムを有し、前記フレームは複数のチャンバを画定する複数のスポークを有する、一体型使い捨てカートリッジを組み立てる工程と、
前記ランセットのそれぞれを前記チャンバの1つに配置する工程とを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記組み立てる工程がさらに、
連続する化学ストリップを有するテストリングを前記フレーム上に取り付ける工程と、
前記複数のスポークによって、前記テストリングを複数の検査セクションに区分する工程とを含み、前記検査セクションのそれぞれが前記ランセットの1つの下に配置されることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記組み立てる工程がさらに、
前記ランセットおよび対応するカバーバリヤが作動されるまで、前記ランセットと前記検査セクションとの間の接触を防ぐために、前記複数のランセットと前記複数の検査セクションとの間に複数の移動可能なカバーバリヤを配置する工程を含み、
前記カバーバリヤのそれぞれが、前記ランセットによって接触されるように、前記検査セクションの一部を露出するためのウィンドウを画定することを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記ランセットのそれぞれがランセットチップおよび弾性を有するレッグ部を有し、
前記レッグ部が第1位置にある位置において、前記ランセットチップの1つで組織中に切開部を形成する工程と、
前記レッグ部が第2位置にある位置において、体液試料を前記ランセットチップから前記検査セクションに移送する工程とをさらに含んでいることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記複数のランセットを作動するように構成される計測器内に前記一体型使い捨てカートリッジを装着する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項19】
複数のウェッジを備えるリムを有している乾燥力のあるホイールを前記円形のフレーム内にドロップインさせる工程と、
前記ウェッジのそれぞれを前記チャンバの1つに配置する工程とをさらに含んでいることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項20】
フレーム、リムから内側に向かって放射状に延伸する複数のランセットを有するランセットホイールおよび複数の検査セクションを有するテストリングを含み、前記複数のランセットが前記複数の検査セクションに接触する一体型使い捨てカートリッジを提供する工程と、
前記複数の検査セクションから離れる方に前記ランセットを回転することにより、前記ランセットの1つで組織中に前記切開部を形成する工程と、
前記ランセット上の毛管溝で体液試料を採取する工程と、
前記複数の検査セクションに向かって前記ランセットを回転させることにより、組織中の前記切開部から前記ランセットを引き抜く工程と、
前記体液試料を放出するために、前記検査セクションを前記ランセットに接触させることによって、前記ランセット上の前記毛管溝から前記検査セクションの1つへと前記体液試料を移送する工程とを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記複数の検査セクションから離れる方に前記ランセットを回転することが、前記ランセットに接触するために、前記フレームに対して水平方向に、前記ランセットに向けて駆動部を移動させることを含み、
前記複数の検査セクションに向かって前記ランセットを回転させることが、前記フレームに対して水平方向に、前記ランセットから離れる方に前記駆動部を移動させることを含んでいることをさらに特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記毛管溝中の前記体液試料を前記検査セクションに移送した後、前記フレームを未使用のランセットに対して位置決めする工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項23】
適切な量の体液試料を得るために、前記ランセットで皮膚中に第2切開部を形成する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項24】
基部、複数のランセットおよび複数のリブを含むマイクロサンプラーホイールを含んでなる装置であって、
前記複数のリブおよび前記複数のランセットが、前記基部から放射状に外側に向かって延伸し、互い違いに配置されており、
前記ランセットのそれぞれが、皮膚中に切開部を形成するよう構成される湾曲したランセットチップを有し、
前記ランセットのそれぞれが、前記切開部を形成する間前記基部の周りを回転するように構成され、前記ランセットの前記回転の曲率が、前記ランセットチップの曲率と類似し、
前記複数のリブのそれぞれが、前記ランセットチップの穿刺深さが決定される基準面として配置されることを特徴とする装置。
【請求項25】
前記複数のランセットのそれぞれが、レッグ部、第1レッグ部材および第2レッグ部材を含んでなる装置であって、
前記レッグ部が、前記基部に取り付けられ、前記基部から前記第1レッグ部材へと延伸し、前記基部と鋭角である第1角度を形成し、
前記第1レッグ部材が、前記レッグ部と前記第2レッグ部との間に広がり、前記レッグ部と鈍角である第2角度を形成し、
前記第2レッグ部材が、前記第1レッグ部材と前記ランセットチップとの間に広がり、前記ランセットチップが毛管溝を画定し、
前記ランセットの1つと隣接してそれぞれが配置される複数の検査セクションをさらに含んでいることを特徴とする請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記毛管溝が前記ランセットチップの前面に配置され、前記第2レッグ部材の中へと延伸し、
前記検査セクションのそれぞれが、前記第2レッグ部材に隣接して配置されることを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記毛管溝が前記ランセットチップの後面に配置され、前記検査セクションのそれぞれが前記ランセットチップの後面に隣接して配置される請求項25記載の装置。
【請求項28】
前記毛管溝が前記ランセットチップの後面に配置され、
第2毛管溝が、前記ランセットチップ上に配置され、前記体液試料を前記ランセットチップの後面から前面へと移送するために、前記ランセットチップの後面から前記ランセットチップの前面へと延伸し、
前記検査セクションのそれぞれが、前記ランセットチップの前面に隣接して配置される請求項25記載の装置。
【請求項29】
構成部品のドロップインアセンブリを有する一体型カートリッジを含む装置であって、
前記一体型カートリッジが、
複数のランセットを備えるランセットリムを有するランセットホイールであって、前記ランセットが前記ランセットリムから放射状に内側に延伸し、前記ランセットのそれぞれが体液試料をテストエレメントへ移送する手段を有するランセットホイールと、
フレーム上への前記ランセットホイールのドロップインアセンブリを容易にするための手段を有するフレームとを含んでいることを特徴とする装置。
【請求項30】
前記体液試料を移送する手段が、前記テストエレメントに接触し、前記体液試料を前記テストエレメント上に付着させるためのコンタクト部を有する前記ランセットを含んでいることを特徴とする請求項29記載の装置。
【請求項31】
前記体液試料を移送する手段が、前記テストエレメントに接触し、前記体液試料を前記テストエレメント上に付着させるためのランセットチップを有する前記ランセットを含んでいることを特徴とする請求項29記載の装置。
【請求項32】
前記フレーム上への前記ランセットホイールのドロップインアセンブリを容易にするための手段が、複数のチャンバを備えるエッグクレート形状を有するフレームを含んでいることを特徴とする請求項29記載の装置。
【請求項33】
前記フレームが複数の棚部を含み、前記複数の棚部のそれぞれが前記ランセットチップを受け入れるように構成される切欠を画定することを特徴とする請求項29記載の装置。
【請求項34】
前記フレームが複数のスラットを含み、前記複数のスラットの各対が、前記複数のランセットの1つを制止するために前記複数のチャンバのそれぞれに配置される請求項32記載の装置。
【請求項35】
皮膚に接触し、基準面を形成するために、基部部材の周りで基準部材を回転させる第1機構を作動する工程であって、前記基準部材が前記基部部材に取り付けられ、ランセットチップの穿刺深さが前記基準面に対して測定される、第1機構を作動する工程と、
ランセットを前記基部部材の周りで回転させるために、前記基準部材およびランセットに沿って移動する第2機構を作動する工程であって、前記ランセットが前記基部部材に取り付けられ、ランセットチップを有する前記ランセットが皮膚に切開部を形成する、第2機構を作動する工程とを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項36】
前記第1機構を作動する工程が、前記基準部材に対して第1シリンダを押し付けることを含み、
前記第2機構を作動する工程が、前記基準部材および前記ランセットに沿って第2シリンダを移動させることを含んでいることをさらに特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記第1シリンダの押し付けが、前記基準部材を前記皮膚に対してポンプし、前記皮膚の前記切開部に体液を圧出するために、前記第1シリンダを回転させることを含んでいることを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項38】
構成部品のドロップインアセンブリを有する一体型カートリッジを含む装置であって、
前記一体型カートリッジが、
複数のランセットを有するランセットホイールであって、前記ランセットのそれぞれがレッグ部と、および前記レッグ部に略直交方向に延伸するランセットチップとを有するランセットホイールと、
フレーム上への前記ランセットホイールのドロップインアセンブリを容易にするために、複数のチャンバを有するフレームと、
連続する化学ストリップを有し、複数の検査セクションに区分され得るテストリングであって、前記複数のチャンバが、前記テストリングを前記複数の検査セクションに区分けするように構成され、前記ランセットのそれぞれが、1つの検査セクションの隣に配置されるテストリングとを含んでなり、
前記ランセットチップのそれぞれが、検査セクションに接触し、体液試料を前期検査セクション上に付着させるように構成され、前記レッグ部が、前記ランセットチップが切開部を形成する第1位置と前記ランセットチップが前記検査セクションに接触する第2位置との間で移動するために弾性を有することを特徴とする装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図29】
【図30】
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【図22】
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【図38】
【図39】
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【図50】
【図51】
【図52】
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【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
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【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【図85】
【公表番号】特表2013−505747(P2013−505747A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530154(P2012−530154)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005688
【国際公開番号】WO2011/035867
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005688
【国際公開番号】WO2011/035867
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
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