説明

体表に減圧を送達する装置

陰圧創傷治療(NPWT)としても知られている減圧創傷治療(RPWT)の適用のために、体表に減圧を送達し維持するデバイス。実質的に気密性の密封が、治療される組織の区画の付近に形成される。この密封は、組織の区画から減圧源への流体連通を提供するドレッシングによって形成される。システムは、減圧源への流体連通導管の完全な回転を可能にするように構成されてもよい。システムは、あらゆる排液の逆流を防止するための一方向弁を含むように構成されてもよく、およびドレッシングを通した検査を可能とするように、不透明なフラップによって覆われた透明窓によって構成されてもよい。システムは、減圧が印加されているか否かを視覚的に明確化するインジケータを含むように構成されてもよい。また、システムは、ドレッシングシステムのプロファイルを最小化するように構成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/117,921号(2008年11月25日出願)および米国仮特許出願第61/117,920号(2008年11月25日出願)への米国特許法第119条第(e)項の利益を主張し、これらの出願は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
創傷を処置するための低い大気圧の使用は、古代文明まで遡ることができる。例えば、古代中国は、身体から悪い体液を取り出すために、ガラスチャンバを炎燃させ、次いで皮膚にガラスチャンバを適用することによって、減圧環境を生成する技術である、「吸角法」を使用していた。最新の研究では、減圧を損傷組織に印加するによって、以下のいくつかの有益な効果をもたらし得ることが明らかにされている。1)減圧レベルは、損傷組織縁の後退につながり、したがって、欠陥サイズを縮小させ、創傷収縮を促進することによって、治癒を早め得る。2)減圧は、機械的刺激を損傷組織に提供して、創傷床における増殖因子を解放し、治癒を促進し得る。3)減圧は、損傷組織腔内に吸引力を生成して、損傷組織腔から壊死組織を除去し、細菌数を減少させ得る。4)減圧の印加は、損傷組織への血流を増加させて、治癒を早め得る。5)減圧は、メタロプロテイナーゼ酵素を阻害する肉芽組織を除去して、組織再形成および治癒を向上させ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書において、陰圧創傷治療(NPWT)としても知られている減圧創傷治療(RPWT)の適用のために、体表に減圧を送達し維持することを目的としたデバイスが開示される。この種の治療の適用中、実質的に気密性の密封が、治療される組織の区画の付近に形成される。この密封は、組織の区画から減圧源への流体連通を提供するドレッシングによって形成される。ドレッシングシステムは、このドレッシングの有用性および機能性を高めるように構成され得るか、または、より最適な密封特性、改善された創傷付近の皮膚の保護、および伝統的なRPWTドレッシングシステムより容易な適用性を備えるように構成され得る。一部の実施例において、ドレッシングは、ドレッシング漏れ率、および、ドレッシングが屈曲または収縮する際に形成し得るドレッシング内の隙間を低減するように、皮膚表面における微小亀裂およびひび割れを満たすことに十分な体積または厚さを有する流動性接着剤を備える接着剤層を備えてもよい。接着剤はまた、組織浸軟を低減するための吸湿特性を有し得る。
【0004】
ドレッシングシステムは、様々な他の特徴のうちのいずれかによって構成されてもよい。第一に、システムは、ドレッシングに実質的に垂直な軸に沿って、減圧源への流体連通導管の完全回転を可能にするように構成されてもよい。第二に、システムは、あらゆる排液の逆流を防止するための一方向弁を含むように構成されてもよい。第三に、システムは、ドレッシングを通した検査を可能とするように、不透明なフラップによって覆われた透明窓によって構成されてもよい。第4に、システムは、減圧が印加されているか否かを視覚的に明確化するインジケータを含むように構成されてもよい。第5に、システムは、ドレッシングシステムのプロファイルを最小化するように構成される。
【0005】
一実施形態において、減圧治療システムであって、外縁と、上面と、下面と、少なくとも1つの開口部とを備えるカバー構造と、カバー構造の下面に取り付けられる流動性接着剤層であって、前記流動性接着剤層は、少なくとも約0.2mmの厚さを有する、流動性接着剤層と、電動でない自己生成真空源とを備える、減圧治療システムが提供される。システムは、真空源に取り付くように構成される配管をさらに備えてもよい。真空源は、カバー構造と一体的に形成されてもよい。カバー構造はさらに、少なくともカバー構造の上面に取り付けられるポート部材を備えてもよい。流動性接着剤層は、吸湿性の流動性接着剤層を備えてもよい。一部の変形例において、接着剤層は、少なくとも900g/m/日、1000g/m/日、1100g/m/日もしくは1200g/m/日またはそれ以上の吸水速度を有してもよい。いくつかの他の実施例において、流動性接着剤層は、少なくとも約0.3mm、約0.5mm、約0.7mm、約1mmまたは少なくとも約1.5mmの厚さを有してもよい。一部の場合において、流動性接着剤層は、約20,000センチポアズ乃至約50,000センチポアズ、または約10,000センチポアズ乃至約100,000センチポアズの範囲内の粘度を有してもよい。
【0006】
別の実施形態において、減圧治療システムであって、外縁と、上面と、下面と、少なくとも1つの開口部を備える、カバー構造と、カバー構造の上面に取り付けられ、カバー構造の少なくとも1つの開口部と連通している少なくとも1つのポート管腔を備える、ポート部材と、カバー構造の下面に取り付けられる親水コロイド層であって、親水コロイド層は、少なくとも約0.2mmの厚さを有する、親水コロイド層とを備える、減圧治療システムが提供される。親水コロイド層は、カバー構造の外縁の付近に厚さ低減領域を備えてもよい。一部の実施例において、厚さ低減領域は、エンボス加工または圧縮領域を備えてもよく、および/または親水コロイド層の内部領域に対して増加した密度を備えてもよい。一部の実施例において、システムはさらに、カバー構造上に視覚に訴える格子マーキングを備えてもよい。さらなる実施例において、ポート部材はさらに、基部と、基部に対して回転するように構成される本体とを備えてもよい。ポート部材の基部は、カバー構造の上面に接着されてもよい。システムはさらに、配管を備えてもよく、配管は、外壁と、近位端と、遠位端と、その間の少なくとも1つの管腔と、縦管腔軸と、前記縦管腔軸を横断する第1の寸法と、前記第1の寸法および前記縦管腔軸を横断する第2の寸法とを備える。配管はまた、ポート部材に取り付くように構成されてもよく、またはポート部材と一体的に形成されてもよい。一部の変形例において、配管の第1の寸法は、第2の寸法よりも大きいサイズであってもよく、一部の変形例において、第2の寸法の少なくとも2倍のサイズ、3倍のサイズ、もしくは4倍のサイズ、またはそれ以上であってもよい。配管はまた、略平面の構成の複数の管腔を備えてもよい。一部の実施例において、少なくとも1つのポート管腔は、円形でない断面構成を有し、また、複数の縦稜線であってもよい少なくとも1つの管腔突起部を備えてもよい。配管はまたさらに、配管の少なくとも1つの管腔と外壁との間の連通を提供する、少なくとも1つの側方通路を備えてもよい。システムはまたさらに、配管の外面に密封され、少なくとも1つの側方通路をカバーする弾性構造を備えてもよく、弾性構造はスリーブ構造であってもよい。他の実施例において、弾性構造は、内面が大気圧に暴露されると配管の外壁から第1の距離で離間され、内面が減圧に暴露されると第1の距離よりも短い第2の距離で離間される内面によって構成されてもよい。さらに他の実施例において、ポート部材は、弾性材料を備えてもよい。時折、弾性材料の少なくとも一部は、少なくとも1つのポート管腔内の内圧レベルが、大気圧よりも少なくとも約−50mmHg、約−75mmHg、約−100mmHg、または−125mmHg低いときに、少なくとも1つのポート管腔に変形するように構成されてもよい。カバー構造は、カバー構造と一体的に形成され得る補強構造をさらに備えてもよい。一部の実施例において、補強構造は、カバー構造の上面にあり、かつポート部材を包囲する、第1の隆起構造を備える。システムはまたさらに、第1の隆起構造を包囲する第2の隆起構造を備えてもよい。第1の隆起構造は、分節隆起構造であってもよい。一部の実施例において、補強構造は、カバー構造内に埋設されてもよい。
【0007】
カバー構造はまた、カバー材料を備えてもよく、補強構造は、カバー材料よりも増加したデュロメータを有する補強材料を備える。補強構造は、格子状の補強構造、または放射状のスポーク構造を含んでもよい。一部の変形例において、システムはさらに、親水コロイド層の少なくとも一部に解放可能に接着される解放層を備えてもよい。いくつかの具体的な変形例において、解放層は、親水コロイド層の中心部に解放可能に接着されてもよく、システムはさらに、親水コロイド層の少なくとも周辺部に解放可能に接着され、親水コロイド層と解放層との間に位置する少なくとも1つまたは2つのハンドル層(複数を含む)を備えてもよい。システムはまたさらに、カバー構造の上面に取外し可能に取り付けられる接着剤担体構造を備えてもよい。接着剤担体構造は、第1の担体層と、第2の担体層と、その間の非直線の界面とを備えてもよい。接着剤担体構造はまた、ポート部材を包囲する中心開口部を備えてもよい。中心開口部は、ポート部材から離間していてもよく、一部の変形例において、ポート部材から少なくとも1cm離れていてもよい。一部の実施例において、親水コロイド層は、カバー構造の内部領域の付近よりもカバー構造の外縁の付近に大きいプローブ粘着力を有してもよい。親水コロイド層はまた、カバー構造の内部領域の付近よりもカバー構造の外縁の付近に大きい解放力を有してもよい。一部の場合において、カバー構造に対するポート部材の最大垂直寸法は、最大垂直寸法に対して直角であるポート部材の最大横寸法よりも小さくてもよく、または、最大垂直寸法に対して直角であるポート部材の最大横寸法よりも小さくてもよい。配管はまたさらに、一方向逆止弁を備えてもよい。
【0008】
別の実施形態において、皮膚位置の減圧治療を行うための方法であって、皮膚位置にドレッシングを適用するステップと、皮膚位置にマスクを適用するステップであって、マスクは、内縁と、外縁とを備える、ステップと、液体シーラントをドレッシングおよび皮膚位置に適用するステップと、皮膚位置からマスクを除去するステップとを含む方法が提供される。方法はまた、皮膚位置の縁から前記マスクの内縁を離間させるようにマスクを選択するステップをさらに含んでもよい。方法はまた、皮膚位置上に接触材料を設置するステップであって、皮膚位置は開放創である、ステップ、液体シーラントをドレッシングに適用した後、液体シーラント上にメッシュ材料を設置するステップ、皮膚位置からマスクを除去した後、液体シーラント上にメッシュ材料を設置するステップ、または、液体シーラントを適用する前に、ドレッシング上にメッシュ材料を設置するステップをさらに含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、真空源と使用するように構成されるドレッシングの一実施例を示す図である。
【図2】図2は、真空源と使用するように構成されるコネクタの概略的な側面立面切断図である。
【図3】図3Aは、図2におけるポートアセンブリの断面コンポーネント図である。図3Bは、組み立てられた構成での図3Aのポートアセンブリの断面図である。
【図4】図4は、真空源と使用するように構成されるドレッシングの別の実施例を示す図である。
【図5】図5は、真空源と使用するように構成されるドレッシングの別の実施例を示す図である。
【図6】図6Aおよび6Bは、圧力インジケータを有するポートアセンブリの一実施例を示す図である。
【図7】図7Aおよび7Bは、圧力インジケータを有するポートアセンブリの別の実施例を示す図である。
【図8】図8Aおよび8Bは、圧力インジケータを有するポートアセンブリの別の実施例を示す図である。
【図9】図9Aおよび9Bは、薄型ポートアセンブリの一実施例の上面または側面立面図である。
【図10】図10Aおよび10Bは、薄型ポートアセンブリの別の実施例の上面立面図および側面断面図であり、図10Cおよび10Dは、薄型導管の様々な実施例の斜視断面図である。
【図11】図11Aは、薄型ドレッシングの別の実施例の斜視図であり、図11Bは、図11Aにおけるドレッシングの薄型導管の断面図であり、図11Cは、薄型導管の代替例の断面図である。
【図12】図12は、圧力インジケータを有するポートアセンブリの別の実施例の図である。
【図13】図13は、薄型ポートアセンブリの別の実施例の概略図である。
【図14】図14は、薄型ポートアセンブリの別の実施例の概略図である。
【図15】図15は、図1に示されるドレッシングのための解放直線構成の一実施例を示す図である。
【図16】図16は、図1に示されるドレッシングのための解放直線構成の別の実施例を示す図である。
【図17】図17は、図1に示されるドレッシングのための解放直線構成の一実施例を示す図である。
【図18−1】図18Aおよび18Bは、担体層および複数の解放層を備えるドレッシングの一実施例の上方および下方斜視図であり、図18Cは、図18Aにおけるドレッシングの展開上方斜視図であり、図18Dは、図18Cにおけるドレッシングの概略的な展開側面図である。
【図18−2】図18Aおよび18Bは、担体層および複数の解放層を備えるドレッシングの一実施例の上方および下方斜視図であり、図18Cは、図18Aにおけるドレッシングの展開上方斜視図であり、図18Dは、図18Cにおけるドレッシングの概略的な展開側面図である。
【図19】図19Aおよび19Bは、特別整形後の図18Aおよび18Bにおけるドレッシングの上方および下方斜視図である。
【図20】図20は、ポート部材および導管を有する、図18Aにおけるドレッシングの一実施例を示す図である。
【図21】図21Aおよび21Bは、補強ドレッシングの一実施例の上方および下方概略斜視図である。
【図22】図22Aおよび22Bは、補強ドレッシングの別の実施例の上方および下方概略斜視図である。
【図23】図23は、図1におけるドレッシングとともに使用するように構成される担体層の別の実施例を示す図である。
【図24】図24は、補強ドレッシングの別の実施例の概略上方斜視図である。
【図25】図25は、補強ドレッシングのさらに別の実施例の概略上方図である。
【図26】図26Aから26Cは、液体シーラントを使用して治療部位にドレッシングを密封させるための1つの方法を示す図である。
【図27】図27は、メッシュ補強された液体密封ドレッシングの概略上面斜視図である。
【図28】図28は、液体密封システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
身体の部位に対する減圧の印加は、いくつかの用途において、治療上有益であることが示されている。1つのそのような領域は、治癒を加速または促進するための、慢性的創傷等の損傷組織に対する減圧の印加である。特定の印加領域とは無関係に、減圧の印加には、実質的に気密性の密封を形成する必要がある。
【0011】
減圧創傷治療(RPWT)において、接着剤層を有する閉塞カバーシートを備えるカバー構造またはドレッシングが、創傷上に適用され、これに、ガーゼ、フォームまたはその他の多孔質材料等の接触材料を充填して、緩衝および創傷床全体への減圧の分布を提供し得る。接着剤シートは、ドレッシングとして機能し、創傷を包含する実質的に気密性の封入体を形成し得る。この封入体は、減圧源と流体連通している。減圧源は、電気真空ポンプ、壁内吸引、または電動でない吸引デバイスを備えてもよい。真空源と閉塞シートとの間の流体連通は、閉塞シートにおける開口部と連通するか、またはドレッシングを通過する導管によって提供される。
【0012】
RPWTを提供する上での大きな課題の1つは、ドレッシングの適用、および治療中におけるしっかりとした密封の維持である。現在の技術は、容易に縮皺および折曲がり得る、薄いポリウレタン接着剤フィルムを利用する。これらのフィルムは、患者の移動および減圧自体によってもたらされる機械的変形を含む多くの理由から、気密性を維持できなくなることが多い。その機械的特性および接着特性に関連したフィルムの性質によって適用が困難となり、時間を要するようになる。加えて、従来のドレッシングは、除去時に繊細な創傷付近の皮膚に対して外傷を与える可能性があり、主要なRPWT治療創傷の直近の創傷付近領域におけるより小さい付随創傷病巣を治療するように構成されていない。さらに、つま先の底部等、事前に製造されたドレッシングの適用を困難にし、時折実用的ではないものとする特定の形状を有する場所がある。
【0013】
例えば、手術の間、ドレッシングに印加された減圧は、それが接着される輪郭上で引かれるため、ドレッシング層の屈曲をもたらし得る。例えば、ドレッシングに取り付けられる吸引要素は、減圧の印加によって周囲のドレッシングを引き付け、ドレッシング上に印加された収縮力が、ドレッシングを屈曲させ、吸引要素取付領域から外側に放射状に伸びるチャネルを形成し得る。これらのチャネルがドレッシング境界を越えると、漏洩経路が形成されて所望の密封が低下し得る。ドレッシングの適用はまた、解剖学的湾曲に対する対応および適応の間、皺の形成をもたらし得る。医療関係者は、多くの場合、これらの皺を伸ばそうとするが、一般に使用される薄いフィルムのドレッシング接着剤の特性は、形成される漏洩経路を閉鎖するために十分なチャネルの充填を不可能とし、使用する上で煩雑となり得る。したがって、RPWTが適用される創傷部位の気密性密封を形成する、改善されたデバイスおよび方法が必要とされている。
【0014】
数ある領域のうち、創傷ケア、経皮的薬物送達、および信号モニタリング(すなわちEKG)における他の一般的な例において、ドレッシング型デバイスまたは接着材料の身体部位に対する効果的な適用は、適用されると高性能ドレッシングをもたらす態様そのものによって複雑化され得る。すなわち、柔軟な材料が、様々な身体の曲面に対する高度の適応性を可能とする。同様に、かなりの量の拡張を許容するドレッシングは、自然な身体の動きおよび屈曲/伸長運動に対応する。適切な接着性を有する接着剤との組み合わせにおいて、これらのドレッシングは、外部環境条件における著しい変動に対しても、所望の期間、身体部位上に良好に維持され得る。ある特定の経皮薬物送達パッチ、例えばORTHO EVRA(登録商標)によるもの等は、通常の日々の活動および水泳を含む運動を可能としながら、7日間維持されることが示されている。これらのドレッシングシステムの良好な適用は、特に接着剤表面が露出した際にドレッシングの皺および折曲げをもたらす柔軟性によって妨げられる。接着剤表面は、一旦取り付けられると分離することが困難であることが多い。さらに、材料の折曲げを引き離す努力が、ドレッシングの互いに接着した領域の所望の分離ではなく、ドレッシング自体の拡張をもたらすことが多いため、より高拡張性の材料は、さらに状況を悪化させ得る。接着剤の品質は、使用者の指がドレッシング表面に粘着し得るので、所望の表面を身体部位に適用することを困難とし得る。
【0015】
一方、ドレッシングの接着剤強度は、動きによる皺またはチャネル漏洩を防止することに十分強くなり得るが、その下の皮膚への接着が強すぎる場合、これはドレッシングを除去したときにその下の皮膚へ損傷をもたらし得る。これは、特に、静脈うっ血潰瘍、外傷、糖尿病潰瘍、および褥瘡等の多くの創傷疾患において一般的である、創傷周囲の皮膚が極めて脆い患者に対して成り立つ。したがって、空気漏れの防止のために接着を最適化するが、ドレッシング除去によるその下の皮膚に対する外傷を最小化するRPWTドレッシングを開発する必要がある。
【0016】
一部の実施形態において、接着性ドレッシング材料は、改善された隙間および漏洩チャネル充填および密封の特性、ならびに、治療される創傷付近の領域において創傷治癒を保護し促進する特性を有する。ドレッシング自体は、密封を保持および維持し創傷周囲の皮膚を保護するその能力を改善する1つ以上の特異的特性を有し得る。これらの特性には、(1)装着を容易にし、ドレッシングの縮皺および密封の漏洩をもたらし得る縮皺に抵抗するためのドレッシングの増加した厚さ、(2)最大密封を可能としながら、除去中の創傷周囲の皮膚に対する最小の外傷を維持する、ドレッシングの下表面の接着勾配、(3)ドレッシング交換の合間の強力な密封特性を提供し、またドレッシング交換の期間中のより容易でより低外傷的なドレッシング除去を可能とする、経時的に減少する接着強度特性、(4)簡易化された適用のための、より厚い主要なドレッシングおよびより薄い周辺ドレッシングおよび裏打ちシステムを有する二重密封システム、(5)その下の皮膚の浸軟を防止する通気性ドレッシング、(6)その下の皮膚の浸軟を防止し、RPWTによって治療されている中心創傷付近の皮膚創傷に対する湿った創傷治癒環境を促進する吸収性ドレッシング、(7)創傷部位に対するドレッシングの適応を可能としながら剛性および皺予防を最適化する、支持構造および厚み設計要素、(8)活性化後にドレッシングが体表/皮膚の輪郭に流動および変形し、潜在的漏洩チャネルを充填するように構成されるドレッシング、(9)ドレッシングの拡張がドレッシングの恒久的な変形をもたらし、ドレッシング層内に蓄積される弾性エネルギーを最小としながら複雑な解剖学的凹凸の輪郭に沿うことを可能とするように、ドレッシングが塑性変形し得るような配合、(10)一旦所望の身体トポグラフィーに適用されると適応することに十分な可撓性を維持しながら、適用中にその形状を維持することに十分な剛性を有するようにさらに構成されるドレッシングシステム、が含まれる。
【0017】
いくつかのさらなる実施例において、ドレッシングは、活性化後にドレッシングが体表/皮膚の輪郭へと流動および変形し、潜在的な漏洩チャネルを充填するように構成され得る。ドレッシングの接着剤層は、半固体または流動性の接着材料を備えてもよい。そのような接着剤のいくつかの例には、親水コロイドまたはヒドロゲル材料、シリコーン、粘着剤等が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの具体的実施形態において、接着材料は、身体中心部温度(約98.6°F)、室温(約60°F乃至約90°Fの任意の温度)、または体表温度(例えば、約70°F乃至約98°Fの任意の温度)であるガラス転移温度(Tg)を有するように選択され得る。一部の変形例において、Tgは、身体中心部温度の約±1°F、約±2°F、±3°F、約±4°F、約±5°F、約±6°F、約±7°F、約±8°F、約+9°F、約±10°F、約±15°F、または約±20°F以内の範囲内、または表面温度約60°F、約65°F、約70°F、約75°F、約80°F、約85°F、約90°Fまたは約95°Fであってもよい。一実施形態における接着性ドレッシングは、また、流動および変形して、適用中、および後の患者への治療的使用の間に形成し得る経路またはチャネルを充填することを可能にする機械的特性を有するように配合される。この接着材料は、より厚いアクリル接着剤、親水コロイド、ヒドロゲルまたは他のそのような接着材料を制限なく含み得る。一部の実施例において、接着材料は、約5,000センチポアズ(cP)乃至約500,000cPまで、時には約10,000cP乃至約100,000cP、また時には約20,000cP乃至約50,000cPの範囲内の粘度を有し得る。他の実施例において、接着材料は、低周波数の機械入力(約<1Hz)を受ける場合、約0.5乃至約2、時には約0.5乃至約1、時には約0.5乃至約0.7であり得る、損失角(tan d)によって特徴付けることができる変形特性および磨耗性能を示すように選択されるが、この損失角は、試験材料の損失係数(粘性成分)の保存係数(弾性成分)に対する比に等しい。
【0018】
デバイスの一構成において、ドレッシングは、上述の特性の一部もしくは全て、ならびに/または1つ以上の通気性、吸湿能力、皮膚保護特性、および創傷治癒特性を有する親水コロイドドレッシングから作製される。このドレッシングはまた、湿った創傷治癒環境を提供することができ、また付随創傷病巣に適したドレッシングである。一実施形態において、接着性ドレッシングは、ドレッシング表面に体温および/または圧力が適用されると流動して、適用中に形成し得る潜在的な漏洩チャネルを排除するように配合され得る。他の実施形態において、光エネルギーの印加もまた、接着剤をより容易に流動させて、隙間を充填させる軟化現象を開始させることができる。
【0019】
シーラントシステムの一部の実施形態において、接着剤層が存在するフィルム裏打ちは、体表からのドレッシングの剥れおよび剥離を軽減するために、接着される身体部位組織よりも適合性があるように、弾性係数ならびに最大伸長および拡張を含む所望の機械的特性を有するように配合される。また、裏打ちおよび接着剤層の機械的特性を皮膚の機械的特性より低くすることによって、ドレッシング材料が動きを制限しないので、使用者の快適性の改善がもたらされる。身体の異なる領域を覆う皮膚は、異なる機械的特性を有し得ること、またドレッシングの弾力性は、通常の膨張中にその下の皮膚に過度の機械的力を印加することなく、最大の拡張に対応することができるような弾力性であることが理解される。ドレッシングはまた、身体の表面上の異なる形状に適応することに十分な可撓性である。一部の実施形態は、つま先付近または仙骨領域等の不規則な形状の付近の最適な密封を提供するように予成形されてもよい。
【0020】
一部の実施形態において、ドレッシングは、ドレッシングの拡張がドレッシングの恒久的な変形をもたらし、ドレッシング層内に蓄積される弾性エネルギーを最小としながら複雑な解剖学的凹凸の輪郭に沿うことを可能とするように塑性変形するように配合され得る。この蓄積される弾性エネルギーは、ドレッシングの剥離を引き起こす傾向があり得るため、その低減は、ドレッシングのより良好な接着をもたらし得る。この種の塑性変形特性は、足または仙骨等の領域用にドレッシングを調整する上で極めて有用となり得る。
【0021】
ドレッシング適用における障害のいくつかは他のものによって対応されているが、多くの場合、異なる身体部位に対するドレッシングの適用が望まれる。一部の場合においては、特定の生体構造に対応するために、特定の身体部位に特異的なドレッシングを作製することが可能である。しかしながら、それでもなお、これらのドレッシングは、全ての種類の生体構造に対応しない可能性があり、考えられる生体構造部位それぞれに対して機能するドレッシングを製造することは実用的でない場合がある。医療関係者は、通例的に、ある特定のドレッシングが供給されたままの状態では患者のニーズを満たさない可能性があることを見出し、したがって、そこから患者の特定の輪郭および身体部位要件に適合するようにドレッシングを切断または整形する。この特別設計の必要性は、折曲げおよび皺が良好な接着を困難なものとし得る大型のドレッシングまたは高い曲率を有する身体表面特徴に対して特に明らかとなる。経皮薬物送達の場合、適切な接着が適切な治療薬投与を左右する。信号モニタリングの場合では、適切な表面接触が重要である。RPWTの場合、創傷部位の周囲の密封の質が、減圧の維持に有益となり得、また漏洩経路が治療効果を低下させ得る。このドレッシングの密封特性は、連続電気ポンプまたは類似の減圧生成システムを使用しない、または吸引能力が制限されたRPWTデバイスに特に有益となり得るが、これは著しい漏洩に対する許容値が、従来のRPWTデバイスよりもはるかに低いためである。多くのドレッシングシステムにおいて、ドレッシング構造、例えばより容易な適用を可能にするリリースライナまたは取扱フラップ等は、ドレッシングがある特定の輪郭に適合するように整形されなければならない場合、その機能性を失う。本明細書では、ドレッシングの適用中または適用後に形成し得るチャネルを後に充填および封鎖させる特性をドレッシングに保持しながら、ある形状に切断された後にも個人の必要性を満たすように、簡易なドレッシングの適用を可能しながら、ドレッシングの折曲げおよびドレッシング自体または使用者へのドレッシングの接着を低減することによって、ドレッシングの適用中および適応後の漏洩経路の形成を軽減するシーラントシステムおよび方法が開示される。
【0022】
さらに、RPWTによって治療され得る多くの創傷は、より小さく、RPWTで治療される中心創傷とは異なる周囲の付随創傷を有し得る。例えば、静脈うっ血潰瘍は、開いた皮膚領域のクラスタを発症することが多い。さらに、いくつかの創傷は、創傷を横切る表皮上の移動からの皮膚の架橋によって治癒する。これが生じた場合、元の創傷の他の領域よりも近い治癒部位であるより小さい近位創傷が発症し得る。これらの種類の付随創傷は、RPWTによって治療するには小さすぎる可能性があるが、ドレッシングが覆って密封を形成しなければならない境界内にあり得る。さらに、多くの損傷は、頻繁な接着性ドレッシングの除去の間に損傷され得る極めて脆く繊細な皮膚に包囲されている。従来のRPWTドレッシングは、この創傷周囲の皮膚および付随病巣の必要性に対応しておらず、創傷周囲の皮膚に対してより優しいと同時に、創傷治癒を促進する適切なドレッシングによってこれらの付随病巣を治療し得るドレッシングを開発する必要性がある。
【0023】
さらに、任意の種類の事前に製造されたフィルムの使用の適用が困難である身体の領域に位置する創傷がある。これらの領域は、つま先または指における創傷を含み得る。したがって、これらの場所の特異的な形状に合わせて調整され得る、これらの領域において適切な密封を提供し得るドレッシングが必要とされている。
【0024】
ドレッシングの通過は、多くの場合、ドレッシングの表面上のポート形状によって促進される。従来技術においては、このポート形状は、ドレッシングに対して固定され、ドレッシングが接着されると、液体連通導管の配向を固定する。多くの用途において、使用者はドレッシングの適用前および適用中に液体連通導管の位置および方向を考慮する必要があるため、ドレッシングの適用後に液体連通導管の方向を再配向させることが有利となり得る。ドレッシングの適用後にドレッシングを解くことなく流体連通導管を再配向させることができるポートが必要である。
【0025】
創傷排液(例えば浸出液)は、多くの場合、RPWTの治療の最中に、創傷から減圧源に向かって排出される。減圧が中断または停止された場合、特に中断または停止された減圧源が創傷より高い高さに位置する場合は、排液は潜在的に創傷に逆流し得る。創傷排液は、創傷治癒に対し有害な感染性の微生物または化合物によって汚染され得る。したがって、減圧が停止または中断された場合に、創傷排液が創傷に逆流しないように防止する必要がある。
【0026】
実質的に不透明または審美的に魅力のあるRPWT用ドレッシングは、創傷および創傷接触材料を視野から隠し、患者およびその他の者の精神的な快適性を増加させ得るので、そのようなドレッシングの使用が有利となり得る。また、一部の場合において、臨床医は、ドレッシングを除去せずに創傷、創傷接触材料、または創傷周囲の皮膚を検査したい可能性があるので、実質的に透明なドレッシングを使用することも有利となり得る。本明細書では、通常は創傷を視野から遮蔽するが、同時にドレッシングをしたままの検査を可能とするドレッシングが開示される。
【0027】
RPWTは、従来的には、創傷床における減圧を長期間維持することを必要とする。システム内に減圧が存在するか、または例えばドレッシングにおける漏洩によって減圧に障害が生じたかを示すインジケータを有することが有利となり得る。これは、閉鎖システム真空源において特に有益となり得る。圧力インジケータは、ダイヤルインジケータおよび圧力トランスデューサ等の計器を含み得る。多くの場合、これらは、大型で、かさばり、電気を必要とし、または高価となり得る。さらに、多くの場合、これらのインジケータは、減圧源に位置し、その圧力情報がより有用となり得る創傷床の部位では圧力の表示を提供しない。減圧源とドレッシングとの間の液体連通導管が途絶または閉塞した場合、これらのインジケータは、創傷部位で減圧が失われたが減圧供給側においてはまだ存在することを検出しない可能性がある。臨床医または患者に創傷に減圧が存在するか否かを伝える、簡易で安価なインジケータが必要である。
【0028】
身体部位に印加された圧力による組織虚血、例えば褥瘡または床擦れによってRPWTで治療されている創傷のいくつかが存在し得る。創傷領域および周囲組織の継続的な悪化のリスクを防止またはその他の様式で低減するために、創傷または周囲組織への力の集中を低減する薄型の減圧導管が、減圧の適切な治療上の送達、およびより良好な創傷治癒に有益となり得る。現行のRPWT導管は、多くの場合、導管のポートコンポーネント上に負荷が印加される場合、創傷上に追加的な圧力点を形成し得る要素を含有する。本明細書では、創傷または周囲組織上の圧力点の発生を低減するような、薄型の陰圧導管が開示される。
【0029】
本明細書では、減圧の体表への送達の機能性および/または有用性を高めるデバイスの一部の実施形態が開示される。一実施形態は、ドレッシング、流体連通導管、および、ドレッシングの片側から他方側への流体連通導管の通過を可能にするポートを備える。ドレッシングは、実際には体表に接着されて実質的に気密性の密封を形成し得る、少なくとも1つの接着側を備えてもよい。ドレッシングおよびドレッシング接着剤は、ポリウレタン、親水コロイド、ヒドロゲル、シリコーン、アクリル、他の任意の材料または当技術分野において知られたそれらの任意の組合せで構成され得る。
【0030】
一部の実施形態において、ポートは、ドレッシングの面に実質的に平行な軸周りに少なくともある程度の回転自由度を許容するように構成される。一部の実施形態において、回転自由度は、Oリングシールおよびフランジおよび溝のシステムによって提供される。一部の実施形態において、ポート本体は、共にポートの回転要素の実質的に気密性の密封を提供するドレッシング上の実質的に剛性の要素と相互作用する、実質的に剛性の要素に結合された実質的に柔軟な弾性材料を含む。ポート部材は、さらに、次いで真空源に取り付けられる流体連通導管への連結を容易にするように構成されるコネクタを備えてもよい。他の実施形態において、導管の少なくとも一部は、ポート部材と一体的に形成されてもよい。
【0031】
一部の実施形態において、流体連通導管および/またはポート部材は、ドレッシングを通過または横断し、ドレッシングによって形成された密閉された封入体を減圧源に接続する。一部の実施形態において、流体連通導管は、ポートおよび配管を備える。一部の実施形態において、配管は、単一の管腔を備え、他の実施形態において、配管は、複数の管腔を備えてもよい。
【0032】
一部の実施形態において、ドレッシングと真空源との間の液体連通経路の長さに沿って一方向流動機構を介在させてもよい。いくつかの機構において、一方向流動機構は、ポート部材内に位置するか、またはポート部材に一体化され、一部の実施形態においては、一方向流動機構は、ドレッシングまたはポート−ドレッシング界面に一体化されてもよい。さらに別の実施形態において、一方向流動機構は、配管内に位置するか、または配管に一体化されてもよい。一部の実施形態において、一方向流動機構は、減圧源によって回収された創傷排液の創傷への逆流の程度またはリスクを防止または低減し得る。一部の実施形態において、一方向機構は、一方向弁、例えばダックビル弁、スリット弁、スプリング弁、アンブレラ弁または当技術分野で知られた他の任意の好適な一方向弁であってもよい。一部の実施形態において、複数の一方向流動機構が、流体連通導管全体にわたって散在させられ得る。さらなる実施形態において、一方向流動機構は、圧力ヘッドまたは流量からの流体圧力差に対応するための不均一な開口部またはクラッキング圧力を有してもよい。
【0033】
デバイスの一部の実施形態において、減圧導管および/またはポート部材の負荷集中は、耐荷重状況下において、ポートの高さを低減し、その幅を増加させることによって低減され得る。負荷集中または圧力点の低減は、さらに、より柔軟な材料、例えばシリコーン、または負荷下で変形可能な当技術分野において知られた他の材料の使用によって提供され得る。これらの材料は、さらに、デュロメータおよび弾性係数等、皮膚と同様の機械的特性によって構成され得る。一部の実施形態において、創傷部位と配管または減圧源との間のポート内の導管は、導管の崩壊を防止する支持体で補強される。一部の実施形態において、これらの支持体は、さらに、圧力集中を低減するために、デバイス表面に付加される負荷を分散させるように構成される。デバイスのいくつかの構成において、全断面表面積は、円形配管に対して維持され得るが、配管(ひいてはノズル)の高さは、負荷をより均一に分散させるように直径をより広くし平坦にすることによって低減され得る。さらに、ある特定の構成において、複数管腔導管を使用して、外径をさらに低減し、ノズルおよび配管のプロファイルを低くすることができる。
【0034】
さらなる構成において、減圧導管は、ドレッシング材料に一体化されてもよく、また直接ドレッシング材料に成形され得る。さらなる実施形態において、減圧導管は、ドレッシングの1つ以上の開口部または開窓を通して位置してもよい。さらなる実施形態において、開窓は、減圧源を接続するため、またはドレッシングの外面上に位置する延長管を接続するための取付ポート用の挿入開口部を提供する。一実施形態において、減圧導管は、複数のそのような開窓を備える。
【0035】
一実施形態において、減圧導管または配管は、張り出してドレッシング材料と連結する中空管構造を備え、ドレッシングの底面の下の容積と管構造の内部との間の液体連通を可能にする。一実施形態において、減圧導管は、末端がドレッシングの底面およびドレッシングの側縁上の取付ポートに接続した、ドレッシング内に埋設された弾性導管である。一実施形態において、減圧導管は、一連のそのような導管である。
【0036】
一部の実施形態において、減圧導管は、気密となるような管または減圧源の迅速な着脱を可能にする機構を備える。
【0037】
ドレッシングの一構成において、ドレッシングは、直接減圧源、および創傷封入体、例えば延長管なしにポートに直接取り付けられる真空源と一体化され、また、ドレッシングに対する真空源の揺動またはその他の運動に抵抗するために、直接ドレッシングに対する真空源の他の部分の取り付け部をさらに供えてもよい。これは、いくつかのドレッシングにおいて必要とされるような、ドレッシングに穴を開けて真空源を取り付ける必要性を低減することができ、それにより、適用の複雑性が軽減され、医療専門家以外の者でも上手に適用することができ、空気漏れの別の潜在的な源が排除され得る。この構成において、真空源は、配管を使用せず、直接ドレッシングに一体化される。
【0038】
開示された本発明の一部の実施形態において、液体連通導管および/またはポート部材は、減圧インジケータを備える。一部の実施形態において、減圧インジケータは、導管配管内に、または導管配管に沿って位置する。一部の実施形態において、減圧インジケータは、ポート内に位置する。一部の実施形態において、減圧インジケータは、ポートの本体に一体化される。一部の実施形態において、減圧インジケータは、圧力勾配がそれにわたって印加された場合に視認できるように変形する、柔軟性材料で構成される。一部の実施形態において、圧力勾配が色の変化をもたらし、適切なレベルの圧力印加が達成されたことを示す。例えば、黄色い材料に近接した十分半透明または透明な青色の要素に減圧を印加すると、色の変化をもたらすことができ、緑色に見えて、減圧が印加されているか印加されていないかを示すことができる。
【0039】
上記実施形態の様々な実施例を以下においてより詳細に記載する。
【0040】
図1は、真空源(図示せず)に取り付けられ得るカバー構造またはドレッシング101を備える、減圧治療システム100の一実施形態を示す。ドレッシング101は、体表上に設置され得る可撓性の接着剤シートを備えてもよい。ドレッシング101はさらに、治療部位に対するシステム100の適用を容易にするために、リリースライナ、担体フィルムまたは当技術分野において知られたその他の特徴を備えてもよい。リリースライナおよび担体フィルムの例を、以下により詳細に記載する。ドレッシングは、ポリウレタン、シリコーン、ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、ラテックス、ゴム、熱可塑性エラストマー、ヒドロゲル、親水コロイド等を含むがこれらに限定されない、様々な好適なシート材料のいずれかを含み得る。一部の実施例において、シート材料の剛性は、幅25.4mmの試験片に対しては約59N/m乃至約138N/m、時には約19N/m乃至約59N/m、時には約3N/m乃至約19N/mである。シート材料は、光学的に透明もしくは半透明であってもよく、また不透明であってもよい。シート材料は、均一または不均一な厚さを有し得る。一部の実施例において、シート材料は、任意の接着剤または他の支持構造を除き、約0.05mm乃至約2mm以上、時には約0.1mm乃至約1mm、時には0.3mm乃至約0.5mmの範囲内の平均厚さを有し得る。シート材料が不均一な厚さを有する実施例において、シート材料は、増加した厚さを有する内部領域に対して、低減された厚さを有する縁領域を備えてもよい。低減された厚さの領域から増加した厚さの領域への遷移は、滑らかであっても傾斜が付いていてもよく、一部の変形例においては、異なる厚さの3つ、4つ、5つまたはそれ以上の領域が提供されてもよい。他の実施例において、低減された厚さまたは増加した厚さの領域は、他の構成で、例えば図24および25に図示される構成で配置されてもよく、これについては以下により詳細に記載する。一部の変形例において、シート材料は、他の補強構造に取り付けられるか、もしくは埋設されてもよく、または、織ったもしくは編んだシートの構成を有してもよい。シート材料は、様々な形状のいずれかに製造することができ、製造中、または使用場所において、別の形状および/またはサイズにさらに切断または整形することができる。形状には、円、楕円、卵型、正方形、長方形、台形、三角形、弓形形状、星型形状等が含まれるが、これらに限定されない。形状の角は、存在する場合は、曲線的であっても角度が付いていてもよい。
【0041】
ドレッシング101はまたさらに、ドレッシング101の下表面107上に位置する接着剤層を備える。一部の実施形態において、接着剤の厚さは、装着を容易にし、ドレッシングの縮皺および密封の漏洩をもたらし得る縮皺に抵抗するために、増加されてもよい。ドレッシングの一実施形態において、接着性ドレッシングの厚さは、実質的に約300ミクロン乃至約10,000ミクロン以上、時には約500ミクロン乃至約2000ミクロン、時には約500ミクロン乃至約1000ミクロンの範囲内の厚さまで増加される。RPWTに使用される典型的なドレッシングは、厚さ約25ミクロン乃至約125ミクロンのオーダーのアクリル接着剤層を有する、厚さ約25ミクロン乃至約50ミクロンのオーダーの薄型で比較的弾性の低いポリウレタンフィルム裏打ちまたは表面材料を利用し得る。これらの厚さは、実際には、約4日乃至約7日間維持される気密性の密封を容易に形成することが実証できるほど十分ではない。これらのより薄いドレッシングは、より厚い接着剤を有するドレッシングが利用された場合よりも空気漏れを生じることが多くなり得る。さらに、より厚いドレッシングの適用による縮皺はまた、ドレッシングの厚さによって提供される剛性の増加によって低減される。
【0042】
いくつかのさらなる実施例において、接着剤層材料は、幅約25mmの試験片に対して、約5N乃至18Nの範囲の初期90°剥離解放力を提供するように選択され得る。一部の変形例において、解放力は、約0.2N/mm乃至約1.5N/mm、時には約0.4N/mm乃至約1N/mm、時には約0.5N/mm乃至約1.2N/mmの範囲内となり得る。解放力を測定するための手順は、標準化された手順、例えばASTM D3330、または他の適切な手順であってもよい。接着剤層はまた、約100kPaの初期負荷で約2.75N乃至約5Nの範囲内、または、時には約2N乃至約6Nの範囲内のプローブ粘着力特性を提供するように選択され得る。プローブ粘着力はまた、標準化された手順、例えばASTM D2979、または他の適切な手順を使用して測定され得る。いくつかのさらなる実施形態において、接着剤層は、約24時間、約48時間、約72時間、または約96時間の期間にわたって、約20%、約30%、約40%、または約50%以上の低減した解放力を示すように選択され得る。一部の場合において、経時的に低減した接着力は、周囲の皮膚に対する接着剤に関連した損傷を低減しながら、定期的なドレッシング除去を容易にし得る。
【0043】
さらなる実施形態において、ドレッシングの流体吸収は、接着材料の選択および厚さによって増加され得る。例えば、一部の実施形態において、ドレッシングは、親水コロイドから構成される。一部の実施例において、異なる皮膚接着剤がドレッシングの縁または周辺部付近に提供され、一方、親水コロイド層がドレッシングの下面の内部領域上に提供される。しかしながら、他の実施例において、親水コロイドは、流体吸収層および接着剤層の両方として機能し得る。ドレッシング接着剤要素の組成特性および増加した厚さは、流体吸収に対処するより大きな能力を提供し、これは、創傷浸出液の存在下で機能し、さらに湿った環境を維持することによって創傷治癒を促進するドレッシングを有する上で有益となり得る。
【0044】
ドレッシングシステムはまた、ドレッシングの下表面上に接着強度勾配を有してもよい。一部の実施例において、ドレッシングの中心部と比較してドレッシングの周辺部により高い結合強度を有する接着剤が提供される。これは、脆弱な周囲の皮膚、またはより小さい周辺付随創傷を有するRPWT治療創傷には特に重要である。ドレッシングの中心部はRPWT治療創傷に最も近くなり得るので、ドレッシングの中心部の接着結合特性がより低い場合、除去時に、より繊細な創傷周辺の皮膚および付随病巣に対してより低外傷的となり得る。周辺部に沿って増加した接着強度は、ドレッシング縁の剥れ、湿度(すなわち、汗、入力等)による破壊を軽減することによって、無制限的に密封の完全性を維持することに役立ち得る。
【0045】
さらなる実施形態において、ドレッシング交換の合間での十分な密封特性を提供し、また所望のドレッシング交換時期におけるドレッシングのより容易でより低外傷的な除去を可能とする、経時的に減少する接着強度特性を有するドレッシングが開示される。一部の実施形態において、ドレッシング接着剤は、ドレッシング交換の合間のRPWTによる治療期間中に最大の接着を提供するが、ドレッシング交換の時点ではより弱い接着を提供するように、経時的に減少する結合強度を有し得る(一般的には約3日乃至約7日)。このこともまた、治療中の創傷周囲の皮膚に対するより少ない外傷を提供する。一部の実施形態において、ドレッシングは、経時的に吸水とともにその下の皮膚への結合が弱まる親水コロイドドレッシングである。さらに、ドレッシング内のインジケータは、ドレッシングが除去および/または交換されるべき時を表示し得る。追加的な構成において、接着剤要素は、温度、湿度、光、溶液、または接着結合を弱めることができるその他の関連した様式によって、不活性化または弱められ得る。
【0046】
簡易化された適用のための、より厚い中心ドレッシングおよびより薄い周辺ドレッシングおよび裏打ちシステムを有するドレッシングもまた開示される。この実施形態において、ドレッシングから創傷床に生じ得る空気漏れを軽減するために、より厚いドレッシングがドレッシングの縁の周りに延在するより薄いドレッシングによって縁取られて第2の密封を形成する、二重密封システムが実装されてもよい。一部の実施形態において、中心ドレッシングは、より厚い親水コロイドドレッシングで作製されてもよく、周辺ドレッシングは、中心の親水コロイド部分より強力な接着プロファイルを有するより薄いポリウレタンの縁である。ドレッシングのより薄い部分は、より厚い中心部分よりも縮れにくく、または機械的に破壊されにくいため、より薄い周辺の第2の密封は、より柔軟な密封の形成に役立ち得る。より厚いドレッシングとより薄いドレッシングとを組み合わせて単一のドレッシングとすることによって、開示されるドレッシングは、ドレッシング縁の縮れおよび機械的破壊の影響の受けやすさの増加の欠点なしに、上述のようなより厚いドレッシングの利点を獲得する。さらに、第2の周辺のより薄いドレッシングは、ドレッシングシステムにおける空気漏れのリスクをさらに軽減する、ドレッシングの周りの第2の密封を形成する。二重密封システムとともに接着勾配を使用することによって、縁での強固な密封とともに、創傷周囲の皮膚に対しより低外傷的な除去が提供される。一部の実施形態において、二重シーラントシステムは、2つの接着リリースライナを有し得る。まず、中心接着リリースライナが除去され、ドレッシングが患者に装着される。次に、外層ドレッシング用の第2のリリースライナが、いくつかの構成においてはドレッシングの縁に沿ったライナの帯が、中心部分が接着された後に除去され、第2の密封が形成される。一部の実施形態において、二重ドレッシングは、より厚い中心層の縁が縮れるのを防止しながら、創傷周辺の皮膚への外傷を最小化するように、ドレッシングの中心部分より高い接着特性を有するドレッシングの周辺部分を有する。
【0047】
その下の皮膚の軟浸を防止し、RPWTで治療されている主要創傷の周囲の皮膚創傷に対する湿った創傷治癒環境を促進する、吸収性ドレッシングがさらに開示される。本明細書において、創傷周囲の皮膚およびRPWTで治療されている主要病巣の周囲の付随病巣における湿気の蓄積を低減することによって、創傷治癒状況を増強する、吸湿特性を有するRPWTドレッシングが開示される。一部の実施形態において、このドレッシングは、親水コロイドドレッシングまたは親水コロイドと同様の特性を有するドレッシングである。一部の変形例において、親水コロイド層(またはその他の吸湿性材料)は、 約900グラム/m/日、約1000グラム/m/日、約1100グラム/m/日、約1200グラム/m/日、または約1500グラム/m/日以上の吸水速度を有し得る。ドレッシングとして吸水性ドレッシングを使用することの利点は、接触しているその下の皮膚の軟浸を防止することができるという点、および、ドレッシングの下の他の第2のドレッシングを必要とすることなく、付随病巣用の良好な創傷ドレッシングとして機能することができるという点である。この実施形態において、ドレッシング自体は、創傷周囲の皮膚および創傷周囲の付随病巣用のドレッシングとして機能し得る。一部の実施形態において開示される接着性ドレッシングはまた、治癒を促進する薬物、または銀等の抗菌剤を含む、治療薬剤を含有してもよい。現代の創傷治療の原理の1つは、湿った創傷治癒環境を維持する利点である。したがって、湿った創傷治癒環境を維持する創傷用ドレッシングは、多くの種類の創傷の治療の主力となった。アルギン酸塩、親水コロイド、およびフォーム等のドレッシングは全て、治癒のためのその下の組織の湿度レベルを最適化する吸収特性を有する。従来のRPWTドレッシングは、脆弱な創傷周囲の皮膚および付随病巣の治癒を促進するように最適化されていない。その下の皮膚または付随創傷近くのドレッシング下の環境が湿潤している場合、その下の皮膚および創傷縁の軟浸をもたらし得る。創傷環境が乾燥している場合、創傷治癒の最適化が部分的となり得る。湿った創傷環境は、湿ったガーゼまたはその他の湿った創傷接触材料によって提供することができる。一部の実施例において、親水コロイドドレッシングと組み合わせて湿ったガーゼを使用して、創傷周囲の皮膚から湿気を逃がしながら湿った創傷環境を提供する。
【0048】
その下の皮膚の軟浸を防止する通気性ドレッシングが開示される。一部の実施形態において、ドレッシングは、創傷周囲の皮膚への流体集積、およびその下の皮膚の軟浸の発生を最小化する蒸気損失を提供することに十分高い水蒸気伝達率(MVTR)を有すると同時に、RPWTを提供することに十分強固な密封を維持するように構成される。一実施形態において、ドレッシングは、組み込まれた通気性コンポーネントまたは構成を備える親水コロイド層を備える。親水コロイド層は、同様に水分を逃がすように構成されたカバー材料と対にされてもよく、一部の変形例において、約900グラム/m/日、約1000グラム/m/日、約1100グラム/m/日、約1200グラム/m/日、または約1500グラム/m/日以上のMVTRを有してもよい。一部の実施形態において、吸水およびMVTRの組合せは、創傷床において所望の水分量を維持するとともに創傷周囲の皮膚の軟浸および損傷を低減する能力をドレッシングに提供する。他の実施例において、ドレッシングは、親水コロイドまたはヒドロゲルの単一層を備えてもよい。
【0049】
一部の実施例において、接着剤層は、減圧治療ドレッシングの装着および交換の間に患者が感じる痛みおよび不快感を軽減するように構成され得る。その下の組織に対する損傷もまた低減され得る。ドレッシングは、除去溶液または高温空気の適用によって生じる化学反応による軟化を受けやすい結合を形成する、接着剤コーティングを備えてもよい。別の実施形態において、接着剤コーティングは、紫外(UV)線を照射されると軟化する樹脂を含んでもよい。UV軟化接着剤の例には、例えばCH、CO(ケトン)、CONH(アミド)、NH(イミド)、COO(エステル)、N=N(アゾ)、CH=N(シッフ)等、紫外線の照射によって破壊される結合を有する接着剤が含まれる。主にそのような結合を含有する接着剤、例えばポリエチレン接着剤またはポリプロピレン接着剤等のポリオレフィン接着剤、ポリイミド接着剤、ポリエステル接着剤、ポリメチルメタクリレート(PMMA)接着剤等が使用されてもよい。また、その構造式中に芳香族炭化水素(1つまたは複数のベンゼン環、またはその縮合環)を含有する接着剤が使用されてもよい。例えば、一部の実施例は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)接着剤、またはポリエーテルスルホン(PES)接着剤の接着剤を使用してもよい。また、1つまたは2つ以上のこれらの材料の組合せが使用されてもよい。ドレッシング交換の間の痛みおよび再負傷が軽減され、治療時間が短縮され得るため、これらの接着剤は患者の生活の質を改善することができる。最後に、接着剤コーティングは、粘着性であってもよく、またはその他の態様で皮膚への長期の強固な接着を可能とするように配合されてもよい。
【0050】
治療システム100はさらに、ドレッシング101の下から減圧源(図示せず)に向かう流体連通導管を提供する配管103に連結されたポート102を備えてもよい。ポート102は、柔軟性材料および低い鉛直プロファイルを有してもよい。一部の実施例において、低い鉛直プロファイルは、任意選択で配管103の縦軸を横断する最大垂直寸法に対する最大横断寸法より小さいシート材料101に対する最大垂直寸法を備える。一部の実施例において、最大横断寸法は、ポート102の最大垂直寸法よりも2倍、3倍、4倍、5倍、または6倍以上大きくてもよい。ポートがドレッシング材料と一体的に形成される実施例において、これらの寸法は、ドレッシングの上面と配列した面から測定され得る。
【0051】
一部の実施例において、配管は、ポート上に位置するコネクタ継手を使用してポートに取り付けられるか、またはポートから分離されてもよい。継手は、切断配管端部を受容するように構成されてもよく、または、配管に取り付けられる相補的な端部コネクタ継手に取り付くように構成され得る。さらに別の実施例において、配管は、ポートと一体的に形成されてもよい。さらに別の実施例において、ポートの全てまたは一部は、ドレッシングから取り外されるかまたはドレッシングに再び取り付けられるようにさらに構成されてもよい。
【0052】
図1に図示されるように、一部の実施例において、配管103はさらに、一方向流動機構105を備えてもよい。一部の実施例において、一方向流動機構は、汚染された創傷吸引物が創傷に逆流するリスクを低減し得る。一方向流動機構はまた、治療部位へのガスの逆流を伴わずに真空源の取外しを可能とし得る。前述したように、一部の実施例において、流路に沿って複数の一方向流動機構が提供されてもよい。他の実施形態において、一方向流動機構は、ポート、または一方向流動機構に取り付けられる真空源に組み込まれてもよい。
【0053】
図2は、図1に図示されるポート102および一方向流動機構105の概略切断図である。示されるように、一方向流動機構105は、配管204に介在するハウジング202内に収められた弁203を備えてもよい。図2に図示される弁203はダックビル弁であるが、他の実施例においては、流動機構105は、前述の他の弁または当技術分野において知られた他の任意の弁を備えてもよい。弁203は、材料の前方流205が減圧源に向かうことが許容されるように配向され得る。前方流205は、創傷排液(浸出液)または減圧源に向かって排出されることが望ましい他の材料を含み得る。減圧の印加が停止または中断された場合、材料の後方流206がポート102に向かって生じ得るが、一方向流動機構105によって防止または低減され得る。
【0054】
図1を参照すると、一部の実施例において、ポート102は、ドレッシング101に対する部分的または完全な回転を可能とするポートアセンブリを備えてもよい。ここで、ポート102は、ドレッシング101の面に略垂直な回転軸108の周りの回転運動104の範囲によって構成される。ポートの動きは、ドレッシング101の装着を容易にすること、および/または真空源を固定することができる。ポートの運動はまた、配管103の捻転、または真空源とドレッシングとの間のねじり力の伝達のリスクを低減することができ、これは、患者の不快感を改善するか、または治療部位からのドレッシングの分離のリスクを低減することができる。図3Aおよび3Bは、回転可能なポートアセンブリ301の一実施例を示している。ポートアセンブリ301は、下部プレートまたはフランジ323でドレッシング304の上面315に接着または取り付けられる台座または環部材305を備えるが、他の変形例においては、環部材は、ドレッシング304の下面317または両方の面315および317に接着または取り付けられてもよい。ポートアセンブリ301は、環部材305に取り付くポート本体309をさらに備える。環部材305およびポート本体309は、可撓性、半可撓性または剛性材料を含んでもよい。一部の変形例において、環要素305は、ポート本体309を含む材料よりも剛性またはより大きなデュロメータを有する材料を含んでもよい。ドレッシング304を通る開口部または開窓308は、環要素305の管腔321と連通する。環要素305はさらに、周方向隆起306およびOリング307を備える回転軸319を備える。ポート本体309が環要素305に連結されると、回転軸319は、周方向隆起306および下部フランジ323との間の相互嵌合を形成するポートフランジ327によってポート空洞325内に維持される。環要素305の管腔321は、ドレッシング304の開窓308と、ポート本体309の任意の角度でのポート空洞325との間の液体連通を提供する。他の実施例において、ポートアセンブリの管腔は、側方管腔として構成されてもよく、それによりポート本体のある特定の角度位置が管腔を封止し、こうして開いた/閉じた弁としてのポート本体の回転を可能にする。
【0055】
図3Aおよび3Bに図示される実施例において、配管要素312は、ポート本体309に対して結合されるか、接着されるか、またはその他の様式で恒久的に密封されてもよい。しかしながら、他の変形例において、ポート本体は、管の管腔に密封可能に挿入するように構成される陥凹または突出フランジを備えてもよい。ポート本体は、ドレッシングの面に対し様々な角度のいずれかで配管に取り付くように構成されてもよい。図示された実施形態において、配管要素312は、ドレッシング304の面と平行に方向付けられる。別の実施形態において、配管要素312は、ドレッシング304に対し約0度から約90度までの間の任意の角度で方向付けられてもよく、または、約0度から約90度までの範囲内の配管要素とドレッシングとの間の角度の変更を可能とする少なくとも部分的な回転自由度を備えてもよい。ポート界面での配管の捻転に抵抗するために、ポート本体または配管に耐捻転構造が提供されてもよい。一部の変形例において、ポート本体309はさらに、柔軟性または弾性材料を備えてもよく、また、後述されるような減圧インジケータを備えてもよい。ポート本体309はさらに、回転軸319との相補的な相互嵌合を形成するように構成されるスリーブ要素310をポート空洞325内に備えてもよい。スリーブ要素310は、環要素305の隆起306を受容するように構成される周方向溝311を備えてもよい。これは、ガスが逃げるためのより長い蛇行経路を提供することにより、環要素305およびポート本体309との間の密封特性を改善し得る。スリーブ要素310はまた、ポート本体309および環要素304の傾斜運動に抵抗することができ、それにより、半径方向溝311をさらに備えてもよいが、ドレッシング304に実質的に垂直な軸313に沿った、ドレッシング304に対するポート本体309の回転を許容するように構成される、追加的な安定性を提供する。ポート301がドレッシング304上に組み付けられる際、Oリング307は、スリーブ要素310に対して追加的な密封を形成し得る。前述したように、ポート本体309は、実質的に剛性の環要素305から単に取り外され、および該要素に再び取り付けられるようにさらに構成されてもよい。
【0056】
図6Aおよび6Bは、減圧インジケータ機構601を備えるポート600の任意選択の特徴を図示している。圧力インジケータ601は、ポート内に減圧が存在する場合、実質的に潰れるかまたは内側に変形するように構成される、ポート空洞を取り囲む可撓性膜またはポート本体の壁の薄膜化領域を備えてもよい。特定の相対レベルの減圧での変形の度合いは、可撓性材料の厚さまたは可撓性材料の種類を変更することによって調整され得る。インジケータ601は、ポート600の他の部分と同じまたは異なる材料を備えてもよい。図6Aは、ポート600内の減圧が存在しない場合のポート600を図示しており、一方図6Bは、より高い大気圧とポート600内の減圧との間の圧力差によって、圧力インジケータ601が潰れた様子を図示している。ポート600は、圧力差による変形602を受けるが、これは減圧の存在を視覚的に示す。いくつかのさらなる実施例において、機械的変形によって色を変化させる変色材料を圧力インジケータ601に使用してもよい。例えば、参照することによってその全体が組み込まれる米国特許第2006/0246802号に記載の変色材料を参照されたい。
【0057】
図7Aおよび7Bは、減圧インジケータ702を備えるポート700の別の実施形態を示す。図7Aは、減圧が存在しない場合のポート700を図示しており、図7Bは、減圧が存在する場合のポート700を図示している。ポート700の外壁701は、半透明の柔軟性材料で構成される。ポートの壁701の内部は、減圧源と流体連通している空気の空容積705である。減圧の印加下では、空洞705内の空気は排気され、これによって、ポート700の可動壁701が、ポート700の内壁または床707に向けて潰れる。床707はさらに、1つ以上の視覚的に明確な領域706を備える。減圧702が存在しない場合、ポート700の壁701の透光性が視覚的に明確な領域706を不明瞭とする。減圧が存在する場合、ポート700の壁701は床707に向けて付勢され、明確な領域706と接触する。明確な領域706との直接的な接触704によって、明確な領域706は、半透明壁701の材料を通してより明瞭となる。一部の実施形態において、明確な領域706は、色素または顔料の領域を備える、一部の実施形態において、明確な領域706は、記号またはパターンを備える。一部の実施形態において、明確な領域706は、文字を備えてもよい。
【0058】
図8Aおよび8Bは、減圧インジケータ801を備える減圧治療システム800の別の実施形態を示す。図8Aおよび8Bは、それぞれ、減圧が存在しない場合および減圧が存在する場合の、減圧導管(例えば、ポート802および配管803)を図示している。減圧インジケータ801の弾性材料要素804は、減圧が印加されない場合、開いた、または拡張した構成を維持する。減圧が存在する場合、弾性空洞805内の空気が、減圧導管配管の連通開口部806を通して排気され、その構成を「引き込まれた」または潰れた構成へと変化させ、インジケータの弾性材料は配管に対して引っ張られる。図8Aおよび8Bは、圧力インジケータ801を4個の連通開口部806を有するように図示しているが、他の変形例において、開口部は、約1個乃至約20個以上の開口部数であってもよく、時には、約4個乃至約16個の開口部数、時には約8個乃至約12個の開口部数であってもよい。弾性材料の配管との直接的な接触は、減圧の物理的および視覚的な表示を提供する。直接的な接触によって、空洞805内の配管803の外面は、材料が透明または半透明である場合、弾性材料804を通してより明瞭となる。一部の実施形態において、インジケータ封入体内の配管は、色素または顔料の領域を備える。一部の実施形態において、インジケータ封入体内の配管は、記号を備える。一部の実施形態において、インジケータ封入体内の配管は、文字を備える。図8Aおよび8B中の弾性材料804は、材料804の管状端部806で配管803に接着されたスリーブまたは管形状を備えるが、他の実施例では、弾性材料は、その外周にわたり配管803に接着されたシートまたはカップ状構造を備えてもよい。弾性材料804はまた、シリコーン、ポリウレタン等であってもよく、配管803を構成する材料と同じまたは異なってもよい。
【0059】
図9Aは、増加した幅904に対し減少した高さ903を有する、薄型ポート901および薄型配管902を備える、流体連通導管900を示す。一部の実施例において、高さ903は、約0.5mm乃至約30mm、時には約2mm乃至約15mm、時には約4mm乃至約8mmの範囲内であってもよく、一方幅904は、約0.5mm乃至約50mm以上、時には約4mm乃至約30mm、時には約10mm乃至約15mmの範囲内であってもよい。一部の実施例において、ポートは、一般に1:1の比を有するポートに対し、局所的な圧力集中を低減するために、1:1を超える高さに対する幅の901のアスペクト比を有してもよい。高さに対する幅の比は、約3:2乃至約20:1以上、時には約2:1乃至約10:1、時には約3:1乃至約6:1の範囲内であってもよい。複数管腔配管902におけるアスペクト比は、非円形管腔、または図9Aに示されるような複数管腔905を備える構成を使用して達成され得る。ポート901における開口部906は、複数管腔905のそれぞれと流体連通している単一の開口部906であってもよい。他の変形例において、複数管腔のそれぞれは、独自のポート開口部を有してもよい。ウェブ、膜、またはその他の相互接続構造907が複数管腔905の間に提供されてもよいが、他の変形例においては削除されてもよい。
【0060】
可撓性の複数管腔配管902は、より薄型で創傷との減圧連通の代替チャネルおよび浸出液の除去を可能とするように示されている。ポート材料および配管は、鋳造可能、延長可能、またはその他の様式で成形可能な、シリコーンまたは当業者に知られたその他の熱可塑性エラストマー(TPE)等の1つ以上の柔軟性材料で作製され得る。一部の変形例において、より小さい管腔直径に起因して、毛細管抵抗がポートおよび/または配管を通した液体材料の動きに大きく影響し得る。これらの表面相互作用を低減するために、ポートおよび/または配管は、潤滑コーティングで処理されてもよく、および/または未加工のポートまたは配管材料の親水性もしくは疎水性を改変するための表面改質手順が施されてもよい。そのような手順は、マイクロ流体分野では周知である。様々な真空源に対する標準化された接続を容易にするために、複数管腔から単一管腔へのアダプタまたはコネクタ908を提供して、通常の配管909に取り付いてもよい。コネクタ908はまた、複数管腔905および/または通常の配管909と一体的に形成されてもよい。
【0061】
図12は、ドレッシング1205に取り付けられる弾性膜圧力インジケータ1202を有するポート部材1201を備える、減圧治療デバイス1200の別の実施例を図示している。この実施例において、ポート部材1201の配管取付部またはコネクタ1203は、圧力下で変形する弾性膜の放射状区画1204によって包囲されている。
【0062】
図10Aから10Dは、幅1002に対して低減された高さ1001を有する薄型ポート1000の内部構造の一例を示している。一部の実施例において、低減された高さ1001によって、ポート空洞1003は、可撓性材料を用いて製造した場合、潰れまたは閉鎖のリスクがより大きいことも大きくないこともあり得る。完全な潰れに抵抗するために、空洞1003は、ポート壁1005の潰れを防止またはそれに抵抗することによって、負荷を分散させ、空洞または導管の開通性を維持するために、および創傷床1007および配管1008へのポート開口部1006との少なくとも一部の開通性を維持するために、一体化された支持体1004を備えることができる。薄型配管1008の様々な構成の例が、図10Cおよび10Dに記載されている。図10Cにおいて、複数管腔1009は、1つの内面から別の内面にわたる管腔支持壁1010によって分離されてもよく、一方図10Dにおいて、単一の非円形共通管腔1012内に位置し、それに突出する部分支持壁1011が提供される。負荷を分散させるために異なる支持構造構成が使用されてもよく、また負荷を受けた際に配管構造の潰れを低減または防止してもよい。
【0063】
図11Aは、ドレッシング1102自体に直接一体化された薄型配管1101を有する薄型治療デバイス1100の別の実施例を図示している。前述の実施例とは異なり、一体化された配管1101は、ドレッシング1102の外縁1103にわたってドレッシング1102に取り付けられている。他の実施例において、ドレッシングに対する配管の取付は、ドレッシング縁から約1cm乃至約4cm、時には約0.5cm乃至約3cm、時には約0cm乃至約2cmの範囲内の任意の点で終了し得る。衣服または他の物体に配管1101が絡まるリスクを低減するために、傾斜縁1104が提供されてもよい。一体化された支持体1105は、負荷の荷重を分散させ、および/または管腔1106の開通性を維持することにさらに役立つように提供されてもよい(図11C)が、他の実施例(図11B)において、平坦な構成の管腔1107であってもよい。
【0064】
図13は、薄型配管1303が一体化された吸引ポート1304に向かって通過するガスケットまたは密封接点1302を有するドレッシング1301を備える、減圧治療デバイス1300の別の実施例を図示している。気密性の接点によって、ポートは、ドレッシングの下に位置し、層から出て減圧源に向かうことができる。この実施例において、ポート開口部1305は、治療部位とドレッシングとの間に形成される治療空洞と直接連通することができる。他の実施例において、ドレッシングは、複数層密封層であってもよく、ポートは、2つ以上の層の間に位置してもよい。さらに別の実施例において、ポートは、ドレッシング1301に直接取り付けられていなくてもよいが、配管とドレッシング1301の密封接点1302との間で枢動および/または平行運動が可能とされる。
【0065】
図14は、密封接点1401およびそれを通過する薄型配管1402を備える、治療デバイス1400の別の実施例を図示している。実施例において、配管1402の遠位端1404は、ポートまたは吸引ヘッドに取り付けられておらず、ドレッシング1403に対し所望の場所で終了するように長さを特別設計することができる。この構成において、ドレッシングおよび減圧導管の両方が、創傷部位に対する所望の構造に整形(例えば切断)され得る。いくつかのさらなる実施形態において、取付可能な吸引ヘッドまたはポートは、特別設計後に、配管1402の切断端に連結されてもよい。さらなる実施形態において、吸引を薄型配管1402の露出した管腔端のみに依存するのではなく、穿刺ツールを配管1402の切断端に適用し、治療部位に面する薄型配管1402に複数の側方開口部を形成してもよい。
【0066】
一部の実施形態において、ドレッシングは、ドレッシングの下の創傷、創傷接触材料または創傷周囲の皮膚の検査を可能とするように、表面の少なくとも一部の区画に透明材料を備える。一部の実施形態において、ドレッシングはさらに、ドレッシングの透明区画に可逆的に接着され得るフラップを備える。これらのフラップは、その下のドレッシングおよび創傷領域全体を覆い隠すように、実質的に不透明であるかまたは適切に色付けされてもよい。一部の実施形態において、ドレッシングは、単一のフラップを備える。一部の実施形態において、ドレッシングは、複数の前記フラップを備える。
【0067】
図4は、実質的に不透明なドレッシング401の下の選択的観察を可能とするように構成される減圧治療システム400の一実施例を示す。ドレッシング401は、前述のようにポート402に取り付けることができる。ドレッシング401はさらに、ドレッシング401の実質的に透明な領域404を覆う不透明なフラップ403を備える。透明な領域は、ポリウレタン、シリコーン、透明親水コロイド、ヒドロゲル、コポリエステル、ポリエチレンまたは当技術分野において知られた他の任意の実質的に透明な材料を含み得る。フラップ403は、さらに、静電気的接着、弱い化学接着剤、または当技術分野で知られた他の任意の弱い接着方法等の弱い接着によって、透明領域404に解放可能に接着されてもよい。ドレッシングはまた、観察またはアクセス中にフラップを閉じた位置に維持するために、シーラントの他の部分に解放可能に接着または取り付くように構成されてもよい。フラップ403は、ドレッシング401の透明な領域404に対する可逆的な接着を可能とするために、ヒンジ要素405を備えてもよい。フラップ403はまた、閉じた位置406においてぴったり重なり、透明な領域404の視界を遮蔽してもよい。図示された実施形態は、ポート402の周りに配向した四枚折畳みフラップ構成を備える。一部の変形例において、フラップは、フラップの把持および引き上げを容易にするために、透明な領域の境界を越えて重複する。これらの変形例において、いかなる接着剤または弱い接着特性も有しない1つ以上の重複領域が提供されてもよい。
【0068】
図5は、二枚折畳みフラップ治療システム500の代替の構成を示す。ドレッシング501は、前述のようにポート502によって構成され得る。ドレッシング501は、図4に記載される様式で、ドレッシング401の透明な領域504を覆う不透明なフラップ503を備える。フラップ503は、ポート502の構造に対応するために、切り抜き特徴507をさらに備えてもよい。
【0069】
いくつかのさらなる実施形態において、ドレッシング適用システムまたは減圧治療システムは、所望の身体部位に対するドレッシングの適用を補助および容易にするために、ドレッシングの上および/または下に位置する1つ以上のアプリケータ要素をさらに備え、また、体表へのドレッシングの気密性の密封も改善し得る。これらのアプリケータ要素の1つの潜在的な機能は、容易に折れ曲がり、屈曲しないように、および結果的に接着剤層が露出したときにそれ自体に粘着しないように、ドレッシングに十分な剛性を提供することによって適用を容易にすることである。第二に、ドレッシングが適用される際に、ドレッシングシステムは、所望の表面へのより簡易な適用を可能とするように、ドレッシングの接着剤要素との接触を回避しながら保持および把持され得る。第三に、ドレッシングシステムは、特定の解剖学的輪郭に対応するように特別な設計が可能である。例えばドレッシングシステムを切断することによってドレッシングシステムが整形される場合、創傷部位へのドレッシングの簡易な適用を可能とする機能性要素が維持される。
【0070】
ドレッシングシステムの一部の実施形態において、ドレッシングシステムは、接着剤表面が露出すると十分なシステム剛性を維持する少なくとも1つの支持層を含み、一方、ドレッシングシステムの二次的要素は、適用前および/または適用中におけるドレッシングの接着剤成分へのユーザの不慮の接触を防ぐ層または一連の層を備える。これらの要素は、屈曲による皺の存在および結果的なドレッシングにおけるチャネル等の、低いドレッシング着用特性をもたらすドレッシング適用に関する既存の問題を緩和することに役立つ。本明細書に記載される実施形態は、所望の身体部位に対するドレッシングのより効果的な接着を目的としている。
【0071】
1つの例示的構成において、支持層は、ドレッシングの表面材料に解放可能に取り付けまたは付着され、例えばドレッシングが身体部位に固定された後等にユーザが適切と判断すれば、ドレッシングから取り外され得る。この支持層は、簡易な除去のために材料の縁のより容易な引き上げを容易にする切取線または折目を含むように構成され得る剛性担体要素を備えてもよい。また、切取線の位置付けおよび設計は、より小さいサイズへのドレッシングの切断が切取線へのアクセス性の維持を可能とするような位置付けおよび設計である。この担体要素は、ドレッシングが十分透明または半透明である場合、ドレッシングシステムの下のコンポーネントおよびそれが取り付けられる身体部位の可視化を容易にするように、透明または半透明であってもよい。十分な剛性を有するポリウレタンまたはその他の同様と考えられる材料が、担体要素として使用され得る。別の例示的構成においてドレッシングへの支持を提供するために、弱い接着剤とともに紙料を使用してもよい。切取線は、ドレッシングの上にすでに接着された担体フィルムのキスカット、またはドレッシングへの適用前のカットによって導入され得る。また、担体は、ドレッシングへの直接的なアクセスを可能とする少なくとも1つの開口部または窓を備えてもよく、また、導管がそれを通過して減圧をドレッシングの下の容積に連通させ得るように構成されてもよい。また、担体フィルムにおける切取線の場所は、ポート等の減圧導管および取り付けられる配管がドレッシング上に存在する場合、除去の容易性を提供するように構成されてもよい。
【0072】
別の実施形態において、別個または支持層と組み合わせて、ドレッシングの接着剤要素に取り付けられる要素は、ドレッシングを適用する個人へのドレッシングの不慮の接着を防止するための、適用中の使用者の接着剤との相互作用を軽減するリリースハンドルである。これらのハンドルは、身体部位に対するドレッシングの最初の接着後の簡易な除去を可能とするために、折り返されたコーティング済ポリマーシートの形態をとり得る。リリースハンドルは、透明もしくは半透明ドレッシングおよび担体を通した可視化を可能とするように透明もしくは半透明であるか、または不透明であってもよい。ハンドルは、例えば、シリコーン処理用紙、フルオロシリコーン、またはフルオロポリマー処理フィルム等のラミネートシートから形成されてもよい。ハンドルの折り返しは、ドレッシングが特別設計のためにより小さいサイズまで切断されている場合であっても、ドレッシングに接着されていない折り返しが存在するように、ドレッシングの中心に十分近くまで離間してもよい。これらのリリースハンドルのうちの少なくとも1つは、ドレッシング表面に沿って、典型的にはドレッシングの外周に沿って配向する。例えば、2組の対向するリリースハンドルは、矩形ドレッシングの縁を覆うように位置付けられてもよい。ドレッシングの適用前にリリースハンドルの間の接着剤を覆い保護するための別の要素が存在してもよい。リリースハンドルに類似したこの層は、透明もしくは半透明ドレッシングおよび担体を通した可視化を可能とするように透明もしくは半透明であるか、または不透明であってもよい。リリースライナは、例えば、シリコーン処理用紙、フルオロシリコーン、またはフルオロポリマー処理フィルム等のラミネートシートから形成されてもよい。上部支持層と底部リリースハンドルの要素が適所にあれば、2つの要素の剛性化および接着剤遮蔽は、ドレッシング形状の特別設計においても保存される。
【0073】
図15は、ドレッシングとともに使用され得る担体要素1500またはドレッシングの一実施例を示す。担体要素1500は、適用または準備の間にドレッシングの形状を維持する上で役立つより大きい剛性を有する材料および/または構造を備えてもよい。担体要素1500は、ドレッシング101の下面107上に位置する接着剤層または親水コロイド層に解放可能に取り付けられ得るが、またポート102に対応する中心開口部を提供することによって、ドレッシング101の上面上での使用のために構成されてもよい。例えば、図23は、その下のドレッシング2302の露出を可能にし、ポート部材または配管に対応する中心窓領域2301を有する担体要素2300を示す。切取曲線2302は、ドレッシング2302からの担体部分要素2303の除去を可能にする。半透明または透明ドレッシングは、その下の治療部位の可視化のために提供することができる。
【0074】
再び図15を参照すると、担体要素1500は、ドレッシング101からの部分要素1501の引き上げまたは分離を容易にするために、その間に非直線の切取線1502を有する少なくとも2つの部分要素1501を備える。図15に図示される切取線1502は、正弦曲線様の構成を備えているが、様々な直線または非直線構成のいずれも提供され得る。他の変形例において、別個または分岐していてもよい2つ以上の切取線を有する3つ以上の担体部分要素が提供されてもよい。さらに他の実施例において、折り返された、または重複したタブが提供されてもよい。
【0075】
図16は、担体要素1600の最近接縁1604に対して非直交配向を有する少なくとも1つのセグメント1603を有する切取線1602を有する2つの部分要素1601を備える担体要素1600の代替の構成を示す。切取線1602はまた、直線セグメント1603を備え、これは各実施形態の比直交セグメントと同じであっても同じでなくてもよい。担体部分要素1601がより狭い領域1605でドレッシングから分離される場合、低減された接触幅または分離方向に対する横方向寸法の結果、分離に必要な剥離力が低減され得る。
【0076】
図17は、その下のドレッシング要素の露出を可能とする内部または中心窓領域1701を備える担体要素1700の別の構成を示す。1つ以上の切取線1702が、担体要素1700の外縁1703と内縁1704との間に提供されてもよい。複数の切取線が提供される場合、切取線1701は、担体要素1700を同様のサイズおよび形状の部分要素1705に分離するように、対称位置に位置してもよいが、他の変形例において、切取線は、非対称に位置してもよい。
【0077】
図18Aから18Dは、その下のドレッシングまたはドレッシング1803を露出させ、またドレッシング1803に取り付けられるポート(図示せず)を受け入れるために、担体要素1802に窓1801を有するドレッシングシステム1800を示す。ドレッシングシステム1800はさらに、内部リリースライナ1804および2つのリリースハンドル1805を備える。担体要素1802は、治療部位への適用中にドレッシング1803に増加した剛性および支持を提供し、一方、窓1801は、治療の可視化を可能としてドレッシング1803の位置付けを容易にする。内部リリースライナ1803は、適用前にユーザがライナ1803を取るまで不慮の接着に対しドレッシング1803の接着剤層を保護する。ドレッシング1803の中心部分を露出させるために、内部リリースライナ1803の遊離フラップ1808を把持してライナ1803を分離することができる。2つのリリースハンドル1805によって、ドレッシング1803の下面上の接着剤層に接着せずにドレッシング1803を取り扱うまたは把持することができる。内部リリースライナ1803の除去によって露出された接着剤層が所望の治療部位に接着されたら、リリースハンドル1805の遊離フラップ1806を把持し、引っ張ってリリースハンドル1805の接着されたフラップ1807をドレッシング1803から分離し、残りの接着剤を露出させて治療部位へのドレッシング1803の完全な接着を可能とすることができる。固定されると、担体要素をドレッシング1803から分離することができる。
【0078】
図19Aおよび19Bは、複数の切り込み1900〜1904を形成して、その機能性を維持しながら特定の形状にシステム1800を特別設計した後の、図18Aから18D中のドレッシングシステム1800を図示している。図19Bは、ドレッシングシステム1800の下側の斜視図であり、ドレッシングシステム1800およびドレッシング1803が切断されても、リリースライナ1804およびリリースハンドル1805がそれぞれの形態および機能性を維持していることを示している。
【0079】
簡単のために、図18Aから18Dは、ポート部材を取り付けたドレッシング1803を図示した。図20は、原型のドレッシングシステム1800を図示しており、担体窓1801を有する担体要素1802が、ドレッシング1803のポートアセンブリ1810および配管1811を包囲している。担体要素1802における切取線1812は、減圧導管が存在する状態で担体要素1802の簡易な除去を可能とするような様式で、例えばポートアセンブリ1810および配管1811からの干渉を最小化するように位置する。
【0080】
デバイスのさらなる構成において、埋設されたリングまたは隆起等の補強材を、ドレッシングシステムに組み込むことができる。これらの構造または要素は、ドレッシングの屈曲およびドレッシングの自己接着を軽減することによって、減圧ドレッシングの適用を簡素化することができ、また、さもなければ適用中に生じ得る縮皺を低減することによって、適用されると気密性の密封を形成および維持するドレッシングの能力を改善することができる。ドレッシング接着剤の厚さに加え、これらの要素は、より低い漏洩力でより強固な密封を提供することによって、より長期間の組織損傷の領域に対する減圧の送達を可能にし得る。さらに、従来のRPWTドレッシングよりも密封が強固であり、漏洩が低減され得る、または実質的に排除され得るため、減圧の形成のための連続稼動電動ポンプの使用を排除することができる。この種の治療は、従来の減圧シーラントドレッシングを用いた場合、実現可能性がより低い。
【0081】
図21Aおよび21Bは、ドレッシングシステム2100の屈曲/縮皺を低減し得る厚い接着剤層2101(例えば、少なくとも約500ミクロン以上)およびポート部材2105を包囲する周方向の補強構造2102を備えるドレッシングシステム2100の一実施形態を図示している。図21A中の補強構造2102は、連続的な閉鎖構成構造2101を備えるが、他の変形例において、構造は、セグメントであってもよく、および/または略開放構成、例えばC字形状を備えてもよい。厚い接着剤層2101に加え、ドレッシングシステム2100はさらに、内部領域2104よりも増加した接着特性を有する外周領域2103を備える。いくつかの状況においては、ドレッシング2100の外周2103にわたるより増加した接着が、ドレッシング接着の維持にさらに役立ち得る。一部の変形例において、外周2103と内部領域2104との間の剥離力の差は、幅約25mmの試験片に対して約1N乃至約10N、時には約2N乃至約8N、時には約1N乃至約4Nであってもよい。プローブ粘着力の差は、約100kPaの初期負荷で約0.5N乃至約3N、時には約0.75N乃至約2N、時には約0.5N乃至約1.5Nであってもよい。いくつかのさらなる変形例において、内部領域2104は、いかなる接着剤も完全に欠如していてもよい。ドレッシングの接着特性の他の変形例は、本明細書において上述された。
【0082】
図22Aおよび22Bは、ドレッシングの屈曲/縮皺を低減するために、厚い接着剤層2201、およびポート部材2206を包囲する半径方向補強材2202を有する、ドレッシングシステム2200の別の実施例を図示している。ドレッシングシステム2200の外周にわたるより薄い接着剤裾部2203が提供されてもよい。より薄い接着剤裾部2203は、厚さが逓減してもよく、または均一の厚さを有してもよい。より薄い外周はまた、体表からのドレッシング縁の剥れを軽減する。ドレッシングシステム2200は、体表への適用のために、中心ライナ2204を除去して、まず厚い中心接着剤層2201を露出させ、次いで第2の外周ライナ2205を除去して接着剤裾部/境界2203を接着することによって、適用することができる。
【0083】
図24は、体表に対するドレッシング2400のより大きな適応性を可能にする、比較的より厚い領域およびより薄い領域2402および2404を備えるドレッシングまたはドレッシング2400を図示している。より厚い領域は、より厚い親水コロイド接着材料で構成されてもよく、一方より薄い領域は、より薄い親水コロイドまたは弾性ポリウレタンまたはその他同様の材料で構成されてもよい。一部の実施例において、より厚い親水コロイド接着剤領域は、約0.2mm乃至約2mm、時には約0.3mm乃至約1.5mm、時には約0.5mm乃至約1mmの範囲内の厚さを有してもよい。いくつかのさらなる実施例において、より薄い親水コロイド接着剤領域は、約0.15mm乃至約1.5mm、時には約0.2mm乃至約1.2mm、時には約0.5mm乃至約0.8mmの範囲内であってもよい。厚い領域と薄い領域との間の厚さの比は、1.2:1乃至約3:1以上、時には約1.5:1乃至約2:1、時には約1.3:1乃至約1:6:1の範囲内であってもよい。この具体的な実施形態において、領域2402および2404は、厚い領域2402が正方形形状を有する直交格子様式で配置または組織化される。他の実施例において、厚い領域は、他の形状、例えば円形、星形等を有してもよく、一方、さらに他の実施例において、厚い領域と薄い領域との間の関係は逆、例えば厚い領域が格子線を有し、薄い領域が正方形形状を有するワッフル型構成であってもよい。
【0084】
図25は、厚い領域および薄い領域2502および2504を備えるドレッシング2500の別の実施例を図示しており、ドレッシング2500のより大きな延長および拡張が可能となり得るように、薄い領域2504はそれぞれの厚い領域2502を完全に包囲している。より厚い領域2502は、ドレッシング2500の中心に対して略半径方向の配位を有する直線部材を備えてもよい。図25に図示されているように、厚い領域2502は、可変の長さおよび幅を有し得る。厚い領域2502は、厚い親水コロイド接着材料を備えてもよく、一方より薄い領域2504は、より薄い親水コロイドまたは弾性ポリウレタンまたはその他の同等の材料で構成されてもよい。
【0085】
減圧治療システムの漏洩抵抗特性をさらに増強するために、噴霧式、塗布式またはその他の最初は液体ベースのドレッシングを使用することができる。一部の実施形態において、可撓性および/または調節可能ダム、ステンシル、マスクまたは格納装置を治療部位の周囲に装着することができる。ダムは、特定の解剖学的位置に合わせて複数のサイズおよび/または形状で構成されてもよく、ある特定の構成において、概して流体抵抗密封を形成するように複数の身体部位に適応し得る、柔軟な底縁を有する。ある特定の実施形態において、ダムはさらに、RPWT導管を保持する機構を備える。一部の実施形態において、ダムはさらに、RPWTドレッシング用の保持具(フォームもしくはガーゼ、またはその他)を備えてもよい。創傷周囲にダムを位置付けた後、様々な速硬性ポリマーまたは他の同様の挙動を示す材料のいずれかを備えてもよいドレッシングは、治療部位上に噴霧またはその他の態様で適用され、部位、ドレッシング、および部位と流体連通する導管の部分の周囲の気密性の密封および封入体を形成する。ある特定の実施形態において、適用される物質は、迅速硬質化シリコーンまたはラテックスであってもよい。一部の実施形態において、RPWT導管は、適用されたドレッシングによる気密性の封入体の形成後に適用されてもよい。そのような実施形態において、使用者は、導管を取り付けるために、適用されたドレッシングに開口部を形成してもよい。開口部は、噴霧中に予め形成されてもよく、または噴霧後に形成されてもよい。一部の実施形態において、導管は、接着剤によって気密性の封入体に取り付けられる。一部の実施形態において、適用されたドレッシングは、硬化して創傷縁を内側に引き込み、より迅速な創傷閉鎖/創傷治癒を促進する際に、サイズが約1%乃至約10%以上収縮してもよい。他の実施例において、液体ドレッシングは、治療部位に刷毛、ローラで適用されてもよく、または簡易に適用または搾り出されてもよい。
【0086】
図26Aから26Cは、ドレッシングの分布を制御するためのドレープまたは格納要素を使用して、噴霧式またはその他の様式で適用されるドレッシングを創傷上に適用するために使用され得る手順およびシステムの一実施例を示している。まず、減圧導管2600が、創傷接触材料2601上に設置され、次いでドレープ2602が創傷2603の周囲に設置される。噴霧シーラント材料2604を、一部ドレープ2602で覆われた創傷2603および接触材料2601に噴霧する。次いで、ドレープ2602を除去し、シーラント材料2604を硬化/硬質化させて気密性のバリアを形成させる。
【0087】
図27は、図26Aから26Cに図示されるものとともに使用され得る任意選択の構造および手順を示し、接触材料2601を治療部位に適用した後であるがドレッシングの噴霧の前(図27に図示されるように)または後に、メッシュまたはネット2700が適用される。一部の実施例において、まずネット2700を適用することによって、例えば表面力によって、適用されたシーラントの保持および/または捕捉が補助され得る。ドレッシング材料の適用前または後にポート2600が設置され、減圧源と創傷との間の導管を形成してもよい。
【0088】
図28は、RPWT導管保持具2803を有するカフ2802を備える、治療部位2801に噴霧式シーラント材料を適用するように構成される別のシステム2800を示す。使用中、治療部位2801の前処理後、創傷接触材料2804が治療部位2801に適用され、次いでカフ2802が治療部位2801の周囲に設置され、ポート2805が接触材料2804上に位置付けられ、ポート/配管保持具2803によって適所に保持される。次いでシーラント材料がカフ2802の開口部または空洞2806に噴霧され、治療部位2801およびポート2805を治療部位2801に密封させる。導管保持具2803はカフ2802の上方表面上に位置するように図示されているが、他の変形例において、導管保持具は、カフ2802の側壁2807上に位置してもよい。また、カフは、図28に図示されているような円形構成を有する必要はなく、様々な形状のいずれを有してもよく、またはさらに、特別設計のマスキング形状を提供するように塑性変形性または展性であってもよい。
【0089】
本発明は、記載された特定の例示的実施形態に限定されず、したがって当然ながら変動し得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図しないことを理解されたい。
【0090】
値の範囲が示されている箇所では、文脈によって異なるように明確に示されていない限り下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限および下限の間のそれぞれの中間的な値もまた、具体的に開示されていることが理解される。任意の示された値もしくは示された範囲内の中間的な値の間のそれぞれのより小さい範囲、またはその示された範囲内の他の任意の示されたまたは中間的な値は、本発明に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して範囲内に含まれ得るかまたは除外され得、いずれかの限界もしくは両方の限界がより小さい範囲内に含まれるかまたはどちらも含まれないそれぞれの範囲もまた、示された範囲内の任意の具体的に除外された限界に従い、本発明に包含される。示された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらのいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0091】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または等価の任意の方法および材料を、本発明の実践または試験において使用することができるが、いくつかの可能性のあるおよび好ましい方法および材料がここで開示される。本明細書において言及された全ての出版物は、参照することによって、関連してその出版物が引用される方法および/または材料を開示および記載するように本明細書に組み込まれる。本開示は、矛盾する点が存在する場合、組み込まれた出版物のいかなる開示にも優先することが理解される。
【0092】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈上異なる定義が明示されていない限り、単数形「a」、「an」および「the」は、複数形の指示対象を含むことを理解されたい。したがって、例えば、「ブレード」は、複数のそのようなブレードを含み、「エネルギー源」という言及は、1つ以上のエネルギー源、および当業者に知られるその等価物等への言及を含む。
【0093】
本明細書において議論される出版物は、その開示のみのために提供される。本明細書において、本発明が先願発明によりそのような出版物に先行する権利がないことを認めるように解釈されるものはない。さらに、存在する場合、記載された出版物の日付は、実際の出版日とは異なる可能性があり、独立して確認する必要があり得る。
【0094】
上記は、本発明の原理を示すに過ぎない。当業者は、本明細書に明示的に説明または示されていなくとも、本発明の原理を具現化し、本発明の精神および範囲に含まれる様々な配置を考案することができることが理解される。さらに、本明細書において列挙される全ての例および条件語句は、主として読者が本発明の原理および本発明者によって当技術分野の推進に寄与される概念を理解する上での補助となることを意図し、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様および実施形態、ならびにその具体例を列挙する本明細書における全ての記述は、その構造的および機能的等価物を包含することを意図する。加えて、そのような等価物は、現在知られている等価物および将来開発される等価物、すなわち構造に関わらず同じ機能を実行する任意の開発された要素の両方を含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書において示され説明された例示的実施形態に制限されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。本明細書に記載の全ての実施形態に対して、方法のステップは、順番に実行される必要はない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧治療システムであって、
外縁と、上面と、下面と、少なくとも1つの開口部とを備えるカバー構造と、
該カバー構造の該下面に取り付けられた流動性接着剤層であって、該流動性接着剤層は、少なくとも約0.2mmの厚さを有する流動性接着剤層と、
電動でない自己生成真空源と
を備える、減圧治療システム。
【請求項2】
前記真空源に取り付くように構成される配管をさらに備える、請求項1に記載の減圧治療システム。
【請求項3】
前記真空源は、前記カバー構造と一体的に形成される、請求項1に記載の減圧治療システム。
【請求項4】
前記カバー構造は、少なくとも該カバー構造の前記上面に取り付けられるポート部材をさらに備える、請求項2に記載の減圧治療システム。
【請求項5】
前記流動性接着剤層は、吸湿性の流動性接着剤層を備える、請求項1に記載の減圧治療システム。
【請求項6】
前記接着剤層は、少なくとも900g/m/日の吸水速度を有する、請求項5に記載の減圧治療システム。
【請求項7】
前記接着剤層は、少なくとも1000g/m/日の吸水速度を有する、請求項5に記載の減圧治療システム。
【請求項8】
前記接着剤層は、少なくとも1100g/m/日の吸水速度を有する、請求項5に記載の減圧治療システム。
【請求項9】
前記接着剤層は、少なくとも1200g/m/日の吸水速度を有する、請求項5に記載の減圧治療システム。
【請求項10】
前記流動性接着剤層は、少なくとも約0.3mmの厚さを有する、請求項1に記載の減圧治療システム。
【請求項11】
前記流動性接着剤層は、少なくとも約0.5mmの厚さを有する、請求項1に記載の減圧治療システム。
【請求項12】
前記流動性接着剤層は、少なくとも約0.7mmの厚さを有する、請求項1に記載の減圧治療システム。
【請求項13】
前記流動性接着剤層は、少なくとも約1mmの厚さを有する、請求項1に記載の減圧治療システム。
【請求項14】
前記流動性接着剤層は、少なくとも約1.5mmの厚さを有する、請求項1に記載の減圧治療システム。
【請求項15】
前記流動性接着剤層は、約20,000センチポアズ乃至約50,000センチポアズの範囲内の粘度を有する、請求項1に記載の減圧治療システム。
【請求項16】
前記流動性接着剤層は、約10,000センチポアズ乃至約100,000センチポアズの範囲内の粘度を有する、請求項1に記載の減圧治療システム。
【請求項17】
減圧治療システムであって、
外縁と、上面と、下面と、少なくとも1つの開口部とを備えるカバー構造と、
該カバー構造の該上面に取り付けられ、該カバー構造の該少なくとも1つの開口部と連通している少なくとも1つのポート管腔を備えるポート部材と、
該カバー構造の該下面に取り付けられる親水コロイド層であって、該親水コロイド層は、少なくとも約0.2mmの厚さを有する親水コロイド層と
を備える、システム。
【請求項18】
前記親水コロイド層は、前記カバー構造の前記外縁の付近に厚さ低減領域を備える、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項19】
前記厚さ低減領域は、エンボス加工または圧縮領域を備える、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項20】
前記厚さ低減領域は、前記親水コロイド層の内部領域に対して増加した密度を備える、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項21】
前記カバー構造上に視覚に訴える格子マーキングをさらに備える、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項22】
前記ポート部材は、基部と、該基部に対して回転するように構成される本体とをさらに備える、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項23】
前記ポート部材の前記基部は、前記カバー構造の前記上面に接着される、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項24】
配管をさらに備え、前記配管は、外壁と、近位端と、遠位端と、その間の少なくとも1つの管腔と、縦管腔軸と、該縦管腔軸を横断する第1の寸法と、該第1の寸法および該縦管腔軸を横断する第2の寸法とを備える、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項25】
前記配管は、前記ポート部材に取り付くように構成される、請求項24に記載の減圧治療システム。
【請求項26】
前記配管は、前記ポート部材と一体的に形成される、請求項24に記載の減圧治療システム。
【請求項27】
前記第1の寸法は、前記第2の寸法よりも大きいサイズである、請求項24に記載の減圧治療システム。
【請求項28】
前記第1の寸法は、前記第2の寸法の少なくとも2倍のサイズである、請求項24に記載の減圧治療システム。
【請求項29】
前記第1の寸法は、前記第2の寸法の少なくとも3倍のサイズである、請求項24に記載の減圧治療システム。
【請求項30】
前記第1の寸法は、前記第2の寸法の少なくとも4倍のサイズである、請求項24に記載の減圧治療システム。
【請求項31】
前記配管は、略平面の構成の複数の管腔を備える、請求項24に記載の減圧治療システム。
【請求項32】
前記少なくとも1つのポート管腔は、円形でない断面構成を有する、請求項1に記載の減圧治療システム。
【請求項33】
前記少なくとも1つのポート管腔は、少なくとも1つの管腔突起部を備える、請求項32に記載の減圧治療システム。
【請求項34】
前記少なくとも1つの管腔突起部は、複数の縦方向隆起を備える、請求項33に記載の減圧治療システム。
【請求項35】
前記配管は、該配管の少なくとも1つの管腔と外壁との間に連通を提供する、少なくとも1つの側方通路を備える、請求項24に記載の減圧治療システム。
【請求項36】
前記配管の外面に密封され、前記少なくとも1つの側方通路を覆う弾性構造をさらに備える、請求項35に記載の減圧治療システム。
【請求項37】
前記弾性構造は、スリーブ構造である、請求項36に記載の減圧治療システム。
【請求項38】
前記弾性構造は、内面によって構成され、該内面は、大気圧に暴露されると前記配管の前記外壁から第1の距離で離間され、減圧に暴露されると該第1の距離よりも短い第2の距離で離間される、請求項37に記載の減圧治療システム。
【請求項39】
前記ポート部材は、弾性材料を備える、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項40】
前記弾性材料の少なくとも一部は、前記少なくとも1つのポート管腔内の内圧レベルが大気圧よりも少なくとも−50mmHg低いときに、該少なくとも1つのポート管腔の中へと変形するように構成される、請求項39に記載の減圧治療システム。
【請求項41】
前記カバー構造は、補強構造をさらに備える、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項42】
前記補強構造は、前記カバー構造と一体的に形成される、請求項41に記載の減圧治療システム。
【請求項43】
前記補強構造は、前記カバー構造の前記上面にあり、前記ポート部材を包囲している第1の隆起構造を備える、請求項42に記載の減圧治療システム。
【請求項44】
前記第1の隆起構造を包囲する第2の隆起をさらに備える、請求項43に記載の減圧治療システム。
【請求項45】
前記第1の隆起構造は、分節隆起構造である、請求項43に記載の減圧治療システム。
【請求項46】
前記補強構造は、カバー構造内に埋設される、請求項41に記載の減圧治療システム。
【請求項47】
前記カバー構造は、カバー材料を備え、前記補強構造は、該カバー材料よりも増加したデュロメータを有する補強材料を備える、請求項41に記載の減圧治療システム。
【請求項48】
前記補強構造は、格子状の補強構造を備える、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項49】
前記補強構造は、放射状のスポーク構造を備える、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項50】
前記親水コロイド層の少なくとも一部に解放可能に接着される解放層をさらに備える、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項51】
前記解放層は、前記親水コロイド層の中心部に解放可能に接着される、請求項50に記載の減圧治療システム。
【請求項52】
前記親水コロイド層の少なくとも周辺部に解放可能に接着され、該親水コロイド層と前記解放層との間に位置する少なくとも1つのハンドル層をさらに備える、請求項51に記載の減圧治療システム。
【請求項53】
前記カバー構造の前記上面に取外し可能に取り付けられる接着剤担体構造をさらに備える、請求項50に記載の減圧治療システム。
【請求項54】
前記接着剤担体構造は、第1の担体層と、第2の担体層と、その間の非直線の界面とを備える、請求項53に記載の減圧治療システム。
【請求項55】
前記接着剤担体構造は、前記ポート部材を包囲する中心開口部を備える、請求項53に記載の減圧治療システム。
【請求項56】
前記中心開口部は、前記ポート部材から離間している、請求項53に記載の減圧治療システム。
【請求項57】
前記中心開口部は、前記ポート部材から少なくとも1cm離間している、請求項56に記載の減圧治療システム。
【請求項58】
前記親水コロイド層は、前記カバー構造の内部領域付近よりも該カバー構造の前記外縁付近においてより大きいプローブ粘着力を有する、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項59】
前記親水コロイド層は、前記カバー構造の内部領域付近よりも該カバー構造の前記外縁付近においてより大きい解放力を有する、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項60】
前記カバー構造に対する前記ポート部材の最大垂直寸法は、該最大垂直寸法を横断する該ポート部材の最大横寸法よりも小さい、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項61】
前記カバー構造に対する前記ポート部材の最大垂直寸法は、該最大垂直寸法を横断する該ポート部材の最大横寸法よりも少なくとも50%小さい、請求項17に記載の減圧治療システム。
【請求項62】
前記配管は、一方向逆止弁をさらに備える、請求項24に記載の減圧治療システム。
【請求項63】
皮膚位置の減圧治療を行う方法であって、
皮膚位置にドレッシングを適用することと、
該皮膚位置にマスクを適用することであって、該マスクは、内縁と、外縁とを備える、ことと、
液体シーラントを該ドレッシングおよび該皮膚位置に適用することと、
該皮膚位置から該マスクを除去することと
を含む、方法。
【請求項64】
前記マスクを選択して、前記皮膚位置の縁から該マスクの内縁を離間させることをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記皮膚位置に接触材料を設置することをさらに含み、該皮膚位置は、開放創である、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記液体シーラントを前記ドレッシングに適用した後に、該液体シーラント上にメッシュ材料を設置することをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記皮膚位置から前記マスクを除去した後に、前記液体シーラント上にメッシュ材料を設置することをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
前記液体シーラントを適用する前に、前記ドレッシング上にメッシュ材料を設置することをさらに含む、請求項63に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2012−509723(P2012−509723A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537745(P2011−537745)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/065959
【国際公開番号】WO2010/068502
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(510221700)スパイラキュア インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】