説明

体重を減らすことができる有用な医薬品製剤における神経成長因子(NGF)の使用

【課題】食事、生活行動及び医薬品による治療を通じて、肥満を軽減あるいは防止するために、動物と人体に対して副作用がない体重を減少させるのに有効な医薬品製剤における神経成長因子(NGF)を用いた医薬品を提供する。
【解決手段】神経成長因子(NGF)を配合した注射剤又は点鼻剤であり、注射剤としては溶液注射剤、懸濁注射剤、乳液性注射剤、注射用凍結乾燥粉末剤、注射用無菌粉末剤があり、又点鼻剤には、鼻噴霧剤、鼻滴剤、鼻用溶液、鼻用パップ剤、鼻用エアロゾル製剤がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体重を減少させるのに有効な医薬品製剤における神経成長因子(NGF)の使用に関係する。
【技術背景】
【0002】
体重は食品の摂取とエネルギーの消費とのバランスにより決定する。遺伝形質等の要素も関係するけれども、体重の増加あるいは肥満の原因として考えられる最大の理由は、食物によりエネルギーを取り過ぎること、及び/又は、身体のエネルギー消費が減少することである。体重過多又は肥満により、余分な脂肪が体に蓄積し、高血圧、高血脂、インシュリン依存型糖尿病、冠状動脈性硬化症、睡眠時呼吸停止症などの循環器系と呼吸器系の疾病の発病率が増加する。
【0003】
食事、生活行動及び医薬品による治療を通じて、部分的に肥満を軽減あるいは防止することができる。通常使用される物質は、腸管内の食物から脂肪の吸収を抑制するオーリスタット、ノルエピネフリンとセロトニンの再摂取を抑えて食欲を減退させるシブトラミン、及び、セロトニンを放出し、その後、セロトニンの再摂取を抑えて、食欲を抑えるフェンフルラミンがある。しかし、これらの薬物は、軽い程度から深刻な程度までの副作用がある。例えば、フェンフルラミンは臨床試験において著しく心臓血管に障害を及ぼすことが明らかとなり、1999年に米国FDAにより市場から排除された。その他のダイエット薬物の副作用は頭痛、心悸、失眠、下痢、腸の痙攣と高血圧などがある。副作用以外では、アンフェタミンに代表されるように、多くのダイエット薬品は中毒を起こす可能性を持つ。
【0004】
神経成長因子(NGF)はイタリアの胚胎発学者Rita Levi-Montalciniと米国の化学学者Stanley Cohenが1953年にラットの腫瘍細胞の中で神経細胞調節因子の一種から発見した。その主な存在位置は堤神経細胞に支配される標的細胞で、例えば、中枢の神経膠質細胞、外周のシュワン細胞、骨格筋といくつかの腺体;成熟げっ歯類の顎下腺、牛の精液、蛇の毒、及び、ヒトの胎盤は豊富なNGFを含む。
【0005】
50数年来、世界各国の学者はNGFに関する研究を絶えず行い、NGFが神経系へのダメージ及び免疫システムとその他のシステムに対して明らかな影響を持つことが発見された。そして、動物と人体に対して重篤な副作用があることは、未だ報告されていない。
【0006】
現在、販売されているNGFを主要成分とする医薬品は、大部分が、手足の神経系損失、アルツハイマー、神経組織の移植、脳虚血、抹消神経炎等の治療に用いられている。しかし、NGFが肥満の治療に有効であるという報告は現在、なされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、効果的に体重を軽減させるために、NGFを用いた医薬品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を実現するため、我々は、NGFを、効果的に体重を減らすための医薬品中に適用するという、方法を採用した。
【0009】
NGFに対して行った研究では、NGFを投入してから2週間後のラットの体重は有意に増加することはなかった。そして、体重の増加の程度は、薬の投与量に依存していた。薬を投入してから4週間後に、このような体重が増加しないという現象は依然として続いていた。そのため、私達はこの発見対してさらに実験を行い、ついに当発明を完成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果は、1)効果的に体重を軽減する。すなわち、現在あるダイエット医薬品と比較して、神経成長因子(NGF)は直接にラットの体重増加を抑制し、NGFの投与を停止した後でも、体重が戻らない。2)明らかな副作用がない。すなわち、現在あるダイエット医薬品と比較して、本発明の実験中に神経成長因子が明らかな副作用があることを発見していない、さらに、中毒性も認められなかった。従って、神経成長因子を利用して、効果的に体重を軽減することができる。この発明は、経済的見通しもあり、社会に貢献することができる。
【実施例1】
【0011】
実施例1では、以下のようにNGFを注射液及び鼻用噴霧剤に調剤して、ラットに投与した。その後、ラットの体重増加を抑制する作用があることを調べるために体重観察を行った。
【0012】
1、薬物
神経成長因子(NGF)の注射剤、鼻用噴霧剤(北京昭衍新薬研究開発センター提供)
2. 動物
ウインスターラット(軍事医学科学院実験動物センターから購入)、40匹、雄、標準試料を給餌した。
【0013】
ラットに筋肉注射及び鼻用噴霧剤により、体重1キログラム当たり4000単位のNGFを投与した。対照群は正常に飼育した。投与時、および投与後、2週間、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間および15週間後にラットの体重を測量した。
【表1】

【表2】

【実施例2】
【0014】
実施例2では、以下のようにNGFを注射液及び鼻用噴霧剤に調剤して、ラットに投与した。その後、ラットの体重増加を抑制する作用があることを調べるために体重観察を行った。
【0015】
1、薬物
神経成長因子(NGF)の注射剤、鼻用噴霧剤(北京昭衍新薬研究開発センター提供)
2. 動物
ウインスターラット(軍事医学科学院実験動物センターから購入)、40匹、雌、標準試料を給餌した。
【0016】
ラットに筋肉注射及び鼻用噴霧剤により、体重1キログラム当たり4000単位のNGFを投与した。対照群は正常に飼育した。投与時、および投与後、2週間、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間および15週間後にラットの体重を測量した。
【表3】

【表4】

【0017】
本発明の神経成長因子(NGF)を含む注射液と鼻用噴霧剤は、ラットの体重の増加を抑制することができ、この効果は薬の投与量に依存していた。前期試験期間中に、ラットに明らかな副作用は見られなかった。回復期においても副作用は見られなかった。そのため神経成長因子(NGF)は、副作用を伴わずに、効果的に体重を軽減するために医薬品に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
効果的に体重を減らすことができる医薬品中に神経成長因子(NGF)を適用する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、前記医薬品が、注射剤、又は、点鼻剤であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の医薬品であって、前記注射剤が、溶液注射剤、懸濁液注射剤、乳液性注射剤、注射用凍結乾製粉末剤、注射用無菌粉末剤を含むことを特徴とする医薬品。
【請求項4】
請求項2に記載の医薬品であって、前記点鼻剤が、鼻噴霧剤、鼻滴剤、鼻用溶液、鼻用パップ剤、及び鼻用エアロゾル製剤を含むことを特徴とする医薬品。

【公開番号】特開2007−131586(P2007−131586A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327040(P2005−327040)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(505419903)舒泰神(北京)薬物有限公司 (1)
【Fターム(参考)】