説明

体重管理のための併用療法

体重管理のための組成物および方法を提供する。組成物は一般にMCHR拮抗薬を、CB1拮抗薬と組み合わせて、またはCB1拮抗薬と同時投与されるように製剤化して、含む。ある方法はMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を患者に同時投与する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、体重管理において使用するための薬学的組成物および治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は先進国において最も一般的な栄養上の問題である。ある推定におよれば、肥満は合衆国の人口の半分以上に影響し、毎年300,000名がこの状態が原因で死亡している。肥満は、しばしば深刻な健康状態、例えば、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、肺塞症、冠動脈疾患、高血圧症、脳卒中、糖尿病、睡眠時無呼吸症、深部静脈血栓症、高脂血症およびいくつかの癌、ならびに合併症、多くの慢性状態、例えば呼吸器疾患、変形性関節症、骨粗鬆症、胆嚢疾患および異常脂質血症に至る。幸いにも、肥満により引き起こされるまたは悪化する状態の多くは、減量により解決され、または劇的に改善される。
【0003】
以前は単なる行動的問題(すなわち、自発的過食症の結果)であると考えられていたが、現在では、肥満は、食物摂取、食物が引き起こすエネルギー消費および脂肪体と徐脂肪体同化の間の均衡の調節不全が関係する複雑な多因子疾患であると認識されている。環境因子および遺伝因子の両方が肥満の発現に重要な役割を果たす。その結果、完全に行動修正に焦点を当てた治療プログラムは制限された効果しか有さず、常習率が95%を超える。薬物療法が現在では、減量およびその後の体重管理の重要な構成要素であると考えられている。
【0004】
肥満の原因となる1つのシグナル伝達経路は、メラミン凝集ホルモン(MCH)、環状19アミノ酸視床下部ペプチドにより調節される。MCHは食物摂取およびエネルギーバランスのレギュレータとして機能し、外側および後部視床下部における神経伝達物質として働く。MCH活性は、特定の受容体への結合により媒介され、MCH1型(MCHR1)および2型(MCHR2)が識別されている。MCHR1は、コラコウスキー(Kolakowski)ら(1996)FEBS Lett.398:253−58、ラカエ(Lakaye)ら(1998)Biochim.Biophys.Acta 1401:216−220、チャンバース(Chambers)ら、ネイチャー(Nature)400;261−65、およびサイトウ(Saito)ら(1999)ネイチャー400:265−69により最初に報告された。MCHR2はアン(An)ら(2001)Proc.Natl.Acad.Sci.USA98:7576−7581、セイラー(Sailer)ら(2001)Proc.Natl.Acad.Sci.USA98:7564−7569、ヒル(Hill)ら(2001)J.Biol.Chem.276:20125−20129、およびモリ(Mori)ら(2001)Biochem.Biophys.Res.Commun.283:1013−1018により記述されており、MCHR1と30%を超えるアミノ酸が同一である。MCHが結合すると、MCHR1およびMCHR2は、用量依存的細胞内カルシウム放出を媒介する。抗肥満薬として使用するために、様々なMCH受容体拮抗薬が報告されており、PCT国際公開番号WO03/059289、WO03/060475、WO02/094799およびWO02/04433において記述されているものが挙げられる。
【0005】
【特許文献1】国際公開第03/059289号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/060475号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/094799号パンフレット
【特許文献4】国際公開第02/04433号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MCH受容体拮抗薬は、肥満治療において有望であるが、当技術分野では、食欲を減少させるための、および体重管理のための(例えば、肥満および他の摂食障害を治療および予防するための)改良された薬学的組成物および方法が依然として必要である。本発明はこの要求を満たし、さらに関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は体重管理(例えば、肥満の治療および予防)、食欲減少および摂食障害の治療のために有益な組成物および方法を提供する。
【0008】
一定の観点では、本明細書で提供した組成物は第1の治療的有効量の少なくとも1つの非毒性MCHR拮抗薬と第2の治療的有効量の少なくとも1つの非毒性CB1拮抗薬とを、生理学的に許容される担体または賦形剤と共に含む。
【0009】
パッケージ薬学的調製物もまた提供する。一定のそのようなパッケージ薬学的調製物は(i)少なくとも1つの非毒性MCHR拮抗薬を含む組成物を保持する容器と、(ii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬を、第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と同時に患者に投与することを示す使用説明書とを含む。
【0010】
他のパッケージ薬学的調製物は、(i)少なくとも1つの非毒性MCHR拮抗薬と、(ii)少なくとも1つの非毒性CB1拮抗薬と、(iii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬を、肥満治療のためにまたは食物摂取および/または食欲を減少させるために患者に投与することを示す使用説明書とを含む。
【0011】
別の観点では、(i)第1の治療的有効量の少なくとも1つの非毒性MCHR拮抗薬と、(ii)第2の治療的有効量の少なくとも1つの非毒性CB1拮抗薬を同時に患者に投与する工程を含む、患者における食物摂取および/または食欲を減少させるための方法を提供する。
【0012】
別の観点では、(i)第1の治療的有効量の少なくとも1つの非毒性MCHR拮抗薬と、(ii)第2の治療的有効量の少なくとも1つの非毒性CB1拮抗薬を同時に患者に投与する工程を含む、患者における肥満を治療するための方法を提供する。
【0013】
本明細書で提供した組成物、パッケージ薬学的調製物および方法の一定の実施形態では、第1の治療的有効量はMCHR拮抗薬に対する最大推奨量の1/2未満であり、および/または第2の治療的有効量はCB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である。
【0014】
組成物の別の実施形態では、本明細書で提供したパッケージ薬学的調製物および方法では、第1の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで、MCHR拮抗薬の米国臨床試験で有効性が証明されたMCHR拮抗薬の最小用量より少なく、および/または第2の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで、CB1拮抗薬の米国臨床試験で有効性が証明されたCB1拮抗薬の最小用量より少ない。
【0015】
本明細書で提供したパッケージ薬学的調製物および方法のさらに別の態様では、第1の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するためのMCHR拮抗薬の最小市販用量(minimum marketed dose)より少なく、および/または第2の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するためのCB1拮抗薬の最小市販用量より少ない。
【0016】
他の観点では、MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬とを含む薬物組成物に対する活性成分を識別するため、または患者に同時投与するための治療薬を選択するための方法もまた提供し、そのような方法は、哺乳類に治療的有効量で同時に投与されると、哺乳類における食物摂取に少なくとも相加効果を示すMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を選択する工程を含む。
【0017】
関連する観点では、本発明は、(i)哺乳類に治療的有効量で同時に投与されると、哺乳類の食物摂取に少なくとも相加効果を示すMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を識別(または同定)する工程と、(ii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬とを生理学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせる工程と、を含む、薬学的組成物を調製するための方法を提供する。
【0018】
本明細書では、(i)哺乳類に治療的有効量で同時に投与されると、哺乳類の食物摂取に少なくとも相加効果を有するMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を識別(または同定)する工程と、(ii)MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬とを、第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬を、食物摂取または食欲を減少させるため、または肥満治療のために、患者に同時に投与することを示した使用説明書と共にパッケージする工程と、を含む、パッケージ薬学的調製物を調製するための方法も提供する。
【0019】
(i)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬を用い、CB1拮抗薬の同時投与無しで処置した哺乳類における食物摂取に対するMCHR拮抗薬の効果を決定する工程と、(ii)第2の治療的有効量のCB1拮抗薬を用いて、MCHR拮抗薬の同時投与無しで処置した哺乳類における食物摂取に対するCB1拮抗薬の効果を決定する工程と、(iii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬により同時に処置した哺乳類における食物摂取に対するMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬の効果を決定する工程と、(iv)必要に応じて、異なるMCHR拮抗薬またはCB1拮抗薬を用いて(i)〜(iii)の工程を繰り返す工程と、(v)工程(iii)で決定した食物摂取に対する効果が、工程(i)および(ii)で決定した食物摂取に対する効果の和と等しい、またはそれ以上であるMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を選択する工程と、を含む、MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬とを含む薬学的組成物に対する活性成分を識別するための方法をさらに提供する。
【0020】
別の観点では、(a)CB1を含む第1の細胞膜調製物を、(i)標識GTPと、(ii)CB1作用薬と、(iii)試験化合物とに接触させ、試験膜調製物を獲得する工程と、(b)CB1を含む第2の細胞膜調製物を(i)標識GTPと、(ii)CB1作用薬とに接触させ、対照膜調製物を獲得する工程とを含み、工程(a)および(b)は、同時にまたはいずれかの順で、GTPがCB1に結合するのに適した条件下で実施し、さらに(c)同時にまたはいずれかの順で、(i)試験膜調製物中の結合した標識GTP量を示す試験シグナルと、(ii)対照膜調製物中の結合した標識GTPの量を示す対照シグナルと、を検出する工程と、(d)試験シグナルを対照シグナルと比較する工程とを含む、試験化合物のCB1拮抗薬活性を決定するための方法をさらに提供する。そのような方法を使用して、新規CB1拮抗薬を識別(または同定)し、公知のCB1拮抗薬の活性のキャラクタリゼーションを実施してもよい。
【0021】
本発明のこれらのおよび他の観点は、下記の詳細な説明を参照すれば明らかになると思われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
上記のように、本発明は食欲減少および体重管理のための併用療法を提供する。ある観点では、本発明は肥満を予防または治療するため、および/または食欲または食物摂取を減少させるための組成物および方法を提供する。そのような組成物および方法を使用して、肥満になる危険のある(例えば、以前は肥満患者)非肥満患者における肥満の発現を予防してもよく、または肥満患者の体重減少を促進してもよい。本明細書で提供した一定の組成物は、非毒性MCHR拮抗薬と非毒性CB1拮抗薬とを、生理学的に許容される担体または賦形剤と共に含む。本明細書で提供した方法は一般に、治療的有効量のMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬とを患者に同時投与する工程を含む。
【0023】
〈専門用語〉
「患者」という用語は、本明細書で記述されるように、治療を受ける、または治療が考えられる任意の個人である。患者にはヒト、ならびに他の哺乳類、例えば、コンパニオンアニマル(companion animal)および家畜(livestock)が含まれ、一般に肥満であるか、肥満になる危険性がある。
【0024】
本明細書で使用されるように、患者は、肥満度指数が28を超えると「肥満」と考えられる。肥満度指数(BMI)は下記式を用いて容易に計算することができる:
BMI=(体重kg)/(身長m)
【0025】
患者が、肥満の可能性を増加させる1つまたは複数の危険因子を有する場合、患者は「肥満になる危険がある」と考えられる。そのような危険因子としては、以前の肥満症、家族性の肥満症、および体重増加を促進する副作用のある薬剤による治療が挙げられる。
【0026】
「MCH受容体」または「MCHR」という用語は、上記で記述したように、天然の哺乳類(例えば、ヒト、イヌ、ネコまたはサル)のMCH1型または2型受容体、例えばMCHR1およびMCHR2を示す。PCT国際出願公開番号第WO03/060475号の配列番号1および2は、それぞれ、カニクイザル・マカク(Cynomolgus macaque)MCHR1のDNAおよびアミノ酸配列を示す。
【0027】
「MCH受容体拮抗薬」または「MCHR拮抗薬」は、MCH受容体−媒介シグナル伝達を検出可能なほど(detectably)阻害する化合物である。そのような阻害は、実施例3で示した代表的な機能アッセイ法を用いて、またはMCHが1つまたは複数のMCH受容体に結合するのを阻害する化合物の能力を検出するアッセイ法、例えば、実施例2で示したアッセイ法を用いて決定してもよい。「MCHR拮抗薬」という用語は中性(neutral)拮抗薬および逆作用薬を含む。本明細書で記述したように使用するためのMCHR拮抗薬は一般に非毒性である。ある実施形態では、MCHR拮抗薬はかなり低い分子量(例えば、700amu未満)を有し、マルチアリール(すなわち、複数の非縮合または縮合アリール基を有する)であり、アミノ酸を有さない(例えば、ペプチドではない)。好ましいMCHR拮抗薬は特異的に、高い親和性で1つまたは複数のMCH受容体と結合する。
【0028】
「逆作用薬」は、MCH受容体の活性を減少させ、添加したリガンドがない場合の基本的な活性レベルより低くする化合物である。逆作用薬はまた、MCH受容体でMCHの活性を阻害してもよく、および/またはMCHのMCH受容体への結合を阻害してもよい。MCHがMCH受容体に結合するのを阻害する化合物の能力は、結合アッセイ法、例えば実施例2で示した結合アッセイ法により測定してもよい。MCH受容体の基本活性、ならびに拮抗薬の存在によるMCH受容体活性の減少は、カルシウム移動(mobilization)アッセイ法、例えば実施例3のアッセイ法により決定してもよい。
【0029】
MCH受容体の「中性拮抗薬」は、MCH受容体でのMCHの活性を阻害するが、受容体の基本活性には有意の変化を与えない(例えば、リガンド無しで実施した実施例3で記述したアッセイ法では、MCH受容体活性は、わずか10%しか、より好ましくは5%しか、さらにより好ましくは2%しか減少せず、最も好ましくは、活性の検出可能な減少はない)化合物である。中性拮抗薬はまた、リガンドのMCH受容体へのリガンド結合を阻害してもよい。
【0030】
MCHR拮抗薬が、他のG蛋白質結合受容体(例えば、神経ペプチドY、ドーパミンおよびβ−アドレナリン受容体)に対する結合で測定されるKよりも、10倍、好ましくは100倍、より好ましくは1000倍低いKでMCH受容体に結合する場合(総結合−非特異的結合)、MCHR拮抗薬は「特異的に」MCH受容体に結合する。
【0031】
MCHR拮抗薬は、MCH受容体でのKが1μM未満、好ましくは500nM、100nMまたは10nM未満である場合、「高い親和性で」結合する。MCHR拮抗薬は好ましくは、最小の作用薬活性を有する(すなわち、誘導するMCH受容体の基本活性の増加が、MCHの1つのEC50により誘導される増加の5%未満であり、より好ましくは実施例3で記述したアッセイ法では検出可能な作用薬活性を有さない)。MCHR拮抗薬は特別なMCH受容体(例えば、1型または2型)に対し特異的であってもよく、または複数のMCH受容体において機能してもよい。一定の実施形態では、本発明で使用するMCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である。
【0032】
「CB1拮抗薬」は、カンナビノイド受容体CB1により媒介されるシグナル伝達を検出できるほど阻害する化合物である。そのような阻害は、実施例8で提供した代表的な作用薬誘導GTP結合アッセイ法を用いて、またはCB1へのリガンドの結合を阻害する化合物の能力を検出するアッセイ法、例えば実施例7で提供したアッセイ法により決定してもよい。「CB1拮抗薬」という用語は、中性拮抗薬、逆作用薬および部分作用薬を含む。中性拮抗薬であるCB1拮抗薬は、作用薬刺激GTP結合活性を減少させるが、結合活性はベースライン(このアッセイ法において、添加した作用薬無しで膜が結合するGTPのレベル)より低くはならない。逆作用薬であるCB1拮抗薬は、添加した作用薬無しで、受容体含有膜のGTP結合活性を減少させベースラインより低くする。添加したCP55,940無しでベースラインよりGTP結合活性を上昇させるCB1拮抗薬は部分作用薬活性を有すると特徴づけられる。
【0033】
好ましいCB1拮抗薬は1μMまたはそれ以下のKでCB1に結合する。Kは本明細書で、実施例7において記述されているように決定されてもよく、またはフェルダー(Felder)ら(1998)J.Pharmacol Exp. Ther.284:291−297により記述されているように実施されるアッセイ法で決定されてもよい。ある実施形態では、CB1拮抗薬はCB1に対し特異的である(すなわち、主な末梢性カンナビノイド受容体CB2でのK値が1μMを超え、および/またはK比(CB2/CB1)が少なくとも100、好ましくは少なくとも1000である)。CB1拮抗薬に対するIC50は好ましくは、本明細書の実施例8で記述したように実施した機能アッセイ法、またはフェルダー(Felder)らにより記述されているアッセイ法では、1μMまたはそれ以下である。CB1拮抗薬は好ましくは最小作用薬活性を有する(すなわち、誘導するCB1の基本活性の増加は、作用薬CP55,940の1つのEC50により誘導される増加の10%未満、好ましくは5%未満およびより好ましくは2%未満であり、より好ましくは、実施例8で記述したアッセイ法では検出可能な作用薬活性を有さない)。本明細書で記述したように使用するためのCB1拮抗薬は一般に非毒性である。
【0034】
本明細書で使用されるように「非毒性」という用語は、相対的な意味で理解され、哺乳類(好ましくはヒト)への投与に対し合衆国食品医薬品局(FDA)により認可されており、または、確立された基準に沿い、FDAにより哺乳類(好ましくはヒト)への投与の認可を受けることができる任意の物質を示すものである。さらに、非常に好ましい非毒性化合物は一般に、下記の基準の1つまたは複数を満たす:(1)実質的に細胞ATP産生を阻害しない、(2)実質的に心臓QT間隔を延長しない、(3)実質的な肝肥大を引き起こさない、または(4)肝酵素の実質的な放出を引き起こさない。
【0035】
本明細書で使用されるように、細胞ATP産生を実質的に阻害しない化合物は、本明細書の実施例9で記述した基準を満たす化合物である。言い換えれば、100μMのそのような化合物により実施例9で記述したように処置した細胞は、未処置細胞で検出されたATPレベルの少なくとも50%であるATPレベルを示す。より好ましい実施形態では、そのような細胞は、未処置細胞で検出されるATPレベルの少なくとも80%であるATPレベルを示す。
【0036】
心臓QT間隔が有意なほど延長されない化合物は、治療的有効量のインビボ濃度が得られる最小用量の2倍投与で、モルモット、ミニブタまたはイヌにおいて(心電図記録により決定される)心臓QT間隔の統計学的に有意の延長が見られない化合物である。ある好ましい態様では、非経口で、または経口で投与された0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、40または50mg/kgの用量では、統計学的に有意な心臓QT間隔の延長は得られない。「統計学的に有意」という用語は、スチューデントT試験などの統計学的有意性の標準パラメータアッセイ法を用いて測定すると、p<0.1レベル、より好ましくはp<0.05レベルの有意性で対照から変動する結果を意味する。
【0037】
研究室用齧歯類(例えば、マウスまたはラット)に、治療的に有効なインビボ(in vovo)濃度が得られる最小用量の2倍で5〜10日間毎日処置しても、対応対照に比べ、体重に対する肝臓の比率の増加が100%にすぎない場合、化合物は実質的に肝肥大を引き起こさない。より好ましい実施形態では、そのような用量では、対応対照に比べ、75%または50%を超える肝肥大は起こらない。非齧歯類哺乳類(例えば、イヌ)を使用する場合、そのような用量では、肝臓対体重比の増加は、対応未処置対照に比べ、50%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは10%以下の増加となるべきである。そのようなアッセイ法では好ましい用量としては、非経口または経口投与で0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、40または50mg/kgが挙げられる。
【0038】
同様に、治療的に有効なインビボ濃度が得られる最小用量の2倍を投与しても、研究室用齧歯類のALT、LDHまたはASTの血清レベルの増加が対応するニセ処置対照に比べ100%にすぎなければ、化合物は肝酵素の実質的な放出を促進しない。より好ましい実施形態では、そのような用量では、そのような血清レベルは、対応対照に比べ75%以下または50%以下しか上昇しない。また、インビトロ肝細胞アッセイ法では、化合物の最小インビボ治療濃度の2倍に等しい濃度(インビトロ(in vitro)で肝細胞と接触させ、インキュベートさせた培地または他のそのような溶液中)では、対応するニセ処置対照細胞由来の培地で見られるベースラインレベルを超える、そのような肝酵素のいずれの培地中への放出も検出されない。より好ましい実施形態では、そのような化合物濃度が、化合物の最小インビボ治療濃度の5倍、好ましくは10倍である場合、ベースラインレベルを超える、そのような肝酵素のいずれの培地中への放出も検出されない。
【0039】
「プロドラッグ」はMCH受容体拮抗薬またはCB1拮抗薬でなくてもよいが、患者に投与された後、インビボで修飾され、そのような拮抗薬を生成する化合物である。例えば、プロドラッグはMCHR拮抗薬またはCB1拮抗薬のアシル化誘導体としてもよい。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基が任意の官能基に結合されており、哺乳類被験者に投与されると、開裂してそれぞれ、遊離ヒドロキシル、アミノまたはスルフヒドリル基が形成する化合物を含む。プロドラッグの例としては、MCHR拮抗薬またはCB1拮抗薬中のアルコールおよびアミン官能基の酢酸、ギ酸、リン酸および安息香酸誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
〈MCH受容体拮抗薬〉
上記のように、本発明は体重管理のために有益な組成物および方法を提供する。本明細書で提供する組成物は一般に、上記のように非毒性MCHR拮抗薬を含む。好ましくは、本明細書で使用するためのMCHR拮抗薬は、(標準インビトロMCH受容体リガンド結合アッセイ法および/またはカルシウム移動アッセイ法を用いて決定されるように)、サブμM以下の濃度で、好ましくはnM濃度で、より好ましくはサブnM以下の濃度で、MCHがMCHR1および/またはMCHR2に結合するのを検出可能な程阻害する。ある好ましい実施形態では、本明細書で使用するためのMCHR拮抗薬は、検出可能な程、MCHのMCHR1への結合を阻害する。本明細書において「MCH受容体リガンド結合アッセイ法」というと、実施例2で示した標準インビトロ受容体結合アッセイ法を示す。簡単に言うと、MCH受容体調製物を標識(例えば、125I)MCHおよび非標識試験化合物と共にインキュベートする競合アッセイ法を実施する。本明細書で提供したアッセイ法では、使用したMCH受容体は好ましくは哺乳類MCHR1またはMCHR2、より好ましくはヒトまたはサルMCHR1またはMCHR2である。MCH受容体調製物は、例えば、組換えによりヒトMCH受容体(例えば、ジェンバンク アクセッション番号Z86090)、サルMCHR1(例えば、WO03/060475の配列番号1で提供されるMCHR1配列)、またはヒトMCHR1/ヒトβ−2−アドレナリンキメラ受容体を発現するHEK293細胞由来の膜調製物としてもよい。
【0041】
実施例2で記述したようにMCHR拮抗薬とインキュベートすると、拮抗薬無しで結合した標識の量に比べ、MCH受容体調製物に結合した標識の量が減少する。好ましくは、MCHR拮抗薬はMCH受容体で、1μM未満のKを示し、MCH受容体に特異的に、高い親和性で結合する。より好ましくは、そのような化合物は、実施例2で記述したMCH受容体リガンド結合アッセイ法において、MCH受容体で500nM、100nM、20nMまたは10nM未満のKを示す。
【0042】
代表的なカルシウム移動アッセイ法を実施例3に示す。好ましいMCHR拮抗薬は、実施例3で示した標準インビトロMCH受容体媒介カルシウム移動アッセイ法において、1μMまたはそれ以下、より好ましくは100nMまたはそれ以下、10nMまたはそれ以下、または1nMまたはそれ以下のIC50値を示す。
【0043】
ある実施形態では、MCHR拮抗薬は、係属中の米国特許出願第10/152,189号で記述されているような、置換1−ベンジル−4−アリールピペラジンおよびピペリジン類似体を含む。2002年11月28日にWO02/094799として公開された対応するPCT出願の開示内容は、MCHR拮抗薬の教示(3〜5ページ、20〜25ページおよび74〜107ページ)およびその調製(29〜42ページおよび50〜73ページ)について、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書で記述したあるMCHR拮抗薬は下記化学式を満たし:

または、それらの薬学的に許容される塩であり、式において、
Vは結合または−(C=O)−であり、
Wは窒素、CH、COHまたはCCNであり、
Xはハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−COOH、オキソおよび化学式L−Mの基であり、
YおよびZはそれぞれ独立して(i)CH、(ii)窒素であり、または(iii)Rと一緒になり、WおよびVを含み、5〜8の環員を有する炭素環または複素環を形成し、ただし、YおよびZはどちらも窒素ではないことを条件とし、
nは1または2であり
およびRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、オキソ、−COOHおよび化学式L−Mの基から選択され、
は(i)水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルおよびハロ(C〜C)アルキルから選択され、または(ii)RおよびR10のうちの1つまたは両方と一緒になり、1つの環または2つの縮合環を有する炭素環または複素環基を形成し、ここで各環は5〜8環員および酸素、窒素および硫黄から独立して選択される0、1または2のヘテロ原子を含み、
は水素、(C〜C)アルキルまたはハロ(C〜C)アルキルであり、
は(i)各事象で、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、オキソ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルコキシ、モノおよびジ(C〜C)アルキルアミノ、およびアミノ(C〜C)アルキルから独立して選択され、または(ii)R、YまたはZと一緒になり、5〜8の環員を有する炭素環または複素環を形成し、
は(i)水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、オキソ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルコキシ、モノおよびジ(C〜C)アルキルアミノ、およびアミノ(C〜C)アルキルから選択され、または(ii)RまたはRと一緒になり、上記のように炭素環または複素環を形成し、
は(i)水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−COOH、オキソおよび化学式L−Mの基から選択され、または(ii)RまたはR12と一緒になり、縮合5−または6−員炭素環または複素環基を形成し、
は(i)水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−COOH、オキソおよび化学式L−Mの基から選択され、または(ii)RまたはR11と一緒になり、縮合5−〜10−員炭素環または複素環基を形成し、
UはN、OまたはCRであり、
TはN、OまたはCR10であり、
は(i)水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−COOH、オキソおよび化学式L−Mの基から選択され、または(ii)R10またはR11と一緒になり、縮合5−〜10−員炭素環または複素環基を形成し、
10は(i)水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−COOH、オキソおよび化学式L−Mの基から選択され、または(ii)R、RまたはRと一緒になり、炭素環または複素環基を形成し、
11は(i)水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−COOH、オキソおよび化学式L−Mの基から選択され、または(ii)RまたはRのうちの1つまたは両方と一緒になり、縮合5−〜10−員炭素環または複素環基を形成し、
12は(i)各事象で、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、オキソ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルコキシ、モノおよびジ(C〜C)アルキルアミノ、およびアミノ(C〜C)アルキルから独立して選択され、または(ii)Rと一緒になり、縮合炭素環または複素環を形成し、
Lは各事象で、結合、NR13、O、SO,SONH、C(=O)NR13およびNR13C(=O)から独立して選択され、ここで、R13は各事象で、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、およびハロ(C〜C)アルキルから独立して選択され、
Mは各事象で、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ハロ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキルおよび5〜10員炭素環から独立して選択される。
【0044】
上記化学式を満たす代表的なMCHR拮抗薬としては、例えば下記が挙げられる:1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(3,4−ジメトキシベンジル)ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(4−クロロベンジル)ピペラジン、1−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−(3,4−ジメトキシベンジル)ピペラジン、1−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシベンジル)ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(4−メトキシ−2,5−ジメチルベンジル)ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(4−メトキシ−2,3−ジメチルベンジル)ピペラジン、1−(3−ブロモ−4−メトキシ−ベンジル)−4−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)ピペラジン、4−{[4−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}−2−メトキシフェノール、4−({4−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−ピペラジン−1−イル}メチル)−2−メトキシフェノール、1−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−(4−メトキシ−2,3−ジメチルベンジル)ピペラジン、1−(3−ブロモ−4−メトキシベンジル)−4−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(4−メトキシ−3−メチルベンジル)ピペラジン、1−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−(4−メトキシ−3−メチルベンジル)ピペラジン、1−(4−クロロ−3−トリフルオロメトキシフェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−ベンジル)]−2−メチル−ピペラジン、4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−1−(3,4−ジメトキシ−ベンジル)−2−メチル−ピペラジン、4−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−1−(3,4−ジメトキシ−ベンジル)−2−メチル−ピペラジン、4−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−[1−(3,4−ジメトキシ−ベンジル)−エチル]−2−メチル−ピペラジン、3−{[4−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}−9−エチル−9H−カルバゾール、1−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)−4−(3,4−ジメトキシベンジル)ピペラジン、1−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)−4−(4−クロロベンジル)ピペラジン、1−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)−4−(4−メトキシ−2,5−ジメチルベンジル)ピペラジン、1−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)−4−(4−メトキシ−2,3−ジメチルベンジル)ピペラジン、1−(3−ブロモ−4−メトキシベンジル)−4−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)ピペラジン、4−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−ベンジル)−2−メチルピペラジン、4−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−ベンジル)−2−メチルピペラジン、1−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)−4−(4−メトキシ−3−メチルベンジル)ピペラジン、3−{[4−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−9−エチル−9H−カルバゾール、4−{[4−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−2−メトキシフェノール、1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(3,4−ジメトキシベンジル)−1,4−ジアゼパン、1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エチル]ピペラジン、1−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−[1−(4−メトキシフェニル)エチル]ピペラジン、1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−[1−(3,4−ジフルオロフェニル)エチル]ピペラジン、4−{1−[4−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]エチル}−2−メチルフェノール、1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−[1−(4−フルオロ−3−メトキシフェニル)−エチル]ピペラジン、1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−トリフルオロメトキシフェニル)−4−[1−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−トリフルオロメトキシフェニル)−4−[1−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[1−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]ピペラジン、1−(4−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、1−(4−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(4−メトキシ−2,5−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(4−エトキシ−3−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(4−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(2,4,5−トリメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−[1−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−[1−(4−メトキシ−3−メチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン、4−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−1−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3−エトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(5−{1−[4−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−2−フルオロ−フェニル)−エタノン、1−(4−クロロ−3−メチル−フェニル)−4−[1−(4−メトキシ−3−メチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−メトキシ−3−メチル−フェニル)−4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−メチル−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジエトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−メチル−フェニル)−4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−メトキシ−3−メチル−フェニル)−4−[1−(3−メチル−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−メトキシ−3−メチル−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−{1−[4−(4−ブロモ−フェニル)−フェニル]−エチル}−ピペラジン、4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1−(3,4−ジメトキシ−ベンジル)−エチル]−ピペラジン、1−(1−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−エチル)−4−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−[1,4]ジアゼパン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−[1,4]ジアゼパン、1−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−2,5−ジオン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−プロピル]−ピペラジン、1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−プロピル]−ピペラジン、1−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、1−(5−ブロモ−6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−4−[1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−エチル]ピペラジン、1−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(4−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−エチル]−ピペラジン、4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−1−[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−ピペラジン、
4−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−(3,4−ジメトキシベンジル)ピペリジン−4−オール、2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3−フルオロ,4−メトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(4−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(4−クロロ−3−メチル−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(4−メトキシ−3−メチル−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(2,4−ジブロモ−5−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、1−(4−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン−8−オール、2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン−8−オン、2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン−8−オン、2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン−8−オン、8−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピラジノ[2,1−c][1,4]チアジン、2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−1,3,4,6,9,9a−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[1,2−a]ピラジン、8−ブロモ−3−(3,4−ジメトキシ−ベンジル)−9−メトキシ−2,3,4,4a−テトラヒドロ−1H,6H−ピラジノ[1,2−a]キノキサリン−5−オン、7−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−デカヒドロ−ナフタレン−2−オール、2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−8−フルオロ−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(5,6−ジメトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インダン−1−イル)ピペラジン、1−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)−4−(5,6−ジメトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インダン−1−イル)ピペラジン、1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−(4,5−ジメトキシ−インダン−1−イル)−ピペラジン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−(4,5−ジメトキシ−インダン−1−イル)−ピペラジン、(4−クロロ−フェニル)−{4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(4−クロロ−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(4−トリフルオロ−メチル−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(3,4−ジクロロ−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(4−クロロ−フェニル)−{4−[1−(4−メチル−ナフタレン−1−イル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(4−トリフルオロ−メチル−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(4−トリフルオロメチル−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(4−トリフルオロ−メチル−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−3−メチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(4−クロロ−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−ナフタレン−1−イル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(4−トリフルオロメチル−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−プロピル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(4−クロロ−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−アリル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(4−フルオロ−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(4−ブロモ−3−メチル−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、(3,4−ジクロロ−フェニル)−{4−[1−(4−メチル−ナフタレン−1−イル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、[6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン−2−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン、(4−クロロ−フェニル)−{4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−プロピル]−ピペラジン−1−イル}−メタノン、{4−[1−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−[1,4]ジアゼパン−1−イル}−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン、{5−[1−4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル}−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン、3−{1−[4−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−6−メトキシ−キノリン、3−{1−[4−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−2−クロロ−6−メトキシ−キノリン、3−{1−[4−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−キノリン、1−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−エチル]−ピペラジン、3−{1−[4−(4−ブロモ−3−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−6−フルオロ−4−メチル−2H−クロメン−2−オール、(3S)−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメトキシフェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシ−ベンジル)]−2−メチル−ピペラジン、(2S)−4−(5−ブロモ−6−メトキシピリジン−2−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−ベンジル)−2−メチルピペラジン、R−1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、S−1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、R−1−(4−ブロモ−3−トリフルオロメトキシフェニル)−4−[1−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]ピペラジン、S−1−(4−ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[1−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]ピペラジン、S−1−(4−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、R−1−(4−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、R−1−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エチル]ピペラジン、{5−[1−4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル]−エチル}−(1S,4S)−2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル}−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン、(6R,10S)−2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン−8−オン、R−1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]ピペラジン、(2S)−4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−(3,4−ジメトキシベンジル)−2−メチル−ピペラジン、(2R)−4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−(3,4−ジメトキシベンジル)−2−メチル−ピペラジン、(3R)−1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エチル]ピペラジン、(3S)−1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エチル]ピペラジン、(3R)−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エチル]ピペラジン、(3S)−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エチル]ピペラジン、(6R,10S)−2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、(3R)−1−(4−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エチル]ピペラジン、(2R)−4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−[1−(3,4−ジメトキシベンジル)−エチル]ピペラジン、(6R,9S)−2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、(6R,10S)−2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン−8−オール、(6R,10S)−[6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン−2−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン、(6R,10S)−2−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−6−(3−フルオロ,4−メトキシ−フェニル)−オクタヒドロ−ピリド[1,2−a]ピラジン、および{5−[1−4−メトキシ−2,3−ジメチル−フェニル]−エチル}−(1S,4S)−2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル}−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン、ならびに薬学的に許容されるそれらの塩。
【0045】
別の実施形態では、本発明の組成物および方法において使用するためのMCHR拮抗薬は、2003年1月9日に出願された係属中の米国特許出願第10/399,499で記述されている置換ベンズイミダゾール類似体である。2003年7月24日にWO03/060475として公開された対応するPCT出願、およびこの開示内容は、MCHR拮抗薬(2〜5ページ、表1(14〜19ページ)および表2(38〜48ページ))およびその調製(23〜24ページおよび32〜38ページ)を教示するために、参照により本明細書に組み入れられる。
【0046】
別の実施形態では、本発明で使用するための化合物は2003年1月9日に出願された係属中の米国特許出願第10/399,111号で記述されている。2003年7月24日にWO03/059289として公開された対応するPCT出願、およびこの開示内容は、MCHR拮抗薬(3〜4ページおよび31〜50ページ)およびその調製(19〜20ページおよび28〜31ページ)を教示するために、参照により本明細書に組み入れられる。別の実施形態では、本発明で使用するためのMCHR拮抗薬は米国特許第6,569,861号で記述されており、この特許は、フェニルシクロアルキルメチルアミノおよびフェニルアルケニルアミノMCHR拮抗薬(3〜9欄および18〜19欄)およびその調製(16〜18欄)を教示するために、参照により本明細書に組み入れられる。
【0047】
さらに別のMCR拮抗薬が、例えば、下記の公開されたPCT出願で記述されている:WO03/097047、WO03/087046、WO03/087045、WO03/087044、WO03/072780、WO03/070244、WO03/047568、WO03/045920、WO03/045918、WO03/045313、WO03/035055、WO03/033480、WO03/015769、WO03/028641、WO03/013574、WO03/004027、WO02/089729、WO02/083134、WO02/076947、WO02/076929、WO02/057233、WO02/051809、WO02/10146、WO02/06245、WO02/04433、WO01/87834、WO01/82925、WO01/57070、WO01/21577およびWO01/21169、ならびに日本の特許出願番号2001−226269。上記はMCHR拮抗薬の例示的な例にすぎず、本発明の範囲を制限するものではないことは明かであろう。
【0048】
〈CB1拮抗薬〉
CB1は中枢神経系で主に発現され、食欲および摂食量の調節に関与するカンナビノイド受容体である。任意のCB1拮抗薬を本明細書で提供した組成物および方法で使用してもよい。一般に、本明細書で記述したように使用するためのCB1拮抗薬は、CB1に対し高い親和性を有するべきである(すなわち、CB1受容体でのK値が1μMまたはそれ以下、好ましくは100nMまたはそれ以下、より好ましくは10nMまたはそれ以下である)。一定の実施形態では、CB1拮抗薬はCB1に対し特異的である(すなわち、CB2でのK値が1μMを超え、および/またはK比(CB2/CB1)が少なくとも100、好ましくは少なくとも1000である)。CB1拮抗薬に対するIC50値は好ましくは1μMまたはそれ以下である。
【0049】
本明細書で記述されるように使用するための代表的なCB1拮抗薬としては、例えば、あるピリミジン類(例えば、PCT国際出願公開番号第WO04/029,204号)、ピラジン類(例えば、PCT国際出願公開番号第WO01/111,038、WO04/111,034およびWO04/111,033号)、アゼチジン誘導体類(例えば、合衆国特許第6,518,264号、同第6,479,479号および同第6,355,631号、ならびにPCT国際出願公開番号第WO03/053431号)、ピラゾール誘導体類(例えば、米国特許第6,509,367号および同第6,476,060号、ならびにPCT国際出願公開番号第WO03/020217号および第WO01/029007号)、ピラゾールカルボン酸およびピラゾールカルボキサミド誘導体類(例えば、米国特許第6,645,985号、同第6,432,984号、同第6,344,474号、同第6,028,084号、同第5,925,768号、同第5,624,941号および同第5,462,960号、公開された米国特許出願US2004/0039024、US2003/0199536およびUS2003/0003145およびPCT国際出願公開番号第WO03/078413号、同第WO03/027076号、同第WO03/026648号および同第WO03/026647号)、アロイル置換ベンゾフラン類(例えばLY−320135、米国特許第5,747,524号)、置換イミダゾール類(例えば、公開されたUS特許出願第US2003/0114495号およびPCT国際出願公開番号第WO03/063781号および同第WO03/040107号)、置換フロ[2,3−b]ピリジン誘導体類(例えば、PCT国際出願公開番号第WO04/012671号)、置換アリールアミド類(例えば、PCT国際出願公開番号第WO03/087037号および同第WO03/077847号)、置換二環またはスピロ環アミド類(例えば、PCT国際出願公開番号第WO03/086288号および同第WO03/082190号)、および置換2,3−ジフェニルピリジン類(例えば、PCT国際出願公開番号第WO03/082191号)が挙げられる。他のCB1拮抗薬はカンナビジオールおよびその誘導体である。好ましいCB1拮抗薬としては、例えば、SR−141716A((N−ピペリジン−1−イル)−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、リモナバント(RIMONABANT、商標)またはアコムプリア(ACOMPLIA、商標)としても公知)などのアリール置換ピラゾールカルボキサミド類ならびにAM251((N−ピペリジン−1−イル)−5−(4−ヨードフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1−H−ピラゾール−3−カルボキサミド)およびAM281(N−(モルホリン−4−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド)などのそれらの類似体、様々なアゼチジン化合物類(例えば、米国特許第6,518,264号、同第6,479,479号および同第6,355,631号)およびイミダゾール類1−(4−クロロフェニル)−2−(2−クロロフェニル)−N−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−1H−イミダゾール−4−カルボキサミドおよび2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−N’−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−イミダゾール−4−カルボヒドラジドが挙げられる。
【0050】
CB1拮抗薬は、作用薬誘導GTP結合アッセイ法、例えば本明細書の実施例8で記述したアッセイ法を用いて識別してもよく、または同定してもよい。そのようなアッセイ法では、CB1へのCB1作用薬誘導GTP結合に対する試験化合物の効果を決定するために、CB1含有細胞膜調製物(例えば、組換えによりCB1を発現する昆虫細胞の膜調製物)が使用される。簡単に説明すると、CB1を含む第1の細胞膜調製物を(i)標識GTPと、(ii)CB1作用薬と、(iii)試験化合物とに接触させ、試験膜調製物を得る。同時に、またはいずれかの順で、CB1を含む第2の膜調製物を(i)標識GTPと、(ii)CB1作用薬とに接触させ、対照膜調製物を得る。標識GTPは好ましくはGTP−γ35Sであり、代表的なCB1作用薬はCP55,940である。そのような接触は、GTPがCB1に結合するのに適した条件下、例えば実施例8で記述した条件下で実施される。使用した標識GTPおよびCB1作用薬濃度は一般に、CB1作用薬の存在下で膜調製物に結合する標識GTPの量の検出可能な増加が得られるのに十分なものである。そのような濃度は、ルーチン実験により決定してもよい。代表的な適した濃度を実施例8に示す。一般に、一定範囲の試験化合物濃度を使用する(例えば、10−10M〜10−5Mの範囲)。
【0051】
GTPを膜調製物に結合させるように十分接触(例えば、インキュベーション)した後、結合した標識GTPの量に対応する(その量を示す)シグナルを検出する(典型的には、非結合標識GTPを洗浄工程により最初に除去する)。言い換えると、同時またはいずれかの順で、(i)試験膜調製物中の結合標識GTP量を示す試験シグナルを検出し、および(ii)対照膜調製物中の結合標識GTP量を示す対照シグナルを検出する。検出したシグナルの性質を、使用した標識の型により決定する。例えば、GTPが放射標識されている場合、検出されるシグナルは放射性崩壊(例えば、液体シンチレーション分光法による)である。試験化合物のCB1拮抗薬活性をその後、試験シグナルを対照シグナルと比較することにより決定する。対照シグナルより低い試験シグナルは試験化合物がCB1拮抗薬であることを示す。
【0052】
本明細書で記述した組成物および方法では、MCHR拮抗薬および/またはCB1拮抗薬は薬学的に許容される塩またはプロドラッグとして存在してもよい。本明細書で使用されるように、「薬学的に許容される塩」は、過剰の毒性、炎症、アレルギー反応、または他の問題あるいは合併症無しで、ヒトまたは動物の組織と接触させて使用するのに適していると、一般に当技術分野で考えられている酸または塩基塩である。そのような塩としてはアミン類などの塩基性残基の無機および有機酸塩類、ならびにカルボン酸類などの酸性残基のアルカリまたは有機塩類が挙げられる。特定の薬学的塩としては、塩酸、リン酸、臭化水素酸、リンゴ酸、グリコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ステアリン酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、フェニル酢酸、アルカン酸、例えば酢酸、HOOC−(CH−COOH(式においてnは0〜4である)、などの酸の塩が挙げられるが、それらに限定されない。同様に、薬学的に許容されるカチオンとしては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウムおよびアンモニウムが挙げられるが、それらに限定されない。当業者であれば、レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第17版、マック出版社(Mack Publishing Company)、ペンシルバニア州イーストン、p.1418(1985)により列挙されているものを含む、別の薬学的に許容される塩も認識されると思われる。したがって、本発明の開示は、MCHRおよびCB1拮抗薬の薬学的に許容される塩をすべて含むものと考えるべきである。
【0053】
広範囲にわたる合成手順が、薬学的に許容される塩の調製に有効である。一般に、薬学的に許容される塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から、任意の従来の化学法により合成することができる。簡単に言うと、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を化学量論量の、水または有機溶媒、あるいはそれらの混合物に溶解した適当な塩基または酸と反応させることにより、調製することができ、一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水媒質が好ましい。
【0054】
MCHR拮抗薬および/またはCB1拮抗薬のプロドラッグは、修飾物が開裂して親化合物となるように、化合物中に存在する官能基を修飾することにより調製してもよい。当業者であれば、MCHR拮抗薬またはCB1拮抗薬のプロドラッグを調製するのに使用してもよい様々な合成法を認識するであろう。当業者であれば、そのようなプロドラッグを、本明細書で提供した組成物および方法で活性拮抗薬の代わりに使用してもよいことは認識されるであろう。
【0055】
〈薬学的組成物〉
本発明の実施では、少なくとも1つの非毒性MCHR拮抗薬を、少なくとも生理学的に許容される担体または賦形剤と共に含む薬学的組成物、ならびに少なくとも1つの非毒性CB1拮抗薬を、少なくとも1つの生理学的に許容される担体または賦形剤と共に含む薬学的組成物を使用する。ある観点では、MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は同じ薬学的組成物に存在し、別の観点では、MCHR拮抗薬は1つの薬学的組成物中に存在し、CB1拮抗薬は別の薬学的組成物中に存在する。
【0056】
薬学的組成物は、例えば、水、緩衝液類(例えば、中性緩衝生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水)、エタノール、鉱物油、植物油、ジメチルスルホキシド、炭水化物(例えば、ブドウ糖、マンノース、ショ糖またはデキストラン)、マンニトール、蛋白質類、アジュバント類、ポリペプチド類またはアミノ酸類、例えばグリシン、抗酸化剤類、キレート化剤類、例えばEDTAまたはグルタチオンおよび/または保存薬類を含んでもよい。ある薬学組成物はヒトまたは他の動物(例えば、イヌなどのコンパニオン・アニマル)への経口送達用に製剤化される。
【0057】
所望であれば、他の抗肥満薬、例えばレプチン、レプチン受容体作用薬、メラノコルチン受容体4(MCM4)作用薬、シブトラミン、デクスフェンフルラミン、成長ホルモン分泌促進薬、β−3作用薬、5HT−2作用薬、オレキシン拮抗薬、神経ペプチドYまたはY拮抗薬、ガラニン拮抗薬、CCK作用薬、GLP−1作用薬および/またはコルチコトロピン放出ホルモン作用薬もまた含有させてもよい。
【0058】
薬学的組成物は、例えば、局所、経口、鼻内、直腸または非経口投与を含む任意の適した投与様式用に製剤化してもよい。本明細書で使用されるように非経口という用語は、皮下、皮内、血管内(例えば、静脈内)、筋内、脊髄、頭蓋内、くも膜下および腹腔内注入、ならびに任意の同様の注射または注入技術を含む。一定の実施形態では、経口使用のために適した形態の組成物が好ましい。そのような形態としては、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、ハードまたはソフトカプセル、またはシロップもしくはエリキシルが挙げられる。さらに別の実施形態では、本発明の組成物は凍結乾燥物として製剤化してもよい。
【0059】
経口使用のための組成物はさらに、魅力的および口当たりのよい調製物を提供するために甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤などの1つまたは複数の成分を含んでもよい。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適した生理学的に許容される賦形剤との混合物として含む。そのような賦形剤としては、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖(ラクトース)、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム)、顆粒化剤および崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプンまたはアルギニン酸)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシアゴム)および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)が挙げられる。錠剤は未コートであってもよく、または、公知の技術によりコートし、胃腸管での崩壊および吸収を遅らせ、これにより長期にわたる持続作用を提供させてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用してもよい。
【0060】
経口用の製剤はまた、ハードゼラチンカプセルとして提供してもよく、この場合、活性成分は不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合され、またはソフトゼラチンカプセルとして提供してもよく、この場合、活性成分は水または油性媒質(例えば、ピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油)と混合される。
【0061】
水性懸濁液は、適した賦形剤、例えば懸濁化剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴム)、および分散または湿潤剤(例えば、天然ホスファチド類、例えばレシチン、アルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコール類との縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、エチレンオキシドと脂肪酸類およびヘキシトール由来の部分エステル類との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート、またはエチレンオキシドと脂肪酸類およびヘキシトール無水物由来の部分エステル類との縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレアート)と混合された活性材料を含む。水性懸濁液はまた、1つまたは複数の保存剤、例えばエチル、またはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数の香味剤、ならびに1つまたは複数の甘味剤、例えばショ糖またはサッカリンを含んでもよい。
【0062】
油性懸濁液は、活性成分を植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油)中、または流動パラフィンなど鉱物油中に懸濁させることにより製剤化してもよい。油性懸濁液はまた、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含んでもよい。上記のような甘味剤、および/または香味剤を添加し、口当たりのよい経口調製物を提供してもよい。そのような懸濁液は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することにより保存してもよい。
【0063】
水を添加することにより水性懸濁液を調製するのに適した分散性粉末および顆粒は、分散または湿潤剤、懸濁化剤、および1つまたは複数の保存剤と混合された活性成分を提供する。適した分散または湿潤剤および懸濁化剤は、上記ですでに言及したものにより例示される。別の賦形剤、例えば甘味剤、香味剤および/または着色剤もまた、存在させてもよい。
【0064】
薬学的組成物はまた、水中油型エマルジョン形態としてもよい。油相は植物油(例えば、オリーブ油またはラッカセイ油)または鉱物油(例えば、流動パラフィン)またはそれらの混合物としてもよい。適した乳化剤は天然由来ゴム(例えば、アカシアゴムまたはトラガカントゴム)、天然由来ホスファチド類(例えば、大豆、レシチンならびに脂肪酸およびヘキシトール由来のエステル類または部分エステル類)、無水物(例えば、ソルビタンモノオレアート)および脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステル類のエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)としてもよい。エマルジョンはまた甘味剤および/または香味剤を含んでもよい。
【0065】
シロップおよびエリキシルは甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖と共に製剤化してもよい。そのような製剤はまた、1つまたは複数の粘滑剤、保存剤、香味剤および/または着色剤を含んでもよい。
【0066】
薬学的組成物は滅菌注入水性懸濁液または油性懸濁液として調製してもよい。使用するビヒクルおよび濃度により、活性成分はビヒクルに懸濁または溶解させることができる。そのような組成物は、公知の技術に従い、適した分散剤、湿潤剤および/または懸濁化剤、例えば上記で記述したものを用いて製剤化してもよい。使用してもよい許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、1,3−ブタンジオール、リンガー液および等張塩化ナトリウム溶液が含まれる。さらに、溶媒または懸濁媒質として滅菌不揮発性油を使用してもよい。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無菌性不揮発性油を使用してよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注入組成物の調製において使用され、局所麻酔薬、保存剤および/または緩衝剤などのアジュバントはビヒクルに溶解させることができる。
【0067】
組成物はまた坐薬形態で調製してもよい(例えば、直腸投与用)。そのような組成物は、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、そのため直腸で融解し薬物を放出する適した非刺激賦形剤と、薬物を混合することにより調製することができる。適した賦形剤としては、例えば、ココアバターおよびポリエチレングリコール類が挙げられる。
【0068】
非ヒト動物に投与するために、組成物はまた動物用飼料または飲料水に添加してもよい。動物が食餌と共に適当な量の組成物を摂取するように動物用飼料および飲料水組成物を調合すると好都合である場合がある。食餌または飲料水に添加するための予混合物として組成物を提供することも好都合である場合がある。
【0069】
薬学的組成物は持続放出製剤または制御放出製剤として製剤化してもよい(すなわち、MCHR拮抗薬および/またはCB1拮抗薬を投与後持続放出するカプセルなどの製剤)。そのような製剤は一般に周知の技術を用いて調製してもよく、例えば、経口、直腸投与してもよく、または移植により、皮下または所望の標的部位のいずれかで投与してもよい。そのような製剤中で使用するための担体は生体適合性であり、生体分解性であってもよく、好ましくは、製剤はかなり一定レベルのMCHR拮抗薬および/またはCB1拮抗薬の放出を提供する。持続放出製剤中に含まれる拮抗薬の量は、移植部位、放出の速度および予定期間、ならびに治療または予防する状態の性質に依存する。
【0070】
単回投与ユニット(例えば、錠剤またはカプセル)で製剤化した薬学的組成物では、MCHR拮抗薬および/またはCB1拮抗薬は一般に、各ユニット中、治療的有効量で存在する。治療的有効量(または用量)はMCHR拮抗薬およびCB1拮抗薬を処方した頻度(例えば、1日につき1〜4回を数週間または数ヶ月)で患者に同時におよび繰り返し投与した場合に、患者において利益が識別できる量である。そのような利益としては、BMIの減少、食欲または食物摂取の減少および/または体重減少のうちの1つまたは複数が挙げられる。MCHR拮抗薬の治療的有効量は、そのように投与されると、CB1拮抗薬のみを投与した後に観察される患者の利益に比べ、識別可能な患者の利益が得られる量である。同様に、CB1拮抗薬の治療的有効量は、そのように投与されると、MCHR拮抗薬のみを投与した後に観察される患者の利益に比べ、識別可能な患者の利益が得られる量である。本明細書で使用されるように、「同時に」という用語は、CB1拮抗薬が体液中に(CB1リガンドのCB1への結合および/またはインビトロでのCB1媒介シグナル伝達を検出可能な程変更させるのに十分な濃度で)存在すると同時にMCHR拮抗薬が患者の体液中に(MCHのMCH受容体への結合および/またはインビトロでのMCH媒介シグナル伝達を変更させるのに十分な濃度で)存在する時間枠を示す。同時投与(contemporaneous administration)はまた、本明細書では「同時投与(coadministration)」とも呼ばれる。
【0071】
患者の体液中のMCHR拮抗薬の好ましい濃度は、MCHのMCHR1への結合を阻害するのに十分なものである。約0.1mg〜約140mg/kg体重/日の範囲の投与量レベルを提供する組成物が好ましい(約0.5mg〜約7g/ヒト患者/日)。単回剤形を生成するために担体材料と組み合わせてもよい活性剤の量は、治療されるホストおよび特別な投与様式に依存して変化する。投与ユニット形態は一般に約1mg〜約500mgの活性成分を含む。最適用量は、ルーチン試験および周知の手順を用いて確立してもよい。
【0072】
ある実施形態では、MCHR拮抗薬の治療的有効量はCB1拮抗薬無しで同等の患者の利益を得るために投与する必要がある量よりも低い。本明細書で提供した一定の組成物および方法では、少なくとも相加効果が観察される(すなわち、患者の利益は少なくとも、同じ量のMCHR拮抗薬およびCB1拮抗薬の別個の投与により達成される利益の和である)。
【0073】
ある実施形態では、MCHR拮抗薬の治療的有効量は、MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量(すなわち、製造者または米国食品医薬品局(FDA)により勧告される最大用量)の3/4、1/2、1/4または10%未満である。同様に、ある実施形態では、CB1拮抗薬の治療的有効量は、MCHR拮抗薬無しで同等の患者の利益を達成するために投与する必要がある量よりも少ない。ある実施形態では、CB1拮抗薬の治療的有効量は、CB1拮抗薬に対する最大推奨用量(すなわち、製造者またはFDAにより勧告される最大用量)の3/4、1/2、1/4または10%未満である。
【0074】
別の実施形態では、MCHR拮抗薬の治療的有効量は、MCHR拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明されたMCHR拮抗薬の最小用量より低く、ここで、MCHR拮抗薬の合衆国臨床試験は、第2の抗肥満薬、例えばCB1拮抗薬の同時投与無しで実施される(例えば、治療的有効量は、そのような臨床試験で有効性が証明された最小用量の95%未満、90%未満、75%未満または50%未満である)。別の実施形態では、CB1拮抗薬の治療的有効量は、CB1拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明されたCB1拮抗薬の最小用量より低く、ここで、CB1拮抗薬の合衆国臨床試験は、第2の抗肥満薬、例えばMCHR拮抗薬の同時投与無しで実施される(例えば、治療的有効量は、そのような臨床試験で有効性が証明された最小用量の95%未満、90%未満、75%未満または50%未満である)。さらに別のそのような実施形態では、MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬の両方を、そのような臨床試験で有効性が証明された最小用量よりも低い用量で使用する。本明細書で使用されるように「臨床試験」という句は、薬物の製造、使用または販売を管理する連邦法の下、情報の発展および提出に関連する目的のために実施される、ヒト被験者での実験研究を示す。
【0075】
別の実施形態では、MCHR拮抗薬の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで使用するための最小市販用量(患者のサイズに対する)よりも低く、および/またはCB1拮抗薬の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで使用するための最小市販用量(患者のサイズに対する)よりも低い。例えば、MCHR拮抗薬およびCB1拮抗薬の1つまたは両方の治療的有効量は、最小市販用量の95%未満、90%未満、75%未満または50%未満としてもよい。あるそのような実施形態では、患者は非ヒト動物、例えばコンパニオンアニマル(例えば、イヌまたはネコ)である。
【0076】
本明細書で提供したパッケージ薬学的調製物は一般に、少なくとも1つのMCHR拮抗薬を含む組成物を保持する容器と、容器内の組成物を、患者において食欲を減少させ、または肥満を治療するために、治療的有効量で使用することを示す使用説明書(例えば、ラベリング)とを含む。ある実施形態では、使用説明書はさらに、容器内の組成物を治療的有効量のCB1拮抗薬と組み合わせて使用することを明記する。別の実施形態では、パッケージ薬学的調製物はさらに、1つまたは複数のCB1拮抗薬を、パッケージ内の同じ容器内、または別個の容器内に含む。好ましい混合物は経口投与用に製剤化される(例えば、ピル、カプセル、錠剤などとして)。パッケージ薬学的調製物で使用するための治療的有効量は一般に上記で記述した通りである。
【0077】
〈治療法〉
ある観点では、本発明は、体重管理に有益な方法を提供する。そのような方法では、本明細書で提供される組成物を患者に投与し、食欲および/または食物摂取を減少させ、または肥満を予防もしくは治療する(例えば、体重減少を促進する)。患者としては、ヒト、飼い慣らされたコンパニオンアニマル(ペット、例えばイヌ)および家畜が挙げられ、投与および治療レジメンは上記で規定した通りである。
【0078】
本発明は、体重管理のために、1つまたは複数のMCHR拮抗薬を1つまたは複数のCB1拮抗薬と組み合わせて使用するための方法を提供する。MCHR拮抗薬を患者に、CB1拮抗薬と同時に投与してもよく(例えば、単回投与ユニットとして)、または別個に投与してもよい(CB1拮抗薬の前または後)。好ましい態様では、MCHR拮抗薬およびCB1拮抗薬は最終的には、患者の体液(例えば、血液)中に有効濃度で同時に存在する。MCHR拮抗薬またはCB1拮抗薬の有効濃度は、本明細書で記述したように繰り返し同時投与すると、患者における摂食量、食欲および/または肥満度指数のうちの1つまたは複数を減少させるのに十分な濃度である。上記で記述したように、MCHR拮抗薬の有効濃度は、CB1拮抗薬無しで同等の患者の利益が達成されるように投与する必要がある量よりも低い治療的有効量のMCHR拮抗薬を投与することにより達成してもよく、および/またはCB1拮抗薬の有効濃度は、MCHR拮抗薬無しで同等の患者の利益が達成されるように投与する必要がある量よりも低い治療的有効量のCB1拮抗薬を投与することにより達成してもよい。
【0079】
そのような方法において使用するための治療的有効量は一般に、上記で記述した通りである。ある実施形態では、MCHR拮抗薬およびCB1拮抗薬の1つまたは両方の治療的有効量は、上記で記述したように、最大推奨用量の3/4、1/2、1/4または10%未満である。別の態様では、MCHR拮抗薬およびCB1拮抗薬の1つまたは両方の治療的有効量は、合衆国臨床試験で有効性が証明されている最小用量より低い。別の実施形態では、MCHR拮抗薬およびCB1拮抗薬の1つまたは両方の治療的有効量は、治療を受ける患者のサイズに対する最小市販用量よりも低い。
【0080】
患者へのMCHR拮抗薬およびCB1拮抗薬の投与は、経口、局所、鼻内または経皮投与、または静脈内、筋内、皮下、くも膜下腔内、硬膜外、脳室内または同様の注入を含む、上記で記述した任意の手段によって実施することができる。ある実施形態では、上記のように、1つまたは複数のMCHR拮抗薬または1つまたは複数のCB1拮抗薬の混合物を投与する。そのような方法で使用するための好ましい混合物は経口投与用に(例えば、ピル、カプセル、錠剤などとして)または静脈内投与用に製剤化される。
【0081】
投与頻度は、使用する化合物および患者の肥満度により変動させてもよい。一般に、1日あたり4回またはそれ以下の投与計画が好ましく、1日1または2回が特に好ましい。任意の特別な患者に対する特定用量は上記で記述したように、様々な因子に依存する。患者は一般に、治療または予防される状態に適したアッセイ法を用いて治療効果がモニタされてもよく、そのような方法は当業者には周知である。例えば、体重、BMIまた食物摂取で統計学的に有意の減少が得られると、治療は有効であると考えられる。
【0082】
〈MCHR拮抗薬/CB1拮抗薬の組み合わせを識別するための方法〉
本発明はさらに、上記薬学的組成物、パッケージ薬学的調製物および方法において使用するためのMCHR拮抗薬/CB1拮抗薬の組み合わせを選択するための方法を提供する。そのような方法は一般に、MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬が哺乳類の食物摂取に対し少なくとも相加効果を示す組み合わせの選択に基づく。例えば、本発明は、同時に哺乳類に、治療的有効量で投与すると哺乳類の食物摂取に少なくとも相加効果を示すMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を識別(または同定)する工程と、それから、体重調整に使用するためのMCHR拮抗薬/CB1拮抗薬の組み合わせを識別(または同定)する工程とを含む、体重の調整に使用するためのMCHR拮抗薬/CB1拮抗薬の組み合わせを識別するための方法を提供する。
【0083】
一般に、哺乳類に治療的有効量で同時に投与すると哺乳類の食物摂取に少なくとも相加効果を示すMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を選択する工程を含む、薬学的組成物のための活性成分を選択するための、または患者に同時投与するための治療薬を選択するための方法をさらに提供する。ある実施形態では、薬学的組成物のための活性成分を選択するための方法は、(i)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬を用いて、CB1拮抗薬の同時投与無しで処置した哺乳類(例えば、非ヒト哺乳類)における食物摂取に対するMCHR拮抗薬の効果を決定する工程と、(ii)第2の治療的有効量のCB1拮抗薬を用いて、MCHR拮抗薬の同時投与無しで処置した哺乳類における食物摂取に対するCB1拮抗薬の効果を決定する工程と、(iii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬を用いて同時に処置した哺乳類における食物摂取に対するMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬の効果を決定する工程と、(iv)必要に応じて、異なるMCHR拮抗薬または異なるCB1拮抗薬を用いて工程(i)〜(iii)を繰り返す工程と、(v)工程(iii)で決定した食物摂取に対する効果が工程(i)および(ii)で決定した食物摂取に対する効果の和と等しいまたはそれ以上であるMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を選択する工程と、を含む。
【0084】
そのような活性成分を含む薬学的組成物を調製するための方法は一般に、(i)哺乳類に治療的有効量で同時に投与すると哺乳類における食物摂取に対し少なくとも相加効果を有するMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を識別(または同定)する工程と、(ii)治療的有効量のMCHR拮抗薬と治療的有効量のCB1拮抗薬とを生理学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせる工程と、を含む。そのような活性成分を含むパッケージ薬学的組成物を調製するための方法は一般に、(i)哺乳類に治療的有効量で同時に投与すると哺乳類における食物摂取に対し少なくとも相加効果を有するMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を識別(または同定)する工程と、(ii)MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬とを、第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬を、食物摂取または食欲を減少させ、または肥満を治療する、患者に同時に投与することを示す使用説明書と共にパッケージする工程と、を含む。
【0085】
下記実施例は、説明のために提供するものであり、制限するものではない。特に記載がなければ、試薬および溶媒は全て標準市販グレードであり、さらに精製せずに使用する。
【実施例】
【0086】
〔実施例1〕
〈MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬の摂食量に対する効果〉
この実施例では、飽食させたラットにおける12時間にわたる食物摂取および体重変化を測定するインビボアッセイ法について説明する。このアッセイ法は、MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬の同時投与により過剰摂食量を阻止することができることを確認するために使用する。
【0087】
ラット(3月齢、250〜300g)の体重を測定する。アッセイ法の前に、ラットには正常な食餌および水を自由に与える。対照および試験化合物溶液をその後に経口投与し、30分後ラットを代謝給餌ケージ(metabolic feeding cage)(ナルゲン(Nalgene)代謝ケージ、VWRサイエンティフィック(Scientific))に12時間の給餌セッションの間、入れ、明かりを消し、その間、食餌および水を自由に与える。与えた食餌は、トリトス(Tritos)らの糖尿病(Diabetes)47:1687(1998)により本質的に記述されているように、口当たりのよい固形飼料である。12時間後、食物摂取、水摂取、尿および大便排出および体重変化を測定する。
【0088】
図1は1つのそのようなアッセイ法の結果を示し、この場合、動物を4つの処置グループに分け、各グループ毎8〜10匹の動物とする。第1のグループでは、ラットをビヒクルのみ(0.1%トリアセチン、湿潤剤を含む5%メチルセルロース)で処置する。これらのビヒクル処置動物は12時間の給餌セッション中、平均28gの食餌を食べる。第2のグループでは、動物を5mg/kgCB1拮抗薬の1回投与で処置する。これらの動物は、平均13%の食物摂取の減少を示す。第3グループの動物は10mg/kg MCHT1拮抗薬の1回投与で処置する。これらの動物は平均16%の食物摂取の減少を示す。第4のグループでは、動物をCB1拮抗薬およびMCHR1拮抗薬の両方で、上記のように処置し、31%の食物摂取の減少を示す。この結果から、これらの2つの薬剤を同時投与すると、食物摂取において少なくとも相加減少が得られることが証明される。
【0089】
〔実施例2〕
〈メラミン凝集ホルモン受容体結合アッセイ法〉
この実施例では、MCH受容体に対する化合物の結合親和性を決定するために使用してもよいMCH受容体結合の標準アッセイ法を説明する。
【0090】
カニクイザルマカク視床下部MCHR1 cDNAを調製し、PCDNA3.1(インビトロゲン社(INVITROGEN Corp.)、カルフォルニア州カールズバッド)にクローン化し、HEK293細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection、バージニア州マナッサス)を、2003年7月24日に公開されたPCT国際出願公開番号第WO03/059289号で記述されているようにMCHR1発現ベクターにより安定にトランスフェクトさせる。トランスフェクトしたHEK293細胞の調製および貯蔵に関するWO03/059289号の52ページの開示内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0091】
アッセイ法の時点では、HEK293細胞膜ペレットを、洗浄緩衝液(wash buffer)(1.0mM CaCl、5.0mM MgCl、120mM NaClを有する25mM HEPES、pH7.4)を添加することにより解凍し、ブリンクマンポリトロン(BRINKMAN POLYTRON)セッティング5を用いて30秒間ホモジナイズする。細胞を10分間48,000×gで遠心分離する。上清を廃棄し、ペレットを新鮮な洗浄緩衝液中に再懸濁させ、再びホモジナイズする。この膜ホモジネートのアリコート(aliquot)を使用して、ブラッドフォード法(BIO−RAD蛋白質アッセイキット、#500−0001、BIO−RAD、カリフォルニア州ハーキュリーズ)により蛋白質濃度を決定する。この測定により、1リットルの細胞培養物から、典型的に50〜75mgの総膜蛋白質が得られる。ホモジネートを前のように遠心分離し、結合緩衝液(洗浄緩衝液+0.1%BSAと1.0μM最終ホスホラミドン)中333μg/mLの蛋白質濃度で懸濁させ、50μg膜蛋白質/150μL結合緩衝液のアッセイ体積とする。ホスホラミドンはシグマバイオケミカルズ(SIGMA BIOCHEMICALS、ミズーリ州セントルイス)(cat#R−7385)からのものとした。
【0092】
競合結合アッセイ法は、ファルコン(Falcon)96ウエル丸底ポリプロピレンプレートにおいて、室温で実施する。各アッセイウエルは、上記のように調製した150μLのMCH受容体含有膜と、50μLの125I−Tyr MCHと、50μLの結合緩衝液と、2μLのDMSOに溶解した試験化合物を含む。125I−Tyr MCH(比活性=2200Ci/mmol)はNEN、マサチューセッツ州ボストン(Cat#NEX 373)から購入し、結合緩衝液中で希釈し、最終アッセイ濃度30pMとする。
【0093】
非特異的結合は、1μMの非標識MCHの存在下で測定した結合として規定される。MCHはバケム(BACHEM)U.S.A、ペンシルバニア州キングオブプロシア(cat#H−1482)から購入する。MCH結合を決定するために使用するアッセイウエルは150μLのMCH受容体含有膜と、50μLの125I−Tyr MCHと、25μLの結合緩衝液と、25μLの結合緩衝液とを含む。
【0094】
アッセイプレートを1時間室温でインキュベートする。膜を、使用前2時間1.0% PEI(ポリエチレンイミン)で予め浸したワラック(WALLAC、商標)ガラス繊維フィルタ(パーキンエルマー(PERKIN−ELMER)、メリーランド州ゲイサーズバーグ)上に収集する。フィルタを一晩中乾燥させ、その後、ワラックベータシント(WALLAC BETA SCINT)(商標)シンチレーション流体を添加した後、ワラック1205ベータプレート(BETA PLATE)カウンタで計数する。
【0095】
飽和結合のために、125I−Tyr MCHの濃度を7〜1000pMまで変動させる。典型的には、飽和結合曲線1つあたり11の濃度点を収集する。コンピュータプログラムフィットP(FitP、商標)(バイオソフト(BIOSOFT)、ミズーリ州ファーガソン)の助けを借り、ヒル(Hill)式を測定した値に適合させることにより、平衡結合パラメータを決定する。好ましいMCHR拮抗薬では、K値が1μM未満、好ましくは500nM未満、より好ましくは100nM未満である。
【0096】
〔実施例3〕
〈MCH受容体カルシウム移動アッセイ法〉
この実施例では、メラミン凝集ホルモンに対するメラニン凝集ホルモン受容体を発現する細胞の応答をモニタするための代表的な機能アッセイ法について説明する。このアッセイ法はまた、試験化合物がメラニン凝集ホルモン受容体の作用薬または拮抗薬として作用するかどうかを決定するのに使用することができる。
【0097】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション、バージニア州マナッサス)を、リン酸カルシウム沈澱法によりMCH受容体発現ベクターを用い安定にトランスフェクトさせる。最も良好に発現するトランスフェクタントを選択し、このトランスフェクタント(すなわち、クローン)を、ファルコン(FALCON、商標)の黒壁、透明底の96−ウエルプレート(#3904、ベクトン−ディキンソン(BECTON−DICKINSON)、ニュージャージー州フランクリンレイクス)において、10%ウシ胎児血清、25mM HEPESおよび500μg/mL(活性)G418を補充したハム(Ham)F12培地(メディアテク(MEDIATECH)、バージニア州ハーンドン)中増幅、増殖させ、15,000細胞/ウエルの密度とする。アッセイ法を実施する前、培地を96ウエルプレートから除去する。Fluo−3カルシウム感受性染料(モレキュラープローブズ(Molecular Probes)、オレゴン州ユージーン)を各ウエルに添加する(染料溶液:1mg FLUO−3 AM、440μL DMSOおよび440μL 20%プルロニック酸(pluronic acid)を含むDMSO、1:4希釈、50μL 希釈溶液/ウエル)。プレートをアルミニウム箔で覆い、37℃で1〜2時間インキュベートする。インキュベート後、染料をプレートから除去し、細胞を100μL KRH緩衝液(0.05mM KCl、0.115M NaCl、9.6mM NaHPO、0.01mM MgSO、25mM HEPES、pH7.4)で1度洗浄し、過剰の染料を除去し、洗浄後、各ウエルに80μLのKRH緩衝液を添加する。
【0098】
蛍光応答を、ヒトMCH受容体または試験化合物のいずれかを添加し、FLIPR(商標)プレートリーダー(モレキュラーデバイス(Molecular Devices)、カリフォルニア州サニーベール)により、480nmで励起し、530nmで発光させることによりモニタする。
【0099】
試験化合物の、MCHに対するMCH受容体を発現する細胞の応答に拮抗する能力を測定するために、MCHのEC50を最初に決定する。追加の20μLのKRH緩衝液および1μLのDMSOを、上記のように調製した各ウエルの細胞に添加する。100μLのヒトMCHを含むKRH緩衝液をFLIPR機器により各ウエルに自動的に移す。最終MCH濃度が1nM〜3μMの8点濃度応答曲線を使用してMCH EC50を決定する。
【0100】
試験化合物をDMSOに溶解させ、20μLのKRH緩衝液中に希釈し、上記のように調製した細胞に添加する。調製した細胞および試験化合物を含む96ウエルプレートを暗闇、室温で0.5〜6時間インキュベートする。インキュベーションを6時間を超えて続けないことが重要である。蛍光応答を決定する直前に、2×EC50までKRH緩衝液中に希釈したヒトMCH100μLをFLIPR機器により、96ウエルプレートの各ウエルに自動的に添加し、200μLの最終試料体積およびEC50の最終MCHR濃度とする。アッセイウエル中の試験化合物の最終濃度は1nMと5μMとの間である。典型的には、1つのMCHのEC50に曝露させた細胞は、約10,000相対蛍光単位の蛍光応答を示す。MCH受容体の拮抗薬を用いてインキュベートした細胞は、統計的有意性のパラメータ試験を用いて測定すると、p≦0.05レベルまで対照細胞よりも有意に低い応答を示す。典型的には、MCH受容体の拮抗薬は、対応対照に比べ約20%、好ましくは約50%、最も好ましくは少なくとも80%だけ蛍光応答を減少させる。MCHR拮抗薬に対するIC50値を、シグマプロット(SIGMAPLOT)ソフトウエア(SPSS社、イリノイ州シカゴ)および標準技術を用いて決定する。その後、IC50値を用いて、チェン(Cheng)およびプルゾフ(Prusoff)(1973)Biochem Pharmacol.22(23):3099−108により記述されているようにKを生成させる。
【0101】
化合物のMCH受容体の作用薬として作用する能力は、MCH無しで、上記方法を用い、MCH受容体を発現する細胞の蛍光応答を測定することにより決定する。細胞を、バックグラウンドより高い蛍光を示すようにする化合物はMCH受容体作用薬である(試験化合物のバックグラウンド自己蛍光は標準方法を用いて評価してもよい)。MCH受容体の基本活性の検出可能な増加を誘発しないMCHR拮抗薬は、検出可能な作用薬活性を有さず、好ましい。
【0102】
〔実施例4〕
〈CB1発現のためのバキュロウイルス調製物〉
この実施例では、CB1−発現昆虫細胞を作成するのに使用するための組換えバキュロウイルスの調製について説明する。
【0103】
ヒトCB1配列はジェンバンクアクセッション番号HSU73304を有し、ホエー(Hoehe)ら(1991)New Biol.3(9):880−85により報告された。ヒトCB1(hCB1)cDNAをヒト脳cDNAライブラリー(ギブコ(Gibco)BRL、メリーランド州ゲイサーズバーグ)からPCRを用いて増幅させ、ここで、5’プライマーは最適コザック(Kozak)配列CCACCを含む。得られたPCR産物を、マルチプルクローニングサイトを用いpcDNA3.1/V5−His−TOPO(インビトロジェン社(Invitrogen Corp.)カリフォルニア州カールズバッド)にクローン化し、その後、Bam/XhoサイトでpBACPAK(BDバイオサイエンス(Biosciences)、カルフォルニア州パロアルト)にサブクローン化すると、hCB1バキュロウイルス発現ベクターが得られる。
【0104】
hCB1バキュロウイルス発現ベクターを、Sf9細胞にBACULOGOLD DNA(BDファーミンゲン(PharMingen)、カリフォルニア州サンディエゴ)と共にコトランスフェクトさせる。Sf9細胞培養上清をトランスフェクション後3日目に採取する。組換えウイルス含有上清を、グレース(Grace)塩および4.1mMのL−Gln、3.3g/Lの限外濾過イーストレート(yestolate)および10%の熱により不活性化したウシ胎児血清を補充したヒンク(Hink)TNM−FH昆虫媒地(JRHバイオサイエンス、ミズーリ州カンザスシティ)(以後、「昆虫媒地」)中で連続して希釈し、プラークを組換えプラークに対しアッセイする。4日後、組換えプラークを選択し、1mlの昆虫培地中に採取し、増幅させる。各1ml体積の組換えバキュロウイルス(継代0)を使用して、5mlの昆虫培地中に2×10Sf9細胞を含む別のT25フラスコに感染(インフェクション)させる。27℃で5日間インキュベートした後、各T25感染物から上清媒地を採取し、第1継代接種材料として使用する。
【0105】
その後、2組の7つの換えバキュロウイルスクローンを第2ラウンドの増幅のために選択し、1mlの第1継代ストックを用いて、2つのT175フラスコに分割した100mlの昆虫媒地中の1×10細胞に感染させる。感染後48時間目に、各100mlの調製物由来の第2継代媒地を採取し、プラークを力価に対しアッセイする。第2ラウンドの増幅から得られた細胞ペレットを、下記で記述したように親和性結合によりアッセイし、組換え受容体発現を証明する。その後、第3ラウンドの増幅を0.1の感染効率を用いて開始し、1リットルのSf9細胞を感染させる。感染後72時間目に、上清培地を採取し、第3継代バキュロウイルスストックを獲得する。
【0106】
残りの細胞ペレットについて、親和性結合に対しアッセイする。放射性リガンドは、飽和結合では25pM−5.0nM[H]CP55,940であり、競合結合では0.5nMであり(ニューイングランドニュークリア社(New England Nuclear Corp.、マサチューセッツ州ボストン)、hCB1−発現バキュロウイルス細胞を使用し、アッセイ緩衝液は50mMのTris pH7.4、120mMのNaCl、5mMのMgCl、0.5% BSAおよび0.2mg/mlのバシトラシンを含み、GF/C ホワットマン(WHATMAN)フィルタ(使用前2時間0.3%脱脂粉乳(HO)に予め浸漬させる)を用いて濾過を実施し、フィルタを5mLの冷50mM Tris pH7.4で2度洗浄する。
【0107】
第3継代バキュロウイルスストックの力価をプラークアッセイ法により決定し、感染効率、インキュベーション期間、結合アッセイ法実験を実施し、最適受容体発現のための条件を決定する。
【0108】
〔実施例5〕
〈バキュロウイルス感染〉
対数期Sf9細胞(インビトロゲン社、カリフォルニア州カールスバッド)に、組換えバキュロウイルスの1つまたは複数のストックを感染させ、昆虫培地中、27℃で培養する。感染はhCB1の発現に導くウイルスのみ、またはこのウイルスと3つのG−蛋白質サブユニット発現ウイルスストック、1)ラットGα12G−蛋白質−エンコードウイルスストック(バイオシグナル(BIOSIGNAL)#V5J008)、2)ウシβ1G−蛋白質−エンコードウイルスストック(バイオシグナル#V5H012)および3)ヒトγ2G−蛋白質−エンコードウイルスストック(バイオシグナル#V6B003)、これらは全てバイオシグナル社、カナダモントリオールから入手される、と組み合わせたもののいずれかを用いて実施する。
【0109】
典型的なhCB1感染は、上記のように加熱して不活性化した10%ウシ胎児血清(FBS)を補充した昆虫培地で培養したSf9細胞を使用して実施する。Sf9細胞を5% FBSおよび5%ギブコ無血清培地(インビトロゲン社、カルフォルニア州カールスバッド)を含む昆虫培地で培養すると、より高い受容体およびG−蛋白質(Gα、Gβ、Gγ)発現を得ることができる。Sf9細胞をFBS無しで10%ギブコ無血清培地を含む昆虫培地で培養すると、最大CB1受容体発現および機能活性が達成される。感染は0.1:1.0:0.5:0.5の感染効率で実施する。感染後72時間で、細胞懸濁液試料に対し、トリパンブルー染料排除により生存率について分析し、残りのSf9細胞を遠心分離により採取する(3000rpm/10分/4℃)。
【0110】
〔実施例6〕
〈精製した組換え昆虫細胞膜〉
Sf9細胞ペレットをホモジナイズ緩衝液(10mM HEPES、250mM ショ糖、0.5μg/ml ロイペプチン、2μg/ml アプロチニン、200μM PMSFおよび2.5mM EDTA、pH7.4)中に再懸濁させ、ポリトロン(POLYTRON)ホモジナイザを用いてホモジナイズする(セッティング5で30秒間)。ホモジナイズされたものを遠心分離し(536×g/10分/4℃)、核をペレット化する。単離した膜を含む上清を清浄な遠心分離管にデカントし、遠心分離し(48,000×g/30分、4℃)、得られたペレットを30mlのホモジナイズ緩衝液に再懸濁させる。この遠心分離および再懸濁工程を2度繰り返す。最終ペレットを、5mM EDTAを含む氷冷ダルベッコ(Dulbecco)PBS中に再懸濁させ、必要となるまで−80℃で、凍結アリコートで保存する。得られた膜調製物(以後、「P2膜」)の蛋白質濃度を、ブラッドフォード蛋白質アッセイ法(バイオラッドラボラトリーズ、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を用いて測定する。この測定により、1リットルの細胞培養物では典型的には100〜150mgの総膜蛋白質が得られる。
【0111】
〔実施例7〕
〈放射性リガンド結合アッセイ法〉
P2膜をダウンス(Dounce)ホモジナイゼーション(タイトな乳鉢(tight pestle))により、結合緩衝液(50mM Tris pH7.4、120mM NaCl、5mM MgCl、0.5%BSAおよび0.2mg/mlバシトラシン)中に再懸濁させる。
【0112】
飽和結合分析では、膜(10μg)を25pM〜0.5nM[H]CP55,940(ニューイングランドニュークリア社、マサチューセッツ州ボストン)を含むポリプロピレン管に添加する。非特異的結合を、10μM CP55,940(トクリスクックソン社(Tocris Cookson Inc.)、ミズーリ州エリスヴィル)の存在下で決定すると、総結合の10%未満を占めた。受容体親和性に対するグアニンヌクレオチド効果を評価するために、GTPγSを添加し、最終濃度50μMで管を複製する(duplicate)。
【0113】
競合分析では、膜(10μg)を0.5nM[H]CP55,940を含むポリプロピレン管に添加する。非放射性標識ディスプレーサーを添加し、10−10M〜10−5Mの範囲の濃度でアッセイ物を分離すると、0.250mLの最終体積が得られる。非特異的結合を、10μM CP55,940の存在下で決定すると、総結合の10%未満を占めた。室温で1時間インキュベートした後、反応を急速減圧濾過により中止させる。試料を予め浸漬させた(0.3%脱脂粉乳で使用前2時間)GF/Cホワットマンフィルター上で濾過し、5mLの50mM冷Tris pH7.4で2度すすぐ。残りの結合放射活性を、γ計数により定量する。Kおよびヒル(Hill)係数(nH)を、シグマプロットソフトウエアの助けを借りて、測定値にヒル式を適合させることにより決定する。
【0114】
〔実施例8〕
〈作用薬誘導GTP結合〉
この実施例では、CB1作用薬および拮抗薬を識別(または同定)し、逆作用薬活性を有する拮抗薬から中性拮抗薬を区別するための作用薬刺激GTP−γ35S結合(「GTP結合」)活性の使用について説明する。このアッセイ法を使用し、拮抗薬化合物により媒介される部分アゴニズムを検出することもできる。このアッセイ法で分析する化合物は本明細書では「試験化合物」と呼ばれる。作用薬刺激GTP結合活性は次のように測定する。4つの独立したバキュロウイルスストック(1つはhCB1の発現を誘導し、3つはヘテロ三量体G−蛋白質の3つのサブユニットの各々の発現を誘導する)を使用し、実施例5で記述したようにSf9細胞培養物に感染させる。
【0115】
精製膜(実施例6で記述したように調製)に対する作用薬刺激GTP結合を最初に、CB1作用薬CP55,940を用いて評価し、受容体/G−蛋白質−α−β−γの組み合わせでは、GTP結合により測定されるような機能応答が得られることを確認する。
【0116】
P2膜をダウンスホモジナイゼーション(タイトな乳鉢)により、GTP結合緩衝液(50mM Tris pH7.4、120mM NaCl、5mM MgCl、2mM EGTA、0.1% BSA、0.1mMバシトラシン、100KIU/mLアプロチニン、5μM GDP)中に再懸濁させ、反応管に10μg蛋白質/反応管の濃度で添加する。漸増用量の作用薬CP55,940を10−12M〜10−6Mの範囲の濃度で添加した後、100pMのGTP−γ35Sを添加することにより反応を開始する。競合実験では、非放射標識試験化合物を別個のアッセイ物に10−10M〜10−5Mの範囲の濃度で1nM CP55,940と共に添加すると、0.25mLの最終体積が得られる。
【0117】
室温で60分インキュベートした後、GF/Cフィルタ(洗浄緩衝液、0.1%BSAに予め浸す)上での急速減圧濾過により反応を中止させ、その後、氷冷洗浄緩衝液(50mM Tris pH7.0、120mM NaCl)で洗浄する。受容体結合(これにより膜結合)GTP−γ35Sの量を、結合放射活性を測定することにより、好ましくは洗浄したフィルタの液体シンチレーション分光法により決定する。非特異結合を10mM GTP−γ35Sを用いて決定すると、非特異結合は典型的には総結合の5%未満を示す。データは基礎(ベースライン)上の割合(パーセント)として表される。これらのGTP結合実験結果を、シグマプロットソフトウエアを用いて解析し、IC50を決定する。その後、IC50を使用して、チェンおよびプルゾフ(1973)Biochem Pharmacol.22(23):3099−108により記述されているようにKを生成する。
【0118】
中性拮抗薬は、CP55,940刺激GTP結合活性をベースライン(このアッセイ法では添加するCP55,940または他の作用薬無しで、さらにいずれの試験化合物も無しで、膜に結合するGTPレベル)に向かって、しかしそれ以下にならないように減少させる試験化合物である。
【0119】
対照的に、添加するCP55,940無しで、CB1逆作用薬は、受容体含有膜のGTP結合活性をベースライン未満まで減少させる。拮抗薬活性を示す試験化合物が、CB1作用薬無しではベースライン未満にGTP結合活性を減少させない場合、中性拮抗薬として特徴づけられる。
【0120】
このGTP結合アッセイ法において添加CP55,940無しでGTP結合活性をベースラインより上に上昇させる拮抗薬試験化合物は、部分作用薬活性を有するものと特徴づけられる。好ましいCB1拮抗薬は、そのような条件下では、作用薬CP55,940により引き起こされる最大応答の10%を超えてGTP結合活性を上昇させず、より好ましくは5%未満、最も好ましくは2%未満である。
【0121】
〔実施例9〕
〈MDCK細胞毒性アッセイ法〉
この実施例では、メイディン・ダービー・イヌ腎臓(Madin Darby canine kidney)(MDCK)細胞の細胞毒性アッセイ法を用いた化合物毒性の評価について説明する。
【0122】
1μLの試験化合物を底が透明な96−ウエルプレート(パッカード(PACKARD)、コネチカット州メリデン)の各ウエルに添加し、アッセイ物中の化合物の最終濃度を10μM、100μMまたは200μMとする。試験化合物を有さない溶媒を対照ウエルに添加する。
【0123】
MDCK細胞、ATCC番号CCL−34(アメリカンタイプカルチャーコレクション、バージニア州マナッサス)をATCC製品情報シートの指示に従い、滅菌条件で維持する。集密MDCK細胞をトリプシン処理し、採取し、温かい(37℃)培地(ビタセル(VETACELL)最小必須培地イーグル(Eagle)、ATCCカタログ#30−2003)を用い0.1×10細胞/mLの濃度まで希釈する。細胞を有さない100μLの温かい培地を含む5つの標準曲線対照ウエルを除き、100μLの希釈細胞を各ウエルに添加する。その後、プレートを37℃、95%O、5%CO下で2時間、絶えず振盪させてインキュベートする。インキュベート後、50μLの哺乳類細胞溶解溶液(パッカード(PACKARD)(コネチカット州メリデン)ATP−LITE−MルミネセントATP検出キットから)を各ウエル毎に添加し、ウエルをパッカードトップシール(TOPSEAL)ステッカーで被覆し、プレートを約700rpmで適した振盪機上で2分間、振盪させる。
【0124】
未処置細胞に比べ、化合物により引き起こされる毒性によりATP産生が減少する。ATP−LITE−MルミネセントATP検出キットを一般に、製造者の指示に従い使用し、処置および未処置MDCK細胞中でのATP産生を測定する。パッカードATP LITE−M試薬は、室温で平衡化される。平衡化されるとすぐに、凍結乾燥基質溶液を5.5mLの基質緩衝液(キットから)中で再構成(reconstitute)させる。凍結乾燥ATP標準溶液を脱イオン水中で再構成させると、10mMストックが得られる。5つの対照ウエルでは、10μLの連続して希釈したパッカード標準を標準曲線対照ウエルの各々に添加し、その後の各ウエルの最終濃度を200nM、100nM、50nM、25nM、および12.5nMとする。パッカード基質溶液(50μL)を全てのウエルに添加し、その後、被覆し、プレートを約700rpmで、適した振盪機上、2分間振盪させる。白色パッカードステッカーを各プレートの底に付着させ、プレートを箔で包み、10分間暗所に置くことにより試料を暗順応させる。その後、ルミネセンスカウンタ(例えば、パッカードトップカウントマイクロプレートシンチレーションおよびルミネセンスカウンタ(PACKARD TOPCOUNT Microplate Scintillation and Luminescence Counter)またはテカンスペクトラフルオアプラス(TECAN SPECTRAFLUOR PLUS))を用いて22℃でルミネセンスを測定し、ATPレベルを標準曲線から計算する。試験化合物で処置した細胞のATPレベルを、未処置細胞に対し決定したレベルと比較する。10μMの好ましい試験化合物で処置した細胞は未処置細胞の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%であるATPレベルを示す。100μM濃度の試験化合物を使用する場合、好ましい試験化合物で処置した細胞は、未処置細胞で検出されるATPレベルの少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%のATPレベルを示す。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】ラットにおけるMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬の同時投与による、過剰摂食量の阻止を示すグラフであり、結果は、ビヒクルのみ、CB1拮抗薬のみ、MCHR1拮抗薬のみ、または示したような、CB1拮抗薬とMCRH1拮抗薬の組み合わせの投与後12時間の間の、gで表した摂取量として表し、「」はP<0.05を示し、「**」はP<0.001を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬とを、生理学的に許容される担体または賦形剤と共に含み、前記第1の治療的有効量は最大推奨用量の1/2未満である、薬学的組成物。
【請求項2】
前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の1/4未満である、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の10%未満である、請求項2記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項5】
第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬とを、生理学的に許容される担体または賦形剤と共に含み、前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である、薬学的組成物。
【請求項6】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/4未満である、請求項5記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の10%未満である、請求項6記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記MCHR拮抗薬は検出可能なMCH受容体作用薬活性を有さない、請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
持続放出剤形の請求項1〜9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
経口投与用に製剤化された請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
(i)非毒性MCHR拮抗薬を含む組成物を保持する容器と、
(ii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬を、第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬の投与と同時に、患者に投与することを示す使用説明書と、
を備え、前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である、パッケージ薬学的調製物。
【請求項13】
前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の1/4未満である、請求項12記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項14】
前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の10%未満である、請求項13記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項15】
前記MCHR拮抗薬は検出可能なMCH受容体作用薬活性を有さない、請求項12〜14のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項16】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項12〜15のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項17】
持続放出剤形の請求項12〜16のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項18】
経口投与用に製剤化された請求項12〜17のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項19】
使用説明書は、患者における食物摂取または食欲を減少させるためにMCHR拮抗薬を使用することを示す、請求項12〜18のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項20】
使用説明書は、患者における肥満を治療するためにMCHR拮抗薬を使用することを示す、請求項12〜18のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項21】
(i)非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)非毒性CB1拮抗薬と、
(iii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬とを、食物摂取もしくは食欲を減少させるために、または肥満治療のために患者に同時投与することを示す使用説明書と、
を備え、前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である、パッケージ薬学的調製物。
【請求項22】
前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の1/4未満である、請求項21記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項23】
前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の10%未満である、請求項22記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項24】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である、請求項21記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項25】
(i)非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)非毒性CB1拮抗薬と、
(iii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬とを、食物摂取もしくは食欲を減少させるために、または肥満治療のために患者に同時投与することを示す使用説明書と、
を備え、前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である、パッケージ薬学的調製物。
【請求項26】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/4未満である、請求項25記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項27】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の10%未満である、請求項26記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項28】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は同じ組成物中に存在する、請求項21〜27のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項29】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は異なる容器中に存在する、請求項21〜27のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項30】
前記MCHR拮抗薬は検出可能なMCH受容体作用薬活性を有さない、請求項21〜29のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項31】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項21〜30のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項32】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は持続放出剤形で製剤化される、請求項21〜31のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項33】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は経口投与用に製剤化される、請求項21〜32のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項34】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である工程と、
これにより前記患者における食欲または食物摂取を減少させる工程と、
を含む、患者における食欲または食物摂取を減少させるための方法。
【請求項35】
前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の1/4未満である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の10%未満である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である、請求項34記載の方法。
【請求項38】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である工程と、
これにより前記患者における食欲または食物摂取を減少させる工程と、
を含む、患者における食欲または食物摂取を減少させるための方法。
【請求項39】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/4未満である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の10%未満である、請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記MCHR拮抗薬は検出可能なMCH受容体作用薬活性を有さない、請求項34〜40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項34〜40のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である工程と、
これにより前記患者における肥満度を減少させる工程と、
を含む、患者における肥満を治療するための方法。
【請求項44】
前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の1/4未満である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記第1の治療的有効量は前記MCHR拮抗薬に対する最大推奨用量の10%未満である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である、請求項43記載の方法。
【請求項47】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/2未満である工程と、
これにより前記患者における肥満度を減少させる工程と、
を含む、患者における肥満を治療するための方法。
【請求項48】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の1/4未満である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記第2の治療的有効量は前記CB1拮抗薬に対する最大推奨用量の10%未満である、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記MCHR拮抗薬は検出可能なMCH受容体作用薬活性を有さない、請求項43〜49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項43〜49のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬とを、生理学的に許容される担体または賦形剤と共に含み、前記第1の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記MCHR拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記MCHR拮抗薬の最小用量より少ない組成物。
【請求項53】
前記第2の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記CB1拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記CB1拮抗薬の最小用量より少ない、請求項52記載の組成物。
【請求項54】
第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬とを、生理学的に許容される担体または賦形剤と共に含み、前記第2の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記CB1拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記CB1拮抗薬の最小用量より少ない組成物。
【請求項55】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項52〜54のいずれか一項記載の組成物。
【請求項56】
持続放出剤形の請求項52〜55のいずれか一項記載の組成物。
【請求項57】
経口投与用に製剤化された請求項52〜56のいずれか一項記載の組成物。
【請求項58】
(i)非毒性MCHR拮抗薬を含む組成物を保持する容器と、
(ii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬を、第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬の投与と同時に、患者に投与することを示す使用説明書と、
を備え、前記第1の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記MCHR拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記MCHR拮抗薬の最小用量より少ない、パッケージ薬学的調製物。
【請求項59】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項58記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項60】
持続放出剤形の請求項58または請求項59記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項61】
経口投与用に製剤化された請求項58〜60のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項62】
前記使用説明書は、前記MCHRを患者の食物摂取または食欲を減少させるために使用することを示す、請求項58〜61のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項63】
前記使用説明書は、前記MCHRを患者において肥満を治療するために使用することを示す、請求項58〜61のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項64】
(i)非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)非毒性CB1拮抗薬と、
(iii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬とを、食物摂取もしくは食欲を減少させるために、または肥満治療のために患者に同時投与することを示す使用説明書と、
を備え、前記第1の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記MCHR拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記MCHR拮抗薬の最小用量より少ない、パッケージ薬学的調製物。
【請求項65】
前記第2の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記CB1拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記CB1拮抗薬の最小用量より少ない、請求項64記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項66】
(i)非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)非毒性CB1拮抗薬と、
(iii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬とを、食物摂取もしくは食欲を減少させるために、または肥満治療のために患者に同時投与することを示す使用説明書と、
を備え、前記第2の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記CB1拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記CB1拮抗薬の最小用量より少ない、パッケージ薬学的調製物。
【請求項67】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は同じ組成物中に存在する、請求項64〜66のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項68】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は異なる容器中に存在する、請求項64〜66のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項69】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項64〜68のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項70】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は持続放出剤形で製剤化される、請求項64〜69のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項71】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は経口投与用に製剤化される、請求項64〜70のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項72】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、前記第1の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記MCHR拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記MCHR拮抗薬の最小用量より少ない、工程と、
これにより前記患者における食欲または食物摂取を減少させる工程と、
を含む、患者における食欲または食物摂取を減少させるための方法。
【請求項73】
前記第2の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記CB1拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記CB1拮抗薬の最小用量より少ない、請求項72記載の方法。
【請求項74】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、前記第2の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記CB1拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記CB1拮抗薬の最小用量より少ない、工程と、
これにより前記患者における食欲または食物摂取を減少させる工程と、
を含む、患者における食欲または食物摂取を減少させるための方法。
【請求項75】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項72〜74のいずれか一項記載の方法。
【請求項76】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、前記第1の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記MCHR拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記MCHR拮抗薬の最小用量より少ない、工程と、
これにより前記患者における肥満度を減少させる工程と、
を含む、患者における肥満を治療するための方法。
【請求項77】
前記第2の治療的有効量は、第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記CB1拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記CB1拮抗薬の最小用量より少ない、請求項76記載の方法。
【請求項78】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、第2の抗肥満薬の同時投与無しで実施された、前記CB1拮抗薬の合衆国臨床試験で有効性が証明された前記CB1拮抗薬の最小用量より少ない、工程と、
これにより前記患者における肥満度を減少させる工程と、
を含む、患者における肥満を治療するための方法。
【請求項79】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項76〜78のいずれか一項記載の方法。
【請求項80】
(i)非毒性MCHR拮抗薬を含む組成物を保持する容器と、
(ii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬を、第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬の投与と同時に、患者に投与することを示す使用説明書と、
を備え、前記第1の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するための前記MCHR拮抗薬の最小市場用量より少ない、パッケージ薬学的調製物。
【請求項81】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項80記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項82】
持続放出剤形の請求項80または請求項81記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項83】
経口投与用に製剤化された請求項80〜82のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項84】
前記使用説明書は、前記MCHR拮抗薬を患者における食物摂取または食欲を減少させるために使用することを示す、請求項80〜83のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項85】
前記使用説明書は、前記MCHR拮抗薬を患者において肥満を治療するために使用することを示す、請求項80〜83のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項86】
(i)非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)非毒性CB1拮抗薬と、
(iii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬とを、食物摂取もしくは食欲を減少させるために、または肥満治療のために患者に同時投与することを示す使用説明書と、
を備え、前記第1の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するための前記MCHR拮抗薬の最小市場用量より少ない、パッケージ薬学的調製物。
【請求項87】
前記第2の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するための前記CB1拮抗薬の最小市場用量より少ない、請求項86記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項88】
(i)非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)非毒性CB1拮抗薬と、
(iii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬とを、食物摂取もしくは食欲を減少させるために、または肥満治療のために患者に同時投与することを示す使用説明書と、
を備え、前記第2の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するための前記CB1拮抗薬の最小市場用量より少ない、パッケージ薬学的調製物。
【請求項89】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は同じ組成物中に存在する、請求項86〜88のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項90】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は異なる容器中に存在する、請求項86〜88のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項91】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項86〜90のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項92】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は持続放出剤形で製剤化される、請求項86〜91のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項93】
前記MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬は経口投与用に製剤化される、請求項86〜92のいずれか一項記載のパッケージ薬学的調製物。
【請求項94】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、前記第1の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するための前記MCHR拮抗薬の最小市場用量より少ない、工程と、
これにより前記患者における食欲または食物摂取を減少させる工程と、
を含む、患者における食欲または食物摂取を減少させるための方法。
【請求項95】
前記第2の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するための前記CB1拮抗薬の最小市場用量より少ない、請求項94記載の方法。
【請求項96】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、前記第2の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するための前記CB1拮抗薬の最小市場用量より少ない、工程と、
これにより前記患者における食欲または食物摂取を減少させる工程と、
を含む、患者における食欲または食物摂取を減少させるための方法。
【請求項97】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項94〜96のいずれか一項記載の方法。
【請求項98】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、前記第1の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するための前記MCHR拮抗薬の最小市場用量より少ない、工程と、
これにより前記患者における肥満度を減少させる工程と、
を含む、患者における肥満を治療するための方法。
【請求項99】
前記第2の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するための前記CB1拮抗薬の最小市場用量より少ない、請求項98記載の方法。
【請求項100】
(i)第1の治療的有効量の非毒性MCHR拮抗薬と、
(ii)第2の治療的有効量の非毒性CB1拮抗薬と、
を同時に患者に投与し、前記第2の治療的有効量は第2の抗肥満薬の同時投与無しで患者に投与するための前記CB1拮抗薬の最小市場用量より少ない、工程と、
これにより前記患者における肥満度を減少させる工程と、
を含む、患者における肥満を治療するための方法。
【請求項101】
前記MCHR拮抗薬はMCHR1拮抗薬である、請求項98〜100のいずれか一項記載の方法。
【請求項102】
哺乳類に治療的有効量で同時に投与すると哺乳類の食物摂取に少なくとも相加効果を示すMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を選択する工程と、それから、MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬とを含む薬学的組成物のための活性成分を同定する工程と、を含む、MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬とを含む薬学的組成物のための活性成分を同定するための方法。
【請求項103】
(i)哺乳類に治療的有効量で同時に投与すると哺乳類の食物摂取に少なくとも相加効果を有するMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を同定する工程と、
(ii)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬とを生理学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせる工程と、
を含む薬学的組成物を調製するための方法。
【請求項104】
(i)哺乳類に治療的有効量で同時に投与すると哺乳類の食物摂取に少なくとも相加効果を有するMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を同定する工程と、
(ii)前記MCHR拮抗薬と前記CB1拮抗薬とを、第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬を、食物摂取もしくは食欲を減少させるために、または肥満治療のために患者に同時投与することを示す使用説明書と共にパッケージする工程と、
を含むパッケージ薬学的調製物を調製するための方法。
【請求項105】
哺乳類に治療的有効量で同時に投与すると哺乳類の食物摂取に少なくとも相加効果を有するMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を選択する工程と、それから、患者に同時投与するための治療薬を同定する工程と、を含む、患者に同時投与するための治療薬を同定するための方法。
【請求項106】
(i)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬を用いて、CB1拮抗薬の同時投与無しで処置した哺乳類における食物摂取に対するMCHR拮抗薬の効果を決定する工程と、
(ii)第2の治療的有効量のCB1拮抗薬を用いて、MCHR拮抗薬の同時投与無しで処置した哺乳類における食物摂取に対するCB1拮抗薬の効果を決定する工程と、
(iii)前記第1の治療的有効量の前記MCHR拮抗薬と前記第2の治療的有効量の前記CB1拮抗薬を用いて同時に処置した哺乳類における食物摂取に対するMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬の効果を決定する工程と、
(iv)必要に応じて、異なるMCHR拮抗薬または異なるCB1拮抗薬を用いて工程(i)〜(iii)を繰り返す工程と、
(v)工程(iii)で決定した食物摂取に対する効果が工程(i)および(ii)で決定した食物摂取に対する効果の和と等しいまたはそれ以上であるMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を選択する工程と、
以上から、MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬とを含む薬学的組成物に対する活性成分を同定する工程と、
を含む、MCHR拮抗薬とCB1拮抗薬とを含む薬学的組成物に対する活性成分を同定するための方法。
【請求項107】
(i)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬を用いて、CB1拮抗薬の同時投与無しで処置した哺乳類における食物摂取に対するMCHR拮抗薬の効果を決定する工程と、
(ii)第2の治療的有効量のCB1拮抗薬を用いて、MCHR拮抗薬の同時投与無しで処置した哺乳類における食物摂取に対するCB1拮抗薬の効果を決定する工程と、
(iii)前記第1の治療的有効量の前記MCHR拮抗薬と前記第2の治療的有効量の前記CB1拮抗薬を用いて同時に処置した哺乳類における食物摂取に対する前記MCHR拮抗薬と前記CB1拮抗薬の効果を決定する工程と、
(iv)必要に応じて、異なるMCHR拮抗薬または異なるCB1拮抗薬を用いて工程(i)〜(iii)を繰り返す工程と、
(v)工程(iii)で決定した食物摂取に対する効果が工程(i)および(ii)で決定した食物摂取に対する効果の和と等しいまたはそれ以上であるMCHR拮抗薬とCB1拮抗薬を選択する工程と、
(vi)第1の治療的有効量のMCHR拮抗薬と第2の治療的有効量のCB1拮抗薬とを生理学的に許容される担体または賦形剤と共に組み合わせる工程と、
を含む薬学的組成物を調製するための方法。
【請求項108】
(a)CB1を含む第1の細胞膜調製物を、
(i)標識GTPと、
(ii)CB1作用薬と、
(iii)試験化合物と、
に接触させ、試験膜調製物を獲得する工程と、
(b)CB1を含む第2の細胞膜調製物を
(i)標識GTPと、
(ii)CB1作用薬と、
に接触させ、対照膜調製物を獲得する工程と、
を含み、工程(a)および(b)は、同時にまたはいずれかの順で、GTPがCB1に結合するのに適した条件下で実施し、さらに
(c)同時にまたはいずれかの順で、
(i)前記試験膜調製物中の結合した標識GTP量を示す試験シグナルと、
(ii)前記対照膜調製物中の結合した標識GTPの量を示す対照シグナルと、
を検出する工程と、
(d)前記試験シグナルを前記対照シグナルと比較する工程と、
以上から、前記試験化合物のCB1拮抗薬活性を決定する工程と、
を含む、試験化合物のCB1拮抗薬活性を決定するための方法。
【請求項109】
前記GTPは放射活性ラベルを含み、前記シグナルは放射性崩壊である、請求項108記載の方法。
【請求項110】
前記試験シグナルおよび前記対照シグナルは液体シンチレーション分光法を用いて検出される、請求項109記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−533661(P2007−533661A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506430(P2007−506430)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/010325
【国際公開番号】WO2005/094305
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(500015456)ニューロジェン・コーポレーション (48)
【Fターム(参考)】