説明

余寿命予測プログラム及び余寿命予測システム

【課題】 設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行う。
【解決手段】 設備機器の余寿命を予測する余寿命予測プログラムは、関係式決定ステップ(S21)と検査データ取得ステップ(S25)と余寿命決定ステップ(S26)と誤差範囲決定ステップ(S22〜S24,S27,S28)と出力ステップ(S29)とをコンピュータに実行させる。関係式決定ステップは、設備機器(2)を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式を決定する。検査データ取得ステップは、観測時刻における利用時間及び劣化指数の少なくとも一方である検査データを取得する。余寿命決定ステップは、関係式及び検査データに基づいて観測時刻における部品の余寿命を決定する。誤差範囲決定ステップは、部品の余寿命の誤差範囲を決定する。出力ステップは、部品の余寿命及び誤差範囲を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、余寿命予測プログラム及び余寿命予測システムに関し、特に、任意の観測時刻における設備機器の余寿命を予測する余寿命予測プログラム及び余寿命予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、設備機器の利用時間と劣化指数との関係を利用して設備機器の余寿命を予測するための余寿命予測方法が提案されている。非特許文献1では、基準化した測定値データを最小二乗法を用いて指数関数の式で近似することにより余寿命を予測しており、特許文献1では、試験データを正規化することで得られる寿命特性データに基づいて対象となる設備機器の運転履歴データから余寿命を予測しており、特許文献2では、環境因子、汚損度に応じた寿命診断関数を選定することにより余寿命を予測している。
【非特許文献1】高橋惇ら,「空調設備異常予知診断エキスパートシステム」,空気調和・衛生工学,第66巻,第12号,pp47〜51,1992年
【特許文献1】特開2000−266710号公報
【特許文献2】特開2002−071666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、設備機器の利用者が設備機器を適切に維持管理するためには、利用者が設備機器の適切な保全時期を意思決定することが必要となる。非特許文献1、特許文献1及び特許文献2は設備機器の余寿命予測方法を開示しているものの、非特許文献1、特許文献1及び特許文献2のいずれの方法を用いたとしても、余寿命を正確に予測することは困難であり、従って、利用者による保全時期の適切な意思決定を、利用者が余寿命を正確に把握することにより行うことは困難であった。
【0004】
本発明の課題は、設備機器の利用者による設備機器の保全時期の適切な意思決定を支援するように、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行う余寿命予測プログラム及び余寿命予測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る余寿命予測プログラムは、任意の観測時刻における設備機器の余寿命を予測する余寿命予測プログラムであって、関係式決定ステップと、検査データ取得ステップと、余寿命決定ステップと、誤差範囲決定ステップと、出力ステップとをコンピュータに実行させる。関係式決定ステップは、設備機器の利用時間と劣化指数との関係式を決定する。検査データ取得ステップは、観測時刻における利用時間及び劣化指数の少なくとも一方である検査データを取得する。余寿命決定ステップは、関係式及び検査データに基づいて余寿命を決定する。誤差範囲決定ステップは、余寿命の誤差範囲を決定する。出力ステップは、余寿命及び誤差範囲を出力する。
【0006】
この余寿命予測プログラムが実行されると、設備機器の利用時間と劣化指数との関係式に基づいて設備機器の余寿命が決定され、さらにその誤差範囲が決定され、余寿命とともにその誤差範囲が出力されることにより、任意の観測時刻における設備機器の余寿命が予測される。これにより、設備機器の利用者は、設備機器の余寿命とともにその誤差範囲も知ることができ、設備機器の最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。
【0007】
尚、本明細書中、「設備機器」には、空気調和機、照明器具、給湯装置等の経年劣化特性を有する全ての機器が含まれるものとする。
第2発明に係る余寿命予測プログラムは、任意の観測時刻における設備機器の余寿命を予測する余寿命予測プログラムであって、関係式決定ステップと、検査データ取得ステップと、余寿命決定ステップと、誤差範囲決定ステップと、出力ステップとをコンピュータに実行させる。関係式決定ステップは、設備機器を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式を決定する。検査データ取得ステップは、観測時刻における利用時間及び劣化指数の少なくとも一方である検査データを取得する。余寿命決定ステップは、関係式及び検査データに基づいて観測時刻における部品の余寿命を決定する。誤差範囲決定ステップは、部品の余寿命の誤差範囲を決定する。出力ステップは、部品の余寿命及び誤差範囲を出力する。
【0008】
この余寿命予測プログラムが実行されると、設備機器を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式に基づいて設備機器を構成する部品の余寿命が決定され、さらにその誤差範囲が決定され、部品の余寿命とともにその誤差範囲が出力されることにより、任意の観測時刻における設備機器の余寿命が予測される。これにより、設備機器の利用者は、設備機器を構成する部品の余寿命とともにその誤差範囲も知ることができ、設備機器全体又は設備機器を構成する部品の最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。また、この余寿命予測プログラムが実行されると、設備機器を構成する部品の余寿命が予測されるため、この余寿命予測プログラムの利用は、設備機器を構成する部品毎に劣化の進行速度が異なる場合に特に有用となる。
【0009】
第3発明に係る余寿命予測プログラムは、第2発明に係る余寿命予測プログラムであって、誤差範囲決定ステップは、領域分割ステップと、誤差範囲設定ステップと、検査データ分類ステップと、関連づけステップとを含む。領域分割ステップは、利用時間と劣化指数とを軸とする平面領域を複数の領域に分割する。誤差範囲設定ステップは、分割された領域の各々に対して誤差範囲を設定する。検査データ分類ステップは、平面領域内における検査データの位置を特定し、検査データを分割された領域のいずれかに分類する。関連づけステップは、検査データが分類された領域に対して設定された誤差範囲を検査データに関連づける。
【0010】
この余寿命予測プログラムが実行されると、利用時間と劣化指数とを軸とする平面領域が複数の領域に分割され、分割された領域の各々に対して誤差範囲が設定される。従って、この余寿命予測プログラムにより、分割された領域の特性に応じて誤差範囲を決定することができる。
第4発明に係る余寿命予測プログラムは、第3発明に係る余寿命予測プログラムであって、誤差範囲設定ステップは、危険率設定ステップと、信頼限界計算ステップとを含む。危険率設定ステップは、分割された領域の各々に対して危険率を設定する。信頼限界計算ステップは、分割された領域の各々に対して設定された危険率に基づいて関係式の信頼限界を計算する。
【0011】
この余寿命予測プログラムが実行されると、分割された領域の各々に対して危険率が設定され、分割された領域の各々に対して設定された危険率に基づいて関係式の信頼限界が計算される。従って、この余寿命予測プログラムにより、分割された領域の各々に対して誤差範囲を設定することができる。
第5発明に係る余寿命予測プログラムは、第2発明から第4発明のいずれかに係る余寿命予測プログラムであって、関係式決定ステップは、多項式回帰式決定ステップを含む。多項式回帰式決定ステップは、利用時間を独立変数とし、劣化指数を従属変数として、多項式回帰式を決定する。
【0012】
この余寿命予測プログラムが実行されると、利用時間を独立変数とし劣化指数を従属変数とした多項式回帰式が決定される。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式を決定することができる。
第6発明に係る余寿命予測プログラムは、第2発明から第4発明のいずれかに係る余寿命予測プログラムであって、関係式決定ステップは、季節自己回帰和分移動平均モデル決定ステップを含む。季節自己回帰和分移動平均モデル決定ステップは、劣化指数についての季節自己回帰和分移動平均モデルを決定する。
【0013】
この余寿命予測プログラムが実行されると、劣化指数についての季節自己回帰和分移動平均モデルが決定される。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式を決定することができる。但し、ここでいう関係式とは、季節自己回帰和分移動平均モデルによりプロットされる利用時間と劣化指数との関係を表す式である。
【0014】
第7発明に係る余寿命予測プログラムは、第2発明から第6発明のいずれかに係る余寿命予測プログラムであって、出力ステップは、保全提案書出力ステップを含む。保全提案書出力ステップは、設備機器の保全提案書を出力する。保全提案書は、部品の余寿命及び誤差範囲を表す項目と、部品が故障した場合の設備機器全体への影響度を表す項目と、設備機器全体の保全についての総合評価を表す項目とを有する。
【0015】
この余寿命予測プログラムが実行されると、設備機器の保全提案書が出力される。保全提案書は、部品の余寿命及び誤差範囲を表す項目と、部品が故障した場合の設備機器全体への影響度を表す項目と、設備機器全体の保全についての総合評価を表す項目とを有する。これにより、設備機器の利用者は、設備機器全体の保全の必要性等とともに、設備機器を構成する部品の余寿命及びその誤差範囲や設備機器を構成する部品が故障した場合の設備機器全体への影響度について知ることができ、設備機器全体又は設備機器を構成する部品のより最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器の利用者にとってより納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。
【0016】
第8発明に係る余寿命予測システムは、任意の観測時刻における設備機器の余寿命を予測する余寿命予測システムであって、関係式決定手段と、検査データ取得手段と、余寿命決定手段と、誤差範囲決定手段と、出力手段とを備える。関係式決定手段は、設備機器の利用時間と劣化指数との関係式を決定する。検査データ取得手段は、観測時刻における利用時間及び劣化指数の少なくとも一方である検査データを取得する。余寿命決定手段は、関係式及び検査データに基づいて余寿命を決定する。誤差範囲決定手段は、余寿命の誤差範囲を決定する。出力手段は、余寿命及び誤差範囲を出力する。
【0017】
この余寿命予測システムは、設備機器の利用時間と劣化指数との関係式に基づいて設備機器の余寿命を決定し、さらにその誤差範囲を決定し、余寿命とともにその誤差範囲を出力することにより、任意の観測時刻における設備機器の余寿命を予測する。これにより、設備機器の利用者は、設備機器の余寿命とともにその誤差範囲も知ることができ、設備機器の最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測システムは、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。
【0018】
第9発明に係る余寿命予測システムは、任意の観測時刻における設備機器の余寿命を予測する余寿命予測システムであって、関係式決定手段と、検査データ取得手段と、余寿命決定手段と、誤差範囲決定手段と、出力手段とを備える。関係式決定手段は、設備機器を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式を決定する。検査データ取得手段は、観測時刻における利用時間及び劣化指数の少なくとも一方である検査データを取得する。余寿命決定手段は、関係式及び検査データに基づいて観測時刻における部品の余寿命を決定する。誤差範囲決定手段は、部品の余寿命の誤差範囲を決定する。出力手段は、部品の余寿命及び誤差範囲を出力する。
【0019】
この余寿命予測システムは、設備機器を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式に基づいて設備機器を構成する部品の余寿命を決定し、さらにその誤差範囲を決定し、部品の余寿命とともにその誤差範囲を出力することにより、任意の観測時刻における設備機器の余寿命を予測する。これにより、設備機器の利用者は、設備機器を構成する部品の余寿命とともにその誤差範囲も知ることができ、設備機器全体又は設備機器を構成する部品の最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測システムは、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。また、この余寿命予測システムは、設備機器を構成する部品の余寿命を予測するため、設備機器を構成する部品毎に劣化の進行速度が異なる場合に特に有用である。
【0020】
第10発明に係る余寿命予測システムは、第9発明に記載の余寿命予測システムであって、誤差範囲決定手段は、利用時間と劣化指数とを軸とする平面領域を複数の領域に分割し、分割された領域の各々に対して誤差範囲を設定し、平面領域内における検査データの位置を特定して検査データを分割された領域のいずれかに分類し、検査データが分類された領域に対して設定された誤差範囲を検査データに関連づける。
【0021】
この余寿命予測システムは、利用時間と劣化指数とを軸とする平面領域を複数の領域に分割し、分割された領域の各々に対して誤差範囲を設定する。これにより、この余寿命予測システムは、分割された領域の特性に応じて誤差範囲を決定することができる。
第11発明に係る余寿命予測システムは、第9発明又は第10発明に記載の余寿命予測システムであって、出力手段は、設備機器の保全提案書を出力する。保全提案書は、部品の余寿命及び誤差範囲を表す項目と、部品が故障した場合の設備機器全体への影響度を表す項目と、設備機器全体の保全についての総合評価を表す項目とを有する。
【0022】
この余寿命予測システムは、設備機器の保全提案書を出力する。保全提案書は、部品の余寿命及び誤差範囲を表す項目と、部品が故障した場合の設備機器全体への影響度を表す項目と、設備機器全体の保全についての総合評価を表す項目とを有する。これにより、設備機器の利用者は、設備機器全体の保全の必要性等とともに、設備機器を構成する部品の余寿命及びその誤差範囲や設備機器を構成する部品が故障した場合の設備機器全体への影響度について知ることができ、設備機器全体又は設備機器を構成する部品のより最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測システムは、設備機器の利用者にとってより納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。
【0023】
第12発明に係る余寿命予測プログラムは、任意の観測時刻における設備機器の余寿命を予測する余寿命予測プログラムであって、劣化モデル決定ステップと、余寿命決定ステップと、誤差範囲決定ステップと、出力ステップとをコンピュータに実行させる。劣化モデル決定ステップは、設備機器を構成する部品の劣化指数についての時系列データに基づいて、部品の経年劣化特性を表す劣化モデルを決定する。余寿命決定ステップは、劣化モデルに基づいて、観測時刻における部品の余寿命を決定する。誤差範囲決定ステップは、部品の余寿命の誤差範囲を決定する。出力ステップは、部品の余寿命及び誤差範囲を出力する。
【0024】
この余寿命予測プログラムが実行されると、部品の経年劣化特性を表す劣化モデルに基づいて設備機器を構成する部品の余寿命が決定され、さらにその誤差範囲が決定され、部品の余寿命とともにその誤差範囲が出力されることにより、任意の観測時刻における設備機器の余寿命が予測される。これにより、設備機器の利用者は、設備機器を構成する部品の余寿命とともにその誤差範囲も知ることができ、設備機器全体又は設備機器を構成する部品の最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。また、この余寿命予測プログラムが実行されると、設備機器を構成する部品の余寿命が予測されるため、この余寿命予測プログラムの利用は、設備機器を構成する部品毎に劣化の進行速度が異なる場合に特に有用となる。
【発明の効果】
【0025】
第1発明に係る余寿命予測プログラムが実行されると、設備機器の利用時間と劣化指数との関係式に基づいて設備機器の余寿命が決定され、さらにその誤差範囲が決定され、余寿命とともにその誤差範囲が出力されることにより、任意の観測時刻における設備機器の余寿命が予測される。これにより、設備機器の利用者は、設備機器の余寿命とともにその誤差範囲も知ることができ、設備機器の最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。
【0026】
第2発明に係る余寿命予測プログラムが実行されると、設備機器を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式に基づいて設備機器を構成する部品の余寿命が決定され、さらにその誤差範囲が決定され、部品の余寿命とともにその誤差範囲が出力されることにより、任意の観測時刻における設備機器の余寿命が予測される。これにより、設備機器の利用者は、設備機器を構成する部品の余寿命とともにその誤差範囲も知ることができ、設備機器全体又は設備機器を構成する部品の最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。また、この余寿命予測プログラムが実行されると、設備機器を構成する部品の余寿命が予測されるため、この余寿命予測プログラムの利用は、設備機器を構成する部品毎に劣化の進行速度が異なる場合に特に有用となる。
【0027】
第3発明に係る余寿命予測プログラムが実行されると、利用時間と劣化指数とを軸とする平面領域が複数の領域に分割され、分割された領域の各々に対して誤差範囲が設定される。従って、この余寿命予測プログラムにより、分割された領域の特性に応じて誤差範囲を決定することができる。
第4発明に係る余寿命予測プログラムが実行されると、分割された領域の各々に対して危険率が設定され、分割された領域の各々に対して設定された危険率に基づいて関係式の信頼限界が計算される。従って、この余寿命予測プログラムにより、分割された領域の各々に対して誤差範囲を設定することができる。
【0028】
第5発明に係る余寿命予測プログラムが実行されると、利用時間を独立変数とし劣化指数を従属変数とした多項式回帰式が決定される。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式を決定することができる。
第6発明に係る余寿命予測プログラムが実行されると、劣化指数についての季節自己回帰和分移動平均モデルが決定される。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式を決定することができる。
【0029】
第7発明に係る余寿命予測プログラムが実行されると、設備機器の保全提案書が出力される。保全提案書は、部品の余寿命及び誤差範囲を表す項目と、部品が故障した場合の設備機器全体への影響度を表す項目と、設備機器全体の保全についての総合評価を表す項目とを有する。これにより、設備機器の利用者は、設備機器全体の保全の必要性等とともに、設備機器を構成する部品の余寿命及びその誤差範囲や設備機器を構成する部品が故障した場合の設備機器全体への影響度について知ることができ、設備機器全体又は設備機器を構成する部品のより最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器の利用者にとってより納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。
【0030】
第8発明に係る余寿命予測システムは、設備機器の利用時間と劣化指数との関係式に基づいて設備機器の余寿命を決定し、さらにその誤差範囲を決定し、余寿命とともにその誤差範囲を出力することにより、任意の観測時刻における設備機器の余寿命を予測する。これにより、設備機器の利用者は、設備機器の余寿命とともにその誤差範囲も知ることができ、設備機器の最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測システムは、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。
【0031】
第9発明に係る余寿命予測システムは、設備機器を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式に基づいて設備機器を構成する部品の余寿命を決定し、さらにその誤差範囲を決定し、部品の余寿命とともにその誤差範囲を出力することにより、任意の観測時刻における設備機器の余寿命を予測する。これにより、設備機器の利用者は、設備機器を構成する部品の余寿命とともにその誤差範囲も知ることができ、設備機器全体又は設備機器を構成する部品の最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測システムは、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。また、この余寿命予測システムは、設備機器を構成する部品の余寿命を予測するため、設備機器を構成する部品毎に劣化の進行速度が異なる場合に特に有用である。
【0032】
第10発明に係る余寿命予測システムは、利用時間と劣化指数とを軸とする平面領域を複数の領域に分割し、分割された領域の各々に対して誤差範囲を設定する。これにより、この余寿命予測システムは、分割された領域の特性に応じて誤差範囲を決定することができる。
第11発明に係る余寿命予測システムは、設備機器の保全提案書を出力する。保全提案書は、部品の余寿命及び誤差範囲を表す項目と、部品が故障した場合の設備機器全体への影響度を表す項目と、設備機器全体の保全についての総合評価を表す項目とを有する。これにより、設備機器の利用者は、設備機器全体の保全の必要性等とともに、設備機器を構成する部品の余寿命及びその誤差範囲や設備機器を構成する部品が故障した場合の設備機器全体への影響度について知ることができ、設備機器全体又は設備機器を構成する部品のより最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測システムは、設備機器の利用者にとってより納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。
【0033】
第12発明に係る余寿命予測プログラムが実行されると、部品の経年劣化特性を表す劣化モデルに基づいて設備機器を構成する部品の余寿命が決定され、さらにその誤差範囲が決定され、部品の余寿命とともにその誤差範囲が出力されることにより、任意の観測時刻における設備機器の余寿命が予測される。これにより、設備機器の利用者は、設備機器を構成する部品の余寿命とともにその誤差範囲も知ることができ、設備機器全体又は設備機器を構成する部品の最適な保全時期を選択することができる。従って、この余寿命予測プログラムにより、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができる。また、この余寿命予測プログラムが実行されると、設備機器を構成する部品の余寿命が予測されるため、この余寿命予測プログラムの利用は、設備機器を構成する部品毎に劣化の進行速度が異なる場合に特に有用となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
<第1実施形態>
(余寿命予測システムの構成)
図1に、第1実施形態に係る余寿命予測システム1の構成を示す。
余寿命予測システム1は、直接的又は間接的に空気調和機2に接続され、1日1回、空気調和機2から空気調和機2及び空気調和機2を構成する部品の利用時間及び劣化指数に関するデータを取得する。ここで、利用時間とは、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の利用を開始した日から観測日までに経過した日数単位の時間であり、劣化指数とは、劣化の程度を示す指標であり、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の1又は複数の計測可能な状態量に基づいて算出することできる。例えば、空気調和機2の劣化の程度を示す劣化指数として、COPや電力量を利用することができ、空気調和機2を構成する部品の劣化の程度を示す劣化指数として、圧縮機の圧力−容積曲線で囲まれる面積及び熱交換器の熱交換率を利用することができる。
【0035】
余寿命予測システム1は、関係式決定手段10、検査データ取得手段20、余寿命決定手段30、誤差範囲決定手段40、出力手段50及び記憶手段60を備える。検査データ取得手段20は、空気調和機2の運転に伴い、1日1回、空気調和機2から空気調和機2及び空気調和機2を構成する部品の利用時間及び劣化指数に関するデータを取得する。記憶手段60は、劣化情報データベース61及び保全情報データベース62を記憶している。記憶手段60は、検査データ取得手段20が空気調和機2及び空気調和機2を構成する部品の利用時間及び劣化指数に関するデータを取得する度に、それらのデータを劣化情報データベース61に格納してゆく。このように、劣化情報データベース61は、劣化指数についての時系列データを格納してゆく。関係式決定手段10、検査データ取得手段20、余寿命決定手段30、誤差範囲決定手段40、出力手段50及び記憶手段60は、互いに協同して、図2に示すフローチャートに従い空気調和機2の余寿命を予測する。余寿命予測システム1が空気調和機2の余寿命を予測する動作の詳細は、後述する。
(劣化情報データベースの構造)
図3に、劣化情報データベース61の構造を示す。
【0036】
劣化情報データベース61は、リレーショナルデータベースであり、ある観測日における空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の利用時間及び劣化指数を示す情報を1つのレコード(すなわち、行データ)として格納する。劣化情報データベース61には、空気調和機2の運転に伴い検査データ取得手段20により1日1回取得される空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の利用時間及び劣化指数に関するデータが格納されてゆく。劣化情報データベース61は、観測日、対象機器、利用時間及び劣化指数フィールドを有する。
【0037】
観測日フィールドには、観測日が格納される。
対象機器フィールドには、観測対象となる機器を特定するIDが格納される。「1」は空気調和機2を示し、「2」は空気調和機2を構成する圧縮機を示し、「3」は空気調和機2を構成する室外側熱交換器を示し、「4」は空気調和機2を構成する室外側ファンモーターを示し、「5」は空気調和機2を構成するフィルターを示す。
【0038】
利用時間フィールドには、観測日フィールドに格納された観測日における、対象機器フィールドに格納されたIDにより特定される空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の日数単位の利用時間が格納される。
劣化指数フィールドには、観測日フィールドに格納された観測日における、対象機器フィールドに格納されたIDにより特定される空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の劣化指数が格納される。
【0039】
図3を参照すると、2004年8月23日の時点で利用されている圧縮機、室外側熱交換器及びフィルターは、空気調和機2の利用開始時に導入された部品であり、2004年8月23日の時点で約7年間利用されていることがわかる。一方、2004年8月23日の時点で利用されている室外側ファンモーターは、約3ヶ月前に交換されたことがわかる。
【0040】
また、劣化情報データベース61は、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の利用時間及び劣化指数を示す情報と同様に、市場からのフィードバックにより得られた空気調和機2以外の空気調和機又はその空気調和機を構成する部品の利用時間及び劣化指数を示す情報についても上記態様で1つのレコード(すなわち、行データ)として格納している。
(保全情報データベースの構造)
図4に、保全情報データベース62の構造を示す。
【0041】
保全情報データベース62は、リレーショナルデータベースであり、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の劣化レベルに対応した保全提案のための情報を1つのレコードとして格納している。保全情報データベース62は、対象機器、影響度、劣化レベル、点検時期及び備考フィールドを有する。
対象機器フィールドには、保全対象となる機器を特定するIDが格納される。「1」は空気調和機2を示し、「2」は空気調和機2を構成する圧縮機を示し、「3」は空気調和機2を構成する室外側熱交換器を示し、「4」は空気調和機2を構成する室外側ファンモーターを示し、「5」は空気調和機2を構成するフィルターを示す。
【0042】
影響度フィールドには、対象機器フィールドに格納されたIDにより特定される空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品が故障した場合の、その故障の空気調和機2全体への影響度が格納される。圧縮機や室外側ファンモーターの故障は空気調和機2全体の動作に大きく影響し、室外側熱交換器の故障は空気調和機2全体の動作に中程度に影響し、フィルターの故障は空気調和機2全体の動作にあまり影響しない。従って、対象機器フィールドに空気調和機2全体を示す「1」が格納されているレコードの影響度フィールドには、「100%」が格納され、圧縮機を示す「2」が格納されているレコードの影響度フィールドには、「大」が格納され、室外側熱交換器を示す「3」のが格納されているレコードの影響度フィールドには、「中」が格納され、室外側ファンモーターを示す「4」が格納されているレコードの影響度フィールドには、「大」が格納され、フィルターを示す「5」が格納されているレコードの影響度フィールドには、「小」が格納される。
【0043】
劣化レベルフィールドには、対象機器フィールドに格納されたIDにより特定される空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の劣化レベルが格納される。劣化レベルは、3段階に分けられ、劣化レベルフィールドには、「安全域」、「注意域」、「危険域」のいずれかが格納される。
点検時期フィールドには、対象機器フィールドに格納されたIDにより特定される空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品が劣化レベルフィールドに格納された劣化レベルにある場合に、対象機器フィールドに格納されたIDにより特定される空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品を次回点検するのに適した時期が格納される。但し、劣化レベルフィールドに「危険域」が格納されたレコードの点検時期フィールドには、「−」が格納される。
【0044】
備考フィールドには、対象機器フィールドに格納されたIDにより特定される空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品が劣化レベルフィールドに格納された劣化レベルにある場合に、対象機器フィールドに格納されたIDにより特定される空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の保全の意志決定に有益な情報を表すコメントが格納されている。例えば、対象機器フィールドにフィルターを示す「5」が格納され、かつ、劣化レベルフィールドに「注意域」又は「危険域」が格納されたレコードの備考フィールドには、コメント「フィルター交換はx%電気代を抑制します」が格納される。
(余寿命予測システムの動作)
図2を参照して、余寿命予測システム1が空気調和機2の余寿命を予測する動作を説明する。
【0045】
ステップS21において、関係式決定手段10は、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の利用時間tと劣化指数dとの関係式d=f1(t)を決定する。具体的には、ステップS21では、劣化情報データベース61に格納された利用時間t及び劣化指数dの対のデータ(t,d)を利用して、図5(a)に示すような利用時間tを独立変数とし劣化指数dを従属変数とする二次回帰曲線d=f1(t)を決定する。ここで、図5(a)において、横軸は利用時間t、縦軸は劣化指数dを表し、原点Oにおける利用時間tはゼロである。尚、ステップS21で利用される利用時間t及び劣化指数dの対のデータ(t,d)は、劣化情報データベース61内に空気調和機2に関するレコードが十分に存在する場合には、空気調和機2に関するデータになり、十分に存在しない場合には、空気調和機2に関するデータと空気調和機2に類似する空気調和機2以外の空気調和機に関するデータとになり、全く存在しない場合には、空気調和機2に類似する空気調和機2以外の空気調和機に関するデータになる。
【0046】
尚、複数の空気調和機が「類似する」とは、冷暖房用であるか冷房専共用であるか等の空気調和機の構造、室内機数や室外機数等の空気調和機の構成、空気調和機の馬力、空気調和機の冷媒の種類、24時間体制で使用される病院か平日昼間のみ使用されるオフィスビルか等の空気調和機の使用環境の使用頻度傾向、喫煙者が多いか少ないか等の空気調和機の使用環境の劣悪度、寒冷地方であるか温暖地方であるか等の使用環境の気候のような項目の一部又は全てが共通することをいう。
【0047】
このように、関係式決定手段10は、ステップS21により、劣化情報データベース61に格納された劣化指数dについての時系列データに基づいて、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の経年劣化特性を表す劣化モデルd=f1(t)を決定する。
次に、ステップS22において、誤差範囲決定手段40は、t−d平面領域を複数の領域に分割する。具体的には、ステップS22では、図5(b)に示すように、t−d平面領域を分割して、矩形の安全域、L字形の注意域、L字形の危険域を定義する。より具体的には、ステップS22では、図5(b)に示すように、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の劣化指数dの限界値d3を決定する。限界値d3の値は、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の製造業者からの提供、或いは市場からのフィードバックにより得られる値であり、記憶手段60に予め記憶されている。次に、二次回帰曲線d=f1(t)においてd=d3となるときのtの値をt3と定義し、t2=0.7t3、t1=0.5t3、d2=f1(t2)、d1=f1(t1)の条件を満たすt1、t2、d1、d2を定義する。このとき、安全域は、t軸、d軸、直線t=t1及び直線d=d1で囲まれる領域となり、注意域は、t軸、d軸、直線t=t1、直線t=t2、直線d=d1及びd=d2で囲まれる領域となり、危険域は、t軸、d軸、直線t=t2、直線t=t3、直線d=d2及びd=d3で囲まれる領域となる。また、以下のステップにおいて、t3を空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の寿命とする。
【0048】
次に、ステップS23において、誤差範囲決定手段40は、ステップS22において分割された領域の各々に対して危険率を設定する。具体的には、ステップS23では、安全域に対する危険率を20%、注意域に対する危険率を10%、危険域に対する危険率を5%と設定する。
次に、ステップS24において、誤差範囲決定手段40は、ステップS22において分割された領域の各々に対してステップS23において設定された危険率に基づいて、ステップ21において決定された関係式d=f1(t)の信頼限界を計算する。具体的には、ステップS24では、図5(c)に示すように、危険率20%での二次回帰曲線d=f1(t)の上側信頼限界を表す曲線d=f2(t)、下側信頼限界を表す曲線d=f3(t)、危険率10%での二次回帰曲線d=f1(t)の上側信頼限界を表す曲線d=f4(t)、下側信頼限界を表す曲線d=f5(t)、危険率5%での二次回帰曲線d=f1(t)の上側信頼限界を表す曲線d=f6(t)、下側信頼限界を表す曲線d=f7(t)を全て計算する。また、以下のステップにおいて、直線d=d3と6本の信頼限界を表す曲線d=f2(t),d=f3(t),d=f4(t),d=f5(t),d=f6(t),d=f7(t)との交点のt座標をそれぞれtp2,tp3,tp4,tp5,tp6,tp7としたときに、安全域、注意域、危険域の各々に対する空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の余寿命の誤差範囲をそれぞれtp2≦t≦tp3、tp4≦t≦tp5、tp6≦t≦tp7とする。
【0049】
このように、ステップS23及びステップS24により、ステップS22において分割された領域の各々に対して誤差範囲を設定することができる。
次に、ステップS25において、検査データ取得手段20は、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の点検日における利用時間t及び劣化指数dの対のデータである検査データ(T,D)を取得する。
【0050】
次に、ステップS26において、余寿命決定手段30は、ステップS21において決定された関係式d=f1(t)及びステップS25において取得された検査データ(T,D)に基づいて、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の点検日における余寿命を決定する。具体的には、ステップS26では、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の寿命を表すt3から点検日における利用時間Tを引き、この(t3−T)値を余寿命として決定する。
【0051】
次に、ステップS27において、誤差範囲決定手段40は、ステップS25において取得された検査データ(T,D)のt−d平面領域内における位置を特定し、検査データ(T,D)をステップS22において分割された領域のいずれかに分類する。具体的には、ステップS27では、検査データ(T,D)が安全域内に存在する場合、検査データ(T,D)を安全域に分類し、検査データ(T,D)が注意域内に存在する場合、検査データ(T,D)を注意域に分類し、検査データ(T,D)が危険域内に存在する場合、検査データ(T,D)を危険域に分類する。
【0052】
次に、ステップS28において、誤差範囲決定手段40は、ステップS27において検査データ(T,D)が分類された領域に対してステップS23及びステップS24において設定された誤差範囲を検査データ(T,D)に関連づける。具体的には、ステップS28では、ステップS27において検査データ(T,D)が安全域に分類された場合、ステップS23及びステップS24において設定された安全域に対する誤差範囲tp2≦t≦tp3を検査データ(T,D)に関連づけ、ステップS27において検査データ(T,D)が注意域に分類されていた場合、ステップS23及びステップS24において設定された注意域に対する誤差範囲tp4≦t≦tp5を検査データ(T,D)に関連づけ、ステップS27において検査データ(T,D)が危険域に分類されていた場合、ステップS23及びステップS24において設定された危険域に対応する誤差範囲tp6≦t≦tp7を検査データ(T,D)に関連づける。また、以下のステップにおいて、点検日における空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の余寿命の誤差範囲を、点検日における検査データ(T,D)に関連づけられた誤差範囲とする。
【0053】
このように、ステップS22〜ステップS24,ステップS27及びステップS28により、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の点検日における余寿命の誤差範囲を決定することができる。
次に、ステップS21〜S28を、空気調和機2及び空気調和機2を構成する部品のうち点検の対象となる全ての機器について繰り返す。
【0054】
次に、ステップS29において、出力手段50は、ステップS26で決定された余寿命と、ステップS22〜ステップS24,ステップS27及びステップS28で決定された余寿命の誤差範囲とを出力する。具体的には、ステップS29では、図6の空気調和機保全提案書63を出力し、フローを終了する。
(空気調和機保全提案書の構成)
図6を参照して、ステップS29において出力される空気調和機保全提案書63の詳細を説明する。空気調和機保全提案書63は、「部品名」、「リスク評価」、並びに前回/今回の点検における「余寿命予測」、「誤差範囲」、「個別評価」及び「総合評価」の項目を有する表形式の保全提案書である。
【0055】
項目「部品名」には、空気調和機2を構成する部品うち点検の対象となった全ての部品の部品名が出力される。
項目「リスク評価」には、「部品名」に出力される部品が故障した場合の空気調和機2全体への影響度が出力される。具体的には、保全情報データベース62が参照されて、対象機器フィールドの値が「部品名」に出力される部品を示すレコードの影響度フィールドの値が出力される。また、保全提案書には、右下に「※1」として出力されているように、「リスク評価」の具体的な値である「大」「中」「小」の意味を利用者が理解することを助けるコメントが出力される。
【0056】
項目「余寿命予測」には、「部品名」に出力される部品の余寿命の予測値が出力される。具体的には、ステップS26で決定された「部品名」に出力される部品の余寿命が出力される。
項目「誤差範囲」には、「部品名」に出力される部品の余寿命の誤差範囲の予測値が出力される。具体的には、ステップS22〜ステップS24,ステップS27及びステップS28で決定された「部品名」に出力される部品の余寿命の誤差範囲が出力される。
【0057】
項目「個別評価」には、「部品名」に出力される部品の個別評価が出力される。具体的には、ステップS27において「部品名」に出力される部品に対応する検査データが分類された領域の領域名が出力される。
項目「総合評価」には、空気調和機2全体の保全についての総合評価が出力される。「総合評価」には、1又は複数の評価文が出力される。評価文には、次回の点検時期を教示する評価文、保全を必要とする部品を教示する評価文、保全の意志決定に有益な情報を教示する評価文等がある。
【0058】
次回の点検時期を教示する評価文は、出力手段50により自動生成される。このとき、出力手段50は、保全情報データベース62を参照して、対象機器フィールドの値が1である、或いは対象機器フィールドの値が「部品名」に出力される部品のいずれかを示しておりかつ劣化レベルフィールドの値がその部品の「個別評価」に出力される領域を示しているレコードを選別し、次に、この選別されたレコード全ての点検時期フィールドに格納された点検時期のうち最も緊急度の高い(すなわち、現在時刻と最も近い)点検時期を取り出し、次に、取り出された点検時期を空気調和機2全体の次回の点検時期として設定することにより、次回の点検時期を教示する評価文を自動生成する。
【0059】
保全を必要とする部品を教示する評価文は、出力手段50により自動生成される。このとき、出力手段50は、「個別評価」が危険域となる部品を検索し、次に、該当する部品が存在した場合には、その部品が保全を必要とすることを教示する評価文を自動生成し、存在しなかった場合には、保全を必要とする部品が存在しないことを教示する評価文を自動生成する。また、保全を必要とする部品のうち、緊急度の高い部品の保全については、「緊急度大」という利用者の注意を促すコメントが付記される。尚、部品の保全が「緊急度大」であるか否かは、その部品の「リスク評価」の値が「大」であるか否かにより判断される。
【0060】
保全の意志決定に有益な情報を教示する評価文は、出力手段50により自動生成される。このとき、出力手段50は、保全情報データベース62を参照して、対象機器フィールドの値が1である、或いは対象機器フィールドの値が「部品名」に出力される部品のいずれかを示しておりかつ劣化レベルフィールドの値がその部品の「個別評価」に出力される領域を示しているレコードを選別し、次に、この選別されたレコード全ての備考フィールドに格納されたコメントを結合することにより、保全の意志決定に有益な情報を教示する評価文を自動生成する。このとき、備考フィールドに格納されたコメントに含まれるx,y等の変数値には、適切な値が計算され挿入される。例えば、図4の「室外側ファンモーターの交換は能力をx%向上させ、騒音をydB低減します」というコメントに対しては、空気調和機2の設置直後の能力と現在時刻における能力との比率からxの値が計算され、劣化状態と騒音の関係を表す関係式からyの値が計算される。尚、この計算において利用される設置直後の能力や劣化状態と騒音の関係を表す関係式等のデータは、予め記憶手段60に記憶されているものとする。
(特徴)
(1)
余寿命予測システム1は、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式に基づいて空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の余寿命を予測するだけでなく、余寿命の誤差範囲も予測し、余寿命とともにその誤差範囲を出力する。これにより、空気調和機2の利用者(空気調和機2を管理するサービス提供者を含む)は、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の余寿命の予測値だけでなくその誤差範囲の予測値も知ることができ、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の最適な保全時期を納得性高く選択することができる。このように、余寿命予測システム1は、空気調和機2の利用者が空気調和機2の余寿命の誤差を考慮して最適な保全時期を選択することを容易にすることにより、利用者にとって納得性の高い空気調和機2の保全提案を行うことができるとともに、構築コストが現実的である実用的なシステムである。
(2)
余寿命予測システム1は、利用時間tと劣化指数dとを軸とするt−d平面領域を安全域、注意域及び危険域に分割し、余寿命の誤差範囲である信頼区間を安全域から注意域、注意域から危険域へと変化するにつれて大きくなるように設定している。このように、余寿命予測システム1は、安全域、注意域及び危険域の特性を考慮して余寿命の誤差範囲を決定することができる。
(3)
余寿命予測システム1の出力する空気調和機保全提案書63には、空気調和機2全体の保全についての評価だけでなく、空気調和機2を構成する各種部品の保全についての評価も出力されている。これにより、空気調和機2の利用者(空気調和機2を管理するサービス提供者を含む)は、空気調和機2全体又は空気調和機2を構成する部品のより最適な保全時期を選択することが可能になる。
(4)
余寿命予測システム1は、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の利用時間tと劣化指数dとの関係式d=f1(t)を決定するために、空気調和機2又は空気調和機2に類似する空気調和機に関する実際の過去の利用時間t及び劣化指数dの対のデータ(t,d)を利用している。このように、空気調和機2又は空気調和機2に類似する空気調和機に関する実際の過去のデータを利用して関係式d=f1(t)を決定しているため、構成条件や動作環境条件等の空気調和機2の特性を考慮して余寿命を予測することができる。
<第2実施形態>
(余寿命予測システムの構成)
図7に、第2実施形態に係る余寿命予測システム100を示す。
【0061】
余寿命予測システム100は、通常のコンピュータと同様の構成を有し、CPU101、メモリ102、入力装置103、出力装置104及びハードディスク(以下、HD)105を備える。
HD105には、図2にされるフローチャートに従う動作をCPU101に順次実行させる余寿命予測プログラムが記憶されている。第2実施形態における図2のフローチャートに従う動作は、第1実施形態における図2のフローチャートの説明における関係式決定手段10、余寿命決定手段30及び誤差範囲決定手段40をCPU101に、検査データ取得手段20を入力装置103に、出力手段50をCPU101又は出力装置105に、記憶手段60をHD105に読み替えることにより説明されるため、第2実施形態の説明においては省略する。また、第2実施形態は、図2に従う余寿命予測動作以外の構成や動作等についても、第1実施形態と同様である。
【0062】
以上により、第2実施形態におけるコンピュータは、全体として余寿命予測システム100として機能する。
<変形例>
(1)
上記各実施形態において、余寿命予測システム1,100は、劣化指数dについての時系列データを含む、利用時間t及び劣化指数dの対のデータ(t,d)を利用して、利用時間tと劣化指数dとの関係式を決定し、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の経年劣化特性を表す劣化モデルを決定している。このとき、利用時間tと劣化指数dとの関係式を決定するために二次回帰モデルを利用しているが、劣化指数についての季節自己回帰和分移動平均モデルを利用してもよい。この場合、劣化指数についての季節自己回帰和分移動平均モデルも、二次回帰モデルの場合と同様、劣化情報データベース61に格納された空気調和機又は空気調和機を構成する部品の劣化指数dについての時系列データに基づいて決定される。但し、ここでいう関係式とは、季節自己回帰和分移動平均モデルによりプロットされる利用時間と劣化指数との関係を表す式である。また、このとき、
利用時間=現在時刻+N×(時系列データのサンプリング間隔)(Nは0以上の整数)
となる。
(2)
上記各実施形態において、余寿命予測システム1,100は、検査データとして点検日における利用時間t及び劣化指数dの対のデータを利用しているが、利用時間tだけ、又は、劣化指数dだけを利用してもよい。検査データとして利用時間tだけを取得する場合、安全域はd軸と直線t=t1に挟まれる領域、注意域は直線t=t1と直線t=t2とに挟まれる領域、危険域は直線t=t2と直線t=t3とに挟まれる領域となる。検査データとして劣化指数dだけを取得する場合、安全域はt軸と直線d=d1に挟まれる領域、注意域は直線d=d1と直線t=d2とに挟まれる領域、危険域は直線d=d2と直線d=d1とに挟まれる領域となる。
(3)
上記各実施形態において、余寿命予測システム1,100は、空気調和機2の余寿命を予測しているが、この余寿命予測システム1,100は、空気調和機2以外の照明器具、給湯装置等の経年劣化特性を有する様々な機器に対しても利用することができる。
(4)
上記各実施形態において、劣化情報データベース61及び保全情報データベース62はリレーショナルデータベースであるが、ネットワーク型データベース、オブジェクトデータベース、オブジェクトリレーショナルデータベースであってもよい。
(5)
上記各実施形態において、劣化レベルは安全域、注意域及び危険域の3段階に分けられているが、2段階、4段階、5段階のように他の段階数が用いられてもよい。
(6)
上記各実施形態において、利用時間は日数単位で集計されているが、時間単位のように他の集計単位が利用されてもよい。また、観測日及び点検日についても同様である。
(7)
上記各実施形態において、余寿命予測システム1,100は、劣化情報データベース61に格納された空気調和機又は空気調和機を構成する部品の利用時間t及び劣化指数dの対のデータ(t,d)を利用しているが、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の製造業者から得られた利用時間t及び劣化指数dの対のデータ(t,d)を利用して、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の利用時間tと劣化指数dとの関係式d=f1(t)を決定してもよい。
【0063】
また、特に、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の製造業者から、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の利用時間tと劣化指数dとの理論的な関係式d=f1(t)が得られる場合には、ステップS21を省略することができる。
(8)
上記各実施形態において、余寿命予測システム1,100は、利用時間t及び劣化指数dの対のデータ(t,d)を利用して、利用時間tと劣化指数dとの関係式を決定しているが、以下の方法により、利用時間tと劣化指数dとの関係式を決定してもよい。
【0064】
余寿命予測システム1,100は、発停回数n及び劣化指数dの対のデータ(n,d)を取得し、データ(n,d)を取得した時刻を利用時間tに換算し、換算値をデータ(n,d)に対応づけて記憶する。次に、余寿命予測システム1,100は、データ(n,d)に基づいて、発停回数nと劣化指数dとの関係式を計算するとともに、データ(n,d)に含まれる発停回数nとデータ(n,d)に対応づけられた利用時間tとに基づいて、利用時間tと発停回数nとの関係式を計算する。次に、余寿命予測システム1,100は、計算された2つの関係式を合成することにより、利用時間tと劣化指数dとの関係式を決定する。
【0065】
この変形例は、空気調和機2又は空気調和機2を構成する部品の製造業者からの提供等により、劣化指数dと発停回数nとの理論的な関係式が予め分かっている場合には、必ずしも劣化指数dを計測する必要がなくなり、特に有用である。
また、一般的に、利用時間と劣化指数との関係よりも、発停回数と劣化指数との関係の方が相関性の高いと言える。従って、発停回数と劣化指数との関係式を考慮する本変形例は、特に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、設備機器の利用者にとって納得性の高い設備機器の余寿命予測を行うことができるという効果を有し、余寿命予測プログラム及び余寿命予測システムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1実施形態に係る余寿命予測システムの構成を示す図。
【図2】余寿命予測システムが空気調和機の余寿命を予測する動作を示すフローチャート。
【図3】劣化情報データベースの構造を示す図。
【図4】保全情報データベースの構造を示す図。
【図5】(a)利用時間と劣化指数との関係式を示す図。(b)安全域、注意域及び危険域を示す図。(c)利用時間と劣化指数との関係式の信頼限界を示す図。
【図6】空気調和機保全提案書の構成を示す図。
【図7】第2実施形態に係る余寿命予測システムの構成を示す図。
【符号の説明】
【0068】
1 余寿命予測システム
2 空気調和機
10 関係式決定手段
20 検査データ取得手段
30 余寿命決定手段
40 誤差範囲決定手段
50 出力手段
63 空気調和機保全提案書
100 余寿命予測システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の観測時刻における設備機器(2)の余寿命を予測する余寿命予測プログラムであって、
前記設備機器(2)の利用時間と劣化指数との関係式を決定する関係式決定ステップ(S21)と、
前記観測時刻における前記利用時間及び前記劣化指数の少なくとも一方である検査データを取得する検査データ取得ステップ(S25)と、
前記関係式及び前記検査データに基づいて前記余寿命を決定する余寿命決定ステップ(S26)と、
前記余寿命の誤差範囲を決定する誤差範囲決定ステップ(S22〜S24,S27,S28)と、
前記余寿命及び前記誤差範囲を出力する出力ステップ(S29)と、
をコンピュータ(100)に実行させるための余寿命予測プログラム。
【請求項2】
任意の観測時刻における設備機器(2)の余寿命を予測する余寿命予測プログラムであって、
前記設備機器(2)を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式を決定する関係式決定ステップ(S21)と、
前記観測時刻における前記利用時間及び前記劣化指数の少なくとも一方である検査データを取得する検査データ取得ステップ(S25)と、
前記関係式及び前記検査データに基づいて前記観測時刻における前記部品の余寿命を決定する余寿命決定ステップ(S26)と、
前記部品の余寿命の誤差範囲を決定する誤差範囲決定ステップ(S22〜S24,S27,S28)と、
前記部品の余寿命及び前記誤差範囲を出力する出力ステップ(S29)と、
をコンピュータ(100)に実行させるための余寿命予測プログラム。
【請求項3】
前記誤差範囲決定ステップ(S22〜S24,S27,S28)は、
前記利用時間と前記劣化指数とを軸とする平面領域を複数の領域に分割する領域分割ステップ(S22)と、
前記分割された領域の各々に対して前記誤差範囲を設定する誤差範囲設定ステップ(S23,S24)と、
前記平面領域内における前記検査データの位置を特定し、前記検査データを前記分割された領域のいずれかに分類する検査データ分類ステップ(S27)と、
前記検査データが分類された領域に対して設定された前記誤差範囲を前記検査データに関連づける関連づけステップ(S28)と、
を含む、
請求項2に記載の余寿命予測プログラム。
【請求項4】
前記誤差範囲設定ステップ(S23,S24)は、
前記分割された領域の各々に対して危険率を設定する危険率設定ステップ(S23)と、
前記分割された領域の各々に対して設定された前記危険率に基づいて前記関係式の信頼限界を計算する信頼限界計算ステップ(S24)と、
を含む、
請求項3に記載の余寿命予測プログラム。
【請求項5】
前記関係式決定ステップ(S21)は、
前記利用時間を独立変数とし、前記劣化指数を従属変数として、多項式回帰式を決定する多項式回帰式決定ステップ(S21)、
を含む、
請求項2〜4のいずれかに記載の余寿命予測プログラム。
【請求項6】
前記関係式決定ステップ(S21)は、
前記劣化指数についての季節自己回帰和分移動平均モデルを決定する季節自己回帰和分移動平均モデル決定ステップ、
を含む、
請求項2〜4のいずれかに記載の余寿命予測プログラム。
【請求項7】
前記出力ステップ(S29)は、
前記設備機器(2)の保全提案書(63)を出力する保全提案書出力ステップ(S29)、
を含み、
前記保全提案書(63)は、前記部品の余寿命及び前記誤差範囲を表す項目と、前記部品が故障した場合の前記設備機器(2)全体への影響度を表す項目と、前記設備機器(2)全体の保全についての総合評価を表す項目とを有する、
請求項2〜6のいずれかに記載の余寿命予測プログラム。
【請求項8】
任意の観測時刻における設備機器(2)の余寿命を予測する余寿命予測システム(1)であって、
前記設備機器(2)の利用時間と劣化指数との関係式を決定する関係式決定手段(10)と、
前記観測時刻における前記利用時間及び前記劣化指数の少なくとも一方である検査データを取得する検査データ取得手段(20)と、
前記関係式及び前記検査データに基づいて前記余寿命を決定する余寿命決定手段(30)と、
前記余寿命の誤差範囲を決定する誤差範囲決定手段(40)と、
前記余寿命及び前記誤差範囲を出力する出力手段(50)と、
を備える、余寿命予測システム(1)。
【請求項9】
任意の観測時刻における設備機器(2)の余寿命を予測する余寿命予測システム(1)であって、
前記設備機器(2)を構成する部品の利用時間と劣化指数との関係式を決定する関係式決定手段(10)と、
前記観測時刻における前記利用時間及び前記劣化指数の少なくとも一方である検査データを取得する検査データ取得手段(20)と、
前記関係式及び前記検査データに基づいて前記観測時刻における前記部品の余寿命を決定する余寿命決定手段(30)と、
前記部品の余寿命の誤差範囲を決定する誤差範囲決定手段(40)と、
前記部品の余寿命及び前記誤差範囲を出力する出力手段(50)と、
を備える、余寿命予測システム(1)。
【請求項10】
前記誤差範囲決定手段(40)は、
前記利用時間と前記劣化指数とを軸とする平面領域を複数の領域に分割し、
前記分割された領域の各々に対して前記誤差範囲を設定し、
前記平面領域内における前記検査データの位置を特定し、前記検査データを前記分割された領域のいずれかに分類し、
前記検査データが分類された領域に対して設定された前記誤差範囲を前記検査データに関連づける、
請求項9に記載の余寿命予測システム(1)。
【請求項11】
前記出力手段(50)は、前記設備機器(2)の保全提案書(63)を出力し、
前記保全提案書(63)は、前記部品の余寿命及び前記誤差範囲を表す項目と、前記部品が故障した場合の前記設備機器(2)全体への影響度を表す項目と、前記設備機器(2)全体の保全についての総合評価を表す項目とを有する、
請求項9又は10に記載の余寿命予測システム(1)。
【請求項12】
任意の観測時刻における設備機器(2)の余寿命を予測する余寿命予測プログラムであって、
前記設備機器(2)を構成する部品の劣化指数についての時系列データに基づいて、前記部品の経年劣化特性を表す劣化モデルを決定する劣化モデル決定ステップ(S21)と、
前記劣化モデルに基づいて、前記観測時刻における前記部品の余寿命を決定する余寿命決定ステップ(S26)と、
前記部品の余寿命の誤差範囲を決定する誤差範囲決定ステップ(S22〜S24,S27,S28)と、
前記部品の余寿命及び前記誤差範囲を出力する出力ステップ(S29)と、
をコンピュータ(100)に実行させるための余寿命予測プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−300712(P2006−300712A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122409(P2005−122409)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】