説明

作業アタッチメント及びこれを備えた作業機械

【課題】連結ピンを内側に引き抜くためのスペース及びコストを低減することができる作業アタッチメント及びこれを備えた作業機械を提供すること。
【解決手段】各連結ピン25A〜26Bが各ピン孔18b、18c、24c〜24fに挿入された挿入状態と、各連結ピン25A〜26Bが各取付部24A、24B間でピン孔18b、18cから内側に抜け出た抜出状態との間で、各連結ピン25A〜26Bを移動可能に保持する保持機構27A、27Bと、各保持機構27A、27Bを挿入状態と抜出状態との間で切換操作可能な操作機構29A、29Bとを備え、操作機構29A、29Bは、抜出状態において第1継ぎ足しブーム8の外側に突出するように各保持機構27A、27Bに連結されているとともに、第1継ぎ足しブーム8の外側から内側に押し込まれることによって、各保持機構27A、27Bを抜出状態から挿入状態に切り換え可能な操作部材29bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業アタッチメントを備えた作業機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ベースマシンと、前記ベースマシンに対して起伏可能に取り付けられた作業アタッチメントとを有する作業機械が知られている。
【0003】
この種の作業機械には、搬送時の利便性を考慮して、複数の部分に分割可能な作業アタッチメントを有するものがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載の油圧ショベルは、ブームと、ブームの先端部に回動可能に取り付けられたミドルアームと、ミドルアームの先端部に回動可能に取り付けられたアームと、アームの先端に回動可能に取り付けられた圧砕機とを備えている。そして、前記ブームは、下ブームと、継ぎブームと、上ブームとに分割可能である。
【0005】
以下、図7を参照して、特許文献1に記載の下ブームと継ぎブームとを連結するための構造について説明する。
【0006】
継ぎブームの基端部には、左右一対のブラケット101、102が設けられている。一方、下ブームの先端部には、左右一対のブラケット103、104と、これらブラケット103、104と前記ブラケット101、102とを連結するための連結ピン105、106と、連結ピン105、106を各ブラケット101、102に対して挿抜するための機構(以下、挿抜機構と称す)とが設けられている。
【0007】
前記挿抜機構は、各ブラケット103、104間に保持された第1リンク107と、第1リンク107に対して回動可能に支持された第2リンク108及び第3リンク109と、第2リンク108を第3リンク109を開閉させるための油圧シリンダ110とを備えている。
【0008】
第2リンク108は、連結ピン105に対して軸J11回りに回動可能に支持された第1端部と、油圧シリンダ110に対して軸J14回りに回動可能に支持された第2端部とを有する。第2リンク108の軸J11と軸J14との間の部分は、第1リンク107に対して軸J10回りに回動可能に支持されている。同様に、第3リンク109は、連結ピン106に対して軸J13回りに回動可能に支持された第1端部と、油圧シリンダ110に対して軸J15回りに回動可能に支持された第2端部とを有する。第3リンク109の軸J13と軸J15との間の部分は、第1リンク107に対して軸J12回りに回動可能に支持されている。
【0009】
したがって、油圧シリンダ110が縮小することにより、各連結ピン105、106が互いに外側に離間して、各連結ピン105、106がそれぞれブラケット101〜104に形成されたピン穴101a〜104aに挿入される。これにより、下ブームと継ぎブームとが互いに連結される。
【0010】
一方、油圧シリンダ110が伸張することにより、各連結ピン105、106が互いに内側に近接して、各連結ピン105、106がそれぞれブラケット101、102のピン穴101a、102aから抜け出る。これにより、下ブームと継ぎブームとを分割することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−180692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載の油圧ショベルでは、各連結ピン105、106が各ブラケット103、104の内側に引き抜かれる。そのため、各連結ピン105、106が各ブラケット103、104の外側に引き抜かれる場合と比較して分解後の形態をコンパクトにすることができるとともに、各ピン穴103a、104aの位置とピン穴102aの位置とが合致しているか否かを側方から容易に確認することができる。
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載の油圧ショベルでは、油圧シリンダ110を用いて各連結ピン105、106を挿抜する。そのため、油圧シリンダ110及びこれに連結される油圧配管を配置するためのスペースを要するとともに、これらを設けることによりコスト面でも不利となる。
【0014】
本発明の目的は、連結ピンを内側に引き抜くためのスペース及びコストを低減することができる作業アタッチメント及びこれを備えた作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は、作業機械のベースマシンに起伏可能に取り付けられる作業アタッチメントであって、第1連結体本体と、前記第1連結体本体から突設された第1右側取付部及び第1左側取付部とを有する第1連結体と、第2連結体本体と、前記第2連結体本体から突設された第2右側取付部及び第2左側取付部とを有する第2連結体と、第1右側取付部に形成された第1右側孔及び第2右側取付部に形成された第2右側孔を通して前記第1右側取付部及び前記第2右側取付部を左右方向に貫通することにより、前記第1右側取付部と前記第2右側取付部とを連結可能な右側連結ピンと、第1左側取付部に形成された第1左側孔及び第2左側取付部に形成された第2左側孔を通して前記第1左側取付部及び前記第2左側取付部を左右方向に貫通することにより、前記第1左側取付部と前記第2左側取付部とを連結可能な左側連結ピンと、前記第1連結体に設けられ、前記右側連結ピンが前記第1右側孔及び前記第2右側孔に挿入された挿入状態と、前記右側連結ピンが前記第1右側取付部と前記第1左側取付部との間で前記第2右側孔から左側に抜け出た抜出状態との間で、前記右側連結ピンを移動可能に保持する右側保持機構と、前記第1連結体に設けられ、前記左側連結ピンが前記第1左側孔及び前記第2左側孔に挿入された挿入状態と、前記左側連結ピンが前記第1右側取付部と前記第1左側取付部との間で前記第2左側孔から右側に抜け出た抜出状態との間で、前記左側連結ピンを移動可能に保持する左側保持機構と、前記第1連結体に設けられ、前記右側保持機構及び前記左側保持機構を前記挿入状態と前記抜出状態との間で切換操作可能な操作機構とを備え、前記操作機構は、前記抜出状態に切り換えられた状態で第1連結体の外側に突出するように前記右側保持機構、前記左側保持機構の少なくとも一方に連結されているとともに、前記第1連結体の外側から内側に押し込まれることによって、前記右側保持機構、前記左側保持機構の少なくとも一方を前記抜出状態から前記挿入状態に切換可能な操作部材を有する、作業アタッチメントを提供する。
【0016】
本発明では、右側保持機構及び左側保持機構を挿入状態と抜出状態との間で切換操作可能な操作機構を有している。そのため、操作機構を用いて各保持機構を抜出状態とすることにより、第2右側孔及び第2左側孔から各連結ピンをそれぞれ内側へ抜き出すことができる。したがって、本発明によれば、従来のように油圧シリンダ及びこれに接続された油圧配管を要することなく、各連結ピンを内側に抜き出すことができる。
【0017】
特に、本発明では、前記抜出状態に切り換えられた状態で第1連結体の外側に突出するように右側保持機構、左側保持機構の少なくとも一方に連結されているとともに、第1連結体の外側から内側に押し込まれることによって、右側保持機構、左側保持機構の少なくとも一方を抜出状態から挿入状態に切換可能な操作部材を有する。そのため、第1連結体と第2連結体との連結作業を行う作業者が連結ピンを挿入するための操作箇所として第1連結体の外側に突出する操作部材を容易に認識することができるとともに、第1連結体と第2連結体との連結後においては操作部材が第1連結体に押し込まれることにより操作部材の第1連結体からの張り出し高さを低くすることによりコンパクトな形態を実現することができる。
【0018】
前記作業アタッチメントにおいて、前記操作機構は、前記操作部材が前記第1連結体の外側から内側に押し込まれることによって前記右側保持機構及び前記左側保持機構を前記抜出状態から前記挿入状態に切換可能となるように、前記右側保持機構と前記左側保持機構とを連結する連結部材をさらに有することが好ましい。
【0019】
この態様では、第1連結体の片側からの操作によって、左右の連結ピンを各孔に挿入することができる。そのため、第1連結体の左右両側の位置から左右の連結ピンの挿入操作を行う場合と比較して、作業性を向上することができる。
【0020】
前記作業アタッチメントにおいて、前記右側保持機構及び前記左側保持機構のうち前記操作部材が連結された保持機構は、それが保持する連結ピンが前記挿入状態において前記第1連結体の外側から内側に押し込まれることによって前記操作部材を前記第1連結体の外側に突出させるように、前記連結ピンと前記操作部材とを連結するリンク部材を有することが好ましい。
【0021】
この態様では、リンク部材によって、挿入状態にある連結ピンが第1連結体の外側から内側に押し込まれることにより操作部材を第1連結体の外側に突出させることができる。つまり、第1連結体の外側から内側に連結ピンを押し込み操作することにより、保持機構を抜出状態に切り換えることができる。そのため、操作部材又は連結ピンの押し込み操作のみによって、保持機構を抜出状態と挿入状態との間で切換操作することが可能となる。
【0022】
したがって、前記態様によれば、力を伝え難い引張操作を省略することができるので、作業性を向上することができる。さらに、引張操作を省略できることに伴い、引っ張るための持ち手部分を操作部材に形成することが不要となり、よりコンパクトな形態を実現することができる。
【0023】
前記作業アタッチメントにおいて、前記リンク部材は、第1軸回りに回動可能な状態で前記連結ピンに連結された第1端と、前記第1軸と平行な第2軸回りに回動可能な状態で前記操作部材に連結された第2端とを備えているとともに、前記第1端と第2端との間の位置で前記第1軸及び第2軸と平行な第3軸回りで回動可能な状態で前記第1連結体に軸支されていることが好ましい。
【0024】
この態様によれば、リンク部材が第1連結体に対して第3軸回りに回動することにより、連結ピンと操作部材とを逆向きに移動させることができる。つまり、リンク部材を一方に回転させることにより、連結ピンを第1連結体の外側に向けて移動させるとともに操作部材を第1連結体の内側に向けて移動させることができる。一方、リンク部材を逆向きに回転させることにより、連結ピンを第1連結体の内側に向けて移動させるとともに操作部材を第1連結体の外側に向けて移動させることができる。したがって、操作部材、連結ピンのうちの一方を第1連結体の外側から内側に押し込むことにより、他方を第1連結体の外側に突出させることができる。
【0025】
前記実施形態において、前記右側保持機構は、前記右側連結ピンと前記第1連結体とを連結する右側リンク部材を有し、前記左側保持機構は、前記左側連結ピンと前記第1連結体とを連結する左側リンク部材とを有し、前記右側リンク部材、前記左側リンク部材のうちの一方は、第1軸回りに回動可能な状態で前記連結ピンに連結された第1端と、前記第1軸と平行な第2軸回り回動可能な状態で前記操作部材に連結された第2端とを備えているとともに、前記第1端と第2端との間の位置で前記第1軸及び第2軸と平行な第3軸回りで回動可能な状態で前記第1連結体に軸支され、前記右側リンク部材、前記左側リンク部材のうちの他方は、前記第1軸〜第3軸と平行な第4軸回りに回動可能な状態で前記連結ピンに連結された第4端と、前記第1〜第4軸と平行な第5軸回り回動可能な状態で前記第1連結体に軸支された第5端とを有し、前記連結部材は、前記挿入状態において前記右側連結ピン、前記左側連結ピンの少なくとも一方が前記第1連結体の外側から内側に押し込まれることによって前記操作部材を前記第1連結体の外側に突出させるように、前記右側リンク部材と前記左側リンク部材とを連結することが好ましい。
【0026】
この態様では、右側保持機構及び左側保持機構がそれぞれ右側リンク部材及び左側リンク部材を有している。そのため、両リンク部材の回動に応じて両連結ピンを各右側孔及び各左側孔に対して挿抜することができる。さらに、前記態様では、挿入状態において連結ピンが第1連結体の外側から内側に押し込まれることによって操作部材を第1連結体の外側に突出させるように、両リンク部材が連結部材によって連結されている。そのため、操作部材を第1連結体の外側から内側に押し込むことによって各保持機構を挿入状態に切り換えることができる一方、右側連結ピン、左側連結ピンの少なくとも一方を第1連結体の外側から内側に押し込むことによって操作部材を第1連結体の外側に突出させることができる。
【0027】
前記作業アタッチメントにおいて、前記第1連結体に対して着脱可能であり、前記操作部材に連結された連結ピン、前記操作部材の少なくとも一方の前記第1連結体に対する移動を規制する移動規制部材をさらに備えていることが好ましい。
【0028】
この態様では、移動規制部材によって、連結ピン、操作部材の少なくとも一方の第1連結体に対する移動を規制することができる。そのため、連結ピン及び操作部材が意図せずに移動して、保持機構が切換操作されるのを防止することができる。
【0029】
前記作業アタッチメントにおいて、前記操作部材は、前記第1右側取付部又は前記第1左側取付部を左右方向に摺動可能に貫通する貫通部と、前記貫通部の端部に設けられているとともに前記貫通部が貫通する前記第1右側取付部又は前記第2右側取付部の外側面である取付部外側面に当接することにより前記貫通部の押し込み動作を規制する規制部とを有し、前記取付部外側面は、前記第1連結体本体の外側面である本体外側面よりも内側に配置され、前記規制部は、前記取付部外側面と前記本体外側面との間の間隔よりも小さい厚み寸法を有することが好ましい。
【0030】
この態様では、貫通部の端部に設けられた規制部が取付部外側面と本体外側面との間の間隔よりも小さい厚み寸法を有する。これにより、規制部で規制される位置まで操作部材を押し込んだ状態で、規制部を本体外側面の内側に収めることができる。そのため、操作部材を押し込んだ状態、つまり、保持機構を挿入状態に切換操作した状態において、よりコンパクトな形態を実現することができる。
【0031】
前記作業アタッチメントにおいて、前記操作部材は、前記第1右側取付部又は前記第1左側取付部を左右方向に摺動可能に貫通する貫通部と、前記右側保持機構、前記左側保持機構の少なくとも一方が前記挿入状態に切り換えられた位置で前記第1連結体の外側から内側への前記貫通部の押し込み動作を規制する規制部とを有することが好ましい。
【0032】
この態様では、保持機構が挿入状態に切り換えられた位置で貫通部の押し込み動作が規制される。そのため、貫通部の挿入深さを意識することなく規制部により規制される位置まで貫通部を押し込むことにより、自動的に、保持機構を挿入状態に切り換えることができる。
【0033】
また、本発明は、ベースマシンと、前記マースマシンに起伏可能に取り付けられた前記作業アタッチメントとを備えている、作業機械を提供する。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、連結ピンを内側に引き抜くためのスペース及びコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る作業機械の全体構成を示す左側面図である。
【図2】図1の作業アタッチメントの一部を分解した状態を示す左側面図である。
【図3】図1のメインブームと継ぎ足しブームとを分割した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の継ぎ足しブームを背面側から見た図である。
【図5】図1のメインブームと継ぎ足しブームとの連結部分を拡大して示す斜視図である。
【図6】図5のVI―VI線断面図である。
【図7】従来技術を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0037】
図1及び図2を参照して、作業機械1は、クローラ2aを有する自走式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、上部旋回体3に起伏可能に取り付けられた作業アタッチメント4とを備えている。本実施形態では、上部旋回体3及び下部走行体2がベースマシンの一例を構成する。
【0038】
上部旋回体3は、下部走行体2に対して鉛直軸回りに旋回可能に取り付けられた旋回フレーム5と、この旋回フレーム5上に設けられたキャブ6とを有する。なお、キャブ6内の運転席(図示せず)に着座したオペレータから見た前後左右方向を用いて以下説明する。
【0039】
作業アタッチメント4は、左右方向の軸(図示せず)回りに起伏可能となるように旋回フレーム5に取り付けられたメインブーム7と、メインブーム7の先端部に連結された第1継ぎ足しブーム8と、第1継ぎ足しブーム8の先端部に連結された第2継ぎ足しブーム9と、第2継ぎ足しブーム9の先端部に連結されたフロントブーム10と、左右方向の軸回りに回動可能となるようにフロントブーム10の先端部に取り付けられたインターブーム11と、左右方向の軸回りに回動可能となるようにインターブーム11の先端部に取り付けられたアーム12と、アーム12の先端部に取り付けられた破砕機等の作業機(図示せず)とを備えている。また、作業アタッチメント4は、旋回フレーム5に対してメインブーム7を起伏させるブームシリンダ14と、フロントブーム10に対してインターブーム11を回動させるインターブームシリンダ15と、インターブーム11に対してアーム12を回動させるアームシリンダ16と、アーム12に対して作業機(図示せず)を回動させる作業機シリンダ17とを備えている。
【0040】
作業アタッチメント4は、メインブーム7とそれより先の部分とを分割した状態で搬送される。また、作業アタッチメント4の全長は、メインブーム7とフロントブーム10との間に取り付けられる継ぎ足しブームの数を変更することにより、調整可能である。これらの機能を発揮するために、メインブーム(第2連結体の一例)7の先端部と第1継ぎ足しブーム(第1連結体の一例)8の基端部とが着脱可能であり、第1継ぎ足しブーム(第2連結体の一例)8の先端部と第2継ぎ足しブーム(第1連結体の一例)9の基端部とが着脱可能であり、第2継ぎ足しブーム(第2連結体の一例)9の先端部とフロントブーム(第1連結体の一例)10の基端部とが着脱可能である。さらに、第1連結体及び第2連結体として、1つ以上の継ぎ足しブームを第1継ぎ足しブーム8及び第2継ぎ足しブーム9に加えることもできる。逆に、第1継ぎ足しブーム8及び第2継ぎ足しブーム9の少なくとも1つを省略することもできる。
【0041】
以下、メインブーム7を第2連結体の一例とするとともに、第1継ぎ足しブーム8を第1連結体の一例として説明する。
【0042】
図3〜図6を参照して、メインブーム7は、左右方向に対向する一対の側板18、18と、各側板18、18の上端部間を連結する天板19と、各側板18、18の下端部間を連結する底板20とを備えている。
【0043】
一対の側板18、18は、左右対称の構成を有するため、一方の側板18について説明し、他方の側板の説明を省略する。側板18は、天板19及び底板20よりも先端側に突出する取付部18aを有する。取付部18aには、上部ピン孔18b及び下部ピン孔18cが形成されている。上部ピン孔18b及び下部ピン孔18cは、それぞれ取付部18aを左右方向に貫く孔である。なお、本実施形態では、各側板18のうち取付部18a以外の部分と天板19と底板20とが枠状に組み付けられた第2連結体本体の一例を構成し、この第2連結体本体から先端側に突出した各取付部18a、18aが第2右側取付部及び第2左側取付部の一例を構成する。
【0044】
第1継足しブーム8は、左右方向に対向する一対の側板21、21と、各側板21、21の上端部間を連結する天板22と、各側板21、21の下端部間を連結する底板23と、左右一対の取付部24A、24Bとを備えている。
【0045】
天板22は、各側板21、21の上端面に載置された状態で各側板21、21の上部に溶接された天板本体と、この天板本体の基端側で下方に屈曲されて各側板21、21の基端開口部の上部を閉塞する閉塞部22aとを有する。
【0046】
底板23は、各側板21、21が載置された状態で各側板21、21の下部に溶接された底板本体と、この底板本体の基端側で上方に屈曲されて各側板21、21の基端開口部の下部を閉塞する閉塞部23aとを有する。閉塞部23aの端面と前記閉塞部22aの端面とは、各側板21、21の基端部において互いに突き合わされている。したがって、閉塞部22aと閉塞部23aとは、各側板21、21の基端側の開口を閉じる蓋体として機能する。なお、本実施形態において、各側板21、21と、天板22と、底板23とが第1連結体本体を構成する。
【0047】
取付部24A、24Bは、それぞれ前記閉塞部22a、23aから基端側に向けて突設されている。各取付部24A、24Bは、左右方向に互いに間隔を空けて配置されている。本実施形態において、取付部24Aは、第1右側取付部を構成するとともに、取付部24Bは、第1左側取付部を構成する。
【0048】
取付部24Aは、右側の側板18を配置するための間隔を空けて左右方向に対向する一対の取付板24a、24bを有する。取付板24aには、上部ピン孔24cと下部ピン孔24eとが設けられている。これら上部ピン孔24c及び下部ピン孔24eは、それぞれ取付板24aを左右方向に貫通する孔である。また、上部ピン孔24cと下部ピン孔24eとの間の間隔は、前記上部ピン孔18bと下部ピン孔18cとの間の間隔に合致する。同様に、取付板24bには、上部ピン孔24dと下部ピン孔24fとが設けられている。これら上部ピン孔24d及び下部ピン孔24fは、それぞれ取付板24bを左右方向に貫通する孔である。また、上部ピン孔24dと下部ピン孔24fとの間の間隔は、前記上部ピン孔18bと下部ピン孔18cとの間の間隔に合致する。さらに、上部ピン孔24dと上部ピン孔24cとは、側方から見たときに互いに重なる位置に設けられている。同様に、下部ピン孔24fと下部ピン孔24eとは、側方から見たときに互いに重なる位置に設けられている。
【0049】
取付部24Bは、右側の取付部24Aと左右対称の部分と、右側の取付部24Aと左右対称ではない部分とを有する。そのため、取付部24Bのうち取付部24Aと左右対称ではない部分について説明する。
【0050】
具体的に、左側の取付部24Bの取付板24aには、後述する操作部材29bを挿通させるための上部挿通孔24gと下部挿通孔24i(図3参照)とが設けられている。上部挿通孔24g及び下部挿通孔24iは、それぞれ取付板24aを左右方向に貫通する孔である。同様に、左側の取付部24Bの取付板24bには、後述する操作部材29bを挿通させるための上部挿通孔24hと下部挿通孔24j(図3参照)とが設けられている。上部挿通孔24h及び下部挿通孔24jは、それぞれ取付板24bを左右方向に貫通する孔である。また、上部挿通孔24hと上部挿通孔24gとは、側方から見たときに互いに重なる位置に設けられている。同様に、下部挿通孔24jと下部挿通孔24iとは、側方から見たときに互いに重なる位置に設けられている。
【0051】
そして、本実施形態に係る作業アタッチメント4は、第1継ぎ足しブーム8に設けられた次の構成をさらに備えている。具体的に、作業アタッチメント4は、メインブーム7と第1継ぎ足しブーム8とを連結するための上部連結ピン25A、25B及び下部連結ピン26A、26B(以下、連結ピン25A〜26Bと総称する場合がある)と、上部連結ピン25A、25Bを保持する上部保持機構27Aと、下部連結ピン26A、26Bを保持する下部保持機構27Bと、上部保持機構27Aを操作するための上部操作機構29Aと、下部保持機構27Bを操作するための下部操作機構29Bと、上記連結ピン25A〜26Bの移動を規制する移動規制部材28(図5及び図6参照)とをさらに備えている。
【0052】
連結ピン25A〜26Bは、それぞれメインブーム7と第1継ぎ足しブーム8とを連結するためのものである。具体的に、連結ピン25Aは、上部ピン孔18b、24c、24dを通して取付部24A及び右側の取付部18aを左右方向に貫通することにより、取付部24Aと右側の取付部18aとを連結する。連結ピン25Bは、上部ピン孔18b、24c、24dを通して取付部24Bと左側の取付部18aを左右方向に貫通することにより、取付部24Bと左側の取付部18aとを連結する。同様に、連結ピン26A、26Bは、それぞれ下部ピン孔18c、24e、24fを通して取付部24A、24B及び各取付部18aを左右方向に貫通することにより、取付部24A、24Bと各取付部18aを連結する。
【0053】
上部保持機構27Aは、連結ピン25Aが上部ピン孔18b、24c、24dに挿入された挿入状態と、連結ピン25Aが取付部24A、24Bの間でピン孔18bから左側に抜け出た抜出状態との間で、連結ピン25Aを移動可能に保持する。また、上部保持機構27Aは、連結ピン25Bが上部ピン孔18b、24c、24dに挿入された挿入状態と、連結ピン25Bが取付部24A、24Bの間でピン孔18bから右側に抜け出た抜出状態との間で、連結ピン25Bを移動可能に保持する。つまり、本実施形態に係る上部保持機構27Aは、右側保持機構及び左側保持機構の一例を構成する。なお、上部保持機構27Aと下部保持機構27Bとは、上下対象の構成を有するため、上部保持機構27Aのみを説明し、下部保持機構の説明を省略する。
【0054】
上部保持機構27Aは、各取付部24A、24B間に掛け渡された支持部材27aと、この支持部材27aと連結ピン25Aとを連結する右側リンク部材27cと、支持部材27aと連結ピン25Bとを連結する左側リンク部材27bと、各リンク部材27b、27cと支持部材27aとを回転可能に軸支する軸J1〜軸J4とを備えている。右側リンク部材27cは、軸J4(第4軸)回りに回転可能な状態で連結ピン25Aの左端部に軸支された上端部(第4端)と、軸J3(第5軸)回りに回転可能な状態で支持部材27aに軸支された下端部(第5端)とを有する。左側リンク部材27bは、軸J2(第1軸)回りに回転可能な状態で連結ピン25Bの右端部に軸支された上端部(第1端)と、後述する操作部材に連結された下端部(第2端)とを有する。また、左側リンク部材27bは、上端部と下端部との間の位置で軸J1(第3軸)回りに回転可能な状態で支持部材27aに軸支されている。上記軸J1〜軸J4は、それぞれ前記閉塞部22a、23aに対して垂直な軸線を有する互いに平行な軸である。
【0055】
上部操作機構29Aは、上部保持機構27Aを挿入状態と抜出状態との間で切換操作可能である。同様に、下部操作機構29Bは、下部保持機構27Bを挿入状態と抜出状態との間で切換操作可能である。なお、上部操作機構29Aと下部操作機構29Bとは、上下対象の構成を有するため、上部操作機構29Aのみを説明し、下部操作機構29Bの説明を省略する。
【0056】
上部操作機構29Aは、右側リンク部材27cと左側リンク部材27bとを連結する連結部材29aと、上部保持機構27Aを切り換えるための操作を受ける操作部材29bと、連結部材29aと各リンク部材27b、27cとを軸支する軸J5及び軸J6と、操作部材29bの下端部と左側リンク部材27bとを軸支する軸J7(第2軸)とを備えている。操作部材29bは、左側の取付部24Bの上部挿通孔24g、24h(図3参照)を通して取付部24Bを左右方向に摺動可能に貫通する貫通部29cと、貫通部29cの左端部に設けられ、取付板24bの左側面(取付部外側面)に当接することにより貫通部29cの右側への押し込み動作を規制する規制部29dとを備えている。貫通部29cは、軸J7回りに回動可能な状態で前記左側リンク部材27bの下端部に軸支された右端部を有する。また、貫通部29cは、規制部29dにより移動が規制された状態で、前記各保持機構27A、27Bを挿入位置に切換可能な長さを有する。規制部29dは、操作部材29bが押し込み操作された状態で、第1継ぎ足しブーム8の左の側板21の左側面(本体外側面)よりも内側に位置する。具体的に、規制部29dは、図4に示すように、側板21の左側面と取付板24bの左側面との間の間隔D1よりも小さな厚み寸法D2を有する。連結部材29aは、軸J1と軸J7との間の位置に設けられた軸J5回りに回動可能な状態で左側リンク部材27bに軸支された下端部と、軸J3と軸J4との間の位置に設けられた軸J6回りに回動可能な状態で右側リンク部材27cに軸支された上端部とを有する。軸J5〜J7は、それぞれ閉塞部22a、23aに対して垂直な軸線を有する互いに平行な軸である。
【0057】
操作部材29bが取付部24Bに対して左側から右側に(第1継ぎ足しブーム8の外側から内側に)押し込み操作されると、図4に示すように、各リンク部材27b、27cの上端部が互いに開いて、各連結ピン25A、25Bが各上部ピン穴24c、24dに挿入される。この状態において、各連結ピン25A、25Bの先端面は、各取付板24b、24bの外側面と面一又はこれよりも少し外側に配置されている。この状態で、例えば、連結ピン25Aを左側から右側に押し込む(例えば、ハンマー等で叩き込む)と、左側リンク部材27bの下端部が左側に回動することにより、操作部材29bが左側に突出する。また、左側リンク部材27bの下端部が左側に回動することに伴い、連結部材29aを介して左側リンク部材27bに連結された右側リンク部材27cの上端部が左側に回動する。これにより、右側の連結ピン26Aは、左側に移動する。そして、さらに連結ピン25Aを押し込むと、図4の下部保持機構27Bに示すように、両連結ピン25A、25Bは、メインブーム7の取付部18aから内側に抜け出た位置まで移動する。具体的に、この抜出状態における両連結ピン25A、25Bの先端面は、取付板24aの板厚範囲内に位置する。このように、抜出状態において、各連結ピン25A、25Bが取付板24aの板厚範囲内に位置することにより、次に操作部材29bを押し込んだときに、各連結ピン25A、25Bが各上部ピン孔24c、24dから外れるのを抑制することができる。
【0058】
移動規制部材28は、図5及び図6に示すように、挿入状態における各連結ピン25A〜26Bに着脱可能であり、連結ピン25A〜26Bの押込動作を規制する。具体的に、移動規制部材28は、円板状の規制プレート28aと、この規制プレート28aを各連結ピン25A〜26Bの先端面に取り付けるためのボルト28bとを備えている。ボルト28bは、各連結ピン25A〜26Bの軸線に沿って形成された雌ねじ部に螺合可能である。規制プレート28aの中心位置には、ボルト28bを挿通するための挿通孔が形成されている。また、規制プレート28aは、各連結ピン25A〜26Bの直径寸法よりも大きな直径寸法を有する。そのため、規制プレート28aが各連結ピン25A〜26Bの先端面に取り付けられた状態において、規制プレート28aと取付板24bの外側面とが当接することにより、各連結ピン25A〜26Bの押し込まれる方向の移動が規制される。
【0059】
なお、本実施形態では、全ての連結ピン25A〜26Bに移動規制部材28を取り付けているが、移動規制部材28の数を減らすこともできる。具体的に、連結ピン25A〜26Bのうち互いに連動するものの1つに移動規制部材28を取り付ければ足りる。本実施形態では、連結ピン25A又は連結ピン25Bに1つの移動規制部材28を取り付けるとともに、連結ピン26A又は連結ピン26Bに1つの移動規制部材28を取り付ければよい。また、連結ピン25A〜26Bと連動する操作部材29bに対して、その移動を規制する移動規制部材を設けてもよい。
【0060】
以下、前記メインブーム7と第1継ぎ足しブーム8との連結手順について説明する。なお、メインブーム7が旋回フレーム5に取り付けられているとともにブームシリンダ14がメインブーム7と旋回フレーム5との間に設けられている状態からの手順を説明する。
【0061】
まず、図2に示すように、メインブーム7と同等の高さ位置で、かつ、メインブーム7の先端側の位置となるように、第1継ぎ足しブーム8を保持する。図2では、架台C1〜C3を用いて第1継ぎ足しブーム8を保持する例を開示しているが、図外のクレーンにより第1継ぎ足しブーム8を吊下げることにより保持することもできる。なお、この状態において、第1継ぎ足しブーム8の上部保持機構27A及び下部保持機構27Bは、図4の下部保持機構27Bに示すように、それぞれ抜出状態に切り換えられている。
【0062】
次に、メインブーム7又は第1継ぎ足しブーム8を移動させることにより、図5及び図6に示すように、メインブーム7の各取付部18aをそれぞれ第1継ぎ足しブーム8の取付板24aと取付板24bとの間に配置する。この状態で、各上部ピン孔18b、24c、24dが側方から見て重なるとともに、各下部ピン孔18c、24e、24fが側方から見て重なるように、メインブーム7と第1継ぎ足しブーム8とを位置決めする。ここで、本実施形態に係る第1継ぎ足しブーム8では、抜出状態において、各連結ピン25A〜26Bが各ピン孔24c〜24fから内側に移動している。そのため、各ピン孔18b、18c、24c〜24fが重なっているか否かの確認を側方から容易に行うことができる。
【0063】
各ピン孔18b、18c、24c〜24fが重なっていることが確認されると、各操作部材29bを押し込み操作する。これにより、上部保持機構27A及び下部保持機構27Bは、図6に示すように、それぞれ挿入状態に切り換えられる。つまり、各連結ピン25A〜26Bは、それぞれ各ピン孔18b、18c、24c〜24fに挿入される。これにより、メインブーム7と第1継ぎ足しブーム8とは、連結される。
【0064】
次いで、各連結ピン25A〜26Bにそれぞれ移動規制部材28を取り付ける。これにより、各連結ピン25A〜26Bの移動が規制されるため、各保持機構27A、27Bが挿入状態で保持される。
【0065】
一方、メインブーム7と第1継ぎ足しブーム8とを分割する場合には、まず、各連結ピン25A〜26Bからそれぞれ各移動規制部材28を取り外す。
【0066】
次に、連結ピン25A又は連結ピン25Bを左側から右側に押し込む。これにより、上部保持機構27Aが挿入状態から抜出状態に切り換えられ、各連結ピン25A、25Bが各取付部18aの上部ピン孔18bから抜け出る。同様に、連結ピン26A又は連結ピン26Bを左側から右側に押し込む。これにより、下部保持機構27Bが挿入位置から抜出状態に切り換えられ、各連結ピン26A、26Bが各取付部18aの下部ピン孔18cから抜け出る。この状態でメインブーム7と第1継ぎ足しブーム8とを分割することができる。
【0067】
以上説明したように、前記実施形態では、各保持機構27A、27Bを挿入状態と抜出状態との間で切換操作可能な操作機構29A、29Bを有している。そのため、操作機構29A、29Bを用いて各保持機構27A、27Bを抜出状態とすることにより、各連結ピン25A〜26Bを各ピン孔18b、18cから内側へ抜き出すことができる。したがって、本発明によれば、従来のように油圧シリンダ及びこれに接続された油圧配管を要することなく、各連結ピン25A〜26Bを内側に抜き出すことができる。
【0068】
特に、前記実施形態では、抜出状態に切り換えられた状態で第1継ぎ足しブーム8の左側(外側)に突出するように各保持機構27A、27Bに連結されているとともに、第1継ぎ足しブーム8の外側から内側に押し込まれることによって、各保持機構27A、27Bを抜出状態から挿入状態に切換可能な操作部材29bを有する。そのため、第1継ぎ足しブーム8とメインブーム7との連結作業を行う作業者が各連結ピン25A〜26Bを挿入するための挿入箇所として第1継ぎ足しブーム8の外側に突出する操作部材29bを容易に認識することができるとともに、第1継ぎ足しブーム8とメインブーム7との連結後においては操作部材29bが第1継ぎ足しブーム8に押し込まれることにより操作部材29bの第1継ぎ足しブーム8からの張り出し高さを低くすることによりコンパクトな形態を実現することができる。
【0069】
前記実施形態では、連結部材29aにより左右の連結ピン25A、25B又は左右の連結ピン26A、26Bを1本の操作部材29bで切換操作することができる。これにより、第1継ぎ足しブーム8の左側からの操作によって、左右両側の各連結ピン25A、25B又は左右両側の連結ピン26A、26Bを各ピン孔18b、18c、24c〜24fに挿入することができる。そのため、第1継ぎ足しブーム8の左右両側の位置から各連結ピン25A〜26Bの挿入操作を行う場合と比較して、作業性を向上することができる。
【0070】
前記実施形態では、各リンク部材27b、27cによって、挿入状態にある連結ピン25A〜26Bが第1継ぎ足しブーム8の外側から内側に押し込まれることにより操作部材29bを第1継ぎ足しブーム8の外側に突出させることができる。つまり、第1継ぎ足しブーム8の外側から内側に連結ピン25A〜26Bを押込操作することにより、各保持機構27A、27Bを抜出状態に切り換えることができる。そのため、操作部材29b又は連結ピン25A〜26Bの押込操作のみによって、各保持機構27A、27Bを抜出状態と挿入状態との間で切換操作することが可能となる。
【0071】
したがって、前記実施形態によれば、力を伝え難い引張操作を省略することができるので、作業性を向上することができる。さらに、引張操作を省略できることに伴い、引っ張るための持ち手部分を操作部材29bに形成することが不要となり、よりコンパクトな形態を実現することができる。
【0072】
前記実施形態では、リンク部材27bが第1継ぎ足しブーム8に対して軸J1回りに回動することにより、連結ピン25Bと操作部材29bとを逆向きに移動させることができる。つまり、リンク部材27bを一方に回転させることにより、連結ピン25Bを第1継ぎ足しブーム8の外側(左側)に向けて移動させるとともに操作部材29bを第1継ぎ足しブームの内側(右側)に向けて移動させることができる。一方、リンク部材27bを逆向きに回転させることにより、連結ピン25Bを第1継ぎ足しブーム8の内側に移動させるとともに操作部材29bを第1継ぎ足しブーム8の外側に移動させることができる。したがって、操作部材29b、連結ピン25Bのうちの一方を第1継ぎ足しブーム8の外側から内側に押し込むことにより、他方を第1継ぎ足しブーム8の外側に突出させることができる。
【0073】
前記実施形態では、右側リンク部材27c及び左側リンク部材27bが設けられている。そのため、両リンク部材27b、27cの回動に応じて両連結ピン25A、25Bを各ピン孔18b、24c、24dに対して挿抜することができる。さらに、前記実施形態では、挿入状態において連結ピン25A、25Bの少なくとも一方が押し込まれることによって操作部材29bを第1継ぎ足しブーム8の左側(外側)に突出させるように、両リンク部材27b、27cが連結部材29aによって連結されている。そのため、操作部材29bを第1継ぎ足しブーム8の左側から右側(内側)に押し込むことによって上部保持機構27Aを挿入状態に切り換えることができる一方、連結ピン25A、25Bの少なくとも一方を第1継ぎ足しブーム8の外側から内側に押し込むことによって操作部材29bを第1継ぎ足しブーム8の外側に突出させることができる。
【0074】
前記実施形態では、移動規制部材28によって、連結ピン25A〜26Bの移動を規制することができる。そのため、連結ピン25A〜26Bが意図せずに移動して、各保持機構27A、27Bが切換操作されるのを防止することができる。
【0075】
前記実施形態では、操作部材29bの規制部29dが、図4に示すように、側板21の左側面と取付板24bの左側面との間の間隔D1よりも小さい厚み寸法D2を有する。これにより、規制部29dで規制される位置まで操作部材29bを押し込んだ状態で、規制部29dを側板21の左側面よりも内側(右側)に収めることができる。そのため、操作部材29bを押し込んだ状態、つまり、各保持機構27A、27Bを挿入状態に切換操作した状態において、よりコンパクトな形態を実現することができる。
【0076】
前記実施形態では、各保持機構27A、27Bが挿入状態に切り換えられた位置で貫通部29cの押し込み動作が規制される。そのため、貫通部29cの挿入深さを意識することなく規制部29dにより規制される位置まで貫通部29cを押し込むことにより、自動的に、各保持機構27A、27Bを挿入状態に切り換えることができる。
【0077】
なお、前記実施形態では、2つの保持機構27A、27Bを別々に動作させているが、これら保持機構27A、27Bを連動させるための連結部材を設けることもできる。このようにすれば、1本の操作部材29bの押込操作によって各連結ピン25A〜26Bを各取付部18aのピン孔18b、18cに挿入することができる。また、挿入状態にある各連結ピン25A〜25Bの1つを押込操作することにより、各連結ピン25A〜25Bの全てを各ピン孔18b、18cから抜き出すことができる。
【0078】
また、前記実施形態では、操作機構29A、29Bのそれぞれが連結ピン25A〜26Bのうちの2本を切換操作可能であるが、連結ピン25A〜26Bのそれぞれ操作するための操作機構を設けることもできる。具体的に、前記連結部材29aを省略するとともに、各リンク27cに連結された操作部材29bを別途設けることができる。
【符号の説明】
【0079】
D1 間隔(取付部外側面と本体外側面との間隔)
D2 貫通部の厚み寸法
1 作業機械
2 下部走行体(ベースマシンの一例)
3 上部旋回体(ベースマシンの一例)
4 作業アタッチメント
7 メインブーム(第1連結体及び第2連結体の一例)
8 第1継ぎ足しブーム(第1連結体及び第2連結体の一例)
9 第2継ぎ足しブーム(第1連結体及び第2連結体の一例)
10 フロントブーム(第1連結体の一例)
18a 取付部(第2右側取付部及び第2右側取付部の一例)
18b 上部ピン孔(第2右側孔及び第2左側孔の一例)
18c 下部ピン孔(第2右側孔及び第2左側孔の一例)
24A、24B 取付部(第1右側取付部及び第1左側取付部の一例)
24c、24d 上部ピン孔(第1右側孔及び第1左側孔の一例)
24e、24f 下部ピン孔(第1右側孔及び第1左側孔の一例)
25A、25B 上部連結ピン(右側連結ピン及び左側連結ピンの一例)
26A、26B 下部連結ピン(右側連結ピン及び左側連結ピンの一例)
27A 上部保持機構(保持機構の一例)
27B 下部保持機構(保持機構の一例)
27b 左側リンク部材
27c 右側リンク部材
28 移動規制部材
29A 上部操作機構(操作部材の一例)
29B 下部操作機構(操作部材の一例)
29a 連結部材
29b 操作部材
29c 貫通部
29d 規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械のベースマシンに起伏可能に取り付けられる作業アタッチメントであって、
第1連結体本体と、前記第1連結体本体から突設された第1右側取付部及び第1左側取付部とを有する第1連結体と、
第2連結体本体と、前記第2連結体本体から突設された第2右側取付部及び第2左側取付部とを有する第2連結体と、
第1右側取付部に形成された第1右側孔及び第2右側取付部に形成された第2右側孔を通して前記第1右側取付部及び前記第2右側取付部を左右方向に貫通することにより、前記第1右側取付部と前記第2右側取付部とを連結可能な右側連結ピンと、
第1左側取付部に形成された第1左側孔及び第2左側取付部に形成された第2左側孔を通して前記第1左側取付部及び前記第2左側取付部を左右方向に貫通することにより、前記第1左側取付部と前記第2左側取付部とを連結可能な左側連結ピンと、
前記第1連結体に設けられ、前記右側連結ピンが前記第1右側孔及び前記第2右側孔に挿入された挿入状態と、前記右側連結ピンが前記第1右側取付部と前記第1左側取付部との間で前記第2右側孔から左側に抜け出た抜出状態との間で、前記右側連結ピンを移動可能に保持する右側保持機構と、
前記第1連結体に設けられ、前記左側連結ピンが前記第1左側孔及び前記第2左側孔に挿入された挿入状態と、前記左側連結ピンが前記第1右側取付部と前記第1左側取付部との間で前記第2左側孔から右側に抜け出た抜出状態との間で、前記左側連結ピンを移動可能に保持する左側保持機構と、
前記第1連結体に設けられ、前記右側保持機構及び前記左側保持機構を前記挿入状態と前記抜出状態との間で切換操作可能な操作機構とを備え、
前記操作機構は、前記抜出状態に切り換えられた状態で第1連結体の外側に突出するように前記右側保持機構、前記左側保持機構の少なくとも一方に連結されているとともに、前記第1連結体の外側から内側に押し込まれることによって、前記右側保持機構、前記左側保持機構の少なくとも一方を前記抜出状態から前記挿入状態に切換可能な操作部材を有する、作業アタッチメント。
【請求項2】
前記操作機構は、前記操作部材が前記第1連結体の外側から内側に押し込まれることによって前記右側保持機構及び前記左側保持機構を前記抜出状態から前記挿入状態に切換可能となるように、前記右側保持機構と前記左側保持機構とを連結する連結部材をさらに有する、請求項1に記載の作業アタッチメント。
【請求項3】
前記右側保持機構及び前記左側保持機構のうち前記操作部材が連結された保持機構は、それが保持する連結ピンが前記挿入状態において前記第1連結体の外側から内側に押し込まれることによって前記操作部材を前記第1連結体の外側に突出させるように、前記連結ピンと前記操作部材とを連結するリンク部材を有する、請求項1又は2に記載の作業アタッチメント。
【請求項4】
前記リンク部材は、第1軸回りに回動可能な状態で前記連結ピンに連結された第1端と、前記第1軸と平行な第2軸回りに回動可能な状態で前記操作部材に連結された第2端とを備えているとともに、前記第1端と第2端との間の位置で前記第1軸及び第2軸と平行な第3軸回りで回動可能な状態で前記第1連結体に軸支されている、請求項3に記載の作業アタッチメント。
【請求項5】
前記右側保持機構は、前記右側連結ピンと前記第1連結体とを連結する右側リンク部材を有し、
前記左側保持機構は、前記左側連結ピンと前記第1連結体とを連結する左側リンク部材とを有し、
前記右側リンク部材、前記左側リンク部材のうちの一方は、第1軸回りに回動可能な状態で前記連結ピンに連結された第1端と、前記第1軸と平行な第2軸回り回動可能な状態で前記操作部材に連結された第2端とを備えているとともに、前記第1端と第2端との間の位置で前記第1軸及び第2軸と平行な第3軸回りで回動可能な状態で前記第1連結体に軸支され、
前記右側リンク部材、前記左側リンク部材のうちの他方は、前記第1軸〜第3軸と平行な第4軸回りに回動可能な状態で前記連結ピンに連結された第4端と、前記第1〜第4軸と平行な第5軸回り回動可能な状態で前記第1連結体に軸支された第5端とを有し、
前記連結部材は、前記挿入状態において前記右側連結ピン、前記左側連結ピンの少なくとも一方が前記第1連結体の外側から内側に押し込まれることによって前記操作部材を前記第1連結体の外側に突出させるように、前記右側リンク部材と前記左側リンク部材とを連結する、請求項2に記載の作業アタッチメント。
【請求項6】
前記第1連結体に対して着脱可能であり、前記操作部材に連結された連結ピン、前記操作部材の少なくとも一方の前記第1連結体に対する移動を規制する移動規制部材をさらに備えている、請求項3〜5の何れか1項に記載の作業アタッチメント。
【請求項7】
前記操作部材は、前記第1右側取付部又は前記第1左側取付部を左右方向に摺動可能に貫通する貫通部と、前記貫通部の端部に設けられているとともに前記貫通部が貫通する前記第1右側取付部又は前記第2右側取付部の外側面である取付部外側面に当接することにより前記貫通部の押し込み動作を規制する規制部とを有し、
前記取付部外側面は、前記第1連結体本体の外側面である本体外側面よりも内側に配置され、
前記規制部は、前記取付部外側面と前記本体外側面との間の間隔よりも小さい厚み寸法を有する、請求項3〜6の何れか1項に記載の作業アタッチメント。
【請求項8】
前記操作部材は、前記第1右側取付部又は前記第1左側取付部を左右方向に摺動可能に貫通する貫通部と、前記右側保持機構、前記左側保持機構の少なくとも一方が前記挿入状態に切り換えられた位置で前記第1連結体の外側から内側への前記貫通部の押し込み動作を規制する規制部とを有する、請求項1〜6の何れか1項に記載の作業アタッチメント。
【請求項9】
ベースマシンと、
前記マースマシンに起伏可能に取り付けられた請求項1〜8の何れか1項に記載の作業アタッチメントとを備えている、作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−67967(P2013−67967A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205916(P2011−205916)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】