説明

作業機械

【課題】フロント配管の流体伝播振動に起因するフロント作業装置の振動を抑制することができる作業機械を提供する。
【解決手段】作業機械本体と、この作業機械本体に連結されたフロント作業装置4と、このフロント作業装置4に取り付けられた油圧アクチュエータ5bと、作業機械本体に設けられた油圧ポンプ7と、この油圧ポンプ7から吐出される圧油の方向及び流量を制御するコントロールバルブ9と、このコントロールバルブ9と油圧アクチュエータ5bとを接続するフロント配管10と、このフロント配管10をフロント作業装置4に固定する配管支持部材12と、フロント配管10の配管支持部材12及びコントロールバルブ9の間に一端が接続し他端が閉止された管路であってフロント配管10を流れる主流に当該フロント配管10から分流させた圧油の反射波を干渉させる脈動低減装置11とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧駆動式のフロント作業装置を備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の運転室の騒音を増大させる要因として、運転室の前方に設けた作業装置(以下、フロント作業装置という)からの放射音や共鳴音がある。こうした放射音や共鳴音は、フロント作業装置に敷設された油圧配管(以下、フロント配管という)の振動によって発生する。そして、フロント配管の振動は、油圧ポンプが繰り返し行う作動油の吐出及び吸入に伴って当該油圧ポンプが吐出する圧油に圧力脈動が生じることを一因としている。
【0003】
それに対し、フロント作業装置の放射音や共鳴音を低減するために、フロント配管をその曲げ振動の節の位置で支持部材によって支持することで、支持部材を介してフロント配管からフロント作業装置に伝わる振動を抑えたものがある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−13940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、フロント配管には、曲げ振動だけでなく圧油の脈動に伴う流体伝播振動(圧力脈動)が発生する。この流体伝播振動はフロント配管の支持位置で変動するものではない。従って、上記文献のように曲げ振動の節の位置でフロント配管を支持しても、フロント作業装置へのフロント配管の曲げ振動の伝達こそ抑制できるものの、流体伝播振動に伴うフロント配管の断面収縮によって生じる支持部材の振動が伝わることによるフロント作業装置の振動を抑制することはできない。
【0006】
本発明の目的は、フロント配管の流体伝播振動に起因するフロント作業装置の振動を抑制することができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、作業機械本体と、この作業機械本体に連結されたフロント作業装置と、このフロント作業装置に取り付けられた油圧アクチュエータと、前記作業機械本体に設けられた油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出される圧油の方向及び流量を制御するコントロールバルブと、このコントロールバルブと前記油圧アクチュエータとを接続するフロント配管と、このフロント配管を前記フロント作業装置に固定する配管支持部材と、前記フロント配管の前記配管支持部材及び前記コントロールバルブの間に一端が接続し他端が閉止された管路であって、前記フロント配管を流れる主流に当該フロント配管から分流させた圧油の反射波を干渉させる脈動低減装置とを備えたことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記フロント配管の前記配管支持部材及び前記コントロールバルブの間に前記脈動低減装置を複数設置したことを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、前記複数の脈動低減装置の流路長が等しいことを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第2の発明において、前記複数の脈動低減装置の流路長が異なることを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、第1−第4のいずれかの発明において、前記油圧ポンプの吐出配管の前記油圧ポンプと前記コントロールバルブとの間に一端が接続し他端が閉止された管路であって、前記吐出配管を流れる主流に当該吐出配管から分流させた圧油の反射波を干渉させる他の脈動低減装置をさらに備えことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フロント配管の流体伝播振動に起因するフロント作業装置の振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の適用対象である作業機械の一例の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る作業機械に備えられた上部旋回体及びその近傍の構造物の模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の要部の油圧回路の概略図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の要部の油圧回路の概略図であって図3に対応する図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の要部の油圧回路の概略図であって図3に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は本発明の適用対象である作業機械の一例の側面図である。
【0016】
図1に示した作業機械1は、下部走行体3と、下部走行体3上に回転自由に連結された上部旋回体2と、上部旋回体2の前部に上下揺動可能に設けられたフロント作業装置4とを備えている。
【0017】
フロント作業装置4は、上部旋回体2に対して上下に回動可能に連結されたブーム4aと、このブーム4aに対して前後に回動可能に連結されたアーム4bと、このアーム4bの先端に回動可能に連結された作業具(本例ではバケット)4cとを備えている。このフロント作業装置4は、これに取り付けられた油圧アクチュエータで駆動する。フロント作業装置4を駆動する油圧アクチュエータとしては、上部旋回体2に対してブーム4aを上下に駆動するブームシリンダ5aと、ブーム4aに対してアーム4bを前後に駆動するアームシリンダ5bと、アーム4bに対して作業具4cを駆動する作業具シリンダ5cとが備わっている。ブームシリンダ5aは上部旋回体2及びブーム4aに両端が連結され、アームシリンダ5bはブーム4a及びアーム4bに両端が連結され、作業具シリンダ5cはアーム4b及び作業具4cに両端が連結されている。
【0018】
下部走行体3は、作業機械1を自力走行させるための装置であり、本実施の形態では無限軌道履帯を有するクローラ式のものであるが、ホイール式のものであっても良い。また、この下部走行体3は、上部旋回体2とともに作業機械1の本体(作業機械本体)を構成する。
【0019】
図2は本発明の第1の実施の形態に係る作業機械に備えられた上部旋回体及びその近傍の構造物の模式図である。
【0020】
図2に示すように、上部旋回体2には、運転席13と、エンジン室14とが備えられている。エンジン室14には、エンジン6と、エンジン6で駆動される油圧ポンプ7と、油圧ポンプ7から吐出される圧油の流量及び方向を制御するコントロールバルブ9とが収容されている。油圧ポンプ7とコントロールバルブ9は配管8で接続されている。コントロールバルブ9は、実際には、上記ブームシリンダ5a、アームシリンダ5b及び作業具シリンダ5cに供給される圧油をそれぞれ制御する複数のコントロールバルブを含むバルブユニットであり、コントロールバルブ9を構成する各コントロールバルブがフロント配管を介してそれぞれブームシリンダ5a、アームシリンダ5b及び作業具シリンダ5cに接続している。フロント配管として、図2ではコントロールバルブ9とアームシリンダ5bとを接続するもの(フロント配管10)を代表的に図示している。このフロント配管10は、その経路の途中の少なくとも1か所で配管支持部材12によってブーム4aの上面に固定されている。
【0021】
なお、本願明細書で記載する「フロント配管」とは、フロント作業装置4に取り付けられた油圧アクチュエータとコントロールバルブ9とを接続する配管であって配管支持部材12によってフロント作業装置4に対して固定された配管を言う。従って、図2ではアームシリンダ5bに接続するフロント配管10しか図示していないが、コントロールバルブ9と作業具シリンダ5cとを接続する配管(図示せず)も「フロント配管」である。また、コントロールバルブ9とブームシリンダ5aとを接続する配管(図示せず)が配管支持部材12によってフロント作業装置4に固定される場合には、これも「フロント配管」に含まれる。
【0022】
この「フロント配管」に対し、当該フロント配管を流れる圧油の脈動を低減する脈動低減装置11を取り付けたことが本実施の形態の特徴である。フロント作業装置に複数の油圧アクチュエータが設置され、それに応じてフロント配管が複数設置される場合、各フロント配管に脈動低減装置が設置され得るが、いずれのフロント配管に脈動低減装置を設置する場合でも、脈動低減装置の構成及び動作は同様である。従って、本実施の形態ではアームシリンダ5bに接続するフロント配管10に設置した脈動低減装置11を代表として説明し、他のフロント配管に脈動低減装置を設置した場合については説明を省略する。
【0023】
図3は本発明の第1の実施の形態の要部の油圧回路の概略図である。
【0024】
図3に示した脈動低減装置11は、ゴムホースや鋼管等の管路で構成されており、フロント配管10に一端が接続され、他端は閉止されている。この脈動低減装置11は、フロント配管10における配管支持部材12とコントロールバルブ9との間の位置に設置されている。配管支持部材12が複数箇所に存在する場合、脈動低減装置11の接続位置として好ましいのは、コントロールバルブ9に最も近い配管支持部材12とコントロールバルブ9との間の位置である。脈動低減装置の流路径(管内径)はフロント配管10の流路径(管内径)と等しいことが望ましい。
【0025】
脈動低減装置11の流路の長さL[m]は、圧油の圧力脈動の波長をλ[m]とした場合、次の式1で決定される。
L=λ/4 ・・・(1)
ここで、圧力脈動の波長λは、圧力脈動の伝播速度をv[m/s]、圧力脈動の周波数をf[Hz]とした場合、次の式2で表される。
λ=v/f ・・・(2)
従って、式1は次の式3のように表すことができる。
L=v/4f ・・・(3)
このとき、エンジン6によって駆動される油圧ポンプ7が吐出する圧油には、エンジン6の回転数と、油圧ポンプ7のピストン本数に依存した肩波数の圧力変動が生じている。この圧力変動の周波数fn[Hz](n=1,2,3・・・)は、エンジン回転数をr[min−1]、油圧ポンプ7のピストン本数をX本、エンジン6に対する油圧ポンプ7の減速比をαとすると、次の式4のように表すことができる。
fn=r×X×α×n/60 ・・・(4)
この式(4)から分かる通り、圧油の脈動の周波数fnは複数存在し得る。従って、複数存在する周波数fnのうちから特に低減すべき周波数ftを選択すれば、選択した周波数ftの脈動を低減するのに適した脈動低減装置11の流路長Lは先の式(3)から定まる。フロント配管10に脈動低減装置11を設置したことで、フロント配管10から脈動低減装置11内に伝わる流体伝播振動は脈動低減装置11の閉止端で反射し、この反射波がフロント配管10を流れる主流の流体伝播振動に干渉する。脈動低減装置11の流路長Lは前述したように定められるので、フロント配管10と脈動低減装置11との接続部において、フロント配管10を流れる主流の流体伝播振動の周波数ftの成分に対し、脈動低減装置11から戻ってくる反射波の周波数ftの成分は逆位相となる。
【0026】
次に本実施の形態の作業機械1の動作及び作用効果を順次説明する。
【0027】
作業機械1においては、エンジン6によって油圧ポンプ7が駆動されると、油圧ポンプ7から圧油が吐出され、吐出された圧油は吐出配管8を通ってコントロールバルブ9に導かれる。運転席13内の操作装置(図示せず)によってアームシリンダ5bの動作が指令された場合を例に挙げると、操作装置の操作に応じてコントロールバルブ9が駆動し、このコントロールバルブ9によって流量及び方向が制御された圧油がフロント配管10を通ってアームシリンダ5bに供給される。これによってアームシリンダ5bが伸縮駆動し、アーム4bが動作する。
【0028】
ここで、コントロールバルブ9、フロント配管を通って油圧アクチュエータに到達する圧油は、油圧ポンプ7の動作圧力に起因して脈動する。この圧油の周波数fnの圧力脈動によって、フロント配管には断面の収縮変形を伴う周波数fnの流体伝播振動が生じる。この流体伝播振動は配管支持部材12を介してフロント作業装置4に伝達し、フロント作業装置4が周波数fnの放射音あるいは共鳴音を発し得る。この放射音や共鳴音によって作業機械1の騒音が増大することになる。
【0029】
そこで、前述したように本実施の形態の作業機械1においては、配管支持部材12と油圧ポンプ9の間にサイドブランチ型の脈動低減装置11を設置した。これにより、フロント配管10を流れる圧油は、分流して脈動低減装置11に流入して脈動低減装置11の流路を満たし、フロント配管10を流れる圧油の流体伝播振動が脈動低減装置11内の圧油に伝播して、脈動低減装置11の他端(閉止端)で反射した反射波がフロント配管10を流れる主流に干渉する。このとき、前述した通り脈動低減装置11の長さLは特に低減するために選択した周波数ftに応じて定められているので、フロント配管10を流れる主流の流体伝播振動の周波数ftの成分が打ち消され、フロント配管10を流れる主流の脈動低減装置11の接続部よりも下流側(アームシリンダ5b側)において圧油の圧力脈動が抑制される。その結果、フロント配管10内の圧力脈動自体を抑制することができるので、配管支持部材12を介したフロント作業装置4への流体伝播振動の伝達を低減することができる。こうしてフロント配管10の振動を抑制することで、フロント配管10のフロント作業装置4に対する加振力を低減することができ、フロント作業装置4が発生する放射音や共鳴音を低減することができる。
【0030】
また、本実施の形態においては、脈動低減装置11にゴムホースや鋼管を使用するため、アキュムレータを使用する場合等と比較して簡素な構造で十分な信頼性を確保することができる。また、脈動低減装置11は配管支持部材12とコントロールバルブ9との間に設置されれば良いので、例えば作業機械本体のエンジン室14に収容する、或いはフロント作業装置4の基部(ブーム4aの作業機械本体との連結支点)の近辺又はそれよりもコントロールバルブ9寄りに配置することができるため、この脈動低減装置11を設置したことによってフロント作業装置4の重量バランスが必要以上に悪くなることもない。
【0031】
図4は本発明の第2の実施の形態の要部の油圧回路の概略図であり、先の図3に対応する図である。
【0032】
本実施の形態が第1の実施の形態と相違する点は、フロント配管10の配管支持部材12及びコントロールバルブ9の間に脈動低減装置15を追加し、複数の脈動低減装置11,15を設置したことである。
【0033】
脈動低減装置15は脈動低減装置11と同様の構成であり、その流路長はフロント配管10を流れる圧油の流体伝播振動が包含する複数の周波数のうち低減対象とする周波数に応じて設定される。脈動低減装置15が低減対象とする周波数は、脈動低減装置11が低減対象とする周波数と同一である場合と異なる場合がある。脈動低減装置15が低減対象とする周波数が脈動低減装置11のそれと同一である場合、脈動低減装置15の流路長は脈動低減装置11と同じ周波数を基に設定されるため、脈動低減装置11の流路長と等しくなる。脈動低減装置15が低減対象とする周波数が脈動低減装置11のそれと異なる場合、前傾の式3,4に従って脈動低減装置15が低減対象とする別の周波数に応じて流路長が設定される結果、脈動低減装置11,15の流路長が異なってくる。脈動低減装置11,15の位置的な前後関係は限定されない。
【0034】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0035】
単一の脈動低減装置11で低減することができる流体伝播振動の周波数成分は脈動低減装置11の流路長Lに依存した単一の周波数であるが、本実施の形態のように脈動低減装置11と流路長が異なる脈動低減装置15を追加することで、2種類の周波数成分を低減することができ、複数の周波数の騒音を低減することができる。他方、脈動低減装置11と同じ流路長の脈動低減装置15を追加した場合には、低減対象とする周波数成分が脈動低減装置11単体では打ち消しきれないようなときに当該周波数成分を脈動低減装置11とともに抑制する。
【0036】
なお、本実施の形態では単一のフロント配管10に2つの脈動低減装置11,15を設置した場合を例に挙げて説明したが、低減対象とする周波数成分の大きさや種類によって単一のフロント配管10に3つ以上の脈動低減装置を設置することもできる。その場合、3つ以上の脈動低減装置の流路長が全て異なる場合もあれば、全て同じ又は一部同じ流路長にすることもできる。
【0037】
図5は本発明の第3の実施の形態の要部の油圧回路の概略図であり、先の図3に対応する図である。
【0038】
本実施の形態が第1の実施の形態と相違する点は、油圧ポンプ7の吐出配管8に他の脈動低減装置16を追加した点である。
【0039】
脈動低減装置16は、吐出配管8における油圧ポンプ7とコントロールバルブ9との間に一端が接続し他端が閉止された管路であって、脈動低減装置11と同様の構成である。脈動低減装置16は、吐出配管8を流れる主流に当該吐出配管8から分流させた圧油の反射波を干渉させ、吐出管路8を流れる流体伝播振動の対象とする周波数成分を低減するものであり、その設置目的や流路長の設置については、第2の実施の形態における脈動低減装置15と同様である。従って、脈動低減装置11,16の流路長は同一である場合と異なる場合があり、吐出配管8に複数の脈動低減装置16を設置して3つ以上の脈動低減装置を設置することもできる。その場合、吐出配管8に設置した複数の脈動低減装置16の流路長が全て異なる場合もあれば、全て同じ又は一部同じ流路長にすることもできる。
【0040】
その他の構成は第1の実施の形態と同じであり、本実施の形態においても第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
なお、特に図示していないが、第1−第3の実施の形態は適宜組み合わせ可能である。例えば、フロント配管10に複数の脈動低減装置を設置しつつ、吐出配管8に少なくとも1つの脈動低減装置を設置する構成とすることもできる。
【0042】
なお、図2−図5では、いずれの例でもコントトールバルブ9に最も近い配管支持部材12とコントロールバルブ9との間の位置でフロント配管10に脈動低減装置11を設置した場合を例に挙げて説明したが、前述した通り、脈動低減装置11は、その接続位置よりも圧油の流通方向の下流側の脈動を抑える効果があるので、接続位置よりもコントロールバルブ9から遠い位置に少なくとも1つの配管支持部材12が存在していれば相応の効果を得ることができる。即ち、脈動低減装置とコントロールバルブ9との間に配管支持部材12があっても、その脈動低減装置よりもコントロールバルブよりも反対側(油圧アクチュエータ側)に別の配管支持部材12があれば当該配管支持部材12を介したフロント作業装置4への振動伝達を抑制することができる。
【0043】
また、アームシリンダ5bに接続するフロント配管10に脈動低減装置11を設置した場合を例に挙げて説明したが、この構成には限定されない。例えば、作業具シリンダ5cに接続する図示しないフロント配管に脈動低減装置11を設置することもできる。その場合、フロント配管10に設ける代わりに図示しないフロント配管に脈動低減装置11を設置することも考えられるし、双方のフロント配管に脈動低減装置11を設置することも考えられる。
【0044】
更には、「フロント配管」は、厳密には対応する油圧シリンダのボトム側油室とロッド側油室にそれぞれ接続する一対の配管からなる。一対の配管は、シリンダの伸縮方向に応じ、コントロールバルブによって圧油の流通方向が切り換わる。従って、配管支持部材12よりもコントロールバルブ9側に脈動低減装置11を設置しても、脈動低減装置11の接続位置が配管支持部材12に対して常に上流側である訳ではない。従って、対応するシリンダの動作方向によらず配管支持部材12よりも上流側で常に脈動が抑えられるようにする上では、対応するシリンダに接続する一対のフロント配管の双方にそれぞれ、配管支持部材12よりもコントロールバルブ9側に脈度低減装置11を設置することが好ましい。
【0045】
また、「フロント配管」の接続先は油圧シリンダには限定されず、油圧モータ等の他の油圧アクチュエータも含まれ得る。例えば、アーム4bの先端にブレーカをアタッチメントとして取り付けた場合には、その油圧モータに接続するフロント配管に脈動低減装置11を設置した場合も同様に効果を奏することができる。また、アーム4bに取り付ける作業具(アタッチメント)によっては、複数の油圧アクチュエータを要するものがある。このような作業具を取り付ける場合にはフロント配管の数が増すが、増設したフロント配管に脈動低減装置11を設置した場合も勿論同様に効果を得ることができる。
【0046】
また、以上の実施の形態では、作業機械1として油圧ショベルを例に挙げ、油圧ショベルに発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は、例えばホイールローダを含む他の種類の作業機械にも適用可能であり、同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 作業機械
2 上部旋回体
3 下部走行体
4 フロント作業装置
4a ブーム
4b アーム
4c 作業具(バケット)
5a ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
5b アームシリンダ(油圧アクチュエータ)
5c 作業具シリンダ(油圧アクチュエータ)
6 エンジン
7 油圧ポンプ
8 配管
9 コントロールバルブ
10 フロント配管
11 脈動低減装置
12 配管支持部材
13 運転席
14 エンジン室
15 脈動低減装置
16 脈動低減装置(他の脈動低減装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械本体と、
この作業機械本体に連結されたフロント作業装置と、
このフロント作業装置に取り付けられた油圧アクチュエータと、
前記作業機械本体に設けられた油圧ポンプと、
この油圧ポンプから吐出される圧油の方向及び流量を制御するコントロールバルブと、
このコントロールバルブと前記油圧アクチュエータとを接続するフロント配管と、
このフロント配管を前記フロント作業装置に固定する配管支持部材と、
前記フロント配管の前記配管支持部材及び前記コントロールバルブの間に一端が接続し他端が閉止された管路であって、前記フロント配管を流れる主流に当該フロント配管から分流させた圧油の反射波を干渉させる脈動低減装置と
を備えたことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記フロント配管の前記配管支持部材及び前記コントロールバルブの間に前記脈動低減装置を複数設置したことを特徴とする請求項1の作業機械。
【請求項3】
前記複数の脈動低減装置の流路長が等しいことを特徴とする請求項2の作業機械。
【請求項4】
前記複数の脈動低減装置の流路長が異なることを特徴とする請求項2の作業機械。
【請求項5】
前記油圧ポンプの吐出配管の前記油圧ポンプと前記コントロールバルブとの間に一端が接続し他端が閉止された管路であって、前記吐出配管を流れる主流に当該吐出配管から分流させた圧油の反射波を干渉させる他の脈動低減装置をさらに備えことを特徴とする請求項1−4のいずれかの作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−57165(P2013−57165A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194443(P2011−194443)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】