説明

作業用装置

【課題】 影等が形成されることなく、上方の作業対象箇所の全体に光を照射可能な作業用装置を提供する。
【解決手段】 上方の作業対象箇所に対して、下方から各種の作業を行う際に用いられる作業用装置1であって、長尺の操作部2と、該操作部2の先端側に着脱自在に取り付けられる照明器具4と、該照明器具4の前記操作部2とは反対側の部分に着脱自在に取り付けられる先端工具25とを備え、前記照明器具4は、前記先端工具25側に向けて光を照射可能に構成されている。上方の作業対象箇所に対して、下方から先端工具25によって各種の作業を行う場合に、作業対象箇所の状況を正確に目視しながら、各種の作業を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用装置に関し、特に、夜間に、上方の作業対象箇所に対して下方から各種の作業を行う場合に有効な作業用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、夜間に間接活線作業を行う場合、作業対象箇所を地上からサーチライト等の照明器具で照らしたり、作業者のヘルメットに取り付けたヘッドライト等の照明器具で電柱から作業対象箇所を照らしたり、高所作業車のバケットに取り付けた照明器具で作業対象箇所を下方から照らしたりすることが行われている。
【0003】
しかし、地上から照明器具で照らす方法は、照射角度によっては影になる部分が多く発生する。また、ヘルメットに取り付けた照明器具で照らす方法は、照射角度を作業対象箇所に合わせるのが難しい。さらに、バケットに取り付けた照明器具で照らす方法は、照射角度によっては影になる部分が多く発生する。このため、これらの何れの方法を用いても、作業対象箇所の状況を目視によって正確に確認することが難しく、作業者の安全を確保することが難しい。
【0004】
作業対象箇所を照明器具で照らす方法の例が特許文献1〜3に記載されている。特許文献1に記載の方法は、先端に開閉可能なカッターを有するレスキュー工具のハンドルに、レンズ、ランプ、レンズホルダ、ランプホルダからなる照明要素を一体に組み込んだものを用い、レスキュー工具のカッターを開閉させて対象物を切断する際に、照明要素のランプから対象物に向けて光を照射させるように構成したものである。
【0005】
また、特許文献2に記載の方法は、クリップ本体と、クリップ本体のクリップ軸に揺動可能に取り付けられた横方向揺動アームと、横方向揺動アームの頂部に回転可能に取り付けられた回転部材と、回転部材に縦方向に揺動可能に取り付けられた縦方向揺動部材と、縦方向揺動部材に設けられたライトホルダーとを備えたライト取付ホルダーを用い、このライト取付ホルダーのクリップ本体を工具等に取り付け、ライトホルダーにライトを取り付け、工具等によって対象物に対して作業を行う際に、ライトから対象物に向けて光を照射させるように構成したものである。
【0006】
さらに、特許文献3に記載の方法は、クリップ状の固定部に、フレキシブルシャフトを介してライト部を設けた照明装置を用い、この照明装置を間接活線工具に取り付け、ライト部から作業対象箇所に向けて光を照射するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2008−545235号公報
【特許文献2】特開平10−283802号公報
【特許文献3】特開2011−76756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の方法は、レスキュー工具のハンドルの複数箇所に照明要素のランプを設けているため、作業対象箇所の広範囲を照射することができる。しかし、レスキュー工具のハンドルを掴んだ手により、照明要素のライトから照射された光が遮られてしまうことがあり、そのような場合には、作業対象箇所の状況を正確に確認することが困難になり、作業効率が悪化し、また、作業者の安全を確保するのも難しくなる。
【0009】
また、特許文献2に記載の方法は、クリップ本体に対するライトホルダー(ライト)の取付角度を調整することにより、ライトの照射角度をある程度は調整できるが、ライトで作業対象箇所をスポット的に照射する構成であるため、上方の作業対象箇所の広範囲を照射することができず、作業効率が悪く、また、作業者の安全を確保することも難しい。
【0010】
さらに、特許文献3に記載の方法は、フレキシブルシャフトを変形させることにより、ライト部による光の照射方向をある程度は調整できるが、ライト部で作業対象箇所をスポット的に照射する構成であるため、上方の作業対象箇所の広範囲を照射することができず、作業効率が悪く、また、作業者の安全を確保することも難しい。
【0011】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、夜間に、上方の作業対象箇所に対して下方から各種の作業を行う場合に、作業対象箇所の状況を正確に確認することができ、各種の作業を効率よく、かつ安全に行うことができる作業用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、上方の作業対象箇所に対して、下方から各種の作業を行う際に用いられる作業用装置であって、長尺の操作部と、該操作部の先端側に着脱自在に取り付けられる照明器具と、該照明器具の前記操作部とは反対側の部分に着脱自在に取り付けられる先端工具とを備え、前記照明器具は、前記先端工具側に向けて光を照射可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の作業用装置によれば、先端工具を用いて、上方の作業対象箇所に対して下方から各種の作業を行う場合に、照明器具によって先端工具側に向けて光を照射することにより、上方の作業対象箇所を照らすことができるので、先端工具による各種の作業を効率良く、かつ安全に行うことができる。
【0014】
また、本発明において、前記照明器具は、第1取付手段を介して前記操作部の先端側に着脱可能に取り付けられるとともに、前記先端工具は、前記第1取付手段と同一構成の第2取付手段を介して前記照明器具に着脱可能に取り付けられていることとしてもよい。
【0015】
本発明の作業用装置によれば、照明器具が不要な場合には、照明器具を操作部の先端側から取り外し、照明器具の代わりに先端工具を第2取付手段を介して操作部の先端側に取り付けることができる。
【0016】
さらに、本発明は、上方の作業対象箇所に対して、下方から各種の作業を行う際に用いられる作業用装置であって、長尺の操作部と、該操作部の先端側に着脱自在に取り付けられる先端工具と、前記操作部の前記先端工具とは反対側の部分に着脱自在に取り付けられるとともに、前記先端工具側に向けて光を照射可能な照明器具とを備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明の作業用装置によれば、先端工具を用いて、上方の作業対象箇所に対して下方から各種の作業を行う場合に、照明器具によって先端工具側に向けて光を照射することにより、上方の作業対象箇所を照らすことができるので、先端工具による各種の作業を効率良く、かつ安全に行うことができる。
【0018】
さらに、本発明において、前記照明器具には、前記操作部との干渉を避ける逃げ部が設けられていることとしてもよい。
【0019】
本発明の作業用装置によれば、操作部を操作する際に、操作部が照明器具と干渉するようなことはないので、操作部の先端側の先端工具により、上方の作業対象箇所に対する各種の作業を効率良く、かつ安全に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明の作業用装置によれば、先端工具を用いて、上方の作業対象箇所に対して下方から各種の作業を行う場合に、照明器具によって先端工具側に向けて光を照射することにより、上方の作業対象箇所を照らすことができるので、先端工具による各種の作業を効率良く、かつ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の作業用装置の第1の実施の形態の全体を示した概略図であって、組立後の状態を示した説明図である。
【図2】図1の作業用装置の組立前の状態を示した説明図である。
【図3】図1の照明器具の平面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】図4の断面図である。
【図6】図1の作業用装置による間接活線作業を示した説明図である。
【図7】本発明の作業用装置の第2の実施の形態の全体を示した概略図である。
【図8】図7の作業用装置の部分拡大図である。
【図9】図8の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図6には、本発明による作業用装置の第1の実施の形態が示されている。本実施の形態の作業用装置1は、例えば、夜間の間接活線作業に適用されるものであって、夜間の間接活線作業の際に、下方から上方の作業対象箇所45を照らすのに有効なものである。
【0023】
本実施の形態の作業用装置1は、図1〜図5に示すように、長尺の操作部2と、操作部2の先端側に着脱可能に取り付けられる照明器具4と、照明器具4の操作部2とは反対側の先端側に着脱可能に取り付けられる先端工具25とを備えている。
【0024】
操作部2は、例えば、間接活線作業に用いるホットスティック(万能操作棒)であって、図1及び図2に示すように、絶縁材からなるパイプ状の操作ロッド3を備え、この操作ロッド3の先端側に第1取付手段15を介して照明器具4が着脱可能に取り付けられ、照明器具4の先端側に第2取付手段27を介して先端工具25が着脱可能に取り付けられる。
【0025】
第1取付手段15は、図1に示すように、操作ロッド3の先端側に着脱可能に取り付けられる第1雄コネクタ16と、照明器具4側に設けられるとともに、第1雄コネクタ16と相互に嵌合可能な第1雌コネクタ21とを備えている。
【0026】
第1雄コネクタ16は、図2に示すように、円筒状の本体17と、本体17の内側にスライド自在に設けられるとともに、上端が本体17の上面から上方に突出する押ピン18と、押ピン18を上方に付勢するばね(図示せず)と、本体17の外面に突出した状態に設けられる一対のロックピン19、19と、本体17を操作ロッド3の先端に固定するロックナット20とから構成されている。
【0027】
図1に示すように、第1雄コネクタ16の本体17を操作ロッド3の先端に位置し、ロックナット20を操作ロッド3の先端の雌ねじ部(図示せず)に螺合させて締め付けることにより、第1雄コネクタ16を操作ロッド3の先端側に取り付けた状態に固定することができる。
【0028】
照明器具4は、図3〜図5に示すように、操作ロッド3の先端側の第1雄コネクタ16と相互に嵌合可能な第1取付手段15としての第1雌コネクタ21と、第1雌コネクタ12の上部に設けられるライト部5と、ライト部5の上部に設けられる第2取付手段27としての第2雄コネクタ28と、第2雄コネクタ28、ライト部5、及び第1雌コネクタ21の内部に設けられる電源ユニット8とから構成されている。
【0029】
第1雌コネクタ21は、図4及び図5に示すように、円筒状の本体22と、本体22に設けられるとともに、本体22の内外面を貫通する一対のT形状のロック溝23とから構成され、本体22の上部にライト部5が一体に設けられている。
【0030】
ライト部5は、図3〜図5に示すように、第1雌コネクタ21の本体22の上部に一体に設けられるとともに、周縁部が後述する第2雄コネクタ28の外面よりも外方に張り出る円盤状のライト取付部6と、ライト取付部6に着脱可能に取り付けられる複数のライト7とから構成されている。
【0031】
ライト7は、例えば、レンズ付きのLEDランプであって、ライト取付部6の後述する第2雄コネクタ28の外面よりも外方に張り出る周縁部に、第2雄コネクタ28の周囲を囲むように、周方向に等間隔ごとに、例えば4箇所に設けられている。
【0032】
このような位置にライト7を配置することにより、図1、図3、及び図6に示すように、先端工具25の可動範囲の外側の4方向から上方の作業対象箇所45に向けて各ライト7から光を照射させることができるとともに、各々のライト7から照射した光を中央で互いに重なり合せることができるので、作業対象箇所45の全体の隅々まで光を照射させることができる。
なお、ライト7は、4箇所に限らず、2箇所、3箇所、又は5箇所以上に設けてもよい。要は、作業対象箇所45を下方から正確に目視できるように、光を照射できる数量であればよい。
【0033】
各ライト7は、ライト取付部6に対する取付角度の調整が可能に構成され、各ライト7のライト取付部6に対する取付角度を調整することにより、各ライト7の照射角度を調整することができる。
【0034】
なお、ライト7として、レンズ付きのLEDランプに限らず、広範囲に光を照射することが可能な機能を有する各種のライトを用いてもよい。
【0035】
第2取付手段27は、図1及び図2に示すように、照明器具4のライト取付部6の上部に着脱可能に設けられる第2雄コネクタ28と、先端工具25側に設けられるとともに、第2雄コネクタ28と相互に嵌合可能な第2雌コネクタ35とを備えている。
【0036】
第2雄コネクタ28は、図3〜図5に示すように、第1雄コネクタ16とほぼ同一構成を有するものであって、円筒状の本体29と、本体29の内側にスライド自在に設けられるとともに、上端が本体29の上面から上方に突出する押ピン30と、押ピン30を上方に付勢するばね(図示せず)と、本体29の外面に突出した状態に設けられる一対のロックピン31、31と、本体29をライト取付部6の上部に固定するロックナット32とを備えている。
【0037】
図1及び図2に示すように、第2雄コネクタ28の本体29をライト取付部6の上部に位置し、ロックナット32をライト取付部6の上部の雌ねじ部(図示せず)に螺合させて締め付けることにより、第2雄コネクタ28をライト取付部6の上部に取り付けた状態に固定することができる。
【0038】
電源ユニット8は、図5に示すように、第2雄コネクタ28の本体29、ライト取付部6、及び第1雌コネクタ21の内側に設けられる電池ボックス9内に収納される電池11と、電池11と各ライト7との間を電気的に接続する電源回路(図示せず)と、電源回路を入切する入切スイッチ12とを備えている。電池ボックス9の下端には開閉蓋10が設けられている。入切スイッチ12は、例えば、電池11と第2雄コネクタ28の押ピン30の下端との間に設けられている。
【0039】
先端工具25は、図1及び図2に示すように、ブラシ、カッター、ペンチ、ドライバー等の工具本体26と、工具本体26の基部に一体に設けられる第2取付手段27としての第2雌コネクタ35とを備えている。
【0040】
第2雌コネクタ35は、図1及び図2に示すように、第1雌コネクタ21とほぼ同一構成を有するものであって、円筒状の本体36と、本体36に設けられるとともに、本体36の内外面を貫通する一対のT形状のロック溝37とから構成され、本体36の上部に工具本体26が一体に設けられている。
【0041】
そして、上記のような構成の操作ロッド3、照明器具4、及び先端工具25からなる作業用装置1を組み立てるには、図1及び図2に示すように、まず、操作ロッド3の先端に上記の手順によって第1取付手段15としての第1雄コネクタ16を取り付ける。
【0042】
次に、照明器具4側の第1取付手段15としての第1雌コネクタ21の本体22の内側に、操作ロッド3側の第1雄コネクタ16の本体17を嵌合させ、第1雄コネクタ16の本体17の外面側の各ロックピン19を第1雌コネクタ21の本体22の各ロック溝23内に挿入させ、第1雄コネクタ16側の押ピン18の上端を第1雌コネクタ21の本体22の上面に当接させ、押ピン18をばねの付勢力に抗して本体17内に押し込む。
【0043】
そして、この状態で、第1雄コネクタ16の本体17を第1雌コネクタ21の本体22に対して相対的に回転させ、第1雄コネクタ16の本体17の外面側の各ロックピン19を第1雌コネクタ21の本体22の各ロック溝23内をスライドさせて各ロック溝23の端部に位置させ、ばねの付勢力によって押ピン18を本体22の上面から突出させることにより、本体22を相対的に押し下げ、本体22の外面側の各ロックピン19を各ロック溝23の端部に嵌合させる。
【0044】
これにより、照明器具4を操作ロッド3の先端側に、第1取付手段15としての第1雄コネクタ16及び第1雌コネクタ21を介して取り付けることができる。
なお、照明器具4を操作ロッド3の先端側から取り外すには、上記と逆の手順を辿ることになる。
【0045】
次に、照明器具4側の第2雄コネクタ28の本体29を先端工具25側の第2雌コネクタ35の本体36の内側に嵌合させ、第2雄コネクタ28の本体29の外面側の各ロックピン31を第2雌コネクタ35の本体36の各ロック溝37内に挿入させ、第2雄コネクタ28側の押ピン30の上端を第2雌コネクタ35の本体36の上面に当接させ、押ピン30をばねの付勢力に抗して本体29内に押し込む。
【0046】
そして、この状態で、第2雄コネクタ28の本体29を第2雌コネクタ35の本体36に対して相対的に回転させ、第2雄コネクタ28の本体29の外面側の各ロックピン31を第2雌コネクタ35の本体36の各ロック溝37内をスライドさせて各ロック溝37の端部に位置させ、ばねの付勢力によって押ピン30を本体29の上面から突出させることにより、本体29を相対的に押し下げ、本体29の外面側の各ロックピン31を各ロック溝37の端部に嵌合させる。
【0047】
これにより、照明器具4に先端工具25を、第2取付手段27としての第2雄コネクタ28及び第2雌コネクタ35を介して取り付けることができる。また、照明器具4に先端工具25を、第2雄コネクタ28及び第2雌コネクタ35を介して取り付けることにより、照明器具4側の第2雄コネクタ28の押ピン30がばねの付勢力に抗して本体29内に押し込まれ、押ピン29の下端で入切スイッチ12が押圧されることにより、入切スイッチ12が「入」状態とされ、照明器具4の各ライト7が点灯される。
【0048】
なお、入切スイッチ12を「切」状態とするには、先端工具25を照明器具4から取り外し、先端工具25側の第2雌コネクタ35の本体36に対する照明器具4側の第2雄コネクタ28の本体29の嵌合状態を解除し、押ピン30による入切スイッチ12の押圧状態を解除するか、或いは、先端工具25を照明器具4から取り外し、先端工具25側の第2雌コネクタ35の本体36に対する照明器具4側の第2雄コネクタ28の本体29の嵌合状態を解除し、押ピン30による入切スイッチ12の押圧状態を解除した後に、再度、作業者が押ピン30を本体29内に押し込んで、押ピン30で入切スイッチ12を押圧する。
【0049】
そして、上記のように構成した本実施の形態の作業用装置1を用いて、例えば、夜間に間接活線作業を行うには、図6に示すように、例えば、二人の作業者が一組となり、両作業者が電柱40を所定の高さまで登り、或いは、高所作業車42のバケット43内に両作業者が乗って所定の高さまで上昇し、各作業者が作業用装置1を手で持ち、各作業者が作業用装置1の照明器具4の各ライト7で作業対象箇所45を照らしながら、先端工具25(ブラシ、カッター、ペンチ、ドライバー等)を操作することにより、作業対象箇所45に対して各種の作業(例えば、架線41に引っ掛かった物の除去等の作業)を行うことができる。
【0050】
上記のように構成した本実施の形態の作業用装置1にあっては、照明器具4のライト取付部6の周縁部(第2雄コネクタ28の外面よりも外側に張り出た部分)に、第2雄コネクタ28の周囲を囲むように、等間隔ごとに4箇所にライト7を設けて、4箇所のライト7により、先端工具25の外側の4方向から上方の作業対象箇所45に向けて光を照射させるとともに、各々のライト7から照射させた光を中央で互いに重なり合わせるように構成したので、先端工具25によって上方の作業対照箇所4に影が形成されるようなことはなく、作業対象箇所45の全体の隅々まで光を照射させることができる。従って、作業対象箇所45に対する各種の作業を効率良く、かつ安全に行うことができる。
【0051】
また、照明器具4を、操作ロッド3の先端側に第1取付手段15の第1雄コネクタ16及び第1雌コネクタ21を介して着脱可能に取り付けるように構成したので、照明器具4が不要な場合には、照明器具4を操作ロッド3の先端側から取り外し、操作ロッド3の先端に照明器具4の代わりに先端工具25を取り付けることができるので、汎用性を高めることができる。
【0052】
図7〜図9には、本発明による作業用装置の第2の実施の形態が示されている。本実施の形態の作業用装置51は、長尺の操作部52と、操作部52の先端側に着脱可能に取り付けられる照明器具75と、操作部52の先端側に取り付けられる先端工具(図示せず)とを備えている。
【0053】
操作部52は、例えば、間接活線作業に用いるホットスティック(ヤットコ)であって、図7に示すように、絶縁材からなるパイプ状の操作ロッド53と、操作ロッド53に対して略平行に設けられる絶縁材からなるパイプ状の連結ロッド54と、アルミ合金製のL形状の操作レバー57と、操作ロッド53の先端側に取付金具59を介して取り付けられる第1アーム68と第2アーム70とからなる把持部67とを備え、操作ロッド53の先端側に照明器具75が着脱可能に取り付けられ、把持部67の両アーム68、70の先端に各種の先端工具が着脱可能に取り付けられる。
【0054】
取付金具59は、操作ロッド53の先端側に取り付けられる基部60と、基部60の先端に一体に設けられるアーム取付部61とから構成され、アーム取付部61に第1アーム68の基端69が固定され、第1アーム68の基端69に第2アーム70の基端71が噛合され、この状態で第2アーム70の基端71が第1アーム61の基端69に連結ピン72を介して回動自在に連結される。
【0055】
第1アーム68は、図7に想像線で示すように、アーム取付部61に対する取付角度が調整可能に構成され、第1アーム68のアーム取付部61に対する取付角度を調整することにより、第1アーム68の操作ロッド53の軸線に対する開き角度を調整することができる。
【0056】
操作ロッド53の基端55側には、レバー取付部62が設けられ、このレバー取付部62に操作レバー57が連結ピン63を介して回動自在に連結され、連結ピン63を中心として操作レバー57を操作ロッド53に接近又は離間する方向に回動させることができる。
【0057】
連結ロッド54は、先端が連結金具64を介して第2アーム70の基端71近傍に回動自在に連結されるとともに、基端55が連結ピン63を介して操作レバー57の先端58に回動自在に連結されている。操作レバー57を操作ロッド53に接近又は離間する方向に回動させることにより、操作レバー57に追従して連結ロッド54を操作ロッド53に沿う方向に移動させることができる。
【0058】
連結金具64は、連結ロッド54の先端59に固定される筒状の基部65と、基部65の先端に一体に設けられる角度調整部66とを備え、角度調整部66が連結ピン(図示せず)を介して第2アーム70の基端71近傍に回動自在に連結されている。角度調整部66の第2アーム70に対する連結位置を調整することにより、第2アーム70の第1アーム68に対する開閉角度を調整できる。
【0059】
操作部52は、把持部67の両アーム68、70をそのまま使用して、作業対象箇所45に対して各種の作業を行ってもよいし、両アーム68、70の先端にペンチ、ドライバー、カッター等の各種の先端工具を取り付け、両アーム68、70に連動させて各種の先端工具を操作することにより、作業対象箇所45に対して各種の作業を行ってもよい。
【0060】
照明器具75は、図8及び図9に示すように、操作ロッド53の先端の取付金具59よりも下方の部分に着脱可能に取り付けられるライト部76と、ライト部76を操作ロッド53に固定する固定部材81と、ライト部76に設けられる電源ユニット(図示せず)とを備えている。
【0061】
ライト部76は、操作ロッド53の先端に取り付けられる平面視U形状のライト取付部77と、ライト取付部77に着脱可能に取り付けられる複数のライト78とから構成され、ライト取付部77の内側に連結ロッド54との干渉を避ける逃げ部79が設けられている。
【0062】
ライト取付部77の内面には、ゴム等の弾性体からなる滑り止め部材80が貼り付けられ、この滑り止め部材80により、ライト取付部77が操作ロッド53の所定の位置からずれるが防止される。
【0063】
固定部材81は、例えば、ボルトとナットとからなるものであって、ライト取付部77を操作ロッド53に取り付けた状態で、ライト取付部77にボルトを挿通させて、ナットで締め付けることにより、ライト取付部77が操作ロッド53から外れるのを防止できる。
【0064】
ライト78は、前記第1の実施の形態と同様に、例えば、レンズ付きのLEDランプから構成されるものであって、ライト取付部77の操作ロッド53を中心として4箇所に、操作ロッド53の周囲を囲むように設けられている。
【0065】
このような位置にライト78を配置することにより、把持部67の両アーム68、70の外側の4方向から、或いは、両アーム68、70の先端に取り付けられた先端工具の外側の4方向から、上方の作業対象箇所45に向けて各ライト78から光を照射させることができるとともに、各々のライト78から照射させた光を中央で互いに重なり合せることができ、作業対象箇所45の全体の隅々まで光を照射させることができる。
なお、ライト7は、4箇所に限らず、2箇所、3箇所、又は5箇所以上に設けてもよい。要は、作業対象箇所45を下方から正確に目視できるように、光を照射できる数量であればよい。
【0066】
各ライト78は、ライト取付部77に対する取付角度の調整が可能に構成され、各ライト78のライト取付部77に対する取付角度を調整することにより、各ライト78からの光の照射角度を調整することができる。
【0067】
なお、ライト78として、レンズ付きのLEDランプに限らず、広範囲に光を照射することが可能な機能を有する各種のライトを用いてもよい。
【0068】
電源ユニット(図示せず)は、例えば、ライト取付部77の内部に設けられる電池と、電池と各ライト78とを電気的に接続する電源回路と、電源回路を入切する入切スイッチとから構成されている。入切スイッチを「入」又は「切」とすることにより、各ライト78を点灯又は消灯させることができる。
【0069】
上記のように構成した本実施の形態の作業用装置51にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様に、照明器具75のライト取付部77の操作ロッド53を中心とする4箇所に、操作ロッド53の周囲を囲むようにライト78を設けて、把持部67の両アーム68、70の外側の4方向から、或いは、両アーム68、70に取り付けられる先端工具の外側の4方向から、上方の作業対象箇所45に向けて光を照射させるとともに、各々のライト78から照射させた光を中央で互いに重なり合うように構成したので、把持部67の両アーム68、70、又は両アーム68、70の先端に取り付けられる先端工具によって作業対象箇所45に影が形成されるようなことはなく、作業対象箇所45の全体の隅々までライト78からの光を照射させることができる。従って、作業対象箇所45に対する各種の作業を効率良く、かつ安全に行うことができる。
【0070】
また、照明器具75のライト取付部77を平面視U形状に形成し、内側に逃げ部79を形成したので、操作部52の把持部67の両アーム68、70を開閉させるために操作レバー57を操作して連結ロッド54を可動させても、連結ロッド54とライト取付部77とが干渉して、把持部67の両アーム68、70の開閉動作を妨げるようなことはなく、把持部67の両アーム68,70による各種の作業、或いは両アーム68、70取り付けた先端工具による各種の作業を効率良く、かつ安全に行うことができる。
【符号の説明】
【0071】
1 作業用装置
2 操作部
3 操作ロッド
4 照明器具
5 ライト部
6 ライト取付部
7 ライト
8 電源ユニット
9 電池ボックス
10 開閉蓋
11 電池
12 入切スイッチ
15 第1取付手段
16 第1雄コネクタ
17 本体
18 押ピン
19 ロックピン
20 ロックナット
21 第1雌コネクタ
22 本体
23 ロック溝
25 先端工具
26 工具本体
27 第2取付手段
28 第2雄コネクタ
29 本体
30 押ピン
31 ロックピン
32 ロックナット
35 第2雌コネクタ
36 本体
37 ロック溝
40 電柱
41 架線
42 高所作業車
43 バケット
45 作業対象箇所
51 作業用装置
52 操作部
53 操作ロッド
54 連結ロッド
55 基端
56 先端
57 操作レバー
58 先端
59 取付金具
60 基部
61 アーム取付部
62 レバー取付部
63 連結ピン
64 連結金具
65 基部
66 角度調整部
67 把持部
68 第1アーム
69 基端
70 第2アーム
71 基端
72 連結ピン
75 照明器具
76 ライト部
77 ライト取付部
78 ライト
79 逃げ部
80 滑り止め部材
81 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方の作業対象箇所に対して、下方から各種の作業を行う際に用いられる作業用装置であって、
長尺の操作部と、該操作部の先端側に着脱自在に取り付けられる照明器具と、該照明器具の前記操作部とは反対側の部分に着脱自在に取り付けられる先端工具とを備え、
前記照明器具は、前記先端工具側に向けて光を照射可能に構成されていることを特徴とする作業用装置。
【請求項2】
前記照明器具は、第1取付手段を介して前記操作部の先端側に着脱可能に取り付けられるとともに、前記先端工具は、前記第1取付手段と同一構成の第2取付手段を介して前記照明器具に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業用装置。
【請求項3】
上方の作業対象箇所に対して、下方から各種の作業を行う際に用いられる作業用装置であって、
長尺の操作部と、該操作部の先端側に着脱自在に取り付けられる先端工具と、前記操作部の前記先端工具とは反対側の部分に着脱自在に取り付けられるとともに、前記先端工具側に向けて光を照射可能な照明器具とを備えていることを特徴とする作業用装置。
【請求項4】
前記照明器具には、前記操作部との干渉を避ける逃げ部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の作業用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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