作業車両のバランスウエイト取付構造
【課題】機体へのバランスウエイトの取付作業を容易に行うことができる作業車両のバランスウエイト取付構造を提供する。
【解決手段】管理機1の前後一側と前後他側との間に車輪30が配置され、機体の前後一側に耕耘装置40が装着可能とされ、機体の前後他側にバランスウエイト62が取付けられる作業車両のバランスウエイト取付構造であって、機体の前後他側から突出するようにフロントヒッチ61が配置され、バランスウエイト62がフロントヒッチ61に嵌合可能なウエイト側嵌合部621が形成され、機体と前記バランスウエイト62とを地表面上に位置させて前記バランスウエイト62を機体に取付ける際において、ウエイト側嵌合部621におけるフロントヒッチ61への嵌合方向Eと、車輪30を中心として機体の前後他側を下げた際のフロントヒッチ61におけるウエイト側嵌合部621への嵌合方向Dとが、同一直線上に位置可能に構成される。
【解決手段】管理機1の前後一側と前後他側との間に車輪30が配置され、機体の前後一側に耕耘装置40が装着可能とされ、機体の前後他側にバランスウエイト62が取付けられる作業車両のバランスウエイト取付構造であって、機体の前後他側から突出するようにフロントヒッチ61が配置され、バランスウエイト62がフロントヒッチ61に嵌合可能なウエイト側嵌合部621が形成され、機体と前記バランスウエイト62とを地表面上に位置させて前記バランスウエイト62を機体に取付ける際において、ウエイト側嵌合部621におけるフロントヒッチ61への嵌合方向Eと、車輪30を中心として機体の前後他側を下げた際のフロントヒッチ61におけるウエイト側嵌合部621への嵌合方向Dとが、同一直線上に位置可能に構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両のバランスウエイト取付構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体の前後中央に車輪が配置され、機体の前後一側に作業機が装着可能とされる作業車両は、公知となっている。作業車両は、装着された作業機によって前後の重量バランスが崩れるため、重量バランスを適正とするために他側にバランスウエイトが装着される。
このバランスウエイトの装着性を向上させるため、様々な装着方法が提案されている。例えば、特許文献1に示す作業車両である管理機は、特に重量の大きなバランスウエイトを装着する際に、複数の重量の小さなバランスウエイトを管理機に装着することで作業者の負担を軽減している。
【0003】
しかし、当該管理機のバランスウエイト取付構造では、作業者がバランスウエイトを機体の前後他側の取付け位置まで持ち上げて、当該機体の前後他側に嵌合させて取付ける必要があったため、バランスウエイトの取付け作業が作業者の負担となるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−248306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、機体へのバランスウエイトの取付作業を容易に行うことができる作業車両のバランスウエイト取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、機体の前後一側と前後他側との間に車輪が配置され、前記機体の前後一側に作業機が装着可能とされ、前記機体の前後他側にバランスウエイトが取付けられる作業車両のバランスウエイト取付構造であって、前記機体の前後他側から突出するように機体側嵌合部が配置され、前記バランスウエイトが前記機体側嵌合部に嵌合可能なウエイト側嵌合部が形成され、前記機体と前記バランスウエイトとを地表面上に位置させて前記バランスウエイトを前記機体に取付ける際において、前記ウエイト側嵌合部における前記機体側嵌合部への嵌合方向と、前記車輪を中心として前記機体の前後他側を下げた際の前記機体側嵌合部における前記ウエイト側嵌合部への嵌合方向とが、同一直線上に位置可能に構成されるものである。
【0008】
請求項2においては、前記機体側嵌合部と前記ウエイト側嵌合部とに、それぞれ貫通孔が形成され、当該貫通孔を一致させた状態で当該貫通孔に挿入される規制部材を備えるものである。
【0009】
請求項3においては、前記機体側嵌合部または前記ウエイト側嵌合部のいずれか一方が、所定間隔をあけた上面と下面とを有し、前記機体側嵌合部または前記ウエイト側嵌合部のいずれか他方が、前記上面と前記下面との間に嵌装されることによって、前記機体の前後他側にバランスウエイトが取付けられるように構成されるとともに、下げた前記機体の前後他側を上げる際に前記機体の前後他側に前記バランスウエイトが取付けられた状態を保持可能に構成されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、バランスウエイトを持ち上げることなく、機体の前後一側を下げて機体側嵌合部にバランスウエイトを取付けることができるため、バランスウエイトと機体側嵌合部を容易に嵌合して機体に取付けることができる。
【0012】
請求項2においては、規制部材を貫通孔に挿入するだけで簡単に機体側嵌合部とウエイト側嵌合部の摺動を規制することができる。また、規制部材を貫通孔から抜き去るだけで簡単に摺動規制の解除をすることができる。延いては、バランスウエイトの着脱作業が容易に行うことができる。
【0013】
請求項3においては、機体の前後他側を下げた状態から上げる際に前記機体の前後他側に前記バランスウエイトが取付けられた状態を保持可能に構成されるため、バランスウエイトを固定する作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係る管理機の全体的な構成を示す側面図。
【図2】同じく管理機の全体的な構成を示す平面図。
【図3】フロントヒッチの構造を示す図。(a)フロントヒッチの平面図。(b)(a)におけるA−A線断面図。
【図4】バランスウエイトの後方斜視図。
【図5】バランスウエイトの構成を示す図。(a)バランスウエイトの平面図。(b)(a)におけるB−B線断面図。(c)バランスウエイトの側面図。
【図6】バランスウエイトと操作棒の構成を示す正面図。(a)バランスウエイトに操作棒を挿入する前の状態を示す正面図。(b)バランスウエイトに操作棒を挿入して設置した状態を示す正面図。
【図7】(a)バランスウエイトの構成を示す背面図。(b)図5の(a)におけるC−C線断面図。
【図8】規制部材の構成を示す図。
【図9】嵌合前のバランスウエイトと管理機の状態を示す部分断側面図。
【図10】地表面にバランスウエイトを設置した状態でフロントヒッチとバランスウエイトが嵌合した状態を示す部分断側面図。
【図11】規制部材の挿入部を貫装孔に挿入する状態を示す部分側断面図。
【図12】嵌合状態におけるフロントヒッチと管理機の状態を示す側面図。
【図13】規制部材の下端部にボルトを螺挿しようとする状態を示す部分断側面図。
【図14】バランスウエイトを取付けた管理機の状態を示す部分側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まずは、図1および図2を用いて、本発明に係る作業車両の実施の一形態である管理機1について説明する。なお、図中の矢印Fの方向を前方向と定義して説明を行う。
【0016】
管理機1は、各種の作業装置を機体に装着して、耕耘作業や中耕作業や除草作業や畝立て作業や播種作業等の農作業を行う歩行型管理機である。管理機1には、作業装置の一例としてロータリ式の耕耘装置40が装着される。
【0017】
管理機1は、機体フレーム11、エンジン12、伝動機構21、トランスミッション、車輪30・30、耕耘装置40、および操縦部50等を具備する。
【0018】
機体フレーム11は、管理機1の主たる構造体の一つである。機体フレーム11は複数の金属板を適宜組み合わせて溶接することにより構成される。
【0019】
エンジン12は、管理機1の動力源であって、機体フレーム11の前部にエンジン載置プレート11aを介して搭載される。トランスミッションは、上下方向を長手方向とするトランスミッションケース20内に設けられる。トランスミッションケース20は、その上前部をエンジン12の後方に配置される。伝動機構21はエンジン12とトランスミッションとの間に設けられる。
【0020】
エンジン12からの動力は、伝動機構21を介してトランスミッションケース20内のトランスミッションに伝達される。さらに、トランスミッションで動力は変速された後に車輪30・30及び耕耘装置40へ伝達可能とされる。
【0021】
車輪30.30は、トランスミッションケース20の下部から左右両側方に向けて突設される車軸31・31にそれぞれ固定される。車輪30・30は、側面視において管理機1の前後中央の下部に回転可能に配置される。
【0022】
耕耘装置40は、圃場を耕耘するためのものであり、主として耕耘軸43、耕耘カバー45、耕耘爪44、ロータリクラッチ、耕耘動力伝達機構(チェーンケース41の内側)を備え、左右の車輪30・30の後方に配置される。耕耘装置40はその前部に連結部が形成されており、機体フレーム11の後端に形成されたヒッチと連結することで機体に連結される。
【0023】
動力は、チェーンケース41内の耕耘動力伝達機構からロータリケース42内のロータリクラッチを介して、ロータリケース42の下部左右方へ突設される耕耘軸43へと伝達される。ロータリクラッチは、エンジン12からの動力をロータリ式耕耘装置40に対して伝達又は遮断するものであり、入り状態にある場合には動力伝達を可能とし、切り状態にある場合には動力伝達を遮断するものである。
【0024】
耕耘軸43の外周面には複数の耕耘爪44・44・・・が植設される。複数の耕耘爪44・44・・・は、その上部を耕耘カバー45により被覆される。耕耘装置40は、エンジン12からの動力を受けることによって、耕耘爪44・44・・・を回転させ、圃場面を耕耘する。
【0025】
操縦部50は、管理機1を走行および各種作業させるための種々の操作を行うためのものである。操縦部50は、支持体51、ハンドル52、グリップ53および種々の操作具を備える。操縦部50は、管理機1の機体(トランスミッションケース20)から後上方へ向かって突出され、耕耘装置40の上方に配置される。
【0026】
ハンドル52は、支持体51、左ハンドル52Lおよび右ハンドル52Rにより構成される。前記支持体51は、前端部がトランスミッションケース20上に水平回動可能に設けられて、後上方へ向かって突出される。支持体51の後上端部には、左ハンドル52Lと右ハンドル52Rとがハンドル高さ調節機構54を介して取付けられる。
【0027】
左ハンドル52Lは、支持体51から左後上方に突出され、右ハンドル52Rは支持体51から右後上方に突出される。左ハンドル52Lと右ハンドル52Rは、操縦部50の側面視において互いに略重複した状態で斜め前後方向に延在され、操縦部50の平面視において互いの間の左右幅が後方へ向かうに従って広がるように配置される。つまり、左ハンドル52Lと右ハンドル52Rは、支持体51ともに、操縦部50の平面視においてY字状をなすように配置される。左ハンドル52Lと右ハンドル52Rとの突出端は、左右方向に所定間隔をとって対向するように、耕耘装置40の後上方に配置される。
【0028】
左ハンドル52Lと右ハンドル52Rとの突出端には、それぞれ管理機1を操縦する際に作業者が手で握る部分である左グリップ53Lと右グリップ53Rが備えられる。ハンドル52は、支持体51を水平回動させることにより、ハンドル52が機体から延出する向きを前後に振り替えることができるように構成される。
【0029】
このような構成により、作業者は、機体からハンドル52の支持体51を介して後上方へ突出するハンドル52の左右のグリップ53L・53Rを把持しながら、各グリップ53L・53R近傍のレバー等を適宜に操作して、車輪30・30によって機体を走行させながら、耕耘装置40の耕耘爪44・44を回転駆動することによって圃場面を耕耘することができるようになっている。
【0030】
以下において、バランスウエイト62の取付構造について詳細に説明する。
【0031】
図1から図3に示すように、フロントヒッチ61は、機体の前側に形成される機体側嵌合部であって、バランスウエイト62を機体に取付けるためのものであり、バンパーを兼ねている。フロントヒッチ61は、板状の部材を適宜折り曲げることにより形成され、取付部61a、上部61bおよび下部61cを有する。フロントヒッチ61は、機体の前部から前方に突出するように配置される。
【0032】
取付部61aは、機体フレーム11の前端およびエンジン載置プレート11aの前端に溶接等で固定することで、フロントヒッチ61全体を機体側に取付けるための部分である。取付部61aは、車輪30・30および耕耘装置40を接地させた状態で、地表面Gに対して略鉛直となるように配置される。
【0033】
上部61bは、取付部61aの上端から前方に折り曲げられることによって延設される部分である。下部61cは、取付部61aの下端から前方へと折り曲げられことによって延設される部分である。上部61bおよび下部61cは互いに略水平となり同じ長さ前方に突出するように形成される。したがって、フロントヒッチ61全体は、側面視において前方に90度折り曲げて略横「U」字状に形成される。
さらに、上部61b及び下部61cの左右略中央部には、上下方向に同一軸心上に貫通する貫通孔61d・61eがそれぞれ形成される。
【0034】
バランスウエイト62の構造を説明する際の前後左右上下方向は、図14に示すような管理機1に取付けた状態での方向とする。
図1および図4から図7に示すバランスウエイト62は、管理機1に取付けることで、管理機1全体の前後方向の重心位置を変更して重量バランスを適正に保ち、管理機1の作業性・操縦性を確保するとともに、バンパーの役割とを果たすためのものである。バランスウエイト62は、フロントヒッチ61を介して機体フレーム11の前端に取付けられる。バランスウエイト62は、比重の重い金属で構成され、主として、嵌合部621、下保護部622、および上保護部623を有し、それらが一体的に形成される。
【0035】
上保護部623は、平面視において後方を開放した略「U」字状に形成される。下保護部622は、当該上保護部623の両側下部から後下方に延設される。嵌合部621は、当該上保護部623の後中央下部であって、左右の下保護部622間に形成される。各部の構成について以下に詳述する。
【0036】
嵌合部621は、フロントヒッチ61と嵌合することでバランスウエイト62全体をフロントヒッチ61に取付けるための部分である。嵌合部621は上面、下面、および後面が開放された略直方体状に形成される。嵌合部621の左右長さはフロントヒッチ61の左右幅よりも若干長く形成される。また、嵌合部621の上下高さは、フロントヒッチ61の上部61bと下部61cとの間(上下方向の内幅)よりも若干短くなるように形成される。嵌合部621の左右方向および前後方向の略中央には、バランスウエイト62がフロントヒッチ61に取付けられた際に、フロントヒッチ61の上部61bおよび下部61cの貫通孔に一致する位置に、上下方向に開孔された貫通孔621aが形成される。但し、貫通孔の数は二つ以上形成する構成であってもよい。その際、これら貫通孔の数に対応するように、フロントヒッチ側に貫通孔が形成される。
【0037】
下保護部622は、フロントヒッチ61を嵌合部621に取付けた際に、フロントヒッチ61と機体フレーム11の前部を保護するものであり、下保護部622は平面視において後方を開放した略「U」字状に形成される。
下保護部622は、前部622aと左右の延出部622b・622bとを備える。前部622aは左右の延出部622b・622bを後述する上保護部623と一体化させるための部分である。前部622aの前面は、側面視において前高後低となる傾斜面が形成され、フロントヒッチ61に取付ける際に、地表面Gと接触する接地面とされる。
【0038】
側面視において、この前部622aの前面と延出部622bの下面の延長線とがなす角度α(図5の(c)参照)は、図10に示すように、地表面G上のバランスウエイト62とフロントヒッチ61を嵌合させ、かつ、管理機1の後部が上がった状態(最も上がった状態)において、車輪30と耕耘爪44の先端の回動軌跡の共通接線(図10における車輪30の下端と耕耘爪44の先端の回動軌跡下端とを結ぶ線)と地表面Gとでなす角度βと略一致する角度となるように構成される。
【0039】
前部622aの左右上下中央部前面には、凹部622dが形成されている。凹部622dは、図5(b)に示すように、側面視略直角三角形状に切り欠かかれており、後述する前操作孔624を下方へ貫通し、前操作孔624に差し込んで固定した操作棒64の下端が前部622aよりも突出しないようにしている。
延出部622b・622bは、前部622aおよび嵌合部621の左右両側から楔状に後方へ突出するように形成される。
【0040】
図4から図7に示すように、延出部622bの上面は、側面視において、後下方へ下がる傾斜面として形成される。延出部622bの外側面は、平面視において、後方へ向うに従って本体左右中央へ傾斜し、後面視において、下方に向うに従って本体内下方へ窄む傾斜面として形成される。延出部622bの内側面は、嵌合部621の上面に対して略鉛直な平面として形成される。延出部622bの下面は、嵌合部621の上面に対して略水平な面として形成される。
【0041】
延出部622b・622bの下面の前後方向の長さと、前記前部622aの前面の前後方向の長さは略同じ長さとなるよう形成される。このように形成されることで、延出部622bと前部622aの境界部分の上方にバランスウエイト62の重心が位置し、前部622aの前面を地表面Gに設置させた状態(図9参照)、または延出部622bの下面を地表面Gに設置させた状態(図5(c)参照)で安定できるようにしている。
前記延出部622bの上面の傾斜角度は、前記前部622aの前面の傾斜角度と略同じ、つまり、略平行としている。下保護部622の下面は、前記嵌合部621の下面よりも所定の長さh1低くなるように形成される。この所定の長さh1はフロントヒッチ61の下部61cの板厚よりも長い長さである。
【0042】
上保護部623は、平面視において、嵌合部621を囲むように後方を開放した略「U」字状に形成される(図5の(a)参照)。上保護部623は、下保護部622の前上部に一体的に形成される。
上保護部623の内側面は、嵌合部621の上面の前辺および側辺からそれぞれ上外方へ広がるように傾斜面623b・623a・623bが形成される。つまり、図5の(b)に示すように、嵌合部621の前上面に連設する後傾斜面623aは、前方に向うに従って高くなる傾斜面として形成される。さらに、図7に示すように、嵌合部621の左右上面に連設する左右傾斜面623b・623bは、嵌合部621の左右上面から本体外方へ向うにつれて徐々に高くなるように形成される。
【0043】
このように構成することで、フロントヒッチ61に嵌合部621を嵌合して取付ける際に、フロントヒッチ61の側部を案内する役目を果たし、フロントヒッチ61に嵌合部621を嵌合した後は、フロントヒッチ61が左右方向に移動できず位置決めが容易にできるようにしている。ひいては、貫通孔61d・621a・61eを容易に一致させることができる。
【0044】
上保護部623の外側面は、中央側が高くなるような傾斜面とし、前面は後側が高くなるような傾斜面としている。また、下保護部622の外周面は下側が絞られた傾斜面としている。このように構成することにより、バランスウエイト62が、フロントヒッチ61に嵌合されると、フロントバンパーの役割を果たすとともに、図12に示すように、全体として、ラインが連続的となり、意匠性を向上した形状となっている。
【0045】
さらに、図4から図6に示すように、上保護部623の左右中央部に前操作孔624が上下方向に貫通するように開孔される。当該前操作孔624は、後述する操作棒64を挿入固定して、管理機1により作業を行うときに、操作棒64を握って左右に押し引きすることにより進行方向の微調整が容易にできるようにしている。前操作孔624は、上保護部623の前部の上面から下保護部622の凹部622dにかけて貫通する開孔である。前操作孔624は、平面視において、円孔624aと矩形孔624bの二種類の開孔が重なるように形成される。具体的には、円孔624aは、上保護部623の前部の左右中央に形成される。矩形孔624bは、円孔624aの直径よりも前後方向の長さが若干短くかつ、左右方向の長さが若干長く、その中央を円孔624aに重なるように形成される。さらに、前操作孔624の下端には、平面視において略同じ形状の操作棒係止部624cがその長手方向を矩形孔624bに対して直角となるように配置される。操作棒係止部624cは凹部622dと面しており、その上下高さは、後述する操作棒64の下係止部64bが嵌る高さに形成される。
【0046】
操作棒64は、前操作孔624に挿入することで管理機1による作業の際に、進行方向の微調整を行うためのものである。操作棒64は、メインシャフト64aと下係止部64bと上係止部64cと握り部64dと付勢部材64eによって構成される。メインシャフト64aは、円孔624aの径よりも若干小さな径を有する円柱状の部分である。下係止部64bは、メインシャフト64aの下端部に、メインシャフト64aに直交して嵌挿されたピンによって形成される。当該下係止部64bは前記操作棒係止部624cに係合できる大きさとしている。上係止部64cは、メインシャフト64aの上下中途部に、メインシャフト64aに直交して嵌挿されたピン、または、外嵌できる大きさのリングにより形成される。握り部64dは、シャフトによって構成され、当該シャフトの軸心方向をメインシャフト64aの軸心方向に対して直交させて、シャフトの左右中央部をメインシャフト64aの上端部に固設される。したがって、操作棒64は全体として略T字状に構成される。付勢部材64eは圧縮バネで構成され、下係止部64bと上係止部64cとの間のメインシャフト64aに外嵌される。
【0047】
このような構成において、操作棒64は、その下端部である下係止部64bを前操作孔624の矩形孔624bに位置させながら挿入するとともに、メインシャフト64aを円孔624aに沿って挿入する(図6の(a)太矢印参照)。さらに、操作棒64の下端が凹部622dまで達すると、操作棒64を平面視において略90度回転させて(図6の(b)太矢印参照)、操作棒係止部624cに下係止部64bが係合するようにする。そうすることで、操作棒64は付勢部材64eの付勢力によって上係止部64cを介して上方へと持ち上げられ、操作棒係止部624cに下係止部64bが係合した状態に保持される。そして、作業時において、ハンドル52に設けたサイドクラッチレバーの操作だけでは所望の進行方向に進行しない場合には、管理機1の前方に回り込んで、操作棒64を握って押し引きして進行方向微調整を行うのである。
【0048】
本実施形態のバランスウエイト62の前部には、管理機1の走行時の歪みを補正するための操作棒64を挿入可能とする前操作孔624が形成されている。しかし、この前操作孔624が形成されず、凹部622dも形成されていない連続した面を有する設置面が形成されていてもてもよい。
【0049】
図8に示す規制部材63は、フロントヒッチ61にバランスウエイト62を嵌合した状態で固定するための部材である。規制部材63は、主として挿入部63a、係止部63b、手掛部63cによって構成される。
【0050】
挿入部63aは、図8および図11に示すように、前記フロントヒッチ61およびバランスウエイト62が嵌合し、かつ、貫通孔61d・621a・61eを平面視において略一致した状態で、その貫通孔61d・621a・61eに挿入される部分である。挿入部63aは、貫通孔61dよりも若干小さな径の円筒状の部材によって構成され、その下端部の外周面にはネジ山が形成される。
【0051】
係止部63bは、挿入部63aが貫通孔61d・621a・61e内に配置できるように抜け止めの役割を果たすものである。係止部63bは、貫通孔61dよりも径が若干大きく形成された円筒状の部材であって、その軸心方向を挿入部63aの軸心方向と同じとて、その下面を挿入部63aの上端面に溶接等によって固設される。
【0052】
手掛部63cは、作業者が貫通孔61d・621a・61eに規制部材63を挿入し易いようにするための部分である。手掛部63cは、丸棒などの棒材によって構成され、その軸心方向が取付部61aおよび係止部63bの軸心方向に垂直になるようにその一端部の外周面の一部が係止部63bの上面に溶接等によって固設される。手掛部63cの中途部から他端にかけては、一端部に対して所定角度上方に折り曲げられる。
【0053】
なお、規制部材63の形状は本実施形態に係るものに限るものではなく、例えば板材や、棒材と板材とを組み合わせて形成することも可能であり、フロントヒッチ61に対してバランスウエイト62を固定できるものであればよい。
【0054】
以下では、前述の如く構成されるフロントヒッチ61に対するバランスウエイト62の取付け方法について詳細に説明する。
【0055】
まず、図1に示すように、管理機1の前下方の地表面G上に、バランスウエイト62の前部622aの前面を接地させ、嵌合部621の後面が後上方を向くように配設する(図9参照)。
【0056】
そして、作業者は、図9に示すように、管理機1のハンドル52を持ち上げて、機体前部を下げた状態とする。つまり、管理機1は、車輪30の車軸31を中心として前記機体の下部を下げた状態とする。この状態は、バランスウエイト62の嵌合部621に対する機体側嵌合部である上部61b及び下部61cへの嵌合方向D(図1参照)と、上部61bおよび下部61cに対するバランスウエイト62の嵌合方向Eとが、略同一直線上に位置する。この状態から作業者は、管理機1を前進させるだけで、図10に示すように、フロントヒッチ61とバランスウエイト62とを嵌合させることができる。
【0057】
ここで、嵌合方向D・Eがずれていたとしても、左右傾斜面623b・623bが成す左右間隔は、下方に向うにしたがって短くなるように形成されている(図7参照)。そのため、傾斜面623bに上部61bの左右一端が接触し、その傾斜面623bに沿うように上部61bを移動させれば、嵌合部621およびフロントヒッチ61の上部61bおよび下部61cのフロントヒッチ61の上部61bを嵌合部621の上面に接触するように構成される。したがって、フロントヒッチ61が嵌合部621の上下面に接触した段階で、嵌合方向D・Eは略同一直線状に位置される。
【0058】
フロントヒッチ61とバランスウエイト62が嵌合すると、図10に示すように、フロントヒッチ61の上部61bの後下面にバランスウエイト62の嵌合部621の後上面が当接し、フロントヒッチ61の下部61cの前上面にバランスウエイト62の嵌合部621の前下面が当接する。この状態では、管理機1を後方へ移動させない限り、フロントヒッチ61とバランスウエイト62は外れることはない。そして、バランスウエイトおよび管理機1は全体として前後方向の重量バランスが車軸31上または前方に位置することとなる。したがって、耕耘装置40の重量によって機体の後側が下がることはなく、管理機1はハンドル52を持ち上げた状態を保持することができる。
【0059】
この状態で作業者は、機体後方から機体前方にまわり、フロントヒッチ61およびバランスウエイト62に規制部材63を取付ける。具体的には、図11に示すように、作業者は、フロントヒッチ61の貫通孔61d・61eとバランスウエイト62の貫通孔621aを平面視において略一致させた状態で、それら貫通孔61d・621a・61eにバランスウエイト62の前上方から規制部材63の挿入部63aを挿入する(図11の太矢印参照)。
【0060】
そして、ハンドル52を押し下げて、または、バランスウエイト62を持ち上げて図12に示す管理機1の状態とする。そして図13に示すように、規制部材63の係止部63bの下面がフロントヒッチ61の上部61bの上面と当接した状態で、挿入部63aのネジ山にナット63dを螺挿して締結させることで、図14に示すように、フロントヒッチ61およびバランスウエイト62が抜け落ちることを防止する。
【0061】
図12および図14に示すように、機体に取付けられたバランスウエイト62は、機体フレーム11の前端部の外周を囲むように配置される。したがって、作業中に管理機1全体が前方に傾斜したとしても、機体前部を保護することができる。
【0062】
さらに、バランスウエイトを管理機1から取り外す際は、前記過程の逆の操作を行うことで容易におこなうことができる。
【0063】
また、上記構成では、フロントヒッチ61に上面および下面を有する嵌合部である上部および下部を形成するように構成している。フロントヒッチ61およびバランスウエイト62の嵌合部の形状を逆に形成してもよい。つまり、バランスウエイト側に上面および下面を有するように嵌合部を形成し、フロントヒッチがそれら上面および下面に嵌合するように構成してもよい。
【0064】
以上の如く、本実施形態のバランスウエイト取付構造は、
機体(管理機1)の前後一側と前後他側との間に車輪30が配置され、前記機体の前後一側に作業機(耕耘装置40)が装着可能とされ、前記機体の前後他側にバランスウエイト62が取付けられる作業車両のバランスウエイト取付構造であって、
前記機体の前後他側から突出するように機体側嵌合部(フロントヒッチ61)が配置され、前記バランスウエイト62が前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)に嵌合可能なウエイト側嵌合部621が形成され、
前記機体と前記バランスウエイト62とを地表面上に位置させて前記バランスウエイト62を前記機体に取付ける際において、
前記ウエイト側嵌合部621における前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)への嵌合方向Eと、前記車輪30を中心として前記機体の前後他側を下げた際の前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)における前記ウエイト側嵌合部621への嵌合方向Dとが、同一直線上に位置可能に構成されるものである。
【0065】
このように構成することにより、バランスウエイト62を持ち上げることなく、機体の前後一側を下げて機体側嵌合部(フロントヒッチ61)にバランスウエイトを取付けることができるため、バランスウエイト62と機体側嵌合部(フロントヒッチ61)を容易に嵌合して機体に取付けることができる。
【0066】
本実施形態のバランスウエイト取付構造は、前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)と前記ウエイト側嵌合部621とに、それぞれ貫通孔61d・61e・621aが形成され、
当該貫通孔61d・61e・621aを一致させた状態で当該貫通孔61d・61e・621aに挿入される規制部材63を備えるものである。
【0067】
このように構成することにより、規制部材63を貫通孔61d・61e・621aに挿入するだけで簡単に機体側嵌合部(フロントヒッチ61)とウエイト側嵌合部621の摺動を規制することができる。また、規制部材63を貫通孔61d・61e・621aから抜き去るだけで簡単に摺動規制の解除をすることができる。延いては、バランスウエイトの着脱作業が容易に行うことができる。
【0068】
本実施形態のバランスウエイト取付構造は、
前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)または前記ウエイト側嵌合部621のいずれか一方が、所定間隔をあけた(下部61cの)上面と(上部61bの)下面とを有し、前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)または前記ウエイト側嵌合部621のいずれか他方が、前記上面と前記下面との間に嵌装されることによって、前記機体の前後他側にバランスウエイト62が取付けられるように構成されるとともに、下げた前記機体の前後他側を上げる際に前記機体の前後他側に前記バランスウエイト62が取付けられた状態を保持可能に構成されるものである。
【0069】
このように構成することにより、機体の前後他側を下げた状態から上げる際に前記機体の前後他側に前記バランスウエイト62が取付けられた状態を保持可能に構成されるため、バランスウエイト62を固定する作業(規制部材63で固定する作業)を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
1 管理機
30 車輪
40 耕耘装置(作業機)
61 フロントヒッチ(機体側嵌合部)
61b 上部
61c 下部
61d 貫通孔
61e 貫通孔
621a 貫通孔
62 バランスウエイト
63 固定部材
621 嵌合部(ウエイト側嵌合部)
D 嵌合方向
E 嵌合方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両のバランスウエイト取付構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体の前後中央に車輪が配置され、機体の前後一側に作業機が装着可能とされる作業車両は、公知となっている。作業車両は、装着された作業機によって前後の重量バランスが崩れるため、重量バランスを適正とするために他側にバランスウエイトが装着される。
このバランスウエイトの装着性を向上させるため、様々な装着方法が提案されている。例えば、特許文献1に示す作業車両である管理機は、特に重量の大きなバランスウエイトを装着する際に、複数の重量の小さなバランスウエイトを管理機に装着することで作業者の負担を軽減している。
【0003】
しかし、当該管理機のバランスウエイト取付構造では、作業者がバランスウエイトを機体の前後他側の取付け位置まで持ち上げて、当該機体の前後他側に嵌合させて取付ける必要があったため、バランスウエイトの取付け作業が作業者の負担となるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−248306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、機体へのバランスウエイトの取付作業を容易に行うことができる作業車両のバランスウエイト取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、機体の前後一側と前後他側との間に車輪が配置され、前記機体の前後一側に作業機が装着可能とされ、前記機体の前後他側にバランスウエイトが取付けられる作業車両のバランスウエイト取付構造であって、前記機体の前後他側から突出するように機体側嵌合部が配置され、前記バランスウエイトが前記機体側嵌合部に嵌合可能なウエイト側嵌合部が形成され、前記機体と前記バランスウエイトとを地表面上に位置させて前記バランスウエイトを前記機体に取付ける際において、前記ウエイト側嵌合部における前記機体側嵌合部への嵌合方向と、前記車輪を中心として前記機体の前後他側を下げた際の前記機体側嵌合部における前記ウエイト側嵌合部への嵌合方向とが、同一直線上に位置可能に構成されるものである。
【0008】
請求項2においては、前記機体側嵌合部と前記ウエイト側嵌合部とに、それぞれ貫通孔が形成され、当該貫通孔を一致させた状態で当該貫通孔に挿入される規制部材を備えるものである。
【0009】
請求項3においては、前記機体側嵌合部または前記ウエイト側嵌合部のいずれか一方が、所定間隔をあけた上面と下面とを有し、前記機体側嵌合部または前記ウエイト側嵌合部のいずれか他方が、前記上面と前記下面との間に嵌装されることによって、前記機体の前後他側にバランスウエイトが取付けられるように構成されるとともに、下げた前記機体の前後他側を上げる際に前記機体の前後他側に前記バランスウエイトが取付けられた状態を保持可能に構成されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、バランスウエイトを持ち上げることなく、機体の前後一側を下げて機体側嵌合部にバランスウエイトを取付けることができるため、バランスウエイトと機体側嵌合部を容易に嵌合して機体に取付けることができる。
【0012】
請求項2においては、規制部材を貫通孔に挿入するだけで簡単に機体側嵌合部とウエイト側嵌合部の摺動を規制することができる。また、規制部材を貫通孔から抜き去るだけで簡単に摺動規制の解除をすることができる。延いては、バランスウエイトの着脱作業が容易に行うことができる。
【0013】
請求項3においては、機体の前後他側を下げた状態から上げる際に前記機体の前後他側に前記バランスウエイトが取付けられた状態を保持可能に構成されるため、バランスウエイトを固定する作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係る管理機の全体的な構成を示す側面図。
【図2】同じく管理機の全体的な構成を示す平面図。
【図3】フロントヒッチの構造を示す図。(a)フロントヒッチの平面図。(b)(a)におけるA−A線断面図。
【図4】バランスウエイトの後方斜視図。
【図5】バランスウエイトの構成を示す図。(a)バランスウエイトの平面図。(b)(a)におけるB−B線断面図。(c)バランスウエイトの側面図。
【図6】バランスウエイトと操作棒の構成を示す正面図。(a)バランスウエイトに操作棒を挿入する前の状態を示す正面図。(b)バランスウエイトに操作棒を挿入して設置した状態を示す正面図。
【図7】(a)バランスウエイトの構成を示す背面図。(b)図5の(a)におけるC−C線断面図。
【図8】規制部材の構成を示す図。
【図9】嵌合前のバランスウエイトと管理機の状態を示す部分断側面図。
【図10】地表面にバランスウエイトを設置した状態でフロントヒッチとバランスウエイトが嵌合した状態を示す部分断側面図。
【図11】規制部材の挿入部を貫装孔に挿入する状態を示す部分側断面図。
【図12】嵌合状態におけるフロントヒッチと管理機の状態を示す側面図。
【図13】規制部材の下端部にボルトを螺挿しようとする状態を示す部分断側面図。
【図14】バランスウエイトを取付けた管理機の状態を示す部分側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まずは、図1および図2を用いて、本発明に係る作業車両の実施の一形態である管理機1について説明する。なお、図中の矢印Fの方向を前方向と定義して説明を行う。
【0016】
管理機1は、各種の作業装置を機体に装着して、耕耘作業や中耕作業や除草作業や畝立て作業や播種作業等の農作業を行う歩行型管理機である。管理機1には、作業装置の一例としてロータリ式の耕耘装置40が装着される。
【0017】
管理機1は、機体フレーム11、エンジン12、伝動機構21、トランスミッション、車輪30・30、耕耘装置40、および操縦部50等を具備する。
【0018】
機体フレーム11は、管理機1の主たる構造体の一つである。機体フレーム11は複数の金属板を適宜組み合わせて溶接することにより構成される。
【0019】
エンジン12は、管理機1の動力源であって、機体フレーム11の前部にエンジン載置プレート11aを介して搭載される。トランスミッションは、上下方向を長手方向とするトランスミッションケース20内に設けられる。トランスミッションケース20は、その上前部をエンジン12の後方に配置される。伝動機構21はエンジン12とトランスミッションとの間に設けられる。
【0020】
エンジン12からの動力は、伝動機構21を介してトランスミッションケース20内のトランスミッションに伝達される。さらに、トランスミッションで動力は変速された後に車輪30・30及び耕耘装置40へ伝達可能とされる。
【0021】
車輪30.30は、トランスミッションケース20の下部から左右両側方に向けて突設される車軸31・31にそれぞれ固定される。車輪30・30は、側面視において管理機1の前後中央の下部に回転可能に配置される。
【0022】
耕耘装置40は、圃場を耕耘するためのものであり、主として耕耘軸43、耕耘カバー45、耕耘爪44、ロータリクラッチ、耕耘動力伝達機構(チェーンケース41の内側)を備え、左右の車輪30・30の後方に配置される。耕耘装置40はその前部に連結部が形成されており、機体フレーム11の後端に形成されたヒッチと連結することで機体に連結される。
【0023】
動力は、チェーンケース41内の耕耘動力伝達機構からロータリケース42内のロータリクラッチを介して、ロータリケース42の下部左右方へ突設される耕耘軸43へと伝達される。ロータリクラッチは、エンジン12からの動力をロータリ式耕耘装置40に対して伝達又は遮断するものであり、入り状態にある場合には動力伝達を可能とし、切り状態にある場合には動力伝達を遮断するものである。
【0024】
耕耘軸43の外周面には複数の耕耘爪44・44・・・が植設される。複数の耕耘爪44・44・・・は、その上部を耕耘カバー45により被覆される。耕耘装置40は、エンジン12からの動力を受けることによって、耕耘爪44・44・・・を回転させ、圃場面を耕耘する。
【0025】
操縦部50は、管理機1を走行および各種作業させるための種々の操作を行うためのものである。操縦部50は、支持体51、ハンドル52、グリップ53および種々の操作具を備える。操縦部50は、管理機1の機体(トランスミッションケース20)から後上方へ向かって突出され、耕耘装置40の上方に配置される。
【0026】
ハンドル52は、支持体51、左ハンドル52Lおよび右ハンドル52Rにより構成される。前記支持体51は、前端部がトランスミッションケース20上に水平回動可能に設けられて、後上方へ向かって突出される。支持体51の後上端部には、左ハンドル52Lと右ハンドル52Rとがハンドル高さ調節機構54を介して取付けられる。
【0027】
左ハンドル52Lは、支持体51から左後上方に突出され、右ハンドル52Rは支持体51から右後上方に突出される。左ハンドル52Lと右ハンドル52Rは、操縦部50の側面視において互いに略重複した状態で斜め前後方向に延在され、操縦部50の平面視において互いの間の左右幅が後方へ向かうに従って広がるように配置される。つまり、左ハンドル52Lと右ハンドル52Rは、支持体51ともに、操縦部50の平面視においてY字状をなすように配置される。左ハンドル52Lと右ハンドル52Rとの突出端は、左右方向に所定間隔をとって対向するように、耕耘装置40の後上方に配置される。
【0028】
左ハンドル52Lと右ハンドル52Rとの突出端には、それぞれ管理機1を操縦する際に作業者が手で握る部分である左グリップ53Lと右グリップ53Rが備えられる。ハンドル52は、支持体51を水平回動させることにより、ハンドル52が機体から延出する向きを前後に振り替えることができるように構成される。
【0029】
このような構成により、作業者は、機体からハンドル52の支持体51を介して後上方へ突出するハンドル52の左右のグリップ53L・53Rを把持しながら、各グリップ53L・53R近傍のレバー等を適宜に操作して、車輪30・30によって機体を走行させながら、耕耘装置40の耕耘爪44・44を回転駆動することによって圃場面を耕耘することができるようになっている。
【0030】
以下において、バランスウエイト62の取付構造について詳細に説明する。
【0031】
図1から図3に示すように、フロントヒッチ61は、機体の前側に形成される機体側嵌合部であって、バランスウエイト62を機体に取付けるためのものであり、バンパーを兼ねている。フロントヒッチ61は、板状の部材を適宜折り曲げることにより形成され、取付部61a、上部61bおよび下部61cを有する。フロントヒッチ61は、機体の前部から前方に突出するように配置される。
【0032】
取付部61aは、機体フレーム11の前端およびエンジン載置プレート11aの前端に溶接等で固定することで、フロントヒッチ61全体を機体側に取付けるための部分である。取付部61aは、車輪30・30および耕耘装置40を接地させた状態で、地表面Gに対して略鉛直となるように配置される。
【0033】
上部61bは、取付部61aの上端から前方に折り曲げられることによって延設される部分である。下部61cは、取付部61aの下端から前方へと折り曲げられことによって延設される部分である。上部61bおよび下部61cは互いに略水平となり同じ長さ前方に突出するように形成される。したがって、フロントヒッチ61全体は、側面視において前方に90度折り曲げて略横「U」字状に形成される。
さらに、上部61b及び下部61cの左右略中央部には、上下方向に同一軸心上に貫通する貫通孔61d・61eがそれぞれ形成される。
【0034】
バランスウエイト62の構造を説明する際の前後左右上下方向は、図14に示すような管理機1に取付けた状態での方向とする。
図1および図4から図7に示すバランスウエイト62は、管理機1に取付けることで、管理機1全体の前後方向の重心位置を変更して重量バランスを適正に保ち、管理機1の作業性・操縦性を確保するとともに、バンパーの役割とを果たすためのものである。バランスウエイト62は、フロントヒッチ61を介して機体フレーム11の前端に取付けられる。バランスウエイト62は、比重の重い金属で構成され、主として、嵌合部621、下保護部622、および上保護部623を有し、それらが一体的に形成される。
【0035】
上保護部623は、平面視において後方を開放した略「U」字状に形成される。下保護部622は、当該上保護部623の両側下部から後下方に延設される。嵌合部621は、当該上保護部623の後中央下部であって、左右の下保護部622間に形成される。各部の構成について以下に詳述する。
【0036】
嵌合部621は、フロントヒッチ61と嵌合することでバランスウエイト62全体をフロントヒッチ61に取付けるための部分である。嵌合部621は上面、下面、および後面が開放された略直方体状に形成される。嵌合部621の左右長さはフロントヒッチ61の左右幅よりも若干長く形成される。また、嵌合部621の上下高さは、フロントヒッチ61の上部61bと下部61cとの間(上下方向の内幅)よりも若干短くなるように形成される。嵌合部621の左右方向および前後方向の略中央には、バランスウエイト62がフロントヒッチ61に取付けられた際に、フロントヒッチ61の上部61bおよび下部61cの貫通孔に一致する位置に、上下方向に開孔された貫通孔621aが形成される。但し、貫通孔の数は二つ以上形成する構成であってもよい。その際、これら貫通孔の数に対応するように、フロントヒッチ側に貫通孔が形成される。
【0037】
下保護部622は、フロントヒッチ61を嵌合部621に取付けた際に、フロントヒッチ61と機体フレーム11の前部を保護するものであり、下保護部622は平面視において後方を開放した略「U」字状に形成される。
下保護部622は、前部622aと左右の延出部622b・622bとを備える。前部622aは左右の延出部622b・622bを後述する上保護部623と一体化させるための部分である。前部622aの前面は、側面視において前高後低となる傾斜面が形成され、フロントヒッチ61に取付ける際に、地表面Gと接触する接地面とされる。
【0038】
側面視において、この前部622aの前面と延出部622bの下面の延長線とがなす角度α(図5の(c)参照)は、図10に示すように、地表面G上のバランスウエイト62とフロントヒッチ61を嵌合させ、かつ、管理機1の後部が上がった状態(最も上がった状態)において、車輪30と耕耘爪44の先端の回動軌跡の共通接線(図10における車輪30の下端と耕耘爪44の先端の回動軌跡下端とを結ぶ線)と地表面Gとでなす角度βと略一致する角度となるように構成される。
【0039】
前部622aの左右上下中央部前面には、凹部622dが形成されている。凹部622dは、図5(b)に示すように、側面視略直角三角形状に切り欠かかれており、後述する前操作孔624を下方へ貫通し、前操作孔624に差し込んで固定した操作棒64の下端が前部622aよりも突出しないようにしている。
延出部622b・622bは、前部622aおよび嵌合部621の左右両側から楔状に後方へ突出するように形成される。
【0040】
図4から図7に示すように、延出部622bの上面は、側面視において、後下方へ下がる傾斜面として形成される。延出部622bの外側面は、平面視において、後方へ向うに従って本体左右中央へ傾斜し、後面視において、下方に向うに従って本体内下方へ窄む傾斜面として形成される。延出部622bの内側面は、嵌合部621の上面に対して略鉛直な平面として形成される。延出部622bの下面は、嵌合部621の上面に対して略水平な面として形成される。
【0041】
延出部622b・622bの下面の前後方向の長さと、前記前部622aの前面の前後方向の長さは略同じ長さとなるよう形成される。このように形成されることで、延出部622bと前部622aの境界部分の上方にバランスウエイト62の重心が位置し、前部622aの前面を地表面Gに設置させた状態(図9参照)、または延出部622bの下面を地表面Gに設置させた状態(図5(c)参照)で安定できるようにしている。
前記延出部622bの上面の傾斜角度は、前記前部622aの前面の傾斜角度と略同じ、つまり、略平行としている。下保護部622の下面は、前記嵌合部621の下面よりも所定の長さh1低くなるように形成される。この所定の長さh1はフロントヒッチ61の下部61cの板厚よりも長い長さである。
【0042】
上保護部623は、平面視において、嵌合部621を囲むように後方を開放した略「U」字状に形成される(図5の(a)参照)。上保護部623は、下保護部622の前上部に一体的に形成される。
上保護部623の内側面は、嵌合部621の上面の前辺および側辺からそれぞれ上外方へ広がるように傾斜面623b・623a・623bが形成される。つまり、図5の(b)に示すように、嵌合部621の前上面に連設する後傾斜面623aは、前方に向うに従って高くなる傾斜面として形成される。さらに、図7に示すように、嵌合部621の左右上面に連設する左右傾斜面623b・623bは、嵌合部621の左右上面から本体外方へ向うにつれて徐々に高くなるように形成される。
【0043】
このように構成することで、フロントヒッチ61に嵌合部621を嵌合して取付ける際に、フロントヒッチ61の側部を案内する役目を果たし、フロントヒッチ61に嵌合部621を嵌合した後は、フロントヒッチ61が左右方向に移動できず位置決めが容易にできるようにしている。ひいては、貫通孔61d・621a・61eを容易に一致させることができる。
【0044】
上保護部623の外側面は、中央側が高くなるような傾斜面とし、前面は後側が高くなるような傾斜面としている。また、下保護部622の外周面は下側が絞られた傾斜面としている。このように構成することにより、バランスウエイト62が、フロントヒッチ61に嵌合されると、フロントバンパーの役割を果たすとともに、図12に示すように、全体として、ラインが連続的となり、意匠性を向上した形状となっている。
【0045】
さらに、図4から図6に示すように、上保護部623の左右中央部に前操作孔624が上下方向に貫通するように開孔される。当該前操作孔624は、後述する操作棒64を挿入固定して、管理機1により作業を行うときに、操作棒64を握って左右に押し引きすることにより進行方向の微調整が容易にできるようにしている。前操作孔624は、上保護部623の前部の上面から下保護部622の凹部622dにかけて貫通する開孔である。前操作孔624は、平面視において、円孔624aと矩形孔624bの二種類の開孔が重なるように形成される。具体的には、円孔624aは、上保護部623の前部の左右中央に形成される。矩形孔624bは、円孔624aの直径よりも前後方向の長さが若干短くかつ、左右方向の長さが若干長く、その中央を円孔624aに重なるように形成される。さらに、前操作孔624の下端には、平面視において略同じ形状の操作棒係止部624cがその長手方向を矩形孔624bに対して直角となるように配置される。操作棒係止部624cは凹部622dと面しており、その上下高さは、後述する操作棒64の下係止部64bが嵌る高さに形成される。
【0046】
操作棒64は、前操作孔624に挿入することで管理機1による作業の際に、進行方向の微調整を行うためのものである。操作棒64は、メインシャフト64aと下係止部64bと上係止部64cと握り部64dと付勢部材64eによって構成される。メインシャフト64aは、円孔624aの径よりも若干小さな径を有する円柱状の部分である。下係止部64bは、メインシャフト64aの下端部に、メインシャフト64aに直交して嵌挿されたピンによって形成される。当該下係止部64bは前記操作棒係止部624cに係合できる大きさとしている。上係止部64cは、メインシャフト64aの上下中途部に、メインシャフト64aに直交して嵌挿されたピン、または、外嵌できる大きさのリングにより形成される。握り部64dは、シャフトによって構成され、当該シャフトの軸心方向をメインシャフト64aの軸心方向に対して直交させて、シャフトの左右中央部をメインシャフト64aの上端部に固設される。したがって、操作棒64は全体として略T字状に構成される。付勢部材64eは圧縮バネで構成され、下係止部64bと上係止部64cとの間のメインシャフト64aに外嵌される。
【0047】
このような構成において、操作棒64は、その下端部である下係止部64bを前操作孔624の矩形孔624bに位置させながら挿入するとともに、メインシャフト64aを円孔624aに沿って挿入する(図6の(a)太矢印参照)。さらに、操作棒64の下端が凹部622dまで達すると、操作棒64を平面視において略90度回転させて(図6の(b)太矢印参照)、操作棒係止部624cに下係止部64bが係合するようにする。そうすることで、操作棒64は付勢部材64eの付勢力によって上係止部64cを介して上方へと持ち上げられ、操作棒係止部624cに下係止部64bが係合した状態に保持される。そして、作業時において、ハンドル52に設けたサイドクラッチレバーの操作だけでは所望の進行方向に進行しない場合には、管理機1の前方に回り込んで、操作棒64を握って押し引きして進行方向微調整を行うのである。
【0048】
本実施形態のバランスウエイト62の前部には、管理機1の走行時の歪みを補正するための操作棒64を挿入可能とする前操作孔624が形成されている。しかし、この前操作孔624が形成されず、凹部622dも形成されていない連続した面を有する設置面が形成されていてもてもよい。
【0049】
図8に示す規制部材63は、フロントヒッチ61にバランスウエイト62を嵌合した状態で固定するための部材である。規制部材63は、主として挿入部63a、係止部63b、手掛部63cによって構成される。
【0050】
挿入部63aは、図8および図11に示すように、前記フロントヒッチ61およびバランスウエイト62が嵌合し、かつ、貫通孔61d・621a・61eを平面視において略一致した状態で、その貫通孔61d・621a・61eに挿入される部分である。挿入部63aは、貫通孔61dよりも若干小さな径の円筒状の部材によって構成され、その下端部の外周面にはネジ山が形成される。
【0051】
係止部63bは、挿入部63aが貫通孔61d・621a・61e内に配置できるように抜け止めの役割を果たすものである。係止部63bは、貫通孔61dよりも径が若干大きく形成された円筒状の部材であって、その軸心方向を挿入部63aの軸心方向と同じとて、その下面を挿入部63aの上端面に溶接等によって固設される。
【0052】
手掛部63cは、作業者が貫通孔61d・621a・61eに規制部材63を挿入し易いようにするための部分である。手掛部63cは、丸棒などの棒材によって構成され、その軸心方向が取付部61aおよび係止部63bの軸心方向に垂直になるようにその一端部の外周面の一部が係止部63bの上面に溶接等によって固設される。手掛部63cの中途部から他端にかけては、一端部に対して所定角度上方に折り曲げられる。
【0053】
なお、規制部材63の形状は本実施形態に係るものに限るものではなく、例えば板材や、棒材と板材とを組み合わせて形成することも可能であり、フロントヒッチ61に対してバランスウエイト62を固定できるものであればよい。
【0054】
以下では、前述の如く構成されるフロントヒッチ61に対するバランスウエイト62の取付け方法について詳細に説明する。
【0055】
まず、図1に示すように、管理機1の前下方の地表面G上に、バランスウエイト62の前部622aの前面を接地させ、嵌合部621の後面が後上方を向くように配設する(図9参照)。
【0056】
そして、作業者は、図9に示すように、管理機1のハンドル52を持ち上げて、機体前部を下げた状態とする。つまり、管理機1は、車輪30の車軸31を中心として前記機体の下部を下げた状態とする。この状態は、バランスウエイト62の嵌合部621に対する機体側嵌合部である上部61b及び下部61cへの嵌合方向D(図1参照)と、上部61bおよび下部61cに対するバランスウエイト62の嵌合方向Eとが、略同一直線上に位置する。この状態から作業者は、管理機1を前進させるだけで、図10に示すように、フロントヒッチ61とバランスウエイト62とを嵌合させることができる。
【0057】
ここで、嵌合方向D・Eがずれていたとしても、左右傾斜面623b・623bが成す左右間隔は、下方に向うにしたがって短くなるように形成されている(図7参照)。そのため、傾斜面623bに上部61bの左右一端が接触し、その傾斜面623bに沿うように上部61bを移動させれば、嵌合部621およびフロントヒッチ61の上部61bおよび下部61cのフロントヒッチ61の上部61bを嵌合部621の上面に接触するように構成される。したがって、フロントヒッチ61が嵌合部621の上下面に接触した段階で、嵌合方向D・Eは略同一直線状に位置される。
【0058】
フロントヒッチ61とバランスウエイト62が嵌合すると、図10に示すように、フロントヒッチ61の上部61bの後下面にバランスウエイト62の嵌合部621の後上面が当接し、フロントヒッチ61の下部61cの前上面にバランスウエイト62の嵌合部621の前下面が当接する。この状態では、管理機1を後方へ移動させない限り、フロントヒッチ61とバランスウエイト62は外れることはない。そして、バランスウエイトおよび管理機1は全体として前後方向の重量バランスが車軸31上または前方に位置することとなる。したがって、耕耘装置40の重量によって機体の後側が下がることはなく、管理機1はハンドル52を持ち上げた状態を保持することができる。
【0059】
この状態で作業者は、機体後方から機体前方にまわり、フロントヒッチ61およびバランスウエイト62に規制部材63を取付ける。具体的には、図11に示すように、作業者は、フロントヒッチ61の貫通孔61d・61eとバランスウエイト62の貫通孔621aを平面視において略一致させた状態で、それら貫通孔61d・621a・61eにバランスウエイト62の前上方から規制部材63の挿入部63aを挿入する(図11の太矢印参照)。
【0060】
そして、ハンドル52を押し下げて、または、バランスウエイト62を持ち上げて図12に示す管理機1の状態とする。そして図13に示すように、規制部材63の係止部63bの下面がフロントヒッチ61の上部61bの上面と当接した状態で、挿入部63aのネジ山にナット63dを螺挿して締結させることで、図14に示すように、フロントヒッチ61およびバランスウエイト62が抜け落ちることを防止する。
【0061】
図12および図14に示すように、機体に取付けられたバランスウエイト62は、機体フレーム11の前端部の外周を囲むように配置される。したがって、作業中に管理機1全体が前方に傾斜したとしても、機体前部を保護することができる。
【0062】
さらに、バランスウエイトを管理機1から取り外す際は、前記過程の逆の操作を行うことで容易におこなうことができる。
【0063】
また、上記構成では、フロントヒッチ61に上面および下面を有する嵌合部である上部および下部を形成するように構成している。フロントヒッチ61およびバランスウエイト62の嵌合部の形状を逆に形成してもよい。つまり、バランスウエイト側に上面および下面を有するように嵌合部を形成し、フロントヒッチがそれら上面および下面に嵌合するように構成してもよい。
【0064】
以上の如く、本実施形態のバランスウエイト取付構造は、
機体(管理機1)の前後一側と前後他側との間に車輪30が配置され、前記機体の前後一側に作業機(耕耘装置40)が装着可能とされ、前記機体の前後他側にバランスウエイト62が取付けられる作業車両のバランスウエイト取付構造であって、
前記機体の前後他側から突出するように機体側嵌合部(フロントヒッチ61)が配置され、前記バランスウエイト62が前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)に嵌合可能なウエイト側嵌合部621が形成され、
前記機体と前記バランスウエイト62とを地表面上に位置させて前記バランスウエイト62を前記機体に取付ける際において、
前記ウエイト側嵌合部621における前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)への嵌合方向Eと、前記車輪30を中心として前記機体の前後他側を下げた際の前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)における前記ウエイト側嵌合部621への嵌合方向Dとが、同一直線上に位置可能に構成されるものである。
【0065】
このように構成することにより、バランスウエイト62を持ち上げることなく、機体の前後一側を下げて機体側嵌合部(フロントヒッチ61)にバランスウエイトを取付けることができるため、バランスウエイト62と機体側嵌合部(フロントヒッチ61)を容易に嵌合して機体に取付けることができる。
【0066】
本実施形態のバランスウエイト取付構造は、前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)と前記ウエイト側嵌合部621とに、それぞれ貫通孔61d・61e・621aが形成され、
当該貫通孔61d・61e・621aを一致させた状態で当該貫通孔61d・61e・621aに挿入される規制部材63を備えるものである。
【0067】
このように構成することにより、規制部材63を貫通孔61d・61e・621aに挿入するだけで簡単に機体側嵌合部(フロントヒッチ61)とウエイト側嵌合部621の摺動を規制することができる。また、規制部材63を貫通孔61d・61e・621aから抜き去るだけで簡単に摺動規制の解除をすることができる。延いては、バランスウエイトの着脱作業が容易に行うことができる。
【0068】
本実施形態のバランスウエイト取付構造は、
前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)または前記ウエイト側嵌合部621のいずれか一方が、所定間隔をあけた(下部61cの)上面と(上部61bの)下面とを有し、前記機体側嵌合部(フロントヒッチ61)または前記ウエイト側嵌合部621のいずれか他方が、前記上面と前記下面との間に嵌装されることによって、前記機体の前後他側にバランスウエイト62が取付けられるように構成されるとともに、下げた前記機体の前後他側を上げる際に前記機体の前後他側に前記バランスウエイト62が取付けられた状態を保持可能に構成されるものである。
【0069】
このように構成することにより、機体の前後他側を下げた状態から上げる際に前記機体の前後他側に前記バランスウエイト62が取付けられた状態を保持可能に構成されるため、バランスウエイト62を固定する作業(規制部材63で固定する作業)を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
1 管理機
30 車輪
40 耕耘装置(作業機)
61 フロントヒッチ(機体側嵌合部)
61b 上部
61c 下部
61d 貫通孔
61e 貫通孔
621a 貫通孔
62 バランスウエイト
63 固定部材
621 嵌合部(ウエイト側嵌合部)
D 嵌合方向
E 嵌合方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前後一側と前後他側との間に車輪が配置され、前記機体の前後一側に作業機が装着可能とされ、前記機体の前後他側にバランスウエイトが取付けられる作業車両のバランスウエイト取付構造であって、
前記機体の前後他側から突出するように機体側嵌合部が配置され、前記バランスウエイトが前記機体側嵌合部に嵌合可能なウエイト側嵌合部が形成され、
前記機体と前記バランスウエイトとを地表面上に位置させて前記バランスウエイトを前記機体に取付ける際において、
前記ウエイト側嵌合部における前記機体側嵌合部への嵌合方向と、前記車輪を中心として前記機体の前後他側を下げた際の前記機体側嵌合部における前記ウエイト側嵌合部への嵌合方向とが、同一直線上に位置可能に構成される、バランスウエイト取付構造。
【請求項2】
前記機体側嵌合部と前記ウエイト側嵌合部とに、それぞれ貫通孔が形成され、
当該貫通孔を一致させた状態で当該貫通孔に挿入される規制部材を備える、請求項1に記載のバランスウエイト取付構造。
【請求項3】
前記機体側嵌合部または前記ウエイト側嵌合部のいずれか一方が、所定間隔をあけた上面と下面とを有し、前記機体側嵌合部または前記ウエイト側嵌合部のいずれか他方が、前記上面と前記下面との間に嵌装されることによって、前記機体の前後他側にバランスウエイトが取付けられるように構成されるとともに、下げた前記機体の前後他側を上げる際に前記機体の前後他側に前記バランスウエイトが取付けられた状態を保持可能に構成される、請求項1または請求項2に記載のバランスウエイト取付構造。
【請求項1】
機体の前後一側と前後他側との間に車輪が配置され、前記機体の前後一側に作業機が装着可能とされ、前記機体の前後他側にバランスウエイトが取付けられる作業車両のバランスウエイト取付構造であって、
前記機体の前後他側から突出するように機体側嵌合部が配置され、前記バランスウエイトが前記機体側嵌合部に嵌合可能なウエイト側嵌合部が形成され、
前記機体と前記バランスウエイトとを地表面上に位置させて前記バランスウエイトを前記機体に取付ける際において、
前記ウエイト側嵌合部における前記機体側嵌合部への嵌合方向と、前記車輪を中心として前記機体の前後他側を下げた際の前記機体側嵌合部における前記ウエイト側嵌合部への嵌合方向とが、同一直線上に位置可能に構成される、バランスウエイト取付構造。
【請求項2】
前記機体側嵌合部と前記ウエイト側嵌合部とに、それぞれ貫通孔が形成され、
当該貫通孔を一致させた状態で当該貫通孔に挿入される規制部材を備える、請求項1に記載のバランスウエイト取付構造。
【請求項3】
前記機体側嵌合部または前記ウエイト側嵌合部のいずれか一方が、所定間隔をあけた上面と下面とを有し、前記機体側嵌合部または前記ウエイト側嵌合部のいずれか他方が、前記上面と前記下面との間に嵌装されることによって、前記機体の前後他側にバランスウエイトが取付けられるように構成されるとともに、下げた前記機体の前後他側を上げる際に前記機体の前後他側に前記バランスウエイトが取付けられた状態を保持可能に構成される、請求項1または請求項2に記載のバランスウエイト取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−11922(P2012−11922A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151498(P2010−151498)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]