説明

作物収穫機

【課題】作物の根部に付着する土を確実に落とすことができ、かつ土落とし時に切られた根部が絡まらない土落とし装置を備える作物収穫機を提供することを目的とする。
【解決手段】 作物を圃場より引き抜き後方へ搬送する挟持搬送装置13の下方に土落とし装置15を設けた作物収穫機において、前記土落とし装置15は、左右往復回動して作物の根部7bに付着した土を叩き落とす左右それぞれの土落とし杆41・41と、該土落とし杆41・41の回動基部側に設けられ、土落とし時に切られた根部7bを係止するガイド板42・42と、を備えることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場より引き抜き後方へ搬送する挟持搬送装置の下方に土落とし装置を設けた作物収穫機の技術に関し、より詳細には、土落とし装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作物を圃場より引き抜き後方へ搬送する挟持搬送装置の下方に土落とし装置を設けた作物収穫機の技術は公知となっている。
例えば、特許文献1には、挟持装置によって茎幹を挟持して後上方へ搬送することで茎根を土中から引き抜く作物引抜収穫機において、挟持装置の下方に搬送途中の茎根についている土を落とす土落し装置を設けたことを特徴とする作物引抜収穫機における土落し装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−119118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示されている作物引抜収穫機における土落し装置においては、扱歯付きドラムは作物の根部の片側からのみ作用する構成のため、その作用効果が不安定となり、根部に付いた土を十分に除去することができない場合があった。また、土落し装置のドラムが回転駆動する際に、雑草などが巻きつき、土を円滑に落とせないことがあった。
【0004】
本発明は以上の状況に鑑み、作物の根部に付着する土を確実に落とすことができ、かつ土落とし時に切られた根部が絡まらない土落とし装置を備える作物収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
すなわち、請求項1においては、
作物を圃場より引き抜き後方へ搬送する挟持搬送装置の下方に土落とし装置を設けた作物収穫機において、
前記土落とし装置は、左右往復回動して作物の根部に付着した土を叩き落とす左右それぞれの土落とし杆と、該土落とし杆の回動基部側に設けられ、土落とし時に切られた根部を係止するガイド板と、を備える、
ものである。
【0007】
請求項2においては、
前記土落とし杆は、平面視略「く」字状に構成し、
前記ガイド板は、前記土落とし杆の回動基部より折曲部までの反作用側に配置した、
ものである。
【0008】
請求項3においては、
前記土落とし杆とガイド板を、左右交互に根部の搬送経路側に回動するように構成した、
ものである。
【0009】
請求項4においては、
前記土落とし杆とガイド板を、上下複数配置した、
ものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、
土落とし杆の左右往復回動により根部に付着する土を叩き落とすことが可能となる。
土落とし時に根部が切られて土落とし杆に絡まっても、ガイド板端部に係止した状態で左右往復動されて、その遠心力で回動基部側に滑り落ちることなく振り落とされて、根部が回動基部側に堆積することを防止できる。
叩き落とされた土がガイド板上に落ちても、ガイド板に沿って側方や前下方に滑り落とすことができる。
【0012】
請求項2においては、
土落とし杆の端部は搬送経路に位置させて、弾性を有したままで往復回動させることで、土を砕く作用が大きく、杆上に土が堆積したり、付着したりすることがない。
ガイド板は土落とし杆が直接作物の根部に当たらない位置で固設して剛性を高めることができる。
叩き落とした土が直接ガイド板上に落ちることが殆どなく、たとえ、土が載っても揺動により回動基部に至る前に落下し、土はその上に堆積しにくくなる。
【0013】
請求項3においては、
根部に付着した土の固まりは、左右から交互に叩かれるので、両側から押さえつけられることがなく、固まりを容易に砕いて落下させることができる。
根部は土落とし杆に叩かれることで左右に振れて、土の固まりが左右に振り落とすことができる。
【0014】
請求項4においては、
広い範囲で根部を叩くことが可能となり、根部に土を残すことなく落とすことが可能となる。
搬送と同時に叩くので、叩かれる位置が変わり、根部に土を残すことなく落とすことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る作物収穫機の側面図、図2は同じく正面図、図3は土落とし装置の側面図、図4は同じく平面図、図5は土落とし杆及びガイド板の斜視図、図6は同じく側面図、図7は同じく平面図である。
【0016】
先ず、本発明の一実施例に係る作物収穫機の全体構成について、図1及び図2を用いて説明する。
作物収穫機は、畝6の上面に複数条植えられている作物、本実施例では枝豆7を往復収穫するためのものであり、図1、図2に示すように、左右両側に配置した走行輪1・1に支持した機体2の前部に作業部3を設け、後部にエンジンやトランスミッションなどからなる伝動部4を設けて、該伝動部4から動力を伝達することにより走行輪1・1で畝6の両側の溝底6aを走行し、作業部3で畝6の枝豆7を引き抜き収穫することができるように構成されている。
【0017】
作物収穫機において、作業部3には前から順に分草装置11、掻込装置12、挟持搬送装置13、振動装置14、土落とし装置15、誘導装置16、収集装置17などが備えられている。分草装置11は、先端が尖った分草板18や、該分草板18もしくはその近傍箇所から上後方に延びる分草杆19・19・・・などから構成されている。分草装置11では、機体2の進行にともなって分草板18や分草杆19が枝豆7の茎部7aと茎部7aの中に分け入り、引き抜く枝豆7と引き抜かない枝豆7とを分けることで、引き抜く枝豆7の茎部7aが掻込装置12に導かれるようになっている。
【0018】
掻込装置12は、分草装置11の後方に配置され、上下一対のプーリ21・22に巻回した突起付きベルト23を左右に対向配置し、これを前低後高に斜設して構成されている。掻込装置12では、左右の突起付きベルト23・23が互いの対向側でその突起23a・23aを前下側から後上側へ移動させるように回転駆動されて、分草装置11から導かれた枝豆7の茎部7aが両突起付きベルト23・23により後方へ掻き上げられ、挟持搬送装置13に誘導されるようになっている。
【0019】
挟持搬送装置13は、掻込装置12の後方に配置され、上下一対のプーリ25・26に巻回した弾性ベルト27を左右に対向配置し、これを前低後高に斜設して構成されている。挟持搬送装置13では、左右の弾性ベルト27・27が互いの対向面で圧接された状態でその対向面を前下側から後上側へ移動させるように回転駆動されて、掻込装置12から導かれた枝豆7の茎部7aが弾性ベルト27・27により挟持されつつ後上方へ搬送され、その搬送過程で枝豆7が地中から引き抜かれるようになっている。
【0020】
振動装置14は、機体の左右両側から下方に突出するように配置され、挟持搬送装置13の搬送始端部付近に正面視逆L字形の振動刃31を左右に対向配置し、各振動刃31を機体2などに支軸32で枢支するとともに、伝動部4に備えたクランク部33から前方に延出される伝動ロッド34と連結して構成されている。振動装置14では、機体2の進行時に左右の振動刃31・31が地中に突入された状態で伝動ロッド34の前後動により前後に振動させられて、枝豆7の根部7b下方の土を緩めるようになっている。こうして、枝豆7が挟持搬送装置13により引き抜きやすくされている。
【0021】
なお、振動装置14は、枝豆7の根部7bが深く地中に延びて引き抜き抵抗が強い場合に作業部3に備えられ、早生などで引き抜き抵抗が小さい場合には作業部3から取り外すことができるようになっている。
【0022】
土落とし装置15は、挟持搬送装置13の前後中途部の下方に配置され、土落とし杆41を左右に対向配置し、これを後述するように回動機構40で回動可能に支持して構成されている。土落とし装置15では、土落とし杆41の一端が回動機構40により左右往復回動させられて、挟持搬送装置13で搬送中の枝豆7の根部7bに作用し、該根部7bに付いている土が落とされるようになっている。
【0023】
誘導装置16は、挟持搬送装置13の搬送終端部に配置され、左右一側、本実施例では左側の弾性ベルト27の後端部上方に外周に凹凸を有する回転盤51を段状に上下に重設し、左側の弾性ベルト27の搬送面と略同じ位置に最上位の回転盤51の高さまで立ち上がって搬送面から左側方に延びる誘導板52を設けて、該誘導板52に形成した孔から回転盤51を搬送側に突出させるとともに、右側の弾性ベルト27の後端部付近から突出され誘導板52と一定間隔離れて周回するガイド杆53・53を設けて構成されている。誘導装置16では、挟持搬送装置13で搬送されてきた枝豆7の茎部7aが、誘導板52とガイド杆53・53との間に形成される誘導経路に押し込まれ、そして回転駆動する回転盤51により左側方に誘導されて収集装置17に送られるようになっている。
【0024】
収集装置17は、誘導装置の誘導経路に続く機体の左側方に収集板56を配設し、これを機体2側に固定される支軸57の回りを下方回動可能に支持して構成されている。収集装置17では、収集板56が誘導装置16から送られてくる枝豆7を溜め、その量が一定量になると自動または手動で下方に回動されて、収集板56上に溜まった枝豆7が適宜放出されるようになっている。なお、収集装置17は、作物収穫機の全幅を抑えるために路上走行時や、運搬時や、格納時などには下方に回動された状態に保持可能となっている。
【0025】
このようにして作物収穫機は、作業部3で枝豆7を引き抜き収穫できるように構成されている。そして、該作物収穫機において、作業部3の各装置のうち、本発明の要部となる土落とし装置15が、ガイド板42・42を備える左右の土落とし杆41・41と、その回動機構40・40とで次のように構成されている。
【0026】
次に、本発明の要部である土落とし装置15について、図3から図7を用いて説明する。
土落とし装置15は、図3及び図4に示すように、左右それぞれの土落とし杆41・41を備えるとともに、各土落とし杆41・41の回動基部側に設けられたガイド板42・42と、左右の土落とし杆41・41をそれぞれ左右往復回動させる回動機構40・40と、を備えている。
【0027】
土落とし杆41・41は、挟持搬送装置13の左右の弾性ベルト27・27の対向面の下方付近で、根部7bの搬送経路途中の左右両側に位置して互いに対向するように配置されている。土落とし杆41・41は、前端がステー46・46を介して後述する回動機構40・40の連結板44・44に連結され、この連結部から側面視で後上方に延出されて、後端が弾性ベルト27・27の下面付近に位置して前低後高に斜設されている。
土落とし杆41・41は、左右それぞれの杆を上下に複数備えており、本実施例では左右両側にそれぞれ上下に三本の杆を備え、合計六本の杆で構成されている。土落とし杆41・41は、上下に異なる傾斜角度で前低後高に斜設されて配置されている。
土落とし杆41・41は上下三本の内、図6及び図7に示すように、上から下に土落とし杆41a(L・R)、土落とし杆41b(L・R)、土落とし杆41c(L・R)とされている。なお、L、Rは、それぞれ左側、右側の土落とし杆であることを示す。
各土落とし杆41は、棒状部材が折曲されて、平面視略「く」字状に構成されている。本実施例では、土落とし杆41は、断面形状が丸形の丸棒状部材で構成されている。土落とし杆41は、平面視略「く」字状に折曲されている丸棒状部材の前端が、機体外方向に折曲されて、後述するステー46への取付部とされている。
【0028】
ステー46・46は、上述の連結板44・44に固定されており、本実施例ではそれぞれ連結板44の内側面に二つのボルト46a・46aによって着脱可能に固定されている。
各ステー46には、土落とし杆41を取り付けるための取付孔48・48・・・が複数孔穿設されており、本実施例では上下三つの孔がステー46の前後対称に穿設され、合計六つの孔で構成されている。
【0029】
取付孔48・48・・・は、ステー46の下辺前部から前上方斜め方向に所定の間隔(等間隔)で三つの孔が穿設され、同様にステー46の下辺後部から後上方斜め方向に所定の間隔(等間隔)で三つの孔が穿設されている。すなわち、取付孔48・48・・・は、側面視略逆「八」字状に配置されている。各取付孔48は、土落とし杆41が嵌合する丸孔とされている。
取付孔48・48・・・は上下三つの内、図6及び図7に示すように、上から下に取付孔48a(F・R)、取付孔48b(F・R)、取付孔48c(F・R)とされている。なお、F、Rは、それぞれステー46の前側、後側に設けられている取付孔であることを示す。
【0030】
こうして、図6及び図7に示すように、土落とし杆41・41は、ステー46・46の機体内方側(根部7bの搬送経路側)に配置されて、前端(取付部)が取付孔48・48・・・に嵌合されて取り付けられている。
具体的には、本実施例では前側上段の取付孔48aFに、土落とし杆41a(L・R)が嵌合され、前側中段の取付孔48bFに、土落とし杆41b(L・R)が嵌合され、前側下段の取付孔48cFに、土落とし杆41c(L・R)が嵌合されて取り付けられている。
【0031】
なお、土落とし杆41・41のステー46・46への取付方法は、本実施例に限定するものではない。例えば、溶接により固定したり、ナットにより固定したり、あるいは、土落とし杆を断面多角形に形成し、その形状に嵌合する取付孔に取り付ける構成とすることもできる。
また、本実施例では左右各三本の土落とし杆41a(L・R)、41b(L・R)、41c(L・R)が、上下に異なる傾斜角度(前低後高)で斜設されているが、当該傾斜角度及び土落とし杆41の本数は、土の付着状況や根部7bの長さ、位置等によって任意に変更することができる。例えば、各土落とし杆41を前端(取付部)を回動軸として上下方向に回動させて、根部7bの長さに応じて傾斜角度を調節することにより、各土落とし杆41の間隔を変更して、土の多い部分の間隔が狭くなるようにしたり、あるいは、左右の土落とし杆41(L・R)をずらして、左右で根部7bに当たる位置が異なるように(換言すると、側面視で重複しないように)することもできる。また、三本の土落とし杆41の内いずれか一本を外したり、あるいは、さらに取付孔48を開口して土落とし杆41を4本以上に増やすこともできる。
また、後側の取付孔48aR、取付孔48bR、取付孔48cRに、土落とし杆41a(L・R)、41b(L・R)、土落とし杆41c(L・R)を嵌合させて取り付けることもできる。
【0032】
ガイド板42・42は、土落とし杆41・41の回動基部より折曲部までの「反作用側」、換言すると、土落とし杆41・41が直接作物の根部7bに当たらない位置に配置されている。ここで、土落とし杆41・41が根部7bの搬送経路側で根部7bの土を落とす側を「作用側(機体左右中心側)」とし、当該「作用側」の反対側を「反作用側(機体左右外側)」とする(図7参照)。
各ガイド板42は、図6から図7に示すように、平面視略「く」字状に折曲されている土落とし杆41の前端(回動基部)から折曲部までの形状に略平行に形成されている(図7参照)。ガイド板42は、平面視略平行四辺形に形成された板状部材であって、土落とし時に切られて土落とし杆41に絡まって滑り落ちる根部7bを上端で係止するように構成されている(図5及び図6参照)。
具体的には、ガイド板42は、土落とし杆41の上面に溶接等されて固設されており、土落とし杆41の剛性を高める補強部材としての機能も有している。ガイド板42は、長手方向(機体前後方向)が、土落とし杆41の折曲部(詳細には当該折曲部よりやや後部)から前端(回動基部)に至るまでの長さに形成されているとともに、短手方向(機体左右方向)が、上端で前記滑り落ちる根部7bを係止でき、かつ、その他の位置で根部7bが絡み付き難い所定の長さに形成されている。ガイド板42の上端は、土落とし杆41と略直角な辺と、その反作用側で斜め前下方に傾斜する辺とが形成されており、絡まって滑り落ちる根部7bを一旦係止し、土落とし杆41の回動によって前記折曲部の位置で振り落として、根部7bが前記回動基部まで滑り落ちて絡まって堆積しないように構成されている(図7参照)。
【0033】
回動機構40・40は、左右の土落とし杆41・41と、伝動部4のトランスミッションから機体側方に突出された左右の駆動軸5・5との間に設けられている。駆動軸5・5は、掻込装置12や挟持搬送装置13に動力を伝達する経路の途中から分岐された動力取出軸である。
回動機構40・40は、それぞれ機体2の左右両側に配置され、伝動ロッド34と、伝動アーム43と、中央にボス44aを有する連結板44とを備え、駆動軸5・5からの動力を伝達して土落とし杆41・41を回動するように構成されている。
【0034】
伝動ロッド34は、伝動部4の左右側方で駆動軸5の端部に設けられたクランク部33から前方へ延出されている。なお、クランク部33は本実施例では偏心軸としているが、クランクアームとしても良くその構成は限定するものではない。そして、伝動ロッド34の前後中途部に伝動アーム43の後端がステー45を介して枢支されている。ステー45には複数の枢支孔が設けられ、枢支位置を変更してストロークを変更可能としている。但し、伝動アーム43の長さを変更可能とすることでストロークを変更するように構成することもできる。なお、本実施例の土落とし装置15では、振動装置14の振動刃31を振動させる伝動ロッド34を、回動機構40の伝動手段として兼用して部品点数を減少し、伝動構造を簡素化する構成となっている。
【0035】
伝動アーム43は、ステー45から伝動ロッド34と略平行に前方へ延出されている。そして、伝動アーム43の前端に連結板44の機体2外側の一端が枢支され、該連結板44の機体2内側の他端に土落とし杆41の一端がステー46を介して連結されている。連結板44は、ボス44aで本機側に略上下方向に固定された支軸47に回動自在に軸支され、該支軸47を中心として略水平方向に回動可能とされている。こうして、土落とし杆41の一端が連結板44およびステー46を介して支軸47に枢支された状態とされている。
【0036】
このような構成によって、駆動軸5・5の回転駆動にともなって伝動ロッド34・34が前後動することで、伝動アーム43・43が一体的に前後動されて、連結板44・44が支軸47・47を中心として前後に揺動され、これに連動して土落とし杆41・41が支軸47・47を中心として左右往復回動されるようになっている。つまり、土落とし杆41・41の後端が、根部7bの搬送経路に近づき離れる動作を繰り返すように左右往復回動されるようになっている。
【0037】
そしてこのように回動機構40により回動される際、左右の土落とし杆41・41及びガイド板42・42は、交互に根部7bに作用するように回動される。回動機構40は駆動軸5に対し伝動ロッド34・34の後部を、180度偏心して取り付ける、もしくは伝動ロッド34・34が同時に前後動されるようして、左右一対の伝動アーム43・43前端の連結板44・44への枢支位置を、支軸47に対して左右対称(一方は内側、他方は外側)となるように取り付けるように構成される。
なお、左右の土落とし杆41・41及びガイド板42・42が同時に根部7bに作用するように回動させる場合は、回動機構40は駆動軸5・5に対し伝動ロッド34・34の後部を同じ位置に取り付け、伝動アーム43・43の前端を左右対称に連結板44・44へ取り付けるように構成される。
【0038】
以上のように、本実施例の作物収穫機は、作物を圃場より引き抜き後方へ搬送する挟持搬送装置13の下方に土落とし装置15を設けた作物収穫機において、前記土落とし装置15は、左右往復回動して作物の根部7bに付着した土を叩き落とす左右それぞれの土落とし杆41・41と、該土落とし杆41・41の回動基部側に設けられ、土落とし時に切られた根部7bを係止するガイド板42・42と、を備えることを特徴とするものである。
このような構成により、土落とし杆41・41の左右往復回動により根部7bに付着する土を叩き落とすことが可能となる。土落とし時に根部7bが切られて土落とし杆41・41に絡まっても、ガイド板端部(後端)に係止した状態で左右往復動されて、その遠心力で回動基部側に滑り落ちることなく振り落とされて、根部7bが回動基部側に堆積することを防止できる。叩き落とされた土がガイド板42・42上に落ちても、ガイド板42・42に沿って側方や前下方に滑り落とすことができる。
【0039】
そして、前記土落とし杆41・41は、平面視略「く」字状に構成し、前記ガイド板42・42は、前記土落とし杆41・41の回動基部より折曲部までの反作用側に配置したものである。
このような構成により、土落とし杆41・41の端部は搬送経路に位置させて、弾性を有したままで往復回動させることで、土を砕く作用が大きく、杆上に土が堆積したり、付着したりすることがない。ガイド板42・42は土落とし杆が直接作物の根部7bに当たらない位置で固設して剛性を高めることができる。叩き落とした土が直接ガイド板42・42上に落ちることが殆どなく、たとえ、土が載っても揺動により回動基部に至る前に落下し、土はその上に堆積しにくくなる。
【0040】
また、前記土落とし杆41・41とガイド板42・42を、左右交互に根部7bの搬送経路側に回動するように構成したものである。
このような構成により、根部7bに付着した土の固まりは、左右から交互に叩かれるので、両側から押さえつけられることがなく、固まりを容易に砕いて落下させることができる。根部7bは土落とし杆41・41に叩かれることで左右に振れて、土の固まりが左右に振り落とすことができる。
【0041】
さらに、前記土落とし杆41・41とガイド板42・42を、上下複数配置したものである。
このような構成により、広い範囲で根部7bを叩くことが可能となり、根部7bに土を残すことなく落とすことが可能となる。搬送と同時に叩くので、叩かれる位置が変わり、根部7bに土を残すことなく落とすことが可能となる。
なお、土落とし杆41・41及びガイド板42・42の上下の数は、本実施例に限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例に係る作物収穫機の側面図。
【図2】同じく正面図。
【図3】土落とし装置の側面図。
【図4】同じく平面図。
【図5】土落とし杆及びガイド板の斜視図。
【図6】同じく側面図。
【図7】同じく平面図。
【符号の説明】
【0043】
13 挟持搬送装置
15 土落とし装置
41 土落とし杆
42 ガイド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を圃場より引き抜き後方へ搬送する挟持搬送装置の下方に土落とし装置を設けた作物収穫機において、
前記土落とし装置は、左右往復回動して作物の根部に付着した土を叩き落とす左右それぞれの土落とし杆と、該土落とし杆の回動基部側に設けられ、土落とし時に切られた根部を係止するガイド板と、を備えることを特徴とする作物収穫機。
【請求項2】
前記土落とし杆は、平面視略「く」字状に構成し、
前記ガイド板は、前記土落とし杆の回動基部より折曲部までの反作用側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記土落とし杆とガイド板を、左右交互に根部の搬送経路側に回動するように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作物収穫機。
【請求項4】
前記土落とし杆とガイド板を、上下複数配置したことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の作物収穫機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−22223(P2009−22223A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189816(P2007−189816)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】