作物収穫機
【課題】作物を圃場から収穫する収穫部と、収穫部からの作物を回収する容器のための支持台を有した回収部とを自走機体に設けた作物収穫機において、容器を機体外で支持させることができながら、移動や格納も行ないやすくする。
【解決手段】支持台41を自走機体外に突出した下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に支持する枢支軸芯Pを、支持台41が上昇格納姿勢で自走機体内に入るよう自走機体の最外側縁4aよりも内側に配置してある。
【解決手段】支持台41を自走機体外に突出した下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に支持する枢支軸芯Pを、支持台41が上昇格納姿勢で自走機体内に入るよう自走機体の最外側縁4aよりも内側に配置してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から収穫する収穫部と、前記収穫部からの作物を回収する容器のための支持台を有した回収部とを、自走機体に設けた作物収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の作物収穫機として、従来、たとえば特許文献1に記載された根菜類収穫機があった。特許文献1に記載された根菜類収穫機では、左右のクローラ等からなる走行装置によって支持される機体、機体の横側部に設けた収穫部、機体の他方の横側部に設けた収容部(回収部に相当)を備えている。収容部は、容器としての収穫袋の底部を支持するバケット(支持台に相当)を備えている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−190034号公報(段落〔0013〕、〔0017〕、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の作物収穫機では、支持台を下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に支持させ、かつ下降使用姿勢での支持台が自走機体外に突出するように構成される。すなわち、作業時には容器を機体外で支持させることができ、移動走行や格納時には支持台を作業時よりも機体内側に寄せて格納できるように構成される。
しかし、上昇格納した支持台が機体外側に突出したままであると、支持台の機体外側への突出により、狭い通路やスペースでの移動や格納が行いにくくなる。
【0005】
本発明の目的は、容器を機体外で支持させることができながら、移動や格納も行ないやすい作物収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、作物を圃場から収穫する収穫部と、前記収穫部からの作物を回収する容器のための支持台を有した回収部とを、自走機体に設けた作物収穫機において、
前記支持台を自走機体外に突出した下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に支持する枢支軸芯を、前記支持台が上昇格納姿勢で自走機体内に入るよう自走機体の最外側縁よりも内側に配置してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、支持台を下降使用姿勢にすると、支持台が自走機体外に突出して、容器を自走機体外側で支持させることができる。
一方、支持台を上昇格納姿勢にすると、支持台が自走機体の最外側縁よりも内側に入り込み、支持台の自走機体外側への突出が無くなる。
【0008】
したがって、容器を自走機体外で支持させて作業がスペース面などで行ないやすいものでありながら、支持台を自走機体外に突出しない状態で格納して狭い通路や格納場所でも容易に移動や格納することができる。
【0009】
本第2発明は、前記収穫部からの作物を前記回収部に搬送するコンベヤを揺動昇降操作自在に設け、
前記支持台を前記コンベヤによって上昇操作させるよう前記コンベヤと前記支持台とを連結する脱着自在な連結具を備えてある。
【0010】
本第2発明の構成によると、コンベヤを昇降操作すれば、支持体が連結具を介してコンベヤによって昇降操作されて上昇格納姿勢と下降使用姿勢とに昇降する。
【0011】
したがって、コンベヤと支持台とを一挙に昇降させてそれらの格納姿勢や使用姿勢への切り換えを楽にかつ迅速に行なうことができる。また、コンベヤを駆動機構によって昇降操作する場合、その駆動力を利用してより楽に行うことができる。
【0012】
本第3発明では、前記コンベヤに前記容器を吊り下げ支持する容器支持部を設け、前記連結具を、前記コンベヤの前記容器支持部に連結するよう構成してある。
【0013】
本第3発明の構成によると、容器支持部を連結手段に利用して連結具をコンベヤに連結することができる。
【0014】
したがって、コンベヤと支持台とを一挙に昇降操作できるものを、容器支持部を連結手段に利用して構造簡単に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る作物収穫機の全体の側面図である。図2は、本発明の実施例に係る作物収穫機の全体の平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係る作物収穫機は、左右一対のクローラ走行装置1,1によって自走するように構成され、かつエンジン2が備えられた原動部と、前記エンジン2の上方に位置する運転座席3が備えられた運転部とを有した自走機体と、この自走機体の左横側部に設けた収穫部10と、この収穫部10の後部の下方に設けた搬送部20と、この搬送部20の横側に配置して前記自走機体の後部に設けた選別部30と、前記自走機体の右横側部に設けた支持台41を有した回収部40とを備えている。
【0016】
この作物収穫機は、人参の収穫作業を行う。
すなわち、前記収穫部10は、左右一対の引起し装置11,11によって人参の茎葉を引き起こし、人参の横側の土中に入り込ませた土ほぐし刃12による振動付与によって引き抜きやすくなった人参の茎葉を、左右一対の無端回動ベルトで成る引き抜きベルト13,13によって挟持して自走機体後方向きに持ち上げ搬送することにより、人参を圃場から抜き上げて収穫する。この収穫部10は、前記引き抜きベルト13によって収穫した人参の茎葉を、左右一対の無端回動ベルトで成る茎葉除去ベルト14,14によって挟持搬送することにより、収穫した人参を吊り下げ状態で自走機体後方向きに搬送し、回転カッター15によって茎葉を切断して茎葉と人参とを分離させ、人参を前記搬送部20のコンベヤ21に落下させ、茎葉を茎葉除去ベルト14によって回転カッター15よりも後方に搬送してシュート16に落下させ、このシュート16と、前記コンベヤ21の搬送終端側と、落下ガイド17とによって自走機体後方側に排出する。
【0017】
前記搬送部20は、人参を前記コンベヤ21によって自走機体後方向きに搬送し、搬送終端部に到達した人参を横送りローラ22によって前記コンベヤ21から自走機体横側に送り出して前記選別部30の選別コンベヤ31に供給する。
【0018】
前記選別部30は、前記選別コンベヤ31を備える他、この選別コンベヤ31の自走機体後方側に設けた選別作業者用の座席32と、この座席32の前方下方に設けた床板33とを備えている。
【0019】
つまり、前記選別部30は、選別作業者が選別コンベヤ31によって自走機体横向きに搬送される人参を見て、収穫に適した大きさや形状などの性状を備えた収穫適合人参と、収穫に適した性状を備えない収穫非適合人参とに選別し、収穫非適合人参を選別コンベヤ31から人為的に取り出し、収穫適合人参を選別コンベヤ31に残して回収部40に搬送する。
【0020】
図4は、前記選別部30と前記回収部40の後面図である。図3は、前記回収部40の側面図である。これらの図と図2とに示すように、前記回収部40は、前記選別コンベヤ31の搬送終端部の下方に位置させる容器受けの支持台41と、前記選別コンベヤ31の終端部に設けた容器支持部42とを備えて構成してある。
つまり、回収部40は、上端部に開口51を備えるよう縫製された布で成る容器50を、底側が前記支持台41によって受け止め支持され、開口側が前記容器支持部42によって吊り下げ支持されるようにして選別コンベヤ31の下方に設置し、前記選別部30で収穫適合人参として選別された人参を選別コンベヤ31から容器50に落下させて回収していく。
【0021】
すなわち、図2,3,4に示すように、前記容器支持部42は、前記選別コンベヤ31の一対のメインフレーム34a,34aに連結アーム43を介して連結された自走機体前後向きの支持杆44と、この支持杆44の両端部に支持されるハンガー体45とを備えて構成してある。前記各ハンガー体45は、これの両端部に設けた吊り下げ金具46を備えている。
【0022】
容器支持部42は、一方のハンガー体45の両吊り下げ具46を容器50が備える一対の吊り上げベルト52,52の一方に係止させ、他方のハンガー体45の両吊り下げ具46を容器50の他方の吊り上げベルト52に係止させることにより、容器50の開口側を吊り下げ支持する。
【0023】
容器50の開口縁部を各ハンバガー体45のロッド部45aに止着具47を利用するなどによって止着させることにより、容器支持部42は、容器50の開口51を適正な開き状態に保形する。
【0024】
図6は、前記選別コンベヤ31の断面構造を示している。この図と図2,4に示すように、前記選別コンベヤ31は、前記左右一対のメインフレーム34a,34aを備える他、前記左右一対のメインフレーム34a,34aを有したコンベヤフレーム34の搬送始端部に駆動回動自在に設けた始端輪体35と、前記コンベヤフレーム34の搬送終端部に遊転自在に設けた終端輪体36とを備え、前記始端輪体35と前記終端輪体36との間に配置して前記コンベヤフレーム34の搬送経路側に遊転自在に支持させた一つの搬送ガイド輪体37と、前記始端輪体35と前記終端輪体36との間に配置して前記コンベヤフレーム34の戻り経路側に遊転自在に支持させた二つ戻りガイド輪体38,38とを備え、前記各輪体35,36,37,38に巻回された一つの無端コンベヤベルト39を備えて構成してある。
【0025】
前記コンベヤフレーム34の搬送終端側のフレーム部34rを、搬送始端側のフレーム部34fに対して前記搬送ガイド輪体37の回転軸芯37aまわりに上下揺動するように構成し、選別コンベヤ31のうちの前記終端輪体36と前記容器支持部42とを備えた搬送終端側部31Rを、前記回転軸芯37aまわりに、前記始端輪体35を備えた搬送始端側部31Fに対して揺動昇降するように構成してある。選別コンベヤ31の下方に、前記搬送終端側のフレーム部34rと自走機体の機体フレーム4とに連結した駆動機構としての昇降シリンダ60を設け、この昇降シリンダ60によって選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rを昇降調節し、人参が選別コンベヤ31から容器50に落下することによる人参の損傷を回避しながら人参回収を行なうようにしてある。
【0026】
図8(a)は、回収部40の人参回収開始時での後面図である。この図に示すように、人参回収開始時には、前記昇降シリンダ60を下降側に駆動操作して選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rを下降調節し、選別コンベヤ31の搬送終端箇所の支持台41からの高さを低く調節する。すなわち、選別コンベヤ31の搬送終端箇所の支持台41からの高さを、選別コンベヤ31からの人参が容器50に落下しても人参損傷を防止できる高さに調節する。
【0027】
図8(b)は、回収部40の人参回収途中での後面図である。この図に示すように、容器50に回収された人参群Aの上面レベルaが高くなって容器50の収容空間が減少すると、前記昇降シリンダ60を上昇側に駆動操作して選別コンベヤ31の搬送終端部31Rを回収開始時よりも上昇調節し、これにより容器支持部42を回収開始時よりも上昇調節して容器50の開口51を上昇調節し、かつ選別コンベヤ31の搬送終端箇所を人参群Aの上端レベルaから適切な高さの位置に上昇調節し、選別コンベヤ31からの人参が容器内の人参群Aの上に落下しても人参損傷を回避できるようにしながら容器50の収容空間を増大させる。
【0028】
つまり、容器50の収容空間の減少に伴って選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rを上昇調節し、これによって選別コンベヤ31の搬送終端箇所と容器50の開口51とを上昇調節して、選別コンベヤ31の搬送終端箇所の人参群Aの上端レベルaからの高さを人参の人参群Aへの落下による人参損傷を回避できる高さにしながら容器50の収容空間を増大させる調節を、容器50が満杯になるまで繰り返して行う。
【0029】
前記昇降シリンダ60の上昇側の駆動操作は、前記床板33に設けた上昇操作ペダルによって行う。前記昇降シリンダ60の下降側の駆動操作は、選別部30に設けたを下降操作スイッチによって行なう。
【0030】
選別コンベヤ31の搬送終端箇所の高さ調節は、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rの前記回転軸芯37aまわりでの揺動昇降調節によって行なわれ、選別コンベヤ31の搬送始端側部31Fを定位置に維持した状態で行われる。これにより、選別コンベヤ31の搬送始端側部31Fと前記搬送部20のコンベヤ21との相対位置が変化せず、搬送部20から選別コンベヤ31への人参供給に悪影響を及ぼすことがない状態で人参の損傷が無い回収を行なわせることができる。
【0031】
図6は、前記無端コンベヤベルト39の断面構造を示している。この図と図2とに示すように、前記無端コンベヤベルト39は、無端コンベヤベルト39の横幅方向に並ぶ一対の無端回動チェーン39a,39aと、無端コンベヤベルト39の長手方向に並べて前記一対の無端回動チェーン39a,39aに連結されたコンベヤバー39bとを備えて構成してある。前記無端コンベヤベルト39は、複数のコンベヤバー39bのうちの一部のコンベヤバー39bから搬送側に突出した搬送係止片39cを備えており、この搬送係止片39cによって人参の滑り止めを行なう。
【0032】
図6に示すように、前記選別コンベヤ31は、前記二つの戻りガイド輪体38,38の間に位置する一対のテンション輪体65,66を有したテンション機構64を備えている。図6に示すように、前記テンション機構64は、前記一対のテンション輪体65,66を備える他、前記一対のテンション輪体65,66を無端コンベヤベルト39の両横外側で遊転自在に支持する支持リンク67と、この支持リンク67を支軸67aの軸芯まわりに揺動付勢するテンションスプリング68とを備えて構成してある。
【0033】
図6は、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rが上昇調節された状態での前記テンション機構64の作用状態を示している。図7は、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rが下降調節された状態での前記テンション機構64の作用状態を示している。こられの図に示すように、前記テンション機構64は、一対のテンション輪体65,66をテンションスプリング68によって揺動付勢することによって無端コンベヤベルト39を一対のテンション輪体65,66に巻き込み付勢し、これにより、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rの揺動調節によって無端コンベヤベルト39の戻り側に長さ変化が発生しても、無端コンベヤベルト39を適切な緊張状態に維持する。
【0034】
図9は、前記支持台41の支持構造の平面図である。この図と図3とに示すように、前記支持台41は、この支持台41よりも自走機体前方側に位置する補助台70の後端部に備えた一対の支持部71,71に連結されている。前記補助台70は、これの基端側に設けた前後一対の連結部材72,72と、機体フレーム4に設けた前後一対の枢支軸73,73とを介して機体フレーム4に枢支されている。
【0035】
つまり、前記支持台41は、前記一対の枢支軸73,73に共通した自走機体前後向きの枢支軸芯Pを介して機体フレーム4に前記補助台70と共に枢支されており、支持台41と補助台70とは、一体となって前記枢支軸芯Pまわりに自走機体に対して揺動昇降して下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに切り換わる。
【0036】
図2,5に示すように、前記自走機体は、前記機体フレーム4の原動部を構成する部分での横外側縁4aを、自走機体の右横側での最外側縁として備えている。前記枢支軸芯Pは、前記最外側縁4aよりも自走機体内側に支持台41および補助台70の横幅方向の大きさよりも小の距離で、かつ支持台41および補助台70の厚さより大の距離で入り込んだ箇所に配置してある。
【0037】
図4は、前記支持台41と前記補助台70との下降使用姿勢での後方視状態を示している。図9は、前記支持台41と前記補助台70との下降使用姿勢での平面視状態を示している。これらの図に示すように、補助台70を前記枢支軸芯Pまわりに自走機体外側に下降操作し、補助台70の自走機体横方向での内側端が機体フレーム4の側面に当接すると、支持台41と補助台70とは、機体フレーム4から横外側向きに水平に延出して下降使用姿勢になる。このとき、支持台41と補助台70とは、前記枢支軸芯Pの前記配置により、支持台41と補助台70との延出端側の大部分が前記最外側縁4aよりも自走機体外側に突出して自走機体横外側に作業スペースを形成した状態になり、かつ機体フレーム4による受け止めによって回収人参の荷重に抗して下降使用姿勢に維持される状態となる。
【0038】
図5は、前記支持台41と前記補助台70との上昇格納姿勢での後面図である。この図に示すように、補助台70を前記枢支軸芯Pまわりに上昇操作すると、支持台41と補助台70とは、機体フレーム4に対して起立して上昇格納姿勢になる。このとき、支持台41と補助台70とは、前記枢支軸芯Pの前記配置により、支持台41と補助台70の全体が前記最外側縁4aよりも自走機体内側に入った状態となって作物収穫機の横幅を、支持台41と補助台70とが下降使用姿勢の場合のそれよりも小にする。さらに、このとき、補助台70と機体フレーム4とにわたって設けたロック機構75(図9参照)が自動的に作用して支持台41と補助台70とが上昇格納姿勢にロックされる。
【0039】
図10は、前記ロック機構75のロック解除状態での斜視図である。図11は、前記ロック機構75のロック状態での斜視図である。これらの図と図9とに示すように、前記ロック機構75は、前記補助台70の基部に設けたロック軸76と、機体フレーム4の支持部4bに支軸77を介して揺動自在に支持されたフック78と、このフック78を前記ロック軸76に係合するよう揺動付勢するロックばね79とを備えて構成してある。
【0040】
前記ロック機構75は、前記フック78から延出した解除レバー78aによってフック78がロック軸76から外し操作されることにより、補助台70と支持台41との格納ロックを解除するようロック解除状態になる。
【0041】
図9,10,11に示すように、自走機体は、前記ロック機構75の近くに人為スライド操作自在に設けたロックピン80を備えている。前記ロックピン80は、前記連結部材72に連設されたロックアーム81のピン孔82に係入操作されることにより、補助台70と支持台41とを上昇格納姿勢にロックする。
【0042】
図5に示すように、前記選別コンベヤ31の前記搬送終端側部31Rを、容器50の開口側を昇降操作する作業用昇降範囲よりも高く上昇した上昇格納位置まで前記昇降シリンダ60によって上昇操作できるように構成してある。
【0043】
図3,4,9に示すように、前記支持台41に、この支持台41の端部に位置する連結部41aにU字形の連結金具85を介して一端側が連結されたロッド形の連結具86を備えてある。この連結具86は、前記連結金具85が連結している側とは反対側の端部に設けたフック部86aを備えている。
【0044】
図5に示すように、前記連結具86は、前記フック部86aを前記容器支持部42の前記支持杆44に支持アーム87を付設して設けたフック孔88に係止させることにより、支持台41と選別コンベヤ31の前記容器支持部42とを連結した使用状態になる。この図に示すように、前記連結具86を使用状態にして選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rを昇降シリンダ60によって上昇操作すると、支持台41と補助台70とが選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rによる連結具86を介しての上昇操作によって搬送終端側部31Rと共に上昇する。
【0045】
前記連結具86を使用状態にして選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rを下降操作すると、支持台41と補助台70との前記ロックピン80と前記ロック機構75とによる上昇格納ロックを解除しておけば、支持台41と補助台70とが選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rによって連結具86を介して吊り下げ支持されながら搬送終端側部31Rと共に下降する。
【0046】
これにより、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rが上昇格納位置に上昇して選別コンベヤ31が格納状態になり、搬送終端側部31Rが自走機体の前記最外側縁4aよりも自走機体内側に入り込んだ状態になると、これに伴って支持台41と補助台70とが前記上昇格納姿勢になり、支持台41と補助台70との全体が自走機体の前記最外側縁4aよりも自走機体内側に入り込み、作物収穫機の回収部40での自走機体横方向の大きさが作業時でのその大きさよりも小になる。この場合、前記前後一対のハンガー体45,45を支持杆44から取り外すことにより、ハンガー体45の自走機体横外側への突出を回避できる。
【0047】
一方、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rが下降し、選別コンベヤ31が使用状態になって搬送終端側部31Rが自走機体の前記最外側縁4aよりも自走機体横外側に突出した状態になると、これに伴って支持台41と補助台70とが前記下降使用姿勢になり、支持台41と補助台70との遊端側が自走機体の前記最外側縁4aよりも自走機体横外側に突出し、容器50を支持台41と容器支持部42とに装着して容器50による人参回収を行なうことが可能となる。
【0048】
図3に示すように、前記連結具86は、前記フック部86aの近くに位置する部位を前記支持台41の操作アーム部41bの側面に設けたホルダー90に係止させることにより、人参回収作業に支障を与えないように収納しておくことができる。
【0049】
前記支持台41は、前記補助台70の前記支持部71に揺動自在に枢支されており、前記操作アーム部41bと補助台70の支持アーム92とに連結されたシリンダ機構93によって軸芯Xまわりに補助台70に対して揺動昇降操作される。
つまり、支持台41が下降使用姿勢にある状態において、前記シリンダ機構93が備える電動モータ94が駆動されると、シリンダ機構93が電動モータ94によって伸長側に駆動されて操作アーム部41bを軸芯Xまわりに自走機体後方側に揺動操作する。これにより、支持台41は、図3に二点鎖線で示す如く軸芯Xまわりに後下がりのシュート姿勢に下降操作され、容器50を支持台41から降ろしやすくする。
シリンダ機構93が電動モータ94によって短縮側に駆動されて操作アーム部41bを自走機体前方側に戻し操作すると、支持台41は、容器載置面を水平面して容器50を支持する通常姿勢に戻る。
【0050】
〔別実施例〕
前記選別コンベヤ31に替え、回収部に作物を搬送する搬送専用のコンベヤを備えた構成の作物収穫機においても本発明の目的を達成することができる。したがって、これら選別コンベヤ31、搬送コンベヤを総称してコンベヤ31と呼称する。
【0051】
上記した実施例に替え、支持台41を下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に自走機体の後側に支持させる構成を採用した場合においても本発明の目的を達成することができる。
【0052】
上記した実施例の作物収穫機に替え、大根、玉ねぎ、芋類など各種の作物を収穫対象とする構成を備えた作物収穫においても本発明の目的を達成することができる。したがって、これら人参、大根、玉ねぎ、芋類などを総称して作物と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】作物収穫機の全体の側面図
【図2】作物収穫機の全体の平面図
【図3】回収部の側面図
【図4】選別部と回収部の後面図
【図5】支持台と補助台の上昇格納姿勢での後面図
【図6】選別コンベヤの搬送終端側部の上昇状態と、テンション機構の作用状態を示す後面図
【図7】選別コンベヤの搬送終端側部の下降状態と、テンション機構の作用状態を示す後面図
【図8】(a)は、回収部の人参回収開始時での後面図、(b)は、回収部の人参回収途中での後面図
【図9】支持台の支持構造の平面図
【図10】ロック機構のロック解除状態での斜視図
【図11】ロック機構のロック状態での斜視図
【符号の説明】
【0054】
4a 自走機体の最外側縁
10 収穫部
31 コンベヤ
40 回収部
41 支持台
42 容器支持部
50 容器
86 連結具
P 枢支軸芯
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から収穫する収穫部と、前記収穫部からの作物を回収する容器のための支持台を有した回収部とを、自走機体に設けた作物収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の作物収穫機として、従来、たとえば特許文献1に記載された根菜類収穫機があった。特許文献1に記載された根菜類収穫機では、左右のクローラ等からなる走行装置によって支持される機体、機体の横側部に設けた収穫部、機体の他方の横側部に設けた収容部(回収部に相当)を備えている。収容部は、容器としての収穫袋の底部を支持するバケット(支持台に相当)を備えている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−190034号公報(段落〔0013〕、〔0017〕、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の作物収穫機では、支持台を下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に支持させ、かつ下降使用姿勢での支持台が自走機体外に突出するように構成される。すなわち、作業時には容器を機体外で支持させることができ、移動走行や格納時には支持台を作業時よりも機体内側に寄せて格納できるように構成される。
しかし、上昇格納した支持台が機体外側に突出したままであると、支持台の機体外側への突出により、狭い通路やスペースでの移動や格納が行いにくくなる。
【0005】
本発明の目的は、容器を機体外で支持させることができながら、移動や格納も行ないやすい作物収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、作物を圃場から収穫する収穫部と、前記収穫部からの作物を回収する容器のための支持台を有した回収部とを、自走機体に設けた作物収穫機において、
前記支持台を自走機体外に突出した下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に支持する枢支軸芯を、前記支持台が上昇格納姿勢で自走機体内に入るよう自走機体の最外側縁よりも内側に配置してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、支持台を下降使用姿勢にすると、支持台が自走機体外に突出して、容器を自走機体外側で支持させることができる。
一方、支持台を上昇格納姿勢にすると、支持台が自走機体の最外側縁よりも内側に入り込み、支持台の自走機体外側への突出が無くなる。
【0008】
したがって、容器を自走機体外で支持させて作業がスペース面などで行ないやすいものでありながら、支持台を自走機体外に突出しない状態で格納して狭い通路や格納場所でも容易に移動や格納することができる。
【0009】
本第2発明は、前記収穫部からの作物を前記回収部に搬送するコンベヤを揺動昇降操作自在に設け、
前記支持台を前記コンベヤによって上昇操作させるよう前記コンベヤと前記支持台とを連結する脱着自在な連結具を備えてある。
【0010】
本第2発明の構成によると、コンベヤを昇降操作すれば、支持体が連結具を介してコンベヤによって昇降操作されて上昇格納姿勢と下降使用姿勢とに昇降する。
【0011】
したがって、コンベヤと支持台とを一挙に昇降させてそれらの格納姿勢や使用姿勢への切り換えを楽にかつ迅速に行なうことができる。また、コンベヤを駆動機構によって昇降操作する場合、その駆動力を利用してより楽に行うことができる。
【0012】
本第3発明では、前記コンベヤに前記容器を吊り下げ支持する容器支持部を設け、前記連結具を、前記コンベヤの前記容器支持部に連結するよう構成してある。
【0013】
本第3発明の構成によると、容器支持部を連結手段に利用して連結具をコンベヤに連結することができる。
【0014】
したがって、コンベヤと支持台とを一挙に昇降操作できるものを、容器支持部を連結手段に利用して構造簡単に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る作物収穫機の全体の側面図である。図2は、本発明の実施例に係る作物収穫機の全体の平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係る作物収穫機は、左右一対のクローラ走行装置1,1によって自走するように構成され、かつエンジン2が備えられた原動部と、前記エンジン2の上方に位置する運転座席3が備えられた運転部とを有した自走機体と、この自走機体の左横側部に設けた収穫部10と、この収穫部10の後部の下方に設けた搬送部20と、この搬送部20の横側に配置して前記自走機体の後部に設けた選別部30と、前記自走機体の右横側部に設けた支持台41を有した回収部40とを備えている。
【0016】
この作物収穫機は、人参の収穫作業を行う。
すなわち、前記収穫部10は、左右一対の引起し装置11,11によって人参の茎葉を引き起こし、人参の横側の土中に入り込ませた土ほぐし刃12による振動付与によって引き抜きやすくなった人参の茎葉を、左右一対の無端回動ベルトで成る引き抜きベルト13,13によって挟持して自走機体後方向きに持ち上げ搬送することにより、人参を圃場から抜き上げて収穫する。この収穫部10は、前記引き抜きベルト13によって収穫した人参の茎葉を、左右一対の無端回動ベルトで成る茎葉除去ベルト14,14によって挟持搬送することにより、収穫した人参を吊り下げ状態で自走機体後方向きに搬送し、回転カッター15によって茎葉を切断して茎葉と人参とを分離させ、人参を前記搬送部20のコンベヤ21に落下させ、茎葉を茎葉除去ベルト14によって回転カッター15よりも後方に搬送してシュート16に落下させ、このシュート16と、前記コンベヤ21の搬送終端側と、落下ガイド17とによって自走機体後方側に排出する。
【0017】
前記搬送部20は、人参を前記コンベヤ21によって自走機体後方向きに搬送し、搬送終端部に到達した人参を横送りローラ22によって前記コンベヤ21から自走機体横側に送り出して前記選別部30の選別コンベヤ31に供給する。
【0018】
前記選別部30は、前記選別コンベヤ31を備える他、この選別コンベヤ31の自走機体後方側に設けた選別作業者用の座席32と、この座席32の前方下方に設けた床板33とを備えている。
【0019】
つまり、前記選別部30は、選別作業者が選別コンベヤ31によって自走機体横向きに搬送される人参を見て、収穫に適した大きさや形状などの性状を備えた収穫適合人参と、収穫に適した性状を備えない収穫非適合人参とに選別し、収穫非適合人参を選別コンベヤ31から人為的に取り出し、収穫適合人参を選別コンベヤ31に残して回収部40に搬送する。
【0020】
図4は、前記選別部30と前記回収部40の後面図である。図3は、前記回収部40の側面図である。これらの図と図2とに示すように、前記回収部40は、前記選別コンベヤ31の搬送終端部の下方に位置させる容器受けの支持台41と、前記選別コンベヤ31の終端部に設けた容器支持部42とを備えて構成してある。
つまり、回収部40は、上端部に開口51を備えるよう縫製された布で成る容器50を、底側が前記支持台41によって受け止め支持され、開口側が前記容器支持部42によって吊り下げ支持されるようにして選別コンベヤ31の下方に設置し、前記選別部30で収穫適合人参として選別された人参を選別コンベヤ31から容器50に落下させて回収していく。
【0021】
すなわち、図2,3,4に示すように、前記容器支持部42は、前記選別コンベヤ31の一対のメインフレーム34a,34aに連結アーム43を介して連結された自走機体前後向きの支持杆44と、この支持杆44の両端部に支持されるハンガー体45とを備えて構成してある。前記各ハンガー体45は、これの両端部に設けた吊り下げ金具46を備えている。
【0022】
容器支持部42は、一方のハンガー体45の両吊り下げ具46を容器50が備える一対の吊り上げベルト52,52の一方に係止させ、他方のハンガー体45の両吊り下げ具46を容器50の他方の吊り上げベルト52に係止させることにより、容器50の開口側を吊り下げ支持する。
【0023】
容器50の開口縁部を各ハンバガー体45のロッド部45aに止着具47を利用するなどによって止着させることにより、容器支持部42は、容器50の開口51を適正な開き状態に保形する。
【0024】
図6は、前記選別コンベヤ31の断面構造を示している。この図と図2,4に示すように、前記選別コンベヤ31は、前記左右一対のメインフレーム34a,34aを備える他、前記左右一対のメインフレーム34a,34aを有したコンベヤフレーム34の搬送始端部に駆動回動自在に設けた始端輪体35と、前記コンベヤフレーム34の搬送終端部に遊転自在に設けた終端輪体36とを備え、前記始端輪体35と前記終端輪体36との間に配置して前記コンベヤフレーム34の搬送経路側に遊転自在に支持させた一つの搬送ガイド輪体37と、前記始端輪体35と前記終端輪体36との間に配置して前記コンベヤフレーム34の戻り経路側に遊転自在に支持させた二つ戻りガイド輪体38,38とを備え、前記各輪体35,36,37,38に巻回された一つの無端コンベヤベルト39を備えて構成してある。
【0025】
前記コンベヤフレーム34の搬送終端側のフレーム部34rを、搬送始端側のフレーム部34fに対して前記搬送ガイド輪体37の回転軸芯37aまわりに上下揺動するように構成し、選別コンベヤ31のうちの前記終端輪体36と前記容器支持部42とを備えた搬送終端側部31Rを、前記回転軸芯37aまわりに、前記始端輪体35を備えた搬送始端側部31Fに対して揺動昇降するように構成してある。選別コンベヤ31の下方に、前記搬送終端側のフレーム部34rと自走機体の機体フレーム4とに連結した駆動機構としての昇降シリンダ60を設け、この昇降シリンダ60によって選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rを昇降調節し、人参が選別コンベヤ31から容器50に落下することによる人参の損傷を回避しながら人参回収を行なうようにしてある。
【0026】
図8(a)は、回収部40の人参回収開始時での後面図である。この図に示すように、人参回収開始時には、前記昇降シリンダ60を下降側に駆動操作して選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rを下降調節し、選別コンベヤ31の搬送終端箇所の支持台41からの高さを低く調節する。すなわち、選別コンベヤ31の搬送終端箇所の支持台41からの高さを、選別コンベヤ31からの人参が容器50に落下しても人参損傷を防止できる高さに調節する。
【0027】
図8(b)は、回収部40の人参回収途中での後面図である。この図に示すように、容器50に回収された人参群Aの上面レベルaが高くなって容器50の収容空間が減少すると、前記昇降シリンダ60を上昇側に駆動操作して選別コンベヤ31の搬送終端部31Rを回収開始時よりも上昇調節し、これにより容器支持部42を回収開始時よりも上昇調節して容器50の開口51を上昇調節し、かつ選別コンベヤ31の搬送終端箇所を人参群Aの上端レベルaから適切な高さの位置に上昇調節し、選別コンベヤ31からの人参が容器内の人参群Aの上に落下しても人参損傷を回避できるようにしながら容器50の収容空間を増大させる。
【0028】
つまり、容器50の収容空間の減少に伴って選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rを上昇調節し、これによって選別コンベヤ31の搬送終端箇所と容器50の開口51とを上昇調節して、選別コンベヤ31の搬送終端箇所の人参群Aの上端レベルaからの高さを人参の人参群Aへの落下による人参損傷を回避できる高さにしながら容器50の収容空間を増大させる調節を、容器50が満杯になるまで繰り返して行う。
【0029】
前記昇降シリンダ60の上昇側の駆動操作は、前記床板33に設けた上昇操作ペダルによって行う。前記昇降シリンダ60の下降側の駆動操作は、選別部30に設けたを下降操作スイッチによって行なう。
【0030】
選別コンベヤ31の搬送終端箇所の高さ調節は、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rの前記回転軸芯37aまわりでの揺動昇降調節によって行なわれ、選別コンベヤ31の搬送始端側部31Fを定位置に維持した状態で行われる。これにより、選別コンベヤ31の搬送始端側部31Fと前記搬送部20のコンベヤ21との相対位置が変化せず、搬送部20から選別コンベヤ31への人参供給に悪影響を及ぼすことがない状態で人参の損傷が無い回収を行なわせることができる。
【0031】
図6は、前記無端コンベヤベルト39の断面構造を示している。この図と図2とに示すように、前記無端コンベヤベルト39は、無端コンベヤベルト39の横幅方向に並ぶ一対の無端回動チェーン39a,39aと、無端コンベヤベルト39の長手方向に並べて前記一対の無端回動チェーン39a,39aに連結されたコンベヤバー39bとを備えて構成してある。前記無端コンベヤベルト39は、複数のコンベヤバー39bのうちの一部のコンベヤバー39bから搬送側に突出した搬送係止片39cを備えており、この搬送係止片39cによって人参の滑り止めを行なう。
【0032】
図6に示すように、前記選別コンベヤ31は、前記二つの戻りガイド輪体38,38の間に位置する一対のテンション輪体65,66を有したテンション機構64を備えている。図6に示すように、前記テンション機構64は、前記一対のテンション輪体65,66を備える他、前記一対のテンション輪体65,66を無端コンベヤベルト39の両横外側で遊転自在に支持する支持リンク67と、この支持リンク67を支軸67aの軸芯まわりに揺動付勢するテンションスプリング68とを備えて構成してある。
【0033】
図6は、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rが上昇調節された状態での前記テンション機構64の作用状態を示している。図7は、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rが下降調節された状態での前記テンション機構64の作用状態を示している。こられの図に示すように、前記テンション機構64は、一対のテンション輪体65,66をテンションスプリング68によって揺動付勢することによって無端コンベヤベルト39を一対のテンション輪体65,66に巻き込み付勢し、これにより、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rの揺動調節によって無端コンベヤベルト39の戻り側に長さ変化が発生しても、無端コンベヤベルト39を適切な緊張状態に維持する。
【0034】
図9は、前記支持台41の支持構造の平面図である。この図と図3とに示すように、前記支持台41は、この支持台41よりも自走機体前方側に位置する補助台70の後端部に備えた一対の支持部71,71に連結されている。前記補助台70は、これの基端側に設けた前後一対の連結部材72,72と、機体フレーム4に設けた前後一対の枢支軸73,73とを介して機体フレーム4に枢支されている。
【0035】
つまり、前記支持台41は、前記一対の枢支軸73,73に共通した自走機体前後向きの枢支軸芯Pを介して機体フレーム4に前記補助台70と共に枢支されており、支持台41と補助台70とは、一体となって前記枢支軸芯Pまわりに自走機体に対して揺動昇降して下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに切り換わる。
【0036】
図2,5に示すように、前記自走機体は、前記機体フレーム4の原動部を構成する部分での横外側縁4aを、自走機体の右横側での最外側縁として備えている。前記枢支軸芯Pは、前記最外側縁4aよりも自走機体内側に支持台41および補助台70の横幅方向の大きさよりも小の距離で、かつ支持台41および補助台70の厚さより大の距離で入り込んだ箇所に配置してある。
【0037】
図4は、前記支持台41と前記補助台70との下降使用姿勢での後方視状態を示している。図9は、前記支持台41と前記補助台70との下降使用姿勢での平面視状態を示している。これらの図に示すように、補助台70を前記枢支軸芯Pまわりに自走機体外側に下降操作し、補助台70の自走機体横方向での内側端が機体フレーム4の側面に当接すると、支持台41と補助台70とは、機体フレーム4から横外側向きに水平に延出して下降使用姿勢になる。このとき、支持台41と補助台70とは、前記枢支軸芯Pの前記配置により、支持台41と補助台70との延出端側の大部分が前記最外側縁4aよりも自走機体外側に突出して自走機体横外側に作業スペースを形成した状態になり、かつ機体フレーム4による受け止めによって回収人参の荷重に抗して下降使用姿勢に維持される状態となる。
【0038】
図5は、前記支持台41と前記補助台70との上昇格納姿勢での後面図である。この図に示すように、補助台70を前記枢支軸芯Pまわりに上昇操作すると、支持台41と補助台70とは、機体フレーム4に対して起立して上昇格納姿勢になる。このとき、支持台41と補助台70とは、前記枢支軸芯Pの前記配置により、支持台41と補助台70の全体が前記最外側縁4aよりも自走機体内側に入った状態となって作物収穫機の横幅を、支持台41と補助台70とが下降使用姿勢の場合のそれよりも小にする。さらに、このとき、補助台70と機体フレーム4とにわたって設けたロック機構75(図9参照)が自動的に作用して支持台41と補助台70とが上昇格納姿勢にロックされる。
【0039】
図10は、前記ロック機構75のロック解除状態での斜視図である。図11は、前記ロック機構75のロック状態での斜視図である。これらの図と図9とに示すように、前記ロック機構75は、前記補助台70の基部に設けたロック軸76と、機体フレーム4の支持部4bに支軸77を介して揺動自在に支持されたフック78と、このフック78を前記ロック軸76に係合するよう揺動付勢するロックばね79とを備えて構成してある。
【0040】
前記ロック機構75は、前記フック78から延出した解除レバー78aによってフック78がロック軸76から外し操作されることにより、補助台70と支持台41との格納ロックを解除するようロック解除状態になる。
【0041】
図9,10,11に示すように、自走機体は、前記ロック機構75の近くに人為スライド操作自在に設けたロックピン80を備えている。前記ロックピン80は、前記連結部材72に連設されたロックアーム81のピン孔82に係入操作されることにより、補助台70と支持台41とを上昇格納姿勢にロックする。
【0042】
図5に示すように、前記選別コンベヤ31の前記搬送終端側部31Rを、容器50の開口側を昇降操作する作業用昇降範囲よりも高く上昇した上昇格納位置まで前記昇降シリンダ60によって上昇操作できるように構成してある。
【0043】
図3,4,9に示すように、前記支持台41に、この支持台41の端部に位置する連結部41aにU字形の連結金具85を介して一端側が連結されたロッド形の連結具86を備えてある。この連結具86は、前記連結金具85が連結している側とは反対側の端部に設けたフック部86aを備えている。
【0044】
図5に示すように、前記連結具86は、前記フック部86aを前記容器支持部42の前記支持杆44に支持アーム87を付設して設けたフック孔88に係止させることにより、支持台41と選別コンベヤ31の前記容器支持部42とを連結した使用状態になる。この図に示すように、前記連結具86を使用状態にして選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rを昇降シリンダ60によって上昇操作すると、支持台41と補助台70とが選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rによる連結具86を介しての上昇操作によって搬送終端側部31Rと共に上昇する。
【0045】
前記連結具86を使用状態にして選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rを下降操作すると、支持台41と補助台70との前記ロックピン80と前記ロック機構75とによる上昇格納ロックを解除しておけば、支持台41と補助台70とが選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rによって連結具86を介して吊り下げ支持されながら搬送終端側部31Rと共に下降する。
【0046】
これにより、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rが上昇格納位置に上昇して選別コンベヤ31が格納状態になり、搬送終端側部31Rが自走機体の前記最外側縁4aよりも自走機体内側に入り込んだ状態になると、これに伴って支持台41と補助台70とが前記上昇格納姿勢になり、支持台41と補助台70との全体が自走機体の前記最外側縁4aよりも自走機体内側に入り込み、作物収穫機の回収部40での自走機体横方向の大きさが作業時でのその大きさよりも小になる。この場合、前記前後一対のハンガー体45,45を支持杆44から取り外すことにより、ハンガー体45の自走機体横外側への突出を回避できる。
【0047】
一方、選別コンベヤ31の搬送終端側部31Rが下降し、選別コンベヤ31が使用状態になって搬送終端側部31Rが自走機体の前記最外側縁4aよりも自走機体横外側に突出した状態になると、これに伴って支持台41と補助台70とが前記下降使用姿勢になり、支持台41と補助台70との遊端側が自走機体の前記最外側縁4aよりも自走機体横外側に突出し、容器50を支持台41と容器支持部42とに装着して容器50による人参回収を行なうことが可能となる。
【0048】
図3に示すように、前記連結具86は、前記フック部86aの近くに位置する部位を前記支持台41の操作アーム部41bの側面に設けたホルダー90に係止させることにより、人参回収作業に支障を与えないように収納しておくことができる。
【0049】
前記支持台41は、前記補助台70の前記支持部71に揺動自在に枢支されており、前記操作アーム部41bと補助台70の支持アーム92とに連結されたシリンダ機構93によって軸芯Xまわりに補助台70に対して揺動昇降操作される。
つまり、支持台41が下降使用姿勢にある状態において、前記シリンダ機構93が備える電動モータ94が駆動されると、シリンダ機構93が電動モータ94によって伸長側に駆動されて操作アーム部41bを軸芯Xまわりに自走機体後方側に揺動操作する。これにより、支持台41は、図3に二点鎖線で示す如く軸芯Xまわりに後下がりのシュート姿勢に下降操作され、容器50を支持台41から降ろしやすくする。
シリンダ機構93が電動モータ94によって短縮側に駆動されて操作アーム部41bを自走機体前方側に戻し操作すると、支持台41は、容器載置面を水平面して容器50を支持する通常姿勢に戻る。
【0050】
〔別実施例〕
前記選別コンベヤ31に替え、回収部に作物を搬送する搬送専用のコンベヤを備えた構成の作物収穫機においても本発明の目的を達成することができる。したがって、これら選別コンベヤ31、搬送コンベヤを総称してコンベヤ31と呼称する。
【0051】
上記した実施例に替え、支持台41を下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に自走機体の後側に支持させる構成を採用した場合においても本発明の目的を達成することができる。
【0052】
上記した実施例の作物収穫機に替え、大根、玉ねぎ、芋類など各種の作物を収穫対象とする構成を備えた作物収穫においても本発明の目的を達成することができる。したがって、これら人参、大根、玉ねぎ、芋類などを総称して作物と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】作物収穫機の全体の側面図
【図2】作物収穫機の全体の平面図
【図3】回収部の側面図
【図4】選別部と回収部の後面図
【図5】支持台と補助台の上昇格納姿勢での後面図
【図6】選別コンベヤの搬送終端側部の上昇状態と、テンション機構の作用状態を示す後面図
【図7】選別コンベヤの搬送終端側部の下降状態と、テンション機構の作用状態を示す後面図
【図8】(a)は、回収部の人参回収開始時での後面図、(b)は、回収部の人参回収途中での後面図
【図9】支持台の支持構造の平面図
【図10】ロック機構のロック解除状態での斜視図
【図11】ロック機構のロック状態での斜視図
【符号の説明】
【0054】
4a 自走機体の最外側縁
10 収穫部
31 コンベヤ
40 回収部
41 支持台
42 容器支持部
50 容器
86 連結具
P 枢支軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を圃場から収穫する収穫部と、前記収穫部からの作物を回収する容器のための支持台を有した回収部とを自走機体に設けた作物収穫機であって、
前記支持台を自走機体外に突出した下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に支持する枢支軸芯を、前記支持台が上昇格納姿勢で自走機体内に入るよう自走機体の最外側縁よりも内側に配置してある作物収穫機。
【請求項2】
前記収穫部からの作物を前記回収部に搬送するコンベヤを揺動昇降操作自在に設け、
前記支持台を前記コンベヤによって上昇操作させるよう前記コンベヤと前記支持台とを連結する脱着自在な連結具を備えてある請求項1記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記コンベヤに前記容器を吊り下げ支持する容器支持部を設け、前記連結具を、前記コンベヤの前記容器支持部に連結するよう構成してある請求項2記載の作物収穫機。
【請求項1】
作物を圃場から収穫する収穫部と、前記収穫部からの作物を回収する容器のための支持台を有した回収部とを自走機体に設けた作物収穫機であって、
前記支持台を自走機体外に突出した下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に支持する枢支軸芯を、前記支持台が上昇格納姿勢で自走機体内に入るよう自走機体の最外側縁よりも内側に配置してある作物収穫機。
【請求項2】
前記収穫部からの作物を前記回収部に搬送するコンベヤを揺動昇降操作自在に設け、
前記支持台を前記コンベヤによって上昇操作させるよう前記コンベヤと前記支持台とを連結する脱着自在な連結具を備えてある請求項1記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記コンベヤに前記容器を吊り下げ支持する容器支持部を設け、前記連結具を、前記コンベヤの前記容器支持部に連結するよう構成してある請求項2記載の作物収穫機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−268357(P2009−268357A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118799(P2008−118799)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(599118768)株式会社斎藤農機製作所 (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(599118768)株式会社斎藤農機製作所 (47)
【Fターム(参考)】
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