説明

作物掘取収穫機

【課題】圃場から掘り起こした作物を選別装置まで搬送する搬送装置上の作物が落下したり、機体前方に向かって転げ落ちることを防止して、作業能率を向上させる作物掘取収穫機の提供である。
【解決手段】掘起し刃19と、掘起し刃19からの作物を後部上方に搬送する汲上搬送装置2と、汲上搬送装置2で塊となって搬送される作物を挟持して、分離する挟持分離装置45と、汲上搬送装置2の搬送終端部から排出される作物を次の工程に案内するガイドシュータ80とを設けた作物掘取収穫機において、汲上搬送装置2は、作物を搬送するために駆動回転する搬送チェーン32,83と搬送チェーン32,83に連結して搬送方向に複数設けられ、搬送チェーン32,83の回転軌跡の上端部よりも下方に底部を有し、搬送中の作物を載置する作物載置部Sとを備える。作物は作物載置部S内を転がるので、掘起し刃19側に向かって転げ落ちることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から掘り起こして搬送する作物掘取収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、里芋などの作物を圃場から掘り起こして搬送し、搬送した作物を選別して回収する作物収穫機の技術が存在する。
例えば、下記特許文献1には、里芋を収穫して子芋や孫芋を分離して収穫する里芋収穫機が開示されている。
【0003】
下記特許文献1の里芋収穫機によれば、掘り取った里芋を搬送する搬送装置の上側に親芋から子芋を分離する分離装置を設けて、搬送装置の搬送下手側に位置する選別装置の近くに補助分離装置を設けることで、搬送装置により搬送される里芋を親芋と小芋に分離する作業が搬送装置に過負荷を掛けることなく行えるようにしている。
また、選別装置の近くに補助分離装置を設けることで、選別装置の近くで選別作業をする作業者が分離不十分の里芋を取り出して、補助分離装置に渡すことで作業性良く分離作業が行えて作業能率が良いという効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−5613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された里芋収穫機では、作業性良く分離作業が行えるが、圃場から掘り起こした作物を選別装置まで搬送する搬送装置から作物が落下してしまうと、せっかく分離作業の能率が上がっても、全体の作業性が低下してしまう。
この搬送装置は、掘り起こした作物を後部上方に汲み上げて搬送する装置であり、搬送終端部側(上方)の左右駆動スプロケットと搬送始端部側(下方)の左右従動スプロケットとの間に亘って左右の駆動チェーンを弛みなく無端状に巻回し、左右の駆動チェーンの間に機体前後方向に一定の間隔を設けて複数の棒状の搬送板を取り付けることによって構成している。
【0006】
この搬送装置で掘り起こした作物を機体後方に向かって搬送しようとすると、作物の形状や装置の振動等によって、作物が機体前方に向かって転げ落ちてしまい、落下の衝撃で作物が傷つき、商品価値が低下するという問題がある。
また、作物が前方(搬送始端部側)に転げ落ち、何度も汲み上げ搬送をしていると、搬送装置上の作物の数が増え、分離装置の前方等で滞留して、作業能率を低下させてしまうという問題もある。
【0007】
本発明の課題は、圃場から掘り起こした作物を選別装置などの次の工程まで搬送する搬送装置上の作物が落下したり、機体前方に向かって転げ落ちたりすることを防止して、作業能率を向上させる作物掘取収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、作物を地中から掘り起こす掘起し部材(19)と、該掘起し部材(19)に掘り起こされた作物を後部上方に搬送する搬送装置(2)と、該搬送装置(2)で塊となって搬送される作物を挟持して、分離する挟持分離装置(3)と、前記搬送装置(2)の搬送終端部から排出される作物を次の工程に案内する案内部材(5)を設けた作物掘取収穫機において、前記搬送装置(2)は、作物を搬送するために駆動回転する搬送無端帯(32,83)と、該搬送無端帯(32,83)に連結して搬送方向に複数設けられ、搬送無端帯(32,83)の回転軌跡の上端部よりも下方に底部を有し、搬送中の作物を載置する作物載置部(S)とを備える作物掘取収穫機である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記搬送無端帯(32,83)は、搬送方向に向かって左右に設けられた左右一対の搬送無端帯(32)であり、前記作物載置部(S)は、前記左右一対の搬送無端帯(32)に連結して搬送方向に所定の間隔を空けて複数設けられ、搬送方向から見て上方に開口部を有するコの字型の作物を搬送する複数の搬送体(33)から形成される請求項1記載の作物掘取収穫機である。
【0010】
請求項3記載の発明は、上方に開口部を有するコの字型の前記搬送体(33)の複数個ごとに、搬送方向から見て下方に開口部を有するコの字型であって、該搬送体(33)上の作物の搬送始端部側への転落を規制する規制体(77)を設けた請求項2記載の作物掘取収穫機である。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記搬送装置(2)は、搬送方向に向かって左右方向に回転軸を有し、左右に一対設けた左右一対の搬送無端帯(32)と、搬送方向に向かって左右方向に回転軸を有する前後一対の駆動回転体(81)及び従動回転体(82)と、該駆動回転体(81)と従動回転体(82)との間に巻回し、前記搬送無端帯(32)よりも巻回長さの短い駆動無端帯(83)とからなり、前記左右一対の搬送無端帯(32)の側方に設けた駆動機構(81,82,83)と、前記搬送無端帯(32)と駆動無端帯(83)とを搬送無端帯(32)が弛むように所定間隔ごとに全長に亘って連結する連結部材(85)とを備え、前記作物載置部(S)は、前記左右一対の搬送無端帯(32)に連結して、前記連結部材(85)の連結間隔ごとに設けられ、前記駆動無端帯(83)の回転軌跡の上端部よりも下方に底部を有する請求項1記載の作物掘取収穫機である。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記作物載置部(S)は、前記左右一対の搬送無端帯(32)に連結して搬送方向に所定の間隔を空けて複数設けられ、作物を搬送する搬送体(33)により形成され、前記連結部材(85)に、搬送方向から見て前記搬送体(33)と略同じ左右長さであると共に下方に開口部を有するコの字型であって、隣接する作物載置部(S)を仕切る仕切り部材(86)を設けた請求項4記載の作物掘取収穫機である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、搬送装置(2)に搬送無端帯(32,83)の回転軌跡の上端部よりも下方に底部を有する作物載置部(S)を搬送方向に向かって複数形成したことにより、搬送中の作物が搬送装置(2)の傾斜や搬送装置(2)の振動により転がることがあっても、作物は作物載置部(S)内を転がる。したがって、搬送中の作物が搬送装置(2)の掘起し部材(19)側の搬送始端部側に向かって転げ落ちることを防止できるので、落下の衝撃で作物が傷ついて商品価値が低下することが防止される。また、同じ作物が何度も汲上搬送されることがなく、作業能率が向上する。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、搬送方向から見て上方に開口部を有するコの字型の搬送体(33)を複数個連続して設けることで、該複数の搬送体(33)で作物載置部(S)を構成することができるので、部品点数の増加が防止され、装置の軽量化や構成の簡易化を図ることができる。
【0015】
更に、搬送体(33)を所定間隔ごとに設けたことにより、搬送体(33)同士の間に空間部が形成されるので、作物に付着した泥や夾雑物を下方に落下させることができ、泥土や夾雑物が作物の分離を妨げることが防止され、分離精度が向上する。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、搬送体(33)の複数個ごとに、下方に開口部を有するコの字型の規制体(77)を設けたことで、すなわち複数の搬送体(33)と規制体(77)とを交互に設けたことにより、所定間隔ごとに作物載置部(S)が形成されるため、作物を連続して掘取搬送する際にいつでも作物載置部(S)に載せることができる。
【0017】
また、作物が、現在載置されている作物載置部(S)の搬送始端部側端部を超えて下方の作物載置部(S)に移動しようしても、規制体(77)の上端部に当たって作物の移動が規制されるので、作物の搬送能率が向上する。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、駆動機構(81,82,83)の駆動無端帯(83)よりも搬送無端帯(32)を長くし、搬送無端帯(32)と駆動無端帯(83)とを搬送無端帯(32)が弛むように所定間隔ごとに全長に亘って連結したことにより、作物に面する側の搬送無端帯(32)が下方に弛んで所定間隔ごとに作物載置部(S)が形成されるため、作物を連続して掘取搬送する際にいつでも作物載置部(S)に載せることができるので、搬送中の作物が搬送装置(2)の掘起し部材(19)側の搬送始端部側に向かって転げ落ちることを防止でき、落下の衝撃で作物が傷ついて商品価値が低下することが防止される。
【0019】
また、左右一対の搬送無端帯(32)を駆動機構(81,82,83)で駆動させることにより、搬送無端帯(32)を弛ませたまま回転させることができるので、作物を搬送終端部まで作物載置部(S)に載置することができ、落下の衝撃で傷つくことを防止したり、何度も汲み上げ搬送されたりすることを防止でき、作物の商品価値が向上すると共に、作業能率が向上する。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明の効果に加えて、下方に開口部を有するコの字型の仕切り部材(86)を、駆動無端帯(83)と搬送無端帯(32)との連結部材(85)ごとに設けたことにより、所定間隔ごとに作物載置部(S)が形成される。したがって、作物を連続して掘取搬送する際にいつでも作物載置部(S)に載せることができるので、搬送中の作物が搬送装置(2)の掘起し部材(19)側の搬送始端部側に向かって転げ落ちることを防止でき、落下の衝撃で作物が傷ついて商品価値が停止することが防止される。
【0021】
また、作物が、現在載置されている作物載置部(S)の搬送始端部側端部を超えて下方の作物載置部(S)に移動しようしても、仕切り部材(86)の上端部に当たって作物の移動が規制されるので、作物の搬送能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の里芋収穫機の平面図(図1(a))と図1(a)に係る第一摺動部材の拡大図(図1(b))である。
【図2】図1(a)に係る里芋収穫機の側面図である。
【図3】案内板(ガイドシュータ)を備えた図1(a)に係る里芋収穫機の平面図(図3(a))と側面図(図3(b))と、背面図(図3(c))である。
【図4】排土板と鎮圧輪を備えた図1に係る里芋収穫機の平面図(図4(a))と側面図(図4(b))である。
【図5】図5(a)は本実施形態の里芋収穫機の汲上搬送装置の側面図であり、図5(b)は図5(a)のA−A線矢視図である。
【図6】図5の汲上搬送装置の他の例の平面図である。
【図7】図6の汲上搬送装置の側面図である。
【図8】図8(a)は、図1の汲上搬送装置の別の例の平面図であり、図8(b)は、図8(a)の汲上搬送装置の側面図である。
【図9】図9(a)は、図1の汲上搬送装置の別の例の平面図であり、図9(b)及び図9(c)は、図9(a)のカバー付近の断面図である。
【図10】図10(a)は、図1の汲上搬送装置の別の例の平面図であり、図10(b)は、図10(a)の汲上搬送装置の側面図である。
【図11】図11(a)は、図1の汲上搬送装置の別の例の平面図であり、図11(b)は、図11(a)の汲上搬送装置の側面図である。
【図12】図12(a)は、図1の汲上搬送装置の別の例の平面図であり、図12(b)は、図12(a)の汲上搬送装置の側面図である。
【図13】図1の汲上搬送装置の別の例の平面図である。
【図14】図1の汲上搬送装置の別の例の平面図である。
【図15】図15(a)は、図1の汲上搬送装置の別の例の平面図であり、図15(b)は、図15(a)の汲上搬送装置の側面図であり、図15(c)は、図15(a)のガイドシュータの要部背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について以下に図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の作物掘取収穫機の一実施形態として、圃場から里芋を掘り起こして搬送し、親芋から子芋や孫芋(以下、子芋と孫芋を総称して小芋と言う)を分離する里芋収穫機について説明する。
図1に里芋収穫機1の平面図を示す。
トラクタ(図示せず)等の車両に接続された里芋収穫機1は、圃場から里芋を掘り起こす掘起し部材としての掘起し刃19と、掘り起こした里芋を里芋収穫機1の上方に搬送する汲上搬送装置2と、汲上搬送装置2の上部左右両側に設置して、搬送された里芋を親芋と子芋と孫芋に分離する一対の分離クローラ7を有する挟持分離装置3などを備えた構成である。なお、汲上搬送装置2の搬送下手側に選別装置を設け、この選別装置の近くに補助分離装置を設けても良い。
【0024】
ここで、以下の本発明の説明において、里芋収穫機1の掘起し刃19がある方を「前」、里芋が搬送されて分離クローラ7で挟持分離される方向を「後」とし、掘起し刃19のある方向に里芋収穫機1を進行させる方向に向かって左右の方向を「左右」とする。本実施形態では、上記の里芋収穫機1の構成により、左右両側の挟持分離装置3の間を通過する里芋が、通過の際に回転する分離クローラ7により左右両側から押圧され、親芋と子芋等に分離されるが、その際の押圧力(挟持力)および左右両側の挟持分離装置3の間隔を調節する挟持力調節装置4を挟持分離装置3の上部に設置する。
【0025】
挟持分離装置3は、図1に示されるように、汲上搬送装置2の上部の左右両側に設置される。このとき、掘り起こされて汲上搬送装置2で搬送される里芋は、左右の挟持分離装置3の間を通過するが、汲上搬送装置2の上方に行くに従って挟持分離装置3の間の里芋が搬送されるにつれて搬送通路が順次細くなるように、平面図で「ハ」の字型に配置される。
【0026】
左右それぞれの挟持分離装置3は、分離クローラ7と2つの回転プーリ9a、9bを有する無限軌道を成し、搬送される里芋が一対の分離クローラ7により押圧されるように汲上搬送装置2の搬送面と一対の分離クローラ7の表面が直交するように設置する。また、分離クローラ7の回転は、分離クローラ7を構成する2つの回転プーリ9a、9bのうち後側の回転プーリ9bの回転軸(図示せず)に接続されるモータ50を動力源とする(図2)。
【0027】
この里芋収穫機1には、左右それぞれの挟持分離装置3の回転プーリ9a、9bのうち後方の回転プーリ9bを左右に移動させて、里芋の通路幅とその押圧力(挟持力)を調節できるように挟持力調節装置4を設置している。
【0028】
上記機能を実現する挟持力調節装置4について、その構成を図1の平面図及び図2の側面図に示し、本構成に係る作用機構(間隔調節機構、挟持力調節機構)について、以下詳細に記す。
挟持力調節装置4を構成する主な部材は、支持フレーム61、調節フレーム62、第一摺動部材(摺動ケース)63、第二摺動部材(摺動ケース)64、回動アーム65、調節シャフト66、受けプレート67、スプリング68、間隔調節部材(間隔調節ハンドル)69、挟持力調節部材(挟持力調節ハンドル)70等である。
【0029】
支持フレーム61は、挟持分離装置3よりも後ろに、左右方向に亘って汲上搬送装置2の後方部に設置される。
調節フレーム62は、支持フレーム61の左右方向の中央部を貫通し、汲上搬送装置2の前後方向に設置される。従って支持フレーム61と調節フレーム62は平面視で十文字状に配置されている。
【0030】
第一摺動ケース(第一摺動部材)63は、調節フレーム62の左右両側の支持フレーム61上に1つずつ設置されている。第一摺動ケース63には支持フレーム61の上下の側面を跨ぐように転がる一対の摺動ローラ63a、63aがロッド63bの両側に回転自在に取り付けられている。該ロッド63bの一端はロッド支持用筐体(ボックス)63cの前方側壁63c2に固定され、支持フレーム61の上部を摺動ローラ63aとロッド63bの左右方向外側で支持フレーム61の上部を覆う第一摺動パイプ63c1からなる構成とした。従ってロッド63bに回動自在に支持された4つの摺動ローラ63aが支持フレーム61の上下の側面を転がることができる(図1(b)参照)。
【0031】
円筒状の第二摺動ケース(第二摺動部材)64は、調節フレーム62を貫通する穴を備え、第二摺動パイプ64aと第二摺動パイプ64aの一側面上に基部が立設された縦軸64cと該縦軸64cの先端部を支持する面と第二摺動パイプ64aの調節フレーム62を貫通する一側面に接続された面からなるL字状板材(L字型支持板)64bから構成されている。
【0032】
平面視で湾曲状の一対の回動アーム65,65は、その一端を、第二摺動ケース64の縦軸64cに、回動自在に互いに間隔を空けて重なるように連結し、それぞれの回動アーム65の他端を、それぞれ支持フレーム61の両端部側の表面を摺動する左右の第一摺動ケース63に回動自在に連結している。
【0033】
調節シャフト66は、第二摺動ケース64の後方側壁に一端が取り付けられ、調節フレーム62の上方位置で調節フレーム62と並列した位置に配置され、調節シャフト66の他端部は汲上搬送装置2の後端部側に延出させて後述するハンドル69,75,70が取り付けられ、調節シャフト66の表面にはネジ溝が設けられている。
【0034】
挟持力シャフト66の中間部に軸着した受けプレート67の平面上には調節シャフト66が貫通する穴(図示せず)が設けられ、該穴と同じ位置に中央孔のある受けプレート67上には、周りに調節シャフト66のネジ溝と螺合するナット40が溶接接合されている。従って調節シャフト66はナット40と螺合しながら受けプレート67を貫通し、受けプレート67は回転する調節シャフト66に沿って前後方向に移動可能に設置される。
【0035】
調節シャフト66の後端部の前記ハンドル69,75,70の前側には、摺動自在に後方側壁72が支持され、また後方側壁72は調節フレーム62の後端部に固着支持されている。
またスプリング68が受けプレート67と後方側壁72の間で張力を維持するように調節シャフト66の周囲に螺旋状に巻かれている。
【0036】
挟持力調節ハンドル(挟持力調節部材)70は、調節シャフト66を中心とした軸回転可能に調節シャフト66の後端部に該調節シャフト66と一体的に取り付けられており、挟持力調節ハンドル70の回転により、スプリング68の張力に抗しながら受けプレート67が調節シャフト66上を前後に移動する。この時、受けプレート67が調節シャフト66と共周りしないように、第二摺動ケース64の側壁に一端を取り付けた摺動シャフト74が、受けプレート67を貫通して、その長手方向が調節シャフト66に平行して配置され、該摺動シャフト74の他端は調節フレーム62の外壁面に固着された連結支持プレート71で支持されている。
【0037】
前記連結支持プレート71は、支持フレーム61の後方で、かつ後方側壁72の前方において、調節フレーム62の外壁面に固着されている。そして、この連結支持プレート71には摺動シャフト74と調節シャフト66を貫通する穴(図示せず)を設けており、動作中に生じる振動等による摺動シャフト74の揺れを抑制している。なお、スプリング68も連結支持プレート71に設けた穴を貫通している。
【0038】
間隔調節ハンドル69は、スプリング68の一端を受け止めている前記後方側壁72の直後の調節シャフト66に固着され、間隔調節ハンドル69を回転させると調節シャフト66に一端が固着した第二摺動ケース64を前後に移動させることができる。
【0039】
挟持力調節装置4の後方側壁72は、間隔調節ハンドル69の直前で、ネジ溝のない調節シャフト66の端部付近で、該調節シャフト66を貫通して設けられており、後方側壁72は調節シャフト66上を前後に移動可能に設置され、調節シャフト66の下方で、調節シャフト66に平行に配置されている調節フレーム62の後端部側面に溶接接続される。
【0040】
以上の構成により、間隔調節ハンドル69を回転させると、挟持力調節装置4は間隔調節ハンドル69を調節シャフト66に沿って前後方向に移動させると同時に、後方側壁72と受けプレート67の間の長さが変化してスプリング68を伸縮させ、調節シャフト66に沿って里芋収穫機1の前後方向に移動し、挟持力調節装置4の挟持力を調整することができる。
【0041】
また、調節フレーム62には第二摺動ケース64が摺動自在に設置されており、間隔調節ハンドル69により調節フレーム62が前方に移動すると、第二摺動ケース64も前方に移動し、該第二摺動ケース64の縦軸64cに回動自在に一端部が共に連結している一対の回動アーム65,65の他端部に連結している第一摺動ケース63,63が支持フレーム61上の左右両外側から内側に向けて移動する。
【0042】
また、逆に調節フレーム62が後方に移動すると第二摺動ケース64と回動アーム65,65を介して、支持フレーム61上の左右両側の一対の第一摺動ケース63,63が機体の左右方向の外側に移動する。
【0043】
一対の第一摺動ケース63,63は、連結プレート45を介して左右両側の挟持分離装置3の上方の回転プーリ9bに回動自在に連結されるので、第一摺動ケース63の左右方向の摺動に伴って、挟持分離装置3の回転プーリ9bも左右方向に移動し、里芋の通過する通路の左右の幅を調節することが可能となる。
【0044】
次に、左右両側の挟持分離装置3の上方の回転プーリ9bの間隔調節方法と里芋の挟持力の調節方法について説明する。
上述の通り、間隔調節ハンドル69を回転させて受けプレート67を後方へ移動させると、圧縮スプリング68が押し縮められ、反作用としてスプリング68が伸びる方向に反発力を生じる。調節シャフト66の前端は第二摺動ケース64に直接固着し、また受けプレート67はナット40により調節シャフト66に支持されているので、押し縮められたスプリング68の反作用による伸びる力は第二摺動ケース64を前方に押す力として働くことから、第一摺動ケース63を内側に押す力、すなわち、里芋を挟み込む挟持力として作用する。
【0045】
間隔調節ハンドル69を前方に移動させればさせるほど、第一摺動ケース63を内側に押す力がより強く作用することになるので、第一摺動ケース63と連結している挟持分離装置3の上方の回転プーリ9bによる里芋の押圧力を増すこととなる。しかし、このとき挟持力が強すぎると、里芋が挟持分離装置3の間を通過することができなくなり、里芋を傷つけることになる。逆に、押圧力が弱すぎると、里芋を親芋と子芋に分離する作用が弱くなってしまう事になるので、間隔調節ハンドル69を前後に移動させることにより、挟持力を調節する。
【0046】
すなわち、間隔調節ハンドル69を前方に移動させることでスプリング68が圧縮され、挟持力が強くなりすぎたときは、挟持力調節ハンドル70を操作して、挟持力調節ハンドル70と一体の調節シャフト66に螺合している受けプレート67の位置を後方に移動させて、スプリング68の圧縮力を開放側に調節して挟持力を弱くさせる。逆に、挟持力が弱すぎるときは、挟持力調節ハンドル70を操作して、受けプレート67を後方に移動させ、スプリング68の圧縮力を強めて、挟持分離装置3の挟持力を強くすることができる。
【0047】
上記構成の他に、間隔調節ハンドル69と挟持力調節ハンドル70の間に、両ハンドル69,70の回転をロックすることが可能なロックハンドル75を設置することもできる。ロックハンドル75の設置によって、稼働中の里芋収穫機1の安定した稼働が可能となる。
【0048】
また、該ロックハンドル75の回転角度に応じて、間隔調節ハンドル69及び挟持力調節ハンドル70、あるいは間隔調節ハンドル69と挟持力調節ハンドル70の両方の回転をロック可能に構成してもよい。
間隔調節ハンドル69が回転しない角度にロックハンドル75を回すと、挟持力調節ハンドル70だけが回転するので、挟持分離装置3の挟持力を確実に調節することができ、里芋の分離性能が向上すると共に、挟持力調節機構だけが動作することにより、挟持力調節ハンドル70にかかる抵抗が小さくなるので、調節を行なう作業者の労力が軽減される。
【0049】
そして、挟持力調節ハンドル70が回転しない角度にロックハンドル75を回すと、間隔調節ハンドル69だけが回転するので、挟持分離装置3の左右間隔を確実に調節することができ、里芋が挟持分離装置3に詰まって作業が停滞することが防止されると共に、間隔調節機構だけが動作することにより、間隔調節ハンドル69にかかる抵抗が小さくなるので、調節を行なう作業者の労力が軽減される。
【0050】
本実施形態は、挟持分離装置3の里芋の通路の間隔とその挟持力の調節を、それぞれ調節シャフト66に設置した近接する間隔調節ハンドル69と挟持力調節ハンドル70により、挟持分離装置3の後方で、両ハンドル69,70を一度に、あるいはそれぞれ独立して操作可能に構成したものである。
【0051】
一本の調節シャフト66に間隔調節ハンドル69と挟持力調節ハンドル70を集約させただけでなく、特に間隔調節ハンドル69に至っては、里芋収穫機1の左右方向の中心付近に設置し、ハンドル69の動力を里芋収穫機1の中心部に前後方向に設置した調節シャフト66から左右の挟持分離装置3に伝達させる構成としたことで、操作の簡便化だけでなく、里芋収穫機1の全体構造のさらなるコンパクト化も実現し、里芋の親芋と子芋、孫芋への分離作業の効率を向上できる。
【0052】
図3は、図1に係る里芋収穫機1の後部にガイドシュータ5を設けた実施例の平面図(図3(a))と側面図(図3(b))と背面図(図3(c))である。なお、分かりやすいように、汲上搬送装置2の前後高さを同一にして示している。
ガイドシュータ5は、汲上搬送装置2の搬送終端部から排出される作物を次の工程に案内するものである。図3に示すガイドシュータ5は、複数のロッド5bが一定の間隔でスノコ状若しくはフォーク状に支柱5aから直角に突出した構造を有し、汲上搬送装置2の後方の搬送終端部の左右両側に支持部材15を設け、該支持部材15に設けた挟持溝(図示せず)に回動自在にガイドシュータ5の支柱5aを固嵌めして支持し、複数のロッド5bからなるスノコ状の部位は、里芋収穫機1の汲上搬送装置2の真後ろに位置するように設置される。
【0053】
ガイドシュータ5を複数のロッド5bにより間隔を形成し、スノコ状とすることで、里芋収穫機1の後方に搬送された分離後の里芋が、汲上搬送装置2によって、里芋収穫機1の後部にまで搬送され、その最後部から圃場に落下するときに、落下した里芋を一時的に受け止め、収穫物(里芋)と共に搬送される土や夾雑物が先に落下させ、排出された収穫物が土や夾雑物に埋もれることを防止可能とし、収穫物の回収作業を容易に行うことができ、作業能率が向上する。
【0054】
図3(c)に示す里芋収穫機1の背面図のように、ガイドシュータ5は左右両側から中央に向かって下方傾斜させて設置する。すなわち、ガイドシュータ5の左右両側が折れ曲がり内側が谷となるような傾斜面を成すように設置する。また、ガイドシュータ5の先端部は、里芋に傷が付かないように丸みをつける。
また、ガイドシュータ5の下部を機体左右内側方向に屈曲させる構成とすることで、圃場に落下する里芋が畝溝に落ちることなく、畝の中央に集めて落下させることができる。
【0055】
左右両側のガイドシュータ5の先端部の間隔を、2つの分離クローラ7の上方の里芋の通路の間隔よりも広くすると共に、一定量以上の里芋がガイドシュータ5に落下し、ガイドシュータ5に過剰の負荷が加わった時に、ガイドシュータ5が回動自在な支柱5aを支点として、ガイドシュータ5の先端部が一定の幅で下方に移動し、左右のガイドシュータ5の間隔を広げることができる構造とすることにより、収穫された里芋が大径であったときや、一度にたくさんの里芋がガイドシュータ5に落下したときに、ガイドシュータ5の上部に里芋が堆積して落下できなくなることを防止する。
【0056】
また、ガイドシュータ5の下部を機体内側方向に屈曲させることにより、汲上搬送装置2の搬送終端部から排出される収穫物の落下方向を決めることができるので、収穫物の落下位置を畝上、または畝溝に揃えることができ、収穫物の回収作業の能率が向上する。特に、収穫物を畝上に落とした際は畝を跨ぐ走行車両(トラクタ等)を用いても収穫物を踏み潰すおそれがないので、一層作業能率が向上する。
【0057】
図4は、汲上搬送装置2の下部に設けた排土板52で畝上の土を畝溝側に移動させて窪地を形成し、この窪地を排土板52の後部に設けた鎮圧輪53で押し固め、この窪地に親芋や子芋、土、夾雑物を里芋収穫機1から落下させる実施例であり、図4(a)はその平面図を、図4(b)はその側面図を示し、排土板52と鎮圧輪53の構成とその効果について詳細に説明する。
排土板52は、汲上搬送装置2の左右方向に亘って設けられた左右サイドカバー13,13に取り付けられた2本の支持シャフト25のそれぞれにリンクアーム26の一端を設置し、それぞれ2本のリンクアーム26が平行となるように排土板52が設置される。このとき、リンクアーム26の端部には長穴(図示せず)が形成されており、ボルト・ナット等の固定部材で、排土板52の作用高さを変更することができる。また、排土板52は、畝の土を畝溝側へ排出できるように、機体上面視にて「く」の字型に前方を細く、後方を広くするように設置した。
【0058】
図4(a)に示すように、平面視で「く」字状の排上板52の始端部中央から左右に後方傾斜させることで、該排土板52を畦中央部に埋め込みながら前進させると畦中央部のみ排土することができる。
【0059】
鎮圧輪53は、該鎮圧輪53の回転軸の長手方向が里芋収穫機1の左右方向に配置されるように、平面視で「く」の字の排土板52の内壁に両端を支持させられるので、汲上搬送装置2に改めて設置のための部材を設けることなく排土板52に簡便に鎮圧輪53を設置可能となる。
【0060】
排土部材(排土板)52の左右幅は汲上搬送装置2の左右幅より狭く、また、鎮圧輪53の左右幅より広い構成とし、さらに、鎮圧効果を向上させるために鎮圧輪53の下端部を排土板52の下端部よりも下方に配置する(図4(b))。鎮圧輪53を排土板52の後側の下部に回転自在に設けることで、鎮圧輪53が排土跡に接触して圃場を均して、畦をかためるので、里芋が拾いやすくなる。
【0061】
上記の排土板52と鎮圧輪53を里芋収穫機1の後部に設けることで、排土板52は、里芋収穫機1の終端部の下方へ設置することにより、掘り取り後の畦が平らに整地されるので、畦上に落下した里芋に土が覆い被さることを防止でき、排土板52の後端における左右の幅は、汲上搬送装置2の幅より狭く配置することで、排土板52の通過後は、畦中央部の凹地の左右両側に壁が形成され、汲上搬送装置2から落下した里芋が、確実に畦上の凹地内に落下し、畦の両側の溝にこぼれ出にくくなり、畦上の凹地内に落下した里芋を収穫しやすくなる。
【0062】
汲上搬送装置2は、左右サイドカバー13,13の後部に左右駆動スプロケット27,27を軸着した駆動シャフト28を左右サイドカバー13,13に貫通させて回転自在に装着し、該駆動シャフト28の左右一側端に搬送油圧モータ(図示せず)を取り付ける。また、前記左右サイドカバー13,13の前部に左右従動スプロケット30,30を軸着した従動シャフト31を回転自在に取り付け、前記左右駆動スプロケット27,27と左右従動スプロケット30,30との間に左右搬送チェーン32,32を無端状に巻き掛けると共に、該左右搬送チェーン32,32の左右間に、機体前後方向に一定の間隔を設けて複数の棒状の搬送体33…を取り付けることによって、駆動シャフト28を回動支点として回動自在な汲上搬送装置(搬送コンベア)2が構成される。
【0063】
図1〜図4には、汲上搬送装置2の簡略図を示しているが、以下に、本発明の特徴部分である汲上搬送装置2について詳しく説明する。
図5(a)には本発明の一実施形態の里芋収穫機の汲上搬送装置2の側面図を示し、図5(b)には図5(a)のA−A線矢視図を示す。なお、図5(a)の側面図は、分かりやすいように、汲上搬送装置2の前後高さを同一にして示している。
【0064】
図3や図5に示すように、汲上搬送装置2の左右搬送チェーン32,32は、側面視で略楕円形状の回転軌跡を描く。そして、この汲上搬送装置2には、左右搬送チェーン32,32に連結して、該左右搬送チェーン32,32の回転軌跡の上端ラインNよりも下方に底部のラインTが位置し、搬送中の里芋を載置する作物載置部Sを搬送方向に向かって複数形成している。
【0065】
作物載置部Sの底部が左右搬送チェーン32,32の回転軌跡の上端部よりも下方に位置することにより、搬送中の里芋が汲上搬送装置2の傾斜や汲上搬送装置2の振動により転がることがあっても、里芋は作物載置部S内に保持され、作物載置部S内を転がる。例えば、作物載置部Sは籠のように里芋をその内部に保持する。
したがって、搬送中の里芋が汲上搬送装置2の掘起し刃19側の搬送始端部側に向かって転げ落ちることを防止できるので、落下の衝撃で里芋が傷ついて商品価値が低下することが防止される。
また、同じ里芋が何度も汲上搬送されることがなく、作業能率が向上する。
【0066】
そして、図5(b)に示すように、汲上搬送装置2の搬送体33を搬送方向から見て上方に開口部を有するコの字型の形状とし、各搬送体33の左右上端部を左右搬送チェーン32,32に連結させることで作物載置部Sが簡単に構成される。里芋は搬送体33のコの字型の角部や底部(下端部)に引っかかりやすいため、容易には下方に転げ落ちない。そして、このような構成より、部品点数の増加が防止され、装置の軽量化や構成の簡易化を図ることができる。
【0067】
また、汲上搬送装置2の搬送体33は所定間隔ごとに設けると、搬送体33同士の間に空間部が形成されるので、里芋に付着している泥土を下方に落としながら搬送することができる。したがって、作業者が里芋に付着している泥土を落とす作業が省略されて労力が軽減されると共に、里芋の親芋と子芋との間に詰まった泥土や夾雑物が親芋と子芋の分離を妨げることを防止できるので、効率良く親芋と子芋の分離を行うことができ、分離精度が向上する。
【0068】
また、作物載置部Sの端部の搬送体33間の間隔W1を作物載置部S内の搬送体33間の間隔W2よりも広くし、里芋の塊が搬送体33間の隙間から下方に落下しない程度の広さに形成する。作物載置部Sの端部の搬送体33間の間隔が狭いと上方の作物載置部Sから下方の作物載置部Sに転がり落ちる場合が考えられる一方、作物載置部Sの端部の搬送体33間の間隔が広いと里芋の塊が搬送体33間の隙間から下方に落下する場合が考えられる。
【0069】
しかし、作物載置部Sの端部の搬送体33間の間隔を上記のように調整することで、里芋が掘り起こされた際に載置された作物載置部S内を転がっても、下方(搬送方向上手側)に位置する別の作物載置部Sに転がり落ちたり、搬送体33間の隙間から下方に落下したりすることが防止されるので、里芋が汲上搬送装置2上を何往復もすることが防止され、作業能率が向上すると共に、下方に転げ落ちた里芋が後続の里芋とぶつかり合った衝撃で傷付くことが防止されるため、里芋の商品価値が向上する。その上、汲上搬送装置2の下方に里芋が落下することを防止できるので、作業者は圃場に落ちた里芋を手作業で拾い集める必要がなく、作業者の労力が軽減される。
【0070】
そして、上方に開口部を有するコの字型の搬送体33の複数個ごとに、搬送方向から見て下方に開口部を有するコの字型の規制体77を設けることで、搬送体33上の作物の下方への転落を規制することができる。具体的には、隣接する作物載置部S間に規制体77を設ける。
【0071】
図5に示すように、複数の搬送体33(作物載置部S)と規制体77とを交互に設けたことにより、所定間隔ごとに作物載置部Sが形成されるため、作物を連続して掘取搬送する際にいつでも作物載置部Sに載せることができる。
規制体77は、図5に示すように、複数個の搬送体33ごとに一つでも良いが、一つの作物載置部Sを形成する複数個の搬送体33よりも少ない数とすれば良い。
【0072】
このように規制体77を設けることで、隣接する作物載置部Sが明確に区分けされ、搬送中の里芋が、現在載置されている作物載置部Sの搬送始端部側端部を越えて下方の作物載置部Sに移動しようとしても、規制体77の上端部により里芋の移動が規制されるので、里芋の搬送能率が向上する。
【0073】
また、図5に示すとおり、左右搬送チェーン32,32の巻回域の外側と内側に搬送体33や規制体77を設けることで、側面視で搬送体33や規制体77の左右搬送チェーン32,32からの突出度合いが比較的小さくても搬送能力が向上する。
【0074】
すなわち、搬送体33は左右搬送チェーン32,32から下方に向けて設けてあり、規制体77は上方に向けて設けているため、搬送体33の下端部から規制体77の上端部までの長さは、左右搬送チェーン32,32の上下長さよりも長くなる。したがって、搬送体33及び規制体77は、左右搬送チェーン32,32の上端面及び下端面から若干突出させれば、里芋を受けて搬送する作物載置部Sが形成されるので、里芋の搬送力が向上するため、部品の軽量化、低コスト化が図れる。
【0075】
そして、図5に示すとおり、搬送体33と規制体77とを同じ形状にすれば、取付方向を上、下と変えるだけでそれぞれの作用及び効果を発揮することができるので、部品点数を削減でき、より装置の構成の簡易化を図ることができる。
【0076】
図6には図5の汲上搬送装置2の他の例の平面図を示し、図7には図6の汲上搬送装置2の側面図を示す。なお、図7の側面図は、分かりやすいように、汲上搬送装置2の前後高さを同一にして示している。
図6及び図7に示す汲上搬送装置2は、左右搬送チェーン32,32を図3に示す左右駆動スプロケット27,27や左右従動スプロケット30,30によって直接駆動させるのではなく、他の駆動機構によって左右搬送チェーン32,32を回転させている。
【0077】
駆動スプロケット81と従動スプロケット82と駆動スプロケット81と従動スプロケット82との間に巻回し、左右搬送チェーン32,32よりも巻回長さの短い駆動チェーン83とからなる駆動機構(81,82,83)を左右搬送チェーン32,32の側方に設ける。そして、左右搬送チェーン32,32の左右一方の搬送チェーン32と駆動チェーン83とを搬送チェーン32が弛むように所定間隔ごとに取付軸(連結部材の一例)85により連結する。搬送チェーン32と駆動チェーン83は巻回長さの全長に亘って連結している。
【0078】
本構成により、駆動チェーン83の回転に連動して、取付軸85により連結した左右一方の搬送チェーン32が同時に回転し、左右一対の搬送チェーン32に連結する作物載置部Sも移動する。具体的には、駆動チェーン83の回転に連動して、取付軸85により連結した左右一方の搬送チェーン32が同時に回転し、搬送チェーン32に取り付けられた搬送体33が移動することで左右他方の搬送チェーン32も回転する。したがって、駆動チェーン83の回転に連動して左右搬送チェーン32,32が回転する。そして、図7に示すように、作物載置部Sは、取付軸85の連結間隔ごとに設けられる。
このように、駆動チェーン83と左右搬送チェーン32,32とを独立させることで、左右搬送チェーン32,32間に形成される作物載置部Sの形状を自由に変えることができる。
【0079】
そして、このように駆動チェーン83の巻回長さの全長より、左右搬送チェーン32,32の巻回長さの全長を長くし、搬送チェーン32と駆動チェーン83とを所定間隔ごとに(搬送チェーン32の方が駆動チェーン83より長くなる)連結することで、左右搬送チェーン32,32に弛みができる。すなわち、作物載置部Sの底部のラインT’が駆動チェーン83の回転軌跡の上端ラインN’よりも下方に位置することで里芋が作物載置部S内に保持される。したがって、搬送中の里芋が、現在載置されている作物載置部Sの搬送始端部側端部を越えて下方の作物載置部Sに移動することが防止でき、里芋の搬送能力が向上する。
【0080】
図6及び図7に示す汲上搬送装置2の搬送体33は棒状の回転フリーなローラ(回転体)であり、搬送体33の回転軸33aが左右搬送チェーン32,32に連結している。駆動チェーン83の巻回長さの全長と左右搬送チェーン32,32の巻回長さの全長が等しいと、左右搬送チェーン32,32がピンと張って作物載置部Sが形成されなくなり、滑り台のように搬送体33上の里芋が下方に転がって落ちてしまう。
【0081】
しかし、本構成により、左右搬送チェーン32,32が弛んでいることで、左右搬送チェーン32,32に連結する搬送体33のうち、里芋に面する側の搬送体33の最下端部のラインT’が駆動チェーン83のラインN’よりも下方に位置するため、作物載置部Sを形成できる。したがって、隣接する作物載置部Sが明確に区分けされ、搬送中の里芋が、現在載置されている作物載置部Sの搬送始端部側端部を越えて下方の作物載置部Sに移動することが防止できる。また、里芋に限らず、にんじん収穫機の選別部などにも使用できる。
【0082】
また、取付軸85と同軸上に搬送体33を設けると、連結部材の点数が削減されて、汲上搬送装置2の構成が簡単になる。例えば、取付軸85と搬送体33の回転軸33aを一体化すれば良い。
本構成により、取付軸85を左右一方の搬送チェーン32にのみ連結させた場合に比べて、駆動チェーン83の回転により取付軸85と同軸上の搬送体33も移動するため、搬送能力が向上する。また、取付軸85と搬送体33の回転軸33aを一体化すると、汲上搬送装置2が強固な構成となる。
【0083】
なお、図6及び図7に示す汲上搬送装置2は、左右搬送チェーン32,32に複数の搬送体33…を連結させているが、複数の搬送体33…をこのようなチェーンではなく、プレート(図示せず)により連結させても良い。
【0084】
そして、駆動チェーン83と左右一方の搬送チェーン32との連結部に、搬送方向から見て下方に開口部を有するコの字型であって、且つ搬送体33と略同じ左右長さの仕切り部材86を設ける。例えば、図5に示す規制体77と同じような形状とする。搬送体33上の作物は仕切り部材86の上端部に当たって下方への転落が規制されるため、汲上搬送装置2による搬送能力が向上する。
【0085】
図8(a)には、図1の汲上搬送装置2の別の例の平面図を示し、図8(b)には、図8(a)の汲上搬送装置2の側面図を示す。なお、図8〜図15には、見やすいように搬送体33を直線状の棒状部材で示している。また、図8〜図15の構成は、図5や図6及び図7に示す汲上搬送装置2にも適用可能である。
【0086】
掘起し刃19と汲上搬送装置2の搬送始端部側に、里芋を汲上搬送装置2に案内するガイド93を左右搬送チェーン32,32の搬送始端部側の従動スプロケット30の上下に、従動スプロケット30を挟むようにして設ける。従動スプロケット30上方のガイド93aは、里芋を掘起し刃19から汲上搬送装置2に案内する役割を果たす。従動スプロケット30下方のガイド93bは、里芋に付着した泥土や夾雑物などが左右搬送チェーン32,32や従動スプロケット30に入り込むことを防止する役割を果たす。
【0087】
そして、ガイド93上の里芋に付着した泥土や夾雑物などが泥抜けできるように、ガイド93を格子状とする。そして、ガイド93の隙間L1を汲上搬送装置2の搬送体33間の隙間L2よりも狭くすることで、上方ガイド93aの下方にある従動スプロケット30に石が入りにくくなる。
【0088】
また、このガイド93は、汲上搬送装置2の搬送始端部側にあるスキ95(掘起し刃19の基部側にある)から支持させると良い。ガイド93をスキ95によって支持することで、簡便にガイド93を取り付けることができる。また、ガイド93の支持構成が強固、且つ簡素なものとなり、部品点数の増加も防止される。
【0089】
また、ガイド93の搬送終端部は、少なくとも、従動スプロケット30の後端部よりも若干搬送方向下手側(後方)になるようにガイド93を亘って設けることにより、ガイド93から汲上搬送装置2に里芋が確実に引き継がれるので、掘り起こされた里芋が汲上搬送装置2に載らず、後から手作業で拾い上げる必要がなくなり、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0090】
図9(a)には、図1の汲上搬送装置2の別の例の平面図を示し、図9(b)及び図9(c)には、図9(a)のカバー97付近の断面図を示す。
搬送体33の上部の里芋が集中しやすい左右方向中央付近にカバー97を設ける。このカバー97は、汲上搬送装置2を構成する搬送体33のうち、1〜2ヶ所の前後二本の搬送体33,33に亘って取り付けるものである。このカバー97が取り付けられるのは、汲上搬送装置2のうち1〜2箇所であり、他の部分は搬送体33及び抵抗体77が略等間隔に並べられる。里芋の収穫作業中は、カバー97を設けた部分は搬送体33同士、又は搬送体33と抵抗体77との間隔部に比べて石や泥が溜まりやすくなる。
【0091】
しかし、搬送体33同士、又は搬送体33と抵抗体77との間隔部から石や泥が汲上搬送装置2の内部(左右搬送チェーン32,32)に入り込んでしまう。その一方で、汲上搬送装置2の駆動中はこの駆動に伴う遠心力や振動により落下しない石や泥が生じると共に、この石と泥が振動や遠心力によって搬送体33や抵抗体77に張り付き、除去作業に要する手間が掛かってしまう。
汲上搬送装置2の内部の清掃は左右サイドカバー13,13全体を外すなどの手間が掛かる。
【0092】
本構成のカバー97は、下部が開放された箱形であり、その内部にスライドカバー100aを左右方向に摺動自在に内装し、該スライドカバー100aとカバー97の内側の機体外側端部に、搬送体33の外周に沿って設けるスプリング99の左右端部を接続している。なお、カバー97の左右側面とスライドカバー100aには孔部(図示せず)が設けられ、搬送体33がこの孔部を通過している。スライドカバー100aの下端部はカバー97の下方に突出しており、ここに取手100を設けることで、カバー97の操作が可能となる。
【0093】
前記スプリング99はスライドカバー100aを搬送コンベア34の左右中央部に向かって付勢しており、取手100が操作されていないときは左右のカバー97,97を互いに接触させている。そして、取手100を作業者が機体左右外側に向かって操作し、スプリング99の付勢力を超えると、スライドカバー100aが機体外側方向に摺動してスプリング99を縮め、カバー97を機体外側方向に向かって押していく。この間に、作業者は搬送コンベア34の内周部に溜まった石や泥を取り除く。
【0094】
取手100から作業者が手を離す、又は機体内側方向に操作すると、スプリング99が伸びる(元に戻る)力でスライドプレート100aが機体内側方向に移動し、カバー97が機体内側方向に移動する。
【0095】
このように、本構成のカバー97は、複数のスプリング99によって汲上搬送装置2の左右方向(矢印Y方向、搬送方向に略直交する方向)の中央部に向かって付勢されることにより、作業時は完全に閉じている。しかしながら、カバー97が閉じているのはスプリング99の付勢する力で押さえられているだけであるため、作業者が汲上搬送装置2の左右外側に向かってカバー97を引っ張ると、カバー97は取り付けている搬送体33,33に沿って左右外側に向かって移動し、作業時に位置していた場所に大きな空間部を形成する。この空間部から、作業者は手や清掃用具を容易に汲上搬送装置2の内部に入れることができるので、搬送体33、抵抗体77、カバー97などに付着した石や泥の除去作業を短期間で終えることができる。したがって、カバー97によって搬送体33同士、又は搬送体33と抵抗体77との間隔部から石や泥が汲上搬送装置2の内部に入り込むことを防止する一方で、搬送体33、抵抗体77、カバー97などに付着した石や泥の除去作業にも手間が掛からないため、メンテナンス性も良好になると共に、作業者の労力が軽減される。
【0096】
また、カバー97を箱形(角形状、直方体)にすることで、カバー97が作用側(実線位置)、非作用側(一点鎖線位置)のどちらにあっても石や泥が入りやすい部分を向けないようにして泥が入ることを防止できる。
【0097】
更に、カバー97をスライドさせるときにつかむための取手100を設けることで、作業者が取手100を握って容易にカバー97を動かせるため、作業性が良い。
この取手100はカバー97の上面から突出しないようにすると、カバー97上の里芋に接触しないため、里芋が傷ついて商品価値が低下することが防止される。また、取手100が里芋に接触し、里芋を汲上搬送装置2の搬送始端部側に向かって転がしてしまうことが防止されるので、里芋が汲上搬送装置2上を何往復もすることがなく、能率的に搬送されるため、作業能率が向上する。
【0098】
図10(a)には、図1の汲上搬送装置2の別の例の平面図を示し、図10(b)には、図10(a)の汲上搬送装置2の側面図を示す。
【0099】
図10で示すとおり、前記従動スプロケット30,30よりも機体内側で、且つ同軸上に入力スプロケット110,110を軸着し、該入力スプロケット110,110よりも後方に出力スプロケット112,112を搬送チェーン32,32の左右間に回転自在に設ける。そして、前記入力スプロケット110,110と出力スプロケット112,112に亘って伝動チェーン114,114を無端状に巻回し、該伝動チェーン114,114の左右間に亘って複数の板状の格子体116…を等間隔に配置することにより、異物侵入防止装置101が構成される。
【0100】
この異物侵入防止装置101は、左右搬送チェーン32,32の回転力を受けて、汲上搬送装置2と共に同一方向に回転することにより、掘り起こされた里芋と共に移動してくる石や泥等の夾雑物が汲上搬送装置2の搬送始端部側に入り込むことを防止するので、汲上搬送装置2の搬送始端部側に夾雑物が溜まりにくくなり、夾雑物により搬送チェーン32,32が外れて作業が中断されることが防止され、作業能率が向上する。
さらに、汲上搬送装置2の搬送始端部側に夾雑物が溜まりにくいので、作業終了後の汲上搬送装置2の掃除に要する労力が軽減できる。
【0101】
そして、図10に示すように、平面視で異物侵入防止装置101と搬送体33が重なるように、且つ異物侵入防止装置101を搬送体33の内側に設けることで搬送体33上の石や夾雑物などの異物が従動スプロケット30や左右搬送チェーン32,32の巻回域内の搬送始端部側に侵入することを防止できる。
【0102】
そして、異物侵入防止装置101の格子体116…同士の前後方向の隙間L3を、搬送体33…同士の前後方向の隙間L2よりも狭くすることで、搬送体33上の比較的細かい土などは異物侵入防止装置101から落下して左右搬送チェーン32,32の巻回域内に入り込むが、比較的大きい石などは異物侵入防止装置101から落下せずに搬送され、異物侵入防止装置101と平面視で重複しない搬送体33間の隙間から落下する。
【0103】
比較的細かい土などが搬送始端部側の従動スプロケット30に入ってもあまり問題はないが、石などの比較的大きい異物が従動スプロケット30に入ると回転の障害となって里芋が搬送されにくくなってしまう。
しかし、異物侵入防止装置101の格子の隙間L3を、搬送体33の隙間L2より小さくすることで、比較的大きい異物が左右搬送チェーン32,32の搬送始端部側の巻回域内に侵入しにくくなるので、このような問題は生じない。
【0104】
図11(a)には、図1の汲上搬送装置2の別の例の平面図を示し、図11(b)には、図11(a)の汲上搬送装置2の側面図を示す。
また、汲上搬送装置2の左右両端に、汲上搬送装置2の内部に溜まった石や泥土、夾雑物などを掃除するための掃除口103を設けることで、汲上搬送装置2の内側にたまった石等を取り除ける。汲上搬送装置2の左右サイドカバー13,13(図3)の一部を切り欠き、蝶番104などを介して内部の清掃用の掃除口103を開閉自在に構成する。
【0105】
掃除口103は、汲上搬送装置2の搬送方向始端部側に設けることで、下方に落ちて、溜まった石等を取り除きやすい。里芋収穫機1で収穫作業を行う前に、地上に露出している葉部を手作業で刈り取る必要がある。このとき、回収し忘れた葉屑が圃場に残ることがあり、また、雑草が里芋と一緒に掘り起こされる。
【0106】
特に、駆動スプロケット27や従動スプロケット30などの回転する部材が配置される搬送始端部側及び搬送終端部側には、石や泥に加えて、里芋の葉屑や雑草が絡み付きやすいので、掃除口103が汲上搬送装置2の搬送始端部側付近にあることにより、メンテナンス性が一層向上する。
【0107】
図12(a)には、図1の汲上搬送装置2の別の例の平面図を示し、図12(b)には、図12(a)の汲上搬送装置2の側面図を示す。
また、汲上搬送装置2は駆動シャフト28を回動支点として回動自在であり、汲上搬送装置2を作業条件に合わせて適正な作業姿勢にすることができる。掃除用の開口部103を汲上搬送装置2の搬送方向終端部側に設けると、汲上搬送装置2を、駆動シャフト28を回動支点として上方に(矢印H方向)回動させることで、たまった石を取り除くことができる。
【0108】
特に、駆動スプロケット27や従動スプロケット30などの回転する部材が配置される搬送始端部側及び搬送終端部側には、石や泥に加えて、里芋の葉屑や雑草が絡み付きやすいので、掃除口103が汲上搬送装置2の搬送終端部側付近にあることにより、メンテナンス性が一層向上する。なお、掃除口103を汲上搬送装置2の搬送始端部側と搬送終端部側の両方に設けても良い。
【0109】
図13には、図1の汲上搬送装置2の別の例の平面図を示す。
汲上搬送装置2の搬送終端部の下方に、掘り取った里芋を中央に集めるためのガイドシュータ80を後方下り傾斜姿勢に設ける。このガイドシュータ80は左右一対の櫛状部材から形成し、図3のガイドシュータ5の支柱5a,5aを後方に向かって左右の間隔が狭くなるようにしたものである。左右の櫛状部材間の幅を後端部に向かって狭めることで、里芋が中央に集まりやすくなる。
【0110】
図14には、図1の汲上搬送装置2の別の例(図13のガイドシュータ80の別の例)の平面図を示す。
また、ガイドシュータ80を平面視で方形状(図13)ではなく、図14に示すように平面視で半円形にすると、半円形のガイドシュータ87の前後幅(搬送方向の長さ)を方形状のものと比べて短くでき、また、里芋が中央に集まりやすい。
【0111】
図15(a)には、図1の汲上搬送装置2の別の例(図13のガイドシュータ80の別の例)の平面図を示し、図15(b)には、図15(a)の汲上搬送装置2の側面図を示し、図15(c)には、図15(a)のガイドシュータ88の要部背面図を示す。
また、図15に示すように擂り鉢形状のガイドシュータ88にすると、効率良く里芋を中央に寄せることができる。
【0112】
そして、里芋を掘り取った後の土壌を鎮圧する左右一対の鎮圧輪53をガイドシュータ88の下部に取り付ける。この鎮圧輪53の左右方向の幅を、ガイドシュータ88の後端部の幅より広くすると、ガイドシュータ5から排出された里芋は、確実に鎮圧輪53によって鎮圧された畝上に落下するので、畝溝に里芋が落ちてしまうことがなく、回収作業の能率が向上する。また、畝溝に落ちた里芋を踏んでしまうことがないので、里芋の商品価値が低下することが防止される。
【0113】
この鎮圧輪付きガイドシュータ88は、基部を汲上搬送装置2の左右サイドカバー13,13に回動可能に取り付けることで、フリーで上下動可能な構成とすることができる。ガイドシュータ88の取付軸をボルト等で固定する方式とし、ボルトを緩めて角度を決め、再び締めると作業位置が決まるようにすると良い。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の作物掘取収穫機は、里芋に限らず、他の作物においても利用可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 里芋収穫機 2 汲上搬送装置
3 挟持分離装置 4 調節装置
5 ガイドシュータ(案内板) 7 分離クローラ
9a 分離装置の回転軸(前方)9b 分離装置の回転軸(後方)
13 左右サイドカバー 15 支持部材
19 掘起し刃 25 支持シャフト
26 リンクアーム 27 駆動スプロケット
28 駆動シャフト 30 従動スプロケット
31 従動シャフト 32 搬送チェーン
33 搬送体 40 ナット
45 連結プレート 50 モータ
52 排土板 53 鎮圧輪
61 支持フレーム 62 調節フレーム
63 第一摺動部材(第一摺動ケース)
63a 摺動ローラ 63b ロッド
63c ロッド支持用筐体(ボックス)
64 第二摺動部材(第二摺動ケース)
64a 第二摺動パイプ 64b L字型支持板
64c 縦軸 65 回動アーム
66 調節シャフト 67 受けプレート
68 スプリング 69 間隔調節部材(間隔調節ハンドル)
70 挟持力調節部材(挟持力調節ハンドル)
71 連結支持プレート 72 後方側壁
74 摺動シャフト 75 ロックハンドル
77 規制体 80,87,88 ガイドシュータ
81 駆動スプロケット 82 従動スプロケット
83 駆動チェーン 85 取付軸
86 仕切り部材 93 ガイド
95 スキ 97 カバー
99 スプリング 100 取手
100a スライドカバー
101 異物侵入防止装置 103 開口部
104 蝶番 110 入力スプロケット
112 出力スプロケット 114 伝動チェーン
116 格子体
S 作物載置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を地中から掘り起こす掘起し部材(19)と、該掘起し部材(19)に掘り起こされた作物を後部上方に搬送する搬送装置(2)と、該搬送装置(2)で塊となって搬送される作物を挟持して、分離する挟持分離装置(3)と、前記搬送装置(2)の搬送終端部から排出される作物を次の工程に案内する案内部材(5)を設けた作物掘取収穫機において、
前記搬送装置(2)は、作物を搬送するために駆動回転する搬送無端帯(32,83)と、該搬送無端帯(32,83)に連結して搬送方向に複数設けられ、搬送無端帯(32,83)の回転軌跡の上端部よりも下方に底部を有し、搬送中の作物を載置する作物載置部(S)とを備えることを特徴とする作物掘取収穫機。
【請求項2】
前記搬送無端帯(32,83)は、搬送方向に向かって左右に設けられた左右一対の搬送無端帯(32)であり、
前記作物載置部(S)は、前記左右一対の搬送無端帯(32)に連結して搬送方向に所定の間隔を空けて複数設けられ、搬送方向から見て上方に開口部を有するコの字型の作物を搬送する複数の搬送体(33)から形成されることを特徴とする請求項1記載の作物掘取収穫機。
【請求項3】
上方に開口部を有するコの字型の前記搬送体(33)の複数個ごとに、搬送方向から見て下方に開口部を有するコの字型であって、該搬送体(33)上の作物の搬送始端部側への転落を規制する規制体(77)を設けたことを特徴とする請求項2記載の作物掘取収穫機。
【請求項4】
前記搬送装置(2)は、
搬送方向に向かって左右方向に回転軸を有し、左右に一対設けた左右一対の搬送無端帯(32)と、
搬送方向に向かって左右方向に回転軸を有する前後一対の駆動回転体(81)及び従動回転体(82)と、該駆動回転体(81)と従動回転体(82)との間に巻回し、前記搬送無端帯(32)よりも巻回長さの短い駆動無端帯(83)とからなり、前記左右一対の搬送無端帯(32)の側方に設けた駆動機構(81,82,83)と、
前記搬送無端帯(32)と駆動無端帯(83)とを搬送無端帯(32)が弛むように所定間隔ごとに全長に亘って連結する連結部材(85)とを備え、
前記作物載置部(S)は、前記左右一対の搬送無端帯(32)に連結して、前記連結部材(85)の連結間隔ごとに設けられ、前記駆動無端帯(83)の回転軌跡の上端部よりも下方に底部を有することを特徴とする請求項1記載の作物掘取収穫機。
【請求項5】
前記作物載置部(S)は、前記左右一対の搬送無端帯(32)に連結して搬送方向に所定の間隔を空けて複数設けられ、作物を搬送する搬送体(33)により形成され、
前記連結部材(85)に、搬送方向から見て前記搬送体(33)と略同じ左右長さであると共に下方に開口部を有するコの字型であって、隣接する作物載置部(S)を仕切る仕切り部材(86)を設けたことを特徴とする請求項4記載の作物掘取収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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