説明

使い切り注射器

【課題】煩雑な操作を要することなく、操作の容易な使い切りを目的とした、新規の注射器を提供する。
【解決手段】シリンジ2と、ピストン4と、プランジャ5とを備える注射器である。プランジャ5の貫通通路を有して貫通孔3に配置可能なスリーブ部材10を設け、スリーブ部材10の内周面10fに溝部10cと段部10sを設ける一方、シリンジ2の内周面2cに、突起部10pが内側から合わさってスリーブ部材10のシリンジ2に対する引き出しを阻止すると共に、シリンジ2に対してスリーブ部材10を押し出し可能に案内する長孔部Aと段部21とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い切りを目的とした注射器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
注射器は、シリンジと、当該シリンジの貫通孔に摺動可能に保持されるピストン部材とを備え、当該ピストン部材の引き出し操作によって、シリンジとピストン部材との間に形成された空間に内溶液を充填する一方、その押し込み操作によって、内溶液を注出可能なものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−213612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした注射器は、プランジャがシリンジに対して常に自由に可動できることから、一度使用したものであっても、殺菌・消毒処理を行うことで再利用も可能である。
【0005】
しかしながら、用途によっては、使い切って再利用することなく、そのまま廃棄した方が良い場合も考えられる。
【0006】
本発明の目的とするところは、煩雑な操作を要することなく、操作の容易な使い切りを目的とした、新規の注射器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シリンジと、当該シリンジの貫通孔に摺動可能に保持されるピストンと、当該ピストンの引き出し及び押し込みを行うプランジャとを備え、当該プランジャの引き出しによって、シリンジとピストンとの間に形成された空間に内溶液を充填する一方、その押し込みによって、内溶液を注出可能な注射器であって、
プランジャを貫通させる通路を有してシリンジの貫通孔に配置可能なスリーブ部材を設け、当該スリーブ部材の内周面に、プランジャに設けた突起部が内側から合わさって当該プランジャをスリーブ部材に対して引き出し可能に案内する溝部又は長孔部と、当該溝部又は長孔部を乗り越えた前記突起部が引っ掛かってプランジャをスリーブ部材に対して固定保持する段部とを設ける一方、シリンジの内周面に、スリーブ部材に設けた突起部が内側から合わさって当該スリーブ部材のシリンジに対する引き出しを阻止すると共に、当該シリンジに対してスリーブ部材を押し出し可能に案内する長孔部又は溝部と、当該長孔部又は溝部を乗り越えた前記突起部が引っ掛かってスリーブ部材をシリンジに対して固定保持する段部とを設けたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、スリーブ部材の内周面に設けた溝部又は長孔部に、プランジャに設けた前記突起部が乗り越え可能な斜面を設けることが好ましい。
【0009】
本発明では、シリンジの内周面に設けた長孔部又は溝部と、スリーブ部材に設けた前記突起部とに、当該突起部が乗り越え可能な斜面を設けることが好ましい。
【0010】
本発明では、スリーブ部材の内周面に設けた溝部又は長孔部及び段部と、当該スリーブ部材の外周面に設けた突起部とを周方向にずらして交互に配置すると共に、その相互間を分断する切り欠き部をスリーブ部材の後端から押し込み方向に向かって設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ピストンは、スリーブ部材に設けた溝部又は長孔部に沿って引き出すことができ、その引き出しは、プランジャに設けた突起部がスリーブ部材に設けた段部に引っ掛かって固定保持されるまで可能になる。これにより、内溶液の吸引を常に一定のストローク量で行うことができる。
【0012】
また、内容液を注出するときには、プランジャをスリーブ部材と共にシリンジに設けた長孔部又は溝部に沿って押し込むことができ、その押し込みは、スリーブ部材に設けた突起部がシリンジに設けた段部に引っ掛かって固定保持されるまで可能になる。これにより、内溶液を完全に注出できると共に、その注出の完了後は、プランジャがスリーブ部材を介してシリンジに固定保持されるため、プランジャを引き戻すことができない。
【0013】
このように、本発明は、吸引に要する引き出しと、注出に要する押し込みを行うだけで、プランジャをシリンジに固定することができる。従って、本発明によれば、煩雑な操作を要することなく、操作の容易な使い切りを目的とした、新規の注射器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明である、カートリッジ式注射器の一形態であって、(a)は、その使用前における状態を一側面から示す一部断面図であり、(b)は、その使用前における状態を他の側面から示す一部断面図である。
【図2】(a)は、同形態の吸引後における状態を一側面から示す一部断面図であり、(b)は、同状態を他の側面から示す一部断面図である。
【図3】(a)は、同形態の注出後における状態を一側面から示す一部断面図であり、(b)は、同状態を他の側面から示す一部断面図である。
【図4】同形態に係る、スリーブ部材の斜視図である。
【図5】同スリーブ部材であって、(a)は、上方から示す平面図、(b)は、側面から示す一部断面図、(c)は、下方から示す底面図である。
【図6】同スリーブ部材であって、(a)は、上方から示す平面図、(b)は、側面から示す一部断面図、(c)は、下方から示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明である、使い切り注射器の一形態を詳細に説明する。
【0016】
図1中、符号1は、本発明の第1の形態である、使い切り注射器であり、符号2は、内容液が充填された合成樹脂製のシリンジである。シリンジ2は、外径の小さい先端部2aと、この先端部2aよりも外径の大きい首部2bと、この首部2bよりも外径の大きい胴部2cを有し、この胴部2cの外周面には、指掛け部2dが一体に設けられている。また、先端部2aには、環状壁2eを介して先端部2aを取り囲む筒体部2fが一体に設けられている。
【0017】
また、シリンジ2には、その内側に、先端2e1に形成された開口部A1と後端2e2に形成された開口部A2とを通じさせる貫通孔3が形成されている。貫通孔3は、先端部2aで取り囲まれた小径孔3aと、首部2bで取り囲まれた中径孔3bと、胴部2cで取り囲まれた大径孔3cとを有する。
【0018】
符号4は、シリンジ2の内容液を圧送する、合成樹脂製のピストンである。ピストン4は、棒状部材としてなり、小径孔3aに摺動可能に保持されている。これにより、ピストン4は、図2に示すように、シリンジ2の先端部2aとの間に形成された空間Rに、外部から内容液を充填することができる。
【0019】
符号5は、ピストン4の下端に一体に設けたプランジャである。プランジャ5は、ピストン4を案内する案内部5aを有する。案内部5aは、ピストン4の下端に一体に設けられている。案内部5aは、ピストン4を取り囲む、4枚の薄い板状部材5a1からなる十字断面形状のシャフト部で構成されており、2つの突起部5pが一体に設けられている。突起部5pは、軸線Oを挟んで互いに向かい合う板状部材5a1に設けられている。
【0020】
また、案内部5aは、その下端が、大径孔3cを通って開口部A2から露出している。案内部5aの下端には、プランジャ5の後端部5bが一体に設けられている。後端部5bは、フランジ部として形作られている。これにより、後端部5bの後端5cがピストン4を押し込むための押圧部として機能する一方、ピストン4の先端4aが内容液を圧送する加圧面として機能する。
【0021】
符号6は、シリンジ2の先端部2aに装着可能な、合成樹脂製のニードルパーツである。ニードルパーツ6は、ニードル7とニードルホルダ8からなる。ニードルホルダ8は、その下端に開口部を有し、この開口部を通して外界に通じさせる凹部8nが形成されている。これにより、ニードルホルダ8は、シリンジ2の先端部2aに嵌合保持させることができる。
【0022】
更に、ニードルホルダ8には、シリンジ2の筒体部2fの内側に形成されたねじ部2sに螺合するフランジ部8sが設けられている。フランジ部8sは、ねじ部として機能している。これにより、ニードルホルダ8を筒体部2fに螺合させることで、図示のように、シリンジ2に対してニードルパーツ6を装着させることができる。
【0023】
符号10は、図1等に示すように、シリンジ2とプランジャ5との間に配置された合成樹脂製のスリーブ部材である。スリーブ部材10の内径は、案内部5aを貫通させる通路A3を形成する形状をなし、その外径も、スリーブ部材10をシリンジ2の貫通孔3に配置可能な形状をなしている。
【0024】
また、図4に示すように、スリーブ部材10の内周面10f1には、その上端10aから軸線Oに沿って延在する溝部10cが設けられている。溝部10cは、図5(a)及び図6(a)に示すように、軸線Oを挟んで対向する位置に配置されている。溝部10cは、図1(a)等に示すように、プランジャ5に設けた突起部5pが内側から合わさって当該プランジャ5をスリーブ部材10に対して引き出し可能に案内する。また、溝部10cは、その突き当たり側に、後端10bに向かうに従って内周面10f1に繋がる斜面10dを有する。これにより、突起部5pは、溝部10cを斜面10dに沿って乗り越えることができる。
【0025】
加えて、スリーブ部材10の内周面10f1には、軸線Oに沿って溝部10cと整列する位置に、図2(a)に示すように、溝部10cを乗り越えた突起部5pが引っ掛かってプランジャ5をスリーブ部材10に対して固定保持する段部10sが設けられている。段部10sは、スリーブ部材10を貫通する貫通孔A4によって形作られている。
【0026】
加えて、スリーブ部材10の外周面10f2には、図4に示すように、2つの突起部10pが一体に設けられている。突起部10pは、図5(a)及び図6(a)等に示すように、軸線Oを挟んで対向する位置に配置されている。突起部10pは、図5(b)及び図6(b)に示すように、溝部10c(傾斜部10d)及び段部10sに対して、周方向に交互にずらして配置する(例えば、本形態では、90度)。
【0027】
これに対し、シリンジ2(大径部2c)には、軸線Oに沿って延在する長孔部A5が設けられている。長孔部A5は、図1(b)等に示すように、シリンジ2の内側から突起部10pが合わさることで、シリンジ2に対してスリーブ部材10を進退可能に案内する。
【0028】
また、長孔部A5の後端縁21は、図1(b)に示すように、突起部10pが接触することで、シリンジ2に対するスリーブ部材10の引き出しを阻止する。これにより、スリーブ部材10は、プランジャ5を用いて引き出そうとしても、シリンジ2に対して抜け止め保持される。
【0029】
一方、長孔部A5の先端縁22は、図1(b)等に示すように、大径部2cの内周面2c1側に、先端2aに向かうに従って内周面2c1に繋がる斜面23を有する。加えて、突起部10pも、先端10aに向かうに従って縮径する斜面11を有する。これにより、突起部10pは、長孔部A5を斜面11及び23に沿って乗り越えることができる。
【0030】
加えて、シリンジ2(大径部2c)には、軸線Oに沿って長孔部A5と整列する位置に、図3(b)に示すように、長孔部A5を乗り越えた突起部10pが引っ掛かってスリーブ部材10をシリンジ2に対して固定保持する段部24が設けられている。段部24は、シリンジ2を貫通する貫通孔A6によって形作られている。
【0031】
次に、本形態に係る、使い切り注射器の操作について説明する。
【0032】
本形態では、使用者は、ニードルパーツ6を筒体部2fにねじ込むことで、シリンジ2にニードル7を装着する。
【0033】
次に、アンプルに充填された内容液を吸引する等、外部から内容液を吸引するときは、以下のような操作を行う。
【0034】
先ず使用者は、図1に示す状態から、シリンジ2の後端開口部A2からプランジャ5を引き出す。このとき、スリーブ部材10は、図1(b)及び図2(b)に示すように、その突起部10pが長孔部A5の後端縁21によって抜け止め保持されているため、シリンジ2に対してプランジャ5のみを溝部10cに沿って、図1(a)から図2(a)に示すように、引き出すことができる。
【0035】
このため、図1に示す状態から、ニードル7を内容液が充填されたアンプル等に挿し込んでプランジャ5を引き出せば、ピストン4も溝部10cに沿って引き出されることで、充填空間Rには負圧が生じることから、この負圧によって、図2に示すように、内容液を充填空間R内に吸引することができる。
【0036】
プランジャ5の引き出しは、その突起部5pが斜面10dから溝部10cを乗り越えて、図2(a)に示すように、段部10sに引っ掛かって固定保持されるまで可能になる。これにより、内溶液の吸引を常に一定のストローク量で行うことができる。
【0037】
プランジャ5の突起部5pがスリーブ部材10の段部10sに引っ掛かって固定保持されると、プランジャ5及びスリーブ部材10は、図2(a)に示すように一体化する。
【0038】
このため、実際に注入する段階では、使用者は、このまま状態でプランジャ5を押し込む。このとき、プランジャ5は、スリーブ部材10と一体化しているため、プランジャ5を押し込めば、スリーブ部材10と共にピストン4も長孔部A5に沿って押し込まれることで、ニードル7を通して充填空間R内の内容液を外界に注出することができる。
【0039】
プランジャ5の押し込みは、スリーブ部材10の突起部10pが斜面23から長孔部A5を乗り越えて、図3(b)に示すように、シリンジ2の段部24に引っ掛かって固定保持されるまで可能になる。これにより、内溶液を完全に注出できると共に、その注出の完了後は、プランジャ5がスリーブ部材10を介してシリンジ2に固定保持されるため、プランジャ5を引き戻すことができない。
【0040】
即ち、本形態では、内容液の吸引は、プランジャ5をスリーブ部材10に設けた溝部10cに沿って引き出すことで可能となり、その引き出しは、プランジャ5に設けた突起部5pがスリーブ部材10に設けた段部10sに引っ掛かって固定保持されるまで可能になる。これにより、内溶液の吸引を常に一定のストローク量で行うことができる。
【0041】
また、内容液を注出するときには、プランジャ5をスリーブ部材10と共にシリンジ2に設けた長孔部A5に沿って押し込むことで可能となり、その押し込みは、スリーブ部材10に設けた突起部10pがシリンジ2に設けた段部24に引っ掛かって固定保持されるまで可能になる。これにより、空間Rに充填された内溶液を完全に注出できると共に、その注出の完了後は、プランジャ5がスリーブ部材10を介してシリンジ2に固定保持されるため、プランジャ5を引き戻すことができない。
【0042】
このように、本形態は、吸引に要する引き出しと、注出に要する押し込みを行うだけで、プランジャ5をシリンジ2に固定することができる。従って、本形態によれば、煩雑な操作を要することなく、操作の容易な使い切りを目的とした、新規の注射器1を提供することができる。
【0043】
本形態では、プランジャ5を引き出すことで、突起部5pが溝部10cを乗り越えた後、段部10sに引っ掛かって嵌合保持されることで、或いは、プランジャ5を押し込むことで、突起部10pが長孔部A5を乗り越えた後、段部24に引っ掛かって嵌合保持されることで、その衝撃や音がクリック感として使用者に体感できる。
【0044】
また、本形態の如く、スリーブ部材10の内周面10f1に設けた溝部10cに、プランジャ5に設けた突起部5pが乗り越え可能な斜面10dを設ければ、プランジャ5の引き出しが容易になることで、更に容易な操作によって、注射器1を使い切ることができる。
【0045】
同様に、シリンジ2の内周面2c1に設けた長孔部A5と、スリーブ部材10に設けた突起部10pとに、当該突起部10pが乗り越え可能な斜面23及び11を設ければ、プランジャ5の押し込みが容易になることで、更に容易な操作によって、注射器1を使い切ることができる。
【0046】
使用後は、ニードルパーツ6を、軸線O周りに回してねじを緩めることで、シリンジ2から取り外すことができる。これにより、ニードルパーツ6を分別廃棄することができる。シリンジ2、ピストン4及びプランジャ5を廃棄するときには、筒体部2fにオーバーキャップ(図示省略)を装着する。これにより、ニードルパーツ6を取り外した注射器1を安全且つ衛生的に廃棄することができる。また、ニードルパーツ6については、従来と同様、ニードルホルダ8に別途オーバーキャップを装着すれば、安全且つ衛生的に分別廃棄することができる。
【0047】
なお、シリンジ2、ピストン4及びプランジャ5は、プランジャ5にスリーブ部材10の通路A3を通して組み付けた後、このスリーブ部材10を備えたプランジャ5をシリンジ2の後端2e2の開口部A2から挿入するだけの簡単な作業で、容易に組み立てることができる。
【0048】
本形態では、スリーブ部材10は、その内周面10f1に設けた溝部10c及び段部10sと、その外周面10f2に設けた突起部10pとを、図5及び図6に示すように、周方向にずらして交互に配置すると共に、その相互間を分断する切り欠き部12をスリーブ部材10の後端10bから押し込み方向に向かって設けている。この場合、切り欠き部12の相互間が弾性片としてなることで、プランジャ5をスリーブ部材10に挿入したとき、その突起部5pを含む部分が弾性変形して、プランジャ5の押し込みを邪魔することなく、スリーブ部材10の溝10cに合せることができる。このため、プランジャ5とスリーブ部材10との組み付け作業を容易に行うことができる。
【0049】
また、プランジャ5を装着したスリーブ部材10をシリンジ2に挿入したとき、その突起部10pを含む部分が弾性変形して、スリーブ部材10の押し込みを邪魔することなく、シリンジ2の長孔部A5の後端縁21に引っ掛かるため、スリーブ部材10と共にプランジャ5を抜け止め保持できる。このため、シリンジ2と、スリーブ部材10を備えるプランジャ5との組み付け作業も容易に行うことができる。
【0050】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、 スリーブ部材10の溝部10cは、長孔部に置き換えることができる。反対に、シリンジ2の長孔部A5も溝部に置き換えることができる。また、段部10s及び21も、開口部で形作られるものに限らず、溝(凹部)で形作られるものとすることもできる。即ち、本発明に従えば、各形態の構成要素は、各形態の相互間で転用することができる。更に、ニードルパーツ6は、ニードル7に代えて、パイプやノズルを採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、シリンジと、当該シリンジの貫通孔に摺動可能に保持されるピストンと、当該ピストンの引き出し及び押し込みを行うプランジャとを備え、当該プランジャの引き出し操作によって、シリンジとピストンとの間に形成された空間に内溶液を充填する一方、その押し込み操作によって、内溶液を注出可能な注射器であれば、様々なものに適用することができる。また、内容液の種類についても、限定されない。
【符号の説明】
【0052】
1 使い切り注射器
2 シリンジ
2a 先端部
2b 首部
2c 胴部
2d 指掛け部
2e 環状壁
2e1 先端
2e2 後端
2f 筒体部
3 貫通孔
3a 小径孔
3b 中径孔
3c 大径孔
4 ピストン
4a ピストン先端
5 プランジャ
5a 案内部
5a1 板状部材
5b 後端部
5p 突起部
6 ニードルパーツ
7 ニードル
8 ニードルホルダ
10 スリーブ部材
10a スリーブ部材上端
10b スリーブ部材後端
10c 溝部
10d 斜面
10f1 内周面
10f2 外周面
10p 突起部
10s 段部
11 突起部斜面
21 長孔部後端縁
22 長孔部先端縁
23 長孔部斜面
24 段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジと、当該シリンジの貫通孔に摺動可能に保持されるピストンと、当該ピストンの引き出し及び押し込みを行うプランジャとを備え、当該プランジャの引き出しによって、シリンジとピストンとの間に形成された空間に内溶液を充填する一方、その押し込みによって、内溶液を注出可能な注射器であって、
プランジャを貫通させる通路を有してシリンジの貫通孔に配置可能なスリーブ部材を設け、
当該スリーブ部材の内周面に、プランジャに設けた突起部が内側から合わさって当該プランジャをスリーブ部材に対して引き出し可能に案内する溝部又は長孔部と、当該溝部又は長孔部を乗り越えた前記突起部が引っ掛かってプランジャをスリーブ部材に対して固定保持する段部とを設ける一方、
シリンジの内周面に、スリーブ部材に設けた突起部が内側から合わさって当該スリーブ部材のシリンジに対する引き出しを阻止すると共に、当該シリンジに対してスリーブ部材を押し出し可能に案内する長孔部又は溝部と、当該長孔部又は溝部を乗り越えた前記突起部が引っ掛かってスリーブ部材をシリンジに対して固定保持する段部とを設けたことを特徴とする使い切り注射器。
【請求項2】
請求項1において、スリーブ部材の内周面に設けた溝部又は長孔部に、プランジャに設けた前記突起部が乗り越え可能な斜面を設けたことを特徴とする使い切り注射器。
【請求項3】
請求項1又は2において、シリンジの内周面に設けた長孔部又は溝部と、スリーブ部材に設けた前記突起部とに、当該突起部が乗り越え可能な斜面を設けたことを特徴とする使い切り注射器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、スリーブ部材の内周面に設けた溝部又は長孔部及び段部と、当該スリーブ部材の外周面に設けた突起部とを周方向にずらして交互に配置すると共に、その相互間を分断する切り欠き部をスリーブ部材の後端から押し込み方向に向かって設けたことを特徴とする使い切り注射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−249716(P2012−249716A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122904(P2011−122904)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】